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[Kawai_表面と真空_vol67_2024_MDR.doc](https://mdr.nims.go.jp/filesets/d49c122e-fcf9-49f7-974e-5af8f191fdcc/download)

## Creator

[川井 茂樹](https://orcid.org/0000-0003-2128-0120)

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©日本表面真空学会[In Copyright](http://rightsstatements.org/vocab/InC/1.0/)

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[走査型プローブ顕微鏡によるグラフェンの超潤滑現象の観察とメカニズム解明](https://mdr.nims.go.jp/datasets/c6f34de7-0574-4c68-9ce0-ccf9e11fd9d6)

## Fulltext

表面テンプレート走査型プローブ顕微鏡によるグラフェンの超潤滑現象の観察とメカニズム解明川井 茂樹1,2*1国立研究開発法人物質・材料研究機構　〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-12筑波大学　〒305-8571Superlubricity of Graphene Studied with Scanning Probe MicroscopyShigeki Kawai1,21National Institute for Materials Science, 1-2-1, Sengen, Tsukuba, Ibaraki 305-00472University of Tsukuba, Tsukuba, Ibaraki 305-8571, Japan.Superlubriity is one of the most interesting physical phenomena and leads drastic reduction of friction by controlling atomic structures of the interface. While the basic theoretical concept was proposed more than three decades ago, it remained challenging to observe the low-friction phenomena. Recent development of on-surface synthesis allows us to obtain nanocarbon materials whose structures can be atomically defined by employed precursor molecules. Here, we synthesized polyfluorne and graphene nanoribbon as sliding objects on atomically clean gold surfaces. We pulled the single fluorene oligomer 10-100 nm long from Au(111) with a tip of low-temperature atomic force microscope. A combination of atomic force microscopy and calculations based on an extended Frenkel-Kontorova model revealed significant reduction of friction due to the incommensurability to the substrate. In the case of graphene, we found that the high stiffness keeps the incommensurability so that the superlubricity was observed.KEYWORDS: Superlubricity, atomic force microscopy, on-surface synthesis, graphene nanoribbon, low temperature1.　はじめに界面における摩擦によるエネルギー損失は国内総生産(GDP)比で２～３％程度とも言われ，その削減は経済活動の効率化のみならず現代の喫緊課題である環境問題でも重要なテーマである。摩擦を低減させる潤滑剤に関する研究の歴史は非常に長く，4000年前の古代エジプトでは巨石を移動するために油を使用したと言われている。液体の潤滑剤は，主に固体表面の機械的な接触を低減させることで摩擦係数を下げる働きがある。ナノメートルサイズの界面に着目すると，界面の原子構造を制御することで，摩擦を大きく変化させることが可能である。格子周期が完全に一致した界面，即ち，単一材料のバルクを結晶方向に沿ってスライドさせることは非常に困難であり，摩擦が非常に大きい。一方で，格子周期が一致しない特殊な界面では，摩擦が著しく低くなる。これは，構造による超潤滑現象と呼ばれ，1990年に平野らによって理論的に提言された1)。これまでに，グラファイトなどの二次元材料のナノ界面で観察されている2)。ナノ界面の摩擦計測では，原子間力顕微鏡(AFM)の一種である摩擦力顕微鏡が主に用いられている3)。本手法では，短冊状の力センサー（カンチレバー）の先端に取り付けたナノメートル程度まで尖がった探針を基板の表面で横方向にスライドさせ，そのとき発生する垂直方向と水平方向の相互作用力をカンチレバーの撓みと捻じれ信号から検出する。摩擦力顕微鏡が開発されてから35年の間に，本項のトピックスであるナノトライボロジーの分野が大きく発展した。一方で，探針と基板表面との界面を用いた摩擦計測では常に探針構造の不確定性が含まれる問題がある。そこで，表面で行う化学反応で合成した原子レベルで構造が決まったグラフェンナノリボン(GNR)などを摺動面に用いた。その結果，界面構造の不確定性を取り除くことに成功し，構造による超潤滑現象の詳細な研究が可能となった。本項では，これまでに著者らが遂行した表面合成により得たナノ構造体をAFMの探針で操作し，再現性良く計測可能となった超潤滑現象に関する研究を解説する。本現象を応用することで，単分子を基板上の任意の方向に動かすことに成功した。この分子マニピュレーションの高い制御性を，2022年3月にフランスのトゥールーズで行われた第二回ナノカーレースで実証した。2.　ナノグラフェンの超潤滑現象2.1　表面合成構造による超潤滑現象を発現させるためには，両界面の構造を原子レベルで制御する必要がある。表面科学(Surface Science)の確立された手法であるスパッタリングとアニーリングにより原子レベルで清浄な基板表面の構造を超高真空下で再現性良く得ることができる。一方で，探針の原子構造を実験から定義するのは困難である。仮に電界イオン顕微鏡(FIM)で探針先端の原子構造を観察したとしても4)，その原子構造は接触や摩耗により時々刻々と変化するのが一般的である。その為，ナノトライボロジーにおいて，探針構造の不確定性が大きな問題となる。すなわち，界面の構造を原子レベルで制御して発現させる構造による超潤滑現象の観察やそのメカニズムの解明には，摩擦力顕微鏡の探針と基板表面との界面を用いた系では困難である。近年，有機合成で得た前駆体をもとに基板表面で反応させて炭素ナノ構造体を合成する表面化学(Surface Chemistry)が大きく展開した5)。本手法の利点は，原子レベルで定義されたナノ構造体を清浄な表面上で合成できることである。その生成物を界面として用いることは，ナノトライボロジーの不確定性の排除に繋がる。表面反応では、有機合成で得た小分子をルツボに入れ，超高真空中で加熱することで金属基板上に蒸着する。臭素などのハロゲン原子を導入した小分子を表面上で加熱することで，脱ハロゲンを伴う分子間の接合が起こる6)。その結果，一次元鎖のオリゴマーが生成できる。更に高い温度で加熱することで分子ユニット間の水素が離脱し，GNRなどの平坦な炭素ナノ構造体が生成できる。本稿で紹介する研究では，Fig. 1に示す3つの分子を用いた。一次元鎖のオリゴマーの合成では，フルオレンユニットの三量体を用いた(Fig. 1a)7)。その両端に臭素を導入することで表面上で重合が起きる。GNRの合成では，アントラセンの二量体に臭素を導入した前駆体を用いた(Fig. 1b)。200 ℃程度の加熱ではアントラセンのオリゴマーが合成され，更に高い温度で加熱するとユニット間の水素が脱離し、GNRが合成される8)。最後に、GNRの摩擦計測から得た知見をもとにして，アントラセンを導入したポルフィリンを合成した(Fig. 1c)9)。加熱による脱水素環化で大きく拡張した分子が合成される。本分子は，第二回ナノカーレースで用いた。Fig.1. Nanocarbon materials for the observation of superlubricity. (a) On-surface syntheses of one-dimensional fluorene oligomer, (b) n=7 graphene nanoribbon, and (c) extended porphyrin.2.2　フルオレンオリゴマーを用いた超潤滑現象の観察Fig. 2aに実験の概要を示す10)。本実験では，AFM探針とフルオレンオリゴマーの端部とを接合した。その後，垂直方向(Z)に探針を移動させることで，基板表面からオリゴマーを離脱させた。その過程では，基板表面上に残っている一次元鎖の部位が金基板の表面を水平方向(X,Y)に滑る。探針とオリゴマーはバネ定数ktipで接合され，各ユニットはバネ定数kの単結合で繋がっている。各ユニットと金基板との間には，それぞれ異なる相互作用力U1(X,Y)が働いている。さらに，基板から離脱するユニットは，基板とユニット距離に対応した相互作用力U0(Z)が働く。これらの相互作用力を考慮しつつ，ユニットごとの離脱や基板表面上を滑っている部位の摩擦をAFMの信号から検出した。生成したオリゴマーを液体ヘリウム温度で走査型トンネル顕微鏡(STM)観察すると，金の再構成により発生するへリングボーン構造に沿って吸着していることが分かった(Fig. 2b)。フルオレンユニットはそれぞれ単結合で連結されており，その屈曲性に起因して長いオリゴマーでも金のFCCサイトに吸着していた。この観察から，それぞれのユニットが安定になるように、金表面の各サイトに吸着していることが推測できる。また，熱エネルギーがより高い液体窒素温度では，分子鎖の一部が動いて観察された(Fig. 2c)。これは，各ユニットの拡散障壁が非常に小さいことを示している。フルオレンの中心に導入した2つのメチル基によりフルオレンユニットと金基板間の距離が大きくなり，その結果，拡散係数が低くなったと考えられる。本研究では，カンチレバーの共振周波数から高感度で相互作用力を検出できる動的なAFMを用いた11)。Fig. 2dは，探針を垂直方向に移動しつつ検出した周波数シフトの信号である。1 nm程度の周期で大きく負の値に変化する現象が観察された。そのイベントの数は24であり，拾い上げたフルオレンオリゴマーのユニット数と一致する。すなわち，オリゴマーがユニットごとに段階的に基板から離脱したことを示す。また、その周期がほぼ一定であることから，基板上に残っている部位は，探針の垂直方向の移動とともに基板上を水平方向に滑っていたことも分かった。本現象を詳細に解明する目的で，Frenkel-Kontorovaモデルに垂直方向の相互作用を追加したモデルを構築した。各ユニットの吸着力U1(X,Z) ，ユニット間のバネ定数k，また，ユニット間の距離と基板の格子定数との整合性などを精査した。その結果，オリゴマーを引っ張り上げている状況では，ユニット間の距離と基板の格子定数の非整合性に起因して，界面の摩擦が大幅に減少することが分かった。また，ユニットの離脱に伴う大きな信号変化に重畳している小さく比較的不規則な信号は，基板に残っている一次元鎖の端部と基板との相互作用力によるものであることも分かった。ユニット間距離と格子定数の非整合性により起こる低摩擦により，長さ74 nmの非常に分子量の大きなオリゴマーでも同様の手法で基板から引き上げることができた。Fig. 2. (color online) (a) Schematic drawing of the experimental setup. (b) Scanning tunneling microscopy topography of the fluorene oligomer measured at 4.5 K and (c) at 77 K. (d) Recorded frequency shift signal during the vertical manipulation of the oligomer and (e) its model calculation based on the extended Frenkel-Kontorova model.2.3　グラフェンナノリボンを用いた超潤滑現象の観察フルオレンオリゴマーのユニットは単結合で接合されており，各ユニットがある程度の自由度を持つ。その為，各ユニットがより安定になるように金表面のそれぞれのサイトに吸着するため，界面の非整合性は限定的である。そこで，より低摩擦な現象を観察することを目的として，面方向に剛性が高いGNRを用いた摩擦計測を行った12)。Fig. 3aは，金(111)表面上に合成したGNRのSTM像である。さまざまな長さのGNRが観察された。その中で矢印で示したGNRを滑らすために必要な力をAFMで検出した。本研究ではTernesらが提唱した動的AFMによる計測手法を用いた13)。まず，周波数シフトの信号を検出しつつ，GNRの長手方向の軸に沿って探針を水平方向に走査した(Fig. 3b)。GNRが動くまで，探針とGNRのZ距離を徐々に縮めていった。GNRが移動すると，非連続の周波数シフト信号が検出された(Fig. 3c)。似た信号が2.2 nm離れた所で観察されたことから，GNRが探針の動きに沿って引きずられて移動するのではなく，相互作用力をきっかけとして表面上を自動的に滑ったことが分かった。この現象は、GNRと金基板との界面では非常に低摩擦であることを示している。GNRが操作されるまでに検出した周波数マップDf(X,Z)を数値計算でポテンシャルマップに変換し，更に，X方向に微分することで，GNRを横方向に動かすために必要な力を求めた。長さ22 nmのGNRではたった105 pNの力で動くことが分かった。この摩擦計測をさまざまな長さのGNRに行った(Fig. 3d)。各GNRが基板の異なるサイトに吸着しているため得られた実験結果は大きくばらついていたが、GNR単位長さ当たりの摩擦力に換算すると、GNRが長くなるにつれて小さくなることが分かった。この現象は、構造による超潤滑を示している。超潤滑現象を発現するためには、界面の非整合性と相互作用の弱さに加えて、面内の剛直性も重要であり、GNRは適した材料であることが分かった。Fig. 3. (color online) (a) STM topography of graphene nanoribbons formed on Au(111) before (upper panel) and after manipulation (lower panel). (b) Two-dimensional frequency map taken on the GNR. (c) Distance dependence of the frequency shift before, during, and after the GNR manipulation. (d) Measured static force to manipulate the GNR as a function of the GNR length (black) and the force per unit length (red).2.3　ナノカー　2022年3月にフランスのトゥールーズで第二回ナノカーレースが行われた14,15)。本レースでは、車と見なした分子をSTM探針で操作し、24時間の間に金(111)表面上で移動させた距離により勝敗を決める。世界から８チームが集まり，著者はNIMS-MANAチームから参戦した。各チームはそれぞれの研究室にあるSTM装置を用いて，フランスのトゥールーズから遠隔で分子操作を行った。その為，あらかじめコースである金基板にナノカーである分子を吸着させた後，渡仏し、レースに臨んだ。Fig2やFig3で行ったように機械的に探針と分子を接触させることはルール違反となる。分子を動かすには、バイアス電圧を掛けることで流したトンネル電流や電界を利用し，非接触で行う必要がある。すなわち，小さな力で分子を面内に動かすことが鍵となる。そこで，本項のトピックスである構造による超潤滑現象を利用した分子設計を行った。GNRの摩擦計測で得た知見をもとに，ポルフィリンを拡張するためにアントラセン部位を両サイドに導入した。基板を加熱することで脱水素環化反応を起こし，平坦で大きなアントラセンを合成した(Fig. 1c)。また、摩擦が低くなり過ぎないように、アントラセンの5,15位にトリフルオロメチル基を導入した(Fig. 4a)。数100 mV以上の電圧を印加すると静電気力などで分子が動くことが分かった。また、その方向は、探針と分子の位置関係により制御できることも分かった。そこで，バイアス電圧20 mVでSTM観察し、分子の決まった位置に探針先端を位置決めし，200 mVまで電圧を上げることで非常に高い精度で分子の操作（ナノカーの運転）に成功した(Fig. 4b)。一回の分子操作で１~２nm程度移動させることができ、それを24時間かけて合計600回以上も繰り返した。NIMS-MANAチームは，全8チームの中で最も長い距離(1054 nm)を走らせ，第二回ナノカーレースに優勝した(Fig. 4c)。本優勝の鍵は，低摩擦の分子設計である。超潤滑現象を利用することで、比較的小さな電圧でも分子を動かすことができ，他のチームで問題となっていた分子の大きな崩壊（ナノカーの損傷）を防ぐことができた。Fig.4. (color online) (a) STM topography of the nanocar molecule on Au(111). (b) A series of STM topographies during the manipulation. (c) Schematic drawing of Au(111) herringbone coarse and the trajectory of the nanocar molecule.4.　まとめ　摩擦を大きく低減できる超潤滑は非常に興味深い物理現象にもかかわらず，再現性良く観察することは難しかった。これは，摺動面の構造を原子レベルで制御する必要性に起因する。近年の表面合成の発展により，グラフェンナノリボンなどの原子レベルで決まったナノ構造体が合成できるようになり，それを用いることで、超潤滑の精密計測とメカニズムの解明ができるようになった。本超低摩擦現象のアプリケーションとして、表面における分子操作につながることを示した。今後、よりスケールアップを目指し，メゾスケールでの超潤滑への展開が期待される。文献1)　M. Hirano and K. Shinjo: Phys. Rev. B41, 11837 (1990).2)　 O Hod, E Meyer, Q Zheng and M Urbakh: Nature 563, 485 (2018).3)　C. M. Mate, G. M. McClelland, R. Erlandsson, S. Chiang: Phys. Rev. Lett. 59, 1972 (1987).4)  G. Cross, A. Schirmeisen, P. Grütter and U. Dürig: Nat. Mater. 5, 370 (2006)5)  S. Clair and D. G. de Oteyza: Chem. Rev. 119, 4717 (2019).6)  L. Grill, M. Dyer, L. Lafferentz, M. Persson, M. V.  Peters and S. Hecht: Nat. Nanotechnol. 2, 687 (2007).7)  L. Lafferentz, F. Ample, H. Yu, S. Hecht, C. Joachim and L. Grill: Science 323, 1193 (2009).8)  J. Cai, P. Ruffieux, R. Jaafar, M. Bieri, T. Braun, S. Blankenburg, M. Muoth, A. P. Seitsonen, M. Saleh, X. Feng, K. Müllen and R. Fase: Nature, 466, 470 (2010)9)  S. Kawai, A. Ishikawa, S. Ishida, T. Yamakado, Y. Ma, K. Sun, Y. Tateyama, R. Pawlak, E. Meyer, S. Saito and A. Osuka: Angew. Chem. Int. Ed. 61, e202114697 (2022).10) S. Kawai, M. Koch, E. Gnecco, A. Sadeghi, R. Pawlak, T. Glatzel, J. Schwarz, S. Goedecker, S. Hecht, A. Baratoff, L. Grill and E. Meyer: Proc. Natl. Acad. Sci. USA 111 3968 (2014).11)  T.R. Albrecht, P. Grütter, D. Home, D. Rugar: J. Appl. Phys. 69, 668 (1991).12)  Kawai, A. Benassi, E. Gnecco, H. Söde, R. Pawlak, K. Mullen, D. Passerone, C. Pignedoli, P. Ruffieux, R. Fasel and E. Meyer: Science 351, 957 (2016).13)  M. Ternes, C. P. Lutz, C. F. Hirjibehedin, F. J. Giessibl and A. J. Heinrich: Science 319, 1066 (2008).14) F. Moresco and C. Joachim (Eds.): “Single Molecule Mechanics on a Surface”(Springer Cham, Switzerland, 2023).15)  https://www.memo-project.eu/flatCMS/index.php/Nanocar-Race-II