柴 弘太
(高分子・バイオ材料研究センター/バイオ材料分野/嗅覚センサグループ, 物質・材料研究機構)
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田村 亮
(マテリアル基盤研究センター/材料設計分野/データ駆動型アルゴリズムチーム, 物質・材料研究機構)
Alternative title: Data-driven quantitative olfactory sensing: odor measurements and their applications
Description:
(abstract)ヒトには五感として知られる感覚機能,すなわち視覚,聴覚,触覚,味覚,嗅覚が備わっており,我々はこれらを最大限活用しながら日々の生活をおくっている.五感の中でも視覚,聴覚,触覚に対する理解は特に進んでおり,その結果,これら感覚機能はカメラ,マイク,圧力センサなどの形で,既に人工物として再現されるに至っている.味覚に関しても原味(甘味,酸味,塩味,苦味,うま味)が特定されるなど着実に理解は深まっており,近年こうした知見に基づく味覚センサの開発が加速している.一方,嗅覚の置かれる状況はこれらと大きく異なる.呼吸をしている限り,我々はある意味では常にニオイを嗅ぎ,感じながら生活していることになる.それにもかかわらず,ニオイやその知覚に関して,多くのことはまだ分かっていない.あるニオイがどのような成分から構成されているか正確に感じ取れるケースは決して多くないだろう.加えて我々は,何かのニオイについて説明するとき,往々にして別のニオイを持ち出す.「この赤ワインは○○の花や□□のスパイスの香りがする」という具合である.香水などは時間とともに香りが変化するため,その都度様々な「△△のような香り」が使われる.これは詰まるところ,こうする以外にニオイを表現する適切(で簡便)な手段が無いことを意味している.なぜなのだろうか.その主な理由は,ニオイという気体そのものの尋常ではない複雑さにある.
基本的にニオイは混合気体であり,一つのニオイを構成する分子(ニオイ分子)は,多いときで千種類を超えることが分かっている.また,ニオイ分子自体の数は実に数十万種類にのぼるといわれている.このように膨大な種類のニオイ分子群から多数の分子が様々な濃度比で混合されてできあがるのが一つのニオイなのである.さらには,ニオイは移ろいやすく,経時変化しやすい性質をもっており,このことがニオイの扱いを一層困難なものにしている.こうしたニオイの性状がニオイの分析を滞らせ,ニオイを深く理解する上で妨げとなっていることは否定できない.しかしここで目を向けたいのは,ニオイがもつこのような複雑さや移ろいやすさは,見方を変えればニオイに秘められた情報の豊富さを表しているとも考えられることである.著者らはこのように厄介でありながら同時に魅力的でもあるニオイという気体を計測・解析する手法の開発に取り組んできた.本稿では,嗅覚を模倣したセンサ(嗅覚センサ)と機械学習を組み合わせることにより実現した,ニオイ計測とその応用例の一端について紹介する.
Rights:
Keyword: 嗅覚センサ, データ駆動, ニオイ, 膜型表面応力センサ, MSS, ナノ粒子
Date published: [2023年8月]
Publisher: 技術情報協会
Journal:
Funding:
Manuscript type: Author's version (Accepted manuscript)
MDR DOI: https://doi.org/10.48505/nims.5070
First published URL: https://www.gijutu.co.jp/doc/magazine/c_2023_08.htm
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Updated at: 2024-12-02 16:31:10 +0900
Published on MDR: 2024-12-02 16:31:10 +0900
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