# Fileset

[伝熱63,34-39(2024).pdf](https://mdr.nims.go.jp/filesets/fb3bc871-8ca9-4f12-b48e-74ae291d3784/download)

## Creator

[吉川 純](https://orcid.org/0000-0003-0659-1844)

## Rights

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[単色化電子顕微鏡を用いたフォノン計測](https://mdr.nims.go.jp/datasets/5651a3df-a556-410a-94b3-d4833b2f1a59)

## Fulltext

特集：熱輸送のスペクトル  伝熱 2024 年 7 月 - 34 - J. HTSJ, Vol. 63, No. 264          １．はじめに 熱輸送をナノメートル・スケールで制御する技術開発が重要な課題となっている．そのためには，絶縁体や半導体における熱キャリアであるフォノン（格子振動）のヘテロ界面や粒界での輸送機構をナノメートル・スケールで理解することが重要であり，フォノン輸送を計測する技術の開発も必要である．著者は JST さきがけ「熱輸送のスペクトル学的理解と機能的制御」に採択された 2018年から，直径 nm 以下の電子プローブでフォノンを波数分解して計測する技術の開発に取り組んできた [1]．フォノンの輸送機構を理解するうえで，波数分解したフォノンの数（強度）や進行方向，振動モードなどを界面近傍で計測する必要があると考えた．具体的には，透過電子顕微鏡内で直径約 1-3 nm の単色化された電子ナノプローブを試料上で走査し，電子エネルギー損失分光（electron energy loss spectroscopy: EELS）でフォノンを計測する手法を用いる．試料を透過した電子を用いたEELS は 1940 年代に開発されたが [2]，電子顕微鏡で振動分光が報告されたのは 2014年である [3]．10 年たった今でも，フォノンや分子振動に関して何をどこまで計測できるか，どうやって計測すれば良いか，など十分に理解されているとは言い難い．本稿では，フォノンの輸送を計測する技術開発の観点から，装置構成や計測原理，計測例について説明する．  ２．計測装置の構成 装置の主な構成は，透過電子顕微鏡をベースとして，電子分光器（モノクロメーターと EELS 分光器）と EELS 検出器である．図 1 に装置写真と模式図を示す．通常の透過電子顕微鏡の電子銃のエネルギー広がり（半値幅）は 0.3～1 eV 程度であり，振動分光は難しい．EELS は通常，数 eV～2 keV の範囲で吸収端やプラズモン，バンド間遷移を分光して，元素や化学結合状態，誘電特性などを評価する手法である [2]．電子銃直下にモノクロメーターを設置してエネルギー広がりを 1/30以下にすることで，振動分光が可能になる．あとは検出時に分解能が落ちないよう，検出器が高感度で低ノイズであることや，同一のエネルギーと運動量を持つ電子が検出器にヒットする位置がブレないよう装置への外乱（機械振動，電磁場，電気ノイズ）を抑えることも重要である．著者が使用している装置（図 1）は最高で約 12 meV のエネルギー分解能を達成しており，実用上も約 20 meVが可能である．X 線や中性子を用いた非弾性散乱や同じ EELS でも反射型 EELS [4]と比べると，透過電子顕微鏡での EELS はエネルギー分解能の点で劣るが位置分解能が高いのが最大の利点である． 図 1 装置外観の(a)写真と(b)模式図．  ３．入射電子のフォノンによる散乱機構 3.1 計測の原理 試料に入射した電子は，フォノンを生成（励起）してエネルギーを失って（energy loss）散乱される場合に加えて，すでに熱励起されているフォノンを消滅させてエネルギーを得て（energy gain）散乱される場合があり，その割合は温度に依存する [5]．簡単のため，1 個の入射電子が 1 個のフォノンを生成または消滅して試料から出射する場合単色化電子顕微鏡を用いたフォノン計測 Phonon measurements using a monochromated electron microscope 吉川 純（物質・材料研究機構） Jun KIKKAWA (National Institute for Materials Science) e-mail: kikkawa.jun@nims.go.jp 特集：熱輸送のスペクトル  伝熱 2024 年 7 月 - 35 - J. HTSJ, Vol. 63, No. 264 を考える．図 2 に入射電子の散乱ダイヤグラムを示す．1 個の入射電子と 1 個のフォノンの間で，エネルギーと結晶運動量が保存される．入射電子のエネルギー（E0），散乱後の電子のエネルギー（E’），エネルギー損失量（ΔE），散乱ベクトル（q），フォノンのエネルギー（Eph），波数ベクトル（p）とすると，エネルギー保存則より E0−E’ =ΔE= Eph，結晶運動量保存則より−q=G+p となる．ここで，G は結晶の逆格子ベクトルであり，p はブリルアンゾーン内で定義される．ΔE= Ephはフォノンが生成する場合は正，消滅する場合は負の値になるので，フォノン消滅は EELS スペクトルの負側で観測される．散乱ベクトル q を通してフォノンの波数ベクトル p がわかるので，EELS の q 依存性を計測すれば，フォノンのエネルギーと波数ベクトルの関係（分散関係）を測定できる [6]．実際に透過電子顕微鏡で測ることができるのは，電子の入射方位に対して垂直方向の q 成分（q⊥）依存性である．垂直成分についての結晶運動量保存則は，− q⊥= G⊥+ p⊥と書け，つまり測ることのできるフォノンの波数ベクトルは垂直成分（p⊥）である．このとき，G⊥は二次元の逆格子ベクトルとなり，そのベクトル座標は電子回折パターンからわかる．図 2 では，111 点を g と表記している．所望の逆空間方向のフォノンを計測するには，入射電子方位に対して試料を傾斜する． 図 2 EELS によるフォノン計測の原理．  典型的なフォノンの寿命はピコ（10−12）秒であり，入射電子ビームの電流密度が小さいときは，1個の入射電子がフォノンを生成して次の入射電子が来るまで（数ピコアンペアで 10−8秒）にはフォノンは緩和している．この場合，入射電子によるフォノン生成のみによってフォノンの数が増える，つまり試料温度が上昇することはないと考えられる．通常の EELS の実践的な時間分解能はミリ秒であり，平衡系のフォノンを計測していることになる．フォノンの生成や輸送，消滅，電子系との相互作用などのダイナミクスを捉えるにはフェムト秒の時間分解能が必要になる．ミリ秒では動的過程は捉えられないが，非弾性散乱電子を通してフォノンの生成・消滅を数え上げることはできる．  3.2 散乱機構：双極子散乱と衝突散乱 図 3 に示すように，入射電子のフォノン生成・消滅を伴う散乱機構は，双極子散乱（ dipole scattering）と衝突散乱（impact scattering）に分類できる [4]．双極子散乱は，電気双極子場の生成・消滅，すなわち光学フォノンの生成・消滅を伴い，入射電子の散乱角度がゼロ（= q⊥がゼロ）において微分散乱断面積（=EELS 強度）が大きくなる．このとき，生成・消滅するフォノンの波数ベクトルはゼロ，波長は無限に長い（長波長極限）．電気双極子場の変動は，異種原子間に電荷の偏りを持つ極性材料で生じやすく，双極子散乱の微分散乱断面積は非極性材料に比べて極性材料で著しく大きくなる．本稿では，ダイヤモンド（非極性）と立方晶窒化ホウ素（c-BN）（極性）を例に紹介する  [1]．両結晶ともに，縦波音響（ longitudinal acoustic: LA），横波音響（transverse acoustic: TA），縦波光学（ longitudinal optical: LO），横波光学（transverse optical: TO）の 4 つの振動モードを持つ．ダイヤモンドと c-BN は，結晶構造や熱伝導率，硬度など良く似た物性を持つが，ダイヤモン 図 3 入射電子とフォノンの散乱機構． 特集：熱輸送のスペクトル  伝熱 2024 年 7 月 - 36 - J. HTSJ, Vol. 63, No. 264 ドは極性が無いのに対して c-BN は極性がある点で異なる．したがって，フォノン分散曲線も似ているが，極性のある c-BN では TO と LO モードのエネルギー差が大きくなる [7,8]．図 4 は，電子プローブ条件（加速電圧，電流密度，収束角），検出条件（取り込み角，露光時間），試料条件（厚さ，結晶方位）等の条件を揃えて両単結晶から EELSを比較したものである．q⊥~0（Γ点）の条件では，ダイヤモンドでは光学フォノンが視認できないのに対して，c-BN では鋭いピークとなって観測される．c-BN では，単位胞内の B 原子と N 原子の逆方向運動によって生じる大きな分極場が入射電子と強く相互作用することを示している． 図 4 双極子散乱による光学フォノン生成のEELS 強度の比較．  一方，衝突散乱は，原子核と内殻電子から成るイオン芯によるクーロン散乱であり，入射電子の散乱角度は有限の値となる．このとき，生成・消滅するフォノンの波数ベクトル垂直成分は p⊥= − q⊥−G⊥で，その波長は双極子散乱と違って短くなる．衝突散乱は，短波長の光学フォノンに加えて，音響フォノンを生成・消滅する．衝突散乱では，極性の有無は重要でなくその微分散乱断面積（=EELS 強度）はダイヤモンドと c-BN で同程度となる．EELS で計測したフォノン生成の微分散乱断面積は各モード（TA，LA，TO，LO）で総和すると，ともに～10−5 nm2の大きさであった [1]．双極子散乱の微分散乱断面積は大きい（q⊥=0 で最大）のに対して，衝突散乱のそれは小さい． EELS の位置分解能は，衝突散乱では電子ナノプローブ直径と同等になりうるが，双極子散乱では悪くなる [9,10]．これは前者が空間的に広がった電気双極子場とのクーロン相互作用，後者が空間的に局在しているイオン芯とのクーロン相互作用による散乱のためである（図 3）．双極子散乱は，入射電子が試料内部を通過せずに試料外部の真空中を通過しても起こる．例えば極性を持つ試料の場合，その端から数百 nm 離れた位置を電子が通過しても光学フォノンの生成・消滅が起きる．フォノンのエネルギーが小さいほど，遠方までクーロン相互作用がはたらき，生成・消滅が起きる．  ４．フォノン計測の例 4.1 分散関係の計測 エネルギーと波数ベクトルの分散関係は，散乱ベクトル依存（運動量移送依存，もしくは角度分解）EELS によって計測できる [6]．フォノンの場合は，meV のエネルギー分解能と波数ベクトル分解能を両立させる点に難しさがある．EELS では，エネルギー分解能を高めることも波数ベクトル分解能を高めることも，ともに入射電子ビームの電流密度を小さくすることになる．そのため検出器の信号／ノイズ比を高めようと露光時間を長くすると，装置が非常に安定でない限り，1 回の露光時間内にゼロ点（=弾性散乱ピーク，ゼロロス・ピーク）が動いてしまい，エネルギー分解能が逆に悪くなる場合がある．エネルギー分解能と波数ベクトル分解能に加えて，さらに位置分解能も高めようとすると，さらに電流密度を小さくすることになる．EELS でのフォノン分散計測においては，エネルギー分解能と波数ベクトル分解能，位置分解能は，計測対象に応じて最適なバランスで高め，最終的な電流密度ができるだけ大きくなるよう設定するのが望ましい．図 5(a)は，直径約 2 nmの電子プローブを用いてダイヤモンド結晶の Γ点～L 点のフォノン分散関係を計測した例である[1]． 一連の EELS スペクトルは，図 2 の電子回折パターンの 1.5g（L 点）～2g（Γ 点）間の範囲における散乱ベクトル q⊥依存性を示している．図 5(a) 図 5 ダイヤモンド結晶の(a)散乱ベクトル依存EELS スぺクトル（RLD 処理後）と(b)フォノン分散関係のプロット（実線は理論計算 [7]）． 特集：熱輸送のスペクトル  伝熱 2024 年 7 月 - 37 - J. HTSJ, Vol. 63, No. 264 の各スペクトルは Richardson-Lucy デコンボリューション（RLD）によって，真のスペクトルを復元したものである．TA，LA，LO+TO モードに由来する強度が q⊥に依存して変化していて，これは分散関係を反映している．実際に，図 5(a)で各フォノンモードをガウス関数でフィッティングし，その位置（Eph）と q⊥(=p⊥)の関係をプロットすると，図 5(b)のような分散関係をプロットできる．理論計算による分散曲線（実線）[7]と良く一致し，直径約 2 nm の電子プローブでバルクのフォノン分散情報が得られることがわかった．  4.2 フォノンモードの可視化 電子ナノプローブを用いた EELS の利点は，局所領域の分光や高位置分解能での分光イメージングが可能なことであり，フォノンの生成・消滅数の空間分布可視化や，粒界やヘテロ界面，点欠陥などの格子欠陥位置の振動計測が可能になる．図6 は，c-BN 単結晶とダイヤモンド単結晶のヘテロ接合界面付近のフォノン生成数を分光イメージングしたものである [1]．具体的には，115–130 meV域の EELS 強度分布を表示したもので，単位ピクセルあたり 70 ミリ秒間に入射電子（プローブ電流4.6 pA）で生成された L 点の LA+TO フォノン（c-BN）と LA フォノン（ダイヤモンド）の数を表している．c-BN では L 点で LA フォノンと TO フォノンのエネルギーが同じになるため，LA フォノンに加えて TO フォノンの数を足したものとなっている．この視野内で平均すると，70 ミリ秒間に c-BN では 4.7 ± 2.2 個，ダイヤモンドでは 3.2 ± 1.8 個のフォノンが生成されたことになる．標準偏差は大きく，実際に同じダイヤモンド内で，界面から離れたバルク単結晶とみなせる領域でも，ピクセル毎に生成数がばらついている．各ピクセルで十分に露光時間を長くすれば観測時間内でのばらつきは小さくなり，フォノン数の空間的な違いを議論できるようになるといえる． 図 6 界面付近のフォノン生成数の分光イメージ． 4.3 ヘテロ界面の振動モード 粒界やヘテロ界面，格子欠陥位置では，原子配列がバルクと異なるため，バルクの格子振動とは異なる振動モードが存在しうる．図 7 は，図 6 のc-BN 領域からヘテロ界面を介してダイヤモンド領域にいたる L 点の EELS スペクトル変化を示している [1]．ヘテロ界面位置から両側に 5 nm 程度離れれば，バルクと同じフォノンモードになる．一方で図 7 の矢印で示すように，界面位置ではバルク結晶域とは異なる振動モードが現れている．この位置での EELS スペクトルが，単なる両バルク単結晶域で得られる EELS スペクトルの線形結合では説明できないことから，界面位置に局在した固有の振動モードであるといえる．ヘテロ界面でのフォノンの輸送を理解するうえで重要な結果である．ここでは界面垂直方向の振動を検出したが，界面平行方向には周期的な界面構造を反映したフォノン分散が存在すると予想される．このように空間的に局在した振動モードを検出できるのが，本手法の特徴である． 図 7 界面付近の L 点に関するフォノンモード分布．矢印は界面位置に局在した振動モードを示す．  ５．フォノンの生成・消滅比を用いた温度計測 5.1 温度計測の原理と特徴 ラマン分光でストークス散乱とアンチストークス散乱の強度比から絶対温度を計測できるのと同様に，EELS で絶対温度を計測できる．計測には，電流密度が十分に小さな電子ナノプローブを用いる．すなわち，1 個 1 個の入射電子はフォノンの緩和時間よりも十分長い時間間隔で飛来して試料に入射する条件とする．熱平衡状態において，入射電子が結晶格子にエネルギーを与えてフォノンを生成する確率（強度）Iloss と，逆に結晶格子が入射電子にエネルギーを与えてフォノンが消滅する強度（確率）Igain の比は，次の詳細釣り合いの式で関係づけられる [5]． Igain ∕ Iloss = exp (−Eph ∕ kBTph) kB はボルツマン定数フォノンのエネルギー，Ephはフォノンのエネルギー，Tphは温度である．電子ナノプローブ位置から得られる EELS スペクトル特集：熱輸送のスペクトル  伝熱 2024 年 7 月 - 38 - J. HTSJ, Vol. 63, No. 264 から，Igain，Iloss，Ephを評価し，温度 Tphが求まる． ラマン分光と比べて，EELS は位置分解能が高いという利点や音響フォノンを用いた温度測定も可能という特徴があるが，現状の EELS では信号／ノイズの比が小さいために温度精度はラマン分光に劣る．また同じ電子線を用いた温度評価方法として，電子回折やプラズモンに着目する方法があるが [11,12]，これらは熱膨張係数などの換算変数を必要とする．一方で，フォノンを用いた温度評価方法では，詳細釣り合いの式を通して実験スペクトルのみから絶対温度を決定できる．これはダイヤモンドなどの熱膨張係数の小さな材料でも絶対温度を評価できることを意味する．  5.2 温度計測の実証 実際に，直径約 1 nm の電子ナノプローブとフォノン生成・消滅の詳細釣り合いの式を用いて，単結晶ダイヤモンドの温度計測が可能か，実証実験を行った [13]．電圧を印加して約 104 μm2域を一様に加熱できるセラミックス膜上に，ダイヤモンド結晶の薄片を固定した．電圧値のセラミックス膜温度（以下，公称温度と呼ぶ）への換算係数は既知で，303 K～1473 K の範囲で温度を変えながら，Γ 点（2g）位置から EELS スペクトルを取得した．図 8(a)に示すように，164 meV 位置の光学（TO+LO）フォノン励起強度 Ilossで規格化すると，Gain 側の光学（TO+LO）フォノン消失強度 Igainが公称温度の上昇とともに，大きくなっている．500 K を超えてから消失強度 Igainが明確に現れた．図 8(b)は，公称温度を x 軸に，強度比 Igain ∕ Ilossと詳細釣り合いの式から求まるフォノン温度Tphを y軸にプロットしたものである．公称温度と計測したフォノン温度は，およそ y=x の関係があり，直径約 1 nm の電子線プローブで局所温度計測が可能であることが実証された．ただし，500 K 以下では温度精度が悪くなった．これは，低温ほど熱励起フォノンの数が小さいため Igain の信号／ノイズの比が小さくなり，Igain の積分強度の誤差が大きくなるためである．この問題は，音響フォノンを温度測定に用いることで改善できる．音響フォノンは光学フォノンよりエネルギーが小さく低温でも熱励起されるため，Igain の信号／ノイズの比が光学フォノンの場合より大きくなる．実際に TAモードを用いて，室温付近で温度精度が向上することを確認した [13]． 図 8 (a)フォノンの生成・消滅比を用いた温度計測の実証実験．(b)公称温度に対する強度比 Igain ∕ Ilossとフォノン温度 Tphの関係．  5.3 温度計測の応用 実際に本手法を用いて，図9(a)に示すように，ジュール加熱中のダイヤモンド・ナノワイヤの温度勾配を測定した [13]．図9(b)は，電圧20 Vをナノワイヤ両端に印加しながら図9(a)の枠線内からEELSスペクトルを取得して解析したものである．検出するフォノンの波数ベクトル域はL点（1.5 g）を中心とした．RLD処理をしたスペクトルを，ゼロロス・ピーク（ZLP）と各フォノンモード（TA，LA，TO+LO）でGaussianフィッティングした．TAフォノンの生成と消滅，すなわちITA,gainとITA,lossの強度比から，温度は613 ± 5 Kと評価できた．ナノワイヤ軸に沿って同様な測定を行った結果，ナノワイヤの中心で温度が高く温度勾配が両端に向かって±0.1 K nm−1 であり，熱流束は10−7 W nm−2 と評価できた．今後，各特集：熱輸送のスペクトル  伝熱 2024 年 7 月 - 39 - J. HTSJ, Vol. 63, No. 264 計測位置（各ピクセル）での信号／ノイズの比が大きくできれば，数nmの位置分解能で温度分布を可視化できるようになる． 図9 (a)ダイヤモンド・ナノワイヤの電子顕微鏡像．(b)電圧20 V印加時に中央付近から取得したEELSスペクトル．  ６．おわりに 本稿では，透過電子顕微鏡における EELS を利用したフォノン計測について紹介した．直径数 nmの電子ナノプローブを用いて，フォノンの分散関係や振動モードのマッピング，温度測定などができることを示した．基本的な計測ができるようになってきたので，今後はフォノン輸送の解析につなげたい，と考えている．一方で，装置（図 1）の性能の限界や改良すべき点も見えた．将来的に，電子ナノプローブ直径 1 nm で，エネルギー分解能 1 meV 以下，エネルギー揺らぎ±1 meV/0.1 s 以下を実現できれば，より低エネルギー励起を検出できるため，種々の材料でフォノン計測が可能になると思う．  謝辞 本研究は，JST さきがけ（Grant No. JPMJPR18I4）と科研費・基盤 B（Grants No. 22H01959）の助成を受けた．特に JST さきがけでは，花村克悟先生をはじめアドバイザーや研究者の皆様方には貴重なアドバイスを頂いた．装置仕様から導入に関して，NIMS の木本浩司 氏に諸々のアドバイスを頂いた．試料の提供と作製に関して，NIMS の谷口尚，諸永拓，諸永友美，中山佳子，下村周一 各氏にご協力頂いた．関係者の皆様方に感謝申し上げる．  参考文献 [1] J. Kikkawa, T. Taniguchi, and K. Kimoto, Phys. Rev. B 104, L201402 (2021). [2] R. F. Egerton, Electron energy-loss spectroscopy in the electron microscope, 3rd ed. (Springer, New York, 2011). [3] O. L. Krivanek et al., Nature 514, 209 (2014). [4] H. Ibach and D. L. Mills, Electron Energy Loss Spectroscopy and Surface Vibrations (Academic Press, 1982). [5] D. Pines and P. Nozieres, The Theory of Quantum Liquids (Benjamin Inc., New York, 1966). [6] J. Kikkawa, T. Mizoguchi, M. Arai, T. Nagai, and K. Kimoto, Phys. Rev. B 98, 075103 (2018). [7] P. Pavone, K. Karch, O. Schütt, D. Strauch, W. Windl, P. Giannozzi, and S. Baroni, Phys. Rev. B 48, 3156 (1993). [8] K. Karch and F. Bechstedt, Phys. Rev. B 56, 7404 (1997). [9] K. Kimoto, in Scanning Transmission Electron Microscopy of Nanomaterials: Basics of Imaging and Analysis, edited by N. Tanaka (Imperial College Press, London, 2014). [10] C. Dwyer, T. Aoki, P. Rez, S. L. Y. Chang, T. C. Lovejoy, and O. L. Krivanek, Phy. Rev. Lett. 117, 256101 (2016). [11] F. Niekiel, S. M. Kraschewski, J. Muller, B. Butz, and E. Spiecker, Ultramicroscopy 176, 161 (2017). [12] M. Mecklenburg, W. A. Hubbard, E. R. White, R. Dhall, S. B. Cronin, S. Aloni, and B. C. Regan, Science 347, 629 (2015). [13] J. Kikkawa and K. 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