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[2022JJSocPowPowMetall(Koyama)_NdFeB.pdf](https://mdr.nims.go.jp/filesets/4b8c879c-58c4-442e-8fad-2ecd8218283a/download)

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小山 敏幸, 塚田 祐貴, [阿部 太一](https://orcid.org/0000-0002-5065-0939)

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[Creative Commons BY-NC-ND Attribution-NonCommercial-NoDerivs 4.0 International](https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/)

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[計算熱力学と組織形成シミュレーションに基づくNd-Fe-B系磁石における粒界相の役割解明](https://mdr.nims.go.jp/datasets/8b5a7042-06b3-48c1-a334-28a0281f196e)

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jjspm69-Supplement-S63S632022年 1月J. Jpn. Soc. Powder Powder Metallurgy, 69 (2022) S63-S73https://doi.org/10.2497/jjspm.69.S63©2022 Japan Society of Powder and Powder Metallurgy研究論文計算熱力学と組織形成シミュレーションに基づくNd-Fe-B系磁石における粒界相の役割解明小山　敏幸1*，塚田　祐貴1，阿部　太一21東海国立大学機構名古屋大学大学院工学研究科材料デザイン工学専攻，〒 464-8603名古屋市千種区不老町． 2物質・材料研究機構構造材料研究センター計算構造材料グループ，〒 305-0047つくば市千現 1-2-1．Computational Thermodynamics and Microstructure Simulations  to Understand the Role of Grain Boundary Phase in Nd-Fe-B Hard MagnetsToshiyuki KOYAMA1*, Yuhki TSUKADA1 and Taichi ABE21Department of Materials Design Innovation Engineering, Graduate School of Engineering, Nagoya University,  Furo-cho, Chikusa-ku, Nagoya 464-8601, Japan. 2Computational Structural Materials Group, Research Center for Structural Materials, National Institute for Materials Science,  1-2-1 Sengen, Tsukuba 305-0047, Japan.Received March 26, 2021; Accepted May 27, 2021ABSTRACTTo control the coercivity of Nd hard magnets efficiently, the thermal stability of constituent phases and the microstructure changes observed in hard magnets during thermal processes should be understood.  Recently, the CALPHAD method and phase-field method have been recognized as promising approaches to realize phase stability and microstructure developments in engineering materials.  Thus, we applied these methods to understand the thermodynamic feature of grain boundary phase and the microstructural developments in Nd-Fe-B hard magnets.  The results are as follows.  1) The liquid phase is a promising phase for covering the Nd2Fe14B grains uniformly.  2) The metastable phase diagram of the Fe-Nd-B ternary system suggests that the tie line end of the liquid phase changes drastically depending on the average composition of Nd.  3) The Nd concentration in the grain boundary phase can reach 100 at% if the volume fraction of the grain boundary phase is constrained.  4) The effect of Cu addition to the Nd-Fe-B system on the microstructural morphology is reasonably modeled based on the phase-field method.  5) The morphology of the liquid phase can be controlled using phase separation in the liquid phase and the grain size of Nd2Fe14B phase.KEY WORDSphase transformation, phase diagram, CALPHAD method, phase-field method１　緒　　　言焼結Nd2Fe14B硬質磁石は，1984年に佐川によって発見されて以来，最強の永久磁石として改良が続けられている1)．希土類硬質磁石の保磁力は，その内部構造に大きく依存することが知られており，Nd-Fe-B系硬質磁石の高い保磁力は，Nd2Fe14Bの結晶粒を均一に覆う薄い粒界相に起因している2-4)．本研究では，この粒界相に着目し，CALPHAD法5,6)を用いた計算熱力学と，フェーズフィールド法7-9)を用いた組織形成シミュレーションにより，その熱力学的安定性と微細組織の形成過程について検討した．粒界相に関するこれまでの研究から，高保磁力を得るための必要条件は以下のようにまとめられる3,4)．（1）高い磁化を達成するために，Nd2Fe14B相の体積分率が大きい（粒界相の体積分率が低い）ことが必要．（2）Nd2Fe14Bの結晶粒は薄い粒界相で均一に覆われている こと．（3）粒界相が非磁性または弱強磁性の状態にあること．（4）Nd2Fe14B相の結晶粒サイズが小さいこと（保磁力 μ0Hc > 2(T)を達成するためには，粒サイズは 1 μmよりも小さいことが望ましいとされている4)）．なおNd2Fe14B相の磁化容易軸を揃えること，Nd2Fe14B相の* Corresponding author, E-mail: koyama@material.nagoya-u.ac.jp本論文のオリジナルの論文は，“Science and Technology of Advanced Materials (STAM)”, Vol. 22, No. 1, pp. 1-13に掲載済みである．S64「粉体および粉末冶金」第 69巻 Supplement小山　敏幸，塚田　祐貴，阿部　太一結晶粒形状を制御すること，またクラックやボイドなどの欠陥を低減することなど，他の要件については，粒界相が関与する組織形態変化とは直接関係がないため本研究では除外 した．硬質磁石の内部組織を効率的に制御するためには，構成相の熱力学的安定性と，その熱処理プロセス中に磁石内で観察される微細組織変化を理解する必要がある．近年，CALPHAD法やフェーズフィールド法が，材料の相安定性や組織変化を解析する有効なアプローチとして注目を集めており7-9)，本研究ではこれらの手法を活用して，保磁力制御を念頭に，粒界相の特徴やその組織形態変化を追求した．Nd-Fe-B磁石における粒界相の役割を理解するため，Fig. 1にネオジム磁石の微細組織の概略図，および以下の①～④の四課題を示す．なお Fig. 1ではNd2Fe14B相（以下 T1相と記す）と液相（粒界相）のみを考慮し，他の化合物相は対象外とした．「①粒界相となるための条件は何か．」液相が粒界相に適している理由がセクション 2にて説明される．「②粒界相の組成はどのようにして決まるか．」粒界相の組成を推定するための平衡論的アプローチ，および準安定の立場からのアプローチについてセクション 3にて説明する．「③ T1結晶粒の粒界領域における液相の形成ダイナミクス．」セクション 4では，組織形成過程をフェーズフィールドシミュレーションにて解析する．「④粒界相の形態に影響を与える因子について．」セクション 5において，液相の相分離や T1相の結晶粒サイズが粒界相の組織形態に及ぼす影響について検討する．２　粒界相として機能するための物理的条件高い保磁力を得るためには，Nd2Fe14B相の特徴的な組織形態，すなわちNd2Fe14B相の結晶粒界が粒界相の薄膜で均一に覆われている組織形態，が望ましいことが知られている．しかし焼結したままの状態では，磁石の内部組織に粒界相は存在しない．薄い粒界相は，焼結後の最適化熱処理プロセスにて導入される3,4)．最適化熱処理プロセスでは，状態図上のNd2Fe14B相と液相の二相領域内で時効処理されるため，多結晶Nd2Fe14Bの粒界に液相が現れる3,4)．さらにNd2Fe14B結晶粒を液相が均一に覆うために，液相の高い濡れ性が重要な役割を果たしている．濡れ性はヤングの式（式 (1)）で定義される接触角 θによって評価される10)．Fig. 2は界面エネルギー間のバランスを示した図で，σGBと σSLはそれぞれ粒界エネルギーと固相/液相界面エネルギーであり，変数 θ，σGB，および σSLの関係は以下のように与えられる．GBGB SLSL2 cos( ), 2cos( ) 2.σσ σ θ θσ      (1)Al，Cu，および Feなどの一般的な金属の界面エネルギーの実測データから σGB/σSL ≅ 1.5～3.0であり，粒界に液相が存在する場合，接触角 θが小さくなることが知られている11,12)．この特徴は Fig. 2 (b)にて定性的に説明することができる．粒界相モデル12,13)（セクション 3を参照）などの現象論的な熱力学モデルでは，粒界は薄いアモルファス相とみなされる場合が多く，そこでは液相のギブスエネルギーがアモルファス相のギブスエネルギーとして用いられる12,13)．したがって，固体/アモルファスの界面エネルギーσSAは，σSLにて近似できると考えられる．これは，接触角が θ ≅ 0となることを意味するので，液相はNd2Fe14B相の結晶粒を均一に覆うための優れた相であることがわかる．したがって，液相はNd磁石の粒界相として本質的に有望な相であるという結論が導かれる．さらにNd2Fe14B相と液相の間の相平衡を活用して最適化熱処理プロセスにて内部組織を制御するには，Nd2Fe14B相の熱力学的安定性を高めることが肝要である．一般に液相は高温安定相であるため，Nd2Fe14B相が準安定相または不安定相であった場合，熱力学的にNd2Fe14B相と液相が平衡するプロセス条件を見出すことは困難である．ほとんど全ての準安定相は，液相と接触すると容易に安定相に変化してしまうからである．最近，Nd2Fe14B相におけるBの役割が，第一原理電子状態計算に基づき解明され，Nd2Fe14相にBを添加すると，Nd2Fe14Bの生成エネルギーが大幅に減少することが示された14)．つまり，このことがNd2Fe14B相を，高温で液相と共存できる安定相に変えたわけである．液相を粒界相として利用する場合，磁性相の熱力学的安定性を高めることは非常に重要な視点である．さて，粒界相は非磁性または弱磁性の状態であることが望ましい3,4)．組成から磁化をおおよそ推定できるので，粒界相Fig. 1 � Schematic illustration of the microstructure in Nd magnet, where only a Nd2Fe14B phase (T1 phase) and a liquid phase (grain boundary phase) are considered. Items①, ②, ③ and ④ are the four issues discussed in this study.Fig. 2  Schematic explaining the balance between interfacial energies.S652022年 1月計算熱力学と組織形成シミュレーションに基づくNd-Fe-B系磁石における粒界相の役割解明の組成を計算から求めることは有益であろう．このアプローチについて次のセクションにて説明する．３　粒界相の組成ここでは，従来のCALPHAD法，および粒界相モデルの考え方に基づき改良されたフェーズフィールド法，を用いて粒界相の組成の計算を行った12,13)．実際のネオジム磁石は多元系合金であるが，本項では簡単のために Fe-Nd-Bの三元系を計算対象とした．3.1 準安定状態図Fig. 3は，1275 Kにおける Fe-Nd-B三元系平衡状態図の計算結果で15)，T1はNd2Fe14B相，緑の直線はタイラインである．Nd2Fe14B相は熱力学的安定性が高く，高温（1275 K）において液相と平衡することがわかる．ネオジム磁石の保磁力を最適化するための実用的な熱処理では，873 K付近にて時効処理することにより T1多結晶の粒界に薄い液相が形成される．したがって，873 Kにおける T1相と液相の準安定平衡を理解することは重要である．Fig. 4は，T1（Nd2Fe14B相）と L相（液相）の二つの相のみを考慮して，CALPHAD法に基づき 873 Kでの準安定状態図を計算した結果であり16)，細い直線は T1相と液相を結ぶタイラインである．873 Kにおいて T1相とNdに富む液相の間に準安定平衡が存在すること，あわせて Fig. 4から準安定液相の組成も容易に知ることができる点に注意されたい．状態図上の色付き記号は，これまで実験的に得られている粒界相の組成16)を示している17-24)．記号の位置が状態図上で散らばっているが，全ての記号は（T1 + L）二相領域内に含まれており，粒界相が準安定の液相に関係していることが理解できる．ネオジム磁石内部の大部分の領域は T1相であるため，Ndの合金組成は，（T1 + L）領域内で T1相の化学量論的組成の近傍に位置する．したがって，液相側のタイラインエンドは，粒界位置を中心としたその周辺のNdの局所平均組成に応じて大きく変化すると考えられる．希土類磁石では通常，Ndの酸化は避けられないので25)，酸化反応によって局所的なNd組成がわずかに低下すると，準安定な液相のNd組成が大きく変化することとなり，これが Fig. 4において記号位置が散らばる原因と推察される16)．3.2 粒界相内におけるNd組成の計算上述のように準安定状態図は有用であるが，以下に示すさらなる改良が可能である．ここではHillertによって提案された粒界相モデルの考え方を援用してフェーズフィールド法を改良することにより，粒界相の組成の計算を試みた12,13,16)．Fig. 5は，T1相と粒界相を含む組織の模式図である．粒界相の幅は約 3 nm程度で，粒界相はアモルファス状態となることが実験的に確認されている26)．通常の状態図計算では，構成相の体積分率は変数であるが，Fig. 5では粒界相の幅が固定されているため，粒界相の体積分率も固定される．体積分率一定の拘束条件での相平衡は，Hillertによって提案された粒界相モデル（粒界偏析の評価を目的に提案された手法である）に基づき理論的に計算され，そこではギブスエネルギー曲線への平行接線則が使用される12,13)．ギブズエネルギー曲線への平行接線則は，体積分率が一定である制約下でのギブズエネルギー最小化と数学的に等価である．したがって，粒界相の組成は，粒界相の体積分率を一定に保つことを強制するペナルティー項を含む全自由エネルギー汎関数を用いて，フェーズフィールド法に基づき定常状態の濃度プロファイルFig. 3 � Equilibrium phase diagram of Fe-Nd-B ternary system at 1275 K, derived based on the CALPHAD method15).Fig. 4 � Metastable phase diagram of Fe-Nd-B ternary system at 873 K, which indicates the phase equilibria between T1 phase (Nd2Fe14B) and L phase (liquid)16).Fig. 5 � Schematic of the polycrystalline microstructure utilized to calculate the concentration in the grain boundary phase.S66「粉体および粉末冶金」第 69巻 Supplement小山　敏幸，塚田　祐貴，阿部　太一を算出することにより求めることができる．式 (2)は全自由エネルギー汎関数で，積分の最後の項が体積分率拘束に関するペナルティー項である．1T GBP 2c 0 c1sys 20 01 1( , ) ( ) ( , ) ( )1 ,1 1 1 ( )2 2NiiN Nij i j ij i ji j ih G c T h G c T κ cG dVκ W B h d fV                                  rrrr   (2)ϕ0(r,t)は粒界相のフェーズフィールドであり，物理的には，位置 rおよび時間 tにおいて組織内に粒界相を見出す確率を意味している．f0は粒界相の体積分率，ϕi(r,t)(i = 1~N)は T1相のフェーズフィールドで，下付き添え字 iは，異なる結晶方位を持つ T1粒を区別するための整数である．GcT1 (c,T )とGcGBP (c,T)は，それぞれ T1相と粒界相のギブズエネルギーで，局所組成 cと温度 Tの関数である．h(ϕ)は通常のフェーズフィールド法で定義される単調増加関数であり，κ， κij，ならびにWijは，それぞれ，濃度勾配エネルギー係数，フェーズフィールドの勾配エネルギー係数，および結晶方位の異なる T1相間の空間的重なりを禁じるエネルギー障壁である．Vは材料全体の体積で，Bはペナルティ項の寄与を調整する正の定数である．粒界相の組成については，長時間のフェーズフィールドシミュレーションから得られる定常濃度プロファイルを用いて決定される．また本計算で使用した物質定数値は，κ = κij = 4.0 × 10−15[Jm2/mol]，Wij = 1.0 × 104(J/mol)，および B = 1.0 × 109(J/mol)，であり，シミュレーション手法については通常のマルチフェーズフィールド法を採用した．詳細に関しては文献 (7-9)を参照されたい7-9)．なお本計算では，粒界相の体積分率が固定されているため，Fig. 5の組織形態も固定されており，濃度場のみがシミュレーション中に変化し定常状態に至る．Fig. 6に，873 Kにて計算した Fe-B-Nd合金の粒界相付近における定常濃度プロファイル（一次元シミュレーション）を示す16)．合金組成については，B組成を 5 at%と固定し，Nd組成を 12～15 at%と変化させた．粒界相は各濃度プロファイルの中心に位置し，粒界相の幅を 3 nmに固定した．赤と青の曲線は，それぞれNdとBの濃度プロファイルであり，粒界相のギブズエネルギーについては，液相のギブズエネルギーを採用した．なお本計算で使用したギブズエネルギーの熱力学パラメータはAppendix Aにまとめられている．さて興味深い点は，Ndの合金組成が 15 at%から 12 at%にわずかに変化するだけで，粒界相内のNd組成が 100 at%から 30 at%に急激に減少する点である．つまり粒界相のNd組成は，Nd合金組成のわずかな変化で大きな影響を受ける．準安定状態図（Fig. 4）では，粒界相の平衡Nd組成は約80 at%であったが，粒界相の体積分率を拘束した Fig. 6では100 at%に達した（Fig. 6 (a)）．一方，Fig. 6 (d)では，粒界相内の Fe濃度は約 60 at%で，これは Feの合金組成の 83%に相当し，粒界相が強磁性状態にあることを示唆しており，磁石の保磁力低下の原因となることが予想される26)．したがって，T1相の粒界周辺におけるNdの局所平均組成を慎重に調整することが，高性能ネオジム磁石開発のキーポイントであろう（この結論は 3.1で得られた示唆と同じである）．ところで，粒界相のNd組成が準安定状態図で計算されたNd組成を上回った理由は，二つのギブズエネルギー曲線への平行接線則をイメージすると容易に理解できる13)．液相への共通接線の接点（すなわち液相の平衡組成）を基準に，液相が平衡体積分率よりも小さな体積分率に拘束されているような場合，平行接線の接点は二相領域の外側に移動しなければならない．これは液相内のNd組成が高くなることを意味する．また本項で用いた計算方法は，数学的にはラグランジュ乗数法とほぼ等価である．式 (2)の勾配エネルギー項を無視すると，粒界相の体積分率を固定して式 (2)を最小化することで，ギブスエネルギー曲線に平行接線を引くHillertの粒界相モデル（平行接線則）が直接導かれる．本計算モデルの利点は，勾配エネルギーの影響まで考慮できる点である．Hillertの粒界相モデルと本シミュレーション手法の関係については，文献 (16)を参照されたい．４　組織形成シミュレーションここではフェーズフィールド法27-29)に基づき，ネオジム磁石の内部組織変化（T1相，Nd固相，および液相を考慮）に対し，等温時効における二次元シミュレーションを行った．Fig. 6  One-dimensional simulation of the steady-state composition profiles across the grain boundary region at 873 K16).S672022年 1月計算熱力学と組織形成シミュレーションに基づくNd-Fe-B系磁石における粒界相の役割解明液相を粒界相とし，T1相の結晶粒界における液相の形態変化に着目した．さらに組織形成に及ぼすCu添加の影響について考察を行った24)．なお本計算では，拡散係数やフェーズフィールドの易動度等の速度論的パラメータを一定と仮定している（Appendix A参照）．したがって計算結果は，主に組織形成時のギブスエネルギーおよび界面エネルギー変化に起因する駆動力に影響される．また本研究では，駆動力の組織形成への影響を理解することに重点を置くので，熱処理プロセスの実時間についての議論は行わない．4.1 計算条件Fig. 7は，本計算に用いた初期組織で，Fig. 7 (a)の白い部分が T1相，灰色の部分がNd固相であり，灰色の直線はT1結晶粒界を示している．Fig. 7の組織形態は，通常のマルチフェーズフィールド法による結晶粒成長のシミュレーション8)を用いて作成したもので，簡単のため等方的な形態を想定し，またNd固相の位置については人為的に割り当てた．本計算では，Fe-Nd-B三元系と Fe-Nd-B-Cu四元系を対象とした．Fe-Nd-B三元系の場合，合金組成を Fe-15.3 at%Nd-5 at%Bとし，初期組織（Fig. 7）の T1相とNd固相の溶質組成を，それぞれ Fe-12.0 at%Nd-5.2 at%B，および純Ndとした（T1相の組成については，合金組成を再現するように設定した）．一方，Fe-Nd-B-Cu四元系の場合，合金組成は Fe-15.3 at%Nd-5 at%B-0.20 at%Cuであり，T1相とNd固相の組成を，それぞれ Fe-12.0 at%Nd-5.2 at%B-0.21 at%Cu，および純Ndとした．また初期状態において，T1結晶粒の粒界の組成は T1相と同じと仮定した．さらに T1結晶粒の全ての粒界三重点に液相の核を導入した．個々の液相核の大きさは，フェーズフィールドシミュレーションに用いた有限差分法の 1ピクセルとし，また液相核のフェーズフィールド値を1とした．粒界位置に沿った液相形成の時間発展過程の計算については，以前提案したシミュレーション手法30)を採用した（詳細については文献 (30,31)を参照されたい）．また本研究で使用したギブズエネルギーの熱力学的パラメータおよび材料パラメータをAppendix Aに示す．4.2 計算結果Fig. 8は，Fe-15.3 at% Nd-5 at% B合金の 873 K等温時効における二次元シミュレーション結果で，上段と下段がそれぞれフェーズフィールドおよび濃度場である．フェーズフィールドの表示は Fig. 7と同じであるが，図中の黒い領域は液相である．また図中の t’で示した数字は無次元の時効時間である．時効初期にNd固相が溶解し始めるとともに，粒界位置に液相が現れる．時効に伴いNd固相は徐々に消失していき，Ndに富む液相が粒界領域に沿って浸透していく．その後，液相は粒界の三重点位置に凝集する30,32)．Fig. 9は，Fe-15.3 at% Nd-5 at% B-0.2 at% Cu合金について，Fig. 8と同じ条件で計算した結果である．T1結晶粒が液相で均一に覆われる特徴的な組織が形成されており興味深い．Cu-Nd二元系平衡状態図には共晶反応が存在し，またCuを添加すると液相の融点が下がることが実験的に明らかになっている33)．Cu添加により液相の熱力学的安定性が向上し液相の融点が低下すると，Fig. 2で説明した界面エネルギーも低下し，接触角が小さくなると考えられ，この効果によって特徴的な組織形態（液相によって T1結晶粒が均一に覆われた状態）が安定化したと推察される．Fig. 7 � Initial microstructure utilized in the phase-field simulation, where the white and gray parts in (a) are the T1 phase and the Nd solid phase respectively, and the red color in (b) indicates the local Nd composition.Fig. 8  Phase-field simulation of the microstructure changes of Fe-15.3 at% Nd-5 at% B alloy with isothermal aging at 873 K.S68「粉体および粉末冶金」第 69巻 Supplement小山　敏幸，塚田　祐貴，阿部　太一フェーズフィールド法の計算理論において，界面エネルギーは，界面領域におけるギブスエネルギーと勾配エネルギーの和として定義されている．Fig. 8と Fig. 9の計算で勾配エネルギー係数には同じ値を用いているので，Fig. 8とFig. 9の液相の挙動の違いから，界面領域のギブスエネルギーがCu添加の影響を受けていると理解できる．前述したようにCu添加により液相の融点が下がり，液相のギブスエネルギーが低下する．その結果，界面領域の局所的なギブスエネルギーが低下して，界面エネルギーが減少したと考えられる．またこの効果が，本シミュレーションにおいて自動的に取り込まれている点を強調したい．フェーズフィールドシミュレーションは，ネオジム磁石で観察される粒界相を伴う組織変化を理解する上で有用なアプローチであろう．５　考　　　察ここでは液相の組織形態安定性に注目し，液相の相分離やT1相の結晶粒サイズが液相の組織形態変化に及ぼす影響を，フェーズフィールドシミュレーションに基づき考察した．なお組織変化を簡潔に理解するため，以下では液相と T1相の二相のみを考慮し，Nd固相は考慮していない．5.1 液相の二相分離Fig. 10は，Fe-16 at% Nd-5 at% B-0.5 at% Cu合金の 873 K等 温時効における，粒界領域での液相組織形成シミュレーション結果で，図の上段，中段，および下段は，それぞれフェーズフィールド，Nd濃度場，およびCu濃度場であり，局所濃度は色の明るさで表現している（Fig. 10のカラースケール参照）．Fig. 10 (a)の初期組織に関しては，濃度場は均一で，また液相核が導入されている状態であり（液相核の導入箇所については，矢印位置を参照），液相核内部のフェーズフィールド値を 1と設定した．T1多結晶の組織形態の設定については，Nd-Fe-B熱間加工磁石で観察される異方的な組織形態を参考にした34)．さてNdとCuは時効時に主として液相側に分配されることが知られている．Fig. 10 (e)においてNdとCuの局所濃度に注目すると，T1多結晶の三重点位置と粒界位置とで，赤の明るさが異なっていることがわかる．これは，液相内において液相の二相分離が生じているためであり，以下ではこの相分離が液相の形態安定性に及ぼす影響について考察した．Fig. 11 (a)は，Fig. 10 (e)と同じ組織（Nd濃度場）であり，右側は濃度場の表示を変えた図である．青と赤の部分は，それぞれ Feに富む液相（L1）とNd-Cuに富む液相（L2）である．液相の二相分離がすでに Fe-Cu-Nd状態図の熱力学的アセスメントにおいて報告されていることから35)，Fig. 11 (a)で観察された液相の相分離はCu添加によるものであることFig. 9  Phase-field simulation of the microstructure changes of Fe-15.3 at% Nd-5 at% B-0.2 at% Cu alloy with isothermal aging at 873 K.Fig. 10 � Phase-field simulation of the liquid phase formation in Fe-16 at% Nd-5 at% B-0.5 at% Cu alloy with isothermal aging at 873 K. The liquid phase nucleus was initially introduced at the horizontal grain boundary region.S692022年 1月計算熱力学と組織形成シミュレーションに基づくNd-Fe-B系磁石における粒界相の役割解明が推察される．Fig. 11 (b)は，Cu組成に対して L1と L2の各液相の相分率をCALPHAD法を用いて計算した結果である．L2相の相分率はCu組成の増加に伴い徐々に増加する一方，L1相の相分率は徐々に減少し，液相の全相分率はCu組成の影響をあまり受けていない．液相全体の相率を高めるには，合金組成中のNdとCuの濃度を同時に増加させることが必要である．Fig. 11 (a)に示す組織では，L2相は主に T1結晶粒の三重点位置に存在し，L1相は T1結晶粒の粒界位置に存在する．個々の液相のこのような配置は，液相の粗大化を遅らせる可能性があると思われる．L1相が粗大化するプロセスを考えると，L1相は L2相を越えて移動しなくてはならず，粗大化の際に L1相と L2相が互いに移動を阻害し合うこととなる．したがって，液相の相分離は，特徴的な組織形態（T1結晶粒が液相に均一に覆われた状態）を，時間的に安定させるのに寄与すると考えられる．次に液相核の位置の影響を検討するため，Fig. 12のように初期に導入する液相核の位置を変えた計算を行った（Fig. 12 (a)の矢印参照）．他の計算条件は Fig. 10の場合と同じである．興味深い点は，Nd-Cuに富む液相（L2相）が，Fig. 10の場合と同様に，主に T1結晶粒の三重点付近に形成された点である．しかし L2相の幅は Fig. 10の場合と比べ相対的に大きくなった．これは Fig. 12において，L2相が三重点付近に存在する状態が長時間維持されたためと思われる（Fig. 10の場合と比較して，Fig. 12では三重点付近に液相の初期核が置かれている）．L2相が T1結晶粒の三重点を優先的に占める理由については現在検討中であるが，次のような説明が考えられる．L2相のNdとCuの組成が L1相よりも高いので，L2相のギブスエネルギーは L1相よりも低くなっていると思われる．また一般的に結晶粒界の三重点の界面エネルギーは高い．したがって L2相がこの三重点領域を占めた方が，L1相が占める場合に比べてより界面エネルギーが低くなると考えられる．フェーズフィールド法では，自動的にエネルギーの低い状態を見つけるように組織は変化するので，T1結晶粒の三重点における L2相の優先的な占有が自発的に算出されたと推察される．5.2  T1相の結晶粒サイズの影響Fig. 13は，Fe-15 at% Nd-5 at% B-0.2 at% Cu合金の 873 K等 温時効における，液相組織形成の計算結果で，T1結晶粒の初期組織を，簡単のため単純なハニカム形態とし，また (a)の結晶粒サイズを (b)のそれよりも大きく設定した．他の計算条件は，Fig. 10の場合と同じである．Fig. 13 (b)では，T1結晶粒界の大部分が液相に覆われていない．T1結晶粒の平均サイズが小さいと，材料中の全粒界面積が大きくなるので，T1結晶粒を均一に覆うためには，多量の液相が必要となる．つまり理想的な組織（T1結晶粒が粒界相で均一に覆われている組織）を実現する，適切な合金組成と最適な熱処理条件は，T1相の結晶粒サイズと形状に依存する．T1相の結晶粒サイズの減少が，ネオジム磁石の保磁力向上に寄与することが報告されており3,4)，シミュレーションを用いた組織形態の最適化は，合金組成や T1相の結晶粒サイズの最適化など，理想的な組織形態やプロセス条件を決定するための有効な方法論であろう．Fig. 11 � The local Nd concentration in the calculated microstructure (e) in Fig. 10, and the phase fraction of each liquid phase, L1 and L2, depending on the Cu alloy composition calculated based on the CALPHAD method.Fig. 12 � Phase-field simulation of the liquid phase formation in Fe-16 at% Nd-5 at% B-0.5 at% Cu alloy with isothermal aging at 873 K. The liquid phase nucleus was initially introduced at the vertical grain boundary region.S70「粉体および粉末冶金」第 69巻 Supplement小山　敏幸，塚田　祐貴，阿部　太一６　結　　　論粒界相に着目し，その熱力学的安定性と組織形態変化について，CALPHAD法とフェーズフィールド法に基づき検討した．計算から得られた結論は以下のようにまとめられる．1） Nd2Fe14B相（T1相）の結晶粒界を均一に覆うことができる相として，液相は本質的に有力な相であり，実際に高保磁力実現に活用されている．T1相が高い熱力学的安定性を有していることが，このプロセスを容易にしている点を理解しておくことは重要である．2） Fe-Nd-B三元系の準安定状態図から，液相側のタイラインエンドが合金のNd組成に応じて大きく変化することが示された．通常，希土類磁石ではNdの酸化反応は避けられないため，組織内の局所位置でNd濃度がわずかに低下するだけで，粒界液相においてNd濃度が大きく変化し得る．3） 準安定状態図から得られる粒界相のNd組成が 100 at%未満であっても，粒界相の体積分率を拘束することによって，粒界相のNd組成を 100 at%にすることができる．これは粒界相の濃度を，組織形態の視点から柔軟に制御できることを示唆している．4） フェーズフィールドシミュレーションは，粒界相を含む組織形成の理解に有用である．特に本解析では，Cu添加による組織変化を，フェーズフィールド法に基づき合理的にモデル化できることを示した．5） 液相の二相分離や T1相の結晶粒サイズを利用して，液相の形態を制御することができると考えられる．謝　　　辞本研究は，文部科学省の元素戦略磁性材料研究拠点（ESICMM; JPMXP0112101004）のご支援を受けて実施されました．文　　　献1)  M. Sagawa, S. Fujimura, N. Togawa, et al.: J. Appl. Phys., 55 (1984) 2083-2087.2)  H. Kronmüller, M. 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