Sokeseases SSS gusnsees 5 = eee: as coca = seus SLE Geeta Sess ScrES tas sen dey eseestuasuaps test scsteer peace eaTn Sa Suntan s Suen soosecrereres = Suisse Sain aaanea : sieneretceretenrtte Sauna eiantn SEES Bue es SHH Giiainenn sete SEE ica neeeset oan 2 Hoses te aoerosn eeesvtceeigesssseacees geesescoeee sere ieteCTaESSESUHRSSEESe SCTE SESE Suiits cain NTT TTT TUS eas Seareeeeseeers eee seevane Heese erreur Sone Susans mneeean janet Se 3s SSS eee Soeee Saas saeisilties e — za = Suse ees Bi Suara: TRRGRE er Sungaey nT teatae Seicasuurnsuins ww. Gueuensnut Recae SuReeuseange Bast Ses Statist sisiitssertrcsee cess SE as SS aati Sous tees Sun a Seve e eae See SSE eres SEE TTS SHEE pee {ET ret caeeent a Suu ecasenaecienn eeeeeens Soe iy Sie an Serres sass Sat Rae aa = passes Sars = ES Serer sgt Seetsstas Sane SHES SS RSE eee SRS Sees Se eames eananars en Peorieteett Sunn trey 2 os eee Sues Sess SSE aoa Sonne Sigua Genser nua Saas eoee mn sneisencnueuuares Soest Giepeasac sees SSeRESS Taree Pater Age ae SShas ees iat ue is rf Hi SS age penetrates —— pence =e SUS SESS Se ee Sanur sueanane Rig pate Gu suere sine Rear une ines Sees Sees SSngSes Saunas eiseeneee teres Ha Heit LS Sees S = Groce tease eaten Hg Se SUES ES EES Baca ee Ss Senne sustas Sinise = Sou NSH anne Serereare See : Seu Seas GaE SE Bewibipee we weegec sane eens SESS SESS ae eine seers Fataary pees aacea cs quae saat st Sosa Ses Sipepereperereyet Spar apitpeserettae Seasesetstastssaas ert gtgtstasaacstas Se See See ¢ = a aay ae SEU SES ae Setanta mae sees saan Sh HS SRS Saeco oe Sees yet STEERS Sunnis suntan Bunesnnnes SESS Herre = ae an SRE SEER Sees San naene aunts SEES Suu Reese sameeren $rcrereeeorersa tenn pest Suen Seats Sinan aanen acacia Suisun unt ttnn an naenn ay Sues SRE = Ba Eitan SH oe SHGHHES esi ies Sr He eS Sieeeuecs seeuueaeaeaess Suanuuens 金属材料技術研究所 筑波移転の記録 筑波移転の記録編集委員会 筑波研究学園都市(千現地区より望む) 千現地区 正面 PP ELL [) + Ha ith & 桜地区 正面 プラザ(中庭) 厚生ゾーン エントランスホール 研究居室 (ローパーテイション) 標準実験室ゾーン (物理系) 標準実験室ゾーン (化学系) 精密計測実験棟 電子顕微鏡 ファインプロセス実験棟 原子吸光分析装置 材料強度実験棟 クリープ試験機 材料創製実験棟 高周波真空溶解炉 磁界実験棟 40T級ハイブリッドマグネット ビーム実験棟 サブナノトロン 筑波 支所(移転工事前) 目黒地区 発刊の辞 所長岡田雅年 平成7年7月1日に金属材料技術研究所は茨城県つくば市へその拠点を移 し,東京目黒における39年の歴史を閉じた。本記録集は移転に纏わる様々な作 業を,そこに携わった所員が記録して残したものである。 400人を越える研究所の移転は大事業であったが,関係各方面のご支援を得 て,また所員の協力によって無事に完了することが出来たことは先輩を含め所 員一同の大きな喜びである。 顧みれば,本研究所の筑波移転は長い年月を要したものであった。筑波にお ける他の国立研究所と異なり,筑波支所という一部移転の過程を経て達成した のである。初代所長の橋本先生が筑波に移転する研究部門を検討され,またそ の敷地を方々に求められたのは昭和40年代の前半のことであった。実に,25 年を越える年月を経ている。その間,研究部,管理部を問わず数え切れぬ多く の所員の心労があったことを忘れることは出来ない。特に最後の数年間の所 員の発揚したエネルギーとそれを支えた精神力は素晴らしいものであったと思 う。そこでこれら移転の経緯を本研究所の歴史に留めておこうという気運がわ き本記録集の刊行に至った。頁数の制約などで書き残せなかった点もあるかと 案ずるが発刊の趣旨は十分満たすことができたと思う。 今,移転後1年数ヶ月を経て,重点を入れてきた先端的な施設,設備も徐々 に稼働を始めており,所内で研究する外国人の姿も多く見受けられるように なった。私たち移転に携わった者は本研究所の未来に大きな夢を託している。 本記録集が将来いろいろな形で役に立つことを念じている。 最後に科学技術庁を始め大蔵省,建設省,国土庁,住宅・都市整備公団,茨 城県,つくば市など関係各位の大きなご支援に改めて感謝の意を表する次第で ある。 発刊にあたって 小 口 醇 〔平成8年3月退職 科学研究官 筑波移転推進本部長 〕 普通の家庭でも,引っ越しとなると大変な仕事である。子供が就職して会社 の寮に出ていくような場合には,実家はそのまま残るから不要な物は置いてい けばいいし,必要ができたらとりに帰ればいい。その点,後に戻れない家ぐる みの引っ越しは大変である。その上,新しい家は本当のところ住み易いのか住 み難いのか,不安は拭いきれない。 当研究所の筑波移転が公式に表に出たのは昭和40年代後半のことであるが, 当時はまだ子供が下宿へ出ていく感じであった。しかし,いろいろな経緯の後, 後へ引けぬ大プロジェクトとなったのである。多かれ少なかれ全所員がこれに 関わったし,最終的な移転の方針が決定してから9年を使い,数百億円の費用 を費やした。また,科学技術庁を始め多くの関係諸機関の力もお借りした。こ れはまさに国の大型プロジェクトの一つである。そして移転はつつがなく終了 し,その評価もとりあえずは十分合格点は取れているであろう。 いま移転の記録を残そうとしている。むろん,この移転の記録は単なる思い 出のためのものではなく,このような大プロジェクトの報告書である。この報 告書には新しい研究施設と移転の基本的な考え方とその実現の過程がまとめら れている。確かに,とりあえず行政上の目的に沿う面から見れば,この移転の 評価は合格点であると思う。しかし,研究所の移転という面から見た評価はこ れからである。何年か経って,このプロジェクトが我が国のあるいは世界の材 料科学技術の研究にどのような影響を与えたか,そしてこのプロジェクトの基 本的理念が本当に妥当なものであったかを問われるとき,この報告書が証拠書 類となる。 ともあれ,将来への夢を楽しみ,また大きな犠牲を払った移転プロジェクト は終了した。この苦労が,将来の材料科学技術研究の一つの礎になることを 願ってやまない。 金属材料技術研究所筑波移転の記録 目 次 第Ⅰ章移転の経緯 1 第1節 金属材料技術研究所の沿革 3 第2節移転構想 6 第3節 移転計画推進 10 第Ⅱ章 建設基本設計 25 第1節 建設基本方針 27 第2節 基本計画及び実施設計 33 第Ⅲ章 敷地利用計画及び主要施設の配置 41 第1節 千現及び桜地区の建物レイアウト 43 第2節千現地区 51 第3節桜地区 121 第4節その他の基盤的施設 148 第Ⅳ章建設推進 153 第1節 建設検討の進め方(推進体制を含む) 155 第2節建設スケジュール 159 第3節 法令(等)に基づく許可申請 163 第4節施設完成 167 第5節 完成施設運営の検討 171 第Ⅴ章移転の実施 183 第1節 移転作業に関する基本的な考え方 185 第2節 研究居室及び実験室の配分 188 第3節物品の移動 193 第4節設備の充実 212 第5節 東京地区整備(材試地区残留施設の整備) 214 第6節職員の移動 216 第Ⅵ章 国有財産・物品等の処理 219 第1節敷地・建物 221 第2節物品の処分 225 別章 231 第1節 移転事業関連 233 第2節回顧 241 執筆者一覧 247 資料 249 1年表 251 2移転関連法令・規定・決議 256 3施設建設に係わる申請手続きの一覧 271 4移転関係組織及び名簿 275 5図面 280 あとがき 324 編集者一覧 第Ⅰ章移転の経緯 第1節 金属材料技術研究所の沿革 3 第2節移転構想 6 1.金材技研の筑波移転に関する経緯 6 2.国の機関などの地方移転構想 7 3.新研究所構想 8 第3節 移転計画推進 10 1.移転基本計画 10 2.特定国有財産整備計画 12 3.移転計画推進体制 21 第Ⅰ章移転の経緯 第1節 金属材料技術研究所の沿革 金属材料技術研究所は我が国の金属材料に関する総合研究所として,昭和31年7月1日に科学技術庁内に仮 庁舎をおいて発足した。同年10月に目黒区中目黒の旧海軍技術研究所跡の一部転用が正式に決定し,11月には 中目黒の地で研究活動を始めた。その経緯を少し詳しく述べると以下の通りである。 昭和29年に工業技術協議会において,我が国の金属材料に関する総合研究所を設立すべきである旨の意見が 出され,また航空技術審議会においても航空機材料の研究体制強化が強く要望された。さらに,工業技術院は金 属材料研究委員会において検討された結果を受け,国立もしくは特殊法人の研究所を設立するという結論に達し た。 昭和30年7月,内閣総理大臣から航空技術審議会に諮問された「関係行政機関の航空技術に関する研究のため の経費を必要とする計画の連絡調整に必要な措置」に対して,同年11月に提出された材料に関する答申は,「金 属材料技術研究所は,航空工業に必要な金属材料に関する研究に主眼をおくこと。金属材料の研究は広範な分野 にわたるものであるから,航空機材料においては,その特殊性のあることなどからみて緊密な連絡をとりつつ計 画を進めること」(一部要約)などの内容を含むものであった。 昭和31年1月には,通産省から要求された国立金属材料技術研究所設立など分担経費として1億円を計上す る予算内示があり,昭和31年度予算成立とともに同年4月,金属材料技術研究所経費1億円,人員40名(うち 20名は機械試験所から移管)が認められることとなった。 昭和31年5月19日,科学技術庁発足と同時に,金属材料技術研究所設立に関する事務が工業技術院から科学 技術庁に移管され,同年6月4日,科学技術庁庁議において,初代所長に東京都立工業奨励館館長橋本宇一氏が 内定し,同年7月1日,金属材料技術研究所が発足した。この間,各界代表から意見,要望などが提案され,こ れを中心として当研究所の持つ使命,性格及び運営の基本方針を策定し,関係各方面の承認を得た。以上のよう な経緯をたどり文頭に述べたように,昭和31年10月,かねてからの懸案であった研究所敷地として,中目黒の 旧海軍技術研究所跡の一部転用が正式に決定され,同年11月には移転し,この地が金属材料技術研究所の研究始 動地となった。 発足後,人員,施設及び設備の体制を整えるため,研究所整備5ヶ年計画を策定した。その大要は,昭和35年 度の完成時迄には総予算約40億円(うち研究経費累計20億円)を投じて,総人員485名,組織は13研究部及び 管理部,建物延べ面積26,700m2の体制確立を目指すものであった。この計画に基づいて,逐年,金属材料に関す る総合的研究機関としての整備および研究体制の確立に努めたが,諸般の情勢から整備5ヶ年計画を昭和35年 度に完成することが困難になり,昭和34年7月には,整備7ヶ年計画に修正し,昭和38年度にほぼ計画を達成 して研究体制の基礎を固めることができた。この間の投入総予算額は,42億3300万円にのぼり,昭和38年度の 規模は総人員410名,組織は11研究部及び管理部,年間予算額9億3000万円となった(予算額推移表参照)。 その後第2次基本整備計画として材料研究に関する総合的試験センターの設置計画を策定し,昭和39年度か ら5年間にわたりクリープ試験関係の試験研究体制整備を進めた。昭和43年度完成時のクリープ試験研究施設 の規模は,人員59名,クリープ試験機1,108台,建物延べ面積5,508 m2である。この間,昭和40年度から国産金 属材料のクリープ・データシート作成のための試験研究に着手し,また昭和42年からはクリープに関する受託 試験業務を開始した。ついで,昭和44年度から4ヶ年計画で疲れ試験関係の整備に着手し,建物延べ面積2,100 m2,人員28名,疲れ試験機73台の規模で昭和47年に完了した。昭和49年度からは国内の金属材料の疲れに関 する受託研究が開始され,昭和50年3月には疲れデータシート作成に関する懇談会が発足した。 一方,国の方策として昭和36年9月,閣議において「官庁(付属機関及び国立の学校を含む)の集団移転につ いて」が決定され,昭和38年9月,「集団移転先(研究・学園都市の建設地)を筑波地区とする」閣議了解がな された。昭和42年9月,「筑波研究学園都市へ金属材料技術研究所の一部を移転する」が閣議で了解されて以来, その移転計画の策定が急がれていたが,昭和48年1月に筑波研究学園都市建設計画の大蔵省試案が提示され,同 年4月,「移転時期を昭和50年度とする」閣議決定がなされるに至り,施設建設計画の見直しを行った。 この計画に基づき昭和50年10月には最初の建屋の超電導材料実験棟が完成,昭和51年7月には特殊雰囲気 中高温特性実験棟が完成し,これを期に,昭和51年7月より筑波分室を設置し,職員の駐在を開始した。さらに 昭和53年11月には研究本館(現在の物性解析実験棟)が完成し,翌昭和54年3月に筑波支所が開設されるに 至った。筑波支所開設時の規模は,敷地面積約15万人員68名,建物延べ面積約6,780m2である。その後, 数度にわたる計画の修正を経て,第1次建設計画は昭和57年2月構造材料実験棟の完成をもって完了した。な お,筑波支所は,昭和61年10月に完成した軽イオン照射クリープ試験施設及び昭和62年10月に完成した表面 界面制御実験棟を含めて平成3年7月には人員91名,総建物面積10,467m2と発展を遂げている。 この筑波移転を契機に金材技研の研究体制及び施設整備計画の見直し改訂が急務となり,昭和50年7月「金属 材料技術研究所における各部の研究について(中期計画)」が,さらに昭和54年3月「金属材料技術研究所長期 計画(第1次)」が策定された。これを基本として昭和55年10月に部門別制の導入,昭和56年4月にはグルー プ制の導入などを骨子とした組織改正を行った。 我が国における科学技術の発展は,先進諸国からの情報,技術導入に負うところが大きかったが,昭和50年代 に入って一部の分野を除いて技術水準は欧米諸外国とほぼ同程度に達し,先導的役割を果たす分野が多くなって きた。一方,世界的に革新的な技術の出現が停滞の傾向を示し,科学技術の革新的な飛躍を図るためには,基礎 科学の振興など科学技術基盤の強化が一層重視されるようになり,また,これを通じ我が国が積極的に自主技術 開発を進め,その研究成果を先導的に国際社会に提供することが国内外から強く要請されるところとなった 。 このような情勢の中で,材料科学に関連した諸政策が各方面で立案され,昭和52年5月には,科学技術会議答 申第6号「長期的展望に立った総合的科学技術政策の基本について」が発表され,また,昭和55年8月には,航 空・電子等技術審議会の極限・材料部会は極限科学技術とこれに関連する材料科学技術の研究開発推進方策につ いて報告している。 金材技研は昭和57年5月,このような状況を踏まえ,基礎的な材料科学と応用志向的な材料工学の総合化によ り自主技術を開発し,技術革新を促進することを柱とする「金属材料技術研究所第2次長期計画」を策定した。 この間,臨調第3次(最終)答申を承けて昭和58年5月,「行政改革の具体化方策」についてが閣議決定され, 科学技術庁においても,付属研究所の組織及び事務・事業の見直し実施計画の作成,各研究所に対する見直し方 法の提示が行われた。金材技研はこの計画に基づいて昭和59年研究組織及び運営について検討を行い,新材料開 発の共通的基礎技術を構築する必要があるとの見地から,昭和60年4月に研究組織の再編成を行った。 その後昭和62年8月,科学技術会議は「国立試験研究機関の中長期的あり方について」の答申を行い,新たな 技術シーズの創出などを目指した基礎的・先導的研究の強化及び国際的な面での十分な対応がとりわけ重要な政 策上の要請である旨の指摘を行っている。このような背景と創立30年を経た研究基盤のもとで,昭和62年9月 に策定された「金属材料技術研究所第3次長期計画」では,研究開発の基本方針を従来の産業基盤的研究から材 料科学技術の基盤研究へと転換させることを提案,新材料の開発及び材料信頼性の確立の研究を2本の柱として 設定した。金材技研はこの第3次長期計画に従って重点的研究分野の設定を行い,昭和63年度に10研究部およ び5研究グループ制へと組織変更を行っている。研究部では主に材料科学技術の要素技術・特性などについて, 高度な技術を駆使し,専門的に掘り下げた研究(基盤研究)を行い,研究グループではこのようにして培った専 門的研究ポテンシャルを結集してシーズの育成,材料科学技術の飛躍的展開につながる重要課題の解決,あるい はナショナルプロジェクトへの参画など公共のニーズへの対応を図るための研究(総合研究)を進めてきた。 第3次長期計画ではまた,目黒本所と筑波支所の2元運営体制を1元化して,筑波地区へ全面的に結集する必 要性のあることについても提言を行っている。時あたかも昭和60年5月に国土庁は「首都改造計画について」を 公表して一部政府機関の移転再配置を提言,昭和62年11月には一省庁一機関移転構想が浮上する。科学技術庁 では移転機関候補に金属材料技術研究所をあげ,金材技研の筑波全面移転が一気に具体化することになった。 筑波移転作業が進められる一方で,物質・材料科学技術が基礎とする物理学,化学などの分野は相互に結び付 きを強め,材料研究は境界領域の学問として急速な変貌を遂げつつあった。また,測定・制御・解析技術などが 著しく発展したことにより,材料の原子分子レベルでの設計・加工が可能になってきた。このような材料研究を 取り巻く環境の変化を踏まえ,また筑波地区への全面的移転を機に基礎的・先導的研究を推進し,国際的に大き く開かれた研究所にするという構想を具体化するため,平成4年4月に「金属材料技術研究所第4次長期計画」 が策定された。 この長期計画では,「基礎科学に立脚した材料研究の推進」を中心に掲げ,今後金材技研では,材料研究を基礎 から再認識し,より新しい材料研究領域の開拓を図ることとしている。このため,従来からの研究部,研究グルー プの体制を維持しつつ研究を進めるとともに,平成5年度には,強磁場ステーションを,平成6年度には,企画 室を設置した。さらに,平成7年度,筑波移転を機に,精密励起場ステーションを設け,極限場研究センターを 設置するなどの組織変更を行い,管理部,9研究部,5研究グループ,特別研究官,極限場研究センター及びその 下の2ステーションの組織構成となった。創立から現在に至る予算,定員の推移は,図Ⅰ-1,図Ⅰ-2に示すとお りである。 図Ⅰ-1 金材技研予算額の推移 図Ⅰ-2定員の推移 第2節移転構想 1.金属材料技術研究所の筑波移転に関する経緯 1.1従来の経緯 国立研究機関の筑波地区への移転は,昭和36年9月に閣議決定された「機能上必ずしも東京都に置くことを要 しない官庁の集団移転」に始まる。これは首都圏への過度集中の防止に資する施策の一環として決議された。そ して昭和38年9月,筑波地区へ研究学園都市を建設すること,及びその規模は,概ね4,000ヘクタールを予定す ることが閣議了解された。 金材技研ではこれを受け,研究所の移転に関し,科学技術庁に筑波地区へ移転する意志があること,また設立 後日が浅いので移転は極力遅くしたい旨回答した。そして,大蔵省と科学技術庁が協議し,金材技研の移転に関 して次の方針が決定された。 ア)第一次長期計画で整備された既存の建物,大規模な施設などは,原則として現在地に残置するが,今 後強化・充実を必要とする部門及び研究団地の構成上,必要となる部門の施設は筑波地区に設置する。 イ)材料試験所(現在の材料試験事務所)の設置は,現在地において早急に実施する。 この方針に基づき,筑波地区の整備構想をまとめ,同地区では「鉄鋼生産技術の研究及び金属材料の物性の研 究を実施する」こととし,整備計画を科学技術庁に提出した。この結果,昭和42年9月の閣議了解「研究学園都 市の建設について」において,金材技研の一部が筑波地区に移転を予定する機関として明記された。 その後,整備計画の見直しがあり,「鉄鋼生産技術を除き金属材料に関する目的基礎から応用開発に至る一貫し た材料研究部門を筑波地区に設置する」を骨子とする「筑波移転に関する基本構想」を作成し,本庁に提出した。 昭和47年5月,閣議決定「移転機関などの移転計画について」において,「金属材料技術研究所の一部」が昭 和48年以降移転する機関とされた。 金材技研は,この閣議決定に基づき,昭和49年度から施設建設に着手し,現在の千現地区の15ヘクタールの 敷地に次の建物を建設した(建築年度順)。 超電導材料実験棟 1,475 m2 特殊雰囲気中高温特性実験棟 1,072 m2 研究本館 4,048 m2 建屋の完成後,昭和54年3月,3研究部1課からなる筑波支所(人員68名)を開設した。その後,昭和55年 3月に特殊材料実験棟(220m2),昭和57年12月に構造材料実験棟(1,242m2)が完成している。これらの研究施 設の一連の整備により,金材技研の筑波移転構想のうち関係当局との間で合意をみていた3研究部の移転計画は 一応概成したこととされた。 1.2全面的移転構想 筑波地区への移転の範囲は,材料開発関連部門のみを対象としてきた。しかし,目黒地区の施設は,旧海軍技 術研究所の施設を受け継いでいたため,昭和5年に建設された実験棟を始めとして,老朽化が著しく,また,研 究所周辺の市街地化が進み,材料工学の研究所の設置場所として適切とはいえない状況となっていた。さらに大 蔵省より目黒地区の敷地は要転用地の指定も受けていた。そのため,昭和57年5月の第二次長期計画では,最新 の研究施設を順次筑波地区に整備する計画案をまとめ,この方向に沿って,その後昭和62年度にクリーンルーム を主施設とする表面界面制御実験棟(1,443m2)が建設された。 昭和62年9月の第三次長期計画では,技術革新のトリガーとしての材料技術や新素材に対する期待に応える ため,また,基礎研究の重要性を認識し,基本的な原理や原子・分子レベルの現象に立ち返った材料科学技術の 概念の開拓や独創的技術シーズの探索・育成,将来の自主技術開発のためには基礎的・先導的研究が必要である としている。さらには,開かれた研究所として,共同利用施設の整備や他機関との交流を積極的に進める必要性 があると謳っている。そして,このような施策の効果的・効率的な推進には,目黒地区の老朽化した研究施設を 抱えたまま目黒地区と筑波地区との二元体制を維持し,さらには他の理工学分野の研究所と離れて目黒地区に孤 立しているのは適切ではなく,早急に筑波地区に高度で最新鋭の研究設備を整備し,研究機能や施設を全面的に 筑波地区に結集する必要があるとして,全面的・ 一括筑波移転計画案を提案した。 この筑波地区への全面移転構想を実現に移すのに必要な調査を行うことを目的に,金材技研内に筑波移転準備 室が昭和62年6月に設置され,検討が始まった。 2.国の機関などの地方移転構想 金材技研の筑波地区への全面的結集を検討し始めた頃は,いわゆるバブル経済の最盛期であり,都市部,特に 東京への高次都市機能の一極集中と人口の再集中が生じ,その結果として,都内の土地需要が増大し,投機的取 引などと相まって異常な土地の高騰を招き種々の問題を生じていた。他方,地方では急速な産業構造の転換など による雇用問題の深刻化,過疎地域の拡大など地方振興の上で大きな課題が生じていた。 こうした状況に対応するため,政府は東京一極集中を是正し,国土の均衡ある発展を達成するためには,都 市・産業機能の地方分散により,東京への過剰な依存から脱却する必要があると判断,その一環として国の機関 などの移転について検討し,その推進を図ることとした。 国の機関などの移転は,上記のような認識のもとに, ア)東京都区部の過密を解消する。 イ)東京への諸機能の過度の集中を抑制し,分散を促進する。 ウ)国の機関などの移転により地方の振興を図る。 エ)国の機関などの移転により民間部門の地方移転を促進する。 などのために行われることになった。 筑波地区への全面的な研究施設の結集を検討し始めていた金材技研は,この構想に積極的に協力することと し,科学技術庁と相談の上,昭和62年10月,科学技術庁内に「金属材料技術研究所筑波移転準備室」を設置し, 実行に向けた本格的な作業を進めるとともに,昭和62年12月の事務次官会議における各省庁への移転対象機関 リストアップ要請に応え,筑波研究学園都市への移転対象機関となることを公式に表明した。その後,昭和63年 1月の閣議で「国の機関などの移転について」が閣議決定され,その際の参考資料に各省庁が考慮している機関の 1つとして金材技研が含まれていた。そして昭和63年7月の閣議決定で,他の8省庁8機関とともに金材技研は 「移転を対象とする行政機関」とされた。 金属材料技術研究所の筑波への移転は,金材技研内の筑波移転の必要性の認識とその高まり,社会情勢との整 合性,そして政府施策とのタイミングなどに合致し,移転を進める環境としては極めて恵まれていたといえる。 3.新研究所構想 3.1基本構想 金属材料技術研究所は,筑波への移転を新たな材料研究の展開に必要であるとの認識のもとに始めたこともあ り,この移転を受け身の単なる移転とは考えなかった。第3次長期計画で示された理念を実現し,21世紀の新し い物質・材料系科学技術に対する期待に応えることのできる最新鋭の研究施設をもつ新研究所を建設する絶好の 機会ととらえ,移転構想を立案した。この際,研究所内外で移転に対する金材技研の考え方と構想策定の方向を 示すのに用いたのが図Ⅰ-3の資料である。 新研究所構想のバックボーンとなる理念は,基礎的・先導的研究を推進し,材料に関する中核的研究機関とし て機能し,開かれた研究所として広く社会へ貢献することである。次にその概略を示す。 (1)基礎的・先導的研究の推進とその機能強化 先端科学技術を先導し,革新的な展開をもたらす新材料分野として,自然物質にはない特異な機能を発現しう る人工特殊構造物質,特異な機能が潜在する金属間化合物,格段の性能向上が期待される新超電導材料,未開拓 領域が残るレアメタルなどを金材技研の今後の材料開発研究の主対象と考えた。 これらの材料研究には,基礎的・先導的研究機能の強化が必要である。物質・材料の創製の過程を制御し,望 ましい物質・材料を作る「合成・構造制御」と物性や材料特性の究明,特性発現のメカニズムの解明,特性の高 度化などを行う「物性・特性開発」の研究機能強化につながる研究施設として,「精密計測実験棟」,「ファインプ ロセス実験棟」,及び「材料創製実験棟」を建設することにした。 データシートなどの実績がある材料信頼性研究についても損傷機構に関する研究,寿命予測や性能評価技術開 発に関する研究などの基礎的研究の強化を打出し,その研究施設として「材料強度実験棟」を計画した。 (2) 開かれた研究所への体制整備 金材技研は,開かれた研究所として,材料科学技術の中心的あるいは共通基盤的課題に対し,積極的な役割を 担い,貢献していくこととしている。そのために,コーディネート機能の強化,共同研究の拡充,研究交流・国 際協力の促進,共同利用施設の設置,及びデータベース整備と利用の促進が必要と考え,研究施設,管理機能, 組織などに反映させているが,特に,移転において大きなウエイトを占めたのが共同利用施設を具体化した大型 共同研究センター構想である。大型共同研究センター構想については次項で詳述する。 (3) 中核機関としての機能強化と管理運営の効率化 金材技研の研究組織は,基盤的研究組織と総合的研究組織とから成立っているが,両分野の研究組織間の交流 が基盤的研究に刺激を与え,また総合的研究の総合的・機動的取り組みを可能にし,研究所全体の活性化につな がる。組織間のみならず個々の研究者間の交流も強く望まれる所であり,このような交流を円滑に進める一つの 筑波地区への全面結集の必要性 内的要因 研究推進の効率化 1)研究所の一元化は、相互に関連する多面的な研究分野を包括 した総合的研究計画を具体化できる。 2)研究状況の変化に対応した、最適の研究グループの編成が早 急に実現でき、人材ポテンシャルの活用になる。 3)研究者間のコミュニケーションの機会が拡大し、自発的な協 力及び情報の流通が促進される。 4)目黒本所と筑波支所との往復時間が節約される。 研究施設の高度化の実現 1)材料研究が、量から質へ転換している現状に対応して、先端 材料の開発に必要な研究施設の強化・充実ができる。 2)材料の微視的構造から研究開発を進める独創的な研究を支 えていくための、大型で高価な新鋭設備が整備できる。 3)目黒地区の研究施設の老朽化が進んでいるのに対し、筑波地 区の設備に、更に一層の整備を行うことによって、設備の高 性能化と利用率の向上が図れる。 研究所の活性化 1)職住接近の利点により、研究活動に時間的余裕の活用が図れ る。 2)他分野研究機関との交流による刺激により、ポテンシャルの 向上になる。 先端研究所との連携による研究機能の強化 1)他分野の最先端の技術の導入、研究成果の移転、境界領域の 共同研究等の促進になる。 2)他機関の特殊性を有する大型・高度な研究施設、設備の相互 利用が可能となる。 3)国際的な筑波研究学園都市の利点を活用することによって、 国際交流の促進、強化が図れる。 外的要因 地域開発 1)筑波研究学園都市の機能強化と都市整備に貢献する。 2)地元自治体、企業等から、筑波地区への全面的移転が要望さ れている。 3)大蔵省より目黒地区の敷地は要転用地の指定を受けている。 筑 波 地 区 へ の 結 集 を 契 機 と し た 新 研 究 所 の 建 設 先導的・基盤 的研究機能の 強化 開かれた研究所 への体制整備と 機能発揮 将来の発展性の 確保 図Ⅰ-3筑波地区への全面結集の必要性 方策として,全研究者を収容しうる大型・高層の新研究本館を建設することとした。また,今後の情報化時代に 備えるとともに,中核機関として必要な機能として,所外のネットワークにアクセスできるとともに,所内の管 理部門及び研究者間をつなぐLANシステムを構築することとし,これらシステムを含むインテリジェント化さ れた機能を本館にもたせることにした。 3.2大型共同研究センター(現在の極限場研究センター)構想 (1)共同研究施設が必要となった背景 材料科学技術の分野において,波及効果の大きい基礎的・先導的研究成果をあげるには,原子・分子さらには 電子レベルの超微小領域まで踏み込んだ研究,従来の水準を超える超強磁界などの極限状態の利用,高エネル ギーイオンビームなどの新たな手段の利用などが必要であり,そのための最先端の大型・高度な研究設備の必要 性が高まっている。とりわけ,超強磁界,超低温,極高真空などの極限環境発生・利用装置,あるいは,各種ビー ム発生 ・利用装置は, 新現象の発見,新原理の創出などを通じて,材料科学技術にブレークスルーをもたらすも のとして最も期待されているものである。これらの設備は,建設にも,また運転・維持にも莫大な費用と高度の 技術を要することから,単独の機関の専用とはせず,共同施設として,広く公開することが必要である。 (2)大型共同研究センターの概念 金材技研が計画している大型共同研究センターは,所内の他の研究施設の運営とは異なり,また,既設の他の 国立研究機関の共同利用施設ともやや性格が異なるので,その基本的な概念を次に示す。 ア)創造的な研究の展開や先端的分野への進展を図るための施設であり,そのため,金材技研は施設の維 持・管理だけでなく,その研究機能を共同研究に貢献させる。 イ)共同研究実施を施設利用のベースとし,産学官のニーズに応えるとともに,産学官の連携を要する共 同研究を積極的に設定し,実施する。 ウ)多大な研究資源と,施設利用のための高度な知見の蓄積を要する同施設は,人類共通の資産と考え, 国際的公共財として,国際的にも開かれた体制を取る。 エ)産学官の連携及び国際協力のフロンティアとして十分機能するよう,外来研究員及び流動研究員の 受け入れなどの体制を整備する。 (3) 大型共同研究センター施設整備 大型共同研究センターとして,(ア)超強磁界技術研究センター,(イ)ビーム利用技術センター,(ウ)超低温 技術研究センター,(エ)極低温材料評価研究センター,(オ)極高真空技術センター,(カ)極限分析・特殊標準 物質センターの6センターを計画した。これらの分野は,材料科学技術にブレークスルーをもたらすと考えられる 未開拓の研究領域を広く研究者に解放することになり,革新的な,創造性の高い研究活動を促進することになる。 上記6センターのうち,金材技研が高いポテンシャルをもち,関連研究を積極的に進め,既にプロジェクト研 究を始めていた超強磁界研究センター(現・強磁界ステーション)とビーム利用技術研究センター(現・精密励 起場ステーション)を先行して設置することとした。 第3節 移転計画推進 1.移転基本計画 新研究所構想を実現するのに際し,基本的な問題として,建設の財源を何に求めるか,研究所の敷地をどこに するか,そして目黒地区の施設の全てを同時期に筑波地区へ移転することが可能かの3点が最重要な検討課題で あった。これらについて概説する。 1.1移転財源 移転財源のうち,土地取得及び施設建設費用は,特定国有財産整備特別会計法(特々会計)の移転再配置事業 として認めてもらうことにより予算化を図った。既に都内から筑波地区へ移転した通産省・工業技術院の研究所 や農水省の研究所の移転事業に用いられた制度であり,移転を要する施設を処分し,その処分見込額の範囲内で 特々会計予算が認められる。この処分見込額は,全て土地処分によるものであるが,当時の社会情勢を反映して 有利なものとなった。移転再配置事業では,処分する施設と新たに取得する施設との間に機能的代替関係が必要 であり,処分する老朽化した目黒地区の施設と新たな研究取組みを目指した新研究所の施設との複雑な機能的な 関係を整理すること,千現地区の15haの土地は,住宅・都市整備公団(住・都公団)から借りているもので,こ の際取得することにしたが,既に半分近くは一般会計で概成した状態であったので,特々会計の対象とするため, 千現地区の既成施設も巻き込んだ一括整備取得計画とすること,さらに,処分する目黒地区の土地は4haである のに筑波で取得する土地は,桜地区の土地を含めて20haになるので,その理由や必要性を明確にして理解を得 ることなど,困難な問題が多かった。しかしながら,大蔵省理財局や関東財務局の財政当局が金材技研の事情に 理解を示し,柔軟な解釈により,新研究所構想の予算的裏付けが得られた。 後に詳しく述べるように,特々会計でカバーし得ない装置の移設費や設備の更新費は一般会計予算に頼ること にした。 1.2移転先敷地 移転先の土地は,既に,2研究部・ 2研究グループが移転し,活動していた現在の千現地区の15 haの敷地とす ることを基本に検討した。しかしながら,千現地区の土地は,金材技研の主要3研究分野である,材料開発部門, プロセス部門及び材料信頼性部門のうちの材料開発部門のみの移転を対象に整備してきたため,改めて,全面的 移転となると,建設可能な敷地が限られ,全部門の施設建設は困難であった。特に,マルチコアプロジェクトの 目玉として設備開発を進めてきた超強磁界施設は,付帯設備が大規模となり,また,磁界が他の施設,特に精密 計測機器へ影響することが考えられるため,広い緩衝領域を必要としていた。そのため,千現地区の敷地に超強 磁界施設を建設することが難しくなり,超強磁界施設を含む大型共同研究センター用の敷地を新たに求めること にした。 当初は,なるべく近い所がよいと考えて,金材技研千現地区の正門前の空き地(現在の竹園西小学校)を検討 したが,小学校建設計画が浮上するなどにより断念した。そのため,対象地域を広く検討することとし,千現地 区の敷地からなるべく近い所,大型研究センター建設に必要な5 ha程度の土地が確保できること,大型マグネッ トなどに必要な大電力の供給が可能なこと,そして移転時期に合わせて,土地の取得・整備がなされることを条 件に調査した。その結果,住・都公団が進めている桜柴崎土地区画整理事業に着目し,同事業で整備される誘致 施設用地を特別分譲として取得することとした。同用地取得に際しても,住・都公団,茨城県,地元のつくば市 の協力があり,移転事業とマルチコアプロジェクトの両計画に整合させ,土地取得,施設整備ができたことを付 記して感謝したい。 1.3移転施設の範囲 筑波への移転は,その趣旨からいっても全面移転が適切であり,そのため,全ての施設と敷地を移転対象とし て検討した。しかし,先ず,従来の経緯から金材技研の敷地に包含されているが,他省庁の職員家族が生活して いる総理府宿舎と科学技術庁本庁職員が利用している独身寮は,処分するのは適切でないので,施設,敷地とも 処分対象から外した。問題は,目黒本所から離れ,飛び地となっている材料試験施設とその敷地の扱いであった。 ここでは,10年以上の長期間に亘り,連続したクリープ試験を多数行っており,国内外の関係機関が基準として いる貴重な試験データを取得している。移転は,今までの長時間の試験が無駄になることもあり,困難と考えら れた。一方,この施設では,データシート業務に加えて材料信頼性研究を行っており,これは,他の研究機能と の関連が強いので,筑波地区に移す必要があった。このため,材料試験施設の敷地を処分対象に含めず,材料試 験庁舎とクリープデータシート関連の施設と機能を残置し,信頼性研究関連の機能と設備を筑波地区に移転する ことにした。 2.特定国有財産整備計画 特定国有財産整備特別会計法(特々会計)の移転再配置事業では,金材技研の目黒地区の処分すべき国有財産 (土地)と筑波研究学園都市に取得する土地及び新たに建設する国有財産を定めた特定国有財産整備計画を策定 し,処分による収入見込額(概算評価額に基づく)の内,保留分(1/3)を除いた範囲(2/3)を財源として,筑 波地区の新たな施設整備などの財産取得に充てるものである。一省庁一機関移転の政策に従い,昭和63年7月 30日に金属材料技術研究所は昭和64年度(平成元年度)特定国有財産整備計画書と営繕計画を科学技術庁より 大蔵省に提出した。 この特定国有財産整備計画書と営繕計画書はB4版で400ページ余りのものであるが,その内容は表Ⅰ-1と表 Ⅰ-2で全貌を知ることが出来る。金材技研が東京都目黒区の本所の土地39,898m2を処分し,昭和64年度(平成 元年度)から昭和67年度(平成4年度)の間に,つくば市千現の支所の土地149,839.32m2と桜・柴崎地区(以後 桜地区と称す)の土地約50,000m2を取得し,それぞれの土地に14棟と7棟の建物を建設し,筑波研究学園都市 に移転する。総予算は約500億円で,開所以来のビッグプロジェクトである。この移転により,土地は5倍,延 建築面積は29,347m2から63,281m2と,2倍以上になる。さらに,表Ⅰ-2に示すように全ての建物はインテリジェ ント化を目指し光ファイバーが設置され,それぞれの実験棟には高度な特殊仕様が施される。これにより,金材 技研は新しく生まれ変わり,21世紀に向けての将来展望が開けたと言える。特に,桜地区には超強磁界技術セン ターとビーム利用技術センターの2つの大型共同研究センターの建築が認められ,第3次長期計画の基本構想の 具体化の第一歩を踏み出した。 以下では,特々会計に必要な特定国有財産整備計画書と営繕計画書が出来るまでの約一年間の道のりを4つの 期間に分けて述べる。 2.1第0期(昭和62年6月~昭和62年10月) 昭和62年6月19日に,第一回運営会議筑波移転推進小委員会(移転小委員会)が開かれ,同時に筑波移転推 進準備室(移転準備室)が設けられた。 この時期,金材技研第3次長期計画の策定が進められていた。金材技研が21世紀に向けて新しい研究所に生ま れ変わるためには,老朽化した目黒地区では不可能で,筑波地区に全面移転し 最新の研究施設を整備すること が必要であるとの認識が固まりつつあった。このため,運営会議の作業部隊として,40歳前後の中堅研究者から 成る移転小委員会が設立された。また,移転準備室には研究者2名と事務官2名が常駐することになった。最初 の仕事は特々会計の勉強と事例収集,並びに筑波移転の方法と研究施設の検討であった。特定国有財産整備特 別会計とは,その概要をまとめた資料によると次のようになる。 (1)目 的 国の庁舎などの整備を計画的に実施し,公務の能率の向上に資するとともに,特に都市地域において整備の結 果生じる跡地を有効に活用することにより都市再開発の促進に寄与することを目的にしている。 (2)特定国有財産整備計画 都市及びその周辺部における国の庁舎などその他の施設の中には,土地の効率的使用の観点から集約立体化を 必要としているもの,あるいは周辺の市街化などに伴い国の施設の位置として適切でないもの,または地元から 公園,住宅,学校などの用地への転用要望が強いものなどがあり,移転再配置を必要とするものが多い(例えば, 刑務所,自衛隊施設,公務員宿舎,米軍基地)。このような施設については,国有地の効率的な使用あるいは配置 の適正化を図ることにより地元の要望に応えるとともに,国としても施設の整備を促進する必要がある。その内 容は次の二つの事業である。 ①集約立体化事業 庁舎などとする目的で4階以上の耐火構造の建築もしくはその付帯施設またはこれらの敷地を取得し,これ に伴って不要となる庁舎などを処分する事業である。 ②移転再配置事業 移転を要する現施設を処分し,これに代わるべき建物もしくはその付帯施設もしくは工作物またはこれらの 敷地,更に合わせて取得する必要のある他の施設を取得する事業である。 (3)特定国有財産整備特別会計 大蔵大臣と建設大臣が所管する。建設大臣は官公庁施設の建設などに関する法律第九条の二の規定による建物 の営繕などに関する事務,大蔵大臣はそれ以外の施設の取得及び本会計に所属する国有財産の処分に関する事務 をそれぞれ所掌する。建前として処分財産と取得財産が同額であることを要するが,財源率が70%以上であれ ば,残りを一般会計繰入で補い,整備計画を実施できる。 図Ⅰ-4に特定国有財産整備計画提出までの手続を示す。この図に示されていないが,特定国有財産整備計画を 希望する省庁は建設省に事前に営繕計画を依頼し,特々会計の成立の可能性を検討し,その結果を受け,2月中に 大蔵省財務局と事前折衝することが重要である。また,最終の査定は大蔵省理財局の提案を受けて主計局で行う。 以上が特々会計の概要であるが,金材技研の移転は同制度の中の移転再配置事業で行った。この事業では,合 わせ取得も認められているが,基本的には処分する施設と取得する施設の間に機能的な代替関係が成立する必要 がある。これに対し,金材技研の移転計画では材料試験施設の残留に加え,逆に筑波支所と桜地区の土地を取得 することで,全体で土地が5倍,建築延面積が2倍に規模拡大することなどの多くの問題があった。これらの諸 問題に対しては,金材技研第3次長期計画に基づき,大型共同研究センターなどの将来研究構想を訴えることで, 大蔵省と建設省の理解が得られた。一省庁一機関移転の政策に従ったとは云え,金材技研の将来にとっては極め て有益な移転となった。 この時期の筑波移転小委員会と同準備室のもう一つの仕事は,科学技術庁研究開発局総合研究課と連携を取り つつ,移転の方法と新しい研究施設の検討であった。 移転の方法としては,クリープデータシートなどと関連する材料試験施設を含めた全面移転とし, ア)目黒本所を筑波支所内に移転する。 イ)筑波支所に加え,支所近隣に一部土地を求め,移転する。 ウ)目黒本所と筑波支所の両方を処分し,筑波地区の新たな場所に移転する。 以上の3案が検討された。材料試験施設においては,高温機器の設計に必要な10万時間(約11年)のクリー プ強度を集積するクリープデータシート業務が行われている。どの案においても,クリープ試験を中断する必要 があり,その場合には膨大な時間と研究費が無駄になることが懸念されていた。しかし,検討の結果,妥当な移 転方法としてイ)案が採用され,筑波支所北側の中学校建設予定地取得の可能性の調査に入った。この案は表 Ⅰ-1の最終の整備計画書と基本的には同じで,取得する土地が桜・柴崎地区に置き換わっている。 新研究施設としては,研究本館Bと実験棟Ⅰ~Ⅶより成る第0次建設案を作成した。この建設案も表Ⅰ-2の最 終の建設案と基本的には同じで,実験棟Ⅵは超強磁界技術センター,実験棟Ⅶはビーム利用技術センターである が,機材管理棟は含まれていなかった。第0次建設案の面積を積上げるに当たっては,表Ⅰ-3のように研究居室 や事務室は建設省の建築計画基準に基づくが,研究に必要な実験室などは個別に積上げる必要があり,電気,水 道,ガスなどの使用量を含めて各室設計諸源表を約300枚作成した。昭和62年8月28日に,それらを建設省大 臣官房官庁営繕部営繕計画課筑波研究学園都市施設管理センター(以後:建設省筑波管理センターと略記)に持 込み,研究施設などの概算見積をお願いした。その後検討を重ねた結果,研究協力センターと情報研究センター 表Ⅰ-1 特定国有財産整備計画書からの抜粋 取得及び処分すべき国有財産総括表 取得すべき国有財産 名 称 金属材料技術研究所 所 在 茨城県つくば市千現1-2-1 区 分 構 造 数 量 取得の見込価格 取得の方法 取得の時期 土 地 149,839.32 m2 4,910,000 千円 購 入 昭和64年度 建 物 建物計 建 18,387 m2 延 50,305 m2 25,795,010 千円 新 築 昭和64年度~ 昭和67年度 SRC 1棟 建 2,000 m2 延 19,111m2 7,072,603 千円 新 築 昭和64年度 ~ 昭和67年度 RC 12 棟 建 16,371m2 延 31,178m2 18,716,789 千円 新 築 昭和65年度~ 昭和67年度 CB 1棟 建 16m2 延 16 m2 5,618千円 新 築 昭和67年度 環境整備 1式 2,763,361千円 昭和65年度 ~ 昭和67年度 小 計 33,468,371千円 取得すべき 国有財産 名 称 金属材料技術研究所 所 在 茨城県つくば市桜・柴崎地区 区 分 構 造 数 量 取得の見込価格 取得の方法 取得の時期 土 地 50,000 m2 3,500,000 千円 購 入 昭和65年度 建 物 RC 7棟 建 8,991m2 延 12,976 m2 12,061,223 千円 新 築 昭和65年度~ 昭和67年度 環境整備 1式 1,151,530 千円 昭和65年度~ 昭和67年度 小 計 16,712,753 千円 合 計 50,181,124 千円 処分すべき国有財産 名 称 金属材料技術研究所 所 在 東京都目黒区中目黒2丁目269番地 外 国有財産台帳記載事項 処分の見込価額 処分の方法 処分の時期 区 分 構 造 取得年度 数 量 台帳価格 土 地 昭和34年度 39,898 m2 11,973,410,128 円 建 物 建物計 昭和5年度~ 昭和52年度 建16,665 m2 延 29,347 m2 1,128,827,163 円 RC 24 棟 建 9,885 m2 延 22,116m2 929,320,764 円 R 10棟 建 6,072 m2 延 6,523 m2 185,684,270 円 W 12棟 建 667 m2 延 667 m2 13,326,382 円 CB 3棟 建 41m2 延 41 m2 495,747 円 工作物 1式 630,160,587 円 立木竹 248本 383,838 円 合 計 13,732,781,716 円 59,561,749 円 表Ⅰ-2建設計画のまとめ 1.筑波支所内敷地15 ha 建物名(仮称) 構造・階数 建面積(m2) 延面積(m2) 建 物 の 特 徴 研究本館B SRC-B1-9 2,000 19,111 事務室,研究室,会議室,図書室,電算機 室などの一般的,共通的室及び特殊仕様を 必要としない実験室よりなり,インテリ ジェントビルとしての機能を有する。 研究本館分棟 RC-2 1,000 1,859 食堂などの厚生施設,大講堂よりなる。 計測・解析実験棟 RC-2 1,656 3,312 高度な防振,電気・磁気シールドなどのノ イズ対策を施し,高精度な測定・解析を行 う。 雰囲気制御実験棟 RC-3 1,746 5,237 物質の高純度化,合成及びそれらの分析・ 特性評価を行うため,クリーンルーム及び 水素,フロンガスなどの特殊ガスの施設を 有する実験棟。 ファインプロセス 実験棟 RC-2 1,430 2,860 超微粉などのナノ メートルレベルのプロセ ス研究を行うため,室内気流制御により, 高度な集塵対策を施した実験棟。 材料強度実験棟 RC-3 1,993 5,978 クリープ,疲れ,腐食などの材料信頼性研 究に必要な大型材料試験機を設置するため の高床荷重,高天井さらに装置が発生する 振動を防ぐための別基礎を有する実験棟。 材料創製実験棟 RC-1 5,710 5,710 素材,素形材の創製研究に必要な防塵,衝 撃対策が施され,かつ広い床面積をもつ実 験棟。 機材管理棟 RC-3 658 1,974 資材,機器,文書などを集中的,効率的に 保管・管理する建物。 共通施設(6棟) 4,264 4,264 実験廃水処理施設1,200 m2,特高変電所 820 m2,受水槽ポンプ室250 m2,エネル ギーセンター1,910m2,守衛所68m2,ガ スガバナー室16m2計4,264m2 計 18,387 50,305 2.大型共同センター 敷地5 ha 建物名(仮称) 構造・階数 建面積(m2) 延面積(m2) 建 物 の 特 徴 超強磁界技術研究 センター RC-2 4,632 5,732 酸化物超電導材料などの開発のため,世界 最大の超電導マグネット,超低温実験に必 要な液体ヘリウム製造装置などを有する実 験棟。 ビーム利用技術 研究センター RC-2 1,587 3,173 イオンビームなどのもたらす極限状態環境 下で原子・分子レベルの解析・評価,照射 損傷評価及び材料創製などに係わる研究を 行う実験棟。 管理棟 RC-1 1,300 2,599 事務室,会議室及び情報資料室より成る。 共通施設(4棟) 1,472 1,472 実験廃水処理施設432 m2,特高変電所820 m2,受水槽ポンプ室152m2,守衛所68m2 計1,472m2 計 8,991 12,976 合計(1 + 2) 27,378 63,281 を追加することになり,併せて概算見積を建設省にお願いした。昭和62年10月20日に回答があった。延建築面 積は66,982m2,工事予算は422億6993万円と計算されており,表Ⅰ-1の最終の整備計画書内の63,281m2(= 50,305 m2+12,976 m2)と378億5623万円(=257億9501+ 120億6122万円)と近い値であった。 昭和62年10月1日に,科学技術庁内に金属材料技術研究所筑波移転準備室(科技庁移転準備室)が設置され, 第一回の会合が開かれた。科学技術庁研究開発局総合研究課と金材技研の予備的検討結果が報告され,金材技研 の筑波移転の検討を続けることが確認された。この頃までに,大蔵省関東財務局に筑波移転構想を説明し,一般 会計で既に一部開発されている筑波支所の土地の取得は移転再配置事業に馴染まないこと,クリープ試験を中断 できない材料試験施設については,別に2回目の特々会計を組み,移転すること(二段階移転)などの指摘がな されていた。また,国土庁,茨城県,桜村,住宅・都市整備公団(住・都公団)にも筑波移転構想を説明し,中 学校予定地の取得を打診したが,小学校建設の計画があり,不可能であることが明らかになりつつあった。 図Ⅰ-4特定国有財産整備計画のための手続 2.2第Ⅰ期(昭和62年11月~昭和63年1月) 昭和62年11月10日付の新聞に,当時の竹下首相が高島総務庁長官に会い,東京の地価高騰の対策の一環とし て一省庁一機関の地方移転の検討を指示したことが掲載された。金材技研の筑波移転が現実味を帯び,実質的 にスタートラインに付いた。昭和62年11月12日に,第2回科技庁移転準備室会合が開かれた。一省庁一機関移 転を含め,土地取得の経過報告,材料試験施設の二段階移転などが討議された。土地取得は困難であるが,粘り 強く進めること,筑波移転構想を科技庁幹部と他省庁に本格的に説明していくことが確認された。その後,独身 寮,総理府宿舎,30号A庁舎と30号庁舎の土地に外国人用宿舎を建設する案,材料試験施設を二段階移転で処 分するのではなく,残留させる案などが浮上し,検討が重ねられた。また,土地取得については,中学校建設予 定地に小学校が建設されることが決まり,断念せざるを得ない状況となったが,新たに桜地区が浮上してきた。 金材技研内においても移転作業が活発化し,所外の懸案に取り組むとともに,昭和62年12月9,10日に職員 懇談会が目黒本所と筑波支所でそれぞれ開かれた。これに向けて,移転小委員会と準備室は第0次建設案を基に 第1次建設案を作成した。続けて,職員懇談会の意見を入れ,所外の説明に使用する第2次建設案が作成された。 職員懇談会の意見は建設案を向上させる積極的なもので占められ,筑波移転を進めてきた関係者は勇気づけられ た。第Ⅰ期の間に第3回から第11回移転小委員会が開かれ,小委員は多忙を極めた。 昭和62年12月24日付で,国上庁より各省庁宛に具体的な移転機関を昭和63年1月14日までに提出するよ うに依頼があった。昭和63年1月12日に第4回科技庁移転準備室会合,翌日の13日に科技庁幹部会と金材技研 幹部会が立続けに開催され,金材技研が一省庁一機関移転の候補になるに当たり,次のことが確認された。 ア)筑波地区に土地を確保すること。 イ)独身寮と総理府宿舎は移転対象外とし,外国人用宿舎などに当てることを検討すること。 ウ)クリープ試験の継続性の観点から材料試験施設は当初移転と切り離すこと。 エ)施設の整備,職員などの就労,宿舎などに関し,予算面を始め所要の措置が講じられること。 上記の確認事項に沿い,昭和63年1月14日に材料試験施設を含めた案と,除いた案の両方を併記し,金材技 研が一省庁一機関移転の候補となる旨を科技庁から国土庁に回答した。これをもって,金材技研の筑波移転は科 技庁で承認され,その骨格が決まった。 2.3第Ⅱ期(昭和63年2月~昭和63年4月) 昭和63年2月4日に,大蔵省関東財務局より,特々会計設置を要望している機関の内容説明を理財局にするた め,(ア)取得財産の見込み,(イ)処分財産の見込み,(ウ)整備理由,(エ)当面の問題,(オ)目黒と筑波地区の土地図面に関 する資料を作成し,提出するよう指示があり,昭和63年2月8日に回答した。 この時期の最大の問題点は筑波地区に新たに5haの土地を取得することであった。大蔵省を始め,建設省,国 土庁,茨城県,住・都公団を何回も訪ね,金材技研の筑波移転構想を示し,大型共同研究センターなどの将来計 画にとって,5 haの土地は是非必要であり,筑波への全面集結の観点から住・都公団が開発予定の桜地区が最適 であることを説明した。徐々に理解が得られ,同地区の開発計画図が示される所までこぎつけた。さらに,昭和 63年3月下旬から4月上旬に掛けては,関係省庁・機関から, ア)金材技研の筑波移転を,昭和64年度を初年度とする特定国有財産整備計画として作業を進めている ので,資料などの準備を詰めておくこと。 イ)桜地区の土地5 haの取得は筑波支所の土地15 haの購入が前提であること。 ウ)筑波支所の土地購入のため,一般会計で整備した地域に新しい建物を建てたり,エネルギー供給を共 通にするような一体整備などの説明資料を作成すること。 などが指示され,筑波移転が確実なものになってきた。 建設案については,昭和62年11月頃から各建物・各室の特殊仕様・内部装備の検討が開始されていた。これ らは移転後の筑波での研究と密接に関係するので,あらゆる角度から調査・検討が加えられた。全ての建物に光 ファイバーを張巡らすことを計画し,現在のLANシステムの基礎を築いた。さらに,現ファインプロセス実験棟 の屋上一杯を占めているスクラバー,材料強度実験棟の集中油圧源などの大型内部装備を導入することを決めて いった。昭和63年2月9日に,これらの諸点を含めた第2次建設案を建設省筑波管理センターに持ち込み,概算 見積の修正をお願いした。昭和63年3月31日に回答があり,次のような指示があった。 ア)この概算見積を用い,特定国有財産整備計画要求概要書を作り,関東財務局に処分財産の概算評価を 依頼する。 イ)処分財産算定評価の回答後,詳細な詰めを行い,営繕計画書を完成させる。 ウ)このため,建設省建築基準に定められていない実験室などの面積や内部装備に関する資料を整える。 土地の取得,建設案の改正と並行し,機能代替の資料作りが行われた。既に述べたように,特々会計制度によ る移転再配置事業では,合わせ取得も認められているが,可能な限り新旧建物で機能代替が成り立つようにした。 しかし,この作業は次の理由で困難を極めた。 ア)金材技研は創立後30年以上たっていたため,目黒本所の建物には雑多な設備が混在しており,明確 な機能区分が出来なかった。 イ)延建築面積が3倍以上になるため,機能代替の絶対数が不足した。その上,材料試験施設は処分しな い方針であったため,50号と51号庁舎が対象外となった。 ウ)超強磁界技術センターとビーム利用技術センターの新しい建物については機能代替の根拠が希薄で あった。 各実験室の設計諸源表を作成するために,装置などの物品調査は早くから進められていたが,機能代替説明の 難しさを補う観点から,より一層拍車がかかった。金材技研の発足は昭和31年7月1日であるが,昭和35年以 前の物品も洗出された。 昭和63年4月11日に特定国有財産整備計画要求概要書(案)を建設省に説明した。これを皮切りに,住・都 公団,国土庁そして大蔵省に順次説明をしていった。最後に,科技庁と金材技研の幹部の了承を得た後,図Ⅰ-4 の特々会計の公式な第一歩として,昭和63年4月28日に大蔵省関東財務局に特定国有財産整備計画要求概要書 を提出し,処分財産の概算評価を依頼した。これにより,筑波移転の予算化の道が開けた。 2.4第Ⅲ期(昭和63年5月~昭和63年7月) 最後の3ヶ月に突入した。金材技研内の移転に向けての組織は変更され,所議メンバーを中心とした筑波移転 計画推進委員会,運営会議メンバーを中心とした同幹事会,旧移転小委員と準備室メンバーを中心とした同小委 員会,さらに各種のワーキンググループが設置され,結果として職員の半数近くが筑波移転に関与することに なった。この時期は土地問題と営繕計画書作成に絞られていた。 土地問題については,筑波支所において一般会計で整備した地域,最も小さく見積もって一般会計で建設され ていた建物の底地を特々会計で購入する説明が難しかった。筑波支所の土地の購入は桜地区の土地5 haの取得 の前提となっていたため,大きな問題であった。もう一つは材料試験施設を処分せず,残留させることであった。 これは特々会計の移転再配置事業並びに一省庁一機関移転のどちらにも反するものであるとの厳しい指摘を受け ていた。これらの土地問題の内,前者に対しては大型共同研究センターの必要性や支所の既設建物の一体整備と 表Ⅰ -3営繕計画書からの抜粋:建設省建築計画基準による各室の要求面積の積上げ 実験棟名:研究本館B棟 室 名 現有面積 要求面積 設 置 理 由 所長室 58.5 72.0 4m2×18 科学研究官室 39.0 72.0 4m2× 18 管理部長室 39.0 36.0 4m2×9 部長室 261.3 396.0 4m2×9×11名 研究室 2,059.5 3,311.2 223名 室長級 ― (2,780.0) 4m2×5×139 名 研究員 ― (439.2) 4m2×1.8×61名 研究補助員 ― (92.0) 4m2×1.0×23 名 事務室 625.0 450.0 課長 ― (60.0) 4m2×5×3 名 補佐級 ― (50.0) 4m2×2.5×5 名 係長 ― (144.0) 4 m2×1.8×20 名 一般 ― (196.0) 4m2×1×49 名 会議室 290.8 282.0 事務職 ― (48.0) 0.6m2×80 名 研究職 ― (234.0) 1m2×234 名 輪講室 72.0 234.0 1m2×234 名 図書室 444.0 650.0 2m2× (234 +桜17名+筑波74名) 医務室 15.3 105.0 全職員400人以上(418名) 女子更衣室 23.8 8.4 16 人(4m2×0.4×11) 倉庫 313.8 737.3 (630.0 + 3,707.2) ×17% 便所及び洗面所 145.0 251.2 314×0.8m2 シャワー室 0 42.4 212 人×0.2m2 湯沸室 16.6 98.0 有効面積10,000 m2以上 標準実験室 2,215.4 3,392.0 16m2×212 人 使用調整,後者に対してはクリープ試験が中断できないことを大蔵省理財局に粘強く説明していった。 営繕計画書については,建設省建築計画基準に定められていない特殊業務室,多くは実験室の設置理由と配置 図の作成が重要であった。新旧建物の比較で,延建築面積が3倍以上になることから,このまま認められないと 云う危機感があった。そのため,既設の装置,将来購入予定の装置,実験机などの内部装備を詳細に検討し,実 験室などの必要性とレイアウトを固めていった。表Ⅰ-3に営繕計画書からの抜粋を示す。 昭和63年6月28日に大蔵省関東財務局から処分財産算定評価の回答があった。表Ⅰ-1に示したように,使用 できる金額は約500億円で,幸運にも以前からの見積と大きな差はなかった。これを受けて,建設省筑波管理セ ンターに再度お願いし,営繕計画書が完成した。昭和63年7月19日の閣議において金材技研は一省庁一機関移 転の候補機関と認定された。昭和63年7月30日に,大蔵省理財局の特定国有財産整備計画の決定通知を受け, 金材技研の昭和64年度(平成元年度)特定国有財産整備計画書を提出した。これはほとんど修正されることな く,金材技研にとっては素晴らしいものであった。その後,大蔵省主税局の査定を無事乗り越え,4ヶ年に渡る 特々会計が計上され筑波での新しい研究所の建設に移行していった。 平成元年度から平成4年度に渡る特定国有財産整備特別会計予算の一覧を表Ⅰ-4に示す。また,これによる土 地取得の詳細を表Ⅰ-5に,千現地区及び桜地区の建物工事の詳細を表Ⅰ-6に示す。表Ⅰ-6の施工費欄の上段の 数値は付帯設備工事費を含み,下段のカッコ内は建物建築費のみの数値である。 桜地区の土地取得にあたっては,桜地区が研究学園都市区域外であり,さらに住・都公団が新たに行った区画 整理事業による分譲地であったため,当時の社会問題である地価高騰の影響が危惧(千現地区は研究学園都市区 域内のため,同区域を対象として従来から設定されていた価格を適用する)された。このため,科学技術庁をは じめとする関係機関の尽力と理解により特々会計の桜地区土地購入費が約22億円増額され土地取得に係る予算 の裏付けが得られた。 表Ⅰ-4特定国有財産整備特別会計予算一覧表 金属材料技術研究所 (単位千円) 区 分 平成元年度 平成2年度 平成3年度 平成4年度 計 1.土地購入費 ①千現地区 ②桜地区 2.建物工事費 4,784,372 4,784,372 80,876 4,677,644 3,465,260 3,465,260 18,094,148 20,087,666 8,249,632 4,784,372 3,465,260 42,940,334 ①千現地区 80,876 4,677,644 13,998,868 10,614,586 29,371,974 ②桜地区 3.施行工務費 508,941 332,953 4,095,280 331,891 9,473,080 381,856 13,568,360 1,555,641 施設整備計 5,374,189 5,010,597 24,154,619 20,469,522 55,008,927 4.借入金利子 800,223 766,621 3,695,657 3,131,837 8,391,338 合 計 6,174,412 5,777,218 25,586,956 23,601,359 61,139,945 表Ⅰ-5特定国有財産整備特別会計予算による土地取得 所在 面積(m2) 取得価格(千円) 備 考 千現地区 桜地区 149,839.32 44,031.25 4,784,372 3,465,260 平成元年9月1日住宅・都市整備公団より所管換 平成3年12月27日 住宅・都市整備公団より所管換 計 193,875.57 8,249,632 表Ⅰ-6建物別工事費総括表 棟 名 建築面積(m2) 延床面積(m2) 構 造 施工費(千円) 研究本館 6,008 29,206 SRC-8 -B1 15,419,639 (8,713,275) 精密計測実験棟 1,598 2,633 RC-2 1,474,351 (792,328) ファインプロセス実験棟 2,402 5,738 RC-3 3,354,900 (1,545,927) 材料強度実験棟 2,944 4,233 SRC-3 3,357,083 (1,087,031) 材料創製実験棟 3,872 4,302 S-2 2,317,220 (1,292,722) 研究廃水処理棟 540 540 RC-1 788,189 (217,876) 特高開閉所 90 90 RC-1 313,563 (45,794) 付属棟(車庫棟,守衛所その他) 845 845 706,916 (324,810) 建物計 18,299 47,587 27,731,861 (14,019,763) 樹木などその他 1,640,113 工事費合計 29,371,974 設計監理料,借入金利子など 7,258,888 千現地区合計 36,630,862 管理・研究棟 1,163 3,468 RC-3-1 1,579,922 (971,826) 磁界実験棟 4,221 7,186 RC-2-1 6,925,365 (2,791,897) ビーム実験棟 1,646 3,219 RC-2 2,267,303 (1,258,876) 研究廃水処理棟 450 450 RC-1 586,854 (138,247) 付属棟(受変電所,その他) 286 286 480,966 (76,663) 建物計 7,766 14,609 11,840,410 (5,237,509) 樹木などその他 1,727,950 工事費合計 13,568,360 設計監理料,借入金利子など 2,691,091 桜地区合計 16,259,451 施工費総合計 52,890,313 大蔵省関東財務局と住・都公団との契約においては,住・都公団の国策への協力という特段の配慮により地価 高騰の影響のない価格となった。この住・都公団の配慮に対し深く感謝するものである。 増額された約22億円は,予算本来の目的(土地取得)が既に達成されたこと,また,建物工事についても必要 な予算が確保されていることから結果的に余剰額となり特々会計における土地購入費の減額変更の措置がとられ た。 桜地区の土地取得問題は特々会計予算執行全体における大きな問題の一例であったが,他にも様々な問題を解 決しつつ順調に予算が執行されたことに対して,御尽力・御承認を賜った建設省,大蔵省をはじめとする関係者 各位に心から感謝するものである。 3.移転計画推進体制 金属材料技術研究所の筑波移転計画を推進するため,科学技術庁内及び金材技研内にプロジェクトチーム的組 織が設置され,これらの組織が移転計画の作成及びその実行において中心的役割りを果たして行くこととなっ た。以下にそれぞれの組織の概要を説明する。 3.1科学技術庁の体制 ① 金属材料技術研究所筑波移転推進準備室〔昭和62年10月1日~平成元年6月5日〕 金材技研の筑波移転を推進するため,移転に係る所要の手続き,関係機関及び科学技術庁内関係課との連絡 調整などを担当する金属材料技術研究所筑波移転推進準備室が科学技術庁研究開発局に設置された。 ② 金属材料技術研究所筑波移転推進室〔平成元年6月5日~平成7年6月30日〕 金材技研の移転作業が本格的実施段階となってきたため,準備室の室名を変更して,金属材料技術研究所筑 波移転推進室とした。表Ⅰ -7に金属材料技術研究所筑波移転推進準備室と金属材料技術研究所筑波移転推進室 の構成員を示す。 表Ⅰ-7各体制の構成員表 区分 金属材料技術研究所筑波移転推進準備室 (昭和63年7月現在) 金属材料技術研究所筑波移転推進室 (平成7年3月現在) 構 成 員 構 成 員 室長 官房審議官(研究開発局担当) 官房審議官(研究開発局担当) 室次長 研究開発局総合研究課長 研究開発局総合研究課材料開発推進室長 金属材料技術研究所管理部長 研究開発局総合研究課長 研究開発局総合研究課材料開発推進室長 金属材料技術研究所企画室長 金属材料技術研究所管理部長 金属材料技術研究所筑波移転管理室長 室員 長官官房秘書課長補佐 長官官房総務課長補佐 長官官房会計課長補佐 科学技術振興局研究交流課長補佐 研究開発局企画課長補佐 研究開発局総合研究課材料開発推進室長補佐 金属材料技術研究所管理部庶務課長 金属材料技術研究所管理部会計課長 金属材料技術研究所管理部企画課長 金属材料技術研究所移転業務担当者(若干名) 長官官房秘書課長補佐 長官官房総務課企画官 長官官房会計課経理監査官 科学技術振興局研究交流課長補佐 研究開発局企画課長補佐 研究開発局総合研究課材料開発推室係長 金属材料技術研究所企画室総括研究企画官 金属材料技術研究所管理部庶務課長 金属材料技術研究所管理部会計課長 金属材料技術研究所移転業務担当者(若干名) 3.2金属材料技術研究所の所内体制 移転作業を開始するに当たって,金材技研は重要事項を審議決定する筑波移転計画推進委員会と実務を担当す る筑波移転推進準備室を設置した。 (1)審議決定機関 所議,運営会議とは別に,筑波移転及びこれに関連する事項の原案を審議決定する機関として筑波移転計画推 進委員会(後に筑波移転推進委員会と改称)が設置され,多くの事項の処理を行った。委員会には,さらに機動 的な審議が行えるよう,少人数のメンバーからなる幹事会が併設された。筑波移転推進委員会は平成6年3月を もって解散し,以後は所議,運営会議がその職務を引き継いだ。表Ⅰ-8に審議機関の詳細を示す。 表Ⅰ-8審議機関の詳細 機 関 名 期 間 開催回数 構成員 筑波移転計画推進委員会 昭和63年4月~昭和63年7月 7回 所議メンバー 筑波移転計画推進委員会幹事会 〃 13 〃 運営会議メンバー 筑波移転推進委員会 昭和63年8月~平成6年3月 123 〃 所議メンバー 筑波移転推進委員会幹事会 〃 201〃 運営会議メンバー (2)実行機関Ⅰ 移転作業の実務を担当する機関として,昭和62年6月に筑波移転推進準備室が設置された。準備室は移転作業 のフェーズに合わせて,その名称と構成に変革を加えつつ,移転の実務において中核的役割を果たし,最後に, 本筑波移転の記録を編纂してその役割を終えた。以下,時間の経過に従って組織の変遷と概要を説明する。 ① 筑波移転推進準備室〔昭和62年6月19日~昭和63年8月1日〕 筑波移転に関する作業を正式かつ本格的に始動させるため,筑波移転推進準備室が設置され,移転の基本構 想が立案された。図Ⅰ-5にその組織を示す。 室 長(1名) 室長代理(1名) 室 員(約10名) 図Ⅰ-5筑波移転推進準備室組織図 ② 筑波移転推進室〔昭和63年8月1日~平成3年8月1日〕 移転に関する作業が全所的となってきたことから,筑波移転推進準備室の組織の見直しを行い,増員などに よる強化をはかることになった。室名の変更に併せて,各建物の仕様,設備の配置などの問題について具体的, 詳細な検討を行うワーキンググループ(WG)が昭和63年8月以降逐次設置され,以後WGの活動は移転がほ ぼ終了するまで継続されることとなった。 推進室発足当時は班体制(総務班,施設・設備班,現地対応班)であったが,平成2年10月,体制の見直し を行い班体制をやめ,新たに室次長を設置した。図Ⅰ-6に発足当時,図Ⅰ-7に見直し後の組織を示す。 室 長 (1名) 総務班長(1名) 班員(約7名) 施設・設備班長(1名) 班員(約9名) 現地対応班長(1名) 班員(約5名) ワーキンググループ(主査 ― 副主査―グループ員) ワーキンググループ小委員会(部課長) 図Ⅰ-6筑波移転推進室組織図:発足当時 室 長 (1名) 顧 問(2名) 室次長(1名) 室員(約21名) ワーキンググループ(主査 副主査 グループ員) ワーキンググループ小委員会(部課長) 図Ⅰ-7筑波移転推進室組織図:見直し後 ③ 筑波移転推進本部〔平成3年8月1日~平成6年4月1日〕 移転計画の実施に対処するため,また,管理部との連携を強化するため組織の見直しを行い,本部長,副本 部長,次長という体制の筑波移転推進本部となり,さらに,管理部各課の課長が本部付として本部員に加わっ た。その後必要に応じて数名が本部付きとなり,これにより管理部との連絡・調整がより円滑となった。 また,平成5年4月には設備などの移設に関し,各部課などと本部との連絡・調整を行うWGが設置され た。図Ⅰ-8にその組織を示す。 本部長 (1名) 顧 問(2名) 副本部長(1名) 次 長(約5名) 本部付(約6名) 室員(約24名) ワーキンググループ(主査 副主査 グループ員) ワーキンググループ小委員会(部課長) 図Ⅰ-8筑波移転推進本部組織図 ④ 筑波移転管理室〔平成6年4月1日~平成7年9月30日〕 所内の組織が移転後の新体制に整備されるのを受け,また,移転に関する業務も順調に処理されてきたこと から組織の見直しを行い,推進本部は筑波移転管理室となり,この体制が移転終了時まで継続することとなっ た。 これと同時に,審議決定機関の筑波移転推進委員会は解散し,以後は所議がその任務を引き継ぐことになっ た。また,移設に関するWGを除く,他のすべてのWGが平成6年4月をもって解散し,その使命を終了し た。(移設WGは,平成7年9月30日まで継続)図Ⅰ-9にその組織を示す。 室 長(1名) 顧 問(3名) 次 長(約4名) 室員(約13名) 図Ⅰ-9筑波移転管理室組織図 筑波移転管理室は平成7年9月30日をもって解散し,これをもって昭和62年6月19日の筑波移転推進準 備室の設置に始まる移転の実務の総てが完了した。なお,移転の記録編集作業は翌10月1日に発足した筑波移 転の記録編集WGに引き継がれた。 (3)実行機関Ⅱ (ワーキンググループ) 移転作業の実務は筑波移転推進準備室及びその後身の組織が担当したが,その時々の具体的,詳細な問題を処 理するために,ワーキンググループ(WG)ならびに小委員会が編成され,必要な場合にはさらに専門的な問題を 処理するためにWGの下部組織としてタスクグループが編成された。これらの組織は必要に応じて適時設置さ れたため,横断的な解説が困難なので,以下にその名前を羅列するにとどめる。 ① 基本問題ワーキンググループ(昭和63年8月23日~平成6年4月1日) ② レイアウトワーキンググループ(平成元年10月24日~平成6年4月1日) ③ 研究本館ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) ④ 分棟ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) ⑤ 精密計測棟ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) ⑥ ファインプロセス棟ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) ⑦ 材料強度棟ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) ⑧ 材料創製棟ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) ⑨ 理学系共通棟ワーキンググループ(平成元年11月14日~平成6年4月1日) ⑩ 工学系共通棟ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) ⑪ 超電導棟ワーキンググループ(昭和63年9月1日~平成元年11月14日) ⑫ 強磁界棟ワーキンググループ(平成元年11月14日~平成6年4月1日) ⑬ ビーム棟ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) ⑭ 管理棟ワーキンググループ(平成元年11月14日~平成6年4月1日) ⑮ 移設ワーキンググループ(平成5年4月21日~平成7年9月30日) ⑯ 筑波移転の記録編集ワーキンググループ(平成7年10月1日~平成8年9月30日) ⑰ レイアウト小委員会(平成元年10月24日~平成6年4月1日) ⑱ 研究本館・分棟小委員会(昭和63年10月14日~平成6年4月1日) ⑲ 精密計測棟小委員会(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) ⑳ ファインプロセス棟小委員会(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) ㉑ 材料強度棟小委員会(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) ㉒ 材料創製棟小委員会(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) ㉓ 理学系・工学系共通棟小委員会(昭和63年10月14日~平成6年4月1日) ㉔ 強磁界棟・ビーム棟・管理研究棟小委員会(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) 第Ⅱ章建設基本設計 第1節 建設基本方針 27 1.まえがき 27 2.移転の意義 27 3.新研究所の基本的形態 28 4.基本検討事項の抽出 28 5.千現地区 28 6.桜地区 31 7.目黒・材料試験にかかわる施設 33 8.施設群のインテリジェント化方針 33 9.研究環境の快適化 33 10.あとがき 33 第2節 基本計画及び実施設計 33 1.設計の概要 33 2.基本計画図書 35 3.基本設計 37 4.実施設計図書 38 第Ⅱ章 建設基本設計 第1節 建設基本方針 昭和63年秋,金属材料技術研究所の筑波移転推進委員会,同幹事会は,各棟WGにおける検討状況のヒアリ ングを行い「建設基本方針案」を作成した。この「建設基本方針案」は,同年10月4日(火)には目黒本所での, また,10月6日(木)には筑波支所での全職員による懇談会において検討された。その結果などをふまえて,さ らに,加筆修正の過程を経て,昭和63年10月11日に,「筑波移転実行計画基本方針(建設基本方針)」としてと りまとめられた。 金材技研の筑波移転は,平成7年9月末の実質的な作業終了まで,基本的にはこの基本方針に盛り込まれてい る理念に従って行われており,以下にその全文を紹介する。 1.まえがき 金属材料技術研究所は,「国の行政機関などの移転」(昭和63年7月19日閣議決定)の一環として関係機関の 協力の下に準備作業が進められ,実行計画作成の段階になっている。その第1段階として昭和64年4月以降の基 本設計及び詳細設計のための,各室及び各棟設計条件諸源表を作成する作業にとりかかっている。 この作業を進めるにあたっては,まず建設に関しての基本的な考え方をとりまとめておく必要がありこの基本 方針を作成した。 2.移転の意義 21世紀にむけて豊かな未来を築くために材料科学技術の役割は大きく,新たな機能や高付加価値を持つ物質・ 材料を開発する創造的な研究や,材料の構造や特性を分子・原子のミクロなレベルで理解し,かつ制御する基礎 的研究が一層重要となっている。 金材技研は,従来の産業基盤構築のための研究から,新たな材料科学技術を開拓する研究に重点を移すことな どを内容とした第3次長期計画(昭和62年9月)を策定した。 この第3次長期計画に.より,金材技研は今後,新材料の開発及び材料の信頼性の確立の研究を二本の柱とする ことを明らかにし,これらについて,(1)シーズ創出型基礎的・先導的研究を推進し,知識・技術のポテンシャル を高めること,(2)ナショナルプロジェクトなど公共のニーズに対し,材料問題に関しては,中核的研究機関とし て対応すること,(3)開かれた研究所として研究成果,ポテンシャルを提供して広く社会に貢献するとともにコー ディ ネーターと して働くことを,これからの金材技研に課せられた役割としている。 第3次長期計画に述べられた理念を具体化し,21世紀の新しい物質・材料系科学技術に対する期待に応えるた めには,目黒・筑波両地区の研究機能を一体化して研究能力を最大限に発揮できるようにした新しい研究所を筑 波地区に建設しなくてはならない。このため,今回の移転計画を目黒地区から筑波地区への単なる移転とは捉え ず,現筑波支所を包含した新しい研究所構想のもとに,最新鋭の研究施設を建設する絶好の機会であると捉える 必要がある。 3.新研究所の基本的形態 金材技研の役割を具体化するための施設のあり方を次のように考える。すなわち,千現地区においては,基礎 的・先導的な専門的研究や,この専門的研究ポテンシャルを結集した総合研究を推進するため,また,桜地区に おいては,大型・特殊かつ先端的な研究設備を中心とした共同研究を推進するための施設整備を行う。そして, これらの両者を併せて材料研究の中核機関及び,開かれた研究所としての役割を果たす。 4.基本検討事項の抽出 前章に述べた新研究所建設にあたり,各施設の設計に際して検討すべき基本的事項を次のように抽出した。 ア)施設を,研究本館群・特殊実験棟群・その他の施設群に分けて考える。 イ)各群についての必要理由,仕様,配置方針,建設規模,供用方針及び,各群に共通な問題について考 える。 ウ)上記ア),イ)における検討要件のうち,具体的建設計画作成作業に入るまえに決定すべきものを抽 出する。 抽出された事項は次のとおりである。 研究本館群 ア)研究本館A, B及び分棟並びに桜地区管理・研究棟の使用形態 イ)研究居室の基本的形態(単位,形状など) ウ)標準実験室の基本形態(階高,広さ,仕様などの類型化など) エ)管理部門各室(事務室,図書室,会議室,医務室など)の基本的形態 オ)配置方針 カ)供用方針 特殊実験棟 ア)各種特殊実験棟(桜地区を含む)の必要性 イ)各棟の基本仕様の考え方 ウ)各棟のレイアウトの基本方針 エ)供用方針 その他の施設群 ア)必要施設の確認(厚生施設を含む) イ)各施設のレイアウトの基本方針 施設群のインテリジェント化など ア)施設管理のオートメーション化(空調,庁舎管理,公害対策など) イ)LA, OAへの対応(研究部門,管理部門) ウ)研究環境の快適化(光,緑) 5.千現地区 5.1千現地区の性格 千現地区では,未開発分野のリスキーな研究や,シーズ創出型の専門的研究及びシーズ育成,公共ニーズ対応 などの総合的研究を推進する。このために必要な研究本館群及び特殊実験棟群を建設する。この際,特に研究者 同士のコミュニケーションの促進を図ると同時に,研究者個人の独創的発想を引き出すことができるような環境 を整備していくことが必要である。更に,この分野の研究内容は今後一層流動化することが予想され,研究部・ 研究グループという研究の実行組織も頻繁に見直すことが求められているため,それに伴う変更が容易に行える ようなシステム及び施設の形態が必要となる。 5.2千現に建設される施設 千現地区では,既に研究本館A棟,表面界面制御実験棟,特殊雰囲気中高温特性実験棟,特殊材料実験棟,超 電導材料実験棟,構造材料実験棟が建設されている。今回,新たに研究本館B棟,研究本館分棟,計測材料実験 棟,雰囲気制御実験棟,ファインプロセス実験棟,材料強度実験棟,材料創製実験棟を建設する。 標準的実験設備は,研究本館B棟に集中させる。特殊実験棟は,それぞれを特殊な(実験)棟として性格付け, それに適合した装置のみを配置する。 5.3研究本館群建設計画に関する基本的考え方 (1)本館A, B及び分棟の使用形態 ア)本館A棟(既設):共通実験棟としての性格を強くもたせる。 例えば,コンピュータ及び関連設備の設置など イ)本館B棟(Ⅰ):研究部門を設置する。 ウ)本館B棟(Ⅱ):所長室,科学研究官室(現研究総務官),管理部長室をはじめとする管理部各課事 務室などを設置する。 エ)本館分棟 :講堂,食堂などを設置する。 管理部門と研究部門は密接な連携が必要であるので,本館B棟には全研究部,管理部を配置するに必要な面積 を確保する。 しかし,両部門の業務内容や来訪者が異なることを考慮した適切な区分を行う。 なお,図書室,会議室,セミナールーム,展示室,応接室,医務室,などを本館群にどの程度の大きさで,ど のように配置するかは,今後検討する。また,食堂,喫茶,理髪,売店,教養室,仮眠室などの福利厚生施設に ついて,規模,場所を検討する。 (2) 研究部門の基本形態 各研究室・サブグループ(SG)は,研究居室と標準実験室を研究本館内に持つことを標準的な形態とする。 (3) 研究居室の基本形態 ア)原則として,千現地区の全研究者の研究居室を研究本館B棟内に設ける。 研究者のコミュニケーションを促進するために,また,今後頻繁に行われることが予想される研究組 織の見直しに対処するため,研究居室は一棟に集中することが有効であると考える。 イ)一つの研究居室には複数名が居住するが,同時に,研究者がいつでも一人になれるような工夫をす る。 研究者同士のコミュニケーションは必要であるが,同時に研究者には静寂な環境を保証することも肝 要である。 ウ)研究居室内の書庫などは作り付けとし,余分な家具,書庫は持ち込まないようにする。 エ)研究本館B棟内では,研究分野,研究居室,実験室ごとのゾーニングをする。 組織改正の際の部屋の移動,研究室の規模の変更に対しても柔軟に対処できると同時に,研究居室, 実験室が無秩序に混在しないように,また,研究分野による実験室の特徴を考慮したゾーニングを行う。 オ)客員研究官室を余裕をもって配置する。 (4)標準実験室の基本形態 7)研究効率の点から,標準実験室を研究居室に近く配置するため標準実験室も研究本館B棟に集中化 させ,かつ,できるだけ多くの研究設備が収容できるよう考慮する。 イ)標準実験室の幾何学的な仕様(階高,広さなど)を統一する。 また,研究分野により室機能に関する仕様に対する要求が異なるが,これらを類型化し,数種類の基 本仕様に絞り込む。これにより,標準実験室で行う研究内容の変化や組織の移動に容易に対応できるよ うにする。 基本仕様の具体的な内容は,完成後の本館と特殊実験棟のバランス,本館建設費の上昇などを想定・ 勘案して,早急に検討する。 (5)管理部門各室の基本形態 ア)事務室は大部屋を原則とするが,今後の事務のOA化に対処するに必要な室内配置の考え方を検討 することが必要である。 イ)今後,予想される組織変更に対して,柔軟に対処できるような形態とする。 (6)配置方針 研究本館A棟,研究本館B棟,研究本館分棟は可能な限り隣接して建設する。また,研究本館群と特殊実験棟 の間も可能な限り棟間の交通を便利にする。 (7)供用方針 ア)研究居室 原則として,研究部については各研究室ごととするが,研究グループについては,大部屋とする。 イ)標準実験室 原則として,各研究室・ SGには,一定の面積の標準実験室が一律に配分される。それ以上の面積が必 要な研究室・ SGには,申告・協議のうえ必要と認められた面積が必要な期間供与される。 ウ)共用スペース コミュニケーションを重視するために,十分な共用スペース(談話室,ロビーなど)を配置する。 5.4特殊実験棟建設計画に関する基本的考え方 (1)特殊実験棟の基本的考え方 研究本館の標準実験室に設置困難な,あるいは適切でない装置及び設備を設置するための特殊な仕様の実験施 設である。 (2) 設置すべき特殊実験棟と主な特徴 今後の研究の動向,第3次長期計画に記されている金材技研の研究分野を考慮した場合に,次の特殊仕様に基 づく特殊実験棟を整備する。 ア)計測解析実験棟:高精度物理測定・解析のための防振,磁気シールド,などの高度なノイズ対策を施 した施設 イ)雰囲気制御実験棟:高度な化学反応制御のための特殊雰囲気設備や特殊ガス使用のための安全対策 設備を有する施設 ウ)ファインプロセス実験棟:ミクロ構造制御による物質合成のために必要な洗浄環境,クローズドサ イクルの密閉室,高度集塵設備などを整備した施設 エ)材料強度実験棟:材料強度特性試験のための独立基礎,高床荷重,防音,などの特殊構造を有する施 設 オ)材料創製実験棟:素材・素形材の創製並びに組織構造制御のための広床面積,防塵,防爆,衝撃発 生・波及防止などの特殊構造を有する施設 既設棟においては,それぞれ以下に示す特殊性で整理し,これとの関連において上記の新設実験棟の 仕様をつめる。 カ)表面界面制御実験棟:ミクロ構造制御に関連した設備を有する施設で,特にクリーンルームを備え た施設 キ)超電導材料実験棟:高天井部分を有する理学系実験施設または,低温物性などの理学系実験施設 ク)特殊雰囲気中高温特性実験棟及び特殊材料実験棟:ガスや液体など特殊な環境下の材料特性試験を 行う施設 ケ)構造材料実験棟:広床面積を必要とする装置を設置する工学系大型実験施設 (3)仕様の検討方針 ア)移転予定設備が必要とする特殊仕様のグレードや面積を正確に把握する。 イ)特殊仕様の追加が可能なものについては,現有設備及び計画において必要とされる特殊仕様のグ レード及び面積に留め,将来追加できる面積を確保し,また,追加可能な構造とする。 ウ)仕様のグレードは,維持費や装置及び建築の専門家の意見を考慮して決める必要がある。 (4)供用方針 ア)特殊実験棟は,特定の部・グループに属するものではなく,特殊装置設置などの必要性に応じて,必 要な期間使用することを原則とする。 イ)特殊実験棟には研究居室を設けない。ただし,装置監視のための係員室や実験打合せのために必要と する部屋は,特殊実験棟の性格などに応じて設ける。 (5)その他 特殊実験棟の配置については,研究効率の観点から,できるだけ研究本館群の近くに配置する。特に共通に使 う装置や施設を設置した実験棟ほど,研究本館の近くに配置する。 また,将来の研究の進展による実験棟の拡張や,新たな実験棟の建設の余地を残すように配置する。 5.5その他の施設建設計画に関する基本的な考え方 千現地区においては,研究本館群,特殊実験棟群以外に以下の施設が必要であり,併記した事項に留意して今 後,具体的な検討を行う。 ア)機材管理棟:資材,機器などを集中的,効率的に保管・管理する施設 イ)エネルギーセンター棟・共同溝:空調方式などについては施設のインテリジェント化のなかで検討 した結果をふまえる。 ウ)特高変電所 エ)守衛所:PR館の併用を考慮する。 オ)研究廃水処理施設 カ)ポンプ室 キ) ガスガバナー室 ク)車庫,駐車場,自転車置き場など(官用車用,職員用及び来客用) ケ)屋外運動施設(テニスコート,バレーコート,ソフトボール場,ゴルフ練習場) コ)室内スポーツ施設(分棟などに設置されるホールなどの利用を含めて検討する) 特に厚生施設については,その利用の充実を図るため,維持管理方法について十分検討する必要がある。 6.桜地区 6.1桜地区の性格 桜地区では,大型・特殊かつ先端的な共同研究施設及びこれに関連する施設を整備し,広く共同研究を実施す る。 6.2桜地区に建設される施設 桜地区には,管理・研究棟及び共同研究施設として超強磁界技術・ビーム利用技術施設(仮称)を建設する。 6.3管理・研究棟建設計画に関する基本的考え方 (1)管理部門 管理部門には,センター長(仮称)室の他に,共同研究に関わる庶務,会計などを扱う機能及び共同研究施設 の管理・保守を扱う機能を収容するための事務室などを設ける。 (2)研究室(居室) 当センターの研究者のための研究室(居室)の他,共同研究者のための研究室(居室)も考慮する。 (3)標準実験室 共同研究者のための実験スペースにも考慮する。 (4)その他 会議室,食堂,喫茶室,談話室,図書室,仮眠室などの規模,場所などについては今後検討する。管理・研究 棟内の諸仕様並びに供用方針は,千現地区におけるものに準ずるものとする。 6.4超強磁界技術・ビーム利用技術施設建設計画に関する基本的考え方 (1)設置すべき実験棟と主な特徴 共同研究,あるいは共同利用を目的とする次の特殊実験棟を設置する。 ア)超強磁界実験棟:超強磁界マグネット利用のための大容量電源,冷却水,He液化設備,シールド ルームを有する特殊施設 イ)ビーム利用実験棟:ビーム発生と利用のための放射線防護,精密測定仕様などを有する施設 (2)仕様の設定方針 超強磁界実験棟については,超強磁界諸設備を用いた共同研究の遂行だけでなく,マグネットの改良・利用に 関する研究も円滑に行われるような仕様を考える。 ビーム利用実験棟については,サブナノトロン他,現有装置の中で将来の共同研究にふさわしいと考えられる 装置を設置対象とするが,早急に将来計画を策定し,これも考慮して仕様の設定を行う。 (3)配置方針 超強磁界実験棟において発生する磁界の他への影響を避けるように,各棟の配置などを考慮する。 また,上記2棟以外の将来の実験棟(共同研究施設をめざす)建設も考慮した配置とする。 6.5その他の施設 桜地区においては管理・研究棟,特殊実験棟以外には下に示す施設が必要である。 ア)エネルギーセンター イ)特高変電所 ウ)守衛所 エ)研究廃水処理施設 オ)ポンプ室 カ)ガスガバナー室 キ)駐車場,自転車置き場など(職員及び来客用) ク)屋外運動施設(テニスコート,ゴルフ練習場など) なお,これらの施設の計画にあたっては,千現地区の関連施設の計画と連携して検討を行う。 7.目黒・材料試験に関わる施設 データシート業務に関する将来計画については別途検討するが,データシート業務の終了まで目黒地区でその 業務にあたる職員のための室内スポーツ室などの厚生施設は,筑波地区における施設計画と並行して検討する。 8.施設群のインテリジェント化方針 千現,桜両地区にわたり,最新鋭研究所の重要機能の一環として,庁舎管理,公害防止を含む環境のコントロー ル,空調システムを含むエネルギー供給・コントロール,LA ・ OA化などの各施設のインテリジェント化の実施 を検討する。 8.1施設管理のオートメーション化 照明,空調,排気・排水などの保守管理の自動化,最適化を図り,夜間あるいは時間外の自由な研究業務遂行 (研究室,実験室,図書室などの出入りなど)の可能性についても検討する。 8.2 LA, OAへの対応 所内の各種通信情報機器を総合的かつ効率的に利用するため,光ファイバーケーブルによる高速マルチメディ ア幹線ネットワークを中心とするLANの構築について検討する。これにより,研究及び管理業務の効率化を図 る。 9.研究環境の快適化 自然を生かしたレイアウト,さらには積極的に自然を取込んだ設計により,明るく快適な環境の創造を目指 す。 10.あとがき 以上は筑波地区における研究所建設計画作成にあたっての基本方針であり,各施設あるいは施設群についての 検討はこれに沿って行われる。 しかし,具体的検討に際しては,これからも種々な問題が出てくることが予想されるが,これについても随時 検討し,解決を図っていく。 今後は,研究者及び研究設備の移動や配置などに関する実行計画についても検討し,提案をして行くつもりで ある。 第2節 基本計画及び実施設計 1.設計の概要 1.1設計スケジュール 平成元年7月24 B,建設省により設計・監理業務の入札が行われ,日本設計・ RI A設計監理共同企業体(こ こでは設計事務所と略称する)が金材技研施設の設計・監理を請負うこととなった。 翌月から設計事務所を含めた建設省との打合せが開始された。基本計画業務が始まって実施設計図面が完成し たのは,表Ⅱ-1に示すとおり,千現地区は平成3年2月に,桜地区は平成4年2月となった。 建設省・設計事務所は,金材技研が提出した設計条件や要望書を基礎資料として概要図面を作成し,質疑応答 を繰返しながら図面を修正し完成を目指す。そして,その間に建設費を算出し,金材技研の要望が予算額に見合 うかを検討して成果品の提示となる。 金材技研が金材技研の施設建設計画案を計画どおり実現させるには,設計が開始される前に明確な設計条件を 提示し,図面の作成過程でその図面を確認し,必要があれば改善要望を提出する必要があった。 ここでは金材技研が実施設計図書の完成までどのように係わり,金材技研の建設計画をどのような手法により 図面に反映させたかを中心に記すこととする。 表Ⅱ-1設計に関する所要工程 平成元年度 10 平成2年度 10 平成3年度 10 基本計画 (千現) (桜) 基本設計 (千現) (桜) 実施設計 (千現) (桜) 1.2設計作業の流れ 設計作業は,図Ⅱ-1に示すように大別される。以下に大別した項目ごとにその概要を説明する。 (1) 設計条件 金材技研 の要望 (2) 基本計画 ブロック プランなど (3) 基本設計 棟内レイ アウトなど (4) 実施設計 詳細設計 図Ⅱ-1設計作業のフロー (1)設計条件 金材技研の施設建設案を建設省・設計事務所に提示し,その実現に向けて基本計画から実施設計に至るまで, 作業の進行に合わせて具体的な条件,要望を提案した。 提示した条件,要望などの内容は,それぞれの設計業務において記述することとする。 (2)基本計画 金材技研の施設建設案を基礎資料として,ブロックプラン,エネルギープランなどを構築するものであり,基 本計画の主な作業は次のようなものであった。 ア)金材技研が提示した資料の検討及びヒアリング イ)施設全体の規模の想定 ウ)土地利用,整地,雨水排水などを考慮した配置計画 エ)電気,水などの供給計画及び排水の処理計画 オ)工事費概算額の算出 カ)基本計画図書の作成及び承認 (3)基本設計 基本計画に基づき具体的設計条件を作成し,建築物として総合化して図面などによって確認する作業であり, 基本設計の主な作業は次のようなものであった。 ア)金材技研が提示した条件を打合せやスケッチに基づいて十分に把握 イ)現地調査・関係法規調査・関係官庁との打合せ ウ)配置・空間構成・動線計画などに基づく計画案の作成,比較検討 エ)基本設計図書(平面図,立面図,断面図,配置図,設計説明書など)の作成 オ)工事費概算書の作成 カ)承認 (4)実施設計 実施設計図は,施設を施工する際の基本となる図面であり,建築(建築・外構),電気設備(電力・通信),機 械設備(空調・衛生)などに区分して作成される。 実施設計図面は膨大な量であり,研究本館の建築図面だけでも300枚を越えた。 建築を例に実施設計図面の内容を列記すると概ね次のようになる。 ア)工事概要,特記仕様書,工事区分表 イ)平面図,立面図,断面図,矩形図 ウ)各室平面詳細図 エ)建具位置図他雑詳細図 オ)ボーリング柱状図,基礎配筋図など 1.3設計業務の開始 金材技研は,移転計画策定当初,千現,桜両地区の施設は同時に完成し,設備の移設も同時に行うとの計画を 持っていた。しかし,基本計画業務が開始された頃の桜地区は,土地区画整理事業による土地造成の最中であり, 50,000 m2程度の土地は確保できるとの見通しはあってもその位置が定まっていなかった。 設計業務の開始にあたり,建設省は,桜地区の取扱いについて,土地が特定されなくても建物などの基本設計 は出来るとし,千現地区と同時に進めることとなった。また,千現地区は,設計事務所が全工程の設計業務を請 負うが,桜地区は,基本設計までを建設省が行い,実施設計は設計事務所が請負うとの説明があった。 しかし,その後の経過を見ると千現地区の作業が忙しくなったこともあって,桜地区の基本設計は一時中断状 態となった。そして,土地取得が明確になった頃から本格作業に入った。 2.基本計画図書 2.1設計条件の提示 特定国有財産整備計画に基づく施設建設計画案は,移転計画の立案から予算要求までの期間が短かったため, 全ての職員に合意された建設案とは言いがたい。そのため,予算成立の見通しがたった直後から施設建設計画案 の見直しを開始した。 そして,基本計画作業が開始される前に,建設実行計画として次のような資料を作成し建設省へ提出した。 (1)建設基本方針 第Ⅱ章,第1節で述べたとおり建設計画の大方針を提示した。……昭和63年10月11日 (2) 建設計画・修正補充案 特定国有財産整備計画要求書の添付資料「建物の面積算出基礎」及び「各室の配置図」を全面的に見直し建設 省へ提出した。……昭和63年12月 (3)設計条件諸源表 建設計画・修正補充案提出後,建設省から設計条件諸源表を作成するよう要請された。 設計条件諸源表は,棟ごとに各室の設計条件を建築,電気設備,機械設備別に同一書式によって記入するもので, これによって,建設計画・修正補充案が設計条件として整理され,かなり具体化された。 同表は平成元年2月1日に桜地区を含めた全棟について提出した。以後,各室の設計条件を訂正する場合は差し 替えを行った。 (4)千現地区建物レイアウトに関する要望 次項で詳しく述べるが,建物の配置は研究活動に大きく影響するため金材技研の考え,希望を反映させる必要 があり要望書として提出した。……平成元年4月21日 (5) 桜地区建物レイアウトに反映すべき基本的考え方 千現地区と同様の考えに基づき提出した。……平成2年8月30日 2.2建設費概算額と設計条件の変更 建設省は,金材技研の提示した建設計画修正補充案,設計条件諸源表などに基づき,予算上の営繕計画書を見 直し,平成元年4月末,建設費概算額を示した。この概算は,金材技研の設計条件が大きかったためか,予算額 を70億円程度超過するものであった。そのため,基本計画が開始される前に設計条件の見直しが必要になった。 金材技研としては,固有業務室の面積削減は建設計画に与える影響が大きいため,床面積を削減しない方向で 減額出来ないかを検討した。そして,シールドルームの取りやめ,恒温恒湿室の削減,天井高さ・床荷重の見直 し他,内部装備の見直しを行い,設計条件諸源表を訂正し,差替えを行った。 2.3設置予定設備の検討 設計条件諸源表は,固有業務室における環境条件,言い換えれば,設置設備の設置条件を記入するものであり, 標準実験室を除き全ての実験室に設置する設備を記入する必要があった。 しかし,施設が完成し設備の移設が開始するのは4年後であり,種々の事情による設置取止めなどが予想され る。そのため,設計条件諸源表の作成にあたっては,設置設備はすべて設置希望設備として取扱った。 移設設備の決定過程は別項で述べるが,設計が開始されるに当たり,少なくとも大型で建物構造に影響を与え る次のような設備は,早急に決定しておく必要があった。 ア)高天井,大型床ピットを要する設備 イ)大容量の電気,水を要する設備 ウ)法の適用を受ける設備 2.4設計に関する協議 建設省・設計事務所と金材技研の合同打合せは,設計打合せ定例会議として毎週木曜日に建設省筑波管理セン ターで行われた。 建設省・設計事務所に対する対応は,金材技研筑波移転推進室が一括して行った。質疑の内容によっては,設 計事務所が担当職員から直接聞き取り調査した方が早い場合もあるが,金材技研の考えがまちまちにならないた めにも窓口は一箇所とした。質疑応答はすべて文書で交わし,双方が記録として保持した。また,打合せ議事録 も必ず残した。 建設省・設計事務所の質疑は「基本設計質疑書」の形で示され,筑波移転推進室は質疑内容を確認し持ち帰り, 各棟WGと共に検討し回答書を作成した。その結果は筑波移転推進委員会幹事会及び筑波移転推進委員会で審 議され,了承された後に設計打合せ定例会議において回答した。但し,基本設計業務の本格化に伴い,質疑は細 密になり,また質疑に対する応答の期限が短くなったため,通常の手順では期限までに回答出来ず,細かな質疑 は筑波移転推進室が各棟WGと検討し早急に回答した。筑波移転推進委員会幹事会,筑波移転推進委員会は事後 承認とされた。 2.5基本計画図書の承認 千現地区の基本計画図書の提示が建設省からなされたのは,平成元年11月20日であったが,設計作業の日程 が厳しいとの認識が建設省・設計事務所にあり,先へ先へと進まざるを得ず,その頃の建設省・設計事務所の金 材技研に対する質疑の中身は具体的内容に踏み込んだものがかなり増えていた。 建設省・設計事務所にとって基本計画図書の完成は単なる通過点にすぎないが,金材技研としては大きな節目 であった。 千現地区の基本計画図書が提示されたあと,次のような手順で職員の意見を集約した。 ア)筑波移転推進室において,要検討事項を摘出する (例) ・研究本館群の合棟,連棟化は適当か ・雰囲気ファイン棟と機材管理棟の合棟は適当か イ)職員懇談会を開催する 建物レイアウト,標準実験室のモジュール寸法などについて全職員と意見交換 ウ)筑波移転推進委員会小委員会で検討する レイアウト小委員会,各棟小委員会で問題点を抽出 エ)各棟WGなどで検討する レイアウトWG,各棟WGで問題点を抽出 オ)筑波移転推進室において意見,要望などを取りまとめる カ)筑波移転推進委員会を開催する 「基本計画図書に対する金材技研の要望」を審議 「基本計画図書に対する金材技研の要望」は建設省・設計事務所に提示し,設計打合せ定例会議において検討さ れた。 検討結果は,次の基本設計図書の作成において活かされることになった。 3.基本設計 3.1各棟の基本設計に対する金材技研の要望 基本計画に続き,基本設計策定作業の前に金材技研の考えなどを特に反映させる必要のある事項について先行 的に検討し,その結果を要望書として建設省に提出した。 要望書は,平成元年8月末に「各棟の基本設計に関する金材技研の要望」として提出した。 それは,次のような統一的な基準を設けて作成した。 (1)要望内容 ①基本事項 具体的な実現手段の細部は問わないが,必ず満たして欲しい条件を列記する。 (例)一階もしくは特定の階に置く部屋 隣接或いは分離して配置するなどの相互関係 ②具体的な提案 基本事項を実現する手段のうち,望ましいと考えている具体案を示す。 ③イメージ図 上記の具体的な提案を図示する。 (2)作業手順 ア)各担当のWGで,表記指針の素案を作成 イ)筑波移転推進室で取りまとめ,必要なら調整 ウ)筑波移転推進委員会幹事会,筑波移転推進委員会へ提出 エ)WG小委員会の検討を経て,筑波移転推進委員会で決定 オ)建設省へ提出 要望書は,建設省・設計事務所との打合せの際の基礎資料となり,設計作業の円滑化に十分役立ったと考えら れる。 3.2基本設計図書の承認 千現地区の基本設計図書は,平成2年5月10日に金材技研に提示された。 提示された「基本設計図書」は「基本計画図書」と同様の手順により職員の意見を集約した。 基本設計図書の内容は,それまで建設省・設計事務所と金材技研において十分検討を進めてきたことの集成で あり,金材技研の要望が取入れられた内容となっていたため,新たに大きな変更を要する事項はなかったが,「基 本設計図書に対する金材技研の検討結果」として細部にわたって要望,質疑を行った。それらは,実施設計にお いて考慮されることが確認された。 3.3桜地区の基本設計 平成2年の始め,千現地区の設計業務が順調に進み基本設計のまとめに入っていた頃,桜地区は取得用地を特 定する時期が迫っていた。 金材技研が希望する用地は,住・都公団が土地区画整理事業を進めていた桜テクノパーク内で,3箇所の候補 地があった。その中から,金材技研にとって最も立地条件の良い土地を希望していたが,取得までの手続きに時 間が掛かるなど問題が多く,建設計画スケジュールに支障を来たさないことを最優先することで現在地を決定 し,関係機関との協議を開始した。 これによって,敷地利用計画を始め,本格的に基本計画業務が進められることとなった。それまでは,建設省 としても金材技研が提示した建設計画修正補充案,設計条件諸源表などに基づき,各棟の条件を整理し図案化す るに留まらざるを得なかった。 桜地区の実験施設は,最先端の大型設備を設置するためのものであり,設置する設備の設置条件が建物構造に 大きく影響した。また,それらの設備は,当時メーカーにおいて製作中であり,建設省は設置する設備の仕様に ついても知る必要があった。建設省との打合せは,断続的に質疑応答が繰返され,設備の設置条件を満たす建物 レイアウト,平面図が出来上がったのは平成3年8月頃であった。そして,基本設計図書として金材技研に正式 に提示されたのは同年10月になったが,その頃,千現地区は新設棟の基礎工事の最中であり,桜地区はすでに実 施設計に入っていた。 基本設計図書が提示された後,千現地区と同様に職員懇談会を開催し職員の意見を集約した。基本設計図書は, 協議を重ねた集大成であり重大な変更を要する意見はなかったが,細部にわたって検討し,その結果と多少の変 更要望を建設省へ提出した。 4.実施設計図書 4.1カルテの作成 千現地区の実施設計にあたり,建設省・設計事務所から今後の設計スケジュールと作業内容及び建築許可申請 など他機関への手続きについて説明があった。建築基準法に基づく建築許可申請については,法に基づく許可申 請の項で詳しく述べるが,新たにWGを編成するほど大変な作業が待っていた。 実施設計では,建築,電気,機械設備それぞれが相互の関係で整合が取れている正確な図面を作成する必要が ある。金材技研も,これまで以上に正確な設計条件の提示が必要になり,設計事務所の要請により各室カルテを 作成することとなった。建設省・設計事務所が立案した設計スケジュールでは,カルテの作成に2ヶ月,建設省 と設計事務所の打合せに1ヶ月,設計事務所の図面作成に3ヶ月程度とされていた。 各室カルテは,全ての実験室を対象として一室につき二枚一組で作成するものであり,その資料は膨大な量と なる。金材技研としても期限どおり提出するために全力で取組んだ。 カルテの記入内容は次のようなものであった。 (1) 内部装備及び実験機器リスト ア)実験流し,作業台などの内部装備の数量及び寸法 イ)設置機器の電気容量,特殊ガス,冷却水,上水などの使用量及び専用アース,特殊電源が必要な場合 の仕様 ウ)設置機器の特殊ガス,上水,冷却水,都市ガスなどの使用量 エ)実験排気ダクト,スクラバーが必要な場合の数量及び仕様 (2)カルテ図 ア)実験流しなど内部装備の設置位置 イ)床ピット及び天井・壁の開口位置 ウ)コンセントの設置位置 エ)実験排気ダクト,ドラフトの設置位置 カルテは,各棟WGが素案を作成し,筑波移転推進室がこれまでの建設計画と違いはないかを各棟WGと協 議しながら取りまとめた。カルテ図は,訂正が容易なようにパソコンを使って作図した。そして,棟毎に2週間 で整理し設計事務所に提出した。設計事務所は,カルテ受領後1週間で対案・質疑を加えて,金材技研に返却す る。金材技研は再検討し,訂正・回答を書き加えて1週間後再び提出する。 これを3回繰返し最終案となる。設計事務所は,最終案に基づき,当初のスケジュールどおり建設省と協議し ながら実施設計図の作成に入った。これまで週1回実施されていた千現地区に関する設計打合せ定例会議は,必 要に応じて開催することになった。 建設省・設計事務所との合同での打合せは少なくなったが,設計事務所は,金材技研まで出向いての調査,資 料確認が多くなり,Faxによる質疑応答は実施設計図面が完成するまで続いた。 4.2実施設計図書の承認 実施設計図面は,前項で述べたように膨大な量であり,届いた全ての図面を確認することは大変な作業であっ た。 特殊実験棟の機器設置用ピットの寸法,独立基礎の寸法など特殊な構造や実験用分電盤のブレーカ容量などこ れまで質疑応答のなかで確認してきたものであるが,完成した図面として改めて見直す必要があった。そして, 図面からは読みとりにくい細かなことでも確認を含めて「実施設計図書に対する金材技研の変更要望」として建 設省へ提出した。 この時期になると建設省は施工業者を決めるための準備作業に入る。金材技研の変更要望は,ほぼ了解され建 設省から承認図が届く時点では書き直されていた。 設計事務所の設計業務はここで終わる訳でなく,施工が開始されると施工状況に応じて変更図を作成する。そ して,金材技研との合意事項に反するような変更または新しい検討事項が生じた場合は必ず協議を行った。 4.3桜地区の実施設計 建設省の基本設計が終了し,設計事務所が実施設計業務に加わったのは平成3年8月末であった。桜地区では 千現地区のようにカルテ図は作成しなかった。 基本設計の項で述べたように,設置予定設備が各室にまたがる最先端の大型設備で,かつそれらが製作中であ り,メ ーカーによる設備設置図が作成されていない状況でカルテ図は書くことができなかった。 桜地区の実験施設に設置予定の主要設備は,磁界実験棟の40 T級ハイブリッドマグネット,ビーム実験棟の超 高圧電子顕微鏡,粒子線発生装置などである。製作中の設備は,その納入時期と施設の完成時期を常に検討して おく必要があった。 桜地区の特殊実験棟は,千現地区の特殊実験棟と比較にならないほど,施設の設計条件が設備の設置条件と連 動していた。そのため,建設省担当工事と金材技研発注の設備メーカーによる機器設置工事との取合いが重要な 検討課題であった。特に,磁界実験棟に設置する40 T級ハイブリッドマグネットシステムは,システムの一部を 建設省工事として取入れる必要があった。 金材技研は,メーカーと協議を重ねて工事の取合いを確認した。そして,それを持って建設省との間で,メー カ ーが作成したシステムフロー図に線引きして双方が取合いに合意した。しかし,実施設計に入り図面が詳細に なると不明な取合い箇所が多々露呈し,その都度,金材技研は建設省とメーカーの間に入って調整することと なった。 建設省・設計事務所との打合せは,設計条件が整理されるまでは毎週実施されたが,設計事務所が図面作成に 入った頃からは,必要に応じて行われることになった。ただし,設計事務所からの質疑,資料の請求は毎日のよ うにFaxで送られてきた。質疑の内容によっては,その都度メ ーカーに問合せて資料を請求しなければならず, 筑波移転推進本部は各棟WGと常に連絡を取合って回答案を作成した。また,図面の完成度が高くなるにつれ, 設計事務所から送付された図面の確認はメーカーを含めて行う必要があった。特に,装置用ピットや壁開口部の 位置,寸法などは,設置予定設備の形状,設置位置と密接に関係しているため,綿密に確認した。そして,一連 の完成図面として提示された後も整合しない部分は,「実施設計に対する検討結果」として建設省・設計事務所へ 変更を要請した。 これらの部分や取合い部分には,図面が完成し施設の施工に入ってからも,施工業者及び設備メーカーの確認 が続いた。 第Ⅲ章敷地利用計画及び主要 施設の配置 第1節 千現及び桜地区の建物レイアウト 43 1.千現地区の建物レイアウト 43 2. 桜地区の建物レイアウト 47 第2節千現地区 51 1.研究本館 51 2.特殊実験棟 75 第3節桜地区 121 1.管理・研究棟 121 2.ステーション実験棟 122 第4節その他の基盤的施設 148 1.情 報 148 2.入退室管理システム 152 第Ⅲ章 敷地利用計画及び主要施設の配置 第1節 千現及び桜地区の建物レイアウト 1.千現地区の建物レイアウト 筑波移転推進室では,建設作業が最初に開始されることが予想される千現地区に関して,建物配置計画,敷 地・雨水排水計画,エネルギー計画,廃水処理計画などの基本的な計画の中で,研究所の機能や運営に大きく影 響し,研究所の考え方が特に求められる建物などのレイアウトに関して,金材技研の考え方を事前に整理し,基 本計画に反映させるとともに,基本計画策定作業の円滑な推進に役立てることを目的に建物レイアウト案作成作 業を開始した。平成元年中旬には,レイアウトに反映させるべき基本的な考え方として,大略,以下のような事 項を抽出した。 ア)研究本館BⅠ棟に研究居室,標準実験室などを集中化させ,全研究者を集中配置する。研究本館BⅠ 棟,管理棟(BⅡ棟)及び厚生棟(分棟)は職員が密に配置され,利用する棟群であり,これらをもって 研究所のコアゾーンを形成する。 イ)研究面からは,原子レベルの構造解析や制御などの精密な実験が大きなウエイトを占め,これらに関 係する施設利用者が増大するようになると考えられ,対外的にアピールする金材技研の特徴となること が期待される。そのため,これら精密実験をするのに必要な施設を基礎・基盤的施設と考え,研究本館近く に配置する。 ウ)今後,共同研究の推進など開かれた研究所としての施策を積極的にすすめる。そのため,レイアウト に関しても外部からの訪問者がその訪問目的を容易に達成できるよう研究本館BⅠ, BⅡ棟及び外部訪 問者専用駐車場などを正門近くに配置し,また,なるべく施設構成の明確化を図るなどの配慮をする。 敷地境界の囲障などについても開かれた研究所のイメージを醸成するようにする。 エ)緑道によって分離されている敷地の形態,外部との関連などを考慮して,それぞれの敷地の状況に適 合した施設を配置する。また,既設棟の軸性,高さ,大きさなどを考慮し全体として統一された構成と なるようにするとともに,既設棟と類似機能を持つ特殊実験棟は,その既設棟に接近した形で配置する。 オ)研究本館群及び特殊実験棟群と間接的なサービス施設(エネルギーセンターなど)群との関係,各施 設について類似機能や関係の濃密さを考慮した集約的配置,敷地形状を考慮したゾーニング,相互関連 の強い棟間の合棟・連棟化,動線の最短化などを考慮した効率的かつ機能的な配置を図ることとする。 カ)将来施設として現計画の施設の増設あるいはこれを補完するような小規模施設並びに新規部門を設 置するような大規模施設の建設などを想定したレイアウトとする。 キ)自然林をできるだけ残し,また積極的に植栽を行う。敷地境界からのセットバック部分の周縁部のう ち,幹線道路に面している部分には美的観点から植栽する。レクリエーション施設は緑化区域の中に点 在させ散策道路でつなぐ。 ク)研究本館は高層となり,多人数が配置されることから,緊急事態の対応が容易かつ円滑に行えるよう に防災面の配慮を行い,また歩行者専用通路を整備し,車道と分離するなど交通面の安全確保について も十分配慮する。 この時点で金材技研が新設を考えていた建物・施設の概略は次のようなものであった。 ア)研究本館B Ⅰ棟(SRC-9,建面積20×120m2): 研究員の研究居室,標準実験室などから成り,研究に関する主要機能が集約配置され,研究実施及び研 究員の構内での生活の拠点となる。 イ)研究本館BⅡ棟(RC-3,建面積20×74 m2): 研究所の管理機能を持つ空間で,所長室,科学研究官室,管理部長室,事務室,会議室などを備えている。 ウ)研究本館分棟(RC-2,建面積30×48m2): 食堂,喫茶室,講堂など主として職員の厚生施設を配置する。 エ)計測解析実験棟(RC-2,建面積35×47m2): 高精度物理測定・解析のための防振,磁気シールドなど高度なノイズ対策を施した施設 オ)雰囲気制御・ファインプロセス実験棟(RC-4,建面積20×51m2): 高度な化学反応制御のための特殊雰囲気施設や特殊ガス使用のための安全対策施設,ミクロ構造制御に よる物質合成のために必要な清浄環境,クローズドサイクルの密閉室,高度集塵設備などを整備した施設 カ)材料強度実験棟(RC-3,建面積20×92m2): 材料強度特性試験のための独立基礎,高床荷重,防音などの特殊構造を有する施設 キ)材料創製実験棟(RC-2,建面積44×70 m2): 素材・素形材の創製並びに組織構造制御のための広床面積,防塵,防爆,衝撃発生・波及防止などの特 殊構造を有する施設 ク)機材管理棟(RC-3,建面積25×31m2): 種々の物品,各施設で不要になった機材などの保管を主たる機能とする。 ケ)その他:エネルギーセンター棟(RC-B 1-2,建面積20×32m2),特高変電所(RC-1,建面積25×33 m2),守衛所棟(RC-1,建面積8×9m2),研究廃水処理施設(RC-B 1-2,建面積20 × 20 m2),ポンプ室 (RC-1,建面積13×20m2),ガスガバナー室,危険物置場A, B これらの基本的考え方を検討したのは,建設省筑波管理センターとの打合わせが開始される前のことである。 個々の建物・施設の大きさや形状,エネルギープラン,建設費用など多くの不確定要素はあるが,上記のように この時点での金材技研の考え方を整理しておくために,いくつかの建物レイアウト試案が作成された。図Ⅲ-1に 建物レイアウト試案例を示す。 図Ⅲ-1金材技研が独自にまとめた建物配置案(千現地区) この建物レイアウト試案をもとに建設省,設計事務所と協議を重ね,平成元年9月下旬~同10月上旬にかけ て,設計打合わせ定例会議において建物配置計画案A~Iの計9案が提示された。図Ⅲ-2~4に,そのうちのA, C, G各案を示す。 図Ⅲ-2建設省,設計事務所との協議の過程で提案された建物配置案A (千現地区) 図Ⅲ-3建設省,設計事務所との協議の過程で提案された建物配置案C (千現地区) 図Ⅲ-4建設省,設計事務所との協議の過程で提案された建物配置案G (千現地区) この時点ではなお,研究本館や特殊実験棟それぞれの仕様についての検討が並行して行われており,それぞれ の施設の形状や大きさなどは流動的な要素を含んでいた。これと同時に,図Ⅲ-5で示すように,研究居室ゾーン と標準実験室ゾーンとを分離配置する方向で今後検討を進めることが打出された。 C案 図Ⅲ-5研究本館ゾーニング案 各実験棟における高圧ガス使用予定量が把握できるようになるにつれて,新設棟は既設棟と30 m以上離隔し て,高圧ガス取締法による既存施設に対する影響を排除する必要があること,雰囲気制御・ファインプロセス実 験棟は研究本館群に隣接配置するのが便利であること,さらには,研究本館群が合棟できること,大電力を消費 する材料強度実験棟に隣接して特高変電所を配置できることなど,多くの利点を有する図Ⅲ-4に示したG案が 有力な候補案となった。その後,各建物・施設の詳しい仕様が固まり,その大きさが明確になるに伴って,研究 本館群は研究本館分棟も含めて一体化するのが適切であるとの結論を得た。 2.桜地区の建物レイアウト 一方,桜地区については,レイアウトWGが平成元年10月に結成されたが,この時点では桜地区の土地選定 は決着を見ておらず,3ヶ所の候補地があった。しかし,建設スケジュールの関係もあり,平成2年1月16日, 金材技研は,現在の極限場研究施設のある地点(桜地区)を取得する努力をすること,この土地の獲得が適切な 時期にできることを見込んで,先行してレイアウトなどの検討を開始することを決定した。 千現地区と同様に,桜地区のレイアウトに反映すべき基本的な考え方をまとめ,具体的な要望を平成2年8月 に建設省筑波管理センターに提出した。その内容は概ね以下のとおりである。 ア)建設予定の研究施設は,磁界技術研究ステーションとビーム技術研究ステーションであり,外部との 共同研究の拠点として,金材技研に新しい側面を付け加えるものと期待されている。 イ)体制・規模として,管理部門20名,研究部門70名(ただし,外部からの客員研究官20名)及び外 部委託技術者10名程度を予定している。 ウ)敷地が公道(16m幅の予定)で分離されているため,北ブロックと南ブロック間に電力,通信,上下 水道の連絡通路を設けるとともに人道用の地下通路により連結する。 エ)居住地域に指定される北ブロックに管理・研究棟,守衛所,車庫,特高開閉所,運動施設を設置する とともに,将来の厚生・宿泊施設などの建設予定地を確保する。 オ)工業地域に指定される南ブロックの北端に磁界技術研究ステーションを,また,ビーム技術研究ス テーションはその南端に設置し両ステーションをできるだけ離して設置する。40T級マグネットは北側 敷地境界から70m離れ,かつ,敷地の東西線の中央に位置するように建物を配置する。さらに,研究廃 水処理施設,特高受変電設備棟の付帯施設も南ブロックに設置する。 カ)磁界技術研究ステーションとビーム技術研究ステーションとの間は十分大きなスペースをとり,屋 外実験のためのスペースまたは将来の増築スペースとする。 キ)南北ブロックともに建物中心の機械警備とし,南ブロックの入口は原則として常時「閉」とする。貨 物搬入時のみ「開閉」を行う。 このような考え方に基づいて検討した結果,暫定的な案として図Ⅲ-6に示すレイアウトが,平成3年5月,ま とめられた。これと同時に,公道の建設工事行程との関係で地下通路については詳細な仕様が決定し,工事を先 行して着工することとなった。平成3年6月頃になると,桜地区のそれぞれの建屋の面積も具体的な値として議 論できるようになり,図Ⅲ-7に示すレイアウト案ができあがった。しかし,磁界技術研究ステーションの諸源の 検討が進むにつれて,建物の形状が具体化し,平成3年8月下旬になって,図Ⅲ-8に示すように,ほぼ最終的な 形のレイアウト案が完成した。図Ⅲ-6:金材技研の基本的な考え方をまとめた建物配置図(桜地区),図Ⅲ-7:建 設省,設計事務所との協議の過程で提案された建物配置案(桜地区),図Ⅲ-8:ほぼ最終的な形になってきた建物 配置案(桜地区) 以上のような過程を経て決定された最終的な建物配置計画を,図Ⅲ-9 (千現地区)及び図Ⅲ-10 (桜地区)に示 す。 図Ⅲ-6金材技研の基本的な考え方をまとめた建物配置図(桜地区) 図Ⅲ-7建設省,設計事務所との協議の過程で提案された建物配置案(桜地区) 図Ⅲ-8ほぼ最終的な形になってきた建物配置案(桜地区) 図 Ⅲ -9 最 終 的 な 建 物 配 置 図 (千 現 地 区 ) 図 Ⅲ -1 0 最 終 的 な 建 物 配 置 図 (桜 地 区 ) 第2節千現地区 1.研究本館 研究本館は3階建ての管理ゾーン,2階建ての厚生ゾーン,8階建ての研究居室ゾーンおよび標準実験室ゾーン の4つのゾーンが有機的に組合わされた,当研究所の中核を為す建物である。管理ゾーンはさらに既設の物性解 析実験棟(旧研究本館)と渡り廊下で接続されており,全体として大きな研究本館群を構成する構造となってい る。既設の旧研究本館と新設の研究本館を一体として考える,というのが研究本館WGに与えられた使命であ り,両者をいかにして有機的かつ機能的に結びつけるかがWGの腐心したところであった。図Ⅲ-11に当研究所 が最初に提案した研究本館群の配置案を,図Ⅲ-12に最終的に建設された研究本館群の配置図を示す。両者を対 比することによって,当初の提案が専門家の手を経てどう変身したかをある程度うかがい知ることができる。こ こでは新設の4ゾーンについてのみ,順を追って説明する。物性解析実験棟については特殊実験棟の項を参照さ れたい。 図Ⅲ-11当初提案の研究本館群のイメージ 図Ⅲ-12研究本館群の最終配置図 1.1管理ゾーン 管理ゾーンは研究本館の東側に位置する3階建の建物である,厚生ゾーン,研究居室ゾーン及び標準実験室 ゾーンと合体し研究所の管理機能を収容する区域として,所長室,科学研究官室,管理部長室,秘書室,企画室, 管理部各課執務室,図書室,会議室,応接室,医務室,展示室及びクロークなどを備えている。 建設基本計画は次のとおりであり,詳細な配置は図Ⅲ-13のとおりである。 (1)管理部各課執務室 管理部門の中でも特に外来者の多い会計課執務室は外部からのアクセスが容易でしかも他の部課の職員の流れ や業務と干渉しないよう配慮し,1階に配置することとした。それ以外の各課の執務室は同一フロアに集中しす ぎて共通部分の使い勝手が悪くならないよう,1,2階に分散して配置した。 執務室は原則として大部屋とし,事務のOA化に対処するに必要な室内配置を考え,さらにその後予想される 組織変更に対しても柔軟に対処できる形態とすることとした。 (2)図書室 職員が研究本館のみならず特殊実験棟からも来て利用するだけでなく外部からの利用者も考えられることか ら,双方からのアクセスが容易な位置に設置することとし,また,職員の業務と干渉を生じないで,静寂な環境 が保てるよう配慮し,管理ゾーン最上階の3階に配置した。 基本概念は以下のとおりである。 ア)情報センター化を目的とし,新鮮な情報を迅速に提供するために各種OA機器を設置し,外部情報 を活用し,オリジナル文献,蔵書を常に適当量コントロールできること。 イ)研究者のコミュニケーションの場を提供し,情報交換を図り,研究の活性化の一端を担うことを念頭 に,内装,空間処理などの環境をゆとりあるものとすること。 ウ)図書室職員の作業性を考慮し,全体がフラットなワンフロアとすること。 図Ⅲ-13研究本館管理ゾーン・厚生ゾーン (3) 会議室,応接室,セミナー室 会議室,応接室,セミナー室は原則として特別なゾーンとしてまとめて設置せず,各室の機能を考慮して「管 理ゾーン」あるいは「研究居室ゾーン」に分散配置することとした。 このうち管理ゾーンにおける会議室は所議室,第1~第4会議室,第1~第3応接室及び中セミナー室からなっ ている。(表Ⅲ-1) 多数の人々が集散する会議室,特に第1会議室は国内外の会議などに対応できるよう,外部からのアクセスの 容易さ,手洗所との位置関係などを十分に配慮し,職員の業務を干渉しないような位置に配置することとした。 表Ⅲ-1 応接室,会議室など一覧表 室 名 設置場所 収容人数 付帯設備(OA機器など) 第1会議室 管理ゾーン1階 130~150名 天井吊式ビデオプロジェクタ,コントロール 卓書,画提示卓,スライド映写機,16 mm 映写機,正面及び天井スピーカ,インターホ ン,固定張り込みスクリーン,電動昇降 OHPスクリーン,開閉白板 第2会議室 管理ゾーン1階159室 55~60名 固定張り込みスクリーン,電動昇降OHPス クリーン,電動左右開閉白板,スライド映写 機,電動暗幕,16 mm映写機,電動昇降ビ デオプロジェクタ,OHP,書画提示卓,AV 機器架,制御盤 第3会議室 管理ゾーン3階 10名 第4会議室 管理ゾーン3階351室 16名 第1応接室 管理ゾーン2階 12名 第2応接室 管理ゾーン2階260室 12名 第3応接室 管理ゾーン2階254室 10名 特別応接室 研究居室ゾーン8階801室 16名 中セミナー室 研究居室ゾーン8階811室 28名 固定張り込みスクリーン,手動OHPスク リーン,電動左右開閉化粧板,電動左右開閉 白板,OHP,電動昇降ビデオプロジェクタ 中セミナー室 管理ゾーン3階353室 30名 固定張り込みスクリーン,手動OHPスク リーン,電動左右開閉化粧板,電動左右開閉 白板,OHP,電動昇降ビデオプロジェクタ 所議室 管理ゾーン3階352室 30名 固定張り込みスクリーン,手動OHPスク リーン,電動左右開閉化粧板,電動左右開閉 白板,OHP,電動昇降ビデオプロジェクタ (4)正面玄関及びロビー 正面玄関及びそれに続く ロビーは開かれた研究所としての顔とも言える部分であり,十分な広さとゆとりを持 つ空間とすることを念頭に,「管理ゾーン」と「研究居室ゾーン」のいずれからもアクセスが容易な位置に設置す ることとした。第1会議室使用の際には,このロビーが受付や休憩のためのスペースとなるよう併せて配慮した。 1.2厚生ゾーン 主として職員が利用する福利厚生施設として建設するものであり,職員の誰もが気軽に利用しやすい研究本館 の近辺に配置し,健康な心身の維持に役立つ施設として,充実した設備を実現する必要があり,講堂,食堂及び 厨房,喫茶室,教養室,仮眠室及び理髪室などを備える。なお,福利厚生施設としてはこの他に屋外施設として テニスコート,野球場などを設置する。個別の詳細は以下の通りである。 (1)講堂 全所的な行事を実施するに当たって,全職員約500名が一堂に会することができ,椅子席は230脚を用意する ことが可能な規模とし,室内運動施設としても利用できるように床は板張りとし,バドミントンなどのスポーツ ができるよう天井の高さも十分に配慮した構造とする。また,講堂の後方に位置し,講堂内部が容易に見渡せる よう全面ガラス張りの床面を高くした放送室を設置し,放送室から音響,照明,巻上げスクリーン,電動暗幕な どをコントロールできるよう配慮する。基本概念は次のとおりである。 ア)床は室内スポーツを行うのに支障のない板張りとすること。 イ)天井の高さは8m以上とし,バドミントンなどのスポーツが行えるようにすること。 ウ)ステージ下には折りたたみ椅子用の移動式収納ラックを装置し,器具の収納及び搬出が容易にでき, 多大な労力を必要としないシステムとすること。 エ)音響設備,映写設備,照明などについては十分な配慮をすること。 オ)非常の際に容易に避難できる構造とすること。 (2)食堂関係 ①食堂ホール 日当たりが良く,どの座席からもプラザが一望できるよう円形型とし,限られた昼食時間にもゆったりとく つろげる雰囲気を持つ清潔な施設とし,利用に当たってはセルフサービス方式を考慮し,カウンター,精算所, 食卓,食器整理カウンターの動線が混乱しないような設計となっている。基本概念は次のとおりである。 ア)限られた昼食時間などには通常280~300名が2回転程度で集中利用するため,少なくとも140席を 設置できるスペースが必要である。 イ)各種の自動販売機,給湯器,テレビなどを備えるスペースを設ける。 ウ)セルフサービス方式を想定し,手洗いーカウンター -食卓-食器整理カウンターの動線が混乱しな い構造とする。 エ)可動間仕切りなどを設けて,パーティーや会合にも利用できる構造とする。 ②食堂厨房 多数の職員の食事を集中して準備するため,それに十分対応できる機能とスペースを持ち,清潔で使い勝手 が良く外部及び食堂倉庫から食品,厨房器具などの搬入・搬出が容易にできるよう配慮した。 ③食堂事務室 食堂に勤務する栄養士,調理士の居室も兼ねた事務室であり,作業能率の向上を考えて居住性の良い独立し たくつろげる室として,厨房に隣接配置することとした。また,独立したトイレも隣接して設置した。 (3)喫茶室 食堂に隣接する喫茶室は職員相互のコミュニケーションの促進を図る場として,また,来訪者が利用できるよ うゆったりとくつろげる雰囲気の施設であり,24席の椅子を配置した。 (4)教養室 眺望が良く,静かで日当たりの良い2階の中庭に面した場所に設置した教養室は,和室2室,板の間,床の間, 物入れ,便所,台所などを備え,落ち着いた家庭的な雰囲気の部屋で,お茶,お花,料理などの習い事,囲碁将 棋などの教養娯楽のほかに簡単な会合や懇親会などにも利用できる施設である。 (5)理髪室 同時に2名利用できるよう理髪用椅子2脚を設置し,待合室を設けた。 (6)仮眠室 外来者も含めた簡易宿泊施設で全5室からなり,各室はベッド,浴室,洗面所,トイレ,机,クローゼットな どを備えた落ち着いた部屋となっている。 (7)シャワー室 男子用,女子用各1室からなるシャワー室は職員が集中して運動後に汗を流せるように男子用に6台,女子用 に2台のシャワー設備を備え,洗面化粧台などが設置されている。 (8)トイレ 厚生ゾーンの全ての施設利用者が使用できるように講堂前のロビーに隣接し,洗面,化粧室としての機能を 持ったトイレを設置している。 (9)屋外厚生施設 屋外運動施設としては,筑波支所時代からの全天候型テニスコート2面を4面に拡充し,広場に簡易バック ネットを設けた程度の野球場を改造して可能な限り広げるとともに防球ネットを高くして軟式野球にも使用可能 とした。 その他,軟式テニスコート(クレイコート)1面を設置した。 1.3研究居室ゾーン 研究居室ゾーンの大部分を占める研究居室の間仕切りやレイアウトは,そこを研究の拠点とする研究者にとっ て最も重要な問題であり,慎重な検討が重ねられた。ここではまず,建設基本方針に示されている研究居室の基 本的な考え方と,間仕切りの基本的な考え方やレイアウトの基本的な仕様について述べ,次いで完成された研究 居室ゾーン全体の構成や仕様などについて示すことにする。 (1)研究居室の基本的考え方 ① 建設基本方針における研究居室関係の部分の抜粋 ア)原則として,全研究者の研究居室を研究本館B棟内に設ける。 イ)一つの研究居室には複数名居住するが,同時に,いつでも一人になれるように工夫する。 ウ)研究者同士のコミュニケーションは必要だが,同時に,静寂な環境を保証することも肝要である。 エ)研究居室内の書庫などは作付けとし,余分な家具,書庫は持込まないようにする。 オ)組織改正の際などの研究居室の移動,研究室(制度上の)の規模の変更に対して柔軟に対処できるこ と。 カ)供用は原則として,研究部については各研究室ごととするが,グループについては大部屋とする。 ② 研究居室間仕切りの基本的考え方 ア)研究居室の大きさは1,2, 3スパン室の3種類とする。ただし部屋の供用に当たって融通性が高く, 人員の増減や組織の変更に対応し易い2スパンを主体とする。 イ)1スパン当りの収容人員は原則として4人をこえないこととする。 ウ)研究部では1,2スパン室で,また研究グループでは少なくとも1室は3スパン室で構成することを 原則とする。 エ)実施設計での間仕切り位置は図Ⅲ-14 (研究居室の間仕切り)のごとく規則的に定めるが,新しい組 織が確定した段階で,間仕切り数の変更のない範囲での位置の見直しを行う。 ③居室レイアウトの基本的な仕様 ア)研究居室(客員研究官室を含む)内のレイアウトを図(研究居室内のレイアウト)に示すよう に同一モデル(同一の構成ユニット)に統一する。 イ)各研究居室ごとの間仕切りは構造壁を除いて,天井までの壁面収納家具(ウォールキャビネット)で 行う。隣室との隔壁も兼ねるので遮��音にも配慮した構造とする。 ウ)1スパン当り4人を想定し,部屋の大きさ(1~3スパン室)の違いによらず人数当り同等の収納ス ペースと什器類を設ける。ただし,3スパン室では廊下側の壁面にも収納家具を置き,部屋の中間には家 具を設けない。 図Ⅲ-14研究居室の間仕切 エ)壁面収納家具は地震などに対する横転防止策を構ずる。 オ)1人当りの壁面収納スペースは,室員全体の共用スペースを含めてファイル長さで約8 メートル (2100高×900幅×6段の収納庫1台半,すなわち1スパン当り6台)以上を目安とする。ただし,後述 のファンコイルユニット棚はこれに含めない。 カ)前記の収納家具のほかに各人には衣類ロッカーを割当てる。 キ)ファンコイルユニットの周辺は収納スペースとして利用できるように作付ける。 ク) 室内の各人はローパーティション(高さ1200mm)で仕切る。 ケ)机はパーティションとは独立の構成とし,机上面積の合計は約1.8 m2以上とする。 ④インタラクションスペースの意義 「憩いの場」,「コミュニケーションの場」の一つの形態として,研究居室ゾーンに「インタラクションスペー ス」 が設けられることになったが,以下に意義などをまとめておく。 1)インタラクションスペースとは 研究所におけるインタラクションスペースとは研究者の交流の場を提供し,研究者同志の相互作用によ り,“研究アイデアの触発”を図ろうとして発生したものといえる。この背景には,独立心の溢れる研究者の 陥り易い保守的体質を解放しようとする意図や,近年の研究分野間を越えた新しい研究分野の出現が,今ま で以上に研究者の交流を必要としていることなどが挙げられる。 2)休憩室や休養スペースとの違い インタラクションスペースの機能にはもちろん休憩や休息も含まれている。しかし,インタラクションス ペースには研究者に対してより積極的な意味をもたせている。休憩や休息は研究所施設の中で働く全ての人 に対して必要な機能であるが,インタラクションスペースでは対象を研究者に絞っている。各研究者独自の 研究居室や実験室での研究活動に疲れたときに,このスペースで休息するのもよいし,小グループの研究 テーマや内容の討議スペースとするのもよい。すなわち,研究居室や実験室では補えない研究活動のスペー スである。 図Ⅲ-15研究居室内のレイアウト 3)インタラクションスペースの機能と設備例 休憩,休息,喫煙,談笑..................................ソファー 討論,ミーティング..........................................黒板,白板,コンピュータ,テレビ,ビデオ 喫茶,軽食..........................................................自動販売機,湯沸し,冷蔵庫,コーヒーメーカ,電子レンジ 4)インタラクションスペースの位置と仕様 インタラクションスペースを設置してこれが有効に活用されるかどうかのキーポイントは,利用しやすい 位置にあるかどうかの,設置位置が挙げられる。すなわち,人が集まる場所,例えば階段,エレベータ,便 所,などのそばに設けることである。わざわざインタラクションスペース用の特別のクローズされた部屋を 設けるのではなく,そのそばを通りかかって他の研究者が居るのを見て利用しやすくすることが大事であ る。さらに,休息のためのスペースでもあるので静かな場所を確保したり,外部に面した自然光の取入れも 必要なことである。 仕様については,快適性を加味した建築材料の選定,例えばクロス貼の壁やカーペット敷の床を採用した り,柔らかな間接照明をしたりするのが好ましい。 5)研究本館のインタラクションスペース 図Ⅲ-16にインタラクションスペースの回りの平面図を示す。その特徴として以下の点が挙げられる。 ア)階段,エレベータ,便所など人が集まる要所にスペースが設定されており,さらに研究活動の拠点で ある研究居室ゾーンと標準実験室ゾーンの接点にある。 イ)標準実験室ゾーンの特徴である外部吹抜けのメカニカルボイドに面し,静かな場所であり,自然光も 取入れられる。 ウ)休息やミーティング時に気軽に飲食ができるように,自動販売機コーナー及び湯沸室にも接してい る。 エ)スペースの大きさは,5m×8mの小会議室程度の40 m2である。 図Ⅲ-16 インタラクションスペースの回りの平面図 (2)完成した研究居室ゾーン ①各フロアーの構成 完成した研究居室ゾーンの各フロアーの構成を表Ⅲ-2に示す。 表Ⅲ-2完成した研究居室ゾーンの各フロアーの構成 各フロアー 共通 研究 部長室 客員研 究官室 共通 事務室 談話室 インタラ クション スペース 小セミナー 室 湯沸室 便所 暗室 リサイクル 室 倉庫 2 1 1 1 1 1 2 2 1 1 1 研究居室スパン数 外来研 究者室 中セミ ナ ー室 特別 応接室 女子 更衣室 シャワー 室 リネン 室 補給室 1 2 3 1階 1 4 1 ― ― ― ― ― ― ― 2階 1 4 1 ― ― ― ― ― ― 1 3階 1 4 1 ― ― ― ― ― 1 ― 4階 1 4 1 1 ― ― 1 1 ― ― 5階 1 4 1 1 ― ― ― ― ― 1 6階 2 5 ― 1 ― ― 1 1 ― ― 7階 2 5 ― 1 ― ― ― ― 1 ― 8階 ― 4 ― 1 1 1 ― ― ― 1 ②各室の主な仕様 研究居室ゾーンを構成する各室の主な仕様は以下の通りである。 研究居室:1スパン5×8 m,タイルカーペット,ウォールキャビネット,デスクセット 客員研究官室:5×8m,タイルカーペット,天井までの壁面収納家具 研究部長室:5×8m,タイルカーペット,共通事務室との連絡扉��付 共通事務室:5×8m, 5×4mの前室と5×4mの事務室より成る。タイルカーペット,前室には両部長室 への連絡扉��付 外来研究者室:5×8m,タイルカーペット 談話室:5×8m,タイルカーペット,下がり天井,バルコニー付 インタラクションスペース:4.8 × 7.6 m,タイルカーペット 小セミナー室:5×8 m,タイルカーペット 湯沸室:ビニール床シート継目溶接,流し,ガス湯沸器 便所:ビニール床シート継目溶接,洋式 暗室:5×8m,ビニール床シート継目溶接,内部は4室に分割 リサイクル室:3.5×8m,ビニール床シート継目溶接,鋼製棚付 倉庫:4.5×5m,ビニール床シート継目溶接 中セミナー室:10×8m,カーペット敷,手動開閉式白板,スクリーン,電動巻上げ式OHPスクリーン付 特別応接室:10×8 m,カーペット敷,折上げ天井,飾り棚付 女子更衣・シャワー室:5.15×8m,ビニール床シート継目溶接,一部畳敷,シャワーブース4台付 リネン室:5.15×8m,ビニール床シート継目溶接,防水パン4台付 補給室:5.15×8m,ビニール床シート継目溶接,大型パン2×4m付 ③研究居室のデスクセット 1スパン当り,研究者4名分を1組として設置され,1組は机,椅子,キャビネットおよび研究者の相互の独 立性を確保するためのローパーティションより構成され,各々の主な仕様は以下の通りである。 ア)ローパーティション a ) パネル本体の高さ:1250 mm b) パネル厚さ:60mm c)構造:連結自立式 d)面材:スチール,表面はクロス貼 イ)机(1名当り) a)構成:天板を直接ローパーティションに固定 b)高さ:700 mm c )天板寸法:幅1800mm,奥行き700 mm及び幅800 mm,奥行き700 mm 各1枚 d )引出し:幅1800mm,奥行き700 mmの天板中央に内寸高さ35mmの引出し付 e)天板の材質および表面状態:合板,メラミン化粧板 ウ)キャビネット(1名当り) a)構成:机の下に入るキャスター付脇机2台 b ) 外寸法:幅390 mm,奥行き580 mm,高さ640 mm c)引出し:2段(A4版用2段),3段(B4版用1段,他2段)各1台 d)天板の材質および表面状態:樹脂 エ)椅子(1名当り) a ) 外寸法:横幅600 mm,奥行き550 mm,シート高さ380~482 mm b)張り地:シート及び背もたれは布地張り c)肘部:肘かけ付 d )座上下調節装置:ガスシリンダー方式 e) ロッキング機能:有り (こぼれ話1)モデルルーム 平成5年6月10 日,研究居室ゾーン2階の3スパンの部屋に1組4人分のローパーティションを2組 セットされたモデルルームが公開された。ドアを開けるとプラザを望む大きな窓,タイルカーペットが敷き 詰められ,塗料,ローパーティションなどの真新しい匂いが混在している。椅子に腰を落としながら,近づ いた移設を想い机の上の配置をあれこれイメージする。 しかし,見学に訪れた職員の声は多種であった。「パーティションが高すぎる。」,「否,もっと高い方が良 い。」,「部屋が狭くなった感じがする。」,「キャビネットのロッカーが狭い。洋服が入らないのではないか。」 等々。ここで現実に引き戻されてしまった。 (こぼれ話2)鶴の一声 研究居室へのローパーティションの導入にあたっては,所内で様々な議論が為された。研究居室に対する 基本構想では『1室に複数名居住し,同時に,いつでも一人になれるように工夫する。』とある。このこと は普通に考えるとパーティションで仕切ることを指している。問題点はパーティションの高さとデスクの自 由度である。パーティションが低く椅子に座った状態で隣り或いは向かいの人の顔が見えてしまうようでは 役を為さないし,立ち上がった状態でもパーティションから顔が出ないような高さ(1.8m程度)であれば 机上が暗くなり照明が別途必要になり無駄,また圧迫感に捕らわれる。 居室内の広さが十分であればデスク配置,パーティションの設置に自由度があるが,現状では(実質ス ペース30m2)それも十分でない。研究室の構成は3名から6名が一般的であり,1研究室の全員が同一の 居室に居住するには3~4名の研究室は可能であるが,5~6名の研究室は2室(スパン)分のスペースが必 要となる。 居室の広さは1~3スパンの3種類とし,1スパンあたり4名とするところまではすんなり決まったが, ローパーティションの高さは議論百出で一向に決まらない。最後は新居所長の鶴の一声で現在の高さに決 まった。 1.4標準実験室ゾーン (1)標準実験室ゾーンの考え方 標準実験室ゾーンを考えるに当たってイメージの基礎とされたのは目黒地区の24号庁舎(物理棟),30号庁舎 (化学棟)及び筑波地区の旧本館(現在の物性解析実験棟)である。これらの建物はすべて中央廊下を挟んで実験 室と研究居室が対面する構造となっていたが,新研究本館の構想では研究居室ゾーンと実験室ゾーンを分離する ことになった。研究居室と実験室ではユーティリティのみならず,耐床荷重など建物の構造自体が大きく異なる ためである。 標準実験室ではあらゆる種類の,軽装備の実験に対応できることが目標とされた。大型,重量級の装置を使用 する実験,特殊な実験環境やユーティリティを必要とする実験,他の実験・研究の障害となる振動,ノイズ,ミ スト,臭気などを発生する可能性のある実験は,それぞれの要求を満たすように計画・建設された特殊実験棟で 行うこととし,ここでは行わない。標準実験室計画立案のキーワードは文字どおり標準化である。標準実験室で は大部分の仕様を標準化することにしたが,それだけで全ての実験室ニーズに対応できるわけではない。そこで 基準となる実験室仕様を定め(物理系標準実験室),それにオプション仕様のユーティリティを追加した3種の実 験室(電子情報系,冶金系及び化学系標準実験室)を用意することにした。これにより隣接するいくつかの標準 実験室を組合わせて多様な実験環境の要求に応えることが可能になった。また将来,研究環境が変化して標準実 験室の構成比率を変更する必要が出てきた場合は,建物の構造に影響を与えることなく,わずかな費用で任意の 実験室を他のタイプの実験室に転換することも可能である。オプション仕様として1種アース,フリーアクセス 床,スクラバー式ドラフト,耐薬品床,冷房の増強,耐火壁,特殊ガスを希望したが,フリーアクセス床及び耐 火壁は実現しなかった。 WGでは当初,研究居室ゾーンと同じ,間口 5.0m×奥行8.0m (40 m2)を標準モジュールとし,2スパンを単 位とする実験室が中央廊下を挟んで対面する配置を考えた。また廊下を広くとり,廊下の壁面には天井までの収 納庫を用意し,実験室の外側には避難通路とパイプスペースを兼ねたバルコニーを設置することを提案した(図 Ⅲ-17,図Ⅲ-18参照)。最終的に決定された仕様がWGの提案と最も大きく異なるのはメカニカルボイド方式の 採用である。これにより建物の外観を損ねる配管類はすべて外からは見えないところに集約されることになっ た。各標準実験室は7.7m×6.0m (46.2m2)を単位とする独立した室となり,標準実験室の窓側に隣室へ通じるド アを設けて避難通路とすることとなった。最初の提案書である「各室設計条件諸源表」の例を図Ⅲ-19に,当初希 望した仕様と実現した仕様の比較を表Ⅲ-3に示す。 図Ⅲ-17 WGの当初想定した標準実験室ゾーン 図Ⅲ-18 WGの提案した物理系標準実験室平面図例 図Ⅲ-19各室設計条件諸源表(例) 表Ⅲ-3当初の計画と実現した仕様の比較 WG提案の当初計画 ベランダ 廊下壁面の収納庫 面積 8.0×5.0 = 40m2 床荷重 500 kg/m2 天井高さ3.5m 電気は天井,水回りは床 耐水性床 実現した仕様 メカニカルボイド なし 7.7×6.0 = 46.2m2 ← 2.7 (室内)+1.5m (天井裏) ← 塩化ビニール継ぎ目溶接 (2) 標準実験室ゾーンの構造 標準実験室ゾーンは研究本館の西端に位置する8階建ての建物である(図20および図Ⅲ-21参照)。建物は メカニカルボイドを挟んだ東西2棟からなっており,両棟の各フロアは7室の標準実験室から構成されている。 7室の内訳は物理系標準実験室4室,電子情報系,冶金系,化学系標準実験室,各1室で,その構成はいずれの棟, フロアをとっても変らない,すなわち東西両棟いずれの実験室も,あるいは1階にある実験室も8階にある実験 室も全く同じ使い勝手になるように設計されている。標準実験室の総数は7室×8階×2棟=112室である。標準 実験室の配列及び各室の特殊ガス配管とダクト の装備を図Ⅲ-20に示す。1~4階と5~8階で 冶金系標準実験室と化学系標準実験室の配置が 入れ替わっているが,これはダクトを1ヶ所に 集中させないための配慮である。建物には構造 壁が2ヶ所あるが,構造壁でない部分の間仕切 り壁には隣室に通じるドアが設けられており, 緊急時にはここを通じて避難することができ る。東西両棟間には幅11.6m,奥行き45mの メカニカルボイドと呼ばれる吹抜けの空間があ り,各標準実験室から出入りする給排水配管, 特殊ガス配管,排気ダクトの全てがここに収容 されている。メカニカルボイドには充分な余裕 スペースが確保されており,将来,研究環境が 変化した場合にもユーティリティの変更を柔軟 に行うことができる。 標準実験室ゾーンの北端は研究居室ゾーンに 接続されており,接続部分には簡単な打合せや 休憩に使用するインタラクションスペースが配 置されている。東西両棟の連絡はインタラク ションスペース及び東西の標準実験室棟南端の 連絡通路を通じて行われる。標準実験室ゾーン 全体の側図面を図Ⅲ-21に,1階平面図を図 Ⅲ-22に示し,建物の概要を表Ⅲ-4にまとめ た。 図Ⅲ-20標準実験室の配置図 図Ⅲ-21研究本館西側からの側面図 図Ⅲ-22標準実験室ゾーン1階平面図 表Ⅲ-4標準実験室ゾーンの概要 本館総面積:6,008m2 総床面積:29,206 m2 実験室棟構造:鉄骨鉄筋コンクリート構造,8階建て 実験室ゾーン:871m2 床面積:6,971m2 (42.3m×10.3m, メカニカルボイド幅:11.6m) 階差4.1m (1階のみ5.0m) 建物高さ36m (3) 標準実験室の仕様 ①「物理系標準実験室」 物理系標準実験室は全ての標準実験室の基準となる仕様の実験室であり,東西棟各フロアに4室ずつ配置さ れている。以下に記した仕様はオプション仕様として特に断らない限り,他の3種の標準実験室と共通である。 ア)間口 6.0m,奥行7.7 m (面積46.2 m2),天井高さ2.7 m。 天井は取外し可能なパネル構造となっており,天井裏の配管と交錯しない範囲で,高さ2.7mを越える 装置も設置することが可能である。 イ)耐床荷重強度は500 kg/m2である。床は継ぎ目溶接された塩化ビニルシート仕上げとなっており,階 下への漏水のない構造となっている。溢水事故で床にあふれた水は実験室中央部の床及び窓側に設けら れたPバンネ内の排水口から研究廃水として排出,回収される。 ウ)電力と水はそれぞれ天井と床から完全に分離して供給される。天井には単相100/200 Vを供給する ための5本の電力ラインダクトと3相200 Vを供給するための3ヶ所の引っ掛け式コンセントが設置さ れている。また,大容量の電力配線を行うために,天井附近にケーブルラックが設置されている。 エ)水は床に設置された4ヶ所のバンネから供給される。実験室の中央よりやや廊下に近いところに設 置された3ヶ所のバンネ(A及びDバンネ)には上水,温水,研究廃水,循環冷却水が配管されており, 窓側に設置された1ヶ所のバンネ(Pバンネ)には上水,循環冷却水,緊急排水口が設置されている。配 管用の床ピットは設けられていないが,装置の配置を工夫して4ヶ所のバンネのうち最も都合のよい場 所にある接続口を選択することにより床上を水配管が交錯するのを避けることが出来る。 オ)実験室側面の壁ぎわには実験用流しが設置されており,上水及び温水が使用できる。 カ)特殊ガスはアルゴン,窒素,酸素,水素のうち2~3種類が配管されている。必要とされるガスは装 置により,実験目的により異なるが,設置費用の関係からすべての実験室にすべての種類のガスを供給 することは出来なかった。そこで近接した実験室の中で装置の設置場所やレイアウトを工夫できるよう に,供給される特殊ガスの種類は実験室によって変えてある。 キ)窓側の壁には真空ポンプ排気の排出穴が2ヶ所設けられている。実験室は空調されており,真空ポン プ排気の室内排出は禁止されている。真空ポンプの排気はオイルミストトラップを介してこの穴から屋 外に排出される。 ク)実験排気用のダクトは各室2本まで設置可能であるが,全ての実験室でダクトを必要とするわけで はないので,4室のうち2室に排気ファン付きのダクトが1本ずつ設置されている。 ケ)装置や配管類を固定することが出来るように,窓側以外の3面の壁には幅木が埋込まれている。 コ)壁には100Vコンセントが3ヶ所,情報コンセント(電話およびLAN)が2ヶ所設置されている。 サ)入口ドアの横にボンベ固定用チェーンが設置されている。 ②「電子情報系標準実験室」 ア)コンピュータを使用するための実験室であり,特殊ガスと実験排気ダクトは設置されていない。 ③「冶金系標準実験室」 ア)開放型の電気炉などの発熱量の多い実験装置が設置され,化学薬品の使用や粉塵の発生などが予想 される比較的汚れっぽい作業を想定した実験室である。 イ)排気ファン付きのダクトが1本設置されている。 ウ)通常の空調設備の他,オプションで冷房が増強されている。 エ)アルゴン,窒素,水素,酸素の4種類の特殊ガス全てが配管されている。 ④「化学系標準実験室」 ア)電解研磨や顕微鏡試料の腐食など,比較的軽微な化学実験を想定した実験室である。ドラフトにはス クラバーが設置されている。 イ)床は耐薬品性のエポキシ系塗料で仕上げられており,床にこぼれた薬品が流れ出さないように壁ぎ わは床材を塗上げてある。 ウ)ドラフトと中央実験台が1台づつ設置されており,それぞれが排気ファン付きのダクトに接続され ている。 エ)アルゴン,窒素,水素,酸素の4種類の特殊ガス全てが配管されている。 各標準実験室の仕様を表Ⅲ-5に,標準実験室の例を図Ⅲ-23,図Ⅲ-24及び図Ⅲ-25に示す。 表Ⅲ-5標準実験室の仕様 実験室種別 物 理 系 電子情報系 冶金系 化学系 構造 間口 6.0m ×奥行 7.7m (46.2m2) ← ← ← システム天井,天井高2.7 m,階差4.2 m ← ← ← 耐床荷重500kg/m2 ← ← ← 耐水性床 ← ← 耐薬品性床 電力 単相100/200 V,150 A ← ← ← 3 相 200 V,150 A ← ← ← 天井ラインダクト5 (単相100/200 V) ← ← ← 天井引っ掛けコンセント(3相200 V, 30 A) ← ← ← 1種アース,3種アース ← ← ← 天井ケーブルラック ← ←← 水 床バンネ(上水,温水,研究廃水,循環冷却水)4 ← ← ← 流し1 ← ← ← ガス Ar, N2, H2のうち2~3種 (実験室により組合わせが変る) なし (Ar, N2, H2, O2) 排気ダクト 0~1本 なし 1本 2本 その他 壁コンセント(100V) ← ← ← 情報コンセント(電話,LAN) ← ← ← ボンベチェーン ← ← ← 通常空調 ← 冷房増強 物理系と同 壁面幅木 ← ← ← ドラフト 中央実験台 図Ⅲ-23標準実験室の各側面図 図Ⅲ-24標準実験室の例 図Ⅲ-25標準実験室の例(化学系平面図) (こぼれ話3) メカニカルボイド WGでは標準実験室の仕様を検討するに当たって他機関や民間の研究機関の見学を行った。その時点で メカニカルボイド方式は視野に入っており,相当の魅力を感じつつも,建設費が相当に嵩むのではないかと の懸念があってその採用を提案するに至らなかった。メカニカルボイド方式のメリットは建物の外観を美し く保つことが出来ること,配管やダクトによって窓が塞がれる心配がなくなること,将来の実験環境の変化 に対応しやすいことなどである。デメリットは建設費が嵩むことと,廊下の総延長が長くなること(逆に言 えば廊下の幅が狭くなること)であろう。最初に設計事務所からメカニカルボイド方式を提案されたとき, 議論の対象になったのは廊下の幅が狭くなる可能性がある点であった。結局,高層建築においてはエレベー タ の間口が搬入物品の寸法を制限する ことになる ので, 廊下幅を大きく取ることにあまり意味がないとの結 論に達した。設計事務所のアドバイスと建設省担当官の理解がメカニカルボイド方式の採用を実現させたと 言える。また,当初廊下壁面の有効利用をと考え,天井までの収納庫の設置を提案したが,廊下の壁面や天 井は空調,電気などの機器でいっぱいであり,収納庫を設置するスペースなど考える余地のないことはすぐ に判明した。最新の情報を仕入れて可能な限り先進的な実験環境を整えるように努めたつもりであったが, 時代は昭和30年代に建てられた建物になじんできた我々の感覚を遙かに越えて進んでいた。 インタラクションスペース 談話室 セミナー室 共通事務室 庶務課 企画室 研究支援課 安全施設課 会計課 図書室 第一会議室 所 議 室 秘 書 室 医 務 室 講 堂 中 央 監 視 室 喫 茶 室 食堂 研究本館建設工事 '91.1 '92.2 '92.7 '93.5 精密計測実験棟 実験棟建設工事 電子顕微鏡用除振台 ファインプロセス実験棟 材料強度実験棟 材料創製実験棟 2.特殊実験棟 千現地区に既設の実験棟に加えて新たに精密計測実験棟,ファインプロセス実験棟,材料強度実験棟,材料創 製実験棟が建設された。また,旧研究本館は共同利用施設を収容するための改修を行って新たに物性解析実験棟 として生まれ変わり,新設の研究本館と2階部分に設置した連絡通路で連結され研究本館群の一翼を担うことに なった。以下に,新設された特殊実験棟と移転を機に改修された既設実験棟について説明を行う。 2.1精密計測実験棟 (1)建設に至る経過 1980年代から材料研究にも電子顕微鏡,走査型電子顕微鏡,EPMAなどの高分解能分析機器が多用されるよ うになってきた。そのため本実験棟のような内部,外部からの振動,電磁的ノイズなどの擾乱をできるだけ少な くし,これらの機器の性能を十分に発揮した精密な測定が行える実験棟の要求が高まってきた。本実験棟の最初 の建設構想は昭和56年にさかのぼる。当時策定された「金材技研第2次長期計画」で筑波地区第一次建設計画の 見直しがなされ,中堅研究者による研究企画チームにより精密計測のための実験棟が検討がされて,概算要求を する段階まで計画は進んだが具体化することはできなかった。昭和62年に筑波全面移転が具体化すると,本実験 棟の建設構想は再びよみがえり「計測解析実験棟」建設として要求されることになった。 (2)設計の基本方針 WGでは近年の装置の導入傾向,他の実験棟との機能分担を考慮して,精密計測実験棟の基本的なコンセプト を以下のように設定した。 ①実験棟の性格 精密計測実験棟には主として電子顕微鏡,EPMA, SEM, STMなどの精密な分析機器を設置するものとす る。精密測定機器であっても,それ自身が振動や,電磁ノイズを発生する可能性のある機器や磁場を用いる測 定器は本実験棟には収容しない。また,特殊仕様の機器は想定せず,市販品を対象として,これらの機器がそ の最高性能を発揮できるような環境を整える。向こう10~20年を見通しての機器の新規導入,入替えに対応で きるようにする。このため本実験棟には防振,電磁ノイズ対策,高度な温度・湿度管理など,精密計測のため の種々の特殊仕様を施すものとする。 ② 建物の基本構造と建設位置 対象とする機器の種類をある程度限定して,仕様のはっきりしている市販品に絞って検討したにも拘わら ず,建物の仕様を一つにまとめることは出来なかった。すべての機器の要求仕様を同時に満足させることは不 可能であり,また逆に,過剰に高度な仕様は実験棟の使い勝手を損なう可能性があるため,WGでは本実験棟 にゾーニングを行って多様な要求に応えることにした。エントランスゾーンを実験室建屋本体と切離し,ここ に玄関,係員室,試料準備室,さらに振動,ノイズ源となる電気機械室を配置する。実験室建屋は磁界,電磁 ノイズにも配慮した防音,防振構造とし,エントランスゾーンとは渡り廊下で接続する。実験室建屋をさらに 2つに分け,Aゾーンは透過型電子顕微鏡(TEM)の設置を想定して平屋とし,4.5m程度の天井高さを確保す る。Bゾーンは2階建てとし,EPMA, SEM,光測定機器,トンネル顕微鏡などを収容する。遮��光のできる2 重窓を設置し,ノイズ源となるエレベータは設置しない。WGはまた空調について,実験室内の気流が機器の 安定を乱すことの無いよう,天井吹出し,床吸込みの恒温恒湿24時間運転方式とすることを要求した。建設場 所についても一般道路や,振動,磁界,電磁ノイズを発生する可能性のある他の実験棟,施設からできるだけ 離す一方,共同利用設備を多く配置することから,利用者の便利のために研究本館にできるだけ近いところと することとした。図Ⅲ-26にWGが最初に作成した建物のイメージ図を示す。一見したところ,実現した建物 と大きく異なるように見えるが,要求の本質は振動やノイズを発生するエントランスゾーンと実験室部分を土 台から切り離した構造とする点にあり,その意味ではWGの初期の構想がよく活かされたと言える。 図Ⅲ-26 WGの当初提案による精密計測実験棟のイメージ 図 Ⅲ -2 7 精 密 計 測 実 験 棟 の 平 面 図 (3)精密計測実験棟の概要 精密計測実験棟は研究本館の西側,本館と緑道に挟まれたところに位置する,南北に長い建物である。建設位 置についてはWGの困難な要求をほぼ満たす場所が選定されたと言える。 建物は一見したところ,細長い一棟の建物のように見えるが,中央のエントランスゾーンと北側のAゾーン, 南側のBゾーンは土台,外壁とも完全に切離されている。廊下は3ゾーンを貫いて南北に走っており,建物内部 から見ても余程の注意を払わなければ,この実験棟が構造的に独立した3つのゾーンからなっていることには気 付きにくい。図Ⅲ-27に精密計測実験棟の平面図を示す。 中央のエントランスゾーンには玄関,係員室,仮眠室,試料準備室,暗室が配置され,最大のノイズ源となる サブ変電室,空調機械室はその2階に設置されている。WGの当初提案で,ノイズの心配があるので設置しない とされたエレベータもここに設置されているが,重量物や大型の機械などを運ぶことは想定されておらず,容量 的には小さなものが導入された。エントランスゾーンとA, B両実験ゾーンは土台から切離されており,廊下は エキスパンジョン・ジョイントで接続され,建物間で振動が伝わらないように配慮されている。共同溝もここに 繫がっており,本館からのエネルギーの供給はここから行われる。 北側のAゾーンはTEMゾーンとも言うべき区画で,窓が無く,天井高さ4mの大きな実験室が4室配置され ている。実験室の床には高分解能TEMに必要な大型除振台を設置するためのピットが設けられており,この ピットには耐荷重1ton/m2の蓋がかぶせられている。除振台の仕様は装置に依存するので建物の一部とは考え にくいが,既設の装置の場合,移設費で設置するにはあまりにも高価である。建設省と無理を承知の折衝を行い, 最終的に2台の除振台を内部装備として設置することが認められた。隣合わせの2室の間にはポンプ室が設けら れており,TEM自身のノイズ源となる真空ポンプはここに設置する。実験室は分厚い壁で囲まれた防音,防振構 造となっており,実験中の人の出入りは避けなければならないので,電話の他に,廊下と室内の連絡を行うため のインターホンが各室に取付けられている。 南側のBゾーンは2階建てとなっており,天井は3 mと特に高いわけではないが,構造壁間の面積はTEM室 と同じである。各室に複数の装置が設置されることを想定して,それぞれに可動間仕切り壁が設置されている。 Bゾーンの窓の内側には防音,断熱性のある厚い遮��光扉��が設けられており,平素はすべての実験室でこれを締め 切って使用している。1階にはEPMA, SEM等が収容され,電磁ノイズを避けるために,6室の電源にノイズ カットトランスが設置されている。2階にはレーザ装置などの光学機器,トンネル顕微鏡,X線装置などが収容さ れる。2階南側には取外し可能な鉄栅が取付けられた開口部が設けられており,大型の機器はクレーン車を用い てここから搬入出する。 (4)空調とノイズ対策 精密計測実験棟の特色は空調とノイズ対策にある。空調にはオールエア(全面層流)方式という特殊な方式が 採用されている。これは空気の流れが精密計測の外乱とならないようにするもので,天井の全面に多数の小さな 穴をあけ,ここから空気を低速で吹き出し,床近くに設けられたガラリからリターンチャンバーへ排出する構造 となっている。精密計測実験棟の空調機は連続運転となっており,実験室内は20 ± 2℃,湿度60%以下の恒温恒 湿に24時間保たれている。既に述べたように建物は防振のため3つのゾーンに区画されているが,空調機のモー ターやインバーターも振動源,ノイズ源となるため,屋上にパイプスペースを別に設け,これらの機器はすべて そこに収容するようにしている。ノイズ対策のためにEPMA, SEM区画の電源にノイズカットトランスを設置 したことは既に述べたが,それ以外の実験室も含めて,実験電力盤から室内のブレーカボックスへの配線はすべ て金属管配線となっており,実験室の照明は埋込みシールド型となっている。精密計測実験棟に採用された空調 方式の概要を図Ⅲ-28に示す。 図Ⅲ-28精密計測実験棟(断面図)の空調システム 表Ⅲ-6精密計測実験棟の仕様 延床面積 2,624.256m2 (1階床面積:1,552.138m2 2 階床面積:1,072.118m2) 階高 5.5m, 4.5m 階数 地上2階 軒高 GL + 10.479m,最高高さ GL + 12.479m 天井高さ 3.0m, 4.0m 構造 地業:既成コンクリート杭(PHCパイル),プレボーリング拡大根固め工法 主体構造:鉄筋コンクリート造 外装 コンクリート打放しの上複層塗材RE吹付 その他 除振台用ピット(4ヶ所),ピット式除振台(2基) 変電設備 6.6kV/210V-105 V,容量 800kVA 基準階照明 ・実験室:埋込シールド型システム照明 実験台上500 LX 配線方式 ・電磁ノイズ混入,放射防止を考慮し,金属管配線方式採用 ・二次側金属線ぴ配線方式 弱電 LANシステム,入退館及び入退室管理システム,時計,拡声など 空調設備 空調:インバーター付空調機+ VAV風量制御 自動制御:UCによる分散型 排煙:自然排煙 衛生設備 給水:上水,実験冷却水 排水:一般生活排水,研究排水,実験冷却水排水 給湯:局所式 消火:なし 都市ガス:低圧ガス 特殊ガス:なし エレベーター 乗用11人,45m/min×1台 (5)実験室の装備 各実験室の実験電力盤は廊下側に開くようになっており,室内に設置される装置の主電源はそこから天井裏を 通って配線し,室内に設置されたブレーカボックスに導かれる。小型の計測器や手元照明などに使う100V電源 は実験室の壁に取付けたレースウエイを用いて,実験の都合の良い場所にコンセント差込ロを取付けることが出 来る。 実験室はビニル床シート継ぎ目溶接,無塵用壁紙,天井にはロックウールと化粧吸音板が使われている。水関 係は本館標準実験室と同様にA, D, Pバンネを通じて上水,温水,実験冷却水,研究廃水が配管されており,各 実験室に本館標準実験室と同じ仕様の流しが設置されている。この実験棟で使われる特殊ガスは,文字通り特殊 なものが少量ずつであり,窒素,アルゴンなどの一般的な特殊ガスを大量に使用する計画はないので,特殊ガス の集中配管は行われていない。 精密計測実験棟の概要を表Ⅲ-6にまとめた。 (こぼれ話4)振動とノイズの戦い 発注者の注文は諸源表によって建設省,設計事務所に伝えられる。諸源表の作成にあたって困難を極めた のは,振動に対する仕様の設定であった。多くの機器について振動の許容量に関するデータの収集に努めた が,表示の仕方が統一されておらず,データそのものがない場合も少なくなかった。特に低周波振動に関し てはほとんどの機器でデータが示されておらず,あったとしても単に経験的な推定値にすぎないことが多 かった。また,振動の仕様は機器の設計の根幹に関わることなので公開できない,と言われた場合もあっ た。一方で,実際の建物の振動は建設される場所の振動の特徴などにも依存するので,設定した仕様が有効 に機能するかどうか,素人には判断がつかないという問題もあった。あれやこれやで,WGでは完全な防 振仕様の設定を行うことが出来ず,諸源表には,いくつかの代表的な機器について特定の周波数での許容振 動を示すにとどまった。 設計事務所から示された基本設計書には建物の概略の壁の形しか示されておらず,防振対策に関する詳細 が盛り込まれていなかった。現在の技術をもってすれば,コンピュータシミュレーションを行って,設計段 階である程度,建物の防振性能を予測することも可能と考えられるが,これを実行するには時間と費用がか かる。責任の一端は具体的な要望をまとめられなかった金材技研にもあるわけで,防振対策をチェックして 問題点を具体的に指摘するだけの専門知識を持たないWGとしては,漠然とした不安を感じつつも,これ 以上の要求を行うことが出来なかった。 ノイズについても同じことが言える。サブ変電所や空調機械室のあるエントランスゾーンに隣接して,ノ イズを最も嫌うAゾーンを置くレイアウトは,WGとしては納得できない。しかし,電気室から発生する 電磁的ノイズを的確に予測することが出来ず,機器への影響を具体的に示すデータを集めることも出来な かったため,結局は,レイアウトの変更を実現するに至らなかった。 WGの意気込みとしては,今後の10~20年を見越して,理想的な仕様の精密計測実験棟を造りたかった のだが,特々会計では現有あるいは更新予定の装置の仕様からあまり飛躍した要求は許されない。意余って 力足らず,いろいろの意味で当初の構想を充分に実現することが出来なかったことを残念に思っている。 2.2ファインプロセス実験棟 (1)経緯 施設建設計画を検討するにあたり,有害な薬品類や粉塵など研究本館標準実験室では取扱うことが難しい物質 を用いた研究を安全に実施するための特殊実験棟に関する建設計画を立案することを目的として,雰囲気制御・ ファインプロセス実験棟WGが設置されたのは昭和63年9月16日であった。中目黒地区においては,化学系及 び粉体系の施設は,主に30号庁舎を中心に設置されていた。WGでは,まずこれらの装置群をどのようなコンセ プトの基に新たな実験棟に移設するかに関する議論から開始された。また,議論の過程で,今後の化学分析にお けるクリーンルームの重要性が指摘されたため,クリーンルームが既に設置されている既設の表面界面制御実験 棟も一体化して検討することとし,金属材料技術研究所におけるプロセス研究を効率よく行えるような実験棟群 に関する建築計画を立案することとした。その結果,ファインプロセス実験棟,雰囲気制御実験棟,表面界面制 御実験棟に関しては,以下のような基本方針の基に,有害な物質を閉じた環境で取扱うことに適した実験施設と することとした。すなわち, ア)ファインプロセス棟では微粒子を安全に取扱うことができる。 イ)雰囲気制御実験棟はドラフトを完備し,一貫した化学系の実験ができる。 ウ)新設の実験棟にはクリーンルームを設けないものとし,既設の表面界面制御実験棟の居室部分を改 築し,そこに,クラス10,000のクリーンルームを設ける,とした。このような観点から,本実験棟に配 置される設備を担当する主な研究部としては,第4研究グループ,計測解析研究部,反応制御研究部, 表面界面制御研究部(いずれも当時)とされ,これらの研究部の研究者がWGを構成した。 初期の方針では,雰囲気制御実験棟とファインプロセス実験棟は独立に建設するということで検討をしていた が,有害な物質を閉じた環境で取扱うという建設目的は同一であるということで,双方を合体して,雰囲気制 御・ファインプロセス実験棟として建設することとした。しかし,単なる合体ではなく,ファインプロセス実験 棟と雰囲気制御実験棟は玄関を共有するが,階層を分離することにより,気流の流れを一方向とし,作業物質の クロスコンタミネーションが無いように配慮することとした。この玄関を共有するという考え方から,シャワー 室,コピー室,仮眠室などが共有でき,スペースの有効利用が図られるという利点があった。しかし,クリーン ルームに関しては後述するように,表面界面制御実験棟における増設が不可能となったため,計画の全面的な見 直しを迫られることになった。 (2)実験棟の規模 実験室の大きさに関してのWGの基本的な考え方は将来の実験室の使用目的の変更に対して柔軟に対処でき るように,雰囲気制御・ファインプロセス実験棟は可能な限り規格化したユニットから構成されるという建設計 画を提案することとした。すなわち,各実験室は1スパン5m ×8mのユニットから構成され,特殊な形状の実験 室は設けないこととした。実験室の面積の算出には,現有の装置を配置することを基本とするが,上記の目的に 沿うようにできるだけ理想的な実験施設を建設するという考え方で望んだ。その結果,最初の面積積算に関して は,特殊実験室3,600m2(ファインプロセス実験棟部分61スパン,雰囲気制御実験棟部分29スパン),シャワー 室40m2,控え室・コピー室・ OA室・仮眠室80m2,暗室40m2で,総計3,760m2を必要固有面積として提出し た。 この原案をもとに検討を加え,第一次案として,RC-4階建てで建築面積は2,732 m2とし,粉塵を取扱うセク ションと酸,アルカリを扱うセクションとをダウンフロー式の空調(壁下部吸気/排気・ 4方)により分離する原 案を提出した。その後,予算面からの検討なども加えた結果,雰囲気制御・ファインプロセス実験棟はファイン プロセス実験棟と名称を変更するとともに,機材管理棟をも合棟して規模を若干縮小して,RC-3階建て(機材管 理棟部分は2階(一部1階)建て),建築面積は2,402m2となった。 (3)実験室の仕様 実験室は化学系実験室と粉体系実験室にカテゴライズし,それぞれに対して電力・ガス・給排水に関する基本 仕様を設定した。ただし,電力・ガス・給排水の基本仕様に関しては研究本館標準実験室仕様に準じるものとし, 極力標準化につとめた。化学系実験室は,床は耐有機溶剤性のエポキシ系塗床,幅木は床材塗り上げ,壁及び天 井は軽量鉄骨下地でケイカル板貼りとした。一方,粉体系実験室は,床及び幅木は長尺塩ビ継目溶接仕上げ,壁 及び天井は軽量鉄骨下地石膏ボード,無塵用壁紙貼りとした。 すなわち,化学系の実験室は有機溶剤の汚染に対して強いものを選び,粉体系実験室は粉体による部屋の汚染 を避けうるようなものを選択した。図Ⅲ-29に化学実験室と粉体実験室の基本仕様の平面図を示す。各実験室に 設置予定装置の管理者には,原則としてこの基本仕様を基に装置の配置計画を立案するよう要請した。また,3階 建てになった結果,階層ごとに粉体系ゾーンと酸・アルカリゾーンを分離することは困難となったため,建物中 央部にメカニカルボイドという空間を設け,粉体を扱うゾーンと酸・アルカリを扱うゾーンを各階ごとにメカニ カルボイドを挟んで南北に分離した。また,1,2階の粉体ゾーンの廊下両端を扉��で仕切り,粉体による汚染が全 館に広がらないようにすると共にエアーカーテンにより遮��蔽するように配慮した。当然,空調もそれぞれ独立で 行うようにした。当然のことながら,酸・アルカリを取扱うためにスクラバーの屋上への設置を行った。 階高に関しては1階には大型の施設を設置するために5mとしたが,2, 3階は研究本館と同一の3mとした。 また,耐床荷重も本館と同様500 kg/m2とした。なお,1階の大型施設として100tプレスの設置を想定した場所 は,5 t/m2の耐床加重の独立基礎とした。また,階高が5mを越す装置に関しては,設置場所に穴をあけるなど の方式により個別に対応することとし,そのための特殊な仕様の設定は極力避けるようにした。 図Ⅲ-29化学実験室と粉体実験室の平面図 (4)実験室の配置 ファインプロセス実験棟の平面図を図Ⅲ-30に示す。図Ⅲ-30から分かるように,3階は化学分析ゾーン,2階 は物質合成ゾーンと化学分析ゾーンがメカニカルボイドの北側で,メカニカルボイドの反対側は粉体ゾーンと し,ゾーンはメカニカルボイドにより隔離されている。1階も同様にメカニカルボイドでゾーンは分離され,北側 は物質合成ゾーンで,同様に反対側は粉体ゾーンとなっている。1階は重量の大きい設備または背の高い設備が 設置できるよう,室内の有効高さを4m (一部5mの上がり天井)とした。 実験室の大きさの基本単位は1ユニット6m×7.4 mであるが,議論が集中したのは実験室あたりのユニット数 の配分であった。ある装置は他と隔離された1ユニットでなければ精度がでないとか,ある装置は3ユニット連 続でなければ実験できないというような注文が相次ぎ,しかもこれにゾーニングという境界条件が加わるため , 配置を決める作業は実に複雑なジグソーパズルを解くようなものであったが,最終的には皆に納得していただけ る案ができ,実験室の区分計画を完了した。このユニットシステムを用いたことにより,本実験棟が将来の研究 内容の変更にも十分耐えられる柔軟さを有することができたと考えている。 (5)クリーンルーム クリーンルームに関しては多くの研究者からその必要性に関して要望が出されていた。したがって,WGから は,従来の表面界面制御実験棟のクリーンルーム部分に加え,表面界面制御実験棟の居室部分(7.5m×22m)を すべてクリーンルームにしたいという要望を提出したが,既存棟の改築ということは,会計法上困難であるとい うことであきらめざるを得なくなった。WGでもクリーンルームの必要性に関しては議論を重ねてきたが,微量 分析に関しては,クリーンルームで行わない限り正確な実験はできないということになり,どうしてもクリーン ルーム面積を表面界面制御実験棟における既有面積よりも増すことを迫られていた。また,新設のファインプロ セス実験棟にクリーンルームを設置することも,ここまできては既に困難な状況になっていた。したがって,や むをえず,表面界面制御実験棟のクリーンルーム内に設置してある装置群の配置を見直して,その一部を本館に 移設することによってクリーンルームスペースを生出すこととした。表面界面制御実験棟には3つのクリーン ルームがあるが,そのうちの第1クリーンルームに設置してある表面解析装置群を本館に移設するということに し,そこに,微量分析関係の装置を設置することにした。なお,表面界面制御実験棟の居室部分を通常の実験室 とするために,電源の増設などを行うことになった。その後,所の方針により,極限場研究センターは強磁場, 精密励起場及び極高真空場の3ステーション体制とすることとなり,最終的には第1クリーンルームに設置され ていた表面解析装置群は桜地区のビーム実験棟に移設するということになった。 (6)各実験室の概要 以下に各階の主な実験室の概要を示す ①1階に設置した実験室 粉体実験室 ボールミル,超微粉反応装置等を設置 高温精製実験室高温精製反応炉,水素雰囲気制御装置等を設置 移動現象実験室混合特性計測装置,水モデル反応界面計測装置等を設置 結晶育成実験室 光ビーム結晶育成装置等を設置 活性金属実験室固相電解精製装置,超伝導材料高純度原料製造装置等を設置 有機金属実験室 吸収スペクトル測定装置,電子遷移特性測定装置等を設置 ②2階に設置した実験室 超微粒子実験室 溶融金属ガス反応装置,プラズマ発光分析装置等を設置 光励起実験室 光励起反応装置,原子選択励起装置等を設置 界面制御実験室表面構造解析装置,制御雰囲気圧接装置等を設置 図Ⅲ-30ファインプロセス実験棟の平面図 物質評価実験室熱応力測定装置,粒度分布測定装置等を設置 乾式合成実験室 スパッタリング装置,真空蒸着装置等を設置 液層反応実験室溶液電気化学反応計測装置,分光光度計等を設置 腐食実験室 腐食試験装置等を設置 ③3階に設置した実験室 ガス分析室 水素分析装置,酸素,窒素分析装置等を設置 分析試料作製室X線分析用試料作製装置等を設置 蛍光X線分析室 蛍光X線分析装置等を設置 ICP発光分析室ICP発光分析装置等を設置 原子吸光分析室原子吸光分析装置等を設置 超微量分析室 超純水製造装置,高感度スズ計測システム等を設置 光吸収分析室 紫外可視分光光度計等を設置 微量分析室 有機スズ分離装置等を設置 精密天秤室 ミクロ電子天秤等を設置 化学分析室 化学分析実験台,ドラフト等を設置 これらの仕様に基づき,ファインプロセス実験棟の建設が平成3年3月8日に開始され,平成5年9月30日に 完成した。 (7)おわりに 基本的な仕様が固まり実際に建設が始まってからも,いくつかの細かい仕様の打合せがひっきりなしに行われ た。例えば,コンセントの位置,ガス配管の位置などのように即断即決が迫られることが頻繁であった。しかし, ファインプロセス実験棟は化学系実験室と粉体系実験室から構成されるという考え方で基本仕様を決めていたた め,WGとしては細かい仕様もすべてユニットごとで基本的には統一することとした。したがって,必ずしも実 際に実験室を利用する研究者に相談することをせずに,ユニットとしての性能の最大公約数を考えて細かい仕様 も決めていった。実際に施設を利用する研究者からは細かい仕様の変更を要求する声があがったが,将来の変更 に対する建て屋の柔軟性を重視したいということを話して我慢をしてもらった。この折衝に関してはWGのメ ンバーには多大の精神的負担をかけることになった。しかし,このユニットシステムという基本的考え方を貫い たことにより,最終的に施設が完成し,実際に移転が開始される寸前における移設装置の変更に対しても柔軟に 対応できた。研究の現場にいると,どうしてもその時に実施している研究に引きずられた実験棟を作ってしまう 傾向があるが,研究のスパンよりも実験棟の寿命の方が圧倒的に長いはずである。その意味では,ファインプロ セス実験棟は将来の変化にある程度対応したものとなったはずである。 実験設備は増えることがあってもなかなか減ることはないが,逆に実験スペースは増えることはまずない。研 究資源は限られているのである。したがって,将来の研究内容の変化に柔軟に対処することを目的として建設し たファインプロセス実験棟も実験スペースの増加の要求に対しては無力である。本実験棟の基本コンセプトを守 るためにも,常に既存の実験設備の有用性を点検し,限られたスペースの有効利用を図っていく必要がある。 2.3材料強度実験棟 (1)建設の背景と計画 材料強度実験棟の建設は材料強度試験部門の取扱いと切離して考えることはできない。例えば,昭和54年に作 成された第1次長期計画においては,材料強度試験部門を目黒地区に残留させ,「金属材料データセンター」を設 立してその業務を拡大・強化しようとする構想が打出されている。その後,筑波移転構想そのものが具体化しな かったこともあって,材料強度試験部門は損傷機構,材料性能評価に関する研究及びデータシート作成業務に専 心することとなった。しかし,そのデータシート作成業務も,昭和62年に行われた総務庁による業務見直しで, 当初の計画が達成されつつあるとの認識から,計画達成の時点で終了するとされた。昭和63年に具体化した筑波 全面移転計画はこのような背景の下で検討が進められた。疲労データシート作成業務は,昭和68年度(平成5年 度)に完了する予定であったことから,疲労データシート作成に使用された疲労試験装置は一般の研究用設備と 同様の扱いで移設されることになった。一方,クリープデータシート作成業務は終了までにまだかなりの期間を 残しており,しかも10万時間を超える長時間クリープ試験中の試験機が多数を占めていることから,クリープ データシート作成に係わる試験装置類を目黒地区に残置することとし,研究で使用する試験機のみを筑波地区へ 移設することとされた。 材料強度実験棟の中核を為す装置は,クリープ試験機,疲労試験機,引張試験機,衝撃試験機などであり,類 似の試験機はデータシート作成業務関係以外にも所内各所に多数設置されている。そこで各研究部・グループに 所属する材料強度関連の研究設備についても全面的な調査を行い,重複する試験機や老朽化の進んだ装置につい て整理を行った。昭和63年11月の段階で移設するとされた試験機の数は,クリープ試験機200台,疲労試験機 58台,引張試験機4台,シャルピー衝撃試験機4台,応力腐食割れ関連試験装置11台である。この数字を基礎と して材料強度実験棟の諸機能が検討され,平成元年7月に基本設計のための金材技研の要望がまとめられた。材 料強度特性に関わる試験はクリープに代表される静的試験と疲労に代表される動的試験に大別され,両者の試験 環境には質的な違いがある。そこで実験室の配置については厳密なゾーニングを行うこととし,材料強度実験棟 は基礎を別にする2つの建屋から構成され,動的建屋から静的建屋へ振動が伝わらない構造とすることが要求さ れた。 静的ゾーンはクリープ試験機などの静的試験装置を設置する実験室で構成されるゾーンで,大型クリープ実験 室,クリープ破断実験室,特殊クリープ実験室,実験監視・データ処理室,温度標準室,クリープ実験室,雰囲 気クリープ実験室,超高温クリープ実験室,圧力実験室からなる。クリープ試験機には長時間の連続運転が必要 であることから,停電時においても実験の中断がないように自家発電機の設置が要望された。動的ゾーンは疲労 試験機などの動的試験装置を設置する実験室で構成されるゾーンで,大型材料強度実験室(A)と(B),共振疲 労実験室,ポンプ室(油圧室),軸荷重疲労実験室,熱疲労実験室,超高温疲労実験室,環境疲労実験室からなる。 動的ゾーンの仕様の中で特徴的なものは共通油圧源設備の設置である。疲労試験装置では荷重発生のため油圧を 使用するものが多いが,油圧源装置はモータとポンプ,弁などにより構成され,騒音と振動の発生源となるとと もに,試験機1台毎に設置スペースを専有することから共通化し,一箇所にまとめて管理し,配管によって各疲 労試験機に油圧を供給する共通油圧源システムを採用することとした。 要望された実験室とその仕様,ならびに現在の実験室名との対応を表Ⅲ-7に示す。 表Ⅲ-7材料強度実験棟への設置を要望した実験室など 室 名 現在の実験室名 設置される主な試験装置 特徴・レイアウト・特殊仕様 大型材料強度実験室 (A) 大型材料強度実験室 サーボ油圧式疲労試験機 (150トン,40トン)など 独立基礎・高天井・クレーン 油圧配管・(1F) 大型材料強度実験室 (B) 大型材料強度実験室 高温高圧水中腐食疲労 試験装置など 独立基礎・高天井・クレーン 油圧配管・(1F) 共振疲労実験室 疲労実験室(3) バイブロフォア疲労試験機 防音壁・防振床・油圧配管・(1F) ポンプ室 ポンプ室 油圧源装置 防音壁・耐油床・油圧配管・(1F) 大型クリープ実験室 クリープ実験室(1) 大型クリープ試験機 高床荷重・恒温・高天井・(1F) 回転曲げ疲労試験室 疲労実験室(5) 回転曲げ疲労試験機 高床荷重・冷却水 クリープ実験室 クリープ実験室(4) 単式クリープ試験機 恒温・高床荷重 実験監視・ データ処理室 クリープ実験室(2) 温度監視装置 試料保管室 大型材料実験室 鋼材架台・試料保管箱 高床荷重 熱疲労試験室 疲労実験室(7) 熱疲労試験機 恒温・電磁シールド・高床荷重 油圧配管 超高温クリープ実験室 クリープ実験室(4) 超高温クリープ試験機 恒温・高床荷重・冷却水 圧力実験室 クリープ実験室(5, 6) 内圧クリープ試験機 防爆対策・恒温・高床荷重 クリープ破断実験室 クリープ実験室(4) 複式クリープ試験機 恒温・高床荷重 特殊クリープ実験室 クリープ実験室(1) クリープき裂伝播試験機 リラクセーション試験機など 恒温・高床荷重 軸荷重疲労実験室 疲労実験室(2) 高温低サイクル疲労試験機 長時間クリープ疲労試験機 油圧配管・高床荷重・恒温・冷 却水 雰囲気クリープ実験室 クリープ実験室(7) 雰囲気クリープ試験機 恒温・ガス漏れ警報・冷却水・ 高床荷重 温度標準室 クリープ実験室(3) 校正炉・熱電対収納庫 超高温疲労実験室 疲労実験室(6) 超高温疲労試験機 恒温・高床荷重・冷却水・油圧 配管 環境疲労実験室 疲労実験室(1) マルチタイプ疲労試験機 き裂開閉口測定装置 高床荷重・油圧配管・耐水床冷 却水 試料準備室 疲労実験室(4) 測長器など 係員室 係員室 ロビー・ラウンジ ロビー 仮眠室 仮眠室 (2)材料強度実験棟の概要 ①建物の構造 材料強度実験棟の平面図を図Ⅲ-31に示す。建物はRC構造(一部はSRC)の2階建てで,静的ゾーンと動 的ゾーンに分けられており,両ゾーンは基礎から別になっている。静的ゾーンにはクリープ実験室(1)~(7),係 員室,仮眠室が設置されている。このうちクリープ実験室(1)と(4)は間仕切りのない大空間の実験室となってお り,それぞれクリープ破断試験機,クリープ試験機が設置されている。動的ゾーンには2階まで吹抜けでク レーンが設けられた大型材料強度実験室,1階の疲労実験室(1)~(3),2階の疲労実験室(4)~(7),共通油圧源装 置が設置されているポンプ室が設置されている。このうちポンプ室に隣接する疲労実験室(3)は防音構造と なっており,騒音を発生する共振疲労試験機が設置されている。動的ゾーンにはさらに,自家発電機室と特高 変電所が併設されている。 図Ⅲ-31材料強度実験棟1,2階平面図 材料強度実験棟には図Ⅲ-32に示すように配電及び配管用のピット,設備機器(大型材料試験装置)用のピッ トが設置されている。配電及び配管用ピットには電気,通信配線,油圧用配管,冷却水配管などが配置される。 大型クリープ実験室の基礎,大型材料強度実験室のピットおよび独立基礎は移転する実験装置に合わせて作ら れた。また,静的ゾーン及び動的ゾーンに設置される実験装置を床に固定するために静的ゾーンには図Ⅲ-33 に示すような,また動的ゾーンには図Ⅲ-34に示すような機器固定用溝が設けられている。 図Ⅲ-32材料強度実験棟に設けられた各種ピット 図Ⅲ-33静的ゾーンの機器固定用溝 図Ⅲ-34動的ゾーンの機器固定用溝 実験室の天井高さは2階まで吹抜けの大型材料強度実験室をはじめ2.7~4.0mと様々である。2.7mは標準 実験室仕様であり,4.0mは内部に設置される実験装置(共振疲労試験機)を考慮して高めに設定したものであ る。図Ⅲ-35は,大型疲労試験機の設置用に造られた独立基礎及びピットの例である。 図Ⅲ-35サーボ油圧式疲労試験(150t)用基礎図 床荷重は動的ゾーンでは大型材料強度実験室の一部の独立基礎以外は一律1,000kg/m2であり,静的ゾーン では各実験室の使い方に従って,500, 750, 1,000kg/m2となっている(表Ⅲ-8)。クリープ実験室(1)の床の一 部は大型クリープ試験機を設置するために強化されている。床,壁,天井などの仕様は表Ⅲ-9に示すように, 静的ゾーンと動的ゾーンで異なっている。 ②電気設備 材料強度実験棟には自家発電設備が設置されているが,これは長時間継続して行われるクリープ試験の中断 を防止するための最小限の施設であり,バックアップの対象となっているのは,静的ゾーンにあるクリープ実 表Ⅲ-8実験室の天井高さと床荷重 実験室名 天井高さ 床荷重 静的ゾーン クリープ実験室(1) 4.0m 1000 kg/cm2, 750 kg/cm2 クリープ実験室(2, 3) 3.0 500 クリープ実験室(4) 3.5 750 クリープ実験室(5, 6) 3.5 500 クリープ実験室(7) 3.5 750 動的ゾーン 大型材料強度実験室 2階まで吹き抜け 1000 kg/cm2, 一部独立基礎 疲労実験室(1) 3.5 m 〃 疲労実験室(2) 3.0 〃 疲労実験室(3) 4.0 〃 疲労実験室(4) 2.7 500 疲労実験室(5) 3.0 1000 疲労実験室(6) 3.5 〃 疲労実験室(7) 3.5 〃 表Ⅲ-9床,壁,天井の仕様 静的ゾーン 動的ゾーン 床 ビニール床タイル ビニールシート継ぎ目溶接 硬質着色床 エポキシ系塗床 壁 ケイカル板,石膏ボード モルタル,ケイカル板 天井 化粧石膏ボード ロックウール吹き付け,ケイカル板 験室のクリープ試験装置40台及び超高温クリープ試験装置20台のみである。 動的ゾーンにある施設及び設備の全て,また静的ゾーンの非常用冷房設備はバックアップの対象となってい ない。これは,特高受変電設備が2回線受電,変圧器を2組として二重化されており,停電に対する電源の信 頼性を高くしたためでもある。各実験室に設けられた実験電力盤の容量を表Ⅲ-10に示す。表中,クリープ実験 室(1)および(4)の実験電力盤には安定化電源装置が設置されている。なお,実験電力盤の電力容量は設置予定 の装置を調査して,同時使用率を勘案して得られたものであり,材料強度実験棟全体では137.92kWと見積ら れている。しかし,移転計画途中で移設設備の変更などがあったため,設計段階と相違があり,設備設置時に 実験電力盤の増設が必要となった。 表Ⅲ-10実験室に設けられた実験電力分電盤 実験室 分電盤数 (面) 容 量(口数) 1φ100V 1φ200V 3φ200V 20 A 30 A 50 A 75 A 150 A 20 A 30 A 50 A 150 A 20 A 30 A 100 A 静 的 クリープ実験室(4) 5 80 130 クリープ実験室(1) 3 30 22 15 13 クリープ実験室(7) 1 3 7 2 4 クリープ実験室(5, 6) 1 3 1 12 6 動 的 疲労実験室(1) 1(1) 2(2) (3) 4 1 6(3) 1(2) 1(1) 8(4) (2) 疲労実験室(2) 1 10 8 10 疲労実験室(3) 1 6 4 10 大型材料強度実験室 2(1) 4(4) 15 (2) (2) 4(4) 16 疲労試験室(5) 1 14 12 10 疲労実験室(6) 1 6 1 1 3 1 10 疲労試験室(7) 1(1) 8(4) (2) (3) 4(2) (2) 400A ×3 7(3) (3) 3 ()内数は移転設備設置時に増設した盤面数及び口数である。 ③機械設備 1)空調 設置される空調設備の仕様は図Ⅲ-36に示すとおりで,大型材料強度実験室を除いて各実験室とも同じ仕 様となっている。 2)クレーン 大型材料強度実験室には各種の大型疲労試験機などが設置されるが,それに使用される試験機の冶具や部 品も大型で重量物であり,また試験片も重物量であることからクレーンが設置された。クレーンは5トンの 容量をもち,高さ約5mの所に設置され,大型材料強度実験室内のほぼあらゆる箇所へ移動することが可能 である。また,ポンプ室内にも油圧源装置の部品の出し入れが容易に行えるように天井にチェーンブロック が設けられている。 各実験室 大型材料強度実験室 概念図 図Ⅲ-36空調・換気の仕様 空調範囲 室全体 スポット空調 温湿度条件 夏26℃、冬22℃、湿度成行 夏26℃、冬22℃、湿度成行 空調方式 天吊隠蔽型大型ファンコイル方式 天吊型大型ファンコイル方式 吹出方式 アネモ・ユニバーサル型 アネモ 直吹 騒音 約 60dB-A 約60dB-A程度 3)油圧供給設備 材料強度実験棟では設置されるサーボ油圧疲労試験機の油圧源を共通化させ,一箇所に集中させている。 これは油圧源を集中化させることによって,騒音発生源であるポンプが一つになり騒音対策が立てやすくな ること,油の管理やメンテナンスが容易になること,さらに今後購入する疲労試験機ではポンプを必要とし ないため設置が容易でしかも安価になることなどの利益が得られるためである。油圧供給設備の仕様をきめ るために油圧を用いる疲労試験機の油圧使用要件が調べられた。調査の結果,油圧の最大圧力は分岐弁装置 の出口において210 kg/cm2を確保する必要があること,試験機の同時使用率などを考慮して1,330 L/min の供給量が必要であることが判明したので,油圧供給設備の仕様は表Ⅲ-11のように決められた。 表Ⅲ-11油圧供給設備の構成機器の仕様 機器名 仕 様 台 数 油圧ポンプ 465 L/min × (210 kg/cm2 +損失) 3台 油圧タンク 5,000L 1基 油圧冷却器 2基(内1基は予備) 冷却水ポンプ 2台(自動交互運転) 冷却塔 2基(内1基は予備) 油圧供給設備の構成は,ポンプ室内に設置される油圧ポンプユニット,動力制御盤,油圧ポンプ制御盤, 油圧タンク,フィルタクーラ用油循環ポンプ,循環フィルタ,オイルクーラユニット,屋外に設置される冷 却塔,冷却水ポンプ,実験室内に設置される分岐弁装置,手元操作盤,またポンプと分岐弁装置をつなぐ配 管からなる。 フロー図を図Ⅲ-37に示す。配管は全てステンレス鋼製で,往き(OS),戻り(OR)とドレイン(OD)の 3本で構成される。また,この共通油圧源の油の清浄度はNAS7級に保たれ,油温は40±5℃にコントロー ルされている。 図Ⅲ-37油圧供給設備のフロー図 通常の油圧疲労試験機のポンプ部分に相当する分岐弁装置は動的ゾーン全体で42台設置されている。分 岐弁装置は流量の大きさによって4種類あり,その設置箇所と台数は表Ⅲ-12に示すとおりである。分岐弁 装置には圧力計と減圧弁が設置されており,減圧弁を操作することにより所定の油圧圧力に調整することが できる。 油圧供給設備における最大の問題は振動と騒音である。計画の当初から(1)配管の曲がり部などにアキュ ムレータを付け,騒音対策を十分にほどこすこと,(2)油圧ポンプの振動が床に伝わらないように防振ゴムな どを入れる対策をすること,が要望されていたが,実際に建物が完成して油圧供給設備の運転を行ったとこ ろ,非常に大きな騒音が発生した。このため追加工事で,油圧ポンプユニットを空気バネで浮かし,床との 間に緩衝を設けた。さらに,油圧ポンプユニットと配管との間をフレキシブルチューブに替え,ピット内で の配管と床との固定に緩衝材を設けることによって,やっと騒音問題を解決することができた。 表Ⅲ-12分岐弁装置の容量,台数 実験室 流量(L/min) 10 ~22 ~40 ~150 ~220 大型材料強度実験室 6 4 0 6 疲労実験室(2) 10 0 0 0 疲労実験室(1) 7 0 1 0 疲労試験室(7) 4 0 0 0 疲労実験室(6) 4 0 0 0 2.4材料創製実験棟 筑波移転のための建設基本計画(案)に基づき材料創製棟に設置すべき実験室,その仕様・規模,配置など具 体的な実施設計をするために材料創製実験棟WGが昭和63年9月16日に発足した。筑波移転実行計画基本方 針(昭和63年10月11日提示)での基本的な考えとして,材料創製実験棟は,素材・素形材の創製並びに組織構 造制御のための広床面積,防塵,防爆,衝撃発生・波及防止などに関連した特殊な実験施設として性格づけられ ている。 WGではこの基本方針に沿って具体的な建設の規模や配置について長い時間をかけ調査と検討を行うと同時 に筑波移転推進室との数多くのやりとりの結果,材料創製実験棟の建設案として,設置する設備に必要な天井高 さによって小部屋ゾーンと大空間ゾーンの2棟に分割する下記のような原案を作成した。 (1)材料創製実験棟に要求される基本特性 ア)素材・素形材の創製並びに組織構造制御のための広い作業空間,防塵のための集塵・換気 防振・防 音遮��蔽などの特殊構造を有する施設。 イ)天井にクレーンを設置して運転・作業を行う必要のある大型の装置が比較的多く,これらの装置の 高さに応じて天井高さを3種類程度に分けてゾーニング化を図る。 ウ)天井高さが高く,大型クレーンを設置して個々に区切らず使用する大空間実験場では,空間容積が大 きく全体の冷・暖房は不可能なため,各装置の周辺には局部冷・暖房設備を内部装備する。 エ)装置が大型でかつ高熱,振動,衝撃などを発生するものが多く,建物内での人や資材の移動が安全で 便利なように通路,入口などを広くするなどの配慮をする。 (2) 材料創製実験棟を構成する実験室とその満たすべき条件 上記の基本特性から棟内を天井高さなどの構造面からA, B及びCの3ゾーンに区分けし,それぞれに該当す る実験室を配置した。その平面図を図Ⅲ-38に示す。 ① Aゾーン 2階建てとし,1階は装置の設置及び運転作業に際し室の天井高さが5 m程度必要な装置を収容するゾーン。 装置によっては天井にホイストや小型クレーンを取付けて使用する場合を含む。 ア)各実験室間は原則として間仕切により独立した室とする。 イ)水素関連合金製造室と溶射実験室間および試作設計室と工具室間の間仕切は衝立てなどの簡易なも のとする。また,高温加工シミュレーション室の両側の間仕切も同様に簡易なものとする。 ウ)表Ⅲ-13の満たすべき条件で2階に設置可能とした以外の固有業務室はすべて地上階配置が好まし い。ただし電気・機械室は地上スペースの節約上2階に設置する。 このAゾーンには表Ⅲ-13に示す各実験室を配置する。 ② Bゾーン 装置の設置及び運転作業に際し,天井に大型クレーン(10及び5トン,クレーン下約8m)を必要とする 装置を収容するゾーン。 ア)天井に大型クレーンが通るためと,作業スペースを有効に利用するために間仕切は一切せず,大広間 のまま利用する。 イ)この広間の中央部あるいは側面に最低2 m幅の安全通路を必要とする。 ウ)大型トラックの出入りが容易となるよう,出入口には大型シャッターを設置する。トラックの出入り にともなう作業領域の床荷重に配慮する。 このBゾーンには表Ⅲ-14に示す実験場,実験室を配置する。 図Ⅲ-38材料創製実験棟WG案の平面図 ③Cゾーン 装置の設置及び運転に際し,天井にクレーン(5トン,クレーン下約6m)を必要とする装置を収容するゾー ン。 ア) Bゾーンのア),イ)及びウ)に準じる。 イ)B及びCゾーンの共通部分(電気室,機械室及びトイレ・洗面所など)はこの様な天井高さを必要と しないので,Cゾーンの一部(12m)は天井クレーンを設置せず,その代わり高さ方向の空間を2分割 して1・ 2階として利用する。B及びCゾーンは電力を多量に使用するので電気室はできるだけ負荷に 近づけるため2ヶ所程度に分割したほうが好ましい。 このCゾーンには表Ⅲ-15に示す実験室を配置する。 表Ⅲ-13 Aゾーン実験室の主要仕様 実験室名 面積(m2) 満たすべき条件 粉砕処理室 72 防音壁,防音天井 特殊熱処理室 100 有害ガス発生のため気密性の高い壁で間仕切る。 共通実験室 180 複合材料製造室 60 ホットプレス本体を置くためのピットが必要 溶射及びアークエネルギー利用実験室 170 水素関連合金製造室 30 係員控室(端末室) 60 2階に設置可能 資材置場 30 トラックで資材の搬出入が容易な場所で機械工作 と溶射実験室の近く 超高圧実験室 140 高圧ガス取締法の規定による防護壁(厚さ20cm 以上30 cm以下の鉄筋コンクリート製)で囲い, かつ,天井は吹抜け構造でスレート造りとする。 焼成及びキャンニング室 48 高温加工シミュレーション室 48 プラズマ特性実験室 160 2階に設置可能 ガラス研磨熱処理室 140 2階に設置可能 試作設計室 25 工具室 25 機械工作ショップと隣接 機械工作ショップ 350 合 計 1638 m2 表Ⅲ-14 Bゾーン実験場,実験室の主要仕様 実験室名 面積(m2) 満たすべき条件 反応制御実証実験場 432 大型トラックの出入り及び屋外設備が多いことから建物の角に配置す る。また使用電力量が多いので電気室を接近させる。 溶解実験(1) 108 溶解実験(2) 240 3 kg高周波溶解炉 30 合 計 810 m2 表Ⅲ1-5 Cゾーン実験室の主要仕様 実験室名 面積(m2) 満たすべき条件 連続変形実験場(1) 264 連続変形実験場(2) 132 固相変形実験室 192 加工制御実験室 30 合 計 618m2 ④その他 屋外施設として下記のものを予定しており,そのための適切なスペースを必要とする。 ア)液化酸素消費設備(5×7m) イ)集塵機(6×6m) ウ)冷却水槽(地下,6×6m) エ)冷却水ポンプ オ)空気圧設備(2×4m) カ) 水素ガスボンベ置き場(2×4m) キ)液化窒素消費設備(CEタンク)(3×4m) ク)液化アルゴン消費設備(CEタンク)(2×3m) ケ)排ガス処理施設(2×3.5m) コ)酸素・水素ガスボンベ置き場(2×2m) 以上の原案は,規模(各実験室の面積)としては縮小されたものの大筋の計画案は認められ,昭和63年12月 26日作成された建設計画修正補充案に反映された。 図Ⅲ-39材料創製実験棟1階平面図 平成元年に入るとすぐ詳細設計のための各実験室の設計条件諸源表作成のための調査を行い,各室ごとの実験 設備の電気容量,空調条件,換気設備,給水・排水条件,ガスの種類・使用量などが調べられた。この結果をも とに平成元年4月13日に各棟の設計諸源表がまとめられた。平成元年9月に各室の流し,クレーン,戸棚などの 内部装備の調査が行われた。 平成2年に入ると実施設計としてのカルテ図の作成のための調査を開始し,各室ごとの図面に,実験流し,収 納棚など内部装備と,配電盤,コンセント,ガス,上水・排水など付帯設備の設置位置やその容量などを詳細に 記入する作業が行われた。材料創製実験棟は特に天井高さが高く,照明として放電灯が使用される場合には,点 灯に時間がかかるので予備の保安灯を設置することを要望し,認められた。この間,建設省との打合せや金材技 研の方針などから室の配置やその仕様などの局部的な修正が何回かあったが現在の配置に近い状態に固まったの は平成2年2月頃である。さらにこの配置に基づいて実験用分電盤の設置箇所なども概略定まった。 平成2年7月5日に材料創製実験棟のカルテ図(第一回)が制作され,以後何回かの打合せ修正後に最終的な カルテ図が制作された。このときの各実験室の配置平面図を図Ⅲ-39に,建物の外観設計図を図Ⅲ-40 (a1~a3) に示す。表Ⅲ-16は建物の主要な仕様を示す。結果的にAゾーンとCゾーンの一部を合棟したA棟として1階 建てとなり,電気室,機械室が2階部分を構成することとなった。また,BゾーンとCゾーンの一部も合棟しB 棟とした。A棟とB棟は廊下及び廊下下部に設置されたピットで連結している。 また特に建設省・設計事務所と詳細な打合せを必要とする,超高圧実験室の仕様,高温加工シミュレーション 室の防音箱の仕様,溶射実験室の大型排気装置,固相変形実験室(300トン油圧プレス)の基礎となる特殊ピット などについて設備担当者,筑波移転推進本部,設計事務所の間で打合せがなされた。 平成3年4月から材料創製実験棟の建設工事が着工し,4月中旬に杭工事,そして8月には基礎コンクリート 打ちがなされた。 図Ⅲ-40建物側面図 平成3年11月1日に金材技研の方針から設備設置場所の一部変更がなされ,それまでビーム実験棟に設置が 予定されていた組織制御研究部関連の電子ビーム装置及びレーザー装置などの一連の設備が材料創製実験棟B 棟に設置されることになり,設置場所,分電盤の増設などの調整が担当者と筑波移転推進本部との間でなされた。 図Ⅲ-41はこれらの設備の設置位置を示す。なお表Ⅲ-17は図Ⅲ-39に対応した各実験室に設置された最終的な電 力配電盤の電気容量の一覧を示す。 平成4年12月18日建築工事が終了し,平成5年9月30日設備が完成した。 表Ⅲ-16材料創製実験棟の主な仕様 延床面積 4,320.9m2 (1階:3,908.0m2, 2 階:406.5m2, PH 階:6.4m2) 階 高 A 棟:3.8 m, 4.55 m, B棟:11.4m 軒 高 A 棟:GL + 7.5m, B 棟:GL + 11.4m 取高高さ GL +13.7 m 天井高 3.2, 4.0,スラブ下まで 構 造 地 業:既成コンクリート杭(PHCパイル),プレボーリング拡大根固め工法 主体構造:鉄骨造 外 装 コンクリート打放しの上ウレタン塗装 その他 走行クレーン 5t,10t 照 明 実験室:HID照明(500 LX) 配線方式 ケーブルラック 空調設備 空調:コンパクト薄空調機,自動制御:UCによる分散型 衛生設備 給水(上水,実験冷却水),給湯(局所式) 排水(一般生活排水,研究排水,実験冷却水排水) 都市ガス(低圧ガス),特殊ガス(水素,酸素,窒素,アルゴン) 表Ⅲ-17材料創製実験棟各室の分電盤容量 実験室 単相100/200 V 三相200 V 103室 350A 700A 104室 150A 150A 106室 150A 150A, 400A 107室 150A 150A 109室 150A 150A, 200A 110室 150A 200A, 200A 111室 150A, 350A 200A 112室 150A 150A, 300A 113室 150A 150A 114室 150A 105A 117室 150A 150A, 600A, 300A 120室 150A 150A 122室 150A 150A 124室 150A 200A, 500A 溶解実験室(1) 150A 600A, 400A, 300A, 50A, 50A 溶解実験室(2) 150A, 150A 700A, 400A, 350A, 300A, 250A 反応制御実証実験場 150A 600A, 500A, 400A, 350A 固相変形・加工制御実験室 150A, 150A 500A, 400A, 250A, 200A, 150A 連続変形実験室 200A, 150A 400A, 300A, 250A レーザー実験室 150A, 200A, 200A 図Ⅲ-41材料創製実験棟B棟に設置された電子ビーム装置およびレーザー装置などの配置図 精密計測実験 棟 400kv透過型電子顕微鏡 走査型電子顕微鏡 マイクロアナライザー ダブルビーム写画装置 オージェ電子分光分析装置 STM ファインプロセス実験棟 蛍光X線分析装置 発光分光分析装置 粉末プレス装置 光ビーム結晶育成装置 化学実験台 イオン伝導体合成特性評価装置 材料強度実験棟 クリープ試験機 動的ゾーン 大型クリープ試験機 疲労試験機 長周期クリープ疲労試験機 回転曲げ疲労試験機 材料創製実験棟 機械工作 ガラス工作 流動層熱処理炉 大容量プラズマジェット溶射装置 電子ビーム溶解合成装置 30 0tプレス 2. 5物性解析実験棟および界面制御実験棟 物性解析実験棟は改装以前は筑波支所の本館として使用されており,事務室,会議室,図書室,居室,実験室 が混在していた。新たに研究本館が建設されることになったため事務室,会議室,図書室,居室などのスペース が不要になったので,これらを廃止して全棟を実験室として使用できるように改修工事を行った。改修後の実験 棟の利用方法については紆余曲折があったが,最終的に共同利用設備・装置を収容することが決定され,汎用な らびにスーパーコンピュータ,X線回折装置,試料作製装置,金相顕微鏡,硬さ試験機などの設置を念頭におい た改修工事が行われた。当初WGでは物性解析実験棟に隣接して8階建ての研究本館居室ゾーンが設置される ことを想定して,頻繁に往来する研究者の利便のためにスカイウオークを介して両棟を3および4階で連結する よう希望した。実現した建物配置では3階建ての管理ゾーンと隣接することになり,管理ゾーン3階には通路と して使用できない図書室が配置されることになったため,物性解析実験棟と研究本館の連絡通路は2階のみと なった。しかし物性解析実験棟と研究本館の2階床面は同一平面となるように配慮されており,連絡通路の幅も 十分に広いので,2階の廊下を通じて往来すると両棟が同一の建物であるかのごとき錯覚を覚える。 物性解析実験棟は東西に長い4階建てで,1階は天井が高く間仕切りのない大空間の実験室とボイラー室から なっている。2~4階は中央廊下を挟んで北側に実験室仕様の室,南側に居室仕様の室が配置されていた。実験室 仕様の室には床ピット,実験電力盤,上水,循環冷却水および排気ダクトが設置されていたが,居室仕様の室に は100Vの壁コンセントがあるのみであった。 改修工事費用を最小限にとどめること,改修後の実験室の仕様を可能な限り規格化することを前提に検討を 行った。工事の概要は以下の通りである。 ア)1階の大型実験室は改修工事を行わないこととし,不要となった大型ボイラーを撤去し,近い将来に 導入が予想されるスーパーコンピュータのための電源スペースを確保した。 イ)2~4階南側の居室仕様の室を実験室として使用するために,廊下を挟んだ向側の実験室から電源を 引き,小型の実験電力盤を設置した。これらの実験室では真空ポンプ,冷却水などを必要とする装置を 使用しないこととし,新たに供給される電力は単相100/200 V,100Aのみとし,上水,循環冷却水の供 給は見送られた。 ウ)4階の実験室は汎用コンピュータのリプレースを前提にした改修を行った。6室にフリーアクセスフ ロアを設置し,冷房装置の増強を行った。電源は従来の実験電力盤を廃して,1階の電源室からコン ピュータ専用の電力配線を行った。 エ)2階に新本館との連絡通路を設置した。 オ)以上の他,間仕切り壁の設置および撤去,床材の張り換え,遮��光カーテンの設置,換気扇の設置など の細かな工事があるが詳細は省略する。 物性解析実験棟の建物概要は,鉄筋コンクリート,4階建て,建築面積:1,535m2,延床面積:4,048 m2である。 フロア利用計画と改修工事の概要を表Ⅲ-18に示す。また,改修後の各フロアーの平面図を図Ⅲ-42に示す。 既設の建物では物性解析実験棟のほかに,表面界面実験棟にも居室として使われていた室が4室存在したが, 移転を機にこれらの室も改修することになった。これらの室は基本的に実験室仕様で建設されており,水配管も 設置されていたため,改修工事は大型実験電力盤を新設するだけですんだ。この建物はもともと標準化を念頭に 置いて建設されていたわけではなく,実験電力盤の新設数も少ないことから,実験電力盤は設置を予定した装置 の要求に合わせた仕様とした。各室に新たに敷設した電力は,単相3線100/200 V,125-150 A及び3相200 V, 150-200 Aである。 表Ⅲ-18フロア利用計画と改修工事の概要 フロア利用計画 改修工事 1F 大型設備の収容 ボイラ室の撤去 (従来のまま) (スーパーコンピュータ用電源室の確保) 2F X線関連装置の収容 南側室への実験電力盤の設置 新本館との連絡通路の設置 3F 試料作製関連装置の収容 (切断,研磨,腐食など) ドラフトの設置 金相顕微鏡,硬さ試験機の収容 南側室への実験電力盤の設置 4F 汎用コンピュータの収容 実験電力盤の全面的な増強 フリーアクセス床の設置 空調設備の増強 電気錠の設置 LAN管理機器の設置 南側室への実験電力盤の設置 図Ⅲ-42物性解析実験棟1~4階の平面図 2.6付属施設 (1)中央監視室と共同溝 研究本館管理ゾーンの地下には中央監視室とエネルギーセンター(冷温熱源施設)が設けられている。中央監 視室では冷温熱源,電力,上水,実験冷却水,特殊ガスなどすべてのエネルギ供給の状況を一元的に管理・制御 するとともに,エレベータの運行監視,火災報知器をはじめとする各種警報機,非常用放送設備の管理も行って いる。中央監視室の中枢部はミニコンピュータとオペレータコンソールで構成されており,すべての情報はオペ レータコンソールのグラフィックCRTに表示されるようになっている。CRT上に表示された系統図から必要な 部分をライトペンで順次選択することにより目的とする情報を探り当てることが出来,また,各種の施設機器に 故障が発生したことをシステムが検知すると,該当画面がCRT上に自動的に表示され,警報を発するとともに 事故情報がメッセージタイプライタに記録される。エネルギーセンターおよび特別高圧変電所の運転・監視・制 御はすべて中央監視室で行われている。新設の実験棟には個別にサブステーション,サブ変電所が設けられてい るが,これらの機器もすべて中央監視室で一括管理している。 敷地の東側に離れて建設された材料創製実験棟を除くすべての新設実験棟は地下共同溝で結ばれており,電 力,上水,実験冷却水,蒸気,冷水などの配線,配管がここを通じて供給されるようになっている。共同溝の設 置により,土地の効率的利用,保守管理の簡略化,安全性の確保などのほか,将来の変化に対する対応も容易に なった。特殊ガスおよび都市ガス配管は例外的に共同溝の外に敷設されているが,これはガス洩れなどがあった 場合に大事故にならないようにとの配慮によるものである。図Ⅲ-43に共同溝のルートを示す。 図Ⅲ-43共同溝ルート図 (2)冷温熱源施設 一般空調用,特殊空調用,加湿,給湯用などの熱媒として使用する蒸気及び一般空調と特殊空調の冷熱源とし て使用する冷水は,いずれもエネルギーセンターの都市ガスを用いたボイラーと吸収式冷凍機で製造し,共同溝 を通して各実験棟のサブステーションに供給される。サブステーションでは供給された蒸気を用途別に熱交換 し,各機器に送るとともに冷水は空調機用,ファンコイル用など用途別に制御し,ブースターポンプ方式にて各 機器に送る。 材料創製実験棟は配置計画上,東大通り側に配置計画され,負荷密度が低いことと離れた一棟のために,長い 距離の共同溝を作るのは不経済であるため,エネルギーセンターから外し別熱源とした。既設の実験棟はエネル ギーセンターからはエネルギー供給を行わず,個別の冷温熱源で対応することになったが,物性解析実験棟は, 位置的にもエネルギーセンターに近く,また大型の電子計算機が設置されることになったため,年間を通して冷 水の要求があるので,エネルギーセンターからの冷水供給をおこなっている。 金材技研の空調設備は一般空調,特殊空調,スポット空調に分類され,その詳細は以下のようになっている。 空調設備の種類 一般空調 研究居室,管理部門の事務室,会議室など 特殊空調 実験室,顕微鏡設置室など スポット空調大空間の実験室 ①一般空調 研究居室及び管理部門の事務室などには外調機とファンコイルユニットからなる空調機が設置されている。 これはエネルギーセンターより冷暖房エネルギーを受け,外調機からダクト配管を利用して各室に冷暖房エネ ルギーを送るシステムで,各室で冷暖房が必要なときは,ダンパの開閉を行うことにより簡単にエネルギーを 取り出すことが出来る。外調機のみのエネルギーで不足の時は,ファンコイルユニットを追従運転することに より,快適な環境が得られるようになっている。また,運転時間は中央監視室で一括管理し,春秋の中間期は 運転されない。図Ⅲ-44にその系統図を示す。 ②特殊空調 標準実験室ゾーン及びファインプロセス実験棟では,小型空気調和機を用いた独立系特殊空調方式が採用さ れており,この空調機は24時間随時個別運転が可能なシステムとなっており,温湿度の調整精度はあまり高く はないが,自由に設定ができる構造になっている。必要なエネルギーはエネルギーセンターから1年中送られ ている。図45にその構成を示す。 精密計測実験棟は電子顕微鏡などの精密機器を設置するための建物で,年間を通じて±2℃以内という条件 が要求されているので,オールエア(全面層流)方式と呼ばれる特殊な空調方式を採用して24時間の連続運転 を行っている。 研究室(居室)の空調方式 図Ⅲ-44 一般空調系統図 図Ⅲ-45標準実験室の空調方式(特殊空調) 小空間実験室 A 小 大 B 小 大 大空間実験室C 概念図 空 調 設 備 空間 条件 空間範囲 スポット空調 室全体空調 スポット空調 温湿度条件 成行 ( 吹出し温度 夏16℃、冬32℃ ) 夏26℃、湿度成行冬22℃、50% 成行 ( 吹出し温度 夏16℃、冬 32℃ ) 空調方式 小型空調機 (標準装備) 小型空調機 循環量(回/H) 4 (1500m3/H) 4 (2000m3/H) 11(4200m3/H) 11(5400m3/H) 2.5 (2000m3/H) 外気量(回/H) な し 1 1 な し 実験発熱処理 なし(付加設備の換気による) 50kal/m2・H なし(付加設備の換気による)3000kal/・H 3900kal/・H 注)循環量,外気量は,天井高を小空間に対しては6mH,大空間は10mHで算出。 付 加 工 事 実験用単独換気 1系統可(0~3000m3/H程度迄) ← ← スポット空調機 上記仕様による な し 上記仕様による 集じん機 各室要望による ← ← 備 考 ・天井がある場合の吹出し方法は、吹出し口を設置し、ダクト を付加する方式とします。 ・集じん機がある場合は、実験用単独換気用の給気FANを置き変えます。 図Ⅲ-46スポット空調の系統図 ③スポット空調 大空間の実験室で通常の冷暖房を実施すると広大な機器の設置場所と,莫大なエネルギー投入が必要にな り,費用がかかる。材料創製実験棟および材料強度実験棟の大空間の実験室には,多数のスポット空調機を設 置して,研究者が必要に応じて個々の空調機を随時稼働させることが出来るようになっている。図Ⅲ-46にそ の系統図を示す。 (3)電力設備 ① 特別高圧配電線経路と特別高圧開閉所 金材技研は東京電力との特別高圧受電契約による,66 kVの常用線と予備線の2回線受電を行っている。特 別高圧受電方式は一般の高圧受電方式に比べて停電の頻度が極めて低 く,さらに2回線受電を行うことによ り,より信頼性の高い電力を確保している。千現地区の特別高圧配電線路は,工業技術院B地区の13号鉄塔よ り宇宙開発事業団の敷地内に建てた鉄塔に架空線で分岐され,緑道脇を地下埋設で配線して,金材技研の飛地 であるテニスコート脇に建てた特高開閉所に送りこま れている。本来なら,需給地点を特高変電所に設ける のが機構が単純化され経済的でもある。東京電力(株) の電気供給規程で需給場所は電線路から最短場所にあ る地点と決められているので,テニスコート脇の所に 特別高圧開閉所を設けることになり,ここが金材技研 と東京電力の責任分界点となった。 特別高圧開閉所はSF6ガスを絶縁媒体として用い, 遮��断機,断路器,母線などを一体化して金属容器に収 納した絶縁開閉装置が設置されているところをいう。 図Ⅲ-47に設備概要図を示す。 ②特別高圧変電所 金材技研では広い面積に負荷が分散しているため, 負荷端子電圧変動が大きくなり,実験に悪影響を与え るので,負荷タップ自動切替え機能を持った変圧器を 採用した。設置した変圧器は容量6,000kVAのもの2 台である。 当初,特々会計の工事範囲は新設棟のみを対象とす るとのことで,既設棟の改造などは一際行わない旨の 指導があった。しかし,既設変電室は親変電室-子変電 室-孫変電室となっており,親変電室を停止させると 全ての系統の電気が停止してしまう構造となってお り,実験にさまざまな支障が生じていたので,今回の 工事で1変電室1回線にすることを要望し,改善して いただいた。 ③自家用発電機 金材技研は特別高圧受電方式をとっており,さらに2回線受電として信頼性を高めてあるので,自家用発電 設備の電力負荷は,最重要負荷のみで良いと考えられる。最重要負荷としては法的要求のある防災負荷及び連 続実験を行うクリープ試験機の一部の負荷のみを選定し,発電機は容量1,000kVAのものを1台設置した。 図Ⅲ-47設備概要図 ④ 標準実験室の実験電力分電盤 特殊実験棟の分電盤は設置する実験装置の負荷容量に見合ったブレーカーを設置したが,標準実験室では標 準タイプの分電盤を作り,分電盤の容量にあった装置だけを設置するようにした。これは標準実験室に設置さ れるような小型の機器は更新速度が早く,流動的な要素も強いため実験装置が変わるたびに装置に見合った分 電盤を作るのは現実的でないためである。図Ⅲ-48に標準実験室に設置した実験電力分電盤の概要と室内の分 電盤,コンセントなどの配置位置を示す。 ⑤中央監視制御 電力の状況は本館地下に設置された中央監視室で常時監視されている。ここでは監視システムが,特別高圧 変電所及びサブ変電所の電流,電圧,周波数,力率,使用電力量を定期的に計測してメッセージタイプライター に記録すると共に,ミニコンピュータのハードディスクに日,月,年単位の記録を蓄積している。 図Ⅲ-48標準実験室実験電力分電盤 中央監視システムはミニコンピュータを中心とした処理装置,オペレータコンソール,特別高圧変電所およ び6.6kVサブ変電所との情報の入出力のための結合装置,伝送装置,バックアップ用の処理装置およびそれに よって管理される特別高圧変電所,サブ変電所のグラフィック盤から構成されている。それぞれの機器の状態 はオペレータコンソール上のグラフィックCRTに表示されており,施設機器に故障,事故などが発生したこ とをシステムが検知すると,グラフィックCRTに該当画面を自動的に表示し,警報を発すると共にメッセー ジタイプライターに記録する。 ⑥契約電力とデマンド監視 千現地区の契約電力は下記のように計算して,4,800kWと決定した。 ア)空調・衛生設備 1,940kW イ)昇降機設備 20 kW ウ)照明設備 650 kW エ)コンセント設備 40 kW オ)電算機機器 0kW カ)実験用機器 2,100 kW 電力需給契約における契約電力を確認するために計量を行うが,これをデマンド監視という。このデマンド が契約電力を超過すれば違約金の支払いが必要となり,これが度重なれば契約電力の格上げとなる。適正な契 約電力の設定をおこなった上で電力使用状況を常時監視し,契約電力を超過するおそれのある場合は重要度の 低い負荷の遮��断などによって契約電力の超過防止を図る必要がある。金材技研では契約電力を超過しないよう に3段階の調整を行っている。 1段階:研究本館居室ゾーンと管理,厚生ゾーンの空調をダウンして調整する。 2段階:上記に加え24時間空調区域以外の空調を全てダウンして調整する。 3段階:1段階,2段階に研究本館居室ゾーンと管理厚生ゾーンの照明をダウンして調整する。 (4)特殊ガス供給設備 多量に消費される特殊ガスを,研究,実験活動を阻害しないように,より安全に供給するために,特殊ガス供 給施設を設置した。研究本館標準実験室,ファインプロセス実験棟,材料創製実験棟で使用するガスを全てボン ベ持ち込み方式にすると各棟共300m3以上となり,高圧ガス取締法による貯蔵所の適用を受け,知事の許可が必 要となる。許可制になると,各々の建物の設置基準及び取扱いに制約を受けるので,高圧ガス取締法の適用を受 ける実験棟の数を減らすために,上記建物より30 m以上離れた位置に貯蔵場所を設置し,集中配管することに より各実験棟を高圧ガス取締法の適用外とし,必要な特殊ガスを300m3以内で持ち込み可能にした。集中配管で 供給するガスは窒素ガス,アルゴンガス,水素ガス,酸素ガスである。窒素及びアルゴンはCEタンクから,水素 及び酸素はボンベから供給される。 (5)上水給水設備 上水の受水は,東大通りに設置されている筑南水道企業団の給水本管から150mm径の鋳鉄管で分岐し,既設 引き込み管を利用して新設の受水槽へ供給した後,揚水ポンプで研究本館屋上に設置された高置水槽に揚水され る。所内各所への送水は落差式で,共同溝を介して各棟に供給されている。 上水は飲料水,洗面,シャワー,実験冷却水の補給などに使用し,実験装置の冷却には使用しない。上水受水 タンク,高置タンク,揚水ポンプの各仕様を図Ⅲ-49に示し,図Ⅲ-50に上水の構内ルートを示す。 上水受水タンク 型式 FRP複合板型 有効容量 75m3 台数 2基 設置場所 屋外 上水高置タンク 型式 FRP複合板型 有効容量 6m3 台数 1基 設置場所 研究本館PHR階 上水揚水ポンプ 形式 渦巻きポンプ 水量 1200L/ min 揚程 75m 動力 30kW 400V 台数 2台 図Ⅲ-49上水受水タンク,高置タンク,揚水ポンプの各仕様 図Ⅲ-50上水ルート図 (6)実験冷却水施設 実験冷却水は再利用(循環)方式となっている。実験冷却水の戻りは,ポンプ棟Aの地下沈砂槽に溜まり,濾 過装置で全量濾過した後,受水槽に送られる。既設実験棟の冷却水の戻りはいったんポンプ棟Bの地下水槽に溜 められ,指定水位に達したら,自動的にポンプ棟Aの沈砂槽に送り込む方式になっている。水温が高い場合は受 水槽より汲み上げ,冷却塔で冷却処理して受水槽に戻している。 実験冷却水の供給は受水槽から揚水ポンプで揚水し,新設の高置水槽から落差式によって必要な所へ供給され る。既設の高架水槽を用いたのでは容量が不足し,さらに8階建ての研究本館標準実験室に供給するには水圧が 不足することもあって,研究本館屋上に新たに高置水槽を設け供給することとした。各水槽規模と揚水ポンプ, 濾過ポンプの仕様を図Ⅲ-51に示し,図Ⅲ-52に実験冷却水の全体フロー図を示す。 ポンプ棟A 沈砂槽 受水槽 130m3 250m3 ポンプ棟B 地下水槽 100m3 研究本館 高置水槽 90m3 揚水ポンプ 型式 うず巻 水槽 4500L/min 揚程 80m 動力 110kw 台数 2台 濾過ポンプ 型式 うず巻 水槽 2950L/min 揚程 20m 動力 15kw 台数 3台 図Ⅲ-51 水槽規模と揚水ポンプ,濾過ポンプの仕様 図Ⅲ-52実験冷却水全体フロー図 (7)研究廃水処理施設 全面移転に伴い,排水量も大幅に増加し,既設の処理施設では処理能力が不足することが考えられたため,施 設の増設を行った。施設の増設にあたっては,昭和51年2月に制定された茨城県研究学園都市下水道条例に則 り,下水道法施行令及び規則により県知事の承認を受けるための排水計画を定める必要があった。検討を行うに あたり,以下の基本方針及び設計条件を設定した。施設の建設に当たっては,建設省大臣官房営繕部営繕計画課 により研究廃水処理装置審査委員会が設置され,建設省・学識経験者・金材技研の各委員が技術的観点から管理 性,耐久性,経済性などについて総合的に検討を行った。 ① 研究廃水処理施設の基本方針 金材技研が提示した施設建設の基本方針は以下の通りである。 ア)研究廃水の排出水は使用薬品が多種であることの特異性を考慮する。 イ)処理システムは連続的に処理し安全かつ確実に処理される方式であること。 ウ)一日の廃水水量・水質濃度が変動しても安定した処理水質が得られる方式であること。 エ)運転管理・保守・維持管理が容易であり,自動操作とし,手動操作が可能であること。 オ)処理施設に伴う二次公害(騒音・振動・悪臭など)の発生を極力抑えること。 カ)モニタリング設備を設置し,異常時にはその対策を装備した施設であること。 キ)廃水処理後の処理水はできるかぎり回収し再利用水として可能な設備を組み込むこと。 ク)年間使用薬品設定値と水質一覧表を基に設計すること。 ②設計条件 金材技研が提示した主な設計条件を表Ⅲ-19に示す。 表Ⅲ-19主な設計条件 廃水種 廃水区分 排出量(日,年間最大) 有機系実験原廃水 有機溶液 廃油・油脂合成洗剤など 9.85L/日 2,364L/年 11.05L/日 2,652L/年 焼却処理計 20.9 L/日 5,016L/年 無機系実験原廃水 シアン系 フッ素系 重金属系 水銀系 六価クロム系 0.05L/日 12L/年 13.0 L/日 3,120L/年 35.0 L/日 8,400L/年 0.15L/日 36L/年 8.8 L/日 1,920L/年 計 56.2 L/日 13,488L/年 スクラバー廃水 研究本館など58台 有機系原廃水処理装置 29,000L/年 2,000L/年 計 31,000L/年 研究一般廃水 309 m3/日 ボイラー排水 連続ブロー水 缶体ブロー水 16.0m3/日 12.8m3/日 計 28.8m3/日 その他 写真廃液 有機錯化剤混入液 10.35L/日 2,364L/年 10.0 L/日 2,652L/年 業者引取処分 計 20.35L/日 5,016L/年 ③総合処理系統図 金材技研が提示した基本方針に合わせて数社からシステムの設備設計案が提示された。研究廃水処理装置審 査委員会で審議した結果,システムが優れていた三菱重工業株式会社に発注された。金材技研の基本方針に基 づき設計されたフロー図を図Ⅲ-53に示す。 新 設 実 験 棟 研究一般排水 ボイラー排水 スクラバー廃水 無機系原廃水 有機系原廃水 新設一般処理装置 既設一般廃水処理装置 新 設 回 収 水 処 理 装 置 再 利 用 既 設 実 験 棟 研究一般排水 ボイラー排水 スクラバー廃水 無機系原廃水 有機系原廃水 既設無機系処理装置 改造焼却処理装置 図Ⅲ-53総合処理系統図 ④処理システム 1)研究廃水の分別 研究廃水は原廃水,スクラバー廃水及び一般系廃水に分類される。廃水処理にあたっては,一括同時処理 を行うより,分別して処理を行った方が処理作業の単純化及び水質の安定などを考えると適切な方法であ る。内訳を表に示す。 表Ⅲ-20 分 別 内 容 原 廃 水 有機系及び無機系の原液と二次洗浄水迄をいう スクラバー廃水 スクラバーより出る廃水をいう 一般系廃水 三次洗浄水以後の廃水をいう 2)原廃水処理装置 本施設は,無機系廃液と有機系廃液とを処理する装置からなる。 無機系廃液は,水銀廃液・シアン廃液・重金属廃液・酸・アルカリ廃液などに分類される。水質分析後, 処理薬品や種類を決め,処理運転を行う。シアン廃液はアルカリ塩素化法によるが,その他は凝縮濾過法を 基本として処理される。スクラバー廃水も同じ方法によって処理される。 有機系廃液は親水廃液・疎水廃液・ハロゲン廃液・可燃溶剤などに分別し,含有成分・発熱量などを考慮 して噴霧燃焼炉で燃焼処理する。 3) 一般研究廃水処理装置 一般研究廃水は各建物の実験流し及び暗室より排出され,廃水処理棟の受入槽に貯められ,そこでpH ・ 導電率・流量のチェックをうける。そして処理施設内の原水槽に導入され,そこで水質の平均化をはかると 同時に水質検査を行い,以後の廃水処理の具体的な運転の指標とする。 砂濾過ではSSの捕捉,活性炭吸着塔では残存している有機物質を吸着除去し,水銀キレート重金属キ レート樹脂塔を通し,さらに重金属キレートを通して重金属の吸着除去を行う。処理された水は処理結果を 確認後,再利用水の製造施設へ送り,RO膜イオン交換樹脂を通して再利用水を製造する。 一般研究廃水の汚泥は遠心分離脱水機で脱水し,脱水汚泥はドラム缶に入れた後,産業廃棄物処理業者に 場外処分を依頼する。 4)再利用水の供給 本施設では,処理水の再利用を行うよう計画されており,本研究所の大きな特徴の一つと言えよう。処理 水の利用先は実験冷却水の一部として使用される。 (桜)管理・研究棟 エントランスホール 事務室 室 究 研 図書室 食堂 談話室 磁界実験棟 入口展示コーナー 固体物性用精密マグネット ヘリウム液化冷凍機 マグネット制御室 水冷銅マグネット用フロン冷凍機 ハイブリッドマグネット電源室 ビーム実験棟 サブナノトロン―高圧タンク 粒子線照射室 サブナノトロン―観察系 極高真空プロセス実験室 入口ホール 電子顕微鏡 (桜)建設工事 管理・研究棟 '92.12 '93.5 '93.7 磁界実験棟 ビーム実験棟 第3節桜地区 1.管理・研究棟 管理・研究棟は千現地区から約5km北方に位置する「つくばテクノパーク桜」に設置された,極限場研究セン ターの本館とも言うべき性格の建物である。当初は事務室,居室,標準実験室を含む,いわば千現地区研究本館 のミニチュア版として計画されたため,管理部門ゾーンと研究部門ゾーンが明確に分離された構想が立てられ た。しかし最終的に標準実験室を含まないことが決定され,建物構造の面から事務部門と研究部門を区別する必 要がなくなって,全体として事務棟的な性格を持つ建物となった。 建物は3階建ての執務室ゾーン(事務室,研究室など)と2階建ての厚生ゾーン(食堂,図書室など)が45度 の角度で交差する構造となっているが,玄関ホール,エレベータなどが両ゾーンの接続部に配置され,全体とし て一体感が保たれるように設計されている。執務室ゾーンにはセンター長室,総合研究官室,研究居室,事務室, 応接室,会議室が配置されている。執務室ゾーンの基本コンセプトは千現地区研究本館の場合と同様「標準化」 であり,6.2 m×6.1m = 37.82 m2を基本単位として千現地区研究本館の研究居室ゾーンをモデルとした仕様に なっている。厚生ゾーンは基本モジュールのない複雑な構造となっており,食堂,医務室,更衣室,図書室,大 会議室が配置されている。両ゾーンの結節点に玄関ホール,エレベータ,階段が設置されており,その真下の地 下2階から磁界実験棟へ連絡する地下通路が延びている。玄関ホールはガラス屋根で覆われた3階まで吹抜けの アトリウムとなっている。管理・研究棟の平面図を図Ⅲ-54に示す。 図Ⅲ-54管理・研究棟の平面図 2.ステーション実験棟 2.1磁界実験棟 金属材料技術研究所は,平成7年7月1日付けで筑波移転を完了し,新たなスタートを切った。その際,筑波 支所は廃止され,「極限場研究センター」が,「強磁場」及び「精密励起場」の2ステーション体制で発足した。 当センターは,材料科学技術にブレークスルーをもたらすには,材料に対して,極限的実験環境とりわけ「強磁 場」,「励起場」及び「真空場」を適用し,かつ連携して研究を行うことが有効であるという認識に基づき,それ らを集約する施設として構想された。平成7年度までに「強磁場」及び「精密励起場」の2ステーションが研究 を開始し,平成8年度に「極高真空場ステーション」が設置されセンターとして概成することとなる。 「強磁場」及び「精密励起場」に対応する実験棟は,それぞれ「磁界実験棟」及び「ビーム実験棟」である。本 節では,このうち「磁界実験棟」について,移転・建設の経緯を述べることとする。 (1)磁界実験棟建設の背景 磁界実験棟は移転により新たに作られた特殊実験棟の中で際だって変わった経緯と変遷を経ている。この実験 棟の作成計画の発端は1980年代の後半,世界の科学技術界に嵐のように吹き荒れた超伝導フィーヴァーと深く 関係している。この超伝導フィーヴァーと磁界実験棟設立計画のいきさつをまず振り返ってみたい。 そのころ,超伝導材料は多くの研究者の高臨界温度(Tc)物質探索努力にもかかわらず,23 K (ケルビン:絶 対温度)程度のTcを持つNb3Geが1973年に発見されたのを最後にして,それ以上の高いTcを持つ超伝導物質 の報告は長期間途絶えていた。このため,1986年のBednorzなどによるLa-Ba-Cu-O系における30K程度の Tcを持つ物質の発見は,物理界に大きな反響を呼んだ。その上,それを契機に類似物質の精力的探求が始まり, 翌年には,液体窒素温度(77K)をこえるTcを持つY-Ba-Cu-O系の発見,さらにその1年後にはついに100K を超えるTcを持つBi-Sr-Ca-Cu-O系の発見へと続くに及んで,工学的な大反響を世界中の研究者間に引起こ すに至った。当然,各国の科学技術政策も高Tc超伝導体開発研究をにらんで次々と提案されるに至った。 この情勢に対応するため,科学技術庁は当時,研究終了予定であった短距離離着陸飛行機の開発計画に替わっ て,超伝導マルチコア開発計画を発足させようとした。そのマルチコアプロジェクトの性能評価コアで金属材料 技術研究所が開発を担当した超強磁界マグネット群を収容するために建設された建物が磁界実験棟である。 この強磁界マグネット群は,40 T (テスラ)級ハイブリッドマグネット,20 T級大口径超伝導マグネット(有 効内径61mm), 80T級ロングパルスマグネット及び超精密磁界超伝導マグネットの4つの主要マグネットから 構成されているが,強磁界中での最新物性測定技術を手に入れるための超精密磁界超伝導マグネットを除く他の 3つのマグネットは,全て計画開始時点でのマグネット技術水準をはるかに超えるものであった。 ハイブリッドマグネットとは外側に大口径超伝導マグネットを内側に水冷銅マグネットを同心円筒状に配した マグネットで,定常強磁界を発生するのに適している。20T級超伝導マグネット(最終的に21.5 Tの磁界発生に 成功した)の有効内径61mmは1986年に金属材料技術研究所が日本最高磁界18.1Tを達成した内径30mmの 超伝導マグネットをはるかに超える大きなものである。 パルスマグネットでは,パルス磁界持続時間が短いほど発生磁界を高く設計することが可能である。マルチコ ア計画で開発されたパルスマグネットは,超伝導特性測定に適した磁界持続時間が数ミリ秒から百ミリ秒と比較 的長い,非破壊型のパルスマグネットである。 超精密磁界超伝導マグネットは上記のマグネット群とは明らかに性格が異なる。超伝導マグネットとしては当 時市販の最高級超電導マグネット(3種類)に最新の物性測定装置(NMR, NQR, dHvAなど),超低温冷却装 置を組込んで,強磁界下における各種の物性研究を行うためのものである。 これらの全ての強磁界マグネット設備を取りそろえて1元的に管理運営する磁界実験棟のモデルとして,参考 にしたのが,アメリカ合衆国ボストン市近郊にあるMITのフランシスビッター国立強磁界研究所とフランスの グルノーブル市にある国立(フランスとドイツの共同運営)強磁界研究所である。 磁界実験棟WGではマグネットの保守運転管理,磁界実験空間プラス強磁界マグネットサポート技術のため の空間を必要とする磁界実験棟設計に当たって次の事項を優先した。まず,(1)40T級ハイブリッドマグネットと 20級大口径超伝導マグネットは,同時運転は行わず,類似の規模の巨大漏洩磁界を周りに発生するので,周辺の 迷惑を少なくするため,同一の部屋に設置する。(2)これらのマグネットに冷凍保安則対応のヘリウム液化機は極 低温の閉ループ配管で結合されるので,隣接した部屋に設置する。(3)ハイブリッドマグネットを構成する水冷銅 マグネット(WM)用の配管,ブスバー配線はできるだけ短い方が経済的なので,HM用電源,HM用冷却水関 係設備は隣接した部屋に設置する。(4)冬場の冷却水の氷結防止,冷却水ポンプ騒音対策及び水抜き対策から, HM用冷却水関係設備は地下室に設置する。(5)超精密磁界超伝導マグネットとHMはできる限り遠ざける。特に 超精密NMR用マグネットは50m以上離して設置する。(6)80T級ロングパルスマグネットも超精密NMR用マ グネットとはできる限り離して設置する。このようなことを考慮し,磁界実験棟WGの第1次建物レイアウト案 として図Ⅲ-55の案を提出した。 図Ⅲ-55第1次建物レイアウト案図 その後,建物レイアウト案は建設省側からもいくつか提出されたが,上記の条件を全て満たすレイアウト案を 作成するのはなかなか難しい作業となった。最後に設計事務所は建物の外面に部屋の突出部を配置した鋸の歯の ような外壁を持っ,極めてユニークな建物レイアウト案(図Ⅲ-56)を提案した。この案は一応,(1)~(6)の条件を 満足しており,鋸歯状の外壁により,建物壁が構成されているので,各実験室が多くの外壁を持っており,重量 物の外部からの直接搬入が容易という利点を持つので,WG側も基本的にこのレイアウト案に合意した。 図Ⅲ-56磁界実験棟の最終レイアウト案 (2) 現在の磁界実験棟建物の構造,レイアウト,部屋の特徴など 磁界実験棟の現在の大まかな構造,レイアウトを図Ⅲ-57に示す。(完成した磁界実験棟の外観は写真を参照) この建物は地下1階,地上2階の建物であり,磁界実験棟の地下1階と,管理研究棟の地下は,公道の下を通る 地下通路で互いに連結されている。地下1階は極めて深い位置にあり,特にHM冷却水機械室の床面は地下深く に置かれ,冬場の凍結の問題を逃げている。さらにHM冷却水機械室の床下には地下水槽(1,300 tが設置され ている。一方1階部の実験室の天井は,低温容器からの実験装置の出し入れを行うためかなり高くなっている。 図Ⅲ-57磁界実験棟概略平面図 大型マグネット室の天井は極めて高く (11m),建物2階部の天井とほぼ同じ高さに位置した吹き抜け構造と なっている。大型マグネット室は,大きな地下室を持った2重床面構造とも言える特殊な構造をしており,マグ ネットを納めた2組のクライオスタットと4000L液体ヘリウムコンテナーは地下室床面に設置されており,そ の頭部は1階床面を突き抜けて床上に出ており,主要な操作は1階床面上で行うことができるようにになってい る(写真参照)。 天井が高いだけでなく,大型マグネット室の床荷重は4t/m2もあり,金材技研の全建物の中で,最大の床荷重 に耐えられる部屋である。マグネットの総重量はクライオスタットを含め,20tに達する。このため,この部屋に は大型トレーラーによる直接搬出入が可能なシャッター扉��,25t天井走行クレーンが備え付けられている。 大型マグネット室には40T級ハイブリッドマグネット(HM), 21T大口径超伝導マグネット(SM)及び液体 ヘリウムコンテナーが設置されており,隣接する部屋はヘリウム液化冷凍機室,HM電源室,及びSM電源室と なっている。大型マグネット室の地下部はHM冷却水機械室(地下1階)と隣接している。マグネット制御室(2 階)は大型マグネット室からの漏洩磁界を避けるため,若干,距離を置いて配置されている。 HM電源室にはハイブリッドマグネットに供給される全ての直流電源設備が設置されている。天井高さは極め て高く,吹抜け構造になっている(写真参照)。この理由は,この部屋の電源から,将来,WM-1室とWM-2室 に設置される水冷銅マグネットへのブスバー配線を容易にするためである。なお,この部屋の床荷重は2t/m2と 大きい。これはトランスや電源盤の重量が重いのを考慮した結果である。 HM電源室を中心としてレイアウトを眺めてみると,この部屋からのブスバー配線を最短にすることができる ように,大型マグネット室,WM-1室(1階),WM-2室(2階)が全てこの部屋に隣接していることがわかる。 HM電源室は天井高さが極めて高いので,2階部のWM-2室にも直接隣接している。また,この部屋の真下には HM冷却水機械室が置かれており,HM電源室の各制御盤はその部屋の純水冷却設備で冷却されている。 HM冷却水機械室には,ハイブリッドマグネット冷却用の純水を使った大型1次冷却水システム,HM電源室 の各制御盤を冷却する小型純水冷却システム,純水冷却システムを冷却するための市水を使った巨大2次冷却シ ステムが設置されている(写真参照)。冷凍機の重量が極めて重いため,この部屋の床荷重は2t/m2となってい る。この部屋への重量物搬入はドライピットを利用し,クレーン車でドライピットに落とし込まなくてはならな い。 HM冷却水機械室に着目してレイアウトを眺めてみると,純水用冷却水配管距離を短くするため,この部屋と, 大型マグネット室,WM-1室,WM-2室冷却水塔置き場は直線距離がそれほど離れていないことに気がつかれ るであろう。また,小型純水冷却システムの熱負荷となる各制御盤はこの部屋の直上のHM電源室に設置され, 配管距離は極めて近い。巨大2次冷却水システムへの水の補給は,この部屋の床下にある1300tの水槽から行っ ている。このシステムを冷却するための20台のクーリングタワーは,この部屋の斜め上の地表面に設置され,配 管距離は短くなっている。 なお,冬季の配管氷結を避けるため,HM冷却水機械室は地下に配置してあり,純水タンクもこの部屋の中に 敷設されている。大型2次冷却水用の水槽は,さらに地下深く敷設され,氷結のおそれはない。なお,純水系, 上水系を問わず,冷却水の送り先は全て,この部屋より高い位置に配置され,水抜きをすると冷却水は全てこの 部屋の純水漕,又は床下の地下水槽に自動的に流れ戻ってくる設計となっている。 WM-1室とWM-2室は1階,2階の区別はあるが全く同じ位置に作られており,将来,単独運転の水冷銅マグ ネットを2台づつ設置できる構造となっている。WM-1室の床面積載荷重は1t/m2, WM-2室の床荷重は0.75 t/m2であり,マグネット制御室との間に信号系ケーブルを張り渡すためのシャフトが天井裏を通っている 。 マグネット制御室は,大型マグネット室に設置されるハイブリッドマグネットと21T大口径超伝導マグネッ トおよびWM-1,WM-2室に設置される4台の単独運転水冷銅マグネットの制御を行うための制御盤が設置さ れる(写真参照)。なお,この目的のため,HM冷却水機械室,HM電源室,SM電源室の装置類は全て,この部 屋の制御下に置かれる。なお,ヘリウム液化制御はこの部屋とは独立したマンマシン系で制御運転されるが,密 接にこの部屋の制御系と情報の授受を行う。1万点に近い多量の信号ケーブルがこの部屋に配線されるので,こ の部屋はフリーアクセスフロアとなっており,床荷重1t/m2に耐えられる構造となっている。フリーアクセスフ ロアへの信号ケーブル配線用に,床下のSM電源室,さらにその下階の大型マグネット室地下ピット部へ垂直に 打ち抜いた大きなパイプシャフトが通っている。 SM電源室は大型マグネット室の21T大口径超伝導マグネットの励磁電源3台を設置する部屋である。励磁用 ブスバー及び電流ケーブルはこの部屋の床下にある大型マグネット室地下ピット部に配線され,地下ピット部を 通って21T大口径超伝導マグネットに供給される。信号ケーブルもこの部屋を垂直に貫いているパイプシャフ トを使って,マグネット制御室や大型マグネット室へ伝えられる。 マグネット制御系はコンピュータ制御になっており,CRT画面が漏れ磁界の影響を受けやすいので,マグネッ ト制御室を大型マグネット室に隣接させるわけにはいかないが,また,あまり離れていても不便である。レイア ウト図からわかるように,マグネット制御室の廊下を渡ると大型マグネット室の中2階部であるベランダに出る ことができ,大型マグネット室全体を見渡すことができる。同様にHM電源室も2階部廊下の窓から,全体を見 下ろすことができる。WM-2とは廊下を挟んで隣接している。 ヘリウム液化機室には2系統のヘリウム液化冷凍機のコールドボックスが設置され,1台はハイブリッドマグ ネットの超電導部冷却と21T大口径超電導マグネット冷却にもっぱら使用される閉ループ用液化機,もう1台 は実験用液体ヘリウムのくみ出し供給用にもっぱら使用されている開ループ液化機である(写真参照)。大きなパ イプ類を縦横に走らせるため,床下に巨大な地下ピットを持つ。床荷重1t/m2に耐えられるような部屋設計と なっている。高圧ガス保安規則に基づき,定期的に設置設備の開放検査を行う事が義務づけられており,5tの天 井走行クレーンが備え付けられている。 ヘリウム液化冷凍機室を中心としてレイアウトを眺めてみると,最大の液体ヘリウム供給先は隣接する大型マ グネット室であり,また,ヘリウム液化制御室で,全ての液化冷凍機の制御を行っている。さらにヘリウムを液 化したり,ため込んだりするため,ヘリウムガスに高圧を加えるコンプレッサー群を設置したコンプレッサー室 は廊下をはさんだ反対側に位置しており,廊下の下の大きなパイプシャフトで二つの部屋の大型地下ピットはつ ながれている。 コンプレッサー室には,21T大口径超電導マグネットを1.8Kに冷却するための真空引き用ロータリーポンプ 群,閉ループ運転用のコンプレッサー,開ループ運転用のコンプレッサー,及び精製器が設置されている(写真 参照)。大きなパイプ類を縦横に走らせるため,巨大な地下ピットを持つ。21T大口径超電導マグネットの真空引 き用パイプは大型マグネット室の地階からヘリウム液化機室の地下ピット,廊下下のパイプシャフト,コンプ レッサー室の地下ピットを通って,ロータリーポンプ群に導かれる。コンプレッサーは防震用の独立基礎の上に 設置される。極めて重い設備が設置されるので床荷重2t/m2に耐えられる設計となっている。また,高圧ガス保 安規則に基づき,定期的に設置設備の開放検査を行う必要があり,3tの天井走行クレーンを備えている。 コンプレッサー室を中心としてレイアウトを眺めてみると,ヘリウム液化機室とパイプシャフトでつながれて いるだけでなく,閉ループ用ヘリウムガスの貯蔵を行っている中圧タンク置き場,及び開ループ用ヘリウムガス の高圧保管を行っているカードル類置き場が隣接していることがわかる。さらに開ループのヘリウムガスの1気 圧下での回収保管を行っているガスバックは隣接するプローブ加工室の中2階部に設置されている。 ヘリウム液化制御室の制御盤はプロ ーブ加工室中2階部のガスバック,中圧タンク,コンプレッサー室の精製 器及びコンプレッサー群,カードル類置き場の1万L (リットル)CEタンク及びカードル類,ヘリウム液化機室 のコールドボックス類,吸着器及び液体ヘリウム2千Lコンテナー,大型マグネット室の液体ヘリウム4千Lコ ンテナー,並びに3万L液体窒素CEタンクをコントロールしている。マグネット制御室とは独立したマンマシ ン系で運転されるが,相互に深く関係し合って制御を行わなくてはならない。この部屋を中心としてレイアウト を眺めてみると,比較的,上記目的に適した構造となっていることが理解できる。 磁界実験室(3)は大型マグネット室で計測したデータを直ちに解析するための部屋であり,大型マグネット室 及びマグネット制御室と信号ケーブルが取りやすいよう,天井裏にパイプシャフトが通してある。さらに漏洩磁 界がコンピュータのCRT画面を乱さない程度に大型マグネット室と距離を置いている。 PM電源室,PM実験室,及びPMマグネット室(2室)は全てパルスマグネット(PM)実験のための部屋で ある。大きな電磁波ノイズを出す可能性があり,周囲の壁には簡単な電磁波シールドが設けられ,この部屋に供 給される電源は全て途中に絶縁トランスを入れることでこの部屋からノイズが外側の部屋へ流出する事を押さえ ている。部屋に関しては,元々,その名称通りの利用法を考えていたが,現在,この装置を運転・利用する人間 が大幅に増えたので,利用方法をかなり変更している。 PMマグネット室は元々は,パルスマグネットを運転するための部屋であったが,パルス実験を制御し,その データを記録・解析する部屋となっている。 PM実験室は,元々は,パルスマグネットの制御を行う部屋であったが,現在は,パルス実験の下準備をした り,パルス実験設備を組み立てたりする部屋として使用している。PM電源室は,元々,コンデンサーバンクと充 放電設備を設置する予定の部屋であった。床荷重が2.5 t/m2と大きく,天井高さが高いことを利用して,コンデ ンサーバンク盤と充放電設備盤の組み替えを行い。設置床スペースを小さくして,空いたスペースにパルスマグ ネット運転保護箱を3組設置し,タイムシェアリングをしながら,3台のパルスマグネットが順次,運転できるよ うにした。これはパルス電源が5分間のインターバルで運転できるのに対し,パルスマグネットが冷却時間を含 め90分間のインターバルで運転しなくてはならない現状を少しでも緩和するためである。すなわち,3種類の計 測を半時間で順繰りに行うことで,効率的なパルスマグネット電源の利用が可能となった。なお,この部屋には 2tの天井走行クレーンが取付けられている。 超精密マグネット室は500 MHzNMR装置とそのための超精密磁界超伝導マグネットを設置・運転するための 部屋である。他のマグネットからの漏洩磁界や機械的振動の影響を受けやすい設備なので,漏洩磁界の大きい大 型マグネット室及び電磁ノイズを出しやすいPM電源室と特に距離を置いて,しかも周囲から孤立したレイアウ トになっている。この部屋の床荷重は0.5t/m2で設計されている。 精密マグネット室は15~20Tの比較的磁界均一度の大きい精密超伝導マグネットとそのマグネットを利用し た,希釈冷凍システム,広幅NMR, NQR計測装置,ドハース効果計測装置などを設置・運転するための部屋で ある。トップローディング方式で超低温領域への試料の出し入れが可能な構造となっており,このため極めて高 い天井高さ(9m)が必要である。マグネット敷設用の深いピットが3カ所にあり,また,この部屋の床荷重は1 t/m2で設計されている。 磁界実験室(1)は小型超伝導マグネット群を設置・運転するための部屋で,床荷重は0.5 t/m2で設計されてい る。天井高さは,クライオスタットからのサンプルホルダーの出し入れを考え,5 mにした。 プローブ加工室は金属切削加工機械類,金属伸線加工装置,圧延加工装置などを設置・運転するための部屋で ある。ただし中2階構造となっており,そこに建物全体で使用された蒸発ガスヘリウムの回収用にガスバックが 設置されている。床荷重は1t/m2で設計されている。 磁界実験室(2)は磁気冷却システムを研究するための部屋で,マグネット敷設用の深いピットを2つ持つ部屋 である。大容量電源を磁界実験室(4)と共用するため,電流ケーブル配線用ダクトでつながれている磁界実験室(4) に隣接している。床荷重は0.5 t/m2で設計されている。 磁界実験室(4)は超伝導線材の応力効果や交流損失を測定するための部屋で,大容量電源を磁界実験室(2)と共 用するため,両実験室は電流ケーブル配線用ダクトでつながれている。 磁界実験室(5)には各種の熱処理炉が,マグネット試作室には,捲線機,エポキシ含浸装置,エポキシ固化装置, タンマン炉,アーク炉,プレス機などが設置されており,これらの部屋は特別の換気口を持つ。 磁界実験棟のもう一つの特徴は冷媒としての液体ヘリウム使用に便利な構造となっていることである。これは 極低温実験が強磁界実験と対で行われることが多いからである。この建物の中で実験を行う部屋には全て,ヘリ ウム回収ガス配管が設置されており,その回収ガスはプローブ加工室中2階に設置されるガスバックに集めら れ,回収される構造となっている。さらに大量に液体窒素を必要とする大型マグネット室,ヘリウム液化機室, コンプレッサー室及び廊下の1箇所には,液体窒素を供給するための断熱真空配管が敷設されている。 2.2ビーム実験棟 (1)ビーム実験棟の検討準備段階 ① ビーム実験棟提案の背景 ビーム関連研究,とりわけイオンビーム工学に関しては,金材技研の取組みは,決して早期に充実していた とは言えない。金材技研のビーム関連の主要施設としては,昭和60年春に軽イオン小型サイクロトロン(軽イ オン照射クリープ試験装置)が完成し,稼働を開始した。当加速器は17MeV陽子など,核融合炉中性子を模擬 することができ,かつ国内唯一の材料研究専門に用いられる加速器として,ユニークな立場を築いてきた。し かしながら,イオンビーム工学全般を見据えた場合には,ビームの原子力関連利用に止まらず,電子ビーム, 重イオンを含めた総合的かつ強力な取り組みが必要であるとの認識が当時からあった。第2研究グループ(原 子炉材料研究部)からは,「粒子線照射実験施設」など々の名称で,ビーム利用研究の総合施設の建設が提案さ れていた。提案当初は,原子力利用及び非平衡材料工学を目指すべく重イオン照射が主要目標であったが,後 に,イオン照射下の超高圧電子顕微鏡観察に関する研究が重要な柱となった。 昭和62年の「金属材料技術研究所・第3次長期計画」では,「ビーム利用材料研究共同利用施設(仮称)」と して,『材料照射専用サイクロトロン(既設),イオン照射下材料挙動直接観察装置を中心として,電子ビーム, レーザービームなどを含めたビーム利用技術を高度化して共同利用に供するための施設』とされており,いく つかの方向転換を経て,現在に至っている。 ②筑波移転準備委員会 筑波移転の準備・検討が始まったのは,実質的には昭和62年度からである。新居科学研究官(当時)を中心 に「筑波移転準備委員会」が設けられ集中的に審議が行われた。委員全員の意識には,折角移転作業を開始す るならば,単なる物理的移転では物足りない。一旦全部白紙に戻したところから検討を行おうという雰囲気が あった。「新しい材料研究所を造る」という意識は,この頃から始まっていた。従って,委員の人選も,あまり 既存組織(ライン)にとらわれず,主として若手研究者から選ばれた。この手法は,進取かつ創造的な機運が 生まれたと評価されるが,その後,かなりの長期間にわたり,ラインとの整合性の確保に悩むことになった。 当然,最終的にはラインを主体にした作業を行うことが必須となるが,最初の試みとしては必要な過程であっ たと思われる。 当委員会での審議検討の中心は,どのようなコンセプトの建物を,何棟分建設するかということであった。 それは取りも直さず,金材技研が今後どの分野に重点を置いて進めていくかということであった。その際,当 時の組織との整合性については一旦忘れて検討が行われた。考えようによっては,かなり乱暴な議論とも言え るが,一旦白紙に戻した議論が行われたのである。審議では,組織と対応する実験棟を別にすると「宇宙環境 実験棟」,「生体材料実験棟」,「ビーム利用実験棟」などを,新研究分野として取上げることの是非が主要課題 であった。研究所の将来を見据えた場合に,どの分野に努力を傾注することが妥当であるか,また,実際に, 実験棟を建設するのに見合う研究人口の増大が見込めるか,という原則的な議論がなされ,実験棟の数の絞込 みと,充当面積の粗い割振りが行われた。既存組織・分野に対応する実験棟については,一定の判断基準があ るが,新規分野については確かな基準は存在しない。これら新規の研究分野が重要かつ発展性があることは, 意見の一致するところであったが,対応する実験棟を建設するか否かというと,頭を痛める問題であった。こ れは「新しい材料研究所を造る」という観点からは,最も象徴的な議論であった。 当委員会では,各棟に対応する担当者が一応決定された。その後,各担当者は該当する実験棟の必要性を代 弁する立場に立つことになり,省みれば,その人選は重要な岐路であった。 審議検討を開始して間もなく,他の研究機関の移転の例が紹介され,行財政上の手続きは,新しい研究所を 造るのではなく,あくまで「移転」であり,移転後の床面積はほぼ同等でなければならないことが判明した。 このことは,有限の大きさのパイを配分することを意味する。従って,新しい研究分野に乗り出すとなれば, 他の既存の分野にしわ寄せが及ぶこととなる。それでも各委員は,狭隘な利益代表に陥ってはなるまいと戒め ながら前向きの議論が行われた。当然のことながら,各担当者は当該研究分野が重要であることを固く信じて いるので,時として利害が対立することとなり,激論になったことも多々あった。 審議の結果,宇宙関連,生体関連などの実験棟は見送られ,新規事業としては,「ビーム実験棟」が,最終, 第7番目の実験棟として,かろうじて生き残った。しかも,そのニュアンスとしては,当面計画案を残すが, 保留あるいは予算要求の削り代といった印象を拭えなかった。従って,計画面積の配分もかなり厳しいもので あり,当時の配分面積は,多分に政策的な決定であった。ビーム実験棟は,新規事業の色彩が最も強いため, その後も引続き,実現段階に至るまで,苦しい立場と作業が続くこととなった。 (2)筑波移転推進小委員会,ビーム棟ワーキンググループでの検討 ① 営繕計画書作成に向けての経緯 昭和62年度末までに作成された「筑波移転概要書」を,移転準備室が,昭和62年4月に関東財務局に提出 し,さらに「設置理由書」及び「配置図」を筑波管理センター提出して,資料作成法について助言を受けた。 大蔵省主計局の査定はこれらの資料に基づいて行われるとのことであり,それまでの手探り作業状態を脱し, この後は本格的な資料作成作業に入った。この段階から実務としての移転作業が本格的に開始されたという印 象がある。 資料改訂に当たって,かなり大幅な改訂・二重手間を強いられ,それ以前に適切な情報収集が行われていれ ば避け得た手間が多々あった。移転作業とは,研究所として初めての経験で,2度と再びないかもしれないもの である。当然蛇行することはやむを得ないが,適切な情報を与えて最短距離に沿って作業を行うことができる か否かで,総労働量は数倍は異なる。 昭和63年から64年頃にかけて,移転検討作業が本格化した。ちなみに筑波移転推進小委員会並びにWGの 日程は以下のようであった。 第1回 6月19日(金) 趣旨説明。新研究所設立の気概で基本計画策定 ○筑波移転小委員会案に基づき計画策定 第2回 7月24日(金) 建屋面積割。特殊仕様による整理:研究本館+ 7実験棟 ○基本計画見直し→延50,000 m2,敷地150,000 m2) (目黒:延 37,000 m2,敷地 45,000 m2) ○建設省筑波研究学園都市施設管理センターに概算見積り依頼 ○金材技研筑波移転準備室(科学技術庁内)の設置 第3回10月5日(月) 筑波移転の決定(筑波移転推進小委員会)運営会議 研究協力センター,情報計算センター追加延63,700 m2 第4回10月22日(木) 建設省筑波研究学園都市施設管理センター:420億円+ 50億円 延76,400 m2均等型へ基準見直しの可能性 特々会計説明:機能代替なきものは不可;要対照表 ○対照表作成準備作業 第5回10月29日(金) 物品・建屋について調整 ○建屋案見直し,対照表作成,内部装備資料作成 第6回11月20日(金) 同中間総括 その後,11月末日までに「対照表」などを作成し,12月に大蔵省に対して説明を行い,翌4月末日までに最 初の「営繕計画書」を作成した。 これらの検討作業での重要なポイントは,移転事業のための予算が「特々会計」によるため,いくつかの拘 束条件があるというものであった。すなわち, ア)装置及び実験室の更新,面積などの拡充は原則的に許されない。 イ)既に移転を済ませている部門は対象外,従って,筑波支所内の装置移設や補修は許されない。 ウ)装置及び実験室について機能代替の説明が必須となる。 ということであった。これらの原則によると「特々会計」に基づいて考える限り,新規事業の実施は不可能に 近い。「移転」ということと,研究の将来計画というものとは,所詮相容れないものであるという悲観的な見方 が成り立つ。ビーム実験棟は,建前上実現できないはずのものであり,移転推進小委員会などで「特々会計」 に議論が及ぶと,担当者は常に肩身の狭い思いをした。もとより,この全面移転は,単純移転ではなく「新し い研究所を造る」という合意の上で開始したのではあるが,個々の局面では「特々会計」の論理が優先された。 その観点からは,ビーム実験棟は逸脱している,との有形無形の圧力が常にあった。移転準備室も実施主体と しての責任上,大蔵省など当局を代弁し,「特々会計」に表立って違反しないよう,ブレーキをかける役に回る ことが多かったのはやむを得ない。従って,総論では新研究所建設と叫びつつも,各論,特にビーム実験棟関 連では悩み多き作業が続き,それらの整合性を保つことについては,末端の作業者の工夫と努力に任されてし まうという面があった。今省みて,個人的意見では,研究所側の自己規制が強すぎたと感じるし,将来計画に ついては,もう少し大胆かつ積極的な姿勢を貫いても良かったのではないかと思う。 この頃,図面や作文作業は,平均頻度で隔週毎に作業発注があった。特に,ビーム実験棟では,リスクの多 い新規事業であることから,関与者が少ないため,仕事を分配すべき該当者の数も少なく,重労働が続いた。 存立基盤の不安なビーム実験棟については常に,削り代的な立場から脱する努力をする必要に迫られ続け, 図面作成など具体的な作業と並行して,ビーム実験棟WGでは,研究内容について議論し報告書を発した。 「ビーム利用技術研究センター設置について」(昭和63年10月)や「粒子線利用材料研究について」(平成元年 9月)などがある。他のWGが,早期に実務的な作業のみに移行したのと大きな相違があった。また,ビーム 実験棟に関しては,幾度となく公式・非公式のヒアリングが開かれ,ビーム実験棟の存在意義や研究者の熱意 についての検証作業が繰り返された。 ②設置理由書及び配置図 ビーム実験棟は,新規事業としての色彩が強いため,「設置理由書」及び「配置図」の作成には多くの苦労が 伴った。ビーム実験棟は一言で言えば,種々のビーム関連装置を集約する建物ということになる。表Ⅲ-21に 「設置理由」のために作成された「新実験棟の特徴」を示す。 表Ⅲ-21新実験棟の特徴 新実験棟 (新実験棟の特徴・用途・研究内容)ビーム利用材料研究共同利用施設 電子ビーム,レーザービーム,イオンビーム,強力X線などのもたらす極限的条件を制御・活用し,原 子・分子レベルの解析・評価,照射損傷評価,高度加工技術の開発,さらには,イオンビームと物質の相互 作用を利用した新材料創製などを含め,ビーム利用技術を高度化して共同利用を図る。建屋の機能は次の5 つの領域,すなわち ①電子線関連:電子線による材料の高分解能解析・評価,照射損傷評価,接合・微細加工など ②強力X線関連:強力X線による材料の構造解析,トポグラフィ,微小領域・微量分析など ③物質創製関連:粒子線およびプラズマ利用によるる材料改質,合成,接合,分析評価など ④軽イオン関連:軽イオンなど照射後材料の解析・評価,照射損傷評価,材料試験など ⑤レーザー関連:レーザー光による材料及び光・物質反応の解析・評価,接合・微細加工など から成り,種々の高エネルギービームを単独または複合的に用いて材料の高分解能の分析・評価加工,新材 料創製などを行う。 高分解能測定や極限条件の利用は,必然的に高エネルギー放射線や高強度ビームを取り扱うこととなる。 従って本実験棟は照射後試料の取り扱い施設を含め,放射線障害防止,安全対策さらには環境保全対策を完 備した特殊施設となる。また関連装置が概して大型となるため充分な空間と構造強度などを要するばかりで なく,高度の実験にふさわしい環境条件や防振構造を具備することとなる。 (特殊仕様) ①放射線利用施設(放射線遮��蔽,フード,給・排気設備,給・排水施設,RI貯蔵・廃棄施設など) ②恒温・恒湿:高絶縁,高精度制御・測定 ③防振構造:超高圧電子顕微鏡による高分解能観察 ④電磁シールド:スパーク,ビーム制動による電磁波ノイズ ⑤天井クレーン:大型装置運搬 (旧実験棟での研究内容・対応・問題点) 1.アイソトープ実験場(36号) ☆研究内容:アイソトープなど放射線を利用した種々の研究・実験 ☆問題点:施設が陳腐化(昭和37年度建設)しており,放射線などの多様な高度利用不可 2.放射線分析実験場(38A号) ☆研究内容:中性子照射を利用した化学分析の研究・実験 ☆問題点:放射線利用施設のための換気設備がない 3.衝撃実験場(39号) ☆研究内容:材料強度に関する衝撃実験・研究 ☆問題点:建屋の気密性が悪いために外より塵が入り測定器に悪影響 4.化学溶接粉末冶金庁舎(30号の一部) ☆研究内容:電子ビームを用いた溶接研究・実験など ☆問題点:作業空間が狭く暗い。電磁シールドがない 5.溶接実験場(30A号の一部) ☆研究内容:各種溶接研究のための実験 ☆問題点:溶接の際に発生するガスの排気装置が不充分 ここでは,建屋の目的及び機能代替性が検討された。現在のビーム実験棟にはいわゆるRI取り扱い機能は ないが,当時は考慮に入れられた。実際にRIを取り扱うという意欲もあったが,特殊仕様としては非常にコス ト高となることから,後にその機能を付加することは不可能ということで,予め積算検討するように指示され たという面もある。表Ⅲ-21の下段には,建屋としての機能代替性が要約されている。 ビームを取り扱う実験棟は,実質的には新規の建屋なので,当然それ以前に対応するものはほとんどなく, 対応関係の説明には苦労が伴った。少しでも類似点のある旧建屋(部分)を寄集めて,説明したのである。移 転準備室のこの割振り作業というのは,知恵の輪かあるいはジグソーパズルであった。非常に厳密な立場で考 えると,これらの旧建屋とビーム実験棟の機能代替性の対応関係は乏しい。それにも拘わらずビーム実験棟が, 移転のカテゴリーで実現したことは,「設置理由」などの説明が功を奏したこともあろうが,予算当局に「一応 の機能代替の説明がつけば,時代に即応してある程度柔軟に新規性を認める」とする姿勢があったためと思わ れる。 「設置理由」は各室毎に例えば表Ⅲ-22のように書かれた。かなり具体的に各室の用途を記述しなければな らず,各部屋間の相互の関係についての説明に重点が置かれた。 図面作成に当たり,移転準備室から指示されたことのうち,重要なポイントは,「ゾーニング」ということで あった。作業能率向上のため,電子線,粒子線,軽イオン照射後試験,レーザー,超強力X線がゾーニングし て配された。ビーム実験棟は不確定要因が多く,研究所としての方針,外的状況や関連する研究者の離合集散 のため,その後大きく変容を遂げた。概ね当初より一貫して存続したのは,電子線関連と粒子線関連である。 装置施設の集約化についての是非は,時として意見の分かれるところである。「設置理由」を説明するという 立場からは,コンセプトを明確にし,集約化する方がよい。 表Ⅲ-22ビーム利用技術研究センター設置理由(一例) *粒子線実験室(119) 粒子線照射下においては,はじき出しによるミキシングによって通常は存在し得ない非平衡相が生ずるこ とから,非平衡相の生成やはじき出し原子の散乱スペクトルを用いた構造解析のために軽イオンから重イオ ンまで発生できる粒子線発生装置を設置する部屋。放射線発生装置である粒子線発生装置及び照射装置は粒 子線を照射している時は作業者は近づくことができないので,粒子線の来ていない装置で次の実験の準備を するなどの実験装置の効率的な運用をするためには,各々の装置は別室に設置する必要がある。粒子線発生 装置からの雑音を除去するための電磁シールドが必要とされる。また粒子線輸送系や粒子線発生器の維持, 保守管理のために重量物を運搬できるX-Yクレーンも設置する必要がある。放射線が発生するので排気, 排水はRI仕様とする。各実験室に通じる扉��には放射線障害防止法に定められたインターロックを備える。 *表面改質実験室(121) 照射下非平衡相生成装置を用いて,粒子線及びレーザー照射によりイオンミキシングや表面加熱処理を 行って材料表面に非平衡相を作りながらX線による構造解析を行う。本装置ではX線の発生装置を持った X線ディフラクトメータを隣接して設置し,X線回折とトポグラフのデータを同時に収集する。本装置自 身がX線の発生装置であり,粒子線の無い場合の測定や粒子線照射実験の準備のために粒子線発生装置や 他の照射装置と別室に設置する必要がある。このため粒子線発生装置との間には壁を貫通したビーム輸送系 が必要とされる。同様に天井部分には2階の大出力レーザーからのレーザー光路用の貫通孔を設ける。各室 に通じる扉��にはインターロックを設置する。表面改質層の測定精度及び作成条件を一定に保つために,24 時間恒温恒湿とし排水,排気はRI仕様とする。 しかしながら,本実験棟のように,高エネルギーの装置を多く含み,かつ高精度の雰囲気制御や計測を含む 場合,一つの建物に集約すると,例えばノイズとか振動を及ぼし合い,決して良くないという側面がある。危 険なもの同士をことさら近づけておき,逆にお互いの影響を減らすために,電磁遮��蔽や振動防護に工夫をする, という一見矛盾した作業になる。理想的にはゾーニングされた領域ごとに小さな建物を建てるのが良いのかも しれないが,建設コストが非常に割高になる。従って,ゾーニングが重要になる。中でも特に,他の領域から の影響を嫌うのが電子線領域,すなわち超高圧電子顕微鏡であった。実のところ分割基礎で独立の建物にする が望ましいのである。そこで,他の領域から,かなり独立した形に変更することとなり,現在に至っている。 配置図1次案を作成する際,かなり具体的に検討したが,今振り返って,この時点で詳細な検討に労力を費 やす必要はなかった。ドアの向きとか,各部屋間の配置を実現可能なよう検討したが,建築専門家の手に渡る といずれ,かなり変容してしまうので,徒労とは言わないまでも詳細検討は必要なかった。また,研究者の立 場で過度に意匠を凝らした構造も,もし建築の常識からはずれていれば実現することはない。この時点の配置 図作成で重要なことは,どのような機能と形の部屋が,どの辺りに必要かということだけである。 図Ⅲ-58に営繕計画書提出時の配置図を示す。図Ⅲ-58から図Ⅲ-59に至るまでに,軽イオン関連及び強力X 線などは除外された。この図Ⅲ-59の配置図に至り,全体的にすっきりした。ここでは,超高圧電子顕微鏡関係 の独立性を増し,装置集約化のメリットとデメリットを最適化するよう配慮された。 図Ⅲ-58営繕計画書提出時の実験室配置図 図Ⅲ-59完成時の実験室配置図 ③新旧対照表 移転における基本原則は,機能代替性,すなわち水増しは許さないということであり,①建屋,②各室,③ 装置について逐一機能代替の対応関係を説明する必要があった。それらは必ずしも建屋毎に一対一である必要 はなく,旧機能をいくつか合わせて一つの新機能にしたり,逆に分散しても許されるが,移転計画全体として は一対一,あるいは+ 5%程度の変化に納めるよう指示があった。 ビーム実験棟に関しては,対応する旧建屋として,アイソトープ実験場(36号),放射線分析実験場(38A 号),衝撃実験場(39号)などが配当された。従来,加速器により中性子発生実験や中性子照射を利用した化学 分析の実験研究が行われていたので,その部分については比較的妥当な説明が付けられたが,その他の部分は, 内容的に機能がかなり相違したので,苦しい説明となった。 第Ⅲ章 敷地利用計画及び主要施設の配置 ここで,興味深いので,そもそも旧建屋全体を各実験棟にいかにして配分したかを述べておく。コンピュー タ化された各室のデータベースが存在したわけでなく, もしあったとしても,性格を決める因子が曖昧過ぎて 役に立ったかどうか疑わしい。実際は手作業・競売方式であった。予め決められた新建屋の面積を睨みながら, 先ず大まかに,各々の新建屋に旧建屋が割り振られた後,各担当者が旧建屋の全体図面を囲みながら,より相 応しい解を求めて担当者間で取引するのである。例えば,レーザー室と化学分析室を交換し,色鉛筆で塗り分 けるという具合である。ビーム実験棟については対応する旧建屋が質・量とも不足した。特に,比較的内容が 近い,「構造制御グループ」が直前に先発で移動してしまったことから,関連する実験屋・装置が枯渇したので あった。それでも,苦労しつつ対照表は作られ結果として容認された。 表Ⅲ-23に各実験室についての新旧対照表を示す。新旧対照表は3~4種類の異なる書式のものを作成した。 機能代替関係は,定性的のみならず定量的に対応していることが要請されたので,最終的には各室の面積,装 置の備品番号,管理者名などを含む対照表にまで至った。このような資料を全てチェックできるのだろうかと 疑念を抱きつつ,不正確な点が一ヶ所でもあれば資料全体の信用を失うということで,厳密に対応関係を詰め ていった。 表Ⅲ-23の各欄は埋められているが,新規プロジェクトの部分は,空欄にならざるを得なかった。例えば,超 高圧電子顕微鏡については「昭和63年から昭和66年に新設」と書かざるを得なかった。新規のものが全く認 められない訳ではない。ただビーム実験棟は新規機能の項目が多かったので,機能代替性の説明は苦慮した。 表Ⅲ-23新旧実験室の対照表(一例) 新実験室 旧実験室 棟階 室番 機能 物品 棟階 室番 現機能 物品 Ⅶ-2 213 レーザー利用分 析 レーザー微小領域分析装 置 レーザー非弾性散乱分析 装置 30-1 30-2 30-2 30-3 30-4 24-3 30-3 30-4 118 209 218 316 433 324 328 428 表面発光分析 質量分析 ICP発光分析 質量分析 質量分析 反射率測定 ラマン測定 CVD 比表面積表面発光装置 固体質量分析計 ICP発光分析装置 質量分析器 質量分析装置 分光反射率測定装置 レーザーラマン測定 微粒子X線散乱装置 Ⅶ-2 214 集束ビーム実験 レーザー光形状制御装置 レーザー加工装置 30-1 30-1 26-1 151 151 101 レーザー加工 レーザー加工 高温加工模擬 光形状制御装置 レーザー加工装置 高温加工装置 Ⅶ-2 215 可変波長レー ザー運転 可変波長レーザーシステ ム 24-3 22-1 30-3 308 142 328 色素レーザー 高温反応 ラマン測定 光励起用色素レーザー レーザー発振器 ラマン測定装置 Ⅶ-2 216 レーザー材料改 質実験 レーザー照射材料改質装 置 24-4 434 高温物性測定 融点測定装置 高温弾性定数装置 Ⅶ-2 217 大出力レーザー 運転 大出力レーザーシステム 30 A1 151 各種溶接試験 5kWCO2 レーザー ④諸源表 諸源表は建屋の具体的設計や見積もり作業の元となるものである。表Ⅲ-24に諸源表のための資料を示す。 これらの表により,所内的にヒアリングや検討が行われた。実際の諸源表でも同様の情報が盛り込まれた。諸 源表は,建築の検討において最も実際的かつ重要である。 諸源表は昭和63年から平成元年にかけて何回か見直されている。図面を省略したが,幾度となく書き直され た。 表Ⅲ-24各室の諸源(一例) 粒子線実験室(111) [図面略] [特徴・レイアウト・特殊仕様など] 1)用途:粒子線照射によって表面改質や新機能材料の生成が期待されるが,当室には金属元素イオンビー ムを生成する粒子線加速器を置き,照射実験室(110室)にビームを供給する。 粒子線発生装置は複数のイオン源,加速部,ビーム輸送系から成り,それらの大型装置の維持,保守 管理のために装置周辺に充分な作業スペースが必要である。粒子線発生装置前方には,ビーム輸送系 が照射実験室(110室)の壁を貫通して配置される。 2)配電{200 V 3φ 400 A,100 V,100 A},給排水{上水2,実験循環水2,ガス2},第1種接地 3)特殊仕様 空調:24時間空調,ランク3 (温度20℃±1℃,湿度50%±5%) 本実験システムは昼夜連続運転されるが,粒子線発生装置やビームトランスポート系の電磁石などの 発熱を冷却し温度や湿度変化の影響を受けやすいそれらの装置の精度を維持するため。 天井クレーン:5トンオーバーへッド式走行クレーン,電動トロリー式チェーンブロック,スパン7 m, 走行9 m 電磁シールド:ランク3 (銅及び鉄;網または箔):粒子線発生器からの電気的雑音を抑制。 監視用鉛ガラス窓:照射実験室(110室)との扉��及び通路からの2箇所の入口に設置(0.5×0.5各2枚) 監視用テレビカメラ(120°方向可変)と室内放送(双方向通話):立ち入り作業者及び実験装置の監視 のため。 粒子線関係インターロック:粒子線発生装置からのビーム発生を知らせる回転灯及び表示灯を設け,照 射実験室(110室)の扉��が開いているときには当該実験室に粒子線が輸送されないように,また当室 の扉��が開いている時はビーム運転が行われないようインターロックを設ける。 [備考] 放射線障害防止法によって放射線発生装置(粒子線発生装置がこれに該当する)を運転する場合にはその 旨を自動的に表示し,その部屋に入ることを防止するインターロックを設けることが定められている。 本室の壁面は1MeVのガンマー線を遮��蔽するのに充分な厚みのコンクリートとする。 粒子線発生装置(中性子発生装置の更新)15,000kg, 3φ 200V 250A,100V 50A, 70m3/日(含むイオ ン源,分析電磁石) 絶縁ガス SF6回収装置(上の一部)3,000kg, 3φ 200V100A, 100V 20A, 10m3/日 内部装備:天井クレーン(3φ 200 V 20 A),実験流し台 特殊仕様及び内部装備については,見積り作業も含めて詳しい調査を行った。後に聞いたところによれば, 建設見積りを出す場合に,項目によってはこれらのデータがそのまま採用されたとのことで,責任が重い。 表Ⅲ-25に特殊仕様の一覧を示す。特殊仕様の中で特にこだわったのは,主として超高圧電子顕微鏡のため の,室内温度制御と防振であった。空調と分割基礎はともかく,誰の目にも装置の一部であることが明らかな 防振台の設置については建設省もなかなか首を縦に振らず,難渋した。実現しなかった項目は,RI関連と電磁 シールドである。前者は計画変更のため当然であったが,後者は詳細調査を行ったにも拘わらず実現しなかっ た。これは建設コストが高額である反面,それが必須であることを証明できないことに原因があった。特殊仕 様の検討は,地磁気や環境問題にも及び膨大な労力を要した。 内部装備は,建物に固定されるものという原則があり,認められにくいという印象が残った。実験台などは 高価でもあり,ほとんど実現しなかった。 表Ⅲ-25ビーム利用技術研究センターの特殊仕様一覧 特殊仕様名 数 量 内 容 恒温・恒湿 全室 ランクC パッケージ式空調 13室 20℃ ± 1℃, 50%±5% パッケージ空調 (RI管理区域) 15室 20℃±1℃, 50%±5%,換気 20 回/時間 RI仕様:空調給・排気 管理区域 20室 別添仕様書(RI仕様空調給排気系) 電磁シールド 19室 ランク3銅及び鉄 装置昇降機(EV) 1台 装置昇降用,2000 kg, 60 m/分 安全防護栅 1室 アクリル板(5mm厚)カバー クーリングタワー 1室 50t,配管3インチ 鉛ガラス覗き窓 2式 寸法:1.0 m × 2.0 m, 7 mm 厚 分割基礎 4室 0.001μm (0.1 Gal以下) 防振台 パッケージ式空調 9式 ランクC 0.001μm(0.1 Gal以下) 恒温・恒湿 全室 20℃±1℃, 50%±5% クレーン 3台 3 ton クーリングタワー 1室 50t,配管3インチ (3)基本方針 実際の建設に移行する前に,基本方針をまとめて建設省に提出した。ここに転載しておく。 ①概要 ビーム実験棟は,電子ビーム,レーザー,粒子線などの各種ビーム発生装置を収容し,それらを単独または 複合的に利用して,原子・分子レベルでの物質の観測手段や,非平衡・反応制御物質の創製技術,極限環境材 料試験技術などの研究開発を目指す特殊実験棟である。従って本実験棟では,高エネルギービームによる高分 解能観察・精密測定を可能にし,かつ多様なビームを複合的にも利用できる構造とすることが眼目となる。こ のため,種々の大型ビーム発生装置を,高分解能/高精度装置と有機的に結合させ,互いに隣接して配置する必 要がある。 高エネルギー/短波長の電子線やレーザー自身は,本質的には高分解能性を有しているが,実際にその優れた 特性を引出すためには,それらを保証するに足る建屋側の諸措置(高度の防振,恒温・除湿など)が不可欠で ある。また異種ビーム発生装置間の相互干渉を解決する対策(電磁シールド,防振など)も避けて通れないこ ととなる。さらには,大型装置の設置についての配慮(搬入・搬出経路の確保,床荷重,保守用天井クレーン, 保守用作業空間など)も肝要となる。 ② ビーム実験棟に要求される基本的特性 1)基本的特性(全般)について ア)ビーム実験棟は,主としてビーム種やその利用形態に応じゾーニングを行う。各ゾーンは,ビーム発 生・制御,計測・利用など,一連の実験に関わる固有業務室から成り,機能上不可分な単位(ブロック 化)となっている。 イ)その他の各ゾーンについては,異種ビームの複合利用を想定し,有機的かつ合理的なゾーン配置を行 う。それらの各ゾーンは隣接することとなるが,同時稼働や精密測定を可能にするため,ビーム発生装 置間の相互干渉を避けるべく電磁シールドなどを施す。 ウ)本実験棟は「共同研究センター」であり,各装置は共同利用を前提としているため,様々なオプション の導入される汎用機としての性格が強くなる。従ってスペースの余裕を確保し有効利用に工夫を要する。 エ)本実験棟は,世界的にも希少価値の高い設備であるサブナノトロンを初め,大型の諸実験装置を収容 した研究施設であり,外部からも多くの研究者が来訪することとなるので,充分なコミュニケーション を図れる建物構造とする。 オ)管理・研究棟へ行き来して実験を行う職員・外来研究者が多いと考えられるので,そのための動線 については充分配慮する必要がある。 2)サブナノトロン(材料損傷その場分析評価装置)関係について ア)サブナノトロンは電子とイオンの複合ビームを利用して,材料中の原子を直接観察し,さらには原子 を自在に並べ換えることにより新材料の研究開発を行うための設備である。 イ)このため世界最高クラスの空間分解能を持つ超高圧電子顕微鏡(静的特性を重視)原子を操作するた めのイオン加速器(動的な特性を重視)を組合わせており,両者の性能を損なうことのないような建屋 設計,例えばサブナノトロン関連設備をまとめて分割基礎にするなどの対策が実施される。 ウ)また,高分解能を達成・維持するためには,室温の変化による機器の熱膨張や,通風による機械的振 動を避けなければならないことから,温度制御された空気の穏やかな換気による空調が行われる。 エ)サブナノトロンの電子顕微鏡は高さ13m, 200トン(防振台150トンを含む)を越える大型装置であ り,さらにイオン加速器のビームラインが縦横に設置されるため,機器の配置は各階を縦に貫通して立 体的に行われる。 3)電子線,レーザー,粒子線関係について ア)各種ビームを単独または複合的に利用し,非平衡・反応制御物質の技術創製,極限環境材料試験技術 など,新材料や革新的技術の研究開発を行うための諸設備を備える。 イ)このため,電子ビーム,レーザー,粒子線関係をそれぞれゾーニングし,各ゾーン内ではビーム発生 から運転計測,ビーム利用実験までを一貫して行う。 ウ)これらのビームは単独のみならず複合ビーム利用を行うことに配慮してゾーン配置を行う。 エ)隣接した各ゾーン間の電磁気的干渉を防ぐために,ビーム発生実験室(電子ビームプロセス実験室, 大出力レーザー実験室,粒子線実験室,光励起利用材料合成室)には,発生した電磁気雑音が他の実験 室に及ばないようする対策(能動的シールド)を施し,複合実験や精密測定を可能にする。電磁シール ド性能は,1MHz付近において減衰率60dB程度(ランク2以上3以下)を目指し,その施工方法につ いては,基本的にパネル方式で対応することとする。なお,シールド性能確保に影響を及ぼす諸要因(パ ネルジョイント,扉��類,観察窓,給排気口,配管,配線など)には充分留意して施工する。 オ)レーザーを用いる部屋(レーザー関係全室,電子ビームプロセス実験室,表面改質実験室など)には, 比較的高精度の室温制御と除湿を施し,安定なレーザー発振とレーザ伝送光学系の精密な設定を可能に する。 ③ビーム棟を構成する要素の分類 1)サブナノトロンゾーン サブナノトロン(材料照射損傷その場分析・評価装置)及びその関連設備を収容する実験室で構成される ゾーンである。サブナノトロンは,1MeVの超高圧電子顕微鏡と100keVのイオン加速器を組合わせた装置 であり,水素(H)~金(Au)のイオンを加速して,電子顕微鏡内で原子配列を観測中の試料に照射する。電 子顕微鏡は1階の「材料照射損傷その場分析・評価室」に設置し,下部には150トンの防振台,上部はM2階 に貫通して「高圧タンク室」の高圧タンクにつながる。イオン加速器は「粒子照射系室」に設置しビームラ インは電子顕微鏡試料位置に導く。さらに,「データ解析室」のコンピュータとはオンライン化し,データの 実時間解析を行うものである。本ゾーンは次の各室から成る。 材料照射損傷その場分析評価室 高圧タンク室 粒子照射系室 データ解析室 サブナノトロン関連(上述) 材料表面ガス衝撃試験室及び運転計測室:高エネルギーの集束イオンビームを発生しサブナノトロンに供給 200 kV電顕室:サブナノトロンの透過電顕法に関する予備試験 電子分光分析室:サブナノトロンの反射型電顕法に関する予備試験 暗室:サブナノトロンで撮影したフィルムの処理 電気室Ⅰ :サブナノトロン用の電源装置及び冷却水循環系など 電気室Ⅱ:サブナノトロン用の電源装置,特殊ガス配管系 機械室:サブナノトロンゾーンの空調機械など 2) 電子ビームゾーン 電子ビーム発生装置及びその利用系など関連設備を収容する実験室で構成されるゾーンであり,併せて レーザーとの複合ビーム実験を行う。本ゾーンは次の各室から成る。 電子ビームプロセス実験室:電子ビーム発生及びレーザー複合利用を含めた材料プロセッシング 電子ビーム運転計測室:電子ビーム装置の運転及び計測 電子ビーム・レーザー試料準備室:試料準備及び観察(一部レーザーと共用) 3) レーザーゾーン 大出力レーザービーム発生装置及びその利用系など関連設備を収容する実験室で構成されるゾーンであ り,多波長のレーザーを互いに輸送して機動的に用いるとともに,複合ビーム利用のため他のゾーンにレー ザーを供給する。本ゾーンは次の各室から成る。 大出力レーザー実験室:広範囲な波長のレーザー発振・供給 ファインレーザービーム実験室:炭酸ガスレーザー,YAGレーザーによる微細プロセッシング レーザー物質反応実験室:大出力の諸レーザーを利用して材料合成 光励起利用材料合成室:エキシマレーザーなどによる光励起材料合成 表面損傷分析評価室:イオン照射表面損傷をレーザーなどによりその場観測 4)粒子線ゾーン 粒子線発生装置及びその利用系など関連設備を収容する実験室で構成されるゾーンであり,併せてレー ザーとの複合ビーム実験を行う。本ゾーンは次の各室から成る。 粒子線実験室:粒子線の発生・制御 粒子線運転計測室:粒子線発生装置及び輸送系装置の運転制御 表面改質実験室:粒子線による材料表面改質及びレーザー複合利用を含めた材料実験 5)共通ゾーン 各ゾーン共用する領域であり,職員の居住室オペレータ室,仮眠室,試料準備室,電気・機械室,交通部 分,湯沸し室,手洗い所などに関連する部分である。 オペレータ室:サブナノトロンなどのオペレータ控え室 仮眠室:運転交替要員の仮眠室 電子線分析室(化学系):サブナノトロンなどのための試料作製・調整(化学的処理) 粒子線関係準備室(物理系):サブナノトロンなどのための試料作製・調整(物理的処理) 電気室,機械室,玄関ロビー,荷物昇降装置(エレベータ),湯沸し室,手洗い所(WC) 6)周辺施設 以上の各ゾーンの他に,ビーム実験棟周辺には大型機器の搬入出施設(後述),液体窒素塔(CE),ボンベ 置き場,スクラバー,クーリングタワーなどが必要である。 ④ ビーム実験棟の満たすべき基本的条件 1)ゾーニング サブナノトロンゾーン(「材料照射損傷その場分析・評価室」,「高圧タンク室」,「粒子照射系室」,「200kV 電顕室」,「電子分光分析室」,「材料表面ガス衝撃試験装置室」)は他の部分と切り離し,分割基礎とするなど 外部からのノイズ(振動)を除去する必要がある。 ア)サブナノトロン本体は「材料照射損傷その場分析・評価室」に設置するが,その上部である高圧タン クが重量物であるため,また高分解能を維持するためにも地階構造とする。サブナノトロンゾーンにお いては,各々の有機的な相互関係を考慮して各室を立体的に配置する。 イ)「粒子照射系室」と「材料表面ガス衝撃試験室」は,サブナノトロンへのビームラインを確保するた め「高圧タンク室」と同一階(1階)とする。 ウ)「200kV電顕室」と「電子分光分析室」は,予備試験後,試料を短時間でサブナノトロンに移送する ためになるべく近傍に設置する エ)データ解析室はサブナノトロンとのオンライン配線の可能な距離に設置する。 電子ビーム,レーザー,粒子線の各ゾーンは,可能な限り隣接した配置が望ましい。(レーザーを輸送して ビーム利用を行うが,レーザービームにしても距離が離れれば,発散の影響がある) なお,レーザー伝送については,壁沿いに(または壁を貫通して)レーザー伝送用のアルミパイプ(黒色 アルマイト処理)及び光学系(鏡及び支持台など)を設置して行う。 電子ビーム,レーザー装置,粒子線装置は本体の分散配置ができないことから床荷重が大きくなるので, 1階への配置が現実的ではないかと考えられる。共通ゾーンは,サブナノトロンゾーンとそれ以外のゾーン の中間付近に位置させて全体の効率的利用を図るとともに,前者に対して電磁気的・機械的ノイズの緩衝領 域の役目も果たさせる。 2)他棟との関係 職員及び外来研究者は本実験棟と「管理・研究棟」との間を(車による装置の運搬などを含め)頻繁に往 来することとなるので,動線には特に配慮する。 「超磁界研究センター」からの漏洩磁場は(もし無視できないものであれば)ビーム,特に電子線を曲げ, サブナノトロンの分解能を損なうので,地磁気以下になる距離以上離れていることが望ましい。 3)建物の配置(ビーム実験棟の周辺について) 大型機器(サブナノトロン,ビーム発生装置など)の搬入・搬出のため経路,周辺スペースについては, 作業性・安全性を考慮して充分な余裕を取るとともに,搬入出口付近の地盤整備(及び廊下などの床荷重確 保)を行う。また,(もし2階構造となるなら)2階への運搬については荷物昇降装置(エレベータ)だけで なく,大型 装置を直接クレーンで搬入できる施設(簡易搬送クレーン:荷重5トン程度)を設置する。緊急 時の対応が速やかに行えるように,研究者,外来者の避難経路を確保する。 ア)地階と1階部分をつなぐ階段を(主階段の他に)1箇所以上。 イ)2階から地上へ(主階段の他に)1箇所以上。 ウ)レーザーゾーンから外へ(玄関廊下の他に)1箇所以上。 周辺道路は,大型機器の搬入,及び緊急時の緊急車両の侵入・活動に備え10トン積みトラックが自由に往 来できる程度の道幅と地盤整備が必要である。液体窒素塔(CE)周辺にはタンクローリーの駐車場所及び方 向転換のためのスペースが必要である。 将来の発展の可能性(改・増築)に柔軟に対処できるよう,本実験棟(特にレーザーゾーンの端;長手方 向)は外周道路から適宜離して設置し,共同溝の設置位置,構造にも配慮する。 実験が深夜に及んだり装置の終夜運転が頻繁に行われるので,入退室方法,玄関周りの構造・レイアウト に配慮する。 4)その他 動力ケーブル用ピット,測定回路ケーブル用ピット,冷却水用ピットは独立に設置するとともに,将来の 発展に柔軟に対処できるよう充分な余裕をもたせる。液体冷媒(窒素,ヘリウム)及び精密機器の円滑な搬 入出・運搬のため,建物随所に傾斜のゆるやかなスロープを設置するなどの配慮をする。 電気・機械室は各ゾーンに特殊性があることから,基本的にはゾーン毎に分散配置を行う。 (4)ビーム実験棟計画の変遷と主要な論点 ① 軽イオン照射研究との関係 元来,ビーム実験棟が,3次,4次長期計画において,「超高圧電子顕微鏡によるその場観察」とともに「ポ スト軽イオン」としての位置づけを担っていたことから,軽イオン・サイクロトロンとの整合性に重きを置か れたのは当然であった。3次長期計画の検討段階では一時,(ア)サイクロトロンをビーム実験棟に移設するか, あるいは(イ)サイクロトロン施設に併設するか,という考え方があった。しかしながら,(ア)はサイクロトロン施 設がRI取り扱い施設であるため技術的にほぼ不可能であるということで断念し,(イ)は外周道路などとの関係 から地形的に不可能ということで,実現しなかった。それでも「軽イオン照射後試験」はかなり後まで残存し た。 本実験棟が,原子力研究グループを中心に提案されたこともあり,「軽イオン照射後試験」の取扱いは,この 建屋で原子力研究にどう取組むかという問題設定と同義であった。元来「軽イオン照射後試験」が提案された のは,国立試験研究機関が原子力研究を責任ある姿勢で,かつ特色を出して担っていくには,サイクロトロン 重照射後試料の試験を含めて,少し規模を拡大したRI取扱い施設を有することが必要であるとの判断からで ある。RI取扱い施設は,空間的・人的にある程度の規模を越えないとそのメリットが出ないのである。しかし ながら反面,RI取扱い施設は,建設及び運転に巨額の費用を要するものであり,また,それに携わるものには 常に物理的・精神的に過重な負担がかかる。それは国立研の手には余るという意見が強かった。無理をしても 筋を通して頑張るべきという意見と,無理をして能率を落とすより,可能なことで成果を挙げていけばよいと いう意見との葛藤であった。 事実経過としては,ビーム実験棟は当初,千現地区東端に建設が予定されていたが,桜地区に建設すること が本決まりになった。その時点で,軽イオン照射後試験が遠隔地にあるのは不合理ということで,まず,ビー ム実験棟から切り離された。その後,暫時サイクロトロン施設周辺に増設するとして仕様の詳細が検討された が,最終的には,指導部の裁断によって建設が見送られた。RI施設のような基盤的施設は,移転のような局面 がない限り,建設することができない。これらの経緯は,金材技研の原子力研究の将来に向けて大きな岐路で あったかもしれない。 ② 超強力X線研究などとの別離 ビーム装置施設の集約化という観点からは,当然強力X線発生装置が対象になる。当装置は回転陰極方式の 1アンペア電子線によるものであり,丁度,移転検討を開始した直前に導入されたものである。これは当時の目 黒本所に設置するか,筑波支所にするかを熟慮の上,筑波に新設されたものであり,手続き的には当然,移転 の対象になり得ないものである。また,集約化のメリットがないので,強力X線は当実験棟からほどなく撤退 した。 研究組織的な観点からの集約化は当然行うべきであるが,現場的には集約化のメリットが少ない場合が多 い。装置担当者にとってみれば,かなり迷惑な話となる場合が多々ある。 また,類似の件として,軽イオン注入装置を移設する話も,俎上に上がって,消えた。その他,第2研究グ ループ関係,反応制御関係の中型装置についても,当初計画で参画する予定のものが撤退した。これらややち ぐはぐな経緯になった原因は,新しい研究所の建設という組織の検討より前に,装置と建物の設備の検討が先 行してしまったことにある。個々の研究者は,当然その時点の組織に従うが,建物の計画は,少し将来に焦点 を合わせているという状況であった。従って,移転の検討と組織ラインとの整合性はしばしば破れた。例えば, ビーム実験棟に参画することは,その既存組織から飛び出すという行為に相当してしまうという場合もある。 「新しい研究所」を標榜する限りは,組織的な検討を先にすべきであった。もしくは,将来の組織イメージを 持ち,強い指導性が発揮されるべきであった。それらがやや乏しかったため,WGの担当者が個々に有志を募 るというような構図になってしまった。それらの中身を,根拠の弱いビーム実験棟を補強するためのつじつま 合わせとし実行は別であると割り切るには,困難に過ぎる局面が多々あった。 (5)レイアウト検討 平成3年度には,いよいよ具体的なレイアウトの検討が行われた。WGはレイアウトWGと呼ばれた。ここで は装置の操作方向,作業面積,通路など,具体的な配置図が描かれ,それに基づき図面の見直しが幾度となく行 われた。ビーム実験棟はこの時点でも部屋の入替えなどの変更があった。しかしながら,この時点になると概ね 収束してきた。超高圧電子顕微鏡は全長が高く,保守などの都合により,中2階構造と分割基礎を採ることが確 定した。粒子線関係実験室については,漏洩X線の遮��蔽のため粒子線実験室は60 cm厚のコンクリート壁となっ た。(図Ⅲ-59に示すレイアウトの総図参照) 平成3年度の後半ともなると,設計事務所から徐々に図面が提出され,図面確認作業に追われた。この作業は 延々と約1年間続いた。 平成4年度の秋には積み残された懸案が,設計事務所と担当者の間で質疑応答の形で検討された。ビーム実験 棟で最後まで残ったのは,放射線遮��蔽の問題であった。建設費用がかさむこともあり,設計事務所も金材技研上 層部もできれば回避したいと考えていた。検討作業においても,コンクリート側壁を厚くするだけではなく,床, 天井,各種の貫通口に対する手当て,インターロックなどへの検討が必要となり,大変な労力を強いた。しかし ながら,最終的には移転推進本部の英断により,全ての必要な遮��蔽対策が採られることとなった。 (6)実験棟建設と移転実作業 平成4年末には詳細な施工図面が続々と完成し,例えば電灯のスイッチとかガス栓などの細かなチェックに追 われる毎日であった。桜地区の建設計画はやや遅れて始まったことから,千現地区の建設計画より常に少しずつ 遅れて進行した。ところが,公式の完成時期は同じということで,施工図面が完成するころには既に基礎工事が 始まるなど,かなり無理をした施工となった。実際,このころは図面のチェックが毎週のようにあったが,チェッ クが終わって返答したときには,実際の工事は既に終わっていたというような,笑い話のようなことが続いた。 従って,図面承認する場合はよいが,不承認の場合には,実は変更は不可能で,後の工事で対応するしかないと いうようなことが多かった。この頃はうかうかしていると事態は勝手に進行した。不安のある箇所については移 転推進本部に積極的に出かけてチェックしなければならないことが多かった。また,電話で追い回されて技術的 照会があり,即座に答えなければならないことも多々あった。例えば,放射線遮��蔽工事について言えば,遮��蔽上 側壁に通風口が開いていると都合が悪いと指摘したときには,既に基礎工事が終了しており手遅れであり,仕方 なく通風口に鉛遮��蔽を施すことで切り抜けた。 内装工事についてもあわただしく進行し,床材をビニール張りにしたいなどの変更希望があったが,この時期 の変更希望は概ね不可能であり,事態は勝手に進行していったという印象が強い。プレハブの事務所に何度も呼 ばれ,工事の車がぎっしりと駐車している間を縫ってたどり着き,工程会議に参加したのは今では,遠い思い出 となってしまった。 実際の移転作業は,日本通運(株)の手際良さもあり,あっけないぐらい円滑に運んだ。表面界面制御研究部関 連の分析装置類は,配線・配管及び調整にそれなりに苦労があったようであるが,その他は新設装置が多く,他 の建屋と比べるとむしろ楽であったと思われる。 (7)おわりに 平成8年度現在,ビーム実験棟には,精密励起場ステーション及び表面界面制御研究部などが入っている。前 者は,高分解能励起場研究ユニット,複合励起場研究ユニット及び中性粒子励起場研究ユニットより構成され, 電子,イオン,フォトン,中性粒子などあるいはそれらの重畳による精密励起を利用したミクロレベルの物性計 測・制御技術の確立を目指している。すなわち,イオン照射下での超高圧電子顕微鏡による高分解能その場観察, イオン/フォトン励起場での時間分解・その場物性計測,さらには励起中性粒子による準安定原子緩和過程の計 測などの基盤技術を開発することを目的としている。後者は,「極高真空場ステーション」のための基礎研究とし て,極微構造物質の創製,先端的表面分析技術,あるいは超清浄真空空間中の搬送システムの研究開発を行って いる。 (こぼれ話5)賽の河原で石を積む 「一部移転」の閣議決定後,金材技研のかなりの人々は,筑波へ全面移転・集結した方が何かと都合が良 いと考え始めたと思う。事実,筆者の知る限り,昭和55年頃から毎春のように,全面移転が「重要施策」 の一つとして唱われていた。しかしながら,実際に筑波移転が実現すると信じていた人は,当初はほとんど いなかったと思う。一旦移転作業が開始されたら,全所員の研究活動は停止せざるを得ず,また生活環境も 根底から覆ってしまうことは想像に難くなかった。研究所の移転とはそれほどの大事業である。 筆者が筑波移転作業を振返るとき,その胸に去来するのは一言でいうと,「賽の河原で石を積む」という 心境である。純真な我々が,心血を注ぎ何度も徹夜をして図面や説明資料を仕上げて,ほっとするのも束の 間,その度に「悪い鬼」がやって来て,毎度積み上げた石塚を蹴散らしてしまうのである。そのうち,決し て使われないと信じつつ図面を描く哀れさにも慣れ,コピー書類の束がキャビネットから溢れる頃にやっと 移転が実現した。筆者は移転完了と同時に,それらほとんどを処分してしまったが,一時,6cm厚のバイ ンダーファイルで,8冊にまでなった。移転作業とは煎じ詰めると書類の山との戦いであったと言える。こ れに比べれば,実際の装置の運搬などは,移転本部や業者の手際良さもあったが,さほど苦しいことではな かったというのが個人的な感想である。このようなことに我が青春の数ページを費やしたことに悔いはない か? 既に過去のこととなった今,多少哀感が漂う。ただ,後輩に美田を残すことはできたのではないかと 密かに自負したい。 2.3付属施設 (1)中央監視室と共同溝 桜地区にも千現地区と同様に中央監視室と共同溝が設けられ,土地の効率的利用と保守管理の簡略化が図られ ている。目的,仕様とも千現地区と同じなので詳細は千現地区を参照されたい。 (2)冷温熱源施設 千現地区と同様,桜地区でもエネルギーセンターが設けられ,共同溝を通じて蒸気と冷水が各棟に供給されて いる。空調設備の仕様は千現地区と同じである。 ①蒸気 一般空調用,特殊空調,加湿,給湯用等の熱媒として使用する蒸気はエネルギーセンターで製造し,各実験 棟に供給する。各サブステーションでは供給された蒸気を用途別に熱交換し,各機器に送る。 ②冷熱媒 一般空調と特殊空調の冷熱源として使用する冷水は,エネルギーセンターの吸収式冷凍機にて製造し,各サ ブステーションに供給する。各サブステーションでは,供給された冷水を空調機用,ファンコイル用など用途 別に制御し,各機器に送る。 (3)電力設備 ①特別高圧配電線経路 桜地区の特別高圧配電線路は,大穂線より分岐してテクノパーク桜線という名称になり,新設の鉄塔7基 (内1基は敷地内)を経由して特高開閉所に引込まれている。桜地区の特別高圧配電線路は,平成5年3月31 日付けで建設大臣より土地収用法による事業認定を受け,鉄塔7基及び送電線路2回線を施工することになっ た。当初,一部地権者の反対に遭い難航した経緯もあるが東京電力のご協力により期限内に無事決着し,工事 着工となった。特別高圧開閉所の仕様は千現地区と同様である。図Ⅲ-60に新設工事の概要を示す。 図Ⅲ-60配置及び送電ルート図 ②特別高圧変電所 桜地区は40T級ハイブリッドマグネットという大電力を使用する特殊な実験設備があるので,同じ変圧器 を用いると,実験中に電圧変動などにより一般系に悪影響を与える可能性があるので,40T級用専用の30 MVA変圧器1台と一般用の3.5 MVA変圧器1台の2系統の変圧器を設置した。 ③自家用発電機 法的要求のある防災設備用と40T級ハイブリッドマグネットの緊急停止用CVCFのバックアップ用電源と して500 kVAの発電機を設置した。 ④中央監視制御 中央監視室の機能,機器状態標示,監視,計測の内容は建設省仕様により千現地区と同様である。 ⑤契約電力 桜地区の契約電力25,000 kWは下記のように計算して決定した。 ア)空調・衛生設備 790 kW イ)昇降機設備 5kW ウ)照明設備 150 kW エ)コンセント設備 10 kW オ)実験用機器 1,045 kW カ)40T級マグネットなど 23,000 kW (4)上水給水設備 桜地区は研究学園都市の隣接地であるが,研究学園都市条例の適用外となり,つくば市条例の制約を受ける地 域である。つくば市の地区計画条例によって,この地区に建設される建築物の高さは最高で20mに制限されて おり,高置水槽を設置しても落差式によっては必要な圧力が得られないので,圧送ポンプにより加圧して送る方 式を採用して,必要な圧力が得られるようにした。上水受水槽および圧送ポンプの仕様を図Ⅲ-61に示す。 上水受水槽 材質 FRP製合板型 容量 36 m3 台数 1台 上水圧送ポンプ 型式 加圧式ポンプ 制御 インバーター制御 容量 5.5kW 台数 3台 流量 760 L/min 図Ⅲ-61 上水受水槽および圧送ポンプの仕様 (5)実験冷却水 建物の高さに20mの制限があり,上水と同様,落差方式が使えないので,ここでも加圧ポンプによる圧送方式 を採用して,必要な圧力を確保している。地下水槽,加圧ポンプの仕様を図Ⅲ-62に示す。 磁界実験棟地下水槽 沈砂槽 100 m3 受水槽 170 m3 加圧ポンプ 型式 インバーター制御 水量 400 L/min 圧力 7.5kg/m2 動力 45 kW 台数 3台 図Ⅲ-62地下水槽,加圧ポンプの仕様 (6)研究廃水処理施設 研究廃水処理施設設置の基本方針は千現地区と同じである。処理能力は以下の通りで,千現地区のほぼ1/10で ある。桜地区での分析は一般廃水の水質分析のみ行い,その他の分析は千現地区に運んで行っている。 有機系原廃水: 504 L/年最大排出量 無機系原廃水:1,349 L/年 〃 スクラバー廃水:4,500L/年 〃 研究一般廃水: 72L/日 〃 (こぼれ話6)絵に描いた餅 足掛け8年間という永きに亘った筑波移転作業において,終始基本理念として掲げられた合言葉は,単な る物理的移転ではなく「新しい材料研究所の創設」を行うことであった。何度も挫折しそうになった作業者 ならびに全所員の心を支えてきたのは,この合言葉であった。第4次長期計画などによると「新しい材料研 究所」を具体的に形にする試みの一つとして「極限場研究センター」が創設されたと理解される。すなわ ち,金材技研は移転を契機として,最新鋭の設備や研究環境を持つに到ったが,今後は,世界の材料科学の 基盤構築に貢献する先導的基礎研究を行うとしており,「極限場研究センター」はその新しい研究展開への 突破口と位置づけることができる。とりわけ,「ビーム実験棟」の建設は,筑波移転の以前に研究所内の組 織的根拠がなかったという意味で,それを象徴するものである。ビーム実験棟が金材技研にとって新規の研 究分野を扱っているため,政策的な要因に左右される面があり,移転計画検討・立案から現在の姿に至るま でに,いくつかの重要な転換期があった。 新規の研究プロジェクトに乗り出すときは,通常は小規模の装置で多少の実績を積み,機が熟した頃に発 車ということになる。ところが新規実験棟の建築については,建てるか建てないか2通りしかなく,いきな り巨額の投資に向かうことになる。一般論として,装置があれば建物を造る決断はできるし,建物があれば 装置を造り易い。鶏と卵の関係である。いずれにしろどの時点かで一見矛盾した決断をしなければならない のは事実である。ビーム実験棟に関しては,当初,核となる研究テーマの裏打ちが少なく,原子力研究で超 高圧電子顕微鏡を中心とするプロジェクトが順調に走り出し,重イオン加速器関連テーマに目処が立つまで は,いわば絵に描いた餅であった。具体的作業を行う過程に入っても指導部の迷いがしばしば露呈し,作業 部隊に動揺と孤立感が広がったのは残念であったが,指導部の悩みが尽きなかったことは想像に難くない。 その困難な決断を成遂げられたことに対して指導部並びに関係各位に深く感謝する。 第4節その他の基盤的施設 1.情報 筑波移転に伴う研究本館及び各実験棟のインテリジェント化構想は本館WGが担当した。検討の開始とほぼ 同じ時期に,共用計算機のリプレースに伴ってイエローケーブル(10BASE-5)を用いた簡単なネットワークが 目黒本所及び筑波支所に構築されたことから,その運用の経験を参考に移転後の研究所には本格的なLAN (ローカルエリアネットワーク)を新設することとなった。旧LANは電子計算機の共同利用を主目的とし,それ に様々な工夫を行ってメ ール交換も行えるようにしたものであったが,新設されるLANシステムでは当初から 電子計算機の共用や研究・計測情報の交換にとどまらず,OA, LAなどの多様な用途に対応でき,また多様な メーカーの機器が接続できる,いわゆるマルチベンダ汎用LANとして構想された。ネットワークの事実上の詳 細設計と施工管理は本館WG内に設置されたネットワークタスクグループが担当した。タスクグループではさ らにネットワークの利用方法についても検討を行い,平成6年3月に「ネットワーク利用の手引き」第1版が纏 められた段階で,ネットワークの運用管理業務はタスクグループから管理部研究支援課に引き継がれた。表Ⅲ- 26にネットワーク構築の経緯を示す。 表Ⅲ-26ネットワーク構築の経緯 年月日 事 項 平成2年4月 目黒・筑波支所で10 base 5 (イエローケーブル)によるLANをそれぞれ構築 平成5年12月25日 FDDI.10base T (統合配線)による新設LAN完成 ネットワークサーバー稼働開始,千現・桜地区間256 kbps 平成6年3月 共用端末152台,ネットワークプリンター 24台設置 4月 全職員ユーザー登録完了 6月 用高速計算機稼働開始 平成7年3月 共用端末14台増設,World Wide Web (WWW)ホームページ開設 4月 STAネット接続(256 kbps) 平成8年3月 共用端末45台増設,超高速計算機稼働開始,千現・桜地区間155 Mbps 国際理学ネットワーク切断 5月 メールサーバー高速化,STAネットワーク高速化(1.5 Mbps) WWWホームページ本格運用開始 1.1ネットワークの全体像 研究所内の本館,実験棟など各建物を結ぶ幹線には100 MbpsのFDDIが用いられ,ハブから各利用者までの 接続は10BASE-T規格となっている。幹線をFDDIとしたのは伝送速度を大きくするためであるが,屋外配線 に光ファイバーを使うことによって落雷の被害を避けることも考慮されている。建設の時点ではイーサネット汎 用LANとしてスタートしたが,将来FDDI汎用LAN,超高速汎用LANへと発展するであろうことも想定して 幹線の光ファイバーはマルチモードおよびシングルモードの2重配線となっている。千現地区と桜地区の建物内 部は電話とLANでケーブルを共用する統合配線システムが採用されており,利用者は手近の情報コンセントか らLANに機器を接続することができる。情報コンセントは執務室,研究居室,実験室などのあらゆるところに設 置されており,執務室と研究居室の主要部分には共用端末が配置されている。 目黒地区では統合配線の敷設が行われず,旧LANのイエローケーブルをそのまま利用しているが,各利用者 との接続は他の地区と同じくハブを経由した10BASE-T規格を主体としたものとなっている。千現地区,桜地 区,目黒地区は専用回線で結ばれており,別のサイトであることを意識することがない使い勝手となっている。 図Ⅲ-63金材技研ネットワークシステム全体像 新設されたLANの標準通信プロトコルはTCP/IPであるがアップルトークなどにも対応している。アプリ ケーションレベルではDNS (ドメインネームサービス),NIS(利用者データサービス),LaMail(基幹グループ ウエア),インターネットメイル,インターネットニュースが標準サービスされている。 ネットワークシステムの全体像を図Ⅲ-63に示す。また図Ⅲ-64に千現サイトの各建物を結ぶ幹線光ファイ バー網の概要を示す。 図Ⅲ-64幹線光ファイバー網の概要 1.2共用端末とグループウエア 平成6年3月には152台の共用端末及び24台のネットワークプリンターが導入され,4月には全職員のユー ザー登録が完了した。共用端末は主として研究所内の事務連絡に用いるパソコンで,管理部門では課長以上の全 職員および全ての係に1台ずつ,研究部門では部長・総合研究官室など,および平均して2スパンの研究居室に 1台ずつ配置された。 各共用端末にはLaMailのほかワードプロセッサソフト,表計算ソフトが標準で装備されている。OA化の一 環として構築された図書検索システムも共用端末から利用できるようになっており,当然のことながら共用計算 機にアクセスすることもできる。理想的には全職員に1台ずつの共用端末を配布することが望ましいが,限られ た予算の範囲で事務連絡などの電子化を早期に実現するために,当初は研究部門よりもコンピュータに馴染みの 薄い管理部門に厚く配置した。 LaMailでは電子メール,掲示板,電子会議,施設予約,スケジュール管理のほかインターネットニュースにも アクセスすることができる。新LANの運用開始に合わせて,それまで印刷物で配布されていた所内広報は廃止 された。LANの利用者登録はカードキー番号の取得を前提としており,カードキー番号はLaMailのユーザー番 号,図書管理システムの利用者コードと共通である。 1.3インターネット環境 平成5年12月25日の施設引渡しの時点で国際理学ネットワーク(TISN)に接続され,インターネット環境が 整備された。その後,平成6年度には科学技術庁ネットワーク(STAnet) /省際ネットワーク(IMnet)にも接 続された。運用の当初はインターネットメイルとインターネットニュースのみであったが,平成7年3月には WWWホームページが開設され,平成7年末には共用端末にWWWブラウザ(Netscape Navigator)も導入さ れた。 1.4電話 ①設備の概要 旧目黒本所及び筑波支所の電話は,クロスバ交換機により交換手を中継して受信していたが,移転後は,デジ タル交換機によるダイヤルイン方式を採用した。構内交換機の内線にNTTの電話番号を割り当て,NTTの電話 番号をダイャルすることにより直接構内交換機の内線を呼び出す方式であり,構内交換機が交換手の役割をす る。実回線1本で複数の内線への着信が可能なので,実回線数はこれまでと基本的には変わらない。 千現地区の構内交換機と桜地区の構内交換機を専用回線で結ぶことにより,両地区の通話,FAXは内線扱い となった。また,桜地区に発信専用回線を設けることにより千現地区との専用回線の使用頻度を軽減することと した。電話設備の系統を下図Ⅲ-65に示す。 図Ⅲ-65電話設備系統図 (2)運用 ①ダイヤルイン実回線 ダイヤルイン実回線数は,電話の同時使用が最大何回線になるかを想定して決めることになるが,運用計画 を策定した当初は,建設省の基準などを参考に50回線と想定した。 施設が完成し,運用開始時のダイヤルイン実回線は,筑波支所の既設実回線13本を千現地区のダイヤルイン 実回線としてそのまま利用し,桜地区には発信専用回線4本を新設した。 そして,移転の進捗に合わせて目黒本所の既設実回線を順次移設し,平成7年1月末現在千現-筑波電話局間 のダイヤルイン実回線は32本になったが,同時使用率は50%程度であり今後需要増加に合わせて増設するこ とにしている。 ②ダイヤルイン内線 ダイヤルイン内線は,着信可能な内線であり,人数と同数を使用することが最も便利と考えられるが,1回線 毎に月額900円の経費が掛かることから,数を絞って運用することが一般的となっている。そのため,ダイヤ ルイン内線数は電話機の機能,設置場所及び利用者の使い勝手などを考慮し,次のように設定した。 研究居室(客員研究官室,共同研究者室を含む)は,1スパン4名入室を標準とし電話機はそれぞれの机に1 台づつ設置し,電話機4台を1グループとしてダイヤルイン内線1本を設置する。特殊実験棟は各棟に1室は 係員室を設け,その室にダイヤルイン内線1本を設置する。管理部執務室は,1係を1グループとして1本を設 置する。その他必要と考えられる個別の業務室には1本づつ設置する。 ダイヤルイン内線は,移転に合わせて順次設置し移転完了後の総数は,当初の計画どおり250本となったが パソコン,FAXなどの増加に伴ってダイヤルイン内線も今後増えていくことが予想される。 2.入退室管理システム 防犯管理は,施設の維持管理(エネルギー管理),防災管理と合わせて庁舎管理の重要な柱である。 損害を被らないためには,侵入者を未然に防ぐことであり,警備と鍵管理が対策として上げられるが,一般的 には管理が厳重になるほど使い勝手が悪くなると言える。 移転前の既存庁舎では,全ての部屋の鍵を守衛所で保管し,入室する職員はそこで記帳して鍵を受け取り,退 室する場合は鍵を掛け守衛所に返納した。 新研究所の計画では,職員が24時間いつでも自由に出入りし実験・研究が出来ることを前提に防犯管理を検 討した。そして,カード式入退室管理システムを設置することを建設省へ要望した。 全ての職員がIDカードを保持し,通常の勤務時間以外に庁舎内に入る場合はIDカードにより庁舎通用口の電 気錠を開錠し,さらにIDカードを用いて所定のキーボックスから入室したい部屋の鍵を取り出すシステムであ る。IDカードには,前もって入りたい庁舎名を書き込むため,無用な出入りが防止される。また,カードを不正 な手順で使用した場合には守衛所に設置された中央処理装置が警報を発する。 防犯管理の基本は,無用者の無断立入りを防ぐことであり,庁舎の入口で入室者の確認が出来れば,建物外へ の退出者の確認はそれほど重要ではない。このシステムでも各室の鍵の出し入れはIDカードにより確認される が,設定した通用口の電気錠は内側からはフリーに開く。 但し,このシステムを有効に利用するためには,警備との一体管理が必要になる。庁舎にはそれぞれ複数の通 用口があり,カードで開錠できる通用口は各庁舎1箇所としたため,その他の通用口は設定した時刻に警備員が 巡回して施錠し,庁舎内に残っている職員は警備員が施錠した通用口からは退出しないことが条件となる。 防犯管理の当初計画では,通用口や窓の開放による侵入者を防止するため,入退室管理システムに機械警備シ ステムを接続することとしていた。この計画は,施設維持管理費の予算要求時に管理費が高額だったため中止と 決まったが,将来機械警備の導入計画が復活する可能性もあり,状況の概要を記す。 機械警備の設置計画では,全ての庁舎の1階を警戒区域と設定し,庁舎周りのドアや窓に侵入防止センサーを 取付けることにより警備は万全になると考えた。当時,筑波の国立研究機関では機械警備を導入しているところ はなかったが,旧目黒本所では導入していた。 機械警備システムは,警備会社とのレンタル契約により警備を保証するものが一般的であり,建設省が特定業 者の警備システムを設置する訳にはいかず,また,金材技研も3年後になる庁舎管理のために警備会社を決定す る余裕はなかった。そのため,施設の運用開始時に金材技研が機械警備システムを導入することとし,建設省に は機械警備システム設置時に露出配管にならないよう配線用配管工事のみを依頼した。配管工事は,千現地区, 桜地区とも完了している。 IDカード運用当初は,開錠出来る庁舎の変更手続きの遅さやキーボックスの使い勝手で多少の混乱があった が,慣れるに従ってそれも解消された。IDカードの表デザインは,金材技研の職員の作品である。今後も大切に 有効に利用されるだろう。 第Ⅳ章建設推進 第1節 建設検討の進め方(推進体制を含む) 155 第2節建設スケジュール 159 1.千現地区 159 2.桜地区 160 3.電力の確保 162 第3節 法令(等)に基づく許可申請 163 1. 主な許可申請・届出 163 2.建築許可申請 163 第4節 施設完成 167 1.施設所管換(施設完成引渡し) 167 2.鍵の受渡し 167 3.完成図書の引渡し 168 4.植 栽 168 5.取扱い説明 170 第5節 完成施設運営の検討 171 1.管理体制 171 2.維持管理費 176 第Ⅳ章建設推進 第1節 建設検討の進め方(推進体制を含む) 金材技研の建設工事は建設省所管の工事であり,具体的には建設省の筑波施設管理センターが責任を持って建 設するものである。従って建設工事の推進は金材技研,建設省,設計事務所及び建設工事JV (共同事業体)の4 者が協力して行うものである。 金材技研建設工事担当者一覧表(千現地区,桜地区)を図Ⅳ-1,図Ⅳ-2に示すように,建設工事は総括監督員 (建設省)の基に(建築),(電気),(機械)の3建設部門に分かれる。工事請負者は(建築)部門では(建築第Ⅰ 工区)と(建築第Ⅱ工区)に分かれ,(電気)部門では(電力),(通信),(受変電)に分かれ,(機械)部門では (空調),(衛生),(エレベーター),(研究廃水処理)に分かれる。各工事請負会社を図Ⅳ-1, 2下部に一覧で示し ているが,建築部門の工事請負会社のみを紹介すると,千現地区では,建築第Ⅰ工区(研究本館:標準実験室ゾー ン,研究居室ゾーン,管理ゾーン,厚生ゾーン)は鴻池,中野,新井JV (共同事業体)であり,建築第Ⅱ工区 (材料創製実験棟,材料強度実験棟,精密計測実験棟,ファインプロセス実験棟)は間,飛島,真柄JVであった。 桜地区では,建築第Ⅰ工区(磁界実験棟,ビーム実験棟,廃水処理施設)は熊谷,鉄建,大木JVであり,建築第 Ⅱ工区(管理・研究棟,高圧開閉所,車庫)は大日本土木であった。 工事に伴う主要な打合せ会議は週間工程総合定例会議(週間工程会議)であり,この会議と4者との関係のフ ロ ー図を図Ⅳ-3に示した。 図Ⅳ-1金材技研千現地区建設工事担当者一覧表(1991.06現在) 図Ⅳ-2金材技研桜地区建設工事担当者一覧表(1992. 07現在) 図Ⅳ-3建設工事に伴う週間工程総合定例会議と関連組織 この会議は毎週1回(千現地区:水曜日,桜地区:木曜日)開かれた。構成員は建設省(総括監督員,各建設部 門の監督員),設計事務所(各建設部門の設計監理職員),工事請負協力会社(各工事部門の現場代理人,監理技 術者(主任技術者))と金材技研(移転推進本部員)の4者約20名である。会議の内容は主に各工事の進捗状況 報告と相互の調整に関するものである。具体的には以下のとおりである。 ア)各工事部門の週間工程表・月間工程表の提出 イ)工事の進捗状況と相互の調整 ウ)突発問題,設計変更,施工変更などの報告と調整 エ)既存建物,設備との整合と調整 オ)その他 この会議の結果は金材技研では移転推進本部から移転推進委員会幹事会(幹事会)に報告,審議される。次い で移転推進委員会(推進委員会)を経て所員に報告される。金材技研の要望や質疑の回答は逆のルートで移転推 進本部を経由して週間工程会議に報告,審議される。 金材技研(移転推進本部)の建設工事協力3者以外の関連組織には住・都公団,地方公共団体など(県,市, 消防署,水道事業所など)および近隣住民などがある。 住・都公団との関係では,桜地区の土地取得及び土地取得前の地下連絡通路の建設許可などである。地方公共 団体との関係では,各種法令(等)に基づく許可申請・届出などである。近隣住民との関係では,工事に伴う近 隣住民の苦情及び要望処理である。特に近隣住民には建設工事を理解して戴くために金材技研建設工事説明会を 開催したり,また近隣住民の皆様から建設工事に関する問合せなどに対し,適切かつ迅速に対処して,建設工事 の円滑な運営をはかるために「金材技研建設連絡会議」を設立した。この連絡会議の目的,運営,問合せ窓口の 設置などを文章化し,実際の近隣住民の各問合せに対応した。表Ⅳ-1に「金材技研建設連絡会議」の内容を記す。 表Ⅳ-1 金材技研建設連絡会議の内容 金材技研建設連絡会議 1.(設置目的) 金材技研建設工事に関する周辺からの問合せなどに対し,適切かつ迅速に対処し,建設工事の円滑な進捗 をはかるため,本会議を設置する。 2.(会議の構成) 本会議は,建設省筑波研究学園都市施設管理センター(以下「管理センター」という。)金属材料技術研究 所(以下「金材技研」という。)及び,施工業者で構成する。 構成員を以下に示す。 (管理センター)工務担当課長補佐,営繕監督官(工務・建・電・機),営繕設計官(計画)及び必要に応じ 営繕設計官(設計) (金材技研)推進室担当部長,推進室担当官,管理課担当官 (施工業者)各発注工事の代表者 オブザーバーとして,設計監理担当者も構成員とする。 3.(会議の運営) 本会議は,管理センター工務担当課長補佐が主査としてとりまとめる。審議内容は,主に以下の事項とす る。 1)周辺からの問合せなどの情報収集 2)上記についての対応方針の検討及び決定 3)事後調査報告などの情報交換 4)その他 会議の開催は以下に示す定例会議と臨時会議とする。 ・定例会議:月1回第1週の水曜日 金材技研総合定例会議(毎週水曜日午前)に引続き開催 ・臨時会議:必要に応じ開催 4.(問合せなど窓口の設置) 本会議は,周辺からの問い合わせなどに対し,管理センター,現場(施工業者),金材技研にそれぞれ担当 窓口を設置して対応する。 以下の図を参考とする。 周辺からの問合せなど 工事施工に関する問合せ 施設運営管理に関する問合せ 個人 自治会(町会) 個人・自治会(町会) 現場窓口(施工業者) 管理センター窓口 金材技研窓口 建築Ⅱ工区現場代理人 工務班営繕監督官 (建設担当) 筑波管理課 一方,桜地区の近隣住民は団地造成中なので殆どなく,先住の隣接会社である(株)東京電機のみだったので, この会社とは節目毎に連絡を密に取合い対応した。 その他の金材技研(移転推進本部)が出席する工事に伴う打合せ会議は以下の3会議である。 ア)特殊装置など検討委員会(必要に応じて随時):主に,研究などに使われる特殊な実験装置などにつ いて,機器の特殊性,装置類の使用目的などを現場サイドに熟知させると共に,施工上の取合い問題点 を事前に打合せる会議。建設省設計担当者,設計事務所担当職員,設計管理,監督,請負者及び金材技 研が出席する。 イ)設計担当者会議(隔週程度):主に,設計変更に関する内部会議であり,建設省設計担当者,設計事務 所担当職員,金材技研の3者で行う。 ウ)全体会議(毎月1回):主に,金材技研工事の全体工程の把握,予算執行上の問題点,発注計画などに 関する会議。建設省計画,設計担当者,設計管理,監督及び金材技研が出席する。 これら会議の結果は幹事会に報告,審議され,必要に応じて各WGに検討させた結果を幹事会に報告,審議さ れ最終結論を得る。 第2節建設スケジュール 金材技研の筑波移転に関する全体スケジュールを表Ⅳ-2に示す。千現地区および桜地区の2地区の建設工事に 先立ち,いずれも「土地の取得」と「基本設計・実施設計」が行われた。建設工事の起工式は千現地区では平成 3年4月25日に,桜地区では1年遅れの平成4年4月20日に安全祈願祭が行われ,本工事の着工はいずれの地 区も式の翌日である。 表Ⅳ-2金属材料技術研究所の筑波移転に関する全体スケジュール 開始 終了 平成元年度 平成2年度 平成3年度 平成4年度 平成5年度 平成6年度 平成8平成7年度 1.施設建設関係 (千現地区) ①土地取得 ②基本設計・実施設計 ③施設建設 造成工事 建設工事 (桜地区) ①土地取得 土地確保対策 ②基本設計・実施設計 ③施設建設 建設工事 (材試地区) ③施設整備 2.移転・移設 3.設備の更新 S.63.7/19 閣 議 決 定 移 転 対 策 8/25 筑 波 移 転 9/1 千 現 所 管 換 閣 議 決 定 4/25 千 現 起 工 式 8/1 桜 仮 換 地 12/27 桜 所 管 換 10/7 移 転 開 始 建 物 引 渡 し 6/30 法 的 移 転 7/1 移 転 整 備 完 了 1.千現地区 千現地区の建設工事スケジュールを表Ⅳ-3に示す。第Ⅰ工区(研究本館の管理・厚生ゾーン,研究居室ゾーン, 標準実験室ゾーン)の建設工事は地下1階地上8階の大きな研究本館の建設のために,約2年半の長期間である が,第Ⅱ工区(材料創製実験棟,材料強度実験棟,ファインプロセス実験棟,精密計測実験棟,その他)の建設 工事期間は約2年弱であり,研究本館より先に完成した。この地区全体の建設工事の完成・建物引渡し日は平成 5年10月7日であった。 千現地区の建設工事で特徴的なことは,金材技研筑波支所が活動したまま建設する点である。当時の状況は, 約110名の職員が既存棟(研究本館:現在の物性解析実験棟,構造材料実験棟,表面界面制御実験棟,特殊材料実 験棟,特殊雰囲気中高温特性実験棟,超電導材料実験棟,構造材料実験棟)で活動していた。工事の進行と共に, 生活環境が悪化した。例えば,計画的または突発的な断水と停電,生活通路の制限,騒音と振動,食堂問題など などである。筑波支所職員の生活と安全を確保するために,移転推進本部,筑波支所管理課および支所長の3者 が調整役となった。筑波支所職員の生活に関わる工事については,週間工程会議で,また直接建設現場と調整し た。職員には生活関連工事スケジュールを周知させ,協力が得られたので建設工事中,事故は皆無であった。こ の建設期間中,長期間にわたり筑波支所の職員は書面に書き尽くせない程の多大な迷惑と不自由さを余儀なくさ れた。 表Ⅳ-3金属材料技術研究所(千現地区)建設工事スケジュール 開始 終了 1991.3. 28 棟 名 月 2 平成3年度 3 4 5 6 7 8 9 101112 123456 7 8 9 101112 123456 7 8 9 10 11 平成4年度 平成5年度 (Ⅰ工区) 本館 管理・厚生棟 杭工事基礎コンクリート打ち 躯体完成 完 成 引 渡 し 研究居室・標準実験棟 杭工事基礎コンクリート打ち 躯体完成 出来た階から内外装仕上げ 完成検 査 材料創製実験棟 杭工事基礎コンクリート打ち 完成 材料強度実験棟 杭工事基礎コンクリート打ち 完成 ファインプロセス実験棟 杭工事 基礎コンクリート打ち 躯体完成 完成 精密計測実験棟 杭工事 基礎コンクリート打ち躯体完成 完成 その他 伐採,仮囲い 関連事項 4/25 千 現 起 工 式 8/1 桜 仮 換 地 12/27 桜 所 管 換 10/7 建 物 引 渡 し 2.桜地区 桜地区の建設工事スケジュールを表Ⅳ-4に示す。本格的な建設工事に先行して地下連絡通路の建設工事が平成 3年11月から始まり平成4年3月に完成した。この工事を先行しなければならない理由は,桜地区の土地は住 宅・都市整備公団が土地開発している「つくばテクノパーク桜」団地の一画を占めており,幅16m道路を挟み北 と南の地域に2分されるため,両地域を地下連絡通路で結ぼうとするものである。住宅・都市整備公団による16 m道路の建設工事が平成4年4月から開始されるので,それまでに地下連絡通路建設を終えなければならなかっ た。丁度その時期,桜地区の土地は仮換地指定(平成3年8月1日)を受け,住宅・都市整備公団の所有になっ たばかりで,所管換(譲渡契約:平成3年12月27日,金材技研の所有地となる)前であったため,先行工事許可 が得られるまでに多くの努力が払われた。住・都公団,建設省,つくば市などの協力により地下連絡通路工事の 許可が得られた。 この地区での本格的な建設工事は平成4年4月21日から開始,第Ⅰ工区(磁界実験棟,ビーム実験棟,研究廃 水処理施設,外構,植栽など)と第Ⅱ工区(管理・研究棟,高圧開閉所・車庫など)に分かれ建設工事が行われ (Ⅱ工区) た。この地区の建設工事は巨大な磁界実験棟(縦約100m,横約100m,地下3階,地上2階)建設の難工事が含 まれていたにも関わらず,約20ヶ月の短期間工事で完成させ,平成5年12月1日に建物が引渡された。 表Ⅳ-4金属材料技術研究所(桜地区)全体工程表 平成4年1月 施設名・項目 平成3年 平成4年 平成5年 備考456789101112123 456789l01112123 456789101112123 磁界ステーション ビームステーション (Ⅰ工区) 研究廃水処理施設 外構 植栽 地下連絡通路 管理研究棟 (Ⅱ工区) 高圧開閉所・車庫 外構 植栽 関連事項 主要経過及び スケジュール 桜地区の建設で多大な労力を注ぎ,忘れてならないものに「土地の取得」がある。金材技研桜地区の土地取得 に関する経緯を以下に示す。 昭和62年9月21日 金属材料技術研究所より筑波地区への全面的結集を庁議に報告。 昭和62年9月28日 本庁内に金属材料技術研究所筑波移転準備室が設置(庁議決定)。 昭和63年7月19日「国の行政機関等の移転について」が閣議決定され,その中で,金材技研は,「移転の対 象とする行政機関」とされた。 昭和63年8月31日 昭和64年度特定国有財産整備特別会計要求において,桜地区の土地取得を昭和65年 度と明記。 昭和63年12月20日 桜地区の土地取得計画の取扱いについての関係機関(国土庁,建設省,住・都公団,科 学技術庁,金材技研)での意見調整。 平成元年2月10日土地対策関係閣僚会議において,「国の行政機関等の移転先地について(第1次とりま とめ)」が報告され,その中で金材技研の移転先地は筑波研究学園都市(茨城県つくば 市)とされた。 平成元年6月22日 平成2年度特定国有財産整備特別会計要求において,桜地区の土地取得は平成3年度 になった。 平成2年2月13日 桜地区に立地する件で関係機関(国土庁,建設省,住・都公団,科学技術庁,金材技研, 茨城県)の打合せ会議。 平成2年6月28日「金属材料技術研究所筑波移転に係る土地取得に関する協力依頼について」を科学技術 庁研究開発局長から住・都公団総裁及び茨城県知事に提出。 平成3年8月1日 金材技研予定地の南ブロックの住・都公団への仮換地指定が発行(北ブロックは住・ 都公団の保留地)。 平成3年10月17日 大蔵省関東財務局鑑定官による現地検分。 平成3年11月12日 大蔵省関東財務局長より公式に,住・都公団つくば開発局長宛に「国の庁舎敷地の譲渡 について(照会)」を提示。 平成3年12月20日 大蔵省関東財務局長からの「照会」に対し,住・都公団つくば開発局長からの回答。 平成3年12月27日 大蔵省関東財務局と住・都公団で桜地区土地売買契約締結。 以上の経過を経て,平成3年12月27日に大蔵省関東財務局と住・都公団で桜地区土地売買契約が締結し,用 地を確保することができた。 3.電力の確保 建設スケジュールに載っていないが,建設に関わる重要な事項の1つに「電力の確保」がある。金材技研敷地 内の高圧開閉所まで高圧電力ケーブルを敷設する工事は東京電力(株)が行うことになっている。 千現地区での高圧ケーブルの敷設は比較的順調であった。この地区での高圧電力ケーブルは工技院の高圧送電 用鉄塔から分岐され,宇宙センター敷地内に新設した高圧送電用鉄塔に送られ,この鉄塔の根元で地下ケーブル となる。この地下ケーブルは遊歩道(洞峰公園-二宮公園)を北上し,千現地区高圧開閉所に接続される。この ルートが確保されたのは,工技院,宇宙センター,また遊歩道沿いケーブル敷設工事期間中の近隣住民の協力に よるものである。 一方,桜地区では磁界実験棟での使用電力が膨大であるために,金材技研独自の高圧ケーブルを敷くことに なった。高圧送電線(大穂線ルート)から分岐した送電線は,桜地区まで新設7基の鉄塔を経て桜地区の高圧開 閉所に接続される。この新ルートを得るためには,鉄塔建設地の地権者と高圧送電線直下の地権者の許可が必要 であり,なかなか許可が得られず難航したが,東京電力(株)の努力と地権者の協力により期日までに解決した。 (こぼれ話7)タンクローリー数台分(?)の高圧ガス 金材技研の全面移転に当たりこの筑波支所に研究本館を始めとし,4つの特殊実験棟を建設することとなっ た。建設に当たっての手続きの最後が住民同意である。同意取得が70%を越えた頃,金材技研南側の千現1 丁目自治会から説明会の開催を要望された。建設に付随した廃液処理施設,高圧ガスなどについて住民の一部 に不安が高まったようである。今回の同意書取得用の資料からその存在を見つけ,「汚いもの,危険なものを 住民の近くに設置するのではないか」との不満・不安であった。南側は大きい通りに面していないため,セッ トバック(道路から建物が造れる距離)が東大通り,南大通りの30 mに対し10 mである。金材技研では, 以前からその場所に廃液処理室が設置してあった。説明会での質問に対しては,「今までの廃液処理室は食堂 としても使用しており,有害薬品などの心配はない」と説明したが,なかなか理解を得られなかった。高圧ガ スの水素では,ボンベを数本置く予定であるのを数台のタンクローリーで搬入するものと勘違いしたものなど があり,説明が大変であった。この説明会後に,構内外周道路の南側に設置予定のボンベ庫をファインプロセ ス実験棟の近くまで移動することとなり,近隣の皆様の理解を得ることができたのは何かに付け近隣への配慮 を最優先したものであった。 第3節 法令(等)に基づく許可申請 1.主な許可申請・届出 今回の筑波移転では,施設・設備の新設,既存施設・設備の改造や撤去あるいは物品の移動が多数行われたが, 一般に施設や設備をあらたに建設,設置,改造,変更,移動,撤去するときは様々な許可申請や届け出が必要と なる。これはその施設や設備のある周辺地域における景観,秩序,環境,安全などを勘案する,公共システムと の整合をはかる,及びその施設内で働く人の環境,安全などを考慮するなどの目的で行われるもので,すべて何 らかの法律,条例,規則,規定,規制,協定などの根拠に基づいており,提出書類の様式,提出者,提出先,提 出時期などが定められている。対象となるものは施設全体の場合から特定の施設あるいは特定の設備・物品にい たるまで実に多様である。しかもその対象をある一つの施設或いは設備に限定したとしても建築基準法,消防法, 電気事業法,高圧ガス取締法,人事院規則など複数の根拠に基づく規制を受けることが多い。また提出先も対象 が何に基づいて規制されるかによって,国,県,市町村,所轄分署,管轄法人など多岐にわたる。 金材技研が今回の筑波新設・移転の過程で提出した上記のような届出などのすべてを逐一網羅すると厖大とな り,その中には建設省や建設業者が半ば形式的,事務的に処理したものも含まれるので,それらの中の主なもの を示すことにする。施設建設に係わる申請手続については,資料の3を参照。また表Ⅳ-5は移転に伴う設備など の移設(廃棄)に係わる申請手続きであり,表Ⅳ-6は建築基準法に係わる薬品類・石油類・高圧ガス類などの計 画保有量を示したものである。 表Ⅳ-5移設(廃棄)設備に関する申請手続き一覧 設備名 申請・届出名 提出先 提出期限 法 令 備 考 高周波利用 設備 高周波利用設備許可申 請(変更) 関東電気通信 監理局 設置工事前 電波法 担当:庶務課安全係 騒音発生特定 施設 特定施設設置届 つくば市 設置工事 30日前 騒音規制法 プレス剪断機等 担当:庶務課安全係 振動発生特定 施設 特定施設設置届 つくば市 設置工事 30日前 振動規制法 プレス剪断機等 担当:庶務課安全係 高圧ガス製造 設備 高圧ガス製造施設変更 承認申請 茨城県 着工30日前 高圧ガス 取締法 危害予防規定の変更 担当:庶務課安全係 保安統括者等の選任 第1種(2種) 圧力容器 設備届(設置・変更・ 廃止) 科学技術庁 完了後 すみやかに 人事院規則 10-4 担当:技術課技術係 X線発生 装置 X線装置届(設置・ 変更・廃止) 科学技術庁 完了後 すみやかに 人事院規則 10-5 担当:技術課技術係 2.建築許可申請 建築許可申請のための手続きとして,資料3にある「計画通知(確認申請)」を提出する以前に,今回の千現地 区における新規の施設建設に当たって,周辺住民の同意を伴う建築許可申請が必要であった。そしてこれをクリ アすること無しには建設が全く着工し得ないきわめて重要なものであり,しかも単なる事務手続ではなく,金材 技研としても住民同意の獲得に相当のエネルギーを使ったのでここに詳述する。 表Ⅳ-6建築基準法に係わる薬品類・石油類・高圧ガス類などの計画保有量 1.薬品類 品 名 単独で同意を必要とせ ずに住居地域に貯蔵で きる数量 金属材料技術研究所が 移転時に貯蔵する数量 指 数 金属材料技術研究所での用途 塩素酸塩類 50 kg 6.5 kg 0.13 金属組織観察用試薬 過塩素酸塩類 50 kg 9.0kg 0.18 〃 硝酸塩類 1000 kg 34.0kg 0.034 〃 赤 燐 50 kg 1.0kg 0.02 〃 金属マグネシウム 500 kg 36.0kg 0.072 合金原料 過酸化水素類 50 kg 42.5kg 0.85 金属組織観察用試薬 過酸化ソーダ 50 kg 1.5kg 0.03 〃 過酸化バリウム 50 kg 3.5kg 0.07 〃 メタノール 200 ι 174.0ι 0.87 試料,装置の洗浄用 アルコール 200 ι 176.0ι 0.88 〃 エーテル 50 ι 18.0ι 0.36 〃 アセトン 100 ι 116.0ι 1.16 〃 酢酸エステル 200 ι 22.0ι 0.11 〃 ベンゾール 100 ι 44.0ι 0.44 〃 トリオール 100 ι 20.5ι 0.205 〃 キシロール 500 ι 14.0ι 0.028 〃 ピクリン酸 200 kg 7.0kg 0.035 金属組織観察用試薬 カーバイト 300 kg 1.0kg 0.003 合金原料 2.石油類 品 名 単独で同意を必 要とせずに住居 地域に貯蔵でき る数量 金属材料技術研 究所が移転時に 貯蔵する数量 指 数 金属材料技術研究所での用途 第1石油類 500 ι 240.5ι 0.481 主としてガソリンや材料の洗剤用の有機溶剤 第2石油類 2500 ι 66.0ι 0.0264 主として氷酢酸で写真現像 第3石油類 10000ι 62.0ι 0.0062 主としてグリセリンで金属組織観察用試薬 第4石油類 15000ι 9970 ι 0.6647 モータ油などで主として疲労試験機の作動油 3.高圧ガス類 品 名 単独で同意を必 要とせずに住居 地域に貯蔵でき る数量 金属材料技術研 究所が移転時に 貯蔵する数量 指 数 金属材料技術研究所での用途 圧縮ガス 350 m2 1015m2 2.90 主としてアルゴンで不活性雰囲気をつくるため 液化ガス 3500 kg 25900 kg 7.40 主として窒素で実験装置の冷却用 可燃性ガス 35 m2 269 m2 7.69 主として水素で雰囲気調整用 2.1法的な根拠 一般に,市街化区域は都市計画法により用途地域が定められており,建築基準法ではそれぞれの用途地域にふ さわしくない建物の建築を制限している。(都市計画法第9条・建築基準法第48条) 千現地区の用途は都市計画法で住居地域に指定されているため,通常の意味での研究所の用途に供する建物は 建築できることになっている。ところが,ある条件,例えば次の各号のような場合は原則として建築してはなら ないこととなっている。(建築基準法別表第二(は)・同施行例116条及び130条の9) ア)用途上「工場」とみなされるような施設 イ)一定数量以上の各種危険物を貯蔵する施設 そして千現地区に計画していた施設では薬品類・石油類・高圧ガス類の貯蔵量が住居地域内の制限量を超えて 上の法令に抵触し(表Ⅳ-6参照),そのままでは新規移転のための建築は出来ないことになる。 しかしこのような場合でも,環境を害さず,公益上やむを得ないと特定行政庁(金材技研の場合は茨城県建築 指導課)が認めて許可した場合には建築出来ることになっている。(建築基準法第48条第3項) そのために千現地区への移転による新たな施設建築にあたっては,着工のための「計画通知」以前に建築許可 の申請を行う必要があった。 2.2許可申請の手続 建築許可申請提出するまでの手続の概要を表Ⅳ-7に示す。 作成した建築許可申請書と添付資料をもとに地権者及び住民に説明して同意書を取得した後,つくば市,筑南 消防本部,茨城県建築指導課の指導・意見などを参考にしつつ公開聴聞会,建築審査会の議を経て,茨城県知事 宛に提出し,平成2年10月19日に建築許可が交付された。 2.3住民同意取得のための活動 上記の住民同意を取得するに当たって,金材技研では「住民同意取得チーム」を設置し,建設省筑波管理セン ターと協力して活動を行った。同意書を必要とする数は敷地境界(テニスコート分は除く)から50 メートルの 表Ⅳ-7建築許可交付までの事務処理に関するスケジュール 範囲の地権者,建物所有者及び居住者で,およそ320件あり,それらに対し1件ごとに説明資料を持って同意取 得の訪問を行った。その結果,約2ヶ月の活動の後に必要な同意件数(247件,77%)を取得し,建築許可申請の 要件を充たすことが出来た。この間,住民側からも多くの意見や要望が出されたので,出来る限り建設計画に反 映することに努め,ボンベ庫の配置についてのレイアウト変更などを行った。住民同意を取得するための依頼文 (表Ⅳ-8)と,同意書取得の集計結果(表Ⅳ-9)を以下に示す。 表Ⅳ-8依頼文内容 周辺住民・地権者の皆様へ 金属材料技術研究所の施設増設に関する同意についてのお願い 科学技術庁金属材料技術研究所の研究活動に関しましては,常日頃からご理解とご支援を賜りまして,誠に ありがとうございます。 金属材料技術研究所は,金属に関する基礎から応用までの一貫した研究を進めるために,科学技術庁の付属 機関として昭和31年に東京都目黒区に設置され,その後昭和54年には筑波支所を開設して,2地区で研究活 動を行ってきました。その間,開かれた研究所として国内のみならず,国外の研究機関との研究交流を積極的 に推進し,高度な知識と技術の蓄積をはかって新材料の開発や材料信頼性確保に関する研究を行い,その研究 の成果は世界的にも広く知られるようになって参りました。 この度,昭和63年7月19日の閣議決定「国の行政機関等の移転について」の方針により,金属材料技術研 究所は平成5年度を目標に全面移転することになり,すべてのスタッフを筑波に集結させて新しい研究をス タートすることになりました。 金属材料技術研究所において研究を実施するにあたっては,研究・実験に必要な薬品類・石油類・高圧ガス 類を常時小出しにして使用することができるように,常に最小限の所定量を貯蔵しておくことが必要です。金 属材料技術研究所の敷地は,都市計画法によって住居地域に指定されており,全面移転後の新しい金属材料技 術研究所での研究規模では,建築基準法施行令第116条及び第130条の9に定められた住居地域内における数 量を超えてしまいます。この貯蔵量は,研究所として決して多い量ではありませんが,金属材料技術研究所の 全面移転のための施設の増築にあたり,建築基準法第48条第3項により,茨城県への建築許可の申請が必要 となっております。このためには,敷地周辺の住民・地権者の方々の建築許可に関する同意が必要とされてい ます。金属材料技術研究所では研究・実験の実施のために貯蔵する薬品類・石油類・高圧ガス類を,薬品庫や ボンベ庫を設けて安全に保管し,資格所有者をもって慎重に管理するとともに,当敷地の周辺に緑地帯を設け て,周辺住環境に影響を及ぼすことのないよう配慮して参りたいと考えております。 つきましては,上記趣旨をご理解の上,別添同意書についてご承諾下さいますようお願い申し上げます。 平成2年6月 日 科学技術庁金属材料技術研究所 表Ⅳ-9金属材料技術研究所施設増設に関する敷地境界外50m関係者の同意書取得状況 権利種別 対象者数 同意数 % 反対者数 保留数 土地と建物所有 55 47 85.5 1 2 土地所有 68 46 67.6 2 2 建物所有・管理 (8 人)(11人) 19 18 94.7 住民(居住者) 177 136 76.8 7 2 合 計 319 247 77.4 10 6 第4節施設完成 1.施設所管換(施設完成引渡し) 平成3年4月25日の千現地区起工式より平成5年12月1日の桜地区完成まで約2年8ヶ月の期間を要して 建設された新施設の引渡しは千現地区,桜地区ごとに建築,設備関係の現場確認後に行われた。 建設省の本省専門検査官が子細なる完成検査後,千現地区は平成5年10月7日,桜地区は平成5年12月1日 に金材技研へ所管換された。植栽工事は両地区とも3月17日に完成となり,引渡しを受けた。 引渡しに伴う物品などは施設施錠鍵,完成図(原図,製本図),施工図,試験成績書,取扱い説明書,予備品, 各種法的届出書などを建設省仕様書に基づき指定数量を受領した。引渡しを受けた建築物は表Ⅳ-10に示すとお りである。 表Ⅳ-10建築物面積一覧 千現地区建築物 建築面積(m2) 延床面積(m2) 第Ⅰ工区 研究本館(研究居室,標準実験室,管理, 6,008 29,206 厚生各ゾーン) 第Ⅱ工区 精密計測実験棟 1,598 2,633 ファインプロセス実験棟 2,402 5,738 材料強度実験棟 2,944 4,233 材料創製実験棟 3,872 4,302 付属棟 研究廃水処理棟,車庫,その他 1,480 1,480 合計 18,304 47,592 桜地区建築物 建築面積(m2) 延床面積(m2) 第Ⅰ工区 磁界実験棟 4,221 7,186 ビーム実験棟 1,646 3,219 第Ⅱ工区管理・研究棟 1,163 3,468 付属棟 研究廃水処理棟,その他 736 736 合計 7,766 14,609 2.鍵の受渡し 施設の施錠鍵の受渡し時点で,実質的に庁舎管理が建設省から金材技研に移行し,当研究所の施設維持管理経 費予算が執行されることとなった。 引渡しを受けた鍵の数は以下のとおりである。 千現地区 研究本館 565ヶ所 (研究居室,標準実験室,管理,厚生各ゾーン) ファインプロセス実験棟 157ヶ所 精密計測実験棟 76ヶ所 材料強度実験棟 72ヶ所 材料創製実験棟 45ヶ所 その他付属棟 102ヶ所 計1,017ヶ所 その他にマスターキーとして,GGMK, GMK, MK,電気室共通鍵,機械室共通鍵が20種あり,合計1,037種 の鍵を受領した。 桜地区 管理・研究棟 75ヶ所 磁界実験棟 151ヶ所 ビーム実験棟 121ヶ所 計 347ヶ所 その他にマスターキー GGMK, GMK, MK,電気室共通鍵,機械室共通鍵が12種あり,合計359種の鍵を受 領した。 また,新棟および既設棟には1ヶ所ずつカードキーリーダーによる電気錠を設置し,カードキー所持者に限り, 夜間,休日などの入館,入退室が可能となっている。この新たな入退館システムの導入により使用するカード キー1,000枚(職員など貸与用)も合わせて受領した。 3.完成図書の引渡し 空調,衛生,電気,通信,受変電,研究廃水処理,エレベーターなど,設備工事関係の完成図(製本図,原図 A-1版),機器完成図,試験成績書,機器取扱い説明書,官公署届出書,予備品付属品リストなどの図書を受領し た。 設備関係図書は新棟ごとにファイルされた物を受け取ったが,用意したダブル幅の書庫5台でも収納しきれぬ 量となった。(表Ⅳ-11) 表Ⅳ-11完成図書類(部数) 工事区分 完成図 設備説明書 試験成績書 官公署届出書 予備品 原図 製本 空調 1 2 3 3 有 有 衛生 1 2 2 2 有 有 電気 1 2 3 3 有 有 通信 1 2 3 3 有 有 受変電 1 2 2 2 有 有 研究廃水処理 1 2 2 2 有 有 エレベーター 1 2 2 有 有 これらの図書は,各棟ごとに作成され,ファイルされている。 官公署および人事院届出書などは第Ⅳ章第3節の「法令(等)に基づく許可申請」に記載した。 4.植栽 千現地区敷地内の緑化は新棟建設に際し,既存樹木を最大限残し,移植などの検討を行い,新棟完成とともに 新たな植栽緑化を行うこととした。 桜地区は土地取得時の状況が更地であり,住宅・都市整備公団およびつくば市が進める工業団地「テクノパー ク桜」の全体計画を考慮し,築土,植栽を行った。 4.1植栽工事 外構工事の一環として新規に配置した樹木の種類及び数量は表Ⅳ-12の通りである。表中のA~E地区は建設 省の発注区分である。 表Ⅳ-12千現,桜両地区の植栽内訳 花木種類名 千現地区植栽(本数) 桜地区植栽(本数) A地区 B地区 C地区 D地区 E地区 Ⅰ工区 Ⅱ工区 ヒマラヤスギ 9 シラカシ 170 290 70 10 43 62 ケヤキ 33 12 8 1 6 15 46 榎木 3 8 13 ヤマボウシ 3 ソメイヨシノ 62 8 シダレザクラ ヤマザクラ 13 15 16 カツラ 25 ヤマモミジ 1 ユリノキ 13 金木犀 20 30 10 31 13 クロガネモチ 20 15 71 2 サザンカ 20 20 70 サンゴジュ 132 35 椿類 16 20 75 10 112 10 エゴノキ 55 10 20 23 29 クヌギ 12 コブシ 6 3 ソヨゴ 7 4 モチノキ 8 カキ 8 サルスベリ 8 シモクレン 30 15 8 20 ナナカマド 90 15 21 55 ハナハシドイ 60 25 15 ハクモクレン 5 ハナズオウ 32 25 トウカエデ 6 10 その他低木 アオキ 195株 シャクナゲ3155株 ヂンチョウゲ 420株 ツツジ 16663株 アジサイ860株 ガマズミ 150株 ヒュウガミズキ130株 ユキヤナギ 350株 ミツバツツミ330株 ミヤギノハギ475株 ビンカミノール 33000ポット シャガ 2000ポット クマザサ 20200ポット ツワブキ 1700ポット など 4.2記念樹の移植 金材技研の構内にはいくつかの記念植樹が行われており,これらの樹木の移植について時期,費用などの検討 が金材技研の職員の中に生れた「樹木の移植について考える会」でなされた。その段階での移植対象となった樹 木は数十本にのぼり,それに伴う費用の概算も多額なものとなった。その後建築費削減による移植費用の縮小な どにより総合状況から,建設省,造園業者らの移植調査を踏まえて,筑波移転推進本部を含む四者会議により移 植樹木の再度の選定が行われ,全所的記念樹であることや移植準備期間などを考慮した下記の記念樹を移植する ことを決定した。 目黒より移植樹木は月桂樹(初代所長・橋本宇一),モッコク(第二代所長・河田和美)である。筑波支所に於 いては,泰山木(支所開所記念樹木),柘植3本(支所開設5周年),白梅,紅梅各1本(支所開設10周年),つ くば科学博記念樹木(桜,百日紅,桂など)を物性解析実験棟(旧研究本館)南側庭園に移植,仮植えした。さ らに新棟建設と駐車場の造成による移植が行われた。図Ⅳ-4に移植場所を示す。なお,目黒の早咲桜が職員有志 による接ぎ木,取り木で筑波に移植されたことを追記しておく。 図Ⅳ-4移植場所 5.取扱い説明 完成施設の引渡しに先立ち,2ヶ月前より機器,付帯設備の取扱い説明,予備品などの確認を行った。 機器,付帯設備の取扱い説明は建設省筑波研究学園都市施設管理センター工事監督員,施工業者,金材技研担 当部署職員,筑波移転推進本部員の立会いで行われた。一般的な機器,付帯設備は原則として一日一設備の説明 会とし,実際の操作を行った。空調などの大型機器設備は数日間に渡り,運転担当者が慣れるまで行った。 特に防災関係設備に関しては,一部職員移転後に総合機器操作と各設備の動作確認を建設省工事監督員,施工 業者,機器メーカー,メンテナンス員,金材技研担当者,筑波移転推進本部員が中央監視室に集結し,実験室の 火災発生を想定し,実際に防災設備を作動させ,動作確認と機能状況を各設備の動作チェック表に基づき,子細 に確認および訓練を行った。 第5節 完成施設運営の検討 1.管理体制 千現地区及び桜地区の庁舎施設は,建築延べ面積が旧目黒本所庁舎の約2倍となった。また,実験環境・研究 機能の高度化に伴い,施設設備も大型で高性能になった。移転後の庁舎施設を円滑に管理運営するには,管理体 制の整備とそれに伴う維持管理費の確保は不可欠であった。 施設管理に関する検討を始めたのは,千現地区の施設が着工した平成3年4月頃であった。目黒本所・筑波支 所当時の施設管理体制と維持管理費では,筑波の新施設の運営は不可能であることは,誰もが漠然とは理解して いた。しかし,施設管理の方法とそれに伴う必要経費等具体的な維持管理条件を,金材技研独自で設定するのは 困難であった。特に,桜地区は基本設計作業の段階であり,設置される施設の仕様等が定まっていなかった。そ れらが決定されるのは実施設計の段階であり,工程どおり進めば平成3年度末の予定であった。 そのような状況であっても,予算要求資料は平成3年度中にまとめる必要があった。平成5年度に庁舎施設が 完成し,移転が開始されればすぐにも施設を稼働させる必要があり,それに伴う必要経費は平成4年度に要求し ておかなければならなかった。これらの課題を,どのように検討し現在の維持管理体制が出来たかを整理する。 1.1施設管理業務 施設を保全するための業務は,概ね次のように区分される。 ア)運転・日常点検保守 施設の機能を発揮させるために行う設備機器の監視・操作,日常行う目視及び点検器具を用いた調 査,機能を維持させるための軽微な作業 イ)定期点検保守 維持管理上必要な定期点検・定期整備及び法令に基づく定期点検 ウ)清掃・環境衛生 庁舎(日常,定期)清掃,塵埃処理(一般廃棄物,研究用廃棄物),環境測定(ばい煙,水質等)な ど エ)警備 防犯・防災管理(警備員による日常警備,入退室鍵管理システム) オ)植栽管理 植物の種類,形状に応じた計画整備 1.2維持管理条件設定調査 (1)調査業務委託 金材技研は,施設維持管理費などの算出が金材技研独自では困難であるため,その検討を建設省へ依頼した。 建設省はこれを了解し,設計官,施設管理官を中心に検討を開始した。そして,2ヶ月後,千現地区の維持管理費 は,年間7億6千万円程度を要するとの概算額を提示した。提示された概算額には,それぞれの施設管理業務の 内容ごとに費用が明記されていたが,細かな積算内訳までは提示されなかった。建設省からはこれ以上精度をあ げた資料の作成は現体制では難しいと説明された。さらに,予算要求資料として活用するには,専門業者に依頼 するほうが良いとアドバイスを受けた。そして,施設維持管理調査の専門業者として,(財)建築保全センターを 紹介された。 (財)建築保全センターは,国の建築物の保全に関する総合的な調査研究及び技術開発を行い,適正な保全手法 を確立し,その普及と啓蒙を図ることを目的として建設省指導のもとに設立された公益法人である。庁舎施設を 新設し,維持管理に関する調査を(財)建築保全センターに依頼した例は,特許庁,合同庁舎6号館などがあると のことであった。 金材技研としては,維持管理に関する調査を(財)建築保全センターに依頼することに異存はないが,調査費用 は特々会計の予算から支出して欲しいとの希望を持って建設省と交渉したが,建設省からは特々会計の予算の性 格からして支出は困難であるとの回答であった。調査費用は庁舎施設の規模に比例し,金材技研の規模では約1 千万円程度必要であるとされた。 金材技研が(財)建築保全センターと委託契約を交わし,打合せを開始したのは平成3年9月中旬であった。 (財)建築保全センターからの調査報告書は,千現地区,桜地区双方共に平成4年3月末に提出されることとなっ た。 (2)調査の体制 調査業務は,設計・建築を進めているなかで実施されるため,(財)建築保全センターと金材技研だけで作業を 進めるのは困難であり,建設省・設計事務所の技術協力はもとより,施工業者の技術協力も不可欠であった。そ のため,作業の手順として(財)建築保全センターが調査の細目を定め,細目ごとに情報提供者の分担を取決め, 図Ⅳ-5のような協力体制を確立し連絡窓口を設けることとした。 図Ⅳ-5協力体制関係図 (3) 施設管理業務の調査条件 施設を維持管理するための条件設定は,法令点検を除いては金材技研がどのように管理運営するかに依るとこ ろが多々ある。 調査業者が,保全業務計画を策定し必要経費を算出するためには,金材技研が次のようなことをあらかじめ調 査条件として調査業者へ明示する必要があった。 ①運転・日常点検 1)受電空調 移転後の日常点検業務を,職員により行うか外部委託によるか検討した。 当時の管理体制は,目黒本所で職員3名外部委託1名,筑波支所で外部委託3名であったが千現地区及び 桜地区における受電空調などの運転日常点検業務は,先に提示された建設省概試算による説明では24時間 監視の場合,千現地区での必要人員は18名,桜地区では8名程度になるとされた。 このように,施設の規模が大きくなると,たくさんの施設管理要員が必要となり,職員での対応は困難で あるため,運転・日常点検業務の全てを外部委託することとした。 2)研究廃水処理 千現地区及び桜地区における研究廃水処理施設の運転管理業務は,受電,空調などの日常運転業務と同様 の考えに基づき,全てを外部委託することとした。 3)特殊設備 LAN,特殊ガス供給設備,油圧供給設備,排ガス洗浄設備などの大型設備が新たに設置されるのに伴い, 定期整備以外に日常の管理が必要となる。これらの設備の日常管理を施設管理業務の一環としてどのような 形で行うか,決定しておく必要があった。 これらの設備については,研究業務と密接に関係しており,その管理は特殊な業務であるためこれらを請 負う業者がいるかとの危惧はあったが,職員確保の困難さを考え日常管理全てを外注することにした。しか し,その後調査業者において排ガス洗浄装置以外の特殊設備は運転・日常点検の条件設定が困難なため,定 期点検整備に関してのみ調査報告された。調査報告における全体の維持管理費が多額になったこともあっ て,排ガス洗浄装置以外の特殊設備は職員により管理することとした。 ②警備業務 千現地区,桜地区ともに,夜間における職員などの入退室はカードによるコンピュータ管理とした。また, 警備体制として警備員による日常警備と合わせ,すでに目黒本所で実行していた機械警備システムを導入する ことを予め検討していた。機械警備システムに伴う設備工事は金材技研が予算要求をする予算で行う必要が あった。しかし,機械警備システム導入に必要な配管工事は事前に建設省工事として要求した。 夜間,体日は人と機械による二重警備になるが,防犯・防災対策として必要との認識から維持管理の調査条 件として設定し,業者に提示した。しかし,機械警備システムの導入は,初期工事費及び年間警備費が高額で あったため,予算要求時には要求を見送らざるを得なくなった。 ③清掃業務 大幅に増加した庁舎の床面積,窓面積を対象とした清掃費用算出のためには,日常清掃の範囲,定期床・窓 清掃の回数や範囲を決めておく必要があった。 ④植栽管理 桜地区を含めて植栽地が大幅に増加した。草刈り・芝刈りの範囲及びその回数,樹木選定など植栽管理の 方法などについて予め検討し,調査業者へ提示する必要があった。 ⑤既設施設との一元管理 千現地区における施設は,既設施設と新設施設を一体として維持管理を行うシステムとして一元化された。 よって,既設庁舎を含めて改めて保全計画を設定する必要があり,そのことを調査条件として提示した。 ⑥ 総括的な検討事項 電力設備,空調設備,衛生設備,火災報知設備,特殊ガス設備などの施設の運転制御,監視機能が中央監視 室に集中した。移転前は,管理部各課(庶務課,会計課,技術課,筑波支所管理課)がこれらの設備を分担し て管理運営していたが,施設を円滑に運営するには一括して処理する機能と体制が不可欠であると考えられ た。そのため調査業者への調査条件とは直接関係はないが,現状の施設管理体制を見直すこととした。 (4)施設管理業務の条件設定 大型化し高度の機能を持った施設は,専門技術者でなければ運転・日常点検も定期点検も出来ない。また,庁 舎施設をどのように点検保守したら良いのかが分からなければ,外注するための仕様書も書けない。 庁舎施設を適正に維持管理することができれば故障を未然に防ぐことができ,また耐用年数もかなり延びると 考えられる。 官公庁施設の保全については,これまでも建設省から保全要領説明会,資料配付などにより指導を受けてきた が,目黒本所・筑波支所当時の金材技研の施設は他の国の機関と比べてそれほど大容量の施設もなく特別な機能 を保持している施設もなかったため,それまでの経験と予算額に応じた保全計画を立案することで十分対応でき た。新施設は,エネルギーセンターを始めとしてこれまでの金材技研では考えられない大型施設となった。その ため,施設の保全業務計画の策定は施設運用の絶対条件であった。 (財)建築保全センターは,保全業務の明確化を図るため平成2年2月に「建築保全業務共通仕様書」(建設省監 修)を発行した。 「建築保全業務共通仕様書」は,庁舎施設を建築,電気設備,機械設備ごとに細分類し,それぞれ点検周期を設 定し,その点検内容を明記したものである。金材技研は,(財)建築保全センターとの協議により,同仕様書に明 記されている業務については全て同仕様書に基づき作業条件を設定することとした。 また,同仕様書に記載のない施設については,調査業者が施工業者などから保全の方法について調査すること となった。 次に施設管理業務に伴う費用の算出方法であるが,建設省は保全業務を外注する場合の積算手法として平成3 年9月「建築保全業務積算基準」を作成し,国の機関に配布した。金材技研が(財)建築保全センターに調査を依 頼した頃であり,実にタイミングが良かった。 同積算基準は,建築保全業務共通仕様書に基づいた点検項目,点検周期に技術者のランクに応じた工数が明記 されているもので技術者の業務単価(円/日)が分かれば積算できるものであった。 適正な保全業務を行う場合の適正価格の算出方法を国が示したもので,公平な予算要求をするためには絶好の 基準であった。調査作業に係わる積算は同積算基準に基づいて進めることとした。 ただし,「建築保全業務共通仕様書」同様,積算基準が当てはまらない設備・業務があり,それらの設備・業務 表Ⅳ-13調査対象項目及び調査条件など 調査内容 項 目 調査条件 積算根拠 備 考 1.運転・日常点検 1)電気設備関係 2)機械設備関係 a運転・日常点検 b月例点検 ・全要員外注 ・第2種電気主任技術者 の有資格者不在 ・電気,機械設備が24 時間稼働するため毎日 2名交代で宿直 ・機器別数量,容量確認 建設省「建築保 全業務積算基 準」による。以 下「積算基準」 という a運転・日常点検 b月例点検 同上 2.定期点検 1)電気設備 a特高受電設備 設計図,施工図などから 次のことを確認 ・構造(使用目的) ・機器別数量 ・容量 業者見積 電気設備の定期点 検は,電気事業法 による自家用電気 工作物の維持及び 運用についての保 安規定を遵守して 行う b高圧変電設備 積算基準 c自家発電設備 積算基準 d直流電源設備 積算基準 e中央監視設備 業者見積 f電話交換設備 業者見積 g視聴覚設備 業者見積 h電気時計設備 積算基準 2)機械設備 a空気調和設備 設計図,施工図から次の ことを確認 ・構造(使用目的) ・機器別数量,容量 ・機器別使用期間,時間 積算基準 維持管理上必要な 点検,法令に基づ く点検を明示し, 法令に基づく点検 の場合は,その根 拠資料を整理する b給水設備 積算基準 c実験冷却水設備 積算基準 d排水設備 積算基準 e給湯設備 積算基準 f配管・ダクト 積算基準 g自動制御設備 業者見積 4)建 築 h中央監視設備 業者見積 i昇降機設備 業者見積 jクレーン設備 業者見積 kフィルターなど 業者見積 3)消防設備 a自動火災報知 b誘導灯 c排煙設備 d非常放送設備 e屋内外消火栓 f連結送水管 gハロン化物消火設備 設計図,施工図に基づき 次のことを確認 ・構造(使用目的) ・種類別個数 積算基準 法令に基づく点検 基準を遵守する h消火器購入 業者見積 a 3ヶ月点検 b年次点検 c外溝など点検 d自動扉��点検 設計図,施工図に基づき 構造別数量確認 積算基準 同 上 同 上 同 上 5)特殊設備 a LAN設備 b特殊ガス配管設備 c特殊ガス防災設備 d油圧供給設備 設計図,施工図に基づき 次のことを確認 ・構造,能力 ・機器別数量 業者見積 同上 同上 同上 3.研究廃水処理 a運転・日常点検 b定期点検 c分析・汚泥処分 d薬品類 eその他消耗品等 設計図,施工図に基づき 次のことを確認する ・設備仕様 ・機器別数量 業者見積 日常管理体制及び 定期点検年次計画 の設定 4.清掃・環境衛生 a庁舎清掃 数量,回数確認 業者見積 b塵埃処理 種類,量確認 業者見積 c環境測定・水質 検査 法的根拠 業者見積 積算基準 ばい煙(業者見積 水質(積算基準) d害虫駆除 業者見積 5.植栽管理 a芝地管理 b裸地草刈り c樹木剪定 設計図に基づく種類別数 量確認及び年間整備回数 確認 業者見積 6.警 備 a日常警備 b鍵管理システム 24時間2名常駐設計に 基づく仕様確認 業者見積 同上 7.施設管理システム aハードウエアー bソフトウエアー 設計に基づく機器仕様確 認 業者見積 施設の維持管理用 データーベース 8.光熱水量 1)電力 a電力使用量 ア.照明器具数 イ.コンセント数 ウ.空調機器等台数容量 エ.エレベター台数容量 オ.実験用機器台数容量 カ.上記機器別運転状況 ・運転期間 ・稼働時間 東京電力「電気 供給規程」に基 づく料金 b契約受電容量 ア.施設用電力 イ.実験用電力 同上 同上 2)上下水道 a上水使用量 b下水排水量 設計に基づく水バランス 確認 同上 筑南水道企業団 ・つくば市料金 筑南地方広域行 政事務組合・つ くば市料金 桜地区はつくば市 料金 桜地区はつくば市 料金 3)都市ガス aガス使用量 設計に基づく冷暖房年間 負荷など確認 筑波学園ガス料 金 ・高負荷中圧需給 契約制度適用 4)燃料 a灯油使用量 機器能力,稼働時間確認 市場調査価格 ・自家発電機など は施工業者などの見積りによることとした。 調査対象項目の概要及び調査条件などを表Ⅳ-13にまとめた。 (5)調査報告書の提出 平成4年3月末,(財)建築保全センターから調査報告書が提出された。 前表の調査対象項目ごとにその維持運用に関する条件を定め,それに伴う費用を積算したものであり,積算根 拠資料が添付された膨大な量であった。 その後は,施設の運転開始までに調査報告書に基づき維持管理体制などを検討し整備していくことになるが, 当面は予算要求資料として活用するために全力をあげる必要があった。 2.維持管理費 2.1予算要求 (1)(財)建築保全センターの調査結果と金材技研の検討 上述の条件などにより(財)建築保全センターから提出された調査結果について,金材技研においてその内容及 び金額面について検討を行った。 その結果,基本的には(財)建築保全センターの積算金額によるものの,一部経費(機械警備関係の経費:千現 地区及び桜地区)を減額のうえ概算要求を行うこととした。結果は表Ⅳ -14のとおりである。 表Ⅳ-14 (財)建築保全センター積算額と金材技研の検討結果 (単位:百万円) 項 目 千現地区 桜 地 区 建築保全 センター積算額 金材技研 検討結果 建築保全 センター積算額 金材技研 検討結果 1.運転・日常点検保守 113 113 44 44 2.定期点検保守費 193 193 85 85 3.研究排水処理費 59 59 25 25 4.光熱水量などエネルギー費 355 355 180 180 5.清掃費・環境衛生費 59 59 14 14 6.植栽管理費 10 10 4 4 7.警備費 219 39 58 19 8.施設管理システム 2 2 2 2 9.通信費 29 29 2 2 合 計 1,039 859 414 375 (2) 施設維持管理費の概算要求に係る基本的な考え方 施設維持管理費の概算要求にあたって,従来から予算計上されている経費と新たに要求する経費の必要期間が 問題となった。そこで,施設の完成・引渡(予定)を基準として考え方を整理することとした。 7)千現地区の施設は平成5年10月に,また,桜地区の施設は平成5年12月に完成,金材技研に引渡さ れる。したがって,施設維持管理費については筑波支所を含めて一元管理が必要となる千現地区につい ては平成5年度は6ヶ月分を,また,桜地区については同じく 3ヶ月分を要求することとした。 イ)目黒地区(旧本所)については材試地区を含め移転開始までは,従来と同様の考え方に従って,6ヶ 月分の維持管理費を要求,同年10月以降の材試地区については独立した運営となるため,6ヶ月分を 要求することとした。表Ⅳ-15に施設維持管理費要求に係る基本的考え方を示す。 表Ⅳ-15施設維持管理費要求に係る基本的考え方 (3) 要求のための資料作成 (財)建築保全センターから提出された調査結果は,量的にも膨大であったが,内容も詳細でかつ専門的であっ た。したがって,この資料を施設維持管理費概算要求のバックデータとして取扱うこととし,新たに説明用の資 料を作成することとなった。 金材技研内の調整により,施設維持管理業務に関しては調査段階から筑波移転推進本部が中心に作業を行うこ とになっていたので,上記資料についても筑波移転推進本部が管理部各課の協力のもと作成作業に当たった。 作成された資料は約180ページ,(財)建築保全センターの調査結果を要約したものを基本としたもので,以後 この資料に基づき予算要求の説明がなされた。 (4)平成5年度概算要求 施設維持管理費は,金材技研運営の根本となる経費であり概算要求においても優先順位の高い位置付けとなっ ていた。 平成5年度の概算要求は,施設の完成・引渡し後に必要となる数ケ月間の施設維持管理費を要求するものであ るが,そこで計上される予算額が施設維持管理費の平成6年度以降の全体額を決定する極めて重要なものであっ た。 年1回の定期点検費を,実体にあわせ平成6年度から要求するなど,最終的な概算要求額決定までの過程にお いてもさらに検討・調整を行った。 これを基に概算要求を行い,その結果は,部分的には大蔵省の査定があったものの,幸いにしてほぼ満足の行 くものであった。表Ⅳ-16に千現地区,表Ⅳ-17に桜地区の平成5年度施設維持管理費要求額の比較を示す。 表Ⅳ-16施設維持管理費要求額の比較(平成5年度):千現地区 (単位:百万円) 項 目 金材技研 当初要求 予定額 概算要求額 予算計上額 備 考 1.運転・日常点検保守 58 55 45 2.定期点検保守費 155 31 31 3.研究排水処理費 39 16 12 4.光熱水量などエネルギー費 174 163 145 5.清掃費・環境衛生費 32 20 18 6.植栽管理費 8 1 1 7.警備費 19 14 14 8.施設管理システム 1 1 0 9.通信費 14 7 7 合 計 500 308 273 表Ⅳ-17施設維持管理費要求額の比較(平成5年度):桜地区 (単位:百万円) 項 目 金材技研 当初要求 予定額 概算要求額 予算計上額 備 考 1.運転・日常点検保守 13 10 8 2.定期点検保守費 69 12 12 3.研究排水処理費 12 4 4 4.光熱水量などエネルギー費 43 35 34 5.清掃費・環境衛生費 4 2 2 6.植栽管理費 3 1 0 7.警備費 5 4 4 8.施設管理システム 1 1 0 合 計 150 69 64 (5) 平成6年度概算要求 平成6年度の概算要求は,金材技研の施設維持管理費の予算額を決定づけるものであった。 基本的には平成5年度の予算に計上された経費の平年度化(12ヶ月分)及び年1回の定期点検費の要求であっ たが,設備移設計画の変更(2ヶ年→3ヶ年)など要求の障害となる要因もあり楽観は許されなかった。 結果は若干の減額査定があったものの,平年度化及び年1回の定期点検費の要求が認められ,ここにおいて金 材技研施設維持管理費の全体額が確定された。表Ⅳ-18に千現地区,表Ⅳ-19に桜地区の平成6年度の施設維持管 理費の概算要求額と予算計上額の比較を示す。 2.2 (財)建築保全センターへの調査委託と施設維持管理費の獲得 筑波支所を吸収した千現地区の新施設,桜地区の大型施設・設備を考えると,移転後の施設維持管理の具体的 方法は想像もつかないものであった。まして,施設建設途上に具体的検討を行うことは困難の極みと思われた。 (財)建築保全センターは,このような困難な条件にも係わらず精力的に調査検討を行い,その結果から金材技 研の施設管理体制の骨格が提示され,これに金材技研が検討を加え現状の施設管理体制となった。 平成5年度及び平成6年度に予算計上された施設維持管理費は,将来にわたり実施される新設施設の健全な維 持管理の財源として経常的に予算計上されて行く重要な経費である。予算要求時において,(財)建築保全セン ターの積算金額は,科学技術庁,大蔵省において信頼性,妥当性を高く評価され,施設維持管理費予算獲得に大 きく寄与した。 表Ⅳ-18施設維持管理費要求額の比較(平成6年度):千現地区 (単位:百万円) 項 目 金材技研 当初要求 予定額 概算要求額 予算計上額 備 考 1.運転・日常点検保守 95 95 90 2.定期点検保守費 166 166 154 3.研究排水処理費 43 43 43 4.光熱水量などエネルギー費 296 296 290 5.清掃費・環境衛生費 41 41 41 6.植栽管理費 3 3 3 7.警備費 28 28 28 8.施設管理システム 0 0 0 9.通信費 12 12 12 合 計 684 684 661 (単位:百万円)表Ⅳ-19施設維持管理費要求額の比較(平成6年度):桜地区 項 目 金材技研 当初要求 予定額 概算要求額 予算計上額 備 考 1.運転・日常点検保守 36 36 34 2.定期点検保守費 80 80 77 3.研究排水処理費 22 22 22 4.光熱水量などエネルギー費 141 141 138 5.清掃費・環境衛生費 10 10 10 6.植栽管理費 2 2 2 7.警備費 14 14 14 8.施設管理システム 0 0 0 合 計 305 305 297 移転を一つの転機と捉え,新たな視点に立って実施された施設管理体制の検討及び施設維持管理費の予算獲得 は,一連の移転作業の中でも,大きな意義を持ったものとなった。 (こぼれ話8) 一日の始まり 平成4年2月のある日,朝靄にけむる8時,格子状の鉄骨群が眠りからさめる。第Ⅰ,第Ⅱ工区とも,色と りどりのヘルメット姿の人々が朝礼場所へと集まってくる。そして,ラジオ体操,作業連絡などを終え,格子 空間へと入っていく。すると,無機質な鉄骨群が息をし,H鋼が背伸びをするように見えるのは錯覚かそれ とも自分がまだ寝ぼけているのかどうかは定かでないが,熱いコーヒーを飲みながら一日の始まりを感じてい る。 (こぼれ話9)戦車が通るの? 建物建設にさきだって,工事車両の通行を考慮して,構内外周道路工事が開始された。外周道路は筑波支所 があったため,正門から東側(材料創製棟側)の半周は既にあり,今回は残り半周の工事で,まず正門から西 側緑道までを深さ約1.2mの溝を掘ることから始まった。表面は腐葉土が堆積し,つぎに,関東ローム層と呼 ばれる赤土であり,その下には5mにもおよぶ常総粘土層がある。溝状に掘った道路部分(幅約7m)に, 霞ヶ浦東側の玉造町の方から運んできた山砂を厚さ約30 cm入れ終わった頃,台風のような大雨が降った。 そこには幅7m,長さ150m程のプールができた。工事業者は水中ポンプ3~4台で排水するが,粘土層と黒 土の境から水が湧き続けた。2日間程排水を続けてやっと水がなくなったが,山砂が乾かず柔らかすぎる状態 であった。とうとう粉末のセメントを溝へ投入し,大型の農業用トラクターで耕し,ローラーで踏み固めるな どしてやっと地盤作りが終了した。次に,筑波山の南東にある採石場から採取した砕石を厚さ約40cm入れ た。砕石を積んできたトラックの運転手は構内の道路にしてはしっかり作るのでここは何が通るのかと質問し てくるほどであった。戦車か,大型のロケットでも運ぶのかと思ったのだろうか。トラックは荷台からはちき れんばかりに積載していた。道路工事業者に聞くと,昔はトラック何台との注文であったが,最近は何トン 持ってきてくれとの注文なので一回の積載量が多いそうである。この上に舗装をして立派な構内外周道路は完 成した。 (こぼれ話10)初めの敵はスズメバチ 建物を造る前に,建設予定地の整備が始まった。かつての筑波支所は研究本館(現在の物性解析実験棟)か ら緑道までは非常に遠く感じた。雑木林の中に篠竹が生い茂りうっそうとしていたため簡単には緑道までたど り着けなかった。何人かの下草刈りの業者が入り,篠竹や人の丈ほどある雑草を緑道付近まで刈った頃,突然 消防車がやってきた。何事かと見ると,下草刈りの人がスズメバチに刺され,消防署にハチの巣の撤去を依頼 したとのこと。消防署の署員は頭から全身に火事の防護服(この防護服には顔に網がついており蜂取り専用の ようです)を付け,手袋をはめたその手に殺虫剤を持ち,直径25cm くらいのスズメバチの巣を見事に撤去 した。このような依頼は度々あるそうで,手際よく片づけて帰っていった。 前人未踏の金材技研の森は自然が豊富,栗やアケビや山芋など自然の恵みがたわわに実っていた。雑木には 大きな赤松,椚,榛の木,楢,白樫,などがあった。かつて近隣の農家の人が松葉を採取にきていた。何でも 葉たばこ栽培に松葉の腐葉土が良いのだという。 伐採した木はほとんどチップにしてパルプの原料となるそうです。赤松は薪にしたとき火力が強いとかで, 今回の赤松の一部は,取手にある東京芸術大学の陶芸製作用の薪に利用されると伐採業者は言っていた。太い 赤松の年輪を数えると約50年は経過していたようだ。この木からすばらしい陶芸作品が生まれることを願っ ている。 また,金材技研の職員の有志の中には,伐採した椚の一部を分けてもらい,椎茸を栽培しているとのことで ある。 既設実験棟 超伝導材料実験棟 雰囲気特性実験棟 物性解析実験棟(旧研究本館) 構造材料実験棟 特殊材料実験棟 界面制御実験棟 磁気特性実験棟 聴聞会 '90.9.27 建設省による近隣住民の見学会 建設省説明会 '89.11.20 千現地区通電式 職員への取扱い説明会 第Ⅴ章移転の実施 第1節 移転作業に関する基本的な考え方 185 1.移転に当たっての設備・施設の処置 185 2.移転経費 186 3.移転作業の年次計画 186 第2節 研究居室及び実験室の配分 188 1.研究居室の配分 188 2.標準実験室の配分 191 第3節物品の移動 193 1. 予 算 193 2.運送体制 195 3.移設物品の分類、重要物品のランク分け 196 4.作 業 199 第4節設備の充実 212 1.研究設備 212 2. 一般什器の整備 213 第5節 東京地区整備(材試地区残留施設の整備) 214 1.材試地区の誕生及び東京残留の経緯 214 2.東京残留・材試地区の変身 214 3.施設など整備 214 4.その他(51号庁舎への他機関の入居) 215 第6節職員の移動 216 1.概 要 216 2.住 居 216 3.移転困難者対策 217 第Ⅴ章移転の実施 第1節 移転作業に関する基本的な考え方 既にⅠ章で述べたように,金材技研の筑波移転における土地取得と施設建設のための財源については,昭和63 年7月の閣議決定「国の行政機関などの移転について」における「特定国有財産整備特別会計(特々会計)の積 極的活用」を受けて本特々会計が適用された。しかし,移転に際して研究設備・装置などの輸送・据付け・調整, 輸送困難な設備の更新及び東京地区に残留する施設の整備などに必要な経費については,本特々会計の対象外で あるため,別途,一般会計において措置を講じる必要がある。このような移転に必要となる経費は膨大な額に達 するため,実際に移転経費が必要となる数年前から詳細な計画を立て,各方面に説明を行い,理解を求める努力 を行ってきた。 そのために,移転に必要な経費を考えるに当たって,以下のような基本的な方針をまとめた。 ア)移転作業により,進行中の研究が中断しないように極力努力する。 イ)国の要請に基づく試験研究業務は中断せず継続する。 ウ)目黒材試地区の残留すべき一部の設備を除き,本所及び材試地区の設備は原則として全て移転する。 エ)国の研究機関に必要とされる基本的な設備は継続的に保持する。 オ)国の研究機関に必要とされる水準を研究設備面でも維持する。 カ)今後の研究動向から重要度の低くなった設備及び使用計画のない設備は極力廃棄する。 1.移転に当たっての設備・施設の処置 このような基本的な方針と今後の研究計画に基づいて,原則的には現有の設備の単純移設を前提とし,設備・ 施設の処置について検討を行った。その結果,現有の設備は,下記のような基準に基づき,移設設備,更新設備, 廃棄設備の処置別に分類された。 さらに,金材技研の筑波移転計画の中で,東京(材試)地区の施設・設備が一部残留することによって必然的 に生じる機能整備もこの中に含めて検討し,予算措置を講じることとなった。 1.1移設設備 以下のいずれかの条件を満たし,かつ,移設後の使用に十分耐える設備を移設設備と分類した。 ア)進行中のプロジェクト研究などの重要研究の推進に欠かせない設備 イ)金材技研の長期計画などから見て,必要性の高い設備 ウ)全所的な観点から有用性が高く,研究支援的な共用設備 なお,輸送・再設置の技術的な問題がその費用算出に反映することを考慮して,移設設備を以下の2つのカテ ゴリーに分類して費用の見積り,それ以後の処理を行った。 ア)特殊大型・精密中型設備:解体後の移設に当たって調整・試運転などを必要とするために,設備の 移送・再設置には製造業者あるいは専門業者を当てる必要のある設備 イ)一般設備(精密備品を含む):上記の設備以外の設備などで,移送・再設置に当たって,運送業者が 精密品などの取扱いとして特別な配慮,もしくは通常の配慮で輸送しうる設備など 1.2更新設備 上記1.1の移設設備の条件を満たしており,当然移送・再設置して使用に供されるべき設備ではあるが,以下 のような理由により移送に耐えられない設備を更新設備と分類した。 ア)その性格(構造,据付け状況,組立て状況)から見て,事実上移設が不可能な設備 イ)すでに製造が中止されており,交換部品などが入手できないため解体,据付け,調整が不可能な設 備 ウ)法令規制などにより,移設しても移設先では使用できない設備 1.3廃棄設備 前記の移設の条件を満たさない以下のような設備を廃棄設備と分類した。 ア)今後の研究動向を勘案すると重要度が低くなった設備 イ)極めて共用性が低く,所外委託利用が可能な設備 ウ)更新により不要になった旧設備 実際には,これらの不要となった設備は,第Ⅵ章の物品の処分で述べるように,管理替え,売払いあるいは廃 棄などの処理が行われた。 1.4東京(材試)地区残留施設整備 東京(材試)地区には,社会的な要請に基づく試験業務を継続するために一部の施設・設備が残留する。その 施設・設備の多くは,目黒本所と一体となって,機能するシステムとなっている。このために,目黒本所の移転 に伴って,残留する材試地区の設備・施設が単独で機能し得るように,以下に示すような整備が必要となる。 ア)本所と材試地区の間の電力ケーブルなどの切離し イ)電話設備の独立運用のために必要な処置 ウ)その他,材試地区の独立運用に必要な機能付与のための庁舎内部の改修 2.移転経費 以上のような設備分類および施設整備に対応して,それぞれ下記のような費目の移転経費を必要とした。 ア)移設設備に対して,設備移設費 イ)更新設備に対して,設備更新費 ウ)廃棄設備に対して,設備撤去費 エ)東京地区残留施設整備に対して,東京地区施設整備費 先に述べたように,これらの移転に必要とする経費は膨大な額に達するため,移転作業は最終的には3ヶ年度 にわたって分割して行われることとなった。 3.移転作業の年次計画 3.1設備移設 平成5年10月から平成7年7月までの3ヶ年度に渡り実施する。各年度に移設する設備,組織は以下のとおり である。なお,ここでは,平成4年度現在での組織に基づいて記述した。 ア)平成5年度10月には,千現地区内での移設,千現地区から桜地区(極限場研究センター)への移設 を実施する。それにより,以後の東京地区からの設備移設に際して,筑波支所内での玉突きを生じない ようにスペースを確保する。当該設備は,力学特性研究部,計測解析研究部,表面界面制御研究部,第 1研究グループ,第2研究グループなどに所属する設備の一部である。 イ)平成6年度4月から8月頃を目途に,目黒本所地区の組織及びその組織に属する設備の全てを千現 地区あるいは桜地区(極限場研究センター)に移設する。関連する組織は,管理部,基礎物性研究部, 機能材料研究部,材料設計研究部,反応制御研究部,組織制御研究部,計測解析研究部,第3研究グ ループ,第4研究グループである。 ウ)平成7年度4月から7月までで,目黒材試地区に設置されている大型設備が主体の材料試験装置類 , 及びそれに関連する組織,すなわち,損傷機構研究部,環境性能研究部,第5研究グループを千現地区 に移設を行い,全ての移設作業を終了する。 3.2設備更新 設備更新の計画については,移転経費の集中化をさけるために移設計画よりは柔軟に対処することとした。す なわち,予算確保の状況によっては長期にわたることもある程度覚悟し,以下の基準により更新の優先順位を決 定した。 ア)所内における共用性が高く,使用頻度の高い設備 イ)所内において代替機能を有する設備がなく,研究実施上,必要不可欠な設備 ウ)国の要請に基づき,早急に成果が期待されている研究に関わる設備 エ)国の研究機関として必須な基本設備で,所外からの利用要請も高い設備 3.3設備廃棄 廃棄設備のうち,RI (ラジオアイソトープ)施設などについては,法規に従って除染後一定期間の後に再検査 して施設を国に引渡す必要があることから,移転作業の初年度に当たる平成5年度に撤去を完了する。その他の 作業については, ア)平成5年度筑波支所 イ)平成6年度目黒本所地区 ウ)平成7年度目黒材試地区 の予定で,最終的には平成7年度末に終了することとする。 3.4東京(材試)地区残留施設整備 筑波移転完了後における材料試験施設の独立運営に関わる整備及び改修については,試験研究業務及び管理運 営業務を滞りなく継続できるように移転が完了するまでに施設整備などを完了する。 第2節 研究居室及び実験室の配分 1.研究居室の配分 検討時点に於ける金材技研の研究部門は10研究部,5研究グループ,1特別研究官の16組織で構成されてい る。研究本館居室ゾーンは8階建てで各階に研究部長室が2室ずつ設置されているので,単純に考えて各階に2 研究部・グループの職員を配置するのが順当である。そこでまず,研究居室配分の原則を以下のように設定した。 1.1配分の原則 ア)原則として各フロアに2研究部・グループを配置する。 イ)同一の研究部・グループに所属する研究部長室・総合研究官室と研究居室とは同一フロアに配置す る。 ウ)特別研究官とその研究スタッフ及び研究チームは研究部・グループに準ずるものと考える。 エ)複数の組織に併任となっている職員はいずれか1ヶ所,本務とされる組織に所属するものと考える。 人事異動があった場合は速やかに席替えを行う。 オ)配分スパン数は当該研究部・グループの構成人数に応じて算出するが,居室の総面積に限界がある ので,各研究室・サブグループの人員構成をスパン構成と一致させるところまでの調整は行わない。構 成メンバー各員の席配置にかかわる調整は当該研究部長・総合研究官に一任する。 カ)研究居室と標準実験室はなるべく近くのフロアに配置されるように配慮するが,無理な場合は研究 部長室と研究居室との整合性を優先する。 キ)研究居室の配分は正規の職員に対してのみ行い,外来研究員などについては別にルールを定めて,研 究居室内の空席,客員研究官室,外来研究者室などを適宜使用するものとする。 1.2配分案 上記の原則にしたがって,最初の研究居室配分案(平成5年4月12日)を以下の手順に従って作成した。 ア)各組織の構成人員は大きく異なるので,フロア毎の人数を均一化するために,大小の組織の組合わせ 表を作成した。 イ)研究居室配分を行う以前に標準実験室の配分が行われており(平成4年10月12日),また研究居室 配分案を作成するに先立って少なからぬ量の人事異動が行われていたため,研究居室フロアと標準実 験室フロアを完全に一致させることは不可能であった。そこで,なるべく多くの職員が居室階土1階の 範囲に自分の担当する装置を持つことが出来るように配慮しながら,各研究部・グループの居室階を 設定した。 ウ)研究部・グループ内の席の配置は原則として当該研究部長,総合研究官に一任されるが,居室配置の イメージが混乱するのを避けるために,最初の配置提案では各組織へのフロア区画の指定に留らず,研 究室,サブグループの配置の例示まで行った。 エ)移転が足かけ3年と長期に渡ったため,最終組が移転を完了するまでに少なからぬ量の人事異動が あったが,その都度各研究部長,総合研究官に席配置の検討を依頼し,合理的な席替えを行うように努 めた。 移転当初の研究居室配置案を図Ⅴ-1に示す。 1.3客員研究官,外来研究員,学生への席の配分 職員を対象とした研究居室の配分と直接関係はないが,当研究所には多くの外来研究員が滞在することから, これらの人々への席の配分にもルールを設けて一元的な管理を行っている。研究居室ゾーンの利用方法の一環で あることから,外来研究員への席の配分のルールについても以下に記す。 ア)原則として定常的に滞在する外来研究員には職員に準じた席を配分する。客員研究官のようにたま に来訪する人には席を用意せず,応接室,談話室などを活用して対応する。卒業研究などに従事する学 部の学生には特定の席を用意しない。 イ)上記の定義に当てはまる外来の研究員には各研究部・グループに配分された研究居室内の「空席」に 着席して頂くのを原則とする。複数の外来研究員がいる場合は,より長期にわたって滞在する人にこれ らの席を使用してもらうように配慮する。 ウ)研究居室の空席のみで充足できない場合は,当該研究部・グループと同一フロアにある「客員研究官 室」を使用する。客員研究官室の使用は一時的なものにとどめるのを原則とし,なるべく任期の短い人 に使用してもらう。事務机,椅子など必要な什器については管理部に相談する。 エ)上記に従って席を確保してもなお不足する場合は同一フロアにある「外来研究員室」,「他の研究部の 研究居室にある空席」,「他のフロアの空席」を順次使用するものとする。 オ)上記ア)~エ)はそのまま優先順位を示す。任期の終了により空席が出来た場合はただちに席替えを 行って,優先順位の低い席を空けるものとする。 カ)上記の方法による席配置では不都合と考えられる場合については別途考慮する。 図Ⅴ-1移転開始当初の居室配分案 2.標準実験室の配分 研究本館標準実験室配分の原則は(ア)標準実験室の使用方法,(イ)配分方法に2大別される。ここで記述す る課題は配分方法に関するものであるが,標準実験室の使用方法を参照して配置予定物品の調整も行ったので , まず標準実験室使用の原則について述べ,続いて配分方法を具体的に記述する。なお,以下の記述は移転当初の 標準実験室の配分に限った話であることに留意されたい。人事異動が行われた場合,研究居室の再配置は容易で あるが実験装置はそう頻繁に移動するわけにはいかない。事実,金材技研では移転が長期にわたったこともあっ て,最終組が移転する頃にはすでに少なからぬ量の人事異動が行われており,多くの実験室で異なる組織に所属 する装置が共存する事態となっていた。現実問題として研究部・グループによる利用調整が困難な場合もあるこ とから,現在では標準実験室の新規割当ても含めて,企画室が一元的な管理を行っている。 2.1標準実験室使用の原則 研究本館標準実験室ではヘビーな実験を行わないとの原則がある。そこでまず標準実験室への配置が予定され ていた物品の仕様をチェックし,エレベータへの搭載が困難な大型装置,床荷重が500kg/m2を超える装置,ア ンカー打設などの設置工事が必要な装置,大電力の消費や発熱,電気的ノイズ,騒音,粉塵などの発生が懸念さ れる装置について特殊実験棟への配置変更を検討した。 電子情報系実験室はコンピュータ関連機器,冶金系実験室は電気炉などの発熱機器,物理系実験室はそれ以外 の機器の設置を想定しているが,この区分は厳密には執行しないこととした。ただし,屋上排気ダクトは空調シ ステムと連動しているので,装置の配置にあたってはダクトの要否を厳密に確認した。なお,通常の真空排気は 窓側の壁にある専用の穴を使用するものとし,ここでいう屋上排気ダクトとは区別する。また特殊ガスの使用に ついては高圧ガス総量規制の関係から厳しい制約が課せられているので,アルゴン,窒素,水素,酸素について は集中ガス配管の使用を前提として実験室配置を行うものとした。必要な集中ガス配管が為されていない実験室 への装置の配置は認めないこととし,ボンベの持込みは上記4種類のガス以外に限って認めることとした。高純 度ガスが必要な場合は担当者が純化装置を設置するものとし,純度を理由とするボンベの持込みは一切認めない ことにした。 化学系標準実験室にはドラフトと中央実験台が設置されており,床も耐薬品仕様となっているなど他の実験室 との互換性は少ない。そこで化学系標準実験室はフロア共通の実験室として特別に取扱うことにし,特定の研究 部・グループ・チームなどの専用実験室としては配分しないこととした。本格的な化学実験はファインプロセス 実験棟で行うものとし,化学系標準実験室への装置の設置に当たっては顕微鏡試料の腐食,電解研磨程度の軽度 の作業を行うことを基準に判断することとした。 2.2配分の原則 標準実験室の配分は個々の研究室・サブグループを単位として行うのではなく,研究部・グループを単位とし て行うのを原則とした。各研究部・グループに配分された実験室はそれぞれの室の特性を考慮して共同で利用す るものとし,利用者,装置の設置場所に関する最終的な調整は担当研究部長,総合研究官,特別研究官にゆだね ることにした。 各研究部・グループへの標準実験室の配分は原則として設置される装置の投影面積に比例して行った。各研究 部・グループに所属する装置の数は大きく異なるが,最小でも1実験室を保証し,最大でも12実験室(東西両 棟,1フロア全室分)を超えないことを原則とした。また,移転後数年間に増加するであろう装置の設置場所を確 保するために,フロア共通実験室として使用される化学系標準実験室を除いた残りの標準実験室の70%を移転 当初の配分の基礎数とした。 具体的な作業は上記の原則に従って以下の手順で行われた。 ア)標準実験室使用の原則に照らして全物品の仕様をチェックし,標準実験室への設置に問題があると 判断された装置については,特殊実験棟への設置変更,廃棄などの調整を行って,最終的に標準実験室 に設置が確定した物品のリストを作成した。 イ)上記の物品リストから重要物品を抽出して,各研究部・グループごとにそれらの物品の投影面積を 集計し,その比例配分によって各研究部・グループに配分される標準実験室数を算出した。その際,最 小の研究部には1実験室,最大の研究部には12実験室を割当て,他は原則として四捨五入とした。 ウ)標準実験室数の大きな研究部・グループと小さな研究部・グループを組合わせて各階の配分実験室 数が均一化するように調整し,さらに主要な装置についてユーティリティをチェックして,配分された 実験室の仕様と装置の仕様に極端な不整合が出ないように配慮しながら実験室配分原案を作成した。 エ)配分された標準実験室に対して各研究部・グループで装置の具体的な配置計画案を作成してもらい, ユーティリティその他の不整合のあるものについて再度の調整を行って,最終的な標準実験室配分案 を確定した。 図Ⅴ-2に当初の実験室配置計画案を示す。 図Ⅴ-2移転当初の標準実験室配分案 第3節物品の移動 1.予算 1.1移設費の積算 研究設備などの移設に要する経費である「移設費」については,平成4年8月から筑波移転推進本部を中心に 当研究所職員及び関連メーカーの協力を得て,所要額の調査が行われた。施設建設途上における調査であったた め,レイアウト,電気,ガス及び水道などの配管系統が明確に把握できない状況での調査,費用の算出となり, これが最後まで移設費の厳しい執行を迫られる要因となった。 具体的調査に当たっては,先に述べたように移設に係る技術的問題が費用算出に反映することを考慮し,移設 対象物品について以下の2つに分類した。 ア)特殊大型・精密中型設備:解体後の移設に当たって調整・試運転などを必要とし,設備の移送・再 設置は製造業者あるいは専門業者を当てる必要のある設備 イ)一般設備(精密備品を含む)など:上記設備以外の設備で,移送・再設置に当たっては,運送業者が 精密品などの取扱いとして特別な配慮,もしくは通常の配慮を行うことで輸送し得る設備など。什器 類,書類などはこの項に含める。 (1)特殊大型・精密中型設備 当該研究設備の移設には,製造業者あるいは専門業者を当てるとの判断から,322件の各研究設備についてそ れぞれに該当する業者,あるいは専門業者の協力をえて,移設費の積算を行うこととした。 当該作業実施に当たっては,科学技術庁研究開発局材料開発推進室了解のもと,工業技術院機械技術研究所の 例にならい,あらかじめ一定の書式(備品調査表,備品説明図,作業工程表,見積書)を用意した。 備品調査表及び備品説明図は研究設備担当職員が作成し,作業工程表及び見積書は関係業者に作成を依頼した。 個々の設備について各社が現物を調査,更に必要に応じて金材技研担当職員との協議,筑波地区における設置 場所の現地調査,図面による確認などを行った。この結果提出された資料は,5cm厚のB4版ファイルで3冊と いう膨大なものとなった。 (2) 一般設備(精密備品を含む)など 運搬を専門とする業者が移設などの作業に当たる物品の所要経費の見積りについては,業務の実績,技術力及 び信用などから日本通運株式会社に依頼した。 本作業は,下見調査から開始された。1回の調査期間は平均1週間で,見積り提出までに目黒地区3回,筑波地 区2回の調査が行われた。調査内容は,筑波移転推進本部員及び研究設備担当職員の説明に基づく現物の把握, 搬出入の経路,図面などによる設置場所の確認などであった。 対象物品の中には,比較的高度な技術を要するものも含まれており,これらの設備の把握については時間を要 した。また,多くの設備について電気,ガス,水道の配管工事が必要となるため,見積り提出までに慎重な検討 がなされた。 (3)積算額 上記の見積りなどの作業の結果,特殊大型設備・精密中型設備及び一般設備などの積算額の合計額は約30億 5000万円となった。この数字にさらに金額面での検討を加え約29億3300万円まで圧縮し,この金額を基に移設 費を要求をすることとなった。 第Ⅴ章移転の実施 1.2概算要求 (1) 平成5年度概算要求 施設建設の進行状況が極めて順調なことから,施設の完成・引渡時期(千現地区:平成5年10月,桜地区:平 成5年12月)である平成5年10月から研究設備などの移設を開始し,平成6年3月までの6ヶ月間で総ての移 設を終了させるとする従来からの計画に基づき,最初の設備移設費の要求は,その全額を平成5年度単年度で要 求することとしていた。しかし,概算要求に関する科学技術庁と金材技研との調整段階において,財政事情が逼 迫していることから,移設を平成6年6月まで継続する2ヶ年計画とすることが検討された。 検討の結果,施設の維持費の確保など他にも重要な事項があるため,また,平成5年度から平成6年度への継 続性があれば職員の移動にも影響が少ない(平成5年度分は3月に移動,平成6年度分は4月に移動することに より,就学児の転校などの影響が最少限となる)と判断し,この案を採用することとした。 具体的には,目黒地区からの移設設備の設置スペースを確保するため,千現地区から桜地区への移設を最優先 させるものとし,更に予算の許す範囲で目黒地区から千現・桜地区へ設備の移設を行うこととした。 これにより,平成5年度の概算要求額(大蔵省に対する要求額)は,約9億600万円となった。大蔵省の査定 の結果,13%減の約7億8900万円が平成5年度予算に計上され,節約額を除いた平成5年度執行額は最終的に 約7億1000万円となった。 (2) 平成6年度概算要求 平成6年度の財政事情は,前年度に比べ更に厳しく,予算的には2ヶ年度にわたるが,実際の作業は継続して 行う計画そのものを見直さざるを得なかった。結局,平成6年度分をさらに2ヶ年度に分割することになり,結 果的に移設は平成5年度から平成7年度にわたる3ヶ年計画となった。 この計画変更による最も大きな影響は職員の移動にあると考えられたが,関係者の柔軟な対応により,大きな 混乱もなく乗り切ることができた。 また,平成6年度分と平成7年度分の移設範囲分割の区分については,施設の維持管理面なども考慮して,旧 目黒本所分を平成6年度,旧材試地区を平成7年度とした。 概算要求額は約12億6500万円であったが,大蔵省の査定では大型特殊・中型設備は,移設直後に全ての研究 設備を稼働させるのは不可能とされ,設備立上げに必要な「調整費」の半額が平成7年度送りにされた。結局, 約11億700万円が平成6年度予算に計上され,最終的な執行額は約9億4100万円となった。 (3) 平成7年度概算要求 平成7年度分は,平成6年度の移設から約6ヶ月の休止期間をおいた前年度との継続性がない単独の移転と なった。 概算要求においては,当初の積算額に前年度の積残し(調整費の半額)及び計画の変更に伴って発生する経費 を加え,約9億9600万円を要求した。移設対象研究設備には大型設備が多く,1点当たりの金額も高額であった ため,大蔵省との折衝は相当厳しいとの覚悟をしていたが,要求額のほぼ全額が確保され,最終的な執行額は約 8億4600万円となった。図Ⅴ-3に移設計画の変遷を図示する。 図Ⅴ-3移設計画の変遷 区 分 平成5年度 平成6年度 ~ 平成7年度 10月~3月 4月~9月 ~ 4月~9月 当初計画(金材技研案) ~ 第1次変更(平成5年度分要求時) ~ 最終計画(平成6年度分要求時) ~ 2.運送体制 2.1発注に関する検討(一括発注と個別発注) 物品の移設に関する仕様書を作成するに当たり,その準備段階として他機関の実例調査を行ったが,調査の結 果は,それまで金材技研が想定していたものとは大きく異なる方法が殆どであった。金材技研では,当初,特殊 大型・精密中型設備については製造メーカーなどと直接移設の契約を行い,一般設備などについては運送専門 メーカーと契約することを考えていた。この方法による移設は,筑波学園都市概成時の移転では多く行われてい たが,工程の調整などで多くの問題が発生したとのことであった。 金材技研が調査した最近の実例では,工程の調整などを円滑に行うために,豊富な経験を有する運送専門メー カーと移設作業全体の契約を行うとするものがほとんどであった。このため,金材技研においても,大型でしか も特殊な2件の設備を除いて一括発注(予算の制約から最終的には3ヶ年度に分割)する仕様とした。 この仕様による入札の結果,日本通運(株)が落札,以後3ヶ年度にわたり金材技研の移設作業を行うことと なった。 2.2日本通運株式会社の体制 金材技研の移設作業は日本通運(株)にとっても大きな仕事であり,これを円滑に遂行するため東京都全域にお ける総責任者である東京支店長を本部長とする体制の組織を設置,さらに,大きな移転作業に従事した経験が豊 富な社員を結集した。図Ⅴ-4に移転作業に係わる日本通運(株)組織図を示す この体制は移転作業終了まで継続され,金材技研との連絡も極めて緊密に行われた。また,移転作業の安全を 祈念して,目黒地区からの出発式,千現地区での到着式も行われた。 移転総括本部 移転実行本部 目黒実行班 品川支店 東京重機事業所 筑波実行班 品川支店 東京重機事業所 水戸支店 図Ⅴ-4移設作業に係る日本通運(株)組織図 2.3個別発注の設備 上述の一括発注から除外された2件の研究設備については,設備規模が大きく,構造も複雑でかつ移設後関係 法規に適合する必要があることなどから,設備の担当研究部が移設の仕様書を作成し,これに基づいて個別に専 門業者に発注した。 以下2件の受注業者もまた,日本通運(株)と同様に,円滑に作業を行った。 ア) 20T級大口径超電導マグネット ...................................................日製産業(株) イ)ヘリウム液化冷凍システム...........................................................日本酸素(株) 2.4金材技研の体制 移転作業が具体化するのに伴い,移転作業は基本的に部課などの単位で行われるため金材技研の筑波移転推進 本部及び日本通運(株)と各部課との連絡体制を整備することとなった。図Ⅴ-5に金材技研の移設に係わる体制 を図示する。 平成5年4月,各部課2~3名で構成された「移設ワーキンググループ」が設置され,各部課における移転作業 に関する問題点,工程の変更などについて連絡,調整などの業務を担当した。 各部課など 移設ワーキンググループ 金材技研筑波移転推進本部 日本通運(株) 図Ⅴ-5移設に係わる金材技研の体制 3.移設物品の分類,重要物品のランク分け 予算の項で金材技研の移転が3ヶ年にわたって行われたことを述べたが,実際の移転作業は下記に述べるよう に4期に分けて行われた。 Ⅰ期:平成5年10月~12月 千現地区内の物品の移動,移設 Ⅱ期:平成6年1月~3月 目黒本所地区から千現及び桜地区への物品の移設 千現地区から桜地区への物品の移設 Ⅲ期:平成6年4月~7月 目黒本所地区から千現及び桜地区への物品の移設 千現地区から桜地区への物品の移設 Ⅳ期:平成7年4月~7月 目黒材試地区から千現地区への物品の移設 (18TマグネットおよびHe冷凍機の桜地区への移設) 足掛け3年という長期にわたる移設作業であったが,実際の運送作業にかかるまでのスケジュールはかなり逼 迫しており,Ⅰ期移転の移設物品の調査・ランク分けはほとんど見切り発車に近い状態であった。Ⅰ期移転物品の 調査を完了して移設作業を開始した後にⅡ期以降の全物品の調査を行ったためにⅡ~Ⅳ期の作業はある程度余 裕を持って行うことが出来た。 移転が長期にわたったため,現実には途中で細かな方針変更やデータの修正を余儀なくされた側面もあった が,Ⅰ期~Ⅳ期まで全体の流れに大きな変更はなかったので,ここでは一括して記述する。 作業を大まかに分けると,(ア)移設物品のリストアップ,(イ)移設方法の分類とシールの貼付,(ウ)運送業 者を交えた作業工程表の作成,(エ)移設作業の実行となる。準備作業ともいえる(ア),(イ)項は並行して行わ れたので,まずそこから記述する。 3.1移設物品の調査とデータの収集 官庁の物品は会計法上,備品と消耗品(資材,薬品,書類など)に分類され,備品はさらに50万円を境に重要 物品と一般物品に分けて物品台帳に記録されている。しかし実際に運送を行う立場から見ると備品であるか消耗 品であるか,あるいは高価であるか安価であるかはあまり意味を持たない。重要なことは移転対象物品の寸法, 重量がどの程度であり,単純に運送するだけで済むか,解体,再組立て,調整などの作業が必要とされるか,メー カーな ど専門の技術者を手配する必要があるかなどの判断である。これらの情報を物品台帳のみから読みとるこ とは出来ないので物品台帳をもとに移設物品のリストを作成し,それを職員に提示してリストの修正と個々の移 設物品に関する詳細なデータの収集とを行った。また,金材技研の筑波移転推進本部(平成6年4月1日以後: 筑波移転管理室)では,これと並行して移設先の物品配置図を作成した。 移設物品のリストは,(ア)全重要物品,(イ)運送業者に梱包作業を依頼する一般物品および大型の消耗品か らなり,(ウ)職員が自分で梱包する一般物品,消耗品,書類,および薬品についてはリストアップを行わなかっ た。調査の主要項目は以下のア)~ケ)の通りである。図Ⅴ-6に調査票の例を示す。 ア)物品名,備品番号 重要物品は全品をリストアップした。 一般物品については運送業者に梱包作業を依頼するもののみリストアップした。 大型の鋼材,大量の資材など,運送に当たって特別の手配を行う必要のある消耗品は一般物品のリス トに追記した。 イ)メ ーカー名,型番 ウ)現在の設置場所(既設棟名,室番号) エ)移設,廃棄等の指定用語の意味は以下の通り 移動:同一の建屋内で移動する物品(千現地区内にあった物品がこれに該当する) 移設:別の地区または,千現地区内でも別の建屋へ移動する物品 廃棄:廃棄する物品 不要な机,ファイリングキャビネットの類は廃棄(返納)としてもらい,別途調査を行って 共用の什器として会議室などで活用した。 残留:目黒地区に残留する物品 現有:千現地区に現存し,移転時に移動しない物品 直納:移転終了時点までに購入が予定されている物品 これらの物品は移転作業に直接関係がないが物品の2重配置を避けるために必要なのでリ ストアップし,物品配置図にも記載した。 オ)移設場所(棟名,室番号) カ)移転時期(Ⅰ期,Ⅱ期,Ⅲ期,Ⅳ期) キ)運送方法 記号の意味は以下の通り A1:運送業者が運搬のみを行う物品(一般取扱) 実験机,顕微鏡,管状炉,鋼板,鋼材… A2:運送業者が運搬のみを行う物品(精密,取扱注意) パソコン,ワークステーション,化学天秤… B :解体,運搬,再組み立て,配管などの作業が必要な物品 引張試験機,真空炉,圧延機,工作機械など大部分の大型装置 c :再組み立て後,専門家による調整が必要な装置 電子顕微鏡,電子線マイクロアナライザ,光電子分光などの特殊な装置 D :廃棄する物品 @ :装置担当者が自分で梱包し,運送のみを業者に依頼する小型の重要物品および,装置担当者 が自分で運ぶ重要物品(ダンボール箱,クッション材などの梱包材料は別途支給される。) 他の装置に組込まれて一体となっている重要物品は@として備考欄にその旨記載した。 ク)管理者 名目上の管理者名にこだわらず,実質的な担当者名を記載する。 退職者の名前が残っている場合はすべて引継者を確認して書き換えた。 ケ)寸法,重量 他の装置に組込まれて一体となっている重要物品(@分類)については数値を(0, 0)として備考欄 にその旨記載した ペ ー ジ 番 号 2 10 /2 8/ 94 重 要 備 品 リ ス ト (新 組 織 重 要 物 品 ) 9 4 /0 9 /0 1 現 在 K8 H 新 S RT .D BF 新 K 8H ・ F RM (部 別 物 品 リ ス ト ) コ ー ド 番 号 図 番 備 品 番 号 品 名 メ ー カ ー 既 設 棟 移 設 場 所 処 置 運 送 時 期 新 所 属 管 理 者 縦 横 高 さ 重 量 移 設 に つ い て の 備 考 M 45 96 P -4 5- 6 1 時 計 . 38 - A -廃 棄 - 廃 棄 D 3 04 -反 応 -0 古 林 英 一 46 50 15 0 M 46 00 P -4 5- 76 デ ジ タ ル ス タ ビ ラ イ ザ ー 38 - A -廃 棄 - 廃 棄 D 3 04 -反 応 -0 古 林 英 一 25 22 7 0 M0 電 子 天 秤 島 津 30 - 42 7 02 -本 館 -6 43 移 設 A2 3 04 -反 応 -0 小 沢 清 30 30 3 0 5 93 /1 1/ 15 追 加 M 06 24 3 C -8 9- 7 (F ) ド ラ フ ト チ ャ ン バ ー (ヤ マ ト 科 学 ・ FK D- 12 0) ヤ マ ト 科 字 26 - 10 5 02 -本 館 -6 45 移 設 B 3 04 -反 応 -0 小 澤 清 75 12 0 21 0 21 0 M 10 06 20 M -9 2- 27 オ ー ト ク レ ー ブ 耐 圧 硝 子 工 業 (株 ) 30 - 42 7 B -超 電 -1 0 3 移 設 A2 3 04 -反 応 -0 小 澤 清 50 50 10 0 50 9 4/ 4/ 21 変 更 本 館 64 3よ り M 10 15 P -6 1 -1 8 水 素 用 減 圧 弁 30 - 42 8 02 -本 館 -6 43 移 設 @ 3 04 -反 応 -0 小 澤 清 25 10 20 5 一 般 、 P -6 2- 61 と 一 体 M 10 16 6 P -6 2- 61 C V D 装 置 .赤 外 線 イ メ ー ジ 炉 真 空 理 工 30 - 42 8 02 -本 館 -6 43 移 設 A2 3 04 -反 応 -0 小 澤 清 10 0 20 0 15 0 10 0 M 10 14 10 P -6 3- 4 実 体 顕 微 鏡 ニ コ ン 30 - 42 8 02 -本 館 -6 43 移 設 A2 3 04 -反 応 -0 小 澤 清 75 85 13 0 20 M 06 71 C -6 2- 4 精 製 装 着 . ア ル ゴ ン 精 製 装 置 日 本 パ イ オ ニ ッ ク (株 ) 30 - 10 2 07 -材 創 -溶 1 移 設 @ 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 60 60 13 0 15 M -5 8- 39 に 合 体 M 02 84 E -5 6- 11 5 電 気 炉 , 特 殊 高 温 熱 処 理 炉 ニ ッ カ ト - K . K 24 - 15 1 -廃 棄 - 廃 乗 D 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 10 0 25 0 25 0 5 0 0 岩 手 大 供 用 換 え 94 /6 /1 7記 M 44 87 E -5 7- 5 2 電 気 炉 .宇 宙 実 験 炉 I H I K . K 3 1 - 10 2 -廃 棄 - 廃 棄 D 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 15 0 15 0 15 0 20 0 M 44 88 E -5 8- 5 6 電 気 炉 .宇 宙 実 験 用 炉 3 1 - 10 2 -廃 棄 - 廃 棄 D 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 40 0 15 0 15 0 50 0 M 09 60 3 E -8 9- 5 粒 子 形 状 解 析 装 直 入 力 部 日 本 電 気 K . K 30 - 40 3 02 -本 館 -5 42 移 設 A2 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 70 10 0 30 20 M 07 95 M -3 8- 12 8 電 気 炉 ,特 殊 高 温 真 空 焼 結 炉 大 亜 真 空 K . K 30 - 10 2 -廃 棄 - 廃 棄 D 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 12 0 15 0 25 0 15 00 9 3/ 11 /1 5廃 棄 M 06 68 4 M -5 8- 39 接 触 角 測 定 装 置 .可 変 雰 囲 気 濡 れ 測 淀 装 置 ニ ッ カ ト - K .K 30 - 10 2 07 -材 創 -溶 1 移 設 B 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 35 0 80 10 0 20 0 M 44 29 M -6 2- 68 空 調 機 .( 室 外 機 を 除 く ) 30 - 20 7 -廃 棄 - 廃 棄 D 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 13 0 65 20 34 M 44 63 M -6 2- 71 空 調 機 .( 室 外 機 を 除 く ) 30 - 42 4 -廃 棄- 廃 棄 D 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 16 0 68 27 52 M 10 25 1 M -6 2- 99 画 像 入 力 ス テ ー ジ 高 千 穂 精 機 K . K 30 - 43 0 02 -本 館 -5 4 1 移 設 A2 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 10 0 10 0 15 0 30 M 06 67 3 M -6 3- 4 遊 星 ボ ー ル ミ ル , 粉 砕 混 合 機 フ リ ッ チ ュ ジ ャ パ ン K . K 30 - 10 2 05 -フ ァイ ン- 11 2 移 設 A2 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 80 12 0 60 80 M 06 70 4 M -8 9 -1 1 遊 星 ボ ー ル ミ ル 用 容 器 ・ フ リ ッ チ ュ 社 フ リ ッ チ ュ ジ ャ パ 30 - 10 2 05 -フ ァイ ン -1 12 移 設 @ 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 10 10 15 2 ン K . K M 06 69 5 M -8 9- 28 遊 星 ボ ー ル ミ ル 用 容 器 フ リ ッ チ ュ ジ ャ パ ン K . K 30 - 10 2 05 -フ ァイ ン- 11 2 移 設 @ 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 10 10 15 2 M 09 97 3 P -5 7- 47 熱 膨 張 計 真 空 理 工 K . K 30 - 42 4 05 -フ ァイ ン -1 13 移 設 B 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 10 0 25 0 15 0 15 0 M 07 98 1 P -5 9- 59 金 属 顕 微 鏡 オ リ ン パ ス K . K 30 - 20 5 05 -フ ァイ ン- 11 3 移 設 A2 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 60 60 70 10 M 09 57 P -6 3- 11 3 衡 機 島 津 製 作 所 30 - 40 1 02 - 本 館 -5 42 移 設 B 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 25 35 35 8 一 般 M 10 23 2 S -5 9- 31 デ ー タ 処 理 装 置 .形 状 測 定 装 置 N E C K . K 30 - 43 0 02 -本 館 -5 41 移 設 A2 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 20 0 12 0 10 0 50 M 10 24 3 S -6 0- 45 デ ー タ 処 理 装 置 .ビ デ オ イ メ ー ジ 入 出 力 エ デ ィ ク K . K 30 - 43 0 02 -本 館 -5 41 移 設 A2 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 10 0 30 0 50 30 M 09 61 2 S -6 2- 40 粒 子 形 状 解 析 装 置 . NE C , キ ャ ノ ン K . K 30 - 40 3 02 -本 館 -5 42 移 設 A2 3 04 -反 応 -0 村 松 祐 治 10 0 30 0 12 0 10 0 M 08 83 2 C -5 8- 27 (B )酸 素 分 析 計 , 東 レ K . K 30 - 31 1 05 -フ ァイ ン -2 14 移 設 A2 3 04 -反 応 -0 大 野 悟 30 30 30 20 M 08 84 7 C -6 0- 8 雰 囲 気 制 御 装 置 大 亜 真 空 K . K 30 - 31 1 05 -フ ァイ ン -2 14 移 設 A2 3 04 -反 応 -0 大 野 悟 70 11 0 15 0 20 0 M 08 75 2 C -6 1- 30 グ ロ ー ブ ボ ッ ク ス .示 差 熱 天 秤 用 ミ ネ ル バ 機 器 K .K 3 0 -1 2 0 02 -本 館 -5 46 移 設 A2 3 04 - 反 応 -0 大 野 悟 15 0 70 18 0 20 0 M 08 93 4 E -6 0- 52 (B ) ア ー ク プ ラ ズ マ 発 生 用 電 源 三 電 機 30 - 31 3 05 -フ ァイ ン- 21 4 移 設 A2 3 04 -反 応 -0 大 野 悟 11 0 70 16 0 40 0 M 08 94 5 E -6 3- 7 (C )小 型 高 周 波 プ ラ ズ マ 装 置 日 本 高 周 波 K . K 30 - 31 3 05 -フ ァイ ン -2 14 移 設 B 3 04 -反 応 -0 大 野 悟 60 0 30 0 20 0 20 00 M 08 91 M - - 0 混 合 超 微 粉 製 造 装 置 .試 作 組 立 品 、 不 明 自 作 30 - 31 3 05 -フ ァイ ン -2 14 移 設 A1 3 04 -反 応 -0 大 野 悟 20 0 10 0 17 0 40 M 44 48 M -3 6- 11 1 直 流 電 源 30 - 31 3 -廃 乗 - 廃 棄 D 3 04 -反 応 -0 大 野 悟 70 80 12 0 40 0 M 07 13 8 M -5 3- 98 高 真 空 排 気 装 直 .他 2 点 , P 54 -6 1, P4 6- 61 ア ル バ ッ ク K . K 30 - 12 0 02 -本 館 -5 46 移 設 A2 3 04 -反 応 -0 大 野 悟 12 0 80 12 0 50 3.2色別シールの貼付 調査結果を整理し,担当者との折衝も終わって運送方法の分類が確定した段階で,個別の物品に担当者が色別 のシールを貼付した。 赤シール:A1,運送業者に運送のみを依頼する物品(一般取扱) オレンジ:A2, 〃 (精密,取扱注意) 緑 :B,解体,運送,再組立てを行う物品 青 :C,再組立て後に調整を要する物品 黄 :D,廃棄する物品 3.3運送業者による立入り調査 シールの貼付を行った後,移設物品リスト,移設先の物品配置図と照合しながら,運送業者による立入り調査 を行った。 このとき同時に書類,小型の装置,資材,薬品などの担当者が自分で梱包する物品の量,ならびに必要と考え られる梱包資材(ダンボール箱,クッション材など)の量の把握も行った。 3.4作業工程表の作成 移設物品のランク分けが終わった後,B, C分類の物品について運送業者と物品担当者の都合を摺合わせて作 業工程表を作成した。ここからは移転の実作業にはいるので,詳細は解体・梱包・搬出の項で記述する。 4.作 業 4.1搬出 目黒地区からの搬出にあたり,解体・梱包などの作業は前項の物品ランクにしたがい,物品担当者または運送 業者の指定する業者が行った。その詳細は下記のとおりである。 重要物品 A1物品:物品担当者 A2〃 :物品担当者または必要に応じて業者 B〃:業者 C〃:業者 一般物品 A1:物品担当者 また,梱包に用いた資材は運送業者の提供によるものであり,その詳細は下記のとおりである。 ア ) ダンボール箱:430 × 300 × 290 mm イ) 〃 :450×330×300 〃 ウ) 〃 :510×350×300 〃 エ) 〃 : 840×360×200 〃 オ) アルミコンテナ:800×400×370〃 カ)各種緩衝材(静電気防止用) キ)各種粘着テープ ク)各種梱包紐 A1ランクの物品は実験机,管状炉,鋼板,鋼材などであり,解体,梱包する上で問題となるものはなかった。 しかし,A2にはパソコン,大型の炉,ガラス機器などが含まれており,作業に慎重を要するものも多くあった。 BおよびCランクの物品は運送業者が指定した業者が作業を行ったが,作業には物品担当者の立会いを義務づけ た。Cランクの物品には電子顕微鏡,EPMA, ESCAなど,性能保証を必要とするものもあり,これら物品につ いては解体に先立ち物品担当者と業者の立会いのもと,性能のチェックを行った。 薬品,水銀,油類などは一般物品であるが,搬送には危険が伴うため書籍,事務用机などの一般物品とは異な り重要物品のA1またはA2ランク扱いとした。薬品は原則として封を切らない未使用のもののみを搬送するこ ととし,運送業者のマニュアルに基づき,各瓶,缶を包装紙で包み,上記のダンボール箱とは異なる薬品専用の ものに入れ,緩衝材を十分詰め梱包した。 梱包資材のうち,ア)のダンボール箱は小容量であるがダンボールが厚く,堅牢であるため書籍などの梱包に 使用した。イ),ウ)は低重量の嵩ばる物品など,エ)は石英管など,またアルミコンテナは金属試験片,金型な どの高重量のもの,ガラス機器などの破損しやすい物品の梱包に使用した。 解体・梱包を終えた物品にはラベルを貼り,行き先を明示した。この目的に用いたラベルは18種類であり,こ れらは筑波地区のそれぞれの建物に対応するものであった。(ラベルの一例を写真に示す)見分けが容易となるよ う色別となっているが,さらに分かりやすくするため建物の名前が書き込んである。階数,室番,レイアウト番 号,担当者名などは解体・梱包時に作業者が書き込み貼付した。建物名とラベルの色との関係は次のとおりであ る。 研究本館管理ゾーン(赤・斜線),研究本館研究居室ゾーン(赤),標準実験室ゾーン東棟(青),標準実験室ゾー ン西棟(黄),精密計測実験棟(黄土),ファインプロセス実験棟(紺),材料強度実験棟(若草),材料創製実験 棟(ピンク),物性解析実験棟(橙),超伝導材料実験棟(緑),磁気特性実験棟(水色・斜線),雰囲気特性実験 棟(茶),特殊材料実験棟(水色),構造材料実験棟(白),界面制御実験棟(紫),桜地区管理・研究棟(黄緑・ 斜線),磁界実験棟(茶・斜線),ビーム実験棟(ピンク・斜線) 上記のラベルのほかに,廃棄,残留,取扱い注意,精密機器を表示すラベルも揃え,全ての物品の取扱い方法, 処置が一目で分かるようにした。(写真参照) ラベルの貼付後は搬出・搬送となるが,搬送は移転スケジュール(工程表)に基づき,一般物品と重要物品に 分けて行った。これらの計画の立案などは筑波移転推進本部(移転管理室)と所内に設置した移設WG及び運送 業者との緊密な協力のもとに行った。計画は主として推進本部が案をつくり,筑波移転推進委員会,同幹事会及 び所議の検討を経て決定された。この決定を受け,推進本部は運送業者と協議し,決定事項の詳細化を図るとと もに,移設WGを通じて所員に情報の提供などを行った。 いずれの場合も,トラックに積込む際には物品担当者もしくは物品を熟知する者が立会い,積込む物品の数量 の確認,破損の防止などに万全を期した。目黒地区より筑波地区に搬送する際には2つの方法を採った。その一 つは, 午前中に目黒地区で積込み搬出,その日のうちに筑波地区まで搬送し荷を降ろす方法と,他の方法は,午 後積込み搬出,翌朝筑波地区に搬送し降ろす方法である。いずれの場合も,荷を降ろす際には物品担当者もしく は当該物品を熟知した者の立会いを義務づけ,搬送物品の数量,レイアウトに基づく物品の設置などの確認を行 い,さらに運送業者とともに作業完了書に署名し,搬送の完了を確認した。 物品の移動 目黒出発式'94.1.17 支所内移設開始'93.10.7 到着式 移設説明会 移設物品ラベル 搬出 22号庁舎より 24号庁舎開口工事 30号庁舎より 51号庁舎より 搬入 精密計測実験棟へ 材料強度実験棟へ 目黒新しい田楽橋 据え付け・調整完了 (こぼれ話11)多勢に無勢 移設物品には,20トンを超える高重量のものから,海外から技術者を呼び解体,組立てせざるをえない超 精密級のものまであり,その性格も多種多様であった。目黒地区からの搬出経路である「田楽橋」の重量制限 (総重量14トン)が問題となった。旧目黒本所への大型車両の通行については,隣接の防衛庁第1研究所正門 から金材技研24号庁舎に至る経路を利用した経験から,第1研究所に対し移設用大型車両の敷地内通行につ いて協力を依頼した。金材技研からの依頼について関係者で打合せを行うこととなったが,折しも防衛庁敷地 内においては幹部学校建設の最中であり,防衛庁側の関係者は工事関係者を含め20名を超える人数で,金材 技研側と言えばわずかに3名で持参した資料の説明を開始したが,次第に防衛庁側の発言時間が長くなり,正 に多勢に無勢,ついには受身一方となった。3人はお先真っ暗の感に打ちひしがれ,重い足取りで金材技研に 戻った。 結果的には幹部学校の道路整備工事を一時中断してもらうなど防衛庁側の最大限の協力が得られ,無事防衛 庁敷地内の通行が可能となったが,これは移設作業の計画段階における第1関門の突破であった。 ちなみに,通行を許可された台数は往復で32台,そのうち8台分は養生用資材を搬入するためのものであ る。皮肉なことに,田楽橋(写真)は3期移転の後,間もなくして架け直し工事が始まり,平成7年12月に 工事を終え,今では耐荷重も大幅にアップしている。 (こぼれ話12) 一斗缶数本分の乾燥剤 筑波移転推進本部は移設WG及び運送業者との協力のもと,所員を対象とした移転説明会を開催した。説 明会では,大まかな移転スケジュール(工程表)を示すとともに,上記のラベルの記入方法,解体・梱包方法 などに関し実演も含む詳細な説明がなされた。説明会はいずれも移転(搬送)開始の約1ヶ月前に開催した。 Ⅰ期からⅣ期移転に至る期間に5回行われたが,所員の関心が強く,毎回会場は満員となり活発な議論が交わ された。写真にⅢ期2群の移転にあたっての説明会の風景を示す。 移転説明会のほぼ2週間後,すなわち移転(搬送)の始まる2週間位前に詳細な工程表を作成して所員に配 布した。この工程表は一般物品と重要物品に分かれており,各物品にたいして一般物品の場合には時間単位 で,また重要物品では午前,午後の半日単位で搬送時間を示す詳細なものであるが,配布後,所員によって誤 り,重複などの訂正をして,より詳細で正確なものとした。また,この際に所員の希望による日程変更などの 調整も行った。 このようにして作成した工程表に基づく作業は極めて順調に行われた。筑波内の移転となった第Ⅰ期移転で は,移設に伴う“玉突”に多少手こずったが,この移転は最小限に留めたため問題となるものではなかった。 また,目黒地区から筑波地区への移転においては,目黒川に架かる田楽橋の重量制限,エアサスペンション付 き防振車の手配,大型物品の室内よりの搬出,大型疲労試験機の搬送などで問題もあったが,関係各方面の努 力により解決され,移転スケジュールに多少の手直しがあったが大きく影響することはなかった。第Ⅲ期2群 の移転には電子顕微鏡,EPMAなどの精密機器が多く,しかもこの移転が6月から8月の梅雨時に行われた ため湿気による性能低下が心配となった。そこで,乾燥剤を一斗缶で数本分用意し備えたが,幸い当年(平成 6年)はから梅雨同然の暑い夏となり,乾燥剤を使用することはなかった。 4.2搬入 つくば現地では,全ての移動物品の受け入れは物品担当者立会いを原則とし,移設業者(現地責任者),筑波移 転推進本部員の三者立会いで行った。 まず最初の第Ⅰ期物品移動は筑波支所内(千現地区内)移動である。新棟実験室内の機器および大型物品の設 置にあたっては第Ⅱ期以降の搬入物品と機器設置位置を考慮し,また災害時の避難通路の確保などを勘案して, 配置計画を練った。既設棟においても,棟の性格付け(研究分野別)を明確にするため,装置,機器などの配置 について整理統合を行った。装置,機器類の移設順序を間違えると玉突を生じる可能性があることから,移動順 序,作業人数,搬送車両数などを机上のシミュレーションも行って詳細に検討し効率的な移動を行うことと,移 設する装置はもとより実験室内の搬出入の際に影響を受ける残置する装置に対しても停止期間の短縮を計った。 (1)搬入路 第Ⅰ期物品の移動は,新棟引渡し日の平成5年10月7日に物性解析実験棟2階と新研究本館を結ぶ渡り通路 から始まった。第Ⅰ期,第Ⅱ期の移設期間は建設工事関係の後工事,植栽などの外構工事も並行して行われてい たため,構内道路,棟内,エレベーターなどの通過,使用調整を行いながら移送を進めた。第Ⅲ期以降は移設物 品と新規納入装置との搬入スケジュールの調整が必要であり,移設作業は常に週間工程会議で確認しながら進め られた。棟内搬入路を保全するため,ほぼ全棟において,廊下,壁,エレベーターなどにベニア板,ダンボール 板などで養生を行った。これらの養生は一部を除き移転終了時まで継続した。 (2)移設設置調査 移設対象物品内のBランク,Cランク物品については,個々の物品について設置位置,電気,ガス,循環実験 冷却水,上水,排気口などのユーティリティ接続に関する調査を行った。(図Ⅴ-7) この調査は移設前に装置,機器の大きさ,重量などのほか必要な電気,ガス,水などの種類,容量などを把握 するためのものである。また,必要があれば,電源盤増設,分岐盤増設,配管延長などの事前作業を行い,場合 によっては,仕様や床荷重に合った実験室への配置換えを行うための資料とした。これらの調査以後,移転推進 本部では担当部員複数名による班(2班)を編成し,一台の装置について移設の開始から最終チェックまでを同一 の班が担当した。班は調査,検討項目を当日の内に整理し,移転推進本部内で報告し,工程の進捗状況,問題点 の検討を行った。また最終チェック時には検査担当部員が同行して確認し,装置移設終了とした。 設置予定実験室内では,設置を予定している装置担当者を全員集め,設置面積,方向,作業範囲,付帯設備 (ユーティリティ)との接続位置の調整を行い,各担当者が設置位置の床にマーキングをして,そのレイアウト図 を提出することを義務づけた。最後にレイアウト図と調査結果をもとに総合調整を行い,移設業者に設置を指示 した。(図Ⅴ-8) レイアウト図は移設終了時に移転管理室(旧移転推進本部)において整理を行った。金材技研内の全装置につ いて,設置した棟,室,位置を明確にし,物品リスト(物品名,備品番号,寸法,担当者名)を併記した形でコ ンピューターで作図し,フロッピーディスクに集積した。これをレイアウト図(図Ⅴ-9)として,移転作業が終 了した時点で印刷,製本して所内に配布した。 (3)搬入後の調査(現場打合せ) 上記の調査結果を整理し,装置搬入後,移設業者,組立・接続工事者の立会いのもとに,例えば,電気関係で は装置側および盤側(ブレーカー)の相,電圧,容量を再度確認し,接続場所,適正資材,配線ルートなどの指 示を行った。ガス,水関係及び排気関係などの接続に関しても同様な指示を行った。また,移設初期に行われた 機器接続工事において,使用資材,接続方法などを金材技研工事マニュアルに従った現場実習を行い,以後の工 事例とした。工事の完了検査(ユーティリティチェックと称した)は,Bランク,Cランクの全移設設備を対象と して行った。ユーティリティチェックの内容は以下の通りである。 図Ⅴ-7移設機器設置作業調査票の例 図Ⅴ-8移設機器設置作業指示書 図Ⅴ-9移設機器設置レイアウト図の例 図Ⅴ-10 一般物品移設終了報告書の例 図Ⅴ-11B, Cランク移設機器作業終了確認書の例 ア)外観 イ)電気関係では配線ルート,ブレーカ接続部,使用電線,アース接続,結線及び接続部など ウ)循環実験冷却水及び上水関係では配管ルート,接続部,使用材質,漏れ,バルブなど開閉,固定部など エ)ガス関係では配管ルート,接続部,使用材質,漏れ,減圧弁など開閉,固定部など オ)排気関係では配管ルート,接続部,使用材質,オイルミストトラップ,固定部など (4)移設終了確認 移設物品A1ランク,A2ランクおよび一般物品のダンボール箱は各物品担当者が受取り,開梱確認を行った。 この物品移設終了の把握にあたっては各研究室,係宛に一般物品移設終了報告書を配布し,物品担当者の署名, 捺印を受けて回収し,終了を確認した。図Ⅴ-10に一般物品の移設終了確認書の例を示す。 開梱後の梱包材,箱などは担当者が所定の場所もしくはリサイクル室に集積し,移設業者が適時回収にあたっ た。 Bランク,Cランクの装置については電気,ガス,水などの接続及び組立て,調整などの工事が伴うため,移設 業者あるいは,委託を受けたメーカーが開梱を行った。 Bランクの装置及び機器の完成検査は物品担当者に対し,1~2週間前に検査実施日時を文書にて通知し,立会 いの了承を得て行った。移転推進本部員(第Ⅲ期以降は移転管理室員)が外観検査,ユーティリティ接続検査を 行い,次に物品担当者が確認した。その後,装置,機器の起動を物品担当者が行い動作を確認し,担当者,移転 推進本部員,移設業者の三者確認後,検査終了とし,物品担当者に設備の使用許可を出した。 Cランクの装置及び機器の完成検査は,据えつけ,組立後,1回目のユーティリティ検査(Bランクと同様)後, 業者が性能調整の作業に入る。本部員は作業途中にも経過状況とデータ確認を行った。作業終了後に三者立会い の性能検査を行い,また,必要に応じてチャート,性能・試験成績表の提出を求め,検討確認後に検査終了とし た。図Ⅴ-11に移設機器作業終了確認書の例を示す。 物品担当者は原則的に梱包から検査終了までは装置,機器に触れることは無いが,移転推進本部の指示,求め に応じて,操作などを行うこととした。これは移設中に於けるトラブルの防止と責任の所在を明確にすることを 目的としたものである。 (5) 工事マニュアル 移設に先立ち,筑波移転推進本部内において,工事マニュアル検討グループを発足させ,機器設置工事につい て検討して『標準実験棟内機器設置工事の手引き』を作成し,筑波移転推進委員会,同幹事会を経て所内に配布 した。『標準実験棟内機器設置工事の手引き』(以下工事手引きと略記)の基本的考え方を記する。 ①概要 研究所における研究設備のトラブルを防止し,災害を未然に防ぐために,すべての職員が共通認識として, 共通な部分,特に基本となる実験室内の付帯設備を熟知している必要がある。また,付帯設備と設置研究設 備間の電気配線,循環冷却水配管などの接続工事は標準化を進め,設置検査,研究設備の操作,日常の点検 及び保守を容易にする必要がある。 共通部分の付帯設備及び接続部部品は標準化を図ることにより,修理または部品の交換が容易になる。ま た,これら部品を備蓄することにより,トラブルの解消と復旧が迅速に行われ,研究業務の遅滞を少なくす ることができると考えられる。 本「工事手引き」には,金材技研の研究本館標準実験室ゾーンに研究設備を設置する際に遵守すべき標準 的設置工事の方法が記されている。また,この「工事手引き」は,金材技研の他の実験棟に研究設備を設置 する際にも適用を図るものとする。 本「工事手引き」においては,工事発注者と受注業者間での付帯設備及び施工方法などの確認を容易にす るために図例が多用されている。 ②設置工事について 金材技研内で研究設備の設置工事を行う受注業者は,法的に必要な資格を有していなければならない。法 的に資格の必要のない工事についても,十分な経験を有することが望ましい。 研究設備の設置を行う時は,室内の全体計画を考慮した上で,標準実験室付帯設備の仕様に合致した配線, 配管などを行わなければならない。また,スイッチ,バルブなどは操作,確認が容易に行える施工とする必 要がある。 設置する研究設備は騒音,振動,排気,粉塵などについて法律,規則などを遵守し,環境基準値を満たし ていなければならない。 設置する研究設備については,設計段階から設置工事,保守,あるいは,操作時における安全対策などを 考慮することが望ましい。 研究設備の設置にあたっては,冷却水配管および水槽など内部の汚れ,ゴミ,溶接フラックス,油分など の清掃を行うこと。また,移設設備においては腐食スケール(錆)などの清掃,特に管内面の清掃を行って から搬入し設置すること。 研究設備の設置工事に伴い金材技研施設に損傷・損害を与えた場合は,速やかに設備担当者へ報告し,本 件受注業者の責任において現状復帰し,担当係の承認を得ること。 (研究設備担当者→会計課契約係→安全施設課管財係) ③設置工事中の注意 ア)危害防止:工事機器,資材などを通路に置いてはいけない。電気溶接の電源は担当者,安全施設課 施設係と打合せを行った後使用する。 イ)防火対策:溶接工事,塗装などを行う場合は,消火器を準備する。 ウ)換気対策:塗装工事などを行う場合は,室内空調(集中冷暖房)を止めて室内換気を行う。 ④ 法律,条例,規則など 研究設備などの設置に関連して,法的届出などが必要な時は,本件受注業者が所轄官公庁などへ届出ある いはその代行などを行うこと。人事院への届出などに関しては,必要書類を整え,金材技研担当係(安全施 設課安全係)へ提出のこと。 ア)電気設備技術基準 イ)高圧ガス取締法 ウ)危険物,消防法 エ)環境法 オ)電波法 カ)人事院規則 キ)茨城県各条例,つくば市各条例など ク)金属材料技術研究所内規 ケ)その他関係法律,条例などによる ⑤標準実験室の諸源 ア)標準実験室配置 イ)標準実験室ゾーン 実験室の種類 ウ)付帯設備機能の内容 エ)各標準実験室内における付帯設備の配置 ⑥搬入仕様 ア)搬入路 イ)搬入口カードキーの取扱い ウ)搬入方法 ⑦機器設置工事仕様 ア)機器設置 イ)電気配線工事及び付帯設備の取扱い ウ)水配管関係工事及び付帯設備の取扱い エ)ガス配管関係工事及び付帯設備の取扱い ⑧ 接続部品類の供給,整備 Bランク,Cランク以外の装置,機器の接続及び調整は装置担当者が個々に行うこととしたが,接続部品, 器具,電線などは移転推進本部が準備し供給した。供給する対象は実験室付帯設備から一般仕様の装置,機 器への接続を原則とした。 特殊な供給例としては,付帯設備であるが,建築工事で一部(198台中61台)しか設置できなかった循環 実験冷却水のP型バンネヘッダー及びカップシンクが挙げられる。これらは移設される装置,機器の設置位 置を考慮して80台の購入・備蓄を行った。 移転推進本部では1000種類以上にのぼる部品を準備し,パーツショップ形式により希望者に供給した。ま た工事方法,必要部品などのアドバイスを行い,円滑に装置の立上げが出来るように助力した。以下に供給 物品を例示する。 ア)電気部品関係 電線:キャブタイヤケーブル14 mm2から2 mm2 4芯から2芯線 アース線GV 3.5 mm2から2 mm2単芯線 Fケーブル,コード類 スイッチ類,ヒューズ類,圧着端子類,プラグ,コンセント類,テープ類など イ)水部品関係 ボールバルブ:1インチから3/8インチ 外内ネジ型,チューブ用 接続部品:エルボ類,ニップル類,ユニオン類,チーズ類,ブッシング類 配管部品:ナイロンチューブ類,テフロンブレードホース類,塩ビ管類など ウ)ガス部品関係 配管部品:ステンレス管 1/4インチ,3/8インチ 接続部品:ステンレス製コネクター類,ユニオン類,レデューサ類など エ)排気部品関係 配管部品:塩ビ管類,フレキシブルビニルホース類, 接続部品:エルボ類,ニップル類,ユニオン類,チーズ類,ブッシング類 オイルミストトラップ,ライン排気ファンなど オ)安全対策用品 ガス漏れ検知液,液体吸着キット,フロアマーキングテープなど カ)貸出し工具 各接続工事に使用する工具類,脚立類,真空掃除機など 第4節設備の充実 1.研究設備 1.1研究設備更新 (1)機能代替 特定国有財産整備計画による移転の原則は,移転後も移転前と同様の機能を保持することである。この原則に 従えば現有する研究設備のうち,移転後の研究計画で必要とされる研究設備については,全て移設することとな る。しかし,現実には移設が不可能な設備もある。 基本的な考え方については既に第Ⅴ章第1節で述べたように,機能代替の観点から移設不可能な研究設備に代 わる新たな設備を「更新設備」として購入することとした。 (2)更新設備の抽出 移転計画策定の一環として,金材技研の研究設備について個々の設置状況などの調査を行い,技術的及び関係 法規などの観点から移設が可能かどうかの検討を行い,その結果74件について更新設備とすることを決定した。 (3)資料の作成 更新の対象となった74件の設備について,当該更新が移転のために必要な経費の重要な1項目であることを 関係機関に説明するため,さらに,最終的には概算要求時の説明用に提出するための資料を作成することとなっ た。一定の書式を定め,これに沿って各研究設備ごとの説明資料を作成,さらにメーカーの見積書を添付した。 見積額の合計は,約48億1800万円となったが,その後さらに個々の設備の仕様などについて詳細な検討を 行って約46億円を概算要求の基礎とした。 (4)概算要求 科学技術庁における金材技研担当の研究開発局材料開発推進室に対して,上記資料により74件の全てについ て説明を行ったが,設備維持管理費,設備移設費などに比べ重要性・緊急性について十分な理解を得ることが出 来ず,平成5年度概算要求における科学技術庁の調整段階では,設備更新費の獲得はあまり期待できない状況で あった。 結局,科学技術庁の調整では約1億1000万円(2件)まで削られ,更に大蔵省の査定を経て,最終的には9900 万円を計上するのみであった。この状況は平成6年度,7年度も同様で,両年度とも平成5年度と同様約9900万 円(3件)が計上されたのみであった。 1.2補正予算 研究設備更新費が期待したようには計上されなかった代わりに,更新要求設備のうちから約25億円(17件)が 平成5年度に編成された大型の補正予算に計上された。これは金額において更新要求設備全体の5割を越えるも のであり,設備の更新に窮していた状況にあって大きな救いとなった。 補正予算要求の作業は短時間内に進められたため,この際に,既に作成されていた資料が大いに威力を発揮し た。もし,この資料がなかったら,要求そのものが危ぶまれていたのではないかとも思われる。 その後も,追加の補正予算編成の話が浮上する度に未計上の更新要求設備が対象として検討されたが,結局こ れ以上の更新費用が計上されることはなかった。 2. 一般什器の整備 新たに建設された建物の各業務室に整備されるべき什器については,将来その管理などの担当が予想される管 理部各課,各研究部などに対して検討を依頼し,提案してもらった。その結果,新規購入什器の見積総額が2億 数千万円に及ぶことが明らかになった。あまりに莫大な金額となるため,整備するにあたり何らかの基準を設け る必要に迫られ,以下の「業務室什器類整備方針」が取りまとめられた。 2.1業務室什器類整備方針 業務室などの什器類整備に関する基本原則は以下の通りである。 ア)現在使用中のものを移設し,使用する。 イ)機構・定員上新たに必要になるもの,室数の増加により新たに必要になるもの,室の形状変化により 現在のものが使用できないものについては他からの転用をはかり,転用可能なものがない場合には緊 急性の高いものから購入する。 ウ)移設又は転用する物品を特定できない場合,使用可能な物品を一括運搬した後に適宜選んで供用す る。 エ)移設したもの,他から転用したもので,適当でないものについては,後日,実行上の配慮により順次 整備する。 2.2 一括対応 “研究居室レイアウトの基本的な仕様”の項で述べたように,研究居室にはローパーティションを含むデスク セットを一括整備した。これに併せて管理部各課執務室,秘書室,共通事務室,図書室,守衛所,車庫などの業 務室の椅子も新規購入するとともに,研究部長室などの机,脇机,椅子についても一括して整備した。また,研 究本館研究居室ゾーンの各フロアーにある小セミナー室についても,テーブル,椅子,OHP用スクリーン,ホワ イトボードなどについても一括整備した。 2.3個別対応 前述の,一括対応した什器以外については基本原則に基づいて個別に対応した。移転に際して新規に什器を購 入した部屋などの一覧表を表Ⅴ-1に示す。なお,特記事項として,研究本館研究居室ゾーンの各階にあるインタ ラクションスペースの什器整備が挙げられる。当該什器に関しては,一定の予算限度内で,整備方針に沿った什 器を各フロアーに属する研究者から提案してもらい,整備した。したがって,インタラクションスペースは各フ ロアで趣の異なる空間が演出されることになった。 表Ⅴ-1 什器を新規購入した部屋などの一覧表 研究本館 管理ゾーン 所長室,所議室,第1,第2及び第3応接室 第1,第2,第3及び第4会議室,クローク及び倉庫 中セミナー室,図書室,玄関ホール,展示室 厚生ゾーン 講堂,講堂内放送室及び倉庫,食堂,厨房,喫茶室 喫茶室厨房,理髪室,仮眠室,シャワー室,女子更衣室 研究居室ゾーン 特別応接室,中セミナー室,シャワー室,女子更衣室 管理・研究棟 応接室,大及び小会議室,セミナー室,図書コーナー 玄関ホール,食堂,仮眠室,シャワー室,女子更衣室 第5節 東京地区整備(材試地区残留施設の整備) 1.材試地区の誕生及び東京残留の経緯 材試地区は,金属材料技術研究所の第2次整備計画において,国産金属材料のクリープ及び疲れに関する材料 試験を,中立的国立機関の立場で系統的に実施する試験部門施設として,昭和39年度からクリープ試験関係の整 備に着手し,昭和43年度に完成した。次いで,昭和44年度から疲れ試験関係の整備に着手し,昭和47年度に完 成し,爾来,当該材料試験施設において系統的な実験によるデータを広く公表し,中立的な立場から国産実用金 属材料の品質・信頼性の保証に大きく貢献してきた。 移転にあたっては,材試地区は,従来から行っているクリープ試験業務を継続実施する必要があることなどの 事由から移転の対象から外され,東京に残留することとなった。 2.東京残留・材試地区の変身 筑波移転完了に伴い,平成7年7月1日付で組織改正が行われ,材料試験施設は,「材料試験事務所」として, 金材技研誕生の由緒ある中目黒の地に新たに誕生・開設された。新たに開設された材料試験事務所は,クリー プデータ シート 発刊に関する事務処理及び受託試験に関する事務, 試験のための施設及び設備の維持管理,受託 試験に係る技術相談,技術資料などの調査,収集統計などの業務を行う材料試験業務室,及びクリープデータ シート作成計画に従って従来からの長時間クリープ破断試験及びクリープ試験を継続実施し,得られた結果を解 析して,クリープデータシートとして国内外に公表し,また,民間企業などからの受託試験を行う材料試験室の 2室から構成されることとなった。 材料試験事務所は,長年にわたって培われた信頼と実績をもとに筑波本所との有機的な連携により新たなニー ズにも対応するデータ・指針類の提供を目指す等,本所(千現地区)・極限場研究センター(桜地区)と同様,金 材技研の一極を担うこととなった。 3.施設など整備 施設などの整備として,旧本所地区と切離されることによる材試地区の独立運営のための整備と,移転終了後 の材試地区の有効利用を図るための整備が実施された。 前者としては,名板の掛替え,電話設備の更新等整備,展示コーナーの改修,後者としては,移転に伴って一 部空室となった50号(クリープ試験)庁舎の試験室及び実験室の用途転用のための改修,外壁の一部改修及び塗 装,3階会議室の用途変更のための改修,50号庁舎外壁に取付けられた51号(疲労試験)庁舎への送電用電線及 び空調・給水配管の撤去,51号庁舎の外壁及び屋上防水改修及び屋内(3階及び2階の一部)改修などによる整 備などがあげられる。 3.1名板の掛替え 従来,材料試験施設を表示する名板は,門柱脇の鉄栅上部に設置され,名板の存在が目につきにくいという難 点があったことから,設置位置を見直し,鉄栅外に支柱を建て,名板の存在が一目で確認できる位置に変更設置 した。 3.2 50号庁舎整備関係 (1) 守衛室の移転及び整備 51号庁舎に設置されていた守衛室を廃止し,50号庁舎に新設するとともに,庁舎警備システムの改修整備を 行った。 (2)展示コーナーの整備 1階展示コーナーを改修し,試験材料等の展示及びパネルの掲示等の整備を行った。 また,大,小テーブル及び椅子を備え,見学者への便宜を図る等の整備を行った。 (3)電話設備などの整備 電話回線数を外線3回線によるダイヤルイン12回線とし,回線をプッシュ回線に更新した。 また,電話設備に放送機器を接続し,一斉放送連絡の手段を確保するとともに,電話設備に監視カメラ及び ドアホンを接続するなど電話設備の整備を行った。 (4)外構整備 防衛庁幹部学校との境界及び土留め壁の改修工事などを行い,庁舎周りの環境整備を行った。 (5)補修整備 電気・空調関係など施設室側の床面,階段面及び壁面などの補修による整備を行った。 3.3空室などの用途転用の為の整備 ア)移転に伴って空室となった4階・ 406号室(2スパン)を会議室として改修し,机,椅子など会議に 必要な諸備品を整備した。 イ)試験機の一部を筑波本所へ移設したことにより余剰スペースが生じた1階107号室を談話室として 改修し,職員の厚生施設として整備した。 ウ)これまで会議室(1.5スパン)として使用していた3階303号室を応接室及び図書室として改修し, 所要の整備を行った。 3.4 51号庁舎整備関係 ア)平成7年度の2次補正予算により,屋上及び外壁補修の他屋内の共用部分,3階の各室を改修するこ ととした。 イ)3階を大会議室及び小会議室兼応接室として改修し,会議に必要な諸備品を整備した。これにより データシート関係の会議などに供し得る供用施設とした。 4.その他(51号庁舎への他機関の入居) ア)1階については,科学技術庁官房及び原研・計算科学技術センターがそれぞれ使用することとなっ た。 イ)2階は原研・計算科学技術センター及び財団法人高度情報科学技術研究機構が使用することとなっ た。 第6節職員の移動 1.概 要 金材技研は,昭和53年度に筑波支所が設置されて以来,東京本所と筑波支所の2地域体制で研究を推進してき たが,平成7年7月に,東京には材料試験部門のみを残置させて,筑波研究学園都市に移転した。移転の前後の 定員の推移は表Ⅴ-2のとおりである。 表Ⅴ-2移転前後の定員の推移 (名) 区 分 平成6年度末定員 平成7年度末定員 増 減 東京地区 中目黒本所 310 0 -310 材料試験事務所 ― 15 + 15 筑 波 地 区 112 405 + 293 計 422 420 -2 注)平成7年度定員減2名は定員削減 2.住 居 筑波への移転にあたって,職員の住居をどうするかは大きな問題であるが,平成3年に行われた宿舎アンケー ト は次のよ うな結果であった。 宿舎入居希望 249名 自宅通勤(購入8名を含む。) 56名 東京地区の宿舎から通勤 9名 その他 15名 2.1公務員宿舎 公務員宿舎の建設・管理は大蔵省の所管であり,各機関から出された必要戸数の設置要求に基づき,必要であ れば宿舎の設置を行うこととなっている。 このため,金材技研では昭和63年12月に第1回の宿舎関係アンケート調査を実施し,これを基に筑波地区に おける宿舎必要戸数を算定し,希望者全員が入居できるよう宿舎設置要求を行った。 このアンケート調査は平成4年まで毎年定期的に実施し,要求戸数の微調整を行って具体的な職員の入居(時 期など)に関する基礎資料として使用した。 なお,アンケート調査を基に大蔵省に設置要求した宿舎の必要戸数は表Ⅴ-3のとおりである。 表Ⅴ-3宿舎入居希望調査集計 規格 平成2年9月 平成3年6月 平成4年10月 平成5年4月 e 1 1 1 1 1 e2 16 16 13 9 e3 0 0 27 22 d 94 94 40 27 c 14 16 13 10 単身用 100 98 92 87 独身用 26 25 50 54 計 251 250 236 210 平成2年9月1日時点の調査では,東京本所の在職者数は329名であり,うち筑波移転に伴い筑波宿舎に入居 を希望する職員は,251名(世帯用125名,単身用100名,独身用26名)で,その他は自宅購入,自宅から通勤, 賃貸住宅の借入れなどを希望する職員であった。 公務員宿舎必要戸数251戸については,関東財務局において検討の結果, 新たに設置する必要はなく既存の未貸与宿舎で対応できるとの回答を得たた め,平成5年10月に宿舎入居についての最終確認の調査を行い,宿舎の入居 希望,入居宿舎の規格などの確認を行い,職員の希望に沿った宿舎に入居出 来るよう努力した。 平成6年1月から平成7年6月にかけて順次,筑波宿舎への入居を行った が,最終(平成7年6月)的な宿舎入居状況は表Ⅴ-4に示すとおりである。 3. 移転困難者対策 移転に当たって,職員個々の実状を把握するため,「移転に関する職員の個 別調査」を昭和62年10月,平成元年11月及び平成4年7月の計3回実施し 表Ⅴ-4最終的入居状況 規格 人数 e 1 1人 e2 14 e3 19 d 22 c 10 単身用 74 独身用 41 計 181 た。 昭和62年の調査は,筑波移転に関する予備調査として宿舎の希望調査と併せて実施し,この調査で何らかの理 由で筑波地区勤務を難しいと思っていると答えた職員は109名に及んだ。 平成元年の調査は,移転に関する職員の個別的事情を把握し,今後の施策策定の基礎資料を得ることを目的と して実施した。筑波移転によって生ずる個人的な問題点の有無及びその内容の把握が主な目的であった。 問題点の殆どが,持ち家,家族,健康,教育など個人の生活に関連の深いものであり,状況も変化していくこ とが考えられるため,対応は管理部長を中心に庶務課の限られた職員のみが行った。以後,これを基礎資料とし て職員個々と連絡をとりながら更に詳細な実状を把握して問題点の解決に努めることとした。 平成4年の調査は,いよいよ移転を間近に控え,最終的な状況を把握することを目的として実施した。 この調査で,なお,筑波勤務に困難な問題があると応えた職員は35名あったため,庶務課において担当官を指 名し,いつでも相談が受けられる体制をとってこの問題解決に当たることとした。 この結果,どうしても移転が困難な職員若干名について本庁など他機関へ転任を斡旋した以外は殆ど単身赴 任,通勤などにより筑波勤務に対応することになった。 (こぼれ話13)池の魚も引っ越し 旧目黒本所の橋本庭園の池には,鯉,鮒などが元気に生活していた。この魚達については,会計課の優しい 人達が中心になって世話をしていたが,この人達が筑波へ移転する際に池の魚の処遇が話題になり,是非筑波 へ引っ越しさせたいという話になっていた。魚の引っ越しについては日本通運(株)の担当者から了解が得られ ていたが,受入側の筑波に問題があった。池がないのである。 しかし,ここで「拾う神」が現れた。心ある人達が物性解析実験棟の裏手にボランティアで池を造ったので ある。平成7年7月,目黒からの最終便で池の魚の引っ越しを行うことになった。まず池の水を干し,水が殆 どなくなったところで魚の捕獲作戦が開始された。大の大人が池の底のドロにまみれ,魚を追う姿はまるで童 心に帰ったようであった。この時捕獲されなかった小さな鮒などは,大分大きくなって現在も元気に橋本庭園 の池で生活している。 捕獲された魚は,生命の保全に係る万全の措置が施され,トラックの運転手も何となく緊張気味のうちに目 黒を出発,その日のうちに筑波に到着した。この引っ越しで草魚と思われる一匹の魚が生命を失ったが,その 他は元気に物性解析実験棟南側の池で筑波の生活を楽しんで(?)いる。 第Ⅵ章国有財産・物品等の処理 第1節敷地・建物 221 1.特定国有財産整備計画決定に基づく所管換 221 2.所管換のための対処すべき要件 221 3.跡地財産などの所管換スケジュール 221 4.引渡し事務処理作業 222 5.所管換及び引渡し完了 224 第2節物品の処分 225 1.管理換及び売払い 225 2.廃 棄 227 第Ⅵ章 国有財産・物品等の処理 第1節敷地・建物 1.特定国有財産整備計画決定に基づく所管換 金材技研の筑波移転が特定国有財産整備計画(以下「整備計画」という)として正式に認められた結果,旧目 黒本所地区(材料試験庁舎地区及び独身者用宿舎を除く)は整備計画において処分財産とされた。 目黒本所土地建物面積など(大蔵省より所管換:昭和34年4月) 土 地 12,192.77 坪 建 物 2,974.36坪 工作物 1箇 立木竹 277本 処分財産は大蔵省に所管換することになっており,これに向けて金材技研が対処すべき要件について大蔵省関 東財務局からの指示がなされた。 2.所管換のための対処すべき要件 大蔵省関東財務局から指示がなされた具体的要件は以下の通りである。 2.1 所管換にあたっての財産整理 7)土 地:境界確定,実測,登記 イ)建 物:配置図,平面図,立面図 ウ)工作物:配置図,断面図及び規格数量計算書 エ)立木竹:配置図,毎木調査表,樹種別一覧表 2.2財産の引渡し 7)原則として国有財産(土地,建物及びこれに付帯する工作物,立木竹など)以外は,引渡しまでに撤 去すること イ)RI施設,薬品,ガスなどの危険物及びその取扱施設などは,跡地利用上危険がない状態まで処理す ること ウ)移転後の財産管理のため,開口部を閉鎖するなど,不法侵入及び盗難などを防止する措置を講ずると ともに周囲との境界線上に栅を設置すること 2.3その他 7)移転後,試験,研究のための施設を部分的に使用する必要がある場合は,あらかじめ使用範囲及び施 設管理について協議すること イ)財産整理,所管換手続きなどで個別に協議する必要がある場合,当該財産の所在地を管轄する財務部 などと打合せること 3.跡地財産などの所管換スケジュール 7)所管換対象財産以外の撤去すべき財産の調査 平成元年4月~平成2年3月 イ)土地の実測,境界の確定及び図面作成並びに財務局との打合せ 平成元年4月~平成7年3月 ウ)RI施設,薬品・取扱施設などの処分方法の検討 平成2年4月~平成3年3月 エ)財産引渡しに際し財産保全のための必要となる措置の検討・処置 平成3年4月~平成8年3月 オ)土壌汚染の調査・処理 平成5年4月~平成8年2月 カ)所管換対象財産以外の撤去すべき財産の撤去 平成5年10月~平成8年2月 キ)財産の所管換 平成8年3月 8)財産の引渡し 平成8年3月 4.引渡し事務処理作業 事務処理については,所管換スケジュールより相当早く完了することを目指していたが,後に述べる事情によ り大幅に遅れた。その主な要因は次の2点である。(ア)建物,工作物などは何度も改修がなされた結果,当初の 図面と改修図面が入り交じり,さらに最終図面が無いものが多数あった。(イ)土地については,周辺が国有地と いうこともあって,土地の完全な実測がなされていない未整理地区と表示されていたことである。 特に土地に関する事務処理は多難であった。目黒登記所の当該土地の登記及び公図は,明治時代に作成された 公図のままで現在に至っており,旧陸軍省,海軍省,内務省,大蔵省名義に掛かる所有地が存在しており,その 後様々な分筆や合筆が繰り返され,現況土地に見合った態様を成していない状況であった。(図Ⅵ-1)しかし,所 管換を行うためには現所有官署(金材技研)が現況に即した実測図面,境界確定,土地登記を行うことは不可欠 の条件となっている。 この問題の解決策として登記簿の名義人で現存している唯一の官署である大蔵省に,消滅している官署の名義 の土地を合筆整理し,当該土地及び周辺の縮尺2,500分の1の実測図面(図Ⅵ-2)を作成した。これに基づき地 積更正及び現況に合った公図修正,現官署に分筆整理,周辺地権者との境界確定の作業を順次行った。これらの 作業が終了し,所有権移転登記の手続きを完了させるのに5年の歳月を要したほどの困難な作業であった。 建物などについては,財務局の指示を仰ぎながら書類を整備し,所管換対象財産に含まれない物品などを解体 撤去した。以下に事務処理作業の詳細について述べる。 4.1境界確定について 境界確定については,周辺地権者が国の機関である防衛庁,東京共済病院,河川,道路と公の機関が占めてい るので,順調に進むものと考えられていた。しかし,目黒川(2級河川)との境界確定は困難な作業であった。 2級河川については,その管理が河川法により都道府県知事に機関委任されている。このため明確となってい ない境界を確定するためには,東京都との協議が必要となった。金材技研にとっては,早急に解決したい問題な ので都庁まで出向き早期の協議開始を要請した。この問題は,護岸整備中の東京都側にとっても明確にすべき問 題であった。 この協議は延々と続き,やっと,東京都との合意を得て境界石を打込むことが出来た。苦難続きの3年の歳月 を要して鈴木俊一都知事署名の境界確定協議書が返送されて来たときは感無量であった 。 4.2総理府宿舎用地について 金材技研と東京共済病院に挟まれた総理府宿舎の土地は金材技研の所有地である。この土地の処置については 移転とは直接関係はないが,移転に伴い整理しておかねばならない問題の一つであった。それは,この土地を速 やかに総理府本府に所属換(同一省庁内の他の機関にその管理を変更)するように,大蔵省関東財務局から指導 されていたのである。金材技研としてはこの指導に基づき手続きを進めていたが,関係機関に複雑な事情があり, これらの解決を含め7年の歳月を経て「所属換」を完了することが出来た。 図Ⅵ-1登記公図 図Ⅵ-2実測図面 4.3独身寮「靖心寮」について 筑波移転の計画当初から本庁へ「所属換」することが決まっていたが,金材技研の管理部が移転完了した時点 で管理を本庁に移すことになり,結果として部分的(主として共用部分)手入れを行い平成7年11月に「所属換」 を完了した。 4.4材試地区(材料試験事務所)について 残留するこの地区は,第Ⅴ章の「東京地区整備」の項で既に述べたように,非常電源送電線・電話線・所内放 送線・ LANケーブル及びそれらを支える電柱の撤去と電話設備・館内放送設備の整備を行い独立化を図る必要 があった。この工事は建設省への支出委任工事で,前年度の補正予算の繰越しのあおりを受け大幅に工事が遅れ 移転完了に間に合わず,材試地区は半年近く不便を余儀なくされようやく竣工した。 4.5 土壌汚染調査・処理について 移転に関し金材技研が予定していなかった問題が発生した。それは大蔵省関東財務局から,環境庁の「国有地 に関わる土壌汚染対策指針」に基づいた当所敷地の重金属による土壌汚染調査を行い,その結果によっては必要 な処理対策を行うよう申し入れがあったことである。そこで指針に従った表層土壌の概要調査を行ったところ , 鉛と水銀による汚染の疑いがあることがわかり,さらに地下土壌も含めた308地点の詳細土壌調査と地下水の調 査を実施した。その結果,3ヶ所で鉛の検出値が基準をわずかにオーバーしたが,地下水の汚染は認められなかっ た。そこでその処理について大蔵省関東財務局立会いの下に環境庁に相談し,その指導を受けて,さらに詳細な 調査を行って汚染地点を特定した上で,金材技研の敷地内において汚染土壌の処理を行った。基準値をオーバー した3点はいずれも舗装道路の地下数メ ートルの地点からの検体によるもので,地表からの汚染が考えられない ことから,原因は金材技研が昭和31年にこの土地の使用を開始する以前にあると推定される。 5.所管換及び引渡し完了 前項の所管換え作業の終了を大蔵省関東財務局に報告後,確認を得て以下の通り引渡しを完了した。表Ⅵ-1 に所管換した財産の内訳を示す。 所管換年月日 平成8年3月29日 引渡し年月日 平成8年3月29日 表Ⅵ-1所管換財産目録 区 分 数 量 金 額 土地 39,908.08 m2 22,993,878,016 円 立木竹(樹木) 245本 356,445 建 物 建16,665 m2 延 29,347m2 1,054,698,591 工作物 門,囲障,冷暖房装置,通信装置,電 力路線,諸作業装置,雑工作物など 585,828,231 計 24,634,761,283 円 (こぼれ話14)東京部隊の昼食 残留した材料試験事務所には食堂がない。人数も少ないため食堂を設けるには至らない。そこで,昼食に は,隣のよしみで防衛庁の幹部学校の食堂を使わせていただいている。食事の種類も多く,味もそこそこ,値 段も安からず,高からず,まあ満足している。 第2節物品の処分 移転に際して前述のとおり各研究設備などの取扱いが決定され,このうち移設されないこととされた研究設備 などについては,大蔵省とのかねてからの打合せにより処分を行うこととなった。 処分の方法は以下のとおりである。 ア)管理換……他の国立機関への引渡し イ)売り払い …… 国立以外の機関を対象とした有償の引渡し ウ)廃 棄 …… 使用不能あるいは用途がないため解体処分 上記ア)及びイ)は,設備として次の活躍の機会を与えられ,ウ)はその生命を終えるものである。 そして,管理換の場合,備品の台帳価格が300万円以上,売払い及び廃棄(不用決定)の場合は,50万円以上 については科学技術庁長官の承認が必要になるなど処分開始前の事務手続きは膨大な時間と労力を要するもので あったが,この手続きは計画的に進められ,以後の処分作業が円滑に遂行されることとなった。 1.管理換及び売払い 移設の対象とならなかった研究設備などの管理換及び売払いの担当課である管理部会計課は,これらの設備の 有効活用を図るための業務を積極的に推進した。また,当該研究設備などの使用者であった研究者も数々の貴重 な実験成果を得た使い馴染んだ装置を簡単に潰してしまうには忍びないので,再びこれらの設備の活躍の場を探 すべく,退職された先輩研究者の方々,あるいは学・協会などを通じて広報活動を行った。このような努力が実 を結び,多くの機関で金材技研設備の再利用が決まった。その結果は以下の通りである。 1.1管理換 管理換としての国立研究機関や国立大学での物品の引取先が,以下のようになった。 (1)平成6年度 ア)電気機器類 電気炉など3台で,物品登記価格にして約800万円分 管理換先:岩手大学,茨城大学,長岡技術科学大学など イ)工作機械類 旋盤など2台で,物品登記価格にして約250万円分 管理換先:横浜国立大学,東京工業大学など ウ)試験及び測定機器類 疲労試験機,クリープ試験機及び顕微鏡付属品など23台で,物品登記価格にして約2億200万円分 管理換先:航空宇宙技術研究所,京都工芸繊維大学,東京工業大学,広島大学,茨城大学,新潟大学, 東京大学,長岡技術科学大学,岩手大学,豊橋技術科学大学,横浜国立大学,埼玉大学など エ)産業機器類 圧延機及び空気調整器など5台で,物品登記価格にして約500万円分 管理換先:無機材質研究所,長岡技術科学大学,東京工業大学など (2)平成7年度 ア)試験及び測定機器類 疲労試験機5台で,物品登記価格にして約800万円分 管理換先:茨城大学,九州大学,電気通信大学など なお,管理換のための引取り費用は,管理換を受ける側の負担となるので,一般的には撤去費や運送費が多大 となる装置などについてはなかなか管理換の相手先が見つからない場合が多いこととなる。このことを考慮すれ ば,短期間にこれほどまで管理換ができたことは研究者の努力と大切に使ってきた装置などに対する愛情の賜と 考えられる。 1.2売払い 前記管理換を優先して行ったが,さらに,民間などへの売払いは,以下のようになった。 (1)平成6年度 ア)電気機器類 電気炉など6台で,物品登記価格にして約1800万円分 売払い先:私立大学は,芝浦工業大学,日本大学,金沢工業大学など 民間企業は,神戸工業試験場,波多野工業など イ)工作機械類 旋盤など5台で物品登記価格にして約600万円分 売払い先:私立大学は,金沢工業大学など 民間企業は,神戸工業試験場,波多野工業など ウ)試験及び測定機器類 クリープ試験機,疲労試験機など69台で物品登記価格にして約1700万円分 売払い先:私立大学は,芝浦工業大学,金沢工業大学,東海大学など 民間企業は,神戸工業試験場,波多野工業,タルチン,石川島精密鋳造など エ)産業機器類 圧延機及び伸線機など9台で,物品登記価格にして約5300万円分 売払い先:私立大学は,芝浦工業大学,金沢工業大学,東海大学など 民間企業は,神戸工業試験場,波多野工業,日新技研など (2)平成7年度 7)試験及び測定機器類 疲労試験機及びクリープ試験機で,物品登記価格にして約800万円分 売払い先:私立大学は,大同大学,金沢工業大学,成蹊大学など 民間企業は,神戸工業試験場,コベルコ科研,島津製作所,大平洋金属など 売払い価格は,まず税法上の原価償却基準に則り購入してからの経過年数による価格を積算する。これを基本 に予定価格を積算し,原則として競争入札により売払い価格が決定される。このようにして1件1件処理されて 行くのであるが,有償という条件にもかかわらず多くの設備が売払いの対象となった。 売払いに係わる一連の作業は,旧目黒本所及び旧材試地区(50号,51号庁舎)を含め平成6年度及び7年度に 実施された。平成6年度においては,旧本所に設置してあった当該物品を廃棄作業開始前に引取ってもらう必要 があり,入札から搬出までの日程調整を短期間にしなければならず,売払いのための引取り作業と廃棄のための 解体作業とが一緒になり混乱しないか苦慮したが,ほぼ無事に終わった。 また,旧材試の51号庁舎に設置してあった疲労試験機やその他の装置の撤去については,当該建物の以後の利 用計画が決まっていたので工期が急がされたため平成7年度作業の第一陣として優先的に行った。また,建物を 傷つけることのないよう慎重な作業が要求された。 なお,平成7年度の処分の対象となった大型クリープ試験機及び各種の疲労試験機については,阪神淡路大震 災の被害を受けた設備の代替として再び活躍する場を与えられたことも特筆すべき点である。 2.廃 棄 2.1作業内容 廃棄作業は廃棄設備は当然のこと,大蔵省に所管換する土地,建物及び前記の「管理換及び売払い」以外の全 ての「物」を撤去,処分する作業である。この基本的な考え方は,金材技研の作業範囲について当該作業担当者 も理屈の上では理解できていたが,具体的な基準となると個々に異なった判断が必要であった。 天井クレーンの例でいえば,建物の一環として整備されたもの(国有財産)と,建物完成後数年を経て必要に 応じて整備されたもの(国有財産と物品が混在)とがあり,これについては,(ア)全て撤去,(イ)物品のみ撤 去,(ウ)全て撤去しない,との3様の意見が出された。 そこで所管換を受ける大蔵省関東財務局の担当者との協議を重ね,作業現場での確認も行い,これにより金材 技研の作業範囲が確定され,作業を発注するための仕様書が作成された。 当該作業は平成6年度及び7年度の2ヶ年度で実施することとなっていたため,各年度ごとの作業範囲を決定 するため上記仕様に基づき建物ごとの所要額の把握に努め,主として予算額に応じた計画を策定した。 2.2平成6年度分の作業 平成6年度は,予算の関係などから全体の3割程度を実施することとなり,作業受注業者は移設作業を実施し た日本通運(株)に決定した。 作業割合の決定については,予算の関係も考慮された結果であるが,金材技研目黒地区への通行経路である 「田楽橋」の重量制限(総重量14トン)から大型の機械の使用が困難であることも大きく影響していた。さらに, 廃棄物品の搬出についても「田楽橋」の重量制限の影響を受け,4トントラックを中心に行われたため,極めて効 率の悪い作業となった。また,旧目黒本所の特別高圧電力及び上水の供給を平成6年8月末日より停止(14号庁 舎及び10号庁舎は電気・水道の仮設による供給)したため,室内照明,クレーンなどが使用できず,別途日本通 運が重機や発電器などを持ち込む非効率的な作業条件となった。作業時間も職員の勤務時間内とし,平屋の建物 を中心に作業が行われた。 ただし,旧材料試験庁舎と異なり今後使用することがない建物ということで,大蔵省から物品の解体撤去のた めなら当該建物の一部を搬出通路の確保のために壊してもよい(安全や引渡後の管理のために後でベニヤ板など で簡単に補修する必要はあった)とのお墨付が得られたので,この点では作業が容易となった。 平成6年度廃棄物品(50万円以上,50万円未満については数量が多すぎて本紙面では書ききれないので割愛す る。平成7年度も同じ)は物品登記価格にして総額約9580万円に上り,その概略は,以下のようであった。 ア)電気機器類 電気炉など6台で,物品登記価格にして約1880万円分 イ)工作機械類 旋盤など5台で物品登記価格にして約570万円分 ウ)試験及び測定機器類 クリープ試験機,疲労試験機など69台で物品登記価格にして約1780万円分 エ)産業機器類 圧延機及び伸線機など9台で,物品登記価格にして約5350万円分 2.3平成7年度分の作業 平成7年度は廃棄作業に係る残り全てを実施するもので,平成6年度と同様日本通運(株)が作業に当たった。 「田楽橋」は改修(架け替え)工事中であり混乱が予想されたため,工事担当である東京都の現場事務所に相談し たところ,工事期間中設置される架設橋は耐荷重60トン以上の設計値であるとの説明があり,大型の重機の使用 及び11トントラックによる搬出が可能となった。 工程の初期に実施した30号庁舎については,病院などに境界を接していることから作業は慎重に行われた結 果,近隣からの苦情もなく,また,大型設備が集中している22号(A, B)庁舎の作業は困難が予想されていた が,大型重機の存分な活用により順調に進行し,平成7年度の作業全体もほぼ予定どおり終了することができた。 平成7年度廃棄物品(50万円以上)は物品登記価格にして総額約27億8500万円に上り,その概略は,以下の ようであった。 ア)電気機器類 電気炉など51台で,物品登記価格にして約1億7200万円分 イ)工作機械類 旋盤など32台で,物品登記価格にして約1億400万円分 ウ)試験及び測定機器類 クリープ試験機,疲労試験機など460台で,物品登記価格にして約18億9700万円分 エ)産業機器類 炉など94台で,物品登記価格にして約4億9600万円分 オ)荷役運搬機器 フォークリフトなど4台で物品登記価格にして約600万円分 カ)雑機器 計算機など59台で物品登記価格にして約1億1000万円分 2.4危険物及び廃油(廃棄装置などに入っている潤滑油など)の処分 処分すべき「物」の中には,薬品,ガスボンベなどの危険物も含まれている。 危険物は安全施設課の主導のもと専門業者により処分作業が行われた。危険物の処分は,設備などの廃棄作業 を安全かつ円滑に進めるための重要な要因であるため,しばしば双方の工程の調整を行い,効率的に作業が進め られた。 また,大量の鉄粉,クロム粉,生石灰なども危険物の対象であり,これらについては目黒消防署の査察・指導 もあり慎重に処分が行われた。さらに,装置内の機械油などは事前にドラム缶などに回収するなどして処分作業 の行程の調整を行った。また,22号B庁舎の溶解炉基礎の地下ピット部分は,流れ込んだ大量の雨水のため設備 が埋没した状態となっていた。設備処分のため雨水の回収を行うこととなったが,雨水には設備の油分が含まれ ていたため,専門業者による回収(バキュームカー)が行われた。 最後に,平成8年2月,14号庁舎及び守衛所(10号庁舎)の撤去(什器の一部の筑波地区に移設を含む)をもっ て旧目黒本所及び旧材料試験庁舎の一部の物品の撤去作業などのすべてが終了した。 当該撤去の検査については,各年度ごとの作業終了後,また,各建屋毎の作業終了後14号庁舎に在籍していた 監督職員が確認検査を行い後日,当該契約の検査職員が随時所内の検査を行った。さらに,これらの作業内容に ついて大蔵省関東財務局の調査を受け,各年度それぞれについて無事了解が得られた。 (こぼれ話15) ロケ隊が来た 平成7年11月頃,金材技研に対し新藤兼人氏主宰の「(株)近代映画協会」から目黒でのロケの申し込みが あった。申し込みに至る経緯は,大蔵省関東財務局が所管している処分財産などについて可能な範囲で映画な どのロケに提供しているので,その関係から金材技研を紹介されたとのことであった。 この申し込みを受け,金材技研ではロケの日程,内容などを検討し,特に問題がなかったのでロケを許可す ることとなった。 平成7年12月,ビデオ映画「キャブ」のロケが行われ,出演者の古谷一行さん,陣内孝則さんをはじめス タッフ約40人が来所,14号庁舎は警察署,30号庁舎の1部が取調室,霊安室として使われた。目黒地区は敷 地が広く,見物人もなく,建物も適度に古く ロケには最適と業界で話題になったそうである。 ロケはわずか1日で終了したが,本件は目黒地区における特異な出来事であった。 (こぼれ話16)最後の抵抗 ○ガス漏れ 廃棄物品の処分作業も終了間近となった頃,処分作業に従事している作業員からあちこちガス臭いとの情報 が寄せられた。旧目黒本所地区のガス配管は老朽化しているため,大型重機の通行・作業によってガス漏れが 起こるのではないかと予想はしていたが,あと一歩で作業終了という時にガス漏れが発生した。 何とかしなくてはと思っているうちにドーンという大きな音とともに23号庁舎前のマンホールの蓋が吹き 飛んだ。この周辺に火の気はなく,マンホールの蓋が吹き飛んだ原因は定かでないが,直ちにガス溶断作業を 中止し「東京ガス」に連絡した。 東京ガスは緊急出動し応急処置を試みたが,処置すべき箇所が多すぎてとても対応できず本格的処置(本管 の閉鎖)を施した。東京ガスの緊急車両のサイレンで本件は近隣へ知れわたったため,お詫び方々説明をして 歩き,一件落着となった。 ○水の流出 ガス漏れの件が一段落した頃,今度は水の流出事件が発生した。 目黒川護岸に緑道整備中の建設会社から「金材技研の敷地から目黒川に水が流出していて緑道整備工事の障 害になっていて工事を中断している」との連絡があったのだが,目黒地区は既に給水を停止しており金材技研 の担当者は何のことやらさっぱり分からず困惑するばかりであった。 とにもかくにも目黒に行き,手当たり次第にマンホールなどを調べているうちに,30号庁舎裏の浄化槽か ら流出しており,その水は総理府宿舎敷地内の上水の漏水と原因が突き止められたので,上水の漏水について は東京都水道局が修理を行い,浄化槽については金材技研が水の出入り口をコンクリートで塞いだ。 最初の段階では,浄化槽の存在すら知らず,浄化槽を発見しても鎌や鋸,スコップなどを使いその上を覆っ ている大量の枯れ枝や木の蔓を処理したりと何日も費やしたこの作業は,真冬の寒い日に行うには何とも不幸 な作業であった。 ガス漏れにしても,水の流出にしても,いよいよ大蔵省に引き渡す時期を迎えようとしていた旧目黒本所地 区が示した最後の抵抗と思えてならない。 別 章 第1節 移転事業関連 233 1.式典関係 233 2.目黒の思い出をのこそう会 238 第2節回 顧 241 新居和嘉(第5代所長) 243 中川龍一(第4代所長) 244 荒木 透(第3代所長) 245 河田和美(第2代所長) 246 執筆者一覧 247 別 章 第1節 移転事業関連 1.式典関係 1.1千現地区起工式 平成3年4月25日(木),新研究所・千現地区に建設される研究本館,各種実験棟を対象としての「科学技術 庁金属材料技術研究所建設工事」起工式が執り行われた。夜来の雨は式が開始される頃には傘がなくても歩ける 程度になった。式は,筑波支所時代にバレーボールコートとして利用されていた場所に,テント小屋を2張り設 営して,その中で行われた。 起工式は工事着工時に行われるものであり,工事着工に至ったことを喜び,今後の工事の順調な進行と安全を 祈願して行われるもので,また地鎮に係わる祭儀も同時に行われる。起工式が工事の安全を祈願することを主目 的とすることから,式は施工業者が主催者となって実施されることになり,参加者への案内状も業者によって送 付された。 本起工式への参列者は,科学技術庁関係者として石井敏弘長官官房審議官ほか2名,筑波地区にある科学技術 庁系研究機関等の長(無機材質研究所・瀬高信雄所長,防災科学技術研究所・萩原幸男所長,研究交流セン ター ・岩橋理彦所長,宇宙開発事業団筑波宇宙センター ・飯田宗四郎所長,理化学研究所ライフサイエンス筑波 研究センター ・雨村博光所長,日本科学技術情報センター ・片岡彰博筑波支部長),筑波移転に係わる官庁機関と して大蔵省関東財務局・土屋晃水戸財務事務所筑波出張所長,国土庁大都市圏整備局・野見山恵弘行政機関等推 進室長ほか1名,住宅・都市整備公団・深水正元つくば開発局長,また地元の茨城県・蛯原幸男企画部県南・県 西振興課副参事ほか1名,つくば市長代理・久保田尚勇理事ほか3名,つくば中央警察署・高田和信署長,筑南 地方広域行政事務組合消防本部・石川玄蔵消防長,さらに近隣の自治会から,千現1丁目・池田一夫自治会長, 二の宮1丁目・小林隆弘自治会長,竹園2 丁目・宮本雄一自治会長,そして竹園西小学校・斉藤一枝校長,金材 技研の関係者として歴代の所長(河田和美,荒木 透,中川龍一),歴代の筑波支所長(木村啓造,牧口利貞,鈴 木正敏,太刀川恭治),そして所議メンバー,また新研究所の建設を担当する建設省(清水令一郎大臣官房官庁営 繕部長ほか28名),建設工事を実施する建設業者や施工業者など,総勢155名が参加した。 神事は午前11時から,筑波山神社宮司によってとり行われた。まず,参列者は,「手水乃儀」として入口で手 を洗い,建築主である金材技研所長,設計監理者代表,施工業者代表,そして参列者の順に着席した。一同着席 後,施工業者を代表して(株)鴻池組総務課小松裕之氏の司会により式は進められた。まず,神主の修祓(しゅうば つ)によって心身の清めが行われた。その後,降神の儀により式場に神様を迎え入れ,献饌(けんせん)によっ て神様に供えものをし,祝詞(のりと)が奏上された。次いで,米と水と紙切れを周囲に撒く四方祓(しほうは らい)が行われた。 地鎮祭の行事である鍬入れの儀が引き続いて行われた。まず始めに,日本設計・RIA設計監理共同企業体を代 表して(株)日本設計事務所・越前健三代表取締役副社長によって鎌で草を刈る所作をする斎鎌(いわいかま)が行 われた。次いで,建設省・清水令一郎大臣官房官庁営繕部長,科学技術庁・石井敏弘長官官房審議官,金材技研・ 新居和嘉所長の三人により,同時に鍬で土を掘る所作をする斎鍬(いわいくわ)が行われた。さらに続いて,建 設工事請負者を代表して(株)鴻池組・山崎輝夫専務取締役東京本店長,(株)間組・石井朝美常務取締役建築営業本部 副本部長が同時に鋤で土をすくう斎鋤(いわいすき)が行われた。 玉串(たまぐし)の奉奠(ほうてん)は参列者によってグループごとに行われ,代表者が奉奠する間,グルー プの参列者は起立して列拝した。その後,神への供えものを引き下げる撒饌,神様を送る昇神の儀を経て,約1時 間の神事は終了した。 神事の終了後直ちに,参列者は隣のテントに設けた会場に移動し,神酒を飲み交わす直会(なおらい)が始め られた。直会では発注者を代表して建設省・清水大臣官房官庁営繕部長から挨拶があった後,金材技研新居所長 から今回の移転が単なる移転ではなく,新しい研究所の建設を目指したものであることの抱負が述べられた。そ の後,来賓としてつくば市長の代理である久保田理事から金材技研のつくば移転を期待しており,障害はないと の挨拶があった。さらに施工業者による金材技研建設工事協力会を代表して(株)鴻池組の山崎専務からの挨拶,建 設省・北村昌威筑波研究学園都市施設管理センター長による乾杯と会は進められ,最後に施工業者を代表して(株) 間組の石井常務により手締めが行われ,約1時間の直会も滞りなく終了した。 式の終了した頃には雨もあがり,翌日には式会場となった仮設テント小屋も取払われ,本格的な建設工事が開 始された。 1.2桜地区安全祈願祭について 平成4年4月20日(月),朝から天候にも恵まれ,11時からの式典にもかかわらず,10時頃から式に参列され る方々が,桜地区の会場に集まり始めた。会場は,磁界実験棟が建設される予定の敷地内に,テント小屋を2張 り設営したものである。 本安全祈願祭は,桜地区に新しく建設される磁界実験棟,ビーム実験棟,管理・研究棟などの研究施設の建設 工事の安全祈願を主目的とすることから,施工業者の主催により行われた。安全祈願祭の神事は,事前に手渡さ れていた式次第に従い,定刻の11時から開催された。本祈願祭の参列者は,科学技術庁研究開発局・前澤祐一材 料開発推進室長,御舩哲住宅・都市整備公団つくば開発局長代理,(株)東京電機・市川隆通社長,金材技研筑波移 転推進委員会幹事会メンバー10名,建設を担当する建設省のメンバー14名,本建設の設計を実施する設計業者 11名や施工業者33名など,総勢75名が参加して行われた。 参加者は,神事式場に入る前に,まず,式場入口に設けられた「手水」の場において手を洗う「手水の儀」を 行って心身を清めてから入場する。つくば市長代理久保田尚勇理事,新居和嘉金材技研所長,前澤祐一科学技術 庁材料開発推進室長,内田登建設省筑波研究学園都市施設管理センター長代理,東京電機社長,設計監理者代 表・村田義男(株)日本設計専務取締役,施工業者代表・堀和夫(株)熊谷組専務取締役,参列者の順序でそれぞれの席 に着席した。神事は筑波山神社の宮司によって行われた。 参列者一同入場・着席の後,施工業者の司会で神事は進められた。神主による修祓(しゅうばつ)によって, まず心身ともに祓い清められた後,降神(こうしん)の儀により式場に神を迎え入れ,献饌(けんせん)によっ て神にお供え物をし,祝詞(のりと)が奏上された。次いで,紙を細かく切って米とかきまぜて,まき散らす麻 切麻散米(きりぬささんまい)の儀式が行われた。 その後,地鎮の行事である「鍬入れ」の儀式が,苅初(かりぞめ),穿初(うがちぞめ),堀初(ほりぞめ)の 儀の順で行われた。まず初めに,(株)日本設計・村田専務取締役によって鎌で草を刈る所作をする「苅初」の儀が 行われた。次に,鍬で土を掘る所作をする「穿初」の儀が,建設省・内田施設管理センター長代理,科学技術庁・ 前澤材料開発推進室長,金材技研・新居所長の3人により執り行われた。最後に,鋤で土をすくう所作の「堀初」 の儀が(株)熊谷組・堀専務取締役により行われ,鍬入れの儀式は終了した。 続いて,玉串奉奠(たまぐしほうてん)が各参列者グループごとに行われ,代表者が奉奠する間そのグループ の参列者は起立して列拝した。その後,神へのお供え物を下げる撤饌(てっせん),神を送る昇神(しょうしん) の儀が行われた後,参列者一同御神酒を拝戴し,神主が退席して神事は終了した。 引き続き,隣接の直会会場に場所を移して直会が行われた。新居所長から,桜地区の建設は,世界最高レベル の国際的な極限場研究センターの創設を目指したものであるとの決意と抱負が述べられた。来賓挨拶および祝電 の披露に続いて,金材技研建設工事協力会代表による手締めにより安全祈願祭は12時半に終了した。 千現地区起工式('91.4 .25) 斎鎌(いわいかま) 斎鍬(いわいくわ) 斎鋤(いわいすき) 桜地区安全祈願祭('92.4.20) 苅初(かりぞめ) 穿初(うがちぞめ) 掘初(ほりぞめ) 新施設披露式 筑波開所式 新施設見学(磁界) 1.3目黒地区お別れ会 設立以来37年余りの歴史を刻んできた目黒地区のお別れ会が,筑波地区へのⅠ期移転を控えた平成5年11月 27日に,当時の本所である目黒地区で開催された。当日は,15時からOBを対象とした見学会を企画したが,見 学会が始まる前にたくさんの方々が,かつての職場や施設を訪れ名残を惜しんでおられた。 各研究部から選出された「目黒地区お別れ会実行委員会」の職員による案内などの努力もあり目黒地区閉所に あたり思い出多い見学会となった。 また,見学会に引き続き14号庁舎大会議室で行われた懇親会はOB140名を含めた,約280名の方々が一堂に 会し,思い出話に花を咲かせ和やかに歓談していた。なんとも会場が狭い為,出席者には大変ご迷惑をおかけし たことを反省している。 なお,当初の計画は14号庁舎前にテントを設置し,大々的に開催する予定であったが経費が掛かり過ぎるため 断念せざるを得なかった。 1.4新施設披露式典 平成6年1月20日(木),千現地区及び桜地区に新設した研究本館などの新施設の披露式典を開催した。当日 は,大型バスをチャーターし,千現地区とJR荒川沖駅間でご来賓の方々の送迎及び新施設の見学にあたった。 ご来賓の皆様は,関係官庁,地方関係機関,JV関係者,OB諸氏等の約270名におよび,披露式典,施設披露及 び懇親会の各セレモニーを行った。 披露式典においては,新居和嘉所長の挨拶に続き,杉谷洸太建設省大臣官房審議官の建設経過報告,並びにご 祝辞をいただき,石坂誠一人事院人事官,石井敏弘科学技術庁研究開発局長,大橋正昭金属学会会長(佐久間健 人副会長代読)の各方々から新生金属材料技術研究所への期待と励ましのご祝辞を頂戴した。また,新施設建設 にご尽力いただいた関係JV34社の代表者に,所長から感謝状を贈呈し式典を終了した。 披露式典に引き続き,杉谷建設省大臣官房審議官,石坂人事院人事官,石井科学技術庁研究開発局長,佐久間 金属学会副会長及び新居所長によるテープカットの後,ご来賓の方々を数班に分け,所議メンバーによる案内者 が千現地区の研究本館(図書室,特別応接室,研究居室,標準実験室,インタラクションスペース),精密計測実 験棟(走査電顕室),材料強度実験棟(クリープ実験室,大型材料強度実験室),ファインプロセス実験棟(実験 室)及び桜地区の磁界実験棟(大型マグネット実験室),ビーム実験棟(超高圧電顕室)などを見学先導し,施設 披露を行った。 懇親会には,披露式典から約4時間30分の長時間にもかかわらず約200名の方々の出席をいただき盛大のう ちに無事終了することが出来た。 1.5開所式典 平成7年7月3日(月)新設された研究本館厚生ゾーンの講堂において,全職員出席のもとに開所式典を開催 した。新居和嘉所長の挨拶に引き続き,間宮科学技術庁長官官房審議官よりご祝辞をいただいたが,その中で「こ れからは,最新の研究施設を整備したのでこれらの設備を駆使し,世界の金属材料に関する研究の中核となる研 究所を目指して職員は一層の努力をお願いしたい。」とのお言葉に気持ちを新たにした。 続いて荒木透,中川龍一両歴代(3代,4代)所長の祝辞をいただき懇親会に入った。 2.目黒の思い出をのこそう会 筑波移転に先立ち,「創立以来38年にわたる目黒時代の思い出や写真を保存しよう」という多くの職員の発意 に応え,平成元年12月5日と翌年1月12日の2回にわたって,写真など保存会(仮称)の発足準備会が開かれ た。ここで,会の名称,構成メンバー,活動方針,スケジュールなどの骨格が決められた。そして,平成2年1月 30日の所議で会の設置が承認され,「目黒の思い出をのこそう会」(田中千秋会長)が正式に発足した。 平成2年3月12日に,第1回委員会が開催され,会の設置に至る経緯および準備会の活動事項の説明が行われ た。本会の設置の目的は,研究所の公式的な記録から離れ,目黒地区での研究活動や日常生活を通して,いつま でも心に残る懐かしい思い出や,形として残されている思い出を末永く保存しようというもので,会では,その ような貴重な金材技研の財産を,本,写真,ビデオ,音,記念物の5点に分類して保存することとし,全職員を 対象にアンケート調査を行い,情報の収集を図ることにした。 平成4年12月14日に第2回委員会が開かれ,アンケートの集計結果が報告された。また,委員を記念出版班, 写真班,ビデオ・音班,記念物班の4つのグループに分けてそれぞれ幹事を互選し,以後は幹事を中心として作 業を進めることにした。 平成5年7月12日の初めての幹事会でこれまでの調査結果が報告された。この報告で,自薦,他薦の文章67 件,写真9件,記念物7件,年表資料15件,その他ビデオテープなど,多くの情報と貴重な資料を得ることがで きた。また,同年9月10日の2回目の幹事会に,記念出版班から記念誌の概要について説明があり,次のような 編集方針が決まった。 (ア)楽しく読める内容にする。(イ)年代,内容を考慮して編集する。(ウ)年表と写真を一体としB5判300頁 程度の規模とする。(エ)発刊予定日は,平成7年7月1日を目標とする。これによって,記念出版班と写真班は, 並行して作業を進めることになった。 (記念出版班・写真班) 平成6年1月から第Ⅱ期筑波移転が開始されたために,原稿の執筆依頼は予定よりも遅れて,同年10月に着手 した。アンケートの結果が一部に偏っていたので,全体的なバランスを考慮しながら新たに執筆を依頼したため に原稿の回収が大幅に遅れた。また,校正・割付作業,写真の撮影・選別作業など,一連の作業に予想外の労力 と時間を費やしたが,会員の努力により,当初の発刊予定日よりも3ヶ月遅れの平成7年10月1日に刊行するこ とができた。 (ビデオ・音班) ビデオ・音班は,研究所内や界隈の風景,移転作業の模様などの撮影を進め,すでに保管しているビデオと合 わせて,15分のテープに収めた。このテープは庶務課で保管し,OBや職員が,目黒時代の思い出の映像を,いつ でも自由に鑑賞できるよう管理していくことになった。 (記念物班) 記念物班は,職員からの情報を頼りに記念品の収集に努め,目黒本所の門札をはじめ,ショアー硬度計,化学 天秤,タイガー計算機など,多くの物品が集められた。 このほか,14号庁舎裏の早咲き桜を筑波で咲かせようと,取り木と接ぎ木した苗木8本を育て,千現地区に移 植した。 目黒地区お別れ会 材料試験事務所 シンポジウムの開催 サイエンスキャンプ 一般公開 恒例のクリスマスツリー 回 顧 筑波移転・努力と幸運 新居 和嘉 金材技研の筑波移転は,考えてみると気の遠くなるほど長いプロジェクトであった。昭 和36年の「国立研究機関や大学の集団移転」の閣議決定から始まって,平成7年の移転完 了まで34年間に及んでいる。その間,所内では一部移転と全面移転の利害得失等々をめ ぐって延々と論議が続けられた。結局,移転が完了した現在の時点から振り返って見ると, 途中の多くの問題はすべて予想以上に旨く解決され,金材技研としては大成功のうちに移 転を完了したと言ってよいであろう。これは,節目節目で最善の決定を下すように努めら れた歴代所長を始めとする所員の努力の賜物であろうが,また多くの幸運の重なりに助け られたことも確かである。本当に今回の移転では幸運に恵まれたと思っている。しかし, あえて言えば,幸運も努力の結果である。 私は昭和32年4月に金材技研に入所し,筑波移転の完了した平成7年の11月に退官し たので,勤続38.5年の殆どの期間を何らかの形で筑波移転と関わってきた。一時期,私は 「一部移転」は金材技研にとって敗着ではないかと秘かに憂えていたことがある。「一部移 転」の名のもとに「拡張移転」を目論んでいたのが「移転は移転であって拡張ではない」 とはっきりし,その後の展開が見えなかったからである。当時,所長は河田先生で,私は 「ざいけん」の編集委員長をしていた。その頃筑波移転に関する研究職1,2等級懇談会が 行われ,その中で全面移転への方向転換も議論されていた。それらを原稿にまとめてもっ ていくと,河田先生は「若い人は正直だね。ゆっくり落ち着いてから行けばよいじゃない ですか」と言われた。今回の筑波移転はまさにそうなった訳である。敗着と思っていたも のが最大の幸運になった訳である。これは誰が図ったという訳でもなく,ただ時の運に恵 まれたと言うことだけであろうが,それでもあえて言えば河田先生の考え方の幅の広さ, タイムスパンの長さが旨く働いたということでもある。その他,桜地区用地の取得,そこ に置くセンター構想の策定,その土地価格の上昇による予算不足,大型マグネットの製作 における施設側と設備側の費用の仕切りなど,多くの問題があったがすべて良い方へ解決 された。これらはすべて努力と同時に幸運の賜物であった。 最近,住友金属工業(株)は和歌山製鉄所で新製鋼プラントに500億円の投資をしようとし ている。その話を聞いても,「ああ,筑波移転と同程度だな」ということで,100億円オー ダの金の規模がイ メ ージできるようになったような気がしている。これは筑波移転の経験 のお陰である。もっとも老後のための100万円オーダの金に対しては全くイメージがわか ないが。 第5代所長 在任期間:平成元年6月27日~平成7年11月1日 筑波への全面移転を 中川龍一 筑波支所開設5周年記念の時だから,昭和59年の春だったと思う。当時の支所研究本館 (現在の物性解析実験棟)の狭い玄関ロビーで行われた式典で,支所の全職員を前にして次 のように挨拶したことを覚えている。所長就任後まだ1年半のことです。 「近い将来必ず目黒から筑波への全面移転を実現したい」 その式典に出席されていた橋本初代所長に「お前は大変なことを約束したな。本当に大 丈夫なのか」と聞かれ,「2箇所で釜の飯を炊くほど不経済なことはない。是非実現に向け てがんばりたい」と返事しました。それからは「2箇所で飯を炊く不経済」が私の口癖にな り,特に本庁などで事あるごとに口にしていました。これがボディーブローのように後に なって効いてきたように思います。 当時,支所の研究者達から「我々は2階に上げられて梯子を外されたようなものだ」と か,「支所は優秀な研究員を選りすぐって来たのだから目黒からもう来なくてもよい」な ど,一部には強い不満の声がでていたのは事実です。昭和60年頃の酸化物超電導材料や常 温核エネルギーなどの筑波対目黒の良い意味での競争意識はあったにせよ,同じ研究所内 での意見の対立は困ったことと考えていました。 昭和60年に,金材技研第3次長期計画を練り始めました。先ず若手の研究室長クラス数 名のW.G.がたたき台を作り,部門毎,部毎に十分議論し,何度か推敲を重ねました。途中 でこのW.G.の連中から,筑波全面移転をこの長期計画案に盛り込みたいとの意見が出さ れ,私は大いに賛成したことを覚えています。そして筑波地区に新たに建設したい研究施 設,さらに年号は入れないが年次計画までこの長期計画案に入れました。 この長期計画案は昭和61年末には完成し,昭和62年3月頃までに印刷,公表したいと 考え,念のため本庁に原稿を提出しました。ところが,本庁から公表を少し待てとのス トップがかかりました。やはり筑波全面移転が問題になりました。しかし,丁度その頃一 省庁一機関の移転が噂に出始めていた頃でもありました。 このような理由で金材技研第3次長期計画の発行は,数ヶ月遅れて昭和62年9月に なっております。本庁から筑波全面移転が認められたというより,科学技術庁からは金材 技研が移転するということでかえって喜ばれました。将に神風のようだったと考えていま す。 昭和63年7月,閣議決定で正式に金材技研の筑波全面移転が決まりました。平成元年6 月(昭和64年)私が退官する頃は特々会計の目途もつきました。考えてみると口癖にして いたとは云え,つきもありました。有り難いと思っております。 第4代所長 在任期間:昭和57年10月12日~平成元年6月27日 筑波支所建設のころ 荒木 透 昭和50年4月に所長を拝命した私にとって,筑波への一部移転計画の実行が命題とな りました。 より近代的で整備された施設・設備そして優れた環境を求めて,移転が始まりました。 昭和50年10月には超電導材料実験棟が完成(昭和51年1月実験開始)。同時に,特殊雰 囲気中高温特性実験棟を着工するなど,建設のピッチは高まり,一部移転計画は順調にス タートしました。 昭和51年7月には,電気磁気材料研究部第2研究室及び原子炉材料研究部第3研究室 といった先端材料部門と,移転のコア組織である管理部筑波管理課をもって筑波分室を設 置しました。金材技研筑波移転のいわば“尖兵”として先端技術の研究に意欲を持って取 り組まれた人たちに敬意を表したいと思います。 また,昭和54年3月には筑波支所が1課,3研究部9研究室(強力材料研究部3研究室, 電気磁気材料研究部3研究室,原子炉材料研究部3研究室)68名体制で開設され,筑波学 園都市の概成にともなって金材技研の一部移転が滞りなく実施されたのは,所員全体の理 解と協力の賜物と思われます。 一部移転が概成し,私どもの将来計画の命題は,全面移転を前提としての長期の研究・ 施設整備計画の策定ということになりました。 しかし,つくば科学博の開催による影響など,財政環境が許さず,また,いわゆる特々 会計により新財源として求めた目黒の研究所敷地の資金化策も,地価が低迷していて思う にまかせなかったという事情がありました。 昭和57年までの私の所長在任中はここまででしたが,極低温材料の実験施設など,支所 活動の補強計画は進めていた次第です。 その後の経済変動により特々会計も可能となり,昭和50年に始まった筑波移転の実施 が約20年を経て完了したことは,あらためて感慨深いものがあります。 第3代所長 在任期間:昭和50年4月1日~昭和57年10月12日 筑波の思い出 河田和美 私達の研究所の一部が筑波へ移転することが正式に閣議で決まったのは昭和47年度の ことである。 私の手許にあるその頃の写真に,私達が6人程で雨傘をさして田舎道を歩いているのが ある。自動車の通るあの真ん中が凸んでいる太い道が出来たのは全く夢のようである。目 黒の本所から土浦へ行くのは後には自動車を使うようになったが,11時頃出かけると途中 で昼飯を食べることになったものである。牛久だとか取手だのという名前がそれと重なり 合って思い出される。 引っ越しとなると私共でも隣やご近所のご挨拶が大変であるが,役所の引っ越しとなる とまたまた大変である。技術屋は当時活動を開始していた出来たての関係のある研究所へ ご挨拶に回ればよいが,管理部の人達は先ず水戸の県庁をはじめとして関係町村の役場や 多数の所を回らなねばならなかった。 色々の処をご挨拶で伺ったが,一つ思い出すのは桜村立竹園東小学校のことである。こ こは将来,うちの職員のお子さんが通学するとの想いから訪問をしたわけである。校長先 生が出て来て案内をして下さった。ここの校舎は中央に廊下があって左右に教室がついて いた。昔は片側廊下のものが多いようであるが,どういう訳か分からぬが最近のものには 変形のものが多い。雨の日には遊ぶのには都合が良いであろうなどと考えたのを思い出 す。 最後に訪問したのが国立霞ヶ浦病院である。これもいつかは診て頂く職員もいるだろう との思いからであった。応対して下さったのは院長先生で,極めてインテリであった。医 者と金属屋とでは話はかみ合わぬだろうと思ったが,思いとは裏腹に話は弾んでベトナム やラオスの医療の現状にまで及んで帰りの時間に気をもむ始末となった。今もこの病院に はうちの所員がご厄介になっているのであろうか。 さて,当時の移転計画における施設の設計も出来,工事をする建設会社も決まり,建設 の日程も決まって来た。最初に建てるのは超電導材料実験棟であって,その起工式の日取 りは昭和50年3月25日と決まった。そして私の定年退職の日取りは同じ年の4月1日で あった。この日取りの調整は当時の榊原賢二管理部長がしてくれたらしい。当日は,お天 気はまずまずで,神官のお祓いの後金材技研の筑波の地に初めて鍬を入れたのであった。 20年も昔のことである。思い違いもあることであろう。 第2代所長 在任期間:昭和43年4月1日~昭和50年4月1日 執筆者一覧 発刊の辞 岡田雅年 序 小口醇 第Ⅰ章 鈴木宏二 新谷紀雄 松岡三郎 小河昭夫 藤塚正和 第Ⅱ章 齋藤鐵哉 柘植政夫 第Ⅲ章 齋藤鐵哉柘植政夫太田吉克板垣孟彦 金澤健二 村松祐治 青木晴善 吉原一紘 八木晃一木村一弘 岡田 明 戸田 勝 井上 廉 岸本直樹 山崎政義 福澤安光 大沢嘉昭 第Ⅳ章 貝沼紀夫田頭扶藤塚正和柘植政夫 小河昭夫 第Ⅴ章 齋藤鐵哉太田吉克板垣孟彦村松祐治 金澤健二藤塚正和小河昭夫 柘植政夫 高野和夫 谷治治男 佐藤信夫 渡辺健二 第Ⅵ章 宮本祐吾 養田満成 小河昭夫 別章 新居和嘉 中川龍一荒木透河田和美 谷治治男 渡辺健二太田吉克 藤塚正和 八木晃一金澤健二 石原只雄 福澤安光 資 料 年 表 251 移転関連法令・規定・決議 256 施設建設に係わる申請手続きの一覧 271 移転関係組織及び名簿 275 図 面 280 年 表 年月 日 所外の動き 金属材料技術研究所 筑波移転関係 S29 工業技術協議会(工業技術院長 の諮問機関)で金材技研の必要 性が答申される。 S30. 7 総理大臣から航空技術審議会に 「航空技術に関する研究のため」 諮問 S30.11 〃「金属材料技術研究所は 航空工業に必要な金属材料に関 する研究に主眼をおく」答申 S31.1 通産省に金属材料技術研究所分 担経費の予算内示 S31.5.19 科学技術庁発足,工業技術院か ら金属材料技術研究所設立に関 する事務が科学技術庁に移管 S31.7.1 金属材料技術研究所が科学技術 庁内に発足 S31.11 中目黒(旧海軍技術研究所跡の 一部)に移転する S36. 9.1 官庁(付属機関及び国立の学校 を含む)の集団移転について閣 議決定される S38. 9.10 研究・学園都市の建設地を筑波 地区とすることが閣議了解され る S42. 9. 5 金材技研の一部の筑波研究学園 都市への移転が閣議了解される S43. 50号庁舎完成 S44. 6.13 研究・学園都市の建設につい て,昭和47年度までに科学技 術庁2機関等の早期着工を促す 閣議決定がなされる S47. 5.16 「移転機関等の移転計画につい て」に於いて金材技研の一部移 転が閣議決定される S47. 51号庁舎完成 S48. 4. 27 筑波移転時期が昭和50年度と する閣議決定がなされる S50. 7 金属材料技術研究所の中期計画 作成 S50. 3.14 筑波移転時期を昭和53年度に 変更する閣議決定がなされる S50. 10.31 超電導材料実験棟竣工 S51.7 筑波分室を開設(2研究室, 1課) S51.7. 30 特殊雰囲気中高温特性実験棟 竣工 年 月 日 所外の動き 金属材料技術研究所 筑波移転関係 S53. 11.30 研究本館(現:物性解析実験 棟)竣工 S54. 3 筑波支所開設(68名) 3研究部9研究室1課 〃 長期計画の策定 S55. 3. 25 特殊材料実験棟竣工 S56. 4 臨時所議に於いて「筑波計画は 全面移転を基本姿勢とする」を 決定 S57. 2. 27 構造材料実験棟竣工 S57. 5 第2次長期計画の策定 S60. 5. 27 国土庁が一部政府機関の移転再 配置を提言した「首都改造計画 について」を公表 S61. 第3次長期計画中間報告で全面 移転の早期実現が提言される S62. 7. 6 移転計画概要作成 S62. 2.16 施設建設計画概要作成 S62. 5 筑波への全面移転を所議で決 定,科学技術庁へ昭和63年度 重要施策を提出する S62. 6.19 運営会議筑波移転推進小委員会 発足 S62. 6.19 筑波移転推進準備室発足 S62. 8.17 材試残留・独身寮所管換えの決 定 S62. 8. 28 建設省筑波管理センターへ施 設等建設の概算見積を依頼 S62. 9 表面界面制御実験棟竣工 S62. 9.21 第3次長期計画策定 S62. 9. 28 金属材料技術研究所筑波移転準 備室の設置を庁議決定 S62.10.1 金属材料技術研究所筑波移転準 備室を本庁に設置 S62.10.16 国の一省庁一機関移転構想が公 表される S62.12. 9 移転計画に関する職員懇談会 開催(目黒) S62.12.10 移転計画に関する職員懇談会 開催(筑波) S62.12. 24 事務次官会議で移転機関を提示 するよう要請される S63.1.14 科技庁が金材技研を移転候補機 関として回答 筑波移転推進小委員会が新建築 物に関する中間報告を行う (1.11) S63. 1.22 国の機関等の移転の推進につい て閣議決定される 年月 日 所外の動き 金属材料技術研究所 筑波移転関係 S63. 4. 28 特定国有財産整備計画要求概要 書を関東財務局に提出,概算評 価を依頼 S63. 6. 20 関東財務局より処分財産概算評 価額の回答あり S63. 7.19 国の行政機関等の移転対象機関 として閣議決定される S63. 8.1 筑波移転推進室発足 S63. 8.31 大蔵省及び建設省所管で昭和 64年度特定国有財産整備特別 会計概算要求書を提出 現有研究設備調査を行う S63.10.11 建設基本方針の提示 S63.12. 26 建設計画修正・補充案の提示 H 1.1.19 国土庁(研究・学園都市建設推 進本部)で金材技研を学園都市 に建設する試験研究機関に追加 を決定 H 1.2.1 各棟設計条件諸元表の提示 H 1.2.10 金属材料技術研究所の移転先地 は筑波研究学園都市を閣議決定 H 1.4.21 建設費概算額の提示 H 1.5.18 第2地区の土地候補として住 宅・都市整備公団からA, B, C案が提示される H 1.5. 28 大蔵大臣が金材技研の移転整備 を含む特定国有財産整備計画を 決定 H 1.6. 5 金属材料技術研究所筑波移転推 進室の設置を庁議決定 H 1.7. 28 理財局より平成2年度特定国有 財産整備特別会計概算要求メモ の提示 H 1.8.24 各棟の基本設計に関する金材技 研の要望提出 H 1.8. 25 「国の行政機関等の移転先地等 について」が閣議決定され,金 属材料技術研究所は筑波研究学 園都市となる H 1.10. 5 設計条件諸元表再ヒアリング シート提出 H 1.11.20 千現地区基本計画書の提示 H 1.11.30 職員懇談会開催 H 2. 5.10 千現地区基本設計書の提示 H 2. 5. 24 職員懇談会開催(目黒) H 2. 5. 25 職員懇談会開催(筑波) H 2. 5. 29 特定国有財産整備計画の変更決 定 年月 日 所外の動き 金属材料技術研究所 筑波移転関係 H 2. 6.18 建築許可用住民同意書取得の 周辺町会長説明会開催 H 2. 6. 20 住民同意書取得開始 H 2. 6. 21 第2地区の候補地としてC案 を選定 H 2. 7.12 千現1丁目住民説明会の開催 H 2. 7. 27 理財局より平成3年度特定国有 財産整備特別会計概算要求メモ の提示 H 2. 8.10 建築許可申請書をつくば市に提 出 H 2. 9. 27 建築基準法に基づく公開聴聞 会を開催 H 2.10.19 千現地区建築審査会建築許可 下りる H 2.10. 20 千現地区外周道路等整備工事 着工 H 3. 3. 7 千現地区建築設備工事入札 H 3. 3. 25 外周道路等整備工事終了 H 3. 4. 25 千現地区本工事起工式を挙行 H 3. 4. 26 千現地区本工事着工 H 3. 7. 30 理財局より平成4年度特定国有 財産整備特別会計概算要求メモ の提示 H 3. 8.1 桜地区南ブロックの住・都公団 への仮換地指定が発効 筑波移転推進本部発足 H 3. 8.16 住・都公団から仮換地指定通知 及び面積確定図が提示される H 3.10. 7 建設省より桜地区の南北地下連 絡通路工事許可申請をつくば市 に提出 建設省より桜地区基本設計図 書の提示あり H 3.10.14 職員懇談会を開催 H 3.10.17 桜地区地下連絡通路工事の許可 下る H 3.10.18 建設省が地下連絡通路工事を発 注 H 3.10. 22 第2地区基本設計図書及び土地 譲渡契約の進捗状況について科 技庁材料室に説明 H 3.11.11 桜地区地下連絡通路工事開始 H 3.11.12 大蔵省関東財務局長より正式に 住・都公団つくば開発局長宛に 「国の庁舎敷地の譲渡について (照会)」を提示 H 3.12. 20 大蔵省からの「照会」に対し 住・都公団つくば開発局長から 回答 年月 日 所外の動き 金属材料技術研究所 筑波移転関係 H 3.12. 27 大蔵省と住・都公団で桜地区土 地売買契約が締結,同日関東財 務局より金材技研へ所管換え H 4.1.14 桜地区土地所管換財産受渡書 の受領 H 4. 2.13 建設省よりつくば市へ桜地区本 工事の建築行為許可申請を提出 H 4. 2.18 つくば市より桜地区の建築行為 許可申請に対する認可下りる H 4. 2. 28 桜地区建設工事入札 H 4. 3. 6 桜地区設備工事入札 H 4. 4. 第4次長期計画策定 H 4. 4. 20 桜地区安全祈願祭 H 4. 4. 21 桜地区本工事着工 H 4. 4 千現地区・桜地区予算調整に伴 う施設見直し H 4. 7 平成5年度移転関係経費概算要 求 H 5. 7 平成6年度移転関係経費概算要 求 H 5. 7. 27 千現地区受電開始 H 5.10. 7 千現地区施設完成引渡し(所管 換) H 5.10. 7 第Ⅰ期移転開始 H 5.10. 21 桜地区受電開始 H 5.12. 22 桜地区施設完成引渡し(所管 換) H 6.1.20 新施設完成披露式典を挙行 H 6.1.20 目黒地区移設出発式,第Ⅱ期 移転開始 H 6. 4.1 筑波移転管理室発足 H 6. 5.12 第Ⅲ期1群移転開始 H 6. 6.12 第Ⅲ期2群移転開始 H 7. 5 第Ⅳ期移転開始 H 7. 7.1 所在地等法的移転 H 7. 7. 3 筑波本所開所式を挙行 H 7. 7. 5 材料試験事務所開所式 H 7. 9. 30 移設終了 H 7. 9. 30 筑波移転管理室閉鎖 1.筑波研究学園都市建設法関係 筑波研究学園都市建設法 (昭和45年5月19日 法律第73号 ) 昭49. 6. 26改正 昭49. 6. 26施行 〔総理・大蔵・文部・厚生・農林・通 商産業・運輸・建設・自治大臣署名 〕 筑波研究学園都市建設法をここに公布する。 筑波研究学園都市建設法 第1章総則(第1条・第2条) 第2章 研究学園地区建設計画(第3条~第6条) 第3章 周辺開発地区整備計画(第7条・第8条) 第4章 研究学園地区建設計画及び周辺開発地区整備計画に基づく事業の実施(第9条~第13条) 附則 第1章 (この法律の目的) 第1条 この法律は,筑波研究学園都市の建設に関する総合的な計画を策定し,その実施を推進することにより, 試験研究及び教育を行なうのにふさわしい研究学園都市を建設するとともに,これを均衡のとれた田園都市と して整備し,あわせて首都圏の既成市街地における人口過度集中の緩和に寄与することを目的とする。 (定義) 第2条 この法律で「筑波研究学園都市」とは,茨城県筑波郡筑波町,同県同郡大穂町,同県同郡豊里町,同県 同郡谷田部町,同県新治郡桜村及び同県稲敷郡茎崎村の区域を地域とし,該当地域内に,首都圏の既成市街地 にある試験研究機関及び大学並びに前条の目的に照らし設置することが適当であると認められる機関の施設を 移転し,又は新設し,かつ,研究学園都市にふさわしい公共施設,公益的施設及び一団地の住宅施設を一体的 に整備するとともに,当該地域を均衡のとれた田園都市として整備することを目的として建設する都市をい う。 2この法律で「首都圏の既成市街地」とは,首都圏整備法(昭和31年法律第83号)第2条第3項〔既成市街 地の定義〕に規定する区域をいう。 3この法律で「研究学園地区」とは,筑波研究学園都市の地域のうち,移転し,又は新設する機関の施設を建 設し,並びにこれらと一体として公共施設,公益的施設及び一団地の住宅施設を整備すべき区域であって政令 で定めるものをいい,「周辺開発地区」とは,筑波研究学園都市の地域のうち研究学園地区以外の区域をいう。 4この法律で「研究学園地区建設計画」とは,研究学園地区内に移転し,又は新設する機関の施設の建設並び にこれらと一体として整備することが必要な研究学園地区における公共施設,公益的施設及び一団地の住宅施 設の整備に関する計画をいう。 5この法律で「周辺開発地区整備計画」とは,周辺開発地区における公共施設,公益的施設及び農業の近代化 のための施設の整備に関する計画をいう。 6この法律で「公共施設」とは,道路,河川,水道,下水道,公園その他政令で定める公共の用に供する施設 をいう。 7この法律で「公益的施設」とは,学校,保育所,病院,診療所その他政令で定める施設で筑波研究学園都市 の居住者の共同の福祉又は利便のため必要なものをいう。 8この法律で「一団地の住宅施設」とは,1ヘクタール以上の一団地における50戸以上の集団住宅及びこれら に附帯する道路その他の施設をいう。 註3・6・7項の「政令」=本法施行令1条-3条 第2章 研究学園地区建設計画 (研究学園地区建設計画の内容) 第3条 研究学園地区建設計画には,次の各号に掲げる事項を定めるものとする。 一人口の規模及び上地の利用に関する事項 二 移転し,又は新設する試験研究機関及び大学並びに第1条〔目的〕の目的に照らし設置することが適当で あると認められる機関の施設の建設に関する事項 三 前号の機関の施設と一体として整備することが必要な公共施設,公益的施設及び一団地の住宅施設の整備 に関する事項 2 研究学園地区建設計画は,公害の防止について適切な考慮が払われたものでなければならない。 (研究学園地区建設計画の決定) 第4条 研究学園地区建設計画は,内閣総理大臣が,関係地方公共団体の意見をきくとともに関係行政機関の長 に協議して,決定するものとする。 2内閣総理大臣は,研究学園地区建設計画を決定するについて必要があると認めるときは,関係行政機関の長, 関係地方公共団体及び日本住宅公団その他の関係事業者に対し,資料の提出,意見の開陳,説明その他の必要 な協力を求めることができる。 3内閣総理大臣は,研究学園地区建設計画を決定したときは,これを関係行政機関の長及び関係地方公共団体 に送付するとともに,総理府令の定めるところにより公表しなければならない。 4 前項の規定により公表された事項に関し利害関係を有する者は,公表の日から50日以内に,総理府令の定め るところにより内閣総理大臣に意見を申し出ることができる。 5 前項の規定による申出があったときは,内閣総理大臣は,その申出を考慮して必要な措置を講じなければな らない。 註3 ・ 4項の「総理府令」=本法施行規則1条・ 3条 (研究学園地区建設計画の変更) 第5条 内閣総理大臣は,その決定した研究学園地区建設計画が情勢の推移により適当でなくなったとき,その 他これを変更することが適当であると認めるときは,関係地方公共団体の意見をきくとともに関係行政機関の 長に協議して,これを変更することができる。 2 前条第2項から第5項までの規定は,研究学園地区建設計画の変更について準用する。 註2項で準用する前条3 ・ 4項の「総理府令」=本法施行規則1条・ 3条 (首都圏整備計画との調整) 第6条 内閣総理大臣は,研究学園地区建設計画については,首都圏整備計画との調整について適切な考慮を払 わなければならない。 第3章 周辺開発地区整備計画 (周辺開発地区整備計画の内容) 第7条 周辺開発地区整備計画には,次の各号に掲げる事項を定めるものとする。 一 人口の規模及び土地の利用に関する事項 二 公共施設及び公益的施設の施設の整備に関する事項 三 農業の近代化のための施設の整備に関する事項 2周辺開発地区整備計画は,首都圏整備計画に適合するとともに,研究学園地区建設計画と調和したものでな ければならない。 3 周辺開発地区整備計画は,公害の防止について適切な考慮が払われたものでなければならない。 (周辺開発地区整備計画の承認) 第8条 茨城県知事は,関係町村の長の意見をきいて周辺開発地区整備計画を作成し,総理府令の定めるところ により,内閣総理大臣の承認を受けなければならない。周辺開発地区整備計画を変更しようとするときも,同 様とする。 2内閣総理大臣は,前項の承認をしようとするときは,関係行政機関の長に協議しなければならない。 3内閣総理大臣は,第1項の承認をしたときは,その承認に係る周辺開発地区整備計画を関係行政機関の長に 送付しなければならない。 註1項の「総理府令」=本法施行規則2条 第4章 研究学園地区建設計画及び周辺開発地区整備計画に基づく事業の実施 (事業の実施) 第9条 研究学園地区建設計画及び周辺開発地区整備計画に基づく事業(以下「筑波研究学園都市建設事業」と いう。)は,当該事業に関する法律(これに基づく命令を含む。)の規定に従い,国,地方公共団体又は日本住 宅公団その他の関係事業者が実施するものとする。 (協力) 第10条 関係行政機関の長,関係地方公共団体及び日本住宅公団その他の関係事業者は,研究学園地区建設計画 及び周辺開発地区整備計画の実施に関してできる限り協力しなければならない。 (勧告等) 第11条 内閣総理大臣は,必要があると認めるときは,関係行政機関の長,関係地方公共団体又は日本住宅公団 その他の関係事業者に対し,研究学園地区建設計画又は周辺開発地区整備計画の実施に関し勧告し,及びその 勧告によってとられた措置その他研究学園地区建設計画又は周辺開発地区整備計画の実施に関する状況につい て報告を求めることができる。 (実施の状況) 第12条 政府は,首都圏整備法第30条の2〔国会に対する報告等〕の規定により国会に提出する報告書に,研究 学園地区建設計画及び周辺開発地区整備計画の実施に関する状況をあわせて記載しなければならない。 (資金の確保等) 第13条 政府は,筑波研究学園都市建設事業を実施するため必要な資金の確保を図り,かつ,国の財政の許す範 囲内において,その実施を促進することに努めなければならない。 2国は,筑波研究学園都市建設事業の実施を促進するため必要があると認めるときは,関係地方公共団体に対 し,財政上,金融上及び技術上の援助を与えるものとする。 附則 (施行期日) 1この法律は,公布の日から施行する。 (首都圏整備法の一部改正) 2首都圏整備法の一部を次のように改正する。 第17条第2項に次の一号を加える。 八 筑波研究学園都市建設法(昭和45年法律第73号)の施行に関すること。 附 則〔昭和49年6月26日法律第98号抄〕 (施工期日) 第1条この法律は,公布の日から施行する。 (経過措置) 第53条 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の国土総合開発法,首都圏整備法,首都圏の近郊整備地 帯及び都市開発区域の整備に関する法律,首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律,首都圏近 郊緑地保全法,筑波研究学園都市建設法,近畿圏整備法,近畿圏の既成都市区域における工事等の制限に関す る法律,近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律,近畿圏の保全区域の整備に関 する法律,琵琶湖総合開発特別措置法,中部圏開発整備法,新産業都市建設促進法,過疎地域対策緊急措置法, 奄美群島振興開発特別措置法,小笠原諸島復興特別措置法,奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別 措置法の一部を改正する法律,小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律,防災のための 集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律,地価公示法,不動産の鑑定評価に関する法律 (不動産鑑定士特例試験及び不動産鑑定士補特例試験に関する法律において準用する場合を含む。)又は水資源 開発公団法(以下「国土総合開発法等」と総称する。)の規定により国の機関がした許可,承認,指定その他の 処分又は通知その他の行為は,この法律による改正後の国土総合開発法等の相当規定に基づいて,相当の国の 機関がした許可,承認,指定その他の処分又は通知その他の行為とみなす。 2この法律の施行の際現にこの法律による改正前の国土総合開発法等の規定により国の機関に対してされてい る申請,届出その他の行為は,この法律による改正後の国土総合開発法等の相当規定に基づいて,相当の国の 機関に対してされた申請,届出その他の行為とみなす。 第54条 この法律の施行の際現に効力を有する首都圏整備委員会規則,建設省令又は自治省令で,この法律によ る改正後の国土総合開発法等の規定により総理府令で定めるべき事項を定めているものは,この法律の施行後 は,総理府令としての効力を有するものとする。 筑波研究学園都市建設法施行令 (昭和45年8月11日 政令第240号 ) 昭49. 6. 26改正 昭49. 6. 26施行 (総理・大蔵・文部・厚生・農林・通 商産業・運輸・建設・自治大臣署名 ) 沿革 昭和47年12月8日政令第420号〔熱供給事業法施行令附則6項による改正〕 筑波研究学園都市建設法施行令をここに公布する。 筑波研究学園都市建設法施行令 内閣は,筑波研究学園都市建設法(昭和45年法律第73号)第2条第3項,第6項及び第7項の規定に基づき, この政令を制定する。 (研究学園地区の区域) 第1条 筑波研究学園都市建設法(以下「法」という。)第2条第3項〔研究学園地区及び周辺開発地区の定義〕 の政令で定める区域は,別表に掲げる区域とする。 (公共施設) 第2条 法第2条第6項〔公共施設の定義〕の政令で定める公共の用に供する施設は,緑地,広場,墓園,水路, 駐車場,自動車ターミナル,火葬場,汚物処理場又はごみ処理場とする。 (公益的施設) 第3条 法第2条第7項〔公益的施設の定義〕の政令で定める施設は,図書館,公民館,青年の家,スポーツ用 施設,児童厚生施設,卸売市場,と畜場,郵便施設,公衆電気通信施設,電気供給施設,ガス供給施設,熱供 給施設又は購買施設とする。 本条……一部改正〔昭和47年12月政令420号〕 附則 (施行期日) 1この政令は,公布の日から施行する。 (首都圏整備委員会事務局組織令の一部改正) 2首都圏整備委員会事務局組織令(昭和31年政令第175号)の一部を次のように改正する。 第2条第3項に次の一号を加える。 八 筑波研究学園都市建設法(昭和45年法律第73号)の施行に関すること。 (新住宅市街地開発法施行令の一部改正) 3 新住宅市街地開発法施行令(昭和38年政令第365号)の一部を次のように改正する。 第5条に次の一号を加える。 四 筑波研究学園都市建設法(昭和45年法律第73号)第2条第4項〔研究学園地区建設計画の定義〕に規 定する研究学園地区建設計画に基づく事業として新住宅市街地開発事業が施行される場合において,当該 研究学園地区建設計画に基づく事業により造成される都市計画法第18条第1項〔都道府県知事の都市計 画の決定〕又は第19条第1項〔市町村の都市計画の決定〕の規定により決定された同法第11条第1項第 5号〔学校等の教育文化施設〕に規定する学校,図書館,研究施設その他の教育文化施設又は同項第9号 〔一団地の官公庁施設〕に規定する一団地の官公庁施設の敷地の譲受人となった者で,使用人の居住の用に 供する宅地を必要とするもの。 第6条中「使用人の居住の用に供する宅地を」の下に「同条第4号に掲げる者にあっては当該学校,図書館, 研究施設その他の教育文化施設又は一団地の官公庁敷地において建設しようとする施設の種類及び規模,施行計 画の内容その他の事情を勘案して適当な規模の使用人の居住の用に供する宅地を」を加える。 附 則〔昭和47年12月8日政令第420号抄〕 (施行期日) 1 この政令は,法〔熱供給事業法=昭和47年6月22日法律第88号〕の施行の日(昭和47年12月20日)か ら施行する。 附 則〔昭和49年6月26日政令第225号抄〕 (施行期日) 第1号 この政令は,国土庁設置法の施行の日(昭和49年6月26日)から施行する。 別表〔第1条〕 町村名 区 域 筑波町 大穂町 山木及び水守のうちそれぞれ内閣総理大臣が定める区域 佐,前野,若葉,大曽根,篠崎,玉取,蓬沼,要元南口堀,要元上口堀,要元猿壁及び要元弥 平太のうちそれぞれ内閣総理大臣が定める区域 町村名 区 域 豊里町 沼崎及び遠東のうちそれぞれ内閣総理大臣が定める区域 谷田部町 東平塚,西平塚,下平塚,苅間,小野崎,手代木,原,西大橋,西岡,館野,松野木,上原, 西大沼,上横場,柳橋,大白硲,小白硲,赤塚,下原,中内,榎戸,北中妻,南中妻,今泉, 下横場,羽成,市之台及び谷田部のうちそれぞれ内閣総理大臣が定める区域 桜 村 栗原,柴崎,妻木,花室,倉掛及び大角豆のうちそれぞれ内閣総理大臣が定める区域 茎崎村 若栗,菅間,大井及び高崎のうちそれぞれ内閣総理大臣が定める区域 備考 この表に掲げる地域は,それぞれ昭和45年7月1日における行政区域その他の区域によって表示さ れたものとする。 註「内閣総理大臣の定め」=筑波研究学園都市建設法施行令別表に掲げる区域のうち内閣総理大臣が定 める区域 筑波研究学園都市建設法施行規則 (昭和46年2月1日 首都圏整備委員会規則第1号 ) 昭49. 6. 26改正 昭49. 6. 26施行 首都整備法(昭和31年法律第83号)第14条の規定に基づき,筑波研究学園都市建設法施行規則を次のように 定める。 筑波研究学園都市建設法施行規則 〔公表の方法〕 第1条 筑波研究学園都市建設法(以下「法」という。)第4条第3項〔研究学園地区建設計画の公表〕(法第5条 第2項〔研究学園地区建設計画の変更についての準用〕において準用される場合を含む。)の規定により内閣総 理大臣のする公表は,官報に掲載して行なう。 2筑波研究学園都市建設法施行令(昭和45年政令第240号)別表に掲げる区域のうち内閣総理大臣が定める区 域は,官報をもって告示する。 註2項の「告示」=筑波研究学園都市建設法施行令別表に掲げる区域のうち内閣総理大臣が定める区域 〔添付書面〕 第2条 茨城県知事は,法第8条第1項〔周辺開発地区整備計画の作成,承認〕の規定により,周辺開発地区整 備計画の承認を申請しようとするときは,申請書に関係町村長の意見の概要を記載した書面を添えてしなけれ ばならない。 〔意見書〕 第3条 法第4条第4項〔研究学園地区建設計画の公表〕(法第5条第2項〔研究学園地区建設計画の変更につい ての準用〕において準用される場合を含む。)の規定により公表された研究学園地区建設計画に対して意見を申 し出ようとするときは,左に掲げる事項を記載した意見書正副各1通を内閣総理大臣に提出しなければならな い。 一意見提出者名 二 公表された研究学園地区建設計画と提出者との関係 三意見の詳細 四その他参考となるべき事項 第4条 前条の意見の申出があったときは,内閣総理大臣はその申出に対して採った措置について,意見の提出 者にすみやかに文書をもって回答するものとする。 附則 この規定は,公布の日から施行する。 附 則(昭和49年6月26日総理府令第39号) この規定は,公布の日から施行する。 筑波研究学園都市建設法施行令別表に掲げる区域のうち首都圏整備委員会が定める区域 (昭和46年2月1日 首都圏整備委員会告示第1号 ) 筑波研究学園都市建設法施行令(昭和46年政令第240号)別表に掲げる区域のうち,首都圏整備委員会が定め る区域を次のように定めたから,筑波研究学園都市建設法施行規則(昭和46年首都圏整備委員会規則第1号)第 1条第2項の規定により告示する。ただし,その効力は,昭和46年2月15日から生ずるものとする。 1.筑波町の区域のうち首都圏整備委員会が定める区域は,次の図に示すとおりとする。(「次の図」は省略し, その図面を茨城県庁及び筑波町役場に備え置いて縦覧に供する。) 2.大穂町の区域のうち首都圏整備委員会が定める区域は,次の図に示すとおりとする。(「次の図」は省略し, その図面を茨城県庁及び大穂町役場に備え置いて縦覧に供する。) 3.豊里町の区域のうち首都圏整備委員会が定める区域は,次の図に示すとおりとする。(「次の図」は省略し, その図面を茨城県庁及び豊里町役場に備え置いて縦覧に供する。) 4.谷田部町の区域のうち首都圏整備委員会が定める区域は,次の図に示すとおりとする。(「次の図」は省略し, その図面を茨城県庁及び谷田部町役場に備え置いて縦覧に供する。) 5.桜村の区域のうち首都圏整備委員会が定める区域は,次の図に示すとおりとする。 (「次の図」は省略し,その図面を茨城県庁及び桜村役場に備え置いて縦覧に供する。) 6.茎崎村の区域のうち首都圏整備委員会が定める区域は,次の図に示すとおりとする。 (「次の図」は省略し,その図面を茨城県庁及び茎崎村役場に備え置いて縦覧に供する。) 2.閣議関係 官庁の移転について (昭和36年9月1日 閣 議 決 定 ) 首都への人口の過度集中の防止に資するため,各種防止対策の強化を図るべきであるが,先ず,機能上必ずし も東京都の既成市街地に置くことを要しない官庁(附属機関及び国立の学校を含む。)の集団移転について,速や かに具体的方策を検討するものとする。 研究・学園都市の建設について (昭和38年9月10日 閣 議 了 解 ) 1.研究・学園都市の建設地は,筑波地区とする。 2.研究・学園都市の計画規模はおおむね4,000ヘクタールを予定する。 3.研究・学園都市の用地の取得造成は,日本住宅公団に行なわせる。 筑波地区における研究・学園都市の建設について (昭和39年12月18日 閣議口頭了解 ) 筑波地区における研究・学園都市の建設については,地元受入体制及び建設の構想が熟してきたので,この際 少なくとも次の事項を決定してその促進を図りたい。 1.新都市の建設は40年より着手,おおむね10か年で完成する。 2.新都市の建設にあたっては,十分な都市建設を整備するとともに,移転機関等の施設設備についてはその充 実を図る。 3.用地を提供することによって生活の基礎を失う者には,適切な生活再建の措置を行なう。 4.総理府に「研究・学園都市建設推進本部」を設け,新都市の建設に関する連絡,調整及び推進に当らしめる。 研究・学園都市建設推進本部の設置について (昭和39年12月25日 閣 議 決 定 ) 1.昭和39年12月18日閣議了解に基づく研究・学園都市建設推進本部(以下「推進本部」という。)の構成は 次のとおりとする。 本部長 国土庁長官 部員 総理府総務副長官 国土事務次官 行政管理事務次官 科学技術事務次官 環境事務次官 大蔵事務次官 文部事務次官 厚生事務次官 農林事務次官 通商産業事務次官 運輸事務次官 郵政事務次官 労働事務次官 建設事務次官 自治事務次官 2.推進本部の庶務は,内閣総理大臣官房審議室において,国土庁大都市圏整備局の協力を得て処理する。 研究・学園都市の建設について (昭和42年9月5日 閣 議 了 解 ) 1.筑波地区における研究・学園都市(以下「新都市」という。)に移転を予定する機関は,別表のとおりとする。 2.移転機関の移転は,高水準の研究・教育が効率的に行なわれるよう整備することを旨として,研究・学園都 市建設推進本部において定める方針に基づいて計画的に行なうものとする。 3.新都市の建設に必要な道路その他の交通施設,公園,上下水道,学校,その他の教育文化施設,病院その他 の医療施設,保育所その他の社会福祉施設等については,計画的に整備充実するよう努めるものとする。 4.公務員宿舎その他の住宅については,移転機関の移転に支障のないよう当該地域の都市計画に応じ,計画的 に建設するよう努めるものとする。 5.新都市の計画及び建設事業を円滑に実施するため,必要な体制を整備するよう努めるものとする。 6.移転機関の跡地等の利活用およびその手段方法については,別途検討するものとする。 別表 省庁別 移転を予定する機関 科学技術庁 金属材料技術研究所の一部 国立防災科学技術センター 無機材質研究所 文部省 東京教育大学 東京医科歯科大学医学部附属病院霞ヶ浦分院 図書館短期大学 厚生省 国立栄養研究所 国立予防衛生研究所 国立多摩研究所 国立ガンセンターの一部 農林省 農業技術研究所 農事試験場 畜産試験場 園芸試験場 農業土木試験場 蚕糸試験場 家畜衛生試験場 食糧研究所 植物ウイルス研究所 林野庁林業試験場 水産庁生産部漁船研究室 〃 東海区水産研究所 〃 淡水区水産研究所 通商産業省 工業技術院本院の一部 工業技術院計量研究所 〃 機械試験所 〃 東京工業試験所 〃 醱酵研究所 〃 繊維工業試験所 〃 地質調査所 〃 電気試験所 〃 産業工芸試験所 〃 資源技術試験所 建設省 国土地理院 土木研究所 建築研究所 附記 1.上記機関については,諸条件について検討の結果やむを得ない事情があるとき,その他移転を適当としな い事情があるときは,変更することがある。 2.上記機関のほか,新設される試験研究機関等で新都市に設置することが適切と認められるものについて は,上記機関に準ずるものとして取り扱う。 研究・学園都市の建設について (昭和44年6月13日 閣 議 決 定 ) 筑波地区における研究・学園都市に移転を予定する機関等の建設については,高水準の研究教育が効率的に行 なわれるよう諸条件の整備を図りつつ,昭和43年度を初年度として,前期5か年,後期5か年の2期にわけ,お おむね10か年で実施することとする。 昭和47年度までの前期々間には,科学技術庁2機関,文部省1機関,農林省おおむね5機関および建設省3機 関の移転予定機関の建設を開始することを目途とするとともに,新設機関についても設置を決定次第その建設に 着手することを予定し,あわせて,民間研究機関等の積極的導入を図るものとし,これら機関の建設および現地 における研究教育活動等が円滑に推進されるよう,移転機関等の建設計画に即応して,新都市建設に必要な道路 の整備を図り,河川の改修を進めるとともに,上下水道その他都市環境の整備に必要な施設の建設を進めるもの とする。 また,常磐自動車道については,研究・学園都市の建設に即応するよう調査を促進し,その早期着工を図るも のとする。 なお,後期に移転を予定する機関についても,前期々間において,移転に関し必要な調査を促進し,できる限 り早期建設の方策を講ずるよう努めるものとする。 筑波研究学園都市に建設する研究および教育機関等について (昭和47年5月16日 閣 議 決 定 ) 筑波研究学園都市に建設する研究および教育機関等は,次のとおりとする。 科学技術庁 金属材料技術研究所の一部 国立防災科学技術センター 無機材質研究所 共同利用施設 宇宙開発事業団筑波宇宙センター 環境 庁 国立公害研究所 文部省 筑波新大学(仮称) {東京教育大学 東京医科歯科大学医学部附属病院霞ケ浦分院 図書館短期大学 高エネルギー物理学研究所 国立教育会館分館 厚生省 国立予防衛生研究所の一部 国立衛生試験所の一部 農林 省 農業技術研究所 農事試験場の一部 畜産試験場 園芸試験場 農業土木試験場 蚕糸試験場 家畜衛生試験場 食糧研究所 植物ウイルス研究所 熱帯農業研究センター 林業試験場 農林水産技術会議事務局の一部 蚕糸園芸局の一部 通商産業省 工業技術院本院の一部 計量研究所 機械技術研究所 東京工業試験所 微生物工業技術研究所 繊維高分子材料研究所 地質調査所 電子技術総合研究所 製品科学研究所 公害資源研究所 運輸省 気象研究所 高層気象台 気象測器工場 郵政省 日本電信電話公社筑波電気通信建設技術開発センター 建設省 国土地理院 土木研究所 建築研究所 附記 上記機関のほか,新設される国の試験研究機関等で筑波研究学園都市に設置することが適切と認められるもの については,研究・学園都市建設推進本部の議を経て建設することができるものとする。 筑波研究学園都市の建設について (昭和48年4月27日 閣 議 決 定 ) 筑波研究学園都市は,高水準の研究および教育の諸活動が相互に有機的連けいを保ちつつ効率的に行なわれる とともに,住民の生活が健康で文化的なものとして営めるよう,整備するものとし,その建設にあたっては,研 究学園都市にふさわしい市街地環境を形成するよう配慮するものとする。 筑波研究学園都市に移転し,または新たに設置する試験研究機関,教育機関等(以下「移転機関等」という。) は,おおむね昭和50年度末を目途に移転を行ない,移転機関等の施設の整備および関連公共公益事業等の整備 は,移転時期を勘案して移転に支障を生じないよう行なうものとする。その移転時期および施設の概成時期は, おおむね別表のとおりとする。 移転機関等の移転にあたっては,移転職員および移転困難な職員のための対策を十分講じ,移転の円滑化を図 るものとする。特に,筑波研究学園都市に設置する公務員宿舎については,移転計画に対応して計画的に建設を 進めるものとし,その規模,質については,研究者の住民にふさわしい十分ゆとりのあるものとする。 なお,周辺開発地区においては,農林業上の土地利用との調整を図りつつ,民間研究機関および私立大学等を 導入し,蚕食的な市街地の防止を図るものとする。 別表 移転機関等の名称 移転時期 施設の概成時期 昭和年度 昭和年度 科学技術庁 金属材料技術研究所の一部 50 50 国立防災科学技術センター 50 50 無機材質研究所 46 50 共 同 利 用 施 設 ― 49 宇宙開発事業団筑波宇宙センター ― 50 環 境 庁 国立公害研究所 ― ― 文 部 省 筑 波 大 学 ― 50 ( 51年度以降は学年進 行分の整備 ) 図書館短期大学 51 50 ( 51年度以降は学年進 行分の整備 ) 高エネルギー物理学研究所 ― 49 国立 教育 会館 分館 48 49 厚生 省 国立予防衛生研究所の一部 51 50 国立衛生試験所の一部 51 50 農 林 省 農業技術研究所 50 50 農事試験場 の一部 51 50 畜 産 試 験 場 50 50 果 樹 試 験 場 50 50 農業土木試験場 50 50 蚕 糸 試 験 場 50 50 家畜衛生試験場 50 50 食品 総合 研究所 50 50 植物ウイルス研究所 49 49 熱帯農業研究センター 48 48 林 業 試 験 場 50 50 農林水産技術会議事務局の一部 50 50 農林省農蚕園芸局の一部 50 50 通商産業省 工業技術院本院の一部 51 51 計 量 研 究 所 51 51 機械技術研究所 51 51 東京 工業試験 所 51 51 微生物工業技術研究所 51 51 繊維高分子材料研究所 51 51 地 質 調 査 所 51 51 移転機関等の名称 移転時期 施設の概成時期 昭和年度 昭和年度 電子技術総合研究所 52 51 製品 科学 研究所 51 51 公害資源研究所 52 51 運 輸 省 気 象 研 究 所 50 50 高 層 気 象 台 49 48 気 象 測 器 工 場 49 48 郵 政 省 日本電信電話公社筑波電気通信建 設技術開発センター 49 50 建 設 省 国 土 地 理 院 50 50 土 木 研 究 所 50 50 建 築 研 究 所 50 50 筑波研究学園都市移転機関等の移転時期及び施設の概成時期の変更について (昭和50年3月14日 閣 議 決 定 ) 「筑波研究学園都市の建設について」(昭和48年4月27日閣議決定)に基づき,筑波研究学園都市に移転する 試験研究機関,教育機関等(新たに設置されるものを含む。)は,おおむね昭和50年度末を目途に移転を行うこ ととしているが,諸般の情勢にかんがみ,これをおおむね昭和54年度を目途に移転を行うこととし,その移転時 期及び施設の概成時期について定めた別表を次の表のとおり変更するものとする。 筑 波 大 学 移転機関等の名称 移転時期 施設の概成時期 昭和年度 昭和年度 科学技術庁 金属材料技術研究所の一部 53 54 国立防災科学技術センター 51 54 無機材質研究所 46 54 共 同 利 用 施 設 ― 52 宇宙開発事業団筑波宇宙センター ― 50 環 境 庁 国立公害研究所 ― ― (昭和48年度新設) 文 部 省 ― 50 (昭和51年度以降は学 年進行分の整備 ) 図書館短期大学 54 53 高エネルギー物理学研究所 ― 49 国立教育会館分館 49 49 国立科学博物館筑波研究施設(仮称) ― 51 厚 生 省 国立予防衛生研究所の一部 53 53 国立衛生試験所の一部 54 54 移転機関等の名称 移転時期 施設の概成時期 昭和年度 昭和年度 農 林 省 農業技術研究所 54 54 農事試験場 の一部 54 54 畜 産 試 験 場 54 54 果 樹 試 験 場 52 52 農業 土木試験場 52 52 蚕 糸 試 験 場 54 54 家畜衛生試験場 53 53 食品総合研究所 53 53 植物ウイルス研究所 51 51 熱帯農業研究センター 49 49 林 業 試 験 場 52 52 農林水産技術会議事務局の一部 53 53 農林省農蚕園芸局の一部 52 52 通商産業省 工業技術院本院の一部 54 54 計 量 研 究 所 54 54 機械技術研究所 54 54 東京工業試験所 54 54 微生物工業技術研究所 54 54 繊維高分子材料研究所 54 54 地 質 調 査 所 54 54 電子技術総合研究所 54 54 製品 科学 研究所 54 54 公害資源研究所 54 54 運 輸 省 気 象 研 究 所 54 54 高 層 気 象 台 49 49 気 象 測 器 工 場 49 49 郵 政 省 日本電信電話公社筑波電気通信建 設技術開発センター 50 53 建 設 省 国 土 地 理 院 53 53 土 木 研 究 所 53 53 建 築 研 究 所 53 53 3.科学技術会議関係 諮問第3号「国立試験研究機関を刷新充実するための方策について」に対する答申(抜すい) (昭和37年7月13日 科学技術会議 ) 4.立地条件および施設設備の改善 (1)国立試験研究機関の集中移転 研究環境の改善,施設設備の共同利用,共同研究の円滑化,人的交流の活発化等により試験研究を効果的 に推進するため,過大都市をはなれた地域に国立試験研究機関を集中的に移転させる必要がある。 そのため,国立試験研究機関は,関係省庁,首都圏整備委員会,関係地方公共団体等と密接な連絡をとり, 次のような配慮のもとに適切な計画を立案し,その実現をはかる。 (ⅰ)大学,関係省庁,産業界等との連絡の容易な地域を選定し,これらと密接な連けいをはかりうるように する。 (ⅱ)各国立試験研究機関の特性,任務等を検討し,その機能を十分発揮させるようにする。その際,機構の 再編整備をあわせて考慮する。 (ⅲ)道路,上下水道,公園緑地,住宅,レクリエーション施設,学校施設については,従来の基準にとらわ れることなく整備する。その際,これらの施設の整備は,移転に先行させる。 (ⅳ)試験研究施設整備,試験研究の推進に必要なサービス施設等については,できるかぎり共同利用が可能 なように計画する。 (ⅴ)試験研究を渋滞させないようにし,試験研究設備の更新,近代化についても集中移転をまつことなく行 う。 (2)施設設備の改善 国立試験研究機関の施設設備は,一般に陳腐化,老朽化がいちじるしく,耐用年数をはるかに経過するも のが多数使用されているので,適切な計画のもとに近代化する必要がある。 施設建設に係わる申請手続きの一覧 工事区分 申請・届出の名称 提出者 提出先 提出時期 摘 要 法 令 備 考 建 築 関 係 建 築 物 工 作 物 計画通知(確認申 請) 建築物・工作物 国(設計担 当課) 建築主事 (つくば市) 着工前 昇降機及び昇降機以外の電 気・機械設備を含む 工作物は〈建基令〉138条 に指定されたもの 〈建基法〉 18 [6]条 〈建基則〉 1条 建築工事届 〃 都道府県知 事 〃 防火,準防火地域都市計画 区域内及び10 m2を越える 場合 〈建基法〉15条 建築物除去届 〃 〃 〃 〃 〃 工事完了通知 (工事完了届) 国(監理担 当課) 建築主事 完了時 共 通 関 係 道 路 使 用 等 管 理 施 設 な ど 道路占用許可申請 国(請負者 代行) 道路管理者 着工前 目的,場所,期間,構造, 方法,時期,復旧方法 道路法 32条 都道府県,市町村条 例 道路管理者 市道:つくば市 道路使用許可申請 〃 警察署長 着工前 目的,場所,期間,方法 〈道交法:77条〉 担当:会計課管財係 騒 音 ・振 動 関 係 施 設 を 設 け る 場 合 指 定 地 域 内 に 特 定 特定施設設置届 国(請負者 代行) 都道府県知 事又は市町 村長 (つくば市) 着工30日前 まで 特定施設の種類ごとの数, 騒音防止方法,配置図 〈騒音法〉 6条 〈騒音法〉25条 〈地方条例〉 担当:庶務課安全係 特定施設使用届 所有者 〃 特定施設と なった日か ら30日以内 〃 〈騒音法〉7条1項 ※注:指定地域と なった場合の既存施 設 工事区分 申請・届出の名称 提出者 提出先 提出時期 摘 要 法 令 備 考 通 信 加入移設申込 国(請負者 代行) 第一種通信 事業者 (NTT) 利用意志確 定次第 電話サービス契約 約款 17条 (NTTの場合) 回線増設,移設 電 気 高速デジタル回線 申込 〃 〃 開通希望1 年前 LANに係る専用冋線契約 担当:会計課管財係 特殊設計施設認可 申請 国(設計担 当課) 通産局 着工前 〈電技〉   5条 保安規定届 〃 〃 〃 〈電事法〉 74 [52]条 担当:技術課施設係 主任技術者選任届 〃 〃 〃 〈電事法〉72条 担当:技術課施設係 設 備 関 係 電 力 受電届 〃 〃 受電開始の 30日前まで 最大電力5,000 kW以上 受電調整規則1条 担当:会計課管財係 工事計画認可申請 〃 〃 着工前 受電電圧1万V以上 〈電事法〉70条 担当:会計課管財係 工事計画届 〃 〃 着工30日前 まで 最大電力500 kW以上又 は,出力100 kW以上の非 常用予備発電装置 〃 71条 担当:会計課管財係 使用前検査申請 国(請負者 代行) 〃 受電開始予 定日が確定 したとき 最大電力500 kW以上又 は,出力100 kW以上の非 常用予備発電装置 〈電事法〉 74 [43]条 担当:会計課管財係 自家用電気工作物 使用開始届 〃 〃 使用開始後 遅滞なく 譲受又は,借受けた場合 〃 73条 担当:会計課管財係 自家用電気使用申 込 〃 電力会社 (東電) 着工前 電気供給規定 千現地区平成2年6 月申込(建設省管理 センター経由) 電気需給契約 〃 〃 供給承諾時 〃 担当:会計課管財係 自家用電気工作物 落成予定通知 〃 〃 落成予定確 定時 〃 担当:会計課管財係 工事区分 申請・届出の名称 提出者 提出先 提出時期 摘 要 法 令 備 考 給 水 設 備 上 水 道 給 水 装 置 水道工事申込書兼 工事施行承認申請 国(請負者 代行) 水道事業管 理者 (筑南水道 企業団) 着工前 案内図,配置図,配管図添 付の上承認を受ける (上水道-給水装置) 〈地方給水条例〉 担当:会計課管財係 給 水 設 備 関 係 上 水 道 給 水 装 置 工事完了届 国(請負者 代行) 水道事業管 理者 (筑南水道 企業団) 完了時 工事完成図添付 〈地方給水条例〉 担当:会計課管財係 給水申込 〃 〃 使用前 申込後量水器取付 〃 専 用 水 道 専用水道確認申請 給水開始前の届 国(設計担 当課) 国(請負者 代行) 厚生大臣 (都道府県 知事) 〃 着工前 使用前 給水量,水源の種別,地 点,水質試験,施設の概要 など 水質検査,施設検査 水道法 50 [33]条 水道法50 (13条) 〈水道則〉10条 該当設備:簡易専用 水道 工事区分 申請・届出の名称 提出者 提出先 提出時期 摘 要 法 令 備 考 排 水 設 備 関 係 公 共 下 水 道 に 下 水 排 出 カ ド ミ ウ ム 等 排 水 排水設備計画届 国(設計担 当課) 下水道管理 者(茨城県 利根浄化セ ンター) 着工前 工事調書,案合図,配置図 添付 排水設備技術者選任 〈地方下水条例〉 担当:庶務課安全係 工事完了届(除外 施設) 国(請負者 代行) 〃 完成後5日 以内 検査を受け検査証受領 〃 使用開始(変更) 届 〃 〃 使用前 新設開始,休止施設の再使 用 〃 担当:会計課管財係 特定施設設置届 国(設計担 当課) 下水道管理 者(茨城県 利根浄化セ ンター) 着工の60日 前 施設の種類,構造,使用方 法,処理方法,汚染状態, 量,その他 〈下水法〉12条 担当:庶務課安全係 特定施設使用届 国(請負者 代行又は使 用者) 〃 特定施設と なった日か ら30日以内 〃 〃 公 共 用 水 域 に カ ド ミ ウ ム 等 排 水 特定施設設置届 国(設計担 当課) 都道府県知 事(谷田部 保健所) 着工の60日 前 施設の種類,構造,使用方 法,処理方法,汚染状態, 量,その他 〈水濁法〉 5条 〈地方条例〉 担当:庶務課安全係 下水道法に基づく届 と同一書類を保健所 に提出 特定施設使用届 国(請負者 代行又は使 用者) 〃 特定施設と なった日か ら30日以内 総量指定地 域について は60日以内 施設の種類,構造,使用方 法,等 〈水濁法〉 6条 公共水域とは河川, 湖沼,港湾,沿岸海 域,其の他公共のよ うに供される水域及 びこれに接続する公 共暗渠,かんがい用 水その他公共の用に 供される水路を言う 工事区分 申請・届出の名称 提出者 提出先 提出時期 摘 要 法 令 備 考 危 険 物 の 製 造 所 ・貯 蔵 所 ・取 扱 所 関 係 指 定 数 量 以 上 保安監督者選任届 国(請負者 代行) 都道府県知 事又は市町 村長消防署 長(筑南消 防本部) 選任したと き遅滞なく 消防法 13条 〈危険令〉31条 〈危険則〉48条 担当:庶務課安全係 設置許可申請 国(請負者 代行) 都道府県知 事又は市町 村長消防署 長(筑南消 防本部) 着工前 製造設備,構造明細添付 消防法 11条1項 〈危険令〉 6条 危険物置場 自家発電用地下タン ク 水張・水圧検査申 請 製造者 〃 施行中 容器に配管,付属品を取り 付ける前に申請 〈危険令〉 8条の2 完成検査申請 国(請負者 代行) 〃 完成時 検査を受け検査証受領 〈危険令〉 8条 指 定 数 量 の1/5 以 上 少量危険物の貯蔵 の取扱届出 国(請負者 代行) 消防署長 (筑南消防 本部) 完成時 品名,数量等 〈地方火災予条例〉 担当:庶務課安全係 消 火 設 備 関 係 防火対象物使用届 国(請負者 代行) 消防長,市 町村長,消 防署長 (筑南消防 本部) 使用前 設計書,計算書,系統図, 平面図などを添付 〈地方火災予条例〉 担当:庶務課安全係 ― 消防用設備等着工 届 〃 消防長又は 消防署長 (筑南消防 本部) 着工10日前 まで 設計書,系統図,仕様書添 付 消防法17条の14 ※注:消防設備士が 届出 消防用設備設置届 〃 〃 完了した日 から4日以 内 消防用設備等に関する図書 及び同試験結果報告書添付 〈消防則〉 31条の3 消防用設備等着工 届 〃 〃 着工10日前 まで 自動火災報知設備等 消防法17条の14 〈消防則〉 33条の18 消 火 設 備 関 係 消 防 電機設備設置届 国(請負者 代行) 消防長,市 町村長,消 防署長 (筑南消防 本部) 設置工事開 始3日前ま で 変電設備(20 kW以上) 内燃機関による発電設備, 蓄電池設備等 〈地方火災予条例〉 57条 担当:庶務課安全係 消防用設備等設置 届 〃 〃 工事完了後 4日以内 消防用設備等に関する図書 及び同試験結果報告書添付 消防法 17条の3 工事区分 申請・届出の名称 提出者 提出先 提出時期 摘 要 法 令 備 考 ば い 煙 関 係 ― ばい煙発生施設設 置届 国(請負者 代行) 都道府県知事 又は市町村長 (谷田部保健 所) 着工60日前 まで ばい煙発生施設の種 類,使用方法処理方法 〈大気法〉 6条 〈大気法〉31条 〈大気令〉13条 〈地方条例〉 ボイラー 第16条ばい煙 量等の測定 担当:庶務課安 全係 冷 凍 設 備 関 係 の 高 圧 ガ ス 20 ト ン 以 上 ガ ス 50 ト ン 以 上, そ の 他 一 日 の 冷 凍 能 力 ・ フ ロ ン 高圧ガス製造許可 申請 国(請負者 代行) 都道府県知事 (県南事務所) 着工30日前 まで ガスの種類,製造計画 書添付 〈高ガス法〉5条 〈冷凍則〉 4条 担当:庶務課安 全係 製造施設完成検査 申請 〃 〃 完成時 検査を受けて検査済証 受領 〈高ガス法〉20条 〈冷凍則〉18条 高圧ガス製造開始 届 〃 〃 製造開始時 〈高ガス法〉21条 〈冷凍則〉 8条 ※注:〈高ガス法〉 5-1-2で定める値を 〈高ガス令〉3-2で 規定 3 ト ン 以 上 20 ト ン 未 満 未 満 ・ そ の 他 の 高 圧 ガ ス ガ ス 20 ト ン 以 上, 50 ト ン 一 日 の 冷 凍 能 力 ・ フ ロ ン 高圧ガス製造届 国(請負者 代行) 都道府県知事 (県南事務所) 製造開始の 20日前まで ガスの種類,製造施設 明細添付 〈高ガス法〉5条 〈冷凍則〉 5条 担当:庶務課安 全係 製 造 施 設 一 般 高 圧 ガ ス ガ ス の 方 法 で 処 理 す る 圧 縮 ・液 化 そ の 他 高圧ガス製造承認 申請 国(請負者 代行) 都道府県知事 (茨城県工業 振興課) 着工の30日 前 製造の目的,処理能 力,処理設備の性能 〈高圧ガス〉5条 〈一般則〉 4条 LN2, CE3 基 LAr, CE 2 基 保安係員の選任 担当:庶務課安 全係 工事区分 申請・届出の名称 提出者 提出先 提出時期 摘 要 法 令 備 考 圧 力 容 器 設 備 関 係 ボ イ ラ ー 及 び 第 一 種 新 設 の も の 構造検査申請 製造者 労働基準局 製造後 検査を受け刻印及び明細書に検 査済印を受ける 〈安衛法〉38条 〈ボイラー則〉5条 〈ボイラー則〉 51条 ※注:現場組立のボ イラーにあっては設 置完了後に構造検査 を受ける 国 が 事 業 者 の 場 合 の 施 設 関 係 ボ イ ラ ー 圧 力 容 器 ボイラーの設備 届 圧力容器の設備 届 各省庁の長 (一部請負 者代行) 各省庁の長 (一部請負 者代行) 人事院 〃 完了時 〃 検査代行機関の検査済証添付 (小型ボイラーを除く) 検査代行機関の検査済証添付第 一種圧力容器 〈人事則〉 10-4 33 条 (別表7) 〃 担当:庶務課安 全係 ゴ ン ド ラ エ レ ベ ー タ ー ・ ク レ ー ン ・ エレベーターの 設備届 クレーンの設備 届 ゴンドラの設備 届 各省庁の長 (一部請負 者代行) 〃 〃 人事院 〃 〃 完了時 〃 〃 積載荷重1トン以上設置者の検 査証,建築主事の検査済証写し 及び構造図添付 つり上げ荷重3トン以上,明細 書組立図,強度計算書等及び検 査代行機関の検査済証添付 全てのゴンドラ 明細書,組立図等及び設置者の 検査済証添付 〈人事則〉 10-4 33 条 (別表7) 〃 〃 担当:庶務課安 全係 ガ ス 設 備 関 係 都 市 ガ ス ガス工事申込 国(請負者 代行) 供給会社 (筑波学園 ガス) 着工前 設計図,建物平面図 〈ガス法〉17条 供給規定 移転関係組織及び名簿 筑波移転推進準備室(昭和62年6月19日~昭和63年8月1日) 室 長岡田雅年 室長代理石川圭介 室 員吉原一紘,新谷紀雄,石井治夫,細川一夫,小川弘,松岡三郎,柘植政夫,和田尚之,小野和宏, 中村誠,加藤忠男 筑波移転推進室(昭和63年8月1日~平成3年8月1日) 室 長新居和嘉,小口醇 顧 問 岡田雅年,山田昌夫,中野昭二郎 室次長斎藤鐵哉 室 員奥井幸信,酒見雄孝,松田秀勝,木村良,石井治夫,小野和宏,中村誠,加藤忠男,石川圭介, 中村啓子,柘植政夫,和田尚之,戸田勝,天野宗幸,新谷紀雄,松岡三郎,石橋倫幸,島 栄, 大島一男,渡辺健二,吉原一紘,漆原英二,谷治治男,林豊資,宮下博文,浅井義一,山崎政義, 太田吉克,永田義孝,八木晃一,北澄子,鈴木俊一,筒本利行,和田仁,岸本直樹,武井厚, 福澤安光,保坂正己丹野忠,小林敏治,庄野とも子,松田忠治,本郷宏通,平澤甚治,河部義邦, 佐藤充典,貝沼紀夫,松島忠久,大沢嘉昭,田頭扶,星本健一,村田正治,植竹一蔵,魚谷賢治, 安藤忠志,飯塚裕久,小山一男,磯部次郎,今井義雄,石川直美,笠原章 筑波移転推進本部(平成3年8月1日~平成6年4月1日) 本部長小口醇 顧 問岡田雅年,中野昭二郎,木下舜 副本部長斎藤鐵哉 次 長星本健一,田頭扶,石原只雄,貝沼紀夫,広瀬博,板垣孟彦,金澤健二,村松祐治,佐藤充典, 山口弘二 部 員安藤忠志,柘植政夫,平澤甚治,保坂正己,丹野忠,飯塚裕久,津田進,戸田勝,磯部次郎, 小河昭夫,米持博隆,今井義雄,磯田幸宏,石川直美,金丸修,住吉英志,筒本利行,渡辺健二, 笠原章,小泉裕,井島清,小菅通雄,大根田正喜,園田秀人,折田遵,鈴木俊一,藤塚正和, 福澤安光,横山治良,坂口孝浩,貝瀬正次,宮本祐吾,佐藤司,馬場晴夫,長島伸夫,渡部隆, 田中義久,永井秀雄,大島一男,山田幸子,石井一夫,石井明,湯山道也,横川忠晴,京野純郎, 坂本正雄,佐藤守夫,荒木弘 本部付秋山武久,中野照明,真鍋烈,魚谷賢治,小山一男,島 栄,竹内孝夫,筒本利行,松岡浩, 細川一夫,石井治夫,石井利和,山崎政義,佐藤信夫 筑波移転管理室(平成6年4月1日~平成7年9月30日) 室 長斎藤鐵哉 顧 問小ロ醇,岡田雅年,木下舜,本間清 次 長佐藤充典,板垣孟彦,村松祐治,金澤健二,山口弘二,藤塚正和,木村一弘 室 員 渡辺健二,保坂正己,宮本祐吾,小河昭夫,大島一男,柘植政夫,戸田 勝,藤塚正和,鈴木俊一, 福澤安光,横川忠晴,佐藤守夫,山田幸子,坂本正雄,京野純郎,山崎政義,石井 明,荒木 弘, 湯山道也,長尾節子,芳須 弘,皆川和己 基本問題ワーキンググループ(昭和63年8月23日~平成6年4月1日) リーダー小口醇 グループ員酒見雄孝,木村良,青木晴善,天野宗幸,新谷紀雄,斎藤鐵哉,八木晃一,吉原一紘,戸叶一正, 和田仁,石川圭介,漆原英二 レイアウトワーキンググループ(平成元年10月24日~平成6年4月1日) 主 査斎藤鐵哉 副主査新谷紀雄,八木晃一,中村誠,飯塚裕久 グループ員北原宣泰,青木晴善,岡田明,吉原一紘,井上廉,岸本直樹,大根田正喜,大島一男 研究本館ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) 主 査斎藤鐵哉 副主査塩田一路,板垣孟彦,森中功,門馬義雄,太田吉克,金澤健二,安藤忠志,横山治良 グループ員小口多美夫,大河内春乃,金澤健二,原田幸明,岸本哲,野田哲二,古屋一夫,小野寺秀博,塩 田一路,田中吉秋,酒見雄孝,小野和宏,中村誠,筒本利行,島 栄,北原宣泰,永田義孝, 大根田正喜,飯塚裕久,秋山武久,津田進,横山治良,坂口孝浩,大島一男,石井治夫 分棟ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) 主 査酒見雄孝,永田義孝,秋山武久,石井治夫 副主査石井治夫,小野和宏,中村誠,筒本利行,太田吉克,平澤甚治,安藤忠志,飯塚裕久,津田進, 横山治良,坂口孝浩 グループ員林武次郎,鈴木一成,谷治治男,米持博隆,三井達郎,片田康行,島栄,大河内春乃,原田幸明, 北原宣泰,戸田勝,大根田正喜,広瀬博,折田遵,園田秀人,筒本利行,大島一男 精密計測棟ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) 主 査青木晴善 副主査田村良雄,平野敏幸,池田省三,北島正弘 グループ員古林孝夫,山脇寿,二瓶正俊,土佐正弘 ファインプロセス棟ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) 主 査吉原一紘 副主査大野悟 グループ員 谷治治男,平田俊也,長谷川良佑,大河内春乃,村松祐治,尾崎 太,砂金宏明,高橋 聡 材料強度棟ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) 主 査八木晃一 副 主 査 升田博之,堀部 進,平賀啓二郎 グループ員 原田広史,片田康行,緒方俊夫,永川城正,中沢静夫 材料創製棟ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) 主 査岡田明 副主査 福沢 章,三井達郎 グループ員 魚津良雄,桜谷和之,村松由樹,太田口稔,鰐川周治 理学系共通棟ワーキンググループ(平成元年11月14日~平成6年4月1日) 主 査戸叶一正 副主査福富勝夫 グループ員 吉田勇二,松下明行 工学系共通棟ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) 主 査貝沼紀夫 副主査長井寿 グループ員平野敏幸,藤塚正和 強磁界棟ワーキンググループ(平成元年11月14日~平成6年4月1日) 主 査井上廉 副主査和田仁 グループ員田中吉秋,伊藤喜久男,竹内孝夫,木吉司,岩瀬征弘,宇治進也,松本文明 ビーム棟ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) 主 査岸本直樹 副主査 入江宏定,古屋一夫 グループ員尾崎太,石田章,小口信行,斉藤一夫,北島正弘,永川城正,山本徳和,小川洋一 管理棟ワーキンググループ(平成元年11月14日~平成6年4月1日) 主 査斎藤鐵哉 副主査板垣孟彦 グループ員井上廉,田中吉秋,岸本直樹,野田哲二,古屋一夫,太田吉克,島 栄,安藤忠志,筒本利行, 折田遵,横山治良 移設ワーキンググループ(平成5年4月21日~平成7年9月30日) グループ員松本武彦,楠克之,中谷功,大野悟,今井義雄,星本健一,小泉裕,福沢章,平野敏幸, 海江田義也,田頭扶,三井達郎,入江宏定,田村良雄,古屋一夫,長谷川良佑,増田千利,住吉 英志,松岡三郎,村田正治,田辺龍彦,信木稔,土佐正弘,吉武道子,門馬義雄,片田康行,横 山治良,渡辺健二,坂口孝浩,保坂正己,飯塚裕久,古川絶不,大島一男,松田忠治,折田遵, 高山宏,平賀啓二郎,松島忠久,高橋聡,熊倉浩明,矢田雅規,野田哲二,永川城正,中澤興 三,石田 章,井出邦和,田中吉秋,青木晴善 超電導棟ワーキンググループ(昭和63年9月16日~平成元年11月14日) 主 査井上廉 副主査和田仁 グループ員岩瀬征弘,田中吉秋,戸叶一正,伊藤喜久男,吉田勇二 レイアウト小委員会(平成元年10月24日~平成6年4月1日) 委員長吉松史朗,西島敏 委 員佐々木靖男,古林英一,河部義邦,中村実,漆原英二,前田弘,西島敏,白石春樹,真鍋烈, 天野宗幸,魚谷賢治,松岡浩,石井利和 研究本館・分棟小委員会(昭和63年10月14日~平成6年4月1日) 委員長吉松史朗,西島敏 委 員佐々木靖男,古林英一,中村実,木村良,前田弘,漆原英二,真鍋烈,天野宗幸,魚谷賢治, 松岡浩,石井利和 精密計測棟小委員会(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) 委員長吉川明静 委 員辻本得蔵,前田弘,中村森彦 ファインプロセス棟小委員会(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) 委員長 西島 敏,古林英一 委 員 佐々木靖男,白石春樹,天野宗幸 材料強度棟小委員会(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) 委員長 中村治方,佐藤 彰 委 員武内朋之,白石春樹,永田徳雄 材料創製棟小委員会(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) 委員長 山崎道夫,辻本得蔵,田中千秋 委 員 松田秀勝,古林英一,田中千秋,秋山武久,中野照明,細川一夫 理学系・工学系共通棟小委員会(昭和63年10月14日~平成6年4月1日) 委員長 武内朋之,河部義邦 委 員河部義邦,小川恵一,永田徳雄,戸叶一正 強磁界棟・ビーム棟・管理研究棟小委員会(昭和63年9月16日~平成6年4月1日) 委員長河部義邦 委 員小川恵一,中村治方,西島敏,魚谷賢治,石橋倫幸,小山一男,島 栄,筒本利行,戸叶一正 筑波移転推進室「住民同意取得チーム」(平成2年6月4日設置) 責任者岡田雅年 副責任者河部義邦 メンバー A班 石橋倫幸,貝沼紀夫(建設省:金井) B班島 栄,松島忠久(〃:須藤) C班中村誠,佐藤充典(〃:若井) D班 八木晃一,保坂正己(〃:益田) E班天野宗幸,谷治治男(〃:渡辺) 小林敏治 (〃:梶原,大村) 科学技術庁 金属材料技術研究所筑波移転推進準備室(昭和62年10月1日~平成元年6月5日) 室 長中津川英雄 次 長中野昭二郎,服部幹雄,釈 厚,奥井幸信 室 員山崎茂雄,丸山剛司,木村良,有沢精,大塚洋一朗,藤木完治,干場静夫,藤田明博,高田裕昭, 塚本勝 石川圭介,吉原一紘,新谷紀雄,漆原英二,鎌田道明,松田秀勝 金属材料技術研究所筑波移転推進室(平成元年6月5日~平成7年6月30日) 室 長中津川英雄,石井敏弘,中村憲樹,岡崎俊雄,宮林正恭 次 長中野昭二郎,斉藤紘一,箱石千代彦,三浦睦広,三角逸朗,熊本誠,角田周一 千場静夫,白尾隆行,前澤祐一,岩橋理彦 奥井幸信,山田昌夫,中野昭二郎,斎藤鐵哉,木下舜,和田仁,本間清 室 員山崎茂雄,松永稔,太田吉克,丸山剛司,木村良,有沢精,藤木完治,土屋定之,村田貴司, 岡野誠一,斉藤武雄,藤田明博,岩橋理彦,高田裕昭,青山 伸,川原田信市,戸谷一夫,田中正朗, 坪井裕,塚本勝,石井利和,安部元秦,岡本信司,竹前真,藤木完治,船橋英夫,伊藤洋一, 柴田浩史,漆原英二,真鍋烈,松岡浩,武藤英一,酒見雄孝,永田義孝,秋山武久,石井治夫, 細川一夫,広瀬博,石川圭介,八木晃一,石原只雄,松島忠久,武井厚,田頭扶,貝沼紀夫, 板垣孟彦,佐藤充典,山口弘二,木村一弘 筑波研究学園都市 筑波研究学園都市の位置 [広域図] [近郊図] Atk] SHON V HAS | TAR + RA (Ur AGE] —= 281 — 金 属 材 料 技 術 研 究 所 千 現 地 区 全 体 配 置 図 桜 地 区 全 体 配 置 図 L [ed Be bd) XE Ree Net 1 NC PA BE A — 283 — 研 究 本 館 1 階 平 面 図 — 284 — At Fe AS fH 1 PROF i 132.200 10.300 O0e sr 00¢°€9 00281 oor9 000°9 ~_000°9 KRURABVS osTs ors'b O&F OFF Xx ear Wie: OIE ee Gs ee Ip Ors" v NLU TT 00281 000°0T 000°82 000°8 000°0T 002°S8 069°F 00S over oezP 000°8 | @ | a [" 000's | | | | “00°92. 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