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[TODOROKI, Shin-ichi](https://orcid.org/0000-0003-3986-1900)

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[ファイバヒューズの伝搬挙動](https://mdr.nims.go.jp/datasets/b6e6bf86-b916-4d14-9b14-f228dc1dec6c)

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Chapter 20ファイバフューズの伝搬挙動∗轟 眞市物質・材料研究機構Japan1 緒言ファイバフューズとは、光ファイバがその伝搬光のエネルギーを消費して自己破壊を続ける現象のことである。そのきっかけは、強い光を伝搬している光導破路構造に対する局所的な加熱である。その典型的な例は、数Wの光を伝搬しているシリカガラス製単一モード光ファイバで観測される (図 1参照)。ひとたび、高密度プラズマ (あるいは光学的放電)がコア部分に閉じ込められると、それはレーザー光のエネルギーを消費しながら光源に向かってファイバに沿って移動を始め、その跡に中空な損傷の列を残す。よってこの現象は、現在の光通信システムに回避しがたい制限を課すことになる。すなわち、ファイバ 1本あたりの光強度が制限されるので、今後増え続ける通信容量需要を支えきれなくなることが懸念されている。ファイバフューズについての最初の口頭発表は 1987年に Kashyapによってなされ [4]、続いて翌年に学術論文が発表された [1]。その当時、光通信における重要なマイルストーンが次々と達成されていたことは注目に値する。例えば、シリカガラス製光ファイバの究極的な損失低減 [2]や、Erドープ光ファイバ増幅器の発明 [3]である。世間をあっと言わせたこの破壊現象は、発見以来興味を引き続けていたに違いないのだが、ファイバフューズを取り扱う研図 1 ファイバフューズの点火 (右)と伝搬 (左)のビデオ映像のスナップショット。シリカガラス製単一モード光ファイバに 9 W、1.48 µm の光を注入して撮影した。伝搬速度は約 1.2 m/s。右の連続写真の間隔は 1/30 秒。参照: http://www.youtube.com/watch?v=yjX5dU1EkTk (表 3も参照)∗ 本文書は、S. Todoroki: “Fiber fuse propagation behavior” Selected Topics on Optical Fiber Technology (Eds. by Y. Moh, S. W. Harun and H.Arof), InTech, Croatia, chapter 20, pp. 551–570 (2012) ISBN: 978-953-51-0091-1の著者訳である。刊行後の修正点は文中に赤字で示してある (2012年 2月 22日現在)。http://www.intechweb.org/books/show/title/selected-topics-on-optical-fiber-technology551究者の数が増えるのは今世紀に入ってからのことであった (図 2参照)。その理由は高出力光源の進歩である。西暦発表数0204060801001985 1990 1995 2000 2005 2010形式予稿論文図 2 ファイバフューズの講演と論文の数の変遷。実線が累積数、棒グラフが年毎の内訳。出典:http://www.geocities.jp/tokyo 1406/node3.html (表 4も参照)これら研究のほとんどは実用的な見地からなされており、ファイバフューズの防止や停止のための技術が占めている。それに加えて 2003年以降、理論的あるいは微視的視点からの研究がなされるようになった (図 3参照)。本稿は、ファイバフューズを内部構造の無い点の移動として巨視的に捉えた研究を第 2節で簡潔にまとめた後、移動するプラズマの微視的挙動を周期的空孔生成との関連で論ずる (第 3節)。すべての記述は特に記載の無い限り、シリカ系ファイバに関したものとする。理論 実験マクロミクロ• 障害対策研究• 停止デバイス• シミュレーション• 散逸ソリトン• 空孔生成と不安定性 • その場観察Shuto (’03),Yakovlenko,AkhmedievKashyap (’87), Hand,Dianov, ...,Abedin, ...Atkins (’03),YakovlenkoTodoroki (’04),Bufetov図 3 ファイバフューズ研究の分類表。主なキーワードと研究者名を記した。2 巨視的挙動2.1 ファイバフューズの生成、伝搬、およびその損傷そもそも光ファイバーとは、光をできる限り遠くに伝えるべく透明さが追求されてきたものである。よって、その光ファイバが光で壊れる、とは一見奇妙なことの様に思える。しかし、導波路を構成する材料の光吸収が高温で増加することに着目すれば、それは理にかなっていることに気づく。すなわち、加熱がファイバフューズの生成には不可欠な過程なのである。Kashyapは、1 mの単一モード Geドープシリカガラスファイバにおける光吸収が、1050 ◦Cを境に急上昇すること552を報告した [4] (図 4参照)。この吸収の原因として、首藤らは以下の 3つの要素を提案した [5]: (i)点欠陥 (Ge E′ 中心)生成 (式 (1)および (2)参照)、(ii) Geドープシリカコアの熱イオン化による電子伝導 (式 (2))、および (iii)シリカガラスから熱化学的に生成した SiO (式 (3))。Davisらはファイバフューズ生成に必要な限界値は、典型的な単一モードファイバであればファイバの種類やコア組成にかかわらず、3 MW/cm−1 (λ = 1.06 µm)程度であることを報告している [6]。Silica glass fiber(1 m, 1.064 µm)20001500100050000 50 950 1050 1150900 1000 1100温度, ℃光吸収, dB/km図 4 単一モード Geドープシリカガラスファイバにおける光吸収の温度依存性 [4]。\−Ge/−O −/Si−\−→\−Ge/−/Si−\+12O2 ↑ (1)\−Ge/−/Si−\−→\−Ge/•/Si+−\+ e− (2)SiO2 −→ SiO +12O2 ↑ (3)SiO −→ Si + O −→ Si+ + O+ + 2e− (4)ファイバフューズの挙動において、もうひとつ一見不思議に思えることは、輝く点が光源に向かって移動することである。しかし、これは野火との比較を考慮すれば直感的に理解できる (図 5参照)。火、あるいはプラズマの孤立波が、非可逆反応の領域として永続し、前方からエネルギーを供給され、光と熱を周囲に発しながら、燃えカス、あるいは損傷を背後に残す。このような孤立波は、後で議論する「散逸ソリトン」として取り扱うことができる。~Wレーザー光光ファイバ 損傷（空孔）図 5 野火とファイバフューズ。左: UNESCO世界遺産のひとつである奈良に位置する早春の若草山での野焼きc©Yoshitaka Inoue、右: 伝搬する反応領域に対するエネルギーの入出力を矢印で示す。553ファイバフューズの反応領域においては、イオン化したガスプラズマが溶融ガラス層に閉じ込められ、この状態がレーザーから注入されるエネルギーによって維持される。首藤は、プラズマのほとんどは式 (4)で表される反応で生成されるとした [7]。その温度は数千 Kを越えると推定されている [8, 9]。ファイバフューズの伝搬速度とその注入エネルギー強度依存性は、さまざまな研究者が検討している。その速度はおおむね毎秒 1 m程度であり、レーザー強度に対してほぼ線形に増加する。しかし Davisらは、パワー密度に対する傾きがファイバの種類によって異なることを指摘している [10]。ファイバフューズが伝搬を維持できる限界強度、Pth に関しては、Dianovらによると、モードフィールド径 (MFD)、2rs、がもっとも関連の強いパラメータであり、波長 1.06–1.48 µmの光を注入したさまざまな種類のファイバーにおいて、限界エネルギー密度がMFDに対してほぼ反比例すると報告されている [11, 12]。他方、瀬尾らは Pth とMFDとの線形関係を指摘したが [13]、これは Dianovらが指摘した関係と並列関係にある。表 1に、いくつかの標準的なシリカ系ファイバにおける Pth 値を示す。表 1 代表的なファイバに対するファイバフューズの伝搬限界強度、Pth。文献 [14]の図 6も参照。ファイバ Pth/W λ/µm Pth/W λ/µmSMF 1.0 1.064 1.4 1.467 Seo et al. [13]∼1.2∗ 1.48 Todoroki [15]1.15 1.31 1.28 1.48 [48]1.39 1.55 Abedin et al. [16]DSF 1.2 1.064 0.65 1.467 Seo et al. [13]∼1.1 1.55 Abedin [17]DCF ∼0.7 1.55 Abedin [17]DSF: Dispersion Shifted Fiber (分散シフトファイバ),DCF: Dispersion Compensating Fiber (分散補償ファイバ)∗: タイトバッファ付きファイバ ([48]参照)ファイバフューズが通過したあとには、中空な損傷の列が残されており、そのファイバはもはや光を通すことができない。図 6にその例を示す。ファイバフューズは右から左に移動し、注入エネルギーを徐々に減少させた結果、矢印の場所で停止した。空孔をとり囲んでいる水平に伸びる境界線の対は、高温プラズマの通過によって変質した部分である。この直径は、もともとあったコアの径 (矢印の左側参照)よりも大きくなっており、注入エネルギーが増えると増加する。図 6 A fiber標準的な単一モード光ファイバ (Corning社製 SMF-28)に残されたファイバフューズによる損傷列。ファイバフューズ点火後に注入レーザー光 (1.48 µm)を 7 W (c)から、3.5 W (b)、∼1.2 W (a)と絞っていき、矢印で示した部分で自然停止した。空孔の中には、顕微 Raman分光法によって O2 ガスの存在が示された [4]。周囲のガラス層は高密度化していると思われるが、それを支持する証拠として Dianovは、空孔周囲の屈折率が上昇したこと、その後 1000 ◦Cで数秒加熱すると減す少るすることを報告した [18]。空孔列の先頭は、光を再注入すると強い散乱源となり、周囲の被覆やナイロンジャケットを燃やすことが報告されている [19]。5542.2 散逸ソリトンと停止技術ファイバフューズを停止させるためには、移動するプラズマに対するエネルギーの入出力に注目する必要がある。「散逸ソリトン」は、この目的に対して有用な概念であり、Akhmedievらによって次の様に定義されている [20]。散逸ソリトンとは局所的な構造であって、その構造内の一部がエネルギーあるいは質量の利得と損失を伴っていても長時間にわたって存在するものである。· · ·この孤立波は、非平衡な「開放」系で存在する。図 7は、エネルギーあるいは質量の移動を伴う散逸ソリトンと古典的ソリトンを比べて図示したものである。エネルギー／質量輸送温度反応域INOUT図 7 散逸ソリトンと古典的ソリトンの比較。このエネルギーの流れに基づいて、ファイバフューズ伝搬の計算機シミュレーションが試みられており、その伝搬速度の実験値を再現することに成功している。これらの計算に用いられたエネルギーの流れを記述する方程式を表 2に示す。吸収係数に関しては、Rochaらは Arrhenius形式、α = α0 exp(−T ′/T )を用ている [21]のに対し、他の研究者は図 4に示した温度依存性を再現する専用の関数を使っている。表 2 ファイバフューズ伝搬のシミュレーションに使われた方程式。ρ: 密度、Cp: 比熱、T : プラズマの温度、T0:周囲の温度、α(T )及び αArr: 吸収係数 (本文参照)、κ: 熱電導度、σs: Stefan-Boltzmann係数、εe: 表面放射率。光誘起生成熱 熱拡散 熱放射Shuto et al. (2004) [22],Golyatina et al. (2004) [23] : ρCp∂T∂t= α(T )I +κ(∂2T∂z2+∂2T∂r2+1r∂T∂r)Akhmediev et al. (2008) [24] :∂T∂t= χα(T )I +D∂2T∂z2−k(T − T0)Rocha et al. (2009) [21] : ρCp∂T∂t= αArrI +κ∂2T∂z2−σsεe(T4 − T 40 )首藤らは、極座標を用いて精密な計算を行った [22]。その際、放射熱は境界条件の形で取り扱っている。彼らはさらに、伝搬速度の波長依存性および注入エネルギー密度依存性も議論している。Akhmedievらは、単純な一次元計算に基づいて、ファイバフューズ伝搬が散逸ソリトンとして取り扱えることを示した [24]。Rochaらは、ファイバ表面からの放射熱項を導入し、MFDと α0 を使って 3種類の異なるファイバについて計算を行った [21, 25]。散逸ソリトンが消滅するのは、エネルギーあるいは質量の供給が低下するか、熱や光の散逸が増大して、系のパラメータが、孤立波が存在可能な範囲を逸脱してしまう時である。ファイバフューズの場合、注入されるエネルギーが限界値 Pth よりも低下したり、エネルギーの放出が増大したときに停止する。これは、多くの研究者が提案している「ファイバフューズ停止デバイス」を設計する際の指針となる。Handらは、注入レーザー光が拡大するように導波構造を調整した区間において、ファイバフューズが停止することを示した [26] (図 8 (a)参照)。これは、コア領域におけるエネルギー密度が低下することで、プラズマへの供給が枯渇するためである。その後、柳らは実用的な着脱可能デバイスを開発した [27]。しかしこのデバイスは、あらかじ555め想定した上限値を越えるエネルギー強度を注入されたファイバフューズを停止させるとこができない点に注意する必要がある。図 8 インラインファイバフューズ停止デバイスの導波構造。(左)モードフィールド拡大、(中)エッチングによるくびれ形成、(右)従来のファイバに空孔アシストファイバを融着。Dianovらは、図 8 (b)に図示したような、クラッド層を化学エッチングで薄くする構造を提案した [28]。ファイバフューズはここで捕捉される。なぜなら、この強度が低下した部分はプラズマの圧力を保持できずに変形してしまうからである。竹永らは空孔アシストファイバ (HAF)におけるファイバフューズ伝搬が従来のファイバに比べて起こりにくいことを発見した [29]。フューズが停止する場所はこれらのファイバの融着点付近であり (図 8 (c)参照)、HAF側への進入深さは注入エネルギーが減ると増加する。このことから、空孔がプラズマの内圧を開放することで不安定化してしまう、と考えるのが合理的である。半澤らは、この挙動を超高速カメラで直接観察した [30]。ホーリー (穴あき)ファイバを使ったデバイスの別の例は第 2.3節で触れる。ファイバフューズを停止させるもう一つの方法は、ファイバフューズの伝搬を検知して光源を止めてしまうことである。Abedin らは、空孔列からの反射光を遠隔検知する方法を提案した [31] (図 9 (a) 参照)。すなわち、ファイバフューズの点火後に、光コヒーレンス後方散乱計測において特徴的な信号が現れることを利用するのである。光源光検出器スペクトルアナライザ1% (1)(2)(3)(4)光読み出し機(1)(2)(3)FBG(4)光源図 9 ファイバフューズ停止デバイスの構成図。左: 後方反射光の検出、右: 温度上昇の監視。(1)点火後の伝搬、(2)信号の検出、 (3)光源の遮断、および (4)停止。Rochaらは、ファイバ Bragg格子を温度センサーとして用い、線路に熱的に接触させることでフューズを検出できることを示した [32] (図 9 (b)参照)。すなわち、光モニターによって Bragg波長の増大を監視し、ファイバフューズの通過に伴って数℃上昇する熱パルスを検出した。2.3 特殊な状況下でのファイバフューズファイバフューズは CW レーザーだけでなく、パルスレーザーでも発生する。Kashyap の報告によれば、モードロックは損傷の伝搬速度にほとんど影響を与えないが、周期的空孔の形状は大きく変化する [4]。Dianovらは、Qスイッチレーザ (波長: 1.064 µm、パルス周波数: 5 kHz、パルス持続時間: 250 ns、パルスエネルギー: 最大 0.6 mJ、最大パルス強度: 3.0 kW (平均 3.8 W))を用いると、爆発のような伝搬モードが観測され、その速度は 3 km/sに達したと報告している [33]。プラズマはパルスの存在期間にのみ現れ、損傷によって直径 120 µmに達する大きなクラックが発生した。特殊なファイバを使った例がいくつか報告されている。Lee らは、偏波保持ファイバでのフューズ伝搬を検討し、高速軸モードで発生させたフューズの伝搬限界値が、低速軸モードにおけるものよりも大きいことを見出した [34]。Wangらは、高出力用二重クラッドファイバにおけるクラックの伝搬をとらえた損傷写真を示している [35]。556フォトニック結晶ファイバ (PCF)もファイバフューズを伝搬させる。しかし Dianovらは、その伝搬限界値は従来のファイバよりも約 10倍大きいことを示している [36]。その理由は明らかに、HAFと同じである。すなわち、空気孔がプラズマ密度を減少させるからである。よって、このファイバを使っても、ファイバフューズ停止デバイスを作ることが可能である。黒河らは PCFと従来のファイバとの融着点において、フューズの停止をその場観察した [37]。Haらは中空光ファイバを使った停止器を提案している [38]。Dianov らは、1W 以下の光を注入した硫化物ガラスファイバおよびフッ化物ガラスファイバの破壊を報告した[11]。プラズマの無い破壊を伴う波が観測され、ファイバの断面全体が熱的に分解した、としている。その理由は、これらの材料は、シリカガラスに比べてずっと低い温度で分解する点にある。3 微視的挙動ファイバフューズに特徴的なもうひとつの挙動は弾丸形状の周期的空孔生成である。これらの空孔はプラズマが通過した直後に形成されることが、超高速写真により実験的に確かめられている ([12, 39]、あるいは図 10参照)。図 10 9 W 1480nmの光を供給されているファイバフューズの伝搬を捉えた超高速写真 [40]。個々の周期的空孔(22 µm間隔)からの散乱光が移動するプラズマの背後にはっきりと写っている。この空孔形成の駆動力になるものとして、2つの考え方が提案されている。Atkinsらは、水滴の落下や流体中の気体ジェットからの類推から、プラズマと溶融ガラスの境界面を最小にする様な Rayleigh不均一性、あるいは正の界面張力、を示唆している [41] (図 11参照)。一方、Yakovlenkoはこの考えが不十分であること、すなわち溶融シリカの高い粘性や表面張力が高温で消失することを見落としている点を指摘した上で、その駆動力として、プラズマ-液体境界面に誘起された負電荷同士の静電的反発を提案した [42, 43]。しかし、どちらの考え方も、空孔が弾丸形状になることを説明できていない。Yakovlenkoは、移動するプラズマ周囲の温度分布をシミュレーションしたところ弾丸形状がみられたと報告しているが [49]、それが時間軸で周期的に現れるか否かの言及まではしていない。他方筆者は、周期的空孔生成のしくみを実験を通じて、すなわち空孔の形状解析と超高速撮影によって検討してきた。第 3.1節では、周期的空孔生成に必要な条件を議論する。次に、中空な融液が冷却を契機に変形することを、損傷写真の統計的解析で明かにする (第 3.2節)。最後に、弾丸形状の空孔が生成する仕組みを提案する (第 3.3節)。すべての記述は、特に断りの無い限り、シリカ系のステップインデックス型単一モード光ファイバについてのものである。3.1 中空な損傷形状のレーザー光強度依存性フューズによる損傷はすべて弾丸形状になるわけではないことに注意する必要が有る。図 12 は、光源 (1.2–9 W,1480 nm, CW)の電源を落とした後に Corning社製 SMF-28ファイバに残されたフューズ損傷の先頭部分の写真である [15]。弾丸形状の空孔が現れるのは、レーザー光強度が 2 W 以上の場合 (see (a)–(d)) か、伝搬限界値付近である557(1) (2)Air pump図 11 Rayleigh不安定性による流体崩壊の例。(1)水流から水滴への崩壊 ([44] p.131参照)、 (2)水流内の気泡列([45] p.540参照)。∼1.3 Wの時 (g)である。後者のモードは、レーザー強度や導波路構造のゆらぎに対して非常に不安定であり、周期性が消失したりフューズが消滅したりする*1。前者の安定なモードでは、周期的空孔の間隔はレーザー光強度と共に増加し、細長い空孔が損傷列の先頭に残される。図 12 単一モードシリカガラスファイバ (Corning SMF-28) 内に生成したファイバフューズによる損傷の先頭部分の光学顕微鏡写真 [15]。注入レーザー強度 (波長: 1.48 µm)は以下のとおり。(a) 9.0 W, (b) 7.0 W, (c) 5.0 W, (d)3.5 W, (e) 2.0 W, (f) 1.5 W, (g) ∼1.3 W, and (h) ∼1.2 W. (a)と (e)の上下に写った細い線は、直径 125 µmのファイバの縁である。これらの先頭部分の空孔は、移動するプラズマの状態を調査するのに貴重な痕跡である。実際、これらの写真は、図 13に示すファイバフューズ伝搬のそのば撮影画像と良い一致を示している。すなわち、両方共、供給エネルギーが 2 W以上の時は、ファイバ軸方向の形状が非対称である。よって、この非対称形状が、安定した周期的空孔生成の原因と期待される。しかし、このその場画像は、その解像度が荒いために、空孔生成プロセスについてのこれ以上の情報を引き出すことは難しい。よって次の節では、これらの代わりに損傷の形状を分析する。3.2 急冷中の中空融液の変形空孔一個を形成するのに掛かる時間は、伝搬速度と空孔間隔から算出することができ、数十マイクロ秒のオーダーと見積もられる。例えば、図 12(a)–(d)に示した周期的空港の場合、18.7 µs (9 W)から 25.4 µs (3.5 W)となる。この間に、プラズマは等速移動することが分かっている [47]。このサイクルの中で、光源を遮断した瞬間が異なれば、損*1 例えば、文献 [46]の Fig. 2に示したビデオでは、フューズがナイロンジャケットの被覆を剥いた区間にある融着点を通過した直後に停止している。558図 13 ファイバフューズから放射された可視光の超高速写真 (左、灰色階調の画像をカラー階調の画像に変換してある。露光時間: 1 µs)および各画像内の破線に沿った強度分布 (右)[15]。注入レーザー強度 (波長: 1.48 µm)は以下のとおり。(a) 9.0 W, (b) 7.0 W, (c) 5.0 W, (d) 3.5 W, (e) 2.0 W, and (f) 1.5 W.水平方向の各矢印は、40 µ秒間にプラズマが移動する距離を示す。傷構造も異なることが期待できる。そこで、様々な損傷パターンを得るために少なくとも 40個の試料を作製した。さらに、融液の冷却速度を最大化するために、ファイバフューズを停止させる区間を覆っている色つきナイロン製ジャケット (0.9 mmφ)を、あらかじめ除去した (最大で 20 cm)。そうする理由は、このジャケット内の顔料が内側からの可視光放射を散乱させ、そのうちの後方散乱光が融液内の光吸収体 (式 (1)–(3)参照)に再吸収されて発熱するからである。この光熱変換は、ファイバフューズ伝搬中も起こっているが、停止する直前の裸のファイバの区間では存在しない*2。損傷形状を正確に比較するためには、レーザー強度に対して敏感に変化する空孔の大きさを、適切に規格化する必要が有る。例えば、9 W 1480 nm の光で作製した 81 個の試料の空孔間隔 Λ は、21.7 µm から 22.7 µm までの値をとった。これは、注入レーザー光強度の変動や、光源からニューズまでに生じたファイバの損失が原因であると考えられる。よって、Λに基づく次の 2つのパラメータを定義した。x′1 = x1/Λ, l′2 = l2/Λ (5)ここで x1 は Λ間隔の仮想目盛における 1番目の空孔の先頭位置を示すパラメータ (図 14の縦線参照)であり、l2 は2番目の空孔の長さである。図 15の左側 ((1) –(6))は、9 W 1480 nmの光で作製したの試料写真の一部であり、x′1 が増加する順に並べてある。これは、空孔生成サイクル内で時系列順に再配列することを意図している [47, 15]。これらの写真から、x′1 の増加とともに l′2 が減少する傾向が見て取れる (挿入表も参照)。40試料すべてについての相関関係を図 16の左に示す。これらの一連の写真は、先頭の長い空孔が融液の架橋によって 2 つに分かれていく様子を捉えたように見える[47, 15]。しかし、ひとつ注意すべき点として、これらの構造はファイバフューズの冷却期間の間に緩和した可能性があることが挙げられる。幸い、この問題の鍵となる現象が、図 16の右側の l′2 分布に現れている。すなわち、l′2 の分*2 裸のファイバにおけるプラズマの減衰時間は 7 µs以下と報告されている [47]。この光熱変換の詳細な記述を今後発表する予定である [48]。559Λlx1 2Top 2nd 3rd 4th 5thx +nΛ1図 14 式 (5)で定義したパラメータ。縦線は、弾丸状空孔の底に位置するように Λ間隔で配置してある。よって、最初の空孔の先頭から周期的空孔までの距離は、x1 + nΛ (n: 自然数)で表される。急冷 徐冷x′1 l′2 x′1 l′2(1) –0.16 (=0.84) 3.52 (7) –0.10 (=0.90) 2.20(8) 0.13 2.68(9) 0.18 1.54(2) 0.19 0.93(3) 0.43 0.82(4) 0.57 0.44(5) 0.66 0.42(6) 0.79 0.40Λ = 22.1 µm Λ = 21.9 µm図 15 9 W 1480 nmの光を供給して生成した損傷部分の光学顕微鏡写真。(1) – (6): 冷却点のプラスチック被覆を除去した試料、および (7) – (9): 被覆付きの試料 (本文参照)。一番下の (2’)は、上の (2)と同一の写真だが、22.1µm左側にシフトしてある。挿入表には、式 (5)で定義した寸法パラメータを示し、それらは表 16および 17において赤い点でプロットされている。急冷先頭空孔の相対位置, x'12番目の空孔の規格化長, l'20.00.51.01.52.02.53.03.51.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0-0.2-0.4出現頻度 (総数: 40)0.00.51.01.52.02.53.03.50 5 10 15図 16 9 W 1480 nmの光を供給したファイバフューズを、被覆除去した区間で停止させてできた損傷試料 (本文参照)の寸法パラメータ x′1 と l′2 との相関 (左)と、l′2 の分布 (右)。赤い点は図 15における試料 (1) – (6)に相当。560布が 1.0以下の値に強く偏っているのである。言い換えれば、図 15の (1)のような空孔構造 (l′2 > 1.0)は、(2) – (6)の構造よりも現れにくいのである。もしこれらの構造が冷却の間に安定に存在するなら、l′2 分布は冷却速度に依存しないと期待される。そこで、もう一群の試料を作製し、その際、ファイバフューズはナイロンで被覆された区間 (外径 0.9 mm)で停止させた。以後、これらの試料を「徐冷」、先ほどの試料を「急冷」と呼ぶことにする。図 17に示す結果は、明らかに図 16と異なっている。x′1 と l′2 の相関はかなり弱くなり、l′2 分布は平坦になった。徐冷先頭空孔の相対位置, x'12番目の空孔の規格化長, l'20.00.51.01.52.02.53.03.51.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0-0.2-0.4出現頻度 (総数: 41)0.00.51.01.52.02.53.03.50 5 10 15図 17 9 W 1480 nmの光を供給したファイバフューズを、被覆付きの区間で停止させてできた損傷試料 (本文参照)の寸法パラメータ x′1 と l′2 との相関 (左)と、l′2 の分布 (右)。赤い点は図 15における試料 (7) – (9)に相当。この挙動は次の様に仮定するとうまく説明できる。すなわち、プラズマを取り囲む融液は、プラズマが消滅した後、融液が固まるまでに、その内部に「橋」を形成する傾向がある (図 18の下側の白い矢印を参照)。言い換えれば、冷却が始まったのち、細長い中空空間 (l′2 < 1)を有する融液は不安定になって、橋を形成する (l′2 > 1)。この時、橋の位置は、レーザー光が遮断されるタイミングにほとんど影響を受けず、その結果生じる構造には、x′1 と l′2 の相関がみられなくなる。さらに、徐冷された試料の橋の幅は、急冷試料の幅よりも大きい (compare図 15 (7) – (9)と (1)を比較のこと)。これは、徐冷によって橋の成長が促されたものと考えられる。この架橋の駆動力として考えられるのは、まず第一に、レーザーの遮断とそれに続くガスの蒸着による空孔内の急激な圧力／温度低下であり、第二に、ガラス融液の負の表面張力 [49]である。表面張力の温度依存性は、Eötvösの式、γ(T ) = k(ρ/M)2/3(Tcr − T )で与えられる。ここで kは定数、ρは密度、M はモル重量、Tcr は臨界温度である。シリカ融液に対する実験値は計測されていないが、Yakovlenkoは、表面張力は高温 (3000K以上)で負になり、表面の形成が促進されると指摘した。となると、図 15 (1)のような l′2 > 1となる急冷試料内に残る架橋は、おそらくレーザー光が遮断された後に形成されたと考えられる。図 16に示されている様に、l′2 > 1を与える試料の出現確率が低いことがこの仮定を支持している。さらにこれは、図 19の左に示すファイバフューズ伝搬のその場撮影結果により確かめられた。もし、架橋が急冷前、すなわち伝搬中に起こるのであれば、橋からは光が放出されないはずである。しかし、強度分布の中央には暗い領域が存在してない。このことは、強度分布を右側の写真と比較すれば、よりはっきりと理解できる。これらの写真は、強度分布と以下の 2つの点で一致するように配置してある。(1)強度分布の最大幅が、先頭の空孔の長さと一致 (緑の矢印参照)、および (2)縦点線上に有る弱い散乱点が、縦実線上の周期的空孔の先端に一致。青い矢印は、この比較をするための参照点である。結局、移動するプラズマを取り囲む融液は、光源が遮断された後、空孔内に橋を形成する傾向があることが分かっ561徐冷伝搬急冷 l’  > 12l’  < 12(a-3)(c)(b)冷却(a-2)(a-1)図 18 ファイバフューズの伝播時と冷却時における空孔生成モデル。架橋は白い矢印で示してある。(この図に関する議論の改訂版の公表を現在準備している。)図 19 9 W 1480 nmの光を伝搬している単一モード光ファイバに発生させたファイバフューズのから発せられる可視光の強度分布 (左、露光時間: 0.37 µs)と、比較のために同一の条件で作製した中空な損傷の写真 (右)。縦線の間隔は 22 µm。縦点線は周期的空孔からの散乱点に一致する様に配置した。写真は、図 15 (2)および (4)で示したものと同一である。た。しかし、この動きは、急冷によって抑制される (図 18 (b)参照)。よって、このような橋の無い急冷された中空損傷、すなわち図 15 (2) – (6)に示されたものは、ファイバフューズ伝搬における周期的なプロセスを論じる際の有用なデータとなる (次節参照)。3.3 ファイバフューズ伝搬中の橋の形成図 15 (2) – (6)に示した配列によれば、橋の形成は (6)と (2’)の間で起きている。プラズマの最高温部はこの場所を約 120 µ秒前に通過したことになるので、その温度は低下しつつある。その冷却速度は、光源を瞬断する場合に比べてさらに小さいと考えられる。なぜなら、高温のプラズマはまだ存在しており、毎秒約 1m(= 1 µm/µs)の速度で遠ざかっているからである。よって、図 18(a-1)と (a-2)に示されているこの状況は、橋が高温のプラズマに押し込まれる562ことを除けば、徐冷した場合 (下側の白い矢印参照)とほとんど同じと考えられる。この圧縮動作は、周期的空孔が弾丸形状になる理由となる。この過程は図 15 (2) – (6)に示す写真に凍結されている。橋が現れたのちに、切り離された空孔は高温のプラズマからの圧により収縮しはじめ、周囲の融液が固まるまで続く。新しい空孔の後ろ側は、前側よりも早く固化するので、後ろ側は丸く、前側は平らになる。興味深い点は、図 19の左側に示すその場観察の結果の中に、架橋の前兆が記録されていることである。発光強度分布の末尾に弱い変調が現れ、その間隔は周期的空孔の間隔と一致している。しかし、この変調は注入レーザー光が9 Wの時しか現れない (図 13の黒矢印参照)。この変調は、Atkinsや Yakovlenkoが提案した、プラズマあるいは周囲の融液の不安定性 (Rayleigh不安定性 [41]、および誘起された静電反発 [42])を示唆しているのかもしれないが、引き続き検討する必要がある。この空孔形成過程は、外部条件を操作することによって変化する場合が有る。Bufetovらは、LP01 と LP02 モードが干渉する条件にある光ファイバにおいて、長周期的空孔列を観測した [50]。図 20に、空孔列とそれを囲む屈折率が変化した領域を示す。この間隔は、干渉パターンの間隔と一致することが見出された。ヒューズの伝搬方向a ab b図 20 波長 1.07 µmの光の 2つの伝搬モードが干渉する様に設定された光ファイバに残された、長周期空孔列。この図は、文献 [51]中の写真から複製した。クラッド径は 125 µm。縦の点線は、赤のハッチ領域として示されている屈折率変調領域の変曲点上に配置してある。一方筆者は、図 21に示すような、コア径の異なる融着点を通過する際の、周期的空孔パターンの乱れを報告した[52]。移動するプラズマは、HI 1600から SMF-28eへとコア径が拡大する時に空孔生成を一時的に停止し、コア径が減少する時に細長い空孔を残している。興味深いのは、Bufetovの場合でも干渉の変曲点上で同様の傾向を示していることである。すなわち。モードフィールドが拡大する区間で空孔列は消え (図 20の破線 b参照)、モードフィールドが小さくなると長い空孔が現れる (破線 a)。さらに、いくつかの空孔は、平らな部分を有し、その方向は通常の弾丸状空孔とは逆の方向に現れる (図 20および 21の矢印参照)。この挙動は、プラズマの内圧が変化しているためと考えられる。この仕組みを解明するためには、移動するプラズマのその場観察や急冷した空孔試料の統計的解析などの検討が必要となるであろう。図 21 Corning社製 HI 1060と SMF-28eの融着点におけるファイバフューズ損傷の写真。クラッド内に見える中空球は、2 つのファイバの境界に位置しており、融着時に偶然取り込んでしまったものである。フューズの発生は、1070 nm 9 Wの光で行った。この光は SMF-28e中では多モードで伝搬する。5634 まとめ1988年以降のファイバフューズの伝搬に関する知見を簡単にまとめた。この奇妙な現象は、巨視的に見れば、散逸ソリトンという概念と野火との類似性に着目することで容易に理解できる。熱で誘起されたシリカガラスの強い光吸収と、レーザーエネルギーの極度に集中した供給が、閉じ込められたプラズマの光源方向への移動を促し、その背後に壊滅的な損傷を残す。この周期的空孔生成過程は、微視的な観点に立つことにより、すなわち空孔形状の統計的分析と超高速ビデオ撮影により明らかになった。損傷列の弾丸形状は、移動するプラズマの背後にある中空のシリカ融液内の内因的な架橋生成と、それに続くファイバに沿った急激な温度勾配下での空孔の圧縮の結果により生じたものと説明できる。謝辞超高速ビデオ撮影実験にご協力いただいた、相澤啓助氏、三原新氏、鈴木洋介氏に謝意を表する。表 3 ネットで閲覧できるファイバフューズのビデオ一覧。∗: 超高速ビデオ、†: 第 3.2章の議論に基づき内容の更新が必要 (すべての試料が徐冷されているため)。ファイバヒューズ高品質画像集も参照されたい。http://imeji.org/collections?q=todoroki[15] [46] [52]点火: — Fig. 3∗ —伝搬: Fig. 1, Fig. 3∗ — Movie S1∗ & S2∗自然停止: — Fig. 2, Fig. 7∗ —空孔生成モデル:† Fig. 7 — —参考文献[1] R. 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[39] Todoroki [15]Todoroki [47]Todoroki [46]’06 Lee et al. [34] Dianov et al. [33]Dianov et al. [9]Yakovlenko [43]Yakovlenko [49]’07 Bufetov et al. [51]’08 Bufetov et al. [50] Takenaga et al. [14]Akhmediev et al. [24] Takenaga et al. [29]Wang et al. [35] Todoroki [52]’09 Abedin & Morioka [16]Abedin et al. [31]Rocha et al. [21] Abedin [17]’10 Shuto [7]Rocha et al. [25] Hanzawa et al. [30]Ha et al. [38] Kurokawa & Hanzawa [37]’11 Rocha et al. [32] Yamada et al. [19]Todoroki [48][8] D. P. Hand and P. St. J. Russell: “Solitary thermal shock waves and optical damage in optical fibers: the fiber fuse”,Opt. Lett., 13, 9, pp. 767–769 (1988).[9] E. M. Dianov, V. E. Fortov, I. A. Bufetov, V. P. Efremov, A. E. Rakitin, M. A. Melkumov, M. I. Kulish and A. A.Frolov: “High-speed photography, spectra, and temperature of optical discharge in silica-based fibers”, IEEE Photon.Technol. Lett., 18, 6, pp. 752–754 (2006).[10] D. D. Davis, S. C. Mettler and D. J. 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