# Fileset

[ocarina.pdf](https://mdr.nims.go.jp/filesets/e69a6c60-54df-469b-9aae-9fed2d386195/download)

## Creator

[轟 眞市](https://orcid.org/0000-0003-3986-1900)

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[セラミックスの笛](https://mdr.nims.go.jp/datasets/b559b710-25c9-4930-9a29-37d66d09b11e)

## Fulltext

◎連載セラミックスの笛轟　眞市 物質・材料研究機構光材料センター∗Shin-ichi TODOROKI最初のひと吹きがホール全体に響き渡ったのを聴いて、これは本物だ！と血が騒いだ。と同時に、これまで足を運はずにいたことを悔いた。日本におけるオカリナの第一人者、宗次郎氏の演奏を、水戸芸術館コンサートホールへ聴きに行った。筆者が自分のオカリナを手に入れたのは 18年前。就職して独身寮生活を始めたこの水戸の地に程近い、焼き物の里、笠間を歩いている時に、小さなオカリナ工房を見つけた。木造家屋の玄関先に並べられた、十個ほどの黒いオカリナがかもし出す風格は、よくある子供のオモチャとは一線を画するものだった。試奏させてもらい、迷わず一本買い求めた(図 1)。単純さに因る制約と魅力中学時代からクラブ活動で金管楽器を吹き続けてきた。音域といえば軽く 3オクターブはある楽器に接してきた身からすると、わずか 1オクターブ半ほどしか音が出せないオカリナは、かなり不自由な楽器に映る。しかも、その音程を微調整するための仕組みも備えていない。しかし、そんな制約が霞んでしまうほどの魅力がある。素朴な音色、それをポケットに入れてどこにでも持ち歩ける手軽さ。ひと影のまばらな湖畔や林の中で吹く解放感は格別なものがある。この愉しみを味わえるのは、土くれからオカリナを焼いた人が居たからである。その製作工程の詳細を平易に記した文献 [1, 2]を読むと、一本のオカリナの背後には、無数の試作品が焼いては捨てられて∗ 〒305-0044茨城県つくば市並木 1-1fax 029-854-9060図 1 笠間で買い求めたオカリナ (平本孝雄氏作。幅約 13cm。)と、その音域。きたことが容易に想像できる。成形した後の乾燥工程だけでも二週間は掛けるという。「『ひたすら待つ』ということも大事な仕事」だそうだ。それを焼くことで寸法が変わる。それを計算に入れて成形しておく。試作品の山は、吹く人が求める音楽性に比例して高くなるに違いない。宗次郎氏は一万本作って手元に残ったのは十数本だ、という。「自然の法則性を理解し、ポイントさえ押さえれば誰でも立派な楽器を手に入れることができる」[1]と頭では理解できても、それを実行に移す意志と根気には敬意を抱く。日本人が切り拓いた音域の拡大古代からあった陶製の笛を現在の形に完成させたのは、イタリア人の Giuseppe Donatiで、最初のオカリナは 1853年に誕生したらしい1。その 75年後に、ひとりの日本人学生が東京でオカリナ制作を志1 http://www.ocarina.it/museum.htmマテリアルインテグレーション Vol.24 No.01 (2011) 55http://www.tic-mi.com/publ/mi_new.html◎連載した。明田川孝氏は後に、それまでの音域を 3度拡大2するシステム (12 穴式) の発明に至った [3, 4]。わずか 3 度の拡大であっても、その恩恵は大きい。歌える旋律が増えるだけでなく、合奏するときに下声部をつけやすくなるのだ。一方、音域を拡大するには別の方法もある。音域の異なる複数のオカリナを合体させ、それらの歌口を並べておき、ハーモニカの様に口をスライドさせて吹くのだ。12穴式を基礎に、3連式で 3オクターブの音域を持つオカリナを最初に開発したのは、波多野杜邦氏である。今では商品として手に入るその楽器の演奏ビデオは YouTube で視聴することができる3。笠間再訪4年間の水戸生活の間に、音域の異なるオカリナを買い足していった。たまに取り出してひとりで遊ぶ程度の趣味だったのだが、演奏できる曲が増えていくのは嬉しいものだ。最後の 3本目は、図 1に示したものより一回り大きいものにした。ところが、大きなオカリナを作るのは技術的に難しいらしく4、手に入れた楽器では、高音域になるにつれて音がかすれてしまう。吹き込む息の量も抑えなければ音が安定せず、金管楽器経験者にとってはストレスの溜まるものであった。いつか、もっと相性の良い楽器に買い換えたい。と思いながら 15年が経ってしまった。ある時、その工房のホームページ5を見つけて驚いた。価格帯の異なる 3種類のラインナップを製作・販売するまでに成長していたのだ。スタンダード型でも、以前の価格の倍以上になっている。今なら良い楽器に出会えるに違いない。早速連絡をとって、以前は無かった販売用の別店舗に出掛けていった。予約した者であることを告げると、所望する仕様の楽器を 1本だけ手渡された。吹いてみると、明らかに音の抜けが良くなっている。筆者には、これで2 図 1譜例の下のシとラ。3 ’triple ocarina’で検索すれば発見できる。4 文献 [2]にもその一端が記されている。5 http://www.geocities.jp/cantare ocarina/十分だ。店の方は、折角だから上のクラスの楽器も試していけ、と言う。さらに伸びやかさが加わった音色には、心を動かされかけた。いやいや、ろくに練習もしない筆者がこれを所有してしまうと、楽器の方が可哀想だ。平本氏がこつこつと築き上げてきたもの、その大きさの一端に触れることができた。自分も本物を積み重ねていこう、と決意を新たにした。［参考文献］[1] 梅津 勝：“オカリナ製作の手引”, 帯広畜産大学学術研究報告.人文社会科学論集, 8, 2, pp. 135–165 (1991).http://ir.obihiro.ac.jp/dspace/handle/10322/1935[2] 梅津勝：“オカリナ製作の手引 II:技術的難点の解決”, 帯広畜産大学学術研究報告. 人文社会科学論集, 9, 1, pp. 83–90 (1994).http://ir.obihiro.ac.jp/dspace/handle/10322/1949[3] “オカリーナ笛”,実用新案登録 379907号. (実用公告昭 25-9948、昭 24.9.15出願).[4] “オカリーナ”,実用新案登録 990429号. (実用公告昭 47-17883、昭 43.3.1出願).56 Materials Integration Vol.24 No.01 (2011)http://www.tic-mi.com/publ/mi_new.html