# Fileset

[電子別刷_34-3_06_特集_町田.pdf](https://mdr.nims.go.jp/filesets/f823c6b7-c3d8-4376-b110-31ad35f36e30/download)

## Creator

Shinichi MACHIDA, Takanori HATTORI, [Satoshi NAKANO](https://orcid.org/0000-0002-7010-9867), Asami SANO-FURUKAWA, Ken-ichi FUNAKOSHI, Jun ABE

## Rights

[In Copyright](http://rightsstatements.org/vocab/InC/1.0/)

## Other metadata

[Development of a Diamond Anvil Cell for High-Pressure Neutron Diffraction Experiments](https://mdr.nims.go.jp/datasets/d2449caf-3056-473f-91b7-b492fc92e81b)

## Fulltext

1 高圧力の科学と技術 Vol.34, No.3 (2024) 特集      高圧中性子実験の物性研究への展開  高圧中性子回折実験のための ダイヤモンドアンビルセルの開発 Development of a Diamond Anvil Cell for High-Pressure Neutron Diffraction Experiments  町田 真一１,*   服部 高典2   中野 智志3 Shinichi MACHIDA1,* Takanori HATTORI2 Satoshi NAKANO3  佐野 亜沙美2      舟越 賢一1     阿部 淳1 Asami SANO-FURUKAWA2 Ken-ichi FUNAKOSHI1     Jun ABE1  A diamond anvil cell (DAC) for high-pressure neutron diffraction experiments has been developed at the PLANET beamline, Materials and Life Science Experimental Facility, in J-PARC. The conically supported diamond anvils were used for high-pressure generation. We succeeded in obtaining the neutron data for D2O ice up to 69.4 GPa. In addition, the gasket materials suitable for the neutron diffraction measurements were investigated. 11 kinds of alloys were tested and SUS304, Inconel718 and M2052 (73Mn-20Cu-5Ni-2Fe, at%) alloys showed excellent performance. Especially, M2052 null-matrix alloy has proven to be useful for neutron diffraction experiments where the beam inevitably hits the gasket. We then obtained refinable neutron diffraction profiles in Rietveld analysis from D2O ice at least up to 43.3 GPa. [neutron diffraction, diamond anvil cell, gas loading, gasket materials, null-matrix alloy]   １．はじめに  J-PARC, MLFの超高圧中性子回折装置PLANETでは，高圧実験に特化した粉末回折計と，6軸型マルチアンビルプレス「圧姫」，パリ－エジンバラセル，Mitoシステムなどの様々な高圧発生装置を組み合わせることで，77–2000 K，0–40 GPaの広い温度・圧力範囲に渡る中性子回折実験が行われている。これらのPLANETの装置概要や，PLANETを用いた研究例は，これまで3度に渡って「高圧力の科学と技術」に特集されているので（Vol. 14, No.2，Vol. 19, No1，Vol. 26, No.2），それらをご参照いただきたい。 PLANETではさらに，既存装置では発生が困難な40 GPa以上の超高圧などの，新たな実験条件での中性子回折実験を目指して，ダイヤモンドアンビルセル（DAC）の開発に取り組んでいる。なお，この中性子実験用DACの開発を始めたそもそもの動機としては，筆者らが取り組んできたガスハイドレート研究への適用がある。ガスハイドレートは，水分子が作るフレームワーク内にガス分子が内包された固体結晶であり，低温あるいは高圧で安定となる。これまでに行ったメタンハイドレートや水素ハイドレートの，80 GPa程度まで─────────────────────────────────────────────────────────────────────────── 1 〒319-1106 茨城県那珂郡東海村白方162-1 総合科学研究機構 中性子科学センター Neutron Science and Technology Center, Comprehensive Research Organization for Science and Society, 162-1 Shirakata, Tokai, Naka, Ibaraki 319-1106 2 〒319-1195 茨城県那珂郡東海村白方2-4 日本原子力研究開発機構 J-PARCセンター J-PARC Center, Japan Atomic Energy Agency, 2-4 Shirakata, Tokai, Naka, Ibaraki 319-1195 3 〒305-0044 茨城県つくば市並木1-1 物質・材料研究機構 ナノアーキテクトニクス材料研究センター Research Center for Materials Nanoarchitectonics, National Institute for Materials Science, 1-1 Namiki, Tsukuba, Ibaraki 305-0044 * Email: s_machida(at)cross.or.jp  ※(at)は@に置き換えてください。 134高圧力の科学と技術 Vol. 34, No. 3 (2024)このファイルの頒布は著者およびその所属機関に限って許諾されています。2 高圧力の科学と技術 Vol.34, No.3 (2024) の高圧下Raman分光実験において，内包されるゲストガス分子の振動状態の変化がいくつかの圧力で観察された。これらの変化の一部は，ガス分子の配向秩序に起因すると考えている[1,2]。X線回折実験においても，振動状態の変化が起こる圧力付近で結晶構造の変化が捉えられたが[3,4]，X線回折実験では水素原子の位置を特定できないため，結晶構造の変化と分子の振動状態の変化とを結びつけることができなかった。そこで，高圧中性子回折実験によって水素原子を含めた詳細な結晶構造を明らかにしたいと考え，高圧中性子実験用のDACの開発を行っている。また，開発途中の中性子実験用DACの進捗を学会等で発表させていただいた際には，複数の研究者の方々から「100 GPa以上の圧力発生を目指して高度化を行ってもらい，超伝導を示す金属水素化物の結晶構造解析を行いたい」という要望をいただいた。近年，金属水素化物における超伝導転移に関する報告は数多くなされている[5]。その中でも，硫化水素は150 GPaで203 Kと非常に高いTcを持つことで注目を集めている[6,7]。しかしながら，その水素組成と水素位置は実験的に決定されておらず，中性子構造解析による決定が望まれている。このような超高圧下での中性子実験を実現できる高圧発生装置はDACのみであると考えられる。ただ現状では，この課題にアプローチするための環境の構築にはまだまだ遠く，お話をいただいた研究者の方々には申し訳ない限りである。以上の背景をもとに開発を進めてきた中性子実験用DACに関し，本稿では，装置の概要及び実験データの一例を示す。  ２．ダイヤモンドアンビルセルの開発  ２．１ セル・加圧機構  DACは，X線や分光実験などで従来から用いられてきた高圧発生装置ではあるが，その試料体積の小ささからビーム強度の弱い中性子実験ではその利用は限られてきた。そこで我々は，大きな試料体積を加圧することのできるDACの開発を行ってきた。Fig. 1及びFig. 2に製作したDACを示す。試料を充填するためのセルと荷重を保持するためのロードフレーム，及び荷重を加えるためのギヤボックス（加圧器）からなる。セル（Fig. 1a）には大型（直径約3.5 mm，高さ約2.7 mm）の単結晶ダイヤモンドが取り付けられており，初期試料の充填及びクランプが行われる。セルは，PLANETの検出器バンクの角度領域（水平方向: 90±11.3°，鉛          Fig. 1.  (a) A diamond anvil cell assembly developed for neutron diffraction measurements, (b) single crystal diamond anvil, and (c) cutaway view of the conically supporting seat.  (a) (b) (c) (b) (a) 20 mm   Fig. 2.  (a) Drawing of load frame. The geometry of the neutron diffraction at PLANET is also shown.  (b) A photo of the load frame and the gear box. The driving nut in the load frame is rotated with the gear box. (a) (b) 135高圧力の科学と技術 Vol. 34, No. 3 (2024)3 高圧力の科学と技術 Vol.34, No.3 (2024) 直方向: 0±34.6°）[8,9] に合わせ，水平方向に±30°，鉛直方向に±35°の開口を持つ（中性子回折実験を行う際にはFig. 1aのセルを横にして設置する。上記の開口角は横向きでの値）。アンビルの底面は円錐形状に加工されており，台座によるサポート面積を増やすことにより面圧を下げている（Fig. 1b, 1c）。このような形状にすることで，アンビル底面がフラットなDACと比べ，高荷重が印加できる。なお，この円錐形状のアンビル受けは，米国SNSのSNAPのDAC [10,11]を参考に製作した。またセルには，アンビル平行調整機構はなく，アンビル及び台座を精密に加工することでキュレット面の平行度を出している。  Fig. 2aにロードフレームをFig. 2bにギヤボックス示す。セルはロードフレームに装填され，ギヤボックスにより加圧される。ロードフレームの最大耐力及びギヤボックスの最大発生荷重は10 tf （1 tf = 103 kgf）である。ロードフレームにはM66，ピッチ2 mmのドライビングナットが備え付けられており，これをギヤボックスで回転させることで推力を得る。ドライビングナットの回転力をセルに伝えないように，ロードフレーム内には，高荷重下でも作動するスラストローラベアリングが内蔵されている。ギヤボックスの減速比は1:300であり，ハンドルを1回転させるとドライビングナットは6.7 µm進むことになる。ギヤボックスは，顕微鏡下に設置されており，通常のDAC実験と同様，試料の状態を見ながら加圧することができる。試料の圧力を測定する場合，ロードフレームをギヤボックスからとり外し，ルビー蛍光測定[12]を行っている。  ２．２ 圧力発生曲線 キュレット径0.75～1.5 mmのアンビルを用いることで，0.006～0.05 mm3程度の体積の試料を加圧することができた。Fig. 3に異なるキュレット径を用いた際の圧力発生曲線の比較を示す。圧力発生テストでは，試料として水（H2OあるいはD2O）を，ガスケットとしてSUS304を用いた。キュレット径1.5 mmを用いた場合，45 GPaまで圧力発生を行うことができた。一方，キュレット径1.0 mm，0.75 mmを用いた場合，ともに70 GPa付近が圧力発生限界となっており，それ以上加圧するとアンビルが破損した。SNSの中性子実験用DACでは，キュレット径1.0 mmで94 GPa [13]，0.8 mmで100 GPa [14]の圧力を発生させており，いまだその域には達していない。今後，装置を改良することで，より高い圧力の発生を目指す予定である。 アンビル台座としては，我々がDAC開発を開始した当時，SNSで利用されていた装置[13]を参考に，焼結ダイヤモンド製のものを用いてきた。この台座を用いることで70 GPaまでの圧力発生はできたが，母材及び加工費が非常に高価であることが一般のユーザー利用に供することへの大きな課題となっていた。そこで，製作費が1/8程度となる超硬合金（シルバーロイ，SF20）製台座を製作し，これらを用いて高圧発生テストを行った。テストには，キュレット径 1.5 mmのアンビルを用いた。Fig. 3に，台座の違いによる圧力発生曲線の比較を合わせて示す。超硬合金製台座を用いた高圧実験では48 GPaまで発生できたが，それ以上の圧力でアンビルの破損が起きた。この到達圧力は，焼結ダイヤモンド製台座と同等であった。この結果から，少なくともキュレット径1.5 mmのアンビルを用いた場合，超硬合金製台座でも十分な高圧発生ができることが分かった。      Fig. 3.  Pressure generation curves as a function of handle rotation on the gear box for different culet diameters and different anvil seats. SD and WC indicate sintered diamond sheet and tungsten carbide sheet, respectively. 010203040506070800 20 40 60 80 100Pressure (GPa)Rotation of handle (rot.)0.75 mm (SD)1.0 mm (SD)1.5 mm (SD)1.5 mm (WC)136高圧力の科学と技術 Vol. 34, No. 3 (2024)4 高圧力の科学と技術 Vol.34, No.3 (2024) ２．３ ガスケット  DACを用いた高圧実験においてガスケット材の選択は，発生可能圧力や得られる回折パターンの品質に関わるため，重要な要素となる。特に中性子実験用DACで必要とされる特性は，X線実験のものとは異なる点もあるために，新たな開発が必要となった。ガスケット材料の条件として，①90度散乱ジオメトリでは散乱中性子の一部がガスケット内を通るため（Fig. 2a）できるだけ中性子透過率が高いこと，②材料特性として，十分な高圧発生が可能であることの2つを最低限の条件とした。また③中性子実験では，入射中性子ビームのサイズを試料径に対して可能な限り大きくすることから，中性子ビームがガスケットに当たっても，ガスケットのBraggピークを出さないnull-matrix合金であること，④金属水素化物研究のために水素を封じ込めることができることを追加条件とした。  現在までに11種類の合金材料をテストした。Table 1に代表的なガスケット材料の硬さ，Fig. 4にこれらを用いたときの圧力発生曲線を示す。ここで，M2052は73Mn-20Cu-5Ni-2Feの原子組成を持つMn合金で，もともとは振動吸収材料として開発されたものであり[15,16]，DAC用ガスケットとしては本研究で初めて利用された。本研究で利用したM2052素材は，大同分析リサーチ社で製作されたものである。作成の手順としては，材料の真空誘導炉溶解の後，熱間鍛造，熱間圧延，900 ºCでの真空焼きなまし後，500 ºCからガス冷却を行った。さらに，冷間加工により厚さ2 mmまで圧延を行った材料をガスケット材として用いた。Inconel718は，955 ºCでアニーリングを行った後，718 ºCで時効処理を行った材料を使用した。加圧実験はすべてキュレット径1.5 mm，試料には水（H2OあるいはD2O）を用いて行った。全てのガスケットは，1 tf程度   Fig. 4.  Pressure generation curves as a function of handle rotation on the gear box. The figure is based on a previous study [17]. The TiZr gasket broke at 20 GPa, and the diamond anvils with the SUS304 gasket broke at 45 GPa. As for other materials, the compressions were stopped before the blowout to ensure the safety of the anvils; thus, further compression was expected to be possible in each experiment.  Table 1. Representative data for hardness of each gasket material.  Hardness (HV*1) TiZr*2 339 M2052 127 SUS304 370 SUS316L 152 annealed Inconel718 450  *1HV indicates Vickers hardness and HV = 0.1891F/d2 [N/mm2], where F is the force applied to the pyramidal diamond indenter and d is the average diagonal length of the indentation. *2The data for TiZr are cited in the study by Okuchi et al. [18].  137高圧力の科学と技術 Vol. 34, No. 3 (2024)5 高圧力の科学と技術 Vol.34, No.3 (2024) の仮押しを行った後，レーザー加工機により中心に600 µmの穴を開けて作成した。実験結果より，ガスケット材料に関して複数の知見が得られたので，その代表的なものを紹介する。まず，中性子実験用DACのようなキュレット径の大きなアンビルで加圧を行うと，SUS316LやM2052など，比較的柔らかい金属でも十分な高圧発生が可能であることが挙げられる。キュレット径の小さなアンビルを用いた従来のDAC実験では，柔らかい金属のガスケットは高圧発生に適していないと考えられてきた。今回の結果はこのこととは対照的であり，キュレット径の違いがガスケット材料の加圧特性に大きく影響していることが示された。このキュレット径に対するガスケット材料の性能に関して，参考文献[17]に述べたのでご参照頂きたい。また，TiZr製ガスケットの高圧下における振る舞いが，アンビル形状によって大きく異なるということも今回わかった。トロイダルアンビルを用いたパリ－エジンバラセルの高圧実験では，TiZr製のnull-matrix合金[18]がガスケット素材として一般的に用いられており，これまでに40 GPaまでの圧力発生が可能となっている[19]。一方で，TiZr製ガスケットをDACで加圧した場合は，3回行った実験全てにおいて，20 GPa以下でガスケットの破損が起きている。このことはTiZrが，DACのようなフラットなアンビル形状での加圧には不向きであると考えられた。 これらの点を踏まえ，中性子実験のDAC用のガスケット材料として，目的とする実験条件に応じてSUS304 (SUS301), Inconel718, M2052の3種類のガスケットを使い分けることが良いと分かった。ステンレス製ガスケットはこれまでにも，SNSでの実験[13]やNPD-DACを用いた実験[20]において80 GPaを超える圧力の発生実績があり，本研究においても69.4 GPaの圧力発生に成功した材料である（Fig. 3）。Inconel718は，圧力発生効率はSUS304とほぼ同等であり，また水素ガスを充填したDACにおいても30 GPaを発生することができた（Fig. 5）。このガスケット材は現状，水素ガスを封入し中性子実験用DACで加圧できる唯一の材料となっている。また，M2052は少なくとも43.3 GPaまでの圧力発生が可能で（Fig. 5），ガスケット由来のBraggピークが現れない材料である。TiZrは20 GPa以下の比較的低い圧力で破損してしまうため，現状ではM2052が20 GPa以上の圧力を発生できる唯一のnull-matrix合金のガスケット材料である。なお，M2052に水素ガスを充填した高圧実験においては，5.1 GPaまでの加圧を行うことができたが，その後の加圧において水素とガスケットが反応したためか，ガスケットの変形が起きてしまった。このため，null-matrix合金のガスケット材料を用いた水素の高圧中性子実験は未だ実現していない。今後，null-matrixのMn合金について組成や作成方法の最適化を行うことで，水素の高圧発生が可能な材料を開発していきたいと考えている。  ２．４ ガス充填  DACを用いた高圧実験の利点の一つとして，水素などのガス流体を，試料室に充填するための技術が確立していることが挙げられる。今回開発したDACにおいても，ガス充填を行うことを想定して開発を行ってきた。実際のガス充填は，物質・材料研究機構の充填装置[21]を使用することとし，高圧ガス容器内でセルをクランプするための加圧用アダプタを製作した。これらを用いることで，これまでに複数回，水素（H2あるいはD2）の充填を行うことに成功している。さらに，あらかじめ水と気泡を封入したDAC中に水素ガスを充填し，その後加圧を行うことで，水素ハイドレートの作成にも成功した。     Fig. 5. Pressure generation curves with the Inconel718 and M2052 gaskets. The samples for the Inconel718 and M2052 gaskets were D2-D2O and D2O, respectively. The culet sizes for the high-pressure experiments with Inconel718 and M2052 gaskets were 1.2 mm and 1.0 mm, respectively. 010203040500 10 20 30 40 50 60Pressure (GPa)Rotation of handle (rot.)Inconel718 (D₂-D₂O)M2052 (D₂O)138高圧力の科学と技術 Vol. 34, No. 3 (2024)6 高圧力の科学と技術 Vol.34, No.3 (2024) ３．中性子回折  ３．１ 実験手法  PLANETにおける，高圧中性子実験の一般的な手法については，参考文献[8,9]に紹介されているのでご参照いただきたい。DACを用いた実験では，小型のステージにロードフレームを設置して測定を行う。その際，中性子ビームは上流側のダイヤモンドアンビルを通して試料に入射される。ロードフレームの上流側に，試料に入射するビームを制限するためのh-BN製コリメータを挿入する。コリメータのサイズは，ガスケットの試料室の穴径に応じて300～700 µmのものを選択することができる。検出器前には，PLANETに備え付けられた見込み幅1.5 mmのラジアルコリメータを設置し，試料部近傍のみを検出器が見込むようにしている。 単結晶ダイヤモンドをアンビルとして用いたDACの回折実験では，単結晶からのBraggスポットの混入は避けることができない。そのため，データ解析では，2次元データ上のダイヤモンドスポットをマスクする。また，中性子散乱実験特有の問題として，散乱による見かけの吸収が全吸収量に対して大きな割合を占めるために，ダイヤモンドディップが顕著なことが挙げられる。ダイヤモンドディップとは単結晶ダイヤモンドのBragg反射によって，特定の波長の中性子の一部が試料に届かなくなることであり，その部分の散乱データが欠損する。さらに，その波長や程度は，加圧によるダイヤモンドの歪みにより大きく変化するため，補正するのが難しい[22]。我々は，ダイヤモンドディップが出現する波長領域のデータをマスクすることで，ダイヤモンドディップの補正を行っている。現在は，マスクファイルを作成するためのソフトウェアが導入され，容易に単結晶ダイヤモンドの回折スポットの除去及びダイヤモンドディップの補正を行うことが可能となっている。  ３．２ 回折データの例   Fig. 6に，今回製作したDACを用いて測定した，ice VIIの69.4 GPaまでの中性子回折パターンを示す。実験では，キュレット径1.0 mmのアンビル及びSUS304のガスケットを用いた。4.8 GPaのパターンにおいて，ice VIIとステンレスガスケット由来のbcc鉄のピークが観察された。この圧力では，試料とガスケットのピークの重なりは少なく，ice VIIと鉄のbcc構造の2相でリートベルト解析を行うことができた。さらに加圧を行うと，10 GPaでの鉄のbcc-hcp転移に伴い，ガスケット由来のピークが増えた。ice VIIの回折線は69.4 GPaまで明瞭に観察された一方で，ガスケットピークの混入によって，10 GPa以上の圧力では氷の構造解析が困難であった。このことが，null-matrix合金のガスケットの開発の動機となったわけである。  ３．３ M2052製ガスケット利用による中性子実験 ここでは，M2052製ガスケットを用いたD2Oの中性子回折実験の内，2つのランにおける結果を示す。2回の実験ともアンビルにはキュレット径1.0 mmのものを用いた。ガスケットは仮押しにより，厚みが57 µm（1回目），97 µm（2回目）となった。仮押し後，中心に400 µmの穴を開け試料室とした。D2O試料充填後の加圧によって，両実験とも試料室の穴径は360 µm程度まで収縮したものの，その後は最高圧力までその穴径を   Fig. 6.  Neutron diffraction patterns for D2O taken with a SUS304 gasket. The indexed peaks are from ice VII, and the other peaks are from the gasket. 10000 15000 20000 25000Intensity (arb. units)Time of Flight (µs)4.8 GPa39.3 GPa29.7 GPa19.5 GPa10.0 GPa69.4 GPa59.7 GPa49.1 GPa110111211220221321139高圧力の科学と技術 Vol. 34, No. 3 (2024)7 高圧力の科学と技術 Vol.34, No.3 (2024) 維持した。また，中性子実験では入射コリメータに穴径400 µmのものを用いた。Fig. 7aに，得られたice VIIの中性子回折パターンを示す。なお，図は2回の高圧実験の結果を合わせて示している（1回目: 8.3～35.6 GPa，2回目: 43.3 GPa）。本実験ではガスケットの試料室の穴径よりも，入射コリメータの穴径の方が大きいことから，ビームの一部はガスケットに当たっていると考えられる。回折パターンを見ると，null-matrix合金であることを反映して，ガスケットからの回折ピークはどの圧力でも現れず，M2052製ガスケットは少なくとも43.3 GPaまでnull-matrix合金のままであると考えられた。また，本実験において長時間測定を行った35.6 GPaのデータを用いて，リートベルト解析を行った。リートベルトフィットの結果をFig. 7bに示す。フィッティングでは，既知のice VIIの構造（space group: Pn3m，OとDのサイトはそれぞれ8e (x, x, x)と2a (1/4, 1/4, 1/4)）を用いた。Dの原子座標（x(D)）及びDとOの等方性原子変位パラメータ（U(D), U(O)）の精密化を行った結果，0.9644 ÅのO-D結合距離が得られた。この結合距離を含む結晶構造パラメータは，他の氷の高圧実験での結果[23]と整合的であり，本DAC及びM2052ガスケットを用いたセットアップでの中性子回折実験により，高圧下での構造解析が可能であることが示された。   ４．おわりに  本稿ではJ-PRAC，MLFのPLANETビームラインで開発を行っている超高圧中性子実験用DACについての紹介を行った。開発の結果，現状，最大70 GPaの圧力が発生できた。また，初期の試料体積が0.006 mm3以上の氷試料に対して，構造解析を行うための十分な品質の回折パターンを得ることができた。さらに，新たなnull-matrix M2052合金をガスケットとして用いることで，ガスケットピークの混入のない回折パターンを43.3 GPaの圧力で取得することができた。 今後は，さらに装置の改良を進めることにより，測定可能圧力領域を拡大するとともに，レーザー加熱や，冷凍機を用いて温度範囲の拡大を目指す予定である。広い温度圧力範囲での中性子実験が実現されるこ     Fig. 7.  (a) Neutron diffraction patterns of D2O taken with a gasket of M2052. Indices are based on ice VII. The exposure time of each measurement is shown in the parentheses. (b) Rietveld refinement profiles at 35.6 GPa. The black crosses, red lines, and blue lines represent the observed, modeled, and difference profiles, respectively. Black ticks at the bottom show the expected positions of ice VII. The refined structure parameters and reliable values are given in the panel. 1.0 1.5 2.0 2.5Intensity (arb. units)d-spacing (Å)(a) (b) No. of reflections for refinement: 11 Rwp = 11.54 %,  Rp = 9.37 % x(D) = 0.439812 U(D) = 0.01784 Å, U(O) = 0.00718 Å 140高圧力の科学と技術 Vol. 34, No. 3 (2024)8 高圧力の科学と技術 Vol.34, No.3 (2024) とで本装置が，金属水素化合物を始めとする物質の，高圧下での結晶構造と物性の関係を調べるためのツールとして広く利用されることを望んでいる。  謝 辞  本稿で紹介したDAC技術の一部は，米国のORNL, SNSの滞在時に習得しました。SNS滞在中にお世話になったChristopher A. Tulk氏，Malcolm Guthrie氏，Reinhard Boehler氏には深く感謝申し上げます。また，本研究を遂行するにあたり，岩手大学の中山敦子氏，NIMSの今井基晴氏には，ガスケット材料の開発に関し的確なご助言，ご支援をいただきました。ここに深く感謝申し上げます。本研究の一部は，JSPS科研費（JP16K17547, JP20K05425, JP21H00030）の助成を受けて行われました。中性子回折実験はJ-PARC物質・生命科学実験施設の研究課題（課題番号：2020B0444, 2021C0009, 2022C0002）として実施されました。また，中性子回折実験の準備にあたって，CROSSのユーザー実験準備室を利用しました。本稿のFig. 2a, Table 1, Fig. 7aは，Taylor & Francis Ltd. の許可を得て，High Pressure Researchに掲載された論文[17] （Investigation of null-matrix alloy gaskets for a diamond-anvil-cell on high pressure neutron diffraction experiments, Shinichi Machida, Satoshi Nakano, High Pressure Research, Nov 10, 2022, Taylor & Francis Ltd.）より転載いたしました。  参考文献  [1] S. Machida, H. Hirai, T. Kawamura, Y. Yamamoto, T. Yagi: Phys. Chem. Minerals, 34, 31 (2007). [2] S. Machida, H. Hirai, T. Kawamura, Y. Yamamoto, T. Yagi: J. Phys. Chem. Solids, 71, 1324 (2010). [3] S. Machida, H. Hirai, T. Kawamura, Y. Yamamoto, T. Yagi: Phys. Earth Planet. Inter., 155, 170 (2006). [4] S. Machida, H. Hirai, T. Kawamura, Y. 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