# Fileset

[特集：今村様.pdf](https://mdr.nims.go.jp/filesets/aeef53d5-59e8-4148-ad9d-f6f55c1b1a24/download)

## Creator

[Gaku IMAMURA](https://orcid.org/0000-0002-3130-7190)

## Rights

[Creative Commons BY-NC-ND Attribution-NonCommercial-NoDerivs 4.0 International](https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/)

## Other metadata

[Development of Odor Sensors Based on Membrane-Type Surface Stress Sensors and Challenges for Social Implementation](https://mdr.nims.go.jp/datasets/f72aaaec-2d38-4d46-aa74-44d5bc66bb45)

## Fulltext

J. Japan Association on Odor Environment  Vol. 55 No. 5 2024 1― 特　集 ―進化するにおいセンシング技術とその応用膜型表面応力センサを用いた においセンサの開発と社会実装への取り組み今村　岳* 株式会社 Qception　代表取締役　〒305-0047 茨城県つくば市千現 2-1-6　筑波研究支援センター B5 物質・材料研究機構高分子・バイオ材料研究センター　主任研究員　 〒305-0044 茨城県つくば市並木 1-1 大阪大学大学院情報科学研究科システム工学専攻　招へい准教授 〒565-0871 大阪府吹田市山田丘 1-5 においセンサは，近年その需要が増しているものの，技術的な課題が多いことから，まだ世の中に普及しているとは言えない状況である．このにおいセンサの技術を世の中に送り出すべく，膜型表面応力センサ（MSS: Membrane-type Surface stress Sensor）を用いたにおいセンサの研究開発が物質・材料研究機構（NIMS）を中心に行われてきており，2022 年には NIMS 発のスタートアップである株式会社 Qception が設立された．本稿では，MSS においセンサの技術的な解説および社会実装に向けた産学官連携の取り組みについて解説を行うとともに，Qception が取り組んでいる事業について紹介を行う．1． はじめにモノのインターネット（IoT）やマシンツーマシン（M2M）に代表されるように，近年急速にあらゆるモノのネットワーク化が進んでいる．日本政府が掲げるSociety 5.0 では「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより，経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」が提唱されており，今後ますますネットワーク化が進んでいくと考えられる．このような現状において，センサの果たす役割の重要性が増している．センサという言葉は，知覚を意味する sense から来ており，光や音，熱，ガスなどの外部環境を人間に代わり「知覚」するデバイスである．したがってセンサは，フィジカル空間の情報をサイバー空間に転送するインターフェースとしての機能を有していると考えることができる．現在，多種多様なセンサが存在しているが，光や熱のような物理的な情報を検知するセンサと比較して，ガス分子やイオンのような化学的な情報を検知するセンサは発展が遅れているという課題がある．人間の五感で考えてみると，物理的な刺激を検知する視覚，聴覚，触覚は，それぞれカメラ，マイク，圧力センサが存在し，汎用のものが既に社会に普及しているが，化学的な刺激を検知する味覚と嗅覚については，汎用的に誰もが使えるものはまだ開発されていない．味覚については，都甲らが開発した脂質膜を用いた味覚センサが販売されており，産業の現場では利用されている状況ではあるが， 1）嗅覚については，1982 年に Persaud とDodd によって初めてにおいセンサのコンセプトが示されて以来， 2）40 年以上の歴史があるにも関わらず，産業レベルでもまだ業界スタンダードと言えるものが確立されていない．このように，嗅覚センサは他のセンサと比較してまだ技術的に発展途上であり，産業的な応用例は極めて限 定的である．このような状況において，物質・材料研究機構（NIMS）を中心に，膜型表面応力センサ（MSS：Membrane-type Surface stress Sensor）を用いたにおいセンサの開発が近年進んでいる．MSS を用いたにおいセンサは様々な優位性を持っており，アカデミックにおける基礎的な研究だけでなく，産学官の共同研究体制を構築しての社会実装に向けての取り組みも進められ，2022年には NIMS 発のにおいセンサのスタートアップである株式会社 Qception が設立された．本稿では，この MSSを用いたにおいセンサについて，その原理や関連する技術の解説を行い，社会実装に向けたこれまでの取り組みと株式会社 Qception の現状について紹介を行う．2． 膜型表面応力センサ（MSS）とは膜型表面応力センサは，2011 年に吉川らによって発表された新型のセンサである．英語名である Membrane- type Surface-stress Sensor を略して，通称 MSS と呼ば*Corresponding author : E-mail g_imamura@qception.co.jp2024-06-17におい・かおり環境学会誌　 55巻 5号　令和 6年2れる．MSS は，機械的な性質の変化を検知することでセンサの応答を得るナノメカニカルセンサと呼ばれるセンサの一種であり，検知部に生じた応力をセンサの応答としてとらえる．図－1に，センサの写真と検知部の概念図，動作原理を示す． 3）2．1　MSSの原理MSS は，MEMS 技術によりシリコンウェーハーを加工して作られる非常に小型のセンサである．その検知部は，薄いシリコンの膜が 4 つの梁で吊られた構造をしており，その中央の膜に感応膜と呼ばれる材料が塗布されている．この MSS が気体試料に晒されると，感応膜がガス分子を吸収し膨張する．すると，下地のシリコンの基板も変形して歪みが生じ，膜を吊っている 4 つの梁に応力が集中する．この梁の部分に，応力によって抵抗値が変化するピエゾ抵抗素子が埋め込まれており，これらのピエゾ抵抗素子から構成される回路の抵抗値変化を読みとることでセンサのシグナルが得られる．このように，感応膜へのガス吸収を，応力という物理量の変化として検知するのか MSS の動作原理である．このような原理のナノメカニカルセンサはカンチレバー型のものでこれまでにも存在していたが，生じる応力が弱く，感度が低いという問題があった．吉川らは，検知部である膜を 4 つの梁で吊る構造にすることで，梁に応力を集中させ，感度を飛躍的に向上させることに成功した．MSS は MEMS 技術により作製されることから，図－1の写真のようにセンサ素子が非常に小型になることに加えて，多チャンネル化も可能である．また，最終的なアウトプットが抵抗値変化であり，ガス検知の際の加熱も不要であることから，消費電力も低く抑えることができる． 4）, 5） そして，最大の特徴として挙げられるのが化学的多様性である．MSS は，感応膜がガス分子を吸収して膨張することで生じる応力を検知していることから，検知できるガス分子の種類は感応膜に強く依存する．したがって，感応膜を様々に変えることで，センサの特性を変化させることができる．感応膜の条件としては，塗布できる固体であること以上の制限はないことから，あらゆる固体材料が感応膜材料として活用でき，多様なガス分子に対応したセンシングを実現できる．これまでに，多種多様な材料を感応膜として用いた研究例が報告されている． 6）2．2　においセンサへの応用MSS は上記のような特徴があることから，ヒトの嗅覚を模倣したにおいセンサへの応用が期待されている．簡略化したヒトの嗅覚のメカニズムと，それに対応したにおいセンサの構成を図－2に示す．ヒトの場合，においのもととなるにおい分子は，まず鼻腔内の嗅細胞により検知される．嗅細胞には，嗅覚受容体と呼ばれるタンパク質が存在し，嗅覚受容体ににおい分子が結合することで神経細胞が興奮し，神経信号が脳に送られる．この嗅覚受容体は様々な種類があり，ヒトでは約 400 種類と言われている．それぞれの受容体は異なる選択性を有していることから，同じにおいでも各受容体からは異なる神経信号が送られ，それらの神経信号をもとに脳でにおいの識別が行われる．このように，ヒトの嗅覚では，特性の異なる複数の受容体を用いてにおい分子を検出し，それによって生じた信号を解析することでにおいを識別が行われる．したがって，これをセンサで実現するため図－1　MSSの写真と検知部の概念図，動作原理． 図－2　ヒトの嗅覚のメカニズムと，においセンサの対応．においにおい2024-06-17J. Japan Association on Odor Environment  Vol. 55 No. 5 2024 3には，特性の異なる複数種類のガスセンサによりにおい分子を検出し，得られたセンサシグナルを解析する必要がある．故に，においセンサは，単ににおい分子を検出するためのセンサ素子ではなく，解析までを含めたひとつのシステムととらえるべきである．以下では，MSS を用いたにおいセンサにおけるいくつかの重要な要素技術について，これまでの研究を紹介する．2．2．1　感応膜材料の開発NIMS は，物質・材料研究機構という名前の通り，材料研究に特化した研究機関である．MSS は，前述の通り多様な材料が感応膜として活用可能であることから，これまでに多くの材料が MSS の感応膜として評価されてきた．代表的なものとしては，ナノ材料が挙げられる．ナノ材料は，ナノレベルの構造を持つことから表面積が大きく，多くのガス分子を吸着することができるため，ガスセンサの感応膜材料として有効である．柴らによって開発されたシリカ・チタニアナノ粒子は，その表面に様々な官能基を導入することが可能であることから，表面の官能基を様々に変えたナノ粒子が MSS の感応膜として利用され，高感度かつ多様な化学的特性を示している． 7）, 8）さらに，グラフェンに代表される二次元材料も感応膜として有力視されており，これまでに，酸化グラフェン，遷移金属カルコゲナイドが感応膜として利用され，良い応答特性を示している． 9）, 10）これら以外にも，特殊なナノ構造をもった材料が MSS の感応膜として利用可能であり，特徴的なガスセンサ応答を示すことがこれまでに報告されている． 11）〜13）ナノ材料以外にも感応膜の材料プラットフォームは様々あり，生体材料（DNA）や金属薄膜（Pd 合金），有機金属錯体などがこれまでに報告されている． 14）〜19）このような幅広い感応膜材料プラットフォームがあることは MSS の大きな特徴であり，検知したい分子に応じた材料開発ができる点は，他のセンサ素子と比べた際の強みと言える．2．2．2　データ解析法の開発システムとしてのにおいセンサにおいて，データ解析は本質的に重要な技術である．すなわち，測定で得られるセンサの応答それ自体は，特に意味を持たないただのデータであるため，このデータから，そのにおいが何であるか，その強さはどの程度であるかといった情報を引き出すためのデータ解析技術がにおいセンサには必要不可欠となる．MSS を用いたにおい測定として香辛料のにおい測定の例を紹介する． 20）この研究では，香辛料のにおいと窒素ガスを交互に MSS に送ることでセンサの応答を得ており，この応答からにおいに固有の特徴量を抽出し，多変量解析によってにおいの区別を行なっている．（図－3）MSS は，感応膜がにおいを吸収し膨張することでセンサの応答を得ていることから，MSS の応答は，感応膜とにおい分子との相互作用が反映されている．この相互作用はにおい分子の種類によって異なることから，においごとに異なるセンサ応答が現れる．（図－3b）このような，におい固有のセンサ応答が特徴量であり，これをもとに多変量解析や機械学習によってにおいの区別・識別が行われる．この例の香辛料のにおい測定では，4 つの異なる感応膜が塗布された MSS を用いて測定を行い，各 MSS で得られるセンサ応答の強度を元に計算された相対強度と，各 MSS 応答の減衰部（におい導入後の窒素ガスを導入している部分）の傾きをにおいの特徴量として抽出したデータセットを作成した．このデータセットに対して多変量解析の手法である主成分分析を用いることによって，多次元の特徴量データセットを 2 次元平面に射影した．その結果，データ点がにおいごとに 2 次元平面上でクラスターを作り，違う領域にプロットされたことから，においの区別ができたことが示された．（図－3c．詳細については文献 20 を参照）この研究では，互いににおいが異なるということを示したという意味で，においの「区別」が行われたが，2 次元平面のどの領域がどのにおいであるかを学習すれば，ある測定を行なったときに，それがどの領域にプロットされるかで，そのにおいを推定することができ，においの「識別」を行うことができる．このようなにおいの学習とそれに基づくにおいの推定は，機械学習により行われる．2．2．3　測定法の開発上記の香辛料の例では，一定時間においを導入し，その後キャリアガス（窒素）で洗い流すことで測定を行い，その際に得られるセンサ応答の形状を元に特徴量を抽出してにおいの区別が行われた．このような測定法はにおいセンサでは一般的であるが，測定時の流量制御を変化させることにより，得られるセンサ応答も変化するという問題がある．すなわち，においをセンサに送る際の流量や，においを導入する時間等が変化すると，同じ試料であっても異なる形状のセンサ応答となる．そのため，センサ応答の形状を特徴量として解析を行う場合には，流量制御の条件を全ての測定においてそろえなければ，においの区別・識別を行うことができない．したがって，流量制御が異なる場合や，そもそも流量制御を行わないにおい測定においてもにおいの情報を得るためには，センサ応答の形状に依存しない特徴量を用いた解析を行う必要がある．このような手法として，今村らは伝達関数比に基づいた新しいデータ解析法を開発した．この伝達関数比は，線形応答で近似できる範囲においては，においと感応膜の組み合わせによって決まり，流量制御には依存しない関数であることから，センサに送る2024-06-17におい・かおり環境学会誌　 55巻 5号　令和 6年4においの流量を制御することなく抽出可能な特徴量となる．この伝達関数比を用いたデータ解析法の開発により，センサ素子を直接においに近づけて得られるセンサ応答をもとににおいが識別可能であることが実証された． 21）, 22）このような流量制御に依存しない特徴量を用いた解析は，ポンプ等の流量制御ユニットを用いない測定や，センサを静置して漂ってくるにおいを検知する測定などで有用であり，測定系の小型化，省電力化が実現できる． 2．2．4　MSSにおいセンサでの測定事例上述のような基礎的な要素技術の開発と並行して，応用に向けた実試料でのにおい測定もこれまでに行なってきている．MSS においセンサでの具体的な測定例を表－1にまとめる．表－1からわかるように，MSS においセンサの対象は多岐にわたり，様々な分野での応用可能性を秘めている．研究レベルではにおい測定の可能性は既に多く示されていることから，実際の現場での利用に向けて，今後はさらなる測定系の最適化や，統計的な評価ができるだけのデータの蓄積を行なっていく必要がある．3． 株式会社Qceptionこれまで紹介してきたように，NIMS を中心としてMSS を用いてにおいを測定するための様々な要素技術の開発が行われ，実試料として様々なにおい測定が行なわれてきた．におい測定の技術は，学術的な意義のみな図－3　香辛料のにおい測定．（a） 測定系の概要図．（b） センサ応答の例．（c） 主成分分析結果．2024-06-17J. Japan Association on Odor Environment  Vol. 55 No. 5 2024 5らず，産業的なニーズも非常に高いことから，MSS においセンサの取り組みは，産業界からの注目も多く集めた．このような産業界のニーズに応えるため，NIMS を中心とした MSS においセンサの産学官連携の共同研究体制が発足し，さらには NIMS 発のスタートアップである株式会社 Qception が設立された．ここでは，MSSにおいセンサの社会実装に向けた産学官連携の取り組みと，株式会社 Qception の発足，そして 2024 年現在の体制について紹介を行う．3．1　産学官連携の取り組みMSS においセンサの技術は産業界から大きく注目を集め，NIMS に対して多くの企業から問い合わせが来ることとなった．しかし，においセンサは多くの要素技術を統合して初めて成立する技術であり，材料科学に特化した研究機関である NIMS だけではその要素技術をカバーできないことから，においセンサの開発に必要な各種技術を持った産学官の 6 者により要素技術の開発を行うべく，2015 年に「MSS アライアンス」が発足した． 30）MSS アライアンスは，参加しているメンバー（NIMS，京セラ株式会社，大阪大学，日本電気株式会社，住友精化株式会社，NanoWorld AG．2017 年からは旭化成株式会社が参加）間で，においセンサに必要な要素技術を共同で開発することを目的としており，クローズドな体制のもと，コア技術となる様々な基礎技術の開発が行われた．このような取り組みを通してある程度基礎的な技術の開発ができたことから，2017 年には新たな研究体制 と し て「MSS フ ォ ー ラ ム 」 が 発 足 し た． 23）MSSフォーラムは，MSS アライアンスで培われた基礎技術をもとに実際の産業の現場での MSS においセンサの応用可能性を検証することに重きをおいており，これまでのクローズドな体制ではなくオープンな体制を取ることで，様々な業界での MSS においセンサの実証実験を行なった．こうした取り組みの中で，におい測定の基礎的な技術の開発に加えて，実際の産業界でのニーズの把握や，実用化へ向けた課題の洗い出しを行なった．MSSフォーラムでの公募型実証実験が進む中で，各社の事業に関わる具体的なテーマでの取り組みが進行するようになり，産学官連携の研究体制を築いた当初の「参画メンバー間での共同での技術開発」という趣旨がそぐわなくなってきたことから，2020 年には MSS フォーラムの体制を変更し，MSS においセンサの情報共有の場として機能することとなった．2022 年には名称を MSS フォーラムから MSS パートナーシップに変更している．現在MSS パートナーシップは，様々な業界の企業が参画する MSS においセンサの情報共有の場として運営されている．3．2　国研発スタートアップの設立このような産学官連携の取り組みを通じて，NIMS の研究者は，学術的な研究活動だけでなく，MSS においセンサの社会実装に向けた研究開発や実証実験を行なってきたが，NIMS の研究者として取り組む上での様々な課題を感じるようになっていった．一つは，NIMS 研究者として企業と接する際の様々な制約である．NIMS は国立の研究機関であることから，企業との間では試料貸与や共同研究はできても，センサの販売や業務提携などはできなかった．しかし，様々な事情から，特別な契約を結ぶことなく MSS においセンサを購入して自社で検討を行いたいという企業は存在し，そういったニーズにアプローチすることが NIMS 研究者としてはできなかった．また別の要因として，MSS の技術を最もよく知っているのは研究者である自分たちであるという自負があった．MSS を用いて正しくにおいの測定を行い，その結果を正しく解釈するためには多くの知見が必要となる．また，現状の技術では解決できない技術的な限界もこれまでの研究開発から見えてきていることから，社会実装に向けて MSS においセンサの技術を適切に実産業に適応させるためには，測定対象や MSS においセンサを用いたアプローチが適切かどうかの目利きも必要にな表－1　MSSにおいセンサによる測定例測定対象 説明 出典香辛料 香辛料のにおいを識別． 20）， 22）飲料水 飲料水のアルコール度数をにおいから推定． 7）青果物 ラ・フランスのにおいから熟度を推定． 23）燃料油 燃料油の種類をにおいで識別． 8）水素 低濃度の水素を検知． 16）， 17）飼料 サイレージの品質を臭いにより評価． 24）水分 有機溶媒中の微量水分を検知． 14）空間臭 エッセンシャルオイルのにおいを検知． 25）呼気 呼気のにおいにより，がん患者と健常者を区別． 26）〜29）2024-06-17におい・かおり環境学会誌　 55巻 5号　令和 6年6る．このように，あるにおいの測定が MSS においセンサで可能か，可能であるならその測定条件はどのようなものか，という技術的な見通しを最もよく立てられるのは，これまで MSS においセンサの研究開発の中心にいた NIMS 研究者であることから，独自のビジネスモデルで MSS においセンサを活用し，自分たちの手でにおいセンサの市場を切り開いていきたいと考えるようになっていった．こういった背景から，NIMS からのスピンアウトとして会社を設立し，NIMS 研究者自らが事業を行うことでMSS においセンサの社会実装を行なっていくという構想ができ，NIMS の研究者である今村を中心にスタートアップの設立が進められていった．そして，2022 年に今村を代表とするスタートアップ「株式会社 Qception」が設立された．（図－4） 31）創業メンバーは，NIMS の研究者である今村と吉川，NIMS エンジニアである松阪に加えて，外部メンバーとして大澤を加えた 4 名により創業した．また，Qception は，NIMS 発ベンチャーの認定を受けており，NIMS からの支援を受けながら事業を行っている．Qception は，「においを測る文化を創る」というビジョンを掲げており，MSS においセンサの社会実装を通じて新しい価値の創造を目指している．3．4　Qception の事業Qception は，MSS においセンサの技術の社会実装を目的として設立されたことから，その事業の一部では，MSS においセンサに興味のある企業へのにおい測定支援や MSS チップの販売となっている．上記でも触れたように，NIMS としては MSS チップや測定器の販売はできなかったが，NIMS とは異なる法人である Qcep-tion であれば，自社事業としてチップの販売が可能となる．現在 Qception では，感応膜が塗布された 1 チャンネルの MSS チップを販売している．（図－5a）　感応膜は，特性の異なる 8 種類の材料を提供しており，ユーザーはこの中から自由に選ぶことができる．このセンサチップはアナログのセンサチップであり，読み取り用の回路を設計することでセンサの応答を得ることができる．一方で，このような回路設計をすることなく，単純にパソコン等の外部機器と接続するだけで測定データを取得できる簡易測定器の販売も行っている．（図－5b）　この測定器は，1 チャンネルの MSS チップのセンサ応答の時系列データを取得できる極めてシンプルなものであり，取得したデータを解析するための機能は搭載されていない．この簡易測定器の用途としては，例えば測定器を静置した状態でデータを取得し続け，においが測定器に達すると応答するというような使い方が考えられるが，基本的には MSS がどのような特性を持つのかをユーザーが評価するためのものという側面が強い．一方で，これまで NIMS の研究で行われてきたような標準的な測定（一定時間においをセンサに導入したのち，一定時間キャリアガスでセンサを洗浄する測定）を行うことのできる「標準モジュール」と呼ばれる測定器も存在し，NIMS 外部の者であっても使うことができるが，標準モジュールの利用は，2024 年 4 月現在，NIMS との間での試料貸与契約の締結が必要となる．現在，標準モジュールに準ずる販売できる測定器を Qception として開発中である．上記は，MSS に興味のあるクライアント向けに提供している販売事業であるが，具体的に測りたいにおいがあるクライアント向けのサービスであるにおい測定支援図－4　株式会社Qception ロゴマーク．図－5　 （a） Qception で販売している 1チャンネルMSSセンサチップ．（a） 簡易測定器．2024-06-17J. Japan Association on Odor Environment  Vol. 55 No. 5 2024 7の事業も展開している．これは，クライアントが抱えるにおい測定の課題に対して，MSS においセンサを使うことができるかどうかを評価するためのサービスである．具体的には，クライアントは Qception に評価したい試料を送付し，Qception 側で MSS においセンサを用いた測定を実施して，試料のにおいが測定可能かどうかの評価を行う．これにより，対象となる試料のにおいがMSS で測定可能かどうか，可能であるならばどの程度の難易度か（測定条件の厳密さ，測定に要する時間等）を評価することができる．ここで重要となる点は，測定の厳密さである．MSS に限らずにおいセンサは，様々な外乱の影響を受けてしまい，測定の再現性が悪いことが課題となっている．例えば，ある 2 つのにおいの測定を行なって両者で違いが現れたとしても，それがにおいではなく測定時の温度や湿度の違いであったり，直前に測定した試料の違いであったりすることが，においセンサではよく起こる．したがって Qception では，これまでの知見を活かして，外乱の影響を可能な限り排除した厳密に制御された測定系にて測定を行うことで，純粋なにおい由来のセンサ応答を得ることを重視し，この測定結果に基づいてにおい測定の可能性評価・難易度評価を行なっている．このような測定系は，厳密であるがゆえに測定系のサイズが大きくなったり，測定時間も長くかかってしまったりするといった課題があり，現場での使用の実態にそぐわないことがある．そこで，測定が可能であることがわかったら，次に，現場の実態に即してどれだけ厳密さを崩した測定が許容されるかを評価していく．このようなアプローチを取ることで，実際の産業の現場での MSS においセンサの実装を図っている．上記のような，クライアント側での MSS センサチップ・簡易測定器を用いた評価や，Qception が提供するMSS においセンサでのにおい測定可能性評価を通じて，対象となるにおい測定の初期的な評価を行い，そのにおいの測定を行うための技術的な課題の検証が済んだ段階で，具体的な製品の開発を進めていく．この場合，受託開発という形で Qception が主体となって製品を開発していくという進め方，クライアント側が主体となって製品の設計をして Qception は適宜助言をするという進め方，あるいは共同開発で一つの製品・サービスを両者で作り上げていくやり方など，最終的な製品の開発に関しては案件ごとに柔軟に対応可能である．3．5　生体ガス計測以上の事業は，クライアントのにおいの課題についてQception がソリューションを提供するという受け身のカラーが濃いビジネスであるが，Qception としても，自社の独自のビジネスとして注目している事業領域がある．それが，生体ガス計測である．前述のにおい測定例として挙げた呼気診断がその代表とも言えるが，生体から発生するガスは，その生き物の健康に関する情報が含まれている．したがって，生体から発生するにおいを測定することにより，健康情報の把握やモニタリングが可能となる．Qception では，この生体ガス計測の対象として，ヒトおよび家畜に注目してその事業可能性について検証を行なっている．ヒトを対象とした生体ガス計測としては，究極のアプリケーションとしては呼気診断が挙げられる．これまでに MSS においセンサを用いたがんの呼気診断可能性を実証していることから，これを事業化し，呼気のにおいを元にしたがんの診断，もしくはスクリーニングを行うことを目指している．このような医療分野におけるアプリケーションはニーズも大きく，市場規模も大きい一方で，技術的な難易度が高いこと，様々な認証と承認を得る必要があることから，長期的な研究開発として取り組む必要がある．このような医療分野におけるチャレンジングなテーマの手前の段階として，ヘルスケア分野での事業可能性も検討しており，呼気や皮膚ガスを用いたストレス・疲労度のチェックというようなアプリケーションについても，技術・ビジネスの両面で検討を行っている．さらには，より身近で直感的なアプリケーションとして，体臭・口臭のチェックも視野に入れている．ヒト以外を対象とした生体ガス計測として，畜産分野への応用も検討している．ヒトと同様に動物も，呼気や体臭，糞尿など，様々なにおいを発しており，それらには健康に関する情報が含まれている．このようなにおいをセンシングすることで，動物の健康に関わる様々な情報を取得することができる．特に畜産分野においては，家畜の健康管理は生産性に関わる重大な課題であり，さらに近年ではアニマルウェルフェアの観点からもその重要性が増している．近年は，畜産分野においても，人手不足の問題から事業の効率化が進められており，スマート畜産として ICT を活用した様々なサービスが現れてきていることから，家畜の健康管理ツールとしてにおいセンサの畜産分野での適応が期待されている．4． おわりに以上のように，MSS においセンサは，各要素技術の開発とそれらの統合を行うことで技術的な基盤が固まりつつあり，既に様々なにおい測定例が示されていることから，今後は実際の現場での応用に向けた展開が期待されている．この実応用化を進めていく上で Qception の果たす役割は大きく，様々な産業分野でのにおい測定のニーズに応えていくこと加えて，Qception 自身が着目する領域での新しいアプリケーションの展開が期待され2024-06-17におい・かおり環境学会誌　 55巻 5号　令和 6年8る．しかし，においセンサを社会実装していく上ではまだまだ課題が多いこともまた事実である．これまでにNIMS を中心に様々なにおい測定例が示されているが，それを事業として成り立たせるためには，再現性の向上や，測定の簡易化などが課題となってくる．また，におい測定の真のニーズを掘り下げていく作業も，においセンサの社会実装には必要不可欠である．においセンサの活用が有用と考えられていたものの，においセンサ以外の別の手法により解決できてしまう，ヒトが嗅いで判断した方が低コストとなる等，においセンサを導入するだけのメリットが実際にはなかったということを，筆者はこれまでのニーズ探索において頻繁に経験している．においセンサの社会実装に向けては，測定技術の向上も重要な課題ではあるが，産業的なニーズや現場のペインポイントを的確に把握し，それに応えることが可能なソリューションをにおいセンサで提供することが重要となる．視野を広く持ち，各産業分野で何が求められているか実際の現場の声を聞き，技術的な懸念事項を一つ一つ検証していくというような，一見すると泥臭い作業こそが，においセンサの社会実装に向けては最も必要な作業であるのかもしれない．キーワード：においセンサ，膜型表面応力センサ（MSS），におい測定，研究機関発スタートアップ参考文献1 ）Tahara, Y., Toko, K. : Electronic Tongues–A Review, IEEE Sensors Journal, 13 (8), 3001-3011, 2013. doi : 10.11 09/JSEN.2013.2263125.2 ）Persaud, K., Dodd, G. : Analysis of discrimination mech-anisms in the mammalian olfactory system using a model nose, Nature, 299 (5881), 352-355, 1982. doi : 10.1038/299 352a0.3 ）Yoshikawa, G., Akiyama, T., Gautsch, S., Vettiger, P., Rohrer, H. : Nanomechanical Membrane-type Surface Stress Sensor, Nano Lett., 11 (3), 1044-1048, 2011. doi : https://doi.org/10.1021/nl103901a.4 ）Loizeau, F., Akiyama, T., Gautsch, S., Vettiger, P., Yo-shikawa, G., de Rooij, N. : Membrane-Type Surface Stress Sensor with Piezoresistive Readout, Procedia Eng., 47, 1085-1088, 2012. doi : http://dx.doi.org/10.1016/j.proeng. 2012.09.339.5 ）Yoshikawa, G., Akiyama, T., Loizeau, F., Shiba, K., Gautsch, S., Nakayama, T., Vettiger, P., de Rooij, N. 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B5, 2-1-6 Sengen, Tsukuba-city, Ibaraki, 305-0047, Japan Research Center for Macromolecules and Biomaterials, National Institute for Materials Science, Senior Researcher,  1-1 Namiki, Tsukuba-city, Ibaraki, 305-0044, Japan Department of Information Systems Engineering, Graduate School of Information Science and Technology,  Osaka University, Guest Associate professor,  1-5 Yamadaoka, Suita-city, Osaka, 565-0871, JapanAbstract       The demand for odor sensors has been increasing in recent years, while technical issues have hindered the practical use of odor sensors. The National Institute for Materials Science (NIMS) has been playing a central role in the research and development of an odor sensor using a Membrane-type Surface stress Sensor (MSS) for practical use. In 2022, Qception Corporation was founded as a start-up company from NIMS. In this chapter, the technical description of the MSS-based odor sensor is explained. It also introduces the activities for the social implementation of the odor sensor, including an industry-ac-ademia-government collaboration. Finally, the business that Qception is working on is presented.Key words : odor sensors, membrane-type surface stress sensors (MSS), odor measurement, startups from research institutes2024-06-17