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[固体物理_59_21 (2024)_NIMS_大久保_Wenhao_森_MDR.pdf](https://mdr.nims.go.jp/filesets/c59e7802-c33c-4e6d-b859-469988b16cae/download)

## Creator

[大久保 勇男](https://orcid.org/0000-0002-4187-0112), Wenhao Zhang, [森 孝雄](https://orcid.org/0000-0003-2682-1846)

## Rights

[In Copyright](http://rightsstatements.org/vocab/InC/1.0/)

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[データベースを活用した遷移金属化合物の熱電変換機能開拓](https://mdr.nims.go.jp/datasets/001ca22c-ee66-44f8-b960-d0b731e4760e)

## Fulltext

Microsoft Word - 固体物理_59_75 (2024)_NIMS_大久保_Wenhao_森_MDR.docx1  固体物理 59, 21–29 (2024).  データベースを活⽤した遷移⾦属化合物の熱電変換機能開拓 国⽴研究開発法⼈物質・材料研究機構 ナノアーキテクトニクス材料研究センター ⼤久保勇男*, 張 ⽂浩, 森 孝雄 *OHKUBO.Isao@nims.go.jp  1. はじめに データベースや機械学習等のインフォマティクス手法1)を物質・材料研究に活用する研究は、機械学習等の手法開発研究から、物質探索やプロセスパラメータ最適化、各種計測実験の高効率化、データマイニング等へと、既存の手法を活用した試みが主ではあるが、着実に物質・材料研究全般で広がりを見せている。第一原理計算や実験研究と組み合わせた研究も増えており、インフォマティクス手法を導入・融合した研究は活発化している。これまでは、既存のデータベースを利活用した研究が主流で、インフォマティクス手法の優位性を十二分に発揮させるためには、目的に沿ったデータベースの構築が必要となる。しかし、特に実験データが収録されたデータベースの構築は、多くの場合、膨大な労力と時間を必要で、しかも、その物性値等の種類が多く、種々の物性値等が網羅的に収録されたデータベースの構築は容易ではない。  熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換する熱電変換物質において、その無次元性能指数(ZT)は、ZT=S2σ/(κe+κL)で表され、複数の物性値で表記される2)。ここで、Zは性能指数、Tは温度、Sは熱起電力 （Seebeck係数）、σは電気伝導率、κe、 κLはそれぞれ電子と格子の熱伝導率である。しかし、それぞれの物性値を最大化もしくは最小化してもZTを最大化することはできない。熱起電力(S)、電気伝導率(σ)は共にキャリア濃度(n)の関数であり、熱起電力(S)はキャリア濃度(n)に反比例、σは比例する関係にある。このため、Sとσの絶対値は相反する関係にある。通常、熱電変換物質は半導体であることから、κe << κLの関係が一般的である。この熱伝導率κtotal( = κe + κL)は、電気伝導率(σ)が大きな物質で大きくなる傾向があり、ここにもパラドックス的な関係が存在する。これらの物性値の背後に存在するキャリア濃度や有効質量(m*)等の複数の重要な値は、それぞれの物性値に深く関係しているために、単純化された課題としてインフォマティクス手法を適用することは、容易ではない。これら物性パラメータ空間において、複数の局所解が存在することになるためである。 このように物質固有のintrinsicな物性値の関係だけでも十分な複雑性が存在し2  ているが、結晶粒界や欠陥等の物質内部に存在するextrinsicな特徴量も無視できない。特に、格子熱伝導率(κL)は、結晶粒界や欠陥・部分欠損等の影響が大きく、一般的に単結晶よりも多結晶体で小さくなる傾向にあることから、ナノ・ミクロ構造制御による格子熱伝導率の制御と無次元性能指数改善の試みが盛んに行われている3)。エネルギーハーベスティングやIoT(Internet of Things)機器への応用の可能性から、近年、熱電変換物質研究の注目度が高まっているが、その性能の最大化のためには、非常に多くの物性値・ファクターを制御する必要がある。本稿では、著者らのグループで実施した、インフォマティクス関連手法の中でも特にデータベースを活用した、遷移金属化合物の熱電変換機能開拓を目的とした2つの研究例を紹介し、今後を展望する。   2. 電子状態パラメータを用いた熱電変換特性における遷移金属化合物の俯瞰的な整理  さまざまな物質群が熱電変換機能開拓の研究対象とされているが、中でも遷移金属化合物は構成元素のバラエティと自由度が高く、優れた熱電変換特性を示す物質が多く存在している。格子熱伝導率(κL)を除くZTを構成する各物性値は、電子状態に関係する物性値であるため、電子状態制御は熱電変換性能の向上には必須である。遷移金属化合物の電子状態を表す上で、電荷移動エネルギー(Δ)と原子内のオンサイトクーロン斥力エネルギー(U)が重要なパラメータである4),5)。Δは分裂した上部dバンド （上部ハバードバンド）と陰イオンのpバンド間のエネルギー差であり、Uは分裂したdバンド間（上部ハバードバンドと下部ハバードバンド間）のエネルギー差に対応している。ΔとUの大小関係により電子状態のタイプの分類が可能となる。Δ＞Uの場合、上部と下部のdバンド間がエネルギーギャップの起源となり、モット絶縁体となる。一方、Δ＜Uでは、陰イオンのpバンドと上部のdバンドがエネルギーギャップを形成し電荷移動型絶縁体となる。Torranceらにより報告されているイオンモデル法を用いるとΔとUはそれぞれ、  ∆ 𝐴 X 𝐼 M 𝑒 𝑉 𝑉𝑒𝑑      1   𝑈 𝐼 M 𝐼 M𝑒𝑑      2   で表される6)。ここで、vは遷移金属イオン(M)および陰イオン(X)の価数、𝐴 X3  は陰イオン(X)の電子親和力、𝐼 M は遷移金属イオン(M)のイオン化エネルギー、eは電荷素量、dM–M、dM–Xは、それぞれ遷移金属イオン(M)間、遷移金属イオン(M)と陰イオン(X)との間の原子間距離である。𝑉 と𝑉 は、陰イオン(X)と遷移金属イオン(M)のMadelungサイトポテンシャルである。ΔとUを実験で決定するには、良質な試料を用いた複数の電子分光測定と理論計算を組み合わせが必要となり、多種多様な物質のΔとUの値が格納されたデータベースを構築するには、多大な労力と時間が必要となる。一方、同手法は、結晶構造が明らかであれば、構成する原子のパラメータを用いてΔとUの値を計算することができる、比較的簡便な手法である。イオンモデル法で計算されたΔとUは、電子分光等の実験により決定された値と比べて、一般的に数倍から最大10倍程度大きな値ではあるが、物質毎のその大小関係は、一部に不一致があるものの、おおむね傾向は一致していることが報告されている6)。われわれのこの研究では、結晶構造データベースの1つであるICSD(Inorganic Crystal Structure Database)7)から、11種の陰イオン(N3–, P3–, As3–, O2–, S2–, Se2–, Te2–, F–, Cl–, Br–, I–)のいずれかを含む、2元系および3元系の該当する3d遷移金属化合物566種類をピックアップし、式(1)と式(2)から、ΔとUの値を求めてデータベース化した8)。第1図は、この研究で取り上げた566種の遷移金属化合物の陰イオンのMadelungサイトポテンシャル(𝑉 )を1/dM–Xでプロットした図である。Madelungサイトポテンシャルは、𝑉 𝑣 4𝜋𝜀⁄ 𝑑  （ここで𝜀 は真空の誘電率）で表記され、各物質群の𝑉 は、1/dM–Xに対してほぼ線形に変化していることから、イオンモデル法よる取り扱いが適当な物質であることが示唆されている。 ΔとUは、主に3d遷移金属酸化物におけるd電子数依存の挙動を中心に、これまで整理されてきた。ΔとUの陰イオン種依存に対する理解は、これまでの研究から未解明な点も多く、本研究のターゲットの一つとした。第2図と第3図に、イオンモデル法で計算したΔとUの各2元系遷移金属化合物の3d電子数依存を示す。イオンモデル法により計算されたΔとUの3d電子数を変化させた時の振る舞いは、先行研究で報告されている電子分光で決定されたΔとUの振る舞いと一部を除いてほぼ一致している6),8)。Δはd電子数の増加に伴い、減少する傾向が実験値4),5)で示されているが、イオンモデル法でも同様の傾向がみられている。Uの挙動においては、多重項の効果によりd 電子数5個(d5)でUが極大値を示す傾向がイオンモデル法でも再現されており、実験値と挙動が一致している4),5)。一方、d0電子系遷移金属化合物においては、実験で求めたUでは見られない、非常に大きな値(>40 eV)がイオンモデル法による計算で得られている。Torranceらによる先行研究でも同様の報告がされており6)、同手法の問題点と捉えられている。周期律表上の各族で上から下へ陰イオン種を変化させるにつれて、Δは小さくなる傾向が見て取れ、陰イオンの電気陰性度の変化に伴い減少している。一方、Uの陰イオン種依存は小さい。これは、式(2)に陰イオンに関係す4  る項が含まれておらず、Uは主に遷移金属イオン種に依存していることに起因している。  Δ–U平面上に各物質がプロットされた、Zaanen-Sawatzky-Allen(ZSA)ダイアグラムは、ΔとUの大小関係から電子状態のタイプを整理・分類するために非常に便利で重要な相図である。イオンモデル法により求めたΔとUは、厳密にはZSAスキーム9)とは区別されるべきなので、ここでは、Δ–Uダイアグラムとする。第4図では、このΔ–Uダイアグラム上に、3d遷移金属化合物のイオンモデル法により計算したΔとUの値に対して、熱電変換特性の実験値をマーカーの色の変化とサイズで表現しプロットした。この第4図では、30種の熱電変換特性の実験値が報告されている各種3d遷移金属化合物がプロットされているが、異種物質群間で直接比較できるように、ΔとUは規格化したΔnormとUnormを用いている。詳細は原著論文8)を参照されたい。第4図(a)の出力因子(S2σ)では、ScNで報告されている非常に大きな出力因子のため傾向が必ずしも明確ではないが、ScNを除外すると、第4図(b)のZTと一致した傾向となる。この図から、熱電変換性能の高い遷移金属化合物は、2つの特定の領域に存在していることがわかる。2つのうち、上側の領域(Δnorm = –0.5 ~ 4.1 eV, Unorm = 1.7 ~ 3.6 eV, 領域I)には、MnGeTe2 [ZT = 1.4], NaCoO2 (NaxCoO2) [1.0], MnTe [1.0]の高い熱電変換性能を示す遷移金属化合物が存在し、これらは3d5–3d6遷移金属イオン(Mn2+[3d5], Co4+[3d5]–Co3+[3d6]) を含んだp型半導体である。下側の領域(Δnorm = 3.8 ~ 7.9 eV, Unorm = –3.7 ~ –1.9 eV, 領域II)には、Cu1+[3d10]を含んだp型半導体特性を示す高熱電変換物質(Cu2S [ZT = 1.7], Cu2Se [1.5], BaCu2Se2 [1.0], CuGaTe2 [1.4], CuInTe2 [1.18], BaCu2Te2 [1.31])が存在している。これら2つ領域のΔとUの値を示す物質を新たに探索することで、新しい熱電変換物質の発見が期待される。  5   第1図：566種類の2元系および3元系遷移金属化合物における陰イオンのMadelungサイトポテンシャル(𝑒𝑉  )の結合距離(1/dM-X)依存. 緑：窒化物(N), 灰色 ：酸化物(O), 紫 ：フッ化物(F), オレンジ ：リン化物(P), 黄色 ：硫化物(S), 水色 ：塩化物(Cl), 赤 ：ヒ素化物(As), 青 ：セレン化物(Se), 茶色 ：臭化物(Br), 薄い茶色 ：テルル化物 (Te), ピンク：ヨウ化物 (I). 原著論文8)より改訂 . Adapted with permission from J. Am. Chem. Soc. 144, 3590–3602 (2022). Copyright (2022) American Chemical Society.  6   第2図：イオンモデル法により得られた各2元系3d遷移金属化合物の電荷移動エネルギー (Δ)のd電子数依存 . (a) M X  , (b) M X  , (c) M X  , (d) M X  , (e)M X 化合物. 原著論文8)より改訂. Adapted with permission from J. Am. Chem. Soc. 144, 3590–3602 (2022). Copyright (2022) American Chemical Society. 7   第3図：イオンモデル法により得られた各2元系3d遷移金属化合物のオンサイトクーロン斥力エネルギー(U)のd電子数依存. (a)M X  , (b)M X  , (c)M X  , (d)M X , (e)M X 化合物. 原著論文8)より改訂. Adapted with permission from J. Am. Chem. Soc. 144, 3590–3602 (2022). Copyright (2022) American Chemical Society.  8   第4図：Δ–Uダイアグラム上にプロットした様々な遷移金属化合物の熱電変換特性(実験報告値). ΔとUは異種物質間で比較するため規格化されたΔnormとUnormを使用. (a) 出力因子(S2σ), (b) 無次元性能指数(ZT). 図中の各マーカーの色(赤色→黄色)とサイズは, 出力因子とZTの値の大小に対応している. 図中の各番号は以下の通り. 1: ScN [ZT = 0.17], 2: CrN [0.12], 3: SrTiO3 [0.37], 4: VO2 [0.071], 5: CaMnO3 [0.32], 6: SrMnO3 [0.003], 7: NaCoO2 [1.0], 8: LaCoO3 [0.015], 9: NiO [0.049], 10: CuAlO2 [0.042], 11: La2CuO4 [0.17], 12: TiS2 [0.37], 13: Cu2S [1.7], 14: BaCu2S2 [0.28], 15: CrAs [-], 16: VSe2 [0.023], 17: Cr2Se3 [0.22], 18: MnSe [0.25], 19: Cu2Se [1.5], 20: BaCu2Se2 [1.0], 21: Cr2Ge2Te6 [0.63], 22: MnTe [1.0], 23: MnGeTe2 [1.4], 24: FeTe [0.0011], 25: Cu2Te [0.51], 26: CuGaTe2 [1.4], 27: CuInTe2 [1.18], 28: BaCu2Te2 [1.31], 29: YCuTe2 [0.75], 30: CuI [0.21], 化学式の後のカッコ内の数値はZTの値. 1–30の熱電変換特性の値は参考文献8)内の引用文献を参照. 原著論文8)より改訂. Adapted with permission from J. Am. Chem. Soc. 144, 3590–3602 (2022). Copyright (2022) American Chemical Society. 9  3. 結晶構造データベースを用いた低熱伝導率遷移金属化合物のスクリーニング 内在する本質的な低熱伝導率を有する物質系を発掘することは、高性能熱電変換物質、すなわち高いZTを発現する物質を開発する戦略的な方向性の一つである10),11)。このため熱伝導率を最小限に抑えることは、熱電変換効率の本質的な改善をもたらす。物質の全熱伝導率(κtotal)は、κtotal = κe + κLで示されるように格子熱伝導率(κL)と電子による寄与(κe)の2つの成分で構成されている。電子の熱伝導率は、Wiedemann-Franz則によって電気伝導率と関連しているため、最小化する必要があるのは格子熱伝導率(κL)となる2),3)。その結果intrinsicな特性として、本質的に低い格子熱伝導率は、熱電変換物質としてのポテンシャルを判断するための重要な基準となる。最近、結晶構造に由来する本質的に低い熱伝導率を示す可能性として、部分占有サイトを含む遷移金属化合物が着目されている。ここでは、低熱伝導率化における部分占有サイトの影響について述べ、結晶構造データベースを用いた低熱伝導率遷移金属化合物のスクリーニングについて紹介する。 われわれは、部分占有サイトの熱伝導率への影響を調べるために、Cu の部分占有サイトを有する Cu6Te3S 12)に着目し、熱伝導特性と構造の乱れの関係について調べた 13)。第 5 図(a)に示すように、Cu6Te3S の低温相(< 473 K)である α 相は、平均 96 個の銅原子が 116 個のサイトを占有し、いくつかのサイトの占有率は 1.0に近いか等しい。その結果、Cu6Te3S の α 相は周期固体と完全無秩序系の中間にあると考えられる。第 5 図(b)に、実験で得られた Cu6Te3S の格子熱伝導率(κL)を示す。極めて低い格子熱伝導率が観察され、最高値は 0.7 Wm–1K–1 未満で、室温ではさらに 0.3 Wm–1K–1 未満となる。Cu6Te3S の格子熱伝導率には、2 つの特徴がある。第一に、Cu6Te3S の κLは、平均原子量が小さいにもかかわらず、多くの低熱伝導性化合物よりも低い。Slack モデルによると、格子熱伝導率(κL)は  κ 8𝑘ℎ𝑀𝑉 / 𝜃𝛾 𝑇  3   で表せる 14),15)。ここで𝑀は平均原子量、V は平均原子体積、𝜃  はデバイ温度、γ は Grüneisen 定数である。デバイ温度は原子量に反比例するので、平均原子量が大きい化合物ほど κL は小さくなるはずである。したがって、平均原子量 79.7の Cu6Te3S は、平均原子量 167、κL ≈ 2 Wm–1K–1 の PbTe 化合物と比較すると、Slack モデルに一致しないことがわかる 16),17)。このことは Cu6Te3S の低い格子熱伝導率を説明する上で、構造上の乱れが重要な役割を果たしていることを示唆している。 第二の特徴は、その温度依存性である。低温領域では κL のピーク構造は見ら10  れず、100 K 以下で徐々に増加し、20 K 付近で小さなプラトーを示す。この挙動から、Cu6Te3S の熱輸送は無秩序物質と同様であることが示唆される 18)。われわれは、実験と理論の両方を用いて Cu6Te3S の振動特性を評価した。測定した低温熱容量(CP)は、低温での音響フォノンの挙動が、Debye T3 則に従っていない。この CP の解析に、最近 Pailhès らによって提案された "capped Debye"モデル 19)を用いた。このモデルでは、光学フォノン周波数 ωop と最大周波数 ωmax の間で"Einstein 連続体"が構成される光学フォノン以上で、線形変化する音響フォノンの分散は、ωop でキャップされる。この"capped Debye"モデルでは、熱容量 Cv は、Cv = Cvele + Cvcapped + CvEで表される。ここで、Cveleは電子の Cv、Cvcapped は"capped Debye"項、CvEは Einstein 項である。後者の 2 つの寄与は次の式で表される。  𝐶 𝑇 9𝑛 𝑁 𝑘𝑘 𝑇ℏ𝜔𝑥 𝑒𝑒 1𝑑𝑥ℏ /      4   𝐶 𝑇 3𝑛 𝑁 𝑘𝑘 𝑇ℏ𝜔 ℏ𝜔𝑥 𝑒𝑒 1𝑑𝑥ℏ /ℏ /    5   ここで、𝑛 は Debye モード数、NA はアボガドロ数、kB はボルツマン定数、ћはプランク定数、𝑛 は Einstein モード数である。第 6 図(a)に示す熱容量のフィッティング結果は、Cu6Te3S の複雑な結晶構造から 予想されるように、"capped Debye"モデルによって得られた熱容量が、実験的に測定された熱容量とよく一致することを示している。重要なことは、20 K 以上で、振動エネルギーの大部分が光学フォノン(Einstein 寄与)によって蓄積されることである。この"capped Debye"モデルのフィッティングにより、ωop = 0.94 THz、ωmax = 11.10 THz、音速vs = 2050 ms–1 が得られるが、ωopは第一原理計算のフォノンの分散とよく一致した。フィッティングから得られた vs は、ブリルアンゾーン中心付近の平均音速1900 ms–1の計算値に近いが、実験的に測定された値 1760 ms–1 よりもわずかに高い。このように、"capped Debye"モデルと第一原理計算の結果は、Cu 原子がサイトの一部しか占有していないにもかかわらず、Cu6Te3S の熱物性における音響フォノンの寄与が抑制され、その結果、κLが強く抑制され、Cu6Te3S の熱伝導が非結晶物質に似ていることを示している。 音響フォノン伝導の抑制は、部分占有サイトによって引き起こされるだけでなく、第一原理計算からソフトな化学結合と比較的強い非調和性にも起因していることがわかっている。また、フォノンの部分状態密度から、光学振動は主にTe 原子と Cu 原子の成分で構成されていることが明らかになった（第 6 図(b)）。さらに、準調和近似で計算された mode Grüneisen パラメータを用いて計算した11  Cu6Te3S の平均 Grüneisen パラメータは約 1.6 となった 20),21)。この値は、従来の PbTe 熱電変換化合物の 1.4 よりも高い 22)。調和および非調和原子間力に関連するこれらの特徴を理解するために、われわれは電子局在関数 (Electron Localization Function, ELF, 第 7 図)を用いて Cu6Te3S の異なる原子の結合環境を調べた。Cu イオンの周りの電子が強く局在していることから、Cu6Te3S 構造における Cu の大域的で弱い化学結合の形成が示唆された。また、電気陰性度の高い Te 原子に対して、孤立電子対に対応する 23)、非対称に分布した電子の局在領域が第一原理計算の結果で観察されている。われわれは、Cu6Te3S の intrinsic な格子ダイナミクスは、Cu 原子のソフトな化学結合と非調和性によって特徴付けられ、その両方により低い κLが発現していると考えている。 上記のように格子熱伝導率と部分占有サイトによる構造乱れの間の強い関係性が明らかになったことから、われわれは結晶構造のみから物質の格子熱伝導率の予測を試みた。このアプローチを実証するために、 オープンアクセスデータベースである Crystallography Open Database (COD)24)を用いて、 部分占有サイトを持つ遷移金属化合物を、RESTful-API25)と PyCifRW パッケージ 26)を使用して検索した。検索により抽出した遷移金属化合物の単位胞体積を、単位胞内の平均原子量に対してプロットしたのが第 8 図(a)である。組成条件を満たす 6320 種類の物質から、部分占有サイトを有する 1587 種類の遷移金属化合物が同定されたことから、 探索可能な化学空間(chemical space)が広いことが示唆された。また格子熱伝導率に関する、これまでのハイスループット情報学的アプローチのほとんどは、無秩序または部分占有サイトを持たない物質に焦点を当てているため、部分占有サイトを持つ物質の化学空間は、ほとんど未解明である。部分占有サイトを持つ物質が、同程度の平均原子量や単位胞体積を持つ物質と比較して、熱伝導率がいかに低いかがわかる（第 8 図(b)）13)。第 8 図(b)から、部分占有サイトは、物質の熱伝導率を制御するために有用な特徴量であることが明らかになった。 データベースによる低熱伝導率を示す部分占有サイトを有する遷移金属化合物のスクリーニングを実証するために、これまで熱伝導率が調べられていなかった 2 つの部分占有サイト物質 Cr5Te8 と Bi5CuS8 を実際に合成し、熱伝導率を測定した （第 9 図） 13)。室温での κLは Cr5Te8 で 0.64、Bi5CuS8 で 0.55 Wm–1K–1 で、低い格子熱伝導率が得られ、非音響フォノン伝導を示す弱い温度依存性を示した。これらの結果は、格子熱伝導率が本質的に低い新物質を探索するために、部分占有サイトを有する物質の探索が有効であること示唆している。   12   第 5 図：(a) Cu6Te3S の低温 α 相の結晶構造 [P213, (SG#198)], (b) Cu6Te3S の 3 K から室温までの格子熱伝導率. 熱伝導率が低いことで知られる他の化合物(α-MgAgSb, In4Se3, SiO2)も比較のために掲載. 各データの出典は参考文献 13)内の引用文献を参照. 文献13)より改訂. Copyright 2021, Royal Society of Chemistry. This is licensed under Creative Commons CC-BY 3.0.    第 6 図：(a) Cu6Te3S の熱容量測定値と"capped Debye"モデルによるフィッティング. (b) Cu6Te3Sのフォノン状態密度の計算結果. 文献 13)より改訂. Copyright 2021, Royal Society of Chemistry. This is licensed under Creative Commons CC-BY 3.0.  13   第 7 図：(a) Cu6Te3S（単位胞の 1/8）の電子局在関数 (ELF)等値面, (b) 周波数の体積依存性を抽出した各フォノンモードの Grüneisen パラメータ. 文献 13)より改訂. Copyright 2021, Royal Society of Chemistry. This is licensed under Creative Commons CC-BY 3.0.    14   第 8 図：(a) Crystallography Open Database (COD)からの部分占有サイト物質の抽出結果. 比較のために非部分占有サイト物質もプロットしている. (b)部分占有サイトを持つ/持たない物質の報告された室温熱伝導率. データには, 元素半導体, I-V-VI2, I2-IV-VI3, I3-V-VI4, II2-IV, III-IV, IV-VI, V3-VI2 化合物, Zintl 化合物(CoSb3, CaZn2Sb2, YbZn2Sb2, Ca3AlSb3, Sr3GaSb3, Yb11InSb9, Yb14MnSb9), および部分占有サイト物質 (Ag8GeTe6, Ba8Ga16Ge30, Ba2Sb2Se5, Cu4Bi4Se9, Cu5FeS4, Cu4Sn7S16, Cu2SnSe4, GeSb4Te7, Zn8Sb7, Cu6Te3S, Bi5CuS8, Cr5Te8, これらは図(b)中の白抜きのマーカーで表示)が含まれている. 図(b)中には, 一部の化合物の名前のみ表示している. 各データの出典は参考文献 13)内の引用文献を参照. 文献 13)より改訂. Copyright 2021, Royal Society of Chemistry. This is licensed under Creative Commons CC-BY 3.0.   第 9 図 ：部分占有サイト遷移金属化合物である Cr5Te8 と Bi5CuS8 の格子熱伝導率(κL)の測定値. 文献 13)より改訂. Copyright 2021, Royal Society of Chemistry. This is licensed under Creative Commons CC-BY 3.0. 15  4. まとめと今後の展望 われわれのグループで最近実施した、データベースを活用した熱電変換新物質探索の2つの取組について紹介した。冒頭で述べたように、無次元性能指数(ZT)を構成する各物性値のパラドックス的な関係から、インフォマティクス手法の素直な適用は簡単ではないが、われわれは、個々の物性値に関与するパラメータ等 （前半では電子状態, 後半では部分占有サイト）に着目した取組から始めている。本稿で紹介した2つの研究例は、その相関関係が比較的理解されているパラメータや物性値を対象としたが、インフォマティクス手法の本質の一つは、必ずしも相関関係 （因果関係）が明確ではないパラメータ空間の解析から、新しい気付きや傾向、相関関係を見出すことである。インフォマティクス手法を、うまく使いこなせば、最適化のみならず、これまで見えていなかった新しい相関関係の発見や、非自明な事象の検証にも有効であると感じている。データベース等をはじめ、各種インフォマティクス手法を活用した研究 （特に実験）は、今後も様々な取組が増加すると思われ、それぞれの研究に合ったうまい使い方を開拓することが肝要であると考えている。   謝辞 本研究は JST さきがけ (No. JPMJPR15N1) 、 JST 未来社会創造事業(No.JPMJMI19A1)等の支援を受けて行われた。ここに深く感謝の意を表する。   参考文献  1) T. Lookman, F. J. Alexander, and K. Rajan: Information Science for Materials Discovery and Design (Springer Series in Materials Science Book 225), (Springer, 2016). 2) 寺崎一郎：熱電材料の物質科学―熱力学・物性物理学・ナノ科学 （物質・材料テキストシリーズ）,（内田老鶴圃, 2017）. 3) K. Koumoto and T. Mori: Thermoelectric Nanomaterials (Springer Series in Materials Science Book 182), (Springer, 2013). 4) 藤森 淳 ：強相関物質の基礎―原子、分子から固体へ （材料学シリーズ）,（内田老鶴圃, 2005） 5) M. Imada, A. Fujimori, and Y. Tokura, Rev. Mod. Phys. 70 (1998) 1039–1263. 6) J. B. Torrance, P. Lacorre, C. Asavaroengchai, and R. M. Metzger, Physica C 182 (1991) 351–364. 7) D. Zagorac, H. Muller, S. Ruehl, H. Zagorac, and S. Rehme, J. Appl. Cryst. 52 16  (2019) 918–925. 8) I. Ohkubo and T. Mori, J. Am. Chem. Soc. 144, (2022) 3590–3602. 9) J. Zaanen, G. A. Sawatzky, and J. W. Allen, Phys. Rev. Lett. 55 (1985) 418–421. 10) A. Zevalkink, D. M. Smiadak, J. L. Blackburn, A. J. Ferguson, M. L. Chabinyc, O. Delaire, J. Wang, K. Kovnir, J. Martin, L. T. Schelhas, T. D. Sparks, S. D. Kang, M. T. Dylla, G. J. Snyder, B. R. Ortiz, and E. S. Toberer, Appl. Phys. Rev. 5 (2018) 021303. 11) T. Hendricks, T. Caillat, and T. Mori, Energies 15 (2022) 7307. 12) M. Giller, C. Grotz, B. W. Rudyk, A. Mar, and T. Nilges, Z. Kristalloger. 229 (2014) 831–839. 13) Z. Liu, W. Zhang, W. Gao, and T. Mori, Energy Environ. Sci. 14 (2021) 3579–3587. 14) G. A. Slack: The Thermal Conductivity of Nonmetallic Crystals in Solid State Physics vol. 34, 1–71 (Elsevier, 1979). 15) T. M. Tritt: Thermal conductivity: theory, properties, and applications (Springer, 2011). 16) O. Delaire, J. Ma, K. Marty, A. F. May, M. A. McGuire, M-H. Du, D. J. Singh, A. Podlesnyak, G. Ehlers, M. D. Lumsden, and B. C. Sales, Nature Mater. 10 (2011) 614–619. 17) Y. Lu, T. Sun, and D.-B. Zhang, Phys. Rev. B 97 (2018) 174304. 18) C. Kittel, Phys. Rev. 75 (1949) 972–974. 19) S. Pailhès, V.M. Giordano, S.R. Turner, P.-F. Lory, C. Candolfi, M. de Boissieu, and H. Euchner, Results in Physics 49 (2023) 106487. 20) T. H. K. Barron, Ann. Phys. 1 (1957) 77–90. 21) C. H. Lee and C. K. Gan, Phys. Rev. B 96 (2017) 035105. 22) L.-D. Zhao, S.-H. Lo, Y. Zhang, H. Sun, G. Tan, C. Uher, C. Wolverton, V. P. Dravid, and M. G. Kanatzidis, Nature 508 (2014) 373–377. 23) O. Cherniushok, R. Cardoso-Gil, T. Parashchuk, R. Knura, Y. Grin, and K. T. Wojciechowski, Chem. Mater. 34 (2022) 6389–6401. 24) S. Grazulis, D. Chateigner, R. T. Downs, A. T. Yokochi, M. Quiros, L. Lutterotti, E. Manakova, J. Butkus, P. Moeck, and A. Le Bail, J. Appl. Crystallogr. 42 (2009) 726-729. 25) RESTful-API: https://wiki.crystallography.net/RESTful_API/ 26) PyCifRW: https://www.iucr.org/resources/cif/software/pycifrw