# Fileset

[Preprint 磁性粒子の物理と化学.pdf](https://mdr.nims.go.jp/filesets/4f713b1d-456a-4c06-a95a-69ff02d023eb/download)

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[間宮 広明](https://orcid.org/0000-0002-7840-3008)

## Rights

本稿は、学会誌フルードパワーシステム（https://jfps.jp/03_04.html） 掲載論文の再掲である。[In Copyright](http://rightsstatements.org/vocab/InC/1.0/)

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[磁性流体の物理と化学](https://mdr.nims.go.jp/datasets/66e3a2d1-8802-4856-9198-0bb1ceaf336d)

## Fulltext

<4D6963726F736F667420576F7264202D205072657072696E74208EA590AB97B18E7182CC95A8979D82C689BB8A772E646F6378>            1 磁性流体の物理と化学 2  3 物質・材料研究機構 4 間宮 広明 5  6  7 １．はじめに 8 磁性流体は，図１に示すように，文字通り磁石に吸い寄せられる液体である[1-3]．無重力での燃料輸9 送のために１９６０年代に NASA の Papell らがバルクの強磁性酸化鉄を粉砕して作製した磁性懸濁液10 に始まり，同時期に東北大学の下飯坂が化学的に合成した微小な強磁性酸化鉄ナノ粒子をコロイド溶液11 として安定に分散させたことで，実用材料として広く認知されるようになった[2]．磁石に引き寄せられ12 る液体という意味では，現在までに，ナノ粒子を含まない均一な組成の磁性イオン液体なども発見され13 ているが，磁場応答性の大きさなどの点から実際に使われてきたのはナノ粒子と適切な溶媒の複合材料14 であるコロイド溶液である[2]．その用途は，本特集号で様々な専門家が寄稿しているように多岐にわた15 っているが，特筆すべき点として液体磁石という他にはない性質から，流体を使う機器を新たに設計す16 る際にはその利用が一度は検討されることにある[3]．言い換えれば，特異性ゆえに非専門家の目にとま17 る材料ということである．そこで本稿では，そうした際の理解の一助となることを願い，磁性流体の基18 礎となる物理と化学について簡単に概説する． 19  20 ２．分散安定性の物理[4] 21 磁性流体中に強磁性粒子を分散させ複合材料として安定に保持するためには，鉄を多く含んで重い粒22 子を沈降させようとする重力に対してブラウン運動が卓越することが必須となる．仮に，Stokes の抵抗23 則が成立するとすると，水中の酸化鉄粒子の沈降速度は，粒径 d = 10 m で 2  10−4 m/s (~ 1 cm/min)， ま24            図１ 糸で吊り下げられたフェライト磁石に窒化鉄磁性流体が吸い上げられていく様子（文献１より転載）            た，d = 10 nm で 2  10−10 m/s (~ 1 cm/year)と粒径の逆２乗で長くなる．そして，粒径がある程度小さく1 なるとブラウン運動の効果が顕在化し，確率的に溶液上層に戻る粒子が出現する．Einstein の関係式か2 ら，温度 T の溶液中における体積 V の粒子の濃度は，粒子と溶媒との密度差rと重力加速度 g，ボルツ3 マン定数 kBを用いて，高さ z とともに exp[−(rVꞏg/kBT)ꞏz]で減少すると考えられる．したがって，酸化鉄4 粒子の場合，10−2 m の高さまで均一となるには，V ≪100kBT/rꞏg，すなわち 10 nm 程度まで小さくする5 ことが不可欠となる．粒子がナノサイズでなければならない大きな理由がここにある．  6 また，磁性流体が磁石の微粉末を懸濁したコロイドであることを想起すると，日常経験からも内部で7 粉同士がくっついてしまわないかは気になってくる．自発磁化 Ms の粒子の持つ磁気双極子モーメント8 の大きさは MsV であるから，N 極と S 極が相対した２つの粒子間の相互作用エネルギーは，粒子間の9 中心間距離 R が狭まるにつれ，(0/2)∙(MsV)2R−3 だけ低下する．ここで0は真空の透磁率である．例え10 ば，粒径 d = 10 nm の酸化鉄（Ms∼ 0.56 T）球状粒子の場合，R が 14 nm のときは 300 kBであるが，接す11 る(R = 10 nm)と 800 kBとなる．単純にこの値が熱エネルギーkBT を超えれば，粒子間吸引力が熱揺らぎ12 に打ち勝って分散が不安定になるというわけはではないが，なんらかのスペーサーが粒子間に必要であ13 ることを示唆している．実際には，van der Waals 力による凝集阻止も兼ねて，立体反発力を生む界面活14 性剤吸着層や電気的斥力を生む電気二重層で粒子表面を上手く被覆することで，粒子間にスペースを創15 り出し粒子の分散安定性を保っている． 16  17 ３．磁性体のサイズ効果[5] 18 前項でみたように，磁性流体に分散させる強磁性ナノ粒子は概ね 10 nm 程度でなければならない．こ19 のサイズは普段我々が目にする強磁性体である磁石と比べてはるかに微小であり，その性質が保たれる20 かどうかは明らかではない．まず，強磁性とは何かを誤解を恐れずにイメージでとらえれば，物質内の21 電子の自転/公転の軸と向きがミクロな量子力学的作用により自発的にある方向に揃い，結果として大22 きな磁化を持つ現象といえる．このとき，負に帯電した電子の公転面は周囲のイオンのからの電場で制23 約され，回転軸/磁気モーメントは特定の方向を向き易くなる（磁気異方性）．この結果，例えばマグネ24 タイト（磁鉄鉱）Fe3O4の場合，結晶の[110]方向より[111]方向に向いたほうが 1 原子あたり 0.018 kB程25 度エネルギーが低くなる．これは室温での熱揺らぎと比べ小さく，各原子の磁気モーメントが個別に運26 動している常磁性状態ではその向きに制約がかかることはない．ところが，アボガドロ数 1023のほどの27 磁気モーメントが向きを揃えて一斉に運動する強磁性体の磁石では，このエネルギー差 EAは 1022 kBと28 なるため磁気モーメントは磁気異方性の磁化容易方向に完全に固着され，熱活性化過程でその障壁を超29 える確率 f0ꞏexp(−EA/kBT)は f0ꞏexp(−1021)となる（ここで頻度因子 f0は歳差運動周波数程度∼ 1 GHzの定数）．30 この不変性から磁鉄鉱を用いて古地磁気を数億年にわたってたどることができる．一方，10 nm の真球31 形状のマグネタイト粒子には約２万個の原子しかない．この場合 EAは単純計算で 360 kBとなるため，32 反転の頻度は 108 /sec にも達し，通常の測定法では計測時間中に反転が頻繁に起きるため磁化が零であ33 るようにみえてしまう．これは，常磁性状態で各原子上の磁気モーメントが揺らぎ，磁化が零となるこ34 とと類似するため，超常磁性状態と呼ばれる． 35 このように強磁性体であっても，ナノサイズになると磁化を保持することはできず，永久磁石のよう36 に鉄を引き付けることはない．一方，外部から磁場Hを印加すると，各粒子でHと磁気モーメントの37 なす角によってゼーマンエネルギーに−MsVHcosだけ差が生じるため，の配向分布が現れる．この振38 舞はやはり常磁性状態の磁気応答と同様にモデル化でき，磁場によって誘起される磁化の強さ M は，39 Langevin 関数を用いて次のように記述される． 40             1 M  =  n∙MsVꞏL(MsVH/kBT)   （１） 2  3 ここで，n は粒子数密度である．図２にこの誘起磁化の印加磁場依存性を示す．グラフの右及び上の4 メモリは粒径 10 nm のマグネタイトナノ粒子を体積分率 10 %で分散させた場合の磁化曲線であるが，5 個々の粒子が原子と比べて大きな磁気モーメントを持つことを反映し，永久磁石でも発生可能な外部磁6 場(0H ~ 100 mT)でかなりの磁化(M > 10 mT)が生じることがみてとれる．これらの大きさは 1 mT 以下7 の磁場で 1 T 以上の磁化を生じる固体の軟磁性材料には及ばないものの，永久磁石を用いた磁気回路の8 1 mm 以下の間隙に吸着した磁性流体が大気圧の数分の一の圧力を受けても保持される強度に相当する．9 これは，磁気シールのような工学的な用途にも設計次第で十分使用可能な実用性のある磁気特性である． 10   11 ４．磁性体ナノ粒子の合成[5] 12 磁性流体は，強磁性ナノ粒子と分散媒からなる複合材料であり，その磁気特性と流動特性は，それぞ13 れ強磁性ナノ粒子の質と量，および分散媒に依存する．用途によっては，粘性に加えて耐熱性や揮発性14 が重要とされるため，分散媒には様々な液体が用いられる．一方，分散質には，磁気特性に加え耐久性15 や経済性が求められることが多く，マグネタイトなどの酸化鉄が使用されることが一般的である． 16 マグネタイト粒子の合成方法としては多様な手法が存在するが，ここでは簡便で広く使われてきた共17 沈法を紹介する．この方法では，塩化第一鉄と塩化第二鉄を 1：2 のモル比で溶解し，そこに苛性ソー18 ダを添加し，攪拌・加熱することでマグネタイト微粒子を得ることができる： 19  20                     図２ 超常磁性状態の磁性ナノ粒子に磁場を印加した際の磁化の変化の様子 右及び上のメモリは粒径 10 nm のマグネタイトナノ粒子を体積分率10 %で分散させた場合の計算値            FeCl2＋2FeCl3＋８NaOH→Fe3O4＋８NaCl＋４H2O 1  2 この反応では，鉄塩濃度およびアルカリの量，温度などの条件を調整することで，生成される粒子径3 をある程度制御できる．しかし，無溶媒熱分解法[6]などの新しい合成法と比較すると，粒子の大きさや4 形状を均一に揃えることは難しいとされる． 5 さて，こうした方法で量産されてきた酸化鉄ナノ粒子を用いた磁性流体であるが，前節の磁気シール6 への応用において一段だけでは真空を保持できないことに典型的に現れているように，液体の磁性体と7 して多方面で実際に使おう設計を始めると磁気特性の不足を感じることも少なくない．磁気特性といっ8 ても，磁化の容易さである透磁率や最終的な磁化の強さである飽和磁化など用途によって要求は異なる9 が，（１）式あるいは図 2 をみると，いずれにも磁性体の自発磁化 Msが大きく寄与する特性であること10 が分かる．酸化鉄と比較して大きな Msを持つ金属鉄の Msは 2.2 T に達するが，ナノ粒子では表面にあ11 る原子の割合が大きく，鉄は容易に酸化されてしまう．そこで，試みられたのが純鉄より酸化耐性の高12 い鉄合金や鉄化合物を分散質として用いることである．こうした研究では多数の成果が報告されてきた13 が，ここではまず筆者が少し関わった気相液相反応を用いた窒化鉄ナノ粒子の合成[7]を例に取り上げる．14 この方法では，鉄カルボニル Fe(CO)5と界面活性剤を溶かしたケロシン溶液に，NH3/N2混合気体を吹き15 込み９０℃まで昇温し前駆体の鉄アンミンカルボニル化合物を形成する．そして，この前駆体を１８16 ５℃まで加熱すると熱分解を起こし ε 相の窒化鉄 ε-Fe3N が生成される．このとき，溶液中の界面活性17 剤によって粒成長や粒同士の合体が抑制され，均一な窒化鉄ナノ粒子を得ることができる．この方法で18 中谷らは，分散後の流体状態で 0.2 T を超える飽和磁化と 100 を超える初透磁率を持つ磁性流体の作製19 に成功した[7]．これらの磁性流体が作製されて 30 年が経った今でもスクリュー瓶に保存された試料は20 褐色化することなく液体状態を保っており，純鉄ナノ粒子と比べ安定性の向上が確認できる．また最近21 では，酸化物シェルなどを意図的に制御した複合ナノ粒子をつくりだし，コアの部分の高 Ms と併せて22 酸化耐性と磁気特性を両立させようという研究も盛んに行われている[8]．こうした実験室レベルでの取23 り組みにより大気中でもある程度安定な強磁性金属ナノ粒子が散見されるようになったが，過酷な実働24 環境で長期間の品質保証が必要な産業用途での利用は進んでいない．むしろ，効能が要求される機関が25 短い医療用途のほうがこうした金属系ナノ粒子の実用化は早いかもしれない． 26  27 ５．おわりに 28 第２節で議論したように，磁性流体を安定に保持するためには，微小な粒子を用いるとともに，粒子29 表面の界面活性剤の修飾状態や帯電状態を適切に制御することが必須となる．ここには，現代のコロイ30 ド化学の知見が大きく活かされているのであるが，誌面の都合でその詳細は成書[2,5]に譲り，ここでは31 磁性流体開発の今後についての期待を述べたい． 32 磁気特性の基礎式である（１）式に注意を戻すと，性能向上の因子として Ms に加えて粒子サイズ V33 があることがわかる．本稿では粒子サイズは沈降や凝集を防ぐ基準を約 10 nm としたが，これまでの研34 究からこの閾値は 15-20 nm の間にあると考えられるようになってきた[9]．一方，共沈法で量産された35 磁性流体中には大小の不揃いの粒子が含まれることを鑑み，それらは平均サイズが 10 nm 以下となるよ36 う調整されている．このことから，10-15 nm の粒径/形状の揃った粒子を低コストで量産できれば，こ37 れまでより一段上の磁気特性を持つ磁性流体となることが期待できる．もちろん，これは多くの研究者38 が不断の努力を続けてきたテーマであり，にわかに実現できるとは思わないが，いつかそうした努力が39 実を結んだ暁には磁性流体の用途は大幅に拡がるに違いない． 40 41            参考文献 1  2 1）中谷功，金材技研ニュース no. 4, p.1 (1990). 3 2）山口博司：磁性流体，森北出版 (2011). 4 3）間宮広明 岩本悠宏：磁性流体研究の新展開 I，磁性流体研究連絡会, (2015) 5 4）間宮 広明： 磁性微粒子：微粒子・クラスター. 磁気便覧 pp. 186-192, 丸善 (2016). 6 5）Jeyadevan Balachandran, 間宮広明：磁性流体用磁性微粒子. 磁気便覧. pp. 436-444, 丸善 (2016). 7 6）Mamiya H. et al,: Estimation of Magnetic Anisotropy of Individual Magnetite Nanoparticles for 8 Magnetic Hyperthermia. ACS Nano. Vol. 14, pp.8421-8432 (2020). 9 7）Nakatani I., Hijikata, M,, Ozawa, K.: Iron-nitride magnetic fluids prepared by vapor-liquid reaction and 10 their magnetic properties, J. Magn. Magn. Mater Vol.122 pp.10-14 (1993). 11 8）Herman D. A. J. et al., : Hot-injection synthesis of iron/iron oxide core/shell nanoparticles for T 2 12 contrast enhancement in magnetic resonance imaging,” Chemical Communications, vol. 47, no. 32, 13 pp. 9221–9223, 2011.  14 9）Mamiya H., et al,: Macroscopic and Microscopic Structural Analyses of Needle-Shaped Condensed 15 Phases in Magnetic Fluids under External Magnetic Fields. J. Phys. Chem C, Vol. 125, pp. 740-748 16 (2021)  17   18