# Fileset

[mi_hakase.pdf](https://mdr.nims.go.jp/filesets/80a60168-d93b-42a6-b8bc-fb51bbf39bb6/download)

## Creator

[轟 眞市](https://orcid.org/0000-0003-3986-1900)

## Rights



## Other metadata

[博士が愛した鍋](https://mdr.nims.go.jp/datasets/603b6a0a-6b46-41ec-b411-3fb0d633fd58)

## Fulltext

The Professor's Beloved Cooking Pot◎連載博士が愛した鍋轟　眞市 物質・材料研究機構光材料センター∗Shin-ichi TODOROKIこの記事を手にして下さっている男性諸氏のうち、日頃家族のために料理をなさっている方々はどれほどおられるであろうか？筆者の場合、独身時代に自炊する習慣はさっぱり身につかなかったが、家庭を持つにあたり、意を決して調理器具を奮発したことがある。その鍋は、故早稲田大学名誉教授・元理工学部教授の小林寛氏 (1926–2008)考案による「はかせなべ」という商品である [1, 2]。愛用し続けて 12年、ひょんなことから、先生が逝去されていたことを知った。先生にお目にかかった機会は一度も無かったのだが、今回、特許明細書を中心に記録をたどってみると、博士の技術者としての心意気に触れることができた。プロの秘伝を素人に開放した鍋なぜ「はかせなべ」と命名されているのか？それは、鍋の外側に筒状のスカートをはかせているからと、博士が考案したから、とを掛けているのである(図 1参照)。その構造を加えたことで、素材のうまみを活かす適温調理法が素人でも簡単に実践できるようになったのである (図 2参照)。鍋に入れた食材に火を通すには、沸騰した状態を持続させる必要は無い。一度加熱して保温しておけば、エネルギーの節約になるし、食材が変質して固くなることもなく、香りも逃げない。ゆっくり冷ますと、だし汁の旨味が効率良く食材に浸み込む。なにより保温中は他の仕事に専念できる。小林ご夫妻は、この鍋の開発がきっかけで故村上信夫氏 (元帝国ホテル総料理長)との親交を深めるようになったそうだ。村上氏との会話の中で、はかせなべがプロ秘伝の技術を容易に実現できること∗〒 305-0044茨城県つくば市並木 1-1fax 029-854-9060図 1: はかせなべの外観写真 (株式会社アミ提供)。を確信された [2]。このことは筆者も身をもって体験している。食べてみて、また今度も作ってみよう、と思えるからである。料理のレシピ付き明細書先生は、人生のどの時期にこの鍋を開発されたのだろう？それが知りたくて、はかせなべに関わる特許を検索してみた。最初の出願は、1985年。還暦を目前にした頃である。その 2年後に出願した実用新案 [1]が、現在流通している商品の基礎となっている。明細書1を読んでみて、これは気合が入っていると思った。従来の家庭料理で行われていた調理法が有する問題点を指摘し、はかせなべの持つ特殊な構造がもたらす利点を数え上げている。本来なら明細書は実施例まで書けば充分なところを、さらに続けて実験例、調理例を追加し、従来の鍋との違いを数値で示して差別化している。野菜シチューのレシピを示し、各工程の時間やガス使用量、水の蒸発量を比較している。できあがった料理の評価は 10名の一般主婦の判断に基づいたものを提示し、定量化しにくい味覚上の1特許電子図書館 http://www.ipdl.inpit.go.jp/からダウンロードできる。マテリアルインテグレーション Vol.23 No.06 (2010) 91http://www.ipdl.inpit.go.jp/http://www.tic-mi.com/publ/mi_new.html◎連載図 2: はかせなべの断面図。鍋本体から伸びる両持ち取手 (図では省略)は、スカートの上端を掴んで鍋本体と一体化している。左の加熱時には、スカートは熱効率を向上させる煙突の役割を担っている (市販品は IH加熱も可能)。加熱を終えたら平らなテーブルの上に置いて保温する (右)。スカートとテーブルに囲まれた空気層が、熱を逃しにくくしている。さらに外蓋を被せることで、鍋上部からの熱の放散も防いでいる。比較に、できるだけ客観性を持ち込もうとしている。この発明を世に広めたいという熱意が伝わってくる。発明者としてのプライドこの出願の翌年に、ご夫妻による普及活動が本格的にスタートしている。株式会社キッチンサイエンスを発足させ、初のレシピ本 [3]を出版した。その裏には村上氏の協力があったようだが、鍋の販売に関してだけは村上氏の名声を利用するような販売活動は断固として拒否されたそうである [4]。適温調理法は先人の知恵であり、「はかせなべ」はそれを実現する手段のひとつにすぎない。そんな謙虚さと同時に、中身で勝負したいというプライドが感じられる。実際、筆者も「はかせなべ」を使わずに適温調理をすることも多い。図 3は筆者が愛用している鍋用保温容器のひとつである。少量の料理を作る分にはこちらの方が使い勝手が良い。しかし、道具としての完成度の高さは「はかせなべ」に軍配が上がる。受け継がれる志その後キッチンサイエンス社は残念ながら解散してしまったが、「はかせなべ」の普及活動は、ご夫妻の薫陶を受けられた方々によって引き継がれている。図 3: 市販品を組み合わせて作った小型鍋の保温容器(上)。14cmミルクパン、アイスペール、ガラス蓋、ボウルからなる (下)。最近、新しいレシピ本 [5]が出版され、我が家の料理のレパートリーも広がった。先人の技術者達 (料理人と大学人)のこだわりが濃縮されている鍋であるからこそ、ひとたび技術者が厨房に入らんとするならば手元に置きたい調理用具だと思う。［参考文献］[1] “保温調理用省エネルギー鍋”, 実用新案登録1998251 号. (実用公告平 5-3162、昭 62.6.29 出願).[2] 小林寛,小林正恵：“元気がよみがえる適温クッキング”,窓社 (1998).[3] 小林 寛：“お鍋にスカートはかせておいしさ大発見—料理の常識が引っくり返る本”, 光文社(1988).[4] 小林正恵：“私の神様”,キッチンサイエンスニュース, 23, pp. 33–34 (1996).[5] 澤口春江：“はかせなべで作る美味しいレシピばるえさんのキッチンより”,文芸社 (2009).92 Materials Integration Vol.23 No.06 (2010)http://www.tic-mi.com/publ/mi_new.html