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[雨倉 宏](https://orcid.org/0000-0003-2148-8431)

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[高速重イオン衝突による 固体中に埋め込まれた金属ナノ粒子の楕円化変形（前編）](https://mdr.nims.go.jp/datasets/1abac0ba-2723-41b3-9162-601ff59f709d)

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「しょうとつ」第20巻第3号（2023年5月号） 解 説   高速重イオン衝突による 固体中に埋め込まれた金属ナノ粒子の楕円化変形（前編）  雨倉宏 物質・材料研究機構 〒 305-0003 茨城県つくば市桜 3-13 amekura.hiroshi@nims.go.jp 令和 5 年 2 月 16 日原稿受付   シリカガラスなどの固体中に埋め込まれて形成された金属ナノ粒子に対して十数 MeV 以上の高エネルギー重イオン（高速重イオン）を照射すると，照射前はほぼ球形だったナノ粒子がイオンビームと同方向に伸び，葉巻型の回転楕円体（prolate spheroid）やナノロッドのような形に変形する．本解説（前編）ではこの現象の特徴的な挙動に関する実験結果を紹介する．そして現象を金属ナノ粒子及びシリカガラスの固体電子系と高速重イオンとの“衝突”という観点から解釈し，引き続き起こる固体電子系の励起，格子系へのエネルギー伝達，金属ナノ粒子の融解や気化などを考察する．  1．前夜 －イオン注入による透明固体中への“球形”金属ナノ粒子の形成－ 酸化物などの透明固体中に分散させた金属ナノ粒子は表面プラズモン共鳴（SPR）効果によりナノサイズ領域での光電場増強が起こり，有望な光非線形媒質，光で光を制御する光スイッチなどへの展開が提案されてきた． そのため，1980 年代後半～2000 年代にかけて，数十 keV から数 MeV のエネルギーで金属イオンを SiO2や Al2O3をはじめとした透明酸化物固体などに，固溶限界を超えて多量に注入し，ナノ粒子を形成させる研究が多数行われた[1]．（なお 2010年代以降は当該分野の研究者数は減った印象だが，確実に重要な進展（例えば Ref. [2]）が得られているように思う．）イオン注入法によるナノ粒子形成の原理は極めてシンプルで，あまり高くない数十 keV から数 MeV のエネルギーの金属イオンを，極めて高いフルエンス 1016～1017 ions/cm2 まで注入することである．（この程度のフルエンスの注入により，数～数十%の濃度の金属原子が透明酸化物固体中などに導入される．） 注入された金属原子は，低フルエンスでは酸化物中に孤立イオンとして固溶するが，注入原子の濃度が固溶限界を越えると，もはや固溶するよりも凝集してナノ粒子を形成した方がエネルギー的に安定となりナノ粒子が自発的に形成される．言わば，水に塩を少量入れると溶けて塩水になるが，多量に入れると溶けずに塩の塊が析出する現象と似ている．  イオン注入により固体中に原子空孔や格子間原子などの点欠陥が多量に導入されるので，固体中でも凝集するための原子の移動は比較的容易に起こる[1]． なお，イオン注入後に熱処理を行い，注入イオンの熱拡散を増強しナノ粒子の形成を促進することも行われた． このようにして形成されたナノ粒子は原子拡散の結果として凝集するため，ナノ粒子の形状は等方的な形状（球形）に近い形をとることが多い．当時，本解説の著者もイオン注入でナノ粒子を作る研究を行っていたが，イオン注入法で球形以外の形状を持つナノ粒子の形成は非常に困難であると考えていた．  2．高速重イオン照射での楕円変形 イオン注入法では球形に近い形状のナノ粒子しか形成できないと考えられていた中，ブレークスルーとなる研究結果が Phys. Rev. B誌に掲載されたのは 2003 年のことであった[3]．フランスのD’Orleans等が高速重イオン照射で金属ナノ粒子を nano-rod に変形させたのである．（残念ながら本解説の著者がこの論文を知るのに少し時間を要した．） 一般には「高速重イオン」は核子当たりのエネ原子衝突学会誌しょうとつ 第20巻第3号 (2023) 56 ルギーが 1 MeV/u 以上の高エネルギーイオンと定義されることが多いが，ナノ粒子の楕円変形はもう少し低エネルギー，例えば 0.1 MeV/u 程度でも起こる場合があるようなので注意が必要である．このような高エネルギー重イオンでは，固体中でのエネルギー損失はほぼ電子的過程（電子励起衝突，電子的阻止能 Se）によるもので，核的過程（原子弾性衝突，核的阻止能 Sn）によるものがほぼ無視できる（Se ≫ Sn）．例えば後述の図 1 で用いられる 200 MeV ヨウ素イオンをシリカガラス（SiO2，以下シリカと略記）に照射すると，Se = 14.5 keV/nm，Sn = 0.050 keV/nm という値が見積もられ，Se ≫ Sn,の関係が確認できる．なお イオン飛程は21.7 µm という非常に長い値が見積もられ，高速重イオンは試料深部にまで達する． この場合，高速重イオンが衝突する相手はナノ粒子を形成する原子ではなく，電子系である．本現象にはナノ粒子の周りのシリカの寄与も重要なので，ナノ粒子及びシリカからなる固体電子系と高速重イオンとの“衝突”による． D'Orleans等もシリカに 160 keV で Co イオン注入を行い，Co ナノ粒子を形成していた．彼らが注目していた点は，照射時の温度が形成されるナノ粒子の粒形に与える影響であった．イオン注入を行う際のシリカ試料の温度をそれぞれ 77 K, 295 K, 873 K に固定し，Co イオンを 1017 ions/cm2 まで注入すると，先に述べた試料温度に対して平均粒径がそれぞれ 3.5 nm, 4.8 nm, 8 nm の Co ナノ粒子が形成された[4]．試料温度が高いと注入イオンの拡散が促進され，より凝集が起こりやすくなるためだと解釈される．  D'Orleans らは 873 K の場合に形成した大きなCo ナノ粒子に対して高速重イオン照射（200 MeVヨウ素イ オ ン 照 射 ） をフル エ ン ス 1011〜1014 ions/cm2 の範囲で行った[3]．観測された断面透過電子顕微鏡（TEM）像を図 1 に示す[3]．(a)はフルエンス 1013 ions/cm2 の場合で，拡大図に示され 図 1: シリカ中に埋め込まれた Coナノ粒子に対して 200 MeVのヨウ素イオンを照射した場合の断面TEM像．フルエンスが(a)1013，(b)1014 ions/cm2の場合．各図に示した矢印の方向からイオン照射が行われている．（Reproduced with permission from [3]. ©(2003) American Physical Society）  図 2: 電子線描画法でシリカ中に等間隔で形成された Auナノ粒子を 92 MeV Xeイオン照射し，その変形を高角度環状暗視野（HAADF）TEMで観察した．垂直入射の場合，(b)概念図, (c)–(f)フルエンス増加に対するHAADF像の変化．(g), (h)45度入射の場合．（Reproduced with permission from [5]. ©(2016) The authors） 原子衝突学会誌しょうとつ 第20巻第3号 (2023) 57 るように照射前は球形であったナノ粒子がレモン形に変形し，楕円変形が既に始まっていることを示唆している．(b)は 1014 ions/cm2 の場合で，顕著な楕円変形が既に進行したため，ナノ粒子と呼ぶよりも同じ方向（高速重イオンの方向）に伸びたナノロッド（ナノ棒）と呼ぶべき形状に変化している． 図１は現象の発見という歴史的意味を持つが，(b)の変形イメージが分かりにくいかもしれないので別の例を図 2 に示す．これは Au ナノ粒子を電子線描画法により等間隔に作製したもので，フルエンスの増加による楕円変形がより明瞭に観察される[5]．図 2 の TEM 観察では走査型高角度環状暗視野（HAADF）法という手法を使っているが，電子線の干渉による artifact が避けられる． 既に D'Orleans 等が現象を発見した最初の論文[3]で指摘しているように，ナノ粒子の楕円変形が起こるためには“最小楕円化径”と呼ぶべき閾値があり，それよりも大きな直径を持つナノ粒子だけが楕円変形を起こし，小さな粒子は球形のままであった． その後の研究から，これを拡張した概念が（照射により）回転楕円体に変形した粒子にも適用でき，この場合は楕円変形がさらに進行するためには“短径”に閾値があり，閾値以下では更なる楕円化は進行しないようである．  3．最小楕円化短径 Giulian 等[6]はシリカに対して，Pt イオンを 3.5〜5.6 MeV の範囲のいくつかの単色エネルギーでイオン注入し，各フルエンスを調節することにより，深さ方向にほぼ一様なイオン濃度分布を達成した．そしてフォーミングガス（5%-H2 /Ar）中で熱処理することにより広いサイズ分布をもった Pt ナノ粒子を作製し，185 MeV Au イオン照射を 5 つのフルエンスで行った．（図 3（左）に ◇:未照射, △: 2 ´ 1013, 〇: 1 ´ 1014, □: 2 ´ 1014, ▷: 6 ´ 1014 ions/cm2 で示す）．そして TEM で観察した広いサイズ分布をもつナノ粒子の 1個 1個について長径Dmajorと短径Dminorを測定し，図の横軸と縦軸に対して統計処理した長径と短径をプロットしたものが図 3（左）である． 照射前のデータ（◇）は長径も短径も同じはずなので，図では Dminor = Dmajor の傾き 1 の斜めの直線上に乗る．（図では横軸と縦軸のスケールが異なることに注意．）照射が始まった場合，同じ短径の値に注目すると，照射前よりも長径の値が大きくなった場所にデータ点が移動する．つまり楕円変形が起こり，長径が伸びた．（正確に言うと，楕円変形に対してナノ粒子の体積は“ほぼ”保存されるため，長径が伸びると短径も減少する．しかし短径は長径の −1/2乗で変化するので依存性は長径より弱い．） さらに照射が続くと，短径が 6.5 nm よりも大きな粒子はより大きな長径まで達するが，6.5 nm よりも小さな粒子はフルエンスを増やしても常に長径=短径 （ 球形） の関係を保持している．これはD’Orleans 等が本現象発見の論文[3]で指摘した最小楕円化直径の存在を強く支持する結果であ 図 3: シリカ中の Ptナノ粒子に対して高速 Auイオンを 185 MeV固定で 5つのフルエンスで照射した場合（左），27, 55, 90, 185 MeV で飽和が達成されたフルエンスで照射の場合（右）．それぞれの条件においてTEM 観察で広いサイズ分布を示す各ナノ粒子の形状を観察し，横軸に長径，縦軸に短径をプロットしたもの．（Reproduced with permission from [6]. ©(2008) American Physical Society） 原子衝突学会誌しょうとつ 第20巻第3号 (2023) 58 るが，それ以上の意味を持つ． フルエンスを 2 ´ 1014 ions/cm2 まで上げると，長径は様々な値を持つが，短径はほぼ一定の閾値6.5 nm に近い値を示す．さらにフルエンスを増やしても短径はさらに小さくなることはない．ナノ粒子は高速重イオン照射されても“おおよそ”体積保存則を満たすので，短径が減少しなければ長径を伸ばすことができない．つまり楕円変形の飽和が起こる．以上のことから，楕円変形のサイズに関する閾値は照射前の粒子が楕円変形を起こすかどうかということだけに留まらず，楕円化したナノ粒子が更なる楕円化を起こすかどうかという短径サイズを規定するものであり，“最小楕円化短径dmin”とでも呼ぶべきものである． 図 3（右）は異なる 4 つのエネルギーの Au イオン照射に対して，短径の飽和を起こした高フルエンスでの分布を示す．27, 55, 89, 185 MeV に対して最小楕円化短径 dmin は 4.3, 5.2, 5.4, 6.5 nm を示し，高エネルギーほど大きい．つまり，より小さなナノ粒子まで楕円変形させたい場合は低エネルギーの高速重イオンを用いた方がいいということである．その分，同じ程度の変形を起こすためには高いフルエンスが必要となる． シリカに高速重イオンを照射すると，イオンの飛程に沿って直径数 nm の円筒形の損傷領域が形成され，イオントラックと呼ばれている[7]．Pt のような高融点金属のナノ粒子を除くと，最小楕円化短径dminは同照射条件でのシリカ中でのイオントラックの径に近いことが知られている．（Pt のような高融点金属では最小楕円化短径 dmin はイオントラック径よりも若干小さい[8]．） イオン注入法で作るナノ粒子はブロードなサイズ分布を持つが，Giulian 等の実験はその点を逆手に取るものであった．一方，Rizza 等は湿式化学的手法でサイズが非常に揃った言わば“単一サイズ”の Au 及び Au-Ag合金ナノ粒子を準備した．それらを SiO2 上に分散させた後，さらにその上に SiO2 を堆積させ，埋め込まれた単分散金属ナノ粒子を準備し，照射を行った[9]．この場合，埋め込み深さは各粒子で一定で，なお且つ粒径もほぼ一定である． 彼らも，フルエンス 2 ´ 1014 ions/cm2 付近で短径減少の飽和を TEM 観察により確認した．さらに短径が飽和したナノロッド（ナノ粒子）において，ロッドの断裂を観測した．彼らは短径が飽和値に近づいて細くなると不安定化し，断裂が起こると考えた．断裂機構として Rayleigh 不安定性を提案し，最小幅を計算したところ，15 nm という値を得たが実験結果は 8 nm であり，彼らは不満足な結果として解釈している[9]．  4．“真空中のナノ粒子”モデル なぜナノ粒子の短径が“最小楕円化短径 dmin”で飽和するのかを示すモデルを紹介したい．実はこのモデルは問題がいくつかあり，定量的な計算値も実測とあまり一致がよくないが，高速重イオンとの衝突によるナノ粒子の電子励起と，その後に引き起こされるナノ粒子を構成する原子系のエネルギー増加を考える第一歩になるであろう： このモデルでは，イオンはナノ粒子にだけエネルギー付与を行い，媒質へのエネルギー付与は無視する．さらにナノ粒子がイオンから受け取ったエネルギーは周りの媒質には伝わらないとする．あたかもナノ粒子が真空中にあるようなモデルなので，我々は“真空中のナノ粒子”モデル[10]と皮肉を込めて呼んだが，この名称は一般には受け入れられていないようだ．実はここで無視したナノ粒子と媒質との相互作用が重要になる場合もあるようだ． 図 4 は楕円変形したナノ粒子の長径を含む断面を模式的に描いたものである．中心軸（長径）から距離 r（< Rminor）の部分を高速重イオンが長径に平行に通過したとする．この場合，イオンが楕円ナノ粒子中を通過する距離 L は三平方の定理から以下で与えられる．  図 4: 模式的に示した楕円変形したナノ粒子のイオン飛程に沿った断面．4 節の計算の説明に使用する．SHI は高速重イオンを意味する.他は本文を参照．（Reproduced with permission from [10]. ©(2020) Springer Nature Singapore） prolate NP2RMajor2RminorE E - DESHILｒ原子衝突学会誌しょうとつ 第20巻第3号 (2023) 59 𝐿(𝑟) = 2𝑅Major)1 − ,!"minor-#             (1) イオンがランダムな r の値で飛来すると，イオンが平均として通過するナノ粒子の厚さ Lmean は， 𝐿mean =∫ ∫ %(!)!(!()!"#$minor#∫ ∫ !(!()!"#$minor#= *+𝑅Major       (2) イオンの入射面（ナノ粒子の長径に垂直な半径Rminor の円）に対する積分（期待値）で与えられる．θはこの円での積分のための角度である．長径を通過する場合で Lmax = 2Rmajor なので，平均通過距離 Lmean はこの最大値の 2/3 になる. イオンが長径方向からランダムに入射して楕円ナノ粒子を通過する場合，1 個のイオンがナノ粒子の電子系に与える平均のエネルギーEemean は，    Eemean = Lmean ,(,(--./0= *+𝑅MajorSeNP        (3) ただし，SeNP はナノ粒子を構成する金属の電子的阻止能であり，バルク値を用いる．実はあくまでもEemean は電子系に与えられるエネルギーで，電子格子相互作用の結果，ナノ粒子を構成する格子系に与えられるエネルギーELmean とは一般には等しくないことが，5 節の電子励起熱スパイクモデルの部分で明らかになる．それらを等しいとおいてしまうのがこのモデルの斬新な部分でもあり，問題点でもある． このイオンから付与されたエネルギーEemean がナノ粒子を構成する原子に等しく分配されると仮定する．長半径 RMajor，短半径 Rminor の楕円体の体積 V，単元素ナノ粒子中での原子の数密度を nとすると，ナノ粒子に含まれる原子数は N = nV,        𝑉  =   *1+𝑅Major𝑅minor#                      (4) なので，ナノ粒子を構成する原子 1 個当たりに分配されるエネルギーは， Eemean/N = 2%&'314"minor!                       (5) で与えられる． ここで熱スパイク的考え方を導入すると，原子 1個当たりのエネルギーはナノ粒子の温度と密接な関係にある．イオンがナノ粒子を 1回通過するとナノ粒子が加熱されるが，加熱されて到達する温度は(5)式より，長半径 RMajor に依存せず，短半径Rminoｒだけで決定される．さらに分母に Rminoｒがあるため，同じエネルギーのイオンで照射されても，小さなナノ粒子ほど高温になる． この考え方に基づいて図 3（左）を見直してみよう．まず短径が最小楕円化短径 dmin より大きな粒子に注目しよう．楕円化が起こり，長径が伸びるとともに短径は小さい方へシフトする．1 回のイオン衝突で加熱されて達する最高温度は短径の減少（つまり楕円化の進行）とともに上昇する． （なお，実験で用いているイオン束は充分に低く，一度イオンと衝突したナノ粒子が次に衝突するまでに充分時間が空くので，ナノ粒子の温度は衝突を受ける前の初期値に戻っていると考える．） 高いフルエンスでは多くのナノ粒子の短径がdmin に揃う．この場合，ナノ粒子の長径はいろいろな値を持つが，短径が一定の値のため，ナノ粒子は同じ温度を持つ．（式(5)からの帰結）．これより小さな短径（つまりこれより高いナノ粒子の温度）は観測されず，たぶんこれより短い短径になると（高い温度になると）ナノ粒子は壊れてしまうのではないか？そうするとこの dmin に対応する温度はナノ粒子の融点とか沸点である可能性が考えられる．実際，式(5)で対応する温度を算出してみると，厳密ではなく，おおよそであるが，ナノ粒子の沸点に対応した．つまり偶然に最小楕円化短径 dminよりも細い楕円ナノ粒子ができると，次のイオンとの衝突で沸点を越えた温度に加熱され，ナノ粒子は気化して媒質中へ固溶，そして再凝縮して小さな球形ナノ粒子に生まれかわるかもしれない．また気化して媒質に固溶した金属原子は，既に存在する楕円ナノ粒子に吸収されるかもしれない． それでは図 3（左）の左端で，直径が dmin 以下で球形を保っている小さなナノ粒子はどう解釈されるであろうか？これらの dmin よりも小さなナノ粒子は次のイオンとの衝突で沸点を越える温度まで加熱され，確実に気化を起こす．その後媒質に固溶するかもしれないが，冷却過程で再凝集をして小さな球形ナノ粒子に逆戻りするかもしれない．dmin よりも小さなナノ粒子は楕円変形を起こさないため，安定な存在だと思われがちであるが，次にイオンの一撃を受けると気化し，運が良ければ再原子衝突学会誌しょうとつ 第20巻第3号 (2023) 60 凝集してまた小さな球形ナノ粒子に戻る極めて不安定な存在である．  5．電子励起（非弾性）熱スパイクモデル 繰り返すが，固体中での高速重イオンは 10 keV/nm程度またはそれ以上の大きな電子的阻止能 Se を受け，核的阻止能 Sn は Se に比べると無視できるほどに小さい．すなわち高速重イオンは大きな Se を介して専ら固体電子系を励起し，Sn は小さいため，高速重イオンは固体格子系を直接的には励起しない．最終的には固体格子系も強く励起されるわけであるが，これはイオンからのエネルギー付与がほぼ全て電子系に流れ込んだ後，電子格子相互作用を介して格子系に伝わった結果である．そのためエネルギー移動の途中の過程において，電子系の平均エネルギー（温度）と格子系の平均エネルギー（温度）は異なるものになる．（実際，本解説で扱う SiO2 は非晶質なので格子という表現は正しくない．しかし固体原子系という呼び方も気持ちが悪い．個人的には電子格子相互作用という言い方がしっくりくるので“格子”という言葉を本解説では使用する．） もちろん高速重イオンから固体へのエネルギー流入は非平衡過程であり，厳密な意味では温度は定義できない．しかし平衡状態に近い非平衡状態を扱う手法として，部分毎に異なる温度を定義する手法がある．電子励起熱スパイク（通常は非弾性熱スパイクと訳されることが多いが，本稿では電子励起を強調してこのように訳してみた）（i-TS: inelastic thermal spike）モデル[11]も同様の手法であり，固体を異なる温度を持つ電子系と格子系に分け，その時間発展を式(6)，(7)に示す連立熱拡散方程式で記述するものである．  𝐶.(𝑇.)56%57= ∇ ∙ (𝐾.(𝑇.)∇𝑇.) − 𝑔(𝑇. − 𝑇8) + 𝐴  (6) 𝐶8(𝑇8)56(57= ∇ ∙ (𝐾8(𝑇8)∇𝑇8) + 𝑔(𝑇. − 𝑇8)  (7)  ここで下付き文字 e と L は電子系，格子系を意味し，C，K，T はそれぞれの系の比熱，熱伝導度，温度を意味する．両式の左辺と右辺第1項はそれぞれの系での熱拡散を記述する．式(6)の右辺第3項 A は高速重イオンから電子系へのエネルギー付与を示す項である．式(7)の右辺に示すように，高速重イオンから直接格子系へのエネルギー付与を表す項は存在しない．  電子励起熱スパイクは非弾性熱スパイクとも呼ばれるが，イオンの電子励起効果による熱スパイクである．一方，弾性熱スパイクという現象が比較的低エネルギー域で起こることが知られており，この場合はイオンの弾性衝突により熱スパイクが起こる現象である[12]． 式(6)，(7)の右辺第 2項の g は電子格子結合係数と呼ばれる．電子温度と格子温度の差に比例したエネルギーが電子系から格子系に流れ，両者を等しくして熱平衡に近づける効果をもつ． 各パラメータの温度依存性も考慮して，これらの式は数値的に解かれる．例として，SiO2 と Au のそれぞれバルク試料に 110 MeV の Br イオンを照射した場合の Awazu等の計算結果を図 5 に示す[13]．（なお，この計算結果に用いた数値については後に Dufour 等により批判されている[14]が，定性的には正しいと思われるので紹介する．）Au と SiO2 はナノ粒子楕円変形の金属ナノ粒子と媒質としてよく使われるので，それらがバルクの場合の挙動の理解は重要である． 図5の計算は式(6)，(7)を使っているが，試料がバルクのため，空間的には 1次元方向を計算するだけで済む．高速重イオンの Seはバルク試料のため，深さ z 方向依存性は nm スケールではほぼ一定と考えてよい．残る x, y 方向もバルクで空間的に等方的なので，結局 x 方向の 1 次元だけの時間発展を計算すればよい． 図 5(a)，(c)は SiO2と Auバルクでの電子温度の時間変化である．イオンの飛跡から 1 nm 離れた場所での温度変化に注目すると，両者とも 2 ´ 10- 15秒付近で電子温度が〜50,000 K というピーク値に達するが，その後の挙動は両者で異なってくる．SiO2 では比較的スムーズに電子温度は減少するが，Au では長い時間まで高い温度が保持される．この違いは格子温度の変化をみるとよく理解できる．SiO2 の r = 1 nm（図 5(b)）の位置での格子温度は 10-13秒に 3000 K を越えるピークを示すが，Au の場合（図 5(d)）ではなかなか格子温度が上がらず，10-12秒になってやっと340 Kに達する．つまり 40 K しか照射前温度 300 K から上昇して原子衝突学会誌しょうとつ 第20巻第3号 (2023) 61 いない． この違いは電子格子結合係数 g の違いとして理解される．g値は SiO2 と Au に対して 3.2 ´ 1013 と2.3 ´ 1010 Wcm-3K-1 という値が報告されている[14]．SiO2 での g値は Au での値の 1000倍も大きいである．図 5 から分かることは SiO2も Auも電子温度は同様に上昇するが，SiO2は大きな g値を持つので高い電子温度は格子を加熱することに費やされ減少していく．一方，Au では g値が小さいので高い電子温度は格子温度に変換されず保持され，長い時間にわたって，そして広い空間にわたって電子温度の高温状態が保持される．図 5(c)に示されるように，Au の場合は r = 100 nm のところでも10-12秒後に 1000 K の電子温度が伝達される． Au が SiO2 中でナノ粒子を形成した場合，この極端に異なる g値の組み合わせが，バルク単体とはだいぶ異なる温度変化を引き起こす．図 6 にDufour等が計算した SiO2 中に埋め込んだに Auナノ粒子に高速重イオンを衝突させた場合の電子及び格子温度の時間発展を示す[14]．彼らは 2次元および 3次元のモデルの両方とも計算しているが，2 次元の方が分かりやすいのでそちらを示す．図 6(a)，(b)の縦軸の −10 nm から 10 nm の範囲が Au ナノ粒子に相当し，その外側が SiO2 である．横軸はイオン衝突後の時間を対数表示している．(a) ，(b)はそれぞれ電子および格子温度の分布である． 最初に図 6(a)の中心 0 nm の部分にイオンが衝突し，黄色で示された高温の電子温度領域が時間の経過とともに広がっていく．1 ´ 10-15 秒付近で電子温度の高温域がナノ粒子の端まで到達するが，その外の SiO2 の領域への伝搬は緩慢になる．電子熱伝導度が Au に比べ SiO2中では極端に小さいため，このような挙動が起こるのであろう．（Au 図 5: 110 MeV Brイオン照射したシリカ(a)(b)およびバルク Au (c)(d)の電子温度および格子温度の時間発展を電子励起熱スパイクモデルで計算したもの．それぞれイオン通過位置から 1, 3.5, 6.5, 10, 20, 100 nm離れた場所での変化を示す．（Reproduced with permission from [13]. ©(2008) American Physical Society） (a)(b)(c)(d)原子衝突学会誌しょうとつ 第20巻第3号 (2023) 62 ナノ粒子から SiO2 へのエネルギー伝達に関する障壁の効果については，後に Helsinki グループによって議論されており[15]，障壁は存在するようであるが，このモデルでは考慮されていない．）電子熱伝導度が Au と SiO2 では極端に異なるため，Au の端までは迅速に加熱されるが，SiO2内では緩慢なため，あたかも高温の電子の多くは Au ナノ粒子に閉じ込められ，少数の高温電子のみがSiO2 に滲みだしているようにも見えるのであろう． 図 6(b)の格子温度に目を移すと，Au ナノ粒子内部の電子温度は高温になっているのにも関わらず，格子温度は少なくとも 1 ´ 10-13 秒付近まではほぼ加熱されていない．これは Au の電子格子結合 g が極めて小さいためである．1 ´ 10-13 秒付近を越えると格子温度の上昇が始まるが，これはナノ粒子と SiO2 媒質の境界付近，正確に言うと境界より少し外側で起こる．Au ナノ粒子内の高い温度を持った電子の一部が粒子・媒質の境界を滲みだし，SiO2 媒質の大きな電子格子結合 g を利用して，格子温度を増加させることとなる．高温領域はナノ粒子の内部と SiO2 の外側の両方向に広がっていく．この計算では直径 20 nm と比較的小さめのナノ粒子を使っているため，境界面で始まった格子温度の高温領域がナノ粒子の中心部まで達し，中心でも融解温度を越える．しかしこれが倍の直径 40 nm程度になると，境界面での加熱がナノ粒子中心部にまで充分に到達せず，中心部は融解せずに周りだけが融解するような計算結果も報告されている．対応して，粒径の増加とともに急に楕円変形の効率が落ちること（図 7 の初期直径 40 nm の場合，図 8 の 30 nm を越えた領域）も実験から報告されており，中心部で融解しない領域が発生することとの関連性が示唆されているが，この点は次節で取り上げる．  6．楕円変形の初期粒子サイズ依存性 繰り返しになるが，Rizza らは，湿式化学的手法で作製した粒径のバラツキが非常に少ない“単一サイズ”の球形 Auナノ粒子を用いて，粒子を SiO2上に分散させ，さらにその上に SiO2 を堆積させ，埋め込まれた単分散の Au ナノ粒子試料を作製した．さらにナノ粒子の直径が 18〜94 nm の範囲で異なる試料を準備し，高速重イオン照射を行った後に TEM 観察を行った[16]． 図 7に観察結果を示す.初期直径 18〜94 nmの6 種類のほぼ球形のナノ粒子が一番上の段に示されている．（二段目はそのうち 24, 56, 94 nm の試料に対しては 4 MeV Au イオン照射を行い，球形のナノ粒子の周りにサテライト状の小さなナノ粒子を作ったものである．彼らはサテライトナノ粒子形成について以前に研究していた[17]ので，こういった手法を取ったと思われるが，本筋ではないので初学者は無視されてよいと思う．）三，四段目は74 MeV Kr イオンをそれぞれ，中フルエンス 1 ´ 1014, 高フルエンス 5 ´ 1014 ions/cm2 で照射した後の形状を示す．初期直径が 18 及び 24 nm の試料では，中フルエンスで球形粒子は棒状に変化し，高フルエンスでさらに伸びる．初期直径が 40 nmになると，中フルエンスでは変形が明瞭ではなくなる．高フルエンスではビーム方向に伸びているのではあるが，ファセット粒子と呼ばれる新しい形 図 6: シリカ中に埋め込まれた直径 20 nmのAuナノ粒子に対して高速重イオンを照射した場合の(a)電子温度及び(b)格子温度の時間発展．説明の簡便性のため，2次元的なナノ粒子を仮定． （Reproduced with permission from [14]. ©(2012) IOP） 原子衝突学会誌しょうとつ 第20巻第3号 (2023) 63 態を示す． 図 6 で示したように，高速重イオンによるナノ粒子の加熱は周りの SiO2 との界面で起こる．初期直径が 18 nm や 24 nm と小さいナノ粒子では界面での加熱は粒子中心部まで到達し，ナノ粒子全体が融解し大きな変形を起こす．しかし初期直径が40–56 nm と大きくなると，粒子中心部分は融解することができず，周りの部分のみが溶けてファセット粒子のような形態を示すと考えられる．さらに初期直径が大きくなると，融解が粒子表面層に限定され，最終的には融解が起こらなくなる．そのため大きな粒子では楕円変形は起こらなくなる． 図 8 は，図 7 の結果などをまとめたもので，さまざまな初期直径のナノ粒子に対して，最大フルエンス 5 ´ 1014 ions/cm2 まで照射した場合に達成されたビーム方向の長さ LMax を照射前の直径 Do で規格化してプロットしたものである[16]．最大フルエンスで達成される長径の長さ（最大長径）LMaxは初期直径を 10 nm から 30 nm まで増加させると急激に増加する．しかしそれ以上では減少に転じ，「70 nm 以上では楕円変形が起こっているかどうかは明瞭ではない」と Rizza等は論文本文に書いている[16]．おそらく図 7 の初期直径 56 nm の変形している結果を根拠にしているのだと思うが，むしろ図 8 は統計的処理がされているようなので，図 8をベースに議論すべきだと思う．つまり，「56 nm以上で楕円変形が起こっているかどうかは明瞭でない」と書くべきだと思う．図 7 の 56 nm径の結果はたまたま例外的に変形したとすべきではないであろうか．TEM は平均化された結果ではなく局所構造を観察するため，極まれにしか起こらない構造を平均的構造と見誤る恐れがある． 初期直径 30 nm位までは粒子全体が融解するが，それを越えると中心部が融解しなくなることが 図 8: 照射前の直径 Doで規格化した最大長径（5 ´ 1014 ions/cm2での値）の照射前直径Do依存性．（Reproduced with permission from [16]. ©(2012) American Physical Society）  図 7: 照射前の直径が 18〜94 nmの単一サイズの SiO2中の Auナノ粒子に対して，74 MeV Krイオンを未照射, 1 ´ 1014, 5 ´ 1014 ions/cm2まで照射した場合の TEM像．試料(b), (d), (f)については Krイオン照射前に 4 MeV Auイオンを 5 ´ 1015 ions/cm2まで照射してサテライトナノ粒子を作っている．図中のスケールバーは 20 nmである．（Reproduced with permission from [16]. ©(2012) American Physical Society）  原子衝突学会誌しょうとつ 第20巻第3号 (2023) 64 3 次元電子励起熱スパイク計算[16]から示唆されている．また 30 nm 以上で楕円変形の効率も低くなるようである． なお，サテライトナノ粒子は直径がどれも 10 nmより遥かに小さく，照射しても球形を保持している．これは図 3 で示したように最小楕円化直径 dmin よりも小さなナノ粒子は楕円変形しないことから説明される．dmin よりも大きなナノ粒子は照射により長径が伸び，粒子の体積保存から短径が縮む．そして短径が dmin になると更なる変形は起こらなくなる．照射前の球形ナノ粒子の直径を Do とし，飽和するまで変形したナノロッドを直径 dmin，長さ LMaxの円柱だと仮定し，変形しても両者の体積が保存されるとして，  *1+,9)#-+= 𝜋 ,(min#-# 𝐿Max             (8) この式を変形すると， %Max9)=  #+((min)! 𝐷=#                       (9) となり，変形が飽和するまで進行している場合は図 7 の縦軸の量が横軸の量（照射前の直径）の二乗に比例することとなるが，図 8 の点線がまさにその依存性を示す．照射前の直径 10〜30 nm の試料では 5 ´ 1014 ions/cm2 の照射により飽和状態に達するほどの変形が起こっており，ロッド径は最小楕円化短径 dmin に達しているようだ．  7．楕円変形を起こす粒子種と媒質種 D’Orleans 等による発見から今日まで，本現象は上記以外のナノ粒子や媒質固体の組み合わせについても調べられてきた．ナノ粒子の種類としては単元素金属が中心で，おそらく本現象について発表された論文のうちの半分以上が Au ナノ粒子に関するものだと思われる．Au が化学的に不活性で安定であること，また表面プラズモン応用の可能性等が理由かもしれない．本現象の観測された単元素金属種は著者の知る限りでは，V, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ag, Sn, Pt, Au, Pb, Bi である．以上の Fe[18]以外の単元素及び合金ナノ粒子の文献情報は拙著[19]の Introduction に記載してある．これら以外の単元素金属ナノ粒子は楕円変形を起こさないという意味ではなく，これ以外は試みられていないというのが本当のところだと思われる． ナノ粒子の融解が楕円変形の起源であれば，融点の低い金属種のナノ粒子の方が大きな変形を起こすように思われる．実際，融点の比較的低い Zn ナノ粒子（バルク融点 419.58 ℃）と V ナノ粒子（1910 ℃）を同一条件で照射してみた[20]が，多少の差はあるものの極端なものではなかった．既に述べたように，高速重イオンはまず電子系を励起するので，金属種により電子系の励起のされ方の違い，電子格子結合係数の違いなども効いており，単純に融点だけで議論できるものではないようである． その他，固溶体合金 Au1-xAgx，規則合金 FePtでも楕円変形が報告されている [19]．さらに金属ではないが Ge ナノ粒子でも楕円変形が観測されている．とりわけ興味深いのは，平均径 8 nm の小さな Ge ナノ粒子は金属ナノ粒子と同様に，ビーム方向の軸が他の軸より長い“葉巻型”楕円体（主軸 a > b = c）に変形する．一方，平均径 18 nm の中程度のサイズの Ge ナノ粒子はビーム方向の軸が他の軸より短い“パンケーキ型”楕円体（主軸 a < b = c）に変形する．なお，さらに大きな平均径 37 nm の Ge ナノ粒子はほぼ変形を起こさなかった[21]．このパンケーキ型変形は，媒質に埋め込まれていないシリカのマイクロ球が示す照射誘起変形[22]と似ており，イオンハンマリング（IH）効果で説明できるかもしれない[23]．IH 効果については次号で言及する予定である．現在のところ，Ge ナノ粒子が粒径に依存して異なる形状の照射誘起変形を引き起こすのかは分かっていない． 化合物ナノ粒子で楕円変形を示したものとしてNiO が報告されている[24]が，拙著[10]では否定的な見解を述べた．確かに NiOナノ粒子だと主張される試料は TEM像では照射による 明瞭な楕円変形を示していたが，照射前及び照射後の磁場-磁化特性が両方とも明瞭な飽和的傾向を示す強磁性的なのである[24]．Ni は室温で強磁性，NiOは反強磁性なので，観測された強磁性的挙動はナノ粒子が NiO ではなく Ni だと説明が付くと著者は考えた．試料の作製段階で NiO が還元され Niになったのか，または高速重イオン照射によるNiO の分解と Ni再凝縮の可能性が否定できないと考えた．しかしその後，NiO ナノ粒子は表面強原子衝突学会誌しょうとつ 第20巻第3号 (2023) 65 磁性により強磁性的な応答を示すこと[25]を知り，否定する根拠が弱まった． 我々はシリカに Zn イオンを大量に注入し，酸素中で熱処理することにより ZnO ナノ粒子を形成した．この場合，表面近傍に大きな ZnO ナノ粒子，イオン飛程付近に小さな ZnO ナノ粒子が形成された．この試料を高速重イオンで照射すると，大きなナノ粒子は変化を起こさないが，小さな ZnOナノ粒子が楕円変形を起こしたように見えた．しかし詳しく調べると，高速重イオン照射により小さなZnO ナノ粒子は分解し酸素が抜け，金属 Zn ナノ粒子が再凝縮し，さらに最小楕円化短径を越える粗大化をしたようである．当然，さらなる照射によりZn ナノ粒子の楕円化が引き起こされたわけである[26]． 一方，媒質固体はシリカ（非晶質 SiO2）を用いた研究が圧倒的に多く，それ以外だと非晶質 SiNなど非晶質材が用いられている．これは一時期，イオンハンマリング（IH）効果が媒質固体を変形させ金属ナノ粒子の楕円変形を引き起こすと考えられた時期があった．IH 効果は非晶質材で起こるため，媒質は非晶質であるべきだという考えが残っているのかもしれない．次回の解説で示すが，このモデルは我々の実験により否定されたと思っている． また，イオン注入でナノ粒子を作る場合は，極めて高いフルエンスまで照射を行う必要がある．照射前は結晶であった試料にイオン注入を行うとナノ粒子ができる頃にはイオン飛程程度の領域は非晶質化してしまうことが多い．Wolf等は LiNbO3に対してイオン注入中の温度を 400 °C に上げ，380 keV の Ag イオンを 1017 ions/cm2 まで注入して Ag ナノ粒子を形成したが，LiNbO3 の結晶性は保持されていた[27]．彼らはこの試料に高速重イオン照射を行い，Ag ナノ粒子の楕円変形を確認している[27]．（しかし次に述べるように高速重イオン照射で LiNbO3 は非晶質化したようだ。） それではイオン注入以外の手法で結晶中に金属ナノ粒子を分散させた試料を準備したらどうであろうか？実は明瞭なナノ粒子の楕円変形を起こすためには，高速重イオンで 1014 ions/cm2 の高いフルエンスで照射する必要がある．この照射により多くの結晶固体が非晶質化してしまう．先ほど紹介した高温イオン注入により結晶性を保った状態で LiNbO3 中に Ag ナノ粒子を作った試料[27]でも，個人的に聞いた話では，高速重イオン照射で非晶質化が起こっているようである． しかし高速重イオン照射によっても非晶質化しない材料もあるので，果たして媒質の非晶質性が楕円変形に不可欠かどうかを答えることができると思っている．実際，我々は平面上に形成した Auナノ粒子の上に ITO（In1-xSnxOy）膜を堆積させ，高速重イオン照射をしたところ，明瞭な Au ナノ粒子の楕円変形が観測された．ITO は照射後も不明瞭ながら XRDピークを示し，結晶媒質中でもナノ粒子の楕円化が起こることを示した例かもしれない[28]．  8．前編のまとめ 前編では高速重イオン照射による金属ナノ粒子の楕円変形現象について紹介し，変形メカニズムを考える上で重要な性質として，最小楕円化短径（つまりそのサイズより楕円ナノ粒子（球形ナノ粒子を特別な場合として含む）の短径（直径）が小さい場合は照射しても更なる楕円変形は起こらない）が存在することを実験的に示した．そして「真空中のナノ粒子」モデルから，高速重イオン照射を受けたナノ粒子を構成する金属原子１個当たりのエネルギーが長径には依存せず，短径にのみ依存することが示された．同じイオン照射を受けても，短い短径のナノ粒子ほど高い格子温度まで加熱されることとなり，最小楕円化短径ではナノ粒子が沸点に達することとなる．つまり最小楕円化短径と同じサイズのナノ粒子では次の照射により沸点に達して，ナノ粒子が分解してしまい，それ以上の楕円化が起こらなくなると考える． ただし，このモデルでは電子励起過程でナノ粒子に堆積されるエネルギーが全て格子系に伝達されるという非現実的な仮定を用いているので，結果の解釈には注意が必要である．一方，電子励起（非弾性）熱スパイクモデルは電子系の励起と格子系の励起を分離しており，この点を考慮している．このモデルからナノ粒子の加熱は粒子と媒質の境界付近で集中的に起こることが分かった． これまで Ge 含め 13 種類の単元素ナノ粒子において本現象は観測されているが，二元素以上原子衝突学会誌しょうとつ 第20巻第3号 (2023) 66 からなるナノ粒子では報告例が非常に少ない．媒質は非晶質シリカが主で，他の媒質でも本現象は確認されているがほとんどが非晶質であるが，結晶で起こらないとは思われない． 後編では楕円化メカニズムのもう一つのモデルであるイオンハンマリング効果について紹介し，実験結果との比較を行う．二温度分子動力学法についても紹介したい．  謝辞 本研究に関して我々が行った実験の大半は日本原子力研究開発機構東海タンデム加速器を用いて行った．関係者に大変感謝する．本研究の一部は，東京大学工学系研究科原子力専攻・日本原子力研究開発機構・量子科学技術研究開発機構施設利用共同研究のもとで，重点連携研究制度（課題番号 H31-1, R4-2）及び一般共同研究（課題番号 22005）によってサポートされた．また科研費 26390032, 18K04898, 22K04990 のサポートも受けている．  参考文献 [1] F. 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