# Fileset

[2024A00827G_組織工学のためのバイオアダプティブ足場材料の開発.pdf](https://mdr.nims.go.jp/filesets/53c5f731-a6ad-4db7-ab5f-332b4771daa6/download)

## Creator

[陳 国平](https://orcid.org/0000-0001-6753-3678), [川添 直輝](https://orcid.org/0000-0003-3916-0709)

## Rights

[In Copyright](http://rightsstatements.org/vocab/InC/1.0/)

## Other metadata

[組織工学のためのバイオアダプティブ足場材料の開発](https://mdr.nims.go.jp/datasets/d24b7fcf-47cc-4f39-b51b-6fcb2d7f418c)

## Fulltext

組織工学のためのバイオアダプティブ足場材料の開発細胞，細胞成長因子，および細胞足場材料を組み合わせて，けがや病気などによって機能が失われてしまった組織を再生する組織工学のアプローチが盛んに行われている．組織工学において，いかにして細胞の機能を制御し，より機能性が高い組織を再生することが非常に重要である．そのために，細胞の機能を受動的に制御することではなく，生体内の微小環境に適応しながら，細胞およびその微小環境との相互作用を通して，機能を発揮できるバイオアダプティブな足場材料が求められる．本稿では，筆者らが開発した，生体内で徐々に分解吸収される多孔質足場材料，細胞微小環境に応じて細胞を放出するためのマイクロカプセル化技術，および細胞外マトリックスリモデリング模倣型足場材料について述べる．キーワード：バイオアダプティブ，細胞足場材料，細胞微小環境， 細胞外マトリックス，間葉系幹細胞陳 国平* Guoping Chen国立研究開発法人物質・材料研究機構   高分子・バイオ材料研究センター 生体組織再生材料グループTissue Regeneration Materials Group, Research Center for Macromolecules and Biomaterials, National Institute for Materials Science川添 直輝 Naoki Kawazoe国立研究開発法人物質・材料研究機構   高分子・バイオ材料研究センター 生体組織再生材料グループTissue Regeneration Materials Group, Research Center for Macromolecules and Biomaterials, National Institute for Materials Scienceはじめにけがや病気などによって，組織が大きく損なわれたり，機能不全に陥ったりした場合，これらをもと通りに修復・再建する組織工学が再生医療の分野で注目されている．組織工学では，細胞の接着，増殖，分化などを制御し，組織再生を誘導するために，細胞の足場の役割を果たす材料（細胞足場材料，以下では単に「足場材料」と記す）が重要である．細胞は，足場材料に接着し，三次元環境で増殖しながらコラーゲンやプロテオグリカンなどからなる細胞外マトリックスを産生し，組織が再生される．足場材料は，細胞の足場として機能することに加え，再生されつつある組織の微小環境にリアルタイムで適応すること，すなわちバイオアダプティブティー1,2）をもつことが望まれる．その中でも，組織再生のプロセスに合わせて，足場材料が分解吸収される性質はきわめて重要である．そのために，多孔質足場材料は生体吸収性の物質（その中でも生体吸収性高分子が用いられることが多い）を原料とする．生体吸収性高分子の分解吸収速度は，分子構造や分子量，結晶化度などに大きく左右される．また多孔質化の方法，気孔率，空孔サイズ，空孔連通性なども足場材料の分解吸収速度に影響する．これらを制御し，目的とする組織の再生に適応するように工夫する必要がある．また，移植細胞をホストの免疫システムから保護するために，細胞を高分子カプセルに内包化することが行われている．患部で細胞を有効に作用させるためには，患部の微小環境に適応し，細胞を放出する材料設計が必要である．生体内に存在する酵素群マトリックスメタロプロテアーゼ（MMP）によって認識切断されるペプチドを用いて細胞を内包すると，内包した細胞をMMP豊富な環境で放出できると考えられる．さらに，組織再生にとって細胞微小環境も重要である．一般に，生体内で組織を構成する細胞は，細胞微小環境に囲まれて存在している．細胞微小環境の主な成分である細胞外マトリックス（ECM）は，プロテオグリカン，グリコサミノグリカン，エラスチンといった糖タンパク質や，コラーゲン，接着因子，増殖因子，サイトカインなどがナノメートルオーダーの組織体からなり，細胞の増殖や分化に必要な環境を提供している．ECMは組織の種類ごとにその組成が異なっていることが知られている．また，幹細胞の分化・発生段階や疾患などよって，ECMは変化し，リモデリングが起こっている． 幹細胞ECMを例に挙げると，幹細胞は幹細胞ECMに取り囲まれており，幹細胞が組織細胞に分化するとき，いくつかの段階を経て最終的に成熟した組織細胞になる．この分化プロセスにおいて，ECMは幹細胞分化および組織発生の段階に応じてダイナミックに変化し，細胞と組織の機能を調節している．このようにECMの組成が，細胞の種類ごとに最適化され，時空間的に調節されている．このことは，細胞がその機能を発現する上で，最適化されたECMを必要とすることを示唆している．したがって，このダイナミックな変化を模倣した足場材料を開発することは非常に重要である．そこで，筆者らは，バイオアダプティブ材料として，いくつかの生体吸収性高分子多孔質足場材料，MMP放出型カプセル化細胞，およびECMリモデリング模倣型多孔質足場材料を開発したので，以下ではそれらについて紹介する．生体吸収性多孔質足場材料足場材料は組織の再生過程で徐々に分解吸収される必要がある．もし，分解吸収されなければ，足場材料自体が組織再生の障害物となってしまうからである．足場材料の原料には生体吸収性の高分子がよく用いられ，生体吸収性高分子は，合成高分子と天然高分子に大別される．生体吸収性合成高分子にはポリグリコール酸（PGA），ポリL-乳酸（PLLA），乳酸とグリコール酸の共重合体(PLGA），ポリ-ε-カプロラクトン(PCL）などがある．これらは加水分解を受けてモノマーに分解された後，細胞に代謝されて最終的には水と二酸化炭素になる．分解吸収速度はPGAが最も早く，PLGA，PLLA，PCLの順になる．これらの組成を制御する ことにより，組織の再生過程で徐々に分解吸収される足場材料を作製することができる．他方，生体吸収性天然高分子の例として，コラーゲン，ゼラチン，キトサン，ヒアルロン酸などが挙げられ，これらは酵素により分解される．生体吸収性高分子を用いた足場材料の作製法はいくつかあるが，ここでは，筆者らが主に用いている方法である，凍結乾燥法と造孔剤溶出法に絞って述べる．凍結乾燥法は，原料高分子の溶液を凍結した後，減圧条件にすることによって溶媒を昇華蒸発させ，多孔構造を形成させる方法である．長所としては，気孔率の高い多孔質体が比較的容易に得られるが，空孔サイズを自在に制御することは難しい．造孔剤溶出法は，造孔剤（犠牲テンプレートともいう）として塩化ナトリウムやショ糖，パラフィンなどの微粒子を足場材料の原料溶液や溶融液に分散させた後，その固化物を適当な溶媒に浸漬することによって造孔剤を溶出し，空孔を形成させる方法である．空孔サイズは造孔剤のサイズによって容易に制御できるという長所がある．その反面，凍結乾燥法に比べ，気孔率の高い多孔質体を得るのは困難であるという短所がある．筆者らは，凍結乾燥法，造孔剤溶出法，それぞれのもつ長所を活かしつつ，短所を相殺する方法を開発した．造孔剤として粒径を制御した氷微粒子を足場材料の原材料に分散させ，これを凍結乾燥すれば，高い気孔率をもち，かつ空孔サイズを制御した足場材料を得られると考えた．筆者らは，氷微粒子を造孔剤として利用し，コラーゲン多孔質足場材料を作製した3,4）．方法を示す．まず，純水を液体窒素中に噴霧し，凍結物をふるいで分けることによって，目的の粒径をもつ氷微粒子を作製した．次に，氷点以下でこの氷微粒子をコラーゲン水溶液に分散させた後，全体を凍結した．これを凍結乾燥すると，氷が除去され，その結果，氷微粒子を反映した空孔が形成され，コラーゲン多孔質体が得られた．最後に，本多孔質体が水に溶解するのを防ぐためにコラーゲン分子を化学的に架橋した．粒経が150～250μmの氷微粒子を造孔剤として作製したコラーゲン多孔質足場材料の走査電子顕微鏡像を図1A に示す．用いた氷微粒子の粒径を反映した空孔が形成され，それらは互いに連通していることが分かった．本コラーゲン多孔質足場材料を用いてウシ関節軟骨細胞を培養すると，連通した空孔を通じて軟骨細胞は足場材料全体に分布し，空孔壁面に接着した．生体外で1 週間培養した後，マウス皮下に8週間埋植して再生した軟骨組織の写真を図1Bに示す．白色の光沢を帯びた軟骨組織を再生することができた．マウスから取り出した埋植物を10%中性緩衝ホルマリン溶液で固定化，パラフィンに包埋し，組織染色用に薄切した．この切片をヘマトキシリン/エオジン（HE），サフラニンＯで染色した．またII型コラーゲンの抗体を用いた免疫染色を行った．HEおよびサフラニンOによる組織染色像（図1C, D）により，再生軟骨組織の軟骨細胞は天然軟骨の細胞と同様の丸い形態を有し，その周りに豊富な軟骨細胞外マトリックスが産生され，良好な軟骨組織が再生されたことが分かった．細胞外マトリックスの産生は免疫染色像からも確認された．図1 粒径150-250 µmの氷微粒子で作製したコラーゲン多孔質足場材料の走査電子顕微鏡像（A），再生されたウシ関節軟骨組織の外観（B），再生軟骨のHE染色像（C），サフラニンO染色像（D）（文献3より転載）．筆者らはまた，氷微粒子を用いた同様の方法で，ゼラチン多孔質足場材料を作製した5）．ゼラチン溶液に対する氷微粒子の割合やゼラチン濃度を変えることにより，多孔質足場材料の多孔質構造と力学的性質を制御することができた．これまで述べた例は，氷微粒子と多孔質足場材料の原料溶液を混合して作製した多孔質足場材料であった．無数の氷微粒子を基板表面に形成させ，これを造孔剤として，そこに多孔質足場材料の原料溶液を重層させれば，外表面にマイクロウェル構造をもつ多孔質足場材料を作製することができる．ここでは，1型糖尿病治療のためのマイクロウェル多孔質コラーゲン多孔質足場材料6,7）について述べる．1型糖尿病では，膵臓の機能不全により膵β細胞からのインスリD50 µmC50 µmBA500 μm 100 μmA Bンの分泌が不十分となる．現在，糖尿病治療のために膵島移植が行われているものの，ドナーから採取した膵島は生体内と同様のスフェロイド構造を保つことは困難で，搬送や培養の過程でスフェロイド構造が崩壊したり，細胞が壊死したりする場合がある．そのため，膵島の機能が極端に低下してしまうという問題が生じる．そこで筆者らは，膵島本来の構造の保持を可能にしている生体内環境に倣い，膵島本来の構造と機能を保持しながら三次元培養が可能な足場材料を開発した．具体的には，膵β細胞のスフェロイド形成とインスリン分泌を促進するために，ゼラチンとPLGAメッシュからなるマイクロウェル多孔質足場材料を作製した．マイクロウェル構造は，氷微粒子を用いて，PLGAメッシュ上に形成させた．マイクロウェルのサイズは，氷微粒子のサイズによって制御することができた．また，マイクロウェルは，高密度の極小空孔に囲まれた凹状の構造を有していた（図2）．図2 マイクロウェル多孔質コラーゲン多孔質足場材料の走査電子顕微鏡像．低倍率像（A），高倍率像（B）（文献7より転載）本マイクロウェル複合多孔質足場材料を用いて，膵β細胞のモデル細胞の一種であるRIN-5F細胞を培養したところ，細胞は高いバイアビリティーを示し，ブドウの房状の集合体を形成した．さらに，本マイクロウェル複合多孔質足場材料で培養したRIN-5F細胞によるインスリンの分泌は，マイクロウェルをもたない多孔質足場材料やポリスチレン細胞培養プレートで培養した場合と比較して促進されることがELISA測定から分かった．以上の結果は，本マイクロウェル複合多孔質足場材料が膵臓β細胞の集合体形成とインスリン分泌を促進することを示唆した．本マイクロウェル複合多孔質足場材料は，1型糖尿病の治療モデルとして高いポテンシャルをもつことが示された．さらに，氷の犠牲テンプレートをライン状，格子状，円状などのマイクロパターン状に描画してこれらを造孔剤として用いれば，上記のマイクロパターン構造を反映した多孔質足場材料を作製することができる．マイクロパターンはコンピュータプログラムでデザイン可能である8）．筆者らは，また，生体吸収性合成高分子と天然高分子を複合化した複合多孔質材料を開発した9）．生体吸収性合成高分子と天然高分子の多孔質足場材料には，それぞれ長所と短所が存在する．合成高分子の多孔質足場材料の長所は，高い力学強度，形状を保持しやすいこと，短所は，表面の水濡れ性が低いこと，細胞接着性に乏しい点である． 天然高分子コラーゲンやゼラチンを用いて作製した多孔質足場材料の長所は，細胞接着性と水濡れ性に優れている点にあるが，短所は，力学強度は低く，形状保持性に劣る点である．そこで筆者らは，合成高分子と天然高分子の両者を複合化した足場材料を開発すれば，生体吸収性合成高分子と天然高分子の長所を活かし，短所を補い合うことができると考えた．ここでは，複合足場材料の例として，PLGAニットメッシュの網目にコラーゲンスポンジを形成したPLGA‐コラーゲン複合メッシュを紹介する（図3A）．作製方法を述べる．まず，PLGAメッシュにコラーゲン水溶液を含浸させた後，凍結乾燥を行うことによって，メッシュの網目部分にコラーゲンマイクロスポンジが形成される．このコラーゲンマイクロスポンジはPLGAメッシュに物理的に絡み付くことによって複合化される．つづいて，コラーゲン分子を化学的に架橋することによって，水に不溶化させる．このようにして得られたPLGA‐コラーゲン複合メッシュでは，合成高分子PLGAの骨格によって，細胞培養および移植時に足場材料の形状が保持され，取り扱いが容易になる．また，PLGAメッシュの網目を利用して縫合糸で患部に縫合固定できるので，損傷部位が広範囲に及ぶ場合の修復に役立つと考えられる．一方，天然高分子コラーゲンスポンジによって，細胞との親和性が高められている．本PLGA‐コラーゲン複合メッシュを用いて皮膚線維芽細胞を培養したところ，細胞は複合メッシュによく接着して増殖し，真皮組織を再生することができた（図3B）．これらの多孔質足場材料を生体に移植すると，移植部位の環境で徐々に分解吸収され，最終的には細胞および細胞によって分泌されるECMからなる組織のみになる．図3   PLGA‐コラーゲン複合メッシュの走査電子顕微鏡像（A）（文献9より転載）．本複合メッシュを用いて皮膚線維芽細胞を培養した（B）.上記のPLGA‐コラーゲン複合メッシュは，PLGAメッシュの網目にコラーゲンマイクロスポンジを形成させたものだが，筆者らは，PLGAメッシュの上にコラーゲンスポンジを形成させたものやPLGAメッシュをコラーゲンスポンジで挟み込んだものも開発した10）．これらの複合多孔質材料は再生したい組織の形状に応じて用いることが可能である．マトリックスメタロプロテアーゼに応答して細胞の放出を制御できるマイクロカプセル異種動物あるいは他人の細胞を患者に移植すると，移植細胞は患者の免疫システムによって攻撃を受け，排除される．この免疫システムから移植細胞を保護する手段として，細胞を半透過性の高分子膜やハイドロゲルで被覆して内包化す図4   マトリックスメタロプロテアーゼで放出制御できる細胞内包化の手順（文献11より転載）.る技術が知られている．このような内包化細胞はホストの免疫システムからの攻撃から保護する一方で，酸素，栄養物質，代謝物質やより小さな生理活性分子を自由に相互拡散させることができる．筆者らは，生きた細胞を単一細胞レベルで高分子カプセルに内包し，高い細胞バイアビリティーを維持しながら，生体内の酵素の作用によって細胞を放出できる方法を開発した11,12）．図4に示すように，まず，単一の間葉系幹細胞を，カチオン性ゼラチン-ポリエチレングリコール-マレイミド（CG-PEG-MAL），アニオン性ゼラチン-ポリエチレングリコール-マレイミド（AG-PEG-MAL）溶液に浸漬した．その後，システイン末端ペプチド配列(CGGPLGLAGGC）を導入し，システインのチオール基とPEG‐ゼラチン分子上のマレイミド（MAL）基のクリック反応によって上記のPEGゼラチン層を連結した．ここで，上記ペプチド鎖は酵素MMP-7感受性であり，高濃度のMMP-7に曝露すると酵素分解によって切断される．この方法で内包したヒト骨髄由来の間葉系幹細胞（図5）は高いバイアビリティーを示し，物理的ストレスに耐えることができた．また，カプセル化シェルはカプセル化持続期間が長く，カプセル外部からの物質侵入を効果的に防ぐことができた．さらに，ヒトマトリックスメタロプロテアーゼ7(MMP-7）によるカプセル化シェルの酵素分解を介して，細胞をin situで放出することができた．放出された間葉系幹細胞は高いバイアビリティーをもち，幹細胞性を保持することもできた．図5 内包化したヒト骨髄由来間葉系幹細胞の蛍光顕微鏡像．緑色蛍光はポリマーシェル，青色蛍光は細胞核を表す．低倍率像（A），高倍率像（B）（文献11より転載）.細胞外マトリックスリモデリング模倣型多孔質足場材料組織や臓器から細胞成分のみを取り除いた細胞外マトリックス，すなわち脱細胞ECMが組織工学に用いられている． 組織や臓器から得た脱細胞ECMは生体内のECMの成分と構造を模倣できるが，幹細胞の分化および組織発生の過程でダイナミックに変化するECMを模倣することはできない．そこで筆者らは，PLGA‐コラーゲン複合メッシュを支持体として用い，幹細胞の分化段階で分泌するECMを沈着させることで，ダイナミックに変化するECMを模倣したECMリモデリング模倣型多孔質足場材料を開発した．骨分化における段階的なECMを模倣するECMリモデリング模倣型多孔質足場材料13）を例として，その作製方法を述べる（図6）．まず，hMSCsをPLGA‐コラーゲン複合メッシュ  decellularizationhMSCs/PLGA-collagenconstructSCdecellularizationEOdecellularizationA B C200 μm 200 μm 200 μmPLGA-collagen composite meshLOStem cell (SC) stage of hMSCsEarly osteogenesis (EO) stage of hMSCs Late osteogenesis (LO) stage of hMSCsLO-ECM骨分化初期ECMを沈着させたPLGA‐コラーゲン複合メッシュはhMSCsの骨分化を促進した．他方，幹細胞および骨分化後期ECMを沈着させたPLGA‐コラーゲン複合メッシュには骨分化を促進する効果を示さなかった．また，上記と同様の方法を用いて，幹細胞由来ECM，脂肪分化初期段階ECM，および脂肪分化後期段階ECMを模倣したECMリモデリング模倣型多孔質足場材料を作製した14）．脂肪分化初期段階ECMを沈着させた複合メッシュがhMSCsの脂肪分化を最もよく促進し，次いで分化後期段階ECMを模倣した複合メッシュも脂肪分化促進効果を示した．一方，幹細胞由来ECMを沈着させた複合メッシュは脂肪分化促進効果を示さなかった．さらに，骨・脂肪同時分化段階ECMを模倣したECMリモデリング模倣型多孔質足場材料を作製した15）．PLGA ‐コラーゲン複合メッシュでhMSCsを培養し，分化誘導するとき，図6   幹細胞由来ECM（SC），骨分化初期段階ECM（EO），および骨分化後期段階ECM（LO）を模倣した骨分化模倣型多孔質足場材料の作製方法（文献13より転載）．に播種した後，段階的に骨細胞に分化誘導した．PLGA ‐コラーゲン複合メッシュには，培養の過程で細胞によって産生されるECMが沈着する．培地組成と培養時間を最適化することによって，hMSCsを未分化，骨分化初期，および骨分化後期の各段階に制御した．つづいて，上記培養物の凍結融解を繰り返した後，水酸化アンモニア希薄溶液に浸漬することにより，脱細胞化を行い，細胞外マトリックスが沈着した未分化，骨分化初期，および骨分化後期のPLGA‐コラーゲン複合メッシュを得た．これらを走査電子顕微鏡で観察したところ，未分化，骨分化初期，分化後期のECMが沈着したPLGA ‐コラーゲン複合メッシュは互いに類似した多孔質構造を示した（図7）．また，その組成を分析したところ，組成はhMSCsの分化段階で異なっていた．すなわち，脱細胞化後のマトリックスを抗タイプIコラーゲン抗体，抗フィブロネクチン抗体，抗ビグリカン抗体，抗デコリン抗体，抗バーシカン抗体，抗ラミニンα4抗体を用いてそれぞれ免疫染色を行ったところ，各分化段階でマトリックスの組成が異なることが分かった．図7   幹細胞由来ECM（A)，骨分化初期段階ECM（B)，および骨分化後期段階ECM（C)を沈着した骨分化模倣型多孔質足場材料の走査電子顕微鏡像（文献13より転載）．得られたECM多孔質足場材料にhMSCsを培養し，沈着させたECMがhMSCsの骨分化に与える影響を調べた．骨分化は，アリザリンレッド（ARS）による沈着カルシウムの染色，およびリアルタイムPCR法による骨分化関連遺伝子RUNX2，SP7，IBSP，SPP1の発現解析によって確認骨分化誘導培地と脂肪分化誘導培地の混合培地を用いた．まず，MSCの同時分化誘導を行うため，骨/脂肪分化誘導培地を種々の割合(95/5，85/15，70/30，50/50)で混合した．また，分化誘導因子未添加の増殖培地を幹細胞培地とした．次に，MSCを播種し，上記の混合培地で5～21日間培養することによって骨・脂肪同時分化誘導を行った．骨分化の段階は，アルカリホスファターゼ(ALP)染色，ARS染色，およびALP，ISBP各遺伝子の発現レベル解析によって確認した．他方，脂肪分化の段階は，オイルレッド-O(ORO)による脂肪滴の染色，脂肪分化初期マーカーであるリポタンパクリパーゼ(LPL)の遺伝子発現解析によって確認した．混合培地の組成と培養時間を選択し，hMSCsの分化段階を幹細胞，骨分化初期・脂肪分化初期，骨分化初期・脂肪分化後期，骨分化後期・脂肪分化初期，骨分化後期・脂肪分化後期とした．その後，脱細胞化により，各分化段階のECMを模倣したPLGA−コラーゲン−ECM複合メッシュを作製した．これらのPLGA−コラーゲン−ECM複合メッシュにおけるECMの組成が異なることは免疫染色より明らかになった．また，PLGA−コラーゲン−ECM複合メッシュはhMSCsの接着を促進し，細胞増殖を支持した．脂肪滴のORO染色およびリアルタイムPCR法による脂肪細胞分化マーカー遺伝子解析の結果，脂肪分化初期多孔質マトリックスは幹細胞多孔質マトリックスおよび脂肪分化後期多孔質マトリックスに比べ，間葉系幹細胞の脂肪分化を促進した． 幹細胞多孔質マトリックス，骨分化初期多孔質マトリックスおよび骨分化後期多孔質マトリックスも間葉系幹細胞の骨分化に対して異なる効果を示した．さらに，PLGA−コラーゲン−ECM複合メッシュによるhMSCsの骨分化および脂肪分化の促進効果は，沈着したECMの種類によって異なっていた．骨分化初期・脂肪分化初期ECMを模倣する複合メッシュはhMSCsの脂肪分化に促進効果を示したが，骨分化初期・脂肪分化後期ECMを模倣する複合メッシュにはこのような促進効果はなかった．これに対して，骨分化後期・脂肪分化初期ECM，および骨分化後期・脂肪分化後期ECMを模倣SC-ECMEO-ECMhMSCs seedingstepwise osteogenesisosteogenesis-mimickingECM-depositedcompositemeshesする複合メッシュはhMSCsの骨分化だけでなく，脂肪分化をも促進することが明らかになった．筆者らは，軟骨内骨化の過程を模倣したECMリモデリング模倣型多孔質足場材料を開発した16）．軟骨内骨化において，ECMは細胞機能を制御し，骨再生を誘導する上で不可欠である．しかしながら，幹細胞の分化における軟骨内骨化ECMの詳細な役割については解明されていない．そこで，軟骨内骨化に関連するECM微小環境を模倣したECM足場材料を作製し，幹細胞の分化に対するそれらの効果を比較した.hMSCsを異なるステージで分化制御することにより，幹細胞，軟骨形成期，肥大期，骨形成期のECM を模倣した4種類のECM足場材料を作製した．ECM足場材料の組成はhMSCsの分化段階に依存していた．これらのECM足場材料はhMSCsの骨分化に異なる影響を与えた．すなわち，肥大期ECM足場材料はhMSCsの骨分化を最も促進した．軟骨形成期ECM足場材料と骨形成期ECM足場材料は中程度の骨分促進効果を示した．一方，幹細胞ECM足場材料の骨分化促進効果は4種類のECM足場材料の中で最も低かった．おわりに生体環境に適応し，細胞・組織のふるまいを制御し，機能を発揮するバイオアダプティブ材料を創出するために，様々な手法が開発されている．著者らは，バイオアダプティブ材料として，いくつかの生体吸収性高分子多孔質足場材料，ECMリモデリング模倣型多孔質足場材料，およびマトリックスメタロプロテアーゼによって認識切断され，細胞を放出するカプセルを開発した．これらの材料は生体内で分解吸収されたり，生体内のダイナミックに変化する環境を模倣したり，細胞微小環境に応答して細胞をデリバリーしたりすることができ，組織工学にとって有用であると期待できる．謝辞本稿で紹介した研究の一部はJSPS科研費15H03027，21H03830, 22K19926，および24K03289の助成を受けて実施された．参考文献1） ） Wang Y: Bioadaptability: An Innovative Co ncept for Bioma -terials. 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