# Fileset

[測定法_20230220_NIMS TMandai_第一稿コメント有_rev_最終稿.docx](https://mdr.nims.go.jp/filesets/810b91f9-692e-4f5a-a121-370ca453f7ef/download)

## Creator

[Toshihiko MANDAI](https://orcid.org/0000-0002-2403-7794)

## Rights

[In Copyright](http://rightsstatements.org/vocab/InC/1.0/)

## Other metadata

[Solvation Structure Analysis by a Combination of Crystallography and Raman Spectroscopy, and Its Application to the Development of Functional Electrolytes for Next Generation Rechargeable Batteries](https://mdr.nims.go.jp/datasets/74908fb0-310f-4fe1-9887-df58063e0ed5)

## Fulltext

結晶構造解析-ラマン分光法の併用による溶媒和構造解析と次世代蓄電池用電解液設計への応用万代俊彦a, §　電気学会，巻(号)a（所属）NIMS GREEN 電池材料分野　二次電池材料グループ　§電気化学会正会員　　  1221.　はじめに電解液(質)は, 正極・負極における電極反応を仲介するイオン伝導層であり, それ以上の役割を本質的には持たない. しかし, リチウム金属電池, 全固体電池, リチウム硫黄電池, リチウム空気電池, マグネシウム金属電池, フッ化物イオン電池など, あらゆる次世代蓄電池開発における最大の課題は, 適切な電解液(質)の不在にある. 蓄電池の蓄電性能そのものは電極(反応電位・電荷容量)で決まるが, それも電極反応を阻害しない優れた電解液(質)があってこその話である.電解液開発はトライアルアンドエラーの積み重ねである. 例えばナトリウムイオン電池では, 反応機序が類似する「リチウムイオン電池用電解液」をお手本に, 構成成分のマイナーチェンジを繰り返し, 組成-物性相関から原理原則を理解していくことで, 最適化が進められている.1 他方, リチウム金属電池2やリチウム空気電池,3 マグネシウム金属電池4など電極反応がリチウムイオン電池と異なる電池系では, 先駆者が見出した材料群を中心に, 材料探索が粛々と進められている. 絨毯爆撃は正攻法の一つであるが, 多くのリソースを要する. 少ないリソースで最大限の成果を得るには, 電極反応に関与する化学種（イオン）を深く理解し, それが最も効率的に機能する環境を能動的に作り出すことが重要である.単結晶X線構造解析は, 物質の絶対構造を決定可能な唯一無二の手法である. 構造決定においては極めて強力な手法であるが, 対象は単結晶に限定される. 他方, ラマン分光法は, 物質中の結合状態を評価分析可能であり, 物理状態を問わず構造情報を得ることができる手法である. しかし, ラマンスペクトルの特性上, それ単独で構造を決定することは困難である. そこで本稿では, 2つの解析手法を併用した電解液構造解析法を紹介する. 電解液構成成分から成る単結晶の構造解析と電解液そのものへのラマン分光分析を相補的に利用することで, 電解液中のイオンの状態を高精度で描画することが可能となる. これは, 次世代電池用電解液を設計開発する上で極めて強力な解析ツールの一つである. すなわち, 塩と溶媒から構成される電解液において, 電極反応に関与する化学種（イオン）の構造が分かれば, 化学種構造とイオン伝導度や反応活性などの特性相関から, 電解液の設計指針を明示することができる. 単結晶X線結晶構造解析およびラマン分光法の測定原理やデータ解析における数学的な取り扱いに関する説明はそれぞれ専門書に譲り, 本稿では実際に本手法を電解液設計にどのように活かすのか, マグネシウム金属電池用電解液を具体例に解説する. 得られた溶媒和構造情報と電解液特性の相関を電解液設計に昇華する実際の流れを示し, 解析法としての優位性や運用面での課題を述べる. 本稿により, 電解液の構造解析に関心を持っていただければ幸いである.2.　結晶構造解析単結晶X線構造解析(結晶構造解析)は, 入射X線が原子の電子雲によって回折する現象を利用して, 結晶中の原子配列, すなわち結晶構造を決定する解析手法である. 適切なX線源を用いることで, 原子の絶対配置や化学結合状態を求めることが可能な単結晶X線構造解析は, 様々な先進解析技術が開発されている現代においても, 究極の構造解析手法と認識されている. 単結晶構造解析に関する著書としては, 『X線結晶解析』(桜井敏雄著)が, 原理から結晶の対称性, 測定, 解析までを網羅しており, 学術書として非常に洗練された内容となっている.5物理的・数学的な背景はほどほどに, 解析手法の一つとして実際の測定・解析までを一通り行うための予備知識を得るためであれば, 『X線構造解析の手引き』（桜井敏雄著）をお勧めしたい.6回折装置や解析プログラム, さらに二次元検出器の飛躍的な発展により, 結晶構造解析は結晶学の専門的な知識がなくとも物質の絶対構造を決定できる汎用的な実験手法となった. 解析においても, 専用ソフトウェアの進歩は目覚ましく, 反射データを即座に構造情報として出力できるまでに至っている.7 加えて, デスクトップ型の結晶構造解析装置までもが市販されるようになり,8 大型装置を用いることなく, 新規化合物の化学構造の同定が可能となっている.2.1　単結晶の作製結晶構造解析の可否は単結晶の品質に大きく左右される. どんなに測定解析技術が進歩しようとも, 良質な単結晶が作製できなければ, 構造を決定することは極めて困難である. 言い換えれば, 良質な単結晶さえ作製できれば, （測定条件の精査が必要とはいえ）構造解析は8割方成功すると言っても過言ではない. 良質な単結晶とは, 透明性が高く, ひび割れや内部に気泡などがない塊状あるいは針状結晶を指し, 一般的には0.2 mm角前後の大きさのものが測定に適している.6図1. 単結晶の作製法.有機化合物の単結晶は, 化合物毎に適切な溶媒・温度・時間条件下にて結晶化させることで得ることができる. 飽和溶液を過飽和状態にさせることで結晶を得る通常の再結晶法と原理的には同じで, 単結晶作製においてはその条件がよりシビアであるという程度の認識で問題ない. 過飽和溶液を調製する方法としては, ①加熱徐冷法, ②溶媒拡散法, ③溶媒揮発法が挙げられる（図1）. 結晶化のしやすさや条件は材料個別に異なる. 電解液の構造解析では, 溶媒と溶質の配位構造（溶媒和構造）を分析することが目的のため, 加熱徐冷法をまず検討し, 良好な単結晶が得られなかった場合に, 溶媒拡散法や溶媒揮発法を適用して, 結晶化を試みる.電解質塩や溶媒和物の構造解析においては, 結晶作製時に用いる溶媒の取り込み, 特に後者では, それに伴う溶媒和構造変化がしばしば問題となる. 加熱徐冷法が適用できないような場合には, 配位溶媒と結晶作製用溶媒のドナー性に着目し, 配位子交換が起こらない溶媒で単結晶を作製する必要がある. 例えば, オリゴエーテルと金属塩の量論比混合物であるグライム系錯体では, 錯体を低ドナー性のジクロロメタンやアセトニトリルに溶解し, これらの溶媒を優先的に揮発させることで望みの単結晶を得ることが可能だが,9 高ドナー性のジメチルスルホキシドやアルキルイミダゾールを用いると配位子交換が起きてしまう.10 また低沸点の溶媒を揮発させる場合は, 蒸発速度の制御が重要となる.良好な結晶候補が見つかったら, 一次スクリーニングとして偏光顕微鏡で観察し, 単結晶かどうかを判定する. 直行偏光板間に結晶を配置し, ステージを左右に細かく回転させたときに結晶全体の色調が一様に変化するか, ステージを360°回転させた際に90°ごとに暗視野（消光位）となるか, を観察する. また結晶表面に微細な結晶が付着していないかも確認する. フッ素系グリースやシリコーンオイルの中を転がすことで, 表面に付着したゴミや微結晶が除去できる場合もある.2.2　測定と解析良質な単結晶が作製できたら, いよいよ構造解析の開始である. 細く引き伸ばしたガラス棒の先端に単結晶を接着し, ゴニオメーターにマウントする. 接着剤にはエポキシ樹脂が一般的に用いられる. ガラス棒の先端に単結晶を取付けることが困難な場合には, ループ状の繊維を用いて単結晶を取り出す. 大気不安定な結晶をマウントする際には, シリコーンオイルなどに浸漬し, オイルごと単結晶を取り出し, 低温窒素気流下でゴニオメーターにマウントする. X線照射位置のセンタリング, 予備測定による結晶の品質評価と格子定数予想, 測定条件の検討を経て, 本測定に移る. 予備測定では, X線照射時間を1枚当たり5~10秒として60枚程度の二次元反射像を取得し, スポットの形状や強度を確認する. 予備測定における反射データを基に, 格子定数や結晶系, 空間群を予想するとともに, 本測定における測定条件を決定する. 良質な結晶であれば1~2時間で十分な反射データが取得できるが, 広角側のスポット強度が十分でない結晶では10時間以上かかる場合もある. 大気不安定な物質は低温窒素気流下であっても長時間の測定中で分解する可能性があり, したがって如何に良質な結晶を作製するかが結晶構造解析の成否を決定づけることとなる.十分な精度で反射データを取得したら, X線の吸収補正を行い, 回折X線による結晶構造因子（FO）を取得する. また格子体積と物質量から予想される単位胞内の分子数と, 結晶系から類推される単位胞内の分子数を照合し, 結晶学的に矛盾がないかを確認する. 矛盾があれば結晶系や空間群を再検討する. 各種手法で初期構造が得られたら, 実験的に得られる結晶構造因子FOと, 格子定数や空間群, 原子情報から計算的に導出される結晶構造因子（FC）の誤差を最小二乗法により最適化する. 最近の解析ソフトウェアは洗練されており, 大抵は指示通りにクリックしていくだけで最適化が完了する. 誤差が許容範囲(R因子<7%)に納まらない場合は, 原子配置に乱れ(ディスオーダー)があると考えられることから, 帰属できていない電子雲ピークの有無を確認し, 必要に応じて帰属し最適化する（図2）。図2. (a)温度因子が十分に最適化されたB[OCH(CF3)2]3の結晶構造および, (b)最適化が不十分な[Al(NCCH3)6][TFSA]結晶構造の例. 原子の温度因子を表す楕円球が等方的（＝球形に近い）であるほど, 原子配置がよく収束していることを意味する. 後者の結晶は楕円球に大きな歪が見られる. いずれも著者の未発表データ.　単結晶構造解析においては, サンプルの同一性が度々指摘される. すなわち, 構造解析に供したたった一粒のサンプルと多くの結晶を含むサンプル全体は, 果たして同一の化合物であるかということである. 事実, 過飽和に至る過程によって, 配位数の異なる単結晶が同一の飽和溶液から成長することもある.11 そういった懸念を可能な限り払拭するには, 多結晶サンプルに対して粉末のX線回折測定を行い, 単結晶構造から予想される回折パターンと比較すると良い. 単結晶構造解析は一般に低温で行うため, 室温で取得した回折パターンとの定量的な比較は困難だが, メインピークの位置や主要なピークの強度比から, 定性的に同一性について議論することができる.123.　ラマン分光法光を物質に照射すると, 光が物質と相互作用することで, 入射光と同じ波長の散乱光（レイリー散乱）に加え, 入射光とは波長の異なる散乱光（ラマン散乱）が放出される（図3）. 波長差は物質が持つ振動エネルギーに相当するため, ラマン散乱光をフーリエ変換し, 振動数やスペクトル形状を分析することで, 結合状態や分子構造の情報を抽出することができる. 物質の物理状態を選ばず, また結合状態に関する情報を精度よく収集できる点で汎用性が高い分析手法である. 似たような分析手法として赤外吸収分光法がある. 赤外吸収分光法は, 赤外光を照射した際に分子の振動エネルギーに相当する光エネルギーが吸収されることを吸収スペクトルとして検出する. 検出するのは振動エネルギーという点で共通するが, 原理が異なる. ラマン分光法に関する著書としては, 『ラマン分光法』(濱口宏夫, 岩田耕一著)を勧めたい.13図3. ラマン散乱のイメージ図ラマン分光法は分極率が変化する対称伸縮振動モードに敏感であり, 赤外吸収分光法と相補的である. 対称性の高い分子における対称伸縮振動は, 電子密度が振動に伴い大きく変化, すなわち分極率が大きく変化するためラマン活性が高い. 電解液サンプルにおけるラマンスペクトルの波数からは結合状態（分子構造）の情報が, ピークシフトからは構造歪や相互作用の情報が, 半値幅からは構造多様性（ダイナミクス）などの情報が得られる. 例えば, Na[N(CF3SO2)2]（Na[TFSA]）とペンタグライム（G5）の量論比錯体である[Na(G5)][TFSA]は, 結晶状態で863 cm−1付近に鋭いピーク（錯カチオンにおける環呼吸運動に対応）を与えるが, 溶融状態では対応するピークは高波数側にシフトするとともにブロード化する（図4）.14 これは, 結晶の溶融に伴い, 金属イオンに配位するG5分子の運動性が高まり融液中で様々な配座をとるためである.図4. [Na(G5)][TFSA]の結晶および溶融状態におけるラマン散乱スペクトル. 米国化学会より許諾を得て, 文献14より一部変更の上で転載. [©2013 American Chemical Society]3.1　励起光とサンプル調製、測定ラマン分光法では単色化されたレーザーを励起光に用いる. レーザー波長はサンプルの物理化学的性質に基づき, 最適なものを選択する. 最も汎用的なレーザーは, 波長532 nmのグリーンレーザーであり, 多くのラマン分光光度計に標準装備として提案されるレーザーである. 短時間で十分な信号強度のスペクトルを取得することが可能である. しかし電解液を含む有機物の測定では, 短波長のレーザー励起により蛍光が発せられることがしばしば問題となる. 蛍光の信号強度はラマン散乱光の数百倍であり, 蛍光によって散乱スペクトルが埋没してしまう. これを回避するため, 波長785 nmの半導体レーザーや1064 nm のYAGレーザーも利用されている. 長波長のレーザーを励起光に用いることで蛍光が回避できる可能性が高まる一方で, これらは信号強度の劇的な低下を招く. 散乱光の強度は散乱光の振動数の4乗に比例するため（ν4則）,13 532 nmのレーザーで得られるラマン散乱の強度を1とすると, 785 nmのレーザーで得られる強度は0.2と見積もられる. 検出器の感度も励起レーザー波長依存性があるため, 実際の信号強度はさらに小さくなる. 長波長の励起レーザーにて測定を行う場合には, 数百数千回積算する必要があるが, 当然測定時間の長期化, 場合によってはサンプル劣化に繋がる. したがって, 蛍光を発さないようにサンプルを調製することが肝要となる. 　電解液に極微量の不純物由来の着色が見られる場合, 532 nmのレーザーを用いた測定では高確率で蛍光の影響を受ける. そのような場合には, 活性炭やシリカゲルなどの多孔質材料に通じて脱色する. 溶媒が原因ならば蒸留, 金属塩なら再結晶により高純度化を図るのも有効な対処法である. 電解液に浮遊するゴミはシリンジフィルター等で除く.　サンプルの準備が整ったら測定に移行する. スペクトルの波数は装置に依存して若干のずれがあるため（装置定数）, ポリプロピレンやシリコン単結晶などの標準物質で校正する. サンプルは, レーザー波長と干渉しない容器（一般的にはガラス容器）に封入する. レーザーの焦点距離も考慮し, サンプル容器を選択する. 液体測定用の治具がない場合には, NMRチューブや細く引き伸ばしたガラス管に封止するのも有用なサンプリング法である. 封入したサンプルをレーザー照射位置（ステージ）に置き, ラマン散乱光を随時モニターしながらステージのXYZを微調整する. ここで大まかなスペクトル形状を確認するとともに, 散乱光の信号強度が最も強くなる位置にサンプルを配置する. ガラス管にサンプルを封入する場合には, ガラス容器のスペクトルを予め取得しておき, バックグラウンド補正に用いる.　得られたスペクトルは, バックグラウンド補正の後, 適宜数学的な処理（スムージングや平均化）を行う. 数学的な処理を施せば施すほど理想的なスペクトル形状に近づくが, データの任意性を損なうため, 過度な補正は避けるべきである. データ解析の手順はラマンスペクトルの取得目的に強く依存する. 特定のイオン-溶媒間やイオン-イオン間の相互作用に対応するピークに関して濃度依存性を取れば, 濃度による結合様式の変化や溶媒和数（会合イオン数）を求めることができる.15–184.　分析法の適用ここからは, 本分析法の適用により大幅な電解液特性改善を果たしたマグネシウム金属電池用電解液を取り上げ, 表題『結晶構造解析とラマン分光法を併用した次世代電池用電解液開発』の具体例として紹介する. マグネシウム金属電池は, 地政学的リスクが少なく（比較的）安価で, 体積容量密度に優れたマグネシウム金属を負極活物質とした蓄電池である. 理論上, 現行のリチウムイオン電池に比肩する蓄電性能を達成しうることから, 次世代蓄電池の一角として注目されている.19 マグネシウム金属電池における最大の課題は電解液にある. マグネシウム金属はその高い還元性が故に, 電解液成分と反応して表面に分解物由来の被膜を形成する. マグネシウムイオンは硬いルイス酸であるため被膜を通過することが困難であり, 結果, 界面における電荷移動反応が阻害され, マグネシウム金属の電気化学的析出溶解反応の不活化を招く.20,214.1　 構造-電解液特性相関の理解Mg[TFSA]2を支持塩としたエーテル溶液は, マグネシウム金属の析出溶解が可能な数少ない電解液である. Mg[TFSA]2系電解液の電気化学的マグネシウム析出溶解活性は電解液構成要素に強く依存し, 塩化物を混在させると飛躍的に向上し, ほぼ100%の効率でマグネシウムの析出溶解反応を起こすことができる.22 他方, 塩化物を含まない電解液から得られた電析物には, [TFSA]−由来のC, F, S, N成分を多量に含む.10,23 [TFSA]−という共通要素がありながら, 一方では副反応が抑制され, 他方では副反応が起こるという本結果は, [TFSA]−が置かれている化学的環境が両者で決定的に異なることを示唆している. [TFSA]−のラマンスペクトルには, 結合間の協奏的な伸縮振動による膨張-収縮モード（expansion-contraction mode）に配位状態依存性が見られることが知られている.24 しかし, 複数のカチオンに配位したaggregate（AGG）, 一つのイオンに配位したcontact-ion pair（CIP）, 溶媒を介して相互作用しているsolvent-separated ion pair (SSIP), そして対イオン種と明確な相互作用をしていないfreeに対応するスペクトルのピーク位置は幅があり, ラマンスペクトル単独で電解液中での存在状態を推定することは至難の業である. そこで本手法の出番である. Mg[TFSA]2を構成要素とした化合物の単結晶を作製し, 結晶構造解析を行うとともに, 単結晶のラマンスペクトルを取得する. そのスペクトルは明確に単結晶構造における結合情報を引き継ぐことから, ピーク位置と対応する結合状態を同定することができる. 図5にMg[TFSA]2を含む2つの化合物の結晶構造ならびに対応するラマンスペクトルを示す. ラマンスペクトルは[TFSA]−のexpansion-contraction modeに対応する範囲のみを抽出している.単結晶構造から明らかなように, 両者はMg-[TFSA]を構成要素とするという共通点を持つが, [TFSA]−の配位状態には明確な違いが見られる. 塩化物イオンによってMg2+が架橋された所謂μ錯体では, [TFSA]−はカチオンの溶媒和圏から外れたSSIPあるいはfreeの状態にある.22 他方, グライム錯体では, [TFSA]−の酸素原子はMg2+と強く相互作用しており, これはCIPに分類される溶媒和構造である.10,23 ここで両者のラマンスペクトルを比較する. 繰り返しになるが, 単結晶のスペクトルは単結晶の構造情報を反映しているため, [TFSA]−の配位状態に応じたスペクトルが得られる. 事実, μ錯体では[TFSA]−の振動モードに対応するピークが740 cm−1に現れるのに対し,22 グライム錯体では744 cm−1に出現する.10,23 尚, AGG構造を形成しているMg[TFSA]2は747 cm−1にピークを持つ.10図5. 単結晶X線構造解析により得られた(a) [Mg3(μ–Cl)3(C2H5O)2(THF)6][TFSA]·(THF) (CCDC deposit number:  1510823)および, (b) [Mg(G4)(TFSA)2] (CCDC deposit number: 1420478)の熱振動因子モデルと, (c) 単結晶にレーザー照射することで得たラマンスペクトル. 英国王立化学会および米国化学会より許諾を得て, 文献22, 23より一部変更の上で転載. [©2017 Royal Society of Chemistry, ©2016 American Chemical Society］本スペクトル情報を基に, 電解液中の[TFSA]−の溶存状態と電解液特性の相関を考察する. 各種電解液中におけるPt電極のサイクリックボルタモグラムおよび, 電解液のラマンスペクトルを図6に示す. 先述したように, 塩化物イオンを含む電解液は, 非常に優れたマグネシウム析出溶解活性を示すのに対し, 塩化物を含有しないエーテル電解液および溶融錯体電解液では酸化電流応答が還元電流応答に比して小さく, 還元過程でマグネシウム析出のみならず電解液分解, そして電解液分解に伴う電析マグネシウムの不働態化が起きていることが分かる. ここで各電解液のラマンスペクトルを確認すると, 塩化物含有電解液では741 cm−1に鋭いピーク, エーテル電解液では743 cm−1を中心とした幅広いピーク, 溶融錯体電解液では744 cm−1にピークを持つ. 先の構造解析に基づき本結果を整理すると, [TFSA]−の配位状態とマグネシウム析出溶解効率に明確な相関があり, [TFSA]−を電解液中で解離させることが活性向上に効果的であることが分かる. この解釈は計算化学的にも支持されており, [TFSA]−はMg2+と相互作用するとMg2+が作る強い電場により分極し, 還元耐性が大幅に低下することが示されている.10,25図6. (a) C2H5OMgCl/Mg[TFSA]2/G3 = 2/1/15 (塩化物含有電解液), 0.5 mol dm−3 Mg[TFSA]2/G4 (エーテル電解液), [Mg(G4)(TFSA)2] (溶融錯体電解液)中におけるPt電極のサイクリックボルタモグラムおよび, (b)各電解液のラマンスペクトル. PCCP owner societies, 英国王立化学会および米国化学会より許諾を得て, 文献10, 22, 23より一部変更の上で転載. [©2019 PCCP owner societies, ©2017 Royal Society of Chemistry, ©2016 American Chemical Society4.2　 構造物性相関に基づく電解液の能動的設計　[Mg(G4)(TFSA)2]をイオン液体PYR13TFSA （PYR13: N-methyl-N-propylpyrrolidinium）に溶解した電解液は, 4 V vs. Mg以上の耐酸化性を持つ.10,23 しかしながら, マグネシウム析出溶解のクーロン効率は10%程度であり, 析出過程における[TFSA]−分解の抑制が不可欠である. 前項で, Mg[TFSA]2系電解液における[TFSA]−の配位状態と電気化学特性に相関があることが示された. このことは, [TFSA]−を電解液中で十分に解離させることさえできれば, 塩化物イオンフリーであっても高活性・高効率を実現できることを示唆している. 塩化物イオンを含む電解液は耐酸化性が低く, 腐食作用を持つため, 電池用電解液としては好ましくない.26　[TFSA]−をMg2+の溶媒和圏から遠ざけるには, [TFSA]−に代わる配位子を主溶媒たるエーテルと共存させればよい. [TFSA]−のドナー数は約10 kcal mol−1と見積もられており,27 これを上回るドナー数の溶媒を添加することで, 理論上, 配位子交換が可能である. 今回の検討では, ドナー数15 kcal mol−1程度のジアルキルスルホンおよび,28 ドナー数47 kcal mol−1のメチルイミダゾールを交換用配位子とし,29 [Mg(G4)(TFSA)2]に対して2当量加えることで, 配位状態の制御を試みた. 結果, 目論見通り, [TFSA]−がMg2+の配位圏から外れたSSIP状態のheteroleptic錯体（複数の配位子を有する錯体）を得ることができた.10 尚, ドナー性の高いメチルイミダゾールを過剰量加えると, G4とメチルイミダゾール間の配位子交換が起こり, メチルイミダゾールだけがMg2+に配位したhomoleptic錯体が得られる点には注意したい. これらheteroleptic錯体を支持塩としたイオン液体電解液を用いたPt電極のサイクリックボルタモグラムおよび, 電解液のラマンスペクトルを図7に示す. [TFSA]−の配位状態を制御することにより, 可逆性が劇的に向上していることが見て取れる. 塩化物含有電解液ほどの可逆性には至っていないが, 耐酸化性を保持したままクーロン効率が飛躍的に改善しており, 設計コンセプトを実証する結果となっている.　Mg[TFSA]2系電解液の配位制御に関する研究は, 本報告以降活性化傾向にあり, アルコキシアミンやリン酸エステルなどの配位子が提案されている.30–32 これらの配位子は配位制御に特化したものであり, 前者は高電位作動の正極との親和性に, 後者はマグネシウム金属負極との親和性に課題がある.21 有機（合成）化学に立脚した, 正負極双方との親和性を十分に担保した溶媒群の開発が強く求められる.図7. (a) [Mg(G4)(DPSO2)2][TFSA]2 (改質グライム錯体)の結晶構造, (b) 0.5 mol dm−3 グライム錯体 or 改質グライム錯体/イオン液体中におけるPt電極のサイクリックボルタモグラムおよび, (c),(d)使用電解液のラマンスペクトル. PCCP owner societiesより許諾を得て, 文献10より一部変更の上で転載. [©2019 PCCP owner societies］4.3　 運用上の課題　さて, ここまで結晶構造解析とラマン分光法を併用した分析手法の, 電解液設計における優位性・有用性を具体例とともに紹介してきた. しかし, 冒頭でも述べたように, 本手法の肝は単結晶構造解析にある. 単結晶作製は基本, 経験と勘がものを言う. サンプルを数ヶ月放置していたら偶然にも単結晶が成長していたというケースもあるが, 単結晶構造を基に構造情報と物性を結びつける本手法は, 単結晶作製が明確なボトルネックである.　類似化合物の既知構造情報を転用することで, 単結晶を作製することなく標的化合物の構造を推定することは可能である. その場合, 標的化合物と類似化合物が同様の構造を形成しているという前提条件が必要となる. 量子科学計算や分子動力学シミュレーション等で構造を予想し, 計算化学的に出力したスペクトルと実測のスペクトルを複数サンプルで比較検討することも有効なアプローチである. 計算化学の確度向上は近年目覚ましく, かなりの確度で構造予想が可能になっている.33,345.　おわりに　本稿では, 測定法として単結晶X線構造解析とラマン分光法に着目し, これらの併用による電解液の構造解析と構造情報を活用した電解液設計開発について, 具体例を交えて紹介した. 結晶構造解析の技術的課題は, 放射光35や結晶スポンジ法,36 Micro ED法（ED: electron diffraction）37,38などの強力な手法により解決されつつある. また, ここでは紹介しなかったが, レーザースポットサイズが極小な顕微ラマン分光に各種外部応力機構を組み込めば, 外部応力（例えば熱や圧力）による結晶構造の動的変化（融解や歪）を追跡することができる. 動的なイオン輸送という現象に対して, それに関与するイオンの化学的状態や構造情報をより深く理解し, イオン輸送に最適な電解液構造を意図的に作り出すことができれば, 次世代蓄電池の実現可能性が飛躍的に高まる. 電解液開発の今後の展開に期待したい.　本稿は, 筆者が横浜国立大学, 東京都立大学, 岩手大学在籍時に学生らの支援の下取得したデータに基づき執筆した. また本稿で紹介した筆者らの研究成果は, 先端的低炭素化技術開発-次世代二次電池(ALCA-SPRING, JST)の支援のもと得られた成果である. 関係各位にこの場を借りて御礼申し上げる.文献1. A. Ponrouch, D. Monti, A. Boschin, B. Steen, P. Johansson, and M. R. Palacín, J. Mater. Chem. A, 3, 22 (2015)2. J.-G. Zhang, W. Xu, J. Xiao, X. Cao, and J. Liu, Chem. Rev., 120, 13312 (2020)3. T. Liu, J. P. Vivek, E. W. Zhao, J. Lei, N. G.-Araez, C. P. Grey, Chem. Rev., 120, 6558 (2020)4. J. Muldoon, C. B. Bucur, and T. Gregory, Angew. Chem. Int. Ed., 56, 12064 (2017)5. 桜井 敏雄, X線結晶解析, 裳華房 (1967).6. 桜井 敏雄, X線結晶解析の手引き, 裳華房 (1983).7. 単結晶構造解析統合プラットフォームCrystAlisPro（リガク）など8. デスクトップ単結晶Ｘ線構造解析装置 XtaLAB mini II（リガク）など9. T. Mandai, S. Tsuzuki, K. Ueno, K. Dokko, M. Watanabe, Phys. Chem. Chem. Phys., 17, 2838 (2015)10. T. Mandai, K. Tatesaka, K. Soh, H. Masu, A. Choudhary, Y. Tateyama, R. Ise, H. Imai, T. Takeguchi, and Kiyoshi Kanamura, Phys. Chem. Chem. Phys., 21, 12100 (2019)11. W. A. Henderson, N. R. Brooks, W. W. Brennessel, and V. G. Young, Jr., Chem. Mater., 15, 4679 (2003)12. T. Mandai, H. Masu, H. Seki, and K. Nishikawa, Bull. Chem. Soc. Jpn., 85, 599 (2012)13. 濱口宏夫, 岩田耕一, ラマン分光法, 講談社 (2015)14. T. Mandai, R. Nozawa, S. Tsuzuki, K. Yoshida, K. Ueno, K. Dokko, and M. Watanabe, J. Phys. Chem. B, 117, 15072 (2013)15. Y. Umebayashi, T. Mitsugi, S. Fukuda, T. Fujimori, K. Fujii, R. Kanzaki, M. Takeuchi, and S. Ishiguro, J. Phys. Chem. B, 111, 13028 (2007)16. T. Kimura, K. Fujii, Y. Sato, M. Morita, and N. Yoshimoto, J. Phys. Chem. C, 119, 18911 (2015)17. K. Ueno, R. Tatara, S. Tsuzuki, S. Saito, H. Doi, K. Yoshida, T. Mandai, M. Matsugami, Y. Umebayashi, K. Dokko, and M. Watanabe, Phys. Chem. Chem. Phys., 17, 8248 (2015)18. M. Shimizu, A. Nakahigashi, and S. Arai, Phys. Chem. Chem. Phys., 23, 1681 (2021)19. C.-H. Shin, H.-Y. Lee, C. G.-Barimah, J.-H. Yu, and J.-S. Yu, Chem. Soc. Rev., 52, 2145 (2023)20. Z. Lu, A. Schechter, M. Moshkovich, and D. Aurbach, J. Electroanal. Chem., 466, 203 (1997)21. T. Mandai, M. Yao, K. Sodeyama, A. Kagatsume, Y. Tateyama, and H. Imai, J. Phys. Chem. C, 127, 10419 (2023)22. T. Mandai, Y. Akita, S. Yagi, M. Egashira, H. Munakata, and K. Kanamura, J. Mater. Chem. A, 5, 3152 (2017)23. S. Terada, T. Mandai, S. Suzuki, S. Tsuzuki, K. Watanabe, Y. Kamei, K. Ueno, K. Dokko, and M. Watanabe, J. Phys. Chem. C, 120, 1353 (2016)24. M. Herstedt, M. Smirnov, P. Johansson, M. Chami, J. Grondin, L. Servant, J. C. Lasségues, J. Raman Spectrosc., 36, 762 (2005)25. M. Hattori, K. Yamamoto, M. Matsui, K. Nakanishi, T. Mandai, A. Choudhary, Y. Tateyama, K. Sodeyama, T. Uchiyama, Y. Orikasa, Y. Tamenori, T. Takeguchi, K. Kanamura, and Y. Uchimoto, J. Phys. Chem. C, 122, 25204 (2018)26. J. Muldoon, C. B. Bucur, A. G. Oliver, J. Zajicek, G. D. Allred, and W. C. Boggess, Energy Environ. Sci., 6, 482 (2013)27. M. Schmeisser, P. Illner, R. Puchta, A. Zahl, R. Eldik, Chem. Eur. J., 18, 10969 (2012)28. D. Brouillette, G. Perro, and J. E. Desnoyers, J. Solution Chem., 27, 151 (1998)29. L. Johnson, C. Li, Z. Liu, Y. Chen, S. A. Freunberger, P. C. Ashok, B. B. Praveen, K. Dholakia, J.-M. Tarascon, and P. G. Bruce, Nat. Chem., 6, 1091 (2014)30. S. Hou, X. Ji, K. Gaskell, P. Wang, L. Wang, J. Xu, R. Sun, O. Borodin, C. Wang, Science, 374, 172 (2021)31. S. Fan, G. M. Asselin, B. Pan, H. Wang, Y. Ren, J. T. Vaughey, and N. Sa, ACS Appl. Mater. Interfaces, 12, 10252 (2020)32. W. Zhao, Z. Pan, Y. Zhang, Y. Liu, H. Dou, Y. Shi, Z. Zuo, B. Zhang, J. Chen, X. Zhao, and X. Yang, Angew. Chem. Int. Ed., 61, e202205187 (2022)33. S. Tsuzuki, W. Shinoda, M. Matsugami, Y. Umebayashi, K. Ueno, T. Mandai, S. Seki, K. Dokko, and M. Watanabe, Phys. Chem. Chem. Phys., 17, 126 (2015)34. D. Zhang, Y. Wang, Y. Yang, Y. Zhang, Y. Zhao, M. Pan, Y. Sun, S. Chen, X. Liu, J. Wang, and Y. NuLi, Adv. Energy Mater., 13, 2301795 (2023)35. 杉本邦久, 日本結晶学会誌, 56, 296 (2014)36. Y. Inokuma, S. Yoshioka, J. Ariyoshi, T. Arai, Y. Hitora, K. Takada, S. Matsunaga, K. Rissanen, M. Fujita, Nature, 495, 461 (2013)37. B. L. Nannenga, D. Shi, A. G. W. Leslie, T. Gonen, Nat. Method, 11, 927 (2014)38. C. G. Jones, M. W. Martynowycz, J. Hattne, T. J. Fulton, B. M. Stoltz, J. A. Rodriguez, H. M. Nelson, and T. Gonen, ACS Cent. Sci., 4, 1587 (2018)万代　俊彦（NIMS GREEN 電池材料分野 二次電池材料グループ・主任研究員）1984年生．2012年3月千葉大学大学院融合科学研究科博士課程修了、博士（理学）．横浜国立大学産学連携研究員、チャルマース工科大学博士研究員、首都大学東京(現東京都立大学)特任助教、岩手大学助教を経て、2019年4月より現職．2023年より横浜国立大学理工学府客員准教授を兼任．2020年電池技術委員会賞、2022年文部科学大臣表彰若手科学者賞、2023年電気化学会論文賞受賞．専門分野：構造化学．趣味：料理、読書．※頂いた原稿はJ-stageにおいても掲載させていただきます．J-stage用に「タイトル」「著者氏名」の英語情報をいただきたく，以下ご協力をお願いいたします．本文に関しては英語化の必要はございません．Title in English: Solvation Structure Analysis by a Combination of Crystallography and Raman Spectroscopy, and Its Application to the Development of Functional Electrolytes for Next Generation Rechargeable BatteriesAuthor(s) : Toshihiko Mandai※他の著作物より転載して掲載している図や表の有無と、「有」の場合は番号をお知らせください. 転載図表の有無:　有 転載図表番号：4, 5, 6, and 7※人物が写っている写真を掲載する場合、肖像権に問題がないことをご確認ください。個人を特定し得る程度に写っている方について、全員が写真掲載を承諾している必要があります。 肖像権の確認：非該当　image1.tiffimage2.tiffimage3.tiffimage4.tiffimage5.tiffimage6.tiffimage7.tiffimage8.tiffimage9.tiffimage10.jpg