Ft FFT > SUA EAN TSE PT 五年のあゆみ 1961 科学技術庁金属材料技術研究所 開所当時の全景 昭和36年における全景 敷地面積 39,600 m2 建物面積 延17,487m2 1.24号庁舎(クリープ,物理測定) 2. 24号庁舎付属(動力室) 3.16号庁舎(特高変電所) 4.15号庁舎(管理部・新設予定) 5.14号庁舎(放射線実験・新設予定) 6.13号庁舎(ガラス加工) 7.10号庁舎(守衛所) 8. 20号庁舎(倉庫および木工場) 9. 21号庁舎(非破壊検査) 10. 22号庁舎(熱処理) 11. 〃 (溶解圧延) 12. 23号庁舎(小型溶解加工) 13. 25号庁舎(トリウム実験) 14. 26号庁舎(低温実験) 15. 38号庁舎(医務室および食堂) 16. 36号庁舎(溶解圧延) 17. 31号庁舎(管理部) 18. 30号庁舎(化学実験) 19. 〃 (溶接および粉末冶金) 20. 〃 (溶接) 21.31号庁舎(材料試験) 22. 34号庁舎(機械工作) 23. 35号庁舎(非鉄金属関係・新設予定) 24. 39号庁舎(酸洗場) 25. テニスコート 開所披露の当日 披露宴風景 祝辞を読む正力初代長官 開所当日における全職員 訪問者の中から 視察中の中曾根元長官 (昭和34年7月) 視察中の池田長官 ・ ・右から三人目 (昭和36年1月) はるばる西ドイツから来られたマックス プランク鉄鋼研究所長のウェーハー教授 (昭和33年10月) ご あ い さ つ 所長理博 橋本宇一 昭和31年7月1日に発足した本研究所は,時に追われるようにして5年 を経過することとなった。時の流れの速いことを今更に痛感される。設立 当初から建設しつつ研究する,研究しつつ整備に当たるという建前をとつ てきただけに,最初建てた5カ年計画を7カ年に延長せざるを得なくなつ たこととともに,当研究所の現在の状態は必らずしも全体にわたつてつり 合いのとれたものであるとは言えない。しかし科学技術庁,大蔵省,その 他関係各分野の理解ある措置により,時代の要望に添うものであることと あいまつて,比較的すみやかに整備されつつあると言える。 当初40人の定員,研究4部,1億円の予算で発足した本研究所が定員, 予算を遂年増加していることは別表にも明らかなところであって,本年に は定員310名,研究9部になるとともに,技術課の増設も認められること になった。当初計画が約500名の定員,管理部,研究13部,技術部であり, 従つて完成までに今一歩の状態まで近づいたと言えよう。原材料から製品 に至るまでの一貫研究に主点を置き,この途次の種々の問題を,経済的効 果をも考慮にいれて解決することにおいた当初からの研究計画を現在にお いても主眼点としている。従って5カ年のあゆみの中で基礎的な研究設備 とともに,まず後に至っては困難と思われる一貫研究に必要な,そして研 究所としては相当大型の溶解,加工,熱処理などの設備を整えた。また分 析,材料強度研究,非破壊検査,材料工作設備などもこのような観点から 共通的に必要な分野の設備にも相当重点を置いた現在では鉄合金,非鉄合 金のいずれにおいても研究員の数的に不十分であることを除けばいかなる 問題をも大体解決し得るおおかたの体制はできたと言えよう。 基礎的研究設備の整備を完全にし,基礎的研究,応用研究から発展的研 究または生産研究というような一貫した研究が行なわれるためには,なお 二,三年の歳月を少なくとも必要としよう。このことは製錬に関する研究 設備においても言えることであって,定常的に機能を発揮するためには, まだ多少の時日を必要とする。このように一般的な材料研究に対する研究 措置とともに,この5カ年の間に特に原子力利用および航空機関係の材料 に対する重点的な設備を備えた。航空機機関,宇宙開発火力発電などに必 要な耐熱材料の研究設備,または材料の耐熱特性の研究に必要な設備はそ の一例である。また,原子力利用関係では原子炉構造材料に関する研究, 同じくその溶接,腐食などに関する研究設備,トリウムの製錬と利用に対 する研究設備,アイソトープ利用研究に関するものなどがある。これらの 研究設備の中には目下のところ,わが国で最もすぐれたものと考えるもの も相当ある。これらについては詳細を本冊子にてご覧願いたい。 このようにして,この5年間に本研究所は人と物との両面で順次充実し てきており,当初の5カ年計画では無理であるが,7~8年でおおかた目 所長室において 的の第一次計画の完成をみることと考える。この間に本研究所研究員諸氏 による研究発表の数も遂年増加し,昭和36年中には年間発表も百を越える 数になると考える。研究内容が質的には多少の問題を残していても,これ も順次向上していくことであろう。殊に関係省庁の理解によって,最近の 設備,その中には金属材料研究に対し強く大きい役割を果し,しかもまだ わが国で充分開発されていないものも相当にあり,これは新金属材料の開 発および品質の向上,材料諸問題の解明などに対し順次大きな成果を生み, 材料研究に対する指示を与えるものも多く出てくるものと確信する。 一方国立機関であるので,国が実施しなければならない,また国立でな ければ実施し得ないような研究を行なうべきであることは論をまたない。 総理府関係の研究機関としての意義はこの点が殊に強調されるべきであっ て,教育行政,通産行政,運輸行政,建設行政等,定特の行政目標をもつ た省庁に付属するものと異なって,科学技術の振興,向上,発展などに直 接寄与する研究態度を堅持すべきであることは当然である。この意味から はもちろん基礎研究,応用研究,発展研究,開発研究などに充分努力をし なければならないことは当然である。総合研究の場を強く整備して,材料 の諸性質,金属材料における反応の諸問題,製錬に関する問題,溶解,鋳 造,加工,熱処理,切削性などのような諸問題についても,わが国の他の 研究機関では実施し得ないような研究,経費,設備,人員などの大規模な ものを必要とする研究などについて,研究を実施すべきことに重点を置か なければいけないが,これは言うは易く,実際に実施することは,わが国 の研究機関では容易ではない。然し本研究所も順次整備されてきたことで はあり,当初からの研究に対する構想を順次整理し,このような研究態勢 にもっていくべく準備している。これにはこの実質4年間における研究員 各自の研究能力をつけるための努力は将来における本研究所の発展に役立 つものと考える。本研究所の価値判断は一にかかって本研究所の研究成果 にかかり,この研究成果がわが国金属材料界にいかなる効果を及ぼしたか と言うことにかかるものであるから,基礎研究に重点を置く大学研究組 織,兄弟関係にある他の国立の研究機関,民間企業との密接な連繋が必要 である。当然のこととして本研究所の各研究課題は本研究所の研究実施に 対する諮問機構であり,科学技術庁の材料関係参与,科学審議官,関係官 等によって構成されている金属材料研究連絡会にはかり,その意見を徴し てきている。また重要諸問題たとえばクリープ試験に関する研究連絡会そ の他の各種の委員会を時々設け,一般の意見,注意などをいれつつ現在の 段階にきた。さらに学術振興会の関係部会には委員を送り,本研究所とし て国家的立場から協力すべき性質のものに対しては協力をおしまなかった ものであって,この点は同様のことが材料に関係のある諸学会との関連に おいても言えることである。 このようにして本研究所が金属材料研究に対する総合機関であるととも に,大学研究組織とは異なった性格をもったものであることについては , 5年のあゆみにおいても常に考慮した事柄である。たとえば材料資源の開 発を例にとれば,もしこれが未利用のものであるとすれば研究過程からあ るいは経費から,あるいは経済性などのいずれかの原因があったものと考 えられる。しかしながらわが国のように地下資源的に恵まれない国におい てはこれに対してなんらかの具体的研究措置を構ずべきであると考える。 もちろん研究に対する充分な準備,予備研究などを必要とするが,たとえ ば成功率に対して多少の問題があったとしても,いずれかで実施してみる べきであって,これらに対しては金属材料に関する限り本研究所をおいて はないものと思う。その意味で過去から現在に至るまで,硫化鉄鉱の処理 に関する研究を行なってきつつあり,また将来東南アジアに豊富な埋蔵量 をもつラテライトなどに対しても原鉱から成品に至る一貫研究を行なうべ きであると考えている。このような考え方に立脚したものは,本研究所5 カ年のあゆみの中にも見いだされるであろう。 本研究所もこのようにして5カ年の間に各種の金属材料,また同じよう な性質をもつ非金属材料,たとえば酸化物,珪化物,サーメットなどに対 する研究設備を備えるとともに製錬,溶解から成品に至るまでに必要な一 貫した研究設備を備えるとともに,温度の点からも高温から零度以下の低 温に至る研究設備を備えた。基礎-応用-発展-開発に関する一貫した研究 設備に対しても同様であって,しかもその設備は世界のいずれに報告して も信用されるだけの高性能,高精度のものを対象として設置した。 しかしながら本研究所としての理想は人類福利の増進が目的であって, 平和的な活用を念願としている。この意味から,国内はもちろんのこと, 諸外国とも手をつなぎ,共存共栄の考え方を強調し,実施してゆきたい。 幸いにして研究報告,共同研究,受託研究などを通して,本研究所が一 層広くそして有効に活用されていくことを希望して,「5年のあゆみ」の ご挨拶としたい。 目 次 写 真(研究所全景,開所披露の当日,訪問者の中から) ごあいさつ 所長橋本宇一 第1章 概 況 設立の経緯と現在までの経過 1 組 織 7 職員構成 8 予 算 9 海外出張 10 刊行物および研究報告会 11 図書業務 12 第2章 研究業務 概 要 13 研究推進業務 14 研究経過の状況 17 第1部 18 第2部 27 第3部 32 第4部 38 第5部 45 第6部 52 第7部 58 第8部 64 第9部 68 おもな研究設備 74 第3章 建設業務 建設の経過 87 改修工事 31年度 90 32年度 92 33年度 93 新設工事 33年度(クリープ・精密測定実験庁舎) 95 34年度(化学実験庁舎) 98 35年度(溶接・粉末冶金実験庁舎,溶解圧延実験場,低温実験場) 100 36年度計画(加工冶金実験庁舎,非鉄実験場,腐食実験庁舎など) 103 付 録・参考資料 関係法規 科学技術庁設置法(抜すい) 104 金属材料技術研究所組織規則 104 金属材料技術研究所事務分掌規程 108 科学技術庁受託研究規程 112 研究実施手続規定 114 放射線障害予防規定 123 昭和36年度研究計画(表) 128 研究発表論文項目表(和文・欧文,その他) 129 五年間の行事記録 140 表紙 小島康弘 第1章概 況 §設立の経緯と現在までの経過 §機 構 §職員構成 §予 算 §海外出張 §刊行物および研究報告会 §図書業務 設立の経緯と現在までの経過 1.設置までの経緯 わが国の工業製品に関しては,常に材料の遜色が問題とされて来た。特に諸外国のそれと比 べて性能その他の点で遺憾な点が多く,これを改善するためには,金属材料技術の研究を強力 かつ総合的に推進する必要がある旨識者の間において強く唱えられていた。 戦後の技術的空白期間を経て,航空機工業の再開,原子力開発問題,電子工業の異常な発展 などが話題になるに及んで,これらに対応して材料に関する諸問題を緊急に解決するためには, 金属材料に関する総合的研究機関設立の必要性が各方面で具体的に唱えられるに至った。以後 日時を追ってその経過を簡単に述べることとする。 昭和29年7月 通産省の一部に金属材料に関する研究所新設の動きがあり,また工業技 術協議会(工業技術院長の諮問機関)の会合においても,金属材料に関す る総合的研究所を設立すべしとの意見が述べられた。他方航空技術審議会 においても,航空機材料の研究体制強化が強く要望された。 〃10月 工業技術院金属材料研究委員会開催(通産省内関係部課長で構成) 本委員会は30年7月まで4回にわたって開催された。最初は工業技術院各 試験所材料関係の研究連絡,研究体制の強化改善に重点がおかれたが,最 終的には国立もしくは特殊法人の研究所を設立するとの結論に達した。 昭和30年4月 内閣総理大臣から諮問された(昭和29・9・16)「関係各行政機関の共用に 供する航空技術研究機関の設置に関する基本方針」に対し,航究技術審議 会長から次のとおり答申を提出した。 「内容抜すい」……「航空技術研究所に材料部を置く。ただし材料部に 置かれる施設設備は国に材料関係研究所が設置されるとき,これとの関 連において考慮する。」 〃8月 昭和31年度予算要求 通産省では特殊法人・金属材料技術研究所の新設 要求(初年度経費3億4千万円) 総理府。航空技術研究所に材料部(注1参照)新設要求 注 1)将来材料に関する研究機関が設立されるような場合には,改め て所管などを検討するとの条件を付して,クリープ試験機などを要求した。 昭和30年11月 内閣総理大臣から航空技術審議会に諮問された(昭和30・7・6) 「関係行 政機関の航空技術に関する研究のための経費を必要とする計画の連絡調整 に必要な措置」に対する答申を提出した。 答申の内容において材料に関する部分は次のとおり (イ) 金属材料技術研究所は,航空機工業に必要な金属材料について,その 製造・加工・熱処理およびこれらに関連する一般的性質などの研究に主眼 を置くように配慮する必要がある。 (ロ) 金属材料の研究は広はんな分野にわたるものであること,航空機材料 は航空機の設計,保安上きわめて複雑苛酷な条件を要求されるという特殊 性のあることなどからみて相互に緊密な連絡をとりつつ計画を進めること が,航空材料研究を合理的に発展向上させる途である。 昭和31年1月 予算内示 通産省に国立金属材料技術研究所分経費として1億円を計上 〃2月 工業技術院主催で,非公式金属材料技術研究所設立準備打合会開催 ~3月 (3回)(構成メンバーは,関係行政機関職員,学識経験者若干名) 組織,研究テーマ,所要施設などについて検討試案を得た。 〃3月20日 工業技術院において金属材料技術研究所設立に関する懇談会を開催。 経過説明準備打合会で得た試案を説明したが,まず所長を決めるべきであ るとの意向が強く,出席者の中から,茅誠司,小川芳樹,沢村宏,増本量, 兼重寛九郎,青山秀三郎の六氏を所長選考委員に指名,直ちに委員会を開 催,候補者3名を挙げ工業技術院長に報告した。 〃4月 31年度予算成立。 金属材料技術研究所(国立)経費1億円,人員40名(20名は機械試験所 より移管) 航空技術研究所 材料部関係の経費は認められなかった。 〃5月19日 科学技術庁発足。工業技術院から,金属材料技術研究所設立に関する事 務が,科学技術庁に移管された。 〃6月4日 初代所長に東京都工業奨励館長・橋本宇一氏が内定(科学技術庁庁議) 〃6月16日 金属材料技術研究所設立に関する懇談会を開催。三島会長を中心にして 金属材料技術研究所の性格,組織などの大綱について検討した。 〃6月20日 金属材料技術研究所準備会開催。 所長に内定している橋本氏を中心として研究所の性格,組織,運営方法な どについて具体的に検討した。 〃6月30日 総理府令第55号「金属材料技術研究所組織規則」を公布 〃7月1日 金属材料技術研究所発足。 〃7月2日 金属材料技術研究所開所式挙行(於科技庁第1会議室) 以上のような経過をたどって金属材料技術研究所の発足をみたのであるが,この間,各界代 表から種々の意見,要望などが提案され,これを中心として,当所の持つ使命,性格および運 営の基本方針について次のように取りまとめ関係方面のご了承を得ている。 1)金属材料技術研究所の性格および任命 材技研においては,関係各方面と緊密な連繋を保ちつつ,以下にかかげるような国として相 当する必要のある金属材料技術に関する基本的,総合的研究および試験を実施して,各分野に 使用される金属材料の品質向上に資することを使命としている。 1・1一企業体では実施困難な大規模または共通的な金属材料の生産加工に関する研究 1・2金属の「生れ」から成品に至るまでの一貫した生産過程についての基本的研究 1・3わが国の資源事情に対応する金属の生産ならびに加工に関する研究 1・4原子力,航空機に利用される金属材料に関する研究 1・5純金属の製造研究 1・ 6相当規模の設備を要し,国でなければ実施し得ない高度の材料試験,検査 1・7製法,需要量などの関係で民間企業では製造し得ない金属材料の製法,各種の金属標 準試料の製作ならびにそれらの供給 上記の使命を達成するため,研究所の運営基本方針を次のように定めて,近代的研究所にふ さわしい能率的な運営を図ることとしている。 2)金属材料技術研究所運営の基本方針 2 ・1研究計画の策定および研究の実施については,広く官民との連繋協力を基本とする。 2 ・ 2国として必要な研究・試験を実施するため,一般の研究所とは異なり,大規模かつ近 代的な研究設備を整備する。 2 ・ 3人員,設備などの整備に当たっては,研究所の拡充と研究の実施との調整に考慮を払 って,近代的感覚を採り入れた,時代にふさわしい研究所の早期完成をはかる。 2 ・ 4機構は,研究内容の拡大分化に伴ない,将来は15部程度になることを予想している。 2.材技研発足後現在までのおもな経過 第1回金属材料研究部会開催(昭和31・8・8) 本部会において31年度業務計画および32年度要求予算の概要が承認された。 材技研整備5カ年計画の策定(昭和31・8・30) 発足後直ちに関係各方面と連絡をとりつつ,材技研の建設整備5カ年計画を策定し科技庁, 大蔵省など関係方面に提出した。その大要は次の通りである。すなわち最終的には人員485名, 5ヵ年計画大綱 年度 項目 31 32 33 34 35 計 総人員(人) 40 155/195 125/320 110/430 55/485 485 人件費(千円) 11,606 64, 856 96, 000 129, 000 145, 500 446, 962 研究費(千円) 7, 300 80, 002 140, 000 190, 000 220, 000 637,302 設備費(千円) 35, 600 633,377 601,226 400, 500 334, 900 2, 005, 603 建物延坪数(坪) 390 5177/5567 2337/7904 200/8104 ― 8,104 概算額(千円) 41,353 523,453 181,809 66, 432 ― 813, 047 一般管理庁費(千円) 4,141 33, 065 10, 000 12, 000 13, 000 72,206 合 計 100, 000 1,334, 753 1,029, 035 797, 932 713,400 3, 975,120 総予算約40億円の整備計画を立て,これに基づいて諸般の準備を進めることとなった。 研究所敷地の決定(昭和31・10・12) 防衛庁,大蔵省当局との了解がつき,かねてから懸案であった旧海軍技術研究所の一部転用 が正式に決定し,同年11月移転を完了した。直ちに庁舎の改修工事に着手した。 昭和32年度予算決定(和昭32・4) 総額292,603千円の予算,増員40名が決定し,直ちにその実行に着手した。また32年度から 原子力予算78,710千円が計上され,原子炉材料関係の研究も着手することとなった。 開所披露式挙行(昭和32・7・20) 発足後1年を経て,庁舎の改修工事も終了したので,関係方面の人々をご招待して研究所の 開所披露式を挙行した。 昭和33年度予算決定(昭和33・4) 総額557,113千円の予算,増員40名が決定した。ここで特筆すべきことは,研究所設立の趣 旨の一つである大型設備(100kgプラント)の整備費,および新研究庁舎(クリープ,物理測 定関係)建設の予算が計上され,建設業務が多忙をきわめた中でも,近代的研究機関完成へと 一歩力強く進展した年であった。 34年度予算決定(昭和34・4) 総額649,967千円,増員79名が決定した。前年度に引き続いて大型設備,新研究庁舎(化学 関係)の建設整備予算が認められ,研究所建設もようやく軌道に乗った感があった。 また組織も第5部(原子炉材料関係),第6部(溶接材料関係)が増設され,組織も拡充の第 一歩を印したのである。 5ヵ年計画の修正(昭和34・8・31) 31年7月に発足して以来,材技研整備5ヵ年計画に基づいて建設整備を実施して来たが,諸 般の情勢から,これを予定通り35年度中に完成することは困難な状勢になったので,これを7 ヵ年計画に再編成し,科技庁,大蔵省などへ提出した。 その大綱は次の5頁の表のとおり。 昭和35年度予算決定(昭和35・4) 総額705,293千円,増員49名が決定。内容的にも新規重要設備,溶接・粉末冶金実験庁 舎,低温実験庁舎などの建設整備予算が計上された。また大型設備(100kgプラント)の運営 予算が若干計上され,今後の本格的運営が期待される。また第7部(非鉄材料関係)が増設さ れた。 材技研に対する要望アンケート(昭和35・5) 鉄鋼・非鉄金属メーカー幹部との懇談会(昭和35・7) 研究所の建設整備も順調に進展し,広く各界の要望にも応え得る見通しも立ったので各界か らの要望を集計するとともに,金属材料の代表的メーカーの技術幹部との懇談会を開催し,相 互の連絡並びに,今後の材技研の運営について懇談した。 金 属 材 料 技 術 研 究 所 整 備 7 ケ 年 計 画 経 過 表 (3 4年 8 月 3 1日 作 成 ) 年 度 項 目 31 (実 績 ) 32 (実 績 ) 33 (実 績 ) 34 (予 定 ) 小 計 35 (要 求 ) 36 (要 求 ) 37 (要 求 ) 合 計 31 .8 . 3 0 付 旧 5 ケ 年 計 画 一 般 予 算 総 人 員 (人 ) 40 (2 4) 40 /8 0( 50 ) 40 /1 20 (7 8) 79 /1 99 (1 20 ) 19 9 15 9/ 35 8( 23 2) 87 /4 45 (3 10 ) 40 /4 85 (3 40 ) 48 5 48 5 人 件 費 (千 円 ) 11 ,6 06 26 , 0 55 41 ,1 75 60 , 4 67 13 9, 3 03 11 2, 41 8 14 2, 4 00 15 5, 2 00 54 9, 3 21 44 6, 9 62 研 究 費 (千 円 ) 2, 3 00 26 ,1 25 (図 ) 2 ,0 00 32 ,8 13 (特 研 )1 5, 0 35 (図 ) 2 ,0 00 46 , 8 97 (特 研 )2 4, 08 5 (図 ) 1, 94 0 15 3, 19 5 16 1, 24 6 (特 研 )6 0, 3 70 (図 ) 3, 30 0 22 3, 6 00 (特 研 )5 0, 0 00 (図 ) 3, 30 0 24 0, 4 00 (特 研 )1 00 , 0 00 (図 ) 3, 30 0 99 8, 71 1 63 7, 30 2 設 備 整 備 費 (千 円 ) 40 , 6 00 12 0, 9 91 24 6, 5 00 27 9, 5 45 68 7, 6 36 84 9, 6 65 40 4, 7 50 17 3, 51 2 2, 11 5, 5 63 2, 0 05 , 6 03 建 物 坪 数 (坪 ) 転 用 2, 08 4 新 設 0 転 用 33 新 設 0 転 用 60 4 新 設 94 0 転 用 0 新 設 63 3 転 用 2, 72 1 新 設 1 ,5 7 3 転 用 0 新 設 1 ,2 7 5 転 用 0 新 設 1 ,7 1 0 転 用 0 新 設 72 5 8, 0 04 8, 10 4 施 設 費 (千 円 ) 改 修 41 ,3 53 新 設 0 改 修 36 ,0 70 新 設 0 改 修 16 ,8 30 新 設 55 ,6 00 改 修 0 新 設 1 6 9 ,8 4 2 改 修 94 ,2 53 新 設 2 25 , 4 42 改 修 0 新 設 2 24 ,5 16 改 修 0 新 設 2 03 , 2 71 改 修 0 新 設 63 ,0 44 81 0, 5 26 81 3, 04 7 一 般 管 理 運 営 費 (千 円 ) 4, 14 1 2, 6 53 3, 51 0 6, 21 8 16 , 5 22 23 , 2 88 20 , 4 70 22 ,3 10 82 , 5 90 72 , 2 06 合 計 10 0, 0 00 21 3, 89 4 41 3, 46 3 58 8, 9 94 1, 31 6, 3 51 1, 43 4, 8 03 1, 04 7, 7 91 75 7, 7 66 4, 5 56 ,7 11 3, 9 75 ,1 20 原 子 力 予 算 試 験 研 究 費 (千 円 ) 0 49 , 9 80 88 , 9 80 60 , 9 73 19 9, 9 33 16 3, 3 05 32 0, 8 00 14 6, 5 00 83 0, 5 38 建 物 坪 数 (坪 ) 0 0 0 0 0 0 新 設 10 0 (3 6年 度 迄 ) 10 0 施 設 費 (千 円 ) 0 0 0 0 0 0 新 設 28 ,8 00 (3 6年 度 迄 ) 28 , 8 00 合 計 0 49 , 9 80 88 , 9 80 60 , 9 73 19 9, 9 33 16 3, 3 05 34 9, 6 00 14 6, 5 00 85 9, 3 38 総 計 10 0, 0 00 26 3, 8 74 50 2, 4 43 64 9, 9 67 1, 51 6, 2 84 1, 59 8, 10 8 1, 39 7, 3 91 90 4, 2 66 5, 41 6, 0 49 注 : 1) ( 特 研 ) ( 図 ) は そ れ ぞ れ 特 別 研 究 費 , 図 書 費 で あ る こ と を 示 す 。 36年度の予算決定 総額878,172千円,増員62名が決定した。組織は第8部(製錬関係),第9部(電磁気材料関 係)の増設が認められた。 以上累計して,人員310名,設備費約31億,建物21,880m2となり,当初の目標に対し,約 60~70%達成したこととなった。 組 織 設立当初 注:研究室の設置は昭和32年4月 1日である。 (昭和36年7月現在) 注:1)部課,研究室の右肩にある*印は,36年度において新設されたことを示す 職員構成 ◇増員経過表 ◇人員構成 区 分 研究職 行政職(一) 行政職(二) 計 管 理 部 門 1 45 {事32 技8 雇 5 36 }事4 技11 雇21 82 研 究 部 門 192 {技156 雇 36 0 36{技7 雇29 228 計 193 {技157 雇 36 45 {事32 技8 雇5 72 {事4 技18 雇50 310 ◇研究員専門別 専門別 所属 理 学 系 工 学 系 計 物理 化学 その他 冶金 機械 応用物理応用化学電気化学 電気 管理部門 1(1) 1(1) 第1部 1(1) 2 13( 4) 1 17( 5) 第2部 9(1) 1 2 1 13(1) 第3部 8(1) 1(1) 2(1) 4 1(1) 16( 4) 第4部 3(1) 11 4(1) 1 2 21(1) 第5部 1 2 10( 3) 13( 3) 第6部 1(1) 1 4(1) 2(1) 3(1) 11(4) 第7部 2(1) 9( 4) 3 14( 5) 第8部 3 2(1) 3 5(1) 第9部 4(1) 4 (1) 1(1) 1 9( 3) 計 20(6) 15(2) 1(1) 57(14) 12(2) 5 2(2) 7(1) 119(28) 注:1)「研究員専門別」表は大学高専卒の研究員のみ。2)カッコ内の数字は学位を有する者で内数。 予 算 予算推移状況 (単位千円) 年度 項目 31 32 33 34 35 36 計 (項)金属材料技術研究所 100, 000 213, 894 413, 463 588, 994 654, 050 774, 730 2,745,131 人 件 費 11,606 26, 055 41,175 60, 467 84, 521 119, 248 343, 072 庁 費 3, 541 14, 938 21,992 44,471 63, 867 96, 882 245, 691 試験研究費 42, 900 135,991 276, 535 309, 450 340, 790 376, 268 1,481,934 研究所施設費 41,353 36, 070 72, 430 (139, 000) 169, 842 157,510 174,800 652, 005 そ の 他 600 840 1,331 4, 764 7, 362 7, 532 22, 429 (項)国立機関原子力試験 研 究 費 0 49, 980 88, 980 60,973 51,243 103, 442 354,618 試験研究費 0 49,980 (28, 730) 88,980 60,973 51,243 73, 922 325, 098 研究施設整備費 0 0 0 0 29, 520 29,520 予算額計 100, 000 263, 874 (28, 730) 502, 443 (139, 000) 649, 967 705, 293 878,172 3, 099, 749 注:()内は,国庫債務負担行為額 海外派遣者一覧表 氏 名 目 的 出 張 先 期 間 橋本宇一 米国で開催の世界冶金会議に出席並びに英,フラ ンス,ドイツおよびスイスの研究状況および研究 施設などを視察 米,英,フランス,ドイ ツおよびスイス 自 32.10.16 至 32.12. 6 吉田 進 金属の格子欠陥に関する研究 米国イリノイ大学物理学 教室Fサイツ教授研究室 自 32.12. 22 至 34. 2. 7 舟久保𤋮康 1958年度フランス政府技術給費留学生として,耐 熱鋼の研究 フランスIRSID 自 33. 5.25 至 36. 4.11 遠藤勝治郎 第一回国際真空技術会議に出席および欧洲各国の 金属材料の研究状況を調査 英,フランス,ベルギー スイス, ドイツ,および スエーデン 自 33. 6. 5 至 33. 7.17 足立正雄 冶金学の研究 米国マサチューセッツ工 業大学冶金学教室 自 33. 9.15 至 34. 9.14 田岡忠美 第155回電気化学学会に出席並びに米,ドイツお よびフランスの物理冶金研究の状況を調査 米,ドイツおよびフラン ス 自 34. 4.26 自 34. 5.17 鈴木春義 溶接技術に関する研究並びにユーゴースラヴィア において開催される国際溶接会議 英,ドイツ,フランス, ユーゴースラヴイア,ベ ルギー,スイス 自 34. 6.19 至 34. 9.20 辻 栄一 金属材料の塑性変形に関する研究 ドイツ,マックスプラン ク鉄鋼研究所 自 34. 8.30 至 35. 7.19 鈴木博子 CAMECAにおいて電子探針型微小部分析装置に 関する知識の習得 フランス 自 34.10.15 至 35. 2. 4 稲垣道夫 ベルギー国リエージュにおいて開催される国際溶 接会議1960年度年次大会に出席並びに欧洲各地の 溶接工業の実体調査 英,フランス,ドイツ, ベルギー,スエーデン, デンマーク,オランダ, スイス,イタリア 自 35. 5.20 至 35. 7.14 山科俊郎 金属の表面物理化学を研究 米国,ブラウン大学物理 学部 自 35. 9.1 留学中 増本 剛 種々の半導体材料の精製およびその利用について の研究 米国,バーテュー大学 自 35.12.16 留学中 島岡五朗 AIME主催1960年金属学会秋期大会に出席およ びThe Electrochemical Society 主催1960年電気 化学会議秋期大会出席並びに金属表面技術に関す る工業および研究の実体調査 米国,カナダ 自 35.10. 26 至 35.12. 8 橋本宇一 パリーにおいて開催される冶金学年次大会に日本 代表として出席,ドイツ国のシュトツトガルト工 科大学およびデュッセルドルフ研究活動協会で日 本の金属材料研究の現状について講演並びにドイ ツ,フランス,英およびオーストリア各国におけ る金属材料に関する研究設備の状況並びに技術水 準の実態調査のため ドイツ,フランス,英お よびオーストリア 自 35.10.12 至 35.11.23 松尾 茂 日豪科学技術交流計画に基づく交換留学生として 純金属特にアルミニュームの塑性変形並びに再結 晶に関する研究 オーストラリヤ国•科学 技術研究所金属物理部 自 36.1.17 留学中 鈴木春義 米国で開催される1961年度国際溶接会議および米 国溶接学会に出席。その後,溶接技術の発達応用 ならびに研究の実態調査 米国,カナダ 自 36. 4. 8 至 36. 5.25 刊行物および研究報告会 ◇刊行物 当研究所における研究成果および研究内容 の紹介は,下記の刊行物によって広く関係方 面に配布している。これらの刊行物は,それぞ れの目的に応じて関係部課長を委員長とし, 各部代表の委員からなる編集委員会において 掲載内容を検討審議することにしている。な お関係事務は管理部企画課において行なって いる。 現在の刊行物は下記のとおりである。 1.金属材料技術研究所研究報告 (和文,B5版,1500部 年4回発行) 33年9月,第1巻第1号を創刊し,その後年を追って2巻1~4号,3巻1~4号,4巻1~2号 を刊行した。内容はオリジナルな論文およびその当時の学会に発表したものを含み,その掲載 論文名は参考資料欄(p.123)に紹介してある。 なお,37年から年6回発行となるように準備を進めている。 2. Transactions of National Research Institute for Metals (欧文,A 4版700部,年2回発行) 34年2月,第1巻第1号を創刊し,その後1巻2号,2巻1~2号,3巻1号を刊行した。送 付先は海外の研究機関,学校,大会社などである。 掲載内容は和文研究報告に掲載したものを欧文に訳したもので,その掲載論文名は参考資料 欄(p.131)に紹介してある。 なお,37年から年4回の発行になる予定である。 3.材技研ニュース(和文,B 5版2500部,毎月発行) 新設の研究装置,研究速報,研究所の行事などを紹介してある。 4.要覧(和文および欧文) 研究所の組織,定員,予算,研究業務などの概要をまとめ,年1回,和文は国内に,欧文は 国外に送付している。 ◇研究報告会 毎年3月および9月に定期開催し,会期は約2日間である。34年3月第1回を開催してから, 第3回目に至っている。ただし,本年7月から毎月第一火曜日に行なうことになった。 この報告会の目的は当所における研究の現況について,各研究テーマ担当者が研究成果また は研究経過を発表することによって,相互の研究内容の理解を深めそれぞれ専門の立場から知 識を提供し検討することにより,研究の促進に資するためである。従って当日は所長以下研究 職員の全員が出席することになっている。 図書業務 1.概 況 昭和31年11月から管理部企画課の所掌事務として図書関係業務を開始した。直ちに科学技術 庁の例にならい,「金属材料技術研究所図書業務要領」「図書閲覧借出規程」「図書委員会規程」 を制定する一方,図書整備計画を策定して,最終的には単行本約4200冊,内外雑誌170種類を 整備することを目標としている。また昭和32年度からは国会図書館支部科学技術庁図書館金属 材料技術研究所分館となった。 2.蔵書状況 2.1. 単行書 年度 区分 31 32 33 34 35 計 歴史的資料 0 0 0 4 6 10 総 記 11 31 0 44 18 104 社会科学•法律 8 1 61 41 15 126 言 語 学 10 10 7 14 2 43 自 然 科 学 {数 学 物理学 化 学 1 7 0 69 1 78 9 63 47 217 179 515 15 145 69 223 174 626 応 用 科 学 {工 業 工業技術一般 管理技術 化学工業 24 184 52 220 125 605 0 0 0 2 2 4 32 170 91 275 174 742 自然・応用科学共通 0 0 0 19 6 25 そ の 他 0 2 1 16 34 53 計 110 613 328 1,144 736 2, 931 2.2. 定期刊行物 年度 区分 32 33 34 35 購入交換計 購入交換計 購入交換計 購入交換計 国内雑誌 10種 90 〃 100 〃 12 〃 142 〃 154〃 20 〃 130 〃 150 〃 21 〃 150 〃 171〃 外国雑誌 92〃 130〃 142 〃 41〃183 〃 157〃 43〃 200〃 第2章研 究 業 務 §概要 §研究推進業務 §受託研究・共同研究 §研究設備の使用管理 §今後推進すべき事項 §研究経過の状況 §おもな研究設備 1.概 要(現在までの経過) 当研究所が,昭和31年7月に発足した当時は人員40名(内研究員23名)で,庁舎も科学技術 庁庁舎に仮に設置した程度であり,一元的に研究を実施することは困難であった。しかし当初 からの所長の基本方針として,「研究所建設業務と併行して研究業務を推進する」との態度が 明確であったため,建設業務多忙の折も,研究員は在来の,工業技術院機械試験所,東京大学 冶金科,東京都工業奨励館などで,可能な範囲において研究業務を推進してきたのである。 31年11月に現在地に移転を終了し,直ちに施設(建屋,電気,衛生工事など)の改修を行な ったが,その間も研究員は主として上記機関で研究業務を継続し,32年5月に改修工事が完了 するとともに各研究室に配置されて本格的な研究業務に着手した次第である。この間,昭和32 年度40名(内研究員33名),33年度120名(内研究員83名)と逐次研究員の増員が認められたの で,全国各大学,研究機関などから優秀な研究員を任用し,材技研として特色ある研究業務を 推進する人的体制が逐次整備されつつある。 またこれと併行して研究設備の整備,研究庁舎の建設も急速に進展しつつあるが,この間研 究業務推進上の諸制度も逐次企画され実施されている。これらについては本章「2.の研究推進 業務の項」で順次述べるが,そのおもなものを拾うと次の通りである。 31年11月 現在地に移転,直ちに改修工事に着工 32年4月 40名増員(計80名) 6月 改修工事完了,各研究室に配置 10月 研究設備整備に伴ない,設備管理規定を制定 33年4月 40名増員(計120名) 9月 研究報告第1巻第1号(和文)発行 34年2月 研究報告第1巻第1号(欧文)発行 4月 第5部(原子炉材料関係),第6部(溶接材料関係)新設。79名増員(計199名) 10月 新庁舎(クリープ,物理測定庁舎)完成 35年3月 第1回研究報告会開催 4月 第7部(非鉄材料関係)の新設。49名増員(計248名) 7月 新庁舎(化学庁舎)完成 9月 第2回研究報告会開催 11月 研究実施手続規定制定 36年1月 溶接粉末冶金庁舎完成 3月 第3回研究報告会開催 4月 第8部(製錬関係),第9部(電磁気材料関係)の新設。63名増員(計310名) 以上で明らかなように,発足当初から,所長の基本方針に従って,多忙な建設業務と併行し て研究業務を活発に推進して来たことは,所長以下所員全体の並々ならぬ努力の結果によるも ので特筆に値することと思われる。 2.研究推進業務 2.1.研究組織 総理府令に規定されている研究部組織は,当初研究4部制で発足し,逐年,部の増設が認め られ,現在は研究9部制となっている。研究部組織については,最終的には研究13部制を目標 とした暫定的な組織であるため,現在でも各部の業務内容は必ずしもセットルした形をとって はいない。 各部は大体3~4研究室をもって構成し,各研究室は研究員3~4名,補助研究員5~6名をもっ て構成することを目標としている。 この他,いわゆる技術サービス部門は出来るだけ分離独立させることとし,36年度からはと りあえず技術課を設置し,各種のサービス業務を実施している。 2. 2.研究計画の立案 研究実施に当たっての細部規定については,研究実施手続規定(付録参照)に詳細に規定さ れているので,ここでは基本的事項について述べる。 第一章の「材技研設置までの経過」で述べたような当所設立の趣旨並びに運営の基本方針に 即応して,年度研究計画を研究所として立案し,科学技術庁金属材料研究連絡審査会(会長三 島徳七博士,大学,官民の代表をもって構成)の審議を経て最終的に決定される。 この間,当所では産業界との連係を一層密接にするため,材枝研に対する各界の要望をアン ケートとして累計(35. 6月),関係会社,研究所長との懇談会を随時開催する他,他の国立研 究機関との研究連絡会を開催して研究テーマの調整を図るなどの一連の措置を講じて,当所の 研究項目の選定に充分な配慮を加えている。 また当所では金属材料に関する総合研究機関としての機能を充分に果すため,いわゆる基礎 研究を重視するほか,開発研究(総合研究)を強力に推進するように充分な配慮を加えてい る。 2.3.研究経過の報告整理 年度当初に決定された研究計画の実施に当たっては,研究経過を適確に把握するため少なく とも4半期に一度,所長に各テーマ担当者から文書をもって経過報告をするように措置され , また研究の終了あるいは計画変更の場合も同様に所長に報告了承を求めるように措置されてい る。これによって各研究テーマの実施経過を一元的に整理保管して所内外に対する参考資料と することが可能であるとともに,より有効な研究指導が実施できる。 2.4研究成果の発表 研究成果については,従来は,3月および9月に所内研究報告会(現在のところ非公開)を 開催して,学会発表論文を含めて担当者が口頭発表してきたが,本年7月からは毎月1回第一 火曜日に行なうことになった。 また材技研研究報告(和文年4回,欧文年2回)を毎回それぞれ1,500部,700部刊行し, 関係機関に配布している。 また材技研ニュースを毎月1回発行し主としてトピック的な研究成果の報告,研究設備の紹 介などを行なっている。 材技研ニュースも約2500部刊行し関係機関などに送付している。 3.受託研究・共同研究 所外からの依頼による受託研究(試験を含む)については総理府令にその手続きなどが規定 (付録・参考資料参照)されてをり,35年度から予算措置も講ぜられて,業務の許す範囲で実 施している。 また,所外の関係機関(大学,会社など)との共同研究も活発に行なっている。 4.研究設備の使用管理 当初からの基本的構想である所内の総合研究体制の確立,近代的能率的運営を図るための措 置の一環として,研究設備の共通使用制度を明確に定めた。 すなわち当所の設備を基本設備(全体の約90%)とその他の設備に分類し,基本設備につい ては特に所属部を定めず,単に設備ごとの管理担当部(設備の維持保守を担当する部)を定め て,使用する者は各部とも全く平等の立場で使用出来るように措置した。このため,依頼者は管 理担当部に「作業伝票」を提出して,作業を依頼もしくは自ら使用する事が出来る訳である。 この制度がほとんどの設備に適用されているため,従来の研究所でとかく見られがちな研究設 備の私有化,あるいは同一設備の重複設置などはほとんどなく,研究能率の向上,設備の有効 使用に著しく寄与しているものと思われる。また最近は設備要員が充足されつつあるので,研 究員が自ら機械を運転使用するというケースが当初に比べて著しく減少して来ている。 5.今後推進すべき事項 以上現在までの経過について述べたが,目下立案中で,今後具体化すべき2~3の問題につい て述べてみる。 5.1.調査情報業務の拡充強化 現在調査情報業務は管理部企画課が担当しているが,人員その他の点で充分な機能を果して いない。研究実施に当たって,調査,情報収集,適切な情報管理がいかに重要であるかは言を またないところであり,この点について内外の情報を有効適切に収集管理する方策について検 討中である。 5.2研究並びに施設の保全管理 研究設備並びに施設の故障を未然に防止し,常に良好な使用状態におくための保全管理を充 分に実施するとともに,使用上のあやまちを防ぐため,設備ごとに操作基準を定めて使用の適­ 正化を図る と ともに研究設備の予防保全に対しての具体案を検討中である。 5.3.消耗資材等の集中管理 研究用資材などの取得・保管および供用に要する日数の多寡は,研究能率とも関連があるの で,物品購入手続きの迅速化に努力しているところであるが,なお,将来に向つて多くの課題 を持つているのが現状である。この打開策として考えられることは,いわゆる中央倉庫を設置 して,相当量,相当種類の資材を集中管理することが望ましい。これについても,至急措置す るよう具体案を検討中である。 5.4.そ の 他 その他,近代的研究機関として研究業務を能率的に運営するためには,研究テーマの選定, 研究員相互の協力体制,研究成果の適正な評価などの諸問題,また良好な研究環境を作るため の管理上の諸問題など多くの難問が山積している。これについても,今後更に検討を加えて逐 次改善してゆくべきものと思われる。 研究経過の状況 注 1)研究経過の内容は35年度末までにおける現況についてである。 2) 36年度に研究部および研究室の増設があったので,それに合わせてテーマを分類した。 3)発表文献の様式は次のとおり 発表者氏名:“論文名”,発表誌名,巻,号,頁(発表年―西暦) 目 次 第1部 (頁) 軸受鋼の品質向上の研究 18 鋼中の非金属介在物の研究 19 鋳造用鉄鋼原料の改善に関する研究 20 ステンレス鋼に関する研究 21 超耐熱合金の性能向上に関する研究 22 高Mn耐熱鋼の性能向上に関する研究 24 S曲線に関する研究 25 第2部 強磁性材料の製造に関する研究 27 鋼の脆性 28 鋼の高速変形と破壊に関する研究 29 粉末製造法の研究 30 第3部 ナトリウム還元法による純金属(Ti, Taなど) の工業的製造に関する研究 33 純金属などの研究に必要な分析法に関する研究 34 残査分析の確立に関する研究 35 金属材料の高温酸化防止に関する研究 36 第4部 低Mnステンレス鋼の諸性質の研究 38 溶接構造用高張力鋼の研究 39 珪素鋼板の研究 40 細粒鋼の溶製法に関する研究 41 疲労強度に及ぼす繰返し速度および荷重変動 の影響に関する研究 41 高温強度に及ぼす温度・応力条件および雰囲 気の影響に関する研究 42 徘破壊試験法の確立および強度との関連に関 する研究 43 第5部 原子炉用金属材料の腐食と防食の研究 46 金属トリウムおよびその合金に関する研究 46 Beなど原子炉用新金属の加工と機械的性質 の研究 (頁) 47 原子炉用ステンレス鋼の加工と機械的性質の研究 48 原子炉用セラミックの研究 49 RIを利用する金属材料の品質向上に関する研究 50 第6部 高張力鋼の溶接性に関する研究 53 溶接割れに関する研究 54 原子炉構造用鋼材の溶接と熱脆化に関する研究 55 原子炉用ジルコニウム,ニオブおよびそれら の合金の溶接に関する研究 56 耐熱耐食合金の溶接に関する研究 57 第7部 チタン合金の研究 59 ニッケル基分散硬化型合金の研究 59 軽合金の振動鋳造に関する研究 60 Al合金の再結晶に関する研究 61 白金合金に関する研究 61 ニオブの精錬およびその合金に関する研究 62 硫化鉱の精錬に関する研究 63 第8部 特殊製鉄製鋼法の研究 64 硫化鉱の湿式塩素処理による良質製鉄原料の 製造法に関する研究 65 高純度金属製造に関する研究 66 第9部 銅基弾性材料の性能向上に関する研究 68 高導磁率Fe-AI合金の製造に関する研究 69 耐食性弾性材料の製造に関する研究 69 純クロムの製造と利用に関する研究 70 純クロムなどの高速度加工法に関する研究 71 高純度金属の物理精製とその利用に関する研究 72 遷移金属酸化物の研究 72 第 1 部 第1部は昭和31年度当所が設立されると同時に発足した。設立早々のことで当時はまだ研究 室制が採用されていなかったが,32年度においては,鉄鋼,非鉄金属,溶接材料の3研究室が 新設され,金属の製錬,溶解,鋳造および溶接に関する研究を実施した。ついで33年度におい ては上記3研究室のほかに希有金属,粉末冶金の2研究室が新設され5研究室となった。34年 度には第6部の新設により溶接材料研究室が移管される一方軽合金および高純度金属の2研究 室がおかれ,鉄,非鉄金属材料全般の製錬,溶解,鋳造および加工冶金を対象とした広汎な研 究が実施された。35年度には非鉄金属材料関係の第7部が新設され,従来の第1部より非鉄金 属,軽合金,希有金属および高純度金属の4研究室が移管され,また粉末冶金研究室も第2部 に移管された。これと同時に耐熱合金,鋳造および熱処理の3研究室が新設され,鉄冶金およ び鉄鋼に関する研究が実施された。ついで36年度において特殊鋼研究室の新設があり,第1部 は鉄鋼,特殊鋼,耐熱合金,鋳造および熱処理の5研究室となった。 このように研究部および研究室の新設,移管などが行なわれた関係上,初期においては鉄お よび非鉄金属に関するものが第1部の研究業務の内容であったが,現在は鉄鋼を中心とした研 究体制がとられ,鉄鋼の溶解,鋳造などに関して生産に直結した基礎的および応用的研究を実 施している。 軸受鋼の品質向上の研究 鉄鋼研究室 工博 上野学,*中島宏興,**池田定雄 機械工業の進展と共に,ベアリングが機械の摺 動部分に盛んに使用されるにつれて,ベアリング の寿命という大きな問題を生じて来た。このベア リングの寿命は機械的精度にも左右されるが,軸 受鋼の耐久性が決定的影響を及ぼすのである。こ のため耐久性のよい軸受鋼をいかなる手段で評価 し,いかなる方法で製造するかということが研究 課題となっている。この問題は昭和32年より当研 究室において取上げて来たが,それを項目別に記 述する。 1.軸受鋼耐久性試験装置の試作 図に示すような機構の装置で,潤滑下において *36年6月退織** 36年4月 熱処理研究室へ配置替 軸受鋼耐久性試験装置 試験円板に繰返し疲労をあたえて,試験円板の表 面にフレーキングを発生させる。この試験装置は 当研究室と機械試験所軸受研究室との共同設計に よるもので,現在10台稼動している。この装置に は振動監視装置が付属し,軸受鋼に寿命が来た場 合自動的に停止装置が働き試験が終止するように 工夫されている。 2.海綿鉄を原料とした軸受鋼の研究1) この研究により,50%海綿鉄+50%返り屑の配 合割合のものを,塩基性弧光電気炉でもってシリ シャス・スラグの下で高温溶解すると耐久性が良 好な軸受鋼が溶製されることが明らかとなった。 3.熱間押出した軸受鋼の研究2) この研究により,同じ鍛造比でも高温熱間押出 した軸受鋼の耐久性は従来の鍛造・圧延による軸 受鋼のそれに比べて良好であることが明らかとな り,また加工の問題も耐久性にかなり影響するこ とが明らかとなった。 3.真空誘導溶解炉および真空アーク溶解炉で 溶製した軸受鋼の研究3) この研究により,真空アーク溶解鋼の平均寿命 は真空誘導溶解鋼および大気溶解鋼のそれよりも 格段にすぐれており,かつ寿命の″ばらつき″も 小さく優秀であることが明らかとなった。これは 真空アーク溶解により,酸化物系およびアルミナ 系介在物の減少が著しく,かつまた偏折の少ない 健全な鋼塊が出来るためと考えられる。真空誘導 溶解鋼は真空アーク溶解鋼にまさるという従来の 考え方とこの研究の結果は異なるものであり,今 後真空アーク溶解法について充分検討を必要とす るものである。 発表文献 1)上野,中島,池田:“海綿鉄を原料として溶製 した軸受鋼について”鉄と鋼,47,124頁(1961) 2)上野,池田:“熱間押出軸受鋼について”,鉄と 鋼,46,1377頁(1960) 3)上野,中島,池田:“真空溶解した軸受鋼につい て”鉄と鋼,47, 494頁(1961) 鋼中の非金属介在物の研究 鉄鋼研究室 内山郁,工博上野学,*野村稔** 鋼中の非金属介在物は,従来,鋼の機械的性質 およびその他の性質に悪影響を及ぼすと見なされ てきた。しかし,軸受鋼を一例にとると,外国製 品は日本製品に比べて,非金属介在物が量的に多 いにかかわらず,その機械的性質特に耐久性がす ぐれているという結果を示している。このことか ら,鋼中の非金属介在物の種類の同定から,製鋼 法,加工法などの点について再検討を行なった。 そして今後非金属介在物とその鋼の性質に及ぼす 影響を明らかにすることによって,鋼の品質の向 上に資せんとするものである。本研究は次の項目 について実施,または継続研究を行なうものであ る。 1.鋼中の非金属介在物の個々の組成について 1.1. エキストラクションレプリカ法1)による 抽出,同定 1.2.ジャックハンマー法による抽出および同 定2) 1.3. X線マイクロアナライザーによる組成成 分の分析(本研究は,昭和36年度より本格 的に実施) 2. 鋼中の非金属介在物と機械的性質との関連 について3) まづ鋼の溶製の際の脱酸剤を変え,すなわち, Al, Si, Mnを各単独に使用して溶製した鋼につ いて,耐久性試験を実施し,その際に生じた非金 属介在物の影響を調べた。その結果,非金属介在 物の種類によってやや機械的性質に悪影響を及ぼ す程度の差があることが認められるが,量による 影響は認められなかった。 3.諸外国の軸受鋼の非金属介在物と炭化物の 調査4) 英,米,ドイツ,スウェーデンおよび国産の軸 受鋼について調べた結果,非金属介在物は量的に *36年6月 退職**36年3月退職 諸外国製品は多く,特に硫化物系介在物が大部分 を占め,その長さも非常に伸ばされていて,鍛造 比の大きいことが判明した。なお,炭化物の大き さはきわめて小さく,一様に分布しているものが 耐久性の良好なことが認められた。 このような観点から,非金属介在物および炭化 物を調べて,製鋼法,加工法などの点に対する資 料に供せんとするものである。 4.非金属介在物と熱間加工との関係を調べる 鋼を熱間加工した場合に,非金属介在物の中で 伸ばされるものと伸ばされぬものとがある。その うち,伸びない介在物は,鋼の地との密着性から 考えると,いわゆる,空孔を作って,それがその 鋼の機械的性質に影響を及ぼすと推定される。こ の観点から,各種の介在物の熱間加工による挙動 を調べて,鋼の品質の向上に資せんとするもので ある。 発表文献 1)内山,深見:“エキストラクションレプリカ法の 最近のやり方”金属物理,5,1,35頁(1959) 2)内山,野村,上野:“超音波ジャックハンマーに よる鋼中の非金属介在物の抽出”日本鉄鋼協会第61 回大会発表予定 3)内山,上野:“軸受鋼の機械的性質に及ぼす非金 属介在物の影響”鉄と鋼,45, 996頁(1959) 4)内山,上野:“各国の軸受鋼の非金属介在物と炭 化物”鉄と鋼,46, 342頁(1960) 鋳造用鉄鋼原料の改善に関する研究 鋳造研究室 工博 牧口利貞,早大工博 菊地政郎,栗原豊 最近溶銑炉の溶解技術の進歩に伴ない,鋳鉄中 のSi, Mn, P, Sなどの諸元素は比較的厳密な範 囲におさえることができる。しかし,炭素に関し ては所期の組成のものを得ることが困難な場合が しばしばある。これは従来溶銑炉内におけるコー ク スを燃料的な見地からのみ取り扱っていたため と考えられる。そこで本研究においてはコークス を燃料としてのみでなく,固体加炭剤として考え た場合の問題を解決する目的で実験を行なった。 コークスの加炭機構に関係する因子を考えてみ ると,(1)反応時間,(2)反応温度,(3)炭素剤の性 質,(4)炭素剤と溶銑との間の反応面積の発生する 確率(5)溶銑中における炭素濃度(6)溶銑のおかれて いる雰囲気(7)第三元素の影響などである。これら のうち,(1)(2)(5)および(7)などに関してはすでに多 くの発表があるが,これらのみでは溶銑炉内の加 炭を規制することができず,品質管理上多くの問 題を生じている。そこで,溶銑炉内の加炭現象を 調査してみると,炉況が同一であるにもかかわら ず,コークス中の固定炭素分と加炭量との間には 必ずしも関連性が認められない。この原因は上記 (3)および(4)の影響によるところが多いのではない かと考えられたので,これらの点について検討を 行なった。 1.灰分の粘性と加炭量との関係1) 上記(4)の条件はおもに炭素剤中の灰分の粘性に よるのではないかと考えられたので,粘性の異な る種々の灰分を合成し,これらを各種炭素剤に一 定量配合した後,棒状加炭剤を成型,焼成(1150 ℃)した。これらの加炭剤を一定温度の純鉄に浸 漬し加炭状況を試験した。その結果,炭素剤中の 灰分の粘性と加炭量との間には一定の関係が成立 することが明らかとなった。従って,溶銑炉内の 加炭量を規制するためには,コークス中の固定炭 素量および灰分量のみでなく,灰分の粘性が大き な因子となる。 2.炭素の性質と加炭量との関係 上記1項の研究の際に炭素剤の成因も大きな因 子となるのではないかと考えられる現象が認めら れた。そこで,灰分量0.1%以下の各種炭素剤 (環状系,鎖状系)を合成し,これによる加炭状 況を試験した結果,現在までのところ次式が成立 することが明らかとなった。 C=a logT+b ここにC=炭素量,T =加炭時間 a, b=常数 上式において加炭速度係数aが炭素の生成条件に より大きく変化するものである。この結果から溶 銑炉内の加炭状況を考えると,炉況がたとえ一定 であっても,使用するコークスの原料条件および コークス化温度などによって加炭量が変化するも のとみなければならない。 発表文献 1)牧口,栗原:“鉄中における炭素の挙動に関する 研究(第1報)”鋳物,32,1頁(1960) ステンレス鋼に関する研究 特殊鋼研究室 工博中川龍一,乙黒靖男 1.15Cr-20Ni-25Co系耐熱鋼の高温特性にお よぼす添加元素の影響 蒸気タービン,ガスタービン,ジェットエンジ ンなどの発達とともにすぐれた耐熱鋼に対する要 望はますます強くなっている。現在多く使用され ている耐熱鋼はいわゆるステンレス鋼に種々添加 元素を加え高温強度を高めたオーステナイト耐熱 鋼で,これらの最高使用温度は高々700℃どまり である。 本研究の目的とするところはオーステナイト系 耐熱鋼を更に改良して800℃の高温において十分 使用可能なすぐれたオーステナイト系耐熱鋼を新 たに見いだそうとして行なったものである。 1.1.Haynes Stellite 88系耐熱鋼の研究1) まづ現在知られているオーステナイト系耐熱鋼 の中で最も優秀と思われるHaynes Stellite 88の 基成分,添加元素の影響,熱処理法につき調べ, 15Cr-20Ni-25Coを基とする耐熱鋼が非常に有望 なことが明らかとなった。 1.2.15Cr-20Ni-25Co系耐熱鋼に及ぼす添加 元素の影響2~3) 次いでこの15Cr - 20Ni - 25Coを基成分とし, これに種々の添加元素を単独に,あるいは同時に 添加し,時効硬さ,クリープ・ラプチャー強さに及 ぼす影響を調べた。その結果上記成分を基とし, それにMo, Nb, Ti, Al,Bを適当量添加した耐 熱鋼はCo基耐熱合金S816と同程度の高温強さ を有し,非常にすぐれは耐熱鋼であることを見い だした。 2.18Cr-12Ni系ステンレス鋼の品質向上に 関する研究 上記の研究と同時にオーステナイトステンレス 鋼の諸性質に及ぼす添加元素の影響を解明し,あ わせて18Cr-12Niを基とするすぐれたオーステ ナイト系耐熱鋼を開発する目的で本研究を行なっ た。 2.1. 18Cr-12Ni系ステンレス鋼の諸性質に及 ぼす添加元素の影響 18Cr-12Ni系ステンレス鋼の時効硬さ,時効に よる顕微鏡組織の変化,析出物の挙動,耐酸化抵 抗,高温変形抵抗,高温衝撃,常温および高温引 張り強さ,クリープ ・ラプチャー強さなどの諸 性質に及ぼす C, Nb4~5), Ti6, Mo7~8), W7), V9), Al9),Zr9), N10), B10)の元素の添加の影響につき 調べ,18Cr-12Ni系ステンレス鋼の特に高温特性 の改善をはかった。 2. 2.18Cr-12Ni系オーステナイト系耐熱鋼の 研究 上記の試験結果より高温特性に好影響を与える 添加元素Nb, Ti, Mo, W, V, N, Bの適当量 を同時に含む18Cr-12Ni系のすぐれた耐熱鋼を 見いだした。 3.クリープ・ラプチャー試験の再現性につい て 耐熱材料の高温強さを判定する試験法としての クリープ・ラプチャー試験値のバラツキについて 実験,考察を行ない耐熱鋼研究の資料とした。 発表文献 1)小西,芥川,藤田,中川,乙黒:“Haynes Stell­ ite 88系耐熱鋼について”,材技研報告,1,51頁 (1958) 2)小西,芥川,藤田,中川,乙黒:“オーステナイ ト系耐熱鋼の研究”材技研報告,2, 6頁(1959) 3) Akutagawa, T., Fujita, T. Nakagawa, R. and Otoguro, Y.,: “Studies on Austenitic Heat Resist ing Steel”, Trans, of NRIM, P 100 (1959) 4)中川,乙黒:“オーステナイト鋼の高温性質にお よぼすNbの影響”,鉄と鋼,45,1276頁,(1959) 材技研報告,3,1頁(1960) 5) Nakagawa, R. and Otoguro, Y. : “The Effect of Niobium on Properties of 18 Chromium 12 Nickel Austenitic Stainless Steels” Trans, of NRIM, 2, P 1(1960) 6)中川,乙黒:“オーステナイト鋼の高温性質にお よぼすTiの影響”,鉄と鋼,46, 566頁(1960),材 技研報告,3,1頁(1960) 7)中川,乙黒:“18Cr-12Ni系不銹鋼の諸性質に およぼすMoおよびWの影響”,鉄と鋼,46,14, 28頁(1960) 8)中川,乙黒:“18Cr-12Ni系不銹鋼の諸性質に およぼすMoの影響”,材技研報告,4,1頁,(1961) 9)中川,乙黒:“18Cr-12Ni系オーステナイトス テンレス鋼の諸性質におよぼすV, Al,Zrの影響 鉄と鋼,46,1411頁(1960) 10)中川,乙黒:“18Cr-12Ni系オーステナイトス テンレス鋼の諸性質におよぼすNとBの影響”,鉄 と鋼,46,1409 (1960) 11)中川,乙黒:“クリープ・ラプチャー試験に関 する研究”,鉄と鋼,46, 42頁(1960):材技研報告, 3,54頁(1960) 超耐熱合金の性能向上に関する研究 耐熱合金研究室 工博 依田連平,渡辺亨,佐藤有一,川越賢一郎 高速度熱機関の発達は必然的に高い作動温度に 耐える高温特性のすぐれた材料を必要とする。最 近の超音速航空機ではジェットエンジン用タービ ン翼材として900~1000℃に耐えるものを,宇宙 開発用飛翔体としては1000℃以上の高温度に耐 える材料の実現が切望されている。そこで耐熱合 金研究室としては900℃以上の高温度で長時間高 強度を維持する新合金を開発するため,Co基,Ni 基,Cr基の各合金について研究を行なってきた が,現在までに得られたおもな成果は次のとおり りである。 1.Co基耐熱合金 現用耐熱合金中900℃以上の高温度で最も耐熱 強度の高いCo基のX-40合金を基準とし,この 種合金の耐熱強度に対する溶製雰囲気と,B, Ti, Zr, Ceなど特殊元素の影響を求めたところ,こ の合金の高温強度は真空溶解とBの添加によって 著しく向上することを見いだした。その最適な添 加量はC含量に依存し,0. 5% Cでは0. 5% Bで,ま た0.8%Cでは1%Bで最も向上する。BとCeを 併用するとラプチャーライフも伸びも更に高まる が,最強の合金はB 0.5 %とZr1%の併用添加で 得られる。たとえば900℃-14kg/mm2の条件下 で基準合金であるX-40のラプチャーライフは66 hrであるのに対し,BとZrを含む合金は1500hr であった。この新合金は現在知られているCo基 合金中最強のものであるので,これを1Z05B合 金と呼称することにした。この材料が従来の各種 超耐熱合金に比べていかに強大であるかを示すた めに,次に述べるNi基合金と共に図1をかかげ 図1 代表的超耐熱合金の1000hrラプチャー強度 の比較 表1代表的超耐熱合金の化学組成 (組成)% 種類 合金 C Cr Ni Co Mo W Cb Ti Al Fe B Zr Co基 ● S-816 0.38 20 20 43 4 4 4 ― ― 3 ― ― ○ Vitallium 0.25 27 3 62 5 ― ― ― ― 1 ― ― △ X-40 0. 40 25 10 55 ― 8 ― ― ― 1 ― ― □1Z05 B alloy 0.45 27 8. 5 Bal. ― 7.5 ― ― ― ― 0. 25 0.75 Ni基 ⦿ Inconel X 0. 04 15 73 ― ― ― 0.9 2.5 0.9 7 ― ― ◬ M-252 0.10 19 54 10 10 ― ― 2.5 0. 75 2 ― ― ▲ Nimonic 100 0. 20 11 Bal. 20 5 ― ― 1.5 5.0 1 ― ― ■ No. 64B alloy 0. 07 12 Bal. 20 4. 8 ― ― 3.5 5.2 ― 0. 30 ― たが,その化学組成は表1に示してある。 2. Ni基耐熱合金 TiおよびAlを含む析出硬化型のNi基合金中 代表的なNimonic100はAl+Ti濃度が高いため に鍛造が困難である。そこでまずタンマン炉溶製 した種々のAl+Ti濃度を含むNimonic100系合 金について鍛造性試験を行ない,鍛造可能限界が Al, Tiを両軸にとると約Al4.5%, Ti 5%を結ぶ 線上にあって,TiよりもAlの方が可鍛性を阻 害する作用が幾分大きいことを知った。900℃に おける曲げクリープ試験の結果から,クリープ強 度の最大ピークが鋳造合金領域中Al5~6%, Ti 3~4 %の組成付近にあることを確認し,これを No. 64合金と名づけた。更にNo.64合金を10-1~ 10-2mmHg程度の減圧下で溶解し,これに少量 のCe, Zr, Nb, Bなどの特殊元素を添加したと ころ,B添加の合金は900℃-14kg/mm2でラプ チャーライフ1200hr, 1000℃-10kg/mm2 で160hr というすぐれた材料であることを見いだした。こ の合金をNo.64B合金と呼称し,組成とラプチャ ー強度を表1,図1中に示したが,Nimonic100よ りもはるかに強力で,前述のCo基の1Z05B合金 とほとんど同じであるが,1000℃の高温度では更 にすぐれている。 3. Cr基耐熱合金 1000℃以上の高温度ではCr基合金は耐酸化 性の点からも強度の面からもすぐれた合金である ことが期待さるが,この合金は融点が高く,また 鍛造が困難で脆弱であるためにまだ実用合金が得 られていない。Cr基合金については従来Cr-Fe- Mo三元合金が検討され,Crが60%でFe15~ 25%, Mo25~15%が有望な組成範囲とされてい る。そこでまずタンマン炉溶製した60Cr-25Fe- 15Mo系合金についてFeの一部をCoで置き換え たところ,10~15% Coでクリープ強度がピーク を示し,これを真空溶解してTiを添加すると更 に強度が向上することを,1000℃の曲げクリー プ試験の結果から見いだした。 しかもFeをCoで 置き換えたこの合金は溶製が非常に容易となり, 鋳造合金として適している。次にCr基合金の熱間 加工性をみるために,真空溶解したCr-Fe-Mo系 図2 Cr-Fe-Mo系合金の熱関加工性 ■スエージングにより加工可能 (真空溶製合金) □スエージングにより加工困難 (真空溶製合金) △熱間圧延可能 (減圧溶製合金) }本研究結果 ●板に加工可能 ○板に加工困難 ×板に加工不能 }沃度Cr使用(D.J. Maykuthら) ⦿スエージングにより加工可能(真空溶製合金, R.M. Park ら) 図 3 減圧溶製した58. 2% Cr-28.2% Fe-13. 5%Mo 合金の鋳造と加工試料の1000℃ における曲 げクリープ曲線 の各組成の合金について1200~1000℃でスエー ジング加工を行なったところ, 市販の電解クロム (99. 2%Cr)程度の比較的低純度のCrを原料に しても,図2中に示したように,高純度Crを用 いて溶製した合金について従来加工可能とされて いるいずれの組成よりも高Mo,あるいは高Cr側 まで加工出来ることを知った。また,このように 熱間加工した合金は鋳造合金に比べてはるかに結 晶粒が細かく,靭性が向上し,図3に示すように 高温度のクリープ特性も著しく向上することがわ かった。 発表文献 1)三橋,依田,渡辺:“Co基耐熱合金の高温特性に 関する研究(第1報),時効硬化性について”,材技 研報告,1,63~72頁(1958) 2)三橋,依田,薬師寺:“Cr基耐熱合金に関する研 究(第1報),60%Cr-25% Fe-15%Mo系合金にお けるCoの影響について”,材技研報告,2,219~225 頁(1959);日本金属学会誌,24, 36~39頁(1960) 3)三橋,依田,薬師寺:“Cr基耐熱合金に関する研 究(第2報),60%Cr-25%Fe-15%Mo系合金にお けるTiおよびAlの影響について”材技研報告(3, 12~16頁(1960);日本金属学会誌,2,410, 615~ 618頁(1960) 4)依田,吉田,高橋:“Ni基耐熱合金に関する研究 (第1報),Nimonic100系合金の鍛造性と時効硬 化性に及ぼすAl, Tiの影響について”,材技研報告 3, 322~331頁(1960);日本金属学会誌,24, 723 ~727頁(1960) 高Mn耐熱鋼の性能向上に関する研究 耐熱合金研究室 工博 依田連平,吉田平太郎,小池喜三郎 豊富なNi資源をもつアメリカでもNiの一部 をMnで置き換えた低Ni高Mnステンレス鋼 が重要視されている。また,新しいバルブ用耐熱 鋼としてCr-Mn-N系オーステナイト鋼をわが国 ではアメリカから技術導入している現状である。 Ni資源に不足し,Mn資源に富むわが国として は,Niの一部をMnで置き換えた耐熱鋼の実現 が経済性の面から切望されており,この研究はそ の開発を目的として行なっている。 ところで,従来代用鋼として知られている高 Mn耐熱鋼は700~800℃の高温度では長時間の 使用に耐えない。そこでFe基の代表的耐熱合金 として800℃までの使用に耐えるN-155合金の 20%Niを種々のMn量で置き換えて,その高温 特性を検討した。 NiをMnで置き換えて行くと鋳塊の鍛造が非 常に容易となる。しかも700~900℃におけるク リープラプチャー強度は4%Mn付近でピークを 示すが,Niを10%Mnまで置き換えても適量のC 濃度とN濃度を選べば基準のN-155合金よりもは るかにすぐれた合金が得られる。たとえばN-155 合金が100hrのラチヤライフを示す条件下で, 図1 1000℃および1200℃での鍛造性におよぼす Mn含量の影響(衝撃エネルギー:5kg-m) 表1 代表的Fe基耐熱合金の化学組成 組成(%) 種類 C Cr Ni Co Mn Mo W Cb Ti N Fe ● Timken 0. 08 16.0 25.0 ― 1.5 6.0 ― ― ― 0.15 Bal. ○ 19-9DL 0. 30 19.0 9.0 ― 1.0 1.25 1.2 0.4 0.3 ― Bal. △ N-155 0.15 20.0 20.0 20.0 1.5 3.0 2.5 1.0 ― 0.15 Bal. □10% Mn alloy 0. 21 19. 96 9. 52 20.13 9. 91 3. 01 2. 79 0.97 ― 0. 38 Bal. 図2 代表的Fe基耐熱合金の1000 hrラプチャ ー強度の比較 10%Mn 合金は 700℃ で 430hr, 800℃ で166hr を示し,その破断伸びもはるかに大きい。図1は N-155合金のNiの一部をMnで置き換えた鋳造 試料の鍛造性試験の結果を示したもので,Mnが 増すほど明らかに鍛造し易くなる。耐熱性のすぐ れた高合金鋼の共通の欠点は鍛造が困難な点にあ り,すぐれた耐熱合金が実験室的に得られなが ら,これを実用化する場合の最大のneckとなっ ている。また合金元素をさらに高めれば一層耐熱 性が向上することが期待されながら,鍛造出来な いために実現されない材料が多々ある。ところで Mnを10%も含んだこの種材料はきわめて鍛造し 易い。N-155合金ではC 0.14%, N 0. 2%を含むと 鍛造が困難となるが,10%Mn合金ではC0. 63%, N 0. 24%,あるいはC 0. 21%, N 0.47%含んでも少 しも割れの発生なく鍛造することが出来て,耐熱 性の向上した材料が得られる。表1に代表的なFe 基耐熱合金とこの研究で得られた10%Mn合金鋼 の化学組成を示したが,その1000hrラプチャー 強度をLarson-Miller Parameterから求めて比 較してみると,図2のようで,10%Mnを含む本 材料が最もすぐれていることが知られる。 発表文献 1)依田,吉田,佐藤:“N-155合金の高温特性にお よぼすMnの影響について”,鉄と鋼,46,1419 ~1421頁(1960) S曲線に関する研究 熱処理研究室 中島宏興,星野明彦 鋼の焼入性は機械的性質に影響があるので,種 々の鋼種の焼入性を把握しておくことが,鋼の熱 処理上重要である。この焼入性を判定するにはS 曲線(変態曲線図)によるのが適当であり,この S曲線により焼入に際して焼の入る深さなどを知 ることが出来る。なおオーステンパーおよびマル テンパーなどの熱処理もこの図を参考として処理 出来るために各鋼種のS曲線が熱処理作業上必要 となる。 1.変態曲線作成装置の試作 1.1・恒温変態曲線作成装置 適当なオーステナイト化温度よりAe3点以下の 任意の温度の塩浴中で恒温変態させた時の試験片 の膨脹(収縮)-時間の曲線を自動的に記録させこ れにより恒温変態曲線を作成する。 1.2.連続冷却変態曲線作成装置 オーステナイト化温度より炉冷,ガス冷却,水 冷などの任意の速度で連続冷却した際の試験片の 温度-膨脹一時間の関係をX-Y-T記録計に自動記 録させ,これより連続冷却変態曲線を求める。 なお加熱・冷却はプログラム・コントローラーに より,あらかじめ設定した速度によって自動的に 行なうことが出来る。 2. 恒温変態処理による機械的性質 連続冷却に際して得られる組織中には種々の変 態生成物が混在し,それらが各々異なった機械的 性質を有している。このような混在した材料の機 械的性質を解明するためには,種々の変態生成物 特有の性質を知ることが重要で,そのため恒温変 態処理により研究を遂行した。その結果によると 降伏比は下部ベイナイト組織で80%,パーライト 組織で70~60%となる。 一方断面収縮率はパーライトおよび下部ベイナ イト組織では50%以上の値を示すが,上部ベイナ イト組織の場合には粗大炭化物のために40%以下 となる1)。 それゆえに不完全焼入における下部ベ イナイトの混入はあまり機械的性質を悪化しない が,パーライトもしくは上部ベイナイトの析出は 著しく機械的性質を低下させることが推察され る。 3.硬度と機械的性質 硬度と機械的強度(引張・降伏・疲労限)とは ほぼ直線的関係にあると考えられていて,現在硬 度を基にして製造しているバネ鋼について,恒温 変態,焼入焼戾および連続冷却処理に関する研究 を遂行している。引張強度はいずれの場合も硬度 に大体比例する。降伏強度はベイナイト組織以外 の恒温変態生成物には硬度との比例関係は成立し ない。また疲労限についてはほぼ硬度に比例する が焼入後低温焼戾せる場合には比例しない。これ は析出炭化物の形態2)に左右されるためである。 恒温変態と焼入焼戾で得られる特徴は,強度では 焼入焼戾処理がすぐれているが,靭性の点では炭 化物の形態の点より低温での恒温変態処理で比較 的好結果を得る。結局析出炭化物の形状は引張強 度にはあまり影響はないが,靭性には重要な因子 となる。 発表文献 1)上野学,内山郁,星野明彦:“Mn-Crバネ鋼の 恒温変態による機械的性質”,鉄と鋼46, 445~447頁 (1960) 2)上野学,内山郁,星野明彦:“Mn-Crバネ鋼の 焼戾性について”鉄と鋼,47, 453~455頁(1961) 第 2 部 第2部が担当している研究分野は主として金属材料の物理的性質と加工に関する問題であっ て,昭和31年当所の設立と同時に発足し,まず32年度には物理冶金研究室,加工第1研究室, 加工第2研究室の3研究室がおかれた。つづいて昭和33年度には加工第2研究室を高純度金属 研究室と改称し,また原子炉構造材料研究室を新設した。昭和34年度には第5部,第6部,第 7部の新設に伴ない,高純度金属研究室,原子炉構造材料研究室をそれぞれ第7部および第5 部に移管するとともに,新たに磁性材料研究室,熱処理研究室を設置した。昭和35年度には熱 処理研究室を第1部に移管するとともに粉末冶金研究室を第1部より移管して,昭和36年度に は磁性材料研究室を第9部に移管し,金属物理研究室が新設され,現在に至った次第である。 以上のとおり,部の新設,研究体制の確立整備に伴ない,研究室の新設,移管がそのつど行 なわれたが,常に物理冶金学的見地から多くの問題が取り扱われた。 次に現在までの研究の概要を紹介する。 強磁性材料の製造に関する研究 物理冶金研究室 理博田岡忠美,古林英一,武内朋之*大河内真 竹内伸,斎藤豊 本研究の目標は,強磁性材料の結晶方位による 強い磁気異方性を利用して,従来の製造方法や聚 合組織にこだわらず,特殊組織の磁性材料を製造 して,それぞれの使用目的に応じた飛躍的品質の 向上と新しい使用方法の開拓にある。その研究方 法としてインゴットの製造から製品に至る全工程 を通じて一貫した方針の下に総合的並びに基本的 に研究を進めつつあるが,過去二年半の研究のあ ゆみを,おおよそ以下に述べると三つの時期に分 けることが出来る。 1.研究方針の確立と,確実,能率的な研究方 法の確立 研究方針として,インゴットの成分,特殊組織 から出発して熱延,冷延,熱処理再結晶の全過程 を,金属物理,結晶塑性,再結晶学的立場から, 顕微鏡組織,X線回折,光像,磁気異方性解析に * 36年4月加工研究室へ配置替 よって,一歩一歩現象論的に究明すると共に,現 象の変化を連続的に観察して,圧延,再結晶の機 構を明らかにするため,各種装置を設計,順次, 試作,整備した。また,それぞれの測定の確実, 迅速な解析方法を確立したのも,主としてこの時 期である。 2.商用珪素鋼板の製造全工程での結晶組織解 析 商用3 %珪素鋼板の熱延板から出発して,いろ いろの圧延率で,一回,多重圧延を行ない,圧延 組織,低温焼鈍組織,高温焼鈍組織の解析を通 じ,上記の解析方法の適用条件を調べた。得られ た結果は諸種の解析を総合して 2.1.熱延組織 圧延方向に〈011〉結晶方位を もち,広い範囲に分布した聚合組織 2. 2.冷延組織 熱延組織がせまい範囲に集合 した組織 2. 3.低温焼鈍組織{112} 〈110〉組織の〈110〉 軸の回りに回転した聚合組織 2. 4.高温焼鈍組織{110}〈001〉組織および圧 延面が{111}で,面に直角な〈111〉軸の回りに 回転した組織 3.主要方位の単結晶板の製作と圧延,再結晶 組織の解析とその機構の解明 第二期に得られた比較的簡単な組織の変化が, どのようなエネルギー,機構で支配されているか を明らかにし,任意の方位の組織を得る方法を確 立するため,主要面,主要方向の単結晶板を圧延 再結晶法で,順次製作しつつある。 まず,圧延における辷り系がなんであるかを明 らかにするために,引張り,圧延変形における辷 り線を特殊方位の単結晶板で調べた結果{110}〈11 1〉辷りが主であることが判明した2)。 {110}〈001〉単結晶材を,10~85%にわたって冷 延した結果,圧延組織は順次,二つの{111}〈112〉 組織に分かれそれぞれのドメイン構造が明らかに なりつつある3)。続いて低温焼鈍再結晶組織の核 の発生,その成長圧延組織との方位関係を調べつ つある。また高温顕微鏡による再結晶核の発生, 結晶粒の成長の模様を連続観察した結果1)と合わ せて,成長する再結晶粒はある大きさまで,瞬間 的に発生するが,以後の成長は,結晶粒界の移動 による。結晶粒界の方位関係とそのエネルギーを 目下調べつつある。 発表文献 1)“高温顕微鏡の試作とその応用例”昭和36年3月 応物連合学会発表 2) “体心立方格子金属の辷り面”昭和34年10月物理 学会発表 3) “鉄系合金の再結晶(第一報)”昭和36年3月物理 学会発表 そのほかの発表 Taoka, T., Yasukochi, K., and Honda, R: “ Defor­ mation Modes in Face-Centered Cubic Superlattice Alloys” Mechanical Properties of Intermetallic Compounds (1959) P-192 鋼の脆性 物理冶金研究室 本多龍吉 強度と伸びの大きいことを特色とする鋼も低温 ではきわめて小さな伸びによって破断を起こす。 しばしば危険な破壊の因となるこの脆性破断の原 因を理解する試みは,多くの実験と議論が行なわ れたにもかかわらず,従来はっきりした成功に到 達していなかった。ある場合には,顕微鏡的な欠 陥(介在物など)がその因となることもあろう。 しかし,低温脆性はかなり均一な材質においても 起こり,さらに単結晶や同型(体心立方格子型) の結晶格子を持つほかの金属(クロム,モリブ デンなど)においても類似の様相を取って起こ る。従ってその原因は一般にはそのような結晶の 属性としてのなにかに由来すると考えられる。こ の観点から最近,最も研究の対象となってきたの は,双晶形成ないし辷りと脆性破断との関係であ る。 この点について理解を進めるために珪素鉄単結 晶を液体窒素中にて,それぞれ〈100〉,〈110〉, 〈1 11〉方向に引張り試験を行ない,同時に,破断後 のみならず,引張りの途中においても,いろいろ の段階で引張りを中止して試料面に現われた双晶 と辷り線を顕微鏡にて観察し,それらの増加,成 長,相互作用と,破断との関連に対して考察を加 えた。結果は特定のタイプの双晶の交叉,もしく は特定のタイプの辷り系の交叉が劈開を引き起こ して,脆性破断の原因となることを明らかに示し ている。すなわちいずれの場合も,塑性的な流れ (双晶変位または辷り)が交叉のため{100}面上 の交叉線に沿って阻止されると,その結果生ずる 大きな集中応力がその{100}面上での劈開を起こ すという考え方があらゆる実験的な事実とよく合 致する。方向別に言えば,〈100〉方向に引張った 試料では,たくさんの双晶が現われ,必ず双晶の 交叉によって破断が起こり(写真1),〈110〉ないし 〈111〉方向に引張った試料では辷りが優先して, それらの交叉によって,破断が起こされると考え (a) (b) 写真1〈100〉方向の引張り試験によって破断した試料 の表面にて観察された交叉する双晶(a)とその 双晶によって引き起された劈開の面(b), (a)お よび(b)写真のTは双晶の交叉部を示す(×200) 写真2 〈110〉方向の引張り試験によって破断した試料 の表面にて観察された大きな縦割れ,L,および その一方の側に起こっている横割れ,Tr,Fは 破断部(×28) られる。特に面白いのは〈110〉方向に引張った試 料においてしばしば大小の引張り軸に平行な縦割 れ(写真2)が見られることである。この縦割れ は転位論的な立場から,辷り系の交叉と劈開の関 係を考察した場合,充分期待出来るものである。 発表文献 1. Taoka, T., Yasukochi, K., Honda, R. and Oyama, I. :“An Experimental Investigation on the Mode of Slip in Face- Centered Cubic Metals,” J. Phys, Soc. Japan,14, P. 888 (1959) 2. Taoka, T., Yasukochi, K., and Honda, R.: Me­ chanic al Properties of Intermetallic Componuds (1959) P.192 (Deformation Modes in Face-Centered Cubic Sup­ erlattice Alloys) 3. Honda, R.: “ Longituchnal Cleavage by Cott rell's Mechanism in Silicon Iron,” Acta Met. to be published 4. Honda, R.: “ Cleavage Fracture in Single Cr­ ystals of Silicon Iron,” J. Phys. Soc. Japan to be published 鋼の高速変形と破壊に関する研究 金属物理研究室吉川明静,上原満 加工研究室武内朋之,池田省三 この研究は35年度より実施されたもので,現状 は次のとおりである。 1.高速変形の研究としては,試験片に対しきわ めて短時間に振動の起こらないような一定の引張 り応力を加えることの出来る高速荷重装置を作製 した。本装置は圧縮空気で動くピストンとグリセ リンダンパーを組み合わせた機構をもち,最大荷 重1000kg,荷重時間5/1000secの性能をもって いる。本装置によって,鋼および純鉄の一定荷重 下における変形および降伏などの時間依存性につ いて研究を進めている。 2 . 一方破壊の研究としては疲労破壊の機構につ いて研究を進め,鋼の疲れ割れが発生するまでの 内部状態の変化を示す目安として疲れの進行に伴 なう内部摩擦の変化を測定した。この結果,転 位の挙動に対応すると考えられる部分の内部摩擦 は,疲れ限度より高い応力では繰返回数とともに まし,その増分は単純引張などの場合では転位の 再配列が起こりえない低い温度の焼鈍で回復する ことが判明した。このことは繰返応力によって疲 れ割れが発生する場合の転位の配列が単純引張な どの場合と異なっていることを示している。 さらにこのような転位配列と疲れ割れの結びつ きを明らかにするためには,種々の温度ことに低 温での疲れの進行の過程を知ることが必要であり この目的で液体窒素温度までの低温と真空中およ び種々の雰囲気下で試験の出来る磁気共振型引張 圧縮疲れ試験機を試作し,上に述べた条件下での 疲れに関する研究を進めている。 粉末製造法の研究 粉末冶金研究室 田村皖司,武田徹 本研究はアトマイズ法による高融点金属粉末た とえば,ステンレス鋼をはじめ各種の特殊鋼の製 造に関する研究を行なうものであって,現在,複 雑な工程で製造されている粉末,あるいは輸入品 に依存している各種金属粉末をわが国の粉末冶金 業界に安価に供給するためにその製造条件を確立 するものである。 Al粉(×120) Cu-Zn 粉(×150) Cu 粉(×60) 昭和34年に独自の見解になる構造をもつアトマ イズ装置を設計・試作し,まず,本装置の性能試 験を行なった。次に高融点金属粉末を製造するた めの予備実験として低融点金属粉末(Cu, Al,Zn など)および合金粉末(Cu-Zn, Cu-Sn)など について研究を進め,圧縮空気圧力,圧縮空気ノ ズル口径,その角度,溶湯ノズルの形状および大 きさ,並びにそれらの関係位置を明らかにした。 すなわち,溶湯ノズル口径は3~4mm が適当で あり,これよりも小さいときは溶湯は流下せず 逆に大きいと落下溶湯流が多いため十分な噴霧化 が行なわれない。圧縮空気圧力が高く,溶湯温度 が高い場合には細かい粉末が多くなり,前記いず れの金属の場合でも空気圧力7~8kg/cm2,溶湯 ノズル口径3~4mm,圧縮空気ノズル口径0. 4~ 0.7mmが適当である。そのような条件で製造さ れた粉末の数例は写真にみるものである。 珪化物系耐熱材料に関する研究 粉末冶金研究室 工博田村皖司武田徹 本研究は金属珪化物のなかで特に耐酸化性が優 秀であり,高温強度が比較的高く,かつ耐食性に とみ,金属的な電気的性質を示すMoSi2に着目 し,超耐熱材料あるいは電気抵抗発熱体としての 実用化のための研究を行なった。 まずMoSi2を真空アーク炉によって溶製する 場合の溶製条件を明らかにしX線解析,化学分析 によってその性状を確かめ焼結温度,焼結圧力, 焼結時の雰囲気などが焼結体に及ぼす影響につい て詳細な研究を行ない,その焼結条件を明らかに した。すなわち焼結温度1430℃,焼結圧力250 kg/cm2で密度6. 22g/cm3 (理論密度の99.6%)と いう高い値を示した。また1000℃の空気中の耐 酸化性は0. 0000g/cm2/dayであり,かつ耐食性 もすぐれていることが明らかとなった。しかし常 温では脆く熱衝撃性には弱い。この欠点を改善す るために耐酸化性の失なわれない範囲内で金属結 合剤を添加し,MoSi2サーメットを試作,製造し 研究を進めたが,熱衝撃抵抗を改善し,十分な成 果をあげることは出来なかった。またMoSi2に 金属結合剤を添加し,ホットプレスによって焼結 を行なうとき金属結合剤が黒鉛ダイス内に流れて しまい,このため十分な焼結体が得られないとい う場合がよく起こった。そこでこのような金属結 合剤の流れ出しを防ぐために三つの方法について 実験を進めた結果,焼結圧力342kg/cm2,焼結温 度1100℃で焼結を行ない,1300℃に再加熱保持 することによってほぼ満足する結果が得られた。 前述までの研究結果によって MoSi2は熱衝撃 抵抗が改善されなければ超耐熱材料として実用す ることはむづかしいことが知れた。そこでMoSi2 の耐酸化性,電気的性質に着目し,高温に耐える 電気抵抗発熱体としての適用性について研究を進 めた。まずその基礎実験として酸化物(Al2O3, SiO2)を添加した焼結体についてその物理的,機 械的性質を調べた結果,Al2O3とSiO2を同時に 添加する場合にはAl2O310~30%, SiO210~20% 程度が適当であることが明らかにされた。そこで MoSi270~90%, Al2O310~20%, SiO210%以下の 数種の焼結体について,高温の電気抵抗各種ガス 中での耐食性を調べた結果,MoSi2を発熱体とし て実用する場合の最適化学組成は MoSi270%, Al2O320%, SiO210%であることが明確にされた。 次に冷間圧縮焼結法によるMoSi2発熱体の製 造研究を行ない,そのときの実験結果がそのまま 実用化の際に利用出来るように各種の焼結条件を 確立した。すなわち本粉末の充填密度,圧縮性, 成型性,真空中,アルゴン中,水素中での焼結条 件および実用発熱体の製造条件を求め十分な高性 能を持つ発熱体を作り得るという確信が得られ た。また,長時間使用が本発熟体の諸性質に与え る影響について調べ,なお従来から市販されてい る炭化珪素系発熱体との比較試験を行ない,本発 熱体の優秀性を立証した。 第 3 部 当部は当所発足いらい,金属材料の表面処理,化学的性質および分析に関する研究および試 験を担当し,現在に至っている。その間構成研究室は当所の拡大充実に即応して多少の変遷が あった。昭和32年度には表面化学研究室,材料化学研究室および分析化学研究室の三研究室で 構成されていたが,33年度には新たに腐食研究室が増設され,材料化学研究室は化学冶金研究 室と名称を改めた。さらに34年度には分析室が増設され,一方第5部の新設に伴ない腐食研究 室は第5部に移管された。36年度には第8部の新設により従来の化学冶金研究室はそちらに移 り,金属化学研究室が新設された。現在は表面化学研究室,金属化学研究室,分析化学研究室 および分析室の四つで構成されている。 表面化学研究室は金属材料の酸化あるいは腐食に伴なう表面状態の変化を調べ,耐酸化性お よび耐食性を増大させるように適切な表面処理法を見いだす研究を行なっている。研究問題と しては1)超耐熱合金の性能向上に関する研究,2)金属材料の高温酸化機構に関する研究の二つ を中心課題としてとりあげている。1)は第1部耐熱合金研究室と協同して研究を行ない,ニッ ケル基耐熱合金の耐酸化性向上のためのクロム,チタン,アルミニウム,シリコンなどの合金 元素の影響について,また耐火物による耐熱表面被覆の問題を主眼として研究を進めている。 2)は鉄,ニッケル,クロム,コバルト,モリブデンおよびこれらを主体とする合金系の酸化反 応の機構について研究し,すぐれた耐食耐酸化合金の開発に対する基本的な指針を与えようと するものである。 使用研究設備としては高温下で各種ガスの反応過程を直接観察しうる電子回折装置,電子顕 微鏡,超高感度熱天秤およびエレクトロンプローベマイクロアナライザーなどがあり,最新の 技術を駆使して金属表面生成物の発生機構,結晶構造,組成,生長速度などに関する多角的な 解析が進められている。 金属化学研究室は金属材料の化学的性質に関する研究・試験を主要業務としている。金属酸 化物などを塩素化して金属塩化物を製造し,精製した金属塩化物をより卑なる元素で還元する か,あるいは融解塩電解を行なって金属を製造しようとするいわゆる塩素製錬法は純金属の製 造法として最近注目されるようになってきたが,この研究室ではこの方法に関する諸問題につ いての研究を重要課題の一つとしてとりあげている。すでに,ナトリウムを還元剤とすること を特長とするチタンの製造については基礎研究,応用研究をもとにして中間工業化研究を行な い,工業的に有利なチタン製造法を樹立した。また,タンタルの製造における炭化物の塩素化 過程,五塩化物の化学的挙動,五塩化物と各種還元剤との反応機構,還元生成物の状態および 得られた金属の性状などについての基礎的研究を行なっている。 さらに一方,脱酸反応に関する基本的な研究を行ない,第8部鉄製錬研究室の他方面の研究 と併行して,新たな観点より製鋼法の改善に寄与しようとしている。 分析化学研究室は金属材料の特殊分析および一般分析に関する研究・試験を主要業務として おり,最近問題になってきた純金属の研究に必要な微量不純物の分析法の研究と鉄鋼その他の 合金内の酸化物,硫化物,窒化物などの状態分析の研究に主力を注いでいる。 純金属中の微量不純物の分析については,空気中の塵などによる誤差を防ぐために除塵室を 設けて,そのなかで有機発色材を用いて光度定量を行なう方法や高感度ポーラログラフ,ジャ ーレルアシュ社製Jaco発光分光分析装置あるいは放射性同位元素を追跡子として用いる方法, または放射化分析による方法などで微量不純物の分析法の研究を行なっている。 状態分析法の研究は鋼材の性質に影響を及ぼす非金属介在物をおもな対象として研究を進め ている。 その他,小型溶解設備,工業化研究設備の充実に伴ない,操業上の指針となるための迅速分 析法の確立への努力も行なっている。 分析室は当所の研究の縁の下の力もちとして所内各研究室よりの分析依頼に応じ,それぞれ の要望に沿うよう努力している。分析試料は炭素鋼,鋳鉄,ステンレス鋼,耐熱鋼,ニッケル 基合金,クロム基合金,コバルト基合金,モリブデン合金,サーメットおよび純金属など多種 多様にわたっている。分析機器としては主としてJaco発光分光分析装置,カメカ社製スペク トロレクチュールおよびヴェーストホッフ社製微量炭素分析装置などを使用している。 ナトリウム還元法による純金属(Ti, Taなど)の工業的製造に関する研究 金属化学研究室 工博佐伯雄造 Tiの工業的製造法としては一般にはTiCl4を Mgで還元するいわゆるクロール法が採用されて いることはよく知られている。しかし,この方法 はバッチ方式であることのほかいくつかの根本的 な難点があり,これに代わるより経済的な製造法 の出現が強く望まれている。 本研究者らはTiの製造法について種々検討し た結果,クロール法に代わるべき方法としてNa を還元剤とする方法に着目した。当時,Na還元法 についてはTiCl4とNaとの反応は激烈であり反 応気圏が高圧になり危険であり工業的製造法とし ては不適であると一般に考えられていた。しかし ながら,本研究者らはいくつかの理由により,還 元剤としてNaを使用する方法はクロール法より もすぐれているとの観点のもとに,TiCl4とNa との反応,還元生成物の状態,水溶液抽出による 反応生成物よりのTiの採取,反応容器よりのTi への不純物の混入および得られたTiの性状など について詳細な研究を行ない,Naを還元剤とす る新しい製造法を提案するとともに,この方法は 現行のクロール法よりも製造工程の連続化の容易 さ,純度および収率などの点においてすぐれてい ることを明らかにした。その後さらに,東邦チタ ニウム(株)の協力を得てこれについての中間工業化 研究を行ない,工業的に十分実施しうる成果を収 めることができた。 この製造法のあらましは1)400℃とNaClの 融点800℃との間の温度においてTiCl4とNaと の第1次反応を行ない,つぎに反応系の温度を 800℃以上にして第2次反応を行なう方法,2)約 830℃に保持された反応管にTiCl4とNaとを流 入,反応させる方法のいずれかによりTiを生成 させる。反応生成物はTi部分(少量のNaClを含 む)とNaCl純相部分(生成全NaClの60~70% にあたる)とよりなっており,きわめて容易に両 者を分離しうる。つぎにTi部分はさらに粉砕し て,水または希塩酸酸性溶液抽出を行ない,得ら れたTiはこれを乾燥する。一方,純NaClはそ のまま電解原料とし,得られたNaを還元剤に, 塩素はTiCl4製造の原料に循環利用する。この方 法により,工業用TiCl4およびロ過精製したNa を使用して,ブリネル硬さ96程度のものを高収率 をもって比較的容易に製造することができる。 いま,このNa還元法の特長をクロール法に対 比して要約すれば,l)Naの融点はMgのそれに 比べて非常に低いので,Naの精製はMgの場合 よりも容易であり,また液体輸送ができるので工 程の連続化,簡素化ができる,2)反応生成物の 状態の相違により,Na還元法の場合にはクロー ル法に比べて取り出しが容易であり,得られた Ti の収率,純度も高い,3) Na還元法においては反 応生成物よりのTiの採取はクロール法における 真空分離を必要とせず,水溶液抽出ができる。こ のために工程の半連続,化簡素化ができる,4) Na 還元法により得られたTiは粒状であり,Tiの粉 末や金ができるなどである。 この金属塩化物のNa還元法は,Tiの製造法 としてのみでなく,他の純金属の工業的製造法と してもきわめて重要な方法であると考えられるの で,現在,この方法によるTaなどの製造につい ての基礎的研究を実施中である。 純金属などの研究に必要な分析法に 関する研究 分析化学研究室 俣野宣久,川瀬晃,小川春乃 分析法の研究に当たって分析機器の整備をはか るとともに純金属中の不純物のような微量成分の 分析に対応するため高感度有機試薬の研究から着 手した。まず2-アミノ-4-メチルチアゾールに P-メトキシフェノールをカップリングさせた2- (2 -ヒドロキシメトキシフェニールアゾ)-4-メ チルチアゾールが分析試薬として好適な性質を有 することを確かめ,32年度においてはこの合成試 薬の種々な金属キレートの諸性質および銅の定量 について発表した。またビスマスの定量をテトラ フェニール・フォスフォニウム・ブロマイドを用 いれば従来の方法に比べ非常に簡便に精度良く定 量出来ることを確かめて発表を行なった。 33年度においては前年度に引続き2-(2-ヒド ロキシ-5-メトキシフェニールアゾ)-4-メチル チアゾールによる亜鉛の定量,ニッケルおよびコ バルトの定量,鉄の定量法を発表し,この試薬の 検討を終った。引きつづいてでクロム,ニッケ ル,マグネシウム,銅,銀,亜鉛等の純金属中の 鉛をクロム酸バリウム共沈法により分離し,ジチ ゾンによる吸光光度法またはポーラログラフによ る定量法を研究し発表した。 34年度においては新しい有機試薬としてO-ヒ ドロキシ-2-アゾチアゾールの誘導体を合成し, その金属イオンとの反応の検討を行なった。また 当研究所でクロム酸電解法により高純度クロムを 製造し,その研究を行なっているため,これに 対応してこの中の不純物の分析方法の研究に着手 し,鉄,銅,亜鉛,コバルトの定量を陰イオン交 換樹脂分離後吸光光度法で行ない,又同様な方法 でトリウム中の不純物の分析も行ない得ることを 確かめ同時に発表した。高純度クロム中の銅,亜 鉛の矩型波ポーラログラフによる定量方法も発表 した。 35年度においては高純度クロム中の不純物の定 量法の研究を引続き行ない,イオウを硫酸とした のち,赤リン+ヨウ化水素酸+ギ酸を用いて還元 して硫化水素とし酢酸亜鉛に吸収させて定量する 吸光光度法を発表した。またリンを水酸化アルミ ニウム共沈,モリブデン青法による定量法を発表 した。この他トリウム中の鉄,コバルト,銅,亜 鉛の定量法の詳細およびトリウム中の微量銅の定 量とネオクプロインを用いて行ない発表を行なっ た。 発表文献 1)柳原正,俣野宣久,川瀬晃:“ 2-( 2 -ヒドロキ シ-5-メトキシフェニルアゾ)-4-メチルチア ゾー ルの合成および金属イオンとの反応”分析化学7, 496頁(1958),材技研報告,1,145頁(1958) 2)柳原正,俣野宣久,川瀬晃:“ 2-(2-ヒドロキ シ-5-メトキシフェニルアゾ)-4- メチルチアゾー ルによる銅の定量”分析化学,7, 600頁(1958);材 技研報告,1,150頁(1958) 3)俣野宣久,川瀬晃:“テトラフェニルフォスフォ ニウムブロマイドによるビスマスの光度定量法”材 技研報告,1,156頁(1958) 4)柳原正,俣野宣久,川瀬晃:“ 2-(2-ヒドロキシ- 5-メトキシフェニルアゾ)-4-メチルチアゾールに よる亜鉛の定量”分析化学,8,10頁(1959);材技 研報告,2,143頁(1959) 5)柳原正,俣野宣久,川瀬晃:“ 2-(2-ヒドロキシ -5-メトキシフェニルアゾ)-4-メチルチアゾール によるニッケルおよびコバルトの定量”分析化学8, 14頁(1959);材技研報告,2, 202頁(1959) 6)柳原正,俣野宣久,川瀬晃:“ 2-(2-ヒドロキ シ-5-メトキシフェニルアゾ)-4- メチルチアゾー ルによる鉄の定量”分析化学,9, 344頁(1960);材 技硏報告,3, 387頁(1960) 7)柳原正,俣野宣久,川瀬晃:“純金属中の微量鉛 の定量”分析化学,8, 576頁(1959);材技研報告, 2, 94頁(1959) 8)柳原正,俣野宣久,川瀬晃:“ 0-ヒドロキシ-2- アゾチアゾール誘導体の金属イオンとの反応”昭 34.9,日本分析化学会第8年会に発表 9)柳原正,俣野宣久,川瀬晃:“高純度クロム中の 鉄,銅,亜鉛,コバルトの定量-トリウム中の不純 物の定量”分析化学,9, 439頁(1960);材技研報告, 3, 382頁(1960) 10)柳原正,俣野宣久,川瀬晃:“高純度クロム中の 銅,亜鉛の定量-矩型波ポーラログラフ法”分析化 学,9, 539頁(1960) 11)柳原正,俣野宣久,川瀬晃,永井弘:“高純度ク ロム中の硫黄の定量法”昭35.10日本金属学会に発 表 12)柳原正,俣野宣久,川瀬晃,小川春乃:“高純度 クロム中のリンの定量法”昭35.10日本金属学会に 発表 13)柳原正,俣野宣久,川瀬晃:“トリウム中の鉄, コバルト,銅,亜鉛の定量”材技研報告,3, 316頁 (1960) 14)柳原正,俣野宣久,川瀬晃:“トリウム中の微量 銅の定量”材技研報告,3, 319頁(1960) 残査分析の確立に関する研究 分析化学研究室 俣野宣久,福田豊 非金属介在物は鋼材の機械的性質に影響を有す ると考えられるが不明瞭の点が多い。そこで非金 属介在物と鋼材の機械的性質の関係を知るために はその形状および組成を調べる必要がある。その ための方法としては物理的な方法と化学的な方法 とに大別される。当研究室においてはおもに化学 的方法すなわち電解分離法,塩素化処理法等によ り検討を行なっている。従来の非金属介在物の電 解採取装置(Klinger Koch式)の欠点を改良し新 しい装置を製作した。改良1型は次のような利点 を有する。1)試料が装置の幾何学的中心に位置す るため構造が簡易となり,円筒形の陰極網を配置 するので試料の回転が不要である。2)円筒形の陰 極網を配置するので試料表面の電解電流密度を均 一に出来るため,局部浸食をうけるおそれが少な ①試料片(陽極) ②ステンレス金 網(陰極) ③隔膜 ④電解液注入口 ⑤炭酸ガス注入 口 ⑥炭酸ガス排出 口 ⑦ メンブランフ ィルター ⑧保護濾紙 ⑨磁性濾過板 ⑩電解液排出口 図1電解装置1型 ①試料片(陽極) ②ステンレス金 網(陰極) ③隔膜 ④電解液注入口 ⑤炭酸ガス注入 口 ⑥炭酸ガス排出 口 ⑦ メンブランフ ィルター ⑧保護濾紙 ⑨磁性濾過板 ⑩⑪電解液排出口 ⑫ グラスフィル ター 図2電解装置2型 く電流を大にすることが可能で,分離能率を上げ ることが出来る。3)従来の装置は陰極に対したと ころの試料の溶解は他の部分に比べて大きいがこ の装置によると試料の溶解は均一である。 さらに析出非金属介在物の捕集のためにはメン ブランフィルターを使用しているが,クロム鋼の 場合など長時間電解すると電解液の流通困難とな る。この点を改善するために改良2型を考案し た。改良型を使用した鉄鋼中のチタンの挙動につ いて分析を行なった。チタンは炭素との親和力が 大であることがよく知られているが,鉄鋼中では 比較的多量の鉄を固溶するとともに製錬中に吸収 した空気中の酸素,窒素なども固溶して化合物と して存在することを明らかにした。非金属介在物 としての各種窒化物の挙動も重要な因子であるの で,窒化クロムの検討を行ないクロム中の窒化ク ロムの定量方法を確立し,引き続き鋼材中の窒化 ケイ素,窒化アルミニウムなどを検討中である。 なお参考までに電解装置を図1~2に示した。 発表文献 1)柳原正,木村啓造,千葉実:“鉄鋼中の非金属介 在物分析法の研究(第1報)”材技研報告,1,161頁 (1958). 2)柳原正,俣野宣久,福田豊:“金属クロム中の窒 化クロムの定量”昭和35年10月日本金属学会秋期大 会に発表 金属材料の高温酸化防止に関する研究 表面化学研究室 理博島岡五朗,鈴木博子,山科俊郎,武井厚, 佐野正勝 わが国における原子炉,航空機,高速度熱機関 などの最近の発展に伴ない構造材料としての耐熱 金属材料の高温における性能の向上が強く要望さ れている。当研究室ではこのような材料表面の耐 食,耐酸化性の改善に関する研究を行なってきた。 1.高温高圧水による不銹鋼の腐食1) この問題は主として水冷式原子炉の構造材料と しての観点から研究され,各種オーステナイト系 不銹鋼 (18Cr-8Ni, 25Cr - 20Ni,含Moおよび 含Nb不銹鋼など)の300℃, 90気圧の高温高圧 水中における腐食試験および腐食表面構造の検討 が行なわれた。その結果,高温水中における不銹 鋼の腐食が酸化物生成型の反応であり,初期腐食 段階が酸化物の金属面との密着性により著しく影 響されること,および耐食性被膜はFeO・Cr2O3 を主成分とするスピネル型酸化物であることなど が明らかにされた。 2.高温ガスによる不銹鋼の腐食2) この問題はおもにコールダーホール型原子炉構 造材料としての観点から,高温の炭酸ガスによる 不銹鋼の腐食状況ならびに表面生成物の構造が検 討された。たとえば18-8不銹鋼の約1気圧の炭酸 ガス気流中における腐食は約300℃ 以上から目 立ち始め反応は酸化被膜の生長過程として進行す る。スケールの剥脱は約900℃で認められ,また 耐食性被膜の主成分は200~400℃ではγ-(Fe, Cr)2O3 または Fe3O4, 500~600℃ では Cr2O3, また 700~1000℃ では FeCr2O4 または NiCr2O4 であることがわかり,さらに酸化膜形成の過程で は被膜の最外層部にFe含量が多くまた内層の金 属と接する側にはCr含量が多く特に後者による 酸化物が材料の耐酸化性に著しい効果をもつこと が明らかにされた。 3.不銹鋼の耐酸化性とスケールの構造3) 以上の問題に関連して不銹鋼の耐酸化性とスケ ールの構造特にその剥離現象についての詳しい研 究が行なわれた。その結果スケールの剥離はFe2 O3/Fe3O4の境界部分から起こること,また1100° Cにおいて最も良い耐酸化性を示す25Cr-20Ni 不銹鋼のスケールでは金属と酸化物の境界部分に おけるCr2O3の濃度が他の鋼種に比べ特に多いこ となどが明らかにされた。 4.金属薄膜の酸化(ガス反応電子回折による 研究4) ここでわれわれは従来の耐熱合金の酸化防止の 研究をさらに一歩進め,耐酸化性に及ぼす成分元 素の影響に関するより基礎的な検討を行なった。 すなわち耐熱材料の基本成分である各金属および 合金の薄膜について高温ガスによる反応を電子回 折装置内で行なわせ,その過程を直接回折像によ り解析する方法を採った。その結果,たとえば 10-4mmHgの空気中で純鉄の薄膜の場合400℃で FeOがまた550℃ では未知の生成物が認められ た。ニッケル薄膜では室温~350℃で六方晶と立 方晶の両構造が共存するが360℃以上では立方晶 のみとなる010-2mmHg下では600℃ でNiOが 検出された。クローム薄膜では室温~500℃で立 方晶酸化物,550℃以上ではα-Cr2O3が認めら れた。Fe-Cr (50 : 50)系薄膜では室温~600℃ で立方晶酸化物,670℃ではα-(Fe, Cr)2O3が 観察された。このような方法は耐熱材料の高温特 性を理解する上にはなはだ有効と考えられる。 5.モリブデンの高温酸化防止5) モリブデンは耐熱金属として種々すぐれた特性 をもつが耐酸化性がきわめて悪い欠点がある。こ の点を改良するため表面処理あるいは合金化によ る研究を行ない現在進捗��中である。純Moの酸化 の研究から700~1000℃における酸化防止を第 一段階の目標とすべきことがわかった。そのため Mo表面にCr メッキを行ない約1000℃ですぐ れた耐酸化性を示す表面処理に成功した。一方合 金の選択酸化を利用し800℃付近においてもかな りの耐酸化性を示す合金の試作を行なった。 6. ゲルマニウムの酸化6) ゲルマニウムはよく知られた半導体材料である が,その電気的諸性質は表面生成物によって著し く左右される。本研究はおもに高温における酸化 状況とその表面被膜の安定性特に耐熱被膜として の適性を調べる目的で行なわれた。その結果,約 700℃以下ではかなりの耐酸化性を示しその保護 作用が六方晶GeO2によること,しかし約870℃ 以上では耐酸化性が著しく劣化することがわかっ た。 発表文献 1)柳原正,島岡五朗,池田清一,富田恭造:“高温 高圧水による不銹鋼の腐食に関する研究(第1報)” 材技研報告,2, 87頁(1959) ; Trans. NRIM 1,P49 (1959). 2)柳原正,島岡五朗,池田清一,鈴木博子,武井厚 :“高温ガスによる不銹鋼の腐食に関する研究(第1 報)”材技研報告,2, 25頁(1959) ; Trans. NRI M, 2, P 43 (1960) 3)島岡五朗,山科俊郎:“数種の不銹鋼の耐酸化性 とスケールの構造について”日本金属学会春期大会 講演,1960年4月 4) himaoka, G. : “ Oxidation of Thin Metallic Films at Elevated Temperatures.” The Fall Me­ eting of the Metallurgical Society AIME, Oct.19 (1960) at philadelphia, U. S. A. ; J. of Metals, 12, P 734 (1960) 5)島岡五朗,武井厚:“モリブデンの高温酸化に関 する研究(第1報)”日本金属学会春期大会講演 (1960) 6)柳原正,島岡五朗,鈴木博子:“ゲルマニウムの 酸化に関する研究”材技研報告,2, 32頁(1959); Trans. NRIM, 2, P 126(1960) 第 4 部 第4部は実験室における基礎研究成果の実用化の過程における諸問題の研究を担当し,工業 化,材料強度,非破壊検査の各研究室から構成されている。 工業化研究室は基礎研究の成果を実用化するためのいわゆる工業化試験を分担し,溶製から 成品に至るまでの一貫した生産過程の製造技術上の諸問題について研究し,また実用材料とし て試作された各種材料の適性について試験する。現在溶接構造用高張力鋼の研究は特に強力な 共同研究体制をとり実施されている。試作実験場の溶解・圧延・熱処理設備としては33年度か ら建設が認められ36年度までの設備能力は次のようになる。溶解・造塊関係では高周波炉の能 力は150kg,真空溶解炉で100kgである。さらに2tonのエルー式電気炉が設置された。減 圧鋳造での最大能力は鋼塊200kgである。鍛圧関係では防震基礎の関係から1/2 tonエアハンマ ーを設置したが,分塊能力は鋼塊として70kgまでであるので,2ton鋼塊まで処理できる 500ton油圧鍛造プレスを建設する。実験用圧延機は,最大断面70×350mmのスラブから板 厚0.2mmの鋼板が圧延可能である。さらに0.01mmまでの極薄帯鋼が圧延できるセンジミ ア圧延機も設置された。棒鋼圧延では断面60mm角からのビレットの圧延が可能である。熱 処理関係では帯鋼の連続焼鈍炉の他に4基の雰囲気炉が設置されている。 材料強度研究室は金属材料の機械的性質の調査・研究を分担し主として,疲労・クリープ・ 脆性破壊など,各種現象の解析に当たり材料の強度上の諸問題を解明して材料の性能向上の手 がかりを与え,かつ材料使用上の合理化に資すべく各種の研究を行なうかたわら,材料試験法 の研究,諸材料の機械的性質の調査などを行なっている。現在タービンなどの高温作動機械で 問題になっている,熱疲労・切欠材のクリープ・燃焼ガス中のクリープ・クリープを受ける材 料の熱処理・高温疲労,船舶・橋鿄などで問題の低温脆性腐食・疲労,陸上交通機関で問題に なっている変動荷重下の疲労などについて,基礎的研究を行なっている。 非破壊検査研究室は近時盛んに利用されるようになった各種の非破壊試験法(X線,超音波, 磁粉,電気,渦流および浸透探傷)による鋼材中の欠陥の大きさ,形状,種類,分布などの定 量的表示の方法を確立し,さらに非破壊試験結果と強度との関係を明らかにすることを目的と して研究を行なっている。 現在までに実施したおもな研究課題は次のとおりである。X線透過写真による欠陥の定量に 関係ある諸問題。超音波パルス反射法による欠陥の定量。近距離探傷用菊型電極探触子の試 作。電気抵抗による割れ深さの測定法とその応用。鋼の渦流探傷。非破壊試験結果と機械的性 質との関係。疲労割れの発生と成長との磁粉転写法による追究。 低Mnステンレス鋼の諸性質の研究 工業化研究室 田中龍男,渡辺敏,尾沢正也 原子炉構造材料としてのステンレス鋼には,核 的性質に有害な不純物の含有量を出来るだけ低く する必要がある。本実験では,純料原料を用いて MnおよびCoを低めた場合のステンレス鋼の耐 食性および機械的性質を調べると共に,Mnの低 下に伴なう熱間加工性の低下を改善する目的で低 Mn系に対しZrを添加した試料につき同様の研 究を行なった。 基本成分は304, 316, 347に準じ,Niは完全オ ーステナイトとなるように計算した値を取り,Mn は配合値で1. 5%,1.0%, 0. 5%, 0.1%の4段階 とした。また304, 316のMn 0.1%および無Mn系 にZrを添加した。低Coの試料はスエーデン銑を 酸素吹きした鋼と低Coの電解Niを原料として 溶製したものである。溶解には高周波真空溶解炉 を用いて6kgのインゴットを作り,鍛造圧延して 試料とした。溶体化焼鈍は1100℃, Sensitizing は650℃である。 1.耐食性について Mnを変化させた試料のHuey試験の結果を図 に示すが,いずれも市販鋼よりすぐれ,しかも Sensitizingによってほとんど変化しない。また Mnの変化による耐食性の変化もわずかである。 Zrの微量添加は耐食性を多少悪くするが,0.1 %以上では改善される。JIS5%硫酸法試験では 全般に市販鋼より著しく悪いが,Mn量の低いほ ど耐食性はよい。Strauss試験ではいずれも粒間 腐食を認めなかった。 2.機械的性質 機械的性質はいずれも市販鋼に比して低く,抗 張力は 304, 347で 48kg/mm2 程度,316 で 50kg/ mm2程度であるが, Mnによる差は認められな かった。Zrは微量添加によってやや抗張力を改 善するが伸び,絞りは共に低下し,また0.1%以上 では抗張力も低下する傾向がある。しかし650℃ および850℃における高温強度はかなり改善さ れ,特に微量添加によって著しい。クリープ・ラ 各種鋼のHuey法試験 プチャー試験は荷重を一定とし,650℃における 耐久時間で比較したが,各系ともMnを減じても 強度は低下せず,Zr添加で著しく強度を増す。 以上の結果,Mnを減らしてもステンレス鋼の 諸性質にはほとんど影響は認められない。Zrは 熱間加工性を改善し,また耐食性を損なうことな く機械的性質を向上せしめる。真空溶解鋼の機械 的強度が一般の市販鋼に比べ低い値を示すのは主 としてCとNの含有量の相違によるものと考えら れる。 溶接構造用高張力鋼の研究 工業化研究室 田中龍男,金尾正雄 材料強度研究室岩元兼敏 融接材料研究室工博稲垣道夫 溶接構造用高張力鋼は大別して,圧延のまま, 焼準,もしくは焼準および焼戾にて得られる50~ 60キロ級と焼入・焼戾処理を必要とする70キロ級 以上にわけられる。わが国における現況は,焼入 ・焼戾鋼についてはようやくその緒についたばか りで今後の努力が期待され,また焼準のみにて抗 張力60kg/mm2以上を有する鋼種もまだ完成し たとは言えない状態にある。よって当所では,1) 抗張力70kg/mm2以上,耐力50kg/mm2以上を 有する鋼種2)焼準のみにて抗張力60kg/mm2以 上を有する鋼種の試作を行なって来た。本研究は まだ終了していないので,現在までの状況を報告 する。 1.焼入・焼戾鋼について 予備実験として10kg溶解によりC, Si, Mn, Zr, Nb, V, Cu, Mo, Rare earth などの強度, 切欠靭性,溶接性に及ぼす影響を調査した。その 結果を参考として100kg溶解により,6鋼種の 試作を行なった。試作鋼の機械的性質およびシヤ ルピ-V切欠衝撃試験結果を表に示す。供試材は 20mm丸棒を930℃より焼入し,650℃ にて1 時間焼戾したものである。 表試作鋼の機械的性質 溶 解 番 号 引張試験 衝撃試験 抗張力 kg/mm2 耐力 kg/mm2 伸 % 絞 % Trl5 ℃ TrE ℃ E-20℃ kg—m/cm2 A 78.8 72.1 24.1 68 -106 -65 22.1 B 81.2 75.4 25.5 69-83 -55 20.9 C 78.7 71.5 23.6 70 - 92 -62 21.9 D 83.2 78.3 23. 6 66 -104 -82 22.1 E 93.3 90.6 23. 5 67 -108 -75 19.3 この結果5鋼種は機械的性質および切欠靭性と も,一応の目標に達しているので,小型鉄研式割 れ試験,小型コマレル曲げ試験,テーパー硬さ試 験などの溶接性試験による高張力鋼としての適性 を調査中である。 2.焼準鋼について 35年度に至り,焼準のみにて抗張力60kg./mm2 以上を有する高張力鋼の試作を広範囲かつ迅速に 実施するために,1部,3部,4部,6部の協同 研究体制を取ることとなった。先づSi-Mn-Ni- Cr-Cu-Mo系,Si-Mn-Ni-Cr-Cu-Mo-V系, Si-Mn -Mo系,Si-Mn-Ni-Cr-Mo系の4鋼種の試作を行 ない試験の結果Si-Mn-Ni-Cr-Cu-Mo系を最も 有望と認めた。しかし焼準のみにては切欠靭性が 低く,焼準後の焼戾を要するので,改善の資料を 得るために添加元素の影響を系統的に調査するこ とになり現在続行中である。 珪素鋼板の研究 工業化研究室 渡辺敏,倉部兵次郎 珪素鋼板の研究は近年著しく進歩し,軟質磁性 材料として各種電気機器の性能向上と軽量化に貢 献しているが,欧米に比べてなお改善すべき技術 的問題を残しているといわれる。 特に需要の多い変圧器用鉄芯としては,μo,μm, B10の大きい異方性珪素鋼板の使用が有利であり, 製造技術の面からも興味ある内容を含んでいるの で研究が盛んである。しかし,良好な金属異方性 を生ぜしめるためには高度の圧延技術が要求され るので,実験室的な基礎研究とともに工業的規模 での試作研究も必要となつてくる。 当研究室ではμm 60, 000以上,w10/50, 0. 4w/kg 以下の珪素鋼を目標に,100kg真空溶解炉,熱間 冷間兼用圧延機,センジミア圧延機による半工業 的規模での一貫した研究を行なっている。現在ま では基本設備の建設状況を考慮して大気中溶解材 から出発して実験用圧延機により巾160mm,厚 み0. 35mmの試料をコイルフォームで作製してい るが,まだ寸法精度や表面状況について充分満足 すべき試料を得るに到っていない。これらの製造 工程については各会社の発表が全然ないために, 不測の困難に遭遇することが多い。たとえば冷間 圧延については圧延中材料が脆化して破断するこ とが多いが,これは1回の圧下率を高く取ると共 に圧延機油の温度を高く する ことによって解決 さ れた。 製造工程の大略は表のとおりである。 製造工程表 鍛 造1100℃据込により鋳造組織を破壊 圧 延 1150℃ one heat で 30mm より約 3 mm まで圧下 酸 洗 20% HCl+ 2 %HF 焼 鈍 800℃×3hrH2 中 第一次冷延70% 0. 88mm 中間焼鈍H2中 第二次冷延60% 0. 35mm 最終焼鈍H2中 上表に従って得られた試料につき,主として中 間焼鈍における温度,時間,加熱速度の磁性に及 ぼす影響について研究を進めている。 まだまとまった成果は得られていないが,加熱 速度の大きい方が結果が良いようである。また熱 間圧延板の焼鈍では温度が850℃以上になると結 晶粒が粗大化し,Al含有量の高いものでは混粒 の発生が多くなる模様であるが,これらの磁性に 及ぼす影響に関しては未調査である。磁性の測定 には,試料を節約する目的で弾動検流計とシォフ ィー式自記磁束計を用いている。結晶異方性の研 究については今のところ顕微鏡的手段による外は 行なっていないが,これは当面適当な工程を選択 することを第一目標としているためである。 今後は圧延率の影響や,焼鈍雰囲気の再結晶お よび結晶粒生長に及ぼす効果について研究を進め ると共に,真空溶解によって溶解した素材を用い て含有ガスや微量元素の影響を調査して行く予定 である。 細粒鋼の溶製法に関する研究 工業化研究室 田中龍男,神谷昻司 鋼のオーステナイト結晶粒度が鋼質に大きな影 響を及ぼすことは周知の事実であり,すでに船体 構造用鋼板・肌焼鋼・高温高圧用管材,そのほか 熱処理を必要とする特殊鋼などには,用途によっ て細粒または粗粒が規格として要求されはじめた ため,所望の結晶粒度を有する鋼の製造は,製鋼 技術上重要な課題となっている。この調整法を誤 まると規定の結晶粒度とその整粒が得られないの みでなく,鋼材には砂キズや非金属介在物が発生 し鋼質欠陥の原因となるため,結晶粒度の調整が 確実に実施できる標準操業法の制定が強く要望さ れている。 当研究所としては鉄鋼の溶解製錬の研究用とし て操業が安定であり,かつ造塊作業も含めて,実 際の生産作業の諸条件とほぼ等しく,実用に供し うるデータが直接得られるような最小容量の製鋼 炉として,容量2 tonの電気炉を選定した。35年 度,溶解圧延実験場の増設に伴ない,同場内に, 迅速溶解,炉蓋旋回,炉頂装入方式のエルー式電 気弧光炉(変圧器容量1500KVA)が設置された。 従って細粒鋼の溶製法の研究としては,塩基性 電気炉法による構造用鋼を対象とし,Alなどを 添加して細粒鋼(粒度番号7以下)を得る方法を 研究することとし,まずCr-Mo鋼21種を採り上 げることになった。 エルー式電気炉の建設と平行して,高周波溶解 による20kg鋼塊による予備実験を実施して明ら かになったことは次の通りであった。 1)細粒鋼(粒度7以下)を得るにはAl量があ る適性範囲内に存在することが必要で,この含有 量が少なくても多くても結晶は粗大となり結晶粗 大化温度も低下する。従って添加するAlの歩留 りを常に確実に一定になるように調整することは 最も重要な条件である。 2)適当な量を含有するAl処理細粒鋼は約1000 ℃までの高温加熱によっても粗大化しない。 3) Al添加量が増せば地キズの発生が著しくな る。 エルー式電気炉が実動できる状態になったので 塩基性電気炉法により更に次のことが計画されて いる。 1)AlおよびAl合金の適正なる添加時期,添加 方法,添加量を検討する。 2)鋼塊から成品までの各過程における結晶粒 度,混粒,砂キズ,非金属介在物などの分布を調 査する。 3)還元期におけるAl処理前の脱酸度を決定す る。 4)成品本体の結晶粒度を迅速に判定する管理方 式を検討する。 疲労強度に及ぼす繰返し速度およ び荷重変動の影響に関する研究 材料強度研究室 岩元兼敏,岩尾暢彦,西島敏 室温空気中の疲労試験では応力繰返しの速さが 変っても疲労強度には大きな変化は認められない が,腐食性の雰囲気の中や高温での疲労試験で は,繰返し速度により疲労強度が著しく変化する ことが知られている。 従ってたとえば海水中で回転している動力軸の 疲労強度を求める場合には,これと同じ回転数で 疲労試験を行なうことが望ましいが,一般に疲労 試験機は回転数が定まっていて,目的に応じて試 験機の回転数を変えることは困難である。 しかし,繰返し速度による疲労強度の変り方が わかっておれば,二三種の繰返し速度で試験して おけば,他の繰返し速度の場合の疲労強度も推定 できるはずである。また近時歪計の発達が著し く,これを利用して,機械・構造物にその稼動中 に作用する荷重を測定することも盛に行なわれて いる。 機械・構造物に働く力は多くの場合常に振動し ている動荷重であるが,その荷重の振巾も一定で なく,ある時刻には大きく振動し,次には小さく 振動しているというように荷重振巾も常に変動し ている。上記荷重測定装置の発達に伴なって荷重 振巾の変動状況がだんだん明らかになって来た。 ところが一般に用いられている疲労試験機は荷 重振巾が試験中一定のものが多く,荷重振巾が変 動する場合の疲労試験は,まだその経験が少な く,これに対する知識も十分でないために,せっ かく得られた荷重測定の結果が有効に利用されて いない。 以上のことから機械・構造物に実際に働く荷重 に応じて,最も適切な試験法を見いだし,さら に試験法が確立されたならば,この目的に適合す るために試験機に付与すべき性能を見いだすため に表題のような研究を行なっているが,繰返し速 度の影響については,まず疲労強度に応力の繰返 数と,試験中の時間がどのような形で影響してく るかということから出発して繰返し速度の影響を 表わす実験式を求めることに努めている。荷重の 影響については,応力振巾が連続的に変わる疲労 試験は困難が多いので,まずこれをいくつかの応 力振巾に階段状に分割するいわゆるプログラム制 御の疲労の試験を対象とし,階段状に分割する方 法について検討したのち,応力振巾変動の順序を 入れ換えた場合について検討するための準備を進 めている。 高温強度に及ぼす温度・応力条件 および雰囲気の影響に関する研究 材料強度研究室 上田輝之,山崎道夫 近時スチームタービン,ガスタービンあるいは ジェットエンジンなどの熱機関はその高効率化に 伴ない次第にその使用温度が上昇し,その部品に 使用される耐熱材料の高温強度が重要視されるに 至った。また熱機関のみならず化学工業あるいは 原子炉などにおいても技術の発達に伴ない設備の 耐食性とともに高温強度が重要視されつつある。 一方,このように高温強度が重要視されるとと もに,高温引張,高温クリープ,高温疲労などの 高温強度の試験・研究は次第に盛んとなり,たと えば,わが国におけるクリープ試験機の設置台数 は約550台にもおよび今後さらに増大する傾向で ある。 しかしながら,現在行なわれているこれらの試 験・研究は単純な条件下,たとえば,平滑試験片 による空気中における一定温度,応力のクリープ といった実験が大部分であり,かつ個々の材料の 熱処理条件の強度への影響の検討も不十分なよう である。しかるにこれら材料の実際の使用条件は 温度応力の時間的変動あり,切欠あり,温度分布 の不均一ありで,温度応力条件が時間的位置的に 変動する場合が多く,かつ雰囲気も燃焼ガス,薬 品など腐食雰囲気など種々の条件下にさらされ る。この多様な条件下に通常行なわれている単純 な条件下の実験結果をあてはめることは危険な場 合もあり,これらの結果を実際場面でどう解釈使 用すべきかは大きな問題である。従って変動条件 下あるいは雰囲中の高温諸強度の特性,機構の解 明,データの解釈,使用の実用化を図る必要があ る。 以上の見地から,現在表記の研究テーマにつき, スチーム,ガスタービンなどで用いられる各種耐 熱材料を対象として,そのクリープ,熱疲労高温 疲労などの高温強度の特性の推定,各強度間の関 連,データ使用の適性化を目標として,材料の組 成,熱処理の平滑・切欠材のクリープ特性に対す る影響,燃焼ガス雰囲気のクリープ特性に対する 影響,温度応力の時間的変動のクリープ特性への 影響,熱疲労における試験条件,熱処理などの影 響などについて研究を行なっている。クリープ特 性への熱処理の影響については17-10P材に関し ては非常に大きな影響があり,かつRupture time とCreep Rate,また平滑と切欠によってその様 相が異なることがわかり,さらに材料を変えて追 試中である。また雰囲気クリープについては,燃 焼ガス雰囲気の前段階として真空,渗炭性ガス雰 囲気で基礎実験中であり,変動温度応力下のクリ ープについては試験機を試作実験中である。熱疲 労については平均温度,繰返速度,Clamp温度, 寸法効果など試験条件の影響について実験を行な い,さらに熱処理の影響をクリープ特性と比較検 討すること,また高温定歪疲労との関連などにつ いて実験準備中である。 非破壊試験法の確立および強度と の関連に関する研究 非破壊検査研究室 木村勝美,横井信,鈴木敏之,伊藤秀之 非破壊試験はその重要性が認識され近年著しい 進歩発達を続けているが,基本的諸問題について は未解決の事柄が多く,実用上の重大な障害にな っている。当研究室では,非破壊試験の定量化, および非破壊試験結果と強度との関係に重点をお いて研究を進めている。以下研究成果の若干を紹 介する。 1.超音波探傷の定量化 厚鋼板の超音波探傷はすでに広く実用されてい るが,エコー高さの評価方法および近距離干渉帯 の影響の認識は不充分であった。当研究室ではこ の問題の根本的検討を行なった。図1は円形平面 傷および底面のエコー高さをデシベルで表示した 実験値および近似計算値である。これにより近距 離(S<1)においてはエコーの現われ方および 図1 円形平面傷の大きさとエコー高さとの関係 図2 菊型電極探触子により円形平面傷を探傷した場 合の傷の大きさとエコー高さとの関係 エコー高さが複雑であることを知り得る1)。この ような現象は実際の探傷に重大な障害となるの で,菊型電極探触子の試作を行ないこれを使用し た結果は図2の通りで,またエコーの現われ方は 単純で近距離探傷にきわめて有効であることを明 らかにした2)。 2.X線透過試験の定量化 溶接部あるいは鋳物などをX線透過写真によっ て試験することにより,傷の面積的拡がりは写真 から容易に認識される。近年欠陥部のフィルムの 黒さから欠陥の大きさを定量的に測定することが 重要視されるに至った。図3は写真コントラスト 図3 写真コントラストと実効線吸収係数との関係の 一例 と実効線吸収係数との関係の一例であって,階段 試験片を被検材と同時に写し込むことにより,傷 の厚さの推定,検出能力の推定,使用X線の線質 の推定が可能であることを示している。しかしな がら他方,小欠陥では写真コントラストの低下が 認められ写真コントラストによる欠陥の厚さの推 定には幾多の困難な問題が存在することが明らか になった。 3.疲労割れの発生と成長の磁粉法による追究 非破壊試験結果と強度との関係の研究の手掛か りとして,疲労過程における割れの発生と成長を 図4 疲労過程における割れの発生と成長の一例 磁粉探傷法による追究を行なっている。図4は回 転曲げ疲労過程における実験例で,磁粉転写法に よる割れの検出限界は0.2mm程度であった。疲 労割れを生じた試験片の疲労限は割れの長さと明 らかな相関性が認められる。 発表文献 1)木村勝美:“超音波探傷における傷エコー高さの 近似計算について”材技研報告,4 (1961) 2)木村勝美,鈴木敏之:“近距離音場における超音 波探傷”学振19委No.5764 (1960) 第 5 部 第5部は昭和34年度から発足したもので,それまで第3部に属していた腐食研究室,第1部 希有金属研究室の一部の研究員を中心として新設された特殊冶金研究室,およびそれまで第2 部に属していた原子炉構造材料研究室の3研究室,総員12名であった。第5部の所掌業務は 主として,原子炉材料の研究であるが当時は特殊冶金研究室ではその製錬,特にトリウムの電 解製錬を中心とし,原子炉構造材料研究室では高融点金属,特にモリブデン,タンタルなどの 融解,加工などの研究および原子炉用セラミックスの研究が行なわれた。また腐食研究室では 原子炉用金属材料の腐食の研究がおもなるテーマであった。これらの研究には一般研究費のほ か,原子力予算でまかなわれる予算が大きな割合をしめており,それは34年度には腐食の研究 に対して約3000万円,セラミックの研究に対して約1200万円,トリウムの製造の研究に対し約 500万円であった。 当研究所での原子力関係の研究は既に32年度から始められていて,まず原子炉材料の腐食侵 食の研究,純粋原料による原子炉用ステンレス鋼の研究,トリウムおよびその合金の製造の研 究および原子炉材料の溶接に関する研究が約5000万円(外に国庫債務負担行為額約3000万円) の予算によりスタートし,次いで33年度には上記各研究に対して約6000万円の予算が与えられ た。これらの研究を行なう上の連絡のために当時小川科学研究官を中心とし,橋口所付その他 所内の原子炉材料関係の研究に携わっている者によって原子力工学委員会なるものがつくられ 研究結果の報告や,種々の打合せが行なわれ,33年度において4回の会合がもたれた。 33年度末に小川科学研究官が逝去されるとほとんど同時に,34年度から第5部が新設された が,部長は所長の併任とし,また研究上の指導は橋口所付によることとなった。35年度にはそ れまで数次にわたって要求しながら認められなかったラジオアイソトープの金属研究に対する 応用の研究費がはじめて認められ,さらにアイソトープ利用研究室が新設され,また原子炉構 造材料研究室では原子炉用ベリリウムの研究が予算を得て新らしく始められることになった。 35年度における研究テーマは以上のほか腐食研究室の原子炉用金属材料の腐食と防食の研究, 金研究室の金属トリウムとその合金に関する研究,原子炉構造材料研究室の原子炉用ステンレ 特殊冶ス鋼の加工と機械的性質に関する研究,原子炉用新金属の加工と機械的性質の研究およ び原子炉用セラミックスの高温における性能向上の研究などであった。 当研究所における原子炉材料の研究は,研究所の特質から見ても一般工業用金属材料に基礎 をおいてそれを原子炉用という用途にあてはめた場合の特殊性について研究するのが本来の姿 であることが考えられ,その特殊性とは性質および対象とする金属の種類の両面にわたってい る。従って,日本原子力研究所における金属材料の研究とはその担当する面が異なっていて, 前者が炉に直結する分野に主力を注ぐのに反して,当研究所はそこに至るまでの分野を受け持 つ。もちろん両者間に多少の重なりを生ずるのは当然であるが,互に密接に連絡して常に日本 の原子力の順調な発展のために努力している。 原子炉用金属材料の腐食と防食の研究 腐食研究室 工博伊藤伍郎,清水義彦,池田清一,佐藤俊司 大橋重雄 本研究は32年度にはじめて当所に原子力予算が 与えられた時に始まるが,32年度は主として準備 期間で,33年度より漸次設備をととのえると平行 して研究にも着手したものであって,原子炉で問 題になる腐食問題,すなわ高温純水,塩類の高温 水溶液,水蒸気,高温ガス,溶融金属および塩類 などによる腐食のうちから,高温純水と高温ガス (主として炭酸ガス)の2つをまずとりあげて研 究を行なった。対象としてとりあげた金属の種類 は環境によって異なるが,高温純水ではアルミニ ウム,ジルコニウムおよびステンレス鋼などであ り,炭酸ガスではマグネシウム合金である。 1.炭酸ガス腐食について 主としてマグノックス系合金について,主要添 加成分であるベリリウムの量,環境因子としては 炭酸ガスの温度,圧力,流速およびガス中の不純 物などが腐食に及ぼす影響についてしらべ,数次 にわたって金属学会講演会に報告した。また燃料 被覆材として不可欠の加工工程である溶接の影響 についても試験した。 以上の結果を要約すると,マグノックスは炭酸 ガスの温度,圧力および流速がますとともに腐食 は増加するが,現在ガス冷却炉に用いられている 程度の条件では国産材でも十分使用に耐え,また 溶接の影響もほとんどないが,加工時の欠陥や, 表面処理のいかんによっては急激な腐食の起こる こと,また不純物として酸素および窒素の5 %以 下の混入は影響ないが水は5 %以上で激しく局部 腐食を起こすことなどを明らかにした。 2.高温純水腐食について 2.1.ステンレス鋼 高温純水中での市販成分のステンレス鋼の腐食 挙動を検討するとともに,第4部で溶製した,特 にマンガンまたはコバルトの低いステンレス鋼に ついて試験を行ない,成分の影響の少ないことを 知った。 2. 2. ジルコニウム合金 主としてジルカロイ系合金について溶接雰囲気 が高温純水中の耐食性に及ぼす影響を求め,溶接 施工法確立のための基礎資料を得た。 2. 3.アルミニウムとその合金 実験炉に用いられる環境条件下でのアルミニウ ムの純水腐食について,電気化学的影響,インヒ ビター効果,溶存酸素の影響などについて検討し た。 発表文献 1)伊藤,池田:“原子炉用マグネシウム合金の炭酸 ガスによる腐食の研究”材技研報告,4,2頁(1961) 2)伊藤,沢柳,清水:“原子炉および付属装置に必 要なアルミニウムおよびステンレス鋼の溶接施工な らびに検査に関する試験研究(2)”熔接技術,7,12, 1頁(1959) 3)伊藤,沢柳,清水:“同上(5)”熔接技術,8, 3, 50頁(1960) 4)伊藤,沢柳,清水:“原子炉アルミニウムとその 合金の研究”原子力発電,2,1,22頁(1958) 5)伊藤,沢柳,清水:“原子炉用アルミニウム合金 に関する研究”軽金属協会(1960) 6)伊藤,沢柳,清水:“原子炉用アルミニウム合金 の研究”軽金属,47, 46頁(1961) 金属トリウムおよびその合金に関 する研究 特殊冶金研究室 東大工博河村和孝,磯野穣,武内丈児, 平山俊成** 韓国産モナズ石から製錬に一貫性を持たせて, 酸化トリウム,金属トリウムおよびその合金を製 造する研究を行なっている。 方法はトリウムを5%前後含むモナズ石をまず 硫酸温浸1)してトリウムを可溶性の硫酸トリウム に変え,水に溶解後第1アミンによる有機溶媒抽 * 36年4月退職 ** 36年5月退織 写真融解塩電解槽 出をパルスカラムにより行ない粗トリウム化合物 をつくる。更にTBPによる精製を重ね高級度の トリウム化合物にする。これからシウ酸トリウム の沈殿をつくって仮焼すれば2)高純度の酸化トリ ウムが得られ,また湿式フツ化,乾燥してフツ化 トリウムにしNaCl-KCl共晶中にこれをとかし写 真 に示す装置でアルゴン気流中750℃において 融解塩電解すれば金属トリウムをつくることがで きる3)。 そのほか電解行程に特殊な方法,たとえば溶融 陰極とか,融解塩中の置換反応を用いるかして直 接に合金(Al-Th, Bi-Th, Hg-Th, Mg-Th, Zn-Th)をつくることも可能である4)。 またアー ク 溶解に よれば各種の合金をつく ることができる が,この方法によりZr-Th合金の製造研究を行 なっている5)。 なお現在までのところ上述の方法でつくったト リウム化合物中の不純物は70ppm前後である。 参考文献 1)河村和孝:“モナズ石の硫酸処理について”,学振 原子炉材料委員会製錬部会資料投稿中 2)磯野穣,河村和孝,武内丈児:“酸化トリウムの 硝酸に対する溶解について”,材技研報告,3, 23~ 28頁(1960) 3)河村和孝:“トリウムの融解塩電解”新金属シンポ ジウム 第五回溶解塩,47~64頁(1960) Nov.日 本鉱業会冶金専門委員会 4) Ogawa, Y., Hisamatsu Y. and Kawamu K.: “The Preparation of Thorium Alloys by Electr­ olysis Using Fused Cathode and Exchange Reaction in Fused Salt”Trans. NRIM 2, 37~42 頁(1960) 5)材技研ニュース投稿中 Beなど原子炉用新金属の加工と機械的 性質の研究 原子炉構造材料研究室 工博津谷和男,有冨敬芳 本研究は高融点新金属の加工と機械的性質に関 するもので,現在までMoとTaについて検討を 行なっており,Beについては目下準備を行なっ ている。現在までに行なった研究および現在実施 している研究の概要は次の通りである。 1.Moの真空アーク溶解の研究 Moを構造材として使うためには大型鋳塊を製 造することが必要であるが,その方法としては真 空アーク溶解が適当とされている。そこで,まず 2000A真空アーク炉を使って消耗電極の製造条件 やアーク電圧,電流などの溶解条件について検討 し,これに続いて鋳塊のマクロ組織,結晶粒度, 破面組織を調べ,破面組織の観察がMo鋳塊の脱 酸の良否の有力な判定基準となることを確認し た。 2.再結晶したMoの脆性の研究 Moが再結晶すると脆化する現象はMoを構造 材料として使用する場合にあまり望ましくない現 象なので,この現象を検討するためアーク溶解 Moおよび焼結Moの2種について低温曲げ試験 を行なった。その結果再結晶したMoが破壊する 際にはクラックはまず粒界に発生し,ついで粒内 に進入することを,光学顕微鏡観察および電子顕 微鏡によるFractographyにより知ることが出来 た。それゆえMoの脆性は粒界不純物の存在に著 しく影響されるものと思われる。 3.高融点金属の電子ビーム溶解の研究 MoやTaなどのいわゆる高融点新金属の加工 性や機械的性質は,微量の不純物(とくにガス不 純物)によって影響されるので,不純物除去の一 方法として電子ビーム溶解の研究を試みた。試作 した電子ビーム溶解炉は加速電圧10kV,ビーム 電流0. 75Aで排気系にはTiゲッタポンプを使用 している。この炉ではW以下各種の高融点金属の 溶解が可能であるが,とくにTaには電子ビーム 溶解の効果が大で,鋳塊は中間焼鈍を行なわずに 99%以上冷間加工することが出来た。 4.電子ビーム溶解したMoの靱性の研究 現在実験中である。Moは電子ビーム溶解した だけでは依然として粒界脆性を示すが,炭素脱酸 を行なうとかなりの靭性を示すようになる。また 電子ビーム溶解したMo鋳塊は結晶粒が粗大であ るが,Zrを若干添加すると微細化される。 5.電子ビーム溶解したTaの機械的性質の研 究 現在実験を行なっており,前述のように電子ビ ーム溶解したTaは加工硬化が焼結Taに比べて きわめて小で,すぐれた延性を有しているが,そ の応力-歪線図にはある程度の降伏現象が認めら れる。 6. Beの成型加工の研究 Beは軽くて強く構造材料としては非常に有望 な金属であるが脆いのでまだ工業的には利用され ていない。それゆえBeの靭性改善を目的として 実験の準備を行なっている。周知のようにBeは 毒性を有しているので完全な換気を行ないうる特 殊実験室の建設を開始しようとしている。 発表文献 1) 津谷:“モリブデンの真空アーク溶解について” 日本金属学会誌,24, 625頁(1960) 2)津谷,佐々木:“再結晶したモリブデンの脆性に ついて”,日本金属学会誌,24, 629頁(1960) 3)津谷,有冨:“高融点金属の電子ビーム溶解”,日 本金属学会誌,25,124頁(1961) 原子炉用ステンレス鋼の加工と機械的性 質の研究 原子炉構造材料研究室 細井祐三,川上義人 原子炉用ステンレス鋼として13Crステンレス 鋼および304Lステンレス鋼を主としてとりあ げ,前者に対しては特殊な熱処理による機械的性 質の向上,後者については焼鈍硬化の問題を中心 に研究を進めている。 1.13Crステンレス鋼に関する研究 13Crステンレス鋼は原子炉のバルブ,コック などの擢動部に使用され耐蝕性とともにすぐれ た機械的性質が必要とされている。本研究は13 Cr鋼にオースフォーミングと呼ばれる特殊な熱 処理を施し,同鋼の機械的性質を向上しようとす 図13Cr鋼の機械的性質に及ぼす加工度の 影響,この場合,鋼は950℃にてオ ーステナイト化後,450℃にて加工し 焼入れついで液体窒素中に1時間浸漬 されたもの。 る研究である。オースフォーミングは鋼をその準 安定オーステナイトの状態において塑性加工後焼 入れる処理方法であり,この処理により13Cr鋼 の機械的強度を15~20%向上させることが出来 た1)。図は実験結果の一例で,オーステナイト化 温度を950℃とし1時間熱した後425℃に急冷 して同温度で加工をし焼入れた場合の加工度と機 械的性質との関係を示す。約60%の加工により伸 び率などの靭性をあまり損うことなく引張り強さ 約25kg/mm2降伏強さ約20kg/mm2を増加させ 得た。この強化のおもな原因はマルテンサイト変 態前の加工によりマルテンサイト組織が微細化す ることに起因すると考えられる。現在オーステナ イト化温度,加工温度の影響,焼戾しの際の二次 硬化への影響などにつき検討を加え2),また処理 条件を適当に選べば13Cr鋼の耐食性はこのよう な処理により影響されない。すなわち耐食性を害 することなく機械的性質を増加し得ることがわか った3)。 2.304Lステンレス鋼に関する研究 304L鋼は燃料の被覆材,そのほか構造用材料 として原子炉の各所に広く用いられている。この 304L鋼を加工後焼鈍すると400~500℃におい て焼鈍硬化を起こすことが見いだされた。この焼 鈍硬化は加工温度が低いほど大きく,加工温度が 高くなるにつれて少なくなり,600℃にて加工を した場合にはなんら硬化は認められなかった。そ してα黄銅の場合と同じく復元現象などがありそ の挙動が類似している4)。この現象が400~500℃ という原子炉運転温度の範囲にあることを考慮し これが応力腐食割れに及ぼす影響を研究するよう に準備を進めている。 発表文献 1)Hosoi, Y. and Pinnow, K. E. : “The Tensile Properties of Type 410 Stainless Steel Deformed before and after Martensite Transformation”, ASM Preprint, No. 218 (1960) 2)細井:“準安定オーステナイト域における塑性加 工が13Cr鋼の二次硬化におよすぼ影響について”, 日本鉄鋼協会第61回講演大会(1960) 3)細井:“準安定オーステナイト域における塑性加 工が13Cr鋼の耐食性におよぼす影響について”, 日本鉄鋼協会第61回講演大会(1960) 4)細井:“304Lステンレス鋼の焼鈍硬化におよぼす 加工温度の影響”鉄と鋼,47, 721頁(1961) 原子炉用セラミックの研究 原子炉構造材料研究室 所付・工博橋口隆吉,南和子 1.二酸化ウランの電気抵抗と格子常数につい て セラミックの酸化ウランは原子核燃料として重 要である。核燃料として使われる酸化ウランには UO2, U4O9……UO3など色々あるが, 我々の研 究においては,UO2については,Hartmanの測 定がほとんど唯一の測定結果であったが,近年原 子燃料として着目されるに至り,その目的で各方 面からの研究が進みつつあるが,種々の意味で決 定的な結果はえられていない。UO2の中にごくわ ずかの酸素が存在するものはP型の半導体であ り,温度とか雰囲気ガスで比較的過剰酸素が入り やすい性質をもっているため,測定が非常に困難 を伴なうと共に,研究の必要が強調されている。 我々は成型条件の異なる4コのセラミック試料 について,種々の測定を行なった。二酸化ウランの 電気抵抗を-100~750℃の温度範囲での測定か ら得られた結論は,常温以下の温度で再現性のよ い測定値が得られるが,過剰酸素が多い試料ほど 電気抵抗が小さい。活性化エネルギーは0. 5~0. 8 eVの程度である。常温より上の温度では,測定 値の再現性が悪い。高温に行くほど,大きな非可 逆性が出てくる。これは測定中に,試料が過剰酸 素を吸収するからである。結晶構造は蛍石型で, UO2の組成にきわめて近い。二種の試料の格子 常数は5.469±0.001および5. 471±0.001である。 2. TiO2の電気的性質の研究 上記UO2に対してTiO2は周囲温度とか雰囲気 ガスにより酸素がわずか減りやすい。そしてUO2 のP型に対してn型半導体の性質を示す。それ故 酸化物の性質を研究するのにTiO2をとりあげた。 測定した事は-271.2℃~ + 500℃までの電気 抵抗とホール係数の測定および試料の還元時間と 電気的性質の変化および試料の加熱において,水 素雰囲気と真空との比較を行なった。 その結果得られた事は,900~1000℃以上では TiO2以外のphaseすなわちTiO2より酸素の少 ないphaseが出来ているのではないかと考えら れるし,また600~700℃の還元では長時間還元 すると,酸素の欠陥のみならずTiの欠陥も相当 大きく測定に関係してくると考えられる。また還 元温度とcarrier密度の関係から,carrier密度 と欠陥の数とは比例関係にあることを結論づける ことが出来た。また極低温の測定から微細なact- ivation energyを求めることができ,新たなる 考察を加えることが出来た。 3.電子スピン共鳴吸収装置について 今回試作した本装置は,磁気的性質や物質の基 礎的研究のためのほか,広く応用方面にも使用出 来るように,また金材研として材料の研究のため 特に板状試料に最も強調して製作した。また測定 周波数もX帯とK帯の2種とし磁場も広範囲に使 用でき,最も特色としては最高500℃までの測定 温度を使用可能にした。これにより酸化物セラミ ックの研究や,金属の表面酸化,化学分析,半導 体の研究などに使用する予定である。 RIを利用する金属材料の品質向上に 関する研究 アイソトープ利用研究室 工博 木村啓造*前橋陽一†新妻主計†† 千葉実** 原子力平和利用は大別すればエネルギーの利用 とRIの利用とに分けて考える事が出来る。エネ ルギー利用の分野における代表的なものは今日よ く知られている原子力発電であるが,これは世界 * 36年5月 併任解除(希有金属研究室勤務) † 〃〃 当研究所に勤務 の石炭や石油などの燃料事情と密接な関係にある ものである。 RI (放射性同位元素)の利用の分野はRIでな ければ持っていない特性を応用するものであるた め,他に代わりを求める訳には行かない大きな効 用があって科学や産業の広範囲な分野で研究に, あるいは生産に有力な手段としてすでに,その効 果を挙げている。 しかしながらわが国の現状は実用化の点におい ても,またRIの新しい利用分野の開拓という点 においてもまだまだ遅れている。わが国のRI研 究の面ではかなり多数の研究論文の発表があるが まだ基礎準備段階にとどまっているものが多い。 金属製品は成分によって品質が変わるのはもち ろんであるが,同じ原料を用いても加工処理の仕 方によって金属組織が変わって来て,強度や特性 が大きな影響をうけて品質には格段の相異が出来 てくるものである。 木材を例にとって考えて見ると同じ原木から切 り出しても柾目と板目により異なるものであり, また使うときに縦に使うか,横に使うかによって も強さなどは大変異なることに当たる訳である。 従来はこれらの問題の研究にさいしては地金中 に含まれる不純分の分布状況を利用したり,結晶 粒界を利用したりして間接に判断し検討していた が,RIを使えば,種々の処理の制限や影響など を受けることなく,直接に判別が出来るので正確 な資料が得られる。 このように鍛造品や圧延品では外観は全く同一 であっても製造の条件によって金属の結晶内での 流れの状況が異なって来てその結果強度が違った りまた実際に機械部品として使用していると寿命 が格段とちがったりする。 RIを用いるとこれら金属の内部の様子を知る ことが出来るが,現在までのところどのような RIをどの程度量用いて,どのようにして加える のが最も効果的であるか,というような最も根本 にあたるものが確立されていないので35年度より 検討を行なっている。 また鋼の中の非金属介在物の挙動を知るために ** 36年4月併任解除(分析化学研究室勤務) †† 〃〃 当研究所に勤務 もRIをトレサーとして追求を行なう予定であ る。 一方放射性物質の取り扱いには高価な白金製器 具や金属製品などが用いられているのでそれらの 材料の放射能汚染の状況や除染の効果などについ ても研究を行なった。 発表文献 1)柳原正,木村啓造,千葉実:“核分裂生成物によ る白金の汚染および種々の酸による汚染除去”, 日本金属学会誌,24, 413頁(1960) 第 6 部 船舶,車輌,航空機,橋鿄,建築,土木機械,貯蔵タンク類,ボイラ,水力発電機器および 原子炉など各方面において,溶接が広範に使用され重要な地位を占めるようになった。そして 日進月歩の勢いで,溶接に適した金属材料および,新しい溶接法の開発および実用化が進んで いる。 第6部は溶接に関し上述の情勢に呼応してとくに冶金的な面から基礎的,応用的並びに開発 的研究を担当している。この部には現在3つの研究室すなわち融接材料研究室,圧接材料研究 室および特殊溶接材料研究室があり,最も緊急を要する研究課題として航空機,原子炉,化学 工業用および一般構造用各種金属材料の溶融溶接,抵抗溶接および特殊溶接に関する研究を行 なっている。 昭和31年7月,当研究所の設立と同時に第1部に溶接研究室ができ,その室長に運研から鈴 木春義博士が就任した。そして昭和34年4月には溶接専攻の部として第6部が新設され,部長 に鈴木春義博士が昇格し,2つの研究室ができた。その一つは融接材料研究室(室長稲垣道夫 博士)で,他の一つは圧接材料研究室(室長橋本達哉博士)である。さらに昭和35年度には溶 接捧研究室(室長蓮井淳博士)が誕生し,昭和36年度にこれを特殊溶接材料研究室と改称した。 発足以来昭和35年度までに,実施してきた研究テーマの主なものを挙げると,次のようであ る。 1)高張力鋼の溶接性に関する研究 2)アルミニウム,ステンレス鋼および高張力鋼の溶接割れに関する研究 3)原子炉構造用鋼材の溶接と熱脆化に関する研究 4)原子炉用ジルコニウムおよびその合金の溶接に関する研究 5)耐熱耐食合金の溶接に関する研究 昭和35~36年度の各研究室の主要研究テーマは次の通りである。すなわち融接材料研究室 においては,当研究所の綜合研究の一環として,「溶接構造用高張力鋼の試作研究」を昭和35年 度より実施しているが,これを今後強力に継続する。また「高張力鋼の溶接性に関する研究」 として,溶接用連続冷却変態図の作成,溶接熱影響部の硬化性および延性試験,溶接熱サイク ル再現試験および溶接割れ試験を従来通り広範に実施する。さらに「溶接棒の改良研究」として 各種自動溶接法すなわちサブマージドアーク溶接,エレクトロスラグ溶接,炭酸ガスアーク溶 接,不活性ガスアーク溶接および被覆アーク溶接棒による手溶接につき,主として化学冶金学 的な見地から溶接材料の改良のための基礎研究を行なう。 圧接材料研究室においては,「活性材料の溶接および,ろう接に関する研究」として,従来行 なっているジルコニウムのほかにチタニウム,ニオビウムなどの活性材料を対象とし,可変雰囲 気溶接装置,真空溶接装置,超音波溶接装置およびろう接装置を試作使用して,これらの溶接 法を確立するとともに,材料の溶接性の向上を研究する。また「特殊溶接に関する研究」の一 環として鋼製パイプなどの高周波溶接なども行なう。なお「溶接棒の改良研究」の一環として 溶接時のアーク現象および溶接棒の作業性についても研究を実施する。 特殊溶接材料研究室では,「特殊溶接に関する研究」として最新の各種溶接法の開発研究を 行なう。また「超厚板の溶接に関する研究」としてエレクトロスラグ溶接法の改善,プラズマ ジェットによる切断法および溶接への利用に関する研究を行なう。 これらの研究を実施するための建物および設備は,関係各方面の絶大な尽力と支援により 着々整えられ,昭和35年度には溶接関係実験庁舎(溶接専用坪数約600坪)の建設をみた。実 験設備としては,各種溶接装置すなわち被覆アーク溶接試験装置,双極サブマージドアーク溶 接装置,シグマ半自動溶接装置,エレクトロスラグ溶接装置,ユニオンアーク溶接装置,単相 スポット溶接装置,三相低周波スポットシーム溶接装置,可変雰囲気溶接装置,真空溶接装置 (電子線溶接装置)などがあり,これらの溶接試験を実施するための機器たとえば溶接棒塗装 機,溶接ポジショナ,各種切断装置,電気的,物理化学的測定機器がある。また溶接性および 継手の性能試験を実施するための装置として,溶接熱および応力サイクル再現装置,溶接用 CCT図作成装置,動的拘束割れ試験装置,溶接部クリープ・ラプチャ試験装置,各種熱疲労 試験装置などがある。 このほか第4部の各種機械試験装置,第3部の分析装置,第2部の物理冶金関係装置などを 使用している。 高張力鋼の溶接性に関する研究 融接材料研究室 理博鈴木春義,工博稲垣道夫,宇田雅広 近年わが国における溶接構造用低合金高張力鋼 の開発はめざましいものがある。各製鋼メーカー は競って,溶接性良好でしかも引張強さの高い高 張力鋼を試作し,本研究所も綜合研究として試作 研究を行なっている。そこで当研究室としては, 溶接性試験方法の確立と各種試作鋼の溶接性試験 の実施を一つの重要テーマとしており,すでにか なりの成果を収めた。 溶接性試験には各種の試験項目があるが,当研 究室ではとくに溶接用連続冷却変態図の作成,溶 接熱影響部の延性試験,溶接熱サイクル再現試片 の機械試験および溶接割れ試験などを行なってい る。このうち溶接割れ試験については別項で記述 したので,ここでは省略し他の試験経過について 略述する。 1.溶接用連続冷却変態図の作成 高張力鋼の溶接熱影響部は一般に軟鋼にくらべ て硬化しやすく,延性が乏しくなり溶接割れを起 こす傾向がある。このような性質を判定し,また 適正溶接条件を決定するのに溶接用連続冷却変態 図(CCT)はきわめて有効である3)。この溶接用 CCT図の作成装置の特徴としては,溶接熱サイ クルを,高固波式装置で再現し,1350℃までわ ずか数秒で急速加熱し,種々の溶接条件に対応す る冷却曲線で冷却する。そして冷却途上の変態過 程を熱膨脹記録装置および熱分析記録装置で測定 するようになっている5)。現在まで試作鋼約40種 の溶接用CCT図を作成した。溶接熱影響部の溶 接性の判定には,とくに溶接用CCT図から求め られる,初析フェライトの出始まる臨界の冷却時 間C'fの値が重要である4)。 2.溶接熱影響部延性試験 溶接熱影響部の硬化性試験として,テーパかた さ試験法を案出し,更に溶接条件から高張力鋼の 溶接熱影響部の最高かたさを推定する方法を提示 した1)。 溶接部の延性試験としては,従来の標準コマレ ル曲げ試験のほかに小型コマレル曲げ試験法を確 立し,多数の試作鋼について試験を実施し,硬化性 試験結果との関連を求めた。これらの結果はその つど,溶接学会,日本溶接協会および1959,1960年 度国際溶接会議(I IW大会)などに発表されて いる。また最近溶接協会WES規格案として,「溶 接構造用高降伏点鋼板規格」案が公表されたが, その作成に当たっては,当研究室の硬化性,延性 および割れの各試験結果およびそれらの相互関係 結果がその規格値の決定に大きく寄与した。 3.溶接熱サイクル再現試験 これは高張力鋼の丸棒試片に直接通電して抵抗 加熱と窒素ガス冷却により,カム機構を用いて溶 接熱サイクルを再現させ,これら再現試片の室温 における引張試験などを行なって溶接熱影響部の 延性を判定する試験方法で,このための試験装置 を試作し多鋼種につき実験を行なった。これによ ると再現熱影響試片の室温における伸びの値は, 溶接割れ感受性やビード曲げ延性を推定する効果 的な尺度となり得ることが証明され,高張力鋼の 溶接性の研究や試作研究に重要な役割を果しつつ ある2)。 発表文献 1)木原博,鈴木春義,金谷文善:“高張力鋼の溶 接硬化と適正溶接条件の予測に関する研究”,材技研 報告,1,115~144頁(1958); Trans. NRIM,1,39 ~64頁(1959)(1959年度IIW大会に提出) 2) Suzuki H. and Tamura H. : “Synthetic Heat-Affected Zone Ductility Test”,Trans. NRIM, 1,119~125頁(1959)(1959年度 IIW に提出) 3)稲垣道夫:“構造用鋼材溶接部の変質について” 材技研報告,3, 24~202頁(1960) 4) Sekiguchi H.and Inagaki M. : “CCT Diagrams of Steels for Welding and their Applications”, Trans. NRIM, 2,102~125頁(1960)(1960年度 IIW に提出) 5)鈴木春義,稲垣道夫:“材技研で試作した溶接 用連続冷却変態図作成装置について”材技研報告,3, 76 ~84 頁(1960) 溶接割れに関する研究 融接材料研究室 理博鈴木春義,工博稲垣道夫,中村治方 構造物の溶接施工に当たって問題とされるもの の一つに溶接割れがある。溶接構造物の割れは 従来からつきまとってきた難解な問題で,現在ま で,漸次その本性が明らかにされつつあるがいま だあいまいな点が多く,現場溶接技術者はその防 止対策に悩んでいる現状である。 第6部においては昭和32年度からこの問題の研 究に着手し,ある程度の成果を得ており,その詳 細についは溶接学会誌,国際溶接会議(IIW), Welding Journal1~8)などに発表している。研究 対象とした材料は,オーステナイト系ステンレス 鋼,Al-Mg合金および高張力鋼である。以下に 研究成果の概要について述べる。 1.オーステナイト系ステンレス 鋼の溶接割れ1~3,6~7) オーステナイト系ステンレス鋼の中でも,特に AWS 347型ステンレス鋼の被覆アーク溶接金属は 高温でビードたて割れやミクロ割れを起こしやす い。特に板厚が12 mm以上の比較的厚板になると その傾向が顕著である。この種の割れの原因とし て溶接入熱の減少,開先形状の種類,開先間隔の 増大,ビードの形状,拘束状態の厳しさなどがあ げられることがわかった。またAWS308型,308L 型および16 Cr- 8 Ni-2 Mo型溶接金属が割れにく いことや溶接棒の被覆系統により割れ感受性が異 なることから,溶接金属化学組成や結晶粒度にも 関係があることがわかったので今後この方面の研 究を進め,割れ,感受性の低い溶接棒を開発する 計画である。 2. Al-Mg合金の溶接割れ4) この種合金はオーステナイト系ステンレス鋼と 同様に溶融点直下から室温までの温度域で面心立 方構造を有し高温割れを起こしやすい。MIG溶接 金属のビードたて割れの原因としてはオーステナ イト系ステンレス鋼の場合と同様な事項が関係す ることがわかった。また溶接金属の化学組成につ いては溶接金属のMg含有量が1~2%のときに最 も割れやすく,それよりMg含有量が多くても少 なくても割れ感受性が低くなることがわかった。 3.高張力鋼の溶接割れ5~8) 引張強さ50~90 kg/mm2の各種高張力鋼の溶接 割れについて系統的な研究を進めている。高張力 鋼溶接部の割れは低温割れであり,そのなかには いろいろの種類のものが含まれるが,その中でも 最も問題になる初層溶接時のルート割れについて 研究を行なっている。まず今までばく然としてい た割れ感受性という概念を割れ発生に対する感受 性と割れの伝播に対する感受性とに分類しその 意義を明らかにした。次に鋼材の感受性と溶接棒 のそれとを分離して求めることに成功した。割れ の原因を求めるため割れに影響する3種の因子, すなわち熱的拘束,力学的拘束および水素ガスに ついて研究を行なっているが,この中,熱的な拘束 の影響については既に相当明らかとなり,各鋼材, 溶接棒に固有の臨界冷却速度の値を求めることに 成功した。力学的拘束および水素ガスの影響につ いて目下基礎的研究に着手している。 発表文献 1)鈴木春義,村瀬勉,中村治方:“原子炉用オ ーステナイト系ステンレス鋼の溶接割れに関する研究 (第1報)”,材技研報告2, 57~66頁(1959); 溶接学会誌,29. 35~43頁(1960) 2)鈴木春義,中村治方,清水信:“同上(第2 報)”,材技研報告,2, 253~261頁(1959); 溶接学会誌,29, 881~886頁(1960) 3)鈴木春義,中村治方:“同上(第3報)”,材技 研報告,3, 223~233頁(1960); 4)鈴木春義,中村治方:“原子炉用アルミニウム およびその合金の溶接割れおよびその防止対策に関す る研究”,材技研報告,2,186~195頁(1959); 溶接学会誌,29, 932~939頁(1960); 5)鈴木春義,稲垣道夫,中村治方:“高張力鋼の 溶接割れに関する研究”,材技研報告,3, 288~306頁 (1960) 6) Suzuki H., Ishizaki K., and Oishi A., : “On the FISCO type Cracking Test for Austenitic Stainless Steel Electrodes” IIW Doc. 11-58-59 (19 59) 7) Suzuki H., and Nakamura H: “Comparison of Reproductibility in Three Types of Hot Crack­ ing Tests-Stainless Steel-”,IIW,(1961) 8) Kihara H., Suzuki H., and Nakamura H.,: “Weld Cracking Tests of High Strength Steels and Electrodes”,IIW, 1961. (To be published in the Welding Journal) 原子炉構造用鋼材の溶接と熱脆化 に関する研究 融接材料研究室 理博鈴木春義,工博稲垣道夫,岡根 功 東大工博馬田豊明* 原子炉用構造物は使用上放射能および高温高圧 にさらされるため,とくに鋼材とその溶接継手を 吟味する必要がある。これらの鋼材および溶接継 手の性能として,溶接割れ,熱疲労および熱脆化 の問題はきわめて重要な研究課題である。 当研究室で新たに試作した溶接熱および応力サ イクル再現装置,大型の各種溶接部熱疲労試験装 置を使用し,現在までに下記の研究を実施した。 1.高温延性に関する研究 原子炉用ステンレス鋼溶接部の母材割れあるい は溶接金属割れに対するステンレス鋼の材質の影 響を調べるために試験片に溶接熱サイクルを再現 して,この熱サイクル途上における高温延性度を AISI 347, 304, 304 L, 316, 310, 410, 430,16 -8-2型ステンレス鋼について実験した。この結果 によるとオーステナイト系ステンレス鋼において は16-8-2鋼は冷却中の1200℃の延性度について は断面収縮率90%で一番良好な値を示し,以下316 型,304L型,310型の順に悪くなっている。また 347型は板材では73%であるが,丸棒材は24%で 非常に悪い。一般に高温延性試験による溶接性の 判定はオーステナイト系ステンレス鋼については 有効であるが,マルテンサイト系,フェライト系 ステンレス鋼についてはマルテンサイト変態によ る低温割れが生ずるので,高温延性試験による溶 接性良否の判定は困難なようである1)。 2.溶接継手のクリープ・ラプチャー試験 当研究室で特に試作した40 tonクリープ・ラプ チャー試験機を用い,板厚38mmの原子炉用ス テンレス・クラッド鋼溶接継手の大型試験片につ いてクリープ・ラプチャー試験を行なった。種々 の条件下における結果をまとめると横継手より縦 * 35年6月退職 継手試片の方がラプチャー強さと伸びがはるかに 大きい。またE347型溶接棒使用の方が308L型 使用より破断時間が長い。溶接後処理の影響は, 処理したものが最も長く,処理温度の低くなる程 短くなっている。また溶接余盛はない方がはるか に良好である。2~3)。 上の試験以外に熱疲労をステンレス鋼,ステン レスクラッド鋼,高張力鋼の大型溶接継手試験片 について目下研究続行中である。試験装置として は,当部で試作した40 tonクリープ・ラプチャー 試験機,80 ton不均一加熱熱応力試験機,80 ton 両端固定式繰返熱応力試験機,40 ton繰返定ひず み高温疲労試験機を用い,これらは大型溶接継手 につき異材溶接および局部的応力集中の影響を研 究できることが特長である。 発表文献 1)鈴木,馬田,中村:“原子炉用ステンレス鋼の 溶接熱サイクル途上における高温延性に関する研究 (第1,2, 3報)”,材技研報告,2, 67~75頁(1959), 2, 239~252頁(1960); 3, 212~222頁(1960) 2)鈴木,馬田,高木:“原子炉用ステンレスクラ ッド鋼の大型溶接継手の高温における応力破断に関す る研究”,材技研報告,3, 345~363頁(1960) 3)鈴木,稲垣,馬田,高木:“原子炉用ステンレ スクラッド鋼溶接継手の高温における応力破断に関す る研究”,材料試験,10,137~145頁(1961) 原子炉用ジルコニウム,ニオブおよび それらの合金の溶接に関する研究 圧接材料研究室 理博鈴木春義,工博橋本達哉,松田福久 ジルコニウム,ニオブおよびそれらの合金は高 温高圧水の原子炉の燃料管として使用されている が,これらの材料は高温で各種ガスと急速に反応 し,それによってぜい化し,また耐食性も劣化す る。従って高温加工とくに溶接などを行なうとき は溶接雰囲気ガスによってその溶接部の特性は大 きな影響を受ける。 一般にこの種の材料の溶接に使用される溶接方 法としては,イナートガスタングステンアーク (TIG)溶接法と電子線溶接法がある。前者では, イナートガスによるシールド方式とシールドガス の純度が問題となる。後者は本邦では全然未開発 の分野であって,溶接方式あるいは装置そのもの の検討と,各種材料に対する適用性,施工条件な どが問題である。 本研究はこれらの問題点を解決し,安全にして 確実な溶接方式,施工条件を確立するために昭和 34年度より採りあげられたものであるが,既にか なりの成果を収めた。 1.TIG溶接 シールドガスの純度を採りあげて研究した。す なわち,当部で試作した可変雰囲気溶接装置を用 い,この中でジルコニウムおよび ジルカロイ-2 合金を溶接し,溶接時の雰囲気ガスの純度を種々 変化し,溶接部に悪影響を及ぼす不純ガスの種類 並びに量について検討した。不純ガスとしては空 気,チッソ,酸素および水素を採用し,純アルゴ ン中にこれを数十ppm~数十万ppm混じ,その雰 囲気中で溶接を行ない,溶接部の化学組成,機械的 性質(カタサ,引張,曲げ,衝撃,クリープラプ チャー)と耐食性(耐酸,耐高温高圧水)につい て研究し不純ガス量の許容限を求めた1~3)。 また空気中で溶接する場合のシールド方式に対 する一考察実験として急熱急冷のスポット溶接を ジルコニウムおよびジルカロイ-2に対して行な い溶接部の特性について研究した4)。 36年度も引続きこの種材料の溶接時のシールド 方式に対する検討と,空気中でTIGの溶接につ いて研究を続行中である。 2.電子線溶接 昭和35年度には小型実験用電子線溶接装置を試 作し,ジルコニウム,ジルカロイ-2およびニオ ブ材の薄板を同装置で溶接し,溶接部の特性につ いて研究し,34年度のTIG実験結果と比較検討 した5)。 また電子線溶接方式そのものおよび電子 線溶接装置の推奨さるべき型式についてもあわせ 検討した。本研究はなお目下続行中である。 発表文献 1)鈴木春義,橋本達哉,松田福久:“原子炉用ジ ルコニウムの溶接に関する研究(第1報)”,材技研報 告,3, 242~252頁(1960)(第2報)(第3報) 2)鈴木春義,橋本達哉,松田福久:“ジルコニウ ムの可変雰囲気溶接に関する研究”溶接学会誌 投稿 中 3)鈴木春義,橋本達哉,松田福久:“ジルカロイ -2合金の可変雰囲気溶接に関する研究”,溶接学会誌 投稿中 4)鈴木春義,橋本達哉,松田福久,田沼欣司: “ジルコニウムおよびジルカロイ-2合金のスポット 溶接に関する研究”,溶接学会誌投稿中 5)鈴木春義,橋本達哉,松田福久:“ジルコニウ ムおよびジルカロイ-2合金の電子線溶接に関する研 究”,溶接学会誌投稿中 耐熱耐食合金の溶接に関する研究 融接材料研究室 工博稲垣道夫 圧接材料研究室 松田福久 1.TAF 鋼 TAF 鋼は12% Cr 鋼にMo 0.8% Cb 0. 2%, V 0. 2%, B 0.04%およびN 0.15%を添加した,高温 性能のすぐれたCr耐熱鋼である。TAF鋼の溶接 施工条件を調べるため,丸棒試片に溶接熱サイク ルを再現し,この再現熱影響部の後熱処理による 機械的性質の変化を調べた。これによると溶接の ままのものはきわめて延性にとぼしいが,720℃ ×1hrの応力除去焼鈍によって熱影響部は母材 以上に延性が改善されることがわかった。また溶 接熱サイクル途上における高温延性試験を行なっ た。これによるとTAF鋼の溶接性はきわめて悪く 溶接が困難であることが判明した1)。これは1100 ℃付近にBorideの共晶点があり,粒界のBoride が溶融するためであろう。またTAF鋼の冷却変 態図を作成した。これによると通常の溶接条件で は溶接熱影響部は完全なマルテンサイト組織を呈 し,溶接割れを起こしやすく溶接性がきわめて悪 いことがわかった2)。 2.ステンレス鋼 ステンレス鋼の溶接割れおよび高温延性につい ては「2溶接割れに関する研究,2.1.オーステナ イト系ステンレス鋼の溶接割れ」および「3原子 炉構造用鋼材の溶接と熱脆化,3.1.高温延性に関 する研究」の項で記述した。またステンレス鋼3 04型および347型2種につきスポット溶接におけ る適正溶接条件の選定およびその継手試片のガス 加熱による熟疲労試験も行なった。現在なお実験 を進行中である。 3.チタニウム チタニウム合金のイナートガスアーク溶接時に は特殊なトレーラノズルを用い,イナートガスに よって溶融金属と熱影響部をシールドする方式が 経験的にとられている。本研究はシールドガスの 純度とシールド方式について定量的に究明せんと したもので,昭和35年度には可変雰囲気溶接装置 を用いて溶接雰囲気として必要なイナートガスの 純度またイナートガスに混入できる不純ガスの許 容限などを検討し定量的な結論をえた3)目下大気 中で溶接する場合の合理的な方式について研究を 実施中である。 発表文献 1)鈴木,稲垣,馬田:“TAF鋼の溶接熱サイク ル再現試験結果”,耐熱材料溶接研究委員会T A F鋼小 委報告,1960年8月;(1960) 2)稲垣,宇田:“TAF鋼の冷却変態図”,耐熱 材料溶接研究委員会T A F鋼小委報告,(1960) 3)鈴木,橋本,松田:“チタニウム”の溶接雰囲 気が溶接結果に及ぼす影響(第1,2報),溶接学会春 季学術講演会にて発表,(1961) 第 7 部 材技研における非鉄金属材料に関する研究は,昭和34年度までは第1部において行なわれて いたが,35年度から第1部の中の非鉄関係を一括して独立させ新しく第7部として発足した。 部長は吉田進であって以下の4研究室から構成された。 非鉄金属研究室 (室長 足立正雄) 軽合金研究室 (室長 荒木 喬) 希有金属研究室 (室長 木村啓造) 高純度金属研究室 (室長 増本 剛) 各研究室の研究担当分野は大体その室名の示す通りであって,研究状況は別記のとおりであ る。すなわち,非鉄金属,軽合金の2研究室が,アルミニウム,銅,ニッケル等からチタン, マグネシウムに至るいわゆるCommon metalsを担当し,希有金属,高純度金属の2研究室 がクロム,ニオブ等のいわゆるNew metals (新金属)を担当するという考え方である。新金 属はその用途の開拓の面からいって,ますます高純度のものが要求される現状であるので,そ の研究には高純度精製の点に力が注がれた。 36年度には第9部が新設されたので高純度金属研究室はそちらへ移管された。 各研究室の業務内容は各々の研究題目の項にくわしい説明があるが,その大要は次の通りで ある。 非鉄金属研究室はチタン合金の研究とニッケル基分散硬化型合金の研究を行なって来た。チ タン合金の研究は新しい耐熱チタン合金の開発を目標として行なわれ,当研究室で開発された Ti-Al-Co系を基礎とした強力で加工性のすぐれた合金の研究が進められている。ニッケル基 分散硬化型合金の研究は,室長足立正雄が昭和33年度にMITのN. J. Grantの研究室で行 なった研究を基礎としてスタートしたもので,いわゆるSAP型の合金をニッケル基に応用し ようとする研究であって将来の発展が期待されている。 軽合金研究室では35年度には,アルミ合金の超音波溶解鋳造の研究,熱処理の研究が行なわ れた。超音波溶解の場合,技術的に最も問題なのは,溶湯中へ超音波を渗透させる方法である が,この点について著しい改良がされた。アルミ合金の熱処理の研究については,松尾技官は Al-Mg合金における時効析出の過程をX線的に追跡して興味ある結果を得た。36年度は新し く加工用マグネシウム合金の研究が始めれた。 希有金属研究室では白金・ニオブ合金の研究,ニオブの精製の研究,高圧抽出による製錬の 研究が行なわれた。ニオブの精製の研究は炭化物還元法の基礎的条件を明らかにすることと, 直接通電法によってこの方法を実施しようとする研究が行なわれた。36年度にはさらに電子ビ ーム溶解による精製の研究を進めている。なお,網屋技官の硫化鉱の湿式塩素処理によって良 質製鉄原料を製造する研究が当研究室に所属して行なわれたが,36年度に第8部の新設に伴な い移管された。 高純度金属研究室では高純度クロムの研究が本研究所の出発以来続けられ,最近は高純度電 解と適当な加工法を組み合わせることによって,常温で40%の伸びをもつ延性クロムが出来る ようになった。また帯溶融精製,結晶引上など高純度金属の物理精製に関する一連の設備が35 年度には一応完成し,研究が開始された。 なお非鉄金属研究室は35年度から小型溶解加工実験場とその設備の管理を担当している。こ れは通称10 kgプラントと呼ばれていて,約10 kg以下の鋳塊の溶解から出発し,その加工, 熱処理を行ない,所内の研究者の実験用試料製作のためのサービスプラントである。その適切 な運営のため所内各部からの委員からなる委員会が構成され,随時会合して業務を円滑に進め るよう努めている。 チタン合金の研究 非鉄金属研究室 工博足立正雄,荒木喬,辻本得蔵 1.チタンの真空溶解に関する研究 チタン工業の進展とともに消耗式電極による大 量溶解法が発展してきたが,当研究室では真空ア ーク溶解法とアルゴン雰囲気溶解法の鋳塊に及ぼ す差異,直接通電による消耗電極強化法などを研 究した。 2. Ti-Al-Co三元合金の熱処理と機械的性質 に関する研究 新しいチタン合金を開発し,熱処理によりすぐ れた機械的性質をもつ加工容易なチタン合金を得 る目的をもってTi-2~8%Al-2~8%Co合金の熱 処理による組織変化,機械的性質の変化を研究し た。組織変化に対する研究結果から時効初期の硬 化・抗張力の増加は熱入β相が常温で安定なα相 に変化する過程に起こること,Ti2Coの析出は比 較的遅い時期に起こり析出が明瞭になれば強度に 寄与しないこと。またAlはこれらの挙動を長時 間側に遅らせることが判明した。この合金系で得 られる強度一伸びの最もよい組み合わせは抗張力 125kg/mm2,伸び5 %である。 この合金は焼入状態では著しく低い耐力を示す 場合がある。この耐力の低下はstrain-induced martensiteによる変形と関連していることを確認 した。この strain-induced martensite 生成を利 用して冷間加工を行なう可能性を調べたが,950° Cから焼入れた Ti-6%Al-4%Coは割れの発 生なしに35%冷間圧延が可能なことが判明し た。この価は純チタンに対するものとほぼ同程度 である。 この現象を利用して冷間加工容易なチタン合金 を開発する研究をさらに行ないつつある。 発表文献 1)三橋鉄太郎,足立正雄,荒木喬,辻本得蔵: “耐熱チタン合金の研究”,日本金属学会33年秋季大会 講演 2)足立正雄,荒木喬,辻本得蔵:“チタンの真空 アーク溶解について”,日本金属学会34年秋季大会講演 3)足立正雄,辻本得蔵:“Ti-Al-Co三元合金の 熱処理と機械的性質について(第1報)”,日本金属学 会35年秋季大会講演 4)足立正雄,辻本得蔵:“ Ti-Al-Co三元合金の熱 処理と機械的性質について(第2報)”,日本金属学会 36年春期大会講演 ニッケル基分散硬化型合金の研究 非鉄金属研究室 工博足立正雄,高橋仙之助 SAP (Sintered Aluminium Products)が1949 年R. Irmannにより紹介されて以来,SAPの特 性である高温まで諸性質が安定であることに着目 して,高融点の金属に適用しようとする試みが, 最近盛んになりつつあるが,まずCu-Al2O3系, Cu-SiO2系について主としてクリープ破断強度を 対象として,Al2O3, SiO2の分散強化だけでなく, 押出のような高速加工により与えられたStored energy がさらに強化に寄与していることを明ら かにし,酸化物の分散およびstored energyが金 属-金属酸化物系合金の強度あるいは硬さに及ぼ す影響について図式的解釈を行なった1)。図は結 果の一例である。 母相にニッケルを用いたNi-Al2O3系について 図1Cu-1.1vol% Al2O3合金の450cでのクリープ 破断試験結果 は,粉末混合法によりAl2O3の量を変化させた場 合のプレス,焼結,焼結材の高温での変形抵抗の 測定およびこれらの結果をもととして軟鋼シース を用いるガラス潤滑による高温押出を行ない,こ の押出材についてこの場合も主としてクリープ破 断試験を行なった2)。800℃での試験結果によれ ば,Al2O3の増加と共にたとえば100時間の破断 強度は大となり,また長時間側での破断強度の低 下は小さくなり,安定性を増す傾向を示している が,0. 5% (重量)以上実験を行なった1%Al2O3 以下の範囲では強度の増加はあまり著しくなかっ た。これは検討の結果では単にAl2O3の量が増し てもAl2O3粒子の凝集が起こり,粒子間隔に大き な差がなかったためと考えられるので,さらに均 等な分散を行ないうるような手段および処理法を 研究するとともに,ニッケルの母相をほかの元素 により固溶強化を行なって,さらに高い強度を得 る研究を行なっている。 発表文献 1) Adachi, M. and N. J. Grant: “The Effects of Stored Energy and Recrystallization on the Creep Rupture Properties of Internally Oxidized Copper-Alumina and Copper-Silica Alloys”,Trans. AIME, 218, P881~886 (1960) 2)足立正雄,高橋仙之助:“ニッケル基分散硬化 型合金の研究(第1報)”日本金属学会講演(1961) 軽合金の振動鋳造に関する研究 軽合金研究室 荒木喬 異種元素を添加することなく,結晶粒を微細化 し,脱ガス,組成の均一化を図るには溶湯に振動 を加えることが古くから行なわれた。このような 振動も古くは振動数の小さな機械的振動から出発 したが超音波工学の発達によってMc級の超音波 も楽に得られるようになった。装置は1kWの真 空管発振器に成層ニッケルによる磁歪振動子を接 続したもので振動数は約20kcである。振動子の 上にはエキスポネンシャルホーンがろう付けさ れ,その上には軟鋼の丸棒(半波長)がネジ止め される。丸棒には軟鋼の円筒が浅くはめこまれて 処理槽を形成する。処理槽は予熱(300°<)され て溶湯が注入されるから丸棒の尖端に溶湯は直接 振動を伝える媒体となる。今までの実験では,純 Al, Al-Cu, 52Sなどの材料は確かに微細化して 密度,硬さの上昇を示した。写真のマクロ組織左 は高純度Alの微細化の模様を示す。しかし丸棒 の尖端と溶湯が1~2分の凝固までの時間におけ る拡散によって強く密着するときは振動の影響は 顕著であったが,なじみが得られないときは振動 の効果は得られない。このように振動の効果が得 られるときは丸棒尖端の鉄は拡散よりもむしろエ ロージョンによって溶湯中は侵入するから溶湯中 の鉄の濃度は均一に0.4%も増加する。鉄の侵入が 拡散よりもむしろエロージョンによって行なわれ ることは,まだ不幸中の幸いといわなければなら ない。このような直接の鉄のエロージョンを防止 する意味で丸棒の尖端をhot-dipping法によって アルミナイジングを行なって実験を進めている。 Al合金の再結晶に関する研究 軽合金研究室 松尾茂 Alの再結晶温度を高くするために0.35%のZr 添加が有効であることはよく知られている。しか し焼鈍時間を各1時間にしたときの半硬度を示す 温度を再結晶温度にした場合再結晶温度が500℃ にも達するのはきわめて高純度のAlにZrを添加 したときに限られる。Al-Zr合金の再結晶温度に 及ぼすFe, Siの影響は充分知られていないので この研究を始めた。Zrを0.3~0.5%含有するよ うにしてFe, Si添加の影響を調べた結果を図1 に示す。ZrはAl-Zr (Zr5%含有)母合金を使 図1 図2 用したが,この母合金は約1%のFeを含有す る。Zrを含有する99.99%AlにFe, Siを単独に 添加した場合の影響はきわめて緩漫で0.35%の添 加によつて初めて約100°の低下を示す。しかしSi の影響は初めて大きく 0.15%以上では100°以上の 低下を示す。FeおよびSiを共に含む場合も特別 の傾向はなく Siの量によってその再結晶温度は 左右される。送電線の再結晶温度に着目した場合, Siの量が0.1以下であればZrの添加は有効であ るが,もっと強力な非熱処理性の合金の再結晶温 度を高める研究は非常に重要と思われるのでヒド ロ系合金に及ぼすZr添加の影響を調べた。図2 は99.99 AlにZrを0.6%添加したものにMgを 1,1.5, 2.5%加えた合金の再結晶温度を示す。 Mgを含む合金の再結晶温度はZrの添加によっ て改善することは出来ない。 再結晶の現象に関連して,Al-Mg合金の析出 の型について従来から問題になっている点があっ たので析出過程の研究を進めている。この研究1) では7および10%のMgを含有するAl合金のスエ ージング加工した細棒(O.6mmφ)を420℃に20 時間,加熱した後水焼入によって溶体化処理した ものを170, 200, 250℃の各温度で時効させてX 線および顕微鏡によって検討した。次に同様の検 査は時効前に冷間加工したものについても行なっ た。この結果溶体化処理を行なって時効したもの はすべて連続析出であって過飽和固溶体の回折線 は時間と共に格子常数を低下する方向に連続に変 化した。顕微鏡組織は析出物のない粒界を示すの が一つの特長で低温時効ではウィドマン組織が見 られた。また時効前に冷間加工を行なったものは すべて不連続析出であって過飽和固溶体の回折線 と,その温度で平衝な回折線が共存する区間があ る。この型の合金の顕微鏡組織では辷り帯に沿っ た析出が見られるのが特長である。 発表文献 1)Matsuo, S. : “The Mode of Precipitation in Aluminium-Magnesium Alloys”,Trans. NRIM 2, P 84~88 (1960) 白金合金に関する研究 希有金属研究室 工博木村啓造 白金は貴金属として古来より特別に取り扱われ てきたが,近年は諸工業の発達に伴なって材料に 対して高度の性能が要求され白金以外の金属では 満足することが出来ない場合があるので用途も多 くなり,その高価なことにもかかわらず盛んに利 用されるようになっている。 たとえば1000℃以上の高温を測るには白金- 白金ロジウム熱電対の使用が,常識となっている ほか,高級な電気接点も白金で作られている。ま た人絹を製造する際のノズルには金-白金合金製 品が多量に使用されるほか,写真機用レンズなど の光学ガラスの溶解には大きな白金ルツボが工業 的に使われ,同様にガラス繊維製造の際にも白金 製部品は不可欠である。このようにかなり広く用 いられる白金も貴金属であるためわが国では工業 材料としてほとんど研究されていない現状にあ る。貴金属以外の高融点金属たとえばタングステ ン,モリブデン,ニオブ,タンタルなどを配合し た白金合金について種々の性質を調べてそれぞれ その特性を知り,用途に適した新合金を開発し, 性能の向上とコストの低下とを図ることを目的と して研究を進めている。 白金ニオブ合金についてはニオブがきわめて近 年に開発された新金属であるため,金属の研究の 基礎となる状態図がまだ知られていなかった。当 研究室ではこの点を究明し,図に示すような結果 を得た。白金基のα合金のおもな物理的性質は次 白金ニオブ二元状態図 のようである。白金はモリブデン,ニオブなどを かなり多量に固溶し,その格子定数はモリブデン 添加により減じ,ニオブ添加により増加する。白 金はきわめて柔らかく V.H.N.40程度であるが, ニオブ,モリブデンの添加により300以上になり, また再結晶温度も600°より900~1000℃まで高 くなり材質としては向上している。加工性は共に 6 %添加を限度として板や線を作ることが出来 る。電気抵抗はモリブデン,ニオブなどの添加に よって高くなるが白金と組み合わせた熱電対はき わめて大きい熱起電力を持っている。 合金の高温空気中での安定性を調べるため,12 00℃で3000時間にわたり試験を行ない,白金ニ オブ合金はかなり安定であるが,白金モリブデン 合金はモリブデンの選択酸化が起こるため保護の 必要が明らかになった。 発表文献 1)西村秀雄,木村啓造:“白金基Pt-Mo合金の 研究”,日本金属学会誌,23, 616頁(1959) : Trans. NRIM 2, 30頁,(1960) 2)木村啓造伊藤祥:“白金ニオブ系状態図”日 本金属学会誌,25, 88頁(1961) ニオブの精錬およびその合金 に関する研究 希有金属研究室 工博 木村啓造,京大工博 佐々木靖男 耐熱耐食性に富む新しい金属であるニオブの開 発のため,酸化物から出発し炭化物還元法によっ て金属ニオブを得,さらに耐食性ニオブ合金に至 るまでの一連の研究を行なっている。 炭化物還元法は炭化ニオブなどを使って酸化ニ オブを還元し金属ニオブを得る方法であるが,歩 留や還元後の精製過程において解決しなければな らない多くの問題点を有していた。当研究室にお いては酸化ニオブと炭化ニオブとの粉末を混合・ 成型・焼結したのち真空に保持された黒鉛発熱反 応管中で還元を行なった。反応は1800℃前後 で爆発的に起こり90~98%の粗金属を得た。この 粗金属ニオブをさらに高温高真空中(2000℃,10 -5mm/Hg)で処理すれば,純度99.8%以上硬度V. H.N.60前後のダクタイル・ニオブとなる。これら は冷間加工によって容易に種々の寸法の板・棒・ 線にすることが出来た(写真参照)。ニオブの精 A:高温高真空中 で精製された ニオブ B:ニオブ板 C :ニオブ線 D :ニオブ棒 製過程においては電子ビーム溶解処理法も有効で V.H.N.50~60のボタンインゴットを得ることが出 来た。 純ニオブのほか耐食性向上の効果の期待される 有効添加元素としてAl, Cr, Mo, Si, Wなどを 選び,これらを含むニオブ基合金を溶製してその 耐食性に及ぼす影響を検討中である。 また炭化物還元法の基礎となるニオブ-炭素二 元系状態図は部分的に明らかにされているにすぎ なかったので,全域にわたり基礎的検討を加え二 元状態図を得た。 発表文献 木村啓造,佐々木靖男:“Niobium-Carbon System” Trans. JIM.(1961) 硫化鉱の精錬に関する研究 希有金属研究室 故工博小川芳樹,工博木村啓造,新居和嘉 わが国にはきわめて多種多様の硫化鉱が産出す るが,良質の鉱石の開発および従来あまり活用さ れず打ちすてられている低品位複雑鉱の完全利用 が要望されている。現行の精錬工程をそのままこ れら鉱石にあてはめることは困難であり,新しい 研究が必要であると共にこれら鉱石中に含まれて いる微量の有価金属の回収を図ることも重要な問 題点である。 現在の操業を採り上げ,微量に含まれる有価金 属の回収を目的として実際操業の際発生する煙灰 の硫酸化焙焼を試みた。亜鉛精錬の際に収率に大 きな影響を及ぼすZinc-Ferriteの生成について 基礎的な研究を行ないまた収率を向上させるため 圧力を高めて有用金属の抽出を検討している。 1.煙灰中の有価金属の回収について 硫化鉱中に含まれている微量の有価金属のうち 蒸気圧の高いカドミウム,ビスマスおよびインジ ウムなどは主金属を精錬する工程においては煙灰 中に移行して適当な条件を与えることによって濃 縮回収することが出来る。これを実際の鉛精錬所 の煙道の条件について検討してカドミウムの回収 を図った。すなわち煙灰中に残留している硫黄を 利用して硫酸化焙焼を行なった。またインジウム は希い酸を用いることにより容易に抽出されるこ とがわかった。 2. Zinc-Ferrite の生成 亜鉛の湿式精錬の工程ではZinc-Ferriteが出 来るときは収率の低下を生ずるが,この生成率は 単に鉱石中の鉄含有量のみによるものではなく焙 焼条件の相異によっても影響を受けきわめて複雑 である。この関係は現在なお不明であるため基礎 的な検討を合成試料を用いて行なった。 3.高圧抽出法 鉱石中から有用金属を取り出すにあたって圧力 やガス分圧および液温を高くすることによって常 温,常圧の条件では進まない反応も行なわせるこ とが出来る。この点に着目して硫化鉱の処理を行 ない硫黄を単体として解離させるとともに微量に 含まれている銅,ニッケル,コバルトなどの有用 金属の回収の検討を行なっている。 発表文献 1)小川芳樹,新居和嘉:“煙灰中の有価金属の回 収について”材技研報告,2, 33頁(1960) 第 8 部 本研究所の設立の基本は金属の生れから成品に至るまでの一貫した生産過程についての基本 的研究およびわが国の資源事情に即応した金属の生産ならびに加工に関する研究にあった。第 8部はこの金属の生れおよびわが国の資源という線に沿って鉱石から高純度金属地金に至るま での諸工程を研究し,新しい理論や現象および新しい技術を開発する目的をもって本年新たに 設置された。 その母体となったものはこれまでの第3部化学冶金研究室であって,周知のように融鉄や合 金中の水素吸収,融鉄中の合金元素の活量測定のような製鋼反応に関する基礎研究の外,TiCl4 のNa還元による純Ti製造の工業化試験,更に精留精製Sil4, SiHCl3の水素還元による高純 度Siの製造の研究などを行ない所期の成果を収めることが出来た。 新設の第8部は鉄製錬研究室と非鉄製錬研究室の二つから成り立つ。鉄製錬研究室では主と して鉄鉱石の化学的処理や製鋼反応に関する基礎ならびに応用研究を目標にし,減圧製鋼法の 研究,硫化鉱の湿式塩素処理による良質製鉄原料の製造法に関する研究,未利用鉄鋼資源たと えばラテライト等の製錬開発に関する研究などをテーマにし,また非鉄製錬研究室では高純 度Si製造に関する研究に引続き新たに金属ハロゲン化物の熱分解を諸種金属について比較研究 し,高価な特殊金属ばかりでなく一般金属にもこれを応用しようとする目標を持っている。 現在溶鉄中のガス吸収装置,真空溶解炉,硫化鉱塩素湿式処理装置,反応熱解析装置,ハロ ゲン化物精留還元装置その他があるが遂次設備を増強していく予定である。 わが国の金属資源が次第に低品位鉱の開発を必要としている一方,外国鉱石の輸入も次第に 増加し鉱石の種類も多種になり,従って各々の鉱石に相応した処理法が鋭意検討されなければ ならない。また電磁気材料,原子力材料,電子工業材料などに高純度金属ならびにその合金の 必要性が大きくなっている現在,第8部はこれら諸金属の経済的開発のためにその基礎的研究 ならびに工業化研究になお一層の拡充が望まれるところである。 特殊製鉄製鋼法の研究 鉄製錬研究室 工博的場幸雄,郡司好喜 1.溶鉄の水素溶解度の測定 1.1.研究目的 鋼中に溶解している水素は,白点の原因とか水 素脆性など多くの欠陥の原因となり非常に嫌われ ている。特に日本のように湿度の高い国では,鋼 の製錬中に溶鋼に溶解してくる水素の量が多く特 に注意しなければならない。しかし製鋼作業の基 準となる溶融鉄および鉄合金についての水素溶解 度の測定値はきわめて少なく,酸素および窒素に 比べてその挙動には不明な点が多い。本研究は溶 融鉄および鉄合金につき水素の溶解度を測定し製 鋼作業の改善に資せんとするものである。 1.2.研究方法 この研究がこれまであまり進歩しなかった原因 の一つに,高温度にて水素と反応しがたい耐火物 が容易に得られなかったということがある。本研 究はるつぼとして高純度のトリヤおよびベリリヤ を用いて行なった。測定はSievertの方法に準拠 したものであり,内容積80~100ccの石英反応管 内に約30gの金属をるつぼ中に溶融し,水素と反 応する酸化物が全くなくなるまで水素中に保つ。 次に純アルゴンガスによって所定温度の熱容積を 測定した後10-4mm/Hgの真空にて約30分処理し てガスを完全に排出し,秤量した純水素を導いて その吸収量を測定した。 1.3.研究結果 測定は鉄,ニッケル,コバルト,およびFe-Ni, Fe-Co合金につき,1500~1700℃の温度範囲で 行なった。純金属の水素溶解度は表に示すように なり,コバルト,鉄,ニッケルの順序で水素解度 は増加している。 金 属 吸収量(cc/100g) 1500℃ 1550℃ 1600℃ 1650℃ 1700℃ 鉄 28.3 30.3 32.3 34.3 コバルト 18.8 20.8 22.7 24.8 ニッケル 43.7 45.8 47.9 50.1 溶鉄の水素溶解度は次式で示され,現在までに 報告されている2, 3の結果に近い値である。 またFe-Ni, Fe-Co合金の水素溶解度はその 全領域にわたって行なわれ,Niの増加とともに 溶解度を増し,Coの増加とともに溶解度を減ず ることが明らかとなった。 2.減圧製鋼法の研究 近年,製鋼工場においては減圧製鋼,減圧鋳造 などが盛んに行なわれ始め,その進歩は目覚まし いものがある。この方法によって製造される高級 鋼もしだいに量を増し,その材質の改善も顕著に なってきている。しかし,減圧製鋼法そのものの 基礎的な検討は決して充分ではなく,従って,こ の製鋼法の作業基準,製錬の限界などは充分に知 られていないのが現状である。本研究では,減圧 製鋼法の製錬機構を根本的に解明し,この方法の 改良進歩の資料を得ようとするものである。検討 する内容は次のようなものである。 1)各種のるつぼ材と溶鉄の温度,真空度およ び溶鉄組成との関係 2)温度および真空度と溶鉄中の各種の反応の 関係 3)揮発性元素の減圧下における挙動 4)発生ガスの定量的検討 5)各種実用鋼の製錬の限界の検討 硫化鉱の湿式塩素処理による良質 製鉄原料の製造法に関する研究 希有金属研究室 網屋吉朗 本邦産硫化物鉱石にはFe, Cu, Zn, Pb, Sb, Hg, Ni, Co, Mo, Bi, Ge, SeおよびAsなどの硫化物を 成分とする鉱石が約35種類ある。これらの鉱物を 湿式塩素処理すれば,すなわち-200 メッシュに 微粉砕した粉鉱に適量の水を加えて充分に撹拌し ながら塩素ガスを吹き込むと金属硫化物成分中の 硫黄成分は直接に硫酸となり同時に塩酸が副生さ れ,金属成分は塩化物となって,硫酸,塩酸およ び金属塩化物の混合溶液を得ることが出来る。こ の混合液からまず塩酸を蒸留分離する。混合液中 の金属塩化物は,塩酸分離の過程において共存す る硫酸と反応置換して硫酸塩となる。この硫酸塩 の水溶液を目的に応じて化学的あるいは電気化学 的に処理して行けば,高純度の各種成分を分離す ることが出来る。 本研究はわが国において量産される硫化鉄鉱, すなわち黄鉄鉱あるいは磁硫鉄鉱を湿式塩素処理 して,硫黄および銅をほとんど含まない高純度の 酸化鉄 (Fe3O4あるいはFe2O3)を製造するとと もに硫安を併産せんとするものである。 1.粉鉱の溶解試験 1.1. Batch式溶解装置による溶解試験 15 ℓ容量(粉鉱1kg仕込)の装置について溶解 試験を実施した。反応温度70~96℃,溶解率60 ~80%,所要時間5~6時間であった。 1.2.連続溶解装置による溶解試験 湿式塔型磨砕装置で連続的に-300 メッシュに 微粉砕した粉鉱を乱流理論を応用した連続溶解装 置(粉鉱処理能力2kg/hr)に送り塩素を作用せ しめ連続的に溶液を得る試験を実施し一応の成果 を収めた。 1.3.連続溶解装置の改良 1.2.の装置は粉鉱の溶解所要時間5時間の設計 で,反応所要時間5時間は将来工業的にみて長時 間にすぎる恨みがあるので,反応時間短縮の研究 を重ねた結果,1時間以内で90%以上の溶解率を 得たのでただちに1・2の装置の改良を実施した。 2.粉鉱溶解液から副生塩酸の分離試験 2.1.フラスコによる蒸留分離実験 蒸留法により溶解液から塩酸のみを分離する実 験を実施した。溶解液の処理量1~15 kg蒸留完 了時間3~5時間。 実験の結果硫酸根を含まない塩酸を分離し,溶 液中の鉄,銅の塩化物を塩酸根を含まない硫酸塩 として取得した。 2.2.連続塩酸分離装置の設置 塩酸の蒸留分離と金属硫酸塩の生産を同時に連 続的に実施する目的で溶液の連続処理能力80 kg/ hrの設備を設計,据付けを完了した。 3.副生塩酸の直接電解による塩素の再生試験 3.1.原料塩素を副生塩酸から再生する目的で 塩素発生能力1kg/hrの塩酸電解装置を設計製作 し電解試験を実施したが,隔膜が不適当であった ため塩素と水素とを充分に分離し得ず,危険を伴 なう恐れが生じたので,本装置による試験は一時 中止した。 3.2.隔膜選択用小型電解装置の設置 副生塩酸の直接電解により塩素と水素とを完全 に分離回収し得る最適なる隔膜を選択するために 常用10~20A, 2~6V容量の小型電解装置を設計 製作し,実験の諸準備を完了した。 高純度金属製造に関する研究 非鉄製錬研究室 理博柳橋哲夫黒沢利夫 1.ヨウ度法による高純度Siの製造 太陽電池,トランジスター,ダイオード,電力 用整流器などに半導体としての高純度Siの用途 はますます増大している。その工業的製造には塩 化物が原料として用いられることが多いが,ヨウ 化物を原料とする方法にも幾多の利点や検討の余 地のあるところから本研究を行なった。SiI4は800° C前後に加熱された粗Siに窒素,アルゴンなど を担体としたヨウ素蒸気を送って合成した。この 際一度700℃位の高温でわずかヨウ素化を行なっ た後は粗Siとヨウ素との反応は500℃ くらいの 低温でも進行し,不純物の少ないSiI4をうること が出来た。つぎにSiI4と不純物ヨウ化物との蒸気 圧差を利用して蒸留精製する。この場合石英製の 単巻らせん充填塔を用いて300℃,1気圧のアル ゴン中で操作して精製されたSiI4をうる。SiI4は ボイラーからガス体にし水素と混合して約1000° Cに加熱された石英円筒内に送って還元を行なう とSiが内面に塊状および粒状に析出する。石英 部分はフツ酸で溶解除去する。析出物は充分に水 洗した後乾燥し,単結晶引上装置により単結晶棒 にした。性質はP型で数オームセンチの太陽電池 級のものであった。 2. SiHCl3による高純度のSi製造 SiHCl3 (Trichlorosilane)は高純度 Si の原料 として代表的のものでありその熱分解や水素還元 が工業的に実施されている。当研究室でもSiHCl3 を原料として熱分解や水素還元を中間工業規模ま での実験を行なって,本法の諸条件を明らかにし た。SiHCl3の熱分解は約700℃から徐々に著し く なり 950~1000℃ に至ると,4 SiHCl3=Si+Si Cl4+ 2 H2 および 2 SiHCl3=Si+SiCl4+ 2 HClな どの式に従って分解する。アルゴンを担体として 実験した結果950℃ でSiHCl3のSi析出率は21 ~22%くらいであった。水素担体の場合でもH2対 SiHCl3のモル比のほぼ10ぐらいまでは熱分解が反 応の主体をなすものと考えられ反応率は25%ほど であるが,水素を多量にしモル比で約50になると 析出率も55%に向上する。これは熱分解の副生物 のSiCl4の還元が水素によって行なわれるからで ある。析出Siの純度はユニオンカーバイド社の輸 入品のSiHCl3をそのまま水素還元するとN型数 10オームセンチの比抵抗を示すが,SiHCl3を石英 製蒸留塔で精製した後還元を行なったものは数百 オーム級になる。析出Siは多量に製造した場合 は厚い塊状になるが,熱分解よるものでは茶褐色 の粉末Siが混入してくる。針状結晶に析出する 場合も多いがなかには灰黒色,黄色をしたかび状 の析出が認められることもあるが顕微鏡下では細 い絲状のSi集合物で単結晶であると考えられる。 その他SiCl4, SiHCl3を原料とした電場内のフ ィラメント析出を検討した。水素とSiCl4の混合 ガスを加熱したTa線上に送って水素還元を行な うと同時に周囲におかれたTa円筒との間に直流 数キロボルトの電場をかけ線側を負にしてその効 果をみたところSiCl4と水素の混合ガスの場合 SiCl4の濃度が比較的大きい場合電場の影響によ って反応率が良好となる結果が認められた。 第 9 部 第9部は36年度から新しく発足した。この部は磁性材料,高純度金属の各研究室を第2部, 第7部からそれぞれ移管し,さらに金属間化合物研究室,酸化金属研究室の2研究室を新設し てこれに加えたものである。 第9部の担当する研究分野は電磁気用金属材料であるが,最近の電子工業の著しい発展に対 応して,特に電子工業用の新材料の開発に研究の重点をおいている。またこれらの材料の基礎 となる高純度金属の研究を包含することとしたわけである。 高純度金属研究室では,従来から行なってきた高純度クロムの研究の発展として36年度はこ れに高速変形加工法を応用する研究を始めている。また電子ビーム溶解法を用いて高融点金属 を対象とした浮遊帯状精製法の研究も行なっている。 磁性材料研究室では第2部所属の時から引き続いて,鉄・アルミニウム系の高導磁率磁性合 金の研究,耐食性弾性材料の研究を行なっている。また36年度から新たに異方性微粉末永久磁 石合金の研究を始めているが,このために一連の製造工程を不活性雰囲気中で行なうことが出 来る装置を計画している。 金属間化合物研究室は新設であるが,従来高純度金属研究室として行なってきた物理精製法 の研究を基礎にして,高純度の原料を用いて金属間化合物半導体の組織的研究に入る態勢を整 えつつある。 酸化金属研究室は遷移金属酸化物の系統的研究を行なっている。 銅基弾性材料の性能向上に関する研究 磁性材料研究室 故 工博小西芳吉,工博森本一郎,前田 弘 学術振興会鋳物研究第24委員会の研究課題「燐 青鋼の溶解に関する研究」に協力し,筆者らは主 として真空および大気中溶解によるインゴットの 作成並びにその検査を担当した。燐青鋼はPB70 を目標として,真空および大気中溶解の別なく同 一組成の溶解を行なった。 まずこれら試料について鍛造性試験を行なった 結果は図に示す通りであって真空溶解試料は大気 中溶解のそれに比較して大きな変形抵抗を示して いる。これは試料の分析値からも明瞭に認められ たが,脱酸剤としての燐の歩留りに原因している ことは明らかである。燐青銅に許容される燐の量 は普通0.05~0.25 %とされており,これ以上で は特性に悪影響を及ぼすことは事実である。従っ て,真空溶解の場合の燐の配合には充分なる注意 を要することが指摘される。 また真空溶解では鋳込時における湯留りの温度 低下が著しいため,ときとして必要以上に溶湯の 鍛造性試験結果 温度を上昇せしめたり,あるいは湯留りの穴径を 大きくしたりする場合が多いが,このような操作 は健全なるインゴットを作成する上に重大なる障 害となることは当然であって,X線探傷およびイ ンゴットを縦割りにした面の蛍光探傷を適用した 結果からも明らかに認められた。しかもこの欠陥 の発生状況は真空溶解および大気溶解の別なく湯 留りの穴数および穴径に大きな影響を受けること を指摘した。この実験結果に基づいて溶解方法を 確立するため委員会を通じ古河電工において系統 的な実験が行なわるれことになっている。 高導磁率Fe-Al合金の製造に関する研究 磁性材料研究室 工博森本一郎,前田弘 加工がきわめて困難である高導磁率Fe-Al合 金の製造方法を確立し,さらに添加元素による加 工性並びに磁気特性の改善を目的としている。 Fe-Al合金はAl量の増大に伴なって磁気特性 は次第に向上し,約16%付近の組成においてすぐ れた磁気特性を示す。一方加工性はAl量の増大 とともに困難となるが,原料・地金並びに真空溶 解方法を考慮し,1000~1050℃ における熱間圧 延,550℃付近の温間圧延を経て冷間圧延に供す れば特性にすぐれた薄板の作成が可能である。 磁気特性に及ぼす添加元素の影響に関しては, 各種元素について検討した結果Fe-Al-Mo系にき わめて興味ある事実を認めた。この合金のすぐれ た磁性を示す組成範囲は二元系に比較して明らか に広く,Mo 2~4%,Al14~16%におよびMo 3.5 %, Al15%付近において特にすぐれた特性を示 し,最大導磁率124000が得られている。この最適 組成範囲の決定に関しては更に系統的な実験を計 画している。図はFe-Al合金およびFe-Al-Mo 合金の磁化曲線の一例を示したものである。 Fe-Al-Mo合金の磁性焼鈍に関しては二元系と 全く類似し急冷を必要とするが,いずれの場合に も急冷温度および冷却速度は磁性に著しい影響を 与えるため,これら合金について熱処理条件を確 図Fe-Al, Fe-Al-Mo系合金の磁化曲線の一例 立することはきわめて重要である。よって筆者ら はこれら合金の規則格子の生成並びに焼入歪を合 わせ考えて,種々の観点からこの問題に検討を加 えている。 一方Fe-Al合金の特質である硬質にして高い電 気抵抗を有する点に関してはFe-Al-Mo合金につ いても全く同様である。 耐食性弾性材料の製造に関する研究 磁性材料研究室 工博森本一郎,土方政行 近年各種計測機器用弾性材料は薄板を荷酷な条 件のもとで使用する場合が多く,従って弾性限度 が高く,かつ耐食性および耐熱性に富む弾性材料 の出現が強く要望されている。 筆者らは当面の問題として18Cr-12Niオース ナイト系ステンレスを対象にして弾性材料として の諸特性に検討を加え,さらに添加元素による特 性の改善を図ることを目的としている。 本系合金は耐食性にすぐれ,加工並びに熱処理 が容易であり,かつほとんど磁性を示さない特質 を具備している。一方機械的特性並びにばね特性 に関しては本系合金に最も懸念されるところであ るが,しかし強度の冷間圧延材に適切なる低温焼 表1試料成分の一例 成分(%) 試料 Cr Ni Mn Si Mo V C Fe 1 18 12 2 1 - - - bal. 2 18 12 2 1 - 2 - bal. bal.3 18 12 2 1 2 - 0.2 図測定結果の一例 鈍を施すことによって諸特性は著しく向上し,弾 性材料として十分その使用に堪え得ることが認め られる。表に示すような数種の試料についてその 測定結果の一例を示せば図の通りである。また添 加元素の影響に関しては現在のところMoおよび Vに興味ある事実が認められているが,適切なる 処理条件の確立とともに今後一層の実験的研究を 要するものと考える。 更に弾性材料はその製造方法に重大なる意義を もつものであるため,同時に粉末圧延法を採用し て製造上の諸要因について検討を加えている。本 法によれば正確な組成の原料粉末から高い歩留り のもとに連続的に薄い粉末圧縮体が圧出され,焼 結および冷間圧延を経て直接に薄板が作成され る。しかし酸化性の強い粉末を配合する場合には その焼結方法並びに粉末の性状に関して十分なる 考慮を必要とするため,現在研究続行中である。 純クロムの製造と利用に関する研究 高純度金属研究室 理博 吉田進,大庭幸夫,永田徳雄,関野泰宏 純クロムはわが国においても比較的資源に恵ま れ,かつすぐれた耐熱性,耐食性を持っているに もかかわらず熱間加工が困難なことと,室温で脆 いため,従来実用材料として利用することが出来 なかった。欧米においてもかなり以前から純クロ ムに着目し,その脆性を改善するための研究を行 なってきたが,必ずしも満足すべき結果を得たと はいいがたい現状である。 当研究室では32年度後期より純クロムの研究に 着手し,33~34年度にはクロム酸浴電解法より得 た純クロムをアルゴン雰囲気中でアーク溶解し, 鋳塊をシース加工法によって鍛造・圧延して薄板 を製作する工程を確立した。(表 および図1参 照) 表 純クロム中の主要不純物分析表(ppm.) O N H S P Cu Zn Pb Fe 900 37 tr 12 4 5 7 1 4 図1純クロムの製造および加工工程 図2 Prestrainを加えた試料の室温におけ る引張り伸び さらに34~35年度において,純クロム薄板の室 温脆性を改善する研究を引き続いて行ない,かな りの成果を収めることが出来た。 図2に示したように,再結晶したクロムは室温 では極端に脆い。しかしこの試料に400℃で0.75 ~3 %, 500℃で3~8%の軽度の塑性変形(pre- strain)を加えてやると,試料は室温で著しい延 性を示すようになり,引張り試験の結果試料のあ るものは40%以上の伸びを示した。(写真参照) このようなprestrainの効果がどうして生ずる かという問題は非常に興味あることで目下詳細な 検討を進めているが,およそ次のように考えられ ている。 クロムの脆さはクロムに固溶されている窒素原 子および超微細の窒化物によって転位が強く固着 されているためである。しかし適当な条件の下で prestrainを加えると,転位はその束 縛から脱 し,さらに固溶窒素原子が,過時効の状態まで析 出し,転位に対する固着作用が弱められるからで ある。 発表文献 1)吉田進,大庭幸夫:“純クロムの試作とその二・ 三の性質”材技研報告,1,85~88頁(1958);日本金 属学会誌,22, 443頁(1958) 2) 吉田進,大庭幸夫,永田徳雄:“純クロムの高 温加工性について”,材技研報告,3,17~23頁(196 0);日本金属学会誌,24,16頁(1960) 3)吉田進,大庭幸夫,永田徳雄:“高純度クロム の再結晶について”,日本金属学会誌,24, 760頁(19 60). 4)吉田進,大庭幸夫,永田徳雄:“純クロムの延 性におよぼすPrestrainの効果について”,材技研報 告,3, 332~336頁(1960);日本金属学会誌,25 93頁(1961) 純クロムなどの高速度加工法 に関する研究 高純度金属研究室 理博吉田進,永田徳雄 最近は高速押出法や爆発成型法など,金属材料 を高速度で変形させる加工技術が盛んになってき た。このような加工技術は種々の利点を持ってい るが,特に重要な点はこのような方法によって,従 来は非常に加工しにくいとされていた金属でも加 工出来る可能性が生じてきたことである。原子力 工業やロケット工業の発展と共に,工業的に利用 される金属材料の範囲がますますひろがっている ため,それに伴なってこの種の加工技術は重要性 を増している。 なぜ高速度加工によって加工しにくい金属でも うまく加工出来るのであろうか? その理由はま だよくわかっていないが,高速度変形の時,瞬間 的に材料内部の圧力が高くなり材料は流体的に挙 動するのではないかと予想されている。従って加 工された後の金属の組織や性質も,従来の加工法 の場合と大分異なっていることが考えられる。こ のような点を基礎的に解明することがこの研究の 第一の目的である。また当研究室では純クロムの 製造・利用の研究を行なってきたが,クロムはは なはだ加工しにくい金属で,この種の加工法の適 当な対象であるので,まずクロムにこの方法を応 用する予定である。 以上の研究を進めるためには,結果を実験的に 解析しやすい試験加工機を製作することが第一の 条件である。このため,圧縮ガスを原動力とし, 最大加工速度70m/secが得られる高速加工試験 装置を設計した。36年度にはこの試験装置が完成 し,実験にはいる予定である。 高純度金属の物理精製とその利用に 関する研究 金属間化合物研究室 工博増本剛,田村良雄 ゲルマニウム,シリコンなど電子工業に用いら れる半導体材料はきわめて高純度が要求される。 また最近開発されつつある金属間化合物半導体に 用いられる原料金属の純度も同様に高純度が要求 されるが,まだ,この面の研究は十分に進んでい ない。このような高純度の金属の精製には物理的 な精製法(特に帯溶融精製法)が欠くべからざる 方法である。また半導体材料以外の金属もこの方 法で精製することによって,きわめて高純度のも のが得られるので,それによってその金属本来の 性質が明らかとなり,新しい用途が開けることが 期待されるわけである。 帯溶融精製関係の装置は,実験条件の精密な制 御が要求されるため,最近ますます精密化しつつ あるので,この研究にはいるために,まずこれら 一連の装置の整備を行なった。 これまでに設置され,運転中の装置は,高周波 溶解式横型帯状溶融装置,同じく浮遊帯状溶融装 置,同じく単結晶引上装置,電子衝撃式浮遊帯状 溶融装置である。 これらの装置を用い,35年度にはシリコン単結 晶の引上条件と結晶完全性の関連の研究,テルル の帯状溶融精製の研究(平均比抵抗0.28Ω-cmの テルル原料から出発し,10回のパスで0.45Ω-cm のものが得られた),鉄,シリコンの電子衝撃式 浮遊帯状精製の研究を行なった。 発表文献 増本,田村,遠藤:“電子衝撃による浮遊帯状溶融 装置の試作およびそれによる二・三の実験”,日本金 属学会講演(1961) 遷移金属酸化物の研究 酸化金属研究室 坂田民雄 この仕事は,Ni, Co, Mnの複合酸化物の中に サーミスタとして適当する材料を見いだすという 技術的要求に基づいて開始された。すなわち,電 気抵抗の制御が容易で経年的に特性の変わらない 半導体材料を見いだすことである。その結果Ni, Co, Mnの酸化物を適当な割合で混合すれば, この要求が完全に解決されることが明らかになっ た1)。 しかし,なぜ二種類以上の酸化物の混合に よって,サーミスタとして好ましい条件,すなわ ち,混合比で電気抵抗が制御され,特性が安定で あるという条件が実現されるのであろうか? こ のように,問題は新たに基礎的な形で提起される ことになった。 上述のサーミスタ材料はいわゆる3d-遷移金 属酸化物の複合体である。これらの遷移金属はベ ルトローの法則に従わない化合物をつくる。この 事実は遷移金属が容易にその原子価を変えるとい う化学的性質に起因している。また遷移金属酸化 物では,結晶学的に同等な格子点が異なる原子価 状態にある同一遷移金属イオンで占められている という状態が電気伝導にとって本質的で,電流は これらの陽イオンの原子価の交換によって運ばれ る。従って電気伝導度の制御は,陽イオン格子点 の原子をいかにして,定量的に異なる原子価状態 にもたらすかという問題に対応し,電気的特性の 安定度は,このようにして誘導された原子価状態 の相対的安定度として理解されることが明らかに なった2~3)。 誘導原子価状態の相対的安定度,換言すれば異 なる原子価状態の陽イオンの共存条件は,結晶構 造および化学結合の性格との関連において考察さ れなければならない。 遷移金属酸化物は,単純な酸化還元によって連 続的に組成を変える,これに対応して関係する金 属イオンは連続的に原子価を変える。これに伴な って,化学結合の性格も変化していく。われわれ はこの変化過程を,その電気(磁気・熱・光学) 的性質の変化から推測しようと試みた4)。 この線に沿っての研究は現在酸化チタンについて 進行している。この場合には,誘電体(絶縁物) -半導体-金属と云う化学結合の変化が還元によっ て容易に実現される。 このようにして,同じ化合物(たとえば酸化物) における化学結合の性格を比較して,関係する遷 移金属の性格を明らかにすることが出来るであろ う。さらにまた,電子親和度の異なるほかの陰性 イオンとの化合物において,与えられた遷移金属 がどんな化学結合の性格を示すであろうかという 知識が,この研究によって提供されるであろう。 換言すれば,合目的的に新しい材料―金属,半導 体,絶縁物-を見いだすべき指針となるであろう。 現在この方向に,新しいサーモエレメントの探求 が主として珪化物を対象に進められている。 発表文献 1)坂田民雄:材技研報告2 78頁(1959) 2) 〃 2 48頁(1959) 3) 〃 2 1頁(1959) 4) 〃 2 1頁(1959) おもな研究設備 注:設備名の下の()内の数字は,その設備の購入年度を示す. 溶解圧延設備 2 tonエルー式電弧炉 実験用圧延機 センジミア20段冷間圧延機 100kW高周波溶解炉 (33年度) 各種の普通鋼,特殊鋼の溶解用.容量100kW 50kg, 100kg, 150kg の炉体付 100kg真空溶解炉 (34年度) 溶解時の操作真空度10-3mmHg以下になる ような真空排気系を有する.半連続式,鋳型 室水素脱酸装置,ホットトップ装置付 2 tonエルー式電弧炉 (34年度) 迅速溶解,炉蓋旋回,炉頂装入方式である. ダイドーレクトロメルト式.変圧器容量1500 kVA炉殻内径2178mm. 20kgデトロイト電気 炉 (33年度) 50kW,球状炉 真空脱ガス鋳造装置 (33年度) 溶解室200kg (鋼塊),操作圧1mmHg以下 1/2tonエアハンマー (33年度) 防震基礎上に設置,50㏋,毎分打数110 500ton油圧鍛造プレス (35年度) オイムコ社,片持式,ストローク750mm, 加圧速度45mm/sec,作動油圧315atm.電動 機245㏋,移動テーブル付 鍛圧用ガス加熱炉 (33年度) 常用1300℃,炉内寸法 900 ×600 ×1500mm 実験用圧延機 (33年度) 鋼専用ロ ールを組み換えることによって熱間 又は冷間の圧延を行なう鋼板圧延機と,3段 2スタンド棒鋼圧延機とが並置されている. 逆転式2段(4段)圧延機,ロ ール寸法165φ &48Oφ× 450mm,アップコイラー巻取機付. 棒鋼圧延機 (33年度) ロ ール寸法300φ× 800mm,主電動機DC, 300 ㏋ (併用) コイル巻戻機 (34年度) 巻戾し速度30m/min,丸刃側面剪断機付 センジミア20段冷間圧 延機 (35年度) ワーキングロールが細く,大きな圧下率で圧 延できるのが特徴で,炭素鋼,特殊鋼,非鉄 合金,磁性材料等の精密圧延機である・ ZR-34-71/2型,圧延速度92m/min,張力範囲 50~6, 000lbs,圧延可能 2 ~0. 01mm,ワー ク・ ロ ールの径10mm 酸 洗 装 置 (34年度) 槽5基,1×1×1.8m,液中燃焼器付 熱処理設備 光輝 横型 電気炉 (34年度) 還元性雰囲気ガス(AXガス)中で,鋼材の 無酸化加熱を行なう.常用1100℃, 80kW. 光輝ベル型焼鈍炉 (34年度) AXガス中の帯鋼コイルの無酸化焼鈍用.常 用1000℃, 110kW. ガス滲炭窒化炉 (34年度) 渗炭ガス(RXガス)中で渗炭と焼入操作を同 時に行なう.常用930℃, RXガス発生機付. 連続焼鈍炉 (35年度) 縦型,温度max. 1300℃, 100kVA. 板材の 操行速度0. 4~4 m/min.板厚および板巾 0.1 ~1.2mm × max. 200mm. ソルトバス電気炉 (34年度) 高温用―常用1270℃, 40kVA, AJAX製, 中温用―750~980℃, 27kVA. 低温用―200~750℃, 16kVA. 水素真空焼鈍炉 (34年度) センジミア圧延機などで圧延されたコイルの 中間および,最終焼鈍に使用.常用1300℃, 60kW,タングステン線発熱体,冷却室付. 真空焼鈍炉 (34年度) 温度max.1450℃,タングステン線発熱体使 用. 水素雰囲気炉 (35年度) 温度max.1450℃,モリブデン発熱体. 小型溶解加工設備 10kg高周波真空溶解炉 (31年度) 各種金属材料の真空溶製に使用.バルツアー ス 社, Fe 換算10kg,10.4kc,出力 50kW. 小型高周波真空溶解炉 (34年度) Fe換算 3~0.5kg, 30±10kC,出力15kW. 10kg高周波溶解炉 (32年度) 大気中溶製に使用し,傾斜注入式炉体は10kg 用と3 kg用の2種あり,炉台を共通使用. Fe 換算10kg,10 kC,出力15kVA. 真空アーク溶解炉 (32年度) チタン,ジルコニウム,モリブデンなどの高 融点金属,ガス感受性の強い金属および鉄鋼 材料などの溶解に使用.大型(真空)Ti換 算5kg,小型(アルゴン)Cr換算1kg. 冷間4段圧延機 (32年度) 50㏋,厚さ 2~0. 2mm,巾170mm. 熱間2段圧延機 (32年度) 50㏋,厚さ 30~2mm,巾250mm. スエージングマシン (34年度) タングステン,クロム,その合金など鍛造圧 延を行ないがたい金属の熱間冷間におけるま る型の槌打成形加工を行なう.加工直径25― 1 mmφ. 鍛造性試験機 (32年度) 衝撃エネルギーmax60kg-m,試験温度700~ 1350℃ 高純度クロム電解装置 (32年度) 高純度クロムの電解採取を行なえるように高 温の電解溶液を用い,装置に高純度金属を使 用.電解槽(450ℓ) 3 基,(300ℓ)1基,4000A 光輝ベル型焼鈍炉 ガス滲炭窒化炉 100kg高周波真空溶解炉 真空アーク溶解炉 単結晶回転引上装置 帯域製精区域均質装置 単結晶回転引上装置 (34年度) 本装置は半導体材料として高純度でしかも格 子欠陥,転位,歪などの不完全性のない単結 晶を製作する装置で,高周波加熱によって溶 融した試料の表面に同一材料の種を接触させ 両者を完全になじませた後,この種を回転さ せつつ引上げて所要の単結晶を製作する. 引上げストローク250mm,引上速度0.1~ 3. 0mm/min,回転速度 0~100 r. p.m.電源 400kc 15kW 帯域精製区域均質装置 (34年度) 試料加熱用高周波コイルの中に水平に配置さ れた透明石英管内の石英又は黒鉛ボートを移 動し,真空又は不活性ガス雰囲気中で試料の 帯域精製あるいは区域均質を行なう・ ボートの移動速度0. 2~2 mm/min,ボート 傾斜角2~5°,電源400kc, 15kW 浮遊帯域精製炉 (34年度) 高周波加熱コイル中の垂直移動架台上にささ えられた石英管内を,不活性ガス雰囲気に し,その中で上下の両チヤックで固定した棒 状試料を垂直に移動させ,直接加熱させて帯 域精製を行なう.試料に直接触れるルッボや ボートがないため,超高純度金属が得られる ストローク200mm,移動速度0~4mm/min, 回転速度0~10r.p.m. 15kW 精 錬 設 備 ニオブ精製装置 大型溶融塩電解装置 鉱石の湿式連続粉砕設 備 連続溶解装置 連続副生塩酸分離装置 塩酸電解装置 (33年度) この4基の設備は,温式塩素処理による硫化 鉱石の精錬に関する一連研究設備で,原料 (硫化鉱)微粉末パルプの製造,塩素ガスに よるその連続溶解,溶解によって得られた硫 酸と副生塩酸と金属の塩化物との混合溶液よ り副生塩酸の留出回収および金属の粉末状硫 酸塩としての連続分離,副生塩酸を電解して 塩素と水素とに分け,塩素は循環使用し,水 素は水素資源に供する. ニオブ精製装置 (35年度) 高温,高真空(たとえば2000℃,10-5mmHg) 中で処理することによって,新金属(ニオブ, タンタルなど)の精製を行なわせる. 温度max. 2300℃, 主反応容器500mmφ× 500mm H 大型溶融塩電解装置 (32年度) 溶融塩中の金属を酸化などを防ぎながら採集 させる装置.おもにトリウムやニオブなどの 精錬を行なう. 電力 20kW, 電解槽 200mmφ × 400 mmH 沃化物精留還元装置 (33年度) 粗Siと沃度蒸気をアルゴン気中500~800℃ で反応せしめSiI4を合成した後,石英製単 巻らせん充填塔で精溜し重金属,ボロン等を 除去する。精製SiI4を約1000℃で水素還元 を行ない純Siを石英管内面に析出させる. 能力0. 8g/h 気体反応装置 (35年度) 常温~1000℃の温度範囲で化学反応が起こ っている際の蒸気圧の測定がなされ,熱分解 合成など化学反応の機構の解明に有力な装置 沃化物精留還元装置 溶 接 設 備 被覆アーク溶接試験装 置 (32年度) 溶接工のかわりに被覆アーク溶接棒を用いて 自動的に直線ビードまたは波形ビードをおく 装置で各種の溶接性試験に使用する. ヘリアーク半自動溶接 機 (34年度) 容量41kVA, 500A.板厚6 mm 以下の軟鋼 およびステンレス鋼なども半自動で溶接する 装置である. シグマ半自動溶接機 (32年度) 容量32kVA, 500A.不活性ガス気流中で溶 接線材を用い(MIG法),アルミニウムおよ びそれらの合金などの比較的厚板の溶接に使 用する. エレクトロ スラグ溶接 機 (35年度) 3色板,最大電流各1000A, 54kVA×3台. 溶融スラグの電気抵抗による発熱を利用し, 立向溶接を行なう特殊な溶接機である. 板厚50mm以上の超厚鋼板の突合せ継ぎ,T 型継ぎ,複雑な形状の品物の溶接および肉盛 溶接にきわめて有効である. ユニオンアーク接溶機 (35年度) 最大電流500A.磁性フラックスと炭酸ガス を使用し,溶接電流の磁化作用によって磁性 フラックスを鋼線の周囲に付着させ,炭酸ガ スで被覆しながら溶接を行なう・ 主として構造用鋼を対象とし,全姿勢の溶接 ができる. 双極式ユニオンメルト 溶接機 (32年度) 容量 80kVA, 1000A 粒状のフラックスでアークを覆って,構造用 軟鋼,高張力鋼,ステンレス鋼および銅金金 の自動アーク溶接を行なう. 単電極でも行なうことができるが,双電極式 の場合には肉盛溶接に適している. 3相低周波スポットシ ーム溶接機(34年度) 容量125kVA.アルミニウム合金,マグネシ ウム合金,ステンレス鋼,軟鋼などの各種板 材のスポット溶接ならびにシーム溶接を行な う. 電流,加圧力などの各種制御とその記録装置 を含んでいる. 被覆アーク溶接装置 真空溶接装置 可変雰囲気溶接装置 溶接熱および応力サイクル再現装置 溶接用連続冷却変態図作成装置 両端固定均一加熱応力試験装置 溶接部クリープラプチャー試験機 動的拘束割れ試験機 単相スポット溶接機 (33年度) 容量175kVA 真空溶接装置 (35年度) 50kV, 30mA, 10-5mmHg 高真空(10-5mmHg)中で電子線による溶接 ができる. とくにジルコニウム,ニオビウムなどの活性 材料の溶接に有効で,原子炉の燃料管の溶接 に重要視されている. 可変雰囲気溶接装置 (33年度) 最大溶接電流300A.原子炉用ジルコニウム, マグネシウム,そのほか化学的に活性な金属 の溶接に際し,アルゴンガス雰囲気の気密室 中で非消耗電極(W)型のアーク溶接(TIG 法)を行なう・ 溶接熱および応力サイ クル再現装置 (33年度) 容量160kVA, 50ton 鋼材のアーク溶接によって生ずる熱サイクル を特定大の試験片に再現し,その熱サイクル 途上の高温における急速引張試験を調べる. 溶接用連続冷却変態図 作成装置(34年度) 高周波容量12kW, 100kc 本装置は高周波加熱溶接熱サイクル再現装置 熱膨脹記録装置および熱分析写真装置からな る. 最高加熱温度1350℃の溶接熱サイクルを再 現して,溶接用CCT図を作成する.この図 は鋼材の溶接性の判定および溶接条件の選定 にきわめて有効である. 両端固定(不)均一加熱 熱応力試験装置 (34年度) 容量80ton 実物に近い,大型の溶接継手試験片につき, 酸素,アセチレンガスによって加熱し,繰返 し加熱冷却の温度サイクルを与えて,熱疲労 強度を調べる不均一加熱熱応力試験装置と, 任意に設定された上下限温度サイクルを直接 通電の断続で与えて,試験片の熱疲労を調べ る均一加熱熱応力試験装置を試作した. これらの装置を使用し,ボイラー,タービン ジェット・エンジン,デイーゼルエンジン, あるいは原子炉などで稼動中に受ける温度サ イクルを再現して,大型溶接継手の熱疲労試 験を行なう. 溶接部クリープラプチ ャー試験機(33年度) 容量40ton 高温高圧下にさらされる大型溶接継手のクリ ープ・ラプチャー試験を行なう.このほか溶 接継手試片に直接通電加熱して熱疲労試験を 行なうこともできる. 動的拘束割れ試験機 (33年度) 溶接中に単純な定速横歪または角変形を与え て,溶接部の割れ感受性を調べる試験機であ る. 粉末冶金設備 高真空ホットプレス (32年度) 週期律表第Ⅳ, Ⅴ, Ⅵ族に属する珪化物,炭 化物,酸化物あるいはその他の金属間化合物 および金属粉末を高温で圧縮と成型を同時に 行なう装置である. 最高使用温度2600℃,真空度10-5mmHg. 試料寸法 最高圧力 大型 80 ×10 × t mm 357kg/cm2 中型 28×9×t mm 875 〃 小型16mmφ 1500 〃 アトマイズ装置 (34年度) 特殊タンマン電気炉,噴霧装置,粉末採集装 置からなり,溶融金属流に圧縮空気を作用さ せることによって,粉末冶金に適する各種金 属粉末および合金粉末を大量に容易に製造す るものである. 最高温度2000℃,最高空気圧力10kg/cm2 1回噴霧量(Fe換算)3 kg. 抗折力試験機 (34年度) 圧粉体および焼結体の機械的性質の一環であ る抗折力を常温ならびに高温で測定する装置 である. 最高使用限度1450℃,真空度10-5mmHg, 試験片寸法24×10 ×t mm2. 粉末圧延ロール (35年度) ロ ール径8",5 ㏋,圧延速度0. 8~3 m/min. 金属粉末を直接圧延成型して帯状の圧粉体を 製造する縦型圧延機であり,粉末の装入量を 均一にするためバイブレータホッパーが用い られている. 高真空ホットプレス アトマイズ装置 物理測定設備 強力X線回折装置 (34年度) 50kVP, 100mA.水冷式回転対陰極であるた め,従来の固定対陰極に比較して管電流を多 く流せるので,露出時間をきわめて短縮でき る(通常数分)。従って,結晶構造の変化, 拡散度の現象もとらえることができる. 自動記録X線回折螢光 分析装置 (31,33年度) General Electric 社,ゴニオ メーター精度± 0. 002度 走査速度2°/minおよび0. 2°/min. 分析元素は原子番号22(Ti)以上. 自動記録X線回析装置とX線蛍光分析装置を 合体して,X線回析により材料の構造解析 を,蛍光X線により組成の定性および定分量 析を行なう.写真法と異なり,X線強度が自 動記録されるため測定が迅速確実に行なわれ る. 自動記録X線回折螢光分析装置 強力X線回析装置 電子回折顕微鏡 自記磁束計 電子スピン共鳴吸収装置 S曲線測定装置 (35年度) 連続冷却変態用-温度計max. 1100℃,記録計 X-Y-T,冷却方式,ガス吹付,油冷,水冷 による自動プログラム方式 恒温変態用-温度max. 1100℃,恒温変態 温度700~常温(塩浴および油浴) 電子顕微鏡 (32年度) 日立HS- 6型各種の金属薄片,レプリカお よび微粉末などの電子顕微鏡観察および電子 回折観察ならびにそれらの撮影,加速電圧50 kV,分解25A 万能型電子回折顕微鏡 (34年度) 日立HS-10型.電子回折装置と電子顕微鏡 を一体とし,試料を約1000℃まで加熱でき るヒーターを備えた試料保持器,試料室に反 応ガスを導くガス導入管と反応ガスによって 装置の高真空を乱さないための排気系および 反応ガス(酸素,水素,窒素,アルゴン)浮 化装置と一定圧力のガスを導入するためのガ ス供給装置などからなっている. パンフォト万能金属顕 微鏡 (33年度) ライツ,クセノン光源使用,暗視野照明,偏 光およびマクロ試料(60mmφ)の撮影が可能 ウルトラフォト万能顕 微鏡 (34年度) ツァイス,低倍率マクロ撮影,偏光撮影など が可能. 顕微鏡試料作成装置 (33年度) ビュラー製 温度標準測定装置 (33年度) 国際温度目盛の基本的定点として採用されて いる諸物質の定点によって,当所で使用する 熱電対を補正する.また光高温計の較正のた めの標準ランプも整備されている. 自動指示記録熱天秤 (32年度) 各種金属の高温ガス反応による重量変化を自 動的に記録し,高温における金属表面の酸化 反応速度の研究に使用. 磁 気 天 秤 (32年度) 磁場15, 000Oeまで,測定温度196~1000℃ で諸物質の帯磁率を測定,自動記録するもの で粒度0.1mg 自記磁束計 高精度の積分回路分流器,記録計からなり, リング状又は棒状の強磁性体の磁気履歴曲線 を短時間に高精度で測定し自動記録させる. 電子スピン共鳴吸収装 置(ESR) (34年度) 糎波領域における分光分析装置である.その 対象とするエネルギーは10-3~10-10eVの領 域になるので,遷移元素を含む塩,格子欠陥, その他不純物中心,金属の自由電子等の不対 電子のふるまいを解析することができる.磁 場 1,5000gauss (max),測定周波数 X帯 (9. 39kMC), K帯(23.9kMC),試料温度 195 ~500℃ 放射線エネルギー分布 直記装置(32年度) 分解能2μS 化学分析設備 ガス分析装置 (32年度) 高周波炉使用真空溶融法および真空加熱法に より金属中のガスを抽出し,定容測圧法によ り分析を行なう. 酸素用 温度max. 2300℃,感度10-9g 水素用温度max. 1000℃,感度10-9g ガス分析装置 (35年度) ピラニゲージ測圧記録式.真空中で錫浴溶融 して金属中のガスを抽出し,そのガス圧をピ ラニゲージで測定し,記録する.全自動. 温度1000~1100℃ 高感度ポーラログラフ (34年度) 電子管式自動平衡方式,ゲート回路による矩 形波のみ取出して記録されるようにし,電解 電流のみを取出して分析精度が上昇するよう に特に設計してある. 不純物の定量能力10-8mole. ペックマン自記分光光 電光度計(31年度) DK-2型,測定可能波長範囲200~3000mμ. 残査分析装置 (31年度) シュトレーライン社.クリンガーコッホ方式 による電解法による非金属介在物その他の残 査成分の分離および塩素化法による酸化物分 離装置からなる. 微量元素分析装置 (33年度) ユニバーサル型.有機化合物中の炭素,酸素, 水素,窒素などを分析する. 微量炭素分析装置 (34年度) ヴェーストホッフ社.鉄鋼中に含有される炭 素をシリコニット炉を用い酸素気流中で燃焼 させて得た炭酸ガスを水酸化ナトリウムに吸 収させて,前後の電気伝導度の差違によって 鋼中の微量炭素量を高精度で定量する. 酸素分析装置 (35年度) レコー社,金属およびその酸化物中の酸素を 電導度測定方式によって定量分析する。特に 酸素を含みやすい純金属や酸素添加鋼または 酸化ニオブなどに含有する酸素の分析に有力 である. 温度 max. 2700℃,精度 ±0.0002%. Jaco発光分光分析器 (33年度) 普通鋼,軽合金鋼,銅合金の他,高合金鋼,耐 熱合金,稀土類元素,白金属元素などの複雑 なスペクトルを有し化学的に分離困難な元素 および純金属中の微量元素の分析を行なう. 電子管式分光分析装置 (34年度) カメカ.電子管式の発光分光分析器で,多種 成分元素の定量分析を行なう。操作が容易で 迅速分析を行なえる点ですぐれている. ガス分析装置 ガス分析装置 高感度ポー ロラグラフ Jaco発光分光分析器 電子管式分光分析装置 腐食試験設備 オートクレーブ用水還流装置 腐食状況検査装置 水素滲透量測定装置 高温高圧流水腐食試験装置 高温高圧腐食試験装置 (11台)(32, 33年度) アルミニウム合金,ステンレス鋼およびジル コニウム合金など,原子炉用金属材料の高温 純水(10-6Ω ・ cm)中で腐食試験を行なう. 材質304ステンレス鋼,白金内張,最高温度 400℃,最高圧力 400kg/cm2. オートクレーブ用水還 流装置(3台) (34年度) 高温純水中で各種金属材料を腐食試験する場 合に,純水をイオン交換樹脂を通して還流さ せ,常に自動的に一定の純度を保つことがで きる。 材質304ステンレス鋼 最大流量120cc/min,最高温度400℃, 最高圧力400kg/cm2. 高温高圧応力腐食試験 装置(33~34年度) 高温純水中の試験片に曲げ応力をかけたとき の腐食試験をする装置で試験片の変形量も測 定できる. 材質304ステンレス鋼 最大荷重25kg,最大変形検出量10mm, 最大温度400℃,最大圧力400kg/cm2. 腐食状況検査装置 (33年度) オートクレーブ中の高温純水による試験片の 腐食過程を外部から視察し得るとともに微速 度撮影を行なう。 材質304ステンレス鋼 最高温度300℃,最高圧力400kg/cm2. 水素滲透量測定装置 (34年度) 普通行なわれるような重量変化による方法で は連続的なデーターが得られず,しかも測定 精度があまり高くない.そこで本装置では原 子炉用金属材料のステンレス鋼,アルミニウ ム合金などをカプセル試片にし,内部に試験 液を入れて両端を密封して,真空容器中で加 熱すると試片の内壁の腐食により発生した水 素は壁を通して外部に拡散し,このときの真 空容器中の真空度変化から腐食率を連続的に 測定できるものである. 最高使用温度400℃,真空度10-4mmHg, 試片寸法内径4~5 mmφ, 肉厚0. 5~1mm, 長さ50mm . 高温高圧流水腐食試験 装置 (35年度) 高温純水をキャンドモーターポンプで還流さ せたときの試料の流水による腐食試験を行な う。 材質304Lステンレス鋼 常用使用温度320℃,常用使用圧力175 kg/cm2,流速12, 7, 4 m/sec. 炭酸ガス腐食試験装置 (33~35年度) 炭酸ガスは原子炉用冷却剤として使用される のでそれに用いられる材料の腐食を検討する ため高温高圧の炭酸ガスが,静止状態および 流速の与えた場合についての試験を行なう。 材質304ステンレス鋼 最高温度650℃,最高圧力300kg/cm2,最 大流量300ℓ/hr. 炭酸ガス腐食試験装置 低温実験設備 液体窒素製造装置 (35年度) 本機は極低温発生器に液体窒素製造用液化器 および空気を酸素と窒素に分離する精留塔を 付加して,大気中より窒素を分離,液化する. フィリップスPLN-106 液体窒素製造装置 (36年度) 本装置は極低温空気循環扇付液化器によって コールドボックス内に絶えず極低温の空気を 送り込み,温度を-180℃までの範囲で任意 に保持する。 フィリップスPGA105 低 温 装 置 (35年度) -80℃ アルコールバス低温槽 容積50ℓ. 磁気共振型引張圧縮疲 労試験機(35年度) 最大荷重振巾±300kg,繰り返し速さ3.5 kc/s,低温および真空中試験可能. 液体窒素製造装置 機械工作設備 6呎倣旋盤(32年度)昌連カザヌーブ HB-500型. 6呎 旋 盤(34年度)池貝A-18型, 大隈LS型. 4.5呎高速精密旋盤 (34年度) 島本ML 40A型. 4. 5呎旋盤(32~34年度)大隈LHA型4台 時計旋盤(33年度) シャウブリン70×275mm 形削盤(32~34年度) 大隈 7",16",24" 機械工作室 平面研削盤(32年度)岡本PSG-6 B型 円筒研削盤(33年度)豊田150 × 500mm 万能および工具研削盤 (32年度) 大隈GMA型 万能工具フライス盤 (32年度) フリードリッヒ・デッケル社 FP-1型 足踏シャー (32年度) 1000×2 mm(巾厚) 横フライス盤(33年度)日立精機#2 帯鋸盤(32年度)天田AMO-16型 油圧式高速度金切鋸盤 (32年度) 30 ~200mmφ 金 切 盤(32年度)150mmφ 超硬工具研摩盤(32年度)旭ダイヤモンド 直立ボール盤 (32~35年度) 振 540mm 放電切断機(33年度)加工物最大寸法300 × 500 × 380mm 油圧プレス(33年度)300ton ドリル研摩機(35年度) 藤田0.5DF,研摩範囲 ドリル 径3~13mm バイト研摩機(32年度)吉田WG-No. 120A型 センターリング・マシ ン (34年度) 大阪工作所SC900型 クランクプレス (32~33年度) 品川プレス12ton, 64mm 高速切断機(32年度)双葉 材料試験設備 2 ton万能疲労試験機 軸受耐久性試験機 熱疲労試験機 万能試験機 (32~35年度) 200ton―島津 油圧式リーレ型,荷重切換 200,100, 50, 20,10, 5ton,引張,圧縮, 曲げの各試験 50ton―東京衡機アムスラー型, 荷重切換 50, 25,10, 5 ton 30ton―オルセン型,荷重切換30,15, 6, 3 ton,高温試験装置が付属しているので, 200~1000℃の温度範囲で高温引張り試験が できる。 10ton―荷重切換10, 5, 2,1ton,高温試験 装置が付属しており,常温~800℃の範囲の 試験を行なう. 2 ton―荷重切換 2,1 ton, 500kg, 200~1000 ℃の温度範囲の高温引張装置付. 300kg―荷重切換300, 180, 60kg,応力弛 緩の状態の試験可能. 精密小型万能試験機 (32年度) アムスラー社シュベナール型 Mi34型―最大350kg,引張り,曲げ,剪断の 各試験. Mi44型―最大100kg,高温兼用,引張り,曲 げの各試験. カタサ試験機 (32~35年度) ビッカース,マイクロビッカース,ロックウ ェル,ブリネル,ウィルソン自動ロックウェ ル,明石自動ロックウェルの各試験機. 高温カタサ試験機 (32年度) ビッカース型,常用850℃. 衝撃試験機 (32年度) シャルピー型,30kg-m, 5 kg-m. 摩耗試験機 (34年度) 大越式迅速型1台,西原式1台 軸受耐久性試験機 (32~33年度) 堅型10台,106回/24時,接触圧max.500kg 捩��り試験機 (32~33年度) オルセン型電子管式300kg-m, オルセン型 50kg-m 高温捩��り試験機 (33年度) 6kg-m,最高1000℃,電子管式 回転曲げ疲労試験機 (33~34年度) 小野式 7 台,10kg-m, 750,1500, 3000 r.p.m. 捩��りおよび曲げ疲労試 験機 (34年度) シェンク式6台,4 kg-m, 3000c/min. 西原式1台,10kg-m, 2470c/min. 共振型曲げ疲労試験機 (34年度) 60kg/mm2, 100~300c/sec 高温疲労試験機 (35年度) クラウゼ型3台,10kg-m最高1000℃, 3000 ~10000c/min. 熱疲労試験機 (33年度) 最高850℃,試片通電加熱式,4~1c/hr. 万能疲労試験機 (33~35年度) パルセーターロウゼンハウゼン型,40 ton(動 的)~60ton(静的),330, 500, 660,1000 c/min. アムスラー社バイブロフォア型,10ton 3600~18000 c/min,高低温装置付(1000~- 70 ℃) ボールドウイン社-マルチレンジ型 2 ton, 1800c/min. クリープ試験機 (31~35年度) 3 ton-12台 クリープラプチャー試 験機(31~35年度) 5 ton- 3 台,3 ton-52台,300~1000℃ ラプチャー試験機 (31~35年度) 3 ton-5 台,1.5ton-42台,300~1000℃ 超高温クリープ試験機 (34年度) 6 ton-1台,1200~1300℃,真空,ガス雰囲 気炉付 雰囲気クリープ試験機 (35年度) 3 ton-1台,1000℃,試験雰囲気の調整可能 応力変動クリープ試験 機 (35年度) 1台,引張り応力0~2 ton,捩��り応力6 kg-m ~6 kg-m, 300 ~1000℃ 曲げクリープ試験機 (32, 33年度) 40kg-4 台,300~1000℃ 圧縮クリープ試験機 (32年度) 500kg- 2台,300~1000℃, NPL型および同 改良型 バネ型クリープ試験機 (31年度) 5 ton-1台,3000~1000℃ 工業用透過線装置 (32年度) ザイフェルト社,400kVP,有効最大透過厚 さ80mm (鋼) 特殊X線探傷装置 (35年度) 東芝60kVP イメージインテンシフ アイアー(33年度) ザイフェルト社,電源部ミュラー社, 150kVP,最大透過厚さ35mm (鋼) 超音波探傷器 (31~35年度) スペリー式1型 USF-5B改造型減衰器内蔵. ボールドウイン型万能疲労試験機 パ ル セ ー タ ー バイブルフォア型万能疲労試験機 C ス コ ー プ 渦流探傷機 超音波探傷Cスコープ 装置 (33年度) 水浸自動探傷警報および記録 超音波厚さ計 (34年度) UDM-4型,測定範囲0.4~150mm 磁粉探傷装置 (32年度) DC 6500A, AC 4500A 割れ深さ測定器 (34年度) カールドイツ社,最大測定深さ25mm 渦流探傷器 (34年度) メトロール社,ラダック 第三章建設業務 §まえがき §建設の経過(31年~36年) 改修工事 新築工事 まえがき 昭和31年7月に当所が発足した当時は,研究所建設用 敷地が未決定であったため,暫定的に科学技術庁内に仮 事務所を設置した。 その後大蔵省および防衛庁当局との了解がつき,旧海 軍技術研究所の一部敷地(約40,000m2),建物(約8, 90 0m2)の転用が決定した。昭和31年11月に移転を完了す ると同時に旧建物を実験室として使用するために必要な 内外の改修工事に着手した。 一方,硏究所建設整備5ケ年計画(後にケ7年計画に 修正)を策定し最終的には,設備費約21.5億円,所要建 物26,295m2の規模の近代的研究所整備を目標にして諸 計画の実行に着手した。 このため人員,設備の充実に即して,新研究庁舎の建 設が必要となり,まず昭和33年度にクリープ・精密測定 実験庁舎(2,146m2)の建設に着手した。 次いで昭和34年度に化学庁舎(2,112m2),昭和35年 度に溶接粉末冶金実験庁舎(2,560m2)など,昭和36年 度に加工冶金実験庁舎(1,983m2)などがそれぞれの目 的に応じた新庁舎が建設されている。 以下,その概要,特徴などについて述べる。 年度別施設整備面積 年度別施設整備費と総予算との比較 建設の経過 改修工事 旧海軍の研究所から終戦後は駐留軍管理となり 昭和31年度から当研究所のものとなったが旧建家 は改造修理しなければ使用不能の状態にあったの で,まずこれらの改修と同時に動脈ともいうべき 水道の主管を導入した。 なお改修工事は3カ年にわたって行なわれたの で,年度別にその経過をご紹介する。 年度別改修建物配置図 昭和31年度改修工事 初年度の改修工事としては守衛所,倉庫および木工場,非破壊試験場,溶解圧延実 験場,小型溶解加工実験場,材料試験場,機械工作場がある。 1)10号庁舎(守衛所) 以前から守衛所として使用されていたのでこれは単なる補修 にとどまった。 2) 20号庁舎(倉庫および木工場) 湯沸場および倉庫として使用されていたが,破損の度 合が激しく相当の改修費を要した。 〔おもな収容設備〕 自動鋸盤,角ノミ盤などがある。 3) 32号庁舎(非破壊試験場) 以前は倉庫として使用されていたのを研究室向きに,間 仕切新設など大改造を行なった。 特にX線を使用する部屋は障害防止のため鉛板(3mm ~6mm厚)で周囲をめぐらした。 〔おもな収容設備〕工業用透過X線装置,超音波探傷装 置,イメージインテンシファイア,渦流探傭器など。 4) 33号庁舎(溶解圧延実験場) 機関実験場として使用されていたが、建家の一部の間仕 切が不適当であったので、これの改造並びに階段の位置お よび傾斜がかんばしくなかったので新しく設けた。 又雨もりがひどくこれの修理をした。 〔おもな収容設備〕可逆式熱間冷間圧延機,高周波電気炉 など。 5) 23号庁舎(小型溶解加工実験場) 強電流研究場として使用されていた関係上,小部 屋が非常に多かったので、一部の間仕切の取りはず しおよび部分的修理を行なった。 〔おもな収容設備〕10Kg高周波真空溶解炉, l/10tonエアハンマー,真空アーク溶解炉など。 6) 24号庁舎(材料試験場) 魚雷動力研究場として使用されていたが駐留軍時 代には兵隊の宿舎(鉄筋コンクリート建部分)およ び食料貯蔵庫(鉄骨建部分)として使用されていた。 鉄筋コンクリート建部分は内装を施し,鉄骨平家 建部分は間仕切を取りはずして大部屋に改造した。 〔主な収容設備〕シェンク捩り曲げ試験機各種万 能疲労試験機(パルセーター,バイブロフォアな ど。) 7) 34号庁舎(機械工作場) 水力気力研究場として使用されてたので相当重量 物を扱ったらしく現在2階にはその当時のモノレー ルが残っている。(1階のモノレールは全部撤去) 工事は内程度にとどめ間仕切りの取りはずし新設 などは行なわなかった。 〔おもな収容設備〕シエーパー,フライス盤など。 昭和32年度改修工事 改修第2年度は初年度に実行出来なかった特高変電所を建設し(防衛庁予算),主 として電気設備工事を行なう予定であったが特高変電所の完成が遅れ,電気設備工事 は昭和33年度に繰越したので工事としては車庫,浴場およびボイラーの改修にとどま った。 1)16号庁舎(特高変電所) 渋谷変電所から22, 000Vで受けて3, 300Vに下 げるために1,000kVAのトランスを3台設置し, 最初に1台を予備にしていたが現在ではフル運転 している。 2)車 庫 現在の特高変電所に位置していた 関係で車庫の移改築を行なった。 3)浴 場 倉庫として使用されていたが,ボ イラーマン工員などの浴場が必要と なったので改造してこれに当てた。 4)ボイラー設備 旧海軍技研時代のもので,軍艦金剛のボイ ラーを転用している。 従って非常に旧式で当年度としては使用出 来る最小限度の修理を行なった。 昭和33年度改修工事 改修の最終年度に当るが,前年度の電気設備の繰越工事および熱処理実験場,トリ ウム実験場などの改修工事を行なっている。 1)電気設備工事 二年度にわたって行なわれた改修建家と新特高変電所との連絡工事を行なうと同時にトランスの不足 を補い,これに伴なう配線を行なった。 2) 33号庁舎(熱処理実験場) 動力および機関場として使用されていた関係で ゼネレーターなどの基礎が多く,これらの撤去工 事が主で,ほとんど内装工事を行なうことが出来 なかった。 〔おもな収容設備〕ゼンジミア20段冷間圧延機, ソルトバス,コイル焼鈍炉,渗炭窒化炉など。 3) 25号庁舎(トリウム実験場) 強電流研究場として使用されていたが,駐留軍 時代にスナックバーとして使用されていた関係 で,間仕切も大巾に変更し,又危険物を取扱うた め,換気および仕上材料については特に考慮を払 つた。 〔おもな収容設備〕小型電解槽,真空精製装 置など 4) 38号庁舎(食堂その他) 24号庁舎(クリープ,精密測定実験庁舎)の新 築に伴ない移改築した。 当建家は厚生施設関係に使用している。 新設工事 昭和33年度から新築工事を始めたが,それまでは改修された旧庁 舎に研究室が雑居している状態であった。研究の進捗��につれてなに かと支障が多く,同一系統の研究室を統合させて合理的研究体制を 確立するため新庁舎の建設が始められた。 年度別新設建物配置図 昭和33年度新築工事 24号庁舎(クリープ精密測定 実験庁舎) 当建物は国庫債務負担の関係で 昭和34年度にまたがって建設され たが,設計上特に留意した点を次 に挙げる ①建家の設計に当ってはドイツ のマックスプランク鉄鋼研究所お よび日立製作所中央研究所などを 参考にした。 ②年々拡張する研究所の関係上 研究室の使用内容の大巾変化に備 えてこれに充分対処出来るように 考慮した。 1)建物の概要 新築RC 4階建および改修RC平家建 設計床荷重,2階500kg/m2 3 ・ 4 階 350kg/m2 1階 2階 3階4階 2)設計上の特色 1.構 造 建物の主柱は建設費節約のため合理的な方法として,両端2列と中央に1列に配した。 従って廊下は中央より片側へ寄っている。 2.水平主配管垂直分岐方式 配線,配管の主系統を水平に引込み(2階廊下の下),これより 各スパンごとに垂直方向へ分岐させた方式で,これにより総延長 の節約を図り(約10%), 一分岐につながる室数を少なくして,系 統の休止による被害範囲を少なくし,部分的遮断が出来るように した。 3.サービスシャフトの設置 配線,配管(給排水,ガスも含む)はサービスシャフトにすべて露 出配管され,追加,補修,系路変更などの工事が迅速,かつ容易に行 なえる。 また,各実験室間の配線,配管にも利用出来るようにした。 サービスシャフトは廊下および室内の両方に開口扉をもつ。 4.実験室の標準化 実験室は研究内容の大巾変更に備えて固定することなく間 口 4 mの単位で標準化した。各室間の間仕切は可動パネルと し,大部屋としても使用出来るようにした。 床にはサービスシャフトに開口する配線ピットを設けた。 標準分電盤 { 3 相 200V 200A 単相3線 60A 予備(3相,単相いずれも 使用可能) 60A 標準配管,タウンガス,水道各種ガス用配管5系統(予定) 5.運搬系統の合理化 エレベーターについては各階廊下側出入口の外に,建物1 階の外壁に開閉扉を設けて重量物運搬の時,トラック床上から 直接にエレベーターに積み込めるようにした。 6.呼出表示装置の整備 100人を対象(2数字組合せ表示)とし,電話交換機のダイヤル8のバンクを利用する呼出装置を各室 と廊下その他に設置し,関係者以外の執務を防害するようなアナウンス方式をさけた。 呼出し,応答,会話はすべて手近かの構内電話を利用して行なうことが出来る。 7.その他 ① 照明は200ルックスを標準とし,蛍光灯は温白色(3500°K)のものを採用した。 ② 階段は緩傾斜にし,すべり止めには合成樹脂系のものを採用した。 ③窓枠にアルミニウムを用いてエアタイトにした。また窓に沿ってデコラ張のカウンターを 設け,その下にベースボードヒーターを置けるように考慮した。 ④ 部屋の出入口扉に,掲示板と黒板の機能を持たせた。 ⑤ 床材にはビニタイルを使用した。 3)特殊設備 1.自家発電設備 クリープ試験は長時間にわたり測定を行なうので,停電に よる被害を防止するため本設備を設けた。 仕様:ディーゼルエンジン1台(8気筒,4サイクル,無 気噴射式,軸馬力750㏋,回転数600r.p.m)出力 3 相,2,300V50〓, 625KVA 2.空気調整設備 クリープ試験に対する恒温と精密測定機器の湿度調整を主眼に置いて設備を施した。 (イ)クリープ試験関係(1階) クリープ試験機台数は年々増加し7ヵ年計画の最終年度に あたる。昭和37年度には約250台になるので,この最終台数 を考慮に入れて冷凍機の容量を決し,冷却方式としては,冷 水によるユニットクーラー方式を採用した。 なお新鮮な空気はダクトで送り込んでいる。 温度条件夏冬27℃±=1℃ (ロ)精密測定機器(2階) 精密測定機械のうち輸入品が多く含まれているので湿度による影響が大きく,また日本製のものでも 湿度の影響を受ける機器が多いので,2階は湿度調整に主眼 を置き,南面と北面の二系統に分けて調整し,その上建物の 両端はアネモで吹いて補足した。 仕様:湿度条件 夏冬50%±5% 温度条件 夏 25℃± 2 ℃ 冬 18℃± 2 ℃ 3.直流電源装置 精密測定機器で弾動検流計式磁束計,シオフィー型磁束計 などの直流電源として,整流による直流では不安定なので,安定性のあるバッテリーを直流電源とし た。バッテリー 2 Vを55個設置して,10, 30, 50, 80,110Vの電源が簡単に端子の切替えで得られる ようになっている。 4.昇降機設備 仕様:荷物用,自動押釦式,積載重量2 ton籠の内寸法奥行1,550mm,間口1,730mm,高さ2, 40 0mm。非常時の連絡用に,籠の壁面に構内電話器を取付けた。 〔おもな収容設備〕クリープ試験機約130台,物理測定関係装置(電子顕微鏡,全相顕微鏡,GEのX 線回折装置,電子共鳴収装置など) 昭和34年度新築工事 30号庁舎(化学実験庁舎) 設計上特に留意した点は,24号庁舎とほとんど 変わりは無いが,研究内容から水を多量に使用す る点を考慮して改良を加えた。 1階 2階 3階 4階 1)建物の概要 新築RC 4階建 設計床荷重,各階共350kg/m2 2)設計上の特色 24号庁舎と異なる点,および改良を加えた部分 のみをここに列挙する。 1.室内に配線 配管をする場合床 に露出させぬよう に硬質塩化ビニー ルパイ プを埋め込 み,パイプの取出 し口を室内に3ヵ 所設け,配線・配 管はこのパイプを 通して所定の所へ ひき出している。 2.床材に耐酸,耐アルカリのロン リウム長尺物を使用し目地は溶接し た。 3.サービスシャフトを利用して, ドラフトの排気ダクトを屋上に持っ て行った。 普通ドラフトの排気ダクトなどは 部屋の内部を通して屋上に持って, 行くが,本庁舎においてはサーヴィ スシャフトに排気ダクトを内蔵した。 4. シールドルームの設置 高感度機器室および高周波を発生する 部屋にはシールド(1mm亜鉛鍍鉄線11/2" の目にした亀甲鋼を使用)を施した。 5.天秤台は防振構造とした。 天秤は振動を嫌うので床および作業机と縁 を切る構造とした。 本庁舎は研究内容から部屋の換気,ドラフトの排気に重点を置き,屋上に総合的な排気設備を設け た。 排気設備 一般実験室は4回/h,トレーサー実験室は10回 /hで換気,またドラフトは4回/mimの割で換気 するため屋上に排風機を設けてある。 排風機仕様 1,330m3/h SP25mm 1/2㏋ 9 台 1,500m3/h SP22mm 1/2㏋ 3 台 1,750m3/h SP22mm 1/2㏋ 1台 2,000m3/h SP22mm 1/2㏋ 2 台 〔おもな収容設備〕動水腐食試験装置,真空蒸 着装置,ベックマン自記分光光電光度計など各種 化学分析関係装置。 昭和35年度新築工事 建設計画もようやく軌道に乗り昭和35年度は溶接粉末冶金実験庁舎溶解圧延実験場 低温実験場の新設を行なった。 30号庁舎(溶接・粉末冶金実験庁舎) 設計上留意した点はこれまで新築された建物同 様の考え方で進んだが,サービス・シャフトによ るスペースがあまりにも大きく,特に小スパンの 部屋の面積を取られると,実験にも影響を来たす ので思い切ってサービス・シャフトを小さくし電 線のみを内蔵させた。 1)建物の概要 R C4階建および鉄骨平家建 設計床荷重 2階700kg/m2 3 階500kg/m2 4 階350kg/m2 1階 2階 3階 4階 2)設計上の特色 1.クリープ・精密測定実験庁舎および化学実験庁舎では給排水・ ガス系統全部を内蔵させたが,サービス・シャフトの占める面積が 過大であったので電気系統のみを内蔵し他は個々に配管した。(R C 4階建) 2.設計床荷重を充分に取った。 溶接関係機器は重量物が多く,原則として大荷重のものは1階に 設置したが,面積の関係で2階,3階にも設置せねばならないので 他の新築した研究庁舎より各階の床荷重を大きく取った。(RC 4 階建) 3.特殊間仕切の設置 鉄骨平家においては材料搬入後切断から溶接に至る一 貫作業を行なう 関係で, 切断作業場と溶接作業場(特に 抵抗溶接)との間は必要であるが,クレーンは両作業場 で共用せねばならないため,クレーンの主桁にプレート を取付けて,これを間仕切の一部になるように考慮した。 3)特殊設備 1.フレキシブル排気装置(6台) 溶接時に発生するガスを除去するための装置で,長さ5mの吸気 ダクトをフレキシブルにして使用範囲の増大を図った。 排風機の仕様 風量13m3/mim,静圧150mm,回転数3,100 r. p. m,電動機 0.75KW (1B㏋,駆動方式VベルトA型2本 2.圧搾空気設備 抵抗溶接の場合の圧着用動力源として,また熱疲労試験の熱風吹付用として特にこの設備を設けた。 圧縮機仕様出力55kW (75㏋),気筒数3 ,圧力7kg/cm2 3.天井走行クレーン設備 巻上荷重 2 ton,揚程 6, 000mm,径間12m,走行速度20m /min,横行速度10m/min,巻上速度2 m/min 4.昇降機設備 荷物人員兼用,自動押釦式 積載重量1,500kg,速度30m/min,籠の内寸法:奥行2, 050mm, 間口 1,750mm,高さ 2,160mm 非常時の連絡用として,籠の壁面に構内電話器を取付けた。 〔おもな収容設備〕 粉末冶金関係装置,熱サイクル再現装置,CCT装置,真空溶接分装置など溶接関係装置 36号庁舎(溶解圧延実験場) 設計上特に留意した点は,将来計画もあるので,これ に充分対応できるように配慮した。 建家としては22号庁舎と同様とし,将来2方向に増築 できるように設計した。 1)建物の概要 鉄骨造平家建 工期35. 5~35.10 2)設計上の特色 1.採光面積を充分に取った。 窓を二段に設け,下部は硝子,上部はポリエステルを 用いて採光に特別の配慮を払った。 2.鉄骨山型ラーメンを採用し,小屋組を軽量にした。 3.その他 (イ) 照明は水銀灯および白色灯を併用し,200ルッ クスの明るさとした。 従って夜間作業において照明による支障は無いとい って良い。 (ロ)エルー式電気炉の基礎に対しては,特に精度が 必要でこれに細心の注意を払った。 3)特殊設備 天井走行クレーン設備 主巻上荷重5ton (補巻上荷重2ton) 揚程 8, 000mm,径間11,490mm,走行速度 40m/min, 横行速度20m/min,主巻上速度10m/min (補巻上速度 6m/min 〔おもな収容設備〕2tonエルー式電気弧光炉および連 続焼鈍炉 26号庁舎(低温実験場) 低温度における金属材料の諸性質の向 上および金属物理の基礎的諸問題の研究 のために設置された。 1)建物の概要 RC平家建 工期35.10~36.5 2)設計上の特色 1.凍上防止を充分考慮した. 低温室は一般に凍上が,問題になって いるがこれの防止に関する定説はなく, 本庁舎は低温室の床を二重造とし直接地 盤に温度が伝達しないように考慮した。 2.熱効率を特に注意した。 低温室を建家に内蔵し,外気および直 射日光の影響を最小限にとどめた。 3)特殊設備 冷凍機 低温室の心臓ともいうべき冷凍機は本庁舎に4台内蔵し,総出力は230㏋となっている。4台の うち1台はR―13専用で,他の3台はR―22を冷媒として用いている(共用) 〔A 室〕-50℃-80℃ R―13を冷媒として55 kWの冷凍機1台と,これの凝縮用としてR―22を冷媒とした冷凍機2台 (高圧側55kw1台,低圧側37kW1台)の計3台を併用した2段圧縮並びに2元冷凍方式を採用 している。 〔B 室〕-20℃ ~-50℃ R―22を冷媒とした冷凍機2台(高圧側55kW1台)低圧側1台)を併用した2段圧縮方式を採用 している。 〔C室〕0℃~ - 20℃ R―22を冷媒とした冷凍機55kW1台で1段圧縮方式を採用している。 〔おもな収容設備〕シャルピー試験機,窒素液化装置,ヘリウム液化装置(予定)など 昭和36年度 建設6年目に当たるが,工事内容としては次のようなものがある。 加工冶金実験庁舎(1,983m2),非鉄実験場(397m2),腐食実験庁舎(1, 280m2),その他付帯工事, 原子力関係建物,R1実験場(376m2)ベリリウム実験場(133m2) 昭和37年度予定 建設整備7カ年計画の最終年度には,次の庁舎の新設および増築を予定している。 すなわち,管理庁舎,βトロン実験場の新設,溶解圧延実験場,非鉄実験場,RI実験場などの増 築を予定している。 以上今までの経過の大要を紹介したが当所の建設計画が軌道に乗っていることは,大蔵省の深い ご理解と,本庁並びに建設省その他の協力によるものであり関係者各位に心より深く感謝の意を表 する次第である。 付録・参考資料 §関係法規 科学技術庁設置法(抜すい) 金属材料技術研究所組織規則 金属材料技術研究所事務分掌規程 科学技術庁受託研究規程 金属材料技術研究所研究実施手続規定 金属材料技術研究所放射線障害予防規定 §昭和36年度研究計画 §研究発表論文項目表(和文および欧文,その他) §五年間の行事記録 関 係 法 規 科学技術庁設置法(抜すい) 第16条 科学技術庁に付属機関として次の機関を置く。 航空技術研究所 金属材料技術研究所 放射線医学総合研究所 第18条 金属材料技術研究所は,金属材料その他これに類する材料の品質の改善を図るために 必要な研究を行う機関とする。 2.金属材料技術研究所は,東京都に置く。 3.金属材料技術研究所の内部組織は総理府令で定める。 金属材料技術研究所組織規則 (昭和31年6月30日 総理府令第55号 ) 改正 昭和34年3月31日 総理府令第16号(一) 昭和35年3月28日 総理府令第14号(二) 昭和36年4月1日 総理府令第12号(三) 科学技術庁設置法(昭和31年法律第49号)第18条第3項の規定に基づき金属材料技術研究所 組織規則を次のように定める。 金属材料技術研究所組織規則 第1条 金属材料技術研究所に,次の10部を置く。(一),(二),(三) 管理部 第1部 第2部 第3部 第4部 第5部(一) 第6部(一) 第7部(二) 第8部(三) 第9部(三) 第2条 管理部に,次の3課を置く。(三) 庶務課 企画課 技術課(三) 第3条 管理部庶務課においては,次の業務をつかさどる。 1機密に関すること。 2 人事に関すること。 3 所長の官印及び所印の保管に関すること。 4公文書類の接受,発送,編集及び保存に関すること。 5 職員の福利厚生に関すること。 6 予算,決算及び会計並びに会計の監査に関すること。 7 行政財産及び物品の管理に関すること。 8営繕に関すること。 9 前各号に掲げるもののほか,他部及び他課の所掌に属しない業務に関すること。 第4条 管理部企画課においては,次の業務をつかさどる。 1 金属材料及びこれに類する材料(以下「金属材料等」という。)の研究及び試験等の総合 調整及び企画に関すること。 2金属材料等の研究又は試験の委託の事務に関すること。(一) 3 金属材料等の研究又は試験に係る施設又は設備の貸与の方針の企画に関すること。(一) 4金属材料等の国有特許等の事務に関すること。(一) 5金属材料等の研究及び試験に必要な技術資資料の調査,収集,編集,刊行及び保管に関 すること。 ( 一) 第4条の2管理部技術課においては,次の業務をつかさどる。(三) 1 金属材料等に関する研究及び試験に関する施設及び設備(放射性同位元素の利用に関す る研究及び試験に関する施設及び設備を除く。)の予防保全に関すること。 2 金属材料等に関する技術についての相談に関すること。 3 金属材料等に関する研究及び試験に必要な工作並びにこれに関する施設及び設備に関す ること。 第5条 第1部においては,次の業務(第5部及び第9部の所掌に属するものを除く。以下次 条から第8条まで並びに第11条及び第12条において同じ。)をつかさどる。(一)(二)(三) 1 金属材料等の溶解,鋳造及び熱処理に関する研究及び試験(第7部の所掌に属するもの を除く。)に関すること。(一)(二)(三) 2 金属材料等の溶解,鋳造及び熱処理に関する研究及び試験(第7部の所掌に属するもの を除く。)のための施設及び設備に関すること。(一)(二)(三) 3 前各号に掲げる事項に関する調査に関すること。 第6条 第2部においては,次の業務をつかさどる。 1金属材料等の加工及び粉末冶金並びに物理的性質に関する研究及び試験に関すること。 (一)(二)(三) 2 金属材料等の加工及び粉末冶金並びに物理的性質に関する研究及び試験のための施設及 び設備に関すること。(一)(二) 3 前各号に掲げる事項に関する調査に関すること。 第7条 第3部においては,次の業務をつかさどる。 1 金属材料等の表面処理及び化学的性質に関する研究及び試験に関すること。(一) 2金属材料等の表面処理及び化学的性質に関する研究及び試験のための施設及び設備に関 すること。(一) 3金属材料等の分析並びにこれに関する施設及び設備に関すること。(一) 4 前各号に掲げる事項に関する調査に関すること。(一) 第8条 第4部においては,次の業務をつかさどる。 1 金属材料等の破壊検査,非破壊検査及び工業化に関する研究及び試験に関すること。(一) 2 金属材料等の破壊検査,非破壊検査及び工業化に関する研究及び試験のための施設及び 設備に関すること。(一) 3 前各号に掲げる事項に関する調査に関すること。(一)(三) 第9条 第5部においては,次の業務をつかさどる。(一) 1 金属材料等の腐食,防食及び特殊の冶金に関する研究及び試験に関すること。 2金属材料等の腐食,防食及び特殊の冶金に関する研究及び試験のための施設及び設備に 関すること。 3特殊の構造用金属材料等に関する研究及び試験(腐食,防食及び溶接に係るものを除 く。)並びにこれらに関する施設及び設備に関すること。 4金属材料等に関する研究及び試験に係る放射性同位元素の利用に関する研究及び試験並 びにこれらに関する施設及び設備に関すること。(三) 5 前各号に掲げる事項に関する調査に関すること。(三) 第10条 第6部においては,次の業務をつかさどる。(一) 1 金属材料等の溶接に関する研究及び試験に関すること。 2 金属材料等の溶接に関する研究及び試験のための施設及び設備に関すること。 3 前各号に掲げる事項に関する調査に関すること。 第11条 第7部においては,次の業務をつかさどる。(一) 1 非鉄金属材料の溶解,鋳造及び熱処理に関する研究及び試験に関すること。(三) 2非鉄金属材料の溶解,鋳造及び熱処理に関する研究及び試験のための施設及び設備に関 すること。(三) 3 前各号に掲げる事項に関する調査に関すること。 第12条 第8部においては,次の業務をつかさどる。(三) 1 金属材料等の製錬に関する研究及び試験に関すること。 2金属材料等の製錬に関する研究及び試験のための施設及び設備に関すること。 3 前各号に掲げる事項に関する調査に関すること。 第13条 第9部においては,次の業務(第5部及び第6部の所掌に属するものを除く。)をつか さどる。(三) 1電気磁気用金属材料等に関する研究及び試験に関すること。 2電気磁気用金属材料等に関する研究及び試験のための施設及び設備に関すること。 3 前各号に掲げる事項に関する調査に関すること。 第14条 金属材料技術研究所に所長を置く。(一)(二)(三) 2 所長は所務を掌理し所属職員を監督する。 第15条 金属材料技術研究所の部に部長,課に課長を置く。(一)(二)(三) 2 部長は所長の命を受け,部務を掌理する。 3 課長は部長の命を受け,課務を掌理する。 附則 この府令は,昭和31年7月1日から施行する。 附 則(昭和34年3月31日総理府令第16号)(一) この府令は,昭和34年4月1日から施行する。 附 則(昭和35年3月28日総理府令第14号)(三) この府令は,昭和35年4月1日から施行する。 附 則(昭和36年4月1日総理府令第12号)(三) この府令は,昭和36年4月1日から施行する。 金属材料技術研究所事務分掌規程 (目的) 第1条この規程は,科学技術庁事務分掌規程第 23条の規定に基づき,金属材料技術研究所の各 部及び各課の事務分掌について定めることを目 的とする。(二) (庶務課) 第2条管理部庶務課に,庶務係,人事係,厚生 係,予算係,収支係,給与係,契約係,物品係 及び営繕係を置く。(二)(三) 2庶務係においては,次の業務をつかさどる。 (1)機密に関すること。 (2)所長の公印及び所印の保管に関すること。 (3)公文書類の接受,発送,編集及び保存に関 すること。 (4)職員の出張に関すること。(二) (5)庁中の取締に関すること。(二) (6)課の庶務に関すること。(二) (7)その他他部,他課及び課の他の係の所掌に 属しない業務に関すること。(二) 3人事係においては,職員の任免,給与,職階, 懲戒分限,服務,試験その他の人事並びに教 養及び訓練に関する業務をつかさどる。 4厚生係においては,次の業務をつかさどる。 (二) (1)職員の厚生保健に関すること。 (2)共済組合に関すること。 (3)公務員宿舎に関すること。 5予算係においては,次の業務をつかさどる。 (二) (1)予算の編成及び実行計画に関すること。 (2)支出負担行為及び支払計画の立案に関する こと。 (3)支出負担行為の確認及び会計の監査に関す ること。 (4)その他予算に関すること。 6収支係においては,次の業務をつかさどる。 (二) (1)歳入の調定及び収納に関すること。 (2)小切手の振出及び支払に関すること。 (3)歳入歳出の決算に関すること。 (4)計算証明に関すること。 7給与係においては,職員の給与,旅費等の支 払に関する業務をつかさどる。(三) 8契約係においては,物品の調達,役務の契約 等の支出負担行為に関する業務をつかさど る。(二) 9物品係においては,次の業務をつかさどる。 (二) (1)物品の需給計画及び運用計画に関するこ と。 (2)物品の取得,保管,供用及び処分に関する こと。 10営繕係においては,国有財産の管理及び営繕 に関する業務をつかさどる。(二) (企画課) 第3条 管理部企画課に企画係,調整係,調査係 及び図書係を置く。 2企画係においては,次の業務をつかさどる。 (1)研究及び試験の総合調整並びに企画及び立 案に関すること。 (2)研究及び試験の受託に関すること。 (3)研究及び試験に係る施設又は設備の貸与の 方針に関すること。 (4)課の庶務に関すること。 (5)その他課の他の係の所掌に属しない業務に 関すること。 3調整係においては,次の業務をつかさどる。 (1)研究及び試験の実施に関する調整に関する こと。 (2)各種会議,委員会等の運営に関すること。 4調査係においては,次の業務をつかさどる。 (1)研究及び試験に関する統計に関すること。 (2)技術資料の調査に関すること。 (3)国有特許等の事務に関すること。 (4)研究及び試験に関する広報並びに技術資料 に関する刊行に関すること。 5図書係においては,図書,文献,資料等の収 集,整理及び保管に関する業務をつかさどる。 (技術課) 第3条の2管理部技術課に,技術第1係,技術 第2係,及び工作係を置く。(三) 2技術第1係においては,次の業務をつかさど る。 (1)金属材料等に関する研究及び試験に関する 施設及び設備の予防保全の企画に関するこ と。 (2)金属材料等に関する技術についての相談に 関すること。 (3)課の庶務に関すること。 (4)その他課の他の係の所掌に属しない業務に 関すること。 3技術第2係においては,金属材料等に関する 研究及び試験に関する施設及び設備の予防保全 の実施に関する業務をつかさどる。 4工作係においては,金属材料等に関する研究 及び試験に必要な工作並びに工作のための施設 及び設備に関する業務をつかさどる。 (課長補佐) 第4条 各課に課長補佐を置く。 2課長補佐は,上司の命を受け課の所掌業務に つき課長を補佐する。 (係長) 第5条 各係に係長を置く。 2係長は,上司の命を受け係の所掌業務をつか さどる。 (第1部) 第6条 第1部に鉄鋼研究室,鋳造研究室,熱処 理研究室,特殊鋼研究室及び耐熱合金研究室を 置く。(二)(三) 2鉄鋼研究室においては,金属材料等の溶解に 関する研究,試験,施設及び設備並びに調査に 関する業務をつかさどる。(二)(三) 3鋳造研究室においては,金属材料等の鋳造に 関する研究,試験,施設及びに設備並びに調査 に関する業務をつかさどる。(二)(三) 4熱処理研究室においては,金属材料等の熱処 理に関する研究,試験,施設及び設備並びに調 査に関する業務をつかさどる。(二)(三) 5特殊鋼研究室においては,特殊鋼に関する研 究,試験,施設及び設備並びに調査に関する業 務をつかさどる。(三) 6耐熱合金研究室においては,耐熱合金に関す る研究,試験,施設及び設備並びに調査に関す る業務をつかさどる。(二)(三) (第2部) 第7条 第2部に,加工研究室,金属物理研究 室,物理冶金研究室,粉末冶金研究室を置く。 (二)(三) 2加工研究室においては,金属材料等の加工に 関する研究,試験,施設及び設備並びに調査に 関する業務をつかさどる。 3金属物理研究室においては,金属材料等の物 性に関する研究,試験,施設及び設備並びに調 査に関する業務をつかさどる。(三) 4物理冶金研究室においては,金属材料等の製 造冶金の物理的機構に関する研究,試験,施設 及び設備並びに調査に関する業務をつかさど る。(二)(三) 5粉末冶金研究室においては,粉末冶金に関す る研究,試験,施設及び設備並びに調査に関す る業務をつかさどる。(二)(三) (第3部) 第8条 第3部に,分析化学研究室,金属化学研 究室及び表面化学研究室並びに分析室を置く。 (三) 2分析化学研究室においては,金属材料等の分 析に関する研究,試験,施設及び設備並びに調 査に関する業務をつかさどる。 3金属化学研究室においては,金属材料等の化 学的性質に関する研究,試験,施設及び設備並 びに調査に関する業務をつかさどる。(三) 4表面化学研究室においては,金属材料等の表 面処理等表面化学に関する研究,試験,施設及 び設備並びに調査に関する業務をつかさどる。 5分析室においは,金属材料等の分析並びにこ れらの施設及び設備に関する業務をつかさど る。 (第4部) 第9条 第4部に,工業化研究室,材料強度研究 室及び非破壊検査研究室を置く。 2工業化研究室においては,金属材料等の工業 化に関する研究,試験,施設及び設備並びに調 査に関する業務をつかさどる。 3材料強度研究室においては,金属材料等の強 度に関する研究,試験,施設及び設備並びに調 査に関する業務をつかさどる。 4非破壊検査研究室においては,金属材料等の 非破壊検査に関する研究,試験,施設及び設備 並びに調査に関する業務をつかさどる。 (第5部) 第10条 第5部に,腐食研究室,特殊冶金研究 室,原子炉構造材料研究室及びアイソトープ利 用研究室を置く。(二)(三) 2腐食研究室においては,金属材料等の腐食, 侵食及び防食等に関する研究,試験,施設及び 設備並びに調査に関する業務をつかさどる。 3特殊冶金研究室においては,トリウム,リチ ウム等の特殊の金属の冶金に関する研究,試験 施設及び設備並びに調査に関する業務をつかさ どる。 4原子炉構造材料研究室においては,原子炉用 構造金属材料等その他の特殊の構造用金属材料 等に関する研究,試験,施設及び設備並びに調 査に関する業務をつかさどる。 5アイソトープ利用研究室においては,金属材 料等に関する研究及び試験に係る放射性同位元 素の利用に関する研究,試験,施設及び設備並 びに調査に関する業務をつかさどる。(三) (第6部) 第11条 第6部に,融接材料研究室,圧接材料研 究室及び特殊溶接材料研究室を置く。(二)(三) 2融接材料研究室においては,金属材料等の溶 融溶接に関する研究,試験,施設及び設備並び に調査に関する業務をつかさどる。(二) 3圧接材料研究室においては,金属材料等の加 圧溶接に関する研究,試験,施設及び設備並び に調査に関する業務をつかさどる。(二)(三) 4特殊溶接材料研究室においては,金属材料等 の特殊な溶接に関する研究,試験,施設及び設 備並びに調査に関する業務をつかさどる。 (二)(三) (第7部) 第12条第7部に,非鉄金属研究室,軽合金研究 室及び希有金属研究室を置く。(二)(三) 2非鉄金属研究室においては,非鉄金属の溶解, 鋳造及び熱処理に関する研究,試験,施設及び 設備並びに調査に関する業務をつかさどる。 (三) 3軽合金研究室においては,アルミニウム,マ グネシウム等の軽合金材料に関する研究,試験, 施設及び設備並びに調査に関する業務をつかさ どる。 4希有金属研究室においては,希有金属に関す る研究,試験,施設及び設備並びに調査に関す る業務をつかさどる。 (第8部) 第13条 第8部に,鉄製錬研究室及び非鉄製錬研 究室を置く。(三) 2鉄製錬研究室においては,金属材料等(非鉄 金属材料を除く。)の製錬に関する研究,試験, 施設及び設備並びに調査に関する業務をつかさ どる。 3非鉄製錬研究室においては,非鉄金属材料の 製錬に関する研究,試験,施設及び設備並びに 調査に関する業務をつかさどる。 (第9部) 第14条 第9部に,磁性材料研究室,高純度金属 研究室,金属間化合物研究室及び酸化金属研究 室を置く。(三) 2磁性材料研究室においては,磁性材料その他 の電子工業に関する金属材料等に関する研究, 試験,施設及び設備並びに調査に関する業務を つかさどる。 3高純度金属研究室においては,高純度金属に 関する研究,試験,施設及び設備並びに調査に 関する業務をつかさどる。 4金属間化合物研究室においては,金属間化合 物に関する研究,試験,施設及び設備並びに調 査に関する業務をつかさどる。 5酸化金属研究室においては,酸化金属に関す る研究,試験,施設及び設備並びに調査に関す る業務をつかさどる。 (研究室長等) 第15条 各部(管理部を除く。)の研究室に研究 室長を,分析室に分析室長を置く。(二)(三) 2研究室長及び分析室長は,上司の命を受け研 究室及び分析室の所掌業務をつかさどる。 (二)(三) (主任研究官) 第16条各部(管理部を除く。)に,主任研究官 を置く。(一)(二)(三) 2主任研究官は,上可の命を受け,特定の研究 課題について研究の指導及び管理を行う。 附則 1この規程は,昭和34年4月16日から施行し昭 和34年4月1日から適用する。 2金属材料技術研究所事務分掌規程(昭和33年 4月1日施行)は,廃止する。 附 則(昭和35年3月15日所長達第1号) (一) この規程は,昭和35年3月15日から施行し, 昭和34年10月1日から適用する。 附 則(昭和35年4月1日所長達第2号) (二) この規程は,昭和35年4月1日から施行する。 附 則(昭和36年4月1日所長達第1号) (三) この規程は,昭和36年4月1日から施行する。 科学技術庁受託研究規程 科学技術庁訓令第36号 科学技術庁受託研究規程を次のように定める。 昭和36年6月13日 科学技術庁長官 池田正之輔 科学技術庁受託研究規程 (目 的) 第1条 この規程は,科学技術庁に附属する研究所(以下「研究所」という。)が,その所掌 事務に属する研究及び試験並びにこれらに伴う技術的調査(以下「研究」という。)を受託 する場合の手続その他必要な事項を規定することを目的とする。 (申請書の提出) 第2条 研究所の長(以下「所長」という。)は,研究所に研究を委託しようとする者がある ときは,その者に別記様式による研究委託申請書を提出させるものとする。 (受託契約) 第3条 所長は,前条の研究委託申請書の提出があつた場合において,受託することを適当と 認めるときは,受託しようとする研究につき,委託者と研究の受託に関する契約,(以下「受 託契約」という。)を締結するものとする。 2 所長は,委託者と受託契約を締結しようとするときは,あらかじめその旨を契約書の案を 添えて科学技術庁長官(以下「長官」という。)に届け出るものとする。 3 前項の規定は,受託契約を変更する場合に準用する。 (受託研究の終了等の報告) 第4条 所長は,受託研究が終了し,又はこれを打ち切り若しくは延期したときは,その旨を 長官に報告するものとする。 (研究結果の公表) 第5条 所長は,受託研究が終了し,又はこれを打ち切ったときは,遅滞なく,受託研究の結 果を公表するものとする。ただし,所長が委託者の業務上の秘密に属すると認める部分につ いてはこの限りでない。 別記様式 研究委託申請書 年 月 日 金属材料技術研究所長殿 申請者 住所 氏名(名称及び代表者の氏名)印 下記により研究を委託したいので申請します。 記 1.研究の題目 2.研究の目的及び内容 3.研究の実施期間についての希望 4.研究用資材及び設備の提供についての希望 5.研究補助者の派遣についての希望 6.その他研究の実施についての希望 7.添付書類の名称 金属材料技術研究所研究実施手続規定 昭和35年12月15日 所長達第10号 (目的) 第1条 この規定は,研究実施の手続に関する事項を定め,統一ある研究計画を決定し,研究 実施中にたえず研究の進捗��状況の把握と研究成果の評価を行い,もって研究機能の充分な発 揮をはかることを目的とする。 (適用) 第2条 この規定は,一般研究,特別研究,原子力関係研究,所外との共同研究,受託研究お よび試験,その他当所で実施する研究(以下研究という。)ならびに依頼作業に適用する。 (研究計画の決定) 第3条 次年度に研究しようとするテーマについて,研究担当者(以下担当者という。)は研 究実施願」(様式1)および「研究予算要求説明書」(様式2)を,年度開始の2カ月前ま でに所長に提出し,その承認を得なければならない。 2.年度の中途より実施する研究については,前項の規定に準ずる。 (研究経過月間報告) 第4条 研究の進捗��状況について,担当者は「研究経過月間報告カード」(様式3)を,原則 として各月終了後1週間以内に所長に提出しなければならない。 但し,やむを得ない理由により,前月に比して研究がほとんど進捗��していない場合は,2カ 月を限度として報告の提出を延期することが出来る。 (依頼作業月間報告) 第5条 依頼作業の処理状況について,その担当者は「依頼作業月間報告カード」(様式4) を各月終了後1週間以内に所長に提出しなければならない。 (研究状況中間報告) 第6条 研究実施中において,研究が一段階を画し,次の段階に移る場合は「研究状況中間報 告カード」(様式5)を所長に提出し,その承認を受けなければならない。 但し,前項の規定による承認を受けた場合は,その月の「研究経過月間報告カード」を提 出する必要はない。 (研究終了報告) 第7条 研究終了と同時に,担当者は「研究終了報告カード」(様式6)を所長に提出し,そ の承認を受けなければな らない。 (研究計画の変更および中止) 第8条 研究計画を中途で変更(担当者の変更を含む。)もしくは中止しようとするときは,担 当者は事前に「研究計画変更願」(様式7)もしくは「研究計画中止願」(様式7)を所長 に提出し,その承認を受けなければならない。 (事務担当) 第9条 この規定に関する事務は企画課が担当する。 附則 この規定は昭和35年12月15日より施行する。 (様式1表) 研究実施願 決 裁 欄 所 長 管理部 研究部 提出年月 中止・変更・継続 ・終了年月 ※ 下記により研究を実施したいので承認を願います。 記 ※テーマ番号 テーマ名 仮称 正 式 名※ 研 究 担 当 者 研究 室名 補助研究 者氏名 氏名 印 共同研究 者氏名 研究目的 研究内容 研究期間 所 見 1.※印は決定後記入する。 2.研究目的は研究が長期にわたる場合は,長期目標をも記入する。 (様式1裏) ※ 研 究 費 予定金額 実行金額 既存主要 設 備 備 品 費 消耗 品費 計 ※ 新規購入 設 備 研究業務 予 定 前年度 における 進捗��概況 注※印は記入しないで下さい。 (様式2) 研究予算要求説明書 要求総額 円 テーマ名 備 品 費 要求 消 耗 品 費 要求 ※予定 ※予定 (内訳) (内訳) 要 求 基 本 設 備 注※印は記入しないで下さい。 (様式3) 研究経過月間報告カード( 月) 捺 印 欄 所長 管理部 研究部 テーマ番号 テーマ名 研究担当者名 印 実験計画 実験経過 考 察 今 後 の 方 針 備 考 所 見 (様式4) 依頼作業月間報告カード( 月) 捺 印 欄 所長 管理部 研究部 所 属 名 担当者名 印 依頼作業お よびその 件 数 解決を必要 とする問題 点 懸案事項の 解決経過 今後の 方 針 備 考 所 見 (様式5) 研究状況中間報告カード( 日提出) 決 裁 欄 所 長 管理部 研究部 下記のとおり中間報告いたします。 記 テーマ番号 テーマ名 研究室名 担当者名 印 研究経過 中間的結論 今後の方針 所 見 (様式6) 研究終了報告カード( 日提出) 決 裁 欄 所 長 管理部 研究部 下記のとおり研究が終了しましたので報告いたします。 記 テーマ番号 テーマ名 研究室名 担当者名 印 研究期間 人員およ び経費 研究の経過 研究の結論 産業に対す る影響をも 併記する 所 見 (様式7) 研究計画 変更 中止 願( 日提出) 下記事由により研究計画を 決 裁 欄 所 長 管理部 研究部 変更 中止したいので,承認願います。 記 テーマ番号 テーマ名 研究室名 担当者名 印 従来までの 研究経過 変更・中止 の事由 備 考 所 見 注 変更または中止は該当しない方を消すこと。 金属材料技術研究所放射線障害予防規定 昭和35年10月1日 所長達第9号 第1章総 則 (目的) 第1条 この規定は,放射性同位元素の使用を規制し,これによる放射線障害を防止し,もつ て安全を確保することを目的とする。 (定義) 第2条 この規定に掲げる用語は法第2条の規定によるものとする。 第2章組織及び職務 (放射線取扱主任者) 第3条 放射線障害の発生の防止について,監督を行なわせるため,放射線取扱主任者1名を おく。 2 放射線取扱主任者の職務を補佐させるため,副主任者若干名をおく。 3 放射線取扱主任及び副主任者は,放射線取扱主任者免状を有する者のうちから所長の選任 する者をもつてあてる。 4 放射線取扱主任者が,旅行・疾病・その他の事故により職務を行なうことができない場合 において,放射性同位元素を使用する場合には,その期間中その職務を代行させるため放射 線取扱主任者免状を有する者のうちから,放射線取扱主任代理者1名を所長が選任する。 (放射線予防委員会) 第4条 放射線障害の予防に関し,所長の諮問に応じ,かつ必要な事項を企画し審議するため に,本研究所に放射線障害予防委員会(以下「委員会」と云う)をおく。 2 委員会は必要に応じ所長に放射線障害の防止に関して,意見を述べることができる。 3 委員会は必要があると認めるときは関係部長に対し,必要な協力を求めることができる。 (委員会の組織運営) 第5条 委員会は委員長および委員若干名をもって組織する。 2 委員長は第5部長をもってあてる。 3委員は放射線取扱主任者,関係研究部および管理部から選出した者をもってあてる。 4委員長は委員会を招集し,会議を主宰する。 5 委員会に関する事務はアイソトープ室が行う。 第6条 放射線取扱主任者は所長の決裁に基づいて放射線障害の防止に関する業務を統轄する。 第3章 設備の管理ならびに管理区域の設定 (施設の管理) 第7条 アイソトープ室に係る施設はアイソトープ室が管理するものとする。 (設備の搬入および使用) 第8条 アイソトープ室に係る設備およびその他の設備をアイソトープ室に搬入するときは室 長の許可を受けなければならない。 2 アイソトープ室の職員以外の者が,アイソトープ室の設備を使用する場合にはアイソトー プ室長及び放射線取扱主任者の許可を得,その指示に従わなければならない。 (設備の移動及び廃棄) 第9条 アイソトープ室に係る設備を移動または廃棄するときはアイトープ室長及び放射線取 扱主任者の許可を受けなければならない。 2 設備の搬入・移動または廃棄を行ったときは,アイソトープ室長はその旨を委員会に報告 しなければならない。 (管理区域の設定) 第10条 放射線障害を防止するため,つぎの施設を管理区域に定める。 イ作業室及び管理室 ロ排水施設及び排気施設 ハ貯蔵施設及び廃棄施設 (管理区域の表示方法) 第11条管理区域には昭和35年総理府令第56号(以下「施行規則」という)第39条の規定に従 つて放射能標識を表示し,関係者以外の立入を禁止するよう掲示しなければならない。 第4章 使用及び予防措置 (放射性同位元素の使用) 第12条 放射性同位元素を使用する場合には,放射線取扱主任者の指示に従いつぎの事項を厳 守して,人体のうける放射線を最少限にしなければならない。 2放射性同位元素の使用 (1)作業場所 指定された作業室内において使用すること。 (2)汚染防止 汚染は不可避のものと考え,汚染及び汚染のひろがりを防止するため次の 事項を守ること。 イ 作業台はビニールシート,広幅ろ紙等適当な表面被覆を行なうこと。 ロ作業台は使用後必ず清掃すること。 ハ 作業台は常に整理整頓し必要以上の測定器,器具類を置かぬこと。 ニ 作業室に立入る場合には専用のはきものを使用すること。 ホ 放射性じんあい,ガスを吸収するおそれのある時は,他の作業者に連絡するとともに 防毒マスク等の適当な呼吸用保護具を着用すること。 ヘ手の放射性汚染を防止するため原則としてゴム手袋等を使用すること。 ト 使用中はしばしば手足,作業衣等の汚染の有無を検査し,汚染を発見したときは,直 ちに除去,脱衣等の処置をとること。 チ 放射性同位元素の使用中に切傷その他の皮膚損傷を受けたときは流水等で汚染を取り 除くとともに緊急処理を行ない,その損傷等が軽微であっても直ちに放射線取扱主任者 に報告すること。 リ 作業室においての飲食・喫煙・化粧等放射性同位元素を体中に摂取するおそれのある 行為を行なわないこと。 ヌ 放射性同位元素を空気中に飛散させないこと,やむを得ず飛散するおそれのある作業 を行なう場合にはグローブボックスフードその他局所排気装置,換気装置等を使用し, 作業室内の空気中の放射性同位元素の濃度が最大許容空気中濃度以下になるようにする こと。 ル作業室から器具を持出す時は管理室において表面汚染の有無を検査し最大許容表面密 度以下であることを確認したのち持出すこと。 オ 作業室から退出するときは管理室において身体各部,衣服,はきもの等の汚染の有無 を検査し,最大許容表面密度以下であることを確認すること。 ワ使用に従事する者で経験の少い者は単独で作業しないこと。 カ 使用に従事する者以外の者が管理室または作業室に出入するときは,使用に従事する 者の指示に従うこと。 (3)しやへい 放射性同位元素の使用中または放射線障害の危険を伴うときは,しやへい 壁その他のしやへい物は必ず使用し,最も近づいた場合でも週被ばく線量が最大許容週線 量以下になるような状態で作業し,作業時間の短縮によつて補おうとしないこと。 γ線放射体およびミリキユリー以上β線放射体を使用する場合には十分しやへいすること。 (4)個人被ばく線量の記録,使用に従事する者は放射性同位元素使用室においてはポケツ ト線量計およびフイルムバツヂを着用し,必要に応じ測定用具を携行し,作業の終了ごと に被ばく線量を測定して各自所定の用紙に記録しておくこと。 (5)事故発生後の処理・事故の発生したときの処理は次のとおりとする。 イ 液体状の放射性同位元素を多量にこぼしたとき,その他放射線障害をうけるおそれの ある不慮の事故が発生したときは直ちに放射線取扱主任者および同室の使用に従事する 者に通知し,応急の措置を行なうこと。この場合における措置はすべて単独で秘密に行 なわないこと。 ロ 地震・火災等による事故の発生した場合における措置については第23条の規定に従う。 (保管) 第13条 放射性同位元素の保管はつぎの基準にしたがつて行なわなければならない。 (1)放射性同位元素の種類および量に応じてつぎの種別をもうける。 種 別 放射性同位元素の種類および量 第1種α線放射体 第2種 1ミリキユリー未満のβ線放射体 10マイクロキユリー未満のγ線放射体 第3種 1ミリキユリー以上100ミリキユリー未満のβ線放射体 10マイクロキユリー以上1ミリキユリー未満のγ線放射体 第4種 100ミリキユリー以上のβ線放射体 1ミリキユリー以上のγ線放射体 (2 )保管にあたつては種別にしたがつて,つぎの容器に入れて定められた場所に保管しな ければならない。 第1種密ぺい容器 第2種ガラス容器等 第3種 ガラス容器等の一次容器をさらに小型鉛製の二次容器に入れること。 第4種 一次容器に入れ,さらに中型鉛製容器以上の二次容器に入れること。 (3)放射性同位元素は一日の作業が終了したときは必ず貯蔵施設に保管すること,ただし 実験を継続するために貯蔵施設に保管することが困難である場合には放射線取扱主任者の 許可を得て,表面に標識をつけ,放射性同位元素の種類,数量を明示した容器に収納し, 作業室内の指定された場所に保管することができる。 (運搬) 第14条 放射性同位元素を運搬する場合には,運搬途中の事故を考慮して,さらに運搬用の安 全容器に収納しなければならない。 (廃棄) 第15条 放射性廃棄物または放射性汚染物等は放射線取扱主任者の指示に従い,それらの中に 含まれている放射性同位元素の種類,形状,濃度等によりそれぞれつぎの各号にしたがつて 取扱わなければならない。 (1)固体状の廃棄物は廃棄物容器に入れて保管する。廃棄物容器には紙または布-ビニー ル-ビニール-紙または布の多重袋を備え固体の廃棄物を収納すること。 (2)液体状の廃棄物は放射性廃液容器に収納して保管すること,排水設備によつて廃棄す る放射性同位元素は器物の洗じよう等によつて生じた最大許容水中濃度の1/10以下の放射 性容液のみとすること。 (3 )気体状の放射性廃棄物は酸またはアルカリによる吸収または化合物とする等化学的及 び物理的な方法によつて,固体状または液体状の廃棄物とし,処理は本条第1号または前 号の規定による。排気設備による廃棄物は最大許容空気中濃度の1/10以下にすること。固 体状または液体状とすることが著しく困難な場合には放射線取扱主任者の指示に従うこ と。 (測定) 第16条 施行規則第20条第1項に基づく各測定は作業室ごとにアイソトープ室長の定める作業 責任者が行ない所定の用紙に記入し,放射線取扱主任者に報告するとともに写しを保管しな ければならない。 2 施行規則第20条第2項に基づく測定は作業者が各自に行ない,所定の用紙に記録し,放射 線取扱主任者に報告するとともに写しを保管しなければならない。 3 これらの記録は各年毎にまとめて,アイソトープ室で保管する。 (教育訓練) 第17条 放射性同位元素等を取扱う業務に従事する者の教育はつぎの各号にしたがう。 (1)未経験者及び使用に従事する者で経験の少ない者は,経験者と共に作業を行ないその 期間に使用方法等を習得させること。 (2)講習会,講演会等に積極的に参加させること。 (3)パンフレット,学術書の購読等 第5章 放射線障害者の発見のための措置等 (健康診断) 第18条 使用施設,貯蔵施設または廃棄施設にはじめて立入る者にあっては一時的に立入る者 を除いて,その立入る前に健康診断を行なわなければならない。 2 前項の施設に常時立入る者に対しては,3ケ月ごとに健康診断を行なわなければならない。 3 前2項の規定にかかわらず施行規則第22条第3号に該当する事態が発生したときには遅滞 なくその者につき健康診断を行なわなければならない。 4 医師は問診及び検査又は検診等の方法により健康診断を行ないその結果を庶務課長を経由 してアイソトープ室長および健康診断を受けた者の上長を通じ本人に連絡する。 (問診及び検査又は検診) 第19条 健康診断に際し行なう問診及び検査又は検診は施行規則第22条第5号及び第6号の定 めに従つて行なわれなければならない。 (健康診断結果の記録,保存) 第20条 前条の健康診断の結果は庶務課で記録し保存しなければならない。 2 前項の記録の写を健康診断を受けた者に対し交付しなければならない。 (健康診断結果の措置) 第21条使用に従事する者の勤務については健康診断の結果に基づき障害を受けた程度に応じ , つぎの区分に従い措置するものとする。 要注意勤務取扱作業時間短縮 要制限取扱作業制限 要療養休養 2 医師は放射線障害を受けた者,又は受けたおそれのある者に対し,保健指導を行なうもの とする。 第6章その他 (記帳および保存) 第22条 アイソトープ室には施行規則第24条第1項に規定された事項を記載する帳簿を備え, 作業室の責任者はこれに確実に記帳しなければならない。 2帳簿は各年度ごとに開設し,各年度終了の日に閉鎖する。 3 これらの記帳はすべてアイソトープ室において保管するものとする。 (危険時の措置) 第23条 地震,火災,その他の災害により放射性同位元素等に関して,危険が発生した場合に はつぎの各号にしたがつて臨機の措置を行なうものとする。 (1)緊急の事態を発見した者は,適当な措置をとり,直ちにその旨をつぎに掲げる者のう ち,いづれかの者に通報すること。 イ放射線取扱主任者 ロ アイソトープ室の職員 (2)前号の通報を受けた者は状況を判断して,必要に応じ直ちに警察官または消防吏員に 通報すると同時に庶務課長に連絡すること。 (3)放射線障害の拡大防止のために従事する者は放射線取扱主任者の指示に従うこと。 (4)放射線障害を受けた者または受けたおそれのある者がある場合にはすみやかに救出し, なお付近にいる者に避難するよう警告すること。 (5 )放射性同位元素並びにその他の設備を他の場所に移す余裕がある時はこれを安全な場 所に移し,その周囲に縄を張り標識を付して見張人をおき,関係者以外の立入りを禁止す ること。 (盗難の届出) 第24条 放射性同位元素の盗難を発見した者はアイソトープ室長を通して庶務課長に届けなけ ればならない。庶務課長は遅滞なく警察署に届けなければならない。 附則 1 この規定は,昭和35年10月1日から施行する。 2この規定は,委員会の発議に基づき.所長の決裁によつてのみ改正される。 昭和36年度研究計画 1)耐熱材料に関する研究 1ステンレス鋼の品質向上に関する研究 2超耐熱合金の性能向上に関する研究 3高マンガン鋼の性能向上に関する研究 2 )純金属の製造法とその利用に関する研究 1高圧抽出による製錬法に関する研究 2塩素製錬法によるタングステン,ニオブ等の 製造に関する研究 3タングステンの加工性向上に関する研究 4金属ハロゲン化物の熱分解に関する比較研究 5ニオブの製造およびその合金に関する研究 6電子ビーム溶解による高純度金属の製造法に 関する研究 7純金属等の研究に必要な分析法に関する研究 3)鉄鋼および特殊鋼の品質向上に関する研究 1鋼の異方性組織に関する研究 2鋼中の非金属介在物に関する研究 3鋼材の連続冷却曲線および恒温変態曲線に関 する研究 4鋼の脆性破壊機構に関する研究 5残査分析法の確立に関する研究 6特殊の製鉄製鋼法に関する研究 7鋼の低温におけるクリープ機構に関する研究 8鋼の低温における疲労破壊機構に関する研究 9金属材料の高周波による内部摩擦に関する研 究 10減圧製鋼法に関する研究 11 特殊溶銑の製造法に関する研究 12低炭素合金鋼に関する研究 13硫化鉱の湿式塩素処理による良質製鉄原料の 製造法に関する研究 14製鋼過程における脱酸および造塊法の改良に 関する研究 4 )材料強度と欠陥防止対策に関する研究 1非破壊試験結果と強度との関連に関する研究 2非破壊試験結果と傷の実態との関連に関する 研究 3非破壊試験結果と材質の実態との関連に関す る研究 4疲労強度に及ぼす繰返速度および荷重変動の 影響に関する研究 5高温強度に及ぼす温度応力条件および雰囲気 の影響に関する研究 6高温における工具鋼の機械的強度に関する研 究 5)電子工業材料の製造に関する研究 1 高導磁率鉄―アルミニウム合金の製造に関す る研究 2耐食性弾性材料の製造に関する研究 3微粉末磁石合金の製造に関する研究 4金属間化合物半導体の製造と性質に関する研 究 5遷移金属酸化物に関する研究 6)溶接材料に関する研究 1溶接棒の改良研究 2特殊溶接に関する研究 3高張力鋼の溶接性に関する研究 4活性材料の溶接およびろう接に関する研究 7)工業化研究 1溶接構造用高張力鋼の試作研究 2珪素鋼板に関する研究 3細粒鋼の溶製法に関する研究 8)製造冶金に関する研究 1金属材料の高速加工に関する研究 2粉末製造法に関する研究 9)非鉄金属材料に関する研究 1加工性マグネシウム合金の性能向上に関する 研究 2ニッケル基分散硬化型合金に関する研究 3チタン合金に関する研究 10)金属材料の腐食防食に関する研究 1合金鋼の腐食割れに関する研究 2金属材料の高温酸化機構に関する研究 11)原子炉材料に関する研究 1ステンレス鋼等のオースフォーミングに関す る研究 2原子炉用遷移金属化合物に関する研究 3金属トリウムおよびその合金に関する研究 4原子炉用金属材料の腐食防食に関する研究 5原子炉用ベリリウムの成型加工と機械的性質 に関する研究 12) RIを利用する金属材料の品質向上に関する 研究 1RIを利用する鍛圧品の品質向上に関する研究 2 RIを利用する鋼中の非金属介在物に関する研 究 3放射化学分析法に関する研究 研究発表論文項目表 金属材料技術研究所研究報告 第1巻第1号 (頁) 金属の辷り帯と内部辷り構造 田岡忠美 1 溶融合金の酸化皮膜の電子回折による研究(第1報) 島岡五朗 8 溶融合金の酸化皮膜の電子回折による研究(第2報) 島岡五朗 19 二酸化ウランの電気抵抗と格子常数について 橋口隆吉,松浦悦之,石野 栞,南 和子 23 Al-Zn系,Al-Cu-Zn系合金およびZnの帯状溶融について 増本剛,佐藤知雄 27 Ti-Fe-C三元系平衡状態図の研究 村上陽太郎,木村啓造,西村義雄 32 ボール線材のオーステナイト状態の挙動と早期寿命試験結果について 上野 学 45 Haynes Stellite 88系耐熱鋼について 小西芳吉,芥川 武,藤田利夫,中川龍一,乙黒靖男 51 原料金属と溶製法がNi-Cr系合金におよぼす影響 依田連平 57 Co基耐熱合金の高温特性に関する研究(第1報) 三橋鉄太郎,依田連平,渡辺亨 63 MoSi2サーメットの研究 三橋鉄太郎,田村皖司 73 アルニコV系磁石合金の低温における異状減磁現象について 小西芳吉,山川和郎 80 純クロムの研究(第1報) 吉田進,大庭幸夫 85 純TiおよびTi合金の酸化について(第1報) 足立正雄,辻本得蔵 89 Zrの高温硬さに及ぼすAl,Sn, Moの影響 細井祐三,永田徳雄 96 トリウムの冶金 小川芳樹,久松敬弘,河村和孝,磯野穣 101 銅基弾性材料の耐磨耗性に関する研究 小西芳吉,森本一郎 107 高張力鋼の溶接硬化と適正溶接条件の予測に関する研究 木原 博,鈴木春義,金谷文善 115 2- (2-ヒドロキシ-5-メトキシフェニルアゾ)-4 - メチルチアゾールの合成 および金属イオンとの反応 柳原正,俣野宣久,川瀬晃 145 2- (2-ヒドロキシ-5-フェニルアゾ)-4-メチルチアゾールによる 銅の定量 柳原正,俣野宣久,川瀬晃 150 テトラフェニル・フォスフォニウム・ブロマイドによるビスマスの光度定量法 俣野宣久,川瀬晃 156 鉄鋼中の非金属介在物分析法の研究(第1報) 柳原正,木村啓造,千葉実 161 腐食疲れにおける平均応力の影響 岩元兼敏 167 空気槌の緩衝基礎について 木村勝美 172 第2巻第1号 軸受鋼炭化物の電解分離における電解電位について 上野学,中島宏興 1 オーステナイト系耐熱鋼の研究 小西芳吉,芥川 武,藤田利夫,中川龍一,乙黒靖男 6 Ni-Cr系合金におよぼす窒素の影響 依田連平 16 ジルコニウムおよびその合金の高温酸化について 村上陽太郎,木村啓造,井上圭吉 22 MgおよびCu合金法によるSiの化学的精製について 増本剛,金子秀夫 27 煙灰中の有価金属の回収について 小川芳樹,新居和嘉 33 (頁) Ni-Co-Mn系複合酸化物における金属組成と電気的パラメ ータの関係 坂田民雄 38 Ni-Co系複合酸化物における熱処理と電気的パラメ ータの関係 坂田民雄 48 原子炉用オーステナイト系ステンレス鋼の溶接割れに関する研究(第1報) 鈴木春義,村瀬勊,中村治方 57 原子炉用ステンレス鋼の溶接熱サイクル途上における高温延性に関する研究(第1報) 鈴木春義,馬田豊昭,中村治方 67 耐食性アルミニウム合金ANP (Al-Mg-Mn)溶接継手の疲れ強さと耐食性に関する研究 鈴木春義,村瀬勊 76 高温高圧水による不銹鋼の腐食に関する研究(第1報) 柳原 正,島岡五朗,池田清一,富田恭造 87 純金属中の微量鉛の定量 柳原正,俣野宣久,川瀬晃 94 Si単結晶引上げおよび浮遊帯状溶融兼用装置の試作 増本剛,佐藤知雄 100 第2巻第2号 Ni-Co系複合酸化物における電気伝導特性と熱起電力特性の関係 坂田民雄 1 沃度法およびSiCl4の水素還元法によるSiの化学的精製について 増本剛,金子秀夫 6 Al合金溶接金属内の気孔を防止するための適正溶接条件の予測に関する研究 木原博,鈴木春義,村瀬勊,須清修造 12 高温ガスによる不銹鋼の腐食に関する研究(第1報) 柳原正,島岡五朗,池田清一,鈴木博子,武井厚 25 ゲルマニウムの酸化に関する研究(第1報) 柳原正,島岡五朗,鈴木博子 32 2-(2-ヒドロキシ-5-メトキシフェニルアゾ)-4-メチルチアゾールによる亜鉛の定量 柳原 正,俣野宣久,川瀬 晃 37 第2巻第3号 Ni-Co系酸化物固溶体における化学組成の温度変化と原子価制御機構 坂田民雄 1 Si単結晶における光像現象と腐食によって現出する結晶面について 増本剛,山本美喜雄,渡辺慈朗,川田俊行 12 軸受鋼の疲労現象 内山郁,星野明彦,上野学 18 高クロム合金の時効硬化が高温硬度におよぼす影響 大庭幸夫 26 Pt-Mo合金の研究 木村啓造 32 原子炉用アルミニウムおよびその合金の溶接割れおよびその防止対策に関する研究 鈴木春義,中村治方 40 溶融合金の酸化皮膜の電子回折による研究(第3報) 島岡五朗 50 2-(2-ヒドロキシ-5-メトキシフェニルアゾ)-4-メチルチアゾールによるニッケルおよび コバルトの定量 柳原正,俣野宣久,川瀬晃 56 第2巻第4号 Fe-Ni-CO-CO2系の平衡測定について 郡司好喜,的場幸夫,長沢要一 1 真空溶解炉で溶製した軸受鋼について 上野学,中島宏興 9 Cr基耐熱合金に関する研究(第1報) 三橋鉄太郎,依田連平,薬師寺正雄 15 (頁) TiCl4の酸素分解 佐伯雄造,舟木好右衛門 22 Naの蒸留精製 佐伯雄造,舟木好右衛門 30 原子炉用ステンレス鋼の溶接熱サイクル途上における高温延性に関する研究(第2報) 鈴木春義,馬田豊昭,中村治方 35 原子炉用オーステナイト系ステンレス鋼の溶接割れに関する研究(第2報) 鈴木春義,中村治方,清水信 49 高圧電子線回折による合金酸化皮膜の観察 山科俊郎 58 第3巻第1号 18Cr-12Niオーステナイト不銹鋼の諸性質におよぼ すNbの影響 中川龍一,乙黒靖男 1 Cr基耐熱合金に関する研究(第2報) 三橋鉄太郎,依田連平,薬師寺正雄 12 純クロムの高温加工性について 吉田 進,大庭幸夫,永田徳雄 17 構造用鋼材溶接部の変質について 稲垣道夫 24 第3巻第2号 溶鉄中の珪素と酸素の平衡 的場幸雄,郡司好喜,桑名武 1 原子炉用ステンレス鋼の溶接熱サイクル途上における 高温延性に関する研究(第3報) 鈴木春義,馬田豊昭,中村治方 10 原子炉用オーステナイト系ステンレス鋼の溶接割れに関する研究(第3報) 鈴木春義,中村治方 21 オーステナイト系ステンレス鋼の溶接中の冷却速度に関する研究 鈴木春義,清水信 32 原子炉用ジルコニウムの溶接に関する研究(第1報) 鈴木春義,橋本達哉,松田福久,永吉寛二 40 100%~68% Ni-Cu合金の高温酸化 山科俊郎,佐藤教男,小林晴夫 51 第3巻第3号 18Cr―12Niオーステナイト系ステンレス鋼の諸性質 におよぼすTiの影響 中川龍一,乙黒靖男 1 遷移金属珪化物の熱起電力について 田村皖司,坂田民雄 10 ホットプレス焼結時における金属結合剤流れ出しにつ いての考察 田村皖司 15 酸化トリウムの硝酸に対する溶解について 磯野穣,河村和孝,武内丈児 23 高張力鋼の溶接割れに関する研究(第1報) 鈴木春義,稲垣道夫,中村治方 29 原子炉用アルミニウムとその合金の腐食の研究(第1報) 伊藤伍郎,清水義彦,沢柳文夫 48 トリウム中の鉄,コバルト,銅,亜鉛の定量 柳原正,俣野宣久,川瀬晃 57 トリウム中の微量銅の定量 柳原正,俣野宣久,川瀬晃 60 第3巻第4号 Ni基耐熱合金に関する研究(第1報) 依田連平,吉田平太郎,高橋仙之助 1 純クロムの延性におよぼすPrestrainの効果について 吉田 進,大庭幸夫,永田徳雄 11 (頁) MoSi2を主体とする発熱体の焼結条件とその性質 田村皖司 16 原子炉用ステンレスクラッド鋼の大型溶接継手の高温 における応力破断に関する研究 鈴木春義,馬田豊昭,高木乙磨 24 原子炉用アルミニウムとその合金の腐食の研究(第2報) 伊藤伍郎,清水義彦,沢柳文夫 43 クリープ・ラプチャー試験に関する研究 中川龍一,乙黒靖男 54 高純度クロム中の鉄,銅,亜鉛,コバルトの定量 柳原正,俣野宣久,川瀬晃 61 2- (2-ヒドロキシ-5- メトキシフェニルアゾ)-4- メチル チアゾールによる鉄の定量 柳原正,俣野宣久,川瀬晃 66 核分裂生成物による白金の汚染および種々の酸による 汚染除去 柳原正,木村啓造,千葉実 70 材技研で試作した溶接用連続冷却変態図作成装置について 鈴木春義,稲垣道夫 76 第4巻第1号 18Cr-12Ni系オーステナイト不銹鋼の諸性質に およぼすMoの影響 中川龍一,乙黒靖男 1 Al-Mg合金における析出の型について 松尾 茂 9 MK系異方性磁石合金の熱処理と組織について 山川和郎 15 TiSi2の調製およびその二・三の性質について 田村皖司,武田徹 23 動的拘束溶接割れ試験装置の試作およびそれによる 二・三の実験 鈴木春義,中村治方,清水信 28 原子炉用ジルコニウムの溶接に関する研究(第2報) 鈴木春義,橋本達哉,松田福久,田沼欣司 37 チタン化合物の塩素化試験 佐伯雄造,舟木好右衛門 50 高純度クロム中の銅,亜鉛の定量 柳原正,俣野宣久,川瀬晃 57 放射化学法を応用する金属材料の分析法の研究(第1報) 柳原正,千葉実 63 第4巻第2号 海綿鉄を原料として溶製した軸受鋼 上野 学,中島宏興,池田定雄 18Cr-12Ni系不銹鋼の諸性質におよぼす Wの影響 中川龍一,乙黒靖男 MK系異方性磁石合金の磁気的安定性について 山川和郎 Co基耐熱合金に関する研究(第2報) 依田連平,渡辺亨,川越賢一郎 白金-ニオブ状態図の研究 木村啓造,伊藤祥 高純度クロムの再結晶について 吉田 進,大庭幸夫,永田徳雄 モリブデンの真空アーク溶解について 津谷和男 高張力鋼溶接部のルート割れに関する研究 鈴木春義,稲垣道夫,中村治方 HT60高張力鋼の溶接用連続冷却変態図 稲垣道夫,馬田豊昭,宇田雅弘 原子炉用ステンレス鋼の溶接熱サイクル途上における 高温延性に関する研究(第4報) 鈴木春義,稲垣道夫,馬田豊昭,丸岡秀俊 原子炉用ジルコニウムの溶接に関する研究(第3報) 鈴木春義,橋本達哉,松田福久,清水義彦 超音波探傷における傷エコー高さの近似計算について 木村勝美 TRANSACTIONS OF NATIONAL RESEARCH INSTITUTE FOR METALS Vol. 1 No. 1 (Page) An Experimental Investigation on the Mode of Slip in Face-Centered Cubic Metals Tadami TAOKA, Ko YASUKOCHI, Ryukichi HONDA and Isao OYAMA 1 An Investigation on the Titanium-Iron-Carbon System Yotaro MURAKAMI, Hirozo KIMURA and Yoshio NISHIMURA 7 Austenitizing Behaviour and Rapid Life Test of Drawn Wire for Bearing Balls Manabu UENO 22 Effects of Purities of Raw Materials and Melting Method on the Properties of Nickel Chromium Alloys Renpei YODA 27 On the Oxidation of Titanium Metal and Titanium-Aluminium Alloys Masao ADACHI and Tokuzo TSUJIMOTO 32 Weld Hardening of High Strength Steels and Prediction of Optimum Welding Condition Hiroshi KIHARA, Haruyoshi SUZUKI and Fumiyoshi KANATANI 39 Synthesis of 2-(2-Hydroxy-5-methoxy-phenylazo)-4-methylthiazole and its Color React­ ion with Metallic Ions Tadashi YANAGIHARA, Nobuhisa MATANO and Akira KAWASE 65 Photometric Determination of Bismuth with Tetraphenyl-phosphonium Bromide Nobuhisa MATANO and Akira KAWASE 69 Vol. 1 No. 2 Electron Diffraction Study of Oxide Films Formed on Molten Alloys Goro SHIMAOKA 1 Electrolytic Potential in Electrolytic Isolation of Cementites of Ball Bearing Steels Manabu UENO and Hirooki NAKAJIMA 18 Studies on Austenitic Heat-Resisting Steel Yoshikichi KONISHI, Takeshi AKUTAGAWA, Toshio FUJITA, Ryuichi NAKAGAWA and Yasuo OTOGURO 23 Effect of Nitrogen on Nickel-Chromium Alloys Renpei YODA 30 Refining of Crude Silicon by Magnesium or Copper Alloying Process Katashi MASUMOTO and Hideo KANEKO 36 Synthetic Heat-Affected Zone Ductility Test Haruyoshi SUZUKI and Hiroshi TAMURA 42 Studies on the Corrosion of Stainless Steels in High Temperature and High Pressure Water (Ⅰ) Tadashi YANAGIHARA, Goro SHIMAOKA, Seiichi IKEDA and Kyozo TOMITA 49 Vol. 2 No. 1 Electrical Resistivities and Lattice Constants of Uranium Dioxide Ryukiti R. HASIGUTI, Etsuyuki MATSUURA, Shiori ISHINO and Kazuko MINAMI 1 (Page) Fatigue of Ball Bearing Steels Iku USHIYAMA, Akihiko HOSHINO and Manabu UENO 6 Ball Bearing Steel Made with a Vacuum Induction Furnace Manabu UENO and Hirooki NAKAJIMA 13 Study on Chromium-Base Heat-Resisting Alloys (Ⅰ) Tetsutaro MITSUHASHI, Renpei YODA and Masao YAKUSHIJI 18 Preparation of High Purity Silicon by the Thermal Decomposition of Silicon Tetraiodide or the Hydrogen Reduction of Silicon Tetrachloride Katashi MASUMOTO and Hideo KANEKO 25 Studies on Platinum Base Alloys in Platinum Molybdenum System Hirozo KIMURA 30 The Preparation of Thorium Alloys by Electrolysis Using Fused Cathode and Exchange Reaction in Fused Salt Yoshiki OGAWA, Yoshihiro HISAMATSU and Kazutaka KAWAMURA 37 Study on the Corrosion of Stainless Steels in High Temperature Gas (Ⅰ) Tadashi YANAGIHARA, Goro SHIMAOKA, Seiichi IKEDA, Hiroko SUZUKI and Atsushi TAKEI 43 Determination of Copper with 2-(2-Hydroxy-5-Methoxyphenylazo)-4-Methylthiazole Tadashi TANAGIHARA, Nobuhisa MATANO and Akira KAWASE 51 Determination of Zinc with 2-(2-Hydroxy-5-Methoxyphenylazo) -4-Methylthiazole Tadashi YANAGIHARA, Nobuhisa MATANO and Akira KAWSAE 56 Determination of Nickel and Cobalt with 2-(2-Hydroxy-5-Methoxyphenylazo)-4- Methylthiazole Tadashi YANAGIHARA, Nobuhisa MATANO and Akira KAWASE 60 Vol.2 No. 2 The Effect of Niobium on Properties of 18 Chromium-12 Nickel Austenitic Stainless Steels Ryuichi NAKAGAWA and Yasuo OTOGURO 1 Study on Chromium-Base Heat-Resisting Alloys (Ⅱ) Tetsutaro MITSUHASHI, Renpei YODA and Masao YAKUSHIJI 7 Study on Nickel-Base Heat-Resisting Alloys (Ⅰ) Renpei YODA, Heitaro YOSHIDA and Sennosuke TAKAHASHI 12 The Mode of Precipitation in Aluminium-Magnesium Alloys Shigeru MATSUO 22 Hot-Workability of Pure Chromium Susumu YOSHIDA, Yukio OHBA and Norio NAGATA 27 Light Figure Phenomena Revealed and Crystal Faces Developed by Chemical Etching in Silicon Crystal Katashi MASUMOTO , Mikio YAMAMOTO, Jiro WATANABE and Toshiyuki KAWADA 34 Continuous Cooling Transformation Diagrams of Steels for Welding and their Applications Michio INAGAKI and Harujiro SEKIGUCHI 40 Vol.3 No.1 Bearing Steels Made from the Sponge Iron as Raw Materials Manabu UENO, Hirooki NAKAJIMA and Sadao IKEDA The Effect of Titanium on Properties of 18 Chromium-12 Nickel Austenitic Stainless Steels Ryuichi NAKAGAWA and Yasuo OTOGURO Effect of Melting Atmosphere on the High Temperature Properties of 60% Cr-25% Fe-15%Mo Type Alloys Renpei YODA, Heitaro YOSHIDA and Kiyoshi MUKAIDANI The Platinum-Niobium System Hirozo KIMURA and Akira ITO On the Recrystallization of High-Purity Chromium Susumu YOSHIDA, Yukio OHBA and Norio NAGATA A Kinetic Study on the Resolusion of Thorium Oxide in Nitric Acid Jo ISONO, Kazutaka KAWAMURA and Takeji TAKEUCHI Weldability of High Strength Steels Evaluated by Synthetic Heat-A fleeted Zone Ductility Test Haruyoshi SUZUKI and Hiroshi TAMURA Weld Cracking Tests of High Strength Steels and Electrodes Haruyoshi SUZUKI, Hiroshi KIHARA, and Harumasa NAKAMURA Short Note Vol.1 No.1 (Page) Electron Diffraction Study of Oxide Films Formed on Molten Alloys (Ⅰ) Goro SHIMAOKA 72 Electron Diffraction Study of Oxide Films Formed on Molten Alloys (Ⅱ) Goro SHIMAOKA 72 Zone-Melting in Aluminium-Zinc, Aluminium-Copper-Zinc Alloys and Zinc Katashi MASUMOTO and Tomo-o SATO 73 Study on Austenitic Heat-Resisting Steels Yoshikichi KONISHI Takeshi AKUTAGAWA, Toshio FUJITA, Ryuichi NAKAGAWA and Yasuo OTOGURO 73 Study on Several Properties of Cobalt-Base Alloys at High Temperatures Tetsutaro MITSUHASHI, Renpei YODA and Toru WATANABE 73 Study on Molybdenum Disilicide Cermet Tetsutaro MITSUHASHI and Kiyoshi TAMURA 74 Study on Anomalous Demagnetization Phenomena of Alnico V at Low Temperature Yoshikichi KONISHI and Kazuo YAMAKAWA 74 Study on Pure Chromium (Ⅰ) Susumu YOSHIDA and Yukio OHBA 75 Effect of Aluminium, Tin and Molybdenum on the Hot-Hardness of Zirconium Yuzo HOSOI and Norio NAGATA 75 The Metallurgy of Thorium Yoshiki OGAWA, Yoshihiro HISAMATSU, Kazutaka KAWAMURA and Jo ISONO 75 Study on the Abrasion Resistance of Copper Base Spring Materials Yoshikichi KONISHI and Ichiro MORIMOTO 76 Studies on Nonmetallic Inclusion in Steels (Ⅰ) Tadashi YANAGIHARA, Hirozo KIMURA and Minoru CHIBA 76 Effect of Mean Stress on Corrosion-Fatigue Strength Kanetoshi IWAMOTO 76 Vibration Proof Foundation for Forging Air Hammer Katsuyoshi KIMURA 77 Vol.1 No. 2 Oxidation of Zirconium and its Alloys at High Temperatures in the Atmosphere of (Page) Dry Oxygen Yotaro MURAKAMI, Hirozo KIMURA and Keikichi INOUE 56 Effects of Age-Hardening on Hot Hardness of Cr-Ni-Mo Alloys Yukio OHBA 56 Recovery of Valuable Metals from Flue Dust Yoshiki OGAWA and Kazuyoshi NⅡ 56 An Equipment used for Single-Crystal Pulling and Floating Zone Melting of Silicon Katashi MASUMOTO and Tomo-o SATO 57 当所研究報告以外の発表論文 注:1)当所研究報告の掲載論文と同内容である 学会などへの発表論文は省略してあります 2)下記の掲載様式は次のとおり 発表者名:“論文名”,発表誌名,巻,号,頁 (発表年―西暦) 所 長 ◇ Hashimoto, U. : “Ein geschichtlicher Überblick auf Erziehung und die Wissenschafttechnische Fors- chung in Japan”,本研究所刊行,A4版,43頁,西ドイツ・ デュッセルドルフ市Deutsche Forschungsgemeinschaft および Arbeitsgemeinschaft für Forschung An der Nordrhein-Westfalen Regierung にて講演(1960) ◇ Hashimoto, U : “Gegenwart der Metallforschung in Japan und über das staatlichen Forschungsinstitut der Metalle”,本研究所刊行,A 4版,8頁,西ドイツ・ シュトットガルト市,シュトットガルト工科大学並びに マックスプランク金属研究所にて講義(1960) 第1部 鉄鋼研究室 ◇ 上野学,中島宏興,池田定雄:“海綿鉄を原料とし て溶製した軸受鋼について”,鉄と鋼,47巻,2号,126頁 (1961) ◇ 上野学,内山郁,星野明彦,:“Mn-Cr鋼の恒温変 態と機械的性質”,鉄と鋼(1961) ◇ 上野学,池田定雄:“熱間押出軸受鋼について”,鉄 と鋼,46巻,10号,1377頁(1960) ◇ 上野学,中島宏興,池田定雄:“真空溶解した軸受 鋼について”,鉄と鋼,47巻,3号,494頁(1961) ◇ 上野学,内山郁,星野明彦:“ Mn-Cr鋼の焼戾性に ついて”,鉄と鋼,47巻,3号,453頁(1961) ◇ 内山郁,野村稔,上野学:“超音波ジャクハンマー による非金属介在物の抽出”鉄と鋼,47巻,3号,519頁 (1961) ◇ 上野学,中島宏興:“軸受鋼炭化物の電解分離にお ける電解電位について”,鉄と鋼,44巻,4号,483頁 (1958) 耐熱合金研究室 ◇ 三橋鉄太郎,依田連平:“耐熱合金の現状(1),”金 属 28巻,3 号,220~205頁(1958) ◇ 三橋鉄太郎,依田連平:“耐熱合金の現状(2)”金 属 28巻,4 号,306~310頁(1958) ◇ 三橋鉄太郎,依田連平:“耐熱合金の現状(3)”金 属 28巻,5 号,377~382頁(1958) ◇ 三橋鉄太郎,依田連平:“耐熱合金の現状(4)”金 属 28巻,6 号,459~463頁(1958) ◇ 三橋鉄太郎,依田連平:“鋼の顕微鏡組織と機械的 性質との関係”,金属,28巻,8号,572~582頁(1958) ◇ 依田連平:“最近の強力球状黒鉛鋳鉄の現状”,応用 機械工学,1巻,6号,98~100頁(1960) ◇ 依田連平:“370℃までの耐えるMg合金”,応用機 械工学,2巻2号,116頁(1961) ◇ 依田連平:“ Al2O3分散型粉末冶金合金”,応用機械 工学,2巻,3号106~107頁(1961) ◇ 依田連平:“球状黒鉛鋳鉄の熱処理”,フアンドリー ニュース, No.28 (10月)539~561頁(1960) 熱処理研究室 ◇ 上野学,内山郁,星野明彦:“ Mn-Crバネ鋼の恒温 変態による機械的性質,”鉄と鋼,47巻,6号(1961) 鋳造研究室 ◇ 牧口利貞,栗原豊:“鉄中における炭素の挙動に関 する研究(第1報)”,鋳物,32巻,3号別冊,1頁 (1960) ◇ 牧口利貞外3名:“鋳物砂用粘結剤の研究(第1報)”, 鋳物,31巻,9号別冊,972頁(1959) ◇ 牧口利貞外3名:“鋳物砂用粘結剤の研究(第2報)”, 鋳物,31巻,9号別冊,973頁(1959) ◇ 牧口利貞外4名:“鋳物砂用粘結剤の研究(第3報)”, 鋳物,32巻,9号別冊,131頁(1960) ◇ 牧口利貞外4名:“鋳物砂用粘結剤の研究(第4報)”, 鋳物,32巻,9号別冊,134頁(1960) ◇ 牧口利貞:“エヤーセットその他”,鋳物,31巻,12 号,1186頁(1959) ◇ 牧口利貞:“キュポラ用酸性耐火物の侵食機構に関 する一考察”,鋳物,32巻,5号,319頁(1960) ◇ 牧口利貞,林武志:“キュポラ用耐火煉瓦の形状寸 法に関する調査取りまとめ結果について”,鋳物,32巻, 5 号,364頁 (1960) ◇ 牧口利貞,佐藤昌介:“ガス型鋳物”,日刊工業新 聞社(1960) ◇牧口利貞:“鋳物砂の配合例”,鋳物便覧,289頁 (1961) ◇ 牧口利貞:“塗型材料”,鋳物便覧,325頁(1961) ◇ 牧口利貞:“半永久型および鋳造用煉瓦型”,鋳物便 覧1196頁(1961) 特殊鋼研究室 ◇ 中川龍一,乙黒靖男:“18Cr-12Ni系不銹鋼の諸性 質におよぼすMoおよび Wの影響”,鉄と鋼,46巻, 14号,28頁(1960) ◇ 中川龍一,乙黒靖男:“18Cr-12Ni系オーステナイ トステンレス鋼の諸性質におよぼすNとBの影響”,鉄 と鋼,46巻,10号,1409頁(1960) ◇ 中川龍一,乙黒靖男:“18Cr-12Ni系オーステナイ トステンレス鋼の諸性質におよぼすV, Al, Zrの影響” 鉄と鋼,46巻,10号,1411頁(1960) ◇中川龍一,乙黒靖男:“Ni-Crステンレス鋼の高温 性質に及ぼすδフエライトの影響”,鉄と鋼,47巻,3 号,554頁(1961) 第2部 物理冶金研究室 ◇ Taoka, T. ,Yasukochi, K., Honda, R., Oyama, Ⅰ,.: “An experimental Investigation on the Mode of Slip in Face-centered Cubic Metals”, Journal of the Phys­ ical Society of Japan Vol.14, P.888 (1959) ◇ Taoka, T., Yasukochi,. Honda, R. : “Deformation Modes in Face-Centered Cubic Superlattice Alloys”, Mechanical Properties of Intermetallic Compounds ed. by J. H. Westbrook, P.192 ◇ Honda, R. : “Occurrence of Longitudinal Cleavage in Stretched Silicon Iron Crystals”, Acta Metallurg- ica (1961) ◇ Honda, R.: “Cleavage Fracture in Single Crystals of Silicon Iron”, Journal of the Physical Society of Japan (1961) 加H研究室 ◇ Takeuchi, T. : “Velocity of Slowly Moving Dislo­ cation,” Journal of Physical Society of Japan (1961) 粉末冶金研究室 ◇ 川口寅之輔,田村皖司:“冷間圧縮-一焼結法による MoSi2を主体とする電気抵抗発熱体の製造”,粉体およ び粉末冶金(1961) ◇ 田村皖司:“MoSi2を主体とする電気抵抗発熱体の 物理的化学的性質について”,粉体および粉末冶金(1961) 第3部 金属化学研究室 ◇ 佐伯雄造,舟木好右衛門:“新しいチタンの製錬-ナ トリウム還元法-”,金属31巻,21頁(1961) 表面化学研究室 ◇島岡五朗:“金属研摩面の構造(電子回折による研 究)”,金属表面技術,11巻,361頁(1960) ◇ Shimaoka, G., : “Primary Oxide Films Formed on Molten Metals and Alloys”, Electron Diffraction Study, The Fall Meeting of the Metallurgical Socie­ ty of AIME, Oct. 17(1960), at Philadelphia, U.S.A.; Journal of Metals, Vol.12, P. 724 (1960) ◇ Yamaguchi, S. and Yamashina, T., : Application of Absorption Effect in Electron Diffraction”, 応用 物理,Vol.29, P. 281(1960) 第4部 非破壊検査研究室 ◇ 遠藤勝治郎,木村勝美,鈴木敏之:“近距離音場に おける超音波探傷”学振19委9764 (1960) ◇ 木村勝美:“超音波探傷における傷エコー高さの近 似計算について”,学振19委5920 (1960) 第5部 特殊冶金研究室 ◇ 河村和孝:“トリウム”,原子力と金属 4 巻 No. 5 P 5~11 (1959) May 4 巻 No. 6 P 4~8 (1959) June 4 巻 No. 7 P 4~12 (1959) July 4 巻 No. 8 P 1~4 (1959) Aug. 4 巻 No. 9 P 1~9 (1959) Sep. 4 巻 No.10 P 1~5 (1959) Oct. 4 巻 No.11 P 8~12 (1959) Nov. 4 巻 No.12 P 7~10 (1959) Dec. 5 巻 No.1 P 2~6 (1950) Jan. 5 巻 No. 2 P 1~2 (1960) Feb. 5 巻 No. 3 P 1~5 (1960) Mar. 5 巻 No. 4 P 1~6 (1960) Apr. 5 巻 No. 5 P 1~5 (1960) May 5 巻 No. 6 P 1~5 (1960) June 5 巻 No. 7 P 1~6 (1960) July 5 巻 No. 8 P 8~10 (1960) Aug. 5 巻 No. 9 P 1~5 (1960) Sep. 5 巻 No.10 P 6~11 (1960) Oct. 5 巻 No.11 P14~18 (1960) Nov. 5 巻 No.12 P 7~12 (1960) Dec. 6 巻 No.1 P 4~9 (1961)Jan. 6 巻 No. 2 p 1~6 (1961)Feb. 6 巻 No. 3 p 6 ~14 (1961)Mar. 原子炉構造材料研究室 ◇ 津谷和男:“鋼の焼入性について”,鉄と鋼,44巻, 892頁(1958) ◇津谷和男:“電子衝撃真空溶解法”,真空,2巻,146 頁(1959) ◇ 津谷和男:“金属材料の特殊溶解法”,鉄と鋼,47 巻634頁(1961) ◇ Hosoi, Y. and Pinnow, K.E. : “The Tensile Prope­ rties of Type 410 Stainless Steel Deformed before and after Martensite Transformation”, ASM Pr­ eprint No. 218 (1960) ; Trans. ASM 53 (1961)in press. 第6部 ◇ 鈴木春義:“最新溶接ハンドブック”,山海堂(1960) ◇ 鈴木春義:“最新溶接工学”,コロナ社(1960) ◇ 鈴木春義:“電子ビーム加工,特殊溶接”,日本金属 学会誌,25巻,1号,A-37~A-42 (1961) ◇ 木原博,鈴木春義:“原子力発電と溶接技術の重要 性”,原子力発電,2巻,4号,79~88頁(1958) ◇ 鈴木春義:“最近の溶接構造用高張力鋼とその溶 接”,日本機械学会誌,62巻,480号,113~125頁(1959) 融接材料研究室 ◇ 鈴木春義,稲垣道夫:“各種金属材料の溶接法”,高 圧ガス協会誌,24巻,2号,75~92頁(1960) ◇ 鈴木春義,稲垣道夫:“原子力”,溶接50年史,溶接 ニュース出版局(1961) ◇ 稲垣道夫:“溶接”,機械工学年鑑1961年度版(1961) ◇ 稲垣道夫:“私の見た欧州の印象(1)(2),(3の1)(3 の2)”,溶接学会誌,30巻,1,2, 3, 4号(1961) ◇ 鈴木春義:“最近の溶接技術とその問題点(1)(2)”,金 属材料,創刊号,6月号,日刊工業新聞社(1961) ◇ 稲垣道夫:“エレクトロスラグ溶接の現状(1),(2),(3)” 機械工業1巻4, 5, 6号,技術出版社(1961) ◇ 鈴木春義,稲垣道夫:“パイプの溶接”,配管と装置, 1巻,6号,配管技術研究会(1961) 圧接材料研究室 ◇ 鈴木春義,橋本達哉:“電子線溶接”,溶接技術,9 巻,1号,27~34頁(1961) 特殊溶接材料研究室 ◇ 蓮井淳:“ロート・アーク溶接”,溶接技術,9巻, 2 号,104~107頁(1961) ◇ Okada, M., Nakane K. and Suzuki H. : “Part Ⅰ, Welding Metallurgy”,Research and Application of Welding in Japan (up to 1958), The Japan Welding Society, p. 7~14 (1959). ◇ Kihara, H., Suzuki, H., Otani M. and Tamura H. : “Part Ⅰ, Weldable Structural Steels”,Research and Application of Welding in Japan, p.15~24. ◇ Sekiguchi, H., Kitani, T. and Inagaki M. : Part Ⅰ, Welding Process”, Research and Application of Welding in Japan, p. 32~38. ◇ Kihara, H., Suzuki, H., Otani, M. and Tamura H. : “Part 3, Researches and Developments of High Strength Steels”,Research and Application of We­ lding in Japan, p.133~146. 第7部 非鉄金属研究室 ◇ Adachi, M and Grant, N.J. : “The Effects of Sto­ red Energy and Recrystallization on the Creep Rup­ ture Properties of Internally Oxidized Copper-Alumina and Copper-Silica Alloys”,Trans. AIME, Vol. 218, Oct., P. 881~887 (1960) 第8部 非鉄製錬研究室 ◇ 竹内栄,黒沢利夫,手塚光雄,江田静男,田村敏男: “気相反応による金属チタンの製造に関する研究”,日 本金属学会誌,23巻,625~641頁(1959) 第9部 高純度金属研究室 ◇ 吉田進:“Whiskerの話”,金属物理、5巻,187頁 (1959) ◇ Yoshida S. and Koehler. J. S. : “Influence of Plastic Deformation on the Annealing of Quenched Gold”,Acta Metallurgica, Vol.8, p. 878 (1960) ◇吉田進:“クロムおよびバナジウムの真空溶解”,日 本金属学会誌,24巻,A-59頁(1960) ◇ 吉田進,大庭幸夫:“クロムおよびクロム基耐熱合 金”,工業化学雑誌,63巻,1113頁(1960) 五年間の行事記録 年 月 事 項 31.7.1 科学技術庁内において,金属材料技術研究所開所(科学技術庁設置法昭和31年3月31日法律 第49号第16条) 11. 目黒区中目黒2の300旧海軍技術研究所に移転 32. 7. 20 開所披露式 7. 30 科学技術審議会第3回金属材料研究部会(三島部会長他19委員出席) 8. 20 31年度会計実地検査 10. 8 真空冶金懇談会発足 10.16 橋本所長世界冶金会議出席のため渡米(10.16~12. 5) 33.1.1 所内通達規程 (所長達第1号) 1.1 勤務時間管理事務取扱規程 ( 〃 2号) 1.1 宿日直規程 ( 〃 3号) 1.1 自動車使用規程 ( 〃 4号) 1.27 宿舎入居者選考委員会の設置について( 〃 5号) 4.1 事務分掌規程 ( 〃 6号) 7.1 市外電話等使用規程 ( 〃 7号) 8. 2 32年度会計実地検査 9.1 特別研究制度の実施について (所長達第8号) 9.1 和文研究報告創刊 9.12 科学技術庁付属3研究所業務連絡会議 10.1 西ドイツ,マックス・プランク鉄鋼研究所長Prof. Dr. phil. Wever氏来所 11.2 開所記念運動会 11.13 職員バツジはい用規程 (所長達第9号) 34. 2.10 欧文研究報告創刊 3. 28 3. 29 }第1回所内研究報告会 4.1 事務分掌規程 (所長達第1号)(研究関係2部) 4.1 文書取扱規程 ( 〃 2号) 4.1 守衛服務規程 ( 〃 3号) 6.11 公務災害打合せ会 6.11 電子スピン共鳴吸収装置図面検討会 6.19 諸工事施行に伴なう警備打合せ会 6. 23 25 }一般定期健康診断 7. 2 職員医務室診療打合せ会 7. 7 中曽根長官当所施設を視察 7.18 各省直轄研究所連絡協議会世話人補佐官会議 7. 28 33年度会計実地検査 7. 30 アイソトープ,トリウム関係警備打合せ会 年 月 事 項 34.10.17 ハゼ釣大会(レクリエーション) 10. 21 22 }35年度上級技術職員採用選抜試験 10. 23 クリープ精密測定実験庁舎完成に伴ない移転完了 11.13 金属材料研究連絡部会 12. 7 所内庭球大会(レクリェーション) 12.15 掲示物等の取扱に関する規程(所長達第4号) 35. 2. 29 3.1 } 34年度会計実地検査 3. 4 34年度人事院任用監査 3.15 事務分掌規程(所長達第1号)(主任研究官設置) 3. 23 オーストリア鉄鋼研究所クレイナ氏来所 3. 25 ソヴイエト連邦科学アカデミー金属物理研究所長外3名来所 3. 31 ベルギー,ブリュッセル大学教授,国際非破壊会議第1回会長国際熔接学会第5部長,オメ ス博士来所 3. 31 イタリー,ミラノ工科大学モラビア教授来所 4.1 事務分掌規程(所長達第2号) 4. 5 ドイツ,マックス•プランク鉄鋼研究所マッハ,ラウハ博士来所 4. 8 第2回金属材料研究連絡会 4. 23 所内一般公開 6. 6 職員名札はい用規程(所長達第3号) 6.16 クリープ試験懇談会開催 6. 20 鉄鋼関係懇談会開催 6. 22 非鉄金属関係懇談会開催 6. 23 28 30 }一般定期健康診断 7.1 創立記念各部対抗野球大会(於国分寺グランド) 7. 4 研究実習希望者の取扱について(所長達第6号) 7. 22 化学実験庁舎完成に伴ない移転完了 9. 6 放射性同位元素の使用承認 8. 8~11 35年度会計実地検査 8. 31 クリープ試験に関するアンケート実施 9.15 9.16 }第2回所内研究報告会 10.1 金属材料技術研究所防火規程(所長達第7号) 10.1 消防隊の運営について(所長達第8号) 10.1 金属材料技術研究所放射線障害予防規程(所長達第9号) 10.12 橋本所長世界冶金学会年次大会に出席のため渡仏(10.12~11.23) 10.17~20 所内庭球大会 10. 30 釣大会(レクリエーション) 11.19 所内囲碁大会 11.22 「疲労試験に関するアンケート」実施 12.15 金属材料技術研究所研究実施手続規定(所長達第10号) 年 月 事 項 36.1.21 池田科学技術庁長官来所 2. 3 溶接粉末実験庁舎完成に伴ない移転完了 3.16 3.17 }第3回所内研究報告会 3.18 クリープ試験機に関する検討会開催 6. 20 鉄鋼懇談会開催 6. 21~24 35年度会計実地検査 6. 22 非鉄金属懇談会開催 7. 4 月例所内硏究報告会 五 年 の あ ゆ み 発行・金属材料技術研究所 東京都目黒区中目黒2-300 ;印刷・奥村印刷株式会社 電話(712) 3181(代) 電話(291)6641 1961年7月20日