# Fileset

[23 Tanuma JSA #5.pdf](https://mdr.nims.go.jp/filesets/52444ea1-1d9f-4ec2-ac7d-1ba1f6dace06/download)

## Creator

[田沼 繁夫](https://orcid.org/0000-0003-2628-9941)

## Rights

[Creative Commons BY-NC Attribution-NonCommercial 4.0 International](https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/)

## Other metadata

[表面電子分光法における信号の減衰は如何に記述されるか？  V.　誘電関数を用いた固体における電子の非弾性散乱断面積](https://mdr.nims.go.jp/datasets/ddb8ee32-a878-4606-adff-3676d8400998)

## Fulltext

Microsoft Word - Vol.30 No.1_02_講義_田沼(13p)_6.docxJournal of Surface Analysis, Vol. 30 No.1 (2023) pp. 2 - 14 田沼繁夫 表面電子分光法における信号の減衰は如何に記述されるか？ Ⅴ https://doi.org/10.1384/jsa.30.2 - 2 - 講義（連載） 表面電子分光法における信号の減衰は 如何に記述されるか？ V. 誘電関数を用いた固体における 電子の非弾性散乱断面積  ⽥沼 繁夫 1,* 1 物質・材料研究機構 データプラットフォームセンター 〒305-0044 つくば市並木 1-1 * tanuma-sh@tbd.t-com.ne.jp, tanuma.shigeo@nims.go.jp  （2023年 3月 13日受付; 2023年 5月 3日掲載決定）  Born近似，一般化振動子強度，誘電関数をキーパラメータとして，電子の非弾性散乱断面積について解説する．ボルン近似により，原子における電子の非弾性散乱断面積は振動子強度分布を用いて表すことができる．一方，誘電応答理論では，固体試料の非弾性散乱断面積を極小角散乱領域（すなわち，双極子近似が成り立つ範囲）において，エネルギー損失関数を用いて表すことができる．この 2つの式を比較することにより，双極子近似が成り立つ範囲内では，振動子強度分布はエネルギー損失関数で表すことが可能となる．これにより，エネルギー損失関数を用いて，固体中の非弾性散乱断面積を実際的に簡便に計算することが可能になる．さらに，この関係から全非弾性散乱の双極子行列要素平方と動的散乱因子を計算することができる．   How is the Signal Attenuation in Surface Electron Spectroscopy Described? V. Description of electron inelastic scattering cross sections for solid using dielectric function  Shigeo Tanuma 1,* 1 Materials Data Platform Center, National Institute for Materials Science, 1-1 Namiki, Tsukuba, Ibaraki 305-0044, Japan * tanuma-sh@tbd.t-com.ne.jp, tanuma.shigeo@nims.go.jp  (Received: March 13, 2023; Accepted: May 3, 2023)  The author described the inelastic scattering cross section of electrons in matter using the Born approximation, generalized oscillator strength, and dielectric function as key parameters. With Born approximation, the electron inelastic scattering cross section in atom can be expressed using the generalized oscillator strength distribution. On the other hand, in dielectric response theory, the inelastic scattering cross section in a solid sample can be expressed in terms of the energy-loss function. Comparing these two equations, the generalized oscillator strength distribution can be expressed in terms of the energy loss function within the range where the dipole approximation is valid. This makes it possible to use the energy loss function to calculate the inelastic scattering cross section in solids in a practical and simple manner. Furthermore, the author shows that from this relationship, it is possible to calculate the squares of the dipole matrix elements of the total inelastic scattering and the static scattering factor.  Copyright （c） 2023 The Surface Analysis Society  Journal of Surface Analysis, Vol. 30 No.1 (2023) pp. 2 – 14 田沼繁夫 表面電子分光法における信号の減衰は如何に記述されるか？ Ⅴ  - 3 - 1. はじめに Born 近似ⅰ から一般化振動子強度 GOS （前報の式(33) ⅱ ）を解説し，ここから一般化振動子強度分布と誘電関数の関係を論じる．GOS を用いた Bethe の非弾性散乱断面積の計算は単原子・分子には適用が容易である．原理的には固体試料にも適用可能であり，内殻電子励起に関するイオン化断面積の計算には応用されている．しかし，価電子が関与する領域では，その波動関数を正確に求めることが難しく，さらに多電子が関与する集団励起の寄与が大きくなり，単純な単原子を対象としたモデルの適用は難しい．そこで，入射電子と固体試料の相互作用を記述する誘電応答関数を用いて，非弾性散乱断面積を記述することが必要となる．そこで，振動子強度分布と誘電関数の関係を利用して前報の式(30)ⅲ で与えた非弾性散乱断面積を誘導する．この一連の作業により，ミクロな原子・分子の電子励起・イオン化と物質（固体試料）と電子の相互作用を表す誘電関数の関係が明確になる．  2. Bethe 理論における GOS と散乱断面積 前回までは GOS を天下りに示したので，もう少し詳しく示そう．Inokuti の論文 [1] を道標として，式を補いながら進めることにする．単位系は原則として Hartree 単位系を用いる． エネルギー 𝐸0(= 𝑘02/2) の電子が，静止している原子に衝突し，その原子を中心として測った極角度 𝜃，方位角 𝜑 の方向に沿って立体角要素 𝑑Ω に偏向     ⅰ Born 近似については，多くの書籍（量子力学）に解説があるので参照のこと．中でも「電子・原子・分子の衝突」高柳和夫著（培風館，1996 年）は説明が詳しくわかりやすく，Bethe が行った導出法にも触れている．  ⅱ 𝑓𝑚𝑛(𝑞) = 𝐸𝑚𝑛𝑅⟨𝑛|∑ 𝑒𝑖𝐪⋅𝐫𝑗𝑗 |𝑚⟩2𝑞2𝑎02 = 𝐸𝑚𝑛𝑅|𝜀𝑚𝑛(𝑞)|2𝑞2     ただし 𝑀𝑚𝑛2 = |𝜀𝑚𝑛(𝑞)|2 (33)．   前報 IV より．  ⅲ  𝑑2𝜎𝑑𝜔𝑑𝑞 = 1π𝑁𝑇 Im(−1𝜀(𝑞,𝜔))1𝑞    前報 IV 式(30)より． し散乱される過程を考える．このとき，非弾性散乱によりエネルギーは 𝐸 = (𝑘𝑛2/2) となる．すなわち，自由運動する平面波  exp(𝑖𝐤0 ⋅ 𝐫)  は別の平面波 exp(𝑖𝐤𝑛 ⋅ 𝐫) に遷移すると仮定する．このとき，散乱による運動量移行は図 1 が示すように 𝐪 = 𝐤0 − 𝐤𝑛となる． 𝐫 は入射電子と標的原子の相対距離である．この遷移を状態 0 から状態 𝑛 への励起とし，0𝑘0 →𝑛𝑘𝑛 とここでは表現することにする．  静止している標的原子（全電子数を 𝑍 とする）の固有関数を 𝑢0(𝐫j) とすると，入射電子は平面波 exp(𝑖𝐤0 ⋅ 𝐫) で近似できるとすれば，相互作用がなければこのときの波動関数 Ψ0 は            Ψ0 ≈ exp(𝑖𝐤0 ⋅ 𝐫) 𝑢0(𝐫𝑗)             と近似されるⅳ. ここで，散乱により励起された標的内電子の固有関数を 𝑢1(𝐫𝑗)，電子と標的の相互作用演算子を 𝑉  とすると，平面波 Born 近似により微分非弾性散乱断面積 𝑑𝜎𝑛 は（十分に電子が高速であり，かつ非相対論が有効なエネルギー範囲では），次式で与えられる．  𝑑𝜎𝑛 =𝑘𝑛𝑘0|𝑓Born(0𝑘0 → 𝑛𝑘𝑛)|2𝑑Ω =𝑘𝑛𝑘0|(2π)−1⟨exp(𝑖𝐤𝑛 ⋅ 𝐫) 𝑢𝑛(𝐫𝑗)|𝑉 | exp(𝑖𝐤0 ⋅ 𝐫)× 𝑢0(𝐫𝑗)⟩|2𝑑Ω                          ここで，𝑓Born は散乱振幅であり，その 2乗は 0𝑘0 →𝑛𝑘𝑛 への遷移確率を表わす．  式(2)より，整理すると  Fig.1. Kinematics of inelastic collisions (color online)    ⅳ 𝐫, 𝐫𝑗  はそれぞれ，入射電子と原子核の相対距離，原子内電子の座標である．  (1) (2) 𝐤𝑛 𝐤0 𝜃 𝑞⊥ 𝑞∥ 𝜃𝑟 𝐪 = 𝐤0 − 𝐤𝑛  −𝐤0 Journal of Surface Analysis, Vol. 30 No.1 (2023) pp. 2 – 14 田沼繁夫 表面電子分光法における信号の減衰は如何に記述されるか？ Ⅴ  - 4 - 𝑑𝜎𝑛= 14π2𝑘𝑛𝑘0 |∫ exp(𝑖𝐤𝑛 ⋅ 𝐫) 𝑢𝑛∗(𝐫𝑗) 𝑉 exp(𝑖𝐤0 ⋅ 𝐫)× 𝑢0(𝐫𝑗)𝑑𝐫𝑗𝑑𝐫|2𝑑Ω = 14π2𝑘𝑛𝑘0 |∫ exp(𝑖𝐪 ⋅ 𝐫) 𝑢𝑛∗(𝐫𝑗) 𝑉 𝑢0(𝐫𝑗)𝑑𝐫𝑗𝑑𝐫|2𝑑Ω  ここで，相互作用がクーロン的であるとき，入射電子と標的原子の間の静電気力を表す相互作用ポテンシャル 𝑉  は次のように書ける．  𝑉  = 𝑍𝑒2𝑟− ∑𝑒2|𝐫 − 𝐫𝑗|𝑍𝑗=1  第 1項は原子核によるクーロン引力（電荷 = 𝑍𝑒），第 2項は各標的内電子の反発作用の和（座標 𝐫𝑗）である．初期状態と最終状態の波動関数が直交しているため，式(2)において核の寄与はゼロに積分され，非弾性散乱は原子内電子との相互作用のみを反映することになる．Bethe は，式(3)における r についての積分を次の関係式を用いて行った [1]．  ∫|𝐫 − 𝐫𝑗|−1 exp(𝑖𝐪 ⋅ 𝐫) 𝑑𝐫 = 4π𝑞−2 exp(𝑖𝐪 ⋅ 𝐫𝒋)  すると，変数 r で積分したので，相対運動の平面波が消え，標的内電子に関する平面波 exp(𝑖𝐪 ⋅ 𝐫𝑗)が現れ，標的内全電子 𝑗  につき総和を取ると下式となる．  𝑑𝜎𝑛 = 4𝑞4𝑘𝑛𝑘0 |∫𝑢𝑛∗(𝐫𝑗) ∑ exp(𝑖𝐪 ⋅ 𝐫𝑗) 𝑢0(𝐫𝑗)𝑑𝐫𝑗𝑍𝑗=1 |2𝑑Ω          = 4𝑞4𝑘𝑛𝑘0|𝜀𝑛(𝐪)|2𝑑Ω  ここで，𝜀𝑛(𝐪) は，クーロン散乱により，運動量 q が標的内電子に移行するとき，標的が遷移 0 → 𝑛 を起こす遷移振幅であるⅴ．そこで，意味を明確にするために（見やすくするために）ディラック記号で表現    ⅴ 𝑞 = 0とすると，𝜀𝑛(𝑞 = 0) は光による遷移に等しく，𝑀𝑛と記述する事が多い． すれば，次式となるⅵ．  𝜀𝑛(𝐪) = < 𝑛|∑exp(𝑖𝐪 ⋅ 𝐫𝑗)𝑍𝑗=1 |0 >    ここで，標的原子がランダムに配向していて，状態 𝑛 はスピンを無視しているので，散乱は全原子に対して平均化されているとすると，|𝜀𝑛(𝐪)|2  はスカラー変数 𝑞  の関数としてよいことになる．よって，微分散乱断面積 𝑑𝜎𝑛 𝑑Ω⁄  は (6)から次式となるⅶ．  𝑑𝜎𝑛𝑑Ω= (𝑘𝑛𝑘0)4𝑞4 |𝜀𝑛(𝑞)|2  したがって，通常の微分断面積は エネルギー E と散乱角度 𝜃 の関数であるが，Born 近似では速度比𝑘𝑛/𝑘0 と q の関数となり，𝜃 が小さいときは 𝑘𝑛 ≈ 𝑘0とみなせるので，q のみの関数となる．係数 4 𝑞4⁄  は自由電子散乱に関するラザフォード断面積と同一である．内部励起を担う原子内電子は原子に束縛されているのでその励起は複雑なものとなるが，この励起確率が |𝜀𝑛(𝑞)|2 によって正確に記述される．すなわち，原子が運動量移送 𝑞 を受けて特定の励起状態 𝑛 に遷移する条件付き確率を与えると言い換えても良い．この |𝜀𝑛(𝑞)|2 は非弾性散乱形式因子または構造因子とも呼ばれるⅷ．  ここで，前回の講義の式 (33)の一般化振動子強度 𝑓𝑛(𝑞) を 0 → 𝑛 遷移として，𝜀𝑛(𝑞) を用いて記述すると，  𝑓𝑛(𝑞) =𝐸𝑛𝑅𝑞2 |𝜀𝑛(𝑞)|2    ⅵ 式(7)の表現方法は多様であり，演算子を A とする と ， こ の 式 は  < 𝑛|𝐴|0 > = < 𝑢𝑛|𝐴|𝑢0 > =< 𝑢𝑛|𝐴𝑢0 >  = ∫ 𝑢𝑛∗𝐴𝑢0𝑑τ のように表記される．  ⅶ このとき，散乱振幅 𝑓  は 𝑓Born(0𝑘0 → 𝑛𝑘𝑛) = 2𝑞2 |𝜀𝑛(𝑞)| となる． ⅷ Inokuti よれば，この用語は主に原子核・素粒子物理学で広く使われ，時には固体物理学でも用いられるとの事である．原子物理では関連した量である GOS を使うことが多い． (4) (5) (6) (3) (7) (8) (9) イタ Journal of Surface Analysis, Vol. 30 No.1 (2023) pp. 2 – 14 田沼繁夫 表面電子分光法における信号の減衰は如何に記述されるか？ Ⅴ  - 5 - となるⅸ．ここで，𝐸𝑛 は遷移によるエネルギー変化量であるⅹ．  この GOS を用いて，非弾性散乱断面積は下記のように記述できる．  𝑑𝜎𝑛𝑑Ω= (𝑘𝑛𝑘0)4𝑅𝐸𝑛𝑞2 𝑓𝑛(𝑞)   一般にエネルギー損失スペクトルは，エネルギー損失 E の離散関数ではなく連続関数であるので，単位エネルギー損失あたりの GOS  を  𝑑𝑓 (𝑞, 𝐸) 𝑑𝐸⁄と定義すると（振動子強度分布，微分振動子強度と呼ばれる），非弾性散乱断面積の電子散乱における運動量移送とエネルギーの依存性は次式となる．  𝑑2𝜎𝑑Ω 𝑑𝐸= 4𝑅𝐸𝑞2𝑘𝑛𝑘0𝑑𝑓𝑑𝐸(𝑞, 𝐸)   3. Bethe 理論と誘電応答関数  Bethe 理論では，GOS を実際に計算するには|𝜀𝑛(𝑞)|2，OOS を計算するには 𝑀𝑛2 の計算が必須である．原子や分子などでは計算は可能であるが [2]，固体試料においては難しく，内殻電子に限って言えば，水素モデルを使った計算が実用化されている．しかし，固体試料における外殻電子では集団励起や化学結合の影響を受けるので，正確な波動関数を求めることが困難であり，GOS や OOS を直接計算するのは実用的でない．そこで，別のアプローチとして，電子と固体全体との相互作用を誘電応答理論の観点から非弾性散乱断面積を考察し，Bethe 理論における GOS, OOS の別表現を考える．これが，本講義の当初の目的であった．いろいろと検討したが, Egerton の本 [3] がわかりやすいので，これを参考に話をすすめる．    ⅸ 前報告 IV における式 (33)式の R は，R = 0.5 Eh （ハートリー単位系）．  ⅹ  𝑓𝑛(𝑞) を使用する理由は，より身近な物理用である（双極子）光学振動子強度 𝑓𝑛[= 𝑓𝑛(𝑞 → 0)] を一般化したものになり，見通しが良くなるからである．ハートリー単位系で表現すると 𝑓𝑛 = 𝐸𝑛𝑅 𝑀𝑛2 = 2𝐸𝑛𝑀𝑛2，ここで𝑀𝑛2 =< 𝑛|∑ 𝑥𝑗𝑗 |0 >2 3.1 振動子強度分布を用いた Bethe の非弾性散乱断面積の角度分布  非弾性散乱断面積の散乱角𝜃依存性（図 1 を参照）を明示的に示すことを考えよう．𝜃 ≪ 1 mradの場合は，𝑘𝑛/𝑘0 ≈ 1 とみなせるので，  𝑞2 = 𝑘02(𝜃2 + 𝜃𝐸2)  が良い近似となる．ここで，𝜃𝐸 = 𝐸 2𝐸0⁄ （特性角）である． 式(11)，(12) から  𝑑2𝜎𝑑Ω𝑑𝐸≈ 4𝑅𝐸𝑘02 (1𝜃2 + 𝜃𝐸2 )𝑑𝑓𝑑𝐸= 8𝑅2𝐸𝑣2 (1𝜃2 + 𝜃𝐸2 )𝑑𝑓𝑑𝐸  が得られる．Bethe の非弾性散乱断面積の角度分布であり，小さい散乱角度では，式 (13) の主な角度依存性は，ローレンツ因子 (𝜃2 + 𝜃𝐸2)−1 に由来する．ここで，𝜃𝐸  は 角度分布の「半値幅」を表す．このように散乱角度が小さく，エネルギー損失が比較的小さい領域で，𝑑𝑓 /𝑑𝐸 がほぼ一定（q と 𝜃 に依存しない）である領域は，双極子領域として知られているⅺ．  3.2 誘電応答理論における非弾性散乱断面積  ここからは Ritchie の論文 [4] と Egerton の本 [3] を参考にしてすすめる．ここで，縦軸に r，z 方向に速度 𝐯 で移動する電子を考える．すると電子は点電荷 𝜌(𝐫, 𝑡) = −𝑒δ(𝐫 − 𝐯𝑡) として表され，媒体中に次式に示すポアソン方程式を満たす空間依存，時間依存の静電ポテンシャル𝜑(𝐫, 𝑡) を発生させる．すなわち，  𝜀(𝐤, 𝜔)∇2𝜑(𝐫, 𝑡) = −4π𝜌(𝐫, 𝑡)  一方，電子阻止能 (𝑑𝐸/𝑑𝑧) は電子にかかる進行方向の力のことであり，電子の電荷に 𝑧 方向のポテンシャル勾配を掛けたものである．すると，フーリエ変換を用いて  𝑑𝐸𝑑𝑧= 2π𝑣2 ∬𝑞⊥𝜔Im[−1/(𝑞, 𝜔)]𝑞⊥2 + (𝜔/𝑣)2𝑑𝑞⊥𝑑𝜔   ⅺ 本シリーズ IV で述べたように，Born 近似が成り立つ条件でもある． (10) (11) (12) (13) (14) (15) Journal of Surface Analysis, Vol. 30 No.1 (2023) pp. 2 – 14 田沼繁夫 表面電子分光法における信号の減衰は如何に記述されるか？ Ⅴ  - 6 - が得られる．𝜔 = 𝐸/ℏ，𝑞⊥は 𝐯 に垂直な方向の散乱ベクトル成分である．Im[−1/𝜀(𝑞, 𝜔)]は，エネルギー損失関数である．ここで, 阻止能は，原子 1 個あたりの非弾性散乱の二重微分断面積と以下の式の関係にある．  𝑑𝐸𝑑𝑧= ∬ 𝑁 𝐸 𝑑2𝜎𝑑Ω𝑑𝐸𝑑Ω𝑑𝐸 ここで，𝑑𝑞⊥ ≈ 𝑘0𝜃, 𝑑Ω ≈ 2𝜋𝜃𝑑𝜃，すなわち，極小角散乱を考えると式 (15), (16) から  𝑑2𝜎𝑑Ω𝑑𝐸≈Im[−1/𝜀(𝑞, 𝐸)]π2𝑣2𝑁 (1𝜃2 + 𝜃𝐸2)  この  2 つの式を比較すると , 次のような場合に Bethe 式と誘電応答理論の式は等価であることがわかる.  𝑑𝑓𝑑𝐸(𝑞, 𝐸) = 𝐸2π2𝑁Im [−1𝜀(𝑞, 𝐸)]= 2𝐸π Ωp2 Im [−1𝜀(𝑞, 𝐸)]   ここで，Ωp = √4π𝑁  とした．これは 1 原子あたりの自由電子を 1個としたときに対応する「プラズモンエネルギー」である．つまり，双極子近似が成り立つ領域では，GOS は対象物質の ELF で表すことが可能ということである．ELF は入射電子と固体の相互作用を内殻電子から外殻電子までの相互作用を表し，集団励起まで含むので，電子の非弾性散乱の計算は Bethe の式における|𝜀(𝑞)|2を計算するのも甚だ簡単になる．ただし，双極子近似が成り立つ領域に限定される．そこで，式 (11)の Bethe の式に式(18)を代入し，ELF を使って記述してみる．まず，𝑑Ω →𝑑𝑞, 𝑑𝐸 → 𝑑𝜔 変換を行うことを考える．原子単位であるので，𝐸 = (ℏ𝜔 =) 𝜔である．𝑑Ωに関しては，以下の式を用いる [1]．  𝑑Ω = π𝑑(𝑞2)/𝑘𝑛𝑘0 = (2π𝑞𝑘0𝑘𝑛) 𝑑𝑞  すると式(11)は以下となる．  𝑑2𝜎𝑑𝑞 𝑑𝜔= (2π𝑞𝑘0𝑘𝑛)4𝑅𝜔𝑞2𝑘𝑛𝑘02𝜔πΩp2 Im [−1𝜀(𝑞, 𝜔)]             = 16𝑅𝑘02Ωp2 Im [−1𝜀(𝑞, 𝜔)]1𝑞 ここで，Hartree 単位系として，Ωp2 = 4𝜋𝑁 , 𝑘02/2 = 𝐸0，𝑅 = 0.5を代入すると，  𝑑2𝜎𝑑𝜔𝑑𝑞= 1π𝑁𝐸0Im (−1𝜀(𝑞, 𝜔))1𝑞  が得られる．これは，前報 IV [7] における式 (30)に等しい．これで Born 近似から出発し，固体試料における誘電関数を用いた非弾性散乱断面積の式が得られた．この式は，非相対論的なエネルギー領域において IMFP を計算するときの基本的な式であり，ほとんどの論文はこの式から説明を始めている [5]．しかし，式 (21)の導き方は明確には示されていない．そこで今回はこの式を基本的なところから導いてみた．  4. 一般化振動子強度分布から得られる物理量 4.1 F-sum rule  Bethe sum rule すなわち f-sum rule については，この講義シリーズの II [6] で詳しく説明しているので， 結果だけ述べる．すなわち，∫ 𝑑𝑓 (𝜔)𝑑𝜔 𝑑𝜔∞0 = 𝑍 である． ここで，𝑍 は対象試料の全電子数（原子番号）．したがって，式 (18)の振動子強度分布 𝑑𝑓 /𝑑𝐸 を代入すると  ∫𝑑𝑓𝑑𝜔𝑑𝜔 = ∫2𝜔π Ωp2 Im [−1𝜀(𝑞, 𝜔)]𝑑𝜔 = 𝑍  となる．この式はすべての 𝑞 について成り立ち，一般には Bethe 総和則と呼ばれる．特に，𝑞 = 0 すなわち光学的遷移を対象とするときには次式となる．  Zeff =(2π Ωp2) ∫ ΔE ΔEmaxΔEminIm [− 1𝜀(ΔE )] 𝑑(ΔE)  ここで，Δ𝐸 はエネルギーロス，Im[−1/𝜀(Δ𝐸)] は光学的 ELF である．ここで，得られる 𝑍eff  が ELF の評価に使われる．対象とする物質のエネルギー損失関数が正確であれば，𝑍eff  はその物質の原子番号 𝑍 に等しい． (16) (17) (18) (19) (20) (21) (22) (23) Journal of Surface Analysis, Vol. 30 No.1 (2023) pp. 2 – 14 田沼繁夫 表面電子分光法における信号の減衰は如何に記述されるか？ Ⅴ  - 7 -  本講義は実際に計算することを主眼としているので，f-sum rule の計算を実際に実行してみよう．対象物質を 26-n-paraffin (C26H54，Ztheory = 210 (26×4 + 54×1), 𝐴w= 366.7, ρ = 0.99 g cm−3, 𝐸g = 6 eV, 𝑁v =158)とする．ELF は図 2 に示すⅹⅱ．26-n-paraffin はおよそ，20 eV に大きなピークを示す．これは集団励起によるものであり，疑似プラズモンピークと考えられる．ただし，そのピーク位置は体積プラズモンピークの理論値よりは 1 eV 程度，高エネルギー側にシフトしているⅹⅲ．この他には 280 eV付近に炭素 1sのイオン化に起因するピークが見られる．ELF はエネルギー単位 eV の関数として記述しているので，式 (23)の係数(2/πΩp2)は Hartree 単位から eV の単位に換算する必要がある．前報 [7] において，プラズモンエネルギーの原子単位から eV 単位への変換を式 (7) に与えているので，𝑁v = 1とすれば，ここで必要とされるプラズモンエネルギーΩpが得られる．  Ωp ≅ 28.816 (𝜌𝐴w)1/2≈ 3.52137  (eV)  式 (23)において，Δ𝐸min，Δ𝐸max は用いる ELF の最小，最大エネルギーにとる．積分計算は図 2 からわかるように，ELF は離散数値点からなるので，通常   ⅹⅱ テキストファイルを電子版の付録とした．  “ELF for 26-n-paraffin.elf” ⅹⅲ 自由電子の体積プラズモン 𝐸p  とみなして計算 すると，𝐸p(= 28.816(𝑁v𝜌/𝐴w)1/2 eV)= 18.8 eV となる． は台形公式で十分である．計算はエクセルでも簡便にできるが，ここでは Mathematica を使って計算したⅹⅳ．計算結果は  𝑍eff = 196.8，理論値との差は−6.3% であった．また，𝑍effをエネルギー関数として図 3 に示す．       ⅹⅳ 積分計算は spline 関数で行った．Mathematica では spline の次元の指定（1 次）により台形公式による積分が可能である． (24) Fig. 2. Energy loss function as a function of energy loss for 26-n-paraffin (color online). Fig. 3.  Zeff calculated from equation (22) as a function of energy loss for 26-n-paraffin. Plots of F-sum rule results for 26-n-paraffin. (color online) Journal of Surface Analysis, Vol. 30 No.1 (2023) pp. 2 – 14 田沼繁夫 表面電子分光法における信号の減衰は如何に記述されるか？ Ⅴ  - 8 - 図 3 に示した f-sum rule の計算結果から，部分的 （殻ごと）な電子数を考えてみよう．図より，280 eV付近には明瞭な変曲点があることがわかる．これは炭素 1s に由来する．そこで，変曲点から上のエネルギー領域は炭素 1s の試料における全電子数を示すことになる．図からは 𝑍eff  (1s) = 52.08 ⅹⅴ，組成式ではCの数は 26であるので，理論値はZ = 52 となり，両者は非常によく一致している. 一方，26-n-paraffinの正確な価電子の数𝑁vを図から読み取るのは難しい．そこで，炭素の K 殻以外の全電子数を𝑁vとすると，図の値は𝑁v(Zeff) = 144.7 となる．一方，形式的な理論値は𝑁v(𝑡ℎ𝑒𝑜𝑟𝑦) = 158 となり，実測値は理論値から 6%ほど小さい値となっている．  4.2 𝑴tot𝟐 ：全非弾性散乱の双極子行列要素平方  光学的遷移 sに対応する光学的振動子強度OOSは𝑓s = (𝐸s 𝑅⁄ )𝑀s2  で与えられる．ここで，𝑀s2  が原子単位で測った双極子行列要素平方である．このとき，s が連続状態であるとすれば，振動子強度分布は次式で定義できる[8] ⅹⅵ．  𝑑𝑓𝑑𝐸= 𝐸𝑅𝑑𝑀2𝑑𝐸  ここで，𝑑𝑀2 𝑑𝐸⁄ は双極子行列要素平方の密度であり，微分振動子強度，振動子強度分布と呼ばれる． 式 (18)より，OOS の場合は，𝑞 → 0 とすると  𝑑𝑓 (𝐸)𝑑𝐸= 𝐸𝑅𝑑𝑀2𝑑𝐸= 2𝐸  Im[−1/𝜀(𝐸)]π Ωp2      ⅹⅴ 𝑍eff  (1.06 Me) = 196.78, 𝑍eff  (277 eV) = 144.71  ⅹⅵ Inokuti の説明を引用しておく．「𝑓s = (𝐸s/𝑅)𝑀s2 において，状態 s が連続スペクトルに属しているとき，励起エネルギー E および他の量子数の組 Ω で指定されていると考えて| 𝐸 Ω >とする．たとえば Ω は連続状態の電子の角運動量とか，電離で放出される電子の出てゆく方向等を表わすとする．そしてこれが < 𝐸 Ω|𝐸′Ω′ >=𝛿(𝐸 − 𝐸′) 𝛿(Ω − Ω′) と規格化されているとする．このとき， 単位励起エネルギー当りの振動子強度の密度分布 df/dE は 𝑑𝑓𝑑𝐸 = 𝐸𝑅𝑑𝑀2𝑑𝐸 で定義できる．」 となる．ここで， Im[−1/𝜀(𝐸)]は光学的エネルギー損失関数である．  全双極子行列要素平方の総和を𝑀tot2 = ∑ 𝑀𝑖2𝑖 とすれば, 式 (26)より，  𝑑𝑀tot2𝑑𝐸= 2𝑅Im[−1/𝜀(𝐸)]π Ωp2   したがって，  𝑀tot2 =(2𝑅π Ωp2) ∫ Im [−1𝜀(𝐸)]𝑑(𝐸)∞0  であり，物質の光学的エネルギー損失関数から計算することができる．そこで，図 2 に示した 26-n-paraffin の ELF を用いて 𝑀tot2 を計算し，𝑀tot2  = 75.87 (a.u.) を得た．この結果が意味するところを考えて見る．本シリーズの II [6]で説明した TPP 式，Fano plot と 𝑀tot2  の関係に基づいて考察してみよう．  非相対論エネルギー領域における原子における電子衝突の Bethe の式，すなわち非弾性散乱断面積𝜎tot  は𝑀tot2 を用いて次式で与えられる [9]．  𝜎tot =4π𝑎02(𝐸/𝑅) [𝑀tot 2 ln (4𝑐tot 𝐸𝑅 ) +γtot (𝐸/𝑅)+ 𝑂 (𝑅2𝐸2)]   ここで， 𝐸は電子のエネルギー，𝑐tot , 𝛾tot  は原子に固有なパラメータ，𝑂は，Bethe 式の漸近展開における次の高次項を表す．𝑁𝜎λ = 1ⅹⅶ の関係から, 式(29)は  λ−1 =4π𝑎02𝑁(𝐸/𝑅) [𝑀tot 2 ln (4𝑐tot 𝐸𝑅 ) +γtot (𝐸/𝑅)+ 𝑂 (𝑅2𝐸2)]   ここで，TPP-2M 式で使われる非相対論的 Bethe の式は次式で与えられる [9]．  λ(𝐸)−1 = 1𝐸𝐸p2{𝛽[ln(γ𝐸)] − (𝐶/𝐸) + (𝐷/𝐸2)}(nm−1)   ⅹⅶ 前回の講義 IV に示した式(12)．  (25) (26) (27) (28) (28) (29) (30) (31) Journal of Surface Analysis, Vol. 30 No.1 (2023) pp. 2 – 14 田沼繁夫 表面電子分光法における信号の減衰は如何に記述されるか？ Ⅴ  - 9 - ここで，𝐸p(= 28.816(𝑁v𝜌/𝐴w)1/2 eV) は体積プラズモンエネルギー，𝛽，𝛾，𝐶，𝐷 は物質に固有のパラメータである． 式 (30)と(31) を比べるとⅹⅷ  𝑀tot2 =𝐸p24π𝑎02𝑅𝑁𝛽 = 2.880𝑁v𝛽  が得られる．したがって，𝑀tot2  は Bethe の式のパラメータ 𝛽 から，もしくは式 (31) から導かれる Fano plot (𝐸  λ(𝐸)−1𝑣𝑠. ln(𝐸)) の傾きから得ることができるⅹⅸ．Shinotsuka らが計算した 26-n-paraffin の IMFP値 [10] から，β (eV−1nm−1) = 0.1696, 𝑁v= 158 であり，𝑀tot2 = 77.2 が得られる．この値は式(28)を用いてELF から計算した値 75.87 によく一致している（相対差：1.7%）．この 𝑀tot2  の値は式(31)から明らかなように，エネルギーが比較的高い領域おける IMFPのエネルギー依存性を決定している．これは大変に興味深い．式 (28)から決定される 𝑀tot2  は光学的ELF（すなわち 𝑞 =  0 ）の情報のみで，𝑞 > 0 の ELFの情報には関係しない．したがって，Im[−1/𝜀(𝑞, ω)] の 𝑞 依存性からは独立していることになる．これは大変重要な情報である．IMFP の計算は式(21)を出発点とするが，用いる ELF の q 依存性（q の分散式）により計算される IMFP 値は一般的には異なる．しかし，IMFP のエネルギー依存性を表す 𝑀tot2  は q = 0 で決まるので，どのような 𝑞 の分散式を用いても，IMFP のエネルギー依存性は同じになる（はずである）．𝑀tot2  の単原子と固体の相違，元素，無機化合物における原子番号依存性等については，次回の講義で解説する．  4.3 静的構造因子𝑺(𝒒)  式 (9)に示した一般化振動子強度GOSから構造因子 𝑆(𝑞) を ELF の関数として導く．式 (9)において，OOS のときと同様に，0 → 𝑛 遷移が，連続状態に対するものだとすれば，式(25)に対応する一般化振動子強度分布は次式となる．   ⅹⅷ 定数項の補足．前報の p. 73, 74 からリュードベルグエネルギー𝑅 = 𝐸h/2 = 13.606eV, 単位体積あたりの原子数𝑁 = 0.0892389(𝜌/𝐴w)𝑎0−3, 𝐸p =𝜔p． ⅹⅸ 実験的に IMFP をもとめ，そこから 𝑀tot2  を求 めるときに使われる．  𝑑𝑓 (𝑞)𝑑𝐸= 𝐸𝑅1𝑞2𝑑|𝜀𝑛(𝑞)|2𝑑𝐸  式 (18)を代入すれば  𝐸𝑅1𝑞2𝑑|𝜀𝑛(𝑞)|2𝑑𝐸= 2𝐸πΩp2 Im [−1𝜀(𝑞, 𝐸)]  するとⅹⅹ，  |𝜀𝑛(𝑞)|2 = 𝑆(𝑞) =(2𝑅πℏ2Ωp2)𝑞2∫ Im [−1𝜀(𝐸, 𝑞)]𝑑(𝐸)∞0  Hartree 単位系では  𝑆(𝑞) = (𝑞24π2𝑁) ∫ Im [−1𝜀(𝐸, 𝑞)]𝑑(𝐸)∞0  となる．このとき，  𝑆(𝑞, 𝐸) = (𝑞24π2𝑁) Im [−1𝜀(𝐸, 𝑞)]  と定義し，𝑆(𝑞, 𝐸)を物質の動的構造因子と呼ぶこともある．この因子は粒子の運動の時間的空間的相関の特徴を表す量であるⅹⅺ．一方，𝑆(𝑞) は ELF の運動量依存性を定量的に評価できる可能性があるが，表面分析関連ではほとんど検討例がない．わずかに，Shinotsuka らが水の光学的 ELF を用いて FPA (Full Penn Algorithm), SPA ( Single Pole Approximation or Simplified Penn Algorithm), SSPA (simplified SPA), SE-MA (super-extended Mermin method)のアルゴリズムにより(𝑞 > 0, 𝜔)平面上に ELF を外挿して計算した𝑆(𝑞)を報告している [12]．図 4 に，IXSS の実験値[11] から決定した 𝑆(𝑞)と共に示す [12]．𝑞 < 1.5 では，𝑞  依存性を記述するアルゴリズの違いによる𝑆(𝑞)の相違は小さい．2.0 <  𝑞 <  4.0 の領域では，   ⅹⅹ 一般に，静的構造因子は𝑆(𝑞)で表される． ⅹⅺ 𝑆(𝑞, 𝜔)の解析から格子振動の特性や液体中の粒子の熱運動の特徴についての知見が得られる．（物理学辞典，培風館 2005 年）． (32) (33) (34) (35) (36) (37) Journal of Surface Analysis, Vol. 30 No.1 (2023) pp. 2 – 14 田沼繁夫 表面電子分光法における信号の減衰は如何に記述されるか？ Ⅴ  - 10 -  𝑆(𝑞)の値はEM > FPA ≅ IXSS >  SPS >  SSPAの順になっている．したがって，FPA が与えるIm[−1/(𝑞, 𝜔)] が𝑞 > 2.0 以上では実験値に最も近い値を与えることになる．  5. おわりに  Born 近似をキーとして GOS, OOS と ELF の関係について解説した．これにより，固体における電子の非弾性散乱をIm[−1/(𝑞, 𝜔)] の関数として記述できることを示した．この式 (21)は固体試料におけるIMFP 計算の出発点であるが，引用文献を見ても詳しく書かれていない．そこで，導いてみたが，読者には納得できたであろうか．さらに，式 (28)，(37)に示した𝑀tot2  や 𝑆(𝑞) もGOS, OOSと誘電関数の関係から導いた．これらの物理量における固体と（単）原子による違いや，応用例については次回以後に解説する．  6. 参考文献 [ 1] M. Inokuti, Rev. Mod. Phys. 43, 297 (1971). [ 2] J. Berkowitz, Atomic and Molecular Photoabsorp-tion. Absolute Total Cross Sections, ACADEMIC PRESS, Tokyo (2002). [ 3] R. F. Egerton, Electron energy loss spectroscopy in the electron microscope. third ed. New York: Springer (2011). [ 4] R. H. Ritchie, Phys. Rev. 106, 874 (1957). [ 5] 例えば，S. Tanuma and C. J. Powell, International Tables for Crystallography (2022). Vol. II, https://doi.org/10.1107/S1574870722001586. [ 6] 田沼繁夫，J. Surf. Anal. 11, 123 (2004).   [ 7] 田沼繁夫，J. Surf. Anal. 29, 72 (2022). [ 8] 井口道生，日本物理学会誌 22, 196 (1967). [ 9] H. Shinotsuka, S. Tanuma, C. J. Powell and D. R. Penn. Surf. Interface. Anal. 47, 871 (2015). https://doi.org/10.48505/nims.3043 [10] H. Shinotsuka, S. Tanuma, and C. J. Powell, Surf. Interface. Anal. 54, 534 (2022).  https://doi.org/10.48505/nims.3281 [11] N. Watanabe, H. Hayashi and Y. Udagawa, Bull. Chem. Soc. Jpn. 70, 719 (1997). [12] H. Shinotsuka, B. Da, S. Tanuma, H. Yoshikawa, C. J. Powell and D. R. Penn, Surf. Interface Anal. 49, 238 (2017). https://doi.org/10.48505/nims.1442  Fig. 4. Plots of the static structure factor S(q) of water as a function of momentum transfer q [12]. The solid squares, diamonds, downward triangles, and upward triangles show S(q) values calculated from ELFs (q>0) obtained with the FPA, SPA, SSPA, and EM methods, respectively. The solid circles represent S(q) values obtained from measured dynamic structure factors as a function of q by inelastic X-ray scattering spectroscopy (IXSS). (color online) Journal of Surface Analysis, Vol. 30 No.1 (2023) pp. 2 – 14 田沼繁夫 表面電子分光法における信号の減衰は如何に記述されるか？ Ⅴ  - 11 - 査読コメント，質疑応答  査読者 1，鈴木 峰晴 [査読者 1-1]  実際に電子の非弾性散乱現象を計算される方に非常に有益な講義内容かと思われます．是非，掲載してください．内容への直接的なコメントではありませんが，数点一般的な質問をさせていただきます．   ボルン近似は，高速粒子の小さなポテンシャル内での運動を級数展開した少数項だと理解しています．低エネルギー（例えば，100 eV）の電子がポテンシャルの高い物質（例えば，Pb とか U とか）中で散乱する場合も適用可能でしょうか．TPP（TPP-2M）式として記述されてしまうと，低エネルギー，高ポテンシャル領域で計算する場合もありますので，その適用範囲を教えていただけると良いと思います．  [著者]  大変重要なご質問をありがとうございます．電子を Pb など（Z の大きい物質）に入射したときに，全散乱断面積を考えると圧倒的にプラズモンもしくは疑似プラズモンの寄与が大きいです．そのエネルギーはおよそ 20 - 35 eV にあります．すると 300 eV以上の入射エネルギーであれば問題なくボルン近似は成立すると考えます．しかし，100 eVは微妙です．この近傍に外殻電子があれば，大きな確率で電子交換が起こると考えられます．すると，ボルンの１次近似では不十分となります．同様のことが Pb ではM,L,N..殻のイオン化エネルギーに近い入射電子（300 eV以上のエネルギー領域においても）で起こるはずですが，その全断面積に対する寄与が価電子の集団励起（プラズモン，疑似プラズモン）の寄与に比べて，圧倒的に小さいので，無視しても差し支えないことになります．  [査読者 1-2]  著者は，弾性散乱や非弾性散乱の説明で粒子性の図を用いて衝突現象を説明されています．今回の講義の散乱振幅や振動子強度は波動性からの物理量導出になっていると思います．電子を波動ととらえたときには，衝突（非弾性散乱）現象をどのような物理描像で考えればよろしいのでしょうか．   [著者]  重要なご指摘をありがとうございます．本文の図1 は運動量移行をわかりやすく示すためにつけたものです．ご指摘の通り，本文は平面波での散乱として記述しています．  衝突のイメージは下図のように電子が平面波として入射すると，大部分の電子は透過し，ある割合の電子が散乱点を中心とした外向きの球面波として出て行くものです．式で表現すると ,入射平面波はexp(𝑖𝐤0 ⋅ 𝐫)であり，散乱後は exp(𝑖𝐤0 ⋅ 𝐫) + 𝑓 (0𝐤0 →𝑛𝐤𝑛, 𝜃, 𝜑)exp(𝑖𝐤𝑛 ⋅ 𝐫′)/𝐫′ となります．この第一項は透過波，𝐫′は同径距離を表しています．このとき，θ 方向（３次元なので方位角は𝜑）に散乱された球面波を計測します．また，𝐫′ が非常に大きくなると，球面波を平面波 exp(𝑖𝐤𝑛 ⋅ 𝐫) として近似することができます．これが本文および図 1 の記述になります．   査読者 2，匿名 [査読者 2-1]  ボルン近似 式 (2)，(8)や 3.1 の議論について読者が通常使用している装置の測定条件で，この近似がどのくらい成り立っているかの目安の数字があるとわかりやすい．エネルギーや，測定器のアパチャー等との関連で．  [著者]    イオン化断面積に代表される散乱断面積を測定（計算）する場合は，一般的には数 keV以上の入射電子（𝐼p とする）で，かつ対象となる殻の電子の結合エネルギーを 𝐸b としたとき， 𝐼p 𝐸b⁄  >  10 であれば問題なく成り立つと考えます．  具体的な例で考えると，このシリーズの II で取り上げた電子の全非弾性散乱断面積 𝜎tot  の Bethe の式（下式）で考えます．この式は式(11)を積分することにより得られます  Journal of Surface Analysis, Vol. 30 No.1 (2023) pp. 2 – 14 田沼繁夫 表面電子分光法における信号の減衰は如何に記述されるか？ Ⅴ  - 12 - 𝜎tot =4π𝑎02(𝐸 𝑅⁄ )𝑀tot2 ln (4𝑐tot𝐸𝑅 )  ここで, Fano plot すなわち，σ E vs ln(E)，すなわち E/λ vs. ln(E), を採りますと，得られるプロットの傾きが𝑀tot2 に比例します．このプロットを直線とみなせる範囲が Born 近似の成り立つ範囲に相当します．下記の文献*の（Fig.4）に Al, Au, Ag, Cu の Fano plotの例が挙げられています．この図から電子のエネルギーが 300 eV以上では Fano Plot は直線とみなすことができます．各元素のプラズモン（もしくは疑似プラズモン）ピークは，およそ 15 eV から 25 eV にあるので，先ほど上げた Ip/Ebを満たしています． * S. Tanuma, C. J. Powell and D.R. Penn, Surf. Interface Anal. 11, 577 (1988).https://doi.org/10.48505/nims.4168  また，式 (8)式の議論にある θ は大体 1 mrad以下では問題なく成り立つと思われます．（もちろん電子線の加速電圧に依存します）．  [査読者 2-2]  式 (18)下の段落の 8行目 ELFを用いると計算が「甚だ簡単になる」の意味するところ．これは，測定された量を用いるので，複雑な計算をする必要がない，ということ？  [著者]  はいそのとおりです．GOS や は固体試料では第一原理計算がほとんどなされていません．  [査読者 2-3]  図 2 の左下 1 行目 f-sum rule の中の Nv=158，Ztheory = 210 の値は，簡単な足し算の計算式だが，書いておく方が読者には親切．26 × 6 + 54 = 210 のように．図 3 の中で Zeff の値を議論するところは，図に適切に矢印等を使って書き込まないと，値とグラフを見比べるのが大変．  [著者]  計算の途中を示すようにしました．また，図に理論値（理想値）を加えました．  [査読者 2-4]  Zeffが理論値より小さくなる主な理由について． 式 (23)の積分の範囲が有限なためか？ 使用したELF が「真」の形状と違っているためか？ アパチャーの大きさが有限のため，q = 0 以外の寄与も含まれてしまうことは影響しないだろうか．使用した ΔEmax，ΔEminの値はいくらだったか？  また台形公式以外の公式を使った場合に有意な差が出るのか．（高次の多項式を使うとアーティファクトが増えて良くないような気がする．）   [著者]  ここでは光を用いて測定（q = 0）された光学的 ELF, Im[−1/𝜀(𝜔)]を用いているので， q > 0 の影響はありません．一般的には，電子を用いた測定で ELF を決める場合は，ご指摘のように常に q > 0 ですので，問題があることがあります．例えば，GOS で考えますと，ラセターの定理*で q → 0 のとき，GOS→OOS となりますので，q > 0 のデータからの q = 0 への外挿となります．しかし，常にその外挿が正しいという保証はありません． * E. N. Lassettre, A. Skerbele, and M. A. Dillon, J. Chem. Phys. 50, 1829 (1969).  以上から，光で測定した光学的 ELF を用いているので Zeff が理論値より小さいのは単純に，測定した26-n-paraffin の ELF が正確でない（実験誤差）ためと思われます．また，ΔEmax は 1.06 MeV, ΔEminは Eg (= 6 eV) です．したがって，積分の上限に関してはC, H の 1s の結合エネルギーはおよそ 13.6 eV と 275 eV ですので, 1 MeV で十分と思われます．  また，ご指摘のとおり，3 次スプラインなどを用いますと，K 殻や L 殻の吸収端近傍でアーティファクトが出ることがあります．そこで，台形公式を用いて f-sum rule の計算を行いました．  [査読者 2-5]  試料として paraffin が選ばれた理由の説明があると事情が分かりやすくなる．  [著者]  元素固体や無機化合物の例は見ることが多いので，有機化合物を例に取りました．これ以上の意図はありません．  [査読者 2-6]  式 (37)下の行「この因子は粒子の運動の時間的空間的相関の特徴を表す量である．」曖昧な表現．所謂相関関数との関係が具体的に与えられると視界が開けるのでは．これは，表面分光が定量評価の枠を越えて，物理の世界を垣間見る格好の例なのではないだろうか． Journal of Surface Analysis, Vol. 30 No.1 (2023) pp. 2 – 14 田沼繁夫 表面電子分光法における信号の減衰は如何に記述されるか？ Ⅴ  - 13 -  [著者]  < 𝑒−𝑖𝐪⋅(𝐱𝑖−𝐱𝑗) >とは散乱理論における粒子の運動の時間相関および空間相関を特徴づける量です．したがって，X線，荷電粒子，電子，中性子等の散乱実験の測定量と関連する基本的な物量です．ご指摘のように相関関数との関連を示すことは可能ですが，私の専門外ですので，物理学辞典の引用記載でこれに代えたいと思います．  " X 線回折の構造因子𝑆(𝐐) とは次の関係にある．(注：𝐐 ≡  𝐪,    𝜔 ≡  𝐸 ）        𝑆(𝐐) = 12𝜋 ∫ 𝑆(𝑸, 𝜔)𝑑𝜔∞−∞  また，L. van. Hove の時空相関関数 (space-time correlation function)  のフーリエ変換として，与えられる．𝑆(𝐐, 𝜔)の解析から格子振動の特徴や液体中の粒子の熱運動の特徴についての知考えられる"．    また，上の説明にあるように，時空相関関数を𝐺(𝐫, 𝑡) とすれば，時刻 t = 0 における𝑆(𝐪)は 𝑆(𝐪) ≡ ∫ 𝐺(𝐫, 0)𝑒𝑖𝐪⋅𝒓𝑑𝐫 = 1𝑁 ∑ < 𝑒−𝑖𝐪⋅(𝐱𝑖−𝐱𝑗) >𝑖,𝑗 で与えられる．（第 4 章 時空相関関数と散乱実験http://www7b.biglobe.ne.jp/~ftanaka/member/ftanaka/webct/correlation.pdf）  この解説は時空相関関数と散乱実験について詳しいです．色々な物理量との関連が解説されています．  また，X線非弾性散乱との関連については林氏の優れた総説があります． 林 久史，X線非弾性散乱分光の最前線，放射光 14, 15 (2001).  [査読者 2-7]  上記付近 「表面分析関連ではほとんど検討例がない」 この理由・事情はどのようなものがあるだろうか．例えば，このようなデータの需要がまだないから？ 通常の（読者の）装置では測定が困難だから？ 測定に多大な労力を要するから？ また試料として水（氷？）が選ばれた理由は？ 電子数が少なく系が単純だから？生体試料の評価につながるから？  [著者]  S(q,E) の測定はX線非弾性散乱(IXSS)が一般的に用いられます．しかし，X線非弾性散乱は強度が弱いので高輝度放射光が必要とされます．この理由から，測定例が少ないと思われます．  このような理由で，固体試料における ELF の評価は q = 0 に限り，もっぱら sum rule でなされており，本文中に書きましたように静的構造因子や動的構造因子による評価は殆ど行われていません．  一方，非晶質試料についての IXSS 測定は数多くなされていますが，ELF の評価に使えそうなデータは水試料に限られているのが現状です．水は生体試料で重要な物質なので，精密な計測が行われたと推測します．また，IXSS による 𝑆(𝐪), 𝑆(𝐪, 𝐸) の測定につきましては，水や液体ベンゼンなどを例として，(2-6)で上げました林氏の総説に詳しく述べられています．  [査読者 2-8]  図 4 から IXSS の実験値が最も正確で, FPA の結果が最も信用できる, と結論できるように見えるが，その理解でよろしいか．それともまだ検討すべき点が残っているので控えめな表現になったのか．  [著者]  少なくとも水試料においては IXSS の実験値によく一致している結果を与える FPA と Hayashi らの光学定数（もしくは optical ELF）の組み合わせが，他のものよりも優れていると言えます．このときはIXSS の実験の評価が重要です．幸いに第一原理計算がなされており，電子相関を考慮した CI 法により，IXSSの実験値が再現されています．（文献 [11]参照）したがって，この回答の正当性を示唆すると考えます．  ただし，この結論が一般化できるかどうかはわかりません．また，optical ELF から FPA で IMFP を計算する場合には，ELF のバンドギャップの効果は重要ですが，この評価は S(q) だけでは難しいように思います．  [査読者 2-9]  図 4 のようなデータによって，実用上，定量性がどのくらい向上するか，またはアカデミックな物理の深い理解につながるのか，等の見積もり（皮算用で結構）があると，研究の（方向性の）意義を読者に強く訴えることができるのではないか．  Journal of Surface Analysis, Vol. 30 No.1 (2023) pp. 2 – 14 田沼繁夫 表面電子分光法における信号の減衰は如何に記述されるか？ Ⅴ  - 14 - [著者]  𝑆(𝐪), 𝑆(𝐪, 𝐸) が整備されれば，電子や荷電粒子のIMFP や阻止能の計算の正確さは格段に向上すると思います．ただし，現状では Born 近似が成立するエネルギー領域に限定されます．電子の IMFP に限定すれば, 300 eV から 200 keV のエネルギー範囲では，現状の 10%程度の誤差（偏差）は数%以下のなると期待しています．  また，ここでは 𝑆(𝐪) を複素誘電関数の評価に応用したわけですが，その基礎になっている 𝑆(𝐪, 𝐸) は散乱を記述する基本的な物理量です．したがって，たくさんの研究がなされています．各種プローブと材料の散乱実験から得られる情報に関しては，先に上げた総説や解説を参照してください．