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[表面真空_田沼_2021_3_normal+.docx](https://mdr.nims.go.jp/filesets/ca9c58b7-ad28-4577-b935-8c0ce9980b44/download)

## Creator

[田沼 繁夫](https://orcid.org/0000-0003-2628-9941)

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Creative Commons BY-NC Attribution-NonCommercial 4.0 International[Creative Commons BY-NC Attribution-NonCommercial 4.0 International](https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/)

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[電子分光法における表面感度と検出深さ](https://mdr.nims.go.jp/datasets/8f8f1bed-0818-40d9-8388-f076bf078906)

## Fulltext

表面テンプレートVacuum and Surface Science Vol. XX, No. XX, pp. XXX-XXX, 20XXXXXX*E-mail: tanuma.shigeo@nims.go.jp特集「XXXXX」電子分光法における表面感度と検出深さ田沼 繁夫1物質・材料研究機構材料データプラットフォームセンター 〒305-0044 つくば市並木１−１（20XX年XX月XX日受付；20XX年XX月XX日掲載決定） Surface Sensitivity and Detection Depth for Electron Spectroscopy Shigeo TanumaNational Institute for Materials Science, 1-1, Namiki, Tsukuba, Ibaraki 305-0044（Received XXX XX, 20XX ; Accepted XXX XX, 20XX）Four physical parameters describing the inelastic scattering of electrons, which is a measure of surface sensitivity, were described. The definitions of four parameters, namely, inelastic mean free path (IMFP), mean escape depth (MED), effective attenuation length (EAL), and information depth (ID), are given, and their determination methods and predictive equations were explained. Most of these equations are also applicable to hard X-ray photoelectron spectroscopy. At this time, the author concludes that IMFP and MED are the most appropriate parameters to describe surface sensitivity and detection depth from the standpoint of clarity of definition and practicality.KEYWORDS: surface sensitivity, inelastic mean free path, mean escape depth, effective attenuation length, information depthXXX Vacuum and Surface Science 第XX巻　第XX号（2017） 【ここには印刷段階で著者名が入ります。】 XXX―1――2――3―1.　はじめにX線光電子分光法(XPS)やオージェ電子分光法(AES)を始めとする表面電子分光法では，物質内部で発生した「信号電子」は移動中にエネルギーを失い，物質に吸収され，発生時のエネルキーを保ったまま検出される表面近傍のわずかな電子のみがピーク信号となる。このように電子と固体は強く相互作用するために，固体―真空界面を超えて検出器に達する信号電子は表面近傍に局在化したものになる。したがって，表面感度を表す指標としては，電子の非弾性散乱を記述する以下に示す４つの物理パラメーが挙げられる。すなわち非弾性平均自由行程（IMFP），平均脱出深さ（MED），有効減衰長さ（EAL），情報深さ（ID）である。これらは表面感度の異なる尺度として，また定量的な応用（組成，膜厚計測など）に広く用いられている。しかし，今日でも，これらの用語はしばしば誤解されたり、間違って使用されたりすることがあるので，２章では各用語のISO, JISにおける定義を示す。IMFPは物質と電子のエネルギーの両者に依存するパラメータであるが、他の3つの物理量はIMFP、装置の構成、および対象となる試料(物質)の弾性散乱効果の大きさに依存する。そこで，本稿ではIMFPの代表的な計算方法であるFPA(Full Penn algorithm)[[endnoteRef:1]]による固体物質中におけるIMFP計算の現状と課題について解説する。さらに，エネルギー損失関数からIMFPを計算する手順を具体的に説明する。ここで述べる式をそのままMathematica[[endnoteRef:2]]に入力すれば計算時間はかかるが，IMFPは簡便に計算可能である。さらに，一連のIMFP値と弾性散乱効果からMED, EAL を実用的に推定する実用的な方法について述べる。) D. R. Penn : Phys. Rev. B.1987; 35(2): 482-486. https://doi.org/10.1103/PhysRevB.35.482.) https://www.wolfram.com/mathematica/2.　表面感度に関連する物理量JIS K-0147(2017)[[endnoteRef:3]]における定義を以下に示す。ただし，一部の注記は混乱を避けるために省略した。なお，括弧で示される番号は文献３における用語番号である。) http://kikakurui.com/k0/K0147-1-2017-01.html２．１　電子の非弾性平均自由行程 IMFP 電子の非弾性平均自由行程 あるエネルギーをもった電子が二つの非弾性衝突間に移動する平均距離。２．２　平均脱出深さ MED特定の粒子又はふく射線が表面(4.458)から脱出するときに，次の式で定義された表面から垂直方向に測った平均の深さ。   ここに，(z,)は放出深さ方向分布関数(4.161)であり，表面からの深さzと表面垂直方向から測った放出角(4.16) の関数。(JIS K-0147(2017)の参考文献[1]参照)。２．３　有効減衰長 EAL〈AES,XPS〉弾性散乱が極小さいと仮定した場合の定量的な応用に対し，AES(3.1)及びXPS(3.23)に対して導かれる表式において，電子の非弾性平均自由行程(4.243)の代わりに使用することによって，弾性散乱(4.80)効果を補正するパラメータ。注記2　AES及びXPSにおける定量的応用に際して，有効減衰長さは場合ごとに異なる値となる。しかし，有効減衰長さの最も一般的な利用は，オージェ電子若しくは光電子の，上層及び基板からの信号強度(4.252)測定，又は放出角(4.18)に対する上層若しくは基板からの信号強度の変化率測定から，上層の膜厚を決定することにある。およそ60 °(表面法線から)までの放出角に対しては，多くの場合，単一のパラメータ値を使用しても十分である。これより大きな放出角に対しては，有効減衰長さはこの角に依存して変化する。注記3　この用語には異なる使い方があるので，使用に際しては，ユーザが特定条件での使用及び使用の際のパラメータの定義を明確にすることが望ましい（例えば，式を与えること，特定の出典を示すことなど）。２．４　情報深さ　ID有効な情報が得られる表面(4.458)から垂直方向に測った最大深さ。注記1　情報深さは，表面分析法によって大きく異なる。それぞれの手法における情報深さは，分析する材料，測定に使用する信号及び測定装置の幾何学的配置に依存する。注記2　情報深さは，検出された信号のうち，特定の割合（例えば95%又は99%）の信号が発生した試料の厚さとして求めることができる。注記3　情報深さは，測定，計算，又は推定される放出深さ方向分布関数(4.161)から決定できる。３．非弾性平均自由行程　IMFP電子の非弾性散乱を記述するパラメータでは最も基本的なものであるので，多くの計算，測定がなされている。およそ200 eV以上のエネルギー領域では計算値，測定値ともによく一致しており，少なくとも固体元素では問題は少ない。200 eV以下のエネルギー領域では，用いる計算のアルゴリズムによる違いや電子交換効果の有無などの影響により，ばらつきは大きい。IMFPの測定に関しても200eV以下では表面励起効果が強いことが多く，正確な計測は難しい。３．１　相対論的FPAによるIMFPの計算方法　ここでは，筆者らが用いている相対論的FPA（full Penn algorithm）を用いたIMFPの計算について解説する。　エネルギーT における電子のIMFPλは２章の定義から「非弾性衝突間に移動する平均距離」であるので，電子の速度()とその寿命の積として以下のように表される。[1,[endnoteRef:4]]) J. J. Quinn: Phys. Rev. 126, 1453 (1962).                     (2)ここで, は非弾性散乱過程における寿命である。MIは電子の自己エネルギーの虚数部であり，FPAでは以下の式で与えられる[1]。       (3)                   (4)                         (5)ここで，はボーア半径，はLindhardの複素誘電関数,  は光学的エネルギー損失関数，はそれぞれFermi エネルギー，周波数，運動量移送，自由電子プラズモン周波数である。　このままでは，計算は難いので，Hartree単位系(を用いて(2)-(5)式を書き直す。同時に高ネルギー領域に拡張するために相対論補正を加え,非導電性物質へ適用するためにバンドギャップ効果補正を加えると次式となる。(相対論的FPA-BB法もしくはFPA-BABC法と呼ばれる)[[endnoteRef:5]]Fig. 1. Inelastic mean free paths as a function of electron energy for elemental solids[7], inorganic compounds[5], organic compounds [8]and liquid water[8].) H. Shinotsuka, S. Tanuma, C. J. Powell, D. R. Penn: Surf Interface Anal. 51, 427 (2019). https://doi.org/10.1002/sia.6598.             (6)ここで，F(T)は相対論補正のパラメータであり，   ,        (7)ここでcは光速度，Eg はバンドギャップエネルギーである。また，積分領域Dは次式で与えられる。,   (8)はプラズモンエネルギーにおける自由電子ガスのLindhardの複素誘電関数であり，次式で与えられる。[[endnoteRef:6]]) J. Lindhard: K. Dan. Vidensk. Selsk. Mat.-Fys. Medd. 28, 1 (1954),ここで,  Hartree単位系ではkF =kVであるので，kFで表示。である。kF, kVはそれぞれFermi波数，Fermi速度であり，次式で与えられる。                    (10)実際の計算ではwpは用いる光学的ELFのエネルギーであり，その上限，下限が積分範囲に相当する。したがって，実測したIm[-1/e(w)]および，(9)式にあるdamping factor g を入力すれば，(5)-(10)式からIMFPを計算できる。Mathematica を用いれば，このままの入力で計算できる。実際にγ＝0.1 eVとすれば，q→0 極限におけるLindhard誘電関数を用いた計算結果とよく一致する。ただし，(9)式の逆数の虚数部（すなわELF）は大変に積分の難しい関数であり，Mathematica以外でプログラムすると大変煩雑になる。しかし，計算スピードを考えるとq→0 極限におけるLindhard誘電関数を用いた計算法が効率的で高エネルギー領域の計算では実用的である。この計算方法の詳細は文献[endnoteRef:7]を参照されたい。) H. Shinotsuka, S. Tanuma, C. J. Powell, D. R. Penn: Surf Interface Anal. 47, 871 (2015).３．２ IMFPのエネルギー依存性と物質依存性　FPAにより計算したにより42種の固体元素[7](Li, Be, graphite, diamond, glassy C, Na, Mg, Al, Si, K, Sc, Ti, V, Cr, Fe, Co, Ni, Cu, Ge, Y, Nb, Mo, Ru, Rh, Pd, Ag, In, Sn, Cs, Gd, Tb, Dy, Hf, Ta, W, Re, Os, Ir, Pt, Au, and Bi)，44種の無機化合物[5](AgBr, AgCl, AgI, Al2O3, AlAs, AlN, AlSb, cubic BN, hexagonal BN, CdS, CdSe, CdTe, GaAs, GaN, GaP, GaSb, GaSe, InAs, InP, InSb, KBr, KCl, MgF2, MgO, NaCl, NbC0.712, NbC0.844, NbC0.93, PbS, PbSe, PbTe, SiC, SiO2, SnTe, TiC0.7, TiC0.95, VC0.76, VC0.86, Y3Al5O12, ZnS, ZnSe, ZnTe, LiF, Si3N4)，14種の有機化合物(26-n-paraffin, adenine, β-carotene, diphenyl-hexatriene, guanine, Kapton, polyacetylene, poly(butene-1-sulfone), polyethylene, polymethylmethacrylate, polystyrene, poly(2-vinylpridine), thymine, uracil)および水[[endnoteRef:8]]におけるIMFPをエネルギーの関数としてFig.1に示す。いずれのグループにおいても,数種の元素固体を除けば，IMFP値は50 - 100 eV近傍で最小値をとっている。この極小値を与えるエネルギーとその近傍のエネルギー依存性はその物質のELFの形状に強く依存している。) H. Shinotsuka, S. Tanuma, C. J. Powell: Surf Interface Anal. (2022) https://doi.org/10.1002/sia.7064.50 eV- 200 keVにおいてはそのエネルギー依存性は式（11）に示す拡張したBetheの式（M. Bethe式）でよく近似できる。このときの100種の物質における二乗平均誤差(RMS)は0.57±0.29 %である。 相対論的M. Betheの式は (nm)     (11)ここで， ，(eV).である。ここで，β,γ,C, Dはパラメータである。Nv,r, M はそれぞれ対象物質の価電子数，密度，原子量または分子量である。また，IMFPの物質依存性は,Fig.1においては，エネルギーを固定したときのIMFP値の大小に相当する。したがって，100 eV以下のエネルギー領域では物質依存性は大きく，かつ複雑になっている。これは各物質のELFの形状に強く依存する。20 eV 以下ではさらにバンドギャップの大きさと価電子帯のエネルギー幅に強く依存する。したがって，有機化合物と無機化合物においてその傾向は顕著である。この物質依存性を50 eV以上で表すのがTPP(Tanuma-Powell-Penn)-2M式であり，次式で与えられる。(11), (12)式を用いることにより，50 eV から200 keVの固体物質のIMFP値を推定することが可能となる。GaAsにおけるIMFPをFPA，TPP-2Mによる計算値を実験値と共にFig.2に示す。この図から，GaAsにおいて， 50 eV - 200keVの広い範囲でエネルギー損失関数から計算したIMFPと一般式TPP-2M式が与えるIMFPの値はよく一致している。また，PES(photo electron spectroscopy)やEPES(elastic peak electron spectroscopy), TEM(transmission electron microscope)による実験値にもよく一致している。物質のグループごとにELFから計算したIMFPと一般式TPP-2Mが与えるIMFPの相違をRMSで表すと，その平均のRMSは50 eVから200keVの間では，それぞれ11.9 ％（固体元素），10.7 ％（無機化合物），7.2 ％（有機化合物と水）となる。したがって，TPP-2M式の与えるIMFPの正確さはおよそ１０％前後であると考えられる。ただし，BNやLiFなどでは，個々に計算したIMFPに対して数十％の違いを示すものがあるので，注意を要する。Fig.2. Comparisons of GaAs IMFPs calculated from the relativistic FPA-BB (solid line) for electron energies between 3 eV and 500 keV and IMFPs from the TPP-2M (dashed line) with IMFPs from EPES (elastic peak electron spectroscopy) experiments, IMFPs from PES (photoelectron spectroscopy) experiments, and TEM.[5]３．３ IMFPの計算における課題100eV以下のエネルギー領域では電子の交換効果の影響を無視できない。同時に，電子同士は区別できないので，衝突時にその効果も考慮することが必要なる。しかし，現在まで定説は無いと言ってよい。電子交換効果で最もよく用いられる方法はBorn-Ochkur近似である。この方法は電子交換を伴う衝突断面積を高エネルギー領域で計算する１次の摂動論であるBorn-Oppenheimer近似の改良版である。すなわち，低エネルギー電子に適用したとき，摂動論では正確に求められないことが多いので，意味のある低次の項だけ残し，他を切り捨てたものである[[endnoteRef:9]]。したがって，大変荒い近似である。この計算は(5)式にBorn-Ochkur近似による非相対論的補正項Cex を下式のように加えて, 2keV以下で， Mathematicaを用いて，計算を行った。また，低エネルギー領域なので F(T) =1 である。) 高柳和夫，”電子・原子・分子の衝突” （培風館，1996）.   (12)ここで,Cexは電子交換効果の補正項で，10keV以下では次式で与えられる。[[endnoteRef:10]]) J.M. Fernandez-Varea, R. Mayol, D. Liljequist, F. Salvat: J. Phys.: Condens. Matter. 5, 3593 (1993).                (13)Fig.3 にAlとGaAsの結果を示す。この図からわかるように，電子交換効果そのものは,低ネルギー領域において，最大で10-20%のIMFP値の上昇をもたらす（図の一点鎖線）。またその時のエネルギー位置はおよそ30eVである。一方，電子同士は区別できないので，入射電子の最大エネルギー損失量はその1/2を超えないとする考え方がある。この効果は(12)式におけるw積分範囲の上限を(T+Eg)/2 とすることに相当する。図においてはその結果を鎖線で示すが，IMFP値は100 eV以下の領域では急激に上昇する。GaAsでは30eV付近で約1.8倍，Alでは25 eV付近で2.6倍大きいIMFP値を与える。また，最終的に入射電子は伝導帯の下部にとどまるので，非常に低いネルギー領域ではωmax = T-Eg-Ev<(T+Eg)/2となる。すなわち，ωmax = Min[T-Eg-Ev，(T+Eg)/2]とすることが必要である。Alではωmax = Min[T-EF，T/2]と表される。Fig.3. IMFPs for Al and GaAs calculated from FPA with and without electron exchange correction as a function of electron energy. この様に，電子交換効果そのものではなく，それにともなうエネルギー損失wの積分上限を直接変化させる電子の判別不能性(indistinguishability)の取り扱いがより大きな問題と言える。ここで述べた電子交換効果のIMFPへの影響については，その解決には実験的に電子のIMFPを求めることが必要不可欠であり，多数の物質についてIMFPの実験値が整備されることが望まれる。４．平均脱出深さ MED　２．２の式（１）にあるように，MEDは放出深さ分布関数f(z,q) (EDDF; Emission depth distribution function) を用いると，簡便に表される。すなわち，f(z,q)は角度qで検出した信号強度の深さ方向の分布を距離zの関数として表すものである。したがって，MED は表面から深さ方向に測った平均距離となり，いわゆる検出深さに概念に最も近く，大変有用な指標である。　弾性散乱効果を無視した直線近似(SLA)では，EDDFは下式で表される。ここで、規格化された光電断面積Wは、X線方向と光電子放出方向の間の角度ψ（無偏光X線ビームを使用した場合）と、異方的な光電子放出分布を記述する非対称パラメータ（または双極子パラメータ）βaの関数である。一方，弾性散乱効果を含んだ実用的なEDDFは大きく分けると２つの方法で求められている。モンテカルロ法とボルツマン方程式を輸送近似 (TA)で解析的に解く方法である。Fig.4にAu, Cuについてq = 0 (試料表面に対して垂直方向に検出器を配置)，におけるEDDFをMC法の結果とSLA(b a  = 0)で計算したものを示す。[[endnoteRef:11]]) S. Tanuma, H. Yoshikawa, H. Shinotsuka, R. Ueda: Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena 190, 127 (2013).図中の実線がb a = 0とした時のSLAであるが，その傾きは,SiではMCで計算したb a =0 の時のEDDFでは0 - 50 nmに渡る広い範囲で一致している。一方，明らかにMCで計算したEDDFはCuやAuのSLAとは大きく異なり，深さが深くなるにつれてSLAよりも小さな値となっている。この原因は主に弾性散乱効果による。ただし，表面近傍の10nm以下ではMC法で求めたEDDF(b a  = 0)によく一致している。Fig.4. Emission depth distribution functions (EDDFs) of Si, Cu, and Au as a function of depth from the surface at photoelectron energy, E= 5000 eV; emission angle, θ= 0°; and asymmetry parameter, βa= 0.0, 1.0, and 2.0. The solid lines represent the EDDFs obtained from the SLA with βa = 0.0. 一方，双極子近似が成り立つ範囲ではボルツマン方程式の解析解は以下の式で与えられる。[[endnoteRef:12]]) A. Jablonski, Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena 195 (2014) 26–42. http://dx.doi.org/10.1016/j.elspec.2014.04.012また，は下記に示す単一散乱アルベドwsを用いて一般式として与えられている。詳細は文献12を参照されたい。　wsは以下のように定義される。　ここで, は輸送平均自由行程 (transport mean free path)であり，次式で定義される。[3]ここで，qxは弾性散乱角度，は微分弾性散乱断面積である。Au, Si, Cuの wsを電子エネルギーの関数としてFig. 5に示す。[11]図が示すように，Siでは50 eVから10keVの領域では，wsはほぼ単調に減少している。一方，原子番号が大きいAuではエネルギーの増加に対して単純な関数とはなっていない。これは(16)式から明らかなように，弾性散乱と非弾性散乱はそれぞれ異なったエネルギー依存性を持っていることを示唆している。　Jablonskiら[[endnoteRef:13]]は５つの元素固体(Si, Cu, Ag, W, Au)における12の光電子ピークと９のオージェピーク，４種の無機化合物 (ZrO2, ZrSiO4, HfO2, HfSiO4)の４つの光電子ピークのEDDFをTAにより決定し，MED に関して以下の近似式を得た。) A. Jablonski, C. J. Powell, J. Vac. Sci. Technol. A 27, 253 (2009).             (18)ここではMED, wsは(16)式で定義されるアルベドであり，対象とするエネルギー範囲は61 eVから2016 eV,検出角度 qは0度から50度である。一方，直線偏光したX線源を用いた場合の多極子効果を考慮したMED Dmp はTanumaらによって報告されている。[11]     (19)   (20)適用可能なネルギー範囲は 50 eVから10 keV，検出角度q は 1≦  ≦2のとき，0から40度，  = 0のときは 0 から60度の範囲で使用可能である。誤差はおよそ10%以下と推定されている。 (18), (19)式を用いてMEDを求めるにはλとwsが必要であるが，前者は(11), (12)で表わされるTPP-2M式で，後者はデータベース[[endnoteRef:14]]もしくはISO 18118[[endnoteRef:15]]にある近似式から得ることができる。Fig. 5. Plots of the single-scattering albedo, ws, as a function of electron energy for Si ,Cu , and Au between 50 eV and 10 keV.[11]) C.J. Powell, A. Jablonski, NIST Electron Effective-Attenuation-Length Database, Version 1.3, Standard Reference Data Program Database 82, U.S. Department of Commerce, National Institute of Standards and Technology, Gaithersburg, Maryland, 2011, Web address: http://www.nist.gov/srd/nist82.cfm ) ISO 18118:2015 Surface chemical analysis — Auger electron spectroscopy and X-ray photoelectron spectroscopy — Guide to the use of experimentally determined relative sensitivity factors for the quantitative analysis of homogeneous materials.https://www.iso.org/standard/67328.html５．有効減衰長さ　EAL EALは２．３における定義は大変に分かり難い。とくに注記は難解である。“弾性散乱効果を補正”とあるので，いろいろな場面に適用の可能性がある。しかし，現実的には表面薄膜の厚さを決定する場合のパラメータと考えて良いだろう。他の問題に適用する場合は，注記３にあるように，定義を使用目的ごとに明確に与える必要がある。言い換えれば，極端な計測条件下[footnoteRef:2]ではELAが負になることもあり[[endnoteRef:16]]，その使用には注意を要する。そこで，ここでは薄膜の厚さ測定に用いる実用的なパラメータとしてのEALについて述べる。EAL の基本的な考え方については文献[endnoteRef:17]を参照されたい。 XPSで非常に薄い表面層を非対称の強い条件(例えば，ba = -1)で計測することを考えると，EDDFが上に凸の関数となることが知られている[11,16]。この場合，深い層からの情報が表面層（厚さをt）よりも強くなる場合がある。このとき，深さtではEAL<0 となる。[16]) H. Shinotsuka, H. Arai, T. Fujikawa: Phys. Rev, B 77 085404 (2008).) 田沼繁夫：表面科, 27, 657 (2006).Jablonski-Powell[[endnoteRef:18]]は、非偏光のMg Ka、Al Ka、Zr La、Ti Ka線で励起されたSi 2s、Cu 2p3/2、Ag 3d5/2、Au 4f7/2の光電子におけるEALを計算した。このときの光電子エネルギーは321 eVから4,426 eVである。これらのEALは，ボルツマン方程式の輸送近似(TA)による計算とMC法により行われたた。このとき，双極子近似および非双極子近似の光イオン化断面積を用いた。その結果、TA法とMCシミュレーションで求めたEALには十分な整合性が見られた。さらに双極子近似と非双極子近似により得られたAu 4f7/2光電子のEAL を比較すると，その差は、光電子の放出角が50°以下の場合では、1％（Mg Ka, Al Ka 線）から2.5％（Ti Ka 線）であった。実用的には，無視できるほどに小さい差である。ここで決定したEALは電子エネルギーが2 keV以下の場合[13]と同様の式で近似でき，結果的に(21)式が，一般式として提案されている。) A. Jablonski, C. J. Powell, J. Electron Spectrosc. Relat. Phenom. 199, 27 (2015).ここで，LはEALである。(21)式が与えるEALと個々にTAで計算したEALの二乗平均差(RMS)の平均は1.44%であった。したがって，(21)式は5keVまでにエネルギーで使用可能であるので，HAXPESに有用である。[[endnoteRef:19]]) C.J. Powell, S. Tanuma : “Hard X-ray Photoelectron Spectroscopy (HAXPES)”, ed. by J. C. Woicik (Springer, Switzerland, 2016) p.111.６．情報深さIDIDとは、２．４に示した定義にあるように，特定のXPS実験条件におけるサンプリングの深さを示す指標であり、IMFP、光電子放出角 q，および試料における弾性散乱効果の大きさに依存する[[endnoteRef:20]]。JablonskiとPowell[13]は、Si、Cu、Ag、W、Au、ZrO2、ZrSiO4、HfO2、およびHfSiO4の16本の光電子ピークと9本のオージェ電子ピークについて、輸送近似計算によりIDを決定し，次式を提案している。このとき，一般式SとTAにより個々に計算した25ピークのSにおけるRMS偏差の平均は0.54%であった。) C. J. Powell: J. Vac. Sci. Technol. A 38, 023209 (2020); https://doi.org/10.1116/1.5141079ここでSはIDを表す。また，Pは、発生した検出信号の指定する割合(例えば90%, 95%, 99%など)である。また，(22)式は、電子エネルギーが61eVから2016eV、放出角が0°から50°の場合に使用が可能であり，MEDと同様に，IMFPと検出角度，単一散乱アルベドが分かれば簡単に計算することができる。７．まとめXPS, AESに代表される表面電子分光法における表面感度と検出深さは，主に電子の非弾性散乱が決定し，第２成分として弾性散乱の寄与があると言って良い。そこで，表面感度を表す指標としては，電子の非弾性散乱に関連したIMFP，MED， EAL，IDがあげられる。この内，最も基本的な物理量であるIMFPについては，対象とする試料のELFから FPAにより計算する方法についてMathematicaの使用を前提にして，詳細に述べた。さらにIMFPの一般式TPP-2Mについても解説した。他の，３つのパラメータMED， EAL，IDはIMFPと装置の計測条件からTAまたはMC法により決定することができる。本稿では実用性を勘案して,対象物質のIMFPと弾性散乱効果を表す単一散乱アルベドを用いた一般式を紹介した。これらの一般式はHAXPESにも大部分は適用可能である。最後に，最適な「表面感度と検出深さ」の指標とは何であろうか。現状では,定義の分かりやすと実用性の観点からIMFPとMEDが適当であると筆者は結論している。文　　献image3.pngimage3.tiffimage4.pngimage5.tiffimage6.pngimage7.tiffimage8.tiffimage9.pngimage10.pngimage11.tiffimage12.pngimage13.tiffimage14.pngimage1.emfimage2.png