目 黒 の 思 い 出 金 属 材 料 技 術 研 究 所 題 字 金 属 材 料 技 術 研 究 所 元 技 術 課 長 小 方 実 金材技研全景(西方からの航空写真S55年頃) 南西から見た金材技研(スタンレー屋上から.H5年) 正門と14号庁舎(管理庁舎) 変電所前から見た正面方面 30号庁舎 24号庁舎 10 号 庁 舎 ( 守 衛 所 ・ 車 庫) 31 号 庁 舎 ( 材 強) 34 号 庁 舎 ( 工 作) 35 号 庁 舎 ( 製 錬) 36 号 庁 舎 (R I ) 16 号 庁 舎 ( 特 高) 20号庁舎(物品倉庫、木工) 21号庁舎(非破壊・工業化) 22号A庁舎(100キロプラント) 22号B庁舎(製錬、工業化) 23号庁舎(交換室、10キロプラント) 25号庁舎(旧トリウム実験棟) 26号庁舎(低温) 27号庁舎(食堂) 50号庁舎(クリープ) 51号庁舎(疲れ) 材料試験施設 目 黒 の 思 い 出 金 属 材 料 技 術 研 究 所 目 黒 の 思 い 出 集 の 刊 行 に 当 た っ て 金 属 材 料 技 術 研 究 所 長 新 居 和 嘉 社 史 ほ ど 読 ま れ な い 本 は な い と 言 わ れ て い ま す 。 実 際 、 私 の と こ ろ に も い ろ ん な 企 業 、 法 人 な ど か ら 「… … 三 十 年 史 」 や 「… … 五 十 年 の 歩 み 」 な ど が 送 ら れ て き ま す が 、 ほ と ん ど 読 ま ず に 本 棚 に 直 行 で す 。 我 々 の 研 究 所 も 十 年 、 二 十 年 な ど の 節 目 ご と に 「○ 年 の 歩 み 」 と い う 本 を 出 し 配 布 し て お り ま す が 、 多 分 読 ま れ て い な い だ ろ う な と 危 惧 し て お り ま す 。 し か し ま れ に で す が 、 研 究 者 が 史 料 と し て 使 う こ と が あ り ま す 。 将 来 、 日 本 の 国 立 研 究 所 の 変 遷 を 書 く 人 が い た ら 我 々 の 「○ 年 の 歩 み 」 は 大 い に 役 立 つ は ず で す し 、 資 料 と し て 残 し て お く 必 要 は あ る か と 思 っ て お り ま す 。 さ て 、 今 回 の 筑 波 移 転 を 契 機 に 二 冊 の 本 が 出 さ れ ま す 。 一 冊 は 筑 波 移 転 の 経 緯 を 研 究 所 と し て 正 式 に 記 録 し た も の で 、 い わ ば 正 史 に 当 た る も の で す 。 も う 一 冊 は 本 書 で 、 「 目 黒 の 思 い 出 を の こ そ う 会 」 の 方 々 が 苦 労 し て 編 集 さ れ た も の で す 。 こ の 本 は 約 四 十 年 に わ た る 目 黒 時 代 の 思 い 出 を 、 研 究 、 行 事 、 サ ー ク ル な ど に 分 類 し て 、 O B や 現 役 の 方 に 書 い て も ら っ た も の で 、 研 究 所 が 節 目 ご と に 出 し て い た 「○ 年 の 歩 み 」 を 研 究 所 の 正 史 と し ま す と 、 こ れ は 野 史 に 当 た り ま す 。 一 般 的 に 言 っ て 、 野 史 の 方 が お も し ろ く 読 ま れ ま す 。 正 史 は 国 家 、 政 府 な ど で 編 集 し た 歴 史 で し て 、 資 料 と し て の 価 値 が あ り 、 保 存 し て お く 必 要 が あ る か も し れ ま せ ん が 、 面 白 く 読 む も の で は あ り ま せ ん 。 こ れ に 対 し て 野 史 の 方 は 民 間 で 撰 述 し た 歴 史 で 、 我 々 が コ ー ヒ ー で も 飲 み な が ら 、 面 白 く 読 む も の で す 。 こ の 原 稿 を 依 頼 さ れ た と き 、 す で に 集 ま っ て い る 原 稿 の コ ピ ー を 二 、 三 い た だ き 読 ん で み ま し た が 、 野 史 と し て の 期 待 に た が わ ず 面 白 い も の で し た 。 私 は 昭 和 三 十 二 年 四 月 に 当 研 究 所 に 入 所 し て お り ま す の で 、 す で に 三 十 八 年 以 上 が 経 過 し て お り ま す 。 ま た 正 史 の 方 は 私 自 身 編 集 に 携 わ っ た こ と も あ り ま す の で 、 そ こ に 書 か れ て い る こ と は 大 体 知 っ て お り ま す が 、 こ の 本 に 出 て く る よ う な 話 は 初 め て 聞 く 話 だ ら け で す 。 そ れ ら を 読 ん で お り ま す と 、 筆 者 の 顔 が 浮 か び 、 そ れ に 連 れ て 私 自 身 の 思 い 出 も よ み が え り 、 本 当 に 懐 か し い 気 が し て き ま す 。 こ の よ う な 面 白 い 本 を 企 画 し 写 真 を 集 め 、 編 集 し て 下 さ っ た 方 々 の ご 苦 労 に 心 よ り 感 謝 い た し ま す 。 ま た 少 し だ け 言 い 訳 を い わ せ て い た だ き ま す と 、 O B の 方 々 が 非 常 に 沢 山 お ら れ ま す の で 全 員 に 書 い て も ら う 訳 に は い き ま せ ん で し た 。 折 角 の 楽 し い 思 い 出 、 面 白 い 話 を お 持 ち の 方 も 多 い と 思 い ま す が 、 そ れ を 書 く 機 会 を ご 提 供 で き な か っ た こ と を お 詫 び 申 し 上 げ ま す 。 な ん と い っ て も 、 内 容 に バ ラ ン ス を 欠 く の は 野 史 の 常 で す し 、 だ か ら 面 白 い の だ と も 言 え ま す 。 目 次 目 黒 の 思 い 出 金 属 材 料 技 術 研 究 所 目 黒 の 思 い 出 集 刊 行 に 当 っ て 金 属 材 料 技 術 研 究 所 長 新 居 和 嘉 2 金 属 材 料 技 術 研 究 所 創 立 の こ ろ 金 属 材 料 技 術 研 究 所 創 立 当 時 の 思 い 出 上 野 學 12 金 材 技 研 の 三 十 八 年 奥 寺 哲 平 15 研 究 の 思 い 出 珪 素 鋼 板 研 究 の 思 い 出 田 岡 忠 美 20 ト リ ウ ム 実 験 棟 で の 研 究 河 村 和 孝 23 超 電 導 と 私 太 刀 川 恭 治 25 キ ュ ポ ラ の 思 い 出 牧 口 利 貞 27 高 速 衝 撃 鍛 造 機 「ダ イ ナ パ ッ ク 」 池 田 定 雄 30 男 た ち の 熱 き 思 い 出 ・ 連 続 製 鋼 実 験 ( 寄 せ 書 き ) 連 続 製 鋼 事 始 め 中 川 龍 一 33 熱 い 思 い 出 三 井 達 郎 33 思 い 出 あ れ こ れ 市 村 正 治 34 思 う こ と 上 田 卓 弥 35 何 十 分 の 一 か の 連 続 製 鋼 実 験 尾 崎 太 35 球 は や っ ぱ り 理 想 の 形 状 か !? 佐 藤 彰 35 熱 き 男 達 の 夢 も の が た り 上 原 功 36 苫 小 牧 の こ と 福 澤 章 36 連 続 製 鋼 思 い 出 カ ル タ 吉 松 史 朗 37 流 動 還 元 実 験 の 思 い 出 田 中 稔 38 溶 解 加 工 設 備 の 設 置 と 運 転 ( 寄 せ 書 き ) 三 井 達 郎 41 百 キ ロ 高 周 波 溶 解 炉 の 設 置 と 運 転 尾 澤 正 也 41 二 ト ン エ ル ー 式 電 弧 炉 の 設 置 と 運 転 神 谷 昂 司 42 五 百 ト ン 油 圧 鍛 造 プ レ ス の 設 置 と 運 転 渡 辺 敏 43 エ ア ハ ン マ ー 防 震 基 礎 の 思 い 出 木 村 勝 美 44 実 験 用 圧 延 機 の 設 置 と 運 転 持 田 忠 明 44 熱 処 理 設 備 の 設 置 と 運 転 倉 部 兵 次 郎 45 セ ン ジ ミ ア ミ ル 信 木 稔 47 プ ラ ネ タ リ ー ミ ル 回 想 雑 録 田 頭 扶 51 30 号 庁 舎 ・ 溶 接 実 験 場 の 思 い 出 中 村 治 方 54 日 本 初 の 電 子 ビ ー ム 溶 接 機 人 江 宏 定 56 ク リ ー プ デ ー タ シ ー ト プ ロ ジ ェ ク ト の 思 い 出 ( 座 談 会 ) 河 田 和 美 横 井 信 池 田 定 雄 田 中 千 秋 門 馬 義 雄 山 崎 政 義 59 疲 れ デ ー タ シ ー ト 作 成 計 画 と 実 行 太 田 昭 彦 66 ド ・ ハ ー ス‐ フ ァ ン ・ ア ル フ ェ ン 効 果 測 定 装 置 青 木 晴 善 68 研 究 ・ そ の も の で は な い け れ ど 大 プ ロ 原 子 力 製 鉄 を 担 当 し て ― 初 仕 事 は 研 究 組 合 づ く り か ら ― 小 池 喜 三 郎 72 原 子 力 行 政 官 と し て 本 庁 へ 出 向 し て 永 田 徳 雄 73 環 境 庁 公 害 防 止 研 究 に 参 加 し て 牧 口 利 貞 76 筑 波 移 転 第 一 次 案 の 裏 話 郡 司 好 喜 77 要 覧 表 紙 デ ザ イ ン の 思 い 出 細 井 祐 三 78 管 理 部 技 術 課 の 目 黒 時 代 大 島 一 男 80 施 設 係 の 思 い 出 栗 原 敏 夫 84 し の び 音 も ら す 後 藤 建 次 郎 86 こ ん な 行 事 も あ り ま し た 創 立 十 周 年 記 念 講 演 会 の 舞 台 裏 古 林 英 一 92 創 立 十 周 年 記 念 文 化 祭 の 思 い 出 小 川 弘 94 「中 学 生 の た め の 金 属 教 室 」 の 生 い 立 ち 武 井 厚 99 ソ フ ト ボ ー ル 大 会 大 場 敏 夫 101 E X P O 85 ビ デ オ 岸 本 哲 103 同 好 会 、 サ ー ク ル は 花 盛 り 戸 部 ゴ ル フ 教 室 は じ ま り の 頃 戸 部 健 次 郎 108 研 球 会 の 思 い 出 稲 垣 道 夫 109 野 球 部 栄 光 の 足 跡 福 島 孟 111 卓 球 部 の 思 い 出 中 野 恵 司 113 金 材 技 研 テ ニ ス 部 創 設 の 頃 郡 司 好 喜 116 バ レ ー ボ ー ル 部 バ レ ー 部 創 設 期 編 笠 原 和 男 119 バ レ ー 部 合 宿 編 松 本 文 明 120 バ ド ミ ン ト ン 部 佐 藤 俊 司 121 金 材 技 研 乗 馬 部 、 青 春 の 日 々 西 島 敏 123 釣 り 同 好 会 の 思 い 出 高 橋 旦 征 127 空 手 部 の 思 い 出 上 原 功 129 N R I M ス キ ー 同 好 会 太 田 口 稔 131 目 黒 で の サ ッ カ ー 菊 池 武 丕 児 134 「 ジ ョ ギ ン グ 部 」 と そ の 後 小 方 実 137 ヨ ッ ト 作 り こ ぼ れ 話 雀 部 謙 139 ウ ォ ー キ ン グ 同 好 会 田 村 良 雄 143 ダ ン ス 同 好 会 の 想 い 出 � � 方 政 行 146 囲 碁 ク ラ ブ 目 黒 の 思 い 出 栗 原 豊 146 茶 道 同 好 会 武 井 厚 148 フ ラ ワ ー ソ サ エ テ ィ の 半 生 記 板 垣 孟 彦 151 盆 栽 研 究 会 の 思 い 出 福 田 豊 153 華 道 同 好 会 の 思 い 出 西 岡 英 子 154 尺 八 同 好 会 宮 代 寛 156 バ ロ ン 会 魚 津 良 雄 159 あ れ も 思 い 出 、 こ れ も 思 い 出 フ ラ ン ス 鉄 鋼 研 究 所 ( I R S I D ) 留 学 記 舟 久 保 𤋮 康 162 防 衛 庁 丸 池 で の 水 泳 河 村 和 孝 164 金 材 技 研 の 思 い 出 国 吉 昭 一 郎 165 靖 心 寮 の 思 い 出 小 川 弘 166 昔 、 目 黒 に は 池 が あ っ た 宮 崎 秀 子 171 わ が 青 春 の お で ん パ ー テ ィ 村 田 正 治 173 屋 上 ソ フ ト ボ ー ル 、 テ ニ ス の 思 い 出 田 中 秀 雄 174 昼 行 燈 福 薗 栄 蔵 176 目 黒 の 雑 草 松 島 志 延 179 目 黒 で 観 察 し た 鳥 千 葉 実 184 界 隈 今 昔 内 田 信 之 186 二 人 の 恵 比 寿 打 越 哲 郎 中 山 幸 技 190 思 い 出 の 写 真 鈴 木 俊 一 宮 崎 昭 光 佐 藤 守 夫 193 年 表 221 目 黒 の 思 い 出 を の こ そ う 会 の 思 い 出 田 中 千 秋 230 編 集 後 記 雀 部 謙 233 ( 各 筆 者 毎 の 文 末 括 弧 書 き は 筆 者 の 最 終 所 属 部 署 と 全 勤 続 期 間 で す 。 期 間 不 記 載 は 現 職 員 。 ) 金 属 材 料 技 術 研 究 所 創 立 の こ ろ 金 材 技 研 創 立 当 時 の 思 い 出 上 野 學 一 、 金 材 技 研 創 立 前 後 の 経 緯 第 二 次 大 戦 中 日 本 産 業 は 徹 底 的 に 破 壊 さ れ 、 戦 後 の 日 本 経 済 は 疲 労 困 ぱ い の 極 に 達 し て い た 。 生 産 や 輸 送 は 麻 痺 状 態 と な り 、 国 民 は 食 料 難 と イ ン フ レ に あ え い で い た 。 特 に 航 空 機 産 業 は 破 壊 さ れ 、 生 産 施 設 の 賠 償 指 定 に よ り 完 全 に 存 在 し な く な っ て い た 。 ま た 、 戦 争 中 大 学 の 工 学 部 に 設 置 さ れ て い た 航 空 学 科 は 廃 止 さ れ 、 日 本 の 将 来 に は 航 空 機 産 業 の 発 達 は 望 め な い よ う な 時 期 が 昭 和 二 十 年 代 で あ っ た 。 だ が 、 こ の 時 期 、 基 礎 産 業 の 傾 斜 生 産 、 米 国 の 対 日 占 領 政 策 の 大 転 換 、 朝 鮮 動 乱 の 勃 発 、 賠 償 問 題 の 解 決 等 に よ り 、 民 間 の 重 化 学 工 業 に て 合 理 化 計 画 が 策 定 さ れ 、 外 国 技 術 の 導 入 な ど が 盛 ん に 行 わ れ る 状 態 に な っ た 。 昭 和 二 十 八 年 当 時 、 通 商 産 業 省 傘 下 の 工 業 技 術 院 ( 国 立 の 試 験 研 究 機 関 の 総 括 官 庁 ) の 諮 問 委 員 会 で あ る 工 業 技 術 協 議 会 で 、 日 本 の 試 験 研 究 機 関 の あ り 方 が 検 討 さ れ た 。 そ の 結 果 、 原 子 力 の 平 和 利 用 に 関 す る 原 子 力 研 究 所 、 日 本 の 航 空 機 産 業 の 発 展 を 考 え た 航 空 研 究 所 、 お よ び こ れ ら の 産 業 に 使 用 さ れ る 材 料 の 開 発 を 実 施 す る 材 料 研 究 所 の 設 置 が 計 画 さ れ 、 こ れ ら の 研 究 所 の 総 括 官 庁 と し て 科 学 技 術 庁 が 昭 和 三 十 年 に 発 足 し た 。 こ の 当 時 、 小 生 は 、 工 業 技 術 院 傘 下 の 機 械 試 験 所 ( 現 在 の 機 械 技 術 研 究 所 ) の 第 五 部 ( 材 料 関 係 の 試 験 研 究 を 担 当 ) 河 田 和 美 部 長 の も と で 、 主 任 研 究 員 と し て 軸 受 鋼 の 研 究 を し て い た 。 多 分 昭 和 三 十 一 年 一 月 ご ろ 、 初 年 度 予 算 一 億 円 、 定 員 四 十 人 の 材 料 研 究 所 の 設 置 が 決 定 し た と の 情 報 が 所 内 で 流 れ た 。 そ し て 、 定 員 四 十 名 の う ち 二 十 名 が 機 械 試 験 所 よ り 出 向 す る こ と に な っ た 。 そ こ で 同 じ 研 究 室 の 中 川 龍 一 博 士 、 津 谷 和 男 博 士 と 相 談 し て 、 河 田 部 長 に 出 向 者 に 加 え て も ら う よ う 申 し 入 れ た こ と を 覚 え て い る 。 昭 和 三 十 一 年 五 月 に 初 代 所 長 と し て 、 故 橋 本 宇 一 博 士 ( 元 都 立 工 業 奨 励 館 長 ) が 推 薦 さ れ た こ と を 聞 か さ れ た 。 そ の 時 期 、 河 田 部 長 よ り 橋 本 初 代 所 長 に 面 接 す る た め 同 行 す る よ う に 求 め ら れ 、 始 め て 橋 本 所 長 に お め に か か っ た 。 所 長 は 新 し い 研 究 所 の 名 称 を 材 料 研 究 所 、 ま た は 材 料 科 学 研 究 所 と し た い と の 意 見 を 述 べ ら れ て い た 。 し か し 、 科 学 技 術 庁 の 反 対 で 実 現 は 出 来 な か っ た 。 そ れ は 多 分 無 機 材 料 研 究 所 の 設 置 を 考 え て の こ と だ と 、 後 か ら 判 明 し た 。 そ れ で 名 称 は 「金 属 材 料 技 術 研 究 所 」 と し て 、 昭 和 三 十 一 年 七 月 一 日 に 発 足 し た 。 機 械 試 験 所 よ り 出 向 し た 技 官 は 、 河 田 和 美 、 故 三 橋 鉄 太 郎 、 故 吉 田 進 、 故 田 中 龍 男 、 上 野 學 、 中 川 龍 一 、 津 谷 和 男 、 木 村 勝 美 、 故 荒 本 喬 、 吉 田 秀 彦 、 細 井 祐 三 、 俣 野 宣 久 、 横 井 信 、 渡 辺 亨 、 中 島 宏 興 、 故 田 村 皖 司 、 磯 野 譲 、 大 庭 幸 夫 、 村 松 晃 、 川 瀬 晃 、 池 田 清 一 ( 敬 称 略 ) の 諸 氏 で あ る 。 発 足 当 日 、 出 向 者 は 科 学 技 術 庁 に 集 合 し 、 橋 本 所 長 よ り 研 究 所 の 構 想 の 講 話 を 拝 聴 し た 。 新 研 究 所 は 、 管 理 部 と 研 究 四 部 の 組 織 に て 発 足 し た 。 管 理 部 は 企 画 課 と 庶 務 課 で 構 成 さ れ 、 初 代 部 長 は 戸 部 健 次 郎 氏 、 庶 務 課 長 は 石 井 義 馬 氏 で 、 企 画 課 長 の 適 任 者 が い な い の で 、 河 田 和 美 部 長 が 代 行 し 、 上 野 学 が 課 長 補 佐 、 細 井 祐 三 氏 が 係 長 と し て 、 こ れ か ら の 研 究 企 画 を 初 代 所 長 の も と で 推 進 す る こ と に な っ た 。 研 究 四 部 の 部 長 と し て 、 東 大 よ り 故 小 西 芳 吉 教 授 ( 兼 任 ) 、 東 北 大 学 ・金 研 よ り 故 柳 原 正 部 長 、 機 械 試 験 所 よ り 河 田 和 美 部 長 、 八 幡 製 鉄 株 式 会 社 よ り 故 遠 藤 勝 次 郎 部 長 お よ び 科 学 研 究 官 と し て 東 大 教 授 故 小 川 芳 樹 先 生 ( 兼 任 ) が 推 薦 さ れ 、 ト ッ プ の 陣 容 が 定 ま り 、 新 研 究 所 が 発 足 し た 。 第 一 に 、 新 研 究 所 の 設 置 場 所 を 何 処 に す る か が 問 題 で あ る 。 そ れ で 戸 部 部 長 と 同 行 し て 、 大 蔵 省 管 財 局 に て 末 使 用 国 有 地 を 調 査 し て 、 研 究 防衛庁側から見た開所当時の金材技研 部 長 会 議 の 決 議 に よ り 中 目 黒 の 旧 海 軍 技 術 研 究 所 跡 の 約 三 万 五 千 坪 を 要 求 し た が 、 予 算 規 模 で は 大 き 過 ぎ る と し て 、 現 在 の 一 万 五 千 坪 以 下 の 国 有 地 が 新 研 究 所 の 敷 地 に な っ た 。 こ の 敷 地 は 、 旧 海 軍 技 術 研 究 所 時 代 魚 雷 の 研 究 を し た 場 所 だ と の こ と で 、 敷 地 の な か に 大 き な 池 が あ り 、 過 酸 化 水 素 燃 料 に よ る 無 航 跡 の 研 究 で 素 晴 ら し い 成 果 を 上 げ た 場 所 で あ っ た 。 新 研 究 所 と し て は 、 敷 地 は 狭 い が 、 将 来 研 究 開 発 の 成 果 が 上 が る 運 の 良 き 場 所 で は な い か と 考 え ら れ た 。 現 在 の 金 属 材 料 技 術 研 究 所 の 業 績 発 展 を 見 る と 、 良 き 場 所 を 選 択 し た の で は な い か と 思 っ て い る 。 第 二 に 重 要 な こ と は 、 新 研 究 所 の 人 材 採 用 方 針 に つ い て で あ る 。 橋 本 所 長 の 考 え は 全 国 の 大 学 か ら 優 秀 な 研 究 者 を 集 め る こ と だ っ た 。 そ の た め 、 所 長 自 身 全 国 の 大 学 に 足 を 運 ば れ た こ と を 記 憶 し て い る 。 こ の こ と は 、 金 材 研 の 将 来 に と っ て 非 常 に 良 か っ た と 考 え て い る 。 も し 、 二 、 三 の 大 学 で 研 究 者 を 集 め て い た な ら ば 、 組 織 は 硬 直 し て 、 現 在 の よ う な 研 究 者 は 集 ま ら な か っ た も の と 思 う 。 初 年 度 に は 、 東 北 大 学 よ り 柳 橋 哲 夫 博 士 、 東 京 工 大 よ り 依 田 連 平 博 士 、 名 古 屋 大 学 よ り 稲 垣 道 夫 博 士 、 京 都 大 学 よ り 足 立 正 雄 博 士 、 故 木 村 啓 造 博 士 、 お よ び 岩 元 兼 敏 博 士 が 研 究 者 と し て 新 研 究 所 の 戦 力 に 加 わ っ た 。 初 年 度 は 僅 か 四 十 名 の 陣 容 だ っ た が 、 全 員 が 立 派 な 金 属 材 料 技 術 研 究 所 を 造 る の だ と 意 気 軒 昂 と し て い た 。 第 三 と し て 重 要 な こ と は 、 昭 和 三 十 二 年 度 研 究 予 算 の 獲 得 で あ る 。 小 生 は 企 画 課 長 補 佐 と し て 、 所 長 、 河 田 部 長 と 相 談 し て 、 科 学 技 術 庁 に 提 出 す る 予 算 書 の 作 成 に 全 力 を 注 い だ 。 こ の 時 の 細 井 係 長 お よ び 横 井 信 氏 の 協 力 に 感 謝 を 申 し 上 げ る 。 な お 幸 運 な こ と に 、 科 学 技 術 庁 調 整 局 に 小 生 の 大 学 の 一 年 先 輩 の 阿 部 和 男 氏 が 課 長 と し て 活 躍 し て い て 、 新 研 究 所 の 発 展 を 全 面 的 に 支 援 し て い た だ い た 。 昭 和 三 十 一 年 十 二 月 の 師 走 は 、 大 蔵 省 へ の 予 算 書 の 説 明 と 内 示 が あ る 重 要 な 時 期 で あ り 、 こ の 時 期 の 橋 本 所 長 の 活 躍 は 見 事 で あ っ た 。 二 、 橋 本 初 代 所 長 の 思 い 出 十 二 月 暮 れ に は 、 未 だ 研 究 所 の 管 理 庁 舎 は 暖 房 設 備 が 充 分 で な い の で 、 夜 間 は 民 間 の 宿 屋 に て 管 理 部 の 担 当 者 は 待 機 し て い た 。 当 時 の 金 属 材 料 技 術 研 究 所 の 予 算 査 定 の 主 査 は 、 大 蔵 省 主 計 局 の 故 鳩 山 威 一 郎 主 計 官 で あ っ た 。 そ し て 、 橋 本 所 長 が 主 計 官 に 対 し て 新 研 究 所 の 第 二 年 度 目 の 研 究 予 算 書 の 説 明 を 行 っ た 。 大 蔵 省 よ り 内 示 が あ り 、 経 費 が 約 二 億 円 で 、 定 員 が 四 十 名 増 で あ っ た と 記 憶 し て い る 。 所 長 は こ の 予 算 で は 不 満 で あ る と し て 、 宿 屋 で 仮 眠 し て い た 小 生 を 夜 中 の 十 一 時 頃 起 こ し て 、 大 蔵 省 に 同 行 す る よ う 命 じ ら れ た 。 所 長 は 、 鳩 山 主 計 官 に 、 内 示 の 経 費 で は 不 足 で あ る 事 を 長 々 と 説 明 し た 。 そ の 結 果 、 原 子 力 研 究 所 に 内 示 し て い た ク リ ー プ 試 験 機 数 台 、 約 一 千 二 百 万 円 を カ ッ ト し て 、 金 属 材 料 技 術 研 究 所 の 予 算 に 振 り 替 え て 内 示 し て 頂 い た 。 小 生 は 予 算 に つ い て 始 め て の 経 験 な の で 、 主 計 官 の 処 置 で 問 題 は な い も の と 思 っ て い た 。 し か し こ れ が 後 で 問 題 と な り 、 原 子 力 研 究 所 か ら 科 学 技 術 庁 に ク レ ー ム が 入 り 、 科 学 技 術 庁 よ り 叱 責 を 受 け た 。 小 生 は 、 約 一 千 二 百 万 円 は 原 子 力 研 究 所 の 内 示 し た 予 算 で は な い と 思 っ て い た と 弁 明 し て そ の 場 を 切 り 抜 け た 。 そ の 予 算 は 、 金 属 材 料 技 術 研 究 所 二 十 年 の あ ゆ み の 資 料 2 ・ 5 事 項 別 予 算 額 推 移 表 に よ る と 、 三 十 二 年 度 の ( 項 ) 国 立 機 関 原 子 力 試 験 研 究 費 の 一 千 二 百 万 円 で あ る 。 こ の 予 算 が 金 材 研 に 内 示 さ れ た 結 果 、 そ れ 以 降 も 毎 年 こ の 項 目 に 予 算 が 内 示 さ れ 、 三 十 二 年 度 よ り 五 十 一 年 度 ま で に 合 計 十 二 億 四 千 百 十 八 万 七 千 円 に 達 し た 。 研 究 所 の 人 件 費 を 除 い た 特 別 経 費 累 計 の 約 九 % に 相 当 す る 。 現 在 の 世 界 一 の 規 模 を 誇 る ク リ ー プ 試 験 設 備 の 完 成 も 、 故 橋 本 初 代 所 長 の 初 期 予 算 獲 得 の 手 腕 に よ る 功 績 が 非 常 に 大 き い の で あ る と 思 う 。 後 日 談 と し て 私 事 を 述 べ さ せ て 頂 き た い 。 小 生 は 昭 和 三 十 六 年 六 月 に 金 材 研 を 退 職 し 、 富 土 製 鉄 、 新 日 本 製 鉄 、 長 岡 技 術 科 学 大 学 を 経 て 、 広 島 工 業 大 学 の 大 学 院 の 教 授 と し て 勤 務 し て い た 折 り 、 大 阪 大 学 の 名 誉 教 授 国 富 信 彦 先 生 が 広 工 大 の 教 授 と し て 勤 務 さ れ て い た 。 あ る 日 の 昼 食 時 、 国 富 先 生 が 初 期 原 子 力 研 究 所 の 研 究 員 と し て 勤 務 し て い た こ と に 話 し が 及 び 、 小 生 が ク リ ー プ 試 験 機 数 台 の 予 算 を 原 子 力 研 究 所 の 内 示 よ り 金 材 研 に 移 し た 行 動 に 参 画 し た こ と を 述 ベ 、 失 礼 な こ と を し た と 話 し た と こ ろ 、 そ の 予 算 は 国 富 先 生 が 計 画 さ れ 、 申 請 さ れ た こ と を 述 べ ら れ 、 運 命 の 巡 り 合 わ せ の 不 可 思 議 さ を お 互 い に 実 感 し 、 苦 笑 し た 。 ( 第 一 部 S 3 1 ・ 7 ・1 ~3 6 ・ 6 ・3 0 ) 目黒開所当時の全景 昔 の 守 衛 所 金 材 技 研 の 三 十 八 年 奥 寺 哲 平 昭 和 三 十 一 年 七 月 一 日 、 金 材 技 研 の 開 所 式 に か し こ ま っ て 参 列 し た 時 の こ と を 、 今 で も よ く 憶 え て お り ま す 。 六 月 の 中 頃 、 工 業 技 術 院 か ら 七 月 に 設 立 さ れ る 金 材 技 研 に 出 向 命 令 を 受 け ま し た 。 金 材 技 研 が 出 来 る こ と は 前 か ら 聞 い て お り ま し た が 、 他 人 事 と 思 っ て い ま し た 。 私 、 新 し く ス タ ー ト す る 機 関 に 縁 が あ り 、 最 初 は 昭 和 二 十 六 年 二 月 発 足 の 公 益 事 業 委 員 会 に 採 用 さ れ ま し た 。 そ こ は 一 年 半 で 解 散 し ま し た が 、 二 十 七 年 十 月 、 通 産 省 工 業 技 術 庁 が 院 と な っ て 発 足 の 日 に 出 向 、 そ し て 当 研 発 足 の 日 に 出 向 。 新 し く 出 来 る 機 関 は 、 忙 し い 事 は 無 論 で す が 、 各 職 域 の 皆 さ ん は 希 望 を 持 っ て 立 働 き 、 そ の 活 気 に 満 ち た 雰 囲 気 は 、 何 回 経 験 し て も よ い も の で す 。 私 も そ の 一 員 と な れ ま す 事 を 光 栄 と 思 っ て い ま し た 。 開 所 式 の 前 日 、 発 足 準 備 で 忙 し い 庶 務 課 に ご 挨 拶 に 伺 い ま し た 。 既 に 五 月 に 発 足 し て い た 科 技 庁 の 二 階 大 部 屋 の 一 隅 を 衝 立 で 仕 切 っ た 所 が 、 我 が 金 材 技 研 の 城 で し た 。 皆 さ ん そ れ ぞ れ 各 省 庁 か ら の 出 向 で 、 初 顔 合 せ と の こ と で し た 。 資 源 調 査 会 、 通 産 省 、 総 理 府 、 工 技 院 、 機 械 試 験 所 ( 機 械 研 ) 等 々 。 戸 部 さ ん 、 石 原 さ ん 、 石 井 義 馬 さ ん 、 田 井 さ ん 、 斉 藤 寅 義 さ ん 、 江 藤 さ ん 、 佐 々 木 宗 夫 さ ん 、 樋 口 さ ん 。 研 究 部 の 皆 さ ん は 、 場 所 が な い の で 東 大 や 東 京 都 立 工 業 奨 励 館 等 に 分 散 し て い て 、 お 会 い 出 来 ま せ ん で し た 。 初 代 所 長 橋 本 先 生 に ご 挨 拶 に 行 く と き は 、 皆 さ ん 忙 し い か ら 一 人 で 行 っ て 、 と の こ と で 、 心 細 く も 一 人 で 所 長 室 に 出 掛 け ま し た 。 そ の 頃 の 科 技 庁 は 旧 兵 舎 の 木 造 二 階 建 が 数 棟 並 び 、 薄 暗 い 板 張 り 廊 下 を 挟 み 両 側 に 小 室 が 連 ら な っ て 部 所 の 標 示 も な く 、 困 っ て い る と 、 忙 し そ う に 歩 い て 来 る 小 柄 な 人 に 出 会 い ま し た 。 金 材 技 研 の 所 長 室 を お 尋 ね す る と 、 「 所 長 で す が … 」 慌 て て 、 出 向 の ご 挨 拶 を す る と 、 「 ま あ 堅 い こ と は い い か ら 、 こ れ か ら 仲 よ く や っ て 行 こ う よ 」 細 長 い 所 長 室 で 、 ご 自 分 の ご 経 歴 や 、 こ れ か ら の 研 究 所 の 抱 負 等 を 分 り 易 く お 話 し 頂 き ま し た 。 工 技 院 か ら の 注 意 事 項 で は 、 橋 本 先 生 は 大 変 に 偉 い 方 だ か ら そ の 積 り で 、 と の こ と で 緊 張 し て お り ま し た が 、 そ の お 人 柄 に 接 し ま し て 、 先 ず 一 安 心 で し た 。 式 の 翌 日 か ら 忙 し く 業 務 開 始 で す 。 そ の 頃 橋 本 先 生 は 五 十 代 で す か ら 、 元 気 潑 刺 、 都 内 、 近 県 を 問 わ ず 走 り 回 り 、 大 学 、 会 社 、 各 省 庁 の 訪 問 、 研 究 所 設 置 場 所 の 視 察 等 で 、 席 の 暖 ま る 暇 も な し 。 私 は そ の 間 に 各 所 に 分 散 し て い る 研 究 部 に 事 務 連 絡 の た め 、 車 か ら 離 れ る 事 が あ り ま せ ん で し た 。 そ の う ち 、 数 か 所 の 金 材 技 研 設 置 場 所 候 補 地 の 中 か ら 、 旧 海 軍 技 術 研 究 所 の エ ビ ス キ ャ ン プ に 決 定 し ま し た 。 中 野 の 警 察 学 校 跡 地 、 築 地 勝 鬨 橋 た も と の 海 軍 経 理 学 校 跡 地 等 も 候 補 に 上 が っ て い ま し た が 、 一 番 便 利 な 所 に あ る エ ビ ス に 決 り 、 喜 ん だ こ と を 思 い 出 し ま す 。 そ の 年 の 十 一 月 に 移 転 し ま し た が 、 そ の 頃 の 恵 比 寿 界 隈 は 実 に 静 か な 所 で 、 恵 比 寿 駅 か ら キ ャ ン プ 迄 は 人 影 も 24 号 庁 舎 の 前 身 ま ば ら 、 剝 げ 落 ち た 英 語 の 看 板 だ け が 残 っ た バ ー と か 土 産 物 屋 の 廃 墟 が 数 軒 並 び 、 い か に も 外 国 軍 駐 屯 地 跡 の 面 影 を 残 し て お り ま し た 。 敷 地 内 に は 海 軍 高 官 の 書 に よ る 石 碑 も 建 っ て い て 、 葉 の 落 ち た 欅 並 木 に 古 び た 研 究 棟 が よ く 似 合 う 、 落 着 い た 所 で し た 。 橋 本 先 生 と 荒 木 先 生 は 、 戦 中 に こ の 研 究 所 に お い て 魚 雷 の ス ク リ ュ ー 等 の 研 究 を し て い た と の 話 で し た 。 移 転 し た 頃 当 時 の 敷 地 内 に 残 っ て い た 建 物 は 、2 1 、2 2 、 2 3 、 3 1 、 3 4 号 等 が 大 き い 物 で 、 あ と は 油 倉 庫 と 物 置 小 屋 が 数 棟 あ る 位 で し た 。 建 物 内 部 は 、 ペ ン キ の 落 書 だ ら け 、 床 は 残 材 が 投 込 ま れ 、 廃 墟 で し た 。 食 堂 裏 の 丸 池 だ け は 手 入 れ が よ く 、 周 り の 芝 生 は グ リ ー ン の 様 に 刈 込 ま れ 、 水 は 澄 み 、 飛 び 板 も し っ か り し て お り ま し た 。 シ ビ リ ア ン が 数 名 残 っ て い た た め と の 話 で し た 。 そ の 頃 は 防 衛 技 研 も 居 な く て フ ェ ン ス も 無 く 、 我 物 顔 で あ の 広 い 構 内 を 探 検 し て 歩 き ま し た 。 5 0 号 の 裏 あ た り か ら 森 に 入 り 、 藪 を か き 分 け 小 川 を 渡 り 、 正 門 に た ど り 着 き 、 翌 日 は 西 側 か ら 一 巡 。 藪 か ら 飛 び 立 つ 雉 に 驚 き 、 鶉 を 追 い か け 、 楽 し い 毎 日 で し た 。3 0 号 の 所 は 、 ボ イ ラ ー か ら 出 る 石 炭 殻 を 敷 き 詰 め た グ ラ ウ ン ド で 、 昼 休 み に は 、 時 に 橋 本 先 生 も ま じ え て 野 球 で 暴 れ て い ま し た 。 そ の う ち に 2 4 号 が 建 ち 3 0 号 が 出 来 て 、 暴 れ る 所 が 少 な く な っ て 来 ま し た 。 研 究 所 も 充 実 し て 、 研 究 部 員 も 年 毎 に 増 え て き ま し た 。 橋 本 先 生 は 殆 ん ど 外 出 、 と い う 事 は 私 も 研 究 所 に 居 る 時 間 は あ り ま せ ん 。 数 か 月 経 つ と 知 ら な い 人 が 多 く な っ て い ま し た 。 あ る 庶 務 課 員 が 、 所 長 が 居 な く て 決 裁 が お り ず 困 る の で 、 私 か ら 所 長 に 言 っ て よ と 、 冗 談 話 に 語 り ま し た 。 私 に も か か わ る こ と な の で 、 あ る 時 先 生 に そ の 話 を し ま す と 、 笑 い な が ら 、 「 君 も 楽 に な る こ と だ し 、 午 前 中 は 外 出 し な い こ と に す る よ 」 庶 務 課 も 喜 ん だ が 、 三 日 で 元 通 り 。 橋 本 先 生 在 任 中 に 、 筑 波 移 転 の 話 が 具 体 化 し て ま い り ま し た 。 建 設 予 定 地 の 視 察 が 始 ま り 、 そ の 当 時 の 筑 波 は 遠 い 所 で 、 片 道 四 時 間 位 の 見 当 で し た 。 前 日 は 車 の 点 検 整 備 に 半 日 を 費 や し 、 ト ラ ブ ル 時 の 連 絡 法 を 決 め 、 水 杯 の 様 な 気 分 で 出 発 し た も の で す 。 早 朝 に そ れ ぞ れ 都 内 各 所 を 出 発 し 、 牛 久 沼 の あ た り で 待 ち 合 せ て 昼 食 。 橋 本 先 生 は レ ス ト ラ ン で は な く 、 車 が や っ と 通 れ る 奥 の 方 の 老 舗 に 入 り 、 私 達 は 喜 ん だ が 、 会 計 担 当 は ヒ ヤ ヒ ヤ 。 現 地 に 到 着 後 、 先 ず 建 設 省 事 務 所 に 寄 り 、 職 員 を ナ ビ ゲ ー タ — に 、 先 ず 高 層 気 像 台 の 観 側 塔 に 登 り 学 園 都 市 予 定 地 を 展 望 、 松 林 と 作 物 の 無 い 畑 ば か り で し た 。 東 京 し か 知 ら な い 私 に は 、 地 球 の 丸 さ を 感 じ る 程 に 見 え ま し た 。 土 浦 野 田 線 が 工 事 中 の 土 煙 り で 前 が 見 え ず 、 や っ と 谷 田 部 の 町 を 通 過 、 森 を 抜 け 、 畑 道 を 辿 り 、 竹 藪 の 細 道 を ガ サ ガ サ 、 車 の 両 側 は キ ヅ だ ら け に な り ま し た 。 地 図 を 見 る と 、 丸 で 囲 っ た 斜 線 が 方 々 に あ り ま す 。 聞 く と 、 雨 の 後 は 池 に な る 所 と か 。 森 の 中 の 湿 っ た 所 で 前 輪 が め り 込 む 事 も あ り ま し た 。 学 園 都 市 反 対 の 筵 旗 な ん か も 見 ま し た 。最 初 の 当 研 予 定 地 は 無 機 材 研 の 隣 り あ た り と 思 い ま す が 、 背 丈 程 の す す き の 原 で 、 水 の 無 い 用 水 路 が 通 っ て い ま し た 。 そ の 用 水 路 が 今 の 当 研 敷 地 内 に 残 っ て い る そ う で す が 、 ど の 辺 な の か 見 当 も つ き ま せ ん 。 東 大 通 り は 工 事 中 で 、 南 大 通 り も ブ ル が 忙 し く 唸 り を 上 げ 、 松 林 や 山 を 崩 し て い ま し た 。 年 月 が 経 ち 行 く 度 に 建 物 が 増 え 、 人 も 多 く な り 、 見 渡 す か ぎ り す す き の 波 と い う 所 は 少 く な っ て ま い り ま し た 。 空 は 広 く 、 楓 の 並 木 が 四 季 を 彩 り 、 今 や 金 材 技 研 も 立 派 な 研 究 棟 も 完 成 し た 今 日 、 私 が 今 少 し 年 令 が 若 か っ た ら 、 公 私 共 に 筑 波 で 暮 し て み た い と 思 い ま す 。 中 目 黒 で 産 声 を 上 げ 、 筑 波 移 転 完 了 ま で の 三 十 八 年 間 、 お 手 伝 い 出 来 ま し た 事 を 誇 り と し て こ の 先 を 過 し て 行 き た い と 思 い ま す 。 皆 様 の ご 発 展 を お 祈 り 致 し て お り ま す 。 ( 会 計 課 S 3 1 ・7 ・1 ~ H 6 ・7 ・31) 研 究 の 思 い 出 a4 O H9 a = > ~l — 19 — 珪 素 鋼 板 研 究 の 思 い 出田 岡 忠 美 は じ め に 机 の 上 に 、 千 六 百 字 詰 原 稿 用 紙 六 セ ン チ 厚 さ の 報 告 書 と 十 数 編 の 論 文 が あ る 。 昭 和 三 十 三 年 か ら 六 年 余 の 金 材 技 研 ― 八 幡 製 鉄 共 同 研 究 の 全 容 で あ る 。 研 究 員 延 べ 十 五 名 、 一 億 円 の 研 究 成 果 で 、 ウ ン ザ リ す る 量 で あ る が 思 い 出 は 尽 き な い 。 こ の 特 長 と 幾 つ か の 断 面 の 思 い 出 を ひ ろ っ て み る こ と に す る 。 一 、 動 機 入 所 翌 年 の 昭 和 三 十 三 年 、 茅 先 生 か ら 、 方 向 性 珪 素 鋼 板 に つ い て 、 八 幡 製 鉄 と の 共 同 研 究 の 申 し 出 が あ っ た 。 当 時 、 物 理 冶 金 研 究 室 の 主 テ ー マ と し て 、B C C 金 属 、 特 に 鉄 系 の 塑 性 が 決 ま っ て い た 。 ま た 、 先 に 、 理 工 研 で 商 用 珪 素 鋼 板 の 研 究 に 手 を 焼 き 、 茅 教 授 に 単 結 晶 の 圧 延 ― 再 結 晶 組 織 の 研 究 を 提 案 し た 事 が あ っ た 。 心 を 動 か さ れ な が ら も 、 重 要 テ ー マ の 責 任 の 大 き さ に 躊 躇 も 覚 え た 。 こ れ を 踏 み き ら せ て く れ た の は 、 橋 本 所 長 と 河 田 部 長 で あ っ た 。 国 立 研 究 機 関 と し て 、 大 八 幡 の 私 企 業 と 機 密 を 要 す る 共 同 研 究 を 取 り 上 げ る に は 問 題 が 多 か っ た で あ ろ う が 、 新 し き 研 究 所 の 試 案 と し て 許 可 し て く れ た 勇 断 に は 感 謝 の 外 な い 。 二 、 研 究 の 大 要 当 時 、 方 向 性 珪 素 鋼 板 に は 、 一 方 向 性 のG oss 鋼 板 の 外 に 、 二 方 向 性C ube 鋼 板 が 米 国 か ら 発 表 さ れ 、 日 本 の 鉄 鋼 各 社 は そ れ ぞ れ 開 発 態 勢 を 整 え つ つ あ っ た 。 我 々 の 目 標 は 、G oss、 C ube 鋼 板 の 外 に 、 特 殊 方 位 鋼 板 の 特 性 も 視 野 に い れ 、 少 々 気 負 っ た も の で あ っ た 。 ま た 、 国 立 研 究 所 と 私 企 業 の 研 究 の 二 重 性 格 か ら 、 基 礎 研 究 と 応 用 研 究 に 分 け た 。 前 者 に は 、 主 に 金 材 技 研 の 研 究 員 が あ た り 、 単 結 晶 か ら 、 後 者 に は 八 幡 の 研 究 員 が あ た り 、 柱 状 晶 イ ン ゴ ッ ト か ら の 圧 延 組 織 ― 再 結 晶 組 織 形 成 を 追 う こ と に し た 。 柱 状 晶 イ ン ゴ ッ ト ( 五 ~ 十 キ ロ グ ラ ム ) か ら の 研 究 は 意 欲 的 で 膨 大 な 資 料 を 残 し た が 、 私 企 業 の 研 究 の 性 格 か ら 今 も 未 発 表 、 こ こ で も 割 愛 せ ざ る を え な い 。 三 、 基 礎 研 究 ( 一) す べ り 系 と 臨 界 せ ん 断 応 力 圧 延 機 構 の 基 礎 は す べ り 系 に あ る と 考 え た 。 三% 珪 素 鉄 単 結 晶 の 〈111 〉 晶 帯 に 属 す る{110 } 、 {11 2 } 面 に 亘 る せ ん 断 応 力 が 最 大 に な る 方 位 を 選 び 、 引 張 り 試 験 の 結 果 、{11 0 }、{11 2 } 面 が す べ り 面 と し て 確 認 で き た 外 、{112} 面 の せ ん 断 応 力 は 、 双 晶 形 成 の 向 き と 逆 の 向 き で は 五 % 違 う こ と が わ か っ た 。 当 時 の す べ り 系 の 諸 説 に 明 解 を 与 え 、 高 く 評 価 さ れ た 。 B C C 金 属 の 塑 性 の 最 重 要 な 特 性 で 、 圧 延 集 合 組 織 形 成 を 考 え る 上 で 不 可 欠 で あ っ た 。 竹 内 の 考 え に よ る も の で 一 九 六 四 年 、 J P S に 発 表 さ れ た 。 ( 二) 単 結 晶 の 圧 延 ・ 再 結 晶 組 織 系 統 的 に 全 方 位 の 単 結 晶 の 圧 延 の 結 果 、 最 終 の 安 定 方 位 は 、{ 1 0 0 } 〈 0 11 〉 、{111} 〈2 11 〉 、{ 2 11 } 〈011〉 の 三 方 位 の い ず れ か で あ っ た 。 冶 金 学 者 を 驚 か せ た の は 圧 延 後 の 外 形 で 、 巾 が 伸 び た り 縮 ん だ り 、 時 に 多 角 形 で あ っ た 。 こ れ ら は 、 す べ り の 系 か ら 充 分 に 説 明 で き た 。 そ れ ぞ れ の 再 結 晶 組 織 も 特 有 な 方 位 で あ り 、G oss 方 位 は{11 1} 〈211 〉 圧 延 組 織 か ら 生 ま れ た 。 そ の 機 構 に つ い て は 、 古 林 に よ り 、 超 高 圧 電 子 顕 微 鏡 を 含 む あ ら ゆ る 技 法 で 調 べ ら れ 、 圧 延 ・ 再 結 晶 の 方 位 関 係 が 明 ら か に な っ た 。 最 初 の 論 文 は 非 常 に 遅 れ 、 圧 延 組 織 と 再 結 晶 組 織 に 分 か れ 、 一 九 六 六 年 、 一 九 六 七 年 にT rans . ISIJ に 発 表 さ れ た 。 そ れ ぞ れ 二 十 七 頁 お よ び 二 十 九 頁 の 長 い 論 文 で 、 当 時 の 学 会 誌 で は 一 括 掲 載 さ れ ず 、 六 、 七 編 に 分 け な け れ ば な ら ず 、 そ れ で は こ の 論 文 の 価 値 が 失 わ れ る 恐 れ が あ っ た 。Trans . ISIJ が 投 稿 論 文 に な っ た 初 期 、 編 集 委 員 の 好 意 に よ り 掲 載 さ れ た 。 鉄 鋼 協 会 の 俵 論 文 賞 を 受 賞 し た 。当 時 か ら 今 ま で 、 単 結 晶 の あ る 方 位 系 で の 圧 延 ・ 再 結 晶 の 論 文 は 数 え 切 れ な い が 、 本 質 的 に ど こ に 違 い が あ る の か 不 勉 強 で 分 か ら な い 。 当 時 、 米 国 の 大 学 の 講 師 、 氏 家 信 久 氏 か ら 、 論 文 別 刷 二 十 部 送 付 の 要 請 が あ っ た 。 「 大 学 院 の 再 結 晶 の テ キ ス ト と し て 最 適 」 と 。 四 、 装 置 の 開 発 こ の 広 範 な 研 究 を 能 率 よ く 進 め る に は 、 万 能 商 用 装 置 で な く 専 用 の 単 能 装 置 の 開 発 が 必 要 と 考 え 、 次 々 に 我 々 の ア イ デ ィ ア の 装 置 の 開 発 を 専 門 メ ー カ ー に 依 頼 し た 。 ま ず 、 全 方 位 の 大 き い 単 結 晶 板 の 製 作 で あ る 。 ( a ) 単 結 晶 の 製 作 装 置 、 温 度 傾 斜 炉 種 結 晶 か ら の 目 的 の 方 位 の 単 結 晶 の 製 作 法 に は 藤 原 等 が 成 功 し て い た 。 し か し 、 後 の 圧 延 条 件 を 整 え る に 必 要 な 、 巾 三 セ ン チ 、 長 さ 三 十 セ ン チ の 単 結 晶 の 製 作 に は 、 目 的 方 位 の 種 結 晶 の 揃 え 方 、 温 度 傾 斜 炉 の 特 性 と 素 材 の 前 処 理 が 一 体 と な っ て 微 妙 に 影 響 し た 。 こ れ を み ご と に 解 決 し た の は 武 内 で 、 斎 藤 に 引 き 継 が れ た 。 一 日 一 試 料 の 割 合 で 目 的 方 位 の 単 結 晶 が 製 作 さ れ た 。 素 材 は 八 幡 の 熱 延 板 で 、2.89% Si-Fe の 二 ・ 三 ミ リ 厚 と 、 2 .8 0 % Si—Fe の 、 一 ・ 六 ミ リ 厚 の そ れ ぞ れ 二 ト ン の フ ー プ で あ っ た 。 こ れ を 三 セ ン チ × 三 十 セ ン チ の 試 料 片 に 刻 み 単 結 晶 板 に し た の は 我 な が ら 驚 い た 。 金 材 研 の 単 結 晶 は 世 界 に 知 ら れ 、 見 知 ら ぬ 英 国 の 大 学 院 生 か ら 「実 験 途 中 に 珪 素 鉄 単 結 晶 を 使 い 果 た し た 。 至 急 、 か く か く の 方 位 の 単 結 晶 贈 与 さ れ た し 」 の 手 紙 が き た 。 早 速 急 送 し た の が 思 い 出 さ れ る 。 私 が 退 職 し て か ら も 、 こ う し た 引 合 い が 絶 え な か っ た と い う 。 ( b ) 傾 角 顕 微 鏡 マ イ ク ロ X 線 法 に 代 り 、 微 小 領 域 の 結 晶 方 位 を 腐 食 孔 の フ ァ セ ッ ト の 法 線 方 位 か ら 決 定 す る も の で 、 数 ミ ク ロ ン の 結 晶 方 位 を 短 時 間 で 良 い 精 度 で 決 め ら れ た 。 い わ ゆ る 光 像 法 を 手 掛 け て い た ユ ニ オ ン 光 学 で 開 発 さ れ 、 研 究 に 大 変 役 立 っ た 。 一 九 六 五 年 、J J A P な ど に 論 文 が 載 っ た が 一 九 六 八 年 、 ド イ ツ の Prak . M etal の 依 頼 論 文 と も な り 、 国 内 外 で 認 め ら れ 、 応 用 範 囲 も 拡 大 さ れ た 。 そ れ に 小 笠 、 早 川 が 寄 与 し た 。 ま た 、 金 材 技 研 特 許 実 施 第 一 号 の 名 誉 を 得 た 。 ( c ) 高 温 顕 微 鏡 再 結 晶 粒 の 成 長 の そ の 場 観 察 を 目 指 し 、 従 来 の 顕 微 鏡 の 付 属 と し て で な く 、 大 き い 試 料 の 温 度 、 雰 囲 気 等 の 制 御 範 囲 の 広 い 高 温 炉 に 顕 微 鏡 を 付 属 す る 形 の も の で あ る 。 当 初 の 目 的 は 、 表 面 の エ ッ チ ン グ の 遅 れ で 充 分 果 た せ な か っ た 。 し か し 、 高 温 で 金 属 材 料 の 種 々 の 変 化 を 直 接 見 た い と い う 素 朴 な 要 求 は 金 属 ・ 材 料 学 会 で 多 く 、 開 発 以 来 長 く ユ ニ オ ン の ブ ラ ン ド H B ― 4 と し て 販 売 さ れ た 。 主 に 大 河 内 に よ り 試 験 さ れ 、 一 九 六 三 年 にJ J A P に 発 表 さ れ た 。 ( d ) 半 自 動 差 動 熱 量 計 圧 延 し た 珪 素 鋼 板 の 内 部 エ ネ ル ギ ー の 加 熱 時 の 放 出 か ら 、 再 結 晶 機 構 を 明 ら か に す る も の で あ る 。 二 段 階 の 熱 放 出 が み ご と に 観 察 さ れ た 。 同 時 に 測 定 さ れ た 電 気 抵 抗 、 硬 度 、 降 伏 応 力 等 の 変 化 か ら 、 一 段 目 は 短 範 囲 規 則 度 の 形 成 、 二 段 目 は 回 復 ・ 再 結 晶 に よ る 転 位 の 消 滅 に よ る も の と 結 論 し た 。 学 会 で も 高 く 評 価 さ れ 、 専 門 書 に よ く 引 用 さ れ た 。 真 空 槽 内 の ガ ス 吸 着 が 結 果 を 左 右 す る の で 、 測 定 に 当 っ た 鈴 木 は 真 空 技 術 を 厳 し く 訓 練 さ れ た 。 論 文 の 英 文 も 厳 し く 直 さ れ 、 少 し 不 満 だ っ た ら し い 。 し か し 、 当 時 、 ア ク セ プ ト が 難 し か っ たActa . M etall. (1965) に 一 発 で 通 っ た の に 驚 き 、 鈴 木 は 私 に 最 敬 礼 、 研 究 態 度 も 一 変 し た 。 五 、 八 幡 製 鉄 で の 報 告 と 評 価 本 社 で の 毎 年 の 研 究 成 果 の 報 告 に は 、 茅 先 生 、 橋 本 所 長 に 八 幡 の 担 当 役 員 、 湯 川 副 社 長 、 島 村 、 武 田 専 務 の 超 豪 華 メ ン バ ー が 出 席 、 田 岡 、 今 村 が 報 告 し た 。 技 術 的 報 告 の ほ か に 、 等 方 性 鋼 材 を 目 指 し たM etallurgy で な く 、 方 向 性 鋼 材 を 目 指 す C rystal + M etallurgy = Crystallur- gy の 考 え を 強 調 し た 。 こ の 新 語 は 社 内 に 行 き 渡 り 、 そ の 後 の プ レ ス 成 形 冷 延 鋼 材 、 薄 鋼 板 の 組 織 研 究 の 起 爆 剤 と な っ た と い う の が 、 今 村 の 思 い 出 で あ る 。 詳 し い 技 術 報 告 は 八 幡 技 研 の 田 口 、 長 島 グ ル ー プ に 古 林 、 竹 内 、 今 村 が 当 た り 討 論 さ れ た 。 そ の 評 価 は ? 八 幡 の 誇 る 高 透 磁 率 方 向 性 珪 素 鋼 板 の 開 発 リ ー ダ ー 、 田 口 悟 氏 は 「 金 材 技 研 の 基 礎 研 究 が 直 接 役 立 っ た と は 思 わ な い が 、 開 発 の 方 向 の チ ェ ッ ク に な っ た 」 と 。 六 、 研 究 の 進 め 方 と 研 究 者 の 相 互 訓 練 多 人 数 の 多 岐 に 亘 る 研 究 を ど う 進 め る か は 重 要 な テ ー マ で あ っ た 。 毎 週 金 曜 日 の 研 究 連 絡 会 で 各 担 当 は 各 テ ー マ の 実 験 結 果 を 報 告 し 、 全 員 が 厳 し い 討 論 を し て 次 週 の 方 向 付 け を し た 。 各 担 当 テ ー マ に 専 心 す る と 共 に 、 研 究 全 体 の 理 解 と そ の 中 で の 位 置 付 け を 考 え る 巾 の 広 い 研 究 者 と な る こ と を 願 っ た 。 こ の 進 め 方 は 、 学 部 新 卒 が 主 力 の グ ル ー プ で は 受 け 入 れ や す か っ た 。 各 テ ー マ の 区 切 り ご と に 報 告 書 を 出 し 、 田 岡 が 修 正 し 、 系 統 的 に 全 体 の 報 告 に 組 み 入 れ た 。 美 し く 読 み や す い 字 で 克 明 に 清 書 し た の は 永 瀬 さ ん 。 こ れ が 後 の 論 文 作 成 に 役 立 っ た 。 ほ か に 、 新 し い 思 考 訓 練 も か ね て 、 転 位 論 の 基 礎 の 輪 講 も 毎 週 続 け ら れ た 。 ま た 毎 週 土 曜 日 は 物 理 冶 金 研 究 室 、 後 に 金 属 物 理 研 究 部 の 雑 誌 会 と 言 う 研 究 連 絡 、 新 論 文 の 紹 介 に 加 わ り 、 発 表 も 義 務 付 け ら れ た 。 こ の 雑 誌 会 に は 優 れ た 特 別 研 究 生 、 住 金 の 寺 崎 富 久 長 氏 、 N K K の 越 賀 房 夫 氏 、 富 士 鉄 の 岩 山 健 三 氏 等 が 参 加 し 、 討 論 の 巾 を 広 げ 質 を 高 め て く れ た 。 こ こ で 、 優 れ た 脆 性 破 壊 の 研 究 者 、 夭 折 し た 本 多 龍 吉 君 の 役 割 は 大 き か っ た 。 終 り に 恩 師 茅 誠 司 先 生 は 「 凡 そ 、 師 と 言 わ れ る 者 の 役 目 は 、 自 分 を 越 す 者 を 育 て る こ と 」 と 。 共 同 研 究 や 雑 誌 会 に 参 加 し た メ ン バ ー の そ の 後 の 研 究 成 果 、 学 会 、 教 育 界 、 産 業 界 で の 活 躍 は 良 く 知 ら れ 、 枚 挙 に 暇 が な い 。 私 が 育 て た 覚 え は な い が 、 相 互 訓 練 で 育 て ら れ た こ と に は 間 違 い な い 。 こ の 稿 を 閉 じ る に 当 た り 、 私 を 越 し て い っ た 諸 君 を 誇 り に 思 う と 共 に 、 こ の 環 境 を 与 え て く れ た 金 材 技 研 と 八 幡 製 鉄 の 関 係 者 に 深 く 感 謝 す る 。 ( 金 属 物 理 研 究 部 S 3 2 ・1 0 ・1 ~4 1 ・4 ・1 ) ト リ ウ ム 実 験 棟 で の 研 究 河 村 和 孝 大 学 院 の 指 導 教 官 の 小 川 芳 樹 先 生 が 科 学 研 究 官 を 併 任 さ れ て お ら れ た 関 係 で 、 博 士 論 文 の 一 部 ― 溶 融 塩 電 解 に よ る 金 属 ト リ ウ ム の 製 造 ― が 金 材 研 の 「 金 属 ト リ ウ ム に 関 す る 研 究 」 と し て 取 り 上 げ ら れ る こ と に な っ た 。 金 属 ト リ ウ ム を 製 造 す る と い っ て も 鉱 石 の 選 鉱 ― 粗 精 錬 ― 精 精 錬 ― 還 元 と 多 く の 工 程 が 必 要 に な る が 、 博 士 論 文 で 研 究 し た と こ ろ は 、 最 後 の 還 元 、 即 ち ト リ ウ ム フ ッ 化 物 の 溶 融 塩 電 解 の 部 分 の み で あ っ た 。 研 究 の 目 玉 は ト リ ウ ム の 一 貫 製 錬 と い う こ と で 、 韓 国 産 の ト リ ウ ム 鉱 石 ( モ ナ ズ 石 、 ト リ ウ ム 含 有 率 五 % ) を 出 発 原 料 と 決 め 、 大 方 針 を 打 ち 出 し て 見 た も の の 、 小 生 に と っ て は 未 経 験 の 分 野 が 殆 ど で あ っ た 。 そ こ で 通 産 省 の 機 械 試 験 所 ( 現 在 の 機 械 技 術 研 究 所 ) か ら 来 ら れ た 磯 野 穣 さ ん 、 東 北 大 学 選 研 ( 現 在 の 素 材 工 学 研 究 所 ) か ら 見 え た 柳 橋 哲 夫 先 生 と 金 研 か ら 来 ら れ た 黒 沢 利 夫 さ ん に ご 協 力 を お 願 い し た 。割 り 当 て ら れ た 実 験 場 所 は 2 5 号 庁 舎 ( 当 時 の ト リ ウ ム 実 験 棟 ) で 、 進 駐 軍 が こ こ を 食 堂 と し て 使 っ て い た ら し い 。 そ の 証 拠 に 小 生 が 初 め て 入 っ た と き に は 、 黒 板 に 最 後 の 食 事 の メ ニ ュ ー が 書 き 込 ま れ て い た ま ま に な っ て い た 。早 速 磯 野 さ ん と 相 談 し な が ら 放 射 性 物 質 が 取 り 扱 え る 施 設 に 改 良 す る と と も に 、 選 鉱 か ら 還 元 ま で を 行 う に は ど の よ う な 実 験 室 の 間 仕 切 り を し た ら よ い か を 考 え 設 計 を し て い っ た 。 そ の 結 果 、 特 に 実 験 室 は 口 字 型 と し 、 口 の 右 側 を 入 口 、 残 り の 三 側 面 を 大 き な ガ ラ ス で 囲 み 、 見 学 者 へ の 便 宜 を 計 っ た ら ど う か と い う こ と で 落 ち 着 い た 。 即 ち 見 学 者 は ガ ラ ス 越 し に 装 置 を 見 る こ と が で き 、 そ の 上 ガ ラ ス に よ り 見 学 者 は 放 射 性 物 質 か ら も 隔 離 さ れ 、 安 全 に 見 て 頂 け る よ う に と の 配 慮 で あ っ た 。 こ の 時 点 で 特 に 印 象 に 残 っ て い る の は 、 工 事 前 で は 放 射 性 物 質 関 連 の 経 験 が 殆 ど な か っ た 建 設 省 の 関 東 建 設 局 と の 打 ち 合 せ 、 工 事 後 で は 検 査 官 の 検 査 ( 例 え ば 放 射 性 の 塵 が た ま り 易 い ド ア の 上 縁 の 汚 染 防 止 用 塗 料 の 塗 り 具 合 等 を 調 べ る の に 鏡 を 器 用 に つ か っ て い た こ と ) 等 で あ っ た 。 他 方 、 装 置 を 入 れ る 段 に な っ て 困 っ た こ と は 、 大 き な ガ ラ ス に 高 周 波 電 力 供 給 用 ケ ー ブ ル を 通 す た め の 丸 穴 を 開 け る 作 業 で あ っ た 。 わ れ わ れ は 、 当 時 丁 度 国 鉄 の 切 符 を 購 入 す る 時 目 に す る ガ ラ ス の 窓 口 を 想 像 し て い た の で 、 ガ ラ ス の 穴 開 け は そ れ 程 大 変 だ と は 思 っ て も み な か っ た 。 と こ ろ が 横 三 メ ー ト ル 、 縦 一 メ ー ト ル も あ る ガ ラ ス に 径 三 十 セ ン チ 程 度 の 穴 を 開 け る に は 、 そ れ を 請 け 負 う 業 者 を 先 ず 見 つ け る こ と が 大 変 で あ っ た 。 や っ と 見 つ け た 業 者 が 慎 重 に 作 業 を し て 見 事 に 穴 を 開 け て く れ た 時 に は 、 思 わ ず 胸 を な で お ろ し た 。 予 算 に つ い て は 、 当 時 原 子 力 平 和 利 用 の 枠 か ら 頂 い て い た が 、 初 年 度 を 除 き 事 務 の 方 と 一 緒 に 多 く の 資 料 を 紫 色 の 風 呂 敷 に 入 れ 、 か か え て 本 庁 ま で 出 向 き 、 当 時 の 井 上 核 燃 料 課 長 は じ め 多 く の 事 務 官 に 説 明 し て 回 っ た 。 い ろ い ろ 質 問 を 受 け た が 、 こ の 時 の や り 取 り が そ の 後 の 予 算 請 求 に 非 常 に 役 立 っ た こ と は 有 難 く 、 現 在 で も 感 謝 し て い る 。 原 子 力 平 和 利 用 の 予 算 の 内 、 核 燃 料 関 係 に つ い て い う と 、 ウ ラ ン 関 係 は 通 産 省 の 電 気 試 験 所 ( 現 在 の 電 子 技 術 総 合 研 究 所 ) 、 ト リ ウ ム 関 係 は 金 材 研 と い う 線 引 き が あ っ た よ う で あ る 。 放 射 性 物 質 を 扱 う 関 係 で 管 理 区 域 が 設 け ら れ 、 実 験 室 と 居 室 が 明 確 に 区 分 さ れ 、 汚 染 除 去 室 ( 風 呂 、 シ ャ ワ ー 室 ) と 便 所 は 実 験 室 と 居 室 の 間 に 設 け ら れ て い た 。 食 堂 を 改 装 し た だ け あ っ て 天 井 は 高 か っ た ( 実 験 室 は 送 排 気 ダ ク ト が 上 に あ っ た 関 係 で 吊 り 天 井 に な り 、 多 少 低 く な っ て い た ) 。高 い 天 井 の 実 験 室 は な に か 圧 迫 感 も 少 な く の ん び り 研 究 が で き 、 よ い 考 え も 浮 か ん で き た よ う な 気 が し て 、 ト リ ウ ム 実 験 棟 は 殊 更 懐 か し く 思 い 出 さ れ る 。 ト リ ウ ム 実 験 棟 で 楽 し く 研 究 に 専 念 で き た の は 、 磯 野 さ ん を は じ め と し 、 非 常 に す ぐ れ た 新 進 気 鋭 の 武 内 、 柴 崎 、 平 山 、 中 村 、 岡 田 等 多 く の 研 究 員 に 恵 ま れ た か ら で あ っ て 、 今 で も こ れ ら の 方 々 に 深 く 感 謝 し て い る 。 た だ 放 射 性 物 質 を 扱 っ て い る 関 係 で 、 定 期 健 康 診 断 が 義 務 づ け ら れ 、 例 え ば 血 液 中 の 白 血 球 が 減 少 す る と 実 験 中 止 を 言 い 渡 さ れ た 。 研 究 へ の 情 熱 は あ っ て も 、 実 験 で き な い も ど か し さ を こ の ト リ ウ ム 実 験 棟 で 味 わ う こ と に な っ た が 、 熱 意 だ け で は 研 究 が 進 め ら れ な い 原 子 力 研 究 の 限 界 を 実 感 さ せ ら れ た 。 ( 金 属 化 学 研 究 部 S 3 3 ・4 ・1 ~4 7 ・7 ・3 1 ) 超 電 導 と 私 太 刀 川 恭 治 一 、 超 電 導 事 始 め ― ゼ ロ か ら の ス タ ー ト ( 一 九 六 二 年 度) 私 は 、 東 京 大 学 時 代 に 、 は じ め 磁 石 材 料 の 研 究 を し 、 つ い で 、 将 来 の ロ ケ ッ ト の プ ラ ズ マ 推 進 に そ な え て 、 超 高 温 プ ラ ズ マ の 発 生 や 計 測 の 研 究 を い た し ま し た 。 そ し て 、 一 九 六 一 年 、 米 国 、 M I T で 強 磁 場 の 会 議 が あ り 、 将 来 の 核 融 合 装 置 に 超 電 導 マ グ ネ ッ ト が 必 要 で あ る と い う 発 表 が い く つ か あ り ま し た 。 そ こ で 、 材 料 、 物 理 、 電 気 等 の 境 界 領 域 に あ り 、 し か も 新 し い 応 用 に つ な が る 夢 の あ る 超 電 導 に 興 味 を も ち 、 一 九 六 二 年 、 中 目 黒 に 移 り ま し て 研 究 に 着 手 し ま し た 。 そ の 当 時 は 、 わ が 国 で は 材 料 と し て の 超 電 導 の 研 究 は ま だ 全 く 行 わ れ て い ま せ ん で し た 。 ま た 、 私 自 身 も 仕 事 が 常 温 の 磁 石 か ら 超 高 温 へ 、 そ し て 極 低 温 へ と 変 っ て 、 超 電 導 に は 全 く 素 人 で し た の で 、 半 年 ほ ど 東 大 ・ 物 性 研 の 低 温 物 理 の 研 究 室 に お 世 話 に な っ て 、 低 温 実 験 の 手 ほ ど き を う け ま し た 。 一 方 、 金 材 技 研 で は 、 当 時 注 目 さ れ て い たN b —Zr 合 金 の 溶 解 や 加 工 の 研 究 に 、 は じ め か ら 私 の 助 手 を さ れ た 吉 田 勇 二 氏 と 、 他 の 研 究 を さ れ て い た 岡 井 敏 氏 ( の ち 物 性 研 → 無 機 材 研 ) に 手 伝 っ て い た だ い て 着 手 し ま し た 。 一 九 六 三 年 春 の 金 属 学 会 でN b —Zr 合 金 の 研 究 に つ い て 発 表 し た の が 、 わ が 国 で の 超 電 導 材 料 の 研 究 発 表 の 第 一 号 と な り ま し た 。 二 、 研 究 の 基 盤 固 め ( 一 九 六 三― 一 九 七 〇 年 度) 初 代 所 長 橋 本 宇 一 先 生 の 御 尽 力 で 、 超 電 導 材 料 に 関 す る 特 別 研 究 が 一 九 六 三 年 か ら ス タ ー ト し 、 初 歩 的 な 測 定 装 置 や 試 料 作 製 装 置 を 整 備 し ま し た 。 そ の 他 、 ヘ リ ウ ム の 液 化 装 置 、 ア ー ク 溶 解 炉 、 電 子 ビ ー ム 溶 解 炉 、 E P M A 等 の 必 要 な 設 備 は 別 に 研 究 所 の 共 通 設 備 と し て 設 置 さ れ て お り 、 有 効 に 利 用 さ せ て い た だ き ま し た 。 し か し 、 当 時 ま だ 、 超 電 導 マ グ ネ ッ ト は わ が 国 に は な く 、 二 十 六 号 庁 舎 の 三 テ ス ラ の 電 磁 石 に ガ ラ ス デ ュ ワ ー を か つ ぎ 上 げ て 臨 界 電 流 を 測 定 し ま し た 。 一 九 七 〇 年 頃 か ら 、 写 真 に あ る よ う な 手 づ く り の 七 テ ス ラ 超 電 導 マ グ ネ ッ ト で 測 定 す る よ う に な り ま し た 。 最 初 の 七 ― 八 年 間 で 研 究 が 軌 道 に 乗 り ま し た が 、 研 究 ス タ ッ フ と し て は 、 田 中 吉 秋 氏 、 福 田 佐 登 志 氏 ( の ち 科 技 庁 → 電 中 研 ) 、 井 上 廉 氏 及 び 吉 田 勇 二 氏 の 四 名 に 固 定 さ れ て お り ま し た 。 こ の 間 に 行 っ た 主 な 研 究 は 、 前 述 のN b —Zr 長 尺 線 の 加 工 、N b チ ュ ー ブ 法 に よ る N b 3Sn 線 の 作 製 、 拡 散 法 に よ る V 3 G a テ ー プ の 作 製 とC u の 触 媒 的 効 果手製の超電導マグネットを 運転しての実験風景 の 発 見 、 パ ル ス 磁 場 に よ る 強 磁 場 特 性 の 測 定 、 超 高 圧 TEM に よ る V 3 G a 結 晶 組 織 の 観 察 等 が あ り 、 終 り 頃 に 、 化 合 物 超 電 導 線 材 作 製 の い わ ゆ る ブ ロ ン ズ 法 の 発 明 も あ り ま し た 。 そ し て 、 一 九 六 六 年 、 わ が 国 で 開 催 さ れ た 第 一 回 の 国 際 低 温 工 学 会 議 ( 京 都 ) で 金 材 技 研 の 発 表 が 注 目 さ れ 、 国 際 的 に も デ ビ ュ ー す る こ と が 出 来 ま し た 。 こ の 間 と く に 印 象 に 残 っ た の は 、 信 木 稔 氏 に 手 伝 っ て い た だ い たN b —Zr 長 尺 線 の 加 工 で 苦 労 し た こ と 、 ま た V3 G a に 対 す るC u の 効 果 に つ い て は 自 分 で も 驚 い た ほ ど で し た 。 研 究 室 の チ ー ム ワ ー ク も よ く 、 ま た 、 当 時 の 吉 田 進 電 磁 部 長 の 御 指 導 の 下 で 楽 し く 研 究 を 進 め る こ と が 出 来 、 今 で も 印 象 深 い 時 期 と な っ て い ま す 。 毎 年 一 回 の 部 の 懇 親 旅 行 も 楽 し み に し て い た も の で す 。 三 、 発 展 期 ( 一 九 七 一― 一 九 七 八 年) こ の 期 間 は 、 前 記 の 四 氏 に 加 え て 、 戸 叶 正 氏 、 伊 藤 喜 久 男 氏 、 川 村 春 樹 氏 ( の ち 姫 路 工 大 ) 、 和 田 仁 氏 、 関 根 久 氏 、 黒 田 恒 生 氏 、 熊 倉 明 氏 、 浅 野 稔 久 氏 が 加 わ り 、 私 も 電 磁 部 長 に さ せ て い た だ い て 、 研 究 室 も 二 つ に 増 え 、 研 究 が 発 展 し た 時 期 で す 。 こ の 間 の 主 な 研 究 内 容 と し て は 、 ブ ロ ン ズ 法 に よ るV3 G a, V 3s Si, N b 3 S n 等 の 化 合 物 極 細 多 芯 線 の 開 発 と そ の 線 材 を 用 い た 世 界 最 初 の 十 テ ス ラ 超 電 導 マ グ ネ ッ ト の 作 製 、 V 3 G a 拡 散 テ ー プ を 使 っ て 筑 波 に 設 置 し た 十 七 ・ 五 テ ス ラ 超 電 導 マ グ ネ ッ ト の 作 製 、 新 し い ラ ー ベ ス 型 超 電 導 化 合 物 の 発 見 と そ の 線 材 化 の 他 、 融 体 急 冷 法 に よ る 非 晶 質 超 電 導 体 の 研 究 、 C V D 法 に よ る 高 臨 界 温 度 N b 3 G e テ ー プ の 作 製 、 超 高 圧 に よ る 新 超 電 導 物 質 の 合 成 等 、 研 究 範 囲 が 広 が り ま し た 。 お か げ 様 で 、 金 材 技 研 は 超 電 導 材 料 の 研 究 分 野 で 国 際 的 に も リ ー ド す る レ ベ ル に 達 す る こ と が 出 来 ま し た 。 と く に 印 象 深 い 思 い 出 と し て は 、 ブ ロ ン ズ 法 の 成 功 と 普 及 、 当 時 の 世 界 レ ベ ル を 抜 い た 十 七 ・ 五 テ ス ラ マ グ ネ ッ ト の 完 成 、 井 上 氏 に よ る 独 創 的 な ラ ー ベ ス 型 化 合 物 の 発 見 等 が あ り ま す 。 し か し 、 や は り 一 番 強 い 思 い 出 は 筑 波 分 室 の 設 置 で し ょ う 。 幸 い 、 超 電 導 棟 の 完 成 、 マ グ ネ ッ ト の 設 置 及 び 人 員 の 移 転 を う ま く タ イ ミ ン グ を 合 わ せ る こ と が 出 来 ま し た 。 一 九 七 六 年 一 月 、 ま だ 極 め て 不 便 な 筑 波 に 先 発 勤 務 し た 田 中 氏 、 浅 野 氏 の 辛 抱 強 さ に は 頭 の 下 が る 思 い で し た 。 同 年 に は 引 続 い て 伊 藤 氏 と 吉 田 氏 も 筑 波 分 室 に 移 り ま し た 。 つ づ い て 一 九 七 九 年 の 筑 波 一 部 移 転 に む け て 、 強 力 材 料 、 原 子 炉 材 料 及 び 電 磁 気 材 料 の 三 研 究 部 の 準 備 が 始 ま り ま し た 。 し か し 、 超 電 導 グ ル ー プ は 、 そ れ ま で も 十 七 ・ 五 テ ス ラ マ グ ネ ッ ト の 実 験 で 時 々 筑 波 に 行 っ て お り ま し た の で 、 精 神 的 に は 比 較 的 抵 抗 な く 移 転 計 画 を 進 め る こ と が 出 来 ま し た 。 七 九 年 の 筑 波 移 転 時 に は 、 超 電 導 グ ル ー プ に 竹 内 孝 夫 氏 と 飯 嶋 安 男 氏 が 加 わ り ま し た 。 四 、 お わ り に こ の あ と 超 電 導 と 私 と の か か わ り と し て は 、 筑 波 支 所 時 代 ( 一 九 七 九― 一 九 八 六 年 度) と 東 海 大 学 時 代 ( 一 九 八 七 年 度 ― 現 在 ) が あ り 、 筑 波 時 代 に も 研 究 上 の 思 い 出 が 数 多 く あ り ま す 。 し か し 、 私 と し て は 中 目 黒 時 代 の 研 究 が 一 番 な つ か し く 思 い 出 さ れ ま す 。 ふ り か え り ま す と 、 歴 代 の 所 長 を は じ め 、 管 理 部 、 研 究 部 の 皆 様 に 一 方 な ら ぬ 御 支 援 を い た だ い た こ と が ひ し ひ し と 感 じ ら れ 、 感 謝 の 気 持 は 筆 で は 書 き つ く せ ま せ ん 。 中 目 黒 時 代 に は 、 研 究 を 進 め る 上 に 当 時 の 工 業 化 研 究 部 、 物 理 分 析 室 さ ら に 非 破 壊 検 査 ( 材 強 ) や 溶 接 研 究 部 に も お 世 話 に な り ま し た 。 金 材 技 研 の よ う な 総 合 的 な 研 究 所 で あ っ た か ら こ そ 、 超 電 導 材 料 の 研 究 が 育 っ た こ と を 強 く 感 じ ま す 。 ま た 、 本 文 に 氏 名 を あ げ さ せ て い た だ い た 私 と 研 究 を 共 に し て 下 さ っ た 方 々 に も 感 謝 の 気 持 で 一 杯 で す 。 私 と し て は 常 に 新 し い 試 み を 行 う こ と を 心 掛 け ま し た が 、 そ の た め に は 無 駄 に な っ た 研 究 も 多 く あ り ま し た 。 野 球 で い え ば 三 割 打 て れ ば よ い と い う 気 持 で し た が 、 そ の 結 果 、 研 究 を 共 に し て 下 さ っ た 方 々 に ご 迷 惑 を お か け し た と 思 い ま す 。 新 し い ア イ デ ア に つ い て は 、 外 国 出 張 の 帰 り の 飛 行 機 の 中 で よ く 頭 を ひ ね っ た も の で す 。 さ て 、 超 電 導 の よ う な 長 期 的 プ ロ ジ ェ ク ト は 、 五 年 単 位 に み ま す と 明 瞭 な 進 歩 が み ら れ ま す 。 そ の 応 用 も 、 当 初 は 核 融 合 や 物 性 測 定 へ の 応 用 が 考 え ら れ た だ け で し た が 、 そ の 後 M R I 医 療 装 置 、 磁 気 浮 上 列 車 、 発 電 機 、 高 エ ネ ル ギ ー 加 速 器 等 、 当 初 考 え ら れ な か っ た 分 野 に 拡 が り ま し た 。 そ し て 最 近 は 、 従 来 の 金 属 系 超 電 導 材 料 と 新 し い 高 温 超 電 導 材 料 と の 研 究 が 平 行 し て お こ な わ れ て い ま す 。 し か し 、 現 在 で は 両 者 の 研 究 開 発 を 統 合 し 、 互 に 補 完 し あ っ て 進 め る 時 代 に な っ た よ う に 思 い ま す 。 今 後 も 二 十 一 世 紀 に 向 け て 、 超 電 導 材 料 の 研 究 が 金 材 技 研 で 継 続 し て 活 発 に 進 め ら れ る こ と を 願 っ て お り ま す 。 私 も 新 し い ア イ デ ア が 出 る 限 り 、 研 究 が 続 け ら れ れ ば 幸 せ と 思 っ て い ま す 。 ( 筑 波 支 所 長 S 3 7 ・5 ・1 ~6 2 ・3 ・3 1 ) キ ュ ポ ラ の 思 い 出 牧 口 利 貞 一 、 キ ュ ポ ラ 操 業 の 考 え 方 と そ の 実 用 化 映 画 「 キ ュ ポ ラ の あ る 町 」 で 衆 知 の よ う に 、 キ ュ ポ ラ は シ ャ フ ト 炉 の 一 種 で 、 銑 鉄 、 鋼 屑 、 合 金 鉄 を 原 料 と し 、 コ ー ク ス を 熱 源 と し て 再 溶 解 、 加 炭 反 応 、 脱 硫 反 応 を 中 心 に 操 業 が 行 わ れ 、 現 在 に 至 っ て い る 。 し か し 、 キ ュ ポ ラ は シ ャ フ ト 炉 で あ る か ら 、 高 炉 と 同 じ よ う に 還 元 反 応 を 伴 う 操 業 も で き る 筈 で あ る と 考 え て い た 。 た だ 、 キ ュ ポ ラ は 高 炉 に 比 較 し て 炉 高 が 低 い の で 、 高 炉 ほ ど の 還 元 を 期 待 す る こ と が で き な い 。 そ こ で 、 炉 高 の 低 い こ と に よ る 還 元 不 十 分 の 現 象 を ロ ー タ リ ー キ ル ン に よ り 補 い 、 本 還 元 、 成 分 調 整 な ど を キ ュ ポ ラ で 行 え ば 、 新 し い 操 業 技 術 が 開 発 で き 、 キ ュ ポ ラ の 新 分 野 が 開 け る も の と 考 え て い た 。 こ の 時 期 ( 昭 和 三 十 五 年 ) に 当 時 の 橋 本 所 長 が ベ ル ギ ー よ り 二 ト ン M B C キ ュ ポ ラ の 図 面 と 操 業 ノ ウ ハ ウ を 購 入 し て 下 さ れ 、 建 設 す る こ と が で き た 。 こ の キ ュ ポ ラ は 従 来 の 日 本 の も の と 異 り 、 ノ ー ・ ラ イ ニ グ 、 熱 風 キ ュ ポ ラ で 、 数 日 間 の 連 続 操 業 が で き る 。 こ の 炉 の 特 性 を 知 る た め 鋼 屑 百 % の 試 験 操 業 を 繰 り 返 え し た と こ ろ 、 希 望 通 り の 成 果 を 挙 げ る こ と が で き た 。 そ こ で 、 早 速 、 キ ュ ポ ラ の 高 炉 化 操 業 を 計 画 し た が 、 予 算 的 に も 人 員 的 に も 不 可 能 で あ っ た 。 当 時 、 鋳 鉄 管 を 製 造 し て い た 久 保 田 鉄 工 ( 株) ( 現 ( 株) ク ボ タ) が 、 高 炉 を 導 入 す る か キ ュ ポ ラ を 建 設 す る か を 技 術 的 、 経 済 的 な 面 か ら 検 討 し て い た 。 つ ま り 、 鋼 屑 が 価 格 的 に 高 く 、 従 来 の キ ュ ポ ラ 操 業 法 で は 経 済 的 メ リ ッ ト が な い 。 一 方 、 高 炉 を 鋳 物 工 場 に 導 入 す る と 生 産 量 が 多 過 ぎ て 、 鋳 鉄 管 の 製 造 の み で は 溶 湯 を 処 理 し き れ な い と い う 問 題 を か か え 、 何 れ を 採 用 す る か 検 討 を 重 ね て い た 。 こ の 時 に 筆 者 等 の 計 画 を 知 り 、 共 同 研 究 の 申 し 出 が あ っ た 。 我 々 と し て も 「 渡 り に 船 」 と ば か り に 共 同 研 究 を 進 め る こ と に し た 。 つ ま り 、 ロ ー タ リ ー ・ キ ル ン で 半 還 元 し た 鉄 鉱 石 と 作 業 者 の 一 部 を 久 保 田 鉄 工 ( 株) で 提 供 し 、 キ ュ ポ ラ と そ の 操 業 ノ ウ ハ ウ 及 び 人 員 の 一 部 は 金 材 技 研 で 提 供 す る と い う 形 で 研 究 を 計 画 し た 。 半 還 元 鉱 は イ ン ド の ゴ ア 産 鉄 鉱 石 を 日 本 で 半 還 元 し 、 還 元 度 四 十 七 ・ 五 % の も の を 使 用 し 、 人 員 は 金 材 技 研 十 六 人 ( 工 業 化 研 究 部 と 鋳 造 研 究 室 ) 、 久 保 田 鉄 工 ( 株) 十 六 人 の 計 三 十 二 人 の 混 成 旅 団 で 行 っ た 。 研 究 の 際 の 原 料 配 合 は 、 鋳 物 工 場 の 発 生 鋳 鉄 ( 湯 口 、 押 し 湯 、 揚 り の よ う な 鋳 造 品 に な ら な い も の ) が 二 十 % 程 度 あ る こ と を 考 慮 し 、 半 還 元 鉱 八 十 % 鋳 鉄 戻 り 二 十 % と し 、 こ れ に 計 算 で 求 め た 量 の コ ー ク ス 、 石 灰 石 な ど を 使 用 し 、 五 一 〇 ℃ の 熱 風 で 種 々 の 操 業 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 出 湯 組 成 は 三 ・ 五 % C 、 〇 ・ 二% S i で 、 炉 前 で S i 添 加 を 行 え ば 、 鋳 物 に 十 分 使 用 で き る 溶 湯 が 得 ら れ た 。 た だ 、 S が 〇 ・ 一 六% で あ る た め 、 必 要 に 応 じ て 炉 前 脱 硫 処 理 を 行 っ た 。 こ の よ う に キ ュ ポ ラ の 高 炉 化 が 可 能 で あ り 、 溶 湯 の バ ー ジ ニ テ ィ ー も 良 好 で あ っ た 。 こ の 研 究 結 果 を 踏 ま え て 、 久 保 田 鉄 工 ( 株) で は 船 橋 工 場 に ロ ー タ リ ー ・ キ ル ン 及 び 十 五 ト ン キ ュ ポ ラ を 建 設 し 、 生 産 を 行 っ た 。 そ の 後 、 鋼 屑 の 価 格 が 安 く な っ た の で 、 半 還 元 鉱 を 使 用 す る よ り も 鋼 屑 を 原 料 と す る 方 が 経 済 的 メ リ ッ ト が あ る よ う に な り 、 現 在 で は 鋼 屑 を 用 い る 操 業 が 実 施 さ れ て い る 。 鋼 屑 の 価 格 が 高 く な る と 、 ま た 筆 者 等 の 操 業 方 式 が 採 用 さ れ る の で は な い か と 考 え て い る 。 こ の 研 究 で 、 技 術 以 外 の 二 つ の 勉 強 を さ せ ら れ た 。 一 つ は 技 術 者 の 信 念 の 問 題 で あ る 。 前 述 の よ う に 、 こ の キ ュ ポ ラ の 図 面 は ベ ル ギ ー か ら 購 入 し た も の で 、 そ の 建 設 に 2トンMBCキュポラ 当 っ て は モ ー シ ャ ン と い う 技 術 者 が 来 て 指 導 し た 。 彼 は 日 本 人 と 違 っ て 技 術 的 妥 協 を し な か っ た 。 日 本 人 で あ れ ば 或 る 程 度 妥 協 す る 施 工 な ど も 、 そ れ で は 技 術 的 に 責 任 を 持 つ こ と が で き な い と 頑 固 な ま で に 自 説 を 主 張 し 、 再 施 工 を さ せ ら れ た こ と が し ば し ば あ っ た 。 こ れ が 研 究 の 成 功 に 非 常 に 役 立 っ た と 考 え て い る 。 第 二 は 人 の 和 で あ る 。 前 述 の よ う な 人 的 に 金 材 技 研 と 久 保 田 鉄 工 ( 株) の 混 成 旅 団 で あ り 、 誰 か 一 人 で も 異 端 者 が い れ ば 、 順 調 な 操 業 や デ ー タ 収 集 を 行 う こ と が で き な い 。 所 期 の 成 果 を 挙 げ る こ と が で き た の は 、 関 係 者 が 互 い に 協 調 し た た め で あ る 。 プ ロ ジ ェ ク ト 研 究 に は 「 人 の 和 」 が い か に 大 切 で あ る か を 痛 感 し た 。 二 、 キ ュ ポ ラ 操 業 の コ ン ピ ュ ー タ ・ コ ン ト ロ ー ル 従 来 の キ ュ ポ ラ 操 業 は 溶 湯 の 化 学 分 析 、 チ ル 試 験 な ど を 行 っ て 操 業 の 妥 当 性 の 可 否 を 判 定 し て い た 。 こ れ ら は 操 業 が 或 る 程 度 進 行 し た 後 、 ま た は 操 業 が 終 了 し た 後 に 結 果 が 解 る の で 、 操 業 中 の 炉 況 制 御 に は す ぐ に 役 立 た ず 、 次 の 操 業 に 対 し 利 用 さ れ る こ と が 多 い 。 従 っ て 或 る 意 味 で は 「勘 」 に よ る 操 業 が 行 わ れ て い た 。 こ れ で は 溶 湯 の 品 質 保 証 を 得 る こ と が で き ず 、 鋳 造 品 の 信 頼 性 を 高 め る こ と が 困 難 で あ る 。 そ こ で 、 こ の 問 題 を 解 決 す る た め に は キ ュ ポ ラ 操 業 の コ ン ピ ュ ー タ ・ コ ン ト ロ ー ル が 必 要 で あ る 。 こ の 最 初 の 手 段 と し て 、 品 質 に 直 接 影 響 す る 溶 湯 の 五 成 分 (C 、 S i 、 M n 、 P 、 S ) を 特 性 値 、 炉 況 を 察 知 す る 因 子 ( 炉 頂 ガ ス の 化 学 組 成 と そ の 温 度 、 風 圧 、 出 湯 温 度 ) を 情 報 因 子 、 炉 況 を 制 御 で き る 因 子 ( 追 加 コ ー ク ス 量 、 送 風 量 、 熱 風 温 度 、 ス ラ グ の 塩 基 度 ) を 制 御 因 子 と し て 、 二 分 毎 の 時 系 列 デ ー タ を 採 取 し 、 プ ロ セ ス 解 析 を 行 っ た 。す な わ ち 、 こ れ ら 三 因 子 を 用 い て 相 互 間 の 相 関 分 析 、 重 回 帰 分 析 を 行 な い 、 相 互 の 関 係 を 求 め た 。 そ の 結 果 、 特 性 値 に 対 し 、 情 報 因 子 、 制 御 因 子 は 直 接 的 関 係 が 認 め ら れ な か っ た 。 こ れ は 炉 況 が 変 化 し て か ら 特 性 値 が 変 動 す る ま で に 時 間 的 ず れ が あ る た め と 、 冶 金 学 的 常 識 か ら 考 え ら れ た 。 そ こ で 、 時 差 の 考 え 方 を 導 入 し 、 時 差 相 関 分 析 、 時 差 重 回 帰 分 析 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 特 性 値 に 対 し 、 情 報 因 子 の う ち 出 湯 温 度 が 時 差 一 四 分 で 一 % 有 意 で あ り 、 制 御 因 子 の う ち 熱 風 温 度 が 時 差 二 十 四 分 で 一 % 有 意 で あ る こ と が 解 っ た 。 そ こ で 、 出 湯 温 度 に 変 化 が 認 め ら れ る か 、 あ る い は 変 化 が 予 測 さ れ る 場 合 に は 、 熱 風 温 度 を 制 御 す る ソ フ ト を 開 発 し 、 キ ュ ポ ラ 操 業 の コ ン ピ ュ ー タ ・ コ ン ト ロ ー ル の ノ ウ ハ ウ を 確 立 し た 。 こ の 手 法 は 半 還 元 鉱 を 使 用 し な い 従 来 の キ ュ ポ ラ 操 業 に も 適 用 で き る も の と 考 え 、 一 ト ン キ ュ ポ ラ 及 び 五 ト ン キ ュ ポ ラ の 従 来 操 業 に つ い て 実 験 を 試 み た 。 そ の 結 果 、 特 性 値 と 情 報 因 子 、 特 性 値 と 制 御 因 子 の 時 差 は 、 炉 の 性 質 、 操 業 条 件 な ど に よ り 変 化 す る が 、 上 記 の 手 法 が そ の ま ま 適 用 で き る こ と が 明 ら か と な っ た 。 そ の 後 、 こ の キ ュ ポ ラ 操 業 の コ ン ピ ュ ー タ ・ コ ン ト ロ ー ル の 技 術 が 着 目 さ れ 、 平 成 二 年 か ら 三 年 計 画 で 、 中 小 企 業 事 業 団 の 技 術 開 発 事 業 の 対 象 と し て 取 り 上 げ ら れ た 。 す な わ ち 、 「鋳 造 工 場 溶 解 工 程 の コ ン ピ ュ ー タ 制 御 技 術 」 の 実 証 化 研 究 が 実 施 さ れ 、 筆 者 は 検 討 会 委 員 長 と し て そ の 推 進 に た ず さ わ っ た 。 こ の 研 究 で は 制 御 因 子 と し て 反 応 性 の 速 い 酸 素 富 化 法 が 採 用 さ れ た が 、 コ ン ピ ュ ー タ ・ コ ン ト ロ ー ル の 基 本 的 な も の は 、 金 材 技 術 で 開 発 し た 技 術 と 異 る と こ ろ は な い 。 現 在 、 鋳 造 業 界 へ こ の 技 術 を 普 及 す る こ と が 推 進 さ れ て い る 。 こ の 研 究 を 遂 行 し て い る 際 に 、 一 つ の 見 解 の 相 異 が 生 じ た 。 プ ロ セ ス 解 析 を 担 当 し て い る コ ン ピ ュ ー タ 屋 は 、 そ の 解 析 結 果 が 固 有 の 冶 金 学 的 技 術 で は 説 明 で き な く て も 解 析 結 果 は 正 し く 、 こ れ に よ り 制 御 シ ス テ ム を 決 定 す べ き で あ る と 考 え た 。 一 方 、 筆 者 の よ う な 固 有 技 術 を 重 視 す る 者 は 、 解 析 結 果 を 再 検 討 し 、 解 析 結 果 と 固 有 技 術 が 整 合 し た 段 階 で 制 御 シ ス テ ム を 決 め る べ き で あ る と し た 。 コ ン ピ ュ ー タ は 計 算 機 で あ る か ら 、 そ の 解 析 手 法 や デ ー タ 処 理 の 如 何 に よ っ て は 思 わ ぬ 落 し 穴 に 陥 る こ と が あ る 。 こ れ を 固 有 技 術 で チ ェ ッ ク す べ き で あ る と 考 え て い た 。 こ の 考 え 方 の 相 異 は 鋳 造 業 界 に も あ っ た 。 数 年 に わ た る 話 し 合 い の 結 果 、 固 有 技 術 を 無 視 せ ず 、 解 析 の ソ フ ト を 検 討 し 、 両 者 が 整 合 し た 場 合 に 初 め て 制 御 シ ス テ ム が 確 立 さ れ た と 考 え る べ き で あ る と い う 結 論 に 達 し た 。 ( 筑 波 支 所 長 S 3 4 ・9 ・1 ~5 6 ・1 2 ・3 1 ) 高 速 衝 撃 鍛 造 機 「ダ イ ナ パ ッ ク 」 池 田 定 雄 ダ イ ナ パ ッ ク が 二 十 三 号 庁 舎 小 型 溶 解 加 工 実 験 室 に 設 置 さ れ た の は 昭 和 三 十 六 年 五 月 。 だ が 、 設 置 さ れ る ま で に は 紆 余 曲 折 が あ り ま し た 。 ま ず 重 量 制 限 で 『 田 楽 橋 』 を 通 る こ と が で き ず 、 管 理 部 の 皆 様 が 関 係 方 面 と 折 衝 し 、 最 後 は 防 衛 庁 技 研 の 正 門 か ら 搬 入 す る こ と が で き 、 多 く の 方 々 に 大 変 お 世 話 に な り ま し た 。 設 置 場 所 の 基 礎 工 事 、 こ れ が ま た 難 工 事 。 旧 海 軍 技 術 研 究 所 の 電 動 機 関 係 の 実 験 室 跡 と か で 、 コ ン ク リ ー ト の 厚 さ は 想 像 を 絶 す る も の で し た 。 よ う や く コ ン ク リ ー ト の 壁 を 破 る と 次 は 地 下 水 の 噴 出 。 担 当 業 者 と 顔 を 合 わ せ る と 、 「 こ ん な 筈 で は な か っ た 」 と の ボ ヤ キ を 毎 日 聞 か さ れ ま し た 。 悪 戦 苦 闘 の 末 、 基 礎 工 事 も 無 事 終 了 。 本 体 の 搬 入 も 終 わ り 、 最 後 の 据 付 け 。 建 屋 の 高 さ で ま た 一 苦 労 、 さ す が 重 量 物 専 門 業 者 、 無 事 据 付 け を 完 了 し ま し た 。 と こ ろ で 、 ダ イ ナ パ ッ ク と は 表 題 の と お り 高 速 衝 撃 加 工 機 で 、 ア メ リ カ ・ ジ ェ ネ ラ ル ・ ダ イ ナ ミ ッ ク 社 製 の 商 品 名 で す 。 十 年 の あ ゆ み に は 、 お も な 設 備 一 覧 と し て 次 の よ う に 紹 介 し て あ り ま す 。 「 圧 縮 さ れ た 窒 素 ガ ス の 膨 張 圧 力 で 加 速 さ れ た ラ ム ウ ェ イ ト を ボ ル ス タ ー 上 の 素 材 に 衝 突 さ せ 、 こ の 時 に 放 出 さ れ る 運 動 エ ネ ル ギ ー を 利 用 し て 成 形 を 行 な う 。 瞬 間 的 に 大 き な エ ネ ル ギ ー を 放 出 さ せ 、 エ ネ ル ギ ー を 正 確 に 制 御 で き 、 超 硬 金 属 の 加 工 も 比 較 的 容 易 に で き る 」 ダ イ ナ パ ッ ク が 輸 入 さ れ た 当 時 、 世 界 各 国 で 高 エ ネ ル ギ ー 高 速 度 を 利 用 し て 金 属 材 料 を 加 工 す る 技 術 が 注 目 を 浴 び 、 そ れ に 応 じ て 、 衝 撃 鍛 造 成 形 法 、 放 電 成 形 法 、 爆 発 成 形 法 等 新 し い 加 工 方 法 も 開 発 さ れ つ つ あ り 、 急 速 に 大 き な 衝 撃 エ ネ ル ギ ー を 加 え て 加 工 す る 際 の 金 属 材 料 の 挙 動 や 材 質 の 変 化 な ど に つ い て の 基 礎 的 研 究 が 盛 ん に な っ て き た 時 代 で し た 。 金 材 技 研 で も 、 「 金 属 材 料 の 高 速 加 工 に 関 す る 研 究 」 が 総 合 研 究 の 一 環 と し て 昭 和 三 十 七 年 に 発 足 し ま し た 。 ダ イ ナ パ ッ ク を 擁 す る グ ル ー プ は 、 河 田 鉄 鋼 材 料 研 究 部 長 指 導 の も と 、 「鉄 鋼 材 料 の 高 速 加 工 に 関 す る 研 究 」 と 、 高 速 加 工 技 術 の 実 用 化 と 普 及 を 図 る 場 と し て 国 内 輸 入 第 一 号 機 ダ イ ナ パ ッ ク 1 2 2 0 B 型 の 実 用 性 と 理 論 の 検 証 を す べ く 、 日 本 塑 性 加 工 学 会 の 依 頼 に 基 づ く 産 ・ 学 ・ 官 三 者 に よ る 共 同 研 究 「高 速 加 工 技 術 ( 鍛 造 ・ 押 出 ) 研 究 委 員 会 」 が 発 足 し 、 基 礎 研 究 と 実 用 化 研 究 が 平 行 し て 実 施 さ れ ま し た 。 研 究 委 員 会 の 委 員 長 は 河 田 鉄 鋼 部 長 。 金 材 技 研 以 外 の 委 員 は 、 国 研 か ら は 一 名 、 大 学 か ら は 八 名 、 産 業 界 か ら は 二 十 二 社 ・ 二 十 二 名 の 豪 華 な メ ン バ ー で す 。 ま た 、 委 員 長 の 補 佐 役 と し て 森 本 元 化 学 部 長 が 金 材 技 研 側 の 委 員 で し た 。 こ の 研 究 委 員 会 の 所 内 の 支 援 メ ン バ ー に は 鈴 木 元 支 所 長 、 武 内 元 部 長 、 隈 部 さ ん ( 現 千 葉 大 学 教 授 ) が 参 加 し 、 多 方 面 に わ た る ご 尽 力 の お 陰 で 諸 々 の 難 関 を 切 り 抜 け た こ と が 思 い 出 さ れ ま す 。 プ ロ ジ ェ ク ト の 最 終 段 階 で は 、 隈 部 さ ん の 後 任 と し て 入 所 し て き た 田 頭 さ ん に 実 作 業 の 面 で も 助 け て い た だ き ま し た 。 ま た 、 日 本 塑 性 加 工 学 会 の 皆 様 に も 大 変 お 世 話 に な り ま し た 。 装 置 の 操 作 、 管 理 は 、 バ レ ー 部 の 花 形 で ス ポ ー ツ 万 能 の 好 青 年 、 小 島 氏 ( 旧 姓 西 村 重 信 さ ん ) と 私 と の 異 色 の 顔 ぶ れ で し た 。私 が ダ イ ナ パ ッ ク に 対 面 し た の は 昭 和 三 十 五 年 頃 で す が 、 日 時 に 関 し て は 記 憶 が あ や ふ や で す 。 河 田 部 長 に よ ば れ 、 「今 度 、 高 速 加 工 に 関 す る 研 究 が 始 ま り 、 実 験 機 と し て ダ イ ナ パ ッ ク を 使 用 す る 。 君 が 実 験 機 の 担 当 者 と な る 。 実 物 が 今 度 開 催 さ れ る 晴 海 の 国 際 見 本 市 に 展 示 さ れ る の で 、 見 学 し て こ い 」 と の 仰 せ が あ り 、 早 速 晴 海 に 出 向 き ま し た 。 当 時 の 見 本 市 は 、 国 外 、 国 内 、 特 に 国 外 の 輸 入 機 械 の 展 示 品 は 技 術 の 粋 を 競 い 、 各 小 間 毎 に 実 演 が あ り 、 各 社 の カ タ ロ グ を 小 脇 に 抱 え た 人 の 群 れ が 行 き 交 い 、 展 示 す る 側 、 見 学 す る 側 お 互 い に お 祭 り 気 分 で な く 皆 真 剣 に 対 応 し 、 熱 気 が 感 じ ら れ て い ま し た 。 機 械 館 の 一 角 に 黒 山 の 人 だ か り 、 一 際 異 彩 を 放 つ が っ し り し た 本 体 、 瞬 時 に 押 し 出 し 加 工 で 作 ら れ る タ ー ビ ン ブ レ ー ド 、 す さ ま じ い 衝 撃 音 … 。 私 が ダ イ ナ パ ッ ク に 対 面 し た 記 念 す べ き 瞬 間 で し た 。 こ の 日 か ら 昭 和 四 十 一 年 ま で 約 六 年 間 余 付 き 合 う こ と に な り ま し た 。 ダイナパック だ が 、 実 際 に 実 験 を 開 始 す る ま で に は 思 わ ぬ 難 件 に 出 合 い ま し た 。 押 し 出 し 工 具 ( ダ イ ス 、 ポ ン チ ) を 依 頼 し た 特 殊 鋼 会 社 の 社 内 事 情 の 急 変 ( 会 社 更 生 法 ) に よ り 契 約 期 間 ま で の 納 入 が 危 ぶ ま れ 、 催 促 の 電 話 を か け 続 け 、 最 後 は 相 手 先 の 交 換 手 さ ん に 声 を 覚 え ら れ て 挨 拶 を 交 わ す 始 末 で す 。 何 と か こ の 問 題 も 解 決 し ま し た 。 い よ い よ 予 備 実 験 開 始 。 と は 言 え 、 ボ ル ス タ ー の 高 さ 調 整 時 の 巨 大 な ナ ッ ト 、 そ れ を 締 め 付 け る 工 具 の 重 さ に 悪 戦 苦 闘 し 、 ダ イ ス の 締 め 付 け に 用 い る 六 角 ボ ル ト 、 レ ン チ で ま た 一 苦 労 。 ダ イ ス 固 定 用 の ボ ル ト を 、 パ イ プ を 用 い 二 人 係 り で 締 め 付 け る 大 掛 か り な 作 業 で す 。 こ の た め 度 々 ボ ル ト 、 レ ン チ の 捻 れ 、 破 損 が 生 じ 、 国 内 各 社 の ボ ル ト 、 工 具 で は 事 は 解 決 せ ず 、 急 遽 航 空 便 で 輸 入 し た 苦 い 思 い 出 も あ り ま す 。 高 速 加 工 研 究 グ ル ー プ の 最 初 の 実 験 は 、 室 温 で の ア ル ミ ニ ウ ム の 衝 撃 押 し 出 し で し た 。 こ こ に 到 着 す る ま で に は い ろ い ろ と つ ま ず き が あ っ た が 、 無 事 成 功 。 押 し 出 し 比 四 で 押 し 出 さ れ た 短 い 試 験 片 に 対 面 し た 時 の 感 激 は 格 別 で し た 。 そ の 後 の 実 験 は 順 調 に 進 み ま し た 。 高 速 加 工 ( 鍛 造 、 押 し 出 し ) 技 術 研 究 委 員 会 も 、 研 究 グ ル ー プ で 得 ら れ た 知 見 に 基 づ き 、 形 状 複 雑 で 平 打 ち 鍛 造 に 特 徴 が あ る 歯 車 、 割 型 を 用 い 異 形 断 面 で 押 し 出 し 鍛 造 に 特 徴 が あ る タ ー ビ ン ブ レ ー ド な ど 成 形 品 を 対 象 に 、 活 動 が 始 ま り ま し た 。 し か し 、 完 全 な 成 形 部 品 を 造 る の は 予 想 以 上 に 大 変 で し た 。 完 成 品 を 目 指 し 、 型 の 手 直 し 、 最 適 潤 滑 剤 の 選 択 、 成 形 品 取 り 出 し 時 の ノ ッ ク ア ウ ト 方 式 の 検 討 等 、 研 究 と は 異 な っ た 点 で 各 社 の 専 門 家 に よ る 活 発 な 意 見 交 換 が 行 な わ れ た こ と を 思 い 出 し ま す 。 そ れ と 共 に 、 委 員 会 で の 作 業 を 通 じ て 考 え の 異 な る 各 社 の 方 々 と の お 付 き 合 い は 、 良 き に つ け 悪 し き に つ け 対 人 関 係 で い ろ い ろ 勉 強 に な っ た 数 年 間 で 、 そ の 後 の 仕 事 に 大 変 役 に 立 ち ま し た 。 一 方 、 ダ イ ナ パ ッ ク で 忘 れ ら れ な い 事 は 、 見 学 者 む け の デ モ ン ス ト レ ー シ ョ ン の 回 数 が 多 か っ た こ と で す 。 予 定 以 外 の 突 然 の 見 学 者 で 呼 び 出 さ れ 、 二 十 四 号 庁 舎 よ り 現 場 に 駆 け つ け た こ と も 度 々 あ り ま し た 。 高 速 加 工 ( 鍛 造 、 押 し 出 し ) 技 術 研 究 委 員 会 も 終 了 し 、 河 田 鉄 鋼 材 料 研 究 部 長 は 材 料 試 験 部 長 に 転 任 さ れ 、 ダ イ ナ パ ッ ク に 関 連 し た 鋼 の 高 速 加 工 に 関 す る 研 究 も 一 段 落 す る と 、 田 頭 さ ん の グ ル ー プ は 新 天 地 の プ ラ ネ タ リ 圧 延 機 を 対 象 に し た 新 た な 研 究 に 向 い ま し た 。 私 は 河 田 材 料 試 験 部 長 に よ ば れ 、 「 ク リ ー プ 受 託 試 験 を 8 月 よ り 開 始 す る 。 受 託 試 験 の 担 当 者 と し て 、 ク リ ー プ 第 一 試 験 室 に 配 置 換 え を す る 」 と の 仰 せ 。 秒 速 十 メ ー ト ル で デ ー タ が 得 ら れ た 動 の 現 場 か ら 、 十 万 時 間 ( 十 一 年 五 ヵ 月 ) で よ う や く 一 ポ イ ン ト が 得 ら れ る 静 の ク リ ー プ 第 一 試 験 室 に 出 向 し た の は 、 昭 和 四 十 二 年 八 月 十 日 、 真 夏 の 暑 い 日 で し た 。 こ の 日 を も っ て ダ イ ナ パ ッ ク と お 別 れ で す 。 思 え ば 河 田 部 長 の 指 導 下 で 、 緊 張 と 充 実 の 六 年 余 の 年 月 で し た 。 以 上 、 自 分 本 位 の 狭 い 範 囲 の 思 い 出 に な っ て し ま い ま し た 。 最 後 に ダ イ ナ パ ッ ク を 通 じ て ご 指 導 、 ご 尽 力 を 頂 い た 多 く の 方 々 に 紙 面 を 借 り て 心 か ら 御 礼 申 し 上 げ ま す 。 こ の 拙 文 を ま と め る に あ た り 、 ご 協 力 下 さ っ た 皆 様 に 感 謝 申 し 上 げ て 筆 を 置 き ま す 。 ( 環 境 性 能 研 究 部 S 3 3 ・5 ・1 ~ H 4 ・3 ・3 1 ) 大型実験炉設置前に使用した予備実験炉の一部(H 7年撮影) 男 た ち の 熱 き 思 い 出 、 連 続 製 鋼 実 験 ( 寄 せ 書 き ) 連 続 製 鋼 事 始 め 中 川 龍 一 「 地 獄 谷 製 鋼 法 」 、 こ れ は 昭 和 三 十 八 年 秋 の あ る 日 の 昼 休 み に 皆 で だ べ っ て い た 時 、 ふ っ と 口 に 出 し た 小 生 の ア イ デ ィ ア に 対 し て 、 当 時 の 部 長 で 後 の 二 代 目 所 長 が つ け た ニ ッ ク ネ ー ム で あ る 。 そ の 頃 、 あ る 事 情 で 我 々 の 研 究 室 全 員 が 鉄 鋼 研 究 部 か ら 工 業 化 研 究 部 に 移 り 、 毎 日 や せ る 思 い で 必 死 に 新 し い 部 に ふ さ わ し い 研 究 テ ー マ を 模 索 し て い た 。 こ の 思 い つ き の ア イ デ ィ ア の た め に 、 十 年 以 上 に わ た っ て 多 数 の 研 究 者 が 振 り 回 さ れ る こ と に な っ た わ け で あ る 。 当 時 、 純 酸 素 転 炉 製 鋼 法 が 漸 く 盛 ん に な っ た 頃 と は い え 、 溶 銑 に 純 酸 素 を 吹 け ば 鋼 に な る と い う 位 の 常 識 し か な か っ た 材 料 屋 に と っ て は 、 研 究 内 容 の 大 転 換 で あ っ た 。 プ ロ セ ス 研 究 の 常 道 と し て 、 研 究 者 す べ て が 鈑 金 ・溶 接 ・ 組 立 工 、 配 管 ・ 配 線 工 、 あ る い は 築 炉 工 、 炉 前 作 業 工 と な り 、 数 多 く の テ ス ト プ ラ ン ト は す べ て 自 作 自 演 だ っ た 。 汗 と 血 に ま み れ 、 朝 夕 の 区 別 な く 全 員 の 体 力 と 頭 脳 を か き 集 め て 一 つ の 研 究 テ ー マ に 長 期 間 文 字 通 り 没 頭 出 来 た そ の 「 源 」 と は 、 一 体 何 で あ っ た の だ ろ う 。 「 金 材 研 の 連 続 製 鋼 」 、 「連 続 製 鋼 の 金 材 研 」 と の 自 負 が そ う さ せ た の で あ ろ う か 。 こ の 稿 の 最 後 に 吉 松 君 が 「連 続 製 鋼 思 い 出 カ ル タ 」 を 書 い て く れ た が 、 こ の 研 究 に 参 加 し た 研 究 者 の 一 人 一 人 が そ れ ぞ れ の 「 思 い 出 カ ル タ 」 を 今 で も 持 っ て い る に 違 い な い 。 二 十 年 後 の 今 に な っ て も 、 若 い 頃 の 充 実 し た 研 究 生 活 を 持 て た こ と を 幸 福 感 一 杯 で 思 い 出 し て い る 。 終 り に 、 当 時 本 当 に 世 話 に な っ た 周 辺 の 方 々 、 特 に 管 理 部 、 技 術 課 、 分 析 室 の 方 々 に 心 か ら お 礼 を 申 し 上 げ ま す 。 ( 所 長 S 3 1 ・ 7 ・1 ~ H 元 6 ・27 ) 熱 い 思 い 出 三 井 達 郎 昭 和 三 十 八 年 に 入 所 し て 間 も な く 、 連 続 製 鋼 の 研 究 が ス タ — ト し た 。 だ ん だ ん に 実 験 の 規 模 が 大 き く な っ て く る と 、 連 続 製 鋼 炉 の 予 熱 を 充 分 に し て お か な い と 実 験 が 順 調 に 進 ま な く な っ て き た 。 最 も 大 き な 規 模 の 溶 銑 十 二 ト ン の 実 験 に 移 る と 、 エ ル ー 炉 で 四 回 溶 解 し 、 十 二 ト ン 貯 め る ま で 約 十 二 時 間 も 溶 銑 の 温 度 が 下 が ら な い よ う に 保 温 し て い な け れ ば な ら な い 。 製 鋼 炉 の 予 熱 分 も 合 わ せ る と プ ロ パ ン 五 〇 〇 キ ロ 入 り ボ ン ベ は 二 時 間 ち ょ っ と で 空 に な っ た 。 2 2 B 庁 舎 の 周 囲 に 直 径 約 一 メ ー ト ル 、 長 さ 約 二 メ ー ト ル の ボ ン ベ を ゴ ロ ゴ ロ 並 べ 、 一 回 の 実 験 で 十 六 本 も 使 用 し た こ と が あ っ た 。 プ ロ パ ン の 量 が 多 い た め 、 ボ ン ベ の 交 換 中 の ト ラ ブ ル が 心 配 で ヒ ヤ ヒ ヤ し な が ら 作 業 し た 。 ボ ン ベ の 口 金 か ら 少 し ガ ス 漏 れ が あ っ た と き は も し 引 火 し た ら 大 変 と 思 う と 足 が ガ ク ガ ク す る 程 だ っ た が 、 実 験 が 無 事 終 わ る と ホ ッ ト し た も の で あ る 。 あ の 頃 を 振 り 返 っ て み る と 、 各 分 担 毎 の 強 力 な チ ー ム ワ ー ク の も と に 仕 事 が 進 め ら れ 、 さ ら に 何 よ り も メ ン バ ー 全 員 が 若 か っ た か ら 体 力 も あ り 、 準 備 を 含 め た 長 時 間 の 実 験 が 可 能 だ っ た と 思 わ れ る 。 ( 組 織 制 御 研 究 部 ) 思 い 出 あ れ こ れ 市 村 正 治 私 が 金 材 技 研 に 入 所 し た 昭 和 四 十 四 年 の 四 月 頃 に は 、 連 続 製 鋼 実 験 設 備 は 大 型 の 三 段 炉 と な り 、 実 験 も 大 規 模 に 行 わ れ る よ う に な っ て お り ま し た 。 そ の 実 験 で す が 、 ス ム ー ズ に 終 了 し た 時 の こ と よ り 、 何 か ア ク シ デ ン ト が あ っ た 時 の こ と が よ り 強 く 思 い 出 さ れ ま す 。 そ の 一 つ は 、 ラ ン ス を 冷 却 す る 冷 却 水 が 循 環 さ れ ず 、 実 験 設 備 の 地 下 に あ っ た 冷 却 水 貯 水 槽 に へ ば り つ い て 、 徹 夜 で 改 造 し た こ と 。 又 、 混 銑 炉 を 傾 斜 さ せ る 油 圧 機 構 が 作 動 し な く な っ て し ま い 、 出 銑 が 危 ぶ ま れ た こ と な ど 記 憶 が 蘇 っ て き ま す 。 も う 一 つ 、 連 続 製 鋼 実 験 で は 、 実 験 設 備 の 付 属 装 置 を 、 か な り の 部 分 手 作 り で 製 作 し ま し た 。 温 度 電 光 掲 示 板 、 添 加 物 装 入 装 置 な ど 、 材 料 切 り か ら 溶 接 組 み 立 て 、 及 び 電 気 配 線 等 、 全 て 手 作 業 に て 製 作 し 、 実 際 に 実 験 設 備 の 一 部 と し て 役 立 た せ ま し た 。 連 続 製 鋼 実 験 が 円 滑 に 行 わ れ 、 成 果 を 挙 げ る こ と が で き た の は 、 何 と 言 っ て も チ ー ム ワ ー ク の 良 さ で は な か っ た で し ょ う か 。 中 川 一 家 と 言 わ れ る よ う な 家 庭 的 雰 囲 気 の 中 、 各 人 が 自 分 の 分 担 に 責 任 を 持 ち 、 そ の 役 目 を 忠 実 に 果 た し た 結 果 だ と 思 い ま す 。 私 も そ の 一 員 と し て 参 加 で き た こ と を 非 常 に う れ し く 思 い 、 ま た 、 時 折 懐 か し む 今 日 こ の 頃 で す 。 ( 工 業 化 研 究 部 S 4 4 ・4 ・1 ~5 1 ・3 ・3 1 ) 実験中の多段連続製鋼 思 う こ と 上 田 卓 弥 浪 人 中 の と こ ろ を 中 川 さ ん に 拾 わ れ て 、 多 段 樋 型 連 続 製 鋼 プ ロ セ ス の 開 発 研 究 の 最 初 か ら 最 後 ま で お 手 伝 い さ せ て 頂 き ま し た 。 私 の 若 い 時 代 は Sturm -und -D rang -Zeit で あ り ま し た 。 そ し て そ の 時 の 経 験 、 人 の つ な が り が 私 の 現 在 や っ て い るC/ C C om posite の 事 業 に 、 ど れ 程 プ ラ ス に な っ て い る か と い う こ と を し み じ み と 感 じ て い ま す 。 苦 し か っ た こ と 、 残 念 だ っ た こ と が 無 か っ た と は 言 い ま せ ん が 、 そ れ も き れ い に 昇 華 さ れ て 、 同 じ 塹 壕 の 中 で 苦 楽 を 共 に し た な あ と い う 思 い 出 に な っ て い ま す 。 上 か ら 下 ま で 、 こ れ だ け の 顔 触 れ で 一 つ の 目 標 に 邁 進 し た と い う 事 は 、 広 い 世 間 で も そ う あ る 事 で は な く 、 そ の 一 事 を と っ て み て も 、 時 代 の 風 潮 が 変 わ り 、 人 の 変 わ っ た 現 在 で も 、 連 続 製 鋼 の 研 究 は 、 関 係 し た 全 員 に い い 財 産 を 残 し た と い え ま し ょ う 。 抽 象 的 な 文 面 に な っ て し ま い ま し た が 、 正 直 な 気 持 ち を 書 き つ ら ね て 見 ま し た 。 ( 工 業 化 研 究 部 S 4 2 ・3 ・1 ~5 6 ・4 ・1 ) 何 十 分 の 一 か の 連 続 製 鋼 実 験 尾 崎 太 私 の イ メ ー ジ と し て は 連 続 溶 解 還 元 、 連 続 脱 ニ オ ブ 実 験 も 含 ま れ た 流 れ の 中 に 連 続 製 鋼 実 験 の 日 々 が あ り ま す が 、 昭 和 四 十 六 年 に 入 所 し て す ぐ に 経 験 し た 樋 型 連 続 製 鋼 の 開 発 研 究 で の 印 象 は 特 に 強 烈 で し た 。 大 学 の 時 の 工 場 実 習 で 八 幡 製 鉄 所 の 洞 岡 高 炉 に 配 属 さ れ て 以 来 、 現 場 で の 勤 務 は こ り ご り だ と い う 思 い が あ っ た ( ?) に も か か わ ら ず 、 工 業 化 研 究 部 に 回 さ れ た の は 運 命 の 皮 肉 で あ っ た の で し ょ う か 。 予 熱 時 に は L P ガ ス ボ ン ベ の 監 視 ・交 換 、 実 験 時 に は ノ ロ 搔 き 、 ス ラ グ サ ン プ リ ン グ 、 あ る い は ガ ス 分 析 等 を 分 担 し た こ と を 憶 え て い ま す 。 カ ン ト バ ッ ク に よ る 炉 前 分 析 も あ り ま し た 。 む ろ ん 、 実 験 準 備 や 後 始 末 の 方 に は る か に 多 く の 時 間 が 費 や さ れ ま し た 。 ま た 、 連 続 製 鋼 制 御 の た め の 直 接 分 析 の 研 究 の 打 ち 切 り を 告 げ ら れ 、 部 長 の 前 で 思 わ ず 涙 を こ ぼ し て し ま っ た 遠 い 思 い 出 も あ り ま す 。 こ の よ う な 仕 事 の 中 で 、 人 と 人 と の 付 き 合 い に つ い て 多 く を 学 ぶ と と も に 、 開 発 研 究 の 何 た る か 、 あ る い は 困 難 さ を 垣 間 見 さ せ て い た だ き ま し た 。 今 後 は こ の プ ロ ジ ェ ク ト に 参 加 し た 全 員 が そ れ ぞ れ の 考 え 方 で こ れ ら の 経 験 を 生 か せ る よ う に し た い も の で す 。 ( 反 応 制 御 研 究 部 ) 球 は や っ ぱ り 理 想 の 形 状 か ! ? 佐 藤 彰 溶 鋼 が 幅 三 百 ミ リ 、 深 さ 百 五 十 ミ リ の 断 面 形 状 で 、 長 さ 四 千 ミ リ の 距 離 を 流 れ 、 こ れ が 三 回 繰 り 返 す 形 の 三 段 樋 型 炉 か ら な る 金 材 技 研 式 連 続 製 鋼 炉 の 形 状 は 、 ギ リ シ ャ の 哲 学 者 ア ム パ ン ・ オ イ シ ス ( 餡 ぱ ん は 美 味 し い な ! 実 際 に い る 筈 で あ る が 、 名 前 は 失 念 し た の で 仮 名 。 年 の せ い で は な い ! ! 念 の た め ! ) が 、 理 想 の 形 状 と 考 究 し た 球 の 形 か ら は 程 遠 い 。 金 材 技 研 式 三 段 樋 型 連 続 製 鋼 炉 の 形 状 は 、 室 温 で 反 応 が 進 行 す る 場 合 に は 理 想 的 な 反 応 槽 形 状 で あ る が 、 千 六 百 〜 千 七 百 ℃ の 高 温 で の 反 応 が 進 展 す る 場 合 に は 多 少 問 題 に な る か な と い う 気 は し ま し た 。し か し 、 幸 い な こ と に 、 私 が こ の 実 験 に 参 加 す る こ と に な っ た 時 期 は 実 験 デ ー タ が か な り 蓄 積 さ れ 、 大 型 の 実 験 炉 に よ る 研 究 が 遂 行 さ れ よ う と し て い る 最 も 充 実 し た 瞬 間 で し た 。 文 部 省 ( 大 学 ) も 通 産 省 ( 会 社 ) も 行 え な い 研 究 こ そ を 、 科 学 技 術 庁 ( 金 材 技 研 ) が 実 施 す る と の ( 研 究 所 の ? ) 若 さ 溢 れ る 意 気 込 み が あ っ た と 思 い ま す 。 英 、 仏 、 米 、 ソ 、 オ ー ス ト ラ リ ア 、 ス ウ ェ ー デ ン 等 が 遂 行 中 の 連 続 製 鋼 法 と 比 較 検 討 す べ き 、 独 特 の 特 徴 を 有 す る 方 法 で あ る こ と は 確 信 し て お り ま し た 。 た だ 、 最 後 に ア ム パ ン ・ オ イ シ ウ ス に 負 け た の が 残 念 で あ る 。 ( 組 織 制 御 研 究 部 ) 熱 き 男 達 の 夢 も の が た り 上 原 功 ふ り か え れ ば 、 そ れ は 一 幕 の 舞 台 を み て い る よ う な 想 い で あ る 。 大 勢 の 人 々 が 、 そ れ ぞ れ の 役 割 を 分 担 し て 一 つ の 目 的 に 突 き 進 む 。 参 加 し た そ れ ぞ れ の 人 々 の 個 性 が は げ し く 躍 動 し て ぶ つ か り あ い 、 助 け 合 っ た 。 ひ と こ ろ 、 霞 ヶ 関 の 科 学 技 術 庁 内 で は 金 属 材 料 技 術 研 究 所 と 言 え ば 、 決 ま っ て 連 続 製 鋼 の 実 験 と い う 言 葉 が 返 っ て き た 。 そ れ を 聞 く 度 に 、 よ い 経 験 を さ せ て も ら っ た な あ と 胸 を は っ て 喜 ん だ も の で あ る 。 「連 続 鋳 造 」 に 続 い て 実 施 さ れ た 「連 続 製 鋼 」 の 実 験 。 工 業 化 研 究 部 は 夢 の ル ツ ボ だ っ た 。 灼 熱 の 溶 鋼 が あ ふ れ 出 る 湯 口 を 覗 き 込 み な が ら 、 そ の 高 温 に も め げ ず に ノ ロ を か き だ す 。 こ の 時 こ そ 本 当 に 仕 事 を し て い る な あ と 、 何 か し ら 充 実 感 を 実 感 し た も の で あ る 。 溶 鋼 か ら く る 熱 の た め に 腕 時 計 が 壊 れ て し ま っ た く ら い 、 熱 い 熱 い 思 い 出 で あ る 。 歳 月 が 過 ぎ 、 く る 日 も く る 日 も 、 座 っ た ま ま の い わ ゆ る 机 の 上 の 仕 事 が 続 く 中 で 、 ス ト レ ス も た ま り 、 実 際 に 物 を 造 る よ ろ こ び も 失 わ れ て い っ た 。 そ ん な あ る 日 、 再 び 「連 続 製 鋼 」 の 話 題 を 聞 い た 。 目 黒 の あ の 熱 い イ ブ キ が 北 海 道 で 芽 生 え て い る と い う 。 さ っ そ く 北 海 道 へ 飛 ん だ 。 工 業 団 地 の 一 角 に あ る 工 場 の 中 で 、 そ れ は た く ま し く 躍 動 し て い た 。 ま わ り で 男 達 が 生 き 生 き と 息 づ い て い る 。 苫 小 牧 に 激 し く ふ ぶ く 粉 雪 が 、 熱 く 紅 潮 し た 頰 に こ こ ち よ い 。 血 の 躍 動 に も 似 た 高 揚 感 で あ っ た 。 今 、 物 造 り の 第 一 線 で も あ る 原 子 力 発 電 用 の 核 燃 料 加 工 工 場 の 一 隅 で 、 「連 続 製 鋼 」 の 名 を 耳 に す る 。 電 話 口 の 壊 か し い 声 と 、 目 の 前 に 彷 彿 と す る あ の 熱 い 光 景 に 、 心 の ふ る え る 思 い が す る 。 あ の よ う な 実 験 に 参 加 で き た 〝幸 運 〟 と 、 こ の よ う な 思 い 出 を も て る よ ろ こ び に 想 い を は せ る 。 ( 工 業 化 研 究 部 S 3 7 ・8 ・1 ~4 6 ・4 ・3 0 ) 苫 小 牧 の こ と 福 澤 章 昭 和 五 十 年 代 の 終 わ り ご ろ 、 二 度 苫 小 牧 に 行 っ た 。 最 初 は 河 田 先 生 に 見 て い た だ く の に 便 乗 し て 、 二 度 目 は 滞 留 時 間 分 布 の 測 定 に 徒 党 を 組 ん で 行 っ た 。 い ず れ も 晩 秋 か 初 冬 の 寒 い シ ー ズ ン で 、 漁 港 に は 鱈 が 山 積 み に な っ て い た 。 溶 湯 の 滞 留 時 間 分 布 は 先 方 が 訝 し が る ほ ど き れ い な デ ー タ が 得 ら れ た こ と 、 川 鉄 か ら 来 た 岡 部 、 江 見 、 藤 井 の 三 氏 へ の 説 明 役 を お し つ け ら れ 、 「 原 価 計 算 が 出 来 る よ う に な っ た で し ょ う 」 と 江 見 さ ん に 冷 や か さ れ た こ と を 思 い 出 す 。 だ が 何 と 言 っ て も 最 高 の 思 い 出 は 、 夜 、 苫 東 の 工 場 群 を ホ テ ル の 窓 か ら 眺 め 、 「 あ ー 、 今 も 湯 が な が れ て い る ん だ 」 、 「 こ れ で 鉄 屋 と 対 で や れ る 」 と 満 足 し な が ら 寝 ら れ た こ と に 尽 き る 。 実 際 は ト ラ ブ ッ タ こ と も あ っ た よ う だ が 。目 黒 で 、 二 十 分 ほ ど 寝 過 ご し て 予 熱 用 の プ ロ パ ン ボ ン ベ が 空 に な り 、 エ ア だ け が 静 か に 流 れ て い た こ と な ど は 、 ま た 次 の 機 会 に … … ( 反 応 制 御 研 究 部 ) 連 続 製 鋼 思 い 出 カ ル タ 吉 松 史 朗 ( い) 何 時 迄 も 世 に 波 及 す る プ ロ ジ ェ ク ト ( ろ) 炉 の 仕 上 げ 名 人 芸 に 支 え ら れ ( は) 迫 力 は 誰 に も 負 け ぬ 関 係 者 ( に) 日 夜 無 し 考 え て み れ ば よ う や っ た ! ( ほ) 本 音 だ す 青 筋 立 て て ミ ー テ ィ ン グ ( へ) 平 衡 が 成 り 立 た な い の が 連 続 化 ( と ) 苫 小 牧 男 の ロ マ ン に 灯 が と も り ( ち) 力 こ ぶ 頭 脳 と と も に 求 め ら れ ( り ) 理 論 な し あ る 日 突 然 高 脱 燐 ( ぬ) ぬ く も り で 支 え て 呉 れ た 十 四 号 ( 管 理 部 ) ( る) ル ン ル ン な 気 分 を 醸 す 分 析 値 ( を ) 終 わ り な き 想 い を 断 ち て 六 十 六 ( 操 業 回 数 ) ( わ ) 我 が 店 の マ マ に 無 理 言 う 夜 食 番 ( か) 傘 の 下 プ ロ パ ン 番 の 夜 の 悲 哀 ( よ ) 夜 明 け か ら 二 十 四 時 間 エ ル ー 吠 え ( た ) 大 過 無 く 天 に 感 謝 の 安 全 性 ( れ) レ ー ザ ー も し つ こ く 続 け て 良 い 結 果 ( そ ) 卒 業 生 皆 そ れ ぞ れ に 飛 躍 あ り ( つ) つ い に 出 た ラ ン ス の 口 か ら 脱 燐 剤 ( ね ) 熱 収 支 耐 火 物 で も 大 苦 労 ( な ) 中 目 黒 心 の 憂 さ の 洗 濯 場 ( ら ) ラ イ バ ル の 英 仏 豪 と 抜 き 抜 か れ ( む) 無 理 通 る 予 定 日 変 え れ ぬ 我 孤 独 ( う ) う た た 寝 の 夢 の 中 で も 湯 が こ ぼ れ ( ゐ) 胃 が 痛 む い つ か 医 務 室 常 連 に ( の) の っ け か ら 材 料 屋 が 宗 旨 変 え ( お) オ リ ジ ナ ル 、 努 力 が 支 え ト ッ プ ラ ン ( く ) 苦 労 し た デ マ ン ド 調 整 た だ 感 謝 ( や ) 夜 勤 に も 頭 を 悩 ま す そ の 手 当 ( ま ) 纒 ま っ た 論 文 特 許 は 数 知 ら ず ( け ) 結 果 良 し 酒 の 強 さ も 一 段 と ( ふ) 分 析 の 尊 い 助 力 に 支 え ら れ ( こ) 高 圧 の ガ ス 規 制 に も 悩 ま さ れ ( え ) 永 久 に 国 研 研 究 は 先 見 性 ! ( て) 手 作 り の 送 酸 装 置 は よ く 応 え ( あ ) 朝 一 番 十 二 屯 の い い 湯 日 の 出 待 ち ( さ ) サ ク セ ス も 皆 の 汗 が 担 ぎ 上 げ ( き ) キ ャ ビ テ ィ の 深 さ で 変 わ る 後 始 末 ( ゆ) 湯 漏 れ 止 め 反 応 以 前 に 大 苦 労 ( め ) 名 物 は 人 い う タ コ 部 屋 工 一 研 ( み) 水 モ デ ル 世 に 問 い か け る 多 段 槽 ( し ) 湿 気 に は 最 後 打 ち 克 つ 粉 準 備 ( ゑ ) 江 崎 さ ん 大 味 さ ん に 感 謝 の 事 業 団 ( ひ) 昼 休 み 雑 談 か ら 皆 巻 き 込 ま れ ( も ) 持 つ べ き は 鉄 鋼 協 会 委 員 会 ( せ ) 銑 鉄 を 割 っ て 代 償 腰 痛 め ( す ) す べ か ら く 歴 史 は 我 の 後 を 追 い ( ん ) 運 命 は 末 だ に 続 く 連 続 化 ( 製 錬 研 究 部 S 3 5 ・4 ・1 ~ H 2 ・1 ・3 1 ) 流 動 還 元 実 験 の 思 い 出田 中 稔 思 え ば 、 あ の 頃 か ら も う 二 十 年 以 上 の 歳 月 が 流 れ ま し た が 、 昭 和 四 十 六 年 頃 か ら 約 五 年 間 続 け ら れ た 流 動 還 元 実 験 は 、 悪 戦 苦 闘 の 連 続 で し た 。 中 目 黒 の 2 2 B 西 北 部 に 設 置 し た 流 動 還 元 実 験 プ ラ ン ト は 粉 状 の 鉄 鉱 石 を 一 日 に 約 四 ト ン を 連 続 的 に 還 元 で き る 規 模 の も の で 、 当 時 日 本 最 大 規 模 の 設 備 で し た 。 還 元 ガ ス は 純 水 素 を 使 用 し 、 炉 内 圧 力 は 最 高 八 気 圧 、 還 元 温 度 九 百 ℃ と 高 く 、 高 温 で 大 量 の 水 素 を 供 給 す る こ と に よ っ て 還 元 能 力 を 大 き く し よ う と 考 え 、 ま た 各 所 に 新 し い 工 夫 を 取 り 入 れ た 装 置 で し た 。 新 し い 装 置 の 開 発 研 究 の 宿 命 と は い う も の の 、 こ れ だ け の 規 模 の 設 備 を 安 全 に 、 安 定 的 に 運 転 で き る か ど う か の 不 安 に 悩 ま さ れ た も の で し た 。 大 型 装 置 で は 、 小 型 装 置 の 場 合 の 様 に や り 直 し が 簡 単 で な く 、 小 型 装 置 で 予 想 も し な か っ た 現 象 が 起 っ て ト ラ ブ ル の 原 因 と な る た め に 、 こ れ ら を 解 決 し な い と 命 取 り に な り か ね な い 不 安 が あ り ま す 。 も し 装 置 の 連 続 運 転 が で き な い 場 合 は 全 く 成 果 は 得 ら れ な い の で 完 全 に 失 敗 で あ り 、 莫 大 な 金 と 人 と 時 間 は 無 駄 に な る わ け で す か ら 、 責 任 者 と し て の 不 安 は 大 き な も の で し た 。 実 験 装 置 が 完 成 し て 、 実 験 に 入 っ て か ら 数 え き れ な い 程 の ト ラ ブ ル が 発 生 し 、 設 備 の 殆 ど の 部 分 を 分 解 す る こ と と な り 、 研 究 ど こ ろ か 分 解 修 理 屋 で は な い か と 思 う 程 で し た 。 そ れ で も 、 分 解 の 結 果 原 因 が 明 ら か に な れ ば 良 い の で す が 、 解 決 法 が 見 出 せ ず 絶 望 的 な 気 持 に な っ た こ と も あ り ま し た 。 し か し 、 実 験 に 協 力 し て 下 さ っ た 多 く の 人 達 に 支 え ら れ て 、 こ れ ら の 困 難 を 乗 り 越 え て 金 材 技 研 法 と し て 評 価 さ れ る 成 果 が 得 ら れ た こ と は 、 苦 し み の 重 圧 が 大 き か っ た だ け に 忘 れ ら れ な い 思 い 出 で す 。 こ の プ ラ ン ト の 解 体 の 時 に 、 鉄 製 錬 第 一 研 究 室 の 皆 さ ん が プ ラ ン ト の 心 臓 部 の ガ ス 分 散 板 か ら 作 成 し た 文 鎮 を 記 念 と し て 戴 き ま し た が 、 こ れ を 見 つ め て こ の 思 い 出 を 書 い て い る と 、 当 時 の い ろ い ろ な こ と が 次 か ら 次 へ と 思 い 出 さ れ て き ま す 。 こ の 流 動 還 元 実 験 プ ラ ン ト を 設 備 す る に 至 っ た 経 過 は 、 昭 和 四 十 年 の 始 め 頃 に さ か の ぼ り ま す 。 当 時 、 西 独 の ア ー ヘ ン 工 大 が 原 子 力 製 鉄 の 特 許 を 出 願 し た と い う 情 報 が 入 り 、 日 本 鉄 鋼 協 会 が 急 據 関 係 者 を 召 集 し て 、 原 子 力 を 用 い る 製 鉄 法 に つ い て 検 討 を 開 始 す る こ と と な り ま し た 。 こ れ が 日 本 で の 原 子 力 製 鉄 の 始 ま り で す 。 間 も な く 新 日 鉄 の 湯 川 さ ん が 原 子 力 部 会 長 と な ら れ 、 各 委 員 会 で 原 子 炉 の 検 討 、 現 行 製 鉄 法 へ の 原 子 力 利 用 の 可 能 性 の 検 討 、 ま た 熱 交 換 器 の 検 討 な ど が 行 な わ れ ま し た 。 こ の 結 果 、 高 炉 法 に 原 子 力 の 利 用 は 無 理 で あ り 、 還 元 ガ ス を 用 い る 直 接 還 元 法 の 中 で シ ャ フ ト 炉 法 か 流 動 還 元 法 の い ず れ か が 有 力 で あ る と い う 結 論 に 達 し ま し た 。 当 時 、 製 錬 研 究 部 で は 流 動 還 元 法 の 基 礎 研 究 を 行 な っ て い ま し た の で 、 原 子 力 部 会 で も 流 動 還 元 法 の 利 点 を 常 に 強 く 主 張 し 続 け ま し た 。 し か し 当 時 、 シ ャ フ ト 炉 法 は 実 用 炉 と し て の 実 績 が 多 か っ た の に 対 し て 、 流 動 還 元 法 は 南 米 の ベ ネ ズ エ ラ に 一 基 あ る の み で 、 し か も 操 業 が 順 調 で な く 原 因 も 明 ら か に さ れ な い 状 態 で し た 。 見 学 に 行 っ て も 遠 く か ら 眺 め さ せ る だ け で 近 づ く こ と も で き な い 有 様 で 評 判 も 悪 く 、 何 か 重 大 な 欠 陥 が あ る の で は な い か と 噂 さ れ る 状 態 で し た 。 一 方 、 シ ャ フ ト 炉 法 の 方 は 新 日 鉄 が 日 吉 の 研 究 所 で 小 型 シ ャ フ ト 炉 の 実 験 に 間 も な く 入 る 状 態 に あ り 、 こ の 結 果 に も と づ い て 近 く 広 畑 製 鉄 所 内 に 日 産 五 百 ト ン の シ ャ フ ト 炉 を 建 設 す る 予 定 で し た 。 さ ら に 原 子 力 部 会 が こ の 小 型 シ ャ フ ト 炉 に よ る 共 同 研 究 を 各 社 の 協 力 で 実 施 す る こ と と な り 、 私 も 委 員 と し て 参 加 す る 状 態 と な り 、 シ ャ フ ト 炉 と 流 動 炉 の 勝 負 は つ い た と 思 う 様 に な り ま し た 。 丁 度 そ の 頃 、 当 時 の 河 田 所 長 か ら 流 動 還 元 を も う 少 し 力 を 入 れ て 進 め よ と 提 言 さ れ ま し た 。 私 は 流 動 還 元 法 は シ ャ フ ト 炉 法 に 勝 て な い 情 勢 に あ る し 、 も し 、 や る な ら 大 型 装 置 に な り 労 多 く し て 報 い は 少 な い と 思 い 、 今 更 こ の 段 階 で そ の 気 は 持 て な い と 反 対 し た と こ ろ 、 〝 企 業 の 技 術 部 長 の 様 な こ と を 言 う な 〟 と 強 く 叱 ら れ た こ と を 覚 え て い ま す 。 私 も 今 ま で 流 動 還 元 を 研 究 し て き た 関 係 で 、 心 の 底 に は 悔 し さ も あ り 、 こ の 際 腹 を 据 え て 挑 戦 し て 見 よ う と 決 心 し ま し た 。 そ こ で 、 同 じ 苦 労 を す る な ら 日 本 で 最 大 の も の を 実 験 し よ う と 考 え ま し た 。 流動還元実験プラント そ の 頃 の 流 動 還 元 装 置 の 最 大 の も の は 新 日 鉄 の 日 吉 の 研 究 所 の 日 産 一 ト ン の も の で し た か ら 、 こ れ よ り 大 き い も の を 設 備 し よ う と 思 っ た わ け で す 。 こ の 新 日 鉄 の 装 置 は 社 外 秘 の も の で 、 実 験 が 終 了 し て か ら も 長 い 間 見 学 し た 人 は い な か っ た の で す が 、 金 材 技 研 の 大 型 流 動 還 元 炉 の 話 が 進 ん で い た あ る 時 、 今 は 亡 き 近 藤 室 長 の 御 好 意 で 見 学 し 、 設 備 の 大 き さ や 水 素 ボ ン ベ 置 場 の 広 さ な ど 大 型 設 備 の 様 子 を 知 る こ と が で き た こ と も 忘 れ ら れ な い 思 い 出 で す 。 そ の 後 、 大 体 の 計 画 の 出 来 た 頃 、 河 田 所 長 の 所 に 説 明 に 伺 っ た 時 、 こ ん な 大 き な も の は 考 え て い な か っ た と 驚 ろ か れ た 様 子 で し た が 、 や め ろ と は 言 わ れ な か っ た の で 、 い よ い よ こ の 計 画 を 推 進 す る こ と に な り ま し た 。 装 置 を 設 計 し て 行 く に 従 っ て 多 く の 問 題 点 が 出 て き た の で 、 小 型 還 元 実 験 や ガ ラ ス 製 の 模 型 実 験 な ど で 検 討 し て い き ま し た 。 装 置 メ ー カ ー の 方 が 勉 強 さ せ て く れ と い う 状 態 で あ り 、 い わ れ る 通 り 製 作 し ま す と い う こ と で 、 ま す ま す 荷 が 重 く 感 じ た も の で し た 。 こ れ ら の 中 で 水 素 ガ ス の 温 度 を 千 百 ℃ 位 ま で 上 げ た い の で す が 、 普 通 の 熱 交 換 器 で は 八 百 五 十 ℃ 以 上 は 無 理 な の で 炉 の 入 口 に 純 酸 素 を 少 量 吹 き 込 む 方 法 を 考 え ま し た が 、 別 の メ ー カ ー の 人 か ら 〝 勇 気 が あ る な あ 〟 と 感 心 さ れ て 一 段 と 不 安 に な っ た も の で し た 。 し か し 本 番 の 実 験 で 酸 素 を 吹 き 込 ん だ 時 、 水 素 温 度 が 急 速 に 上 昇 し た 時 の 感 激 は 忘 れ ら れ ま せ ん で し た 。 ま た 、 実 験 に 使 う 鉱 石 の 量 が 非 常 に 多 い の で 、 鉱 石 の 粉 砕 、 篩 別 、 運 搬 作 業 が 大 変 と な り 、 な ん と か 自 動 化 し た い と 試 行 錯 誤 し 苦 労 を し ま し た 。 た ま た ま 卆 論 生 が 何 人 か 来 て い ま し た の で 彼 等 に 毎 日 こ の 作 業 を さ せ て 、 私 達 は 流 動 炉 の 方 の 仕 事 を し て い ま し た が 、 時 々 様 子 を 見 に 行 く と 、 彼 等 が 鉱 石 ま み れ に な っ て こ れ で 卆 論 が 書 け る の か と 心 配 そ う な 顔 を し て い た の を 思 い 出 し ま す 。 こ の 様 に し て 本 格 的 に 実 験 に 入 っ た の で す が 、 前 に 述 べ ま し た 通 り 失 敗 の 連 続 で 、 失 敗 す る の が 普 通 と ま わ り の 人 達 に も 思 わ れ て い ま し た 。 当 時 、 高 圧 ガ ス 規 制 が 次 第 に 厳 し く な っ て き た 時 期 で も あ り 、 炉 の 調 子 が 悪 く な っ て 水 素 の 使 用 量 が 少 な く な っ て き て も 計 画 通 り に 水 素 ボ ン ベ が ど ん ど ん 搬 入 さ れ 、 赤 い 水 素 ボ ン ベ が 一 杯 に な り 、 こ ち ら に も 気 を 使 わ な け れ ば な ら ず 、 命 が 縮 ま る 思 い で し た 。 し か し 次 第 に 初 歩 的 な 失 敗 は 少 な く な り 、 一 度 成 功 す れ ば 更 に 厳 し い 条 件 下 で の 実 験 に 挑 戦 し 、 こ の 装 置 の 最 大 限 の 能 力 を 求 め る た め に 失 敗 す る と い う 状 態 に な り ま し た 。 そ の 間 、 原 子 力 部 会 の 還 元 関 係 の 委 員 の 人 達 に 稼 動 中 の 装 置 を 公 開 し 、 大 型 流 動 還 元 装 置 の 運 転 状 況 を 詳 細 に 見 て も ら い 、 流 動 還 元 の い ま ま で の 不 安 材 料 を 少 な か ら ず 払 拭 し た の で は な い か と 思 い ま し た 。 ま た 、 こ の 実 験 に よ っ て こ れ ま で 流 動 還 元 法 で 達 成 で き な か っ た 成 果 が 得 ら れ た こ と は 、 苦 労 は 大 き く シ ャ フ ト 炉 に 逆 転 は で き な か っ た け れ ど 、 悔 は な か っ た と 思 っ て い ま す 。 い ろ い ろ と 思 い つ く ま ゝ に 当 時 の 思 い 出 を 書 き ま し た が 、 最 後 ま で 大 き な 事 故 も な く 、 無 事 実 験 を 終 了 で き た こ と は 協 力 し て 下 さ っ た 皆 様 の お 蔭 で あ る と 感 謝 の 気 持 で 一 杯 で す 。 大 型 プ ロ ジ ェ ク ト で あ る 原 子 力 製 鉄 が 終 了 し 、 新 し く 高 炉 に 替 る 新 製 鉄 法 と し て 溶 融 還 元 法 が 進 行 し ま し た が 、 こ の プ ロ セ ス に は 流 動 還 元 法 が 採 用 さ れ る と か 聞 き 、 何 か 研 究 に も 時 代 の 流 れ や 運 、 不 運 が あ る こ と を し み じ み と 感 じ な が ら 、 こ の 思 い 出 の 筆 を お か せ て い た だ き ま す 。 ( 製 錬 研 究 部 S 3 8 ・4 ・1 ~5 8 ・1 2 ・3 1 ) 溶 解 加 工 設 備 の 設 置 と 運 転 ( 寄 せ 書 き ) 大 型 設 備 の 苦 労 話 三 井 達 郎 私 の 入 所 時 の 印 象 と い え ば 、 工 場 の よ う な 大 き な 建 物 (2 2 A 、B 庁 舎 ) 、 高 い 煙 突 、 沢 山 の 大 き な 設 備 が あ る こ と で し た 。 研 究 所 に し て は 規 模 の 大 き い 設 備 を 設 置 す る 計 画 に つ い て は 「 五 年 の あ ゆ み 」 で 初 代 橋 本 所 長 の 「 ご あ い さ つ 」 に 述 べ ら れ て い る し 、 研 究 所 設 立 の 経 緯 や 研 究 所 の 性 格 、 使 命 、 運 営 の 基 本 方 針 、 予 算 な ど か ら も そ の 必 要 性 が 伺 え ま す 。 溶 解 加 工 設 備 の 建 設 に 当 っ て は 田 中 龍 男 室 長 ( 当 時 ) が 指 揮 さ れ て 、 大 層 苦 労 さ れ た と 聞 い て い ま す が 、 今 と な っ て は お 話 し 頂 け ま せ ん 。 そ こ で 、 当 時 の 若 手 で 各 設 備 を 担 当 さ れ た O B の 方 々 に 伺 っ た と こ ろ 、 思 い 出 話 し と い う よ り 苦 労 話 し を お 寄 せ く だ さ い ま し た の で 、 特 に 大 型 設 備 に つ い て い く つ か 御 紹 介 し ま す 。 ( 組 織 制 御 研 究 部 ) 百 キ ロ 高 周 波 真 空 溶 解 炉 の 設 置 と 運 転 尾 澤 正 也 金 材 技 研 に 入 所 し て 、 初 め て の 仕 事 が 標 題 の 仕 事 で あ っ た 。 上 司 の 田 中 龍 男 室 長 は 溶 解 圧 延 設 備 の 設 置 と 運 転 の 総 括 責 任 者 と し て 、 百 キ ロ ワ ッ ト 高 周 波 溶 解 炉 、 実 験 用 圧 延 機 等 々 2 2 A 庁 舎 に 並 ん だ 一 連 の 設 備 の 購 入 、 配 置 か ら 検 収 、 人 的 配 置 、 訓 練 に 至 る 殆 ど す べ て を 一 身 に 被 っ て 処 理 し て お ら れ た 。 入 所 し た ば か り の 私 で あ っ た が 、 真 空 関 係 の 建 設 は 任 せ る か ら 充 分 調 査 し て や っ て く れ と 命 ぜ ら れ 、 真 空 の 技 術 、 真 空 機 器 、 そ し て 当 時 話 題 に 上 り 始 め た 真 空 冶 金 に つ い て の 勉 強 か ら 始 め た 。 日 本 真 空 や 日 本 電 子 に も 見 学 に 行 き 、 資 料 を 集 め た 。 一 足 先 に 十 キ ロ プ ラ ン ト に は バ ル ツ ァ ー ス の 真 空 溶 解 炉 が 導 入 さ れ 、 渡 辺 敏 昭 氏 と 共 に そ れ を 使 っ て 実 験 す る よ う に な っ た の で 、 そ の 経 験 も 加 え て 案 を 練 っ た 。 新 し い 装 置 を 導 入 す る こ と は 、 そ の 種 類 を 問 わ ず 心 躍 る も の が あ る 。 そ の 中 に 何 か 新 し い 工 夫 が 盛 り 込 ま れ た り 、 発 展 の 可 能 性 が 感 じ ら れ れ ば 尚 更 の こ と だ 。 そ の 概 念 設 計 の 段 階 で は 大 変 楽 し い 作 業 で あ っ た 。 調 査 を 進 め る に 従 っ て 、 大 型 の 真 空 ポ ン プ を 製 造 す る 技 術 、 更 に 言 え ば 百 キ ロ ク ラ ス の 真 空 溶 解 炉 を 製 造 す る 技 術 は A 社 以 外 に は 無 い と い う こ と が 明 ら か に な っ た 。 A 社 に 選 定 す る よ う 主 張 し 、 室 長 や 遠 藤 勝 次 郎 部 長 も 理 百 キ ロ プ ラ ン ト 工 場 開 き 百 キ ロ グ ラ ム 高 周 波 真 空 溶 解 炉 二 ト ン エ ル ー 式 電 弧 炉 解 し て く れ た が 、 「 大 学 を 出 て ま だ 一 年 か 二 年 の 人 の 言 う こ と は 信 用 し ま せ ん 」 と の 一 言 で 退 け ら れ 、 製 作 担 当 は ( 入 札 の 結 果 だ っ た と 思 う が ) B 社 に 決 ま っ た 。 橋 本 宇 一 所 長 の ご 指 示 で 工 業 デ ザ イ ン の 専 門 家 の 手 が 加 わ り 、 模 型 に よ っ て 形 が 整 え ら れ た が 、 こ の 種 の 装 置 と し て は 大 変 珍 し い こ と だ っ た 。 据 え 付 け 調 整 に 入 っ て か ら は 苦 難 の 連 続 だ っ た 。 一 緒 に そ の 任 に 当 た っ た 渡 辺 敏 昭 氏 、 電 気 関 係 を 担 当 し た 持 田 忠 明 氏 は そ の 苦 難 の 中 に も ろ に 巻 き 込 ま れ た 。 大 き な 缶 体 と ゲ ー ト バ ル ブ の あ ち こ ち か ら 容 赦 な く 真 空 漏 れ を 生 じ 、 な か な か 真 空 度 が 上 が ら な か っ た 。肝 心 の 大 型 の 拡 散 ポ ン プ は 、 排 気 速 度 を 実 測 す る と ス ペ ッ ク の 一 割 も 出 て い な か っ た 。 真 空 関 係 の 測 定 は 時 間 が か か り 、 系 が 大 き け れ ば 大 き い ほ ど 困 難 さ を 増 す 。 複 雑 な 配 線 は 錯 綜 し チ ェ ッ ク に 大 変 な 労 力 を 要 し た 。 し か し 、 と も か く 何 と か 使 え る よ う に し な け れ ば な ら な い 製 作 会 社 側 と の 際 限 の な い 議 論 、 そ し て 挙 げ 句 の 果 て の 徹 夜 作 業 の お 付 き 合 い を さ せ た 御 両 所 に は 、 今 で も 大 変 申 し 訳 な く 思 っ て い る 。 因 み に A 社 の 担 当 し た 真 空 鋳 造 装 置 は 殆 ど ト ラ ブ ル も な く 完 成 し た が 、 担 当 の 笠 原 和 男 氏 の 入 念 な 整 備 に も 関 わ ら ず あ ま り 利 用 者 が な か っ た よ う で あ る 。 百 キ ロ プ ラ ン ト の 建 設 に 心 血 を 注 が れ た 田 中 龍 男 氏 が ご 存 命 な ら ば 、 こ れ に ま つ わ る い ろ い ろ な お 話 が 伺 え た と 思 う が 詮 方 も な い 。 装 置 の 縮 尺 型 紙 を 切 り 抜 い て 、 配 置 の 検 討 の お 手 伝 い を し た こ と な ど が 懐 か し く 思 い 出 さ れ る 。 ( 第 4 研 究 グ ル ー プ S 3 2 ・4 ・1 ~ H 3 ・ 3 ・3 1 ) 二 ト ン エ ル ー 式 電 弧 炉 の 設 置 と 運 転 神 谷 昂 司 ト ン ト ン ト ン 、 リ ズ ミ カ ル な 金 属 音 が 響 く 。 こ れ は 、 中 二 階 に 昇 る 取 り 付 け 階 段 を 駈 け 上 が る 時 の 心 地 よ い 音 で す 。 ド ア ー を 開 け る と 、 青 図 を 広 げ た 田 中 龍 男 室 長 の 顔 が あ り ま し た 。 第 四 部 工 業 化 研 究 室 の 三 十 数 年 前 の 姿 で す 。 私 が 入 所 し た 昭 和 三 十 五 年 は 、 目 黒 地 区 も 建 設 の 真 っ 只 中 で 、 大 型 設 備 ( 百 キ ロ プ ラ ン ト ) の 設 置 に 慌 た だ し い 日 々 を 送 り ま し た 。 「細 粒 鋼 の 研 究 」 と 二 ト ン エ ル ー 炉 の 建 設 が 、 私 の 最 初 の テ ー マ で し た 。 二 ト ン エ ル ー 炉 は 、 既 に 、 設 置 建 屋 が そ の 前 年 に 完 成 し 、 購 入 業 者 も 決 定 さ れ て い ま し た 。 大 同 製 鋼 社 製 の レ ク ト ロ メ ル ト 炉 で 、 小 型 炉 と し て は 、 確 か 、 一 号 機 だ っ た と 聞 い て い ま し た 。 当 時 、 機 器 の 設 置 に は 現 場 作 業 が 多 く 、 名 古 屋 か ら 泊 り 掛 け で 職 人 が 来 て い ま し た 。 現 場 作 業 で 思 い 出 す こ と が 一 つ あ り ま す 。 そ れ は 、 組 み 立 て も 順 調 に 進 み 、 炉 蓋 旋 回 用 油 圧 配 管 の フ ラ ッ シ ュ 試 験 の と き 、 溶 接 配 管 か ら 出 て き た ス ラ グ の 多 さ に び っ く り し た こ と で す 。 今 で は 配 管 ジ ョ イ ン ト も 良 く な り 、 工 場 で 試 運 転 さ れ て く る の で 心 配 は な い が 、 当 時 は こ の 様 な ト ラ ブ ル が 多 く 、 仕 様 書 ど お り の 性 能 が 出 て く れ る こ と を 願 っ た も の で す 。 今 一 つ 、 心 配 だ っ た こ と が あ り ま す 。 そ れ は 、 溶 解 中 の 炉 蓋 の 崩 落 で す 。 生 産 炉 で は 全 く 生 じ ま せ ん が 、 と き た ま 動 か す 試 験 用 炉 で は 煉 瓦 の 目 地 が 乾 燥 し 、 ス ラ グ に よ る 接 着 効 果 が 弱 く な り 、 操 業 中 に 落 下 し て 溶 解 不 能 と な る こ と で し た 。 幸 い 、 当 時 の 溶 解 班 の 方 々 の 努 力 に よ っ て 、 無 事 大 き な ト ラ ブ ル も な く 過 ご さ せ て い た だ き ま し た 。ア ー ク に よ る 網 膜 の 炎 症 で 、 小 石 が 数 個 目 の 中 に 入 っ て ゴ ロ ゴ ロ す る よ う な 痛 さ は 、 今 で も 思 い 出 さ れ ま す 。 ( 反 応 制 御 研 究 部 S 5 5 ・4 ・1 ~ H 元 ・3 ・3 1 ) 五 百 ト ン 油 圧 鍛 造 プ レ ス の 設 置 と 運 転 渡 辺 敏 百 キ ロ プ ラ ン ト の 設 備 な の だ か ら 、 百 キ ロ グ ラ ム イ ン ゴ ッ ト を 鍛 造 圧 延 で き る プ レ ス と い う の が 、 当 時 の 機 種 選 定 の 基 本 方 針 で し た 。 初 め 、 小 松 製 作 所 と 打 ち 合 わ せ を し て い た の で す が 、 上 か ら の お 達 し で 、 急 遽 、 イ リ ス 商 会 と い う 会 社 か ら 青 い 目 の 人 達 が や っ て き ま し た 。 日 本 人 の 商 社 員 も 同 行 し て い た の で す が 、 彼 氏 の 英 語 も わ れ わ れ と チ ョ ボ チ ョ ボ で 、 細 か い 打 ち 合 わ せ を ど う や っ て ま と め た の か い ま で は よ く わ か り ま せ ん 。 入 荷 し た と き 芝 浦 の 保 税 倉 庫 に 荷 姿 を 見 に 行 っ て 、 そ の 大 き さ に び っ く り し て し ま い ま し た 。 と て も 建 屋 の 入 口 か ら 入 ら な い の で 、 当 時 室 長 だ っ た 田 中 龍 男 さ ん に 報 告 し た と こ ろ 、 入 口 の 鉄 骨 を 溶 断 す る こ と に な り ま し た 。 具 合 の 悪 い こ と に 、 ち ょ う ど 暖 房 工 事 の 最 中 で 、 入 口 の 前 に は 幅 二 メ ー ト ル ほ ど の 深 い 溝 が 掘 ら れ て い て 、 そ こ を ど う や っ て 通 す か で 大 騒 ぎ し た こ と を お ぼ え て い ま す 。 そ の と き 、 尺 角 だ の 風 珍 だ の い ろ い ろ な 土 木 用 語 を 覚 え ま し た 。 装 置 は オ イ ム コ 社 製 の 五 百 ト ン プ レ ス で 、 ド イ ツ 製 で あ る こ と が お 気 に 召 し た の か 、 当 時 所 長 で あ っ た 橋 本 先 生 は し ば し ば 建 設 現 場 に 足 を 運 ん で 見 学 さ れ て い ま し た 。 エ レ ク タ は ま だ 若 い ド イ ツ 人 で 、 彼 氏 と な ん と か 会 話 を し よ う と 、 毎 朝 テ レ ビ で ド イ ツ 語 を 勉 強 し た の が ア ー ヘ ン 工 科 大 学 へ の 留 学 の き っ か け に な り ま し た 。 私 事 は と に か く と し て 、 こ の ド イ ツ 人 は な か な か の わ が ま ま 者 で 、 工 事 の 最 中 に ク リ ス マ ス 休 暇 で 国 に 帰 り た い と い う の で す 。 私 は 仕 方 な い と 思 っ た の で す が 、 さ す が は 田 中 室 長 、 簡 単 に は O K せ ず 、 大 分 も め ま し た 。 結 局 、 正 月 早 々 か ら 仕 事 に 掛 る こ と で 話 が ま と ま り ま し た 。 お 陰 様 で 、 私 は 一 月 四 日 か ら 残 業 す る ハ メ に な っ て し ま い ま し た 。 い よ い よ 試 運 転 の 時 が や っ て き ま し た 。 そ の 時 、 私 と 一 緒 に 仕 事 を し て い た 持 田 技 官 が 配 線 の ミ ス を 発 見 し ま し た 。 そ の こ と を 私 か ら 彼 に 伝 え た の に 、 ド イ ツ 人 は 信 用 し な い の で す 。 と に か く こ の ま ま や っ て み よ う と い う こ と な り ま し た 。 ラ ジ ア ル ポ ン プ は 轟 音 と 共 に 始 動 し ま し た が 、 そ の 途 端 に 停 止 し て し ま い ま し た 。 ほ れ 見 ろ 、 gew onnen と 私 は 得 意 そ う な 顔 を し た の で す が 。 そ れ に し て も 、 持 田 技 官 は 偉 い な あ 。 ( 製 造 冶 金 研 究 部 S 3 2 ・1 0 ・1 ~5 3 ・1 0 ・2 1 ) 500トン油圧プレス エ ア ハ ン マ ー 防 震 基 礎 の 思 い 出 木 村 勝 美 井 荻 に あ っ た 機 械 試 験 所 の 工 場 に 1 / 8 ト ン の エ ア ハ ン マ ー が 昭 和 二 十 七 年 頃 に 設 置 さ れ た が 、 二 百 メ ー ト ル も 離 れ た 本 館 の 四 階 の 金 属 顕 微 鏡 の 視 野 が 動 き 、 写 真 撮 影 が 出 来 な い と い う 障 害 が 発 生 し た 。 こ の こ と が あ り 、 し か も 金 属 材 料 技 術 研 究 所 で は 、 鍛 造 用 の エ ア ハ ン マ ー を 設 置 す る 場 所 が 敷 地 の ほ ぼ 中 央 に な る の で 、 防 震 構 造 に す る こ と が 絶 対 必 要 で あ っ た 。 当 時 は 、 防 震 基 礎 を 備 え た エ ア ハ ン マ ー は 我 が 国 に は 無 か っ た の で 、 鍛 造 用 ハ ン マ ー の 防 震 基 礎 に つ い て 調 査 の 結 果 、 ド イ ツ で 大 形 の ハ ン マ ー に 備 え た こ と が 一 九 三 六 年 に 報 告 さ れ て い た が 、 極 め て 大 形 で あ っ た 。 我 が 国 で は 、 大 阪 の 後 藤 鍛 工 所 で 同 社 の 設 計 に よ る 防 震 基 礎 を 備 え た ド ロ ッ プ ハ ン マ ー が 設 置 さ れ 良 好 な 成 績 を 収 め て い る こ と が 昭 和 二 十 九 年 に 報 告 さ れ 、 こ の 方 式 が 大 阪 地 区 に 普 及 し 始 め た 。 し か し 、 京 浜 地 区 に は 実 績 は 全 く な か っ た 。 そ こ で 、 防 震 基 礎 を 根 本 的 に 研 究 す る こ と に し た 。 構 造 と し て は 、 ハ ン マ ー を 大 き な コ ン ク リ ー ト の イ ナ ー シ ャ ブ ロ ッ ク に 載 せ 、 そ の ブ ロ ッ ク を ば ね で 支 え る 本 格 的 な も の に し た 。 地 盤 も 一 種 の ば ね で あ る の で 、 振 動 系 は 二 重 振 り 子 と し て 取 り 扱 う こ と が 出 来 る 。 解 析 解 を 求 め た が 、 計 算 の 実 施 の 段 階 で 行 き 詰 っ て し ま っ た 。 し か し 、 近 似 解 法 を 見 出 し た 。 そ し て 1 / 1 0 ト ン の エ ア ハ ン マ ー の 場 合 に 、 地 盤 に 伝 わ る 振 動 を 二 ・ 〇 ガ ル と 極 め て 小 さ く 出 来 る こ と が わ か っ た 。 こ れ に 片 利 き の オ イ ル ダ ン パ ー を 付 け て 、 ブ ロ ッ ク の 振 動 が 早 く 減 衰 す る よ う に し た 。 こ れ で 実 機 を 設 計 製 作 し 、 完 成 し た も の に つ い て 興 味 を 示 さ れ た 東 京 都 建 築 局 に 振 動 を 定 量 的 に 測 定 し て 頂 い た 結 果 で は 一 ・ 四 ガ ル で 、 防 震 構 造 に し な い と き の 百 分 の 一 に で き 、 研 究 所 の 期 待 以 上 の も の が で き た 。 こ の 結 果 に よ り 、 昭 和 三 十 三 年 度 に は 1 / 2 ト ン の エ ア ハ ン マ ー の 防 震 基 礎 を 、 ほ ぼ 同 じ 考 え で は あ る が 価 格 が 幾 ら か 安 く な る も を 設 計 製 作 し た 。 何 れ の ハ ン マ ー も 、 研 究 所 の 皆 さ ん に 大 い に 利 用 し て 頂 い た 。 設 置 後 三 十 五 年 以 上 の 間 、 特 に 問 題 は な か っ た の は 管 理 と 手 入 れ を こ ま め に し て 下 さ っ た 方 々 の お 陰 だ と 思 っ て い る 。 こ の 方 式 の 防 震 基 礎 は 関 東 地 方 で 一 時 流 行 し た 。( 材 料 強 度 研 究 部 S 3 1 ・7 ・1 ~5 9 ・4 ・1 ) 実 験 用 圧 延 機 の 設 置 と 運 転 持 田 忠 明 溶 解 圧 延 設 備 ( 百 キ ロ プ ラ ン ト ) の な か で も 、 最 初 の 時 期 に 整 備 さ れ た 大 型 の 設 備 が 実 験 用 圧 延 機 で あ っ た 。 昭 和 三 十 三 年 度 の 始 め 、 芝 浦 共 同 工 業 ( 株) ( 後 に 石 川 島 播 麿 重 工 業 ( 株) と 合 併 ) に 発 注 さ れ 、 製 作 が 進 め ら れ た 。 こ の 設 備 は 研 究 所 の 設 備 と し て は か な り 大 型 で 、 圧 延 機 本 体 の 機 械 系 の ほ か 、 こ れ を 駆 動 す る 直 流 モ ー タ 、 電 動 直 流 発 電 機 、 制 御 装 置 な ど の 同 等 規 模 の 電 気 系 設 備 で 構 成 さ れ て い た 。 三 十 三 年 五 月 に 入 所 し た ば か り の 谷 治 治 男 氏 と 私 が 、 田 中 龍 男 第 四 部 工 業 化 研 究 室 長 ( 当 時 、 故 人 ) か ら そ れ ぞ れ 機 械 系 、 電 気 系 の 運 用 担 当 に 指 名 さ れ 、 メ ー カ ー か 実 験 用 圧 延 機 ら 提 出 さ れ た 承 認 図 等 の 勉 強 が 始 ま っ た 。 三 十 三 年 の 末 頃 か ら 2 2 号 庁 舎 の 西 側 三 分 の 一 位 の ス ペ ー ス で 基 礎 工 事 が 開 始 さ れ 、 翌 年 に な る と 我 々 二 名 に 対 す る 圧 延 機 実 習 の 話 が 具 体 化 し た 。 メ ー カ ー 側 の 配 慮 に よ り 、 実 験 用 圧 延 機 電 気 設 備 の 製 作 担 当 で あ る と と も に 類 似 の 圧 延 作 業 を 行 っ て い る ( 株) 東 芝 柳 町 工 場 ( 川 崎 市 ) で 、 二 週 間 の 実 習 を 受 け る こ と が 決 ま っ た 。 三 十 四 年 二 月 二 日 か ら 十 四 日 に わ た り 、 東 芝 の 社 内 向 け 特 殊 金 属 の 圧 延 加 工 工 場 に て 現 場 に 立 ち 会 い 、 実 地 の 圧 延 機 運 用 状 況 を つ ぶ さ に 把 握 し た 。 電 気 系 は 全 く 同 等 の 設 計 で は な か っ た が 、 シ ス テ ム と し て の 機 能 は 同 様 で あ り 、 基 本 的 な 理 解 に 役 立 っ た 。 機 械 系 に つ い て は 、 こ こ で 学 ん だ オ ペ レ ー シ ョ ン 法 が 実 地 に 直 ぐ に 生 か さ れ て 金 材 技 研 で の 実 作 業 に 反 映 さ れ 、 研 究 用 試 料 の 圧 延 加 工 作 業 が 早 期 に 円 滑 に 実 施 で き る 結 果 と な っ た 。 実 験 用 圧 延 機 の 特 徴 は 、 熱 間 二 / 四 段 、 冷 間 二 / 四 段 、 棒 鋼 圧 延 と 五 通 り に 切 り 換 え 使 用 が 可 能 な 設 計 と な っ て お り 、 原 型 は 米 国 で の 製 作 実 績 の あ る 設 計 と な っ て い る と い う 話 で あ っ た 。 し か し 、 こ の 欲 張 っ た 多 用 途 型 で あ る 点 が 長 所 で あ り 欠 点 で も あ っ た 訳 で 、 三 十 四 年 二 月 十 七 日 か ら 設 備 の 据 え 付 け が 始 ま り 、 試 運 転 に 入 る に つ れ て 問 題 が 続 出 し た 。 最 も 大 き な ト ラ ブ ル は 各 駆 動 モ ー タ の 速 度 制 御 に 関 す る も の で 、 要 求 機 能 で あ る 熱 間 圧 延 で の 主 ロ ー ル 急 速 逆 転 制 御 と 冷 間 圧 延 で の 主 ロ ー ル 定 加 速 度 、 巻 取 り リ ー ル 定 張 力 制 御 が な か な か 円 滑 に 機 能 し な い と い う 問 題 で あ っ た 。 二 段 と 四 段 主 ロ ー ル 構 成 で 、 主 ロ ー ル 駆 動 電 動 機 の 要 求 速 度 範 囲 が 一 対 四 に も 変 わ る の も 技 術 的 に 困 難 な 条 件 で あ っ た 。 そ の た め 、 相 当 長 期 間 に わ た る 制 御 系 の 調 整 が 必 要 と な っ た が 、 そ の 後 、 あ る 程 度 妥 協 し て 使 用 可 能 と な っ た 。 ま た こ れ に 関 連 し て 、 こ う し た 制 御 条 件 を 切 り 換 え る 手 段 は 非 常 に 沢 山 の 電 磁 リ レ ー に よ っ て 行 わ れ る が 、 リ レ ー 接 点 に か か る 電 圧 が 微 弱 で あ る た め 、 接 触 不 良 が よ く 起 き た 。 し か も 、 リ レ ー 接 点 が 強 電 用 の 単 純 な 銅 接 点 で あ っ た た め 、 酸 化 皮 膜 の 影 響 で 接 触 し て い て も 導 通 し て い な い こ と が 往 々 に し て あ り 、 主 ロ ー ル が 突 然 回 ら な く な っ た り 、 回 転 振 動 を 生 じ た り す る こ と が あ っ た 。 こ の 問 題 は 、 後 に 銀 系 合 金 を 付 け た 接 点 に 交 換 し 、 多 少 改 善 さ れ た 。 ま た 、 主 ロ ー ル 圧 下 装 置 の モ ー タ の ト ル ク 不 足 に よ り 、 圧 延 材 が 主 ロ ー ル に 嚙 み 込 ん で い な い 状 態 で も 圧 下 装 置 が き か な い と い う 事 態 も 生 じ た 。 こ の 件 は 、 モ ー タ の 大 型 化 、 減 速 装 置 の 改 善 に よ り 対 処 し た 。 三 十 四 年 七 月 四 日 に は 、 百 キ ロ 高 周 波 溶 解 炉 、 1 / 2 ト ン エ ア ー ハ ン マ ー な ど と 一 緒 に 所 内 外 の 方 々 に ご 披 露 す る 工 場 開 き が 行 わ れ 、 圧 延 の デ モ も 行 わ れ た 。 こ の よ う に 、 初 期 段 階 で は 多 く の ト ラ ブ ル が 発 生 し た が 、 機 械 系 、 電 気 系 と も そ れ ぞ れ の 欠 点 を 認 識 し 使 い こ な す こ と に よ り 、 長 い 間 各 種 材 料 の 大 型 テ ス ト ピ ー ス 作 成 用 の 主 力 設 備 と し て 活 躍 し た 。 ( 技 術 課 S 3 3 ・5 ・1 ~4 5 ・3 ・3 1 ) 熱 処 理 設 備 の 設 置 と 運 転 倉 部 兵 次 郎 昭 和 四 十 年 代 は 鉄 鋼 産 業 の 隆 盛 期 に 当 り 、 金 材 研 は 従 来 の 研 究 室 的 規 模 か ら 生 産 技 術 に 直 結 す る 規 模 で の 研 究 光 輝 ベ ル 型 炉 10kg 高 周 波 真 空 溶 解 炉 ボタンアーク炉 熱間2段圧延機 が 要 請 さ れ 、 研 究 設 備 の 大 型 化 が 計 ら れ た 。 新 設 さ れ た 主 な 熱 処 理 設 備 は 、 ( 一) 帯 状 コ イ ル の ベ ル 型 焼 鈍 炉 ( 二) 帯 状 金 属 薄 板 の 無 酸 化 連 続 焼 鈍 炉 ( 三) 小 型 ガ ス 浸 炭 炉 ( 四) 無 酸 化 塩 浴 炉 な ど で あ る 。 当 時 、 ベ ル 型 は 抗 張 力 鋼 板 お よ び 珪 素 鋼 板 の 研 究 に 用 い ら れ た 。 す な わ ち 、 当 所 で 溶 解 、 圧 延 し た 鋼 板 に 所 定 の 熱 処 理 条 件 を 与 え 、 新 材 料 の 開 発 に 当 た っ た 。 こ の 際 、 処 理 条 件 を 同 じ に す る た め 、 操 業 技 術 の 検 討 に 長 時 間 か か り 、 時 に は 徹 夜 し た こ と も 間 々 あ っ た が 、 な つ か し く 想 い 出 さ れ る 。 ( 二) の 連 続 焼 鈍 炉 は 、 当 時 は ま だ 新 し い 技 術 と し て 期 待 さ れ た も の で あ る 。 こ れ ら は 生 産 性 の 向 上 と 品 質 の 改 善 が 目 的 と さ れ た 。 対 象 材 は 炭 素 鋼 、 銅 合 金 、 特 に 黄 銅 、 ス テ ン レ ス 鋼 の 帯 状 薄 板 金 属 で 、 無 酸 化 焼 鈍 を 行 っ た 。 こ れ ら の 連 続 焼 鈍 は 生 産 性 の 向 上 を 目 的 と す る と こ ろ か ら 、 無 酸 化 は 必 須 条 件 で あ る 。 雰 囲 気 と し て は 窒 素 に 七 十 五 % の 水 素 を 混 合 し た ガ ス を 用 い る が 、 ス テ ン レ ス 鋼 と 黄 銅 は 非 常 に 酸 化 し や す く 、 炉 内 の 雰 囲 気 を 最 適 条 件 に も っ て い く た め 数 日 間 の 連 続 運 転 が 必 要 で 、 連 日 徹 夜 し て 実 験 を 行 っ た 。 ( 三) と( 四) の 熱 処 理 炉 は 主 と し て 疲 れ 試 験 お よ び ク リ ー プ 試 験 用 テ ス ト ピ ー ス の 熱 処 理 を 目 的 に し た も の で 、 多 量 の 処 理 が 可 能 で あ り 、 金 材 研 の デ ー タ シ ー ト 用 試 料 の 作 製 に 大 き く 寄 与 し た 。 こ の よ う に 、 研 究 設 備 の ス ケ ー ル ア ッ プ は 生 産 技 術 に 関 連 し た デ ー タ が 得 ら れ 、 従 来 の 実 験 室 的 な 規 模 と 異 な る 成 果 を 得 る こ と が で き 、 以 後 の 鉄 鋼 生 産 技 術 の 発 展 に 少 し で も 役 立 っ た の で は な い か と 自 負 し て い る 。 ( 第 3 研 究 グ ル ー プ S 3 4 ・4 ・1 ~ H 5 ・ 3 ・3 1 ) 設 立 当 初 設 置 さ れ た 諸 設 備 の う ち 、 配 管 の 詰 り や 洩 れ 、 電 気 部 品 の 接 触 不 良 な ど の 老 朽 化 に 悩 ま さ れ な が ら も 筑 波 移 転 ( 平 成 六 年 ) ま で 頑 張 っ て 、 三 十 数 年 も の 長 い 間 現 役 で 活 躍 し た も の は 、 百 キ ロ ワ ッ ト 高 周 波 溶 解 炉 、 十 キ ロ グ ラ ム 高 周 波 溶 解 炉 ( 筑 波 に 移 設 ) 、 五 百 ト ン 油 圧 鍛 造 プ レ ス 、 実 験 用 圧 延 機 、 横 型 炉 な ど の 他 、 一 〇 キ ロ プ ラ ン ト で は バ ル ツ ァ ー ス 高 周 波 真 空 溶 解 炉 、 ア ー ク 溶 解 炉 、 エ ア ー ハ ン マ ー 、 熱 間 圧 延 機 な ど が あ る 。 長 い 間 、 本 当 に 御 苦 労 様 で し た 。 セ ン ジ ミ ア ミ ル 信 木 稔 出 会 い 一 九 六 〇 年 四 月 、 当 時 の 第 四 部 工 業 化 研 究 室 の 田 中 龍 男 さ ん の 下 で 、 セ ン ジ ミ ア ミ ル の オ ペ レ ー タ 要 員 と し て 本 研 究 所 に 雇 わ れ た の が こ と の 始 ま り で す 。 三 十 年 以 上 も 前 の こ と で す が 、 度 重 な る 配 置 替 え に も か か わ ら ず つ い 一 年 前 ま で は 当 時 か ら の 資 料 な ど を わ ず か に 残 し て お り ま し た 。 け れ ど も 一 九 九 四 年 四 月 の 筑 波 引 越 し で 材 料 棚 や 書 棚 の 許 容 量 か ら 捨 て ざ る を 得 な く な り 、 い ま 手 元 に 何 一 つ 残 っ て い ま せ ん 。 定 か で な い 記 憶 を も と に 、 セ ン ジ ミ ア ミ ル に つ い て 回 顧 し て み ま す 。 工 業 化 研 究 室 は ボ イ ラ ー の 煙 突 が そ び え る 2 2 号 棟 の 一 角 に あ り 、 四 棟 続 き の 工 場 の 北 東 隅 に あ る 錆 び 付 い た 鉄 板 製 の 高 い 階 段 を 昇 っ た 二 階 に 、 化 学 分 析 室 と 隣 り 合 わ せ に あ り ま し た 。 そ の 二 階 は 、 後 に 建 設 省 の 調 べ で 床 が 落 下 す る 危 険 が あ る と の こ と で 、 取 り 崩 さ れ 消 滅 し ま し た 。入 所 の 当 日 、 田 中 さ ん と 部 長 の 遠 藤 勝 治 郎 さ ん へ 挨 拶 に 伺 い ま し た 。 田 中 さ ん は 最 敬 礼 、 直 立 不 動 の 姿 勢 で 紹 介 し て く だ さ り 、 身 の 引 き 締 ま る 思 い を 致 し ま し た 。 う つ む い て い た わ け で は あ り ま せ ん が 、 遠 藤 さ ん の 顔 を 見 た の は か な り 後 日 の こ と で す 。 ソ フ ァ ー に 深 々 と か け ら れ 、 両 手 で 大 き く 開 い た 新 聞 を ご 覧 に な っ て い た た め で あ り ま す 。 そ の 部 屋 は 、 後 に 、 奇 し く も 現 科 学 研 究 官 の 小 口 醇 さ ん と 共 に 、 超 高 静 水 圧 下 の 材 料 試 験 装 置 の 高 圧 装 置 が ヒ ビ 割 れ て 使 用 で き な く な る ま で 、 長 い 間 使 用 さ せ て い た だ き ま し た 。 セ ン ジ ミ ア ミ ル の 輸 入 、 据 え 付 け な ど 一 切 の 手 続 き は 中 島 義 雄 さ ん ( 現 末 吉 工 業 株 式 会 社 ) 、 持 田 忠 明 さ ん ( 現 ( 株 ) イ メ ー ジ ア ン ド メ ジ ャ ー メ ン ト ) と 田 中 さ ん ら に よ り 進 め ら れ て い て 、 面 倒 な 作 業 は 何 も あ り ま せ ん で し た 。 2 2 号 棟 南 西 隅 の 一 角 に 据 え 付 け る こ と が 決 ま っ て い ま し た が 、 工 場 内 に は 電 燈 も 付 い て お ら ず 、 そ こ に は 戦 前 の 大 型 エ ン ジ ン 部 品 な ど が ほ こ り に ま み れ て 散 乱 し て お り ま し た 。 床 は 赤 レ ン ガ 張 り 製 造 設 備 と 比 較 す れ ば 小 さ な も の で す が 、 そ れ で も 深 さ 二 メ ー ト ル 程 の 基 礎 工 事 が 必 要 で す 。 床 下 は 戦 前 に 付 け ら れ た 深 さ 数 メ ー ト ル に お よ ぶ エ ン ジ ン の 基 礎 コ ン ク リ ー ト や そ の 周 り は 一 メ ー ト ル 以 上 の 赤 レ ン ガ 張 り で 、 大 変 な 難 工 事 で あ り ま し た 。 そ の 工 事 も 完 成 し 、 装 置 の 据 え 付 け 段 階 の こ と で す 。 組 み 上 げ ら れ た 受 電 設 備 か ら 銅 の 配 線 が 分 解 さ れ 盗 ま れ ま し た 。 そ の 配 線 は 分 厚 い 銅 板 で す か ら よ く 目 立 っ た の で し ょ う 。 電 源 は 元 で 切 っ て あ り ま し た の で 、 賊 は 大 事 に 至 ら ず 幸 い に も 難 を 逃 れ ま し た 。 部 屋 の 床 は 大 理 石 の 粒 を 混 ぜ た ピ ン ク 色 の 化 粧 コ ン ク リ ー ト に 目 地 板 と い う 真 鍮 板 を 基 盤 目 に 埋 め 込 み 、 砥 石 で 磨 き 上 げ た 立 派 な も の で し た 。 こ れ は 遠 藤 さ ん に は お 気 に め さ な か っ た よ う で あ り ま す 。 装 置 は 渋 い 緑 の 塗 色 に 決 め ら れ ま し た 。 翌 年 に は 立 派 な 空 調 設 備 も 付 き ま し た が 、 当 初 は 厳 し い 環 境 の 下 で 、 運 転 開 始 ま で 電 気 系 の セ ン ジ ミ ア ミ ル の ロ ー ル 構 成 配 線 、 制 御 ト ラ ブ ル が 数 々 あ り 、 持 田 さ ん や 日 立 製 作 所 の 技 術 者 が 大 変 苦 労 い た し ま し た 。 一 九 六 〇 年 製 ? こ の 装 置 は ウ ォ ー タ ー ベ リ ー ・ フ ァ ー レ ル と い う 米 国 の 機 械 メ ー カ ー 製 で 、 岩 井 産 業 ( 後 に 日 商 岩 井 産 業 と な り ま し た ) に よ り 納 入 さ れ ま し た 。 そ の 輸 入 商 社 が 手 掛 け た も の で 同 タ イ プ の 第 一 号 機 が 東 北 大 学 の 金 属 研 究 所 に あ り 、 本 研 究 所 の も の は 国 内 で 二 機 目 に な り 、 ま だ 実 操 業 に 使 わ れ た 例 の な い 珍 し い も の で す 。 セ ン ジ ミ ア ミ ル の 正 面 に は 、 メ ー カ ー 名 と 一 九 五 九 年 製 作 と い う 砲 金 の 浮 き 彫 り 精 密 鋳 造 製 プ レ ー ト が 付 い て い ま し た 。 こ れ が 物 品 検 査 で 問 題 と な り 、 発 注 前 に 作 成 さ れ た と い う の は 道 理 に 合 わ ず 、 ネ ー ム プ レ ー ト か ら 五 九 を 削 り 落 と し 、 真 鍮 板 製 で 六 十 の 文 字 を 作 り 、 裏 か ら ネ ジ 止 め し て 全 面 金 色 に 仕 上 げ て 取 り 付 け ら れ 、 や っ と 物 品 検 査 を パ ス い た し ま し た 。 二 十 段 圧 延 機 セ ン ジ ミ ア ミ ル は 、 粉 に 挽 く 臼 、 あ る い は ボ ー ル ミ ル の よ う な 粉 砕 機 で は あ り ま せ ん 。 お そ ば は 練 り 上 げ た 生 地 に 円 柱 の 棒 を あ て 、 回 し な が ら 前 方 に 押 し て 薄 く 延 ば し ま す 。 そ の 要 領 で 金 属 も 板 に 加 工 し 、 こ れ を 圧 延 と 呼 び ま す 。 圧 延 で は 円 柱 の 棒 を ワ ー ク ロ ー ル と 言 い 、 た い て い は 圧 延 さ れ る 板 の 表 裏 対 称 に ワ ー ク ロ ー ル が 配 置 さ れ ま す 。 一 対 の ロ ー ル で 構 成 さ れ る 圧 延 機 を 二 段 圧 延 機 と 呼 び ま す 。 ま た 、 赤 熱 し た 材 料 を 圧 延 す る の は 熱 間 圧 延 と 申 し ま す 。 一 方 、 室 温 の 材 料 を 圧 延 す る の を 冷 間 圧 延 と い い ま す 。 セ ン ジ ミ ア ミ ル は 冷 間 圧 延 機 で あ り 、 材 料 を 氷 や ド ラ イ ア イ ス で 冷 や し て 圧 延 す る の で は あ り ま せ ん 。 自 動 車 や 家 電 機 器 に 使 用 さ れ る 薄 鋼 板 は 、 タ ン デ ム ミ ル と 呼 ば れ る 設 備 で 高 速 列 車 並 み の 速 度 で 大 量 生 産 さ れ ま す 。 こ れ は 一 対 の ワ ー ク ロ ー ル と さ ら に 大 径 の バ ッ ク ア ッ プ ロ ー ル 一 対 で 構 成 さ れ る 四 段 圧 延 機 を 五 な い し 七 機 連 結 し 、 板 を 串 刺 し の 串 の よ う に 連 結 し た 圧 延 機 に 通 し て 圧 延 す る も の で す 。 し か し 、 さ ら に 硬 い ス テ ン レ ス 鋼 や 工 具 鋼 の 板 を 極 め て 精 密 に 圧 延 す る た め に は 、 こ の よ う な タ イ プ の 圧 延 機 で は 無 理 で す 。 そ こ で 考 え だ さ れ た の が 二 十 段 圧 延 機 で す 。 ロ ー ル の 構 成 は 、 写 真 の よ う に 、 中 央 に 直 径 約 十 ミ リ 長 さ 二 百 四 十 ミ リ の ワ ー ク ロ ー ル と 、 そ の 上 下 に 各 二 本 の 第 一 中 間 ロ ー ル 、 そ の 上 下 に 各 三 本 の 第 二 中 間 ロ ー ル 、 さ ら に 、 そ の 上 下 に 四 本 の バ ッ ク ア ッ プ ベ ア リ ン グ と い う ロ ー ル が セ ッ ト さ れ ま す 。 こ れ ら の ロ ー ル は 鍛 造 鋼 を く り 抜 い た 一 体 の ハ ウ ジ ン グ に 組 込 ま れ て い ま す 。 上 下 の 第 二 中 間 ロ ー ル 四 本 を 自 由 継 ぎ 手 と 減 速 機 を 経 て モ ー タ ー で 駆 動 し 、 ワ ー ク ロ ー ル は 第 一 中 間 ロ ー ル と 共 に 、 摩 擦 力 の み で 回 転 し て 板 を 圧 延 す る こ と に な り ま す 。 一 体 の ハ ウ ジ ン グ に 全 て ロ ー ル だ け を 組 込 む と 、 圧 下 調 整 出 来 ま せ ん 。 そ れ を う ま く 解 決 し た の が セ ン ジ ミ ア ミ ル で 、 バ ッ ク ア ッ プ ベ ア リ ン グ に 仕 掛 け が あ り ま す 。 そ の ベ ア リ ン グ 軸 を 支 え る 部 分 に 偏 芯 軸 受 け が 組 込 ま れ て お り 、 油 圧 ピ ス ト ン で こ の 軸 を 回 転 さ せ て ロ ー ル 全 体 を 内 側 に 絞 り 込 む よ う に し て 圧 下 し ま す 。 各 ロ ー ル は 硬 い 材 料 を 圧 下 す る た め に 加 え ら れ る 大 き な 圧 縮 力 に よ っ て 曲 り 変 形 や む す び 型 の 偏 平 変 形 を 起 こ し 、 板 の 厚 み を 精 密 に コ ン ト ロ ー ル で き ま せ ん 。 そ こ で 、 ワ ー ク ロ ー ル の 変 形 を 最 小 限 に 抑 え る た め に 、 セ ン ジ ミ ア ミ ル で は 中 間 ロ ー ル に 巧 妙 な 仕 組 が あ り ま す 。 そ れ は 、 中 間 ロ ー ル を 樽 型 や ロ ー ル 先 端 を 円 錐 状 の テ ー パ 型 に 研 磨 し て 、 ロ ー ル の 長 手 方 向 に 圧 延 中 移 動 で き る 機 構 に し た こ と な ど で あ り ま す 。 こ の よ う な 機 構 は 幅 一 メ ー ト ル 以 上 の 箔 の 圧 延 機 で も 同 じ で す 。 こ の 設 備 に は 、 他 に 板 材 を 引 張 り な が ら 巻 取 り 巻 戻 す 装 置 、 巻 取 っ た コ イ ル の 取 り 外 し 、 圧 延 潤 滑 油 の 循 環 と フ ィ ル タ ー 、 ヒ ー タ ー 、 ロ ー ル 研 磨 な ど の 付 帯 装 置 が あ り ま し た 。 メ カ は 現 在 の ジ ャ ン ボ ジ ェ ッ ト 機 並 み の い わ ば 究 極 の 圧 延 機 構 で あ り 、 現 在 に 至 る 三 十 数 年 来 、 こ れ を 超 え る 発 明 は ま っ た く あ り ま せ ん 。 一 方 、 電 気 制 御 系 は 真 空 管 や 電 動 発 電 機 方 式 と い っ た 制 御 で 、 今 日 の 様 な ト ラ ン ジ ス タ ー や I C 化 は ま だ 一 般 に 普 及 し て い ま せ ん で し た 。 そ こ で 、 機 械 的 な 方 法 で 如 何 に う ま く 圧 延 機 を 制 御 す る か に 多 く の 工 夫 が 凝 ら さ れ て い ま し た 。 セ ン ジ ミ ア ミ ル に は 極 め て 詳 細 な 設 計 図 面 、 工 作 図 面 や 制 御 機 器 の 詳 細 な 配 線 図 面 な ど 、 そ し て 組 込 ま れ る 各 部 品 仕 様 に い た る 膨 大 な 資 料 が 付 帯 し て い ま し た 。 こ れ は 後 の 制 御 系 の 故 障 直 し や 機 器 の 改 造 な ど 、 メ ー カ ー に い ち い ち 問 い 合 わ せ る 必 要 も な く 大 い に 役 立 て ら れ 、 圧 延 機 メ ー カ ー も 利 用 し ま し た 。 こ れ ま で に 、 他 に 幾 つ か の 大 型 設 備 に 係 わ り ま し た が 、 国 産 設 備 に は 立 派 な カ タ ロ グ と 簡 単 な 模 式 図 や 難 解 な 説 明 書 が あ り 、 こ の よ う な 例 に 遭 遇 し た こ と は あ り ま せ ん 。 箔 を 作 る 当 時 、 ロ ー ン ミ ル と い う 同 様 の 多 段 圧 延 機 が あ り 、 こ れ は ハ ウ ジ ン グ が ヒ ン ジ 方 式 で 圧 下 機 構 が 簡 単 で バ ッ ク ア ッ プ ベ ア リ ン グ を 必 要 と せ ず 、 比 較 的 低 価 格 で あ り ま し た 。 し か し 、 極 め て 剛 性 の 高 い 一 体 ハ ウ ジ ン グ や ロ ー ル 調 整 機 構 な ど に よ り 精 密 圧 延 を 可 能 に す る セ ン ジ ミ ア ミ ル は 、 コ ス ト パ フ ォ ー マ ン ス の 面 か ら 圧 倒 的 な 優 位 性 を 持 ち 、 こ れ を 越 え る こ と は 出 来 ず 淘 汰 さ れ ま し た 。 箔 は 普 通 厚 み が 〇 ・ 一 ミ リ 以 下 の 薄 い 金 属 板 の こ と で す が 、 セ ン ジ ミ ア ミ ル で は 加 工 硬 化 の 大 き い ス テ ン レ ス 鋼 や 工 具 鋼 な ど を 箔 に 圧 延 で き ま す 。 圧 延 で 出 来 る 箔 の 厚 み は 材 料 の 硬 さ と ワ ー ク ロ ー ル の 剛 性 お よ び 直 径 に よ り 、 そ の 限 界 が 決 ま り ま す 。 超 硬 合 金 製 で 直 径 十 ミ リ の ワ ー ク ロ ー ル の 場 合 に は 、 ス テ ン レ ス 箔 を 厚 み 十 ミ ク ロ ン に 圧 延 で き ま す 。 箔 の よ う な 薄 い 板 材 で は 厚 み に ご く わ ず か に む ら が あ り ま す と 、 厚 い 板 材 で は 起 ら な い し わ や た る み を 生 じ て 、 商 品 と な ら な い ば か り か 後 の プ レ ス 加 工 な ど の 製 品 に 加 工 す る の も 難 し く な り ま す 。 そ の た め に 幅 方 向 、 長 手 方 向 の 厚 み を 極 め て 高 精 度 に 圧 延 し な く て は な り ま せ ん 。 そ れ を 可 能 に し た の が 、 一 体 構 造 の ハ ウ ジ ン グ に 組 込 ま れ た ロ ー ル 群 と 、 ロ ー ル の 曲 り や 偏 平 変 形 を 抑 え る 様 々 な 仕 掛 け や 、 板 材 に 大 き な 引 張 力 を 加 え な が ら 圧 延 す る こ と で あ り ま す 。 さ ら に 、 こ の 方 式 は 小 径 の ワ ー ク ロ ー ル で す か ら 、 容 易 に 真 円 近 く ま で 精 密 に 研 磨 出 来 て 、 高 剛 性 の 超 硬 合 金 製 ロ ー ル を 使 用 で き ま す 。 こ れ ら が 他 に 追 随 を 許 さ な い 高 精 密 圧 延 の 秘 訣 で あ り ま す 。 ノ ウ ハ ウ は 買 え な い い わ ゆ る 百 キ ロ プ ラ ン ト と い う 、 質 量 百 キ ロ オ ー ダ ー セ ン ジ ミ ア ミ ル と ス ク ル ス キ ー 氏 と 若 き 日 の 筆 者 の 鉄 鋼 材 料 を 溶 解 、 鋳 造 、 熱 間 鍛 造 、 熱 間 お よ び 冷 間 圧 延 、 焼 鈍 、 酸 洗 な ど の 一 連 の 基 本 設 備 を 完 備 す る 構 想 が あ り 、 こ の 設 備 は そ の 一 部 と 位 置 付 け ら れ て い ま し た 。 材 料 開 発 の 面 か ら は 当 時 渡 辺 敏 さ ん ( 現 法 政 大 学 ) が け い 素 鋼 薄 板 の 研 究 を な さ っ て い ま し て 、 セ ン ジ ミ ア ミ ル で 高 圧 下 の 圧 延 を 行 う こ と に よ り 普 通 の 圧 延 で は で き な い 特 性 の 優 れ た ト ラ ン ス 用 の け い 素 鋼 板 に な る と 考 え ら れ 、 圧 延 に ト ラ イ し ま し た 。 材 料 の 溶 解 、 熱 間 圧 延 、 冷 間 圧 延 と 大 変 苦 労 さ れ て 、 セ ン ジ ミ ア ミ ル で 圧 延 す る た め の 長 さ 数 メ ー ト ル の 短 い サ ン プ ル を 準 備 さ れ ま し た 。 本 来 、 長 い 材 料 を 左 右 の 巻 胴 に ア ル ミ フ ォ イ ル の よ う に コ イ ル 状 に 巻 付 け 、 高 い 引 張 力 を 加 え て 圧 延 す る 装 置 で あ り ま す か ら 、 軟 鋼 板 の ダ ミ ー を 巻 付 け こ れ に サ ン プ ル を ス ポ ッ ト 溶 接 し て 圧 延 い た し ま し た 。 け い 素 鋼 板 は か な り 脆 く 圧 延 が 容 易 で な い こ と に 加 え 、 大 き な 引 張 力 を 加 え る と 溶 接 部 分 か ら ち ぎ れ て し ま い 、 何 度 も 溶 接 を や り な お し 再 ト ラ イ い た し ま し た 。 け れ ど も 最 終 板 厚 み ま で に 圧 延 す る こ と は 終 に 出 来 ま せ ん で し た 。 こ れ は 最 初 に し て 最 高 の ト ー タ ル 圧 延 技 術 を 試 さ れ た も の で あ り ま す 。 そ の 他 に 、 硬 い 材 料 で 幅 数 セ ン チ 、 長 さ 十 セ ン チ 程 度 の サ ン プ ル を 引 張 力 を 加 え な い で 出 来 る だ け 薄 く 圧 延 す る よ う 要 求 が あ り ま し た が 、 こ れ ら に 応 え る こ と は で き ま せ ん で し た 。 小 径 ワ ー ク ロ ー ル で 板 に 引 張 力 を 加 え な い で 圧 延 す る と 、 板 は 幅 方 向 の 厚 み の む ら で 容 易 に 弓 な り に 曲 っ た り し わ に な り 、 そ れ 以 上 圧 延 で き な く な り ま す 。 こ の よ う な 経 験 を さ れ ま す と 、 薄 い 板 の 圧 延 は 長 い 材 料 で 大 き な 引 張 力 を 加 え る こ と が 必 要 で あ り 、 短 い サ ン プ ル を 技 術 で カ バ ー 出 来 な い 点 も ご 理 解 頂 け た も の と 思 い ま す 。 圧 延 技 術 に は ど の よ う な プ ロ フ ァ イ ル の ロ ー ル を セ ッ ト す る か 、 一 パ ス 当 た り の 圧 下 率 、 板 に 加 え る 前 後 方 向 の 引 張 力 の 設 定 、 ロ ー ル の 研 磨 の 仕 上 り お よ び 潤 滑 油 と 表 面 仕 上 り 、 さ ら に 中 間 焼 鈍 な ど 、 数 多 く の 因 子 が あ り ま す 。 圧 延 の 素 人 に 短 期 間 で 様 々 な 技 術 指 導 を し て い た だ い た の は 、 写 真 の ス ク ル ス キ ー さ ん で あ り ま す 。 パ ス ス ケ ジ ュ ー ル は 、 現 在 、 何 れ の メ ー カ ー で も 秘 密 に さ れ て お り ま す 。 そ こ で 、 ア ル ミ ニ ウ ム 、7 - 3 、6 - 4 黄 銅 、 軟 鋼 、 S U S 3 0 4 、 S K D 合 金 工 具 鋼 、 S K H 高 速 度 工 具 鋼 な ど を 用 い て 、 安 中 嵩 さ ん や 材 料 メ ー カ ー と 共 に か な り 実 験 し ま し た 。 後 に 、 セ ン ジ ミ ア ミ ル は 多 く の ス テ ン レ ス メ ー カ ー や 特 殊 鋼 メ ー カ ー で 稼 動 し ま し た 。 そ れ ら の 普 及 に わ ず か で も こ れ ら の 実 験 を 通 じ て 貢 献 で き た も の と 思 い ま す 。 ち な み に 、 合 金 工 具 鋼 、 ス テ ン レ ス 鋼 の 箔 は 殿 方 が 身 近 に お 使 い の ひ げ そ り の 刃 に な り ま す 。 活 躍 の 場 を 変 え て 国 内 の 箔 圧 延 プ ロ セ ス 技 術 の 向 上 に は 目 覚 ま し い も の が あ り 、 一 躍 世 界 一 の 技 術 を 有 す る こ と に な り ま し た 。 最 近 で は 、 圧 延 油 と 添 加 剤 な ど 、 潤 滑 技 術 と ロ ー ル 表 面 や 板 材 の 圧 延 性 、 表 面 の 仕 上 り な ど の 性 状 に 関 心 が よ せ ら れ て い ま す 。 こ の よ う な 研 究 の た め に 民 間 会 社 か ら 数 度 、 共 同 研 究 や 売 却 の 要 請 が あ り ま し た 。 使 用 予 定 が な く な り 、 一 九 八 六 年 に 入 札 に よ っ て 民 間 企 業 に 売 却 さ れ 、 あ る 材 料 メ ー カ ー に 引 取 ら れ 、 制 御 系 は 全 面 改 造 さ れ 、 現 役 で 稼 動 し て お り ま す 。 究 極 の 圧 延 機 に 相 応 し く 、 こ の よ う な 活 躍 を し て い る 例 は 、 多 分 、 他 に は な い で し ょ う 。セ ン ジ ミ ア ミ ル を 通 じ て 巡 り 合 え た 多 く の 体 験 に 感 謝 ! ( 第 三 研 究 グ ル ー プ ) プ ラ ネ タ リ ー ミ ル 回 想 雑 録 田 頭 扶 昭 和 四 十 三 年 一 月 の あ る 日 、 巨 大 な 四 角 い 鉄 の 塊 を 載 せ た ト レ ー ラ が 防 衛 庁 の 敷 地 を 経 由 し 、 2 4 号 庁 舎 の 下 を く ぐ っ て 入 っ て き た 。 重 量 が 三 十 ト ン く ら い も あ り 、 と て も 田 楽 橋 を 渡 る こ と は 出 来 な か っ た よ う だ 。 こ れ が か ね て か ら 話 題 に な っ て い た プ ラ ネ タ リ ー ミ ル 本 体 の ハ ウ ジ ン グ を 目 に し た 最 初 で あ り 、 こ の マ シ ン と の 十 数 年 に わ た る 格 闘 の 始 ま り だ っ た 。 こ の プ ラ ネ タ リ ー ミ ル は 、 橋 本 初 代 所 長 が ド イ ツ に 行 っ て ぞ っ こ ん 惚 れ 込 ん で き た 画 期 的 な 新 機 構 の 圧 延 機 で 、 ク ル ッ プ 社 製 の プ ラ ッ ツ ア ー 式 と い う も の で あ っ た 。 プ ラ ネ タ リ ー ミ ル は 遊 星 圧 延 機 と も 称 し 、 従 来 と 全 く 異 な る 圧 延 原 理 に よ り 一 パ ス で 九 五 % 以 上 の 圧 下 が 可 能 と い う こ と で 、 圧 延 プ ロ セ ス に 革 命 を も た ら す の で は と の 期 待 が も た れ て い た 。 小 径 の ワ ー ク ロ ー ル を 円 周 上 に 多 数 配 列 し た ( 当 研 の は 二 十 四 本 ) 上 下 二 組 の 遊 星 ロ ー ル 群 を 公 転 さ せ 、 こ れ に フ ィ ー ド ロ ー ル で 材 料 を 押 し 込 ん で 次 々 に 展 延 し て い く と い う 原 理 で あ る 。 橋 本 所 長 は 、 当 時 工 業 化 研 究 部 の 中 川 室 長 ( 後 の 第 四 代 所 長 ) が 陣 頭 指 揮 を さ れ て い た 連 続 製 鋼 、 連 続 鋳 造 プ ロ セ ス に こ の 圧 延 機 を リ ン ク さ せ 、 究 極 の 連 続 プ ロ セ ス ラ イ ン の 研 究 を 目 指 す と い う 壮 大 な 構 想 を 持 っ て お ら れプラネタリーミル た と 聞 く 。 し か し 、 現 実 に 導 入 す る に あ た っ て は 、 上 記 構 想 と は 別 に 所 内 の 各 部 か ら 、 オ ー ス フ ォ ー ミ ン グ の 様 な 加 工 熱 処 理 に 適 用 出 来 な い か と か 、 従 来 圧 延 で は 加 工 で き な い 難 加 工 特 殊 材 料 の 圧 延 を や っ た ら ど う か 、 な ど 様 々 な 意 見 が 出 さ れ 、 具 体 的 な 研 究 課 題 と 担 当 者 は 固 ま ら な い ま ま に 基 礎 工 事 だ け は 進 ん で い た よ う だ っ た 。 そ の 頃 、 私 は 駆 け 出 し の 研 究 員 と し て ダ イ ナ パ ッ ク と い う 高 速 鍛 造 機 に よ る 衝 撃 押 出 し の 研 究 を 前 任 者 か ら 引 き 継 ぎ 、 衝 撃 静 水 圧 押 出 し と い う 新 し い 試 み を 始 め た ば か り で あ っ た 。 そ ん な と こ ろ へ 、 突 如 、 プ ラ ネ タ リ ー ミ ル は 同 じ 塑 性 加 工 だ か ら お 前 が や れ と い う ご 下 命 が あ り 、 そ れ ま で 全 く 蚊 帳 の 外 に い た だ け に 訳 が 分 か ら ず 、 び っ く り す る や ら 、 腹 も 立 つ や ら で 、 若 さ も あ っ て あ ち こ ち に 随 分 嚙 み つ い た 憶 え が あ る 。 い ろ い ろ と 側 聞 し た 結 果 、 そ れ ま で に か な り の 紆 余 曲 折 が あ っ た よ う で 外 堀 は す で に 埋 め 尽 く さ れ て お り 、 結 局 引 き 受 け ざ る を 得 な く な っ て い た 。 と に か く 、 鈴 木 正 敏 室 長 ( 後 の 第 三 代 筑 波 支 所 長 ) 以 下 、 田 頭 、 酒 井 、 そ れ に 急 遽 こ ち ら の 要 員 に 廻 さ れ た 新 人 の 大 久 保 ( 現 在 の 城 田 ) 氏 ら 、 鉄 鋼 研 究 室 の 一 部 が 〝 百 キ ロ 鍛 圧 班 〟 の 協 力 を 受 け て 担 当 す る こ と と な っ た 。 私 が タ ッ チ し 始 め た 段 階 で の 工 事 の 進 捗 状 況 は 既 に 本 体 の 据 付 け 組 立 に 入 っ て お り 、 丁 度 ド イ ツ か ら の 技 術 者 も 三 人 や っ て き た と こ ろ だ っ た の で 、 日 本 側 の 組 立 業 者 と 「 オ ー ケ ー 」 と 「 ノ ー 」 だ け の 二 進 法 で 進 ん で 行 く 過 程 を 興 味 深 く 見 る こ と が 出 来 た 。 そ れ で も 施 工 法 や 手 順 に つ い て は し ば し ば 衝 突 が あ り 、 双 方 の 仲 介 に 入 ら ざ る を 得 な い こ と も あ っ た 。 ド イ ツ 人 技 師 が 鬼 の よ う に 真 っ 赤 に な っ て 怒 り な が ら 「 ニ シ マ キ ( 施 工 業 者 ) が カ プ ッ ツ し た 」 と は よ く 聞 い た せ り ふ で 、kaputt と は ブ ッ こ わ し て し ま っ た 時 に よ く 使 う ド イ ツ 語 で あ る こ と を こ の と き 知 っ た 。 彼 ら は 日 本 人 組 立 工 が よ く や る モ ン キ ー ス パ ナ や イ ン チ ス パ ナ の 流 用 を 厳 密 に 避 け て お り 、 結 局 必 要 な メ ー ト ル サ イ ズ を す べ て 揃 え る こ と に な っ た が 、 こ ん な 所 に も ド イ ツ の 工 業 製 品 が 高 い 評 価 を 得 る 裏 付 け を 感 じ た 。 の っ け か ら い ち ば ん 緊 張 し た の は 、 何 と い っ て も お 披 露 目 圧 延 の 時 で 、 既 に ド イ ツ 人 技 師 は 帰 国 し て し ま っ た 後 の こ と だ っ た 。 国 内 の 関 係 者 を 百 人 近 く も 招 待 し 、 実 操 業 披 露 の 後 に レ セ プ シ ョ ン パ ー テ ィ ま で 用 意 さ れ た も の で 、 こ ん な 派 手 な 装 置 披 露 は 後 に も 先 に も 記 憶 に な い 。 そ れ だ け に ク ル ー 一 同 は 相 当 な プ レ ッ シ ャ ー を 感 じ て い た が 、 前 の 日 ま で の 試 圧 延 で は 失 敗 の 連 続 で 、 よ う や く 最 後 の 一 本 が コ イ リ ン グ に 成 功 し て い る だ け で 当 日 を 迎 え て い た 。 な に し ろ 九 六 % ( 五 十 ミ リ → 二 ミ リ ) の 高 圧 下 率 圧 延 を す る の で 、 左 右 の バ ラ ン ス が ち ょ っ と で も 狂 っ て い る と 変 位 も 速 度 も 二 十 五 倍 に 増 幅 さ れ た ス ト リ ッ プ は ラ ン ニ ン グ テ ー ブ ル か ら ア ッ と い う 間 に 飛 び 出 し 、 巨 大 な さ な だ 虫 が の た う つ よ う に し て 一 瞬 の 内 に ス ク ラ ッ プ の 山 を 量 産 し て し ま う の だ 。 し か も こ れ が か な り 危 険 を も た ら す の で 瞬 時 に 適 切 な 判 断 を 要 求 さ れ る の だ が 、 ス ウ ェ ー ジ ン グ マ シ ン 百 台 位 を 同 時 に 動 か し た ぐ ら い の 轟 音 を た て る マ シ ン の 脇 で は パ ニ ッ ク 寸 前 の 状 態 で 、 頭 の 中 が 真 っ 白 に な る の だ っ た 。 眠 れ ぬ 夜 で 迎 え た 当 日 の 圧 延 は 、 そ れ で も 谷 治 、 斎 藤 、 本 多 さ ん ら の チ ー ム ワ ー ク よ ろ し き を 得 て 、 二 本 目 の 成 功 例 と し て 実 に ス ム ー ズ に コ イ リ ン グ ま で 至 り 、 中 二 階 に び っ し り の お 客 さ ん が 見 守 る 晴 れ が ま し き 舞 台 で 金 材 技 研 の 面 目 を つ ぶ さ ず に 済 ん で ヤ レ ヤ レ と い っ た 感 じ だ っ た 。 も う ひ と つ 今 思 い 出 し て も ゾ ッ と す る の は 、 ロ ー ル が ク ラ ッ シ ュ し た 時 の こ と で あ る 。 本 体 設 置 か ら 一 年 後 に 専 用 の 加 熱 炉 も 完 成 し 、 そ れ ま で の 非 鉄 系 材 料 の 圧 延 か ら い よ い よ 鉄 鋼 系 へ と 移 る 最 初 の 試 験 圧 延 の 時 の こ と だ っ た 。 実 の と こ ろ 、 こ の 方 式 の 圧 延 機 で は ド イ ツ で も 鉄 鋼 材 料 の 圧 延 実 績 を 持 た ず 、 当 然 マ ニ ュ ア ル も 無 い た め 、 非 鉄 系 の 圧 延 で の デ ー タ と よ う や く 作 っ た ば か り の 理 論 解 析 を よ す が に 操 業 条 件 を 決 め る し か な か っ た 。 そ の 日 も 未 慣 熟 の せ い も あ っ て 加 熱 炉 の 調 子 は い ま ひ と つ で 、 早 朝 か ら の 加 熱 に も か か わ ら ず 長 さ 三 メ ー ト ル 重 さ 二 百 キ ロ の 軟 鋼 ス ラ ブ は な か な か 設 定 の 千 百 五 十 ℃ に 上 が っ て く れ な か っ た 。 実 験 場 に 西 日 が 射 し 込 む 頃 に い よ い よ ゴ ー と い う こ と に な り 、 灼 熱 ス ラ ブ を 油 圧 プ ッ シ ャ ー で 圧 延 機 に 押 し 込 ん だ 。 こ れ も こ の 日 初 め て 作 動 さ せ た 百 気 圧 の 噴 水 で け た た ま し い 音 を た て る 一 次 デ ス ケ ラ ー を 通 過 し た ス ラ ブ は 少 し 冷 え た か な と 思 わ れ る 程 度 だ っ た が 、 遊 星 ロ ー ル 直 前 の フ ィ ー ド ロ ー ル と 二 次 デ ス ケ ラ ー を 通 る に 及 ん で ス ラ ブ 先 端 の 角 が ち ょ っ と 黒 づ ん で い る の に 気 が つ い た 。 危 険 を 感 じ て ス ト ッ プ の 合 図 を 出 す 暇 も あ ら ば こ そ 、 ス ラ ブ の 先 端 は ア ッ と い う 間 に ワ ー ク ロ ー ル 公 転 軌 道 に 吸 い 込 ま れ て い き 、 今 ま で に な い 大 音 響 を 発 し て 圧 下 が 始 ま っ て し ま っ た 。 そ の 直 後 に 今 度 は バ リ バ リ と 機 銃 掃 射 の 様 な 音 も 加 わ り 、 実 際 、 沢 山 の 何 か が 猛 烈 な 勢 い で 飛 び 出 し て き た 。 後 で 分 か っ た こ と だ が 、 飛 散 し た の は ワ ー ク ロ ー ル を バ ッ ク ア ッ プ し て い る リ ン グ 状 の 中 間 ロ ー ル が 破 砕 し た も の で 、 鋭 い 角 を 持 っ た 破 片 が か な り 遠 方 の 壁 面 に も 食 い 込 ん で い る の を 見 て 背 筋 が 寒 く な っ た 。 遅 れ ば せ な が ら 急 停 止 を 掛 け た の は い う ま で も な い が 、 何 と い っ て も 胸 を な で 下 ろ す こ と が で き た の は 誰 一 人 怪 我 を し な か っ た こ と で 、 特 に 出 口 側 で ピ ン チ ロ ー ル 操 作 に 待 機 し て い た 谷 治 さ ん は 最 も 危 な い 位 置 に い た の だ っ た 。 こ の 修 復 に は こ れ ま た 素 人 集 団 に よ る 悪 戦 苦 闘 の 数 ヵ 月 を 要 し た が 、 こ の こ と 以 来 、 高 圧 下 ・ 強 加 工 が 売 り も の の こ の 圧 延 機 が 実 は 相 当 に 華 奢 で 繊 細 な マ シ ン で あ る と 認 識 を 改 め る こ と に し た 。 そ の 後 、 非 鉄 メ ー カ ー 、 ス テ ン レ ス メ ー カ ー 、 鉄 鋼 メ ー カ ー な ど と 一 通 り の 材 料 に つ い て 共 同 実 験 も 実 施 し た が 、 彼 ら の 最 大 の 関 心 事 は 自 社 の 扱 っ て い る 材 料 が う ま く 圧 延 で き る か 否 か と い う こ と に あ っ た よ う で 、 国 立 研 究 所 の セ ン ス と は 幾 分 の 齟 齬 を 感 じ な い わ け に は 行 か な か っ た 。 と い っ て 当 初 こ の マ ン モ ス マ シ ン 主 体 の テ ー マ を ど う 扱 う か で は 随 分 悩 ん だ の も 事 実 で 、 こ れ ら 民 間 と の 共 同 実 験 を 通 し て 多 く の 材 料 や 条 件 を 扱 う う ち に 、 何 よ り 重 要 な の は 単 な る 装 置 固 有 の 或 い は 特 定 材 料 固 有 の 研 究 に 終 わ ら せ ず に 、 従 来 圧 延 法 と の 対 比 で 遊 星 ロ ー ル 圧 延 方 式 の 普 遍 的 な 圧 延 特 性 を 総 合 的 に 明 確 に す る こ と だ と 判 断 さ れ る に 至 り 、 そ の 方 向 で 研 究 を 進 め る こ と に し た 。 そ の 結 果 、 圧 延 時 の 特 異 な 負 荷 特 性 や 変 形 挙 動 、 そ し て 圧 延 さ れ た 板 の 性 状 ・ 形 状 、 さ ら に は 圧 延 材 の 材 質 や 集 合 組 織 に 現 れ る 特 徴 な ど 、 基 本 的 な こ と の 大 部 分 を 把 握 す る こ と が 出 来 た と 自 負 し て い る 。 当 時 、 方 式 こ そ 若 干 異 な る も の の 同 種 の 圧 延 機 に よ る 生 産 ラ イ ン で の 操 業 実 績 を 持 つ 日 本 治 金 、 日 立 金 属 、 大 同 特 殊 鋼 の 技 術 者 か ら 、 「 や り た い と 思 い つ つ も 民 間 の ラ イ ン で は と て と 出 来 な い 実 験 で の デ ー タ を 提 供 し て く れ て 非 常 に 参 考 に な っ た 」 と 言 わ れ た と き は 嬉 し く も あ り 、 ま た 方 針 が 必 ず し も 間 違 っ て い な か っ た こ と も 確 認 で き た 。 し か し 「論 文 一 報 百 五 十 万 と し て 百 報 で す ね 」 と い っ て お ら れ た 河 田 ( 第 二 代 ) 所 長 の 期 待 に は と て も 応 え ら れ ず に 終 わ っ て し ま い 、 面 目 無 い 次 第 で あ る 。 結 局 プ ラ ネ タ リ ー ミ ル は 高 能 率 大 規 模 生 産 を 指 向 し て 発 展 し た 爾 後 の 圧 延 ラ イ ン に は 必 ず し も マ ッ チ し な か っ た が 、 そ の 省 エ ネ ル ギ ー 性 ・ 高 効 率 性 ・ 省 ス ペ ー ス 性 な ど で は 他 に 類 を 見 な い 利 点 が あ り 、 未 だ に 生 産 規 模 や 経 済 環 境 の 如 何 に よ っ て 復 活 の チ ャ ン ス は 留 保 さ れ て い る と 考 え て い る 。 現 に ミ ニ プ ラ ン ト の ア イ デ ア ル な レ イ ア ウ ト 例 に は 、 今 も っ て プ ラ ネ タ リ ー ミ ル が よ く 登 場 す る 。 何 は と も あ れ 、 大 き な 事 故 も な く 無 事 研 究 を 終 了 で き た の も 、 当 時 の 工 業 化 研 究 部 を は じ め 周 り の 方 々 の 多 大 な 協 力 や 支 援 が あ っ た か ら こ そ と 感 謝 し て い る 。 目 黒 を 去 る に 当 た っ て 薄 暗 い 工 場 に 鎮 座 し た ま ま 沈 黙 し て い る ミ ル の 前 で 城 田 氏 と 記 念 撮 影 を し た 折 、 轟 音 の 中 で 汗 と 油 に ま み れ た 当 時 を 思 い 起 こ し 、 ち ょ っ ぴ り 感 傷 的 な 気 分 に な っ た 。 ( 組 織 制 御 研 究 部 ) 30 号 庁 舎 ・ 溶 接 実 験 場 の 思 い 出 中 村 治 方 昭 和 三 十 五 年 度 に 3 0 号 庁 舎 が 建 設 さ れ 、 創 立 以 来 の 溶 接 研 究 の 指 導 者 で あ っ た 鈴 木 春 義 先 生 の も と に 夢 多 き 研 究 者 が 集 ま り 、 特 色 あ る 研 究 が 本 格 的 に 開 始 さ れ た 。 金 属 材 料 の 溶 接 性 研 究 と 溶 接 プ ロ セ ス 研 究 の 両 分 野 に お い て 、 先 見 性 の あ る 研 究 が 芽 生 え 、 わ が 国 の 溶 接 研 究 を リ ー ド し て い た 時 代 で も あ っ た 。 3 0 号 庁 舎 の 建 設 に 当 た っ て 、 溶 接 試 験 研 究 設 備 は 重 量 物 が 多 い た め 、 各 階 の 床 荷 重 を 大 き く と っ て も ら っ た 。 鉄 骨 平 屋 の 棟 に は 各 種 溶 接 ・ 接 合 装 置 や 大 型 ク リ ー プ ラ プ チ ヤ 試 験 機 等 が 設 置 さ れ た が 、 北 側 に あ る 宿 舎 の 日 照 の た め か 棟 の 高 さ が 制 限 さ れ 、 天 井 走 行 ク レ ー ン 設 備 の 揚 程 が 大 き く と れ ず 、 音 が 大 き い こ と で 悩 ま さ れ た 。 し か し 、 共 用 で き る 大 型 の 圧 搾 空 気 設 備 が 設 置 さ れ 、 電 源 容 量 も 十 分 見 込 ま れ て い た た め 、 そ の 後 の 試 験 研 究 の 実 施 に ど れ 程 役 立 っ た か 計 り し れ な い 。 鉄 骨 平 屋 で は 材 料 搬 入 ・ 切 断 ・ 溶 接 と い う 一 連 の 作 業 を 行 っ て い た の で 、 作 業 の 安 全 と い う こ と に は 各 自 十 分 に 注 意 し て い た 。 と は い っ て も 時 に は 危 な い 思 い を し た こ と も あ っ た 。 鋼 板 の ガ ス 切 断 に は ボ ン ベ 詰 め の ア セ チ レ ン と 酸 素 ガ ス で 行 っ て い た が 、 作 業 中 に 酸 素 ガ ス の ホ ー ス が 外 れ 、 そ の 先 に 着 火 し て 火 の つ い た ホ ー ス の 先 が は ね ま わ っ た こ と が あ っ た 。 幸 い 火 傷 も な く ボ ン ベ の 元 栓 を 締 め る こ と で け り が つ い た が 、 ガ ス の 取 扱 い に つ い て の 注 意 を 思 い 知 ら さ れ た 一 件 で あ る 。 1,000トン引張拘束割れ試験装置 溶 接 性 研 究 で は 高 張 力 鋼 の 溶 接 割 れ 試 験 、 溶 接 部 大 型 ク リ ー プ ラ プ チ ヤ 試 験 、 溶 接 プ ロ セ ス 研 究 で は 片 面 溶 接 法 、 エ レ ク ト ロ ス ラ グ 溶 接 法 、 摩 擦 圧 接 法 な ど の 研 究 を 夜 お そ く ま で や っ て い た が 、 真 夏 の 暑 さ は と も か く 、 厳 冬 期 に は ス チ ー ム 暖 房 の な い と こ ろ で 下 着 を 十 分 着 込 ん で 何 と か 耐 え て い た 時 代 で あ っ た 。 巡 回 に 来 ら れ た 橋 本 守 衛 長 に 時 々 声 を か け て も ら っ た こ と 、 当 時 一 緒 に 仕 事 を し て い て 既 に 鬼 籍 に 入 っ た 同 僚 の こ と な ど が 思 い 出 さ れ る 。 物 理 、 化 学 、 機 械 、 電 気 、 金 属 な ど の 研 究 者 が 集 ま っ て ス タ ー ト し た 溶 接 ・ 接 合 研 究 で は 、 お 互 い に 啓 発 さ れ る こ と が 多 く 、 ユ ニ ー ク な 研 究 が は じ ま っ て い た 。 そ れ に 関 心 を 持 っ た 民 間 各 社 か ら 共 同 研 究 の 申 し 入 れ が あ り 、 多 数 の 研 究 者 が 集 っ て き て お ら れ た 。 そ の 中 に は 、 わ が 国 で は じ め て 試 作 さ れ た 電 子 ビ ー ム 溶 接 機 に よ る 電 子 ビ ー ム 溶 接 、 特 許 取 得 数 の 多 い 各 種 片 面 溶 接 、 摩 擦 圧 接 、 プ ラ ズ マ 溶 射 な ど の プ ロ セ ス 研 究 や 引 張 拘 束 割 れ ( T R C ) 試 験 、 溶 接 用 C C T 試 験 な ど の 溶 接 性 研 究 が あ り 、 そ れ ら の 研 究 成 果 に 引 摺 ら れ て わ が 国 の 溶 接 ・ 接 合 研 究 が 活 性 化 し て い っ た 感 が 強 か っ た 。 さ ら に 、 各 社 の 派 遣 研 究 者 は 帰 社 後 、 溶 接 ・ 接 合 研 究 の リ ー ダ ー と し て 活 躍 さ れ 、 恰 も 溶 接 ・ 接 合 研 究 者 の 育 成 の 場 の 感 も あ っ た 。 鈴 木 春 義 先 生 の 「実 験 に 際 し て は 細 心 の 注 意 を も っ て 、 現 象 を 観 察 し な さ い 」 と い う 指 導 方 針 に 従 っ た 結 果 、 鉄 鋼 溶 接 時 の 低 温 割 れ が 水 素 に よ る 遅 れ 破 壊 現 象 で あ る こ と 、 ア ー ク 溶 解 し た 溶 融 金 属 か ら 超 微 粒 子 が 生 成 さ れ る こ と な ど の 事 象 が 明 ら か と な り 、 金 材 技 研 の 面 目 を 施 し た こ と が 多 々 あ っ た 。 現 在 で も こ の 伝 統 は 引 継 が れ 、 溶 接 ・ 接 合 研 究 の 分 野 で 注 目 す べ き 成 果 を 挙 げ て お ら れ る こ と は 頼 も し い か ぎ り で あ る 。 ( 組 織 制 御 研 究 部 S 3 2 ・1 0 ・1 ~4 5 ・6 ・30 5 8 ・ 4 ・1 ~ H 5 ・ 3 ・31 ) 日 本 初 の 電 子 ビ ー ム 溶 接 機 入 江 宏 定 昭 和 四 十 二 年 、 私 が 金 材 研 溶 接 研 究 部 圧 接 研 究 室 に 赴 任 し て き た と き 、 す で に 電 子 ビ ー ム 溶 接 機 国 産 一 号 機 は 試 作 以 来 六 年 余 り が 経 過 し て い た 。 高 真 空 型 か ら 高 ・ 低 真 空 両 用 型 へ の 改 造 も 経 験 し 終 わ っ て お り 、 3 0 号 庁 舎 113 号 室 床 の 二 分 の 一 以 上 を 占 領 す る 巨 大 な 設 備 に 変 身 し て い た 。 か な り 使 い 込 ま れ て お り 、 溶 接 テ ー ブ ル は ガ タ が き て お り 、 外 装 も と こ ろ ど こ ろ 塗 装 も は げ 落 ち て し ま っ て い た 。 最 初 に 受 け た 印 象 は 、 「 好 感 が 持 て る 」 か ら は か な り 隔 た っ た も の で あ っ た よ う に 記 憶 し て い る 。 国 産 一 号 機 と い っ て も 、 そ の 導 入 は 当 時 の 橋 本 達 哉 室 長 で あ り 、 研 究 を 実 施 し た の は 松 田 福 久 氏 ( 現 阪 大 教 授 ) で あ り 、 私 に は 導 入 時 の 詳 細 や エ ピ ソ ー ド は 定 か で は な い 。 赴 任 以 来 ど の 研 究 を 担 当 す る か を 決 め る と き に 橋 本 室 長 と ダ ベ リ ン グ し た と き の 話 が 、 か す か に 頭 の 片 隅 に 残 っ て い る 程 度 で あ る 。 私 な り に い く つ か の 断 片 を 想 像 で 繫 ぎ 合 わ せ て 、 極 め て 事 務 的 に そ の 導 入 経 過 を 記 述 す れ ば こ の よ う に な る と 思 う 。 昭 和 三 十 四 年 当 時 、 溶 接 研 究 部 ( だ け で な く 所 全 体 と 思 う ) は 設 立 後 間 も な い 時 期 で 、 国 全 体 の 産 業 育 成 政 策 に 基 づ き 積 極 的 に 設 備 投 資 が 行 わ れ て い た 。 研 究 部 の 設 備 導 入 の プ ロ ジ ェ ク ト の 一 つ に 原 子 力 研 究 が あ り 、 原 子 力 分 野 で の 新 し い 溶 接 技 術 開 発 が 指 向 さ れ て い た 。 昭 和 三 十 三 年 、 真 空 に 関 す る 国 際 会 議 で 、 フ ラ ン ス 原 子 力 研 究 所 の ス ト ー ル 氏 が 原 子 力 燃 料 棒 端 栓 ( ジ ル コ ニ ウ ム 合 金 ) の 封 じ 切 り 溶 接 に 電 子 ビ ー ム を 適 用 し た 報 告 を 行 っ た 。 そ の 成 功 ・ 非 成 功 は 当 時 の 論 文 か ら は 余 り 明 確 で は な く 、 ア イ デ ア が 中 心 で あ る 。 し か し ジ ル コ ニ ウ ム の よ う に 大 気 汚 染 に 非 常 に 敏 感 な 合 金 の 溶 接 を 電 子 ビ ー ム の よ う な 真 空 雰 囲 気 で 行 う の は 、 当 時 と し て は 画 期 的 な ア イ デ ア で あ る 。 そ こ で 、 早 速 こ の 電 子 ビ ー ム 溶 接 な る も の を 橋 本 室 長 を は じ め 幾 人 か の 研 究 者 で 導 入 を 試 み た 。 ど の よ う に 設 計 し 見 積 も っ た か は 明 ら か で は な い が 、 予 算 を 執 行 す る 段 階 で 非 常 に 苦 労 さ れ た よ う で あ る 。 電 子 ビ ー ム は 当 時 顕 微 鏡 に し か 使 用 さ れ て お ら ず 、 製 作 を 電 顕 の 代 表 企 業 で あ る 日 本 電 子 に 依 頼 し た 。 し か し 電 流 値 が 三 桁 以 上 大 き く な る 溶 接 機 は 冒 険 が 多 く 、 設 計 ・ 製 造 者 も 二 の 足 を 踏 ん だ よ う で あ る 。 発 注 仕 様 書 の 性 能 も 現 在 の も の を 基 準 と す る と か な り 鷹 揚 で あ っ た と 思 わ れ る 。 端 的 に 表 現 す れ ば 、 失 敗 を 覚 悟 で で き る と こ 電子ビーム溶接機国産1号機 ろ ま で や ら せ た よ う で あ る 。 電 子 ビ ー ム の 調 整 に あ ら ゆ る 所 に 調 整 ネ ジ が あ り 、 一 方 で は 電 子 銃 を 構 成 す る 要 素 ( フ ィ ラ メ ン ト 、 ウ ェ ネ ル ト 、 陽 極 な ど ) は 幾 つ か の 種 類 が 用 意 さ れ た よ う で あ る 。 一 応 銘 板 で の 定 格 出 力 は 五 十 キ ロ ボ ル ト ― 五 十 ミ リ ア ン ペ ア で あ っ た が 、 百 ミ リ ア ン ペ ア 用 の 電 源 容 量 と フ ィ ラ メ ン ト も 用 意 さ れ て い た 。 し た が っ て 私 が 担 当 し 操 作 を は じ め た と き 、 全 体 構 造 図 面 は あ っ た が 、 明 確 な 取 り 扱 い 説 明 書 や パ ー ツ 一 覧 表 は な く 、 一 定 の ビ ー ム の 質 を 確 保 す る の は か な り の 取 り 扱 い 経 験 と 熟 練 を 必 要 と し た 。 こ れ も 自 分 の 気 に 入 っ た 「 質 」 で あ り 、 最 適 溶 接 を 実 施 す る た め の 質 か ど う か は 最 後 ま で 判 ら な か っ た 。 部 品 は 発 注 仕 様 書 と は 無 関 係 に 業 者 が か な り の 種 類 を 用 意 し た ら し く 、 そ れ ら を 適 当 に 組 み 合 わ せ て 使 用 し た が 、 最 後 ま で 利 用 し な か っ た り 、 ま た ど の 部 材 か も 判 ら な か っ た 部 品 も か な り あ っ た 。 今 の 装 置 購 入 と 比 べ る と あ ま り に い い 加 減 で あ る と 思 わ れ る が 、 当 時 の 日 本 の 技 術 水 準 を 考 え る と 当 然 の こ と で あ り 、 新 し い こ と を 試 み る に は こ の 程 度 の 鷹 揚 さ が あ っ て 当 然 と も 思 え る 。 い ず れ に せ よ 、 こ の 電 子 ビ ー ム 溶 接 機 に よ る ジ ル コ ニ ウ ム 合 金 端 栓 の 溶 接 は 見 事 に 成 功 し て い る 。 た だ し 燃 料 棒 は 中 に ヘ リ ウ ム ガ ス を 封 入 す る 必 要 が あ る た め 実 用 化 に は 至 ら ず 、 そ の 後 低 真 空 型 に 改 造 し 、 一 ト ー ル 程 度 ま で の 溶 接 の 研 究 を 行 っ た 。 さ て 、 本 装 置 の 最 初 の 目 的 は 端 栓 溶 接 で あ り 、 T I G ア ー ク 溶 接 に 置 換 す る た め の 研 究 で あ っ た が 、 電 子 ビ ー ム 溶 接 は そ の 溶 接 過 程 が 際 だ っ た 特 徴 を 有 す る こ と が 研 究 開 始 後 判 明 し 、 ま っ た く 異 な っ た 方 向 に 開 発 が 進 展 し て 行 っ た 。 あ ま り に 専 門 的 に な る の で 詳 細 は 省 く と し て 、 電 子 ビ ー ム 溶 接 の 特 徴 は 溶 融 幅 が 非 常 に 小 さ く 、 深 く 溶 け る こ と で あ る 。 つ ま り ポ ピ ュ ラ ー な ア ー ク 溶 接 と は 全 く 異 な り 、 厚 板 の 溶 接 面 の 両 面 を 上 か ら 下 ま で ほ ぼ 均 一 に 、 薄 く 溶 か し て 溶 接 で き る こ と で あ る 。 こ の よ う に 電 子 ビ ー ム 溶 接 は 深 く 溶 接 で き る こ と か ら 、 見 学 者 の か な り の 人 が 溶 接 の 合 わ せ 面 に 電 子 ビ ー ム が 下 ま で 入 り 込 ん で い く 「�� 間 」 を 設 け る 必 要 が あ る と 思 い 込 ん で 質 問 し て く る が 、 実 際 は 合 わ せ 面 は 密 着 す れ ば す る ほ ど 良 い 溶 接 結 果 が 得 ら れ る 。 こ の よ う な 特 徴 は 研 究 者 に と っ て 垂 涎 の 的 と な り 、 燃 料 棒 よ り そ ち ら の 方 に 研 究 の 主 力 を 注 ぐ 結 果 と な る の は 当 然 の 成 り ゆ き で あ る 。 二 年 後 、 や は り 原 子 力 研 究 で 厚 板 の 精 密 溶 接 を タ ー ゲ ッ ト と し て 、 米 国 か ら 大 出 力 機 ( 十 五 キ ロ ワ ッ ト 、 そ の 後 三 十 キ ロ ワ ッ ト 型 に 改 造 ) が 導 入 さ れ た 。 こ ち ら の 方 は 導 入 一 号 機 で は な く 、 I H I が 航 空 機 用 に ミ ル 仕 様 に 併 せ て 導 入 し た も の が わ ず か に 早 い 。 こ れ だ と 六 十 ミ リ 程 度 の 厚 さ の 鋼 が 一 気 に 溶 接 で き 、 か な り の 研 究 者 が 重 工 業 企 業 か ら 派 遺 さ れ て 実 験 を 行 っ た 。 さ て 、 そ の 後 の 研 究 経 過 は と も か く 、 公 式 、 非 公 式 を 問 わ な け れ ば 、 当 研 究 所 の 電 子 ビ ー ム 溶 接 機 は 非 常 に 多 く の 大 学 、 企 業 の 研 究 者 が 利 用 し て き た 。 残 念 な が ら こ れ ら の 方 々 の 多 く は 現 役 を 退 い た 年 代 層 に な っ て い る 。 現 在 電 子 ビ ー ム 溶 接 機 は 、 正 確 な 統 計 は な い が 、 推 定 八 百 台 以 上 が 稼 動 し て い る も の と 思 わ れ る 。 し か し 、 こ れ ま で の 電 子 ビ ー ム 溶 接 機 の 産 業 で の 普 及 は 順 調 と い う 訳 に は 行 か ず 、 大 き な 山 と 谷 を 経 験 し て き た 。 ま ず 、 設 備 が 非 常 に 高 価 で あ り 、 し か も 真 空 雰 囲 気 を 利 用 す る 。 し た が っ て 、 普 及 に は 稼 働 率 を 高 め 、 高 速 溶 接 の メ リ ッ ト を 利 用 し て 生 産 コ ス ト を 下 げ る か 、 あ る い は 高 品 質 を 製 品 コ ス ト に 転 化 す る か で あ る 。 残 念 な が ら 日 本 の 生 産 は ど の よ う な 品 質 向 上 を 図 っ て も 、 製 品 コ ス ト の 絶 対 値 を 下 げ な け れ ば 普 及 は 望 め な い 。 し た が っ て 普 及 は 著 し く 景 気 の 動 向 に 左 右 さ れ て い る 。 導 入 当 初 は 「真 空 」 が 問 題 と な っ て あ ま り 利 用 さ れ な い と 予 想 し た 人 が 大 部 分 で あ っ た と 思 わ れ る 。 し か し 、 そ の 後 の 設 備 の 改 良 に 伴 い 、 排 気 時 間 も 著 し く 短 縮 さ れ 、 し か も 付 加 価 値 も 加 わ り 、 自 動 車 産 業 な ど で は 電 子 ビ ー ム 溶 接 自 身 に よ る 効 果 よ り も 生 産 ラ イ ン 全 体 に 及 ぼ す 製 造 コ ス ト 低 減 の 効 果 が 期 待 で き る よ う に な り 、 石 油 シ ョ ッ ク 後 の 高 経 済 成 長 期 に は 著 し く 普 及 し た 。 こ れ ら は 国 産 一 号 機 と 同 レ ベ ル の 三 ~ 六 キ ロ ワ ッ ト 機 が 使 用 さ れ て お り 、 全 体 の 普 及 台 数 の 九 十 % 以 上 を 占 め て い る 。 一 方 、 大 出 力 機 の 普 及 は 限 ら れ て い る 。 ほ と ん ど が 原 子 力 関 係 や ジ ョ ブ シ ョ ッ プ ( 大 型 真 空 装 置 部 品 の 依 頼 溶 接 な ど に 使 用 ) な ど 比 較 的 高 コ ス ト の 製 品 の 溶 接 に 使 用 さ れ て い る が 、 電 子 ビ ー ム 溶 接 の い く つ か の 特 徴 を 活 用 し た も の で あ り 、 本 来 の 電 子 ビ ー ム 溶 接 の 利 用 と い え る 。 電 子 ビ ー ム 溶 接 の 産 業 界 で の 動 向 が 長 く な っ て し ま っ た が 、 わ れ わ れ の 研 究 成 果 が ど の よ う に 産 業 で 利 用 さ れ た か は 残 念 な が ら 明 確 で は な い 。 電 子 ビ ー ム 溶 接 そ の も の が ど の よ う に 利 用 さ れ て い る か が 「 公 式 」 に は 明 ら か に さ れ て い な い 分 野 の 生 産 現 場 で 利 用 さ れ て い る た め で も あ る し 、 導 入 を 図 っ た 技 術 者 の 世 代 も 大 部 分 が リ タ イ ヤ し て い る の で つ ま び ら か で は な い 。 し か し 企 業 で の 電 子 ビ ー ム 溶 接 の 研 究 開 発 が 景 気 の 動 向 に 非 常 に 大 き く 左 右 さ れ な が ら 進 展 し て い っ た の に 対 し 、 当 研 究 所 で の 絶 え ざ る 電 子 ビ ー ム 溶 接 の 溶 接 過 程 に 関 す る 基 礎 研 究 に よ り 明 ら か に な っ た こ と 、 少 な く と も 電 子 ビ ー ム 溶 接 の メ リ ッ ト や デ メ リ ッ ト 、 彼 ら が 直 接 に 溶 接 結 果 を 手 に し て 観 察 し た こ と 、 あ る い は わ れ わ れ と の 討 論 が 、 彼 ら が 生 産 に 導 入 す る 際 に 技 術 的 に は 大 き な 影 響 を 与 え た こ と は 間 違 い な い 点 と 考 え て お り 、 今 や 常 識 と な っ て い る 本 溶 接 の 知 識 の 構 築 に わ れ わ れ が 大 き く 貢 献 し た と 自 負 し て い る 次 第 で あ る 。( 組 織 制 御 研 究 部 ) 30号庁舎溶接実験場 ク リ ー プ デ ー タ シ ー ト プ ロ ジ ェ ク ト の 思 い 出 河 田 和 美 横 井 信 池 田 定 雄 田 中 千 秋 門 馬 義 雄 山 崎 政 義 田 中 今 か ら 三 十 年 前 の 昭 和 四 十 年 四 月 に 立 ち 上 が っ た ク リ ー プ デ ー タ シ ー ト プ ロ ジ ェ ク ト の 思 い 出 話 し に 花 を 咲 か せ ま し ょ う 。 こ の プ ロ ジ ェ ク ト に は 開 始 以 前 か ら 今 日 ま で 、 多 く の 人 々 の 努 力 が 傾 注 さ れ て き ま し た 。 本 日 は プ ロ ジ ェ ク ト 計 画 の 立 案 と 実 施 推 進 を 主 導 さ れ た 河 田 和 美 先 生 と 横 井 信 先 生 を 囲 み 、 こ れ に か か わ る 思 い 出 を 記 録 に 残 そ う と い う こ と で 、 デ ー タ シ ー ト 計 画 が ス タ — ト し た 頃 に 異 動 あ る い は 入 所 し た 四 人 を 交 え て 思 い 出 話 し を し た い と 思 い ま す 。な お 、 デ ー タ シ ー ト 計 画 は 、 当 初 の 計 画 で は 、 ク リ ー プ 、 疲 労 及 び 大 型 構 造 物 特 性 の 三 本 柱 が あ り 、 国 立 材 料 試 験 所 設 立 構 想 と な っ て い ま し た 。 実 際 に 日 の 目 を 見 た の は ク リ ー プ と 疲 労 で す が 、 本 日 は ク リ ー プ の み に 焦 点 を 当 て た い と 思 い ま す 。 ク リ ー プ デ ー タ シ ー ト 計 画 構 想 の 頃 門 馬 私 は 昭 和 四 十 一 年 四 月 に 金 材 技 研 へ 入 れ て い た だ き ま し た が 、 そ の 時 に は す で に ク リ ー プ デ ー タ シ ー ト 計 画 は 河 田 先 生 の ご 指 導 の も と に 横 井 先 生 、 田 中 さ ん が や っ て お ら れ て 試 験 設 備 な ど の 大 枠 が で き あ が っ て い た と 思 い ま す が 、 そ も そ も ク リ ー プ デ ー タ シ ー ト 計 画 が 構 想 さ れ た の は い つ 頃 だ っ た の で し ょ う か 。 河 田 耐 熱 合 金 の 研 究 は 金 材 技 研 設 立 当 初 か ら は じ め て い ま し た が 、 デ ー タ シ ー ト 計 画 の 話 が 出 た の は 昭 和 三 十 年 代 後 半 で す 。 横 井 金 材 技 研 が で き た の が 昭 和 三 十 一 年 で そ の 二― 三 年 後 に は ク リ ー プ の 研 究 は 中 川 龍 一 さ ん 、 乙 黒 靖 男 さ ん 、 そ の 後 に 依 田 連 平 さ ん 、 吉 田 平 太 郎 さ ん 、 渡 辺 亨 さ ん 、 河 部 義 邦 さ ん で 進 め ら れ て い ま し た 。 た だ 、 そ の 時 の 材 料 の 対 象 は 超 耐 熱 合 金 だ っ た よ う に 思 い ま す 。 門 馬 そ も そ も 金 材 技 研 が で き た の は 、 原 子 力 材 料 と 航 空 機 の ジ ェ ッ ト エ ン ジ ン 用 耐 熱 材 料 の 開 発 の た め だ と あ る 人 か ら 聞 い た こ と が あ り ま す 。 河 田 そ う で す ね 。 そ の 後 金 属 材 料 に 関 す る 総 合 的 な 研 究 所 を 目 指 そ う と い う こ と で 。 横 井 そ の 頃 の 日 本 は 戦 後 十 数 年 経 ち 、 産 業 が 発 展 し て き て 電 力 が 不 足 し 、 米 国 の G E や W H か ら 三 十 五 万 ~ 五 十 万 キ ロ ワ ッ ト 級 の 火 力 発 電 所 を 輸 入 し て お り 、 エ ネ ル ギ ー の 確 保 が 大 き な 課 題 で し た 。 一 九 六 四 年 頃 に は 資 源 調 査 所 か ら 火 力 発 電 の 増 設 が 勧 告 さ れ 、 鉄 鋼 業 界 で も 、 ボ イ ラ 用 材 料 や 耐 熱 鋼 の 国 産 化 や 輸 出 が 計 画 さ れ は じ め て い ま し た 。こ の よ う な 動 き は 世 界 的 な も の で 、 一 九 五 〇 年 代 は じ め に は A S T M か ら 高 温 特 性 の デ ー タ 集 シ リ ー ズ が 発 刊 さ れ て い ま し た 。 そ こ で 日 本 で も や ろ う と い う こ と に な り 、 一 九 六 一 年 に は 鉄 鋼 業 界 内 部 で は じ め 計 画 し て い た よ う で す が 、 景 気 の 後 退 で 「官 」 で 何 と か す る 必 要 が あ る と い う こ と で 、 橋 本 宇 一 所 長 が 大 変 な ご 努 力 を さ れ て 金 材 技 研 で や る こ と に し た よ う で す 。 こ の よ う な 気 運 に な っ た の は 、 景 気 の 後 退 も さ る こ と な が ら 、 火 力 発 電 の 増 設 が 大 き い ん じ ゃ な い か と 思 い ま す 。 そ の た め 高 温 関 係 の ボ イ ラ 材 、 タ ー ビ ン 材 を 国 産 化 す る と と も に 輸 出 し よ う と 考 え た ん だ と 思 い ま す 。 輸 出 を 考 え た と き 、 や は り 高 温 の デ ー タ が 無 い と 駄 目 と い う こ と が 一 番 大 き か っ た ん じ ゃ な い で し ょ う か 。 一 九 六 一 年 ( 昭 和 三 十 六 年 ) に 金 材 技 研 に 所 内 ク リ ー プ 委 員 会 が で き て 、 河 田 委 員 長 、 中 川 、 依 田 、 岩 本 兼 敏 さ ん が メ ン バ ー で し た が 、 私 は そ の 頃 に 河 田 先 生 、 遠 藤 勝 治 郎 先 生 に 呼 ば れ て ク リ ー プ の 研 究 を は じ め ま し た 。 試 験 設 備 等 を 調 査 す る た め 、 当 時 京 大 教 授 の 平 修 二 先 生 を 団 長 と し て 海 外 へ 視 察 団 が 日 本 鉄 鋼 協 会 よ り 派 遣 さ れ て い ま し た 。 そ の 後 、 大 型 試 験 施 設 の 調 査 の た め 河 田 先 生 も 海 外 視 察 へ 出 か け ら れ ま し た ね 。そ れ ら を 契 機 と し て 、 日 本 鉄 鋼 協 会 に ク リ ー プ 委 員 会 が で き ま し た 。 こ の 委 員 会 は ト ッ プ ク ラ ス の 人 達 が バ ッ ク ア ッ プ し て 下 さ い ま し た 。 例 え ば 、 三 島 徳 七 博 士 ( 初 代 委 員 長 ) 、 俵 国 一 博 士 、 神 戸 製 鋼 所 の 浅 田 長 平 会 長 、 等 々 で 、 今 考 え て も 壮 そ う た る 方 達 で す 。 田 中 当 時 の 鉄 鋼 業 の 意 気 込 み が 感 じ ら れ ま す ね 。 門 馬 場 所 を 中 目 黒 の 防 衛 庁 の 池 の 側 に 決 め た 経 緯 は ど う で し ょ う か 。 田 中 中 目 黒 を 建 設 地 と 設 定 す る 前 に 、 管 理 部 長 の 戸 部 健 次 郎 さ ん は じ め 幹 部 の 方 々 が 千 葉 の 四 街 道 方 面 へ 土 地 を 見 に 行 っ た よ う で す ね 。 横 井 そ う い え ば 、 官 用 車 三 台 く ら い で 行 き ま し た ね 。 当 時 か ら 筑 波 の 話 も あ り ま し た し ね 。 場 所 の 決 定 に つ い て は よ く 知 り ま せ ん で し た が 、 当 時 の 本 庁 や 管 理 部 の 方 々 の ご 努 力 で 目 黒 地 区 に 決 ま っ た よ う で す 。 こ こ は 防 衛 庁 の 土 地 で は な く 大 蔵 省 の 関 東 財 務 局 の も の だ っ た よ う で す 。 河 田 み ん な 目 黒 か ら 離 れ た く な い と 思 っ て い た の が 一 番 大 き か っ た ん じ ゃ な い か な 。 当 時 の 千 葉 と か 筑 波 は 草 深 い と こ ろ で し た よ 。 横 井 こ こ に 決 ま っ て か ら 田 中 さ ん と 見 に 来 ま し た が 、 駐 留 軍 が 使 っ て い た と こ ろ で 草 が 茫 々 で し た ね 。 ト ー チ カ の 後 み た い な も の が あ り 、 瓦 礫 が 結 構 あ り ま し た よ ね 。 田 中 こ こ の 土 地 は も と も と 軟 弱 な 地 盤 で す よ ね 。 そ の た め に 基 礎 工 事 に は 業 者 か ら 追 加 費 用 を 請 求 さ れ ま し た ね 。 横 井 橋 本 先 生 の 話 で は 子 供 の 頃 は こ こ は 田 圃 だ っ た そ う で 、 良 く 遊 ん だ よ と 言 わ れ て い ま し た 。 下 が 目 黒 川 の 河 川 敷 で 上 に 三 田 用 水 が 流 れ 、 戦 時 中 は 用 水 の 水 で 水 車 を 廻 し て 黒 色 火 薬 を 作 っ て い た ん で す ね 。 火 薬 工 場 は 壁 は コ ン ク リ ー ト で し た け ど 屋 根 は 木 造 に な っ て い て 、 事 故 が 起 こ っ た 時 大 き な 抵 抗 に な ら ず 簡 単 に 吹 き 飛 ぶ 構 造 に な っ て い ま し た 。 田 中 そ れ を 内 圧 ク リ ー プ 試 験 室 の 設 計 の 参 考 に し ま し た 。 と こ ろ で 、 材 料 試 験 所 準 備 室 の 設 置 法 が 昭 和 三 十 九 年 七 月 一 日 に 国 会 を 通 り 、 準 備 室 が で き 、 私 は そ こ に 入 り ま し た 。 当 時 、 横 井 さ ん は 高 温 強 さ 研 究 室 の 室 長 さ ん で し た が 準 備 室 付 き と な り 、 翌 年 の 四 十 年 四 月 に 準 備 室 が 材 料 試 験 部 と な り 、 横 井 さ ん が 試 験 課 長 と な っ て 建 物 の 建 設 が は じ ま り ま し た 。 山 崎 私 が 入 っ た 昭 和 四 十 一 年 四 月 、 試 験 課 は ま だ 4 号 庁 舎 に 居 室 が あ り 、 池 の 対 岸 で 工 事 が は じ ま っ て い ま し た 。 横 井 最 初 の 予 算 が 三 十 九 年 度 で 、 四 十 年 度 か ら 本 格 的 に な り ま し た 。 通 産 省 で は な く 科 技 庁 に よ く こ う い う 予 算 が 付 い た と 思 い ま す ね 。 関 東 地 建 、 業 者 の 人 達 を は じ め 、 考 え ら れ な い く ら い 多 く の 人 に お 世 話 に な り 、 驚 く 程 の 名 刺 を も ら っ た の を 覚 え て い ま す 。 建 物 と 試 験 機 の 設 計 を 同 時 に や っ た の が 後 か ら 思 う と 良 か っ た と 思 っ て い ま す 。 門 馬 昔 、 国 立 材 料 試 験 所 構 想 の 書 類 を み た こ と が あ り ま す が 、 百 五 十 人 規 模 で 金 材 技 研 か ら 独 立 す る よ う に な っ て い ま し た ね 。 横 井 試 験 設 備 を 千 百 台 規 模 に し た 根 拠 な ど の 資 料 作 り に は 苦 労 し ま し た 。 高 温 材 料 の 規 格 材 を リ ス ト ア ッ プ し て 試 験 温 度 、 応 力 条 件 な ど を 掛 け 算 し て 、 何 台 あ っ た ら 何 年 か か る と い う よ う な 案 を 幾 つ も 作 り 、 河 田 さ ん の と こ ろ へ 持 っ て 行 き ま し た 。 河 田 さ ん が 予 算 書 を 見 て 間 違 い を 見 つ け る の が 早 い の と 、 暗 算 が 早 い の に は 驚 き ま し た ね 。 河 田 さ ん に 書 類 を よ く 突 き 返 さ れ ま し た ね 。 今 思 え ば 紙 屑 ば か り 作 っ て い ま し た よ ね 。 田 中 一 緒 に や っ て い た 内 山 雅 亘 ( の ち I B M ) さ ん が 徹 夜 で 紙 屑 を 作 っ て い る と ぼ や い て い ま し た よ 。 予 算 書 も 手 回 し の タ イ ガ ー 計 算 機 を 使 っ て 計 算 し て い ま し た が 、 横 井 さ ん は 手 回 し が 早 か っ た で す ね 。 横 井 今 で は 考 え ら れ ま せ ん が 、 予 算 を と る の に 当 時 は 企 画 課 長 や 庶 務 の 方 達 と 私 自 身 が 大 蔵 の 主 査 に 説 明 に 行 き ま し た 。 そ の 時 の 主 査 が 後 年 、 科 技 庁 の 事 務 次 官 に な ら れ ま し た ね 。 当 時 こ こ を 作 る の に 、 ク リ ー プ 委 員 会 の 三 島 先 生 と 神 戸 製 鋼 所 の 浅 田 会 長 さ ん か ら 是 非 作 っ て ほ し い と い う 要 望 書 が 大 蔵 省 へ だ さ れ て い ま し た 。 大 蔵 省 と の こ と で 一 番 印 象 に 残 っ て い る の は 電 気 料 金 の こ と で す 。 電 気 料 金 を 予 算 と し て 確 保 し て い な け れ ば や っ て い け な い で す か ら 、 航 研 の 風 洞 実 験 を 参 考 に し て 付 け て も ら い ま し た 。 基 本 的 な 経 費 は 最 初 に 付 け て お か な い と な か な か 後 か ら は 認 め て も ら え ま せ ん か ら ね 。 人 も 一 番 多 い と き で 四 十 数 名 付 け て も ら い ま し た 。 田 中 横 井 さ ん が 大 蔵 に 行 け ば 予 算 が 付 い て く る の で 、 下 請 け し て て お も し ろ か っ た で す よ 。 横 井 河 田 さ ん に い ろ い ろ 指 示 さ れ て 、 毎 日 朝 の 三 時 、 四 時 ま で 頑 張 り ま し た ね 。 田 中 河 田 さ ん か ら の 宿 題 が で る の が 夕 方 の 五 ― 六 時 頃 で 、 翌 朝 ま で に は も っ て こ い と い う こ と で し た か ら ね 。 建 物 と 試 験 機 を 整 備 し て い た 三 ― 四 年 間 は 本 当 に 大 変 で し た け ど 、 私 は 楽 し か っ た で す ね 。 河 田 後 年 、 横 井 さ ん は そ の 頃 の こ と で 人 使 い が 厳 し か っ た と よ く 怒 っ て い ま し た ね 。 私 が 海 外 視 察 に 行 っ て い る 夏 の 間 に 予 算 が 通 る 目 処 が つ い て い ま し た 。 後 に ク リ ー プ 試 験 部 長 に な っ た 企 画 課 長 の 吉 村 浩 さ ん を は じ め と し て 、 管 理 部 の 人 達 も 頑 張 っ て く れ ま し た 。 当 時 と し て は 大 き な 予 算 で し た ね 。 ク リ ー プ 試 験 装 置 山 崎 ク リ ー プ 試 験 機 を 二 階 に 設 置 し た の は 当 時 と し て は 珍 し か っ た で す よ ね 。 そ れ に 、 ク リ ー プ 試 験 機 そ の も の も い ろ い ろ 工 夫 さ れ て い ま す 。 横 井 そ う で す ね 、 海 外 で は よ く 地 下 に 置 い て あ り ま し た が 、 河 田 さ ん が 、 あ れ は 地 下 が い い か ら 置 い た の で は な く て 地 下 く ら い し か 置 く と こ ろ が な い か ら 置 い て あ る ん だ ろ う と お っ し ゃ い ま し て 。 河 田 そ う で し た ね 。 田 中 ア ン カ ー ボ ル ト を 使 う と 床 が 厚 く な っ て 重 く な る の で 、 レ ー ル に 固 定 す る 自 立 型 に し ま し た 。 横 井 試 験 機 を 並 べ る の に 、 ベ ニ ヤ で 囲 っ て 試 験 操 作 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 田 中 さ ん に い ろ い ろ や っ て も ら い ま し た ね 。 そ こ で 一 番 大 き な 失 敗 は 、 ア ン グ ル に 定 尺 物 を 使 っ て 材 料 を 節 約 し た た め 、 試 験 機 の 高 さ が 少 し 低 か っ た こ と で す ね 。 自 分 が 背 が 低 い か ら 気 が つ か な か っ た け ど 、 ま さ か 後 で 永 井 秀 雄 君 み た い の が 入 っ て く る と は 思 い も し な か っ た ( 背 の 高 い 若 い 人 達 は ク リ ー プ 試 験 機 の レ バ ー が 頭 に あ た り 危 険 ) 。 田 中 私 も 背 が 高 く あ り ま せ ん の で 気 が つ き ま せ ん で し た が 、 次 年 度 分 か ら 高 く し ま し た ね 。 そ れ で お も し ろ い こ と に 、 背 の 高 さ で 試 験 機 の 担 当 が 決 ま っ ち ゃ い ま し た 。 門 馬 オ イ ル ジ ャ ッ キ 付 き の ダ ン パ ー を 使 っ た の も 初 め て で す ね 。 山 崎 割 型 の 炉 で は な く 管 状 炉 に し た り 。 田 中 ア イ デ ィ ア を こ ち ら か ら 出 し て 試 験 機 メ ー カ ー に 作 っ て も ら い ま し た が 、 新 奇 的 な も の が い っ ぱ い 詰 ま っ て い る ク リ ー プ 試 験 機 と い え ま す 。 入 札 で 一 社 だ け に は 行 か な い だ ろ う と い う こ と で 、 最 後 は ど の 会 社 に 行 っ て も 同 一 仕 様 に な る よ う に 部 品 図 を 含 め た 試 験 機 の 詳 細 な 設 計 図 ま で 書 き ま し た 。 横 井 試 験 機 は 四 社 か ら 納 入 さ れ ま し た が 、 本 体 は み ん な 同 じ 設 計 に な っ て い ま す 。 メ ー カ ー に 協 力 し て も ら い 、 コ ネ ク タ や プ ル ロ ッ ド な ど の 治 具 関 係 も す ベ て 互 換 性 を 持 た せ ま し た 。 管 状 炉 に し た の は 長 時 間 試 験 で あ る こ と と 熱 の 損 失 を 少 な く す る た め で す が 、 外 壁 を ス テ ン レ ス 製 に し ま し た 。 炉 は 後 年 に 清 水 勝 さ ん に い ろ い ろ 苦 労 し て も ら っ て 、 省 エ ネ 炉 に 改 造 し て 電 気 の 消 費 を 押 さ え ま し た 。 田 中 こ の 改 造 は 電 力 削 減 に 大 き な 効 果 が あ り ま し た ね 。 デ ー タ シ ー ト 試 験 の 開 始 山 崎 試 験 機 の 整 備 が 終 わ っ た の が 昭 和 四 十 四 年 で 、 本 格 的 な ク リ ー プ 試 験 を 開 始 し た の が 四 十 五 年 の は じ め ぐ ら い か ら で す ね 。 河 田 デ ー タ シ ー ト 試 験 を は じ め る ま え に 、 ど ん な デ ー タ シ ー ト を 作 っ た ら 良 い か 検 討 す る た め に 2 4 号 庁 舎 の ク リ ー プ 試 験 機 を 使 っ て 予 備 試 験 を 行 っ た ね 。 予 備 試 験 の デ ー タ を 横 井 さ ん 、 田 中 さ ん 、 門 馬 君 、 新 谷 紀 雄 君 で 解 析 し て も ら い 、 鉄 と 鋼 に 投 稿 し た ん で す ね 。 田 中 あ の 論 文 は そ の 後 ク リ ー プ 強 度 の 統 計 的 解 析 研 究 の バ イ ブ ル に な り ま し た 。 材 料 強 度 の 解 析 に 統 計 学 を 取 り 入 れ 、 大 型 の コ ン ピ ュ ー タ を 使 っ て ( 当 時 、 金 材 技 研 に は コ ン ピ ュ ー タ は 無 く 、 日 本 科 学 技 術 連 盟 の TO SBAC 340 0 C を 用 い た ) 解 析 し た の は 当 時 と し て は 先 端 的 な こ と で し た 。 金 材 技 研 で 大 型 コ ン ピ ュ ー タ を 使 っ て 論 文 を 書 い た 最 初 の も の で し ょ う 。 門 馬 現 在 は パ ソ コ ン で 解 析 で き ま す が 、 ク リ ー プ 破 断 デ ー タ の 標 準 的 な 解 析 方 法 と な り ま し た 。 田 中 第 一 期 の ク リ ー プ デ ー タ シ ー ト 作 成 の テ ー マ は 昭 和 四 十 一 年 度 か ら 十 五 年 間 を 目 途 に ス タ ー ト し ま し た 。 そ れ で 装 置 の 整 備 と 並 行 し て 材 料 の 選 択 も 進 め ま し た が 、 多 種 多 量 の 材 料 を き ち っ と 管 理 し な く て は と 神 経 を 使 い ま し た 。 ち ょ う ど 山 崎 君 が 入 っ て き た の で 、 素 材 か ら 試 験 片 を 加 工 す る 管 理 を 専 門 で や っ て も ら う こ と に し た ん だ よ ね 。 山 崎 は い 、 田 中 さ ん が 鋼 種 を 系 統 的 に 分 類 し て コ ー ド を 決 め ら れ て 、 そ れ に そ っ て 試 験 片 番 号 を 付 け て ビ ッ ド マ ー 社 製 の 引 き 出 し に 収 納 し ま し た 。 最 初 は 五 メ ー ト ル も あ る ボ イ ラ チ ュ ー ブ を 工 業 化 の 高 速 カ ッ タ ー で 切 断 し ま し た 。 田 中 さ ん が 第 二 試 験 室 へ 移 ら れ て か ら は 新 谷 さ ん と 相 談 し て ロ ー タ 材 や ケ ー シ ン グ 材 等 を 切 り 出 し ま し た 。 今 で も 試 験 片 の サ ン プ リ ン グ 位 置 を 追 跡 で き ま す よ 横 井 材 料 の 選 択 で は プ ロ ジ ェ ク ト を 開 始 す る 前 に 河 田 さ ん が 二 回 く ら い 懇 談 会 を 開 き 、 各 社 の 専 門 家 ( 三 菱 重 工 の 磯 部 裕 さ ん 、 山 内 英 和 さ ん 、 日 立 の 佐 々 木 良 一 さ ん 、 住 金 の 池 島 俊 雄 さ ん 、 三 好 栄 次 さ ん 、 神 鋼 の 山 本 俊 一 さ ん 、 川 重 の 前 田 徳 美 さ ん 等 ) の 意 見 を お 聞 き し ま し た 。 そ の 後 は 日 本 鉄 鋼 協 会 ク リ ー プ 委 員 会 の 方 達 に ご 意 見 を 伺 が い な が ら 進 め ま し た 。 ク リ ー プ デ ー タ シ ー ト で 取 り 上 げ た 材 料 は す べ て ど こ か の プ ラ ン ト で 使 う た め に 製 造 し た も の で 、 複 数 メ ー カ ー か ら 一 社 三 ヒ ー ト ず つ サ ン プ リ ン グ す る こ と を 原 則 に し た の が 良 か っ た と 思 っ て ま す 。 ヒ ー ト 間 の ば ら つ き を み ら れ る の は 大 き い で す 。 こ の 原 則 を 押 し 通 し た の で 、 外 部 か ら は と や クリープ試験機 か く 言 わ れ ま せ ん で し た 。 河 田 そ う で し た 。 そ の た め 四 十 一 材 種 六 百 ヒ ー ト 以 上 の 鋼 種 を 取 り 上 げ ま し た 。 特 に 、 ク リ ー プ 委 員 会 の 田 中 良 平 委 員 長 ( 東 京 工 業 大 学 教 授 ) に は 長 年 に 亘 り 大 変 熱 心 に ご 助 力 載 き ま し た 。 門 馬 私 は 入 所 し て す ぐ 、 伊 藤 弘 さ ん と 一 緒 に 計 量 研 究 所 へ 温 度 計 測 の 勉 強 に 五 十 日 く ら い 行 か さ れ ま し た 。 熱 電 対 の 検 定 シ ス テ ム を 標 準 化 し て 、 温 度 標 準 室 を 作 り ま し た 。 田 中 ク リ ー プ 試 験 の 温 度 管 理 に つ い て は わ が 国 の 先 導 的 役 割 を 果 た し ま し た ね 。 山 崎 国 内 で ク リ ー プ 試 験 を 担 当 し て い る 人 は ほ と ん ど 見 学 に 来 て 、 勉 強 し て い き ま し た 。 ク リ ー プ 試 験 も 、 担 当 者 に よ る ば ら つ き を 小 さ く す る た め マ ニ ュ ア ル を 作 り ま し た ね 。 横 井 そ う で す ね 。 伊 藤 さ ん 、 馬 場 栄 次 さ ん に 標 準 的 な 試 験 方 法 の マ ニ ュ ア ル を 作 っ て も ら い 、 若 い 人 達 を 指 導 し て も ら い ま し た 。 デ ー タ シ ー ト は 絶 対 値 が 大 事 で 、 材 料 開 発 の よ う に 相 対 的 な 比 較 で は な い の で 、 温 度 と か 試 験 方 法 の 標 準 化 は 必 要 で し た 。 ま た 、 今 で は 考 え ら れ ま せ ん が 、 研 究 者 み ん な に 交 代 で 宿 直 を し て も ら い ま し た 。 若 い 人 の な か に は 宿 直 を 恐 が っ て い た 人 も い た な 。 田 中 私 も 泊 ま り ま し た が 、 誰 か が こ こ は 昔 お 墓 だ っ た な ん て 脅 し た ん で す よ 。 山 崎 昭 和 四 十 二 年 に 池 田 定 雄 さ ん が 移 っ て こ ら れ 、 受 託 試 験 が ス タ ー ト し ま し た ね 。 池 田 河 田 先 生 か ら ク リ ー プ の 受 託 試 験 を 立 ち 上 げ る よ う い わ れ 、 業 務 課 の 小 山 一 男 さ ん と 受 託 試 験 約 款 づ く り か ら は じ め ま し た 。 一 番 最 初 の 受 託 試 験 は 、 現 在 東 大 工 学 部 に い ら っ し ゃ る 朝 田 泰 英 教 授 が 三 菱 重 工 ( 株) 長 崎 研 究 所 時 代 に 依 頼 に こ ら れ た も の で す 。 約 三 百 台 の 試 験 機 を 受 託 試 験 用 に し て ま し た が 、 最 盛 期 に は 二 百 八 十 台 稼 動 し て ま し た 。 田 中 受 託 試 験 で 大 変 な の は 試 験 ば か り で な く 、 予 算 管 理 で 歳 出 ・ 歳 入 見 合 い で 予 算 に 付 い た 歳 入 予 定 分 は 試 験 を し な け れ ば な り ま せ ん 。 こ の 辺 の 調 整 は 池 田 さ ん の 本 領 発 揮 で し た ね 。 池 田 そ の 辺 の 調 整 は 私 は た い し て 苦 で は あ り ま せ ん で し た が 、 あ る 会 社 が 十 万 時 間 の ク リ ー プ 破 断 試 験 を 頼 み に 来 た と き は 、 ク リ ー プ 伸 び も 測 定 す る よ う に 言 い ま し た 。 時 間 あ た り の 単 価 は 高 い で す が 、 伸 び を 計 っ て れ ば 万 が 一 事 故 っ て も そ れ ま で の デ ー タ が 生 き ま す か ら ね 。 無 事 十 万 時 間 を 超 す デ ー タ を 出 し て 感 謝 さ れ ま し た 。 こ の 間 に 会 社 の 担 当 者 は 三 人 ぐ ら い 代 わ り ま し た ね 。 河 田 受 託 試 験 で も 十 万 時 間 を 超 す デ ー タ を 出 し た ん で す ね 。 横 井 受 託 試 験 も 大 変 な 仕 事 で す ね 。 だ け ど 、 受 託 試 験 を 通 し て 産 業 界 の 現 場 の い ろ い ろ な 情 報 を 得 る こ と が で き ま し た 。 池 田 鉄 鋼 メ ー カ や フ ァ ブ リ ケ ー タ の 工 場 や 研 究 所 に 見 学 に 行 き 、 デ ィ ス カ ッ シ ョ ン の 場 を 作 り 、 学 会 と は 違 う 本 音 の 話 し を 聞 く こ と が で き ま し た 。 田 中 し か し 、 受 託 試 験 を や っ て い た 人 が 実 は 処 遇 で は 一 番 割 を く い ま し た ね 。 山 崎 仕 事 の 量 は 多 い し 、 失 敗 は で き な い し 、 正 確 な デ ー タ を 出 さ な く て は な ら な い し で 神 経 を 使 い ま す 。 横 井 そ う で す ね 、 申 し 訳 な い と 思 っ て ま す 。 そ う や っ て キ チ ッ ト 一 生 懸 命 仕 事 を し た 人 が 処 遇 で 不 利 な の に は 困 り ま し た 。 や は り 研 究 を し て 論 文 を 書 く 研 究 者 と 、 正 確 な い い 実 験 を や る ん だ と い う 人 や き れ い な 写 真 を 撮 る ん だ と い う よ う な 人 を 、 研 究 技 術 者 と し て 職 種 を わ け て 給 与 面 を 考 え て も ら わ な い と 困 り ま す ね 。 論 文 だ け で 評 価 す る の は お か し い で す よ 。 も う 少 し 考 え な い と い け な い で す ね 。 山 崎 本 格 的 に 試 験 を 開 始 し て か ら は 、 毎 年 、 年 末 年 始 の 十 二 月 三 十 日 と 一 月 二 日 に も 測 定 し に 出 勤 し て 来 ま し た ね 。 途 中 か ら は 大 晦 日 一 日 だ け に な り ま し た が 。 横 井 お 正 月 で も 、 地 震 が あ る と 出 て き ま し た ね 。 山 崎 元 日 に 地 震 で 呼 び 出 さ れ た こ と も あ り ま し た 。 田 中 約 十 年 間 部 長 を や っ て い る 間 に 、 何 度 か 正 月 に 緊 急 事 態 な ど で 出 て き ま し た よ 。 横 井 い ろ ん な こ と を 考 え る と 一 言 で は 表 現 で き な い く ら い の デ ー タ で す ね 。 デ ー タ シ ー ト の 評 価 河 田 昭 和 四 十 年 か ら 今 日 ま で 、 部 長 は 何 代 に な り ま す か ね 。 私 の 次 に 吉 田 進 さ ん 、 吉 村 浩 さ ん 、 依 田 連 平 さ ん 、 鈴 木 正 敏 さ ん 、 横 井 信 さ ん 、 田 中 千 秋 さ ん 、 八 木 晃 一 現 部 長 、 八 代 に な り ま す か 。 長 く 続 き ま し た ね 。 成 果 も 随 分 挙 が っ た で し ょ う 。 田 中 最 近 受 け た 外 部 評 価 委 員 会 の 結 果 で は デ ー タ シ ー ト は 大 変 高 い 評 価 を 受 け 、 ま だ ま だ 続 け る ベ き だ と の ご 意 見 も あ り ま し た 。 最 初 は 大 変 で し た け れ ど も 、 地 道 に 長 く や っ て い れ ば 評 価 さ れ ま す ね 。 門 馬 で も 、 横 井 さ ん や 田 中 さ ん は 、 本 庁 の 担 当 者 が 二 ― 三 年 で 変 わ る た び に デ ー タ シ ー ト の 必 要 性 の 説 明 に 行 か れ て 、 理 解 し て も ら う の に 大 変 だ っ た よ う で す ね 。 横 井 そ う ね 。 田 中 誠 意 を も っ て 説 明 す れ ば わ か っ て く れ る 人 も い ま し た よ 。 後 か ら は 応 援 団 に な っ て く れ た 人 も い ま し た ね 。 横 井 な ぜ 科 学 技 術 庁 の 仕 事 だ と い う こ と も い わ れ ま し た ね 。 門 馬 確 か に 「夢 」 だ の 「 ス ー パ ー 」 だ の と は 違 い ま す が 、 か え っ て 他 の 官 庁 で な か っ た の が 良 か っ た と 思 い ま す 。 横 井 ・ 田 中 そ う で す ね 。 も っ と 政 治 的 に な っ て い た で し ょ う 。 横 井 デ ー タ シ ー ト を 河 田 さ ん が 最 初 か ら 英 語 で 出 版 し な さ い と い う こ と で 英 語 で 出 し ま し た が 、 国 際 的 に 通 用 す る も の に な っ て 良 か っ た で す ね 。 門 馬 海 外 で も 高 温 強 度 の 研 究 を し て い る 人 は 誰 で も 知 っ て い ま す ね 。 田 中 米 国 で も 非 常 に 高 く 評 価 さ れ て お り 、 私 達 が 積 極 的 に 働 き か け た か ら か も し れ ま せ ん が 、 A S M E の 規 格 で 許 容 応 力 の 見 直 し に は 使 わ れ て い ま す 。 そ れ に ひ き か え 、 日 本 で は な か な か 直 接 反 映 さ れ ま せ ん 。 横 井 も っ た い な い で す ね 。 通 産 省 は じ め 電 力 と か フ ァ ブ リ ケ ー タ の 関 係 者 に 働 き か け 話 を し た こ と は あ り ま す が 、 規 格 に 反 映 さ せ る の は 難 し か っ た で す 。 で も 会 社 で は 随 分 利 用 さ れ て い る よ う で す 。 山 崎 デ ー タ シ ー ト 関 連 研 究 で も 、 門 馬 グ ル ー プ の 時 間 ― 温 度 パ ラ メ ー タ の 材 料 定 数 最 適 化 の た め の 統 計 的 取 扱 い と そ の ソ フ ト 開 発 と 普 及 や 、 新 谷 グ ル ー プ に よ る 破 壊 機 構 領 域 図 の 作 成 な ど 高 温 強 度 評 価 や 余 寿 命 予 測 、 田 中 ・ 八 木 グ ル ー プ の 特 殊 な ク リ ー プ 特 性 の 解 明 研 究 な ど で 貢 献 し ま し た ね 。 横 井 コ ペ ル ニ ク ス が 地 動 説 を 確 立 す る た め に は そ の 先 生 が 膨 大 な 観 測 デ ー タ を 蓄 積 し て い た こ と が あ っ た か ら だ と 、 何 か の 本 で 読 ん だ こ と が あ り ま す 。 以 前 に 依 田 さ ん や 田 中 良 平 先 生 が お っ し ゃ っ て い ら し た よ う に デ ー タ シ ー ト は 宝 の 山 で す か ら 、 ま だ ま だ 調 べ る こ と は あ り ま す よ 。 例 え ば 、 フ ェ ラ イ ト 鋼 に お け る M o の 効 果 の 解 明 な ど 。 田 中 M o の 効 果 は 原 子 領 域 の 視 点 か ら 今 や っ て い ま す 。 期 待 し て く だ さ い 。 と こ ろ で 横 井 さ ん 、 デ ー タ シ ー ト に は 大 勢 の 人 が か か わ っ て き ま し た が 、 何 か 面 白 い 話 は な い で す か 。 門 馬 ク リ ー プ デ ー タ シ ー ト に 関 わ っ て き た 人 達 は 通 算 で 百 人 は 超 え て い ま す ね 。 横 井 そ う で す ね 、 ど こ ま で 含 め る か で す が 。 田 中 初 期 の 頃 の 人 で や め た 人 が 多 か っ た で す ね 。 横 井 初 め て 話 し ま す が 、 地 方 か ら の 若 い 人 が 多 か っ た の で 、 採 用 し て 数 ヵ 月 以 内 に 内 緒 で そ の 人 の 住 ん で い る 所 を 確 認 し に 行 き ま し た 。 田 中 そ れ は 初 め て 聞 き ま し た ね 。 横 井 体 の 弱 い 人 も い ま し た し 、 何 か あ っ た 時 に 連 絡 が と れ な い と 困 り ま す か ら ね 。 い ろ ん な 人 が い て 、 若 い 人 を た く さ ん 預 か る と 大 変 で し た よ 。 ま た 、 白 金 と か 貴 重 な も の を あ つ か っ て い る の で 神 経 を 使 い ま し た 。 伊 藤 さ ん 、 馬 場 さ ん が キ チ ッ ト 管 理 し て く れ た の で よ か っ た で す が 、 二 人 は 犠 牲 者 に な っ ち ゃ っ て 申 し 訳 な い で す よ 。 縁 の 下 の 力 持 ち に な っ て い る 人 が 不 遇 だ と 本 当 に 困 り ま す 。 山 崎 当 時 の 若 手 だ っ た 人 で 、 子 供 が も う 成 人 式 の 人 も い ま す よ 。 こ れ か ら の デ ー タ シ ー ト は 田 中 思 い 出 は こ の く ら い に し て 、 河 田 さ ん 、 横 井 さ ん 、 外 に で ら れ て か ら 第 三 者 と し て 見 た 場 合 、 ま あ 当 事 者 が 第 三 者 に な る の は 難 し い か も し れ ま せ ん が 、 デ ー タ シ ー ト は ど ん な 感 じ が し ま す か 。 河 田 今 ま で の 設 備 や 手 法 を そ の ま ま 続 け て い て は 行 き 詰 ま り ま す よ 。 建 物 の 老 朽 化 も 心 配 で す が 、 試 験 機 も 温 度 の 上 限 を 千 ℃ よ り も っ と 上 げ た り グ レ ー ド ア ッ プ し て 、 材 料 も 鉄 鋼 ば か り で な く 非 鉄 や セ ラ ミ ッ ク ス ・ 複 合 材 料 で も い い で し ょ う 。 横 井 鉄 鋼 に こ だ わ り す ぎ た か な と い う こ と と 、 火 力 で も 超 々 臨 界 圧 の 材 料 を も っ と 早 く 採 り 上 げ れ ば よ か っ た か な と 。 コ ン バ イ ン ド 発 電 や 石 炭 液 化 な ど 、 ま た 、 高 速 増 殖 炉 は ど う な る か わ か り ま せ ん け れ ど 、 い ず れ に し て も 将 来 エ ネ ル ギ ー が 問 題 に な る の は 確 実 で す か ら そ れ ら に 使 わ れ る 材 料 、 そ れ か ら 非 鉄 で す が 採 り 上 げ て も よ か っ た か な と 。 エ ネ ル ギ ー が ど っ ち の 方 向 に 行 く か わ か り ま せ ん が 、 ど っ ち か に 行 っ た 時 で は ク リ ー プ は 間 に 合 い ま せ ん か ら ね 。 田 中 エ ネ ル ギ ー は 経 済 事 情 に よ り ゆ れ が 大 き い で す よ ね 。 現 時 点 で は 超 々 臨 界 圧 は 有 望 な 方 向 で す よ 。 横 井 超 々 臨 界 圧 は 材 料 の 問 題 で し ょ 。 最 近 の 人 は 見 込 み の な い こ と は や り た が ら な い で す ね 。 駄 目 な ら 駄 目 な こ と を 証 明 す る の も 大 事 で す け ど 。 門 馬 現 在 、 八 木 さ ん を 中 心 に N R I M ガ イ ド 作 成 の 計 画 が あ り ま す が 、 や は り 、 国 研 の よ う に 中 立 的 な 立 場 で な け れ ば で き な い こ と も あ り ま す よ ね 。 田 中 そ う で す ね 。 多 少 無 駄 か も し れ な い け ど 、 そ れ か ら 、 そ の 人 の 人 生 に と っ て 損 に な つ ち ゃ ぅ か も し れ な い け ど 、 そ う い う こ と を や る 人 が 日 本 に 何 人 か い て も い い で す ね 。 そ れ で は 今 日 は こ れ ま で に し ま し ょ う 。 皆 さ ん 有 難 う ご ざ い ま し た 。 ( 平 成 七 年 二 月 吉 日 中 目 黒 材 料 試 験 施 設 及 び 平 成 七 年 四 月 吉 日 河 田 先 生 邸 に て 。 文 責 田 中 ・ 山 崎 ) 河 田 和 美 ( 二 代 目 所 長 S 3 1 ・7 ・1 ~5 0 ・ 4 ・1 ) 横 井 信 ( 材 料 強 さ 研 究 部 S 3 1 ・ 7 ・1 ~6 2 ・ 3 ・3 1 ) 池 田 定 雄 ( 環 境 性 能 研 究 部 S 3 3 ・ 5 ・1 ~ H 4 ・ 3 ・31 ) 田 中 千 秋 ( 計 算 材 料 研 究 部 ) 門 馬 義 雄 ( 損 傷 機 構 研 究 部 ) 山 崎 政 義 ( 損 傷 機 構 研 究 部 ) 疲 れ デ ー タ シ ー ト 作 成 計 画 と 実 行 太 田 昭 彦 昭 和 三 十 八 年 に 、 国 立 材 料 試 験 機 関 と し て 材 料 試 験 所 設 立 計 画 が 立 て ら れ た 。 こ の 計 画 で は 、 ( 一) 国 産 材 料 に つ い て 各 種 の 材 料 試 験 を 行 っ て デ ー タ シ ー ト を 作 る ( 二) 受 託 に よ る 材 料 試 験 ( 三) 材 料 試 験 法 の 研 究 を 行 う こ と と し 、 ク リ ー プ デ ー タ シ ー ト 用 試 験 施 設 、 疲 労 試 験 関 係 の 施 設 、 超 大 形 試 験 関 係 の 施 設 を 設 置 す る こ と が う た わ れ て い た 。 後 二 者 は デ ー タ シ ー ト と い う よ り 試 験 法 の 研 究 と い う 色 合 い が 強 か っ た が 、 昭 和 四 十 三 年 に 、 疲 労 に つ い て も デ ー タ シ ー ト 作 成 を 主 業 務 と す る こ と が 決 っ た 。 昭 和 四 十 年 に 後 二 者 を 検 討 す る た め 、 河 田 和 美 第 二 代 所 長 ( 当 時 材 料 試 験 部 長 ) の 下 に 、 大 学 か ら 故 福 本 保 部 長 、 故 佐 々 木 悦 男 室 長 が 移 籍 し 、 具 体 的 計 画 の 策 定 が 進 め ら れ た 。 こ の 間 、 筆 者 も そ の お 手 伝 い を し つ つ 、 お 二 人 の 研 究 に 対 す る 姿 勢 等 茶 飲 み 話 を 交 え な が ら 楽 し く お 聞 き す る 機 会 を 得 た 。 筆 者 も 四 十 年 に 新 卒 で 入 所 し た ば か り で あ り 、 こ れ ら に よ っ て 研 究 者 と し て の 基 本 が 形 成 さ れ た こ と は 大 変 好 運 で あ っ た 。 ま た 、 研 究 会 で 福 本 さ ん の 学 位 論 文 の お 仕 事 で あ っ た 振 動 に よ っ て 誘 起 さ れ る ダ イ ヤ ル ゲ ー ジ 測 定 誤 差 の 克 服 法 の お 話 を 聞 か せ て い た だ い た り 、 佐 々 木 さ ん に 試 験 装 置 の 修 理 法 等 を マ ン ツ ー マ ン で 指 導 戴 い た こ と も 大 変 に 役 に 立 っ て い る 。 さ ら に 、 佐 々 木 さ ん に 欧 文 誌 の 手 ほ ど き を 受 け た こ と が 、 筆 者 の 投 稿 論 文 の ほ と ん ど が 国 際 誌 と な っ た 要 因 と な っ て い る 。 疲 労 試 験 施 設 に つ い て も 、 計 画 当 初 は オ ー プ ン ル ー プ の 制 御 機 構 し か な い 大 形 油 圧 試 験 機 が 計 画 さ れ て い た が 、 丁 度 ク ロ ー ズ ド ル ー プ の 制 御 機 構 で あ る サ ー ボ 油 圧 試 験 機 が 考 え ら れ だ し た 時 期 で 、 制 御 に 対 し て 造 詣 の 深 い お 二 人 の 提 案 で 、 当 時 ほ と ん ど 製 造 さ れ て い な か っ た こ れ ら の 装 置 を 日 本 で 先 駆 け て 設 置 出 来 た こ と が 、 こ れ か ら 述 べ る 疲 労 デ ー タ シ ー ト 作 成 計 画 を 成 功 さ せ た 基 礎 と な っ て い る 。 さ ら に 、 試 験 設 備 の 整 備 中 に 設 計 し た よ う に 動 作 し な い 原 因 を 、 工 場 に 出 向 い て 電 子 回 路 等 の 動 作 原 理 に 遡 っ て 説 明 を 受 け た こ と が き っ か け と な り 、 O P ア ン プ 等 を 使 い こ な せ る よ う に な っ た 。 こ れ に よ り 研 究 目 的 に 適 し た 制 御 系 ・ 測 定 回 路 を 後 日 自 作 で き る 様 に な り 、 一 歩 先 ん ず る 研 究 を 行 う こ と も 出 来 た き っ か け と な っ た 。 こ の よ う に 、 あ る 意 味 で 回 り 道 す る こ と が か え っ て 研 究 手 段 の 向 上 に 役 立 つ と い う 教 訓 は 貴 重 な も の で あ る 。 疲 労 試 験 棟 、 設 備 の 整 備 の 実 行 に 当 っ て は 退 職 さ れ た 鎌 倉 さ ん が 大 い に 活 躍 さ れ 、 試 験 用 治 工 具 等 の 製 作 も 器 用 に こ な さ れ 、 試 験 進 行 に 寄 与 さ れ た 。 昭 和 四 十 四 年 以 降 、 金 沢 室 長 、 二 瓶 室 長 、 西 島 部 長 、 増 田 室 長 、 松 岡 室 長 、 山 口 室 長 、 田 中 主 任 研 究 官 ( 現 長 岡 科 学 技 術 大 学 教 授 ) や 研 究 員 の 方 々 が 続 々 と 入 所 ま た は 移 籍 さ れ 、 総 勢 四 十 四 人 が 故 吉 田 進 科 学 研 究 官 ( 当 時 疲 れ 試 験 部 長 ) の 下 で 試 験 研 究 を 活 発 に 推 進 す る こ と と な っ た 。 し か し 、 初 期 の 成 果 は プ リ デ ー タ シ ー ト と し て Trans . N R IM に 掲 載 す る に 留 ま っ た 。 昭 和 五 十 年 に 疲 れ デ ー タ シ ー ト 懇 談 会 が 疲 労 に 造 詣 の 深 い 学 会 、 協 会 、 産 業 界 並 び に 所 内 の 方 々 を メ ン バ ー と し て 金 材 技 研 に 設 置 さ れ 、 金 材 技 研 疲 れ デ ー タ シ ー ト 計 画 の 方 向 付 け を 行 う こ と と な っ た 。 そ し て 、 そ の 下 部 組 織 と し て 検 討 会 が 設 け ら れ 、 企 業 の 疲 労 の エ キ ス パ ー ト と 疲 労 試 験 担 当 者 が 試 験 計 画 の 実 施 に 関 わ る 詳 細 を 検 討 し つ つ 進 め る 体 制 が 出 来 上 が っ た 。 検 討 会 は 常 温 ・溶 接 ・ 高 温 の 三 つ の 分 科 会 に 分 か れ 、 ソ フ ト の み な ら ず 、 ハ ー ド の 面 で も 企 業 に 協 力 戴 く こ と と な り 、 大 変 有 難 い 体 制 で あ っ た 。 こ の 疲 労 デ ー タ シ ー ト 懇 談 会 は 、 昭 和 六 十 三 年 に は 材 料 強 度 デ ー タ シ ー ト 懇 談 会 に 改 組 さ れ 、 ク リ ー プ デ ー タ シ ー ト も 包 含 す る も の と な っ た 。 そ の 後 、 金 尾 科 学 研 究 官 ( 第 二 代 疲 れ 試 験 部 長 ) が 着 任 さ れ 、 昭 和 五 十 三 年 以 降 疲 れ デ ー タ シ ー ト の 出 版 が 毎 年 数 冊 ず つ 継 続 す る こ と と な っ た 。 な お 、 出 版 第 一 年 に は 、 留 学 中 の ネ イ テ ィ ブ ス ピ ー カ ー に 英 文 を 見 て も ら っ て 和 製 英 語 と な ら な い よ う 気 を 配 っ た 。 ま た 、 昭 和 五 十 六 年 以 降 に は 、 疲 労 デ ー タ シ ー ト 資 料 を 出 版 し た 。 こ れ は 、 生 デ ー タ の み を 掲 載 す る デ ー タ シ ー ト に 対 し 、 デ ー タ を 色 々 な 切 口 か ら 眺 め 、 使 用 の 便 を そ の 時 点 で 最 も 効 果 的 と 考 え る 様 に 色 付 け し た も の で 、 和 文 で 執 筆 し た 。 昭 和 五 十 八 年 に 西 島 さ ん が 部 長 に 昇 任 さ れ た 折 に は 、 既 に 退 官 な さ っ て お ら れ た 吉 田 さ ん の お 宅 へ 数 名 で ご 報 告 に 伺 っ た 。 疲 労 デ ー タ シ ー ト の 内 容 は 、 初 期 に は 疲 労 寿 命 特 性 と し て 応 力 振 幅 と 破 断 寿 命 と の 関 係 を 示 す も の の み で あ っ た が 、 漸 次 新 し い 疲 労 特 性 を 加 え る こ と が 出 来 た 。 す な わ ち 、 疲 労 き 裂 伝 ぱ 特 性 と し て 応 力 拡 大 係 数 と 疲 労 き 裂 伝 ぱ 速 度 の 関 係 を 、 繰 返 し 応 力 ― ひ ず み 特 性 と し て 漸 増 漸 減 ひ ず み 制 御 に よ る 試 験 結 果 を 、 発 電 プ ラ ン ト の 機 動 停 止 に 伴 う 波 形 効 果 を 示 す 時 間 依 存 形 低 サ イ ク ル 高 温 疲 労 特 性 、 表 面 の 窒 化 ・ 浸 炭 と い う 熱 処 理 材 の 疲 労 特 性 を 加 え る こ と と な っ た 。 こ の よ う な 新 規 性 を 取 り 入 れ る に 当 っ て は 、 部 内 の 議 論 が 白 熱 し 、 あ る 時 は 新 規 性 を 見 送 り 、 数 年 後 に 日 の 目 を 見 る と い う よ う な こ と も 行 わ れ た 。 こ れ は 、 デ ー タ シ ー ト の 性 格 上 、 充 分 に 成 熟 し た 特 性 を 供 給 す る 事 を 重 ん じ た か ら で あ る 。 一 方 、 研 究 者 と し て は 、 関 連 す る 研 究 と し て 先 行 す る 課 題 を 思 う 存 分 追 求 す る こ と が 許 さ れ た こ と を 意 味 し て い る 。 そ し て 、 永 年 た ず さ わ っ て き た 疲 労 デ ー タ シ ー ト 作 製 150トン疲労試験機 プ ロ ジ ェ ク ト は 本 年 ( 平 成 六 年 度 ) を も っ て 終 了 し た と い う こ と に な り ま し た が 、 現 在 ま で に 出 稿 し た 疲 労 デ ー タ シ ー ト は 八 十 四 冊 、 疲 労 デ ー タ シ ー ト 資 料 は 七 冊 に 達 し 、 残 務 整 理 と し て 今 後 二 年 間 に 七 冊 の 資 料 を 予 定 し て い る 。 ま た 、 関 連 し て 行 わ れ た 研 究 で 発 表 さ れ た 論 文 は 、 内 外 を あ わ せ 五 年 間 当 り 八 十 件 程 度 と 活 発 で あ っ た 。 な お 、 本 講 で 「疲 れ デ ー タ シ ー ト 」 と 「 疲 労 デ ー タ シ ー ト 」 の 混 用 が 見 ら れ る の は 、 学 術 用 語 の 変 遷 に 従 っ て 疲 れ と 疲 労 が 替 わ っ た こ と に よ る も の で あ る 。 ま た 、 実 働 部 隊 の 組 織 は 、 以 下 の 変 遷 を た ど っ た 。 す な わ ち 、 昭 和 四 十 六 年 ま で は 材 料 試 験 部 、 四 十 七 年 に 材 料 試 験 部 が ク リ ー プ と 疲 れ に 分 離 し て 疲 れ 試 験 部 に 、 昭 和 六 十 三 年 以 降 は 損 傷 機 構 研 究 部 、 環 境 性 能 研 究 部 の 二 部 に ま た が っ て 疲 労 デ ー タ シ ー ト 作 成 業 務 が 遂 行 さ れ て き た 。 末 筆 と な り ま す が 、 長 年 の 本 プ ロ ジ ェ ク ト の 遂 行 に 関 し て ご 尽 力 戴 い た 方 々 に 深 甚 な る 謝 意 を 表 し ま す 。 ( 環 境 性 能 研 究 部 ) ド ・ ハ ー ス‐ フ ァ ン ・ ア ル フ ェ ン 効 果 測 定 装 置 青 木 晴 善 ド ・ ハ ー ス― フ ァ ン ・ ア ル フ ェ ン ( d H v A ) 効 果 測 定 装 置 ― ― こ の 装 置 は こ の 稿 を お 読 み の 方 々 の 多 く に は 馴 染 み の な い 装 置 か も 知 れ な い が 、 金 属 中 の 電 子 の 振 舞 い を 研 究 す る た め の 装 置 で あ る 。 電 子 状 態 や 電 子 に 由 来 す る 電 気 ・ 磁 気 的 性 質 に 関 す る い わ ゆ る 電 子 物 性 に 関 す る 研 究 の 象 徴 的 な 装 置 で あ る 。 こ の 装 置 の た ど っ た 運 命 は 金 材 研 の 研 究 の 動 向 の 歴 史 で あ り 、 国 立 研 究 所 の 研 究 を 取 り 巻 く 環 境 の 変 化 の 歴 史 で も あ っ た 。 こ こ で は 、 こ の 装 置 に 関 わ っ た 人 間 の 一 人 か ら 見 た 目 黒 の 金 材 研 で の 研 究 の 歴 史 を 振 り 返 っ て み た い 。 私 は 実 体 験 と し て は よ く 知 ら な い の だ が 、 一 九 五 〇 年 代 か ら 六 〇 年 代 に か け た 時 代 は 日 本 で も 基 礎 研 究 が も て は や さ れ た 時 代 で あ っ た 。 民 間 で も 中 央 研 究 所 が 次 々 設 立 さ れ 、 ま た 、 物 性 物 理 の 分 野 で も 、 例 え ば 半 導 体 物 理 や 超 伝 導 な ど に 象 徴 さ れ る よ う に 、 量 子 力 学 の 応 用 が 次 々 と 花 開 い た 時 代 で あ っ た よ う に 思 う 。 し か し 、 基 礎 研 究 ブ ー ム は 表 面 的 な も の で 、 文 化 的 に 根 付 い た も の で は な く 、 日 本 の 高 度 成 長 期 が 次 第 に 終 わ り 始 め る と 雰 囲 気 は 一 変 す る 。 私 の 入 所 し た 一 九 七 〇 年 の 初 め は 国 立 研 究 所 の 研 究 が 応 用 研 究 に 大 き く 傾 斜 し て い っ た 時 代 で も あ り 、 特 に 金 材 研 に お い て は そ の 傾 向 が 強 か っ た よ う に 思 う 。 大 学 が 基 礎 研 究 、 国 立 研 究 所 が 応 用 研 究 、 企 業 が 開 発 研 究 と 便 宜 的 に 分 類 さ れ た 時 代 で も あ っ た 。 研 究 内 容 に お い て も 、 電 子 的 な 材 料 研 究 よ り も 構 造 材 料 研 究 が 主 体 で あ っ た 時 代 で も あ っ た 。 所 内 の あ ち こ ち に は 一 九 六 〇 年 代 に 導 入 し た 、 当 時 の 最 新 鋭 と 思 わ れ る 電 子 物 性 を 測 定 す る 装 置 、 例 え ば 何 台 か の 常 伝 導 磁 石 と そ れ に 付 随 す る 磁 性 の 各 種 の 測 定 装 置 、 N M R 、 E S R 、 各 種 の 低 温 機 器 、 真 空 装 置 等 が た く さ ん 残 っ て い た が 、 そ れ ら の 装 置 は 更 新 さ れ も せ ず 、 確 実 に 老 朽 化 し つ つ あ っ た 。 一 方 で は 物 性 物 理 学 上 で も 、 一 九 六 〇 年 代 ま で に 生 ま れ た 成 果 を 越 え る 物 理 は 余 り 生 ま れ て お ら ず 、 物 理 系 の 雑 誌 に 「 も う 固 体 物 理 に は 余 り や る こ と が な い 」 と い う よ う な こ と を 書 く 先 生 が い ら っ し ゃ っ た こ と を 記 憶 し て い る 。 こ の 様 な 時 代 に お い て 導 入 さ れ た d H v A 装 置 は 異 色 の 存 在 で あ っ た の で は な い か と 思 う 。 当 時 、 金 材 研 に は 吉 川 明 静 さ ん を 室 長 と し て 、 電 子 論 を 研 究 す る グ ル ー プ が 形 成 さ れ た ば か り で あ っ た 。 吉 川 さ ん を 初 め と し て 室 員 は 三 十 代 中 ば の 人 間 ば か り で あ り 、 大 変 皆 さ ん 意 気 盛 ん で あ っ た 。 そ の 中 で 小 川 恵 一 さ ん が 当 時 の 研 究 設 備 整 備 費 を い た だ い て 、 d H v A 装 置 を 組 み 立 て よ う と し て い た 。 私 は 小 川 さ ん に つ い て 金 材 研 で の 研 究 生 活 を ス タ — ト し 、 d H v A 装 置 の 組 立 か ら 始 め る こ と に な る 。 当 時 の 金 材 研 に お い て は 、 電 子 物 性 の 研 究 は 必 ず し も 充 分 な バ ッ ク グ ラ ウ ン ド が あ っ た わ け で は な い 。 基 礎 研 究 部 門 と し て 金 属 物 理 研 究 部 が あ り 、 能 勢 さ ん を 室 長 と す る 金 属 物 理 第 一 研 究 室 が 磁 性 と 超 伝 導 の 研 究 を し て い る の み で あ っ た 。 ま た 、 材 料 的 な 研 究 部 門 と し て 、 電 磁 気 材 料 研 究 部 が あ っ た だ け で あ る 。 私 自 身 は 大 学 を 出 た ば か り で あ り 、 小 川 さ ん も 電 子 物 性 を 専 門 に や っ て こ ら れ た わ け で は な か っ た 。 こ の 装 置 が 特 に 関 係 す る 低 温 物 理 の バ ッ ク グ ラ ウ ン ド も な く 、 ま っ た く 、 文 献 だ け の 知 識 で 今 ま で と は 畑 違 い の 分 野 の 研 究 に 飛 び 込 ん で い っ た 小 川 さ ん の バ イ タ リ テ ィ に 感 心 す る の み で あ る 。 当 時 の 2 4 号 庁 舎 の 共 通 炉 室 の 一 角 に 場 所 を い た だ き 、 囲 い を し 空 調 を 設 置 し た 。 い ま 筑 波 の 研 究 所 の 環 境 か ら は 想 像 で き な い こ と で あ る が 、 当 時 空 調 が し て あ る 場 所 は わ ず か で あ り 、 徹 夜 の 実 験 に は 大 い に 助 か っ た 。 し か し 、 囲 い の 中 に は ス チ ー ム の 本 管 や 下 水 の 本 管 が む き 出 し で 走 っ て お り 、 ま た 、 囲 い の 片 隅 に は マ ン ホ ー ル が あ り 、 し ば し ば 、 ス チ ー ム 、 下 水 、 ガ ス も れ 、 悪 臭 に 悩 ま さ れ た 。 今 か ら 考 え る と 多 少 蘭 学 事 始 め の 感 も あ っ た が 、 な ん と か 装 置 は 順 調 に 動 き 始 め 、 デ ー タ が 出 る よ う に な っ た 。 し か し 、 そ の 後 の 時 代 は か な ら ず し も こ の 装 置 に と っ て 幸 福 な 時 代 で は な か っ た 。 そ の 理 由 は こ の 装 置 が 持 っ て い る 性 格 の た め で あ り 、 ま た 、 当 時 の 国 立 研 究 所 を 取 り 巻 く 風 潮 や 金 材 研 の 研 究 動 向 の た め で あ る 。 応 用 や 開 発 研 究 と 一 般 的 に 言 わ れ て い る 材 料 研 究 は 、 ど れ だ け 強 い 、 あ る い は 転 移 温 度 が ど れ だ け 高 い と い っ た 定 量 的 な 概 念 に 馴 染 み や す く 、 数 値 目 標 を た て や す い 。 一 方 、 い わ ゆ る 基 礎 研 究 と 呼 ば れ る も の は 定 量 的 な 数 値 目 標 を 更 新 す る こ と も 目 的 の 一 つ で あ る が 、 真 に 評 価 さ れ る 研 究 は い ま ま で に な い 概 念 や 原 理 の 創 出 で あ る 。 概 念 や 原 理 の 創 出 が よ り 革 新 的 で あ れ ば あ る ほ ど 、 よ り 広 い 分 野 で 、 よ り 深 く 影 響 を 与 え る こ と が で き る 。 そ の た め 、 し ば し ば 基 礎 研 究 は 具 体 的 に 定 量 的 な 数 値 目 標 を 持 っ た 開 発 研 究 に は 直 接 結 び 付 か な い こ と が あ る 。 工 学 的 な 基 礎 研 究 よ り も 理 学 的 な 基 礎 研 究 に こ の 傾 向 が 強 い 。こ の 理 学 的 な 基 礎 研 究 と 材 料 開 発 研 究 の 関 係 は 、 極 端 な 例 か も し れ な い が 、 例 え ば 量 子 力 学 の 形 成 過 程 に お け る 研 究 を 考 え て み れ ば わ か る 。 こ れ ら は 具 体 的 に 何 か の 開 発 に 直 接 結 び 付 く も の で は な か っ た が 、 現 代 の 材 料 研 究 は 量 子 力 学 を 基 と し た 原 理 や 概 念 、 物 質 観 な し に は で き な い 。 d H v A 効 果 測 定 装 置 は 直 接 材 料 や 物 質 の 物 性 や 特 性 を 測 る 装 置 で は な く 、 電 子 状 態 を 測 る 装 置 で あ り 、 い わ ゆ る 基 礎 研 究 の な か で も 理 学 的 な 基 礎 研 究 を 目 的 と す る も の で あ る 。 電 子 状 態 と 電 子 的 物 性 を 結 び つ け る こ と は 一 段 階 お か な け れ ば な ら ず 、 特 に 当 時 の 研 究 の 主 流 で あ っ た 材 料 の 機 械 的 性 質 と 電 子 状 態 を 結 び 付 け る の は ( 当 時 も 現 在 で も ) 大 変 困 難 で あ る 。 構 造 材 料 の 応 用 研 究 が 主 流 で あ っ た 時 代 に お い て は 、 常 に 具 体 的 な 材 料 開 発 と 結 び 付 け な け れ ば な ら ず 、 d H v A 装 置 を 用 い た 研 究 は い わ ゆ る 目 的 基 礎 研 究 と し て も 、 原 理 や 概 念 の 創 出 す る 理 学 的 な 基 礎 研 究 と し て も 中 途 半 端 な 研 究 に な っ た こ と は い な め な い 。 d H v A 装 置 は 小 川 さ ん の 努 力 で 七 年 後 に 別 な 形 で 更 新 さ れ る が 、 こ の 様 な タ イ プ の 研 究 は も は や 続 け て 行 く こ と が 次 第 に 困 難 と な る 。 そ れ と 同 時 に 金 材 研 の そ の 他 の 電 子 物 性 に 関 わ る 研 究 投 資 や 新 鋭 の 装 置 の 導 入 が 行 わ れ な く な っ た 。 装 置 ば か り で は な く 、 人 的 な 投 資 の 面 で も こ の 様 な 方 面 の 人 材 の 採 用 は 十 年 以 上 に わ た っ て 行 わ れ な く な る 。 そ の 間 に も 、 時 代 が 確 実 に 動 き つ つ あ っ た 。 物 性 物 理 の 面 で 言 え ば 一 九 七 〇 年 代 は 着 実 な 進 歩 を し た が 大 き な 革 新 は な い 時 代 で あ っ た 。 一 九 八 〇 年 代 を 前 後 と し て 事 情 が 再 び 代 わ り 始 め る 。 新 し い 物 理 の 展 開 は 新 物 質 の 開 拓 や 発 見 に 負 う と こ ろ が 大 き い 。 そ れ ら は 半 導 体 の 二 次 元 電 子 系 、 超 格 子 、 低 次 元 物 質 、 有 機 超 伝 導 体 、 重 い 電 子 系 、 メ ゾ ス コ ピ ッ ク 系 な ど で あ り 、 高 温 超 伝 導 体 の 発 見 に よ る イ ン パ ク ト は 記 憶 に 新 し い と こ ろ で あ る 。 そ れ と 時 を 同 じ く し て 、 国 立 研 究 所 を 取 り 巻 く 時 代 的 な 雰 囲 気 も 変 わ る 。 日 本 が 世 界 に 冠 た る 経 済 大 国 に な り 、 直 接 製 品 開 発 に 結 び 付 か な い 研 究 分 野 で も 国 際 的 貢 献 が 求 め ら れ る よ う に な り 、 基 礎 研 究 の ブ ー ム が 再 び や っ て き た の で あ る 。 金 材 研 に お い て も 一 九 八 〇 年 代 の 半 ば か ら 装 置 の 面 で も 、 人 材 の 面 で も い わ ゆ る 基 礎 研 究 に 関 す る 投 資 が 再 び 始 ま る 。 金 材 研 に は 電 子 物 性 に 関 す る 装 置 が 再 び あ ふ れ は じ め 、 一 昔 前 な ら 基 礎 物 性 の 研 究 装 置 で あ っ た 装 置 が 材 料 の 研 究 装 置 と し て 所 内 各 所 に 見 ら れ る よ う に な っ た 。d H v A 装 置 も 面 目 を 一 新 し て 復 活 す る 。 研 究 の 評 価 は そ れ が も た ら す イ ン パ ク ト の 大 き さ に よ る べ き も の で あ り 、 基 礎 、 応 用 と い っ た 研 究 の 性 格 に よ る も の で は な い は ず で あ る 。 し か し 、 国 立 研 究 所 あ る い は 金 材 研 で は 、 時 代 に よ っ て 研 究 の 性 格 に よ っ て 気 分 的 に や り や す さ が 違 っ て い た こ と は 確 か で あ る 。 基 礎 研 究 、 特 に 理 学 的 な 基 礎 研 究 が 欧 米 諸 国 に お い て は 深 く 文 化 的 な 土 壌 と 結 び 付 い て い る の に 対 し て 、 日 本 の 場 合 は 底 が 浅 く 、 基 礎 研 究 は 時 代 的 な 影 響 を 受 け や す い 。 そ の 設 立 目 的 か ら し か た が な い こ と で あ る か も し れ な い が 、 国 立 研 究 所 に お い て は 特 に そ の 傾 向 が 強 い 。 時 代 の 雰 囲 気 に 余 り に 忠 実 で あ り す ぎ る と 、 基 礎 、 応 用 を 問 わ ず 研 究 の 大 き な 流 れ に 遅 れ を と る 可 能 性 が あ る 。 見 方 を か え れ ば 、 現 在 、 基 礎 研 究 が も て は や さ れ て い る の は 日 本 が 豊 か で 平 和 で 幸 せ な 時 代 に あ る 証 拠 で も あ る 。 装 置 は 研 究 の 動 向 や 研 究 所 の 雰 囲 気 を 写 す 鏡 で あ る 。 二 十 年 、 三 十 年 後 の 金 材 研 に お い て ど の よ う な 種 類 の 装 置 が あ る の だ ろ う か 。 日 本 の 文 化 的 な 土 壌 が 変 化 す る か ど う か は わ か ら な い が 、 少 な く と も 今 の よ う に 豊 か で 平 和 な 時 代 が 続 く こ と を 祈 る の み で あ る 。 ( 強 碰 場 ス テ ー シ ョ ン ) 研 究 そ の も の で は な い け れ ど 大 プ ロ 原 子 力 製 鉄 を 担 当 し て ― 初 仕 事 は 研 究 組 合 づ く り か ら― 小 池 喜 三 郎 私 が 金 材 技 研 に お 世 話 に な っ た 三 十 有 余 年 間 で 最 も 大 き な 出 来 事 は 、 昭 和 四 十 八 年 三 月 か ら 五 十 年 十 月 ま で の 約 三 年 間 、 通 産 省 の 工 業 技 術 院 に 併 任 し て 「 原 子 力 製 鉄 技 術 」 の プ ロ ジ ェ ク ト を 創 立 準 備 の 段 階 か ら 担 当 し 、 発 足 か ら 実 行 ま で 、 い さ さ か で も 貢 献 し た こ と で あ り ま す 。 最 近 で は 、 産 学 官 の 研 究 交 流 が 盛 ん に 実 施 さ れ 、 研 究 者 が 他 機 関 の 研 究 所 で 研 究 活 動 す る こ と は 珍 し い こ と で は あ り ま せ ん が 、 昭 和 四 十 八 年 頃 に は 研 究 者 が 他 省 庁 へ 出 向 き 研 究 や 行 政 業 務 を 担 当 す る こ と は 希 で 、 金 材 技 研 で は 私 が 最 初 の こ と と 記 憶 し て お り ま す 。 当 時 、 私 は 研 究 の 傍 ら 企 画 課 に 併 任 し て 筑 波 移 転 計 画 を 担 当 し て お り ま し た 。 そ の た め 、 河 田 所 長 と は お 話 し す る 機 会 が 多 く あ り ま し た 。 あ る 日 、 呼 出 を 受 け た 時 に は 嫌 な 予 感 が し ま し た 。 案 の 定 、 何 処 か へ 行 け と の こ と で 、 工 技 院 に て 原 子 力 製 鉄 を 担 当 す る よ う に 命 じ ら れ ま し た 。 そ し て 、 今 、 組 合 を 作 る こ と で 大 変 な 時 期 な の で す ぐ 行 く よ う に と の こ と で し た 。 私 は 、 工 技 院 と は 、 大 型 プ ロ ジ ェ ク ト と は 、 原 子 力 製 鉄 と は 、 ど ん な も の な の か わ か り ま せ ん で し た 。 更 に 理 解 で き な か っ た こ と は 、 こ の プ ロ ジ ェ ク ト と 組 合 の 関 連 で し た 。 所 長 は 組 合 作 り と い わ れ ま し た が 、 通 産 省 は 労 働 組 合 活 動 の 激 し い 所 と 聞 い て い ま し た の で 、 原 子 力 関 連 プ ロ ジ ェ ク ト 発 足 に 伴 い 組 合 対 策 を 担 当 せ よ 、 ぐ ら い に 考 え て お り ま し た 。 工 技 院 大 プ ロ の 組 織 は 、 一 つ の プ ロ ジ ェ ク ト に 課 長 ク ラ ス の 研 究 開 発 官 と 専 門 職 、 そ の 二 人 を 補 佐 す る 関 係 国 立 試 験 研 究 所 の 主 任 研 究 官 の 三 名 で 普 通 構 成 さ れ ま す 。 任 期 は 原 則 と し て 一 年 間 で す が 、 ど こ か の 国 の 総 理 の よ う に 、 一 年 間 に 開 発 官 が 四 人 も 替 わ っ た こ と が あ り ま し た 。 工 技 院 で は 一 年 以 上 も 同 じ ポ ス ト を 続 け る と 大 ベ テ ラ ン と い わ れ て お り ま し た 。 原 子 力 製 鉄 プ ロ ジ ェ ク ト の 初 代 開 発 官 に 島 田 仁 ( 現 日 本 鉄 鋼 協 会 専 務 理 事 ) さ ん が 内 定 し て 活 動 を 開 始 し 、 過 去 に お け る 全 プ ロ ジ ェ ク ト の 評 価 を 行 い 、 問 題 点 の 整 理 ・ 分 析 を 行 い ま し た 。 そ の 結 果 、 従 来 の 官 主 導 方 式 よ り 参 加 企 業 か ら 構 成 さ れ た 技 術 研 究 組 合 に よ る 組 合 主 導 方 式 の 方 が よ く 、 プ ロ ジ ェ ク ト 成 功 の 鍵 と 判 断 さ れ ま し た 。プ ロ ジ ェ ク ト は 七 ヶ 年 と 長 期 に わ た る こ と に な っ て い た た め 、 研 究 開 発 の 継 続 性 を 保 ち つ つ 、 研 究 管 理 、 運 営 等 を 円 滑 に 進 め る た め に は 、 官 の 担 当 者 が 速 い テ ン ポ で 替 わ る 現 行 の 役 所 体 制 で は 、 一 貫 し た 指 導 体 制 下 で の プ ロ ジ ェ ク ト の 実 施 は で き な い と 思 わ れ ま し た 。 こ の こ と と 、 企 業 間 の 技 術 の 一 体 化 、 研 究 開 発 全 体 に 対 す る 責 任 の 所 在 の 明 確 化 な ど が 理 由 と な っ て 、 技 術 研 究 組 合 方 式 が と ら れ ま し た 。 組 合 方 式 で す と 、 税 制 面 で の 優 遇 、 研 究 成 果 の 平 等 利 用 、 プ ロ ジ ェ ク ト 終 了 と 同 時 に 組 合 が 解 散 す る 合 理 性 な ど の 利 点 が あ り ま す 。 さ ら に 隠 れ た メ リ ッ ト と し て 、 役 人 の 二 、 三 人 が 天 下 り で き る こ と が 挙 げ ら れ ま す 。 研 究 組 合 は 、 通 産 大 臣 の 認 可 に 基 づ く 民 法 、 鉱 工 業 技 術 研 究 組 合 法 に 則 っ て お り 、 こ の 大 プ ロ を 始 め 、 後 に 実 施 さ れ た 次 世 代 等 の プ ロ ジ ェ ク ト の ほ と ん ど が 研 究 組 合 方 式 を 採 用 し て い ま す 。 私 が お 手 伝 い し た 原 子 力 製 鉄 プ ロ ジ ェ ク ト が 組 合 方 式 を 導 入 し た 初 め て の ケ ー ス で し た の で 、 手 続 き 及 び 交 渉 に 多 く の 困 難 が あ り ま し た 。 研 究 組 合 作 り の た め 、 通 産 省 及 び 東 京 通 産 局 の 関 係 者 と の 連 日 の 協 議 か ら 私 の 工 技 院 で の 仕 事 が 始 ま り ま し た 。 そ し て 、 プ ロ ジ ェ ク ト の 基 本 計 画 、 参 加 企 業 の 公 募 、 ヒ ア リ ン グ 、 委 員 会 の 設 置 、 プ レ ス 関 係 者 と の 懇 談 、 大 蔵 省 と 協 議 等 々 の 業 務 が 、 昼 夜 を 徹 し て 続 き ま し た 。 金 材 技 研 で の 業 務 と の 違 い に 、 私 は 島 田 さ ん の 後 ろ で た だ お ろ お ろ す る だ け の 毎 日 で し た 。 組 合 作 り の 最 大 の 困 難 は 、 前 例 が な い こ と と 手 続 き に 時 間 が か か り す ぎ る こ と で し た 。 プ ロ ジ ェ ク ト は 予 算 化 さ れ 、 課 題 別 の 配 分 も 決 ま っ て い ま し た が 、 組 合 が で き て い な い た め 契 約 行 為 が で き ず 、 木 下 亨 通 産 省 技 術 審 議 官 ( 現 日 本 鉄 鋼 協 会 社 友 ) 及 び 佐 藤 眞 住 製 鉄 課 長 ( 現 神 戸 製 鋼 所 ) の ご 尽 力 に よ っ て 、 原 子 力 製 鉄 技 術 研 究 組 合 の 設 立 が 昭 和 四 十 八 年 六 月 末 に や っ と 認 め ら れ ま し た 。 そ し て 大 プ ロ と し て の 原 子 力 製 鉄 プ ロ ジ ェ ク ト が 翌 月 の 七 月 に 発 足 す る こ と に な り ま し た 。 そ の 後 、 半 年 で 島 田 開 発 官 が 通 産 省 製 鉄 課 へ 、 組 合 設 立 時 に 就 任 し て い た 三 浦 専 門 職 は 一 年 後 に 科 技 庁 原 子 力 局 に 戻 り ま し た 。 設 立 後 間 も な く 、 研 究 組 合 方 式 そ の も の に つ い て 、 他 の 大 型 プ ロ ジ ェ ク ト を 目 指 す 工 技 院 及 び 企 業 関 係 者 か ら 大 変 注 目 さ れ る よ う に な り ま し た 。 私 は 唯 一 人 の 組 合 作 り の 経 験 者 と し て 、 多 く の 方 々 か ら 研 究 組 合 方 式 の ノ ウ ハ ウ の 相 談 な ど を 受 け 重 宝 が ら れ ま し た 。 三 年 間 で の 工 技 院 生 活 は 、 分 か ら な い こ と ば か り の 業 務 の た め か 、 大 変 辛 い こ と の 方 が 多 く あ っ た と 思 い ま す 。 で も 、 多 く の 方 々 と 出 会 う こ と に よ っ て 得 ら れ た 財 産 ( 退 官 時 の ざ い け ん に 書 き ま し た 人 財 産 で す ) の 大 き か っ た こ と は 、 私 に と っ て 幸 い な こ と と 思 っ て お り ま す 。 最 後 に な り ま す が 、 金 材 技 研 で 原 子 力 製 鉄 を 担 当 さ れ た 依 田 さ ん 、 渡 辺 亨 さ ん 、 新 井 さ ん 、 岡 田 雅 年 さ ん 、 田 辺 さ ん 及 び 関 係 者 の 方 々 に 、 報 わ れ る こ と の 少 な い プ ロ ジ ェ ク ト に 一 生 懸 命 ご 努 力 を 傾 注 し て 頂 き 、 深 く 感 謝 い た し ま す 。 さ ら に 、 亡 き 渡 辺 亮 治 さ ん 並 び に 吉 田 平 太 郎 さ ん の ご 冥 福 を 心 か ら お 祈 り 申 し 上 げ ま す 。 ( 材 料 設 計 研 究 部 S 3 5 ・4 ・1 6 ~H 5 ・ 3 ・3 1 ) 原 子 力 行 政 官 と し て 本 庁 へ 出 向 し て 永 田 徳 雄 私 が 科 学 技 術 庁 原 子 力 局 の 安 全 審 査 管 理 官 と し て 出 向 し た の は 昭 和 四 十 九 年 の こ と で す 。 こ れ が 金 材 技 研 の 研 究 職 か ら 行 政 職 に 出 向 し た 第 一 号 で 、 本 庁 と の 人 事 交 流 の 始 ま り と い う こ と に な る そ う で す 。 今 で こ そ 人 事 交 流 は 日 常 的 に な り ま し た が 、 行 ( 一) 職 で の 出 向 は 例 が な い の で は な い で し ょ う か 。 僅 か な 期 間 で し た が 研 究 と は 異 な っ た 仕 事 を 経 験 し ま し た 。 出 向 の 話 が あ っ た の は 六 月 も 末 に 近 い 梅 雨 空 の 日 で し た 。 当 時 、 所 長 を 務 め て お ら れ た 河 田 先 生 に 呼 ば れ て 所 長 室 に 出 向 き ま す と 、 林 企 画 課 長 が 同 席 さ れ て お ら れ ま し た 。 お 二 人 か ら 、 昨 今 の 原 子 力 の 安 全 に 対 す る 社 会 ニ ー ズ の 高 ま り か ら 、 行 政 と し て 安 全 審 査 体 制 の 強 化 が 図 ら れ る こ と 、 こ の た め 、 科 学 技 術 庁 に 安 全 審 査 管 理 官 の ポ ス ト の 新 設 と 審 査 官 の 増 員 が 行 わ れ る こ と 、 技 術 関 係 の 担 当 者 の 補 強 を 図 る た め 金 材 技 研 に 人 を 求 め て 来 て い る こ と 、 管 理 官 は 本 庁 の 課 長 相 当 の ポ ス ト で あ る こ と 、 つ い て は 君 に 管 理 官 と し て 行 っ て も ら い た い 、 と い う こ と で し た 。 そ れ ま で 金 材 技 研 の 外 に 出 る こ と な ど 考 え た こ と も な く 、 何 か 研 究 上 の お 話 か そ れ と も お 叱 り か と 思 っ て い ま し た の で 、 大 い に 戸 惑 い ま し た 。 当 時 私 は 、 最 後 の 新 設 研 究 部 で あ る 原 子 炉 材 料 研 究 部 で 核 融 合 材 料 の 基 礎 研 究 を 担 当 し て い ま し た 。 研 究 を 中 断 す る こ と に 不 安 を 覚 え ま し た が 、 所 長 、 林 課 長 が 熱 心 に 説 か れ る の で あ る か ら 額 面 通 り に 受 け 止 め て も 決 し て 悪 く は な い の か も し れ な い 、 と 考 え 覚 悟 を 決 め ま し た 。 こ う し て 七 月 一 日 の 雨 模 様 の 日 、 科 学 技 術 庁 に 初 出 勤 し 、 原 子 力 局 原 子 炉 規 制 課 安 全 審 査 管 理 官 と 行 ( 一)2 等 級 の 辞 令 を 発 令 さ れ ま し た 。 後 日 、 庶 務 課 の 金 田 ( 福 井 ) さ ん か ら 金 材 技 研 の 退 職 餞 別 金 な る も の を 頂 戴 し た と き 、 ひ ょ っ と す る と こ の ま ま 戻 れ な く な る の で は な い か と の 思 い が よ ぎ っ た こ と を 思 い 出 し ま す 。 庁 内 を 挨 拶 回 り し て い る う ち に 福 永 原 子 力 局 次 長 か ら 「 原 子 力 局 は 激 務 だ ぞ 、 君 は え ら い 所 に 来 た な 」 と 言 わ れ 、 こ れ は 予 想 以 上 か と 戦 々 恐 々 と な り ま し た 。 案 の 定 、 二 ヵ 月 経 っ た 昭 和 四 十 九 年 九 月 一 日 、 原 子 力 船 「 む つ 」 の 強 行 出 航 と 放 射 線 漏 れ 事 件 が 起 こ り 、 連 日 の 国 会 と 現 地 の 対 応 で 大 童 な 行 政 官 の 修 羅 場 を 目 の 当 た り に し ま し た 。 原 子 炉 規 制 課 は 「 む つ 」 の 原 子 炉 の 安 全 規 制 と 検 査 を 行 う 立 場 に あ り ま し た の で 、 担 当 官 は 船 と と も に 二 ヵ 月 近 く も 漂 流 し 、 幹 部 も 連 日 国 会 に 呼 び 出 さ れ て い ま し た 。出 向 一 ヵ 月 後 、 電 気 磁 気 材 料 研 究 部 に お ら れ た 福 田 さ ん が 原 子 力 局 の 核 燃 料 規 制 課 に 転 出 し て 来 ら れ ま し た 。 ま だ 慣 れ な い 私 に は 、 か っ て 同 じ 研 究 部 に 在 籍 し て 気 心 の 知 れ た 仲 間 が 増 え た こ と に 大 変 心 強 さ を 感 じ ま し た 。 福 田 さ ん は 金 材 技 研 に 戻 る こ と な く 行 政 畑 を 歩 ま れ 、 さ ら に 電 力 中 央 研 究 所 に 出 ら れ ま し た が 、 そ の 後 も と も に 原 子 力 安 全 の 仕 事 に 係 わ っ た こ と か ら 深 い 付 き 合 い を い た だ き 、 公 私 と も に 非 常 に お 世 話 に な り ま し た 。 原 子 力 行 政 の イ ロ ハ も 知 ら な い 行 政 職 一 年 生 は 初 め の う ち は 若 い 課 員 に 比 べ て 行 政 感 覚 が 純 く 、 一 方 で 管 理 職 と し て の 責 任 は 一 人 前 に 負 わ さ れ て 右 往 左 往 し ま し た 。 順 応 性 は あ る 程 度 あ る と 確 信 し て い た 私 も 実 際 慣 れ る ま で に は 一 年 近 く か か り ま し た 。 行 政 官 は 一 ヵ 月 や そ こ ら で す ぐ に 仕 事 に 慣 れ 、 ま る で そ の 仕 事 の 長 年 の ベ テ ラ ン の よ う に 振 舞 う と い う の に で す 。 詰 ま る と こ ろ 行 政 感 覚 を 身 に 着 け る に は あ る 程 度 の 時 間 が 必 要 な ん だ と 自 ら を 慰 め ま し た 。 一 年 九 ヵ 月 の う ち 行 政 官 ら し い 顔 が 出 来 た の は わ ず か 一 年 足 ら ず し か な か っ た こ と に な り ま す 。 回 顧 録 に は や は り 失 敗 談 が つ き も の で し ょ う 。 小 さ な 失 敗 は 幾 つ も や ら か し ま し た が 、 と っ て お き の 失 敗 は 何 時 ま で も 忘 れ る こ と が で き ま せ ん 。 ご 承 知 の よ う に 行 政 庁 に は 多 く の 人 が 出 入 り し て お り 、 新 米 の 役 人 に は そ の 見 分 け が 付 き ま せ ん 。 ま し て や 役 人 と 同 じ よ う に 背 広 を 脱 ぎ 、 ワ イ シ ャ ツ 姿 で 部 屋 を 出 入 り さ れ る と 全 く 区 別 が 付 き ま せ ん 。 私 は 管 理 官 と し て 東 京 電 力 ( 株) の 柏 崎 刈 羽 原 子 力 発 電 所 一 号 炉 の 安 全 審 査 を 担 当 し て い ま し た の で 、 電 力 か ら 提 出 さ れ た い ろ い ろ な 資 料 が 手 元 に あ り ま し た 。 当 時 、 原 子 炉 が 建 設 さ れ る サ イ ト で は 大 掛 か り な 地 質 調 査 が 行 わ れ て い ま し た が 、 原 発 に 反 対 す る グ ル ー プ は 、 建 設 地 点 に 活 断 層 が あ り 原 子 炉 立 地 点 と し て 不 適 で あ る と 主 張 し て い ま し た 。 あ る 時 、 よ く 見 掛 け る 職 員 と お ぼ し き 男 が 課 内 に 入 っ て き て 、 柏 崎 の 地 質 の 資 料 が な い か と 辺 り を 見 回 し ま し た 。 私 の 回 り の 審 査 官 は 聞 こ え ぬ 振 り を し て い ま し た が 、 管 理 官 は そ の 時 私 一 人 で し た の で 同 じ 原 子 力 局 の 職 員 な の に 協 力 し て も よ い で は な い か と 考 え 、 丁 度 手 に 入 っ た ば か り の 地 質 調 査 に 関 す る 資 料 を そ の 男 に 手 渡 し ま し た 。 男 は 資 料 を 一 瞥 し 、 新 し い こ と を 見 て と っ て 満 足 げ に 部 屋 か ら 出 て い き ま し た 。 一 連 の 経 緯 を 見 て い た 近 く の 審 査 官 が 私 の 方 を 向 い て 言 い ま し た 。 「 永 田 管 理 官 、 今 の 人 を 知 っ て い ま す か 。 彼 は ○ ○ 新 聞 記 者 で す よ 。 資 料 を 渡 し て も い い の で す か 」 そ れ を 聞 い た 途 端 私 は 頭 の 中 が 真 白 に な り 、 課 内 は 大 騒 ぎ 。 課 長 補 佐 が 戻 っ て 来 て 部 屋 を 出 て 行 き ま し た 。 何 時 程 経 っ た で し ょ う か 、 課 長 補 佐 が 資 料 を 取 り 戻 し て 来 て く れ ま し た 。 マ ス コ ミ と し て は 喉 か ら 手 が 出 る ほ ど 欲 し い 資 料 で す 。 私 は こ の 時 ほ ど 行 政 官 の 実 力 の 程 を 思 い 知 ら さ れ た こ と は あ り ま せ ん 。 私 が 行 政 庁 に 出 向 し て 開 眼 し た こ と 、 そ れ は 世 の 中 は 人 と 人 と の 関 わ り で 成 り 立 っ て い る と い う こ と で す 。 当 然 と 言 え ば 当 然 の 話 で す が 、 私 に と っ て 出 向 し た こ と の 一 つ の 結 論 で し た 。 研 究 所 で は 物 言 わ ぬ 無 機 物 を 相 手 に 研 究 す る こ と が 仕 事 で あ り 、 一 日 中 人 と 関 わ ら ず と も 仕 事 は で き ま す が 、 行 政 職 に と っ て は 人 を 相 手 に し な け れ ば 仕 事 に な ら ず 、 他 人 と 交 渉 す る こ と が 重 要 に な り ま す 。 研 究 所 に い る と そ の よ う な こ と に 気 付 き ま せ ん が 、 役 所 の 中 に い る と 、 同 僚 、 隣 の 局 の 人 間 、 他 省 庁 の 役 人 、 外 部 の 人 間 等 多 く の 人 間 と の 接 触 が あ り ま す 。 少 し 大 袈 裟 で す が 、 こ れ が 世 の 中 の 活 動 の 主 体 だ と 悟 っ た の で す 。 出 向 に よ っ て 研 究 分 野 以 外 に も 多 く の 知 己 を 得 ま し た 。 本 庁 の み な ら ず 、 通 産 省 、 原 研 、 動 燃 等 か ら 出 向 さ れ て き た 方 々 と 今 で も 交 流 が 続 い て い ま す 。 そ の 後 原 子 炉 安 全 専 門 審 査 会 の 委 員 と し て 原 子 力 の 安 全 規 制 に 関 係 し て い る こ と も 与 か っ て い る か も し れ ま せ ん 。 か く て い つ し か 原 子 力 語 が 理 解 で き る よ う に な り 、 原 子 力 村 と 呼 ば れ る ギ ル ド の 一 員 に 加 え ら れ る よ う に な り ま し た 。 原 子 力 村 の 雰 囲 気 は 外 部 の 者 に 対 し て 温 か く ま た 寛 容 で し た 。 い ま も 原 子 力 村 の は し く れ を 穢 す こ と が で き て い る の も 、 行 政 出 向 第 一 号 の 栄 に 浴 し て 原 子 力 安 全 畑 に 首 を 突 っ 込 ん だ こ と が き っ か け に な っ て い る と 思 っ て い ま す 。 そ の よ う な 機 会 を 与 え て 下 さ っ た 河 田 先 生 及 び 林 さ ん の ご 指 導 は 私 の 越 し 方 の 軌 跡 の 上 で 大 き な 転 換 点 と な っ て い ま す 。 定 年 後 も 原 子 力 安 全 関 係 の 仕 事 に 従 事 し た い と 思 っ て お り ま し た と こ ろ 、 そ の 願 い を 叶 え る こ と が で き 、 僥 倖 を 嚙 み 締 め て い る 昨 今 で す 。 ( 第 5 研 究 グ ル ー プ S 3 2 ・4 ・1 ~4 9 ・ 6 ・3 0 5 1 ・ 4 ・1 ~ H 6 ・ 3 ・3 1 ) 環 境 庁 公 害 防 止 研 究 に 参 加 し て 牧 口 利 貞 製 造 工 業 で は 生 産 技 術 及 び 製 品 の 開 発 を 行 う と き に 、 そ の 評 価 の 物 指 と し て 次 の こ と が 考 え ら れ て い た 。 ( 一) 需 要 量 と 市 場 競 合 状 況 ( 二) 経 済 的 な イ ン パ ク ト ( 三) 企 業 の 体 質 に 合 う か ( 四) 国 民 の 福 祉 に 役 立 つ か こ れ ら の 四 条 件 を 満 足 さ せ る 生 産 方 式 や 新 製 品 の 開 発 が 盛 ん に 行 わ れ 、 わ が 国 は 経 済 的 発 展 を と げ て き た 。 こ れ が 所 謂 高 度 成 長 期 で あ る 。 と こ ろ が 前 記 ( 四) 項 に つ い て は プ ラ ス ・ イ ン パ ク ト だ け が 高 く 評 価 さ れ た た め 、 環 境 破 壊 、 公 害 、 作 業 環 境 の 悪 化 な ど が 社 会 問 題 と な っ た 。 こ れ は 企 業 や 研 究 者 が ( 四) 項 の 、 マ イ ナ ス ・ イ ン パ ク ト を 考 慮 し な か っ た た め で あ る 。 そ こ で 第 五 の 評 価 の 物 指 と し て ソ ー シ ャ ル ・ ア セ ス メ ン ト― ― 技 術 や 製 品 は も ち ろ ん 、 そ れ ら を 造 る 工 場 を 含 め て 公 害 、 環 境 の 悪 化 な ど の 問 題 を 考 え 、 こ れ を 社 会 が 快 く 受 け 入 れ て く れ る か ― ― を 加 え る 必 要 が 生 じ た 。 鋳 造 業 界 も 御 多 分 に も れ ず 、 こ の 公 害 、 環 境 悪 化 の 対 応 策 の 確 立 が 緊 急 課 題 と な っ た 。 そ こ で ( 財) 綜 合 鋳 物 セ ン タ ー で は 通 産 省 の 補 助 金 を 受 け て ク リ ー ン ・ フ ァ ン ド リ ー の 技 術 を 確 立 す る こ と を 志 し 、 昭 和 四 十 九 年 度 か ら 四 ケ 年 計 画 で 研 究 を 始 め 、 筆 者 は 副 委 員 長 と し て 参 画 し 、 あ る 程 度 の 成 果 を あ げ 、 モ デ ル 工 場 の 稼 動 ま で こ ぎ つ け る こ と が で き た 。 と こ ろ が 、 当 所 で は こ の 種 の 研 究 を 当 時 行 っ て お ら ず 、 河 田 所 長 か ら 「 君 、 外 部 で 公 害 対 策 の 研 究 を 行 う の も よ い が 、 環 境 庁 も で き た の だ か ら 、 研 究 所 の た め に 環 境 庁 予 算 を と る よ う に し な さ い 」 と 御 注 意 を い た だ い た 。 こ れ が 昭 和 五 十 年 九 月 頃 で あ り 、 早 速 企 画 課 を 通 じ て 環 境 庁 に 接 触 し た と こ ろ 、 「 昭 和 五 十 一 年 度 の 予 算 は 大 体 固 ま っ て い る の で 、 新 規 に 参 入 す る の は 困 難 で あ る 。 も し ど う し て も 予 算 要 求 し た い の で あ れ ば 、 明 日 ま で に 研 究 計 画 、 予 算 概 要 を 提 出 し な さ い 」 と の 回 答 を い た だ い た 。 そ こ で 所 長 始 め 管 理 部 長 、 企 画 課 及 び 研 究 者 が 集 っ て 、 徹 夜 で 予 算 案 の 作 成 を 行 い 、 翌 日 、 本 庁 を 通 じ て 予 算 案 を 環 境 庁 に 提 出 し た 。 こ の 時 、 痛 切 に 感 じ た の は 、 管 理 部 、 企 画 課 は 研 究 者 の 良 き 味 方 で あ る と い う こ と で あ り 、 今 ま で の 研 究 部 サ イ ド の 誤 っ た 認 識 を 払 拭 し た 。 一 方 、 企 画 課 は 代 議 士 の 紹 介 状 を も ら っ て 、 筆 者 を 同 道 し 環 境 庁 の 担 当 局 長 に 説 明 す る と と も に 、 鋳 造 関 係 の 学 業 界 の バ ッ ク ア ッ プ 資 料 を も っ て 陳 情 さ れ た 。 こ の よ う に し て 予 算 案 が 固 っ た と こ ろ 、 飛 び 入 り で 新 規 予 算 要 求 を し た に も 拘 ら ず 、 昭 和 五 十 一 年 度 か ら 四 ケ 年 計 画 の 予 算 を つ け て い た だ く こ と が で き た 。 こ れ も 管 理 部 、 企 画 課 が 研 究 者 と 三 位 一 体 と な っ て 、 強 力 に 推 進 し て 下 さ っ た 御 陰 と 今 で も 感 謝 し て い る 。 研 究 内 容 は す で に 所 報 、 学 会 誌 な ど に 掲 載 し て あ る の で 割 愛 す る が 、 課 題 は 「 ク リ ー ン ・ モ ー ル ド に 関 す る 研 究 」 で 、 鋳 型 の 砂 粒 、 粘 結 剤 を す べ て リ サ イ ク ル で き 、 産 業 廃 棄 物 、 悪 臭 、 有 害 物 質 、 騒 音 、 振 動 等 の 公 害 を 発 生 せ ず 、 作 業 環 境 も ク リ ー ン に で き る 造 型 技 術 で あ る 。 最 後 に 、 筆 者 の 体 験 か ら 研 究 部 の 諸 兄 に 提 言 し た い こ と が 二 点 あ る 。 ( 一) 研 究 部 サ イ ド か ら 考 え る と 、 管 理 部 、 企 画 課 は と に か く 煙 た い 存 在 と 思 う が 、 こ れ は 誤 で あ り 、 こ れ ら の 部 課 と 十 分 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を は か り 、 そ の バ ッ ク ア ッ プ が あ っ て 始 め て 円 滑 な 研 究 活 動 が で き る と い う こ と で あ る 。 そ れ か ら 予 算 要 求 を す る 時 に は 、 自 分 だ け が 解 っ て い て も 駄 目 で 、 素 人 に も よ く 理 解 で き る よ う な ポ ン チ 絵 な ど を 使 っ て 説 明 す る こ と で あ る 。 相 手 に 解 っ て も ら え な け れ ば 、 ど ん な 良 い 研 究 で も 予 算 化 す る こ と は で き な い 。 ( 二) 新 材 料 や 新 技 術 の 開 発 研 究 を 行 う 時 に は 、 こ れ が 社 会 に 出 た 時 に マ イ ナ ス ・ イ ン パ ク ト を 与 え な い か を 常 に 考 慮 す る こ と で あ る 。 い か に 良 い 材 料 が 開 発 さ れ て も 、 そ の 廃 材 が リ サ イ ク ル で き ず 、 産 業 廃 棄 物 と な り 、 し か も 有 害 物 質 な ど を 発 生 す る よ う で は 、 社 会 に 受 け 入 れ ら れ な い 。 研 究 者 は と か く プ ラ ス ・ イ ン パ ク ト の み に 重 点 を お く が 、 マ イ ナ ス ・ イ ン パ ク ト も 忘 れ て は な ら な い 。 そ の た め に 研 究 の 中 間 段 階 や 最 終 段 階 で テ ク ノ ロ ジ ・ ア セ ス メ ン ト を 行 い 、 必 要 が あ れ ば そ の 対 応 策 を 確 立 し て お く こ と で あ る 。 現 状 は 解 ら な い が 、 筆 者 が 在 職 し て い た 当 時 の 研 究 所 は プ ラ ス ・ イ ン パ ク ト の み を 強 調 し て い た が 、 こ れ は 妥 当 で は な い 。 管 理 者 も 研 究 者 も こ の 点 に 留 意 さ れ た い 。 ( 筑 波 支 所 長 S 3 4 ・9 ・1 ~5 6 ・1 2 ・3 1 ) 筑 波 移 転 第 一 次 案 の 裏 話 郡 司 好 喜 政 府 機 関 の 筑 波 地 区 移 転 が 本 決 り と な り 、 昭 和 三 十 八 年 頃 だ っ た と 思 い ま す が 、 研 究 所 の 筑 波 移 転 計 画 を 検 討 い た し ま し た 。 橋 本 所 長 か ら わ れ わ れ 製 銑 製 鋼 グ ル ー プ ( 中 川 さ ん 、 田 中 さ ん 、 郡 司 な ど ) に そ の 素 案 作 成 の 指 示 が あ り ま し た 。 当 時 は ま だ 筑 波 の 線 引 も 十 分 で な く 、 金 材 技 研 の 移 転 候 補 地 も 現 在 の 位 置 が 基 本 的 に 決 ま っ た だ け で 、 計 画 次 第 で は そ こ に 隣 接 す る 地 域 も 利 用 で き る と い う 説 明 を 受 け て お り ま し た 。 こ こ で 第 一 次 案 の 橋 本 所 長 の フ ィ ロ ソ フ ィ ー は と 言 え ば 、 筑 波 に 製 鉄 試 験 所 を 設 備 す る こ と だ っ た の で す 。 当 然 、 わ れ わ れ の 視 点 も そ こ に 置 か れ ま し た 。 ま ず 、 詳 細 な 検 討 に よ っ て 素 案 が 出 来 上 っ た と こ ろ で そ の 良 否 を 大 手 鉄 鋼 メ ー カ ー の 専 門 家 に 検 討 し て 貰 う と と も に 、 提 案 な ど も 聞 く こ と に い た し ま し た 。 各 社 を 廻 り 、 素 案 に 対 す る 忌 憚 の な い 意 見 を 求 め て き ま し た 。 こ の 素 案 に 対 す る 意 見 は 同 調 的 で あ り 、 批 判 の 言 葉 は な か っ た よ う に 記 憶 し て い ま す 。 わ れ わ れ の 間 で 作 り 上 げ ら れ た 素 案 の 概 要 は 次 の よ う な も の で し た 。 二 十 ト ン 高 炉 ( 最 低 こ の 程 度 の 容 量 が な い と コ ー ク ス の 芯 が 生 成 し な い の で 実 炉 と の 相 似 が で き な い ) を 中 心 に し 、 そ れ に 見 合 っ た 転 炉 、 電 気 炉 、 圧 廷 機 な ど を 設 置 。 そ こ で 「何 の 研 究 を す る の か 」 と 問 わ れ た ら 、 「鉄 鋼 の 合 理 的 な 生 産 を 研 究 す る 」 と い う の が 答 で し た 。 勿 論 、 各 社 か ら 提 案 さ れ た い く つ か の 問 題 点 を そ の 目 的 の 中 に 組 入 れ た こ と は 当 然 で あ り ま す 。 か く し て 、 橋 本 構 想 に 近 い ミ ニ 製 鉄 所 の 素 案 は 整 理 さ れ 、 本 庁 に 提 出 さ れ ま し た 。 本 庁 の 答 は 御 存 じ の 通 り 「 ノ ー 」 で し た 。 そ の 理 由 は 、 「 筑 波 地 区 で は 環 境 を 汚 染 す る よ う な 施 設 は 許 可 し な い 」 と い う こ と で し た 。 今 に し て 思 え ば 当 然 の 帰 結 で あ り 、 筑 波 の 現 状 を 思 え ば 否 決 さ れ て 良 か っ た と 胸 を な で お ろ し た い 位 で す 。 何 故 こ ん な 構 想 に 反 対 す る こ と も な く 、 唯 々 諾 々 と し て 計 画 を 立 て た の か 。 考 え て も 見 て 下 さ い 。 昭 和 四 十 年 の 日 本 の 粗 鋼 生 産 量 は 僅 か 四 千 万 ト ン 強 で あ り 、 ア メ リ カ や ソ 連 の 半 分 に も 満 た な い 水 準 で し た 。 今 振 り 返 れ ば あ の 当 時 は 日 本 の 高 度 成 長 が テ イ ク オ フ す る 時 期 で あ っ た と 確 定 で き ま す が 、 当 時 は そ う し た 可 能 性 を 予 測 で き ず 、 日 本 全 体 が す ば ら し い 発 展 を 待 ち 望 ん だ 時 代 だ っ た の で す 。 そ の 後 間 も な く 、 連 続 鋳 造 機 な ど の 発 展 に よ り 、 鉄 鋼 業 が 爆 発 的 に 成 長 す る と と も に 高 度 成 長 へ の 道 を 歩 み 始 め る こ と に な り ま し た 。 も し 、 研 究 学 園 都 市 が 筑 波 で な く 海 岸 を 含 む 地 区 で あ っ た な ら 、 あ る い は わ れ わ れ の 第 一 次 案 が 認 可 さ れ て ミ ニ 製 鉄 所 が 実 現 し 、 そ の 後 の 日 本 の 鉄 鋼 業 の 発 展 に 少 な か ら ず 貢 献 で き た か も 知 れ な い と 思 っ て お り ま す 。 ( 製 錬 研 究 部 S 3 4 ・7 ・1 6 ~5 7 ・5 ・3 1 ) 要 覧 表 紙 デ ザ イ ン の 思 い 出 細 井 祐 三 金 属 材 料 技 術 研 究 所 要 覧 の 表 紙 を 裏 表 紙 と 共 に 拡 げ て み よ う 。 裏 表 紙 右 下 にK am e と い う サ イ ン が あ る の に お 気 づ き で あ ろ う か 。 こ のKam e と い う の は 、 デ ザ イ ナ ー の 亀 倉 勇 策 氏 の サ イ ン で あ る 。 亀 倉 氏 は 日 本 を 代 表 す る デ ザ イ ナ ー の 一 人 で あ り 、 日 本 光 学 ( 株) の カ レ ン ダ ー や ポ ス タ — な ど を 手 掛 け て い る 。 目 黒 の 思 い 出 の 一 つ と し て 亀 倉 氏 に デ ザ イ ン を お 願 い し た 経 緯 を 述 べ て み た い 。 昭 和 三 十 一 年 七 月 に 金 材 技 研 が 創 立 さ れ た 当 初 か ら 、 昭 和 三 十 三 年 一 月 に 原 子 力 予 算 に よ る 留 学 生 と し て ア メ リ カ 合 衆 国 ペ ン シ ル ベ ニ ヤ 州 立 大 学 へ 出 張 す る 直 前 ま で 、 私 は 企 画 課 に 配 属 さ れ て い た 。 当 時 、 橘 恭 一 課 長 ( 後 に 科 学 技 術 庁 振 興 局 長 、 原 子 力 研 究 所 理 事 ) の 下 に 上 野 學 さ ん ( 後 に 、 新 日 鐡 製 品 技 術 研 究 所 副 所 長 、 長 岡 技 術 科 学 大 学 教 授 ) と 私 が 研 究 サ イ ド か ら 企 画 課 へ 移 り 、 橋 本 宇 一 所 長 の 指 示 で 、 橘 課 長 、 上 野 さ ん と 共 に 、 第 一 次 七 ヶ 年 計 画 の 基 本 案 の 策 定 に 当 っ て い た 。 企 画 課 に は 専 任 と し て も う 一 人 、 辻 内 秀 雄 さ ん が 勤 務 さ れ て お ら れ た ( 辻 内 さ ん は 残 念 な が ら 三 十 三 年 に 病 没 さ れ た ) 。 金 材 技 研 設 立 後 二 年 目 に 入 っ て か ら の よ う に 記 憶 し て い る が 、 要 覧 を 発 行 し て 、 関 係 の 省 庁 、 大 学 、 会 社 な ど にP R し よ う と 云 う こ と に な っ た 。 内 容 は 通 産 省 の 各 試 験 所 ( 現 在 筑 波 に あ る 各 研 究 所 ) の ニ ュ ー ス 、 要 覧 な ど を 参 考 に し た が 、 表 紙 の デ ザ イ ン は 画 期 的 な も の に し よ う と い う こ と で 、 辻 内 さ ん と 私 が デ ザ イ ナ ー の 選 択 、 交 渉 な ど を 任 さ れ た 。 私 は 、 デ ザ イ ン を お 願 い す る な ら 一 流 の デ ザ イ ナ ー に 依 頼 し よ う と 考 え た 。 私 は 写 真 と か カ メ ラ が 趣 味 で 、 日 本 光 学 ( 株) の カ レ ン ダ ー や ポ ス タ — を 時 々 目 に し て お り 、 そ の 図 案 が 非 常 に あ か 抜 け て お り 、 し か も 工 学 的 セ ン ス に 溢 れ 、 好 き で あ っ た 。 そ し て そ れ が 亀 倉 氏 の 作 で あ る こ と を 知 っ た 。 当 時 す で に 超 一 流 の デ ザ イ ナ ー と し て 活 躍 し て お ら れ た 亀 倉 氏 に お 会 い す る に は ど う す る か 。 私 は 日 本 光 学 に 友 人 が 勤 め て い る の を 思 い 出 し 、 ま ず そ の 友 人 に 頼 ん で 、 同 社 の 宣 伝 関 係 の 部 署 の 責 任 者 に お 会 い し た 。 そ し て 亀 倉 氏 を 紹 介 し て い た だ い た 。 こ の と き 、 そ の 責 任 者 の 人 か ら 、 「亀 倉 さ ん は 忙 し く て 、 仕 事 を ひ き う け る の が 難 し い か も し れ な い が 、 意 気 に 感 じ て 仕 事 を す る 人 だ か ら 、 そ の 点 を 充 分 考 慮 し て お 願 い す る の が よ い 」 と い う 意 味 の ア ド バ イ ス を 受 け た 。 日 本 光 学 の 人 を と お し て 亀 倉 さ ん を 訪 問 す る ア ポ イ ン ト メ ン ト を と り 、 辻 内 さ ん と 二 人 で 亀 倉 さ ん の ア ト リ エ に 伺 っ た 。 亀 倉 さ ん は 芸 術 家 肌 の 気 難 し い 人 に ち が い な い と 勝 手 に 想 像 し て い た が 、 お 会 い し て み る と 、 淡 々 と し て 、 ざ っ く ば ら ん に 話 の で き る 人 で あ っ た 。 亀 倉 さ ん に 科 学 技 術 庁 の 概 要 と 材 研 の 役 割 、 使 命 、 研 究 計 画 、 特 徴 な ど を 説 明 し 、 金 属 材 料 技 術 研 究 所 要 覧 の 公 報 誌 と し て の 目 的 と 内 容 を 話 し た 。 と く に こ れ か ら の 材 料 研 究 の 重 要 性 を 力 説 し た よ う に 記 憶 し て い る 。 亀 倉 さ ん は 熱 心 に 話 を 聞 き 、 と き ど き 質 問 を し て 、 金 材 技 研 の イ メ ー ジ を 頭 に 画 い て お ら れ る よ う で あ っ た 。 し ば ら く 間 を お い て 、 「( 表 紙 の デ ザ イ ン を ) 引 き 受 け ま し ょ う 」 と 答 え て く れ た と き に は 、 辻 内 さ ん と 願 を 見 合 せ て 、 安 堵 の 胸 を な で お ろ し た 。 そ れ か ら 辻 内 さ ん が 、 官 庁 の た め デ ザ イ ン 料 は あ ま り 払 え な い こ と を 話 し 、 了 承 し て い た だ い た 。 亀 倉 さ ん と し て は 、 か な り 安 い デ ザ イ ン 料 で 引 き 受 け て 下 さ っ た 。 こ の よ う に し て 、 要 覧 の 表 紙 の デ サ イ ン が き ま っ た 。 デ ザ イ ン を 最 初 に 見 た と き 、 橋 本 所 長 は 、 あ ま り 気 に 入 ら な い よ う で あ っ た 。 「 こ の 一 案 だ け か 」 と し ぶ い 顔 で 言 わ れ た の を 覚 え て い る 。 私 は 亀 倉 さ ん が 日 本 を 代 表 す る 一 流 の デ ザ イ ナ ー で あ る こ と 、 日 本 光 学 の ポ ス タ ー な ど を つ く り 、 そ の 分 野 で 非 常 に 有 名 な 人 で あ る こ と な ど を 説 明 し て 、 何 と か 了 承 し て い た だ い た 。 と こ ろ が そ の 後 、 亀 倉 さ ん が こ の 図 案 を ス イ ス で 行 わ れ た 国 際 的 な 大 会 に 出 品 さ れ 、 賞 を と っ た と の 報 告 が 入 り 、 橋 本 所 長 は や っ と 納 得 さ れ た こ と を 思 い 出 す 。 ( 鉄 鋼 材 料 研 究 部 S 3 1 ・7 ・1 ~3 8 ・1 ・3 1 ) 管 理 部 技 術 課 の 目 黒 時 代 大 島 一 男 金 属 材 料 技 術 研 究 所 の 筑 波 研 究 学 園 都 市 へ の 全 面 移 転 に よ り 管 理 部 内 の 組 織 も 新 た に 再 編 成 が 行 わ れ 、 目 黒 地 区 に お い て 約 三 十 三 年 間 研 究 の 支 援 業 務 を 担 当 し て き た 管 理 部 技 術 課 も 終 焉 を 迎 え 、 時 代 の 流 れ と 共 に 昔 の こ と と な ろ う と し て い る 。 昔 を 懐 か し み 、 長 い よ う で 短 い 三 十 三 年 間 の 目 黒 時 代 に お け る 技 術 課 の 業 務 を 中 心 に 、 備 忘 録 と し て 私 な り に 記 し て み た い と 思 い ま す 。 目 黒 時 代 の 組 織 当 研 究 所 は 、 既 に 皆 さ ん が ご 存 じ の と お り 、 科 学 技 術 庁 の 付 属 研 究 機 関 と し て 旧 海 軍 技 術 研 究 所 の 跡 地 に 昭 和 三 十 一 年 七 月 一 日 付 け を も っ て 発 足 し た 。 当 初 は 所 長 、 科 学 研 究 官 の 下 に 、 庶 務 課 、 企 画 課 か ら な る 管 理 部 と 四 研 究 部 が 組 織 さ れ 、 五 部 二 課 で あ っ た 。 国 産 材 料 の 品 質 改 良 が 産 業 界 か ら 強 く 望 ま れ 、 欧 米 の 先 進 諸 国 の 材 料 研 究 及 び 技 術 に 追 い 着 き 追 い 越 す こ と を 目 標 に 研 究 所 内 の 組 織 が 整 備 さ れ 、 昭 和 三 十 六 年 四 月 に は 十 部 三 課 三 十 二 室 と な り 、 研 究 を 支 援 す る た め 管 理 部 内 に 三 係 か ら な る 技 術 課 が 置 か れ た 。 技 術 第 一 係 に は 企 画 課 調 整 係 か ら 、 技 術 第 二 係 に は 庶 務 課 営 繕 係 か ら 、 そ し て 工 作 係 は 研 究 部 の 第 三 部 分 析 室 及 び 第 四 部 の 工 作 室 よ り 人 員 が そ れ ぞ れ 配 置 さ れ 、 優 秀 な 技 術 者 を 数 名 採 用 し 、 三 十 一 名 で 業 務 が 遂 行 さ れ て い た 。 そ の 後 、 係 の 新 設 が 認 め ら れ 、 管 理 部 技 術 課 の 係 も 、 研 究 支 援 の 運 営 及 び 事 務 を 行 う 技 術 係 、 受 変 電 施 設 ・ 給 水 暖 房 施 設 等 の 維 持 管 理 を 担 当 す る 施 設 係 、 研 究 及 び 試 験 に 必 要 な 試 験 片 ・ 治 具 ・ 部 品 や 硝 子 機 器 及 び 鋳 型 を 作 る 原 型 に な る 木 型 の 作 製 を 行 う 工 作 係 、 工 作 業 務 に 必 要 な 工 具 ・ 刃 物 ・ 機 械 の 管 理 を 行 う 工 務 係 、 研 究 及 び 試 験 に 必 要 な 装 置 の 設 計 と 試 作 ・改 修 を 担 当 す る 設 計 試 作 係 、 研 究 及 び 試 験 に 必 要 な 電 気 ・ 電 子 計 測 機 器 の 作 製 ・ 修 理 を 行 う 電 気 技 術 係 の 六 係 と な っ た 。 各 係 毎 に 専 門 的 な 知 識 及 び 技 術 を 有 す る 技 術 者 が 配 置 さ れ 、 管 理 部 技 術 課 の 最 盛 期 に は 五 十 人 近 い 技 術 者 が 直 接 的 ま た は 間 接 的 に 研 究 を 影 か ら 支 え て き た 。 昭 和 四 十 四 年 か ら 当 研 究 所 も 公 務 員 の 定 員 削 減 計 画 実 施 の 波 に 洗 わ れ 、 管 理 部 技 術 課 の 定 員 削 減 を 余 儀 な く さ れ た 。 一 人 二 人 と 減 り 、 昭 和 五 十 八 年 頃 に は 技 術 課 が 発 足 し た 当 時 と 同 じ 三 十 人 ま で に 減 少 し た 。 技 術 者 の 削 減 で 研 究 者 か ら の 試 験 片 、 部 品 及 び 治 具 の 作 製 、 装 置 の 設 計 試 作 等 の 依 頼 に 応 じ る こ と が 出 来 な く な る と 共 に 、 ボ イ ラ ー ・ 給 水 施 設 及 び 配 管 等 が 経 年 に よ り 老 朽 化 が 進 み 、 研 究 支 援 業 務 に 停 滞 化 が み ら れ る よ う に な っ た 。 更 に 日 本 経 済 の 高 度 成 長 期 に よ り 、 こ の 頃 か ら 施 設 の 維 持 管 理 及 び 試 験 片 等 の 作 製 が 外 注 で 処 理 さ れ る よ う に な っ た 。 昭 和 六 十 年 度 か ら 一 般 公 務 員 の 定 年 制 導 入 に と も な い 定 年 退 職 者 と 共 に 優 秀 な 技 術 者 が み ず か ら 職 場 を 離 れ 、 平 成 六 年 度 の 筑 波 移 転 時 に は 十 一 人 に 減 少 し て い る 。 筑 波 移 転 を 契 機 に 研 究 支 援 業 務 の 機 能 を 従 来 よ り 更 に 強 化 す る た め 、 管 理 部 技 術 課 の 組 織 が 解 体 さ れ 、 研 究 を 間 接 的 に 支 援 し て き た 施 設 係 の 受 変 電 、 給 排 水 、 空 調 等 の 施 設 及 び 設 備 の 維 持 管 理 業 務 は 新 た に 組 織 さ れ た 安 全 施 設 課 が 担 当 す る こ と と な っ た 。 ま た 、 、 研 究 を 直 接 的 に 支 援 し て き た 工 作 係 、 設 計 試 作 係 、 工 務 係 の 他 に 、 組 織 制 御 研 究 部 か ら 溶 解 係 及 び 圧 延 熱 処 理 係 が 、 材 料 設 計 研 究 部 か ら 計 算 材 料 第 一 係 お よ び 第 二 係 が 、 管 理 部 企 画 室 か ら 図 書 係 が 組 み 入 れ ら れ 、 管 理 係 及 び 材 料 試 験 係 を 含 め た 十 係 の 研 究 支 援 課 が 誕 生 し 、 目 黒 時 代 の 技 術 課 に 代 わ っ て 業 務 を 担 当 す る こ と と な る 。 目 黒 時 代 の 巨 大 ボ イ ラ ー 筑 波 移 転 に よ っ て 新 た に 施 設 及 び 設 備 が 整 備 さ れ 、 ボ イ ラ ー や 冷 凍 機 等 の 冷 熱 設 備 も 最 新 式 の も の と な り 、 暑 さ 寒 さ を 忘 れ る ほ ど 昼 夜 快 適 に 業 務 を 行 う こ と が 可 能 に な っ た 。 筑 波 お ろ し の 季 節 が 到 来 し 、 寒 さ か ら 身 を 護 る た め に コ ー ト の 衿 を 立 て る と 、 目 黒 時 代 に 体 を 暖 め て く れ た 巨 大 な ボ イ ラ ー が 目 に 浮 か ん で く る 。 こ の 巨 大 な ボ イ ラ ー は 明 治 四 十 五 年 ( 一 九 一 一 年) 英 国 の ビ ッ カ ー ス 造 船 所 で 製 造 さ れ 、 太 平 洋 戦 争 に も 参 戦 し た 高 速 戦 艦 「 金 剛 」 の 初 期 の 駆 動 源 と し て 使 用 さ れ て い た 缶 で 、 数 十 缶 の う ち 八 缶 が 昭 和 二 年 に 取 り 外 さ れ て 海 軍 技 術 研 究 所 の 熱 源 用 に 設 置 さ れ た も の で あ る と 聞 い て い る 。 金 剛 は 、 大 正 二 年 ( 一 九 一 三 年) に 巡 洋 戦 艦 と し て 進 水 し 、 昭 和 二 年 ~ 昭 和 六 年 に は 第 一 次 の 改 装 工 事 が 施 さ れ 、 三 十 六 基 設 置 さ れ て い た 石 炭 専 焼 缶 を 四 基 の 重 油 専 焼 缶 と 六 基 の 混 焼 缶 の 合 計 十 基 に 改 造 さ れ て い る 。 更 に 昭 和 八 年 ~ 昭 和 十 五 年 に か け て 改 装 を 重 ね 、 最 後 の 改 装 で は 機 関 部 も 四 基 の タ ー ビ ン と 重 油 専 焼 缶 八 基 と な り 、 速 力 は 二 六 ノ ッ ト か ら 三 〇 ノ ッ ト に 増 大 さ れ て い る 。 改 装 後 の 装 備 は 、 全 長 二 二 二 メ ー ト ル 、 全 幅 三 一 メ ー ト ル 、 排 水 量 三 二 、 二 〇 〇 ト ン 、 出 力 一 三 六 、 〇 〇 〇 馬 力 で あ っ た 。 兵 装 と し て 三 六 セ ン チ 砲 八 基 、 一 五 セ ン チ 砲 十 四 基 、 一 二 ・ 七 セ ン チ 高 角 砲 八 基 、 二 五 ミ リ 機 銃 二 十 基 、 水 上 機 三 機 を 搭 載 し 、 乗 員 一 、 四 三 七 人 で 、 空 母 と と も に 行 動 で き る 高 速 戦 艦 で あ っ た 。 ハ ワ イ 開 戦 、 ミ ッ ド ウ ェ ー 海 戦 等 の 太 平 洋 戦 争 で 活 躍 し た が 、 フ ィ リ ピ ン 沖 の 海 戦 後 の 昭 和 十 九 年 十 一 月 に 、 台 湾 海 峡 で 米 国 の 潜 水 艦 シ ー ラ イ オ ン 二 世 の 魚 雷 四 本 を 受 け て 沈 没 し て い る 。 海 軍 技 術 研 究 所 に 設 置 さ れ た 戦 艦 「金 剛 」 の ボ イ ラ ー 八 缶 の う ち 、 一 缶 が 当 研 究 所 に 引 継 が れ た 。 こ の 汽 缶 の 種 類 は 、 ヤ ー ロ ー 型 水 管 ボ イ ラ ー で 、 伝 熱 面 積 四 一 六 m 2 、 常 用 圧 力 七 k g/ cm2 、 水 管 三 五 m m × 三 ・ 五 m ・ 九 三 六 本 、 本 体 満 水 時 で 六 ・ 五 ト ン の 水 を 使 用 し 、 全 庁 舎 に 蒸 気 の 供 給 を 行 っ て き た 。 設 置 さ れ た 当 時 の 燃 料 は 石 炭 を 使 用 し て い た の で 、 22 号 庁 舎 B あ た り に あ っ た 石 炭 置 場 か ら ト ロ ッ コ で 石 炭 を 運 ぶ 姿 が み ら れ 、 高 さ 四 十 五 メ ー ト ル の 煙 突 か ら 真 っ 黒 な 煙 を 排 出 し て い た そ う で あ る 。 そ の 後 、 重 油 焚 き に 改 造 が 行 わ れ た が 、 産 業 、 経 済 の 革 新 的 な 発 展 に 伴 い 大 気 の 汚 染 が 問 題 と な り 、 昭 和 五 十 四 年 に 東 京 都 公 害 防 止 条 例 に 基 づ き 、 重 油 焚 き か ら 灯 油 焚 き と な っ た 。 こ の 頃 か ら 、 蒸 気 の 配 管 が 経 年 に よ っ て 老 朽 化 が 進 み 、 蒸 気 漏 れ が 発 生 し だ し た 。 蒸 気 漏 れ の 連 絡 を 受 け る と 現 場 に 駆 付 け 、 自 転 車 の チ ュ ー ブ を 配 管 に 巻 き 付 け て 蒸 気 漏 れ を 止 め る 作 業 を 応 急 処 置 と し て 行 っ て い た が 、 配 管 か ら 高 温 で 高 圧 力 を 持 っ た 蒸 気 が 吹 き 出 し て い る た め 、 応 急 処 置 を 施 し て も 漏 れ が 止 ま ら な い こ と も あ り 、 蒸 気 を 浴 び な が ら の 作 業 に 苦 労 し た こ と を 思 い 出 す 。 産 業 革 命 の 発 祥 の 地 で 製 造 さ れ た 巨 大 な ボ イ ラ ー は 、 当 研 究 所 の 暖 房 設 備 と し て 、 十 二 月 一 日 ~ 翌 年 三 月 三 十 一 日 ま で の 暖 房 期 間 を 三 十 七 年 に わ た り 、 2 2 号 庁 舎 A か ら 全 庁 舎 に 蒸 気 を 供 給 し た 。 そ の 巨 大 な 古 い ボ イ ラ ー に は 偉 大 さ を 感 じ る 。 大 き な 故 障 も な く 、 海 軍 技 術 研 究 所 の 時 代 を 含 め る と 半 世 紀 以 上 暖 房 設 備 と し て 活 躍 し た が 、 筑 波 移 転 が 行 わ れ る 前 年 の 平 成 五 年 三 月 で 役 目 を 終 え 、 暖 房 を 停 止 し た 。 戦 艦 「 金 剛 」 に 搭 載 さ れ て い た 由 緒 あ る 汽 缶 も 、 も は や そ の 雄 姿 を み る こ と は 出 来 な い 。 目 黒 時 代 の 工 作 支 援 業 務 昭 和 三 十 六 年 に 、 研 究 を 支 援 す る た め 技 術 課 に 工 作 係 金剛のボイラー ガラス工作試験片の製作 が 発 足 し た 。 昭 和 二 年 か ら 昭 和 六 年 頃 に 建 て ら れ た 海 軍 技 術 研 究 所 の 建 物 を 使 用 し 、 3 4 号 庁 舎 の 一 階 に 工 作 機 械 室 が 、 1 4 号 庁 舎 が 建 築 さ れ る ま で は 1 4 号 庁 舎 付 近 に 硝 子 工 作 室 が 、 2 0 号 庁 舎 に 木 工 室 が 配 置 さ れ 、 経 験 豊 か な 技 術 者 に よ り 研 究 に 必 要 な 部 品 、 試 験 片 や 治 具 、 硝 子 機 器 、 木 型 等 の 作 製 が 行 わ れ て い た 。 そ の 後 、 硝 子 工 作 室 が 34 号 庁 舎 二 階 に 移 転 し 、 課 と し て ま と ま る こ と に な る 。 昭 和 四 十 三 年 ~ 昭 和 四 十 六 年 頃 に は 工 作 係 員 も 二 十 人 以 上 と な っ た 。 材 料 や 構 造 物 の 外 側 ま た は 内 側 の 寸 法 を 目 視 で 簡 単 に 測 定 し 、 そ の 寸 法 を マ イ ク ロ メ ー タ — や ノ ギ ス な ど の 測 定 器 具 で 読 取 っ て 誤 差 を 比 較 し て も 僅 少 で 当 て た り 、 鋼 材 を グ ラ イ ン ダ ー に か け 、 そ の 火 花 の 飛 び か た 、 火 花 の 形 状 で 材 質 を 判 断 し た り 、 計 算 尺 を 使 用 し て 材 料 の 機 械 的 性 質 を 知 る た め の 応 力 計 算 等 を 行 う な ど 、 す ぐ れ た 技 術 や 知 識 と 経 験 を 身 に 付 け た 技 術 者 が 数 多 く い た 時 代 で あ る 。 ま だ 卓 上 計 算 機 や コ ン ピ ュ ー タ ー が 一 般 的 に 普 及 し て い な か っ た た め 、 ス ケ ー ル と 計 算 尺 を 胸 の ポ ケ ッ ト に し の ば せ て 工 作 業 務 を 行 っ て い た 。 こ の 頃 は 、 欧 米 諸 国 の 研 究 及 び 技 術 と 比 較 す る と ま だ ま だ 格 段 の 差 が あ り 、 研 究 者 が 試 験 片 等 の 加 工 依 頼 で 工 作 係 に 持 ち 込 ま れ た チ タ ン 合 金 の 板 材 を 米 国 製 と 日 本 で 製 造 さ れ た も の を 比 べ る と 、 日 本 製 の も の は 幾 分 凹 凸 が 見 ら れ 、 ス ケ ー ル を 平 面 に 当 て る と � � 間 が 見 ら れ た 。 欧 米 の 先 進 技 術 に 追 い つ き 追 い こ す べ く 旺 盛 な 研 究 活 動 に よ っ て 、 着 実 に 技 術 の 向 上 が 図 ら れ て い た 。 こ の よ う な 時 代 を 背 景 に し て 、 研 究 設 備 の 設 計 及 び 試 作 を 専 門 に 担 当 す る 設 計 試 作 係 が 誕 生 し 、 機 械 工 作 、 硝 子 工 作 、 木 工 作 及 び 電 気 工 作 業 務 に も 活 気 が 見 ら れ 、 工 作 業 務 の 最 盛 期 で あ っ た 。 昭 和 三 十 二 年 及 び 昭 和 三 十 六 年 に は ド イ ツ の デ ッ ケ ル 社 か ら 最 先 端 の 万 能 工 具 フ ラ イ ス 盤 が 導 入 さ れ 、 ミ ー リ ン グ 及 び エ ン ド ミ ル の 加 工 に 威 力 を 発 揮 し 、 シ ャ ル ピ ー 試 験 片 や 治 具 等 の 作 製 依 頼 に 応 じ た 。 そ の 後 、 平 削 盤 、 無 心 研 削 盤 、 施 盤 、 平 面 研 削 盤 等 の 機 械 工 作 設 備 、 硝 子 施 盤 、 真 空 排 気 装 置 等 の 硝 子 工 作 設 備 、 木 工 作 設 備 と し て 自 動 鉋 盤 、 ほ ぞ 取 り 盤 等 の 増 設 や 更 新 が 行 わ れ 、 研 究 支 援 設 備 の 充 実 が 図 ら れ た 。 「 フ ラ イ ス 」 と は ド イ ツ 語 に 由 来 し て い る が 、 そ の ド イ ツ か ら 導 入 し た 万 能 工 具 フ ラ イ ス 盤 は 、 操 作 性 、 加 工 性 及 び 作 業 効 率 等 が 非 常 に 優 れ た 設 備 で あ る 。 多 く の 研 究 者 と 技 術 者 に 共 用 設 備 と し て 使 用 さ れ 、 三 十 五 年 以 上 を 経 過 し た 今 、 各 部 位 に 疲 労 が 見 ら れ る も の の 目 黒 か ら 筑 波 に 移 設 し た 現 在 も 使 用 が 可 能 で あ る 。 設 備 の 充 実 が 図 ら れ た の に 対 し て 、 最 盛 期 に 二 十 人 以 上 い た 工 作 関 係 の 技 術 者 は 、 退 職 、 人 事 移 動 、 公 務 員 の 定 員 削 減 及 び 定 年 制 の 実 施 に よ っ て 減 少 の 一 途 を た ど り 、 平 成 三 年 に 木 工 作 の 業 務 を 停 止 し た 。 筑 波 移 転 時 に は 、 機 械 工 作 、 設 計 試 作 、 電 気 工 作 及 び 工 務 を 担 当 す る 技 術 者 が そ れ ぞ れ 一 人 に 、 硝 子 工 作 を 担 当 す る 技 術 者 が 二 人 に 減 少 し た 。 ま た 、 筑 波 移 転 に 伴 い 、 旋 盤 、 形 削 盤 等 の 老 朽 化 し た 古 い 工 作 機 械 設 備 が 廃 棄 さ れ る こ と に な っ た 。 長 年 に わ た っ て 研 究 支 援 設 備 と し て 研 究 の 業 務 を 支 え 重 要 な 役 割 を 果 た し て き た 設 備 が 廃 棄 さ れ る の は 、 技 術 者 と し て 偲 び な い も の を 感 じ る 。 目 黒 時 代 の 最 盛 期 か ら は 考 え ら れ な い ほ ど 技 術 者 が 減 少 し て い る が 、 技 術 者 と し て 「技 術 の 無 い と こ ろ に 研 究 は 無 く 、 研 究 の 無 い と こ ろ に 技 術 は 無 い 」 こ と を 信 じ 、 更 に 研 究 を 支 え る た め 、 目 黒 時 代 の 過 去 を 省 み つ つ 支 援 業 務 に 少 数 精 鋭 を も っ て 努 力 し た い 。 ( 研 究 支 援 課 ) 施 設 係 の 思 い 出 栗 原 敏 夫 施 設 係 で は 、 電 気 、 給 水 等 を 所 内 建 物 に 支 障 な く 供 給 す る た め に 設 備 の 推 持 管 理 を 行 っ て お り ま す 。 そ の た め に 、 設 備 の 定 期 点 検 整 備 等 を 皆 様 の 休 ん で い る 土 曜 、 日 曜 日 等 に 行 っ て い ま し た 。 そ の 作 業 中 に 予 期 せ ぬ 事 態 が 起 っ て 、 自 分 達 が あ せ っ た り 、 混 乱 し た り し な が ら も 何 と か そ の 場 を 切 り 抜 け た 事 を い く つ か 思 い 出 し ま し た の で 、 次 に 書 き ま す 。 昭 和 五 十 六 年 の 月 曜 日 の 全 停 電 作 業 の 日 の 事 で し た 。 朝 よ り 運 転 し て い る 非 常 用 発 電 機 も 順 調 に 動 き 、 2 4 号 の ク リ ー プ 等 に 電 気 を 支 障 な く 送 電 で き 、 又 、 停 電 作 業 も 順 調 に 進 ん で い き ま し た 。 そ し て 夕 方 の 受 電 操 作 を 行 っ て い る 時 の こ と で し た 。 五 時 三 十 分 頃 、 他 の 建 物 に は 送 電 完 了 し 、 あ と は 2 4 号 庁 舎 へ 送 電 し 、 発 電 機 よ り 買 電 へ 切 替 え る だ け で し た 。 発 電 機 用 し ゃ 断 器 を 切 り 買 電 切 替 操 作 に 入 っ た の で す が 、 買 電 切 替 用 し ゃ 断 器 が 投 入 さ れ な い の で す 。 投 入 用 ス イ ッ チ を 入 れ る の で す が 、 し ゃ 断 器 の 赤 い ラ ン プ が つ か な い の で す 。 な ん で 動 作 し な い の か 、 な に が 原 因 な の か 、 次 は 何 を す れ ば 良 い の か 、 ク リ ー プ へ の 電 気 は 停 電 し た ま ま で す 。 停 電 灯 の み が つ い て い る 暗 い 中 で 気 ば か り あ せ っ て 、 頭 の 中 は パ ニ ッ ク の 状 態 で 何 も 出 来 な い 数 分 間 が 過 ぎ ま し た 。 そ し て や っ と 頭 に ひ ら め い た も の が あ り ま し た 。 数 年 前 に 取 付 け た 変 圧 器 等 整 備 の た め の 予 備 回 路 が 使 用 出 来 る こ と に 気 が 付 き ま し た 。 急 い で 予 備 替 用 D S ( 十 七 箇 所 位 た く さ ん あ っ た ) を 予 備 側 に 切 替 え 、 予 備 回 路 用 し ゃ 断 器 を 投 入 し 、 ク リ ー プ 等 重 要 な 所 に 無 事 に 送 電 す る こ と が 出 来 ま し た 。 こ の 予 備 回 路 が な か っ た ら 、 再 度 非 常 用 発 電 機 を 起 動 し て 、 故 障 原 因 を 取 除 く ま で 、 長 時 間 運 転 を す る 事 に な っ た と 思 い ま す 。 後 で 調 査 し た 結 果 、 切 替 用 油 し ゃ 断 器 の 接 触 部 の 荒 れ に よ り 可 動 部 が 引 掛 か り 、 完 全 に 入 ら な い 状 態 に な っ た こ と が 原 因 で し た 。 そ の 後 真 空 し ゃ 断 器 に 取 替 え ら れ た の で 、 安 心 し て 操 作 出 来 る よ う に な り ま し た 。 昭 和 五 十 九 年 二 月 の 日 曜 日 、 全 停 電 作 業 の 日 の 非 常 用 発 電 機 を 運 転 中 の 出 来 事 で す 。 午 後 二 時 頃 に な っ て 燃 料 サ ー ビ ス タ ン ク の 油 面 計 レ ベ ル も 下 が り 、 燃 料 給 油 ポ ン プ が 自 動 的 に 運 転 を 始 め ま し た 。 し か し ポ ン プ は 回 っ て い る の に 地 下 タ ン ク よ り サ ー ビ ス タ ン ク に 燃 料 が 上 が ら な い 状 態 に 気 が 付 き ま し た 。 そ れ か ら が 大 変 で す 。 サ ー ビ ス タ ン ク の 燃 料 は ど ん ど ん 減 っ て い ま す 。 い ろ い ろ 調 べ ま し た が 原 因 は 解 ら ず 、 時 間 は た つ ば か り で す 。 何 と か サ ー ビ ス タ ン ク に 燃 料 を 補 給 し な け れ ば 非 常 用 発 電 機 は 燃 料 切 れ で 止 ま っ て し ま い ま す 。 ま ず 地 下 タ ン ク よ り 汲 み 上 げ ね ば な り ま せ ん 。 手 廻 し 非 常 用 発 電 機 ロ ー タ リ ポ ン プ が あ り ま し た の で 給 油 口 よ り 入 れ て 廻 し ま し た が 、 パ イ プ が 短 か く て 油 面 に 届 か な い よ う で す 。 接 続 用 の パ イ プ を や っ と 見 つ け て 接 続 し 、 バ ケ ツ に 汲 み 上 げ る 事 に 成 功 し ま し た 。 さ あ 、 こ れ か ら が 大 変 で す 。 バ ケ ツ に 入 っ た 燃 料 を サ ー ビ ス タ ン ク に 入 れ な け れ ば な り ま せ ん 。 バ ケ ツ を 持 っ て 立 バ シ ゴ を 昇 ら な け れ ば な ら な い か ら で す 。 ま ず 一 時 間 運 転 出 来 る 量 を 手 廻 し ポ ン プ で 汲 み 上 げ 、 バ ケ ツ を 持 っ て 立 バ シ ゴ を 昇 り 、 こ れ の 繰 返 し で 体 力 と の 勝 負 で 、 こ の 先 が 思 い や ら れ 、 東 京 電 力 が 一 刻 も 早 く 送 電 し て く れ る 事 を 祈 り ま し た 。 こ の 時 施 設 に い た 方 は 、 重 い バ ケ ツ を 運 ん だ こ の 事 を 思 い 出 す 事 と 思 い ま す 。 後 で 原 因 調 査 の 結 果 、 給 油 配 管 が 壁 内 接 続 部 で 腐 食 し 、 穴 が 開 い て い た た め で あ る こ と が わ か り ま し た 。 昭 和 六 十 一 年 九 月 の 土 曜 日 の 午 後 、 3 0 号 B 変 電 室 の 停 電 作 業 の 時 の 事 で す 。 辺 り が 暗 く な り 始 め た 頃 や っ と 作 業 も 終 り 、 五 時 頃 し ゃ 断 器 を 順 次 投 入 し 、 送 電 操 作 を 始 め ま し た 。 し か し 一 台 の し ゃ 断 器 が 投 入 状 態 で ロ ッ ク が か か ら ず 、 外 れ て し ま う の で す 。 何 度 や っ て も ダ メ で す 。 さ あ 困 り ま し た 。 操 作 機 構 に 不 良 が あ る 様 で す 。 そ こ で 、 油 し ゃ 断 器 の 中 を 見 る こ と に し ま し た 。 油 タ ン ク を 下 し て 操 作 し て 見 る と 、 操 作 ス ト ロ ー ク が 足 り な く て 完 全 に 可 動 部 が 入 ら な い 状 態 で し た 。 手 で 可 動 部 を 押 し 上 げ て 投 入 完 了 状 態 に し ま す と 使 用 出 来 そ う で す 。 静 か に 油 タ ン ク を 取 付 け て 恐 る 恐 る 送 電 し ま し た 。 こ の 状 態 で は 、 一 度 切 れ る と 投 入 す る に は 油 タ ン ク を 下 し て 操 作 し な け れ ば な ら な い と い う 危 険 な 状 態 で し た 。 原 因 は 操 作 機 構 支 持 部 の コ ン ク リ ー ト が ヒ ビ 割 れ を 起 し て 遊 び が 多 く な っ た た め で 、 他 の し ゃ 断 器 も 同 様 に 危 な く な っ て い ま し た の で 、 地 震 等 の 振 動 で し ゃ 断 器 が 切 れ な い か と 、 補 強 工 事 が 出 来 る 迄 の 間 不 安 で し た 。 こ れ ら は 計 画 作 業 中 に 起 き た 出 来 事 な の で 何 と か 対 処 出 来 た と 思 い ま す が 、 突 発 時 に こ れ ら が 重 な っ た 場 合 に は 対 処 出 来 な か っ た と 思 い ま す 、 古 い 設 備 、 機 器 等 は 順 次 更 新 し て い か な い と 予 想 も つ か な い 故 障 と な っ て 現 わ れ 、 担 当 者 を 困 ら せ る 事 と 思 い ま す 。 平 成 四 年 六 月 の カ ラ ス に よ る 全 停 電 の 話 で す 。 特 高 変 電 所 で は 、 毎 年 数 羽 の カ ラ ス が 感 電 し て 死 ん で い る の を 見 つ け て は 裏 の 上 手 に 埋 葬 し て い ま し た 。 し か し 、 今 回 の よ う に 停 電 被 害 が 大 き か っ た の は 始 め て だ っ た と 思 い ま す 。 当 日 朝 、 守 衛 さ ん よ り 電 話 で 停 電 に な っ て い る と の 連 絡 を 受 け 、 急 い で 出 勤 し ま し た 。 防 衛 庁 の 門 を 入 り 、 防 衛 庁 の 守 衛 所 は 照 明 が つ い て い た の を 見 て 金 材 研 だ け の 停 電 で 済 ん だ と 心 の 中 で ホ ッ と し ま し た ( 配 電 線 は 防 衛 庁 と 金 材 研 は 同 一 配 線 使 用 ) 。 現 場 を 見 る と 受 電 用 し ゃ 断 器 キ ュ ー ピ ク ル 上 部 の ブ ッ シ ン グ 碍 子 が 黒 く 焼 け て お り 、 近 く に カ ラ ス が 死 ん で い ま し た 。 碍 子 を 磨 け ば す ぐ 復 旧 出 来 る と 思 わ れ ま し た が 、 碍 子 に ア ー ク に よ る 熱 的 劣 化 が あ っ た た め 、 明 電 エ ン ジ ニ ア リ ン グ ( 株 ) の 技 術 者 は 碍 子 点 検 手 入 れ 後 耐 圧 試 験 を 行 な わ な い と 使 用 可 能 か ど う か わ か ら な い と の こ と で し た 。 耐 圧 試 験 器 も 運 ば れ 耐 圧 試 験 の 準 備 が 進 む に つ れ て 、 あ る 不 安 が 頭 の 中 に 浮 ん で 来 ま す 。 パ ン ク し た ら ど う す る か ! 部 品 を 取 り 替 え な い 限 り 受 電 で き な い ! 部 品 が 入 る ま で 何 日 か か る か ! 東 京 電 力 へ 電 源 車 等 の 手 配 が 必 要 か ! 等 々 。 耐 圧 試 験 が 始 ま り 試 験 電 圧 を 徐 々 に あ げ る の を 脇 で 見 て い て 、 頭 の 中 は 空 白 に な っ て 行 き ま し た 。 そ の 場 よ り 離 れ た い 気 持 、 試 験 時 間 の 長 く 感 じ ら れ た 事 、 終 っ た 時 は ホ ッ と し ま し た 。 こ れ で 応 急 使 用 可 能 と わ か り 、 五 時 三 十 分 頃 や っ と 受 電 復 旧 す る こ と が 出 来 ま し た 。 耐 圧 試 験 で パ ン ク し な く て 良 か っ た と 思 い ま し た 。 そ の 後 、 カ ラ ス 防 止 用 の プ ロ ペ ラ を 付 け ま し た 。 少 し は 効 果 が あ っ た と 思 い ま す が 、 そ の 後 も カ ラ ス の 死 骸 は 時 々 あ り ま し た 。 目 黒 の カ ラ ス に は 弱 か っ た 本 所 特 高 変 電 所 は 、 平 成 六 年 八 月 三 十 一 日 の 十 三 時 三 十 三 分 に そ の あ か り を 消 し ま し た 。 ( 材 料 試 験 事 務 所 ) し の び 音 も ら す 後 藤 建 次 郎 人 生 は あ ざ な え る 縄 の 如 し と か 。 良 い こ と も あ れ ば 、 悪 い こ と も あ る 。 目 黒 に お け る 廃 液 処 理 の 思 い 出 を つ づ ろ う と す れ ば 、 な つ か し さ に 偲 び 音 を も ら す か 、 じ っ と 我 慢 の 忍 び 音 を 吐 露 す る か は 、 と ん と 見 当 が つ か な い 。 こ こ は 筆 の す さ び に ま か せ て 書 き つ け る ほ か は な い よ う だ 。は じ め の 頃 い ま は も う 退 職 さ れ た 俣 野 宣 久 さ ん の も と で 、 廃 液 処 理 を 始 め た の が 昭 和 五 十 四 年 。 仕 事 の 内 容 を 大 き く 分 け れ ば 、 ( 一) 実 験 廃 液 等 の 処 理 、 ( 二) 廃 液 処 理 を 終 え た 水 ( 処 理 水 ) お よ び 下 水 の 化 学 分 析 、 の 二 つ に な る が 、 こ れ が ど っ こ い 、 マ ニ ュ ア ル やJIS の 規 格 通 り に や っ て は 、 毎 日 休 み な し に 働 い た と こ ろ で 、 全 部 の 仕 事 を こ な せ る も の で は な い 。 そ こ で 、 ま ず は 仕 事 の ス ピ ー ド ア ッ プ が 肝 心 と 、 処 理 法 や 分 析 法 の 見 直 し 作 業 に と り か か っ た 。 と い え ば 聞 こ え は い い が 、 い か に 仕 事 の 手 を 抜 く か が 重 要 な ポ イ ン ト 。 分 析 に 関 し て は 、 表 に 示 し た す べ て の 成 分 を 毎 週 一 回 は 分 析 し な け れ ば な ら な い と い う の が 下 水 道 だ 。 ほ か に も 規 制 さ れ る 成 分 は あ る が 、 金 材 技 研 で は 扱 わ な い と い う こ と で 、 分 析 し な く て も よ い と い う こ と に な っ て い た 。 こ れ ほ ど の 成 分 を 短 時 間 で 分 析 す る た め に 、 ボ ル ガ キ ッ ト 法 と い う 簡 易 分 析 法 で 、 シ ア ン 、 フ ッ 素 、 鉄 、 銅 お よ び 六 価 ク ロ ム イ オ ン を 分 析 す る こ と に し た 。 廃 液 処 理 に お い て は 分 析 の 精 度 は あ ま り 問 題 で は な い か ら 、 と い う の が 言 い 訳 で あ っ た 。 ま た 、 監 督 官 庁 で あ る 都 の 下 水 道 局 も 、 こ れ を 認 め て い た 。 と こ ろ が 、 こ れ が の ち に 問 題 を 起 こ す こ と に な っ た 。 詳 し い 話 は あ と の 章 で 。 な お 、 フ ッ 素 に 関 し て は 、 処 理 水 中 に カ ル シ ウ ム が 多 い こ と か ら 、 ボ ル ガ キ ッ ト 法 で は 誤 差 が 大 き い こ と が わ か り 、 の ち に 、 イ オ ン 電 極 法 に 切 り 替 え た 。 さ て 、 残 り の 水 銀 、 ヒ 素 、 カ ド ミ ウ ム 、 鉛 、 亜 鉛 、 マ ン ガ ン 、 総 ク ロ ム は 原 子 吸 光 法 で 、 油 分 は 赤 外 分 光 法 で 行 う こ と と し た 。 原 子 吸 光 法 で は 、 前 処 理 や 標 準 添 加 法 は 行 わ な い こ と に し た 。 も ち ろ ん 、 こ れ ら を 行 わ な く て 廃 液 処 理 室 も 誤 差 は ほ と ん ど な い こ と を 確 認 し た 上 で だ が 。 ま た 、 原 子 吸 光 法 で は 、 各 元 素 ご と に ラ ン プ の ウ ォ ー ム ア ッ プ と 検 量 線 の 作 成 に 四 十 分 ほ ど か か る が 、 一 試 料 の 分 析 に は 、 水 銀 と ヒ 素 の 分 析 を 除 け ば 、 五 ~ 十 秒 ほ ど し か か か ら な い 。 し た が っ て 、 毎 週 採 取 さ れ る 一 あ る い は 二 試 料 を 原 子 吸 光 法 で 分 析 す る の は 、 い か に も 効 率 が 悪 い 。 そ こ で 、 数 週 間 分 の 試 料 を 別 個 に 貯 め て お き 、 同 一 成 分 を 連 続 し て 分 析 す る こ と に よ っ て 大 幅 な 時 間 の 短 縮 を は か っ た 。 廃 液 処 理 で 時 間 の か か る の は 、 処 理 液 の 中 和 と 沈 殿 物 の ろ 過 で あ っ た 。 中 和 は 廃 液 処 理 装 置 が 自 動 的 に 行 っ て く れ る の だ が 、 比 例 制 御 で は な い か ら 、 少 量 づ つ 中 和 液 を 添 加 し て は pH が 安 定 す る ま で 攪 拌 を 続 け る と い う 動 作 を 繰 り 返 す 。 酸 濃 度 の 高 い 廃 液 で は 、 数 十 分 も か か っ て し ま う 。 時 に は 一 時 間 を 超 え る こ と も あ る 。 し か し 、 人 間 の カ ン は す ば ら し い 。 自 動 制 御 を や め て 、 pH の 変 化 速 度 か ら 適 当 な 中 和 液 量 を カ ン で 判 断 す る と い う 手 動 操 作 で 、 こ れ を 五 分 程 度 に 短 縮 し た 。 世 の 中 は 手 動 か ら 自 動 へ と 進 ん で い る と い う の に 、 我 が 廃 液 処 理 は 、 た だ 一 人 、 時 代 に 逆 行 し て い た の で あ る 。 沈 殿 物 の ろ 過 に 関 し て は 、 フ ィ ル タ ー プ レ ス を 急 き ょ 入 れ て も ら う こ と で 、 自 動 化 と 大 幅 な ス ピ ー ド ア ッ プ が は か れ た 。 こ れ ら の 改 善 ・ 手 抜 き と 、 の ち に � � 方 政 行 さ ん が き て く れ た お か げ で 、 月 曜 日 に 廃 液 処 理 、 金 曜 日 に 分 析 を す る だ け で 、 間 の 日 は か な り 研 究 を す る こ と が で き る よ う に な っ た 。 シ ア ン 始 末 記 廃 液 処 理 を 始 め た 年 で あ っ た ろ う か 、 下 水 か ら シ ア ン が 検 出 さ れ る と い う こ と が 数 回 あ っ た 。 そ ん な と き 、 下 水 道 局 の 立 入 検 査 が あ り 、 シ ア ン が 下 水 に 流 れ な い よ う な 対 策 を 立 て る よ う 指 導 さ れ た 。 そ の 昔 は と も か く 、 当 時 で は 、 す で に シ ア ン を 使 用 す る 研 究 は あ ま り な く な っ て い る 。 そ こ で 、 シ ア ン 検 出 の な ん ら か の 原 因 は 簡 易 分 析 法 に あ る の で は な い か と 考 え て 、 下 水 道 に 流 さ れ る 代 表 的 な 物 質 で あ る 洗 濯 用 洗 剤 の 水 溶 液 を 、 簡 易 分 析 法 で 分 析 し て み た 。 こ の 予 想 は ピ タ リ と 当 た っ た 。 洗 剤 に は シ ア ン は 含 ま れ て い な い に も 関 わ ら ず 、 シ ア ン が 検 出 さ れ た の で あ る 。 つ ま り 、 こ の 簡 易 分 析 法 で は シ ア ン と 洗 剤 を 区 別 す る こ と は で き な い の だ 。 下 水 道 局 に は 、 こ の 分 析 結 果 と 、 シ ア ン を 蒸 留 し て か ら 分 析 す る と い う 簡 易 分 析 法 の 採 用 を 報 告 を し て 、 一 件 は 落 着 し た 。 金材技研(目黒)における 水質規制及び測定項目 *現在は一部改正されています。 *つくばは水源地域なので、規制値は ほぼ10倍厳しい。 項目名 規制値、ppm 水 銀 ヒ 素 鉄 銅 亜 鉛 マンガン カドミウム 鉛 六価クロム 総クロム フッ素 シアン (油分) pH 0.005 0.5 10 3 5 10 0.1 1 0.5 2 15 1 30 (5 ― 9 ) 困 っ た 水 銀 表 に み る よ う に 、 水 俣 病 の 影 響 か 、 分 析 感 度 が よ す ぎ る せ い か 、 水 銀 イ オ ン の 規 制 値 は ほ か の 重 金 属 イ オ ン に 比 べ て 二 ~ 三 桁 厳 し い 。 そ こ で 、 誰 か が 知 ら ず に 、 あ る い は こ っ そ り 、 少 量 の 水 銀 廃 液 を 下 水 に 流 す と そ れ が 分 析 結 果 に 現 れ て く る 。 あ る 時 期 に は ほ と ん ど 毎 週 の よ う に 、 下 水 か ら わ ず か な 水 銀 が 検 出 さ れ た の で ま い っ た 。 何 度 か 注 意 の 放 送 を し た り 、 健 康 安 全 委 員 会 で 水 銀 廃 液 を 流 さ な い よ う に お 願 い し た が 、 二 ~ 三 ヶ 月 は 水 銀 の 検 出 が 続 い た と 思 う 。 ま た 、 そ の 後 も 、 思 い 出 し た よ う に 水 銀 が 検 出 さ れ る こ と が あ っ た 。 も う 一 つ 困 っ た の は 、 実 験 廃 液 を 処 理 し て 有 害 金 属 イ オ ン が 残 っ て い な い は ず の 処 理 水 か ら 、 水 銀 イ オ ン が 検 出 さ れ る こ と が あ っ た こ と だ 。 水 銀 イ オ ン ( 塩 ) を 含 む と 表 示 さ れ た 廃 液 は 、 規 制 値 が 厳 し い た め 、 そ れ 以 外 の 廃 液 と 分 け て 処 理 し 、 水 銀 処 理 水 と し て 別 に 貯 留 し て い た 。 し た が っ て 、 処 理 水 中 か ら 水 銀 イ オ ン が 検 出 さ れ た の は 、 表 示 さ れ て い な い に も 関 わ ら ず 、 水 銀 イ オ ン を 含 有 す る 廃 液 が あ っ た わ け で あ る 。 そ こ で 、 や む を 得 ず 、 持 ち 込 ま れ る す べ て の 実 験 廃 液 の 水 銀 イ オ ン を 分 析 し て か ら 処 理 す る こ と に し た 。 水 銀 イ オ ン の 分 析 は 原 子 吸 光 法 で 行 う が 、 規 制 値 の 厳 し さ の た め に 、 通 常 の 元 素 の 分 析 よ り 手 間 の か か る 還 元 気 化 法 と い う 分 析 法 に よ る ほ か な く 、 こ れ 以 後 は 、 廃 液 処 理 に そ れ ま で よ り も 時 間 が か か る こ と に な っ た 。 な お 、 実 験 廃 液 を 分 析 し て い て わ か っ た の は 、 飽 和 カ ロ メ ル 電 極 を 使 っ た 電 解 液 な ど の 中 か ら は 、 お よ そ 〇 ・ 一 か ら 数 ppm 程 度 の 水 銀 イ オ ン が 検 出 さ れ る こ と で あ っ た 。 こ の 値 は 規 制 値 を か な り 越 え て お り 、 飽 和 カ ロ メ ル 電 極 の 使 用 は 望 ま し い こ と で は な い 。 そ の 代 わ り と し て 銀― 塩 化 銀 電 極 を 使 っ た 方 が い い 。 し か し 、 電 極 反 応 関 係 の 機 器 の 製 造 業 者 に 聞 い た と こ ろ で は 、 多 く の 研 究 者 が 飽 和 カ ロ メ ル 電 極 を 望 ん で お り 、 そ の 業 者 も 銀 ― 塩 化 銀 電 極 は 扱 っ て い な い と い う 。 あ き れ た の は 、 彼 ら が な ぜ 飽 和 カ ロ メ ル 電 極 を 使 う か の 理 由 で あ っ た 。 新 た に 銀 ― 塩 化 銀 電 極 を 使 う と 、 そ れ ま で の 実 験 デ ー タ と の 整 合 性 が な く な る と い う の だ そ う で あ る 。 し か し 、 単 純 に 足 し 算 す る だ け で デ ー タ を 整 合 さ せ る こ と が で き る の だ 。 足 し 算 を 億 劫 が っ て 、 わ ず か な と は い え 、 水 銀 汚 染 の 片 棒 を 担 ぐ の は ど う い う も の か 。 魔 法 の 水 作 業 を し て い て 発 見 す る こ と が あ る 。 そ の 中 の 一 つ が 魔 法 の 水 だ 。 フ ッ 酸 や リ ン 酸 な ど を 高 濃 度 に 含 ん だ 廃 液 で は 、 中 和 処 理 後 に 凝 集 剤 を 添 加 し て も 、 コ ロ イ ド 状 の 沈 殿 が 凝 集 し に く い 。 凝 集 し て い な い 沈 殿 は フ ィ ル タ ー プ レ ス を 抜 け て し ま う の で 、 処 理 水 中 に 沈 殿 が 残 っ て し ま う 。 そ う な っ て は 失 敗 だ 。 実 際 の 実 験 廃 液 の 処 理 で は 、 凝 集 し に く い 廃 液 か 否 か は 前 も っ て 推 定 で き な い こ と が ま ま あ る 。 中 和 処 理 後 に 凝 集 剤 を 加 え て も 沈 殿 が 凝 集 し な か っ た 場 合 、 処 理 中 の 液 の 半 量 を 装 置 か ら 抜 き 出 し て そ の 分 だ け 水 を 加 え て 希 釈 す る と と も に 、 酸 を 添 加 し て pH を 下 げ て か ら 塩 化 第 二 鉄 を 加 え た の ち 、 中 和 処 理 を し 直 す 。 水 を 加 え る の は 塩 の 濃 度 が 高 く て 凝 集 し に く い 状 態 の コ ロ イ ド 状 物 質 を 凝 集 し や す く す る た め で あ り 、 塩 化 第 二 鉄 を 加 え る の は 中 和 処 理 の 際 に 水 酸 化 第 二 鉄 を 生 成 さ せ 、 共 沈 効 果 に よ り 凝 集 作 用 を 高 め る た め で あ る 。 あ る 時 、 凝 集 し に く い 液 を サ イ フ ォ ン で バ ケ ツ に 抜 き 出 し て い る 際 に 、 不 思 議 な こ と が 起 こ っ た 。 抜 き 出 し て い る 液 の コ ロ イ ド が 、 バ ケ ツ の 中 で ど ん ど ん 凝 集 し て い く の だ 。 原 因 が サ イ フ ォ ン か バ ケ ツ に あ る の は 明 ら か で あ っ た 。 し か し 、 そ れ ま で 何 度 も 同 じ サ イ フ ォ ン や バ ケ ツ を 使 っ て い た が 、 こ ん な 現 象 は 起 き た こ と が な い 。 と す れ ば 、 こ れ ら を そ の 直 前 に 何 に 使 っ た か 、 そ こ に 原 因 が 隠 さ れ て い る は ず だ 。 こ の と き は 、 こ れ ら は 二 次 処 理 水 を 採 取 す る の に 使 っ て い た の で あ っ た 。 そ れ で 原 因 が わ か っ た 。 二 次 処 理 水 は カ ル シ ウ ム イ オ ン を 多 く 含 ん で い る が 、 こ の よ う な 多 価 の 陽 イ オ ン は 凝 集 剤 と コ ロ イ ド な ど の 架 け 橋 的 な 役 割 を 果 た す こ と が 知 ら れ て い る か ら で あ る 。 つ ま り 、 バ ケ ツ の 底 に 残 っ て い た 二 次 処 理 水 中 の カ ル シ ウ ム イ オ ン が 凝 集 効 果 を 高 め た の で あ る 。 二 次 処 理 水 の 代 わ り に 塩 化 カ ル シ ウ ム 溶 液 を 使 っ て も 、 同 じ 効 果 が 得 ら れ た 。 そ れ 以 後 、 奇 特 な 効 果 を 顕 す 塩 化 カ ル シ ウ ム 溶 液 を 魔 法 の 水 と 呼 ん だ の で あ る 。 そ の の ち 、 塩 化 カ ル シ ウ ム 溶 液 よ り も 塩 化 亜 鉛 溶 液 の 方 が 多 く の 場 合 に 凝 集 効 果 が 強 い こ と が わ か り 、 こ れ を 第 二 魔 法 の 水 と し て 多 用 し た 。 廃 液 処 理 に 関 し て は 、 俣 野 さ ん 、 � � 方 さ ん や 歴 代 の 安 全 係 の 人 々 の こ と 、 庶 務 課 と 併 任 で あ っ た か ら 、 多 く の 庶 務 課 の 人 々 と 秋 の 旅 行 や 忘 年 会 な ど を と も に し た こ と 、 鉛 イ オ ン 、 あ る い は E D T A な ど の 有 機 系 錯 化 剤 を 含 む 廃 液 処 理 の 苦 労 、 つ く ば 移 転 の 際 の 大 量 の 不 用 試 薬 の 持 ち 込 み の こ と な ど 、 ま だ ま だ 話 題 は 尽 き な い が 、 あ ま り 長 い 駄 文 は 飽 き ら れ る の で 、 こ の 辺 で 筆 を お き た い 。 ( 反 応 制 御 研 究 部 ) 廃水の安全基準を確認する原子吸光分析 こ ん な 行 事 も あ り ま し た 創 立 十 周 年 記 念 講 演 会 の 舞 台 裏 古 林 英 一 研 究 所 の 創 立 十 周 年 を 前 に 管 理 庁 舎 が 完 成 し た 。 当 時 の 新 聞 の コ ラ ム に 、 こ の 完 成 に 当 時 の 橋 本 所 長 が ご 機 嫌 で あ る と い う 記 事 が 掲 載 さ れ て い た の を 覚 え て い る 。 こ の 三 階 の 大 会 議 室 ( 講 堂 ) を 使 い 、 海 外 か ら 代 表 的 な 学 者 を 七 ~ 八 名 招 い て 記 念 講 演 会 を 行 う こ と に な っ た 。 全 所 を 動 員 し た 大 変 な 行 事 で あ っ た 。 入 所 し て 九 年 目 の 年 に 当 た る 私 に 与 え ら れ た 仕 事 は 、 講 演 会 の 会 場 係 で あ っ た 。完 成 し た と い っ て も 管 理 庁 舎 の 細 部 の 仕 上 げ は 未 完 成 の と こ ろ が あ り 、 大 会 議 室 に は 未 だ 映 写 用 ス ク リ ー ン が 取 り 付 け ら れ て い な か っ た 。 記 念 講 演 会 に 間 に 合 う よ う ス ク リ ー ン を 取 り 付 け る こ と に な っ た が 、 ど の よ う な 仕 様 の も の を つ け た ら よ い か 、 会 場 係 と 事 務 方 の 間 で 議 論 が あ っ た 。 私 は 当 時 、 写 真 を で き る だ け 大 き く 上 映 し 、 提 示 効 果 を 最 大 に 引 き 出 す 電 子 顕 徴 鏡 学 会 の 発 表 形 式 に 魅 せ ら れ て い た の で 、 ス ク リ ー ン は で き る だ け 大 型 で 、 し か も 左 右 二 つ の 画 面 を 同 時 ま た は 交 互 に 上 映 で き る 横 長 の ス ク リ ー ン を つ け る べ き で あ る と の 意 見 を 主 張 し た よ う に 思 う 。 当 時 会 計 課 長 だ っ た 榊 原 さ ん が そ の 場 に お ら れ 、 「( 私 に 向 か っ て ) あ な た は 詳 し そ う だ か ら 手 伝 っ て ほ し い 。 ( 部 下 に 向 か っ て ) こ の 人 の い う よ う な も の が つ く よ う 、 話 を 良 く 聞 い て 発 注 す る よ う に … … 」 と 指 示 を 出 さ れ た 。 私 の よ う に 若 い 研 究 員 の 意 見 に も 耳 を 傾 け て 下 さ る 管 理 部 の 幹 部 が お ら れ る こ と に い た く 感 動 し 、 ま た 責 任 を 感 じ た こ と を 記 憶 す る 。 実 際 に は 残 念 な が ら 、 大 会 議 室 に は 映 写 室 か ら の 映 写 光 線 を 遮 る 板 が ス テ ー ジ 周 り に 設 置 さ れ て お り 、 思 っ た ほ ど の 大 き さ の ス ク リ ー ン は 無 意 味 と わ か っ た が 、 そ れ で も そ の 範 囲 で 最 大 限 の も の を つ け る こ と が で き た 。 こ れ が 、 今 回 の つ く ば 移 転 ま で 二 十 八 年 間 に わ た り 様 々 な 講 演 会 に 使 わ れ て き た 、 ご 存 じ の 目 黒 の 大 会 議 室 の ス ク リ ー ン の 設 置 経 緯 で あ る 。 海 外 か ら の 参 加 者 に は そ れ ぞ れ V I P の エ ス コ ー ト 役 が 指 名 さ れ 、 私 の 所 属 し た 金 属 物 理 研 究 部 で は 本 多 龍 吉 さ ん が 米 国 G E 社 に 所 属 す る 物 理 冶 金 学 の 権 威D avid Turnbull の エ ス コ ー ト を 担 当 し た と 記 憶 す る 。Turnbull は 当 時 の 珪 素 鉄 の 二 次 再 結 晶 の イ ン ヒ ビ タ ー 効 果 に 関 す る 有 名 なM ay― Turnbull の 論 文 や 、 合 金 の 析 出 の 研 究 な ど で 我 々 に も な じ み が 深 か っ た が 、 と て も 気 難 し そ う で う っ か り 冗 談 も 言 え な い 取 り 付 き に く い 印 象 が あ っ た 。 こ の 人 は そ の 後 、 非 晶 質 材 料 の 先 駆 的 研 究 で 第 一 回 日 本 国 際 賞 を 受 賞 し た こ と で も 我 々 の 記 憶 に 新 し い 。 フ ラ ン ス の 高 純 度 材 料 研 究 の 大 御 所 、C N R S のM . G . C haudron の 都 合 が 悪 く 、 代 わ っ て 招 待 講 演 を O . D im itrov が 行 っ た が 、 こ の 人 と は 専 門 が 共 通 の 再 結 晶 で あ る こ と も あ り 、 そ の 後 も 交 流 が あ る 。 輝 く よ う な 貴 族 的 容 貌 の 持 ち 主 ( 本 多 龍 吉 さ ん の 評 ) で あ り 、 当 時 あ こ が れ を 抱 い て 見 て い た こ と を 記 憶 す る 。 そ れ か ら 三 年 ほ ど 経 過 し て 、 超 高 圧 電 子 顕 微 鏡 に よ る 高 純 度 ニ ッ ケ ル の 再 結 晶 の 研 究 の た め 、 私 の と こ ろ に 一 年 間 留 学 し たPier­ re M erklen はD im itrov の 教 え 子 で あ っ た 。M erklen の 金 材 技 研 滞 在 で は 、 吉 田 秀 彦 さ ん 、 西 島 敏 さ ん 、 川 崎 要 造 さ ん 、 菊 池 武 丕 児 さ ん な ど に い ろ い ろ 助 け て い た だ い た 。 D im itrov は 実 は 専 門 以 外 に も 私 と 多 く の 類 似 点 を 持 つ こ と をM erklen か ら 聞 き 、 驚 く と と も に 親 近 感 を 感 じ た 。 ま ず 私 と 同 年 齢 で あ る こ と 、 と す る と 、 三 十 一 歳 く ら い で 記 念 講 演 会 で の 招 待 講 演 を 見 事 に や っ て の け た こ と に な る 。 論 文 原 稿 の 作 成 段 階 で 、 ワ ー プ ロ が な い 当 時 、 行 っ て い た 「 原 稿 の 切 り 張 り 」 の や り 方 ま で 私 と そ っ く り で あ る と い う 。 D im itrov 夫 妻 と は 最 近 、 国 際 会 議 な ど で 会 う 機 会 が 何 度 か あ り 、 今 年 ( 一 九 九 四 年) の 六 月 北 九 州 市 で 開 催 さ れ た 高 純 度 ベ ー ス メ タ ル 国 際 会 議 で も 基 調 講 演 を 行 う た め 来 日 し た 折 に も 話 を す る 機 会 が あ っ た 。 し か し 寄 る 年 波 に は 勝 て ず 、 貴 公 子 の よ う な さ わ や か な 面 影 は も は や 薄 れ て い た が 、 他 人 事 と は 思 え な か っ た 。 話 を 十 周 年 記 念 行 事 に 戻 し て 、 港 区 白 金 の 八 芳 園 を 会 場 に 、 こ れ ら の 外 国 か ら の 賓 客 な ど を 招 い て 祝 賀 会 が 催 さ れ る こ と に な っ た 。 大 久 保 彦 左 衛 門 の 屋 敷 跡 と い う 八 芳 園 の 壮 大 な 日 本 庭 園 は 、 祝 賀 会 の 会 場 の 雰 囲 気 を 大 い に 盛 り 上 げ た が 、 金 材 技 研 と 会 場 の 間 は 若 干 距 離 が あ る た め 、 来 賓 や 幹 部 職 員 を 輸 送 す る た め に レ ン タ ル の マ イ ク ロ バ ス を 用 意 し 、 当 日 ト ラ ブ ル を 起 こ さ な い よ う に 運 転 を 担 当 す る 職 員 が 走 行 練 習 を 連 日 繰 り 返 し て い た の を 記 憶 し て い る 。 し か し 八 芳 園 に は 当 日 、 私 た ち 一 般 職 員 は 歩 い て い っ た 記 憶 が あ る 。 さ て 、 私 の 担 当 は 記 念 講 演 会 会 場 で の ス ラ イ ド 上 映 の 準 備 を す る こ と で あ っ た 。 最 近 は O H P が 使 わ れ る こ と が 多 く な っ た が 、 当 時 の 講 演 資 料 は ほ と ん ど ス ラ イ ド に よ っ て い た の で 、 こ の 仕 事 は 非 常 に 重 要 で あ っ た 。 講 演 者 に よ っ て は 十 六 ミ リ の 映 画 を 用 い る の で 、 こ れ に 関 し て は 造 詣 が 深 い 腐 食 研 究 部 の 清 水 さ ん に 担 当 し て 戴 い た 。 当 初 無 声 フ ィ ル ム を 想 定 し て い た が 、 講 演 者 が 持 参 し た フ ィ ル ム に は 迫 力 の あ る 音 が 入 っ て お り 、 慌 て た が う ま く 上 映 で き た と き は ほ っ と し た 。 完 成 し た 管 理 庁 舎 の 大 会 議 室 に は 、 よ く ご 存 じ の よ う に 、 会 場 の 後 ろ に 立 派 な 映 写 室 が 設 け ら れ て お り 、 そ こ か ら ス ラ イ ド を 上 映 し た い と 考 え た 。 し か し 、 当 時 、 手 持 ち の ス ラ イ ド 映 写 機 は ど れ も も っ と 近 い 距 離 で の 上 映 を 対 象 に し た も の し か 研 究 所 に は な か っ た 。 映 写 レ ン ズ の 焦 点 距 離 が 短 か す ぎ る の で 、 う し ろ か ら の 上 映 で は 画 面 が ス ク リ ー ン の 何 倍 も の 大 き さ に な っ て し ま う 。 映 写 室 か ら 上 映 で き な い こ と に な る と 、 格 好 が 悪 い が 会 場 の 中 央 部 に 映 写 機 を 置 く 台 を 持 ち 込 ん で 上 映 す る ( 最 近 ま で 金 材 技 研 で や っ て い た ) 方 法 を 採 用 せ ざ る を 得 な い 。 こ れ は 目 障 り で あ り 、 せ っ か く で き た ば か り の 新 し い 会 場 も 台 無 し で あ る 。 な ん と か 映 写 室 か ら 上 映 で き る 映 写 機 は な い も の か … … 、 い ろ い ろ 関 係 者 に 問 い 合 わ せ た が そ の よ う な 商 品 は 市 販 さ れ て い な い こ と も わ か っ た 。 市 販 の カ メ ラ 用 交 換 レ ン ズ を 加 工 す る こ と も 考 え た が 、 そ の 時 間 が 無 か っ た し 、 う ま く い く 保 証 も な い 。 残 念 で あ る が あ き ら め て 手 持 ち の 映 写 機 を 使 う こ と に 決 め よ う と し た と き で あ っ た 。 天 の 助 け か 、 そ こ に 耳 寄 り な 情 報 が 寄 せ ら れ た 。 写 真 器 材 の 大 沢 商 会 か ら 、 「 そ の よ う な 目 的 の 長 焦 点 の 映 写 レ ン ズ な ら 、 小 穴 純 が 設 計 し 、 日 本 光 学 が 製 作 し た 特 製 の レ ン ズ を 装 着 し た ス ラ イ ド 映 写 機 が 日 本 に 三 台 あ り 、 そ の う ち の 一 台 が 東 京 プ リ ン ス に あ る 」 と い う も の で あ っ た 。 小 穴 純 は 当 時 、 オ プ テ ィ ッ ク ス で 有 名 な 東 大 教 授 で あ っ た 。 こ の 情 報 を も と に 港 区 芝 の 東 京 プ リ ン ス ホ テ ル に 早 速 電 話 し 、 借 用 の 約 束 を 取 り 付 け る こ と が で き た と き は 半 信 半 疑 で あ っ た 。 当 方 が 国 立 研 究 所 職 員 と い う こ と で 信 用 が あ り 、 私 の 名 刺 と 自 筆 の 借 用 書 を 預 け た が 使 用 料 は い ら な い と い わ れ た よ う に 記 憶 す る 。 し か し 日 本 に 三 台 し か な い よ う な 貴 重 な 品 を も し 壊 し た ら ど う し よ う か 思 案 し 、 会 期 中 に も 気 を 使 っ た 。 何 事 も な く 無 事 に 返 却 で き た 時 に は ほ っ と し た 記 憶 が あ る 。 こ う し て 、 映 写 装 置 が 見 え な い す っ き り し た 新 会 場 で の 記 念 講 演 会 が 実 現 し た 。 上 映 効 果 も ま ず ま ず で あ っ た 。 こ の 小 穴 純 ― ニ コ ン 映 写 機 は 今 で も 東 京 プ リ ン ス ホ テ ル に あ る の だ ろ う か 。 貴 重 品 の 借 用 を 無 条 件 で 認 め て く れ た 担 当 責 任 者 は 今 ど う し て い る だ ろ う か 、 増 上 寺 の 前 を 通 る 度 に 今 で も 時 折 思 い 出 す こ と が あ る 。 ち な み に 筑 波 に 移 転 し た 金 材 技 研 の 新 し い 国 際 会 議 が 可 能 な 第 一 会 議 室 に は 、 映 写 室 の 前 か ら ス ク リ ー ン に 直 接 上 映 で き る 、 ズ ー ム レ ン ズ 付 き の 最 新 の 映 写 機 が 装 備 さ れ て い る 。 こ の 映 写 効 果 は 東 京 プ リ ン ス か ら 借 用 し た 映 写 機 よ り す ば ら し い 。 当 時 を 振 り 返 っ て 、 ス ク リ ー ン の 仕 様 や 映 写 室 か ら 上 映 可 能 な 映 写 機 に 凝 る な ど 、 研 究 所 に と っ て は お そ ら く 大 し て 重 要 で は な く 、 単 に 自 己 満 足 で し か な か っ た こ と に も 情 熱 を 持 っ て 対 応 し た 、 若 き 日 の 自 分 に 苦 笑 す る ば か り で あ る 。 ( 反 応 制 御 研 究 部 S 3 2 ・4 ・1 ~ H 7 ・ 3 ・3 1 ) 創 立 十 周 年 記 念 文 化 祭 の 思 い 出 小 川 弘 昭 和 四 十 一 年 七 月 九 日 土 躍 日 、 管 理 庁 舎 三 階 講 堂 で 金 材 研 創 立 十 周 年 記 念 文 化 祭 が 開 催 さ れ 、 午 後 一 時 か ら 職 員 に よ る 演 芸 大 会 が 、 ま た 同 六 時 か ら ダ ン ス パ ー テ ィ が 行 わ れ ま し た 。 こ の 記 念 文 化 祭 は 、 職 員 有 志 が 主 催 し た も の で あ り 、 研 究 所 の 正 規 の 行 事 で は あ り ま せ ん 。 ご 承 知 の 方 も 多 い と 思 い ま す が 、 金 材 研 は 創 立 十 周 年 記 念 行 事 と し て 国 内 外 の 研 究 者 を 招 き 研 究 講 演 会 を 開 催 し た の で す が 、 そ の 資 金 は 民 間 企 業 か ら の 賛 助 金 で あ っ た と 聞 い て お り ま す 。 橋 本 所 長 は 、 こ の 賛 助 金 の 一 部 を 職 員 が 企 画 す る 記 念 イ ベ ン ト に 振 り 向 け て も 良 い と 考 え 、 こ の こ と を 秘 書 の 栗 林 さ ん に 伝 え た の が 事 の 始 ま り で す 。 彼 女 は 同 郷 の 誼 な の か 私 に こ の 話 を 持 ち 込 ん で き ま し た 。 栗 林 さ ん の 言 に よ る と 、 橋 本 所 長 は ド イ ツ の マ ッ ク ス プ ラ ン ク 研 究 所 な ど で 経 験 し た 「 お 祭 り 」 が 印 象 深 く 、 金 材 研 で も 実 現 さ せ た い と 考 え て い る 様 子 で あ る と の こ と 。私 は こ の 話 を 聞 き 、 単 純 に 高 校 や 大 学 で 催 す 「 文 化 祭 」 の こ と を 思 い 浮 べ て い た が 、 期 せ ず し て 栗 林 さ ん と イ メ ー ジ が 一 致 し て い た こ と も あ り 、 話 は と ん と ん 拍 子 で 進 み ま し た 。 記 念 文 化 祭 と す る イ ベ ン ト の ネ ー ミ ン グ 、 催 し 物 は 職 員 に よ る 演 芸 大 会 と ダ ン ス パ ー テ ィ に す る こ と な ど 。 私 は こ の 日 の 夜 、 靖 心 寮 の 仲 間 達 に こ の こ と を 開 会 の 挨 拶 防衛庁音楽隊 説 明 し 、 全 面 協 力 の 確 約 を と り ま し た 。 こ の 時 、 仲 間 の 一 人 が 「材 料 強 度 研 究 部 の 福 原 さ ん は 、 大 学 の ク ラ ブ で バ ン ド を や っ て い た の で ギ タ ー は セ ミ プ ロ 、 発 起 人 に 引 き 摺 り 込 ん で お く と 何 か と 便 利 で あ る 」 と の 貴 重 な 助 言 を 得 、 翌 朝 彼 の 研 究 室 へ 出 向 き 協 力 を お 願 い し 快 諾 を 得 ま し た 。 一 方 栗 林 さ ん は 、 科 学 研 究 官 付 の 川 住 ( 順 ) さ ん と 金 属 物 理 研 究 部 の 岡 本 さ ん を 誘 い 、 発 起 人 は 五 人 と な り 、 準 備 作 業 開 始 で す 。 準 備 の 途 中 、 職 員 会 ( 現 職 員 組 合 の 前 身 ) か ら 「 職 員 会 の 主 催 に す べ き で は な い か 」 と の ク レ ー ム が つ い た の で す が 、 資 金 源 な ど か ら 職 員 会 が 主 催 す る の は 適 当 で は な い の で 、 「 協 力 」 を お 願 い す る こ と と し 、 合 意 を 得 ま し た 。 文 化 祭 、 と り わ け 演 芸 大 会 の 成 否 は エ ン タ ー テ ー ナ ー を 数 多 く 集 め る こ と に 掛 か っ て い る と 考 え 、 私 達 は 、 テ ニ ス 部 、 野 球 部 、 バ レ ー 部 に 団 体 出 演 を お 願 い す る と と も に 、 各 研 究 部 を 廻 り 隠 れ た 芸 能 人 の 発 堀 に 努 め ま し た 。 そ の 効 果 で し ょ う か 、 募 集 締 切 り 前 に 、 歌 は も と よ り 、 演 劇 、 奇 術 、 楽 器 演 奏 な ど な ど い ろ い ろ な ジ ャ ン ル か ら 出 演 申 込 み が あ り 、 私 達 は う れ し い 悲 鳴 を あ げ ま し た 。 演 芸 大 会 へ 出 演 す る 人 達 は 毎 日 仕 事 を 忘 れ て ( ? ) 練 習 に 励 ん だ の で す 。 ま た 、 ポ ス タ ー が 張 り 出 さ れ て か ら 、 研 究 所 内 は し ば ら く の 間 記 念 文 化 祭 の 話 で 持 ち 切 り だ っ た と 聞 い て い ま す 。 し か し 、 こ の 後 難 問 を 抱 え る こ と に な っ た の で す 。 舞 台 で す 。 建 設 業 者 に 頼 ん で 講 堂 の ス テ ー ジ を 広 く 高 く す る 計 画 だ っ た の で す が 、 業 者 の 見 積 り を み て び っ く り 。 予 算 の 半 分 以 上 の 費 用 が 掛 か る の で す 。 こ の た め 外 注 は 急 き ょ 取 り 止 め で す 。 そ こ で 思 い つ い た の が 、 研 究 室 に あ る 実 験 台 の 利 用 で す 。 化 学 と 物 理 庁 舎 か ら 重 い 実 験 台 を 御 神 輿 よ ろ し く ワ ッ シ ョ イ ! ワ ッ シ ョ イ ! ス テ ー ジ の 上 に 並 べ て 、 縄 と 針 金 で ガ ッ チ リ 結 び ま し た 。 そ し て 専 門 業 者 か ら 借 り た 幕 を 取 り 付 け 完 成 。 そ の 出 来 栄 え に 、 私 達 は 思 わ ず バ ン ザ イ 三 唱 。 舞 台 づ く り の 費 用 が 結 果 的 に は 当 初 の 予 算 を 大 き く 下 回 っ た の で 、 文 化 祭 へ 参 加 す る 職 員 の 皆 さ ん に 当 日 〝 お 弁 当 〟 を サ ー ビ ス す る こ と が で き ま し た 。 文 化 祭 の 当 日 の 天 気 は 薄 曇 り 。 正 午 過 ぎ 、 厳 め し い 制 服 に 身 を 包 ん だ 陸 上 自 衛 隊 音 楽 隊 の 到 着 で す 。 文 化 祭 を 一 気 に 盛 り 上 げ る た め に 特 別 に お 願 い し た も の で す 。 音 ハ ワ イ ア ン 祝辞 楽 隊 に は 文 化 祭 の オ ー プ ニ ン グ に 先 立 っ て 、 管 理 庁 舎 前 で 演 奏 し て い た だ く の で す 。 こ れ は 所 内 の 皆 さ ん へ の オ ー プ ニ ン グ の お 知 ら せ と 、 隣 り の 病 院 の 看 護 婦 さ ん を ダ ン ス パ ー テ ィ へ お 誘 い す る た め の 演 出 で も あ る の で す 。音 楽 隊 に よ る 演 奏 が 始 ま っ た と き 、 私 は 、 準 備 万 端 と と の っ た と い う 気 持 ち の 中 に も 一 抹 の 不 安 が よ ぎ り 、 あ れ こ れ と 思 い を 巡 ら し て い ま し た 。 「 そ う だ 、 こ の ま ま 音 楽 隊 を 帰 す の は 惜 し い 。 舞 台 で 再 演 し て も ら う こ と に し よ う 」 音 楽 隊 の 演 奏 が 終 わ る の を 待 っ て 指 揮 者 に お 願 い し ま し た 。 二 つ 返 事 で オ ー ケ ー が で ま し た 。 午 後 一 時 、 会 場 は 満 席 、 入 口 付 近 に 立 っ て い る 人 も 大 勢 い ま す 。 二 十 六 名 の 音 楽 隊 が 壇 上 へ 。 壮 観 で あ る 。 一 瞬 静 ま り 返 っ た 会 場 に 勇 壮 な リ ズ ム が 流 れ る 。 演 奏 を 聞 い て い る 職 員 の 顔 は 笑 顔 。 演 奏 を 終 え た 陸 上 自 衛 隊 音 楽 隊 に 拍 手 喝 采 が 送 ら れ ま し た 。 い よ い よ 文 化 祭 演 芸 大 会 の 開 会 で す 。 発 起 人 を 代 表 し 、 小 川 が 開 会 の あ い さ つ 。 引 き 続 き 、 橋 本 所 長 か ら 祝 辞 を い た だ き 、 セ レ モ ニ ー は 終 わ り 。 ト ッ プ バ ッ タ ー の 登 場 で す 。 順 に プ ロ グ ラ ム を 捲 っ て い き ま し ょ う 。 な お 、 歌 の 伴 奏 は 、N H K か ら 、 ア コ ー デ ィ オ ン 、 シ ャ ミ セ ン 、 尺 八 の 専 門 の 方 々 を 派 遣 し て い た だ き ま し た 。 1 、 ハ ワ イ ア ン ギ タ ー 福 原 ( 材 強) 、 太 田 口 ( 材 強) 、 西 村( 工 業 化) 、 鰐 川 ( 製 治) ・ ウ ク レ レ 岩 田 ( 庶 務) ・ ボ ー カ ル 加 藤 ( 溶 接) ギ タ ー の 名 手 福 原 さ ん が 率 い る グ ル ー プ 。 見 事 な チ ー ム ワ ー ク で 、 ハ ワ イ ア ン な ど を 楽 し く 開 か せ て く れ ま し た 。 な お 、 リ ー ダ ー の 福 原 さ ん と メ ン バ ー の 一 人 で あ る 岩 田 さ ん は 、 こ の 演 芸 大 会 が 縁 と な り 、 生 涯 の 伴 侶 と な り ま し た 。 2 、 ギ タ ー 演 奏 石 原 ( 腐 食) 外 一 名( 友 情 出 演) い つ も の ペ ー ス で 、 静 か に 、 そ し て ゆ っ た り と 名 曲 を 奏 で る 石 原 さ ん 。 3 、 ハ ワ イ ア ン ウ ク レ レ 斎 藤 ( 非 鉄) ・ ボ ー カ ル 吉 岡 ( 非 鉄) 野 球 部 の バ ッ テ リ ー が こ こ で も 名 コ ン ビ 。 い か に も 場 慣 れ し て い る と い う 感 じ で す 。 4 、 尺 八 川 崎 ( 物 理) 川 崎 さ ん は 、 尺 八 を 始 め て ま だ 日 が 浅 い の で 、 音 が 出 る 程 度 と 謙 遜 し て い ま し た が 、 ど う し て ど う し て 、 聞 か せ て く れ ま し た 。 5 、 琴 志 賀 外 一 名( 友 情 出 演) 会 計 課 の 志 賀 さ ん の 妹 さ ん と そ の お 友 達 が 振 り 袖 姿 で 登 場 。 演 芸 大 会 に 彩 り を 添 え て く れ ま し た 。 6 、 ギ タ ー 演 奏 金 色 夜 叉 高 橋( 昌) ( 溶 接) ギ タ ー 大 好 き の 高 橋 さ ん 。 つ っ か え て も ニ コ ニ コ マ イ ペ ー ス 。 ご 本 人 が 一 番 楽 し そ う で し た 。 7 、 奇 術 森 本 ( 電 磁) 〝話 術 〟 で 人 を け む に 巻 く の が 得 意 な 森 本 さ ん 。 今 日 は 紐 を 自 由 に 操 る 手 品 を 披 露 。 や る も ん で す 。 8 、 歌 田 中 ( 会 計) N H K の ど 自 慢 コ ン ク ー ル に 出 た こ と が あ る と い う 実 力 派 の 田 中 さ ん 。 ド イ ツ の ク ラ シ ッ ク 音 楽 か ら 「 ア ベ マ リ ア 」 を 熱 唱 。 9 、 歌 ( 歌 謡 曲 ) 渡 辺 ( 技 術) 演 芸 大 会 に は 無 く て は な ら な い こ の 人 〝 ナ ベ さ ん 〟 。 オ ハ コ の 「 逃 げ た 女 房 」 で 会 場 は や ん や の 大 か っ さ い 。 隣 り の 病 院 の 看 護 婦 さ ん か ら テ ー プ が 投 げ ら れ ま し た 。 1 0 、 歌 ( 民 謡 ) 東 海 林( 庶 務) 、 加 藤 ( 溶 接) 民 謡 の 宝 庫 、 秋 田 県 出 身 の 二 人 が 登 場 。 か の 東 海 林 太 郎 の 血 筋 と い う 東 海 林 さ ん は 、 「秋 田 長 持 唄 」 を 、 ま た 、 歌 な ら な ん で も こ い の 田 舎 の プ レ ス リ ー こ と 加 藤 さ ん は 、 「秋 田 お ば こ 」 を 歌 い 上 げ ま し た 。 二 人 と も 伴 奏 ( シ ャ ミ セ ン & 尺 八 ) の 方 か ら お 誉 め の 言 葉 を い た だ き ま し た 。 1 1 、 歌 ( カ ン ツ ォ ー ネ ) 代 田 ( 企 画) あ ち こ ち の コ ー ラ ス 同 好 会 か ら 引 っ 張 り 凧 の 代 田 さ ん 。 本 格 派 で す 。 カ ン ツ ォ ー ネ か ら 「 カ タ リ カ タ リ 」 を 聞 か せ て く れ ま し た 。 1 2 、 劇 ― ― 現 代 版 金 色 夜 叉 ( た だ い ま 映 画 撮 影 中 )― ― キ ャ ス ト( 軟 式 庭 球 部 有 志 に よ る) 〔監 督 〕 古 賀 ( 会 計) 、 〔楽 団 〕 佐 藤 ( 化 学) 、 〔弁 士 〕 高 橋 ( 化 学) 、 〔お 宮 〕 西 田( 電 磁) 、 〔貫 一 〕 上 原 ( 非 鉄) い つ も は ま じ め こ の 上 な い 人 達 が ふ ま じ め な こ と を や る か ら お も し ろ い の で す 。 ス ト ー リ ー は 良 く 分 か ら な い の で す が 、 場 内 は 爆 笑 に つ ぐ 爆 笑 。 こ こ で 、 飛 入 り 歓 迎 の 時 間 を と り ま し た 。 ① D r . M arc Aucoutourier ( 留 学 生 。 仏 国 立 科 学 技 術 院) フ ラ ン ス か ら の 留 学 生 、 オ ク チ ュ ー リ エ さ ん で す 。 本 場 の シ ャ ン ソ ン を 聞 か せ て く れ ま し た 。 親 し み 方 、 楽 し み 方 が 上 手 で す 。 こ れ は 国 民 性 で し ょ う か 。 ② 高 橋 ( 会 計) こ の 日 の 朝 、 飛 入 り 宣 言 。 出 番 ま で に 十 二 分 に お 酒 で ノ ド を 潤 し 、 絶 好 調 。 「南 部 牛 追 唱 」 を 聞 か せ て く れ ま し た 。 ま さ に 、 プ ロ 顔 負 け で す 。 ③ 永 田 ( 会 計) 「高 橋 さ ん が 出 る な ら 自 分 も 」 と 張 り 切 っ て 参 加 し て く れ ま し た 。 オ ハ コ の 詩 吟 「会 津 白 虎 隊 」 を 手 振 り よ ろ し く 朗 朗 と う た っ て く れ ま し た 。 盆 踊 1 3 、 エ レ キ ギ タ ー エ レ キ ギ タ ー 入 倉 ( 会 計) ミ ス タ ーX & Y ( 友 情 出 演) ・ド ラ ム ミ ス タ ーZ ( 友 情 出 演) ・ ボ ー カ ル 川 瀬 ( 会 計) ロ ッ ク 調 の 激 し い リ ズ ム が 場 内 に 響 く 。 大 先 輩 の 方 々 は ビ ッ ク リ 。 若 い 人 達 は ニ ッ コ リ 。 つ い に 舞 台 の 下 で ツ イ ス ト を 踊 り だ す 若 人 。 気 が つ い た 時 に は 、 ボ ー カ ル の 川 瀬 さ ん も 舞 台 を お り て 踊 り の 輪 の 中 へ 。 み ん な 実 に 楽 し そ う で し た 。 1 4 、 歌 で つ づ る 女 の 一 生 ( ? ) 岡 沢 ( 材 強) 、 川 住 ( 庶 務) 、 栗 林 ( 庶 務) 、 長 橋 ( 庶 務) 、 野 村 ( 庶 務) 大 変 お も し ろ そ う な 演 物 で し た 。 彼 女 た ち の 一 生 に 幸 せ あ れ ! 1 5 、 民 踊 福 園 は つ き( 庶 務) 1 6 、 民 踊 振 付 福 園 は つ き ( 庶 務) ・ 踊 り 今 井 ( 特 材) 、 金 井 ( 技 術) 、 上 本 ( 会 計) 、 田 村 ( 工 業 化) 、 永 田 ( 非 鉄) 、 渡 辺 ( 会 計) 福 園 さ ん の 指 導 で 六 人 の 浴 衣 姿 の 美 女 が 見 事 な 民 踊 を 披 露 し て く れ ま し た 。 今 、 舞 台 に 〝 六 輪 の 花 〟 が 咲 い た の で す 。 福 園 さ ん は 師 匠 の 踊 り を 見 せ て く れ ま し た 。 1 7 、 劇 ― ― 金 材 技 研 五 人 男 ― ― 脚 色 、 演 出 萩 原 ( 製 治 特 研 生) ・キ ャ ス ト 〔口 上 〕 加 藤 菊 代 ( 物 理) 、 〔橋 本 所 長 〕 和 田 ( 物 理) 、 〔岩 村 科 学 研 究 官 〕 向 山 ( 工 業 化) 、 〔 戸 部 管 理 部 長 〕 渡 辺 ( 会 計) 、 〔河 田 材 試 部 長 〕 中 村 ( 工 業 化) 、 〔橋 本 守 衛 長 〕 福 沢 ( 物 理) 歌 舞 伎 狂 言 で 有 名 な 「白 波 五 人 男 」 を も じ っ た 「 金 材 研 五 人 男 」 で す 。 橋 本 所 長 、 岩 村 科 学 研 究 官 、 河 田 材 試 部 長 、 戸 部 管 理 部 長 と 橋 本 守 衛 長 の 五 人 男 の キ ャ ラ ク タ ー を 実 に 良 く 捕 ら え 、 ほ ど ほ ど に 揶 揄 し た 脚 色 も さ る こ と な が ら 、 こ れ を 演 じ た 口 上 の 加 藤 さ ん と 五 人 衆 も ま た 名 役 者 で し た 。 圧 巻 で し た 。 1 8 、 盆 踊 金 材 研 秋 田 県 人 会 、 金 材 研 美 女& 美 女 フ ィ ナ ー レ は 盆 踊 り で す 。 い つ の 間 に か 一 人 増 え 、 二 人 増 え て 大 き な 踊 り の 「 わ 」 が で き ま し た 。 実 に バ ラ エ テ ィ に 富 ん だ 、 そ し て ま た 楽 し い 演 芸 大 会 で し た 。 し か し 浮 か れ て い る 場 合 で は あ り ま せ ん 。 次 は ダ ン ス パ ー テ ィ で す 。 会 場 の 衣 替 え で す 。 芝 浦 工 大 か ら バ ン ド の 皆 さ ん が 到 着 。 そ し て ケ ー キ と ジ ュ ー ス な ど が 運 び 込 ま れ ま し た 。 で も 残 念 な が ら ダ ン ス パ ー テ ィ の こ と は 、 紙 面 の 都 合 上 、 割 愛 さ せ て い た だ き ま す 。 こ う し て 三 十 年 前 の 「遊 び 」 を 一 生 懸 命 思 い 起 こ し て い る と 、 何 故 か 自 分 が 若 返 え っ た よ う な 不 思 議 な 気 持 ち で す 。 私 達 は 日 頃 か ら 、 勤 勉 さ の 中 に 「遊 び 心 」 を 持 ち た い も の で す 。 こ の 「遊 び 心 」 こ そ 、 自 分 な ら こ う 考 え る と い っ た 既 成 概 念 に と ら わ れ な い 「自 己 主 張 」 な の で す 。 別 の 言 い 方 を す れ ば 、 好 き な こ と を 好 き な よ う に や る と い っ た 「遊 び 心 」 で も あ る と 言 え ま し ょ う 。 「遊 び 心 」 は 、 創 造 ( 研 究 ) 活 動 の 本 質 な の で す 。 ( 企 画 課 S 3 6 ・7 ・1 ~4 9 ・6 ・30 S 5 8 ・1 2 ・ 2 ~6 2 ・1 2 ・15 ) 「中 学 生 の た め の 金 属 教 室 」 の 生 い 立 ち 武 井 厚 「中 学 生 の た め の 金 属 教 室 」 は 、 現 在 当 研 究 所 に お け る 科 学 技 術 週 間 の 一 行 事 と し て 恒 例 に な っ て お り 、 好 評 を 博 し て い る が 、 そ の 生 ま れ は 約 二 十 年 前 に 遡 る 。 ほ と ん ど の 職 員 が 少 な く と も 一 、 二 回 は 担 当 者 を 経 験 し て い る だ ろ う か ら 、 そ れ ぞ れ に 思 い 出 が あ る だ ろ う 。 こ こ で は 生 い 立 ち に 的 を 絞 っ て 記 述 し よ う 。 つ い 先 日 ま で 、 そ の 記 録 は 「 委 員 会 議 事 録 」 の 形 で 手 元 に 残 っ て い た が 、 目 黒 か ら つ く ば へ の 移 転 に 際 し 、 大 方 の 書 類 を 整 理 し て し ま っ た の で 、 こ の 記 事 は お ぼ ろ げ な 記 憶 を 頼 り に 記 述 す る ほ か な い 。 誤 り が あ っ た ら ご 容 赦 い た だ き た い 。 そ の 年 、 本 庁 か ら 「 科 学 技 術 週 間 に 航 研 が 紙 飛 行 機 大 会 を 開 い て 好 評 を 得 て い る の で 、 金 材 技 研 も 地 域 住 民 を 対 象 に 何 か 行 事 を し ま せ ん か 」 と の 要 請 が あ っ た 。 た ま た ま 筆 者 は 「 研 究 講 演 会 等 委 員 会 」 の 委 員 を し て い た が 、 そ こ に そ の 問 題 が 持 込 ま れ た 。 委 員 会 の 委 員 長 は 既 に 亡 く な ら れ た 渡 辺 亮 治 部 長 で 、 メ ン バ ー は 現 在 の 小 口 科 学 研 究 官 、 す で に 退 職 さ れ た 古 林 さ ん 、 小 川 恵 一 さ ん 、 鈴 木 正 さ ん な ど 錚 々 た る メ ン バ ー で あ っ た 。 何 か 行 事 を し な く て は な ら な い こ と は 、 仕 方 が 無 い 雰 囲 気 で あ っ た 。 そ れ で は 誰 を 対 象 に 、 ど ん な こ と を す る か の 、 侃 々 諤 々 の 意 見 が 戦 わ さ れ た 。 「 誰 に 」 に 対 し て は 、 先 ず 的 を 絞 っ た 方 が や り 易 い だ ろ う と い う こ と に な り 、 主 婦 、 高 校 生 、 中 学 生 、 小 学 生 、 ど の 辺 に す べ き か の 議 論 が な さ れ た 。 結 果 は 、 最 も や り 易 い の は 、 科 学 に 興 味 を 持 ち 始 め る 「中 学 生 」 だ ろ う と の こ と で 一 致 し た 。 次 に 何 を す る か に 議 論 が 移 っ た 。 金 属 製 品 を 展 示 し た だ け で は 面 白 く な い 。 講 演 会 の よ う な こ と を し て も 、 中 学 生 は 一 生 懸 命 聞 い て く れ る だ ろ う か 。 や は り 、 子 供 た ち の 前 で 実 験 を し て み せ よ う で は な い か 、 「 そ れ も な る べ く 子 供 た ち に も 参 加 さ せ て 」 と の 意 見 に 収 束 さ れ て い っ た 。 し か し 、 慎 重 派 か ら 、 「実 験 を す る の で あ れ ば 、 火 や 薬 品 を 使 う の だ ろ う 、 も し 子 供 に 怪 我 を さ れ た ら ど う す る 」 と の 強 硬 な 反 対 論 が 出 た 。 賛 成 派 は 「 職 員 が 万 全 を 期 し て 怪 我 の 無 い よ う に 注 意 す る 、 慎 重 過 ぎ て は 面 白 い こ と が で き な い 」 と 押 切 っ た 。 実 際 に ど ん な 実 験 を す る か で も い ろ い ろ な 意 見 が 出 さ れ た 。 一 つ の 具 体 的 な 実 験 に 対 し て 、 あ る 人 は 「中 学 生 に は 難 し 過 ぎ る 」 と 言 い 、 他 の 人 は 「 や さ し 過 ぎ て 馬 鹿 に さ れ て し ま う 」 と 言 う 。 中 学 生 の 子 供 を も つ 鈴 木 さ ん は 、 子 供 の 理 科 の 教 科 書 を 借 り て き て 、 委 員 会 に 持 込 ん だ 。 い ろ い ろ な 議 論 が 重 ね ら れ て 、 焦 点 が 絞 ら れ て い っ た 。 い く つ か の 部 が 選 ば れ て 、 実 行 委 員 会 が 結 成 さ れ た 。 私 は 当 時 腐 食 部 に 所 属 し て い た の で 、 「 金 属 は 大 地 に 帰 る 」 の テ ー マ を 設 定 し た 。 テ ー マ の 内 容 は 、 「 鉱 石 が 大 地 か ら 掘 り 起 こ さ れ 精 練 ( 還 元 ) と い う 過 程 を 経 て 金 属 に な り 、 腐 食 ( 酸 化 ) に よ っ て さ び て 、 再 び 大 地 に 帰 る 」 と い う こ と で あ る 。 こ の テ ー マ の 下 に 、 多 く の 腐 食 部 員 の 助 け を 借 り て 、 い く つ か の 実 験 を 行 っ た 。 記 憶 に あ る と こ ろ で は 次 の よ う な も の で あ る 。 実 験 一 釘 を 木 工 の 松 村 さ ん か ら 貰 っ て き て 、 水 道 水 、 塩 水 、 砂 糖 水 、 酢 水 な ど に 浸 け 、 さ び 方 や さ び の 種 類 を 比 較 し た 。 実 験 二 蓚 酸 鉄 を 試 験 管 の 中 で 加 熱 す る と 、 還 元 さ れ て 細 か い 純 鉄 が で き る 。 そ れ を 斜 に し た 薬 包 紙 の 上 に ぱ ら ぱ ら と 落 と す と 、 す べ る 摩 擦 熱 で 簡 単 に 発 火 し て 燃 え る 。 こ れ は 純 粋 な 金 属 微 粒 子 が い か に 酸 化 ( さ び ) し や す い か を 示 し た 。 こ れ に は 皆 び っ く り 。 後 藤 建 次 郎 さ ん の 案 で あ っ た 。 実 験 三 防 食 を 目 的 と し た め っ き に 関 連 さ せ て 、 釘 を 硫 酸 銅 溶 液 に 浸 す と 、 イ オ ン 化 傾 向 の 差 か ら 、 一 瞬 に し て 表 面 に 銅 が 被 覆 さ れ る 。 こ れ も 瞬 間 的 に 変 化 が 現 れ て 好 評 で あ っ た 。 以 上 は 腐 食 部 の 担 当 し た も の で あ る が 、 写 真 は そ の 時 の 様 子 を 示 し て い る 。 そ の 他 に も 多 く の 部 が そ れ ぞ れ 趣 向 を 凝 ら し た 実 験 を し た 。 そ の 中 で 人 気 が あ っ た も の は 、 工 業 化 部 の 担 当 し た 鉄 を 溶 か し て 鍛 造 や 圧 延 に よ っ て 形 を 作 っ て い く 実 験 、 そ し て 材 強 部 が 担 当 し た 引 張 試 験 で 、 破 断 の 際 に 大 き な 音 が 出 る 実 験 な ど で あ る 。 上 記 の よ う に 、 中 学 生 に 興 味 を も っ て 貰 お う と 、 い ろ い ろ な 企 画 が 出 さ れ 、 多 く の 人 の 助 け を 借 り る こ と に な っ た が 、 果 た し て 実 際 の 子 供 た ち は 来 て く れ る だ ろ う か 。 地 域 の 広 報 紙 だ け で は 心 許 な い と い う こ と に な り 、 企 画 課 の 大 高 さ ん と 近 く の 目 黒 第 二 中 学 校 を 訪 問 し た 。 校 長 先 生 と 理 科 担 当 の 先 生 に お 会 い し 、 企 画 案 を 話 し た と こ ろ 、 非 常 に 興 味 を も っ て く だ さ り 、 課 外 授 業 と し て 二 年 生 を 連 れ て く る こ と に な っ た 。 結 果 的 に は 、 目 黒 二 中 の 生 徒 、 そ の 他 の 近 く の 中 学 生 、 職 員 の 子 供 た ち な ど が 参 加 し て 、 総 勢 百 人 を 越 え た と 記 憶 し て い る 。 大 成 功 で あ っ た 。 最 後 に 出 る 缶 ジ ュ ー ス も 好 評 の 原 因 で あ っ た よ う だ 。 翌 年 は 、 渡 辺 亮 治 部 長 か ら 私 が 総 責 任 者 を 任 さ れ 、 金 属 教 室 の 校 長 先 生 を 経 験 し た 。 三 年 目 は 、 労 力 の 分 担 と マ ン ネ リ の 排 除 か ら 、 ほ と ん ど の 担 当 者 が 交 代 し た が 、 工 業 化 部 の 溶 解 と 材 強 部 の 引 張 試 験 は 継 続 さ れ た 。 あ れ か ら 延 々 と 二 十 年 間 、 「中 学 生 の た め の 金 属 教 室 」 は 多 く の 所 員 の 力 に よ っ て 続 い て い る 。 先 日 も E メ ー ル の 中 に 協 力 者 募 集 が あ り 、 当 時 を 思 い 出 し 、 も う 少 し 若 か っ た ら 応 募 す る の に と 、 感 概 無 量 で あ っ た 。 ( 第 3 研 究 チ ー ム S 3 3 ・5 ・1 ~ H 7 ・ 3 ・31 ) ソ フ ト ボ ー ル 大 会 大 場 敏 夫 金 材 技 研 の 筑 波 移 転 も 、 平 成 七 年 度 の 材 試 地 区 の 移 転 で 完 了 し 、 筑 波 に お け る 新 た な 研 究 体 制 の ス タ ー ト と な り ま し た 。 私 が 金 材 技 研 に 入 所 し た 昭 和 四 十 七 年 四 月 か ら 、 既 に 二 十 三 年 間 が 過 ぎ ま し た 。 こ の 間 、 目 黒 の 勤 務 で 私 の 心 に は い ろ い ろ な 思 い 出 が 刻 ま れ ま し た 。 人 や 仕 事 、 楽 し い 遊 び な ど 、 と て も 沢 山 の 出 来 事 が あ り ま し た 。 特 に 思 い 出 に 残 っ た の は 、 金 材 技 研 が と て も ス ポ ー ツ が 盛 ん な 研 究 所 で 、 い ろ い ろ な 種 目 の レ ク 大 会 が 開 催 さ れ 、 そ れ に 参 加 し た こ と で す 。 こ こ で は 、 そ の 中 で 一 番 楽 し か っ た ソ フ ト ボ ー ル 大 会 の こ と を 思 い 起 こ し て み た い と 思 い ま す 。 所 内 の レ ク 大 会 が 現 在 の よ う に 多 種 目 行 わ れ る よ う に な っ た の は 、 確 か 、 私 が 入 所 し た 翌 年 ( 昭 和 四 十 八 年 度 ) で あ っ た と 思 い ま す 。 『 レ ク リ エ ー シ ョ ン 大 会 実 行 希 望 種 目 調 査 』 が 当 時 の レ ク 大 会 実 行 委 員 会 ( 委 員 長 田 中 千 秋 氏 ) の 手 で 行 わ れ 、 そ し て 職 員 か ら 要 望 さ れ た 中 で 上 位 十 二 種 目 に つ い て 、 再 度 一 人 二 票 の 投 票 で 決 定 し た の が 最 初 だ と 記 憶 し て い ま す 。 ソ フ ト ボ ー ル 大 会 と い う 種 目 も 、 そ の 結 果 生 ま れ た も の だ と 記 憶 し て い ま す 。 ま た こ の 大 会 は 、 テ ニ ス 大 会 や ボ ー リ ン グ 大 会 に 次 い で 長 く 続 い て い る 大 会 で す 。 記 念 す べ き 第 一 回 大 会 は 、 昭 和 四 十 九 年 九 月 三 十 日 か ら 行 わ れ 、 優 勝 ク リ ー プ A 、 二 位 疲 れ A そ し て 三 位 ク リ ー プ B と 池 向 こ う が 独 占 し た の を よ く 憶 え て い ま す 。 そ の 後 、 『打 倒 、 池 向 こ う 』 と 闘 志 を 燃 え 上 が ら せ て 大 会 に 望 ん だ チ ー ム も 多 か っ た と 思 い ま す 。 ソ フ ト ボ ー ル 大 会 の 楽 し み 方 は 、 グ ラ ウ ン ド で 体 を 動 か し 、 大 声 を 上 げ て ハ ッ ス ル し 、 気 持 ち よ い 汗 を か き 、 し か も 勝 つ 、 と い っ た こ と だ け で は な か っ た よ う な 気 が し ま す 。 試 合 に は 一 チ ー ム 九 人 以 上 の 仲 間 が 必 要 で 、 部 や 課 に よ っ て は 人 集 め に か な り 苦 労 ( 合 同 チ ー ム の 場 合 も あ っ た ) し た と こ ろ も あ っ た よ う で す 。 そ れ で も ソ フ ト ボ ー ル 大 会 が 常 に 多 く の 参 加 チ ー ム ( 参 加 者 数 ) の も と で 開 催 さ れ た の は 、 も う 一 つ 大 き な 楽 し み が あ っ た か ら だ と 思 い ま せ ん か 。 目 黒 で は ソ フ ト ボ ー ル 大 会 は 所 外 の レ ク と な り 、 厚 生 係 の 人 が 苦 労 し て 取 っ て く れ た 狛 江 グ ラ ウ ン ド や 夢 の 島 運 動 場 な ど へ 弁 当 や 飲 み 物 持 参 で 行 く 事 が 大 き な 楽 し み だ っ た と 思 い ま す 。 試 合 と 試 合 の 合 間 や お 昼 時 に は 、 各 チ ー ム そ れ ぞ れ グ ラ ウ ン ド の い ろ い ろ な 場 所 に 車 座 に な り 、 お に ぎ り や サ ン ド ウ ィ ッ チ そ れ か ら お か ず を 交 換 し た り し て 、 好 プ レ ー や 珍 プ レ ー の 話 で 盛 り 上 が っ た も の で し た 。 私 は 社 交 性 が 強 い の か ( た だ 図 々 し い の か ) 、 対 戦 相 手 の チ ー ム の 所 ま で 出 向 き 、 美 味 し そ う な ご ち そ う ( 谷 治 さ ん の 持 っ て く る コ ロ ッ ケ は 有 名 で し た ) を 頂 い た 事 も あ り ま し た 。 そ の お 礼 は 、 試 合 で お 返 し し た と 記 憶 し て い ま す ( お 礼 の つ も り で は な い の で す が 、 ホ ー ム ラ ン を 打 っ て ホ ー ム ベ ー ス を 踏 み 忘 れ 、 そ の 一 点 に 泣 い た こ と が あ り ま し た ) 。 そ う そ う 、 取 っ て 置 き の 楽 し み が あ り ま し た 。 ソ フ ト ボ ー ル 大 会 に 限 ら な い こ と だ と 思 い ま す が 、 レ ク 大 会 の 帰 り に な る と 体 が 脱 水 症 状 を 起 こ し て い る の で 、 よ く 治 療 に 行 き ま し た 。 良 薬 口 に 旨 し 。 門 前 仲 町 、 銀 座 、 恵 比 寿 、 中 目 黒 で 祝 勝 会 や 残 念 会 と 称 し 、 チ ー ム や 他 の チ ー ム の 人 達 と 美 酒 に 酔 い 、 試 合 の 疲 れ を と り 、 明 日 か ら の 活 力 を 養 っ た も の で し た 。 ソ フ ト ボ ー ル 大 会 も 今 後 は 所 内 の グ ラ ウ ン ド で の 大 会 と い う こ と で 、 目 黒 で の 大 会 と は 違 い ま す が 、 目 黒 で の 思 い 出 に 負 け な い 楽 し い 思 い 出 を い っ ぱ い つ く り た い も の で す 。 ( 環 境 性 能 研 究 部 ) ス ペ ー ス シ ャ ト ル の 写 真 と た わ む れ る 筆 者 E x p o '85 ビ デ オ あ る ア シ ス タ ン ト デ ィ レ ク タ ー の 思 い 出 岸 本 哲 ひ と 昔 も 前 の こ と で す 。 入 所 一 年 目 の 私 の と こ ろ に あ る 人 が や っ て き ま し た 。 原 田 幸 明 さ ん で す 。 科 学 万 博 用 の ビ デ オ を つ く る か ら 〝助 監 督 〟 に な れ 、 と い う こ と で し た 。 ( 彼 の 言 う 助 監 督 と は 、 A D 〈 ア シ ス タ ン ト デ ィ レ ク タ ー = 小 間 使 〉 の こ と だ っ た ん だ よ な 。 そ ん な の 知 ら な く て 、 当 時 の 巨 人 軍 は 王 助 監 督 が い て 、 序 列 は 藤 田 監 督 、 王 助 監 督 、 牧 野 ヘ ッ ド コ ー チ の 順 だ っ た か ら 、 え ら い 方 だ と 思 っ て い た 。) 何 と な く 大 変 な よ う な 気 も し た け れ ど 、 科 学 万 博 と ビ デ オ ( そ の 当 時 は ビ デ オ ソ フ ト が 一 本 一 万 四 千 八 百 円 * * * に 至 っ て は 二 万 円 以 上 し て た ) と い う 響 き に つ ら れ 、 上 司 の 白 い 目 を 気 に し な が ら 引 き 受 け て し ま い ま し た 。 そ も そ も こ の 科 学 万 博 の 展 示 の 計 画 は 、 雀 部 さ ん ・ 田 頭 さ ん を 中 心 に 、 金 材 研 の 超 バ リ バ リ の 若 手 研 究 者 た ち ( 羽 多 野 さ ん 、 松 下 さ ん 、 原 田 さ ん 、 … ) が ア イ デ ア を 出 し 合 い 、 万 博 へ の 出 展 の 内 容 を 考 え て い た の で す 。 今 で も 所 内 で 目 に す る 古 代 エ ジ プ ト の 壁 画 ( 羽 多 野 さ ん ) や パ ネ ル ( 田 頭 さ ん ) 、 強 力 な 磁 石 を 使 っ た コ ア ラ と 恐 竜 の 木 登 り ( 羽 多 野 さ ん ) 、 磁 性 流 体 の 迷 路 ( 古 林 さ ん ) 、 形 状 記 憶 合 金 の 温 室 ( 小 林 さ ん ) 、 熱 発 電 素 子 で 飛 ぶ ヘ リ コ プ タ ー ( 西 田 さ ん 、 松 下 さ ん ) 、 超 耐 熱 合 金 の 力 比 べ ( 雀 部 さ ん ) 等 々 。 そ し て 我 ら が 親 分 ― 原 田 さ ん は ビ デ オ 担 当 だ っ た の で す 。 ま ず 、 原 田 さ ん が ビ デ オ バ ン ク と い う 会 社 の 社 長 さ ん に お 願 い し て 、 ビ デ オ の 撮 影 ・ 編 集 セ ッ ト を 破 格 の 安 さ で 借 り る こ と に 成 功 し た の で す 。 こ の 会 社 、 別 に や ま し い 会 社 で は な く 、 日 本 経 済 新 聞 社 系 の 会 社 だ そ う で 、 パ リ や ミ ラ ノ に も オ フ ィ ス が あ り 、 そ こ ら の ビ デ オ ソ フ ト 屋 さ ん と は 格 が 違 っ て 本 当 は 我 々 な ん か 相 手 に し て く れ な い 筈 な ん だ け れ ど 、 ま あ 研 究 者 は ど ん な ビ デ オ を つ く る の か 知 り た か っ た ん で し ょ う ね 。 次 に メ ン バ ー 集 め 。 同 期 の 西 村 氏 は 無 条 件 で 引 き 込 み ( 悪 い こ と を し て し ま っ た ) 、 写 真 に 詳 し い 鈴 木 俊 一 さ ん 、 ビ デ オ カ メ ラ を 持 っ て い た ( 当 時 と し て は す ご い こ と だ っ た ん だ ) 菊 池 さ ん 、 八 ミ リ 映 画 を 作 っ た 経 験 の あ る 大 坪 さ ん 、 長 島 さ ん と 錚 々 た る メ ン バ ー が 集 ま り ま し た 。機 材 も 人 材 も そ ろ っ た の で 、 次 は 作 戦 会 議 。 先 ず 、 ビ デ オ の 内 容 を 決 め る の で す が 、 こ れ ま た 一 言 で 言 う と 大 変 で し た 。 ア イ デ ア を 一 般 公 募 し た ( つ ま り ス タ ッ フ 以 外 の 金 材 技 研 の 人 た ち か ら ア イ デ ア を 募 る お 知 ら せ を ま わ し た ) の で す が 当 然 の よ う に 集 ま ら ず 、 結 局 ス タ ッ フ だ け で 考 え る 羽 目 に な っ て し ま い 、 そ れ は だ め 、 こ れ も だ め 、 あ れ が い い 、 そ っ ち が い い の 大 騒 ぎ で す 。 ( そ の 後 強 制 的 、 ほ と ん ど 脅 迫 的 に ア イ デ ア を 要 求 し た こ と も あ り ま し た け ど 。) 小 学 生 く ら い の 子 ど も に も わ か ら な け れ ば い け な い し 、 科 学 的 で な け れ ば い け な い し 、 お も し ろ く な く っ ち ゃ ビ デ オ じ ゃ な い と い う 意 見 と 崇 高 で な け れ ば な ら な い と い う 意 見 の 対 立 が 表 面 化 し 、( 要 す る に 二 人 で 言 い 争 っ て い た ん だ け ど ) ど ち ら も 譲 ら ず 、 結 局 折 衷 案 に な っ た り し て 。 つ ま り 如 何 に 金 属 と い う も の が 身 近 に 存 在 し 、 役 立 っ て い る か と い う こ と を 一 分 間 く ら い の 物 語 十 編 ぐ ら い で 紹 介 し よ う と な り ま し た 。 す っ た も ん だ の す え 、 ア イ デ ア を 決 め て か ら は 俗 に 言 う 絵 コ ン テ 。 あ れ が こ う な っ て 、 あ あ や る の に 三 十 五 秒 か か る か ら 、 五 十 秒 後 に は こ う な る は ず … と い う ふ う に 考 え な が ら 絵 に し て い く ん だ け ど 、 ビ デ オ 一 分 間 を 考 え る の に 一 日 か か っ た 。 そ れ か ら キ ャ ス テ ィ ン グ 。 男 優 さ ん は ス タ ッ フ や 実 験 装 置 の 持 ち 主 や た ま た ま そ こ を 通 っ た 人 で 何 と か 間 に 合 わ せ る と し て 、 メ イ ン と な る ナ レ ー タ ー の 女 性 を 誰 に し よ う か と い う こ と で 、 あ る 部 付 の 美 し い 女 性 に お 願 い す る こ と に し ま し た 。 撮 影 に は い る と ハ プ ニ ン グ 続 き で す 。 撮 影 中 の く し ゃ み や あ く び 、 電 話 の ベ ル は よ く あ る こ と で 、 フ ォ ー ク リ フ ト を 撮 影 し よ う と し て 、 軽 く 引 き 受 け て く れ た 人 に 事 情 を 説 明 す る と い っ た ん 姿 を 消 し 、 ヘ ル メ ッ ト 、 手 袋 と 安 全 靴 で 再 登 場 し た り 、 白 衣 の 似 合 う 化 学 の 郡 さ ん を お 医 者 様 に し た り ( け が 人 は 長 島 君 だ っ た ) 、 切 れ る は ず の 試 験 片 が な か な か 切 れ な か っ た り 、 逆 に う ま く い っ た ん だ け ど そ の た め に 装 置 が こ わ れ た り 、 こ れ ま た 大 変 で し た 。 楽 し か っ た け ど 。 ロ ケ に も 出 か け ま し た 。 金 属 が 世 の 中 に ど れ ほ ど 使 わ れ て い る か を 示 す ん だ と 、 東 京 タ ワ ー か ら 始 ま っ て 、 品 川 の ガ ス タ ン ク や 横 浜 の コ ン テ ナ や 貨 物 船 と 、 金 属 で で き て い る も の を 撮 り ま く り 、 途 中 高 速 道 路 の 上 で は 上 空 を 飛 ぶ 航 空 機 を 「 ジ ェ ッ ト だ ! ア ル ミ だ ! 金 属 だ ! 」 と 叫 び な が ら 車 の 窓 か ら 撮 影 し た り 。 帰 り に 横 浜 の 中 華 街 で 食 べ た ラ ー メ ン と 肉 ま ん は お い し か っ た 。 撮 影 が 終 わ る と 映 像 の チ ェ ッ ク 。 絵 コ ン テ と 合 わ せ て 、 あ の 場 面 に は こ こ を こ う 使 っ て 、 そ れ か ら こ こ を … と 考 え て 時 間 を 計 っ て ナ レ ー シ ョ ン が 入 る か ど う か を 確 認 し 、 B G M は 何 に し よ う か … e t c … 、 こ れ を 金 材 研 の 3 0 号 庁 舎 の 談 話 室 で 深 夜 ま で や っ て い る の で す 。 当 時 ( ?) 3 0 号 庁 舎 で は 深 夜 ま で あ る い は 泊 ま り 込 み で 仕 事 を す る の が め ず ら し か っ た の で 、 連 日 連 夜 酒 を 飲 ん で ビ デ オ を 観 て い る し ょ う も な い 連 中 と 思 わ れ て い た に 違 い な い 。 最 後 の 編 集 作 業 と 音 入 れ は 若 手 の 担 当 で 、 例 の ビ デ オ ソ フ ト 会 社 ( ビ デ オ バ ン ク ) の 六 本 木 の ス タ ジ オ ま で 出 か け て し た ん だ け れ ど 、 こ れ が ま た 根 気 の い る 作 業 で 、 三 日 間 く ら い タ ク シ ー で 靖 心 寮 に 帰 っ た か な 。 こ こ ま で 苦 労 し た ビ デ オ テ ー プ の 上 映 を 含 め 、 雀 部 さ ん 達 が 造 っ た 様 々 の 作 品 を お 客 様 に 説 明 す る 説 明 員 と し て 、 私 も 一 日 だ け 筑 波 の エ キ ス ポ セ ン タ ー に 行 き ま し た 。 そ の 日 は ヘ リ コ プ タ ー の 松 下 氏 や ビ デ オ ス タ ッ フ の 西 村 氏 を 含 め 、 突 然 展 示 品 の 修 理 を 言 い 渡 さ れ た 古 林 氏 、 な に も 関 係 が 無 く た だ 同 期 で つ く ば 市 に 住 ん で い る と い う だ け の 長 谷 川 氏 を 含 め 、 若 い 人 を 中 心 に ( 日 曜 日 の せ い で し ょ う か ) 構 成 さ れ て い ま し た 。 十 九 歳 の コ ン パ ニ オ ン の 小 林 さ ん か ら 「 先 生 、 先 生 」 と 言 わ れ て だ い ぶ 鼻 の 下 を 長 く し て い た り 、 二 十 六 歳 の 電 通 の 社 員 の 人 ( こ の 人 も コ ン パ ニ オ ン ) と 遊 ん で い た り 、 何 を し に 行 っ た の か 分 か ら な か っ た け れ ど 、 写 真 を 見 る 限 り … 。 実 際 の 説 明 は と 言 う と 、 と っ て も 素 直 そ う な お 子 様 に 「 こ れ 、 何 の 役 に 立 つ の ? 」 「 ド キ 」 「 ね え ! お じ さ ん 」 「 お じ … 」 会場の様子 「 こ れ 鉄 よ り 重 い の ? 」 「 え ! 」 少 し 秀 才 げ の 子 は 形 状 記 憶 合 金 の バ ネ を 見 て 「 ど こ で 記 憶 す る の ? 」 「 別 に 脳 み そ が あ る わ け じ ゃ な い ん だ よ 」 「 ど う し て 暖 め る と 縮 む の ? 」 「 そ れ は ね 、 暖 め る と 変 態 が 起 き て 」 「変 態 っ て 変 わ っ た 人 の こ と ? 」 近 く に 住 ん で い る 研 究 公 務 員 ら し い 大 人 か ら は 「 こ の 熱 電 素 子 の 効 率 は ど れ く ら い か ね 」 「 え ! 効 率 … 良 く は な い で し ょ う ね … 」 ( 後 で 聞 い て み た ら 、 効 率 を 問 題 に す る 方 が お か し い そ う で す 。) 最 後 に 残 念 で あ っ た の は 、 こ の コ ン パ ニ オ ン の 方 々 と 合 コ ン を や ろ う と い う 話 に な っ た の で す が 、 相 手 側 が 忙 し い ( 本 当 に 忙 し か っ た か ど う か は 分 か り ま せ ん が ) と い う こ と で 実 現 し な か っ た こ と で す 。 誠 に 残 念 で あ り ま す 。最 後 の 最 後 に な り ま し た が 、 こ の ビ デ オ の 作 製 に 協 力 し て く だ さ っ た 方 々 に は ま だ お 礼 を 申 し 上 げ て い な か っ た 気 が し ま す 。 け が 人 の 包 帯 を 巻 い て 下 さ り 共 済 病 院 か ら 松 葉 杖 を 借 り て き て 下 さ っ た 医 務 室 の 鈴 木 さ ん 、 オ ー ジ ェ の 土 佐 さ ん ( 他 で も お 世 話 に な り ま し た ) 、 材 料 試 験 室 の 古 屋 さ ん 、 油 圧 サ ー ボ の 太 田 さ ん と 疲 れ 試 験 部 の 方 々 、 高 温 引 張 試 験 の ク リ ー プ 試 験 部 の 方 々 、 フ ォ ー ク リ フ ト や シ ェ ア ー の 工 業 化 の 方 々 、 水 素 貯 蔵 合 金 の 天 野 さ ん 、 形 状 記 憶 合 金 の 鈴 木 さ ん と 山 本 さ ん と 小 林 さ ん 、 熱 電 素 子 の 西 田 さ ん 、 N R I M メ ダ ル の 皆 川 さ ん 、 木 工 の 松 村 さ ん 、 盆 栽 を 剪 定 し て く れ た 小 島 さ ん 、 ス ー パ ー イ ン ポ ウ ズ の 作 業 を し て く れ た 山 脇 さ ん お よ び そ の 他 の 方 々 、 そ し て 最 後 の 最 後 、 ナ レ ー タ — と し て 出 演 し て く れ た 杉 野 み ゆ き ち ゃ ん ( 今 は ど う し て い る ん で し ょ う ね ) に こ の 場 を 借 り て 厚 く お 礼 申 し 上 げ ま す 。 ( 第 5 研 究 グ ル ー プ ) 同 好 会 、 サ ー ク ル は 花 盛 り 戸 部 ゴ ル フ 教 室 は じ ま り の 頃 戸 部 健 二 郎 私 は 昭 和 三 十 一 年 か ら 四 十 二 年 ま で 、 金 材 技 研 に は 約 十 年 間 お 世 話 に な り ま し た 。 い ま そ の 十 年 間 を 顧 り み ま す と 、 数 々 の 懐 し い 思 い 出 が 、 さ な が ら 走 馬 灯 の よ う に 眼 前 を よ ぎ る の を 覚 え ま す 。 あ の 広 大 な 敷 地 、 鬱 蒼 と 生 い 茂 る 樹 木 、 春 は 桜 、 秋 は 紅 葉 と 、 そ の 素 晴 し い 風 情 、 大 都 市 の 一 角 に あ る と は 思 え ぬ 環 境 の 良 さ に 一 驚 し た こ と 、 ま た 、 テ ニ ス コ ー ト が 三 面 す ぐ プ レ ー 出 来 る 状 態 に あ っ た こ と な ど 、 厚 生 面 を 担 当 す る 立 場 の 者 と し て な ん と な く 心 嬉 し く 思 っ た こ と な ど 思 い 出 さ れ ま す 。 そ ん な こ と で 、 テ ニ ス は 、 創 設 当 初 よ り 皆 さ ん に プ レ ー を 楽 し ん で も ら う こ と が 出 来 ま し た 。 春 、 秋 に は 、 他 の ス ポ ー ツ に 先 が け て 所 内 大 会 を 催 す な ど 、 厚 生 施 設 の と と の わ な い 時 期 だ け に 、 皆 さ ん の 喜 び は 大 き か っ た と 思 い ま す 。 運 動 会 ま た 思 い 出 さ れ る の は 、 三 十 三 年 の 秋 の 運 動 会 で す 。 創 立 三 年 目 を 迎 え 、 所 員 も 百 二 十 名 近 く に な っ た の で 、 所 員 と 家 族 の 親 睦 を か ね て 運 動 会 を 開 催 す る こ と に な り 、 近 く の 東 山 小 学 校 の 運 動 場 を 借 用 し て 盛 大 に 行 わ れ ま し た 。 ご 家 族 多 数 の ご 参 加 を 得 て 、 競 技 も 家 族 ぐ る み で 面 白 く 進 行 し 、 大 喝 采 を 拍 す る 場 面 な ど も 多 く 、 皆 さ ん に 、 秋 の 日 の 一 日 を 楽 し く 過 ご し て い た だ い た こ と 、 創 設 後 間 も な か っ た の で 準 備 万 端 不 行 届 で あ っ た が 、 結 果 は 成 功 だ っ た と 満 足 し た こ と な ど を 思 い 出 し ま す 。 部 対 抗 野 球 大 会 越 え て 、 翌 三 十 五 年 、 各 部 の 若 い 人 達 の エ ネ ル ギ ー 発 散 に と 各 部 対 抗 の 野 球 大 会 を 行 う こ と と な り 、 八 幡 製 鉄 の 国 分 寺 の グ ラ ン ド を 借 り 切 っ て 実 施 し ま し た 。 な に せ 一 日 で 決 勝 戦 ま で や ろ う と い う の だ か ら 大 変 で す 。 し か し 、 ど う や ら 夕 日 が 西 山 に 傾 き か け る 頃 ま で か か り 終 了 す る こ と が 出 来 ま し た 。 選 手 も 大 変 だ っ た と 思 い ま す が 、 あ と 始 末 を す る 私 共 は 正 に ヘ ト ヘ ト 。 あ の 時 の こ と は 今 で も 思 い 出 し ま す 。 後 日 大 会 の 感 想 を き い た と こ ろ 、 昼 の に ぎ り め し と 終 了 後 の ビ ー ル が な ん と も 言 え な い 味 だ っ た と の こ と で 、 ガ ッ ク リ し ま し た 。 ゴ ル フ の 戸 部 教 室 昭 和 三 十 五 、 六 年 で し た か 、 世 の 中 が レ ジ ャ ー ブ ー ム で ゴ ル フ が 大 流 行 と な り 、 い た る 所 に ゴ ル フ 場 が 新 設 さ れ る よ う に な り ま し た 。 金 材 技 研 で も ゴ ル フ を 始 め る 人 が 多 く な り 、 所 内 に 練 習 場 を 造 れ と の 要 望 が あ り 、 工 作 室 の 裏 側 に 、 練 習 場 と は 名 ば か り の 小 さ な も の を つ く り ま し た 。 ( 後 に 表 門 の 右 側 に 移 設 ) 。 当 時 、 私 は ゴ ル フ に 関 心 は な か っ た が 、 皆 さ ん に す す め ら れ て ゴ ル フ を 始 め る こ と に し ま し た 。 遠 藤 研 究 官 を 先 生 に お 願 い し て 特 訓 を し て い た ゞ き 、 短 期 間 で コ ー ス に 出 ら れ る よ う に な り ま し た 。 最 初 の コ ー ス 、 ラ ウ ン ド は 、 緊 張 の あ ま り 空 振 り す る や ら 、 チ ョ ロ 、 あ る い は 右 へ 左 へ 、 球 は 直 っ す ぐ に 飛 ん で く れ ず 、 散 々 で し た 。 し か し 、 ド ラ イ バ ー が 時 々 ナ イ ス シ ョ ッ ト と な り 、 そ の 時 は な ん と も 言 え な い 壮 快 な 気 分 で し た 。 そ れ 以 来 益 々 ゴ ル フ の 面 白 さ を 覚 え 、 暇 を 見 て は 練 習 に は げ む よ う に な り ま し た 。 コ ー ス に 出 て は 結 果 を 練 習 場 で 調 整 す る 、 こ れ を 繰 り 返 す こ と に よ り 上 達 す る よ う 努 力 を 重 ね 、 ど う や ら 、 ゴ ル フ を や っ て お り ま す と 言 え る よ う に な り 、 外 部 の コ ン ペ な ど に も 参 加 し ゲ ー ム を 楽 し む よ う に な り ま し た 。 そ う な る と 、 管 理 部 の 誰 れ 彼 と な く ゴ ル フ の 面 白 さ を 吹 聴 し て 練 習 に 引 き ず り 込 む よ う に な り ま し た 。 そ れ に つ れ て 次 第 に 練 習 す る 人 も ふ え 、 遂 に 十 数 名 を 数 え る 程 に な り ま し た 。 従 っ て 、 昼 休 み の 練 習 場 は ひ と と き ゴ ル フ 談 議 に 花 が 咲 き 、 お 祭 り 騒 ぎ の よ う な 賑 い で し た 。 こ れ を 人 呼 ん で 「 戸 部 の ゴ ル フ 教 室 」 と 言 っ た の が 始 ま り の よ う で す 。 こ れ 等 の 人 達 は 若 い だ け あ っ て 瞬 く 間 に 上 達 し 、 コ ー ス に 出 る こ と に な り ま し た 。 そ こ で 、 先 輩 も 含 め て グ ル ー プ を 作 り 、 「 研 球 会 」 と 名 づ け 、 コ ー ス に 出 て は 和 気 藹 々 裡 に プ レ ー を 楽 み な が ら 腕 を 競 い 、 お 互 い の 上 達 を 確 認 し 、 喜 び 合 い ま し た 。 ま た 、 ラ ウ ン ド 中 の 失 敗 を 練 習 場 で 調 整 し 、 明 日 へ の 挑 戦 を 夢 み る 若 者 達 で あ り ま し た 。 四 十 二 年 、 私 の 退 官 に よ り 戸 部 教 室 は 終 焉 し ま し た 。 ( 管 理 部 S 3 1 ・ 7 ・1 ~4 2 ・ 3 ・1 ) 研 球 会 の 思 い 出 稲 垣 道 夫 金 材 技 研 の ゴ ル フ 同 好 会 と し て 、 研 球 会 は 金 材 技 研 創 立 の 直 後 か ら 発 足 し た よ う で あ る 。 こ れ は 、 当 時 管 理 部 長 の 戸 部 氏 が ゴ ル フ 熱 心 で 、 研 球 会 初 代 会 長 と し て 有 志 を 集 め ら れ た た め で あ ろ う 。 当 時 、 戸 部 氏 の 肝 入 り で 、 管 理 部 庁 舎 前 の 平 屋 倉 庫 と 東 京 共 済 病 院 の コ ン ク リ ー ト 塀 と の 間 の 幅 約 八 メ ー ト ル 、 奥 行 約 十 メ ー ト ル ほ ど の 狭 い 空 間 に 網 を 張 っ て ゴ ル フ の 練 習 場 を 造 り 、 戸 部 氏 自 身 が 先 生 に な っ て 初 心 者 達 の 手 は ど き を さ れ た 。 そ こ で 、 戸 部 氏 を ゴ ル フ の 校 長 先 生 と 呼 ん で い た 。 私 も こ の 練 習 場 で と き ど き 戸 部 校 長 の 訓 練 を 受 け た 。 し か し 、 コ ン ペ の 前 日 戸 部 校 長 の 特 訓 を 受 け て あ ま り 直 さ れ る と 、 当 日 の コ ン ペ で 却 っ て 崩 れ る こ と も あ っ た 。 そ の 後 戸 部 氏 が 金 材 技 研 を 退 官 さ れ 、 昭 和 四 十 五 年 ご ろ か ら 私 が 研 球 会 二 代 目 会 長 と な り 、 補 佐 役 又 は 幹 事 役 の 田 中 千 秋 、 鈴 木 一 成 、 東 優 、 小 池 喜 三 郎 、 菊 池 政 郎 、 小 島 重 信 の 各 氏 ら の 御 協 力 を 得 て 、 職 員 及 び O B を 含 め て 年 一 回 及 至 二 回 で 、 十 二 月 又 は 五 月 に 各 地 の ゴ ル フ 場 、 例 え ば 、 千 葉 パ ブ リ ッ ク ゴ ル フ コ ー ス 、 昭 和 パ ブ リ ッ ク ゴ ル フ コ ー ス 、 那 須 国 際 カ ン ト リ ー ク ラ ブ 、 G M G 八 王 子 ゴ ル フ 場 、 ノ ー ザ ン C . C . 錦 ヶ 原 ゴ ル フ 場 、 霞 ヶ 浦 ゴ ル フ ク ラ ブ 、 小 田 原 湯 本 カ ン ト リ ー ク ラ ブ 等 で コ ン ペ を 実 施 し た 。 こ の 頃 の 研 球 会 コ ン ペ は 年 中 行 事 と し て 定 着 し 、 各 回 の 参 加 者 が 約 二 十 名 程 度 で 、 皆 楽 し く 親 睦 を 図 る こ と が で き た 。 私 は 昭 和 五 十 八 年 三 月 で 満 六 十 才 と な り 、 こ れ を 期 に 金 材 技 研 を 退 官 し 、 ( 財) 日 本 溶 接 技 術 セ ン タ ー 理 事 長 と し て 推 挙 さ れ 転 出 し た 。 し た が っ て 、 私 は 研 球 会 第 二 代 会 長 を 退 任 す る こ と に な り 、 研 球 会 第 三 代 会 長 に は 故 内 山 郁 氏 が な ら れ た よ う に 聞 い て い る 。 そ の 後 私 は ゴ ル フ は 月 平 均 一 回 程 度 の ペ ー ス で 続 け て お り 、 こ れ に よ っ て 心 身 の リ フ レ ッ シ ュ と 運 動 不 足 の 解 消 を 図 っ て い る 。 私 は い ま も 現 役 で 、 溶 接 界 並 び に 建 設 、 プ ラ ン ト 等 関 連 業 界 に 寄 与 し て お り 、 そ の 根 底 に は ゴ ル フ に よ る 心 身 の リ フ レ ッ シ ュ の 効 用 が 大 き い こ と を 痛 感 し て い る 。 私 が ゴ ル フ の 話 を 記 事 に し た の は 、 過 去 一 回 し か な く 、 そ れ は 金 材 技 研 の 一 般 情 報 誌 「ざ い け ん 」 N o . 3 2 ( 一 九 七 七 年 ) に 依 頼 記 事 と し て 掲 載 し た ざ い け ん ひ ろ ば の 〝 ゴ ル フ の 教 え 〟 で あ る 。 こ れ を い ま 拾 い 読 み し て み る と 、 当 時 が 思 い 出 さ れ て 懐 か し い 。 こ の 記 事 の 執 筆 は い ま か ら 十 七 年 前 の 昭 和 五 十 二 年 ( 一 九 七 七 年) で 、 私 が 五 十 四 才 の と き で あ っ た 。 こ の 記 事 に よ る と 、 私 が ゴ ル フ を 始 め た の は 男 の 厄 年 四 十 二 才 の こ ろ で あ っ た 。 昭 和 三 十 四 年 に 名 古 屋 大 学 か ら 金 材 技 研 に 転 任 し て 以 来 、 ス ポ ー ツ を 止 め て し ま っ て 太 り 気 味 に な り お 腹 も 出 て き た の が き っ か け で 、 当 時 溶 接 研 究 部 長 の 鈴 木 春 義 博 士 か ら も ゴ ル フ を 進 め ら れ 、 始 め る こ と に な っ た 。 鈴 木 博 士 は 何 事 に よ ら ず 研 究 熱 心 な 方 で 、 ゴ ル フ の 指 導 も 御 本 人 自 身 の 腕 前 以 上 に う ま か っ た 。 そ し て 「体 の 記 憶 力 は 三 日 し か な い 」 と い わ れ 、 昭 和 四 十 年 春 に ゴ ル フ の 練 習 を 始 め て か ら 夏 の 終 わ り ご ろ ま で 、 三 日 に 一 度 は 近 く の 馬 事 公 苑 へ ゴ ル フ 練 習 に 通 っ た 。 そ の 年 の 暮 、 研 球 会 コ ン ペ に 始 め て 出 席 し 、 い き な り 一 位 に 入 賞 し た 。 続 い て 翌 年 春 の 研 球 会 で は 準 優 勝 と な り 、 そ の 年 の 暮 に は 遂 に 優 勝 を 獲 得 し て し ま っ た 。 と い う わ け で 、 ゴ ル フ を 始 め た 当 初 一 、 二 年 の う ち に 腕 前 は ぐ ん ぐ ん 上 昇 し て 、 研 球 会 の プ ラ イ ベ イ ト ハ ン デ ー 十 一 、 オ フ ィ シ ャ ル ハ ン デ ー 十 六 で あ っ た が 、 そ の 後 は 一 進 一 退 が 続 き 、 い ま は オ フ ィ シ ャ ル ハ ン デ ー 二 十 と な り 、 こ れ を 維 持 す る こ と ゴルフ練習場開設記念 が 困 難 に な っ て き て い る 。 こ れ を ふ り 返 っ て み る と 、 ゴ ル フ の 上 達 過 程 は 、 金 属 材 料 の 引 張 試 験 に お け る 応 力 ― ひ ず み 曲 線 に 似 て 、 人 そ れ ぞ れ に 腕 前 と そ の 過 程 が 変 わ っ て く る も の で あ る 。 す な わ ち 、 初 め の 練 習 過 程 の 弾 性 変 形 範 囲 で 腕 前 が 急 上 昇 し 、 こ の 過 程 の 練 習 の 仕 方 が 上 達 の 程 度 を 大 き く 左 右 し 、 練 習 に よ っ て 降 伏 点 又 は 耐 力 を 高 く 上 げ て お く 必 要 が あ る 。 そ の 後 は 塑 性 変 形 領 域 と な り 、 ゴ ル フ コ ー ス で の た ゆ ま ぬ 努 力 で 徐 々 に う ま く な る が 、 や が て そ の 人 の 到 達 し 得 る 限 界 値 す な わ ち 引 張 強 さ に 相 当 す る 点 に た ど り つ く の で あ る 。 そ れ 以 降 は 絞 り 領 域 に 入 り 、 老 化 現 象 と の 闘 い に な る で あ ろ う 。 さ て 、 当 時 の 私 の 記 事 で 〝 ゴ ル フ の 教 え 〟 と し て ス リ ー F が 大 切 と 考 え 、 ① フ ィ ー リ ン グ (Feeling)、 ② フ ァ イ テ ィ ン グ (Fighting) 、③ フ ォ ロ ー イ ン グ ( F o ll o w ing) の 3 つ のF を 挙 げ た 。 す な わ ち 、 力 ん だ り ち ゅ う ち ょ し な い で 思 い 切 っ て 感 じ よ く 打 つ こ と 、 時 に は フ ァ イ ト を 燃 や し 積 極 的 に 攻 め る こ と 、 ま た 一 つ 一 つ の ホ ー ル を 見 て 戦 略 を 立 て 、 時 に は 守 り を 固 め る こ と を い ま し め た 。 し か し 、 理 く つ と 実 行 は な か な か 一 致 し な い も の で 、 プ レ ー 中 に あ ま り 思 い 巡 ら す こ と は マ イ ナ ス に な る こ と が 多 い 。 プ レ ー の 動 作 は 〝無 心 の 境 地 〟 に な る こ と が 最 高 で あ ろ う と 述 べ た 。 私 は い ま 七 十 一 才 。 こ れ ま で 仕 事 と ゴ ル フ で 人 生 を 楽 し み な が ら 、 脇 目 も 振 ら ず に 一 目 散 に 今 日 ま で 体 を 酷 使 し て や っ て き た が 、 最 近 、 体 の オ ー バ ー ホ ー ル を か ね た 手 術 を し た 。 ゴ ル フ で 得 た 教 訓 か ら 人 生 を 達 観 し て 辛 い 手 術 の 勝 負 に 勝 つ こ と が で き 、 退 院 で き た こ と を 喜 ん で い る 。 し か し 、 ゴ ル フ プ レ ー は 二 、 三 ヶ 月 以 降 に 先 送 り と な り 、 心 身 と も に リ フ レ ッ シ ュ の た め の ゴ ル フ プ レ ー が 来 年 の 春 以 降 に な っ た こ と は 残 念 で あ る 。 人 は 皆 有 限 の 存 在 で あ る が 、 金 材 技 研 の 目 黒 の よ い 思 い 出 を 残 し 、 筑 波 で の 金 材 技 研 の 永 久 の 存 続 と 発 展 を 祈 念 す る も の で あ る 。 ( 溶 接 研 究 部 S 3 4 ・7 ・1 6 ~5 8 ・2 ・2 8 ) 野 球 部 栄 光 の 足 跡 福 島 孟 金 材 技 研 野 球 部 は 、 三 十 六 年 以 上 に わ た り 数 々 の 栄 光 を そ の 歴 史 の 中 に 刻 ん で き た 。 野 球 部 発 足 は 一 九 五 九 年 に 遡 る 。 当 時 は ス ポ ー ツ は テ ニ ス 、 サ ッ カ ー 、 卓 球 、 バ ド ミ ン ト ン 、 バ レ ー ボ ー ル 等 々 、 現 在 の よ う に 多 様 化 し て お ら ず 、 野 球 が 主 流 を 占 め て い た 。 そ ん な 時 流 も あ っ て 、 金 材 技 研 創 立 当 初 か ら 管 理 部 を は じ め 第 四 部 ( 当 時 は 四 部 し か な か っ た ) ま で の 野 球 狂 の 有 志 が 集 ま り 、 奥 村 印 刷 等 と 交 流 試 合 を し て い た が 、 科 技 庁 大 会 と 総 理 府 大 会 が あ る こ と を 知 り 、 野 球 部 を 創 ろ う と い う 声 が 高 ま り 、 一 九 五 九 年 に 科 技 庁 に 登 録 を し て 野 球 部 と し て 発 足 し た 。 管 理 部 の 岡 田 さ ん ( 当 時 庶 務 係 長 ) を 初 代 監 督 に 、 所 '73 科 学 技 術 庁 野 球 大 会 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ 計 金 材 技 研 4 2 0 0 3 0 2 0 0 11 航 技 研 2 0 1 0 0 2 0 0 0 5 で ユ ニ ホ ー ム を 新 調 し て も ら い ( 岡 田 監 督 の 尽 力 に よ る と こ ろ 大 で あ っ た ) 同 年 の 科 技 庁 大 会 に 初 出 場 、 初 優 勝 し た こ と か ら 野 球 部 栄 光 の 足 跡 の 第 一 歩 が 記 さ れ た 。 以 来 別 表 の 通 り 、 科 技 庁 大 会 で は 一 九 七 八 年 ま で 二 十 年 間 連 続 優 勝 と い う 大 記 録 を 打 立 て た 。 科 技 庁 大 会 で は 、 他 の チ ー ム か ら 「親 の 敵 」 視 さ れ た こ と も 、 対 戦 前 か ら 勝 利 を 半 ば 諦 め ら れ た こ と も 何 度 も あ っ た 。 ま た 、 一 九 六 〇 年 春 に は 東 京 都 軟 式 野 球 連 盟 目 黒 支 部 のC ク ラ ス に 初 登 録 、 そ の 後 三 年 間 で と ん と ん 拍 子 に A ク ラ ス 入 り を 果 た し て し ま っ た 。 三 十 六 年 間 の 足 跡 を 振 り 替 え る と 、 部 長 は 初 代 の 鈴 木 溶 接 部 長 か ら 阿 部 技 術 課 長 、 森 本 化 学 部 長 、 田 中 材 試 部 長 ( い ず れ も 旧 ) と 四 代 、 監 督 は 初 代 の 岡 田 さ ん ( 前 出 ) か ら 十 二 人 を 数 え 、 ユ ニ ホ ー ム も 四 着 変 わ っ た 。 戦 績 は 、 科 技 庁 大 会 ・ 優 勝 二 十 六 回 、 準 優 勝 二 回 、 総 理 府 大 会 ・ 優 勝 十 回 、 準 優 勝 三 回 、 非 現 業 大 会 ・ 優 勝 二 回 、 準 優 勝 三 回 、 全 官 庁 大 会 ・ 準 優 勝 一 回 、 目 黒 支 部 大 会 ・ 優 勝 三 回 、 準 優 勝 四 回 と 実 に 決 勝 進 出 四 十 六 回 を 数 え る 。 こ う し た 数 々 の 栄 光 の 中 で 特 筆 す べ き は 、 一 九 六 九 年 か ら 一 九 七 七 年 ま で の 九 年 間 が ま さ に 金 材 技 研 野 球 部 の 黄 金 期 で あ っ た こ と で あ ろ う 。 科 技 庁 大 会 は も と よ り 、 総 理 府 大 会 三 連 覇 、 非 現 業 大 会 二 連 覇 、 目 黒 支 部 大 会 A ク ラ ス 優 勝 、 東 京 都 大 会 ( 各 支 部 の 優 勝 チ ー ム が 出 場 ) 三 位 な ど は こ の 九 年 間 に 集 中 し て い る 。 こ の 中 に あ っ て さ ら に 特 筆 す べ き は 、 東 京 都 大 会 三 位 に な っ た こ と で あ る 。 他 の チ ー ム が バ ス で 乗 り 付 け 、 同 じ ジ ャ ン パ ー 、 同 じ バ ッ ク で 堂 々 と し て い る の に 対 し て 我 ら が 金 材 技 研 チ ー ム は 、 服 装 、 バ ッ ク ( 中 に は 風 呂 敷 包 み の 人 も い た ) 、 集 合 時 間 も バ ラ バ ラ ( こ れ は 金 材 技 研 チ ー ム の ト レ ー ド マ ー ク ) で 他 の チ ー ム か ら 「 こ ん な チ ー ム が ? 」 と 思 わ せ る 視 線 を 投 げ か け ら れ た が 、 い ざ 試 合 で は 、 苦 戦 し た も の の 二 回 戦 、 三 回 戦 を 完 封 勝 ち 、 あ れ よ あ れ よ と い う 間 に 準 決 勝 へ と 駒 を 進 め て し ま っ た 。 準 決 勝 で は 一 時 決 勝 進 出 の チ ャ ン ス が あ っ た が 、 惜 し く も 逆 転 さ れ て し ま っ た 。 金 材 技 研 が ス ポ ー ツ 新 聞 の 一 隅 を 飾 っ た の は 、 後 に も 先 に も こ の 時 だ け で あ ろ う 。 そ の 当 時 の 歴 戦 の 勇 者 達 は す で に 五 十 歳 代 に な っ て い る が 、 今 で も こ の 大 会 の 印 象 を 鮮 烈 に 胸 に 刻 ん で お り 、 野 球 部 の 誇 り と 思 っ て い る 。 こ の よ う に 素 晴 ら し い 戦 績 を 挙 げ ら れ た こ と は 、 単 に 部 員 個 人 の 技 術 で は な く 、 野 球 に 対 す る 情 熱 と チ ー ム プ レ ー が あ っ た か ら だ と い え る 。 グ ラ ン ド を 持 た な い た め 、 部 員 そ れ ぞ れ が 様 々 な 工 夫 を 重 ね た 。 可 動 式 の バ ッ テ ィ ン グ ケ ー ジ を 作 っ た り 、 技 術 課 の 屋 上 に ネ ッ ト を 張 っ た り 、 体 力 ト レ ー ニ ン グ の た め に バ ー ベ ル を 作 っ た り 、 昼 休 み に は 毎 日 防 衛 庁 の 回 り 約 三 キ ロ を ラ ン ニ ン グ し た り 、 夏 の 暑 い 盛 り に 用 事 や 家 庭 を 二 の 次 に し て ほ と ん ど 毎 週 早 朝 か ら 野 球 に 出 掛 け た り し て そ れ な り の 努 力 を 積 み 重 ね た 結 果 が 栄 光 へ と 繫 が っ た と い え る 。 平 成 六 年 に は 一 部 を 残 し て ほ と ん ど が 筑 波 に 集 結 し た た め 、 目 黒 で の 野 球 部 の 足 跡 は 幕 を 閉 じ た が 、 栄 光 の 思 い 出 は 永 遠 に 輝 き 続 け る 。 筑 波 に は グ ラ ウ ン ド が 有 り 、 ユ ニ ホ ー ム も 一 新 し た 。 そ の 気 に な れ ば い つ で も 練 習 、 試 合 が 出 来 る 。 目 黒 と は 雲 泥 の 差 が あ る 環 境 で 野 球 が 出 来 る こ と は 幸 せ で あ る 。 筑 波 で も 第 二 期 黄 金 時 代 を 築 く こ と を 部 員 一 同 胸 に 秘 め て い る 。 ( 組 織 制 御 研 究 部 ) 卓 球 部 の 思 い 出 中 野 恵 司 創 成 期 か ら 発 展 期 の こ と 昭 和 三 十 年 代 、 卓 球 は 所 内 の い ろ い ろ な と こ ろ で 盛 ん に 行 わ れ て い た ス ポ ー ツ の ひ と つ で あ っ た 。 昭 和 三 十 六 年 、 小 川 弘 、 加 藤 忠 男 、 本 間 、 太 田 口 ら が 中 心 と な り 高 橋 聰 を 会 長 に N R I M 卓 球 同 好 会 が 設 立 さ れ た 。 し か し 一 定 の 練 習 場 所 が あ っ た 訳 で は な く 、 普 段 は 2 4 号 庁 舎 、 3 1 号 庁 舎 、 機 械 工 作 室 、 ク リ ー プ 庁 舎 な ど の 通 路 と い っ た と こ ろ で そ れ ぞ れ 行 っ て お り 、 毎 週 一 回 程 度 3 0 号 庁 舎 会 議 室 に お い て 定 期 練 習 を 行 っ て い た 。 目 標 は 総 理 府 大 会 で 好 成 績 を 挙 げ 、 連 合 会 全 官 大 会 の 代 表 権 を 得 る こ と が 最 大 の 課 題 と さ れ て い た 。 と い う の も 、 総 理 府 本 府 に は 全 日 本 ク ラ ス 、 大 学 で 鳴 ら し た 猛 者 が 大 勢 い た し 、 有 名 大 会 出 場 者 も 多 か っ た 。 そ の 中 で ブ ロ ッ ク 優 勝 ま た は 準 優 勝 を し な け れ ば 代 表 権 が 得 ら れ な か っ た 。 そ れ が か え っ て 猛 練 習 に 駆 り 立 て る こ と に な っ た の は 、 今 も 語 り 草 と な っ て い る 。 そ の 間 、 品 川 区 卓 球 連 盟 に 加 入 し 、 連 盟 リ ー グ で 二 部 ま で 昇 格 し た 。 ま た 、 渋 谷 区 卓 球 連 盟 の 大 会 に も 参 加 す る よ う に な っ た が 、 他 区 の 連 盟 で 活 動 す る こ と は そ れ ほ ど 長 く は 続 か な か っ た 。 目 黒 区 卓 球 連 盟 に は 現 在 ま で 加 盟 し 、 前 後 期 リ ー グ 戦 に は 欠 か す こ と な く 出 場 し て い る 。 昭 和 四 十 九 年 発 展 的 に N R I M 卓 球 部 と 名 称 を 改 め 、 組 織 の 充 実 が は か ら れ 、 部 費 の 徴 収 、 卓 球 部 広 報 が 随 時 出 さ れ る よ う に な っ た 。 会 長 、 部 長 、 監 督 を 始 め 、 各 役 員 は 毎 年 総 会 で 決 定 す る よ う に な っ た 。 昭 和 五 十 一 年 頃 管 理 庁 舎 大 会 議 室 の 使 用 が 許 可 さ れ 、 定 期 的 な 練 習 が 可 能 と な っ た 。 そ の 後 昭 和 五 十 六 年 に は 2 1 号 庁 舎 旧 工 業 化 研 究 部 の 空 き 室 を 卓 球 部 専 用 練 習 場 と し て 認 め ら れ 、 部 員 の 練 習 に も 一 段 と 熱 が 入 り 、 連 日 練 習 に 部 員 が 集 ま り 、 交 替 制 を も 取 り 入 れ な け れ ば な ら な い ほ ど に な っ た 。 ま た 総 理 府 大 会 や 目 黒 リ ー グ 戦 等 の 大 会 前 に は 、 強 化 練 習 期 間 が 設 け ら れ た 。 こ の 時 期 が 最 も 活 発 で 活 気 が あ っ た よ う に 思 え る 。 対 外 試 合 の こ と 管 理 庁 舎 会 議 室 の 使 用 が 出 来 る よ う に な っ て 、 交 流 試 合 が 行 え る よ う に な っ た 。 国 土 地 理 院 、 関 東 地 建 、 東 京 法 務 局 、 東 工 大 な ど 、 全 官 で 対 戦 す る 機 会 の 多 い 他 の 省 庁 の 卓 球 部 と の 交 流 試 合 が 頻 繁 に 行 わ れ る よ う に な っ た 。 さ ら に 、 目 黒 区 卓 球 連 盟 登 録 チ ー ム 等 と も 積 極 的 に 行 っ た 。 多 い 年 に は 八 回 に も の ぼ っ た 。 昭 和 五 十 五 年 防 衛 庁 一 研 と の 交 流 試 合 が き っ か け と な り 、 東 京 共 済 病 院 と も 行 い 、 さ ら に 発 展 し て 三 機 関 親 善 卓 球 大 会 が 計 画 さ れ た 。 三 ~ 四 名 で チ ー ム を 作 り 、 金 材 研 五 、 東 京 共 済 病 院 二 、 防 衛 一 研 一 、 計 八 チ ー ム の 総 当 た り リ ー グ 戦 と な っ た 。 会 場 は 金 材 研 、 防 衛 一 研 の 両 会 議 室 で 、 あ の 急 な 階 段 を 登 り 降 り し た 苦 し い 想 い 出 が あ る 。 こ の 第 一 回 大 会 の 優 勝 は 中 野 ( 恵 ) 、 村 田 、 亀 井 節 子 チ ー ム で あ っ た 。 三 機 関 親 善 卓 球 大 会 は 毎 年 開 催 さ れ 、 第 五 回 か ら K D D 研 究 所 も 加 わ り 名 称 も 四 機 関 親 善 卓 球 大 会 と な り 、 参 加 者 も 増 え 盛 大 な 行 事 に な っ た 。 し か し 、 昭 和 六 十 二 年 合 宿 K D D 研 究 所 が 埼 玉 県 に 移 転 す る に 及 び 、 ま た 防 衛 一 研 の 卓 球 部 員 が 転 出 す る な ど が 重 な り 、 こ の 年 で 四 機 関 親 善 大 会 は 中 断 さ れ た 。 対 外 試 会 は 当 所 で の み 行 わ れ た の で は な く 、 対 戦 相 手 の 地 に 出 向 く こ と も し ば し ば あ っ た 。 ト リ オ ( 目 黒 区 青 葉 台 ) 、 富 士 石 油 ( 千 葉 県 市 原 市 ) 、 K D D ( 埼 玉 県 ) 、 環 境 庁 ( 筑 波 学 園 都 市 ) な ど に も 出 向 い た 。 昭 和 五 十 四 、 五 十 八 年 に は 東 京 共 済 病 院 の 招 き に よ り 、 日 本 リ ー グ 一 部 の 協 和 発 酵 の 現 役 選 手 に よ る 指 導 を 受 け る 有 益 な 機 会 が あ っ た 。 部 外 の 試 合 で 最 も 力 を 入 れ て き た の が 、 総 理 府 大 会 と 目 黒 区 卓 球 連 盟 リ ー グ 戦 で あ る 。 総 理 府 代 表 選 考 会 を 兼 ね た 総 理 府 大 会 は 現 在 金 材 研 の 出 場 が な け れ ば 事 実 上 大 会 が 成 立 し な い ほ ど 、 我 が 卓 球 部 の 力 は 向 上 し た 。 目 黒 区 リ ー グ 戦 も 二 部 リ ー グ ま で 昇 格 し 、 一 部 入 り も 目 の 前 ま で き た が 、 中 野 ( 理 ) の 病 気 な ど が あ り 現 在 は 三 部 リ ー グ に 留 ま っ て い る 。 部 内 大 会 の こ と 部 内 大 会 と し て 、 昭 和 五 十 七 年 か ら 部 内 リ ー グ 戦 が 開 始 さ れ た 。 リ ー グ は A ~ D ま で 各 五 名 の リ ー グ で 構 成 さ れ 、 年 二 回 の 割 で 行 わ れ 、 現 在 つ く ば 移 転 後 も 継 続 さ れ て い る 。 第 一 回 の リ ー グ 戦 の 優 勝 者 は 、 A 、 B 、 C 、 D リ ー グ は そ れ ぞ れ 中 野 ( 理 ) 、 宮 代 、 下 平 、 廻 で あ っ た 。 そ の 後 、 平 成 元 年 か ら 年 三 回 行 わ れ る よ う に な り 、 現 在 も リ ー グ 戦 は 卓 球 部 の 最 も 重 要 な 大 会 の 一 つ と な っ て い る 。 金 材 研 杯 は シ ン グ ル ス 大 会 で 昭 和 五 十 四 年 に 第 一 回 大 会 が 行 わ れ 、 そ の 後 し ば ら く 中 断 し て い た が 、 宇 田 杯 争 奪 戦 が 創 設 さ れ た の を 期 に 再 開 さ れ る よ う に な っ た 。 昭 和 六 十 一 年 宇 田 会 長 が 退 官 さ れ カ ッ プ を 寄 贈 さ れ た の を 記 念 し て 、 宇 田 杯 争 奪 戦 が 創 設 さ れ た 。 こ れ は ダ ブ ル ス 大 会 と さ れ た 。 第 一 回 の 優 勝 者 は 今 井 、 升 田 組 で あ っ た 。 そ の 後 こ の 宇 田 杯 争 奪 戦 は 平 成 元 年 ま で 四 回 行 わ れ 中 断 さ れ て い る 。 レ ク リ エ ー シ ョ ン 大 会 の こ と 卓 球 部 で 最 も ユ ニ ー ク な 大 会 で あ る 。 恐 ら く 、 こ の よ う な 大 会 は 他 の 同 好 会 で は な い と 思 う 。 卓 球 以 外 の ス ポ ー ツ 大 会 で 卓 球 部 の 親 睦 を さ ら に 深 め よ う 、 と い う 意 図 の も と に 開 始 さ れ た 。 昭 和 五 十 六 年 、 第 一 回 部 内 ボ ー リ ン グ 大 会 が 行 わ れ た 。 そ の 後 、 年 一 回 の 割 合 で 行 わ れ た 。 昭 和 五 十 七 、 五 十 八 年 は バ レ ー ボ ー ル 大 会 で あ り 、 合 宿 組 対 自 主 練 習 組 、 壮 年 組 対 若 年 組 等 に 分 か れ 対 抗 戦 が 行 わ れ 、 そ の 後 こ の 対 抗 戦 は バ ド ミ ン ト ン 大 会 や テ ニ ス 大 会 で 行 わ れ る よ う に な り 、 卓 球 以 外 の 大 会 で 汗 を か き 懇 親 会 で 冷 た い ビ ー ル で 乾 杯 す る の が 楽 し み と な っ た 。 レ ク リ エ ー シ ョ ン 大 会 は 部 内 に 留 ま ら ず 、 防 衛 庁 一 研 と の ソ フ ト ボ ー ル 大 会 、 海 洋 科 学 技 術 セ ン タ ー と の バ ト ミ ン ト ン 大 会 、 古 河 電 工 親 善 ソ フ ト ボ ー ル 大 会 等 が あ り 相 手 グ ラ ウ ン ド ま で も 出 向 い て 行 っ た 。 し か し 、 週 休 二 日 制 の 導 入 や 部 員 の 高 齢 化 に と も な い 、 部 内 レ ク リ エ ー シ ョ ン 大 会 ば か り で な く 、 交 流 試 合 、 宇 田 杯 争 奪 戦 な ど は 衰 退 し て し ま っ た 。 合 宿 の こ と 夏 期 合 宿 の 話 は 昭 和 五 十 年 代 初 頭 の 総 会 で 話 題 に 上 っ て い た が 、 具 体 化 し た の は 昭 和 五 十 三 年 合 宿 積 立 が 行 わ れ た 時 で あ る 。 昭 和 五 十 四 年 八 月 、 第 一 回 夏 期 合 宿 が 長 野 県 木 曽 郡 上 松 町 の 真 新 し い 町 民 体 育 館 で 行 わ れ た 。 参 加 者 は 中 野 、 中 野 ( 恵 ) 、 今 井 、 本 郷 、 下 平 、 小 林 志 希 男 、 松 崎 恵 子 、 亀 井 の 八 名 で あ っ た 。 こ の 合 宿 は 、 卓 球 の 練 習 と い う よ り は 基 礎 体 力 の 強 化 合 宿 と い う イ メ ー ジ が 今 も 強 く 残 っ て い る 。 と に か く ラ ケ ッ ト を 握 っ て 練 習 し た と い う 記 憶 が 殆 ど な く 、 体 育 館 の 中 を 走 っ た り 、 縄 跳 び 、 ボ ー ル 投 げ の 毎 日 で あ っ た よ う な 記 憶 し か な い 。 そ れ で も 皆 若 く 、 元 気 い っ ぱ い 飛 び 跳 ね た 。 こ の 合 宿 の 成 功 に よ り 、 平 成 三 年 ま で 十 三 回 の 合 宿 が 続 く こ と に な る 。 第 二 回 は 新 潟 県 湯 沢 中 里 で 、 七 名 の 参 加 が あ っ た 。 体 育 館 は 宿 か ら か な り の 距 離 が あ り 、 車 で の 移 動 で あ っ た 。 し か も 体 育 館 と い う よ り は 柔 道 の た め の 施 設 、 か ま ぼ こ 型 の ト タ ン 造 り で 窓 も な い た め 、 出 入 口 の 大 き な シ ャ ッ タ ー を 開 け 放 っ た も の の 、 県 道 に 面 し て い る た め 大 型 ト ラ ッ ク が 頻 繁 に 通 る た び に 砂 ぼ こ り が た ち こ め 、 環 境 は す こ ぶ る 悪 い 中 で 猛 練 習 が 行 わ れ た 。 第 三 回 は 埼 玉 県 秩 父 小 鹿 野 で あ っ た 。 前 二 回 が か な り 距 離 的 に 遠 か っ た の で 、 今 回 は 近 場 と い う こ と で 秩 父 に き ま っ た 。 こ の 合 宿 か ら ス ケ ジ ュ ー ル 表 と い う も の が し っ か り 出 来 、 ス ケ ジ ュ ー ル に 添 っ た 練 習 が な さ れ た 。 こ の 合 宿 の 目 的 は 「 フ ッ ト ワ ー ク の 強 化 」 で あ っ た 。 し か も 、 夜 間 練 習 が 組 み 込 ま れ 、 体 力 の 限 界 を い や と い う ほ ど 知 ら さ れ た 合 宿 で あ っ た 。 第 四 回 は 群 馬 県 甘 楽 郡 妙 義 山 の 麓 で あ っ た 。 八 名 参 加 。 旅 館 が 体 育 設 備 を 持 っ て い た の で 、 こ れ ま で の よ う に 宿 か ら 移 動 と い う こ と が な か っ た 。 体 育 館 は 物 置 の 大 き な も の と い っ た 場 所 で 、 卓 球 台 が 三 台 よ う や く 入 る 大 き さ で あ っ た 。 し か も 、 ネ ッ ト が 二 枚 し か な く 、 キ ム ワ イ パ ー を 並 べ て ネ ッ ト 代 わ り に し て 練 習 を し た 。 第 五 回 は 群 馬 県 栃 木 市 新 栃 木 卓 球 セ ン タ ー で 、 十 一 名 の 参 加 が あ っ た 。 卓 球 専 用 の 合 宿 所 で 練 習 は 思 う よ う に 出 来 た が 、 卓 球 セ ン タ ー は 東 武 電 車 の 線 路 際 に 建 て ら れ て お り 、 電 車 が 通 る た び に 大 轟 音 で あ っ た 。 そ れ も し ば ら く す る と 苦 に な ら な く な る 程 の 練 習 メ ニ ュ ー で あ っ た 。 た だ 、 食 事 が 仕 出 し 屋 か ら の 出 前 と い う こ と で 時 間 通 り に は 食 べ ら れ ず 、 部 員 の 中 か ら 不 満 が 出 る 始 末 で あ っ た 。 第 六 回 は 埼 玉 県 秩 父 郡 横 瀬 町 で 行 わ れ 、 十 四 名 も の 参 加 が あ り 過 去 最 高 で あ っ た 。 練 習 場 は 市 民 体 育 館 で 立 派 な 施 設 で あ っ た 。 場 所 が 宿 か ら 車 で 移 動 し な け れ ば な ら な い 距 離 に あ り 、 し か も 、 公 営 体 育 館 と い う こ と で 、 練 習 は 時 間 も 規 制 さ れ 、 午 前 九 時 か ら 午 後 五 時 ま で と 短 か く 、 練 習 メ ニ ュ ー を 組 み 替 え る と い っ た こ と が 起 こ っ た 。 第 七 回 は 群 馬 県 前 橋 市 前 橋 卓 球 セ ン タ ー で 、 十 名 の 参 加 が あ っ た 。 こ の こ ろ か ら 合 宿 も 少 し づ つ 性 格 が 変 わ り 始 め 、 や や 観 光 も 取 り 入 れ た も の と な り 、 部 員 の 子 供 達 も 参 加 で き る よ う に な っ た 。 合 宿 所 は 総 二 階 造 り そ れ ぞ れ 七 台 の 卓 球 台 が 常 設 さ れ て お り 宿 泊 場 所 と 練 習 場 所 が 一 体 と な っ て 、 卓 球 マ シ ン も 自 由 に 使 う こ と が で き 、 目 一 杯 の 練 習 メ ニ ュ ー を 消 化 す る こ と が 出 来 た 。 合 宿 所 の 宿 の 主 人 も 卓 球 の 愛 好 者 で あ り 、 夕 方 か ら は 地 元 の 愛 好 者 が 集 ま り 、 練 習 試 合 な ど も 行 う こ と が 出 来 た 。 そ の 結 果 、 練 習 を 終 わ る 時 間 は 午 後 十 時 を 回 っ て い る こ と も し ば し ば で あ っ た 。 第 八 回 は 前 回 の 前 橋 卓 球 セ ン タ ー で 合 宿 を 行 っ た 。 前 回 は 子 弟 の 参 加 は 一 名 で あ っ た が 、 こ の 回 は 五 名 も 参 加 が あ り 、 ま た 部 員 以 外 に 横 浜 緑 区 の ク ラ ブ か ら 二 名 の 参 加 も あ り 、 総 参 加 者 数 は 十 四 名 で あ っ た 。 参 加 し た 子 供 達 の 感 想 文 の 中 か ら 一 つ 。 「 み ん な と 卓 球 が で き た し 、 マ シ ー ン で も 何 回 も で き た か ら 、 少 し は う ま く な っ た と 思 い ま す 。 私 は 練 習 も 少 し 休 み ま し た 。 く だ も の が た く さ ん 食 べ ら れ て よ か っ た で す 」 ( 小 学 四 年 ) 第 九 回 は レ ジ ャ ー の メ ッ カ 、 山 梨 県 南 都 留 郡 山 中 湖 で 行 っ た 。 防 衛 庁 一 研 、 緑 区 の ク ラ ブ 等 か ら の 参 加 者 が 金 材 研 卓 球 部 の 参 加 者 よ り 多 く 、 練 習 中 心 の 合 宿 と い う よ り 親 善 合 宿 、 親 子 合 宿 の 感 が 強 く な っ て き た 。 第 十 回 は 節 目 と い う こ と で 、 「 初 心 に 戻 っ て 」 の 合 宿 が 前 橋 卓 球 セ ン タ ー で 行 わ れ た 。 参 加 者 も こ れ ま で の 二 倍 の 二 十 三 名 も あ り 、 練 習 は 六 時 起 床 か ら 午 後 十 時 ま で 、 老 体 に ム チ を 打 ち つ つ 練 習 プ ロ グ ラ ム を こ な す 姿 は 滑 稽 で も あ っ た 。 し か し 、 地 元 の 愛 好 者 や 同 宿 し て い た 明 星 大 学 卓 球 部 と の 交 流 試 合 で は 、 「気 合 い 」 の み な ら ず ゲ ー ム 内 容 で も 決 し て 負 け て い な か っ た 。 第 十 一 回 は 前 年 と 同 じ 前 橋 卓 球 セ ン タ ー で 行 っ た 。 全 参 加 者 十 名 の 内 、 外 部 の 人 が 四 名 と い う 寂 し い 合 宿 と な っ た が 、 練 習 内 容 は 濃 い も の が あ っ た 。 第 十 二 回 は 金 材 研 、 昭 和 電 工 卓 球 部 と の 合 同 合 宿 と な り 、 前 橋 卓 球 セ ン タ ー で あ っ た が 、 衝 撃 的 な 出 来 事 が 起 こ っ た 。 卓 球 部 の 中 心 と な り 卓 球 部 を ぐ い ぐ い 引 張 っ て き た 中 野 ( 理 ) が 合 宿 前 日 の 地 元 の 練 習 後 の 帰 り 道 、 不 幸 に し て 病 に 倒 れ ら れ た こ と は 当 部 に と っ て 返 す が え す も 残 念 で あ っ た 。 し か し 、 金 材 研 三 名 、 昭 和 電 工 七 名 で の 合 宿 は 無 事 過 ご す こ と が 出 来 た が 、 そ の 痛 手 は 大 き か っ た 。 中 野 ( 理 ) が そ の 後 再 起 す る こ と な く 卓 球 か ら 身 を 引 く と 同 時 に 参 加 者 の 減 少 な ど が 大 き く 、 合 宿 を 見 直 す 時 期 と が 重 な り 、 十 二 回 を 最 後 に 夏 期 合 宿 の 幕 は 閉 じ ら れ た 。 お わ り に 三 十 年 以 上 の 歴 史 を 持 つ 我 が 卓 球 部 は 、 平 成 六 年 つ く ば 市 に 移 転 し た 。 体 育 施 設 も 充 実 し て お り 、 若 手 や 女 性 の 入 部 も あ り 、 以 前 に も 増 し て 活 発 な 活 動 が 期 待 出 来 る も の と 確 信 し て い る 。 ( 力 学 特 性 研 究 部 ) 金 材 技 研 テ ニ ス 部 創 設 の 頃 郡 司 好 喜 昭 和 三 十 四 年 七 月 、 小 生 は 仙 台 か ら 金 材 技 研 に 出 向 し て き ま し た 。 ま ず 目 に つ い た の は 、 進 駐 軍 が 使 用 し て い た と い う 広 々 と し た 三 面 の コ ー ト で の ん び り と テ ニ ス を 楽 し ん で い る 所 員 達 で し た 。 昭 和 十 二 年 に 軟 式 テ ニ ス を 始 め 、 昭 和 十 六 年 に は 福 島 県 の 中 学 校 の 優 勝 チ ー ム と し て 明 治 神 宮 大 会 ( 現 在 の 国 体 の 前 身 ) に 出 場 し た 自 慢 の 腕 。 馬 鈴 署 畑 に さ れ た テ ニ ス コ ー ト を 横 目 で に ら み な が ら 腕 を ぶ し た 何 年 間 は あ っ た も の の 、 仙 台 で は 多 少 知 ら れ た プ レ ヤ ー で し た 。 し か し 、 ラ ケ ッ ト を 握 る 時 間 は 決 し て 多 く な い 環 境 に 過 し て お り ま し た 。 そ れ が 、 昼 休 み は 勿 論 、 夕 方 の み な ら ず 土 曜 日 の 午 後 と 、 暇 な 時 に は 何 時 で も テ ニ ス を 楽 し め る 環 境 に 胸 躍 る 喜 び を お ぼ え ま し た 。 研 究 よ り ま ず テ ニ ス と 胸 に 刻 ん だ も の で し た 。 当 時 の 所 員 は 百 人 足 ら ず の 小 規 模 研 究 所 、 そ の 中 の 一 部 の 人 達 が 広 い テ ニ ス コ ー ト を 独 占 し 、 本 当 に の び の び と 楽 し ん で い る 姿 は 羨 し く さ え 目 に 映 り ま し た 。三 面 の コ ー ト が 何 時 も 満 杯 と い う こ と も な く 、 軟 式 と 硬 式 が 入 り 混 じ っ て プ レ ー を 楽 し ん で い る と い っ た 風 景 で し た 。 そ の 腕 前 は と 言 え ば ま あ ま あ と 言 っ た と こ ろ で 、 こ れ か ら 上 達 し よ う と い う 意 気 込 み は あ ま り 伝 わ っ て き ま せ ん で し た 。 小 生 も 早 速 軟 式 ラ ケ ッ ト を も っ て 参 加 さ せ て 貰 っ た の は 勿 論 で す が 、 当 時 非 常 に 熱 心 に 軟 式 ボ ー ル を 追 っ て い た の は 山 本 さ ん ( 愛 称 山 本 じ い さ ん ) と か 池 田 さ ん 、 田 井 さ ん 、 福 田 さ ん 等 々 で あ っ た よ う に 記 憶 し て い ま す 。 小 生 は 解 放 さ れ た よ う に テ ニ ス を 楽 し ん で い た の で す が 、 そ の う ち に 腕 試 し を し よ う と い う こ と に な り 、 池 田 ・ 郡 司 と い う コ ン ビ が 誕 生 い た し ま し た 。 当 時 、 こ の チ ー ム は 目 黒 大 会 の 常 連 と な り 、 結 構 名 を と ど ろ か せ た も の で し た 。 あ る 時 は 目 黒 区 の 代 表 チ ー ム の 一 員 に 選 抜 さ れ た こ と も あ る 実 力 で し た 。 と こ ろ が 、 こ こ で 小 生 は 大 き な ア ク シ デ ン ト に 見 舞 わ れ る こ と に な っ て し ま っ た の で す 。 激 し い 試 合 と か 練 習 の 後 で 、 身 動 き の 出 来 な い ほ ど の 腰 痛 が 起 る よ う に な り ま し た 。 普 通 ギ ッ ク リ 腰 と 言 わ れ る も の な の で し ょ う が 、 腰 痛 が 起 る と 約 一 週 間 は 治 り ま せ ん で し た 。 こ の 程 度 で 休 む こ と を 潔 し と せ ず 出 勤 し 動 き 廻 る 姿 は 「 ゴ リ ラ ス タ イ ル 」 と 言 わ れ 、 皆 さ ん を 楽 し ま せ た も の で し た 。 原 因 は 分 ら な い ま ま で す が 、 子 供 の 時 か ら の 無 理 が 崇 っ た こ と だ ろ う と 納 得 し て い ま し た 。 し か し 、 原 因 な ど は ど う で も よ く 、 小 生 の 関 心 は テ ニ ス が 続 け ら れ る か ど う か の 一 点 に あ り ま し た 。 病 院 に も 行 き 、 薬 を 飲 み 、 コ ル セ ッ ト ま で い た だ き ま し た が 、 少 し 落 着 け ば 直 ぐ に ラ ケ ッ ト を 握 る と い う 生 活 に 腰 痛 は 遠 慮 な く 襲 い 、 ゴ リ ラ ス タ イ ル か ら 逃 れ る こ と は で き ま せ ん で し た 。 あ る 日 、 こ ん な 事 を 思 い つ き ま し た 。 隣 り の コ ー ト で プ レ ー し て い る 硬 式 テ ニ ス の 人 達 は い と も 軽 や か に 動 き 、 軟 式 の よ う に 全 身 を 使 う 厳 し さ が な い よ う に 見 え た も の で し た 。 こ れ な ら 腰 へ の 負 担 も 軽 か ろ う と 、 こ の 思 い つ き を 実 行 す る こ と に し ま し た 。 そ れ か ら 一 年 間 は 、 硬 式 と 軟 式 を 交 互 に プ レ ー し て い た よ う に 思 い ま す 。 ラ ケ ッ ト の 握 り を 全 く 変 え る た め の 技 術 的 ジ レ ン マ に 悩 ま さ れ な が ら 。 硬 式 に 転 向 す る こ と で 腰 へ の 負 担 が 多 少 減 り 、 硬 式 テ ニ ス の 腕 も 少 し 上 っ た か と 思 わ れ る 昭 和 三 十 七 年 、 金 材 技 研 の テ ニ ス 部 に 大 き な 光 明 が さ し て ま い り ま し た 。 こ の 年 の 春 、 硬 式 テ ニ ス の 総 理 府 大 会 に 金 材 技 研 か ら 何 人 か が 参 加 す る こ と に な り ま し た 。 目 黒 の 池 の 中 の 蛙 が 野 原 に 飛 び 出 し た わ け で す 。 不 思 議 な こ と に 、 こ の 目 黒 蛙 は 大 変 な 暴 れ ぶ り 。 シ ン グ ル ス の 試 合 だ っ た の で 金 尾 さ ん は 優 勝 、 転 向 し て ま だ 一 年 、 強 い ボ ー ル を 満 足 に 打 て な い 小 生 で さ え 準 決 勝 ま で 進 ん で し ま い ま し た 。 そ の 他 に 二 、 三 の 人 が 上 位 に 進 全 官 庁 リ ー グ 戦 優 勝 記 念 ( 昭 和 四 〇 年 、 第 四 部) 。 前 列 左 か ら 、 斉 藤 、 郡 司 、 菊 池 、 永 田 、 武 藤 、 後 列 左 か ら 、 佐 久 間 、 片 瀬 、 川 原 、 中 村 、 金 尾 、 前 田 、 柳 原 、 信 木 、 菅 の 皆 さ ん 。 出 し て し ま っ た の で す 。 こ の 日 か ら 金 材 技 研 の 硬 式 テ ニ ス 部 の 空 気 は 一 変 し て し ま い ま し た 。 皆 さ ん 、 楽 し み 一 辺 倒 の テ ニ ス か ら 少 し で も 腕 を 上 げ よ う と い う 気 持 に 変 っ て き た よ う で す 。 そ う し た 気 運 が 増 幅 さ れ る 日 は 、 遠 い こ と で は あ り ま せ ん で し た 。 同 じ そ の 年 の 夏 、 金 材 技 研 は 全 官 公 庁 の 硬 式 テ ニ ス 大 会 に 出 場 す る こ と に な っ た の で す 。 現 在 は 五 十 チ ー ム に も 及 ぶ 多 く の チ ー ム が 参 加 し て い る と 聞 い て い ま す が 、 当 時 は 半 分 の 二 十 五 チ ー ム で 、 五 部 に 分 れ て い た と 記 憶 し て い ま す 。 そ の 時 の 皆 さ ん の 活 躍 ぶ り を 思 い 出 し て み ま す と 、 試 合 を 行 っ た 第 五 部 で 優 勝 こ そ 逃 し ま し た が 、 優 勝 を 争 う ほ ど の 大 健 闘 だ っ た の で す 。 ど ん な メ ン バ ー が と い う の は 興 味 あ る と こ ろ で す が 、 今 は 故 人 と な ら れ た 柳 原 さ ん 、 金 尾 さ ん 、 中 西 さ ん 、 中 村 さ ん 、 佐 久 間 さ ん 、 前 田 さ ん と い っ た 常 に 硬 式 ボ ー ル に 親 し ん で い た 人 達 は 当 然 で す が 、 そ れ 以 外 に 多 く の 人 達 が 参 加 し て い ま す 。 一 チ ー ム 十 人 で 構 成 し な け れ ば な ら な い の で 、 何 人 か の 人 数 が 足 り な か っ た の で す 。 常 日 頃 は 軟 式 ボ ー ル に 親 し ん で い る 人 達 、 山 本 さ ん 、 田 井 さ ん 、 池 田 さ ん 、 福 田 さ ん な ど に 頼 ん で 出 場 し て い た だ き ま し た 。 こ う し た チ ー ム 構 成 は 、 そ の 後 何 年 か 続 い た よ う に 憶 え て い ま す 。 な に ぶ ん 、 硬 式 テ ニ ス 部 と い っ て も 金 材 技 研 に 入 所 す る 前 に ラ ケ ッ ト を 握 っ て い た の は 柳 原 さ ん と 金 尾 さ ん だ け 、 小 生 に 至 っ て は 転 向 し た ば か り の 素 人 同 然 の 腕 前 で し た 。 そ の 小 生 が 金 尾 さ ん と No.1 を 務 め る 始 末 で す か ら 、 そ の 内 容 は お し て 知 る べ し だ っ た の で す 。 実 は こ の 年 か ら 、 金 材 技 研 の テ ニ ス 部 の 本 格 的 活 動 が 始 っ た の で す 。 も う 少 し 上 手 に な っ た ら も っ と 楽 し い テ ニ ス が 待 っ て い る の で は な い か 、 と い う 希 望 が 皆 さ ん の 心 に 拡 っ て き た と 思 い ま す 。 当 時 の 部 員 は 勿 論 、 新 し い 人 達 も 勧 誘 し 、 少 し は シ ス テ マ チ ッ ク に 、 懸 命 に 練 習 に 励 ん だ の は こ の 頃 か ら で し た 。 わ れ わ れ 素 人 か ら 無 理 矢 理 教 え ら れ ( ? ) て 迷 惑 し た 人 も 沢 山 お ら れ た こ と だ ろ う と 、 今 に な っ て 反 省 し て お り ま す 。 所 員 数 が 増 加 す る に 伴 い 所 内 大 会 な ど も 盛 ん に 催 さ れ る よ う に な り 、 金 材 技 研 の テ ニ ス は 日 に 日 に 盛 ん に な っ て き た よ う に 思 い ま し た 。 技 術 的 に は お 世 辞 に も う ま い と は 言 え な か っ た 目 黒 の 蛙 が 対 外 試 合 に 参 加 し 、 そ れ な り に 成 績 が 上 っ た の は 何 故 だ ろ う か 。 毎 日 、 ボ ー ル に 親 し む こ と で ボ ー ル が 見 え る よ う に な り 、 恰 好 の 良 く な い フ ォ ー ム で も 試 合 に 強 い テ ニ ス に な っ た の で し ょ う 。 現 在 で は 、 金 材 技 研 チ ー ム は 上 位 に ラ ン ク さ れ る 強 豪 チ ー ム に な っ て い る と か 聞 い て い ま す 。 そ う し た 輝 し い 成 功 は 、 三 十 年 前 に は 予 想 が で き な い こ と で し た 。 恵 ま れ た コ ー ト 環 境 と 皆 さ ん の 真 剣 な 努 力 の 賜 で あ る と 、 大 変 喜 ん で い ま す 。 強 豪 チ ー ム を 育 て た 目 黒 の テ ニ ス コ ー ト に は 受 難 の 歴 史 が あ り ま す 。 進 駐 軍 が 作 っ た 三 面 の テ ニ ス コ ー ト は 、 内 部 か ら 表 面 ま で 大 変 す ば ら し い も の で し た 。 最 初 の 受 難 は R I 庁 舎 ( 昭 和 三 十 七 年 ) が 建 つ 時 で し た 。 R I 庁 舎 を 建 て る た め に コ ー ト の 一 面 を 潰 そ う と い う 案 が 当 然 の よ う に 浮 上 し て き ま し た 。 こ う し た 提 案 に 対 し 、 何 と か こ の す ば ら し い コ ー ト を 守 ろ う と い う こ と に な り ま し た 。 そ こ で 、 三 面 の コ ー ト を 維 持 す る に は ど れ だ け の 面 積 が 必 要 か と 測 定 を い た し ま し た 。 そ の 結 果 、 コ ー ト 間 の 距 離 を 狭 く し 、 R I 庁 舎 の 位 置 も 少 し 我 慢 し て 貰 え ば 何 と か 三 面 の コ ー ト が 維 持 で き る と い う 結 論 に 達 し 、 現 S 36 年 バ レ ー 部 創 成 期 ( 自 動 車 労 組 隣 り の バ レ ー コ ー ト で) 在 の コ ー ト が 確 定 し ま し た 。 第 二 の 受 難 は 、 連 続 製 鋼 装 置 を 造 る た め に 2 2 号 B 庁 舎 を 拡 張 す る 時 ( 昭 和 四 十 二 年 ) で し た 。 十 分 余 裕 の あ る 広 さ で 装 置 を 作 り た い と い う 計 画 か ら す れ ば 、 最 低 一 面 の コ ー ト を 潰 す 必 要 の あ る こ と は テ ニ ス 部 か ら 見 て も 当 然 の 事 と 思 わ れ ま し た 。 そ こ を 何 と か 我 慢 し 、 テ ニ ス コ ー ト を 守 っ て も ら え な い だ ろ う か と テ ニ ス 部 の 方 か ら お 願 い 申 上 げ 、 そ れ を 考 慮 し て 現 在 の 2 2 号 B 庁 舎 が 実 現 し た と 理 解 し て お り ま す 。 そ の 後 、 大 変 狭 い 工 場 の 中 で 複 雑 な 設 備 を 操 業 す る 姿 を 拝 見 す る 度 に 、 コ ー ト 一 面 を 潰 し て 広 々 と し た 設 備 で 操 業 し た か っ た だ ろ う と 推 察 申 上 げ た も の で す 。 こ の よ う に 、 大 変 す ば ら し い テ ニ ス コ ー ト も 何 度 か 受 難 の 時 を 迎 え た の で す が 、 そ の 度 に 金 材 技 研 唯 一 の 厚 生 施 設 で あ る テ ニ ス コ ー ト を 守 ろ う と す る 多 く の 人 々 に よ っ て 守 ら れ 、 そ れ に よ っ て 沢 山 の 人 々 が 人 も 羨 む よ う な テ ニ ス を エ ン ジ ョ イ で き た の だ ろ う と 深 く 感 謝 し て お り ま す 。 ( 製 錬 研 究 部 S 3 4 ・7 ・1 6 ~5 7 ・5 ・3 1 ) バ レ ー ボ ー ル 部 バ レ ー 部 創 成 期 編 笠 原 和 男 振 り 返 っ て み る と 、 バ レ ー 部 が 発 足 し た の は 昭 和 三 十 六 年 の こ と で 、 す で に 三 十 三 年 前 の こ と で す 。 現 在 で は こ の 年 よ り も 若 い 職 員 の 方 が 随 分 増 え て お り 、 随 分 月 日 が た っ た な あ と つ く ず く 感 じ ま す 。 部 の 発 足 は 吉 松 史 朗 ( 元 反 応 部 ) 、 鈴 木 一 成 ( 元 技 術 課 ) の 両 名 を 幹 と し て 、 同 好 の 士 が 集 ま り 結 成 し た の が 始 ま り で し た 。 発 足 当 初 は ネ ッ ト や コ ー ト な ど 無 く 、 道 路 で バ ト ミ ン ト ン の ネ ッ ト を 利 用 し 、 技 量 は 所 内 大 会 程 度 の も の で し た 。 当 時 は 九 人 制 が 主 体 で や っ と 九 人 揃 い 、 そ の 中 で 経 験 者 は 四 名 程 度 で 、 そ の 他 は 全 く の 経 験 無 し の 素 人 の 集 団 で し た 。 集 ま っ た 部 員 も 何 故 か ユ ニ ー ク な 奴 が 多 く 、 酔 う と 調 子 外 れ の 歌 を 真 面 目 に 歌 う 奴 、 そ の 歌 を 聞 い て 余 り の 滑 稽 さ に 藪 に 墜 落 し 血 だ ら け に な っ た 奴 、 ま た 、 酔 う と 勇 ま し く な り 道 路 の 真 ん 中 に 座 り 喧 嘩 相 手 が 来 る の を 待 っ て い る 奴 、 相 手 チ ー ム の 応 援 に 来 た 女 性 を 我 々 の チ ー ム の 応 援 仲 間 に し て し ま う 奴 ( 今 で い う な ん ぱ ) 、 そ し て や く ざ に 絡 ま れ 丸 く 治 め る の に 責 任 者 を 苦 労 さ せ た 奴 、 な ど な ど 。 ま た 、 春 秋 に は ハ イ キ ン グ 、 夏 に は 海 か 山 の キ ャ ン プ 、 冬 は ス キ ー 等 に 参 加 し 、 練 習 や 試 合 の 苦 し い 思 い 出 ば か り で な く 、 楽 し い 思 い 出 も 随 分 あ り ま す 。 そ の 当 時 の 試 合 は 全 て 屋 外 の コ ー ト で 行 わ れ 、 試 合 終 了 時 に は 汗 と 泥 と 擦 り 傷 だ ら け で し た 。 三 十 八 年 に 連 合 体 育 祭 で は 防 衛 庁 を 破 り 、 初 優 勝 を 遂 げ ま し た 。 そ の 時 の 優 勝 杯 で 飲 む ビ ー ル の 旨 さ は 格 別 の も の で し た 。 そ れ S 38年バレー部連合体育祭で初優勝 以 降 三 連 覇 を 達 成 し 、 こ の 優 勝 杯 は 三 連 勝 す る と 獲 得 で き る も の で 、 我 々 の チ ー ム が 初 め て 獲 得 し ま し た 。 こ の 間 、 念 願 の コ ー ト が 完 成 し 、 練 習 も 本 格 的 に で き る よ う に な り ま し た 。 し か し 、 部 の 活 動 に 関 し て は 部 員 の 高 齢 化 や 今 で い う ト ラ バ ー ユ し た 者 な ど に よ り 弱 体 化 し 、 現 役 で 残 っ て い た の は 数 名 と い う 厳 し い 時 も あ り ま し た 。 そ の 後 徐 々 に 若 手 部 員 も 増 え 、 チ ー ム 編 成 が で き る よ う に な り ま し た 。 初 心 者 ば か り の 集 団 で し た が 、 幸 か 不 幸 か ほ と ん ど の 者 が 靖 心 寮 生 活 、 土 日 、 早 朝 、 夕 方 と 練 習 に 恵 ま れ た 環 境 で し た 。 結 構 ハ ー ド な 練 習 や 合 宿 を よ く こ な し て き て く れ た も の だ と 、 今 思 い 出 し て つ く づ く 感 心 し て お り ま す 。 今 に な っ て 思 い 出 す と 、 苦 し い こ と も 楽 し い こ と も 、 青 春 の 良 い 思 い で の 一 ペ ー ジ に な っ て お り ま す 。 ( 第 3 研 究 グ ル ー プ ) バ レ ー 部 合 宿 編 松 本 文 明 現 在 、 筆 者 M は 『目 黒 の 思 い 出 ・ バ レ ー 部 、 合 宿 』 と い う キ ー ワ ー ド で 、 に が く 、 苦 し く 、 活 気 の あ っ た 遠 い 昔 に 思 い を 馳 せ て い ま す … … … … 。 ま ず 最 初 に 浮 か ん だ 言 葉 は 、 鬼 の 笠 原 、 鬼 の 上 平 、 鬼 の …… ウ ワ ー 鬼 が 島 だ ? 次 に 浮 か ん で き た の は 、 長 野 、 菅 平 、 富 士 見 、 上 田 、 あ あ 合 宿 だ 。 そ う 、 菅 平 の 合 宿 は す ご か っ た 。 昭 和 三 十 年 代 を 思 わ せ る 木 造 二 階 建 て の 宿 泊 所 で 、 お 昼 は 、 油 の 中 に 島 が あ る 感 じ で チ ャ ー ハ ン が 盛 ら れ て い て 、 各 室 が 蚕 棚 の よ う に 二 段 ベ ッ ト が 両 側 三 ~ 四 段 ず つ 入 っ て い て 、 山 の 中 で 、 夜 は 外 出 禁 止 で 、 飲 酒 禁 止 で 、 夜 も 体 育 館 で 練 習 し て 、 へ と へ と に な っ て 、 初 め て 体 が バ テ る 前 に 筋 肉 が 悲 鳴 を 上 げ る の を 聞 き ま し た 。 で も 、 真 っ 暗 な 中 を 懐 中 電 灯 も 持 た ず 窓 か ら 抜 け 出 し て 、 ビ ー ル を 買 い に 行 き 、 酒 盛 り し て い た 人 も い た の で し た 。 … … あ の 合 宿 所 は 、 昭 和 五 十 年 頃 に 取 り 壊 さ れ た 靖 心 寮 に 良 く 似 て い た 気 が し ま す 。 そ う い え ば 、 新 し い 靖 心 寮 が 建 っ た 後 に 寮 合 宿 を や っ た な あ 。 あ れ は 五 十 一 年 頃 の 夏 の は じ め 頃 だ ろ う な 。 涼 し い 朝 と 夕 方 に 練 習 を し よ う と い う こ と に な り 、 朝 は 七 時 ~ 八 時 半 、 夕 は 五 時 ~ 七 時 頃 ま で 、 一 週 間 、 途 中 で つ ま ず き も 有 り ま し た が 半 合 宿 を 行 い ま し た 。 特 に 夕 方 は 暗 く な る と ラ イ ト を つ け て 練 習 し た も の で す 。 最 後 の 仕 上 げ は 、 下 丸 子 の キ ャ ノ ン で の 練 習 試 合 で し た 。 こ の と き は 朝 練 、 午 後 試 合 で 朝 昼 抜 き と な り 、 体 は フ ワ フ ワ し て い た が 良 く 動 い た 気 が し ま す 。 宴 会 … … 五 十 二 年 頃 の 合 宿 、 納 会 の 打 ち 上 げ で は 、 み ん な 多 芸 を 誇 っ て い ま し た 。 古 山 さ ん の 「 湯 島 の 白 梅 」 、 小 黒 さ ん の 「私 の 城 下 町 」 、 若 手 数 名 に よ る 「 月 光 仮 面 」 、 高 橋 君 の 「 ア ッ コ ち ゃ ん の 替 え 歌 」 、 田 中 君 の 「… … 音 頭 」 な ど 。 そ し て 最 後 に み ん な で 「 八 百 屋 お 七 」 。 宴 は 尽 き ず … … 。 サ ク ラ … … バ レ ー コ ー ト 入 り 口 横 の 桜 は 、 全 部 員 の 気 持 ち を 知 っ て い た だ ろ う な ? 桜 の 花 の 時 期 は コ ー ト で い つ も 胸 が 躍 り 、 ワ ク ワ ク す る よ う な 気 持 ち で 練 習 で き た な ー … … 。 プ ッ ツ ン 。 … … お ー い 、 コ ン セ ン ト が 抜 け た ぞ ー 。 思 い 出 に な る と 何 で も 美 化 さ れ て 楽 し い こ と に な っ て し ま う も の で す が 、 私 の バ レ ー 部 の 思 い 出 は 、 つ ら い こ と 、 楽 し い こ と な ど を 含 め 上 等 な 思 い 出 と な っ て い ま す 。 ( 強 磁 場 ス テ ー シ ョ ン ) バ ド ミ ン ト ン 部 佐 藤 俊 司 最 初 に 行 わ れ た バ ド ミ ン ト ン 大 会 は 、 職 員 会 の 主 催 で あ っ た 。 昭 和 三 十 六 年 夏 の 頃 、 管 理 庁 舎 の 前 の 道 路 で 行 わ れ て い た 。 私 も ヘ タ な が ら 、 人 数 合 わ せ の た め 参 加 さ せ て も ら っ た 。 そ の こ ろ は 、 ど の チ ー ム も ド ン グ リ の 背 比 べ で あ っ た こ と が 思 い 出 さ れ る 。 栄 え あ る 第 一 回 目 の 優 勝 は 、 当 時 第 八 部 鉄 製 錬 研 究 室 の 郡 司 、 中 西 ペ ア で あ っ た 。そ の 後 数 年 経 て か ら レ ク リ エ ー シ ョ ン 実 行 委 員 会 が で き 、 所 の 主 催 と な り 、 目 黒 区 中 央 体 育 館 を 借 り る よ う に 山梨県白州中学校合宿(1981年) な っ た 。 そ の と き か ら 個 人 戦 か ら 部 対 抗 と な り 、 一 層 の 盛 り 上 り と な っ た 。 い つ の こ と か 思 い 出 せ な い が ( 当 時 の 記 録 は つ く ば に 引 越 し の さ い 整 理 し て し ま っ た ) 、 バ ド ミ ン ト ン 部 を 作 ろ う と の 話 が あ っ て 、 私 も 参 加 さ せ て も ら っ た 。 二 十 名 ぐ ら い の 参 加 で 発 足 し た と 思 う ( 当 時 参 加 し た 方 お 知 ら せ 下 さ い ) 。 当 時 は バ ド ミ ン ト ン 部 と は 名 ば か り で 、 練 習 も あ ま り し て い な か っ た 。 部 の 先 輩 に は 郡 司 好 喜 さ ん 、 千 葉 実 さ ん や 山 内 睦 夫 さ ん 、 池 田 清 一 さ ん な ど が い た 。 そ の う ち に 、3 0 号 庁 舎 、3 4 号 庁 舎 や 製 錬 庁 舎 の 前 に コ ー ト を 作 り 、 昼 休 み に 練 習 を す る よ う に な っ た 。 ま た 、 郡 司 さ ん の 紹 介 で 中 野 区 に あ る お 寺 の 体 育 館 に 練 習 に 行 っ た こ と も あ っ た 。 池 田 さ ん か ら 中 野 区 の 新 井 薬 師 に あ る 小 学 校 の 体 育 館 が 夜 間 一 般 開 放 し て い る か ら と 話 を 聴 き 、 出 か け た の は い い が 、 中 学 生 の 女 の 子 に コ ロ コ ロ 負 け た 思 い 出 も あ る 。 そ の 後 、 部 員 数 も 増 え 、 山 梨 県 白 州 村 の 中 学 校 体 育 館 で 合 宿 し た り し て 技 術 の 向 上 を は か っ た 。 ま た 、 金 材 技 研 バ ド ミ ン ト ン 部 と し て 目 黒 区 の 協 会 に 登 録 し 、 団 体 戦 に 出 場 し 、 良 い 成 績 を 残 す こ と も で き た 。 さ ら に 、 総 理 府 大 会 や 、 総 理 府 代 表 と し て 全 官 の 大 会 に も 出 場 し 、 優 勝 し た こ と も 思 い 出 す 。 部 員 の 中 で は 公 認 審 判 員 の 資 格 を 修 得 す る 者 も 出 て 、 国 際 大 会 や 全 日 本 の 大 会 で 審 判 員 と し て 活 躍 す る よ う に な っ た 。 し か し 、 今 回 つ く ば に 移 転 し 、 全 官 の 大 会 に 出 場 出 来 な く な っ た の は 少 し 寂 し い 気 も す る 。 が 、 つ く ば で も 目 黒 と 同 様 に 楽 し い 思 い 出 を 作 る よ う に 努 力 し た い と 思 う 。参 考 ま で に 、 歴 代 の 部 長 は 中 川 前 所 長 、 尾 沢 正 也 さ ん 、 現 在 は 佐 藤 俊 司 で す 。 目 黒 で 活 躍 し た バ ド ミ ン ト ン 部 は 、 平 成 六 年 十 一 月 一 日 を も っ て 解 散 し た 。 ( 損 傷 機 構 研 究 部 ) 金 材 技 研 乗 馬 部 、 青 春 の 日 々 西 島 敏 君 、 足 は 何 文 か ね ? 研 究 室 の 昼 休 み 、 例 に よ っ て 舟 久 保 さ ん が 忙 し げ に 入 っ て き て 聞 く 。 と ま ど い な が ら 十 一 文 半 で す と 答 え る と 、 た た み か け て 、 「 あ あ ー そ り ゃ ち ょ う ど 良 い 。 君 に ぴ っ た し の チ ョ ー カ が あ る ん だ よ 。 素 晴 ら し い 掘 り 出 し も ん や ね 。 俺 が 欲 し い ん だ け ど 、 大 き す ぎ て 。 さ あ 、 見 に 行 こ う よ 」 チ ョ ー カ っ て 何 だ ろ う と 思 い な が ら 、 た ち ま ち 恵 比 寿 の 古 道 具 屋 に 連 れ て 行 か れ 、 木 型 の 入 っ た 立 派 な 赤 革 の 長 靴 を 買 う こ と に な っ て し ま っ た 。 実 は 、 舟 久 保 さ ん は 金 材 技 研 に 乗 馬 部 を 作 ろ う と し て 、 部 員 を リ ク ル ー ト 中 だ っ た の だ 。 そ の 少 し 前 、 金 材 技 研 に 一 年 間 滞 在 し た フ ラ ン ス の G ・ ・ コ レ ッ ト さ ん か ら 、 参 宮 橋 に 良 い 乗 馬 ク ラ ブ が あ る と 聞 い て い た 舟 久 保 さ ん は 、 適 当 な 数 の 部 員 が 確 保 で き る と す ぐ 、 私 を 連 れ て そ こ へ 乗 り 込 ん だ 。 そ し て 理 事 た ち の 前 で 、 日 本 乗 馬 界 の 底 辺 を 支 え る こ の よ う な ( と 、 私 を 指 し ) 若 い 社 会 人 た ち の 努 力 を 是 非 認 め て い た だ き た い と 、 熱 っ ぽ く 訴 え た 。 金 材 技 研 乗 馬 部 が め で た く 東 京 乗 馬 ク ラ ブ の 団 体 会 員 と し て 発 足 で き た の は 、 東 京 オ リ ン ピ ッ ク の 年 、 昭 和 三 十 九 年 の 春 で あ る 。 た だ し 、 新 参 も の で あ っ た の で 、 練 習 は メ ン バ ー の 邪 魔 に な ら な い 早 朝 六 時 か ら 、 と い う こ と に な っ た 。 利 用 料 金 は 一 鞍 ( 四 十 五 分 ) 五 百 円 で 、 初 め は 半 鞍 ず つ 乗 る こ と が 多 か っ た 。 心 身 の 鍛 錬 と 親 睦 舟 久 保 部 長 の 目 指 し た の は 、 規 律 正 し く 安 全 に 乗 馬 を 楽 し む こ と だ っ た 。 部 則 で は 、 乗 馬 を 通 じ て 部 員 の 心 身 を 鍛 練 し 、 相 互 の 親 睦 を 計 る こ と を 目 的 と 定 め 、 部 員 は 金 材 技 研 職 員 及 び そ の 紹 介 に な る 賛 同 者 と し た 。 実 は こ の 部 員 の 資 格 が 、 後 で 問 題 に な っ た 。 乗馬部練習風景 練 習 は 、 基 本 的 に は 旧 陸 軍 の 馬 術 教 範 を 教 材 と し て 、 始 め は 東 京 乗 場 ク ラ ブ の 奈 良 林 太 郎 先 生 の 指 導 を 受 け な が ら 、 通 常 は 五 ~ 六 頭 、 時 に は 十 五 頭 も の 馬 を 連 ね て 部 班 で 行 っ た 。 少 し 出 来 る よ う に な っ て か ら は 馬 場 係 を 決 め 、 自 分 た ち で 配 馬 や 号 令 か け を 行 っ た 。 寒 い 冬 の 未 だ 暗 い 朝 六 時 、 厩 か ら 引 き 出 し た 馬 に 装 勒 装 鞍 し 、 馬 場 に 引 き 出 し て 騎 乗 整 列 す る 。 馬 場 係 に よ る 独 特 の 節 回 し の 号 令 で 、 上 手 下 手 そ れ な り に 、 四 十 五 分 間 奮 闘 す る 。 号 令 が う ま く な い と 、 練 習 は う ま く い か な い 。 「 分 隊 気 を 付 け 、 右 よ り 間 隔 八 歩 常 歩 前 へ 進 め 、 速 歩 進 め 、 軽 速 歩 進 め 、 斜 め に 手 前 を 換 え 、 巻 乗 り 、 歩 度 を 伸 ば せ 、 往 復 手 前 を 換 え 、 速 歩 進 め 、 歩 度 を 縮 め 、 駆 歩 進 め 、 各 個 斜 め に 手 前 を 換 え 、 輪 乗 り 、 輪 乗 り を 換 え 、 速 歩 進 め 、 並 歩 進 め 、 列 に 先 頭 止 ま れ 」 終 っ て 、 馬 を 拭 い て や り 、 寝 藁 の 交 換 を 手 伝 う な ど す る と 、 も う 汗 び っ し ょ り だ 。 着 替 え て 、 凄 い 臭 い の す る 装 備 を 抱 え て 、 電 車 で 金 材 技 研 に 出 勤 す る 。 こ れ で 始 業 時 間 に ち ょ う ど 間 に 合 っ た 。 部 員 は 多 い と き で 三 十 名 い た 。 長 く 活 躍 し た メ ン バ ー と し て は 、 部 長 の 舟 久 保 煕 康 以 下 、 板 垣 孟 彦 、 岩 元 兼 敏 、 北 川 光 児 、 木 村 隆 、 鈴 木 正 敏 、 豊 原 富 佐 子 、 福 原 煕 明 、 丸 山 敦 子 、 山 梨 美 香 、 村 松 祐 治 な ど の 名 を 挙 げ る こ と が で き る 。 時 に は 他 団 体 と 親 善 試 合 を 行 っ た 。 昭 和 四 十 四 年 七 月 か ら 三 十 週 か け た 六 団 体 リ ー グ 戦 で は 、 日 曜 朝 六 時 集 合 で 、 四 名 戦 の 中 級 障 害 戦 を 行 っ て い る 。 馬 場 に 配 し た 横 木 や 木 柵 、 ド ラ ム 缶 な ど 八 個 を 順 序 通 り に 飛 び 越 え る の だ 。 一 番 高 い も の で も 八 十 セ ン チ だ か ら 、 馬 に 乗 ら な け れ ば ど う と い う こ と は な い の だ が 、 乗 っ て 全 部 で き る 人 は 少 な い 。 豪 雪 ・ 優 星 、 花 姫 、 渓 雪 な ど の 馬 を 使 っ た が 、 こ れ ら は 特 に 騎 手 の 技 量 を 必 要 と す る 。 こ の 勝 負 は 、 遅 刻 欠 場 に よ る 不 戦 勝 も 含 め 、 国 鉄 、 金 材 技 研 、 富 士 銀 行 、 防 衛 庁 、 郵 政 省 と 三 井 物 産 の 順 の 成 績 だ っ た 。 馬 は 人 を 見 る 乗 馬 ク ラ ブ の 馬 は 、 人 間 に 換 算 す る と 結 構 年 配 の こ と が 多 く 、 大 抵 の 乗 り 手 よ り 経 験 豊 富 で 賢 い 。 馬 に 乗 る に は 、 先 ず 左 手 で 手 綱 と た て が み を つ か み 、 鐙 ( あ ぶ み ) に 左 足 を か け 、 右 手 で 鞍 を つ か み 、 右 足 で 踏 み 切 っ て 、 ヤ ッ 、 と よ じ の ぼ る 。 と こ ろ が 馬 と い う も の は 、 考 え て い る 以 上 に 大 き い も の だ 。 馬 格 の 大 き い も の で は 、 自 分 の 頭 く ら い の 高 さ に 上 が ら な け れ ば な ら な い 。 初 心 者 は 、 先 ず こ の 段 階 で 恐 ろ し さ に 身 が す く む 。 と こ ろ が 馬 の ほ う で も 、 自 分 へ の 近 付 き 方 や 身 体 へ の さ わ り 方 で 、 騎 手 と し て の レ ベ ル を 完 璧 に 判 断 す る 。 メ ガ ネ に 叶 わ な け れ ば 、 肝 心 の と こ ろ で ヒ ョ イ と 動 い た り し て 乗 せ よ う と し な い 。 下 手 く そ を 乗 せ る と 、 銜 ( は み 、 口 の 中 に 通 し た 金 具 ) を 乱 暴 に 引 か れ た り 背 中 の 上 で ポ ン ポ ン 跳 ね ら れ た り す る か ら 、 厭 な の だ 。 む り や り 乗 る や つ に は 、 い う こ と を 聞 い て や ら な い 。 鈍 感 な 人 に も は っ き り 分 か る よ う に 、 馬 鹿 に し て や る の だ 。 こ れ が 何 回 か 続 く と 、 お 互 い に 顔 を 見 た だ け で 関 係 が 分 か る 。 そ こ で 今 日 こ そ は と 、 決 意 を も っ て 鞍 に 座 る の だ が 、 こ れ は 大 抵 人 間 の 負 け に 終 わ る 。 右 に 曲 ろ う と し て も 馬 は 知 ら ん 顔 で 真 っ 直 ぐ 行 く と か 、 関 係 な い 顔 で 木 の 葉 を む し ゃ む し ゃ 食 べ 出 す と か 、 甚 だ し い の は そ の ま ま 真 っ 直 ぐ 厩 に 帰 る こ と だ っ て あ る 。 や が て 、 こ う い っ 裾野遠乗り た こ と が 起 こ る 人 馬 の 組 み 合 わ せ は 大 体 決 っ て い る こ と が 分 か る 。 余 談 だ が 、 フ ラ ン ス に 留 学 し た と き 、 田 舎 で 良 く 肥 え た 大 き な 馬 に 乗 せ て 貰 っ て 広 い 牧 場 を 駆 け る 機 会 が あ っ た が 、 貧 之 学 生 の 癖 に ど う し て お 前 は そ ん な に 馬 に 乗 れ る の か 、 金 材 技 研 で は 馬 を 何 頭 持 っ て い る の か 、 牧 場 は 何 ヘ ク タ ー ル あ る の か な ど し つ こ く 聞 か れ 、 大 い に 弱 っ た こ と を 思 い 出 す 。 壮 大 な 富 士 の 裾 野 で 一 応 危 険 な く 乗 り こ な せ る よ う に な る と 、 欲 が 出 る 。 始 め て 遠 乗 会 を 持 っ た の は 、 昭 和 四 十 年 の 夏 だ っ た 。 場 所 は 御 殿 場 市 板 妻 付 近 の 富 士 の 裾 野 で 、 丸 尾 、 高 畑 、 弁 当 沢 、 山 口 、 狐 塚 な ど と 呼 ば れ る 、 標 高 千 メ ー ト ル 位 の 一 帯 だ 。 そ こ は 緩 や か な 起 伏 の 原 野 で 、 高 く 生 い 茂 っ た す す き の 中 を 小 道 を 辿 っ て 進 ん で い く と 、 騎 手 に は 辺 り が 見 渡 せ る が 馬 に は 見 え な い も の だ か ら 、 馬 は 非 常 に 良 く い う こ と を き く 。 ち ょ っ と し た 崖 の よ う な と こ ろ で も 、 馬 が ム ム ム と 力 を 出 し て 登 っ て く れ る し 、 高 み に 立 っ て 麓 を 見 渡 す と 、 火 照 っ た 顔 に 涼 し い 風 が 吹 き 、 自 分 は こ ん な に 上 手 だ っ た の か と 、 ま こ と に 気 持 ち 良 く 自 惚 れ る こ と が で き る 。 馬 は 長 田 さ ん と い う 陸 軍 上 が り の 人 が 、 自 分 の 持 ち 馬 の 他 に 、 地 元 の 農 家 の 馬 を 手 配 し て 貸 し て い た 。 馬 は 、 香 一 号 、 香 二 号 、 利 夫 な ど と 、 持 主 の 名 前 で 呼 ば れ て い て 、 一 日 三 千 円 、 こ れ を 半 日 づ つ 割 り 勘 で 使 っ た 。 一 泊 三 食 付 き 八 百 円 だ っ た か ら 、 値 段 の 想 像 が 付 く だ ろ う 。 始 め て の と き に は 現 場 を 下 見 に 行 っ て 詳 細 な 地 図 を 作 り 、 伝 令 や 救 急 担 当 を 決 め 、 長 田 方 に 設 け た 本 部 と ト ラ ン シ ー バ ー で 定 時 に 連 絡 を 取 り 合 う な ど 、 舟 久 保 小 隊 率 い る 野 戦 演 習 さ な が ら だ っ た 。 共 同 購 入 し た 揃 い の グ レ ー の 乗 馬 ズ ボ ン を は き 、 金 材 技 研 自 衛 消 防 隊 の ブ ル ー の 帽 子 に 白 い 軍 手 で 馬 上 か ら 礼 を す る と 、 馬 や 馬 具 の 古 び た こ と な ど は 気 に な ら な く な り 、 光 り 輝 く 精 鋭 揃 い に 見 え た 。 自 衛 隊 演 習 地 の 近 く だ っ た し 、 地 元 の 人 達 が 私 達 に 道 を 譲 り 見 送 っ て く れ た 眼 差 し に は 、 明 ら か に 敬 意 と 感 嘆 の 気 持 ち が 伺 え た と 思 う 。 早 朝 の 皇 居 で 昭 和 四 十 二 年 、 当 時 の 戸 部 管 理 部 長 の 肝 入 り で 、 皇 宮 警 察 の 乗 馬 を 訓 練 さ せ て も ら う こ と が で き る よ う に な っ た 。 元 気 の い い 馬 を 運 動 不 足 に し な い よ う に 、 適 当 な 乗 り 手 が い つ も 必 要 な の だ 。 皇 居 に 出 入 り す る の で 、 部 則 や 名 薄 な ど を 添 え て 申 請 し 、 通 行 証 を も ら っ て 、 早 朝 の 大 手 門 か ら 出 入 り し た 。 当 時 は 、 宝 石 や 、 ノ サ ッ プ 、 ハ ヤ ブ サ 、 イ ッ シ ュ ン 、 星 山 、 隆 元 な ど の 元 気 の 良 い 馬 が 数 十 頭 も い て 、 賑 や か だ っ た 。 係 り の 星 野 先 生 は 、 馬 を 教 育 し 皇 宮 警 察 官 を 教 育 し 、 そ の 上 に 私 達 の 指 導 ま で 懇 切 に 見 て く れ た の だ か ら 、 さ ぞ 大 変 だ っ た ろ う と 思 う 。 こ こ に は 伝 統 色 豊 か な 木 造 の 覆 い 馬 場 と い う の が あ り 、 落 ち 着 い た 雰 囲 気 で 室 内 馬 術 を 楽 し め た が 、 陽 光 き ら め く 早 朝 の 吹 上 御 苑 で の 騎 乗 も 、 ま た 格 別 だ っ た 。 昭 和 四 十 五 年 の 春 分 の 日 に は 、 厩 の 人 達 と 親 睦 競 技 会 を や っ た 。 琴 平 、 鯛 釣 り 、 巻 乗 り 、 玉 入 れ 、 誘 導 、 誘 導 障 害 な ど の 種 目 が あ り 、 沢 山 の 賞 品 や 飲 物 が 出 て 、 厩 舎 の 人 達 と 一 日 中 楽 し ん だ 。 恵 ま れ な い 職 場 に あ っ た あ の 人 達 に と っ て 、 私 達 と の 気 の お け な い 一 時 は 、 そ れ な り に 楽 し い も の だ っ た と 思 わ れ る 。 こ の よ う な 催 し は 、 そ れ が 出 来 な く な る ま で 数 回 続 い た 。 そ し て 馬 事 公 苑 で 昭 和 四 十 三 年 七 月 、 日 産 丸 紅 商 事 の 人 か ら 社 会 人 馬 術 同 好 会 設 立 の 呼 び か け が あ り 、 松 平 頼 明 さ ん を 会 長 に 二 十 一 団 体 が 参 加 す る こ と に な っ た 。 そ し て 十 月 、 世 田 谷 の 馬 事 公 苑 で 第 一 回 社 会 人 馬 術 大 会 を 開 催 す る こ と と な り 、 私 達 も 科 技 庁 と し て 参 加 、 個 人 の 部 で 山 梨 さ ん 二 位 三 百 二 十 二 点 、 丸 山 さ ん 五 位 二 百 九 十 二 点 の 成 績 で 、 大 い に 気 を 吐 い た 。 ち な み に 一 位 は 東 京 都 三 百 三 十 五 点 、 三 位 は 衆 議 院 三 百 十 三 点 だ っ た か ら 、 堂 々 た る も の だ 。 こ の 結 果 、 団 体 で も 六 百 十 四 点 三 位 を 取 り 、 衆 議 院 六 百 二 十 一 点 、 東 京 都 六 百 十 五 点 に 次 ぐ 成 績 で 、 注 目 さ れ た 。 残 念 な こ と に 、 こ の 会 員 団 体 に は 会 社 関 係 も 多 く 、 活 動 は 徐 々 に 派 手 に な り 会 費 も 上 が り 、 や が て 私 達 が 続 け ら れ る 範 囲 を 越 え て し ま っ た 。 始 め あ れ ば 、 終 わ り あ り 乗 馬 部 の 終 わ り は 、 は っ き り し な い 。 基 本 的 に は 、 平 均 的 技 術 レ ベ ル が 向 上 し て 新 人 が 入 り 難 く な っ た た め と 、 時 間 の あ っ た 独 身 部 員 も 次 第 に 結 婚 を し 、 東 京 を 離 れ て 家 庭 を 持 っ て 、 も は や 早 朝 六 時 に 集 ま る こ と が 不 可 能 に な っ た か ら だ 。 し か し 、 そ れ に 先 立 ち 、 部 員 の 中 に 職 員 の 紹 介 に な る 障害競技 外 部 の 賛 同 者 が 入 っ て い る と し て 、 皇 宮 警 察 馬 場 に 出 入 り 差 し 止 め を く っ た こ と が 痛 手 だ っ た 。 こ れ は 当 初 か ら 部 則 で 明 か だ っ た の だ が 、 核 マ ル 派 な ど の 破 壊 活 動 の た め 、 当 局 が 警 戒 を 強 め て い た 時 期 な の で 、 そ の 関 連 も あ っ た か も 知 れ な い 。 と ま れ 、 こ う し て 乗 馬 部 は 終 わ り 、 私 達 の 青 春 の 一 時 代 も 終 わ っ た の だ 。 ( 損 傷 機 構 研 究 部 ) 釣 り 同 好 会 の 思 い 出 高 橋 旦 征 釣 り 同 好 会 が 結 成 さ れ た の は 、 今 か ら 二 十 五 年 以 上 も 昔 の こ と で は な か っ た か と 思 い ま す 。 当 時 の 依 田 連 平 部 長 を は じ め と し て 、 渡 辺 享 さ ん 、 吉 田 さ ん 、 佐 藤 さ ん 、 小 池 さ ん 、 こ の よ う な か た 達 が 中 心 に な っ て い た と 思 い ま す 。私 は ど の よ う な 切 っ 掛 け で 釣 り 同 好 会 に 入 会 し た か は 忘 れ て し ま い ま し た が 、 大 会 に は 三 回 ほ ど 参 加 し た 記 憶 が あ り ま す 。 大 会 は 、 目 的 の 魚 を 決 め て 、 釣 り 上 げ た 数 で 順 位 を 争 い ま し た 。 一 度 は 鎌 倉 方 面 で ア ジ 釣 り 大 会 が 開 催 さ れ た と き 参 加 し ま し た が 、 誰 れ も 目 的 の ア ジ が 釣 れ ま せ ん で し た 。 し か た な く 根 魚 で 順 位 を 決 め た と 思 い ま す私 は 手 ぶ ら で は 家 に 帰 り に く い の で 、 浜 辺 の 魚 屋 で ア ジ を 五 ~ 六 匹 買 い も と め ま し た 。 女 房 に は さ も 自 分 が 釣 っ た か の よ う に い っ て し ま い 、 ア ジ を 見 た 女 房 に 「 や は り 釣 り た て の 魚 は 目 の 色 が い い わ ね 」 と い わ れ た 時 は 、 お か し か っ た よ り も 、 自 分 が 何 か 悪 い こ と を し た よ う な 気 持 ち に な っ た の を 記 憶 し て い ま す 。 次 は 、 命 か ら が ら だ っ た 釣 り を 紹 介 し ま す 。 こ の 日 は 金 沢 八 景 に 集 合 し ま し た が 、 小 雨 ま じ り の 少 し 風 が 強 い 天 候 で し た 。 船 宿 で は 、 こ の く ら い の 天 候 な 船宿にて 八景沖 鰺釣り出船前 ら 船 を 出 す と い う こ と で 、 私 達 は 釣 り 船 に 乗 り 平 潟 湾 か ら 出 港 し ま し た 。 は じ め は た い し て 波 も な か っ た の で す が 、 少 し 沖 合 に 出 る と け っ こ う 海 は 荒 れ て い ま し た 。 な に し ろ 、 尻 が 宙 に 浮 い て 船 底 に 叩 き つ け ら れ る 有 様 で し た 。 「無 謀 な 釣 り 船 転 覆 す る 」 と 夕 刊 に で る の で は な い か と 考 え た く ら い で し た 。 転 覆 し た ら 何 に つ か ま ろ う か と も 考 え ま し た 。 メ ン バ ー の 何 人 か は 「 こ れ で は 釣 り に な ら な い 引 返 そ う 」 と 言 っ た く ら い で す 。 し か し 、 船 頭 は 「釣 り 場 に つ け ば 大 丈 夫 だ 」 と い い ま し た の で 、 そ の 言 葉 を 信 じ て 釣 り 場 へ と 進 み ま し た 。 確 に 、 現 場 に 着 い た と き は 波 ひ と つ な い と い っ て よ い ほ ど 海 は 穏 や か で し た 。 そ れ は 防 波 堤 の 内 だ っ た か ら で す 。 さ っ そ く 竿 を 出 し 釣 り は じ め る と 、 当 り が き ま し た 。 そ の 時 は 、 メ バ ル ・ ア イ ナ メ 等 が 大 変 よ く 釣 れ 楽 し い 思 い を し ま し た 。 し か し 、 帰 り の こ と を 考 え る と 、 ま た あ の 荒 波 に も ま れ る の か と 不 安 な 気 持 に な り ま し た 。 船 頭 は 、 こ れ 以 上 海 が 荒 れ な い う ち に 早 め に 帰 る 、 と い う の で み ん な 竿 を 納 め 釣 り 場 を 後 に し ま し た 。 や は り 予 想 に た が わ ず 、 防 波 堤 を 出 る と 来 た 時 よ り も 海 は 荒 れ て い ま し た 。 船 頭 は 言 い ま し た 。 「 み ん な 真 中 に か た ま っ て 低 く し て い ろ 」 と の 注 意 で す 。 船 は 荒 波 に も み く ち ゃ に な り 、 宙 に 浮 き 、 ス ク リ ュ ー が 空 回 り す る ほ ど で し た 。 無 事 に 船 が 岸 に 着 い た 時 は ほ っ と し て 、 み ん な 顔 を 見 合 せ ま し た 。 こ ん な 怖 い 経 験 は 、 私 達 に は じ め て で あ り ま し た 。 そ の 後 の 釣 り 同 好 会 は 、 部 長 が 退 官 し て 自 然 消 滅 に な っ た よ う で す 。 ( 基 礎 解 析 研 究 部 ) 空 手 部 の 思 い 出 上 原 功 空 手 と い え ば 沖 縄 と い う こ と に な る 。 そ の 昔 、 商 業 都 市 那 覇 を 中 心 に 、 体 を 内 部 か ら 鍛 え る と い う 呼 吸 法 を 中 心 と し た 那 覇 手 が 発 達 し 、 一 方 、 行 政 府 で あ る 首 里 で は 、 迅 速 に し て 優 雅 を 旨 と し た 首 里 手 と い う 拳 法 が 発 達 し た 。 こ の 二 大 拳 法 が 沖 縄 空 手 で あ る 。 や が て 、 本 土 に 渡 来 し て 各 流 派 へ と 発 展 し て い っ た 。 そ の 中 に 、 首 里 手 の 流 れ を く む も の と し て 和 道 流 が あ り 、 そ の 流 派 か ら 空 手 を ス ポ ー ツ 化 し よ う と 、 防 具 を つ け て 試 合 を 試 み た も の に 練 武 館 空 手 道 が あ っ た 。 金 材 研 の 空 手 部 は 、 こ の 系 統 の 技 術 を も っ て 心 身 を 練 磨 し て い た の で あ る 。 さ て 、 こ こ で 困 っ た 事 が 起 こ っ た 。 ど の よ う な 経 緯 で 、 金 材 研 に 空 手 部 が 設 立 さ れ た の か 思 い 出 せ な い の で あ る 。 心 身 は 鍛 え て も 頭 脳 は 鍛 え ら れ な か っ た の か 、 怠 っ た の か 、 は た ま た わ が 頭 脳 が 某 国 の 元 大 統 領 と 同 じ 症 状 を 呈 し て い る も の な の か 。 お そ ら く は 自 然 発 生 的 に 生 ま れ た も の で は な い か と 思 う の だ が … 。 は る か な 昔 、 生 命 だ っ て 自 然 発 生 し た の だ か ら 、 そ れ で た い し た 問 題 は あ る ま い 。 と い う こ と に し て お こ う 。 と に も か く に も 、 何 も な い 所 か ら の ス タ ー ト で あ っ た 。 昼 休 み に な る と 、 興 味 を い だ く 者 た ち が 2 4 号 館 の 屋 上 に 集 ま っ て き て 練 習 を し て い た 。 正 拳 を 鍛 え る た め の マ キ ワ ラ も 、 2 4 号 館 の 裏 に 二 つ 作 っ た 。 屋 上 で の 練 習 は 眺 め も よ く 、 な か な か 快 適 な の で あ る が 、 大 き な 問 題 も あ っ た 。 素 足 で 動 き 回 る た め に 足 の 裏 が す れ た り 、 ク ッ シ ョ ン が よ く な い た め 足 が 疲 れ る の で あ る 。 そ し て 何 よ り も 、 夏 に な る と 、 熱 く 焼 け た コ ン ク リ ー ト の 上 で は 、 フ ラ イ パ ン の 上 の ネ コ の 踊 り の よ う に な っ て し ま う 。 そ こ で 、 地 面 の あ る 練 習 場 を 探 す こ と に し た 。 あ ち こ ち 見 て 回 っ て 、 バ レ ー コ ー ト の 横 の サ ク ラ の 木 の 下 が よ か ろ う と い う こ と に な っ た 。 瓦 礫 の 山 を か た ず け 、 ち ょ う ど そ の 頃 所 内 で 工 事 が あ っ た の で 、 そ の 残 土 を 使 っ て 整 地 し た 。 シ ャ ベ ル 等 、 わ ず か な 道 具 を 使 っ て の 作 業 は か な り 大 変 な も の で あ っ た が 、 他 の 人 達 に も 手 伝 っ て も ら っ て 、 よ う や く 「 空 手 部 の 練 習 場 」 が で き た の で あ る 。 こ れ は 余 談 に な る が 、 整 地 に 使 っ た 残 土 は 研 究 所 の そ ば の 公 務 員 宿 舎 の 空 地 に 置 か せ て も ら っ て い た の で あ る が 、 当 時 そ の 宿 舎 か ら ク レ ー ム が き て い た 。 「 子 供 が 土 遊 び を し て ド ロ ン コ に な っ て し ま う の で 早 く か た ず け て ほ し い 」 と の こ と で あ っ た 。 洗 濯 の 苦 労 を 知 ら な い 私 に い わ せ れ ば 、 子 供 は お お い に ド ロ ン コ 遊 び を や ら せ る べ き だ と 思 う 。 そ う し て こ そ 、 子 供 ら し い 子 供 と な り 、 や が て は 大 人 ら し い 大 人 、 人 間 ら し い 人 間 に な る の で は な い だ ろ う か 。 練 習 は 主 に 昼 休 み を 利 用 し て 行 っ た 。 と な り の バ レ ー コ ー ト に は 、 い つ も 女 性 職 員 が 何 人 も 応 援 に 来 て い た が 、 空 手 部 に は 誰 一 人 見 向 き も し て く れ な か っ た ( 私 も バ レ ー ボ ー ル を や っ て い れ ば も っ と 女 性 に も て た の か も し れ な い ) 。 当 時 、 バ レ ー ボ ー ル は 人 気 ス ポ ー ツ で あ っ た が 、 空 手 は い つ の 時 代 も 地 味 な ス ポ ー ツ で あ る 。 た だ ひ た す ら 自 分 の 身 体 を 鍛 え る の み 。 競 技 性 が 極 め て 低 く 、 楽 し さ と か 喜 び に 値 す る も の が 少 な い 。 そ ん な 部 活 動 に 皆 さ ん よ く 参 加 し て く れ た し 、 よ く 練 習 も し た 。 空 手 な ど を や っ て い る と い う と 、 人 か ら 誤 解 さ れ や す い の だ が 、 皆 、 け っ こ う 気 分 の よ い 仲 間 の 集 ま り で あ っ た 。 や が て 、 所 属 し て い た 連 合 体 の 試 合 に も 参 加 す る よ う に な り 、 部 員 か ら も 黒 帯 、 茶 帯 を 輩 出 す る よ う に な っ た 。 M 氏 の 強 か っ た 事 は 、 他 の 社 会 人 ク ラ ブ の 評 判 に な っ た 程 で あ る 。 楽 し い 思 い 出 と い え ば 、 甲 斐 駒 ケ 岳 の 一 日 登 山 で あ る 。 部 員 の K さ ん の 親 戚 が 甲 斐 駒 ケ 岳 の そ ば に あ り 、 部 員 全 員 を 快 く 泊 め て 、 自 慢 の 酒 ま で ふ る ま っ て く だ さ っ た 。 翌 日 は 、 早 朝 か ら 山 頂 を め ざ し て 出 発 し 、 皆 で 力 を 合 わ せ て 目 的 を 達 し た 。 帰 り の 河 原 で は 、 残 っ た わ ず か の 食 料 を 出 し 合 っ て 、 皆 で わ け て 食 べ た 。 何 よ り の ご 馳 走 で あ っ た 。 毎 年 夏 に 2 4 号 庁 舎 屋 上 で 開 か れ る 納 涼 祭 に 参 加 し て 、 劇 を や っ た こ と も あ る 。 そ う い え ば 、 他 の 部 員 の 皆 さ ん は ど ん な 「空 手 部 の 思 い 出 」 を 持 っ て お ら れ る の だ ろ う 。 こ の 欄 を 私 一 人 で 引 き 受 け た り せ ず 、 皆 さ ん に 一 文 を 寄 せ て も ら え ば よ か っ た 。 そ の ほ う が よ ほ ど 楽 し い 物 に な っ た で あ ろ う に 、 今 と な っ て は 時 間 が な い 。 か え す が え す も 残 念 で あ る 。 か つ て の 猛 者 た ち も 今 は 相 応 の 年 齢 と な り 、 各 方 面 で ご 活 躍 の こ と で し ょ う 。 い つ か 再 び 一 堂 に 会 す る 日 の 来 る 事 を 念 じ つ つ 、 皆 様 の ご 健 勝 を お 祈 り し た い と 思 い ま す 。二 十 代 の 大 半 を 目 黒 の 金 材 研 で 過 ご し 、 三 十 の 声 を 聞 い た 頃 、 本 庁 に 異 動 し た 私 に と っ て 、 目 黒 の 思 い 出 は 青 春 の 大 き な 一 ペ ー ジ で あ る と い え る 。 若 さ ゆ え に で き た 事 も あ る 。 若 さ ゆ え に 無 茶 も し た 。 心 至 ら ず ご 迷 惑 を お か け し た 方 々 も 多 い 。 に も 拘 ら ず 私 や 空 手 部 を 支 え て 下 さ っ た 人 々 、 同 好 の 士 と な っ て く だ さ っ た 部 員 の 皆 さ ん 、 そ の 他 多 く の 職 員 、 関 係 者 の ご 協 力 が あ っ て 金 材 研 の 空 手 部 は 存 在 し 得 た の だ と 思 い ま す 。 こ の 場 を 借 り て 感 謝 の 言 葉 を 送 り た い と 思 い ま す 。 本 当 に あ り が と う ご ざ い ま し た 。 ( 工 業 化 研 究 部 S 3 7 ・8 ・1 ~4 6 ・4 ・3 0 ) N R I M ス キ ー 同 好 会太 田 口 稔 当 時 は ス キ ー 場 ま で 行 く に は 重 い 荷 物 を 背 負 い 、 列 車 の 席 を 取 る た め 二 ~ 三 時 間 並 び 、 夜 行 列 車 で 六 ~ 七 時 間 も か け て 最 寄 り の 駅 ま で 行 き 、 そ こ か ら バ ス に 乗 り 換 え て 十 四 ~ 五 時 間 近 く か か っ て ス キ ー 場 近 く の 民 宿 に 行 っ て い た 。 こ れ が 昭 和 四 十 年 代 に 入 る と 、 ゲ レ ン デ 近 く の ホ テ ル ま で 七 ~ 八 時 間 で 直 行 で き る ス キ ー バ ス が 登 場 し 、 我 々 ス キ ー 愛 好 家 に 絶 大 な る 歓 迎 を う け た 。 こ れ ら の 影 響 で ス キ ー 人 口 が 急 激 に 増 え て き た 。 こ の 様 な 状 況 の 中 で 、 昭 和 四 十 五 年 に 準 備 会 的 組 織 と し て 七 ~ 八 名 の 人 た ち で 同 好 会 が 出 発 し て い る 。 翌 年 の 昭 和 四 十 六 年 二 月 、 三 泊 四 日 の 日 程 で 、 同 好 会 主 催 の 第 一 回 ス キ ー バ ス が 志 賀 高 原 、 宿 泊 は 一 の 瀬 ス キ ー 場 ゲ レ ン デ 前 の 金 栄 館 、 会 費 五 千 五 百 円 、 五 十 三 名 の 参 加 者 を 集 め て 開 催 さ れ て い る 。 こ の 年 の 七 月 に N R I M ス キ ー 同 好 会 が 旗 揚 げ さ れ 、 会 長 ・ 亀 谷 博 ( 元 製 練 部 室 長 ) 、 副 会 長 ・ 菅 広 雄 ( 現 組 織 部 ) 、 幹 事 会 四 ~ 五 名 、 顧 問 ・ 柳 原 正 ( 元 化 学 部 長 ) 、 月 金材研スキークラブ 1975年2月2日 第5回志賀高原スキーバス 会 費 二 百 円 、 会 員 十 七 名 で 正 式 に 発 足 し た こ と が 記 録 に 残 さ れ て い る 。 同 好 会 の 主 な 行 事 は 、 十 二 月 ・ 初 滑 り 、 一 月 ・ 定 例 会 、 二 月 ・ ス キ ー バ ス 、 三 月 ・ 全 日 本 ス キ ー 連 盟 技 術 検 定 試 験 、 四 月 ・ 春 ス キ ー 等 の 活 動 計 画 が 総 会 で 決 め ら れ て い た 。 ま た 、 会 費 の 二 百 円 は 会 員 の ス キ ー 技 術 向 上 と 技 術 検 定 試 験 の た め に 、 月 間 雑 誌 ス キ ー ジ ャ ー ナ ル 、 全 日 本 ス キ ー 連 盟 技 術 教 本 等 を 購 入 し 、 会 員 間 の 回 し 読 み 等 に 支 出 さ れ て い た 。 こ れ ら の 活 動 の 中 で 最 も 力 を 入 れ て 行 っ た 行 事 は 、 全 職 員 対 象 の ス キ ー バ ス を 成 功 さ せ る こ と と 、 全 日 本 ス キ ー 連 盟 技 術 検 定 試 験 に 合 格 す る こ と で あ っ た と 思 わ れ る 。 ス キ ー バ ス の 主 な 出 来 事 を 回 想 し て み よ う 。 バ ス 一 台 三 十 五 名 以 上 の 参 加 者 を 集 め な い と 赤 字 に な っ て し ま う の で 、 こ の 人 員 集 め に 四 苦 八 苦 し た 。 一 般 参 加 者 対 象 の ス キ ー ス ク ー ル は 、 午 前 中 初 、 中 、 上 級 全 て 同 好 会 会 員 が 指 導 に あ た っ た 。 午 後 は 副 会 長 菅 広 雄 指 導 員 、 笹 淵 益 美 準 指 導 員 に よ る 同 好 会 会 員 対 象 の ス キ ー ス ク ー ル が 開 か れ て い た 。 真 っ 黒 に 日 焼 け し た 菅 指 導 員 の 華 麗 な る オ ー ス ト リ ア ス キ ー 技 術 と 、 秋 田 な ま り の 説 明 が 何 と も い え な い 憧 れ の ま と で あ っ た 。 第 一 回 志 賀 高 原 で は 、 全 参 加 者 に よ る ボ ー ゲ ン ス キ ー 大 会 団 体 戦 。 第 二 回 野 沢 温 泉 、 内 風 呂 が 無 い の で 外 風 呂 へ 、 帰 り の タ オ ル が コ チ コ チ の 氷 柱 。 第 三 回 菅 平 、 猫 岳 か ら の 大 滑 走 。 第 四 回 黒 姫 、 ホ テ ル で の 米 国 兵 士 と の ダ ン ス の 競 演 。 第 六 回 斑 尾 高 原 、 ペ ン シ ョ ン 二 階 か ら の 飛 び 込 み 大 会 。 ま た 、 第 一 回 か ら 第 七 回 ま で の 全 て の ス キ ー バ ス に 小 林 ス ポ ー ツ 店 、 西 田 薬 局 等 か ら 、 種 々 の 賞 品 ( ス キ ー 板 、 ス ト ッ ク 、 等 々 ) を 寄 付 し て い た だ い た 。 こ の 賞 品 争 奪 抽 選 コ ン パ が 大 い に 盛 り 上 が っ た 。 一 方 裏 方 で は 、 同 好 会 幹 事 に ス キ ー 板 や ス ト ッ ク 等 の 豪 華 賞 品 が 当 た ら な い よ う に 苦 労 し た こ と も 思 い 出 さ れ る 。 ス キ ー 技 術 検 定 試 験 に は 、 会 員 の 八 割 近 い 人 た ち が 挑 戦 し て い る 。 岩 岳 ス キ ー 場 で の 一 級 検 定 試 験 に は 、 一 級 既 取 得 者 が 二 名 監 視 者 と し て 同 行 し 、 四 名 の 受 験 対 象 者 が 参 加 し た 。 試 験 の 前 日 、 検 定 の た め の ス キ ー ス ク ー ル が 開 講 さ れ る の で 、 受 験 者 は 必 ず こ れ を 受 け る こ と に な る 。 ス ク ー ル で は 午 前 、 午 後 の 急 斜 面 不 整 地 で の 教 習 で 足 腰 が い う こ と が 効 か な い ほ ど 疲 労 し て 、 と て も 検 定 を 受 け る 状 態 で は な か っ た 。 こ の た め 、 明 日 行 わ れ る 検 定 試 験 に 対 し 全 員 自 信 が 無 く な り 、 中 止 に で も な れ ば 良 い と 愚 痴 を こ ぼ し て い た 。 こ の 愚 痴 が 神 に 通 じ た の か 、 検 定 試 験 当 日 の 朝 、 雨 戸 を 開 け た ら ド シ ャ ブ リ の 雨 が 降 っ て お り 、 検 定 中 止 を 確 認 し 大 き な 声 で バ ン ザ イ 三 唱 し た 。 一 級 の バ ッ チ は 欲 し い け れ ど 検 定 は 嫌 、 こ の わ が ま ま な 我 々 に 対 し 、 監 視 者 役 を 努 め た 仲 間 に 今 だ に 嫌 み を 言 わ れ て い る 。 そ れ で は 、 当 同 好 会 会 員 の ス キ ー 技 術 の 腕 前 を 紹 介 し て お こ う 。 同 会 発 足 当 時 は 菅 指 導 員 以 外 、 ス キ ー 連 盟 公 認 資 格 を 持 つ 者 は な く 、 本 当 に 下 手 だ っ た 。 ○ 指 導 員 菅 広 雄 ( 組 織 、 元 国 体 ス キ ー 選 手 ) ○ 準 指 導 員 笹 淵 益 美 ( 元 材 強 、 四 季 ク ラ ブ 旅 経 営 者 ) ○ 一 級 鰐 川 周 治 ( 力 学 ) 、 小 川 一 行 ( 物 性 解 析 ) 、 宮 代 寛 ( 研 究 支 援 ) 、 京 野 純 郎 ( 5 G ) ○ 二 級 鈴 木 俊 一 ( 物 性 解 析 ) 、 太 田 口 稔 ( 反 応 ) 、 渡 辺 健 二 ( 庶 務 ) 、 大 島 一 男 ( 研 究 支 援 ) 、 小 林 敏 治 ( 計 算 材 料 ) 、 吉 川 進 ( 元 庶 務 、 原 子 力 環 境 設 備 セ ン タ ー) ○ 三 級 大 沢 嘉 昭 ( 組 織 、 現 在 一 ・ 五 級 の 腕 前 は 充 分 あ る と の 評 価 ) 最 後 に 、 こ の 素 晴 ら し い ス キ ー が 縁 で 結 ば れ た 会 員 が 五 カ ッ プ ル も あ り 、 い ま も っ て 子 供 た ち と フ ァ ミ リ ー ス キ ー を 楽 し ん で い る 。 N R I M ス キ ー 同 好 会 年 表 昭 和 4 5 年 ス キ ー 同 好 会 準 備 会 発 足 、 会 員 7 ~ 8 名 、 会 費 五 〇 円 昭 和 4 6 年 7 月 ス キ ー 同 好 会 発 足 、 会 員 1 7 名 、 会 費 二 〇 〇 円 昭 和 4 6 年 2 月 2 0 ~2 3 日 第 1 回 志 賀 高 原 ス キ ー バ ス 、 宿 泊 ・ 金 栄 館 参 加 者 5 3 名 、 会 費 五 、 五 〇 〇 円 昭 和 4 7 年 2 月 1 2 ~1 5 日 第 2 回 野 沢 温 泉 ス キ ー バ ス 、 宿 泊 ・ 民 宿 ぼ た ん 荘 参 加 者 4 5 名 、 会 費 六 、 〇 〇 〇 円 昭 和 4 8 年 2 月 2 3 ~2 6 日 第 3 回 菅 平 ス キ ー バ ス 、 宿 泊 ・ 金 井 ヒ ュ ッ テ 参 加 者 3 4 名 、 会 費 六 、 二 〇 〇 円 昭 和 49 年 2 月 1 5 ~1 8 日 第 4 回 黒 姫 ス キ ー バ ス 、 宿 泊 ・ 黒 姫 ラ イ ジ ン グ ホ テ ル 参 加 者 4 4 名 、 会 費 八 、 〇 〇 〇 円 昭 和 5 0 年 1 月 3 1 ~2 月 3 日 第 5 回 志 賀 高 原 ス キ ー バ ス 、 宿 泊 ・ 志 賀 パ ー ク ホ テ ル 参 加 者 5 2 名 、 会 費 一 三 、 〇 〇 〇 円 昭 和 5 1 年 1 月 3 0 ~2 月 3 日 第 6 回 斑 尾 高 原 ス キ ー バ ス 、 宿 泊 ・ ペ ン シ ョ ン ノ ナ 参 加 者 49 名 、 会 費 一 五 、 〇 〇 〇 円 昭 和 5 2 年 2 月 4 ~ 8 日 第 7 回 北 志 賀 高 原 ス キ ー バ ス 、 宿 泊 ・ ホ テ ル 竜 王 参 加 者 4 2 名 、 会 費 一 六 、 五 〇 〇 円 昭 和 5 4 年 3 月 ス キ ー 同 好 会 解 散 、 会 員 1 4 名 、 会 費 二 〇 〇 円 N R I M ス キ ー 同 好 会 解 散 記 念 八 方 尾 根 ス キ ー 参 加 者 6 名 、 宿 泊 ・ 民 宿 上 段 ( わ だ ん ) ( 反 応 制 御 研 究 部 ) 目 黒 で の サ ッ カ ー 菊 池 武 丕 児 小 学 三 年 生 の 頃 、 今 で い う キ ッ ク ベ ー ス を 学 校 で や っ て い る 時 の こ と で す 。 打 順 が 回 っ て き て 蹴 っ た の で す が 、 身 体 は ボ ー ル と い っ し ょ に 転 が り 、 も ん ど り う っ て 尻 も ち を つ い て し ま い ま し た 。 お 尻 の 痛 さ は 今 で も 覚 え て い ま す目 黒 で の サ ッ カ ー の 思 い 出 に 先 立 っ て 、 サ ッ カ ー 部 の 動 向 を 暖 か く 見 守 っ て く れ た 多 く の 所 員 に 、 こ の 誌 面 を お 借 り し て 改 め て 感 謝 い た し ま す 。 長 年 あ の 場 所 で や っ 昼 休 み の 練 習 風 景 て こ ら れ た の は 皆 さ ん の 応 援 ・ 声 援 あ っ た れ ば こ そ と 考 え て い ま す 。 サ ッ カ ー 同 好 会 発 足 通 称 サ ッ カ ー 部 は 一 九 六 九 年 に 同 好 会 と し て 発 足 し ま し た 。 み ん な で 知 恵 を 出 し 合 い 、 外 部 ク ラ ブ の 規 約 等 を 参 考 に し な が ら 独 自 の 規 約 を つ く り 、 ス タ ッ フ を 定 め て ス タ ー ト し ま し た 。 毎 年 同 好 会 総 会 を 開 い て 、 規 約 に の っ と っ て 新 し い ス タ ッ フ を 決 め る よ う に し て い ま し た 。 長 い 間 、 こ の 方 式 が 定 着 し て い ま し た 。 し か し 、 全 体 の 活 動 が 停 滞 し は じ め た こ ろ か ら は 、 会 費 徴 集 だ け を し て ボ ー ル 代 に 当 て た り し た 運 営 に な り ま し た 。 対 外 試 合 は ほ と ん ど 無 し の 状 態 で し た 。 特 に 筑 波 移 転 前 は そ う し た 傾 向 が 強 か っ た よ う で す 。 そ ん な 中 で も 最 後 ま で 続 け て き た の が 、 年 に 一 度 の 納 会 で し た 。 納 会 で は ミ ニ ゲ ー ム の 成 績 に つ い て 盛 上 っ た も の で す 。 発 足 当 時 、 門 か ら 2 4 号 庁 舎 に 至 る メ イ ン ス ト リ ー ト で 、 昼 休 み に な る と ボ ー ル リ フ テ ィ ン グ な ど を や っ て い る 人 を 見 か け た も の で す 。 そ の 後 ど の よ う に な っ て 同 好 会 設 立 に 向 け た 動 き が 出 て き た の か は 分 か り ま せ ん 。 二 人 ほ ど の サ ッ カ ー 経 験 者 が 中 心 に な っ て 出 来 て い っ た の だ と 思 い ま す 。 そ う し た 創 設 時 の メ ン バ ー の 多 く は 退 職 し て い ま す 。 ま た 、 退 職 者 を 含 め て 、 そ れ ま で に 同 好 会 に 所 属 し た こ と の あ る 現 職 員 や O B は 四 十 人 以 上 に な り ま す 。 練 習 場 所 は 、 練 習 方 法 は 、 試 合 は 、 と 間 題 は 色 々 あ り ま し た 。 場 所 と い っ て も 所 内 に 適 当 地 が あ る わ け で も な く 、 「 あ の 場 所 」 に な っ た の で す 。 勿 論 場 所 決 め は 関 係 部 署 に お 願 い し て 回 っ て 、 あ そ こ に 落 つ い た わ け で す 。 ほ と ん ど の メ ン バ ー は ズ ブ の 素 人 。 ボ ー ル を 蹴 れ ば ガ ラ ス を ガ チ ャ ン 、 こ っ ち へ 蹴 れ ば 風 車 を ペ チ ャ ン コ 、 あ っ ち へ 蹴 れ ば 屋 根 を グ シ ャ リ 、 そ の 都 度 、 関 係 部 署 に 頭 を 下 げ て 歩 い た も の で す 。 ボ ー ル の 行 方 は ボ ー ル に 聞 い て く れ 、 と い っ た 程 度 の 腕 前 、 い や 足 前 だ っ た の で す 。 所 に は 金 網 を 張 っ て も ら っ た り 、 ガ ラ ス 破 損 防 止 の た め 自 分 達 で 鉄 格 子 を 作 っ て 窓 に 取 付 け た り し ま し た 。 発 足 以 来 二 十 五 年 間 や っ て い た こ と に な り ま す 。 所 に は 、 こ の 間 数 々 の 御 迷 惑 を か け て き た こ と と 思 い ま す 。 し か し 、 短 い 昼 休 み 、 ボ ー ル 蹴 り は ス ト レ ス を 解 消 し 、 仕 事 へ の 糧 と も な っ て い た こ と と 思 っ て い ま す 。 本 当 の 練 習 は 試 合 で 、 を 目 指 し て 目 黒 区 の 大 会 に 参 加 し た り 、 試 合 を 求 め て 外 部 の サ ッ カ ー 部 に 申 し 込 ん で 「 足 」 を 研 い た も の で す 。 出 る と 負 け か ら 目 黒 大 会 準 優 勝 日 常 の 練 習 は 、 あ の 「練 習 場 」 で や る の で す 。 冬 期 は 全 く 陽 が 当 ら ず 、 雪 が 積 も れ ば い つ ま で も 解 け ず 、 地 面 は 石 こ ろ だ ら け 、 へ た に 掘 る と も っ と 大 き な 石 が 出 現 、 マ ン ホ ー ル は あ る 、 鉄 柱 、 鉄 梯 子 、 ガ ス メ ー タ 、 木 立 ま で あ る 。 よ く も ま あ ! あ ん な 狭 い 、 危 険 な と こ ろ で 長 年 や っ て き た も の と 、 今 さ ら な が ら 感 心 し て し ま い ま す 。 ケ ガ を 恐 れ ず 、 雨 が 降 っ て も 、 ヤ リ が 降 っ て も 恐 い も の な し 。 梅 雨 時 な ど 、 雨 の 中 、 ス ポ ー ツ し て い る の は サ ッ カ ー だ け ! お 花 を ナ ギ 倒 し て に ら ま れ た り 、 ぬ れ た ボ ー ル を 通 行 人 に 当 て る や ら 、 ス ミ マ セ ン を 連 発 し な が ら の 昼 休 み で し た 。 泥 ま み れ に な っ て 昼 休 み を 過 ご す な ど 狂 気 の 沙 汰 と 他 人 は 言 う 。 で も そ れ が 快 感 な の で す 。 い や 快 汗 な の で す 。 こ の 前 代 未 聞 の 練 習 場 で の 、 皆 さ ん ご 存 知 の ミ ニ ゲ ー 対 外 試 合 ム は 、 ゴ ー ル 前 の ツ メ の 甘 さ 克 服 対 策 と し て 絶 大 な 成 果 を 発 揮 し た の で す 。 試 合 を し て も な か な か 勝 て な か っ た け れ ど 、 一 九 七 八 年 に は 破 竹 の 四 連 勝 、 皆 が 「負 け る 気 が し な か っ た 」 と ま で 言 っ た の は こ の 時 期 で し た 。 七 九 年 に は 目 黒 大 会 二 部 準 優 勝 、 翌 八 〇 年 に も 同 じ 相 手 に 優 勝 は 逃 し た も の の 、 レ ベ ル ア ッ プ が 目 に 見 え た 時 で も あ り ま し た 。 思 い か え す と 、 こ の 頃 が ピ ー ク だ っ た よ う に 思 え ま す 。 発 足 十 年 で 花 開 き 、 多 く の 有 能 な メ ン バ ー が 退 職 し た り 、 プ ラ イ ベ ー ト な 事 情 が 加 わ り 、 試 合 に の ぞ む 員 数 合 せ が 思 う に ま か せ な く な っ て き て い た の で す 。 準 優 勝 し て 一 部 リ ー グ に 昇 格 し た も の の 、 勝 利 す る こ と は な か な か 難 し い も の が あ り ま し た 。 官 庁 リ ー グ 四 連 覇 初 の 目 黒 大 会 準 優 勝 よ り 一 年 前 、 一 九 七 七 年 に 官 庁 対 抗 の リ ー グ 戦 が 復 活 し ま し た 。 上 り 調 子 だ っ た わ が サ ッ カ ー 部 は こ の 年 優 勝 し 、 八 〇 年 ま で に 四 連 覇 を 果 し た の で す 。 官 庁 で す か ら 例 外 を 除 け ば 広 い グ ラ ン ド は な い わ け で 、 境 遇 は わ が チ ー ム と 変 ら ず 、 ま さ に 実 力 の ぶ つ か り 合 い だ っ た の で す 。 こ の 四 連 覇 は 私 た ち に 自 信 と 深 い 感 動 を 与 え て く れ ま し た 。 七 七 年 初 優 勝 の 折 に は 、 最 終 戦 で 私 は 生 れ て 初 め て ハ ッ ト ト リ ッ ク ( 一 試 合 一 人 で 三 得 点 を と る こ と ) を 飾 ら せ て い た だ き 、 美 酒 に 酔 っ た も の で し た 。 最 高 に サ ッ カ ー を 楽 し ん だ 時 期 で し た 。 合 宿 夏 期 合 宿 は 発 足 以 来 、 ほ と ん ど 欠 か し た こ と は あ り ま せ ん で し た 。 大 人 だ け の 参 加 か ら 、 徐 々 に 子 ど も 同 伴 の 合 宿 と な り 、 後 半 は よ り 家 族 的 な 要 素 が 大 き く な っ て き ま し た 。 初 め て の 合 宿 は 六 九 年 夏 の 山 中 湖 で し た 。 私 な ど 「往 き は よ い よ い 、 帰 り は こ わ い 」 を 地 で い っ て し ま い ま し た 。 普 段 の 足 腰 の ト レ ー ニ ン グ 不 足 が た た っ て 、 湖 畔 ( 約 十 四 キ ロ ) を 二 日 間 に わ た っ て 一 周 ず つ 走 っ た の で す が 、 足 の 筋 肉 は ま る で 棒 の よ う 。 宿 の 中 の 階 段 は も と よ り 、 ち ょ っ と し た 段 差 の 昇 り 降 り は ほ と ん ど 地 獄 。 新 宿 に 戻 っ て バ ス か ら 降 る に も 足 に 激 痛 が 走 り 、 倒 れ 込 む 者 、 ふ ん ば れ ず よ ろ け る 者 続 出 だ っ た の で す 。 私 自 身 何 と い っ て も 忘 れ 得 な い の が 、 翌 年 の 、 な ぜ か 北 海 道 札 幌 。 夢 は る か 遠 い 地 。 勿 論 、 つ て あ っ て の 合 宿 。 通 産 省 の 試 験 所 ( 当 時 ) に 丸 ご と お 世 話 に な り 、 楽 し い 旅 行 と な り ま し た 。 新 幹 線 の な い 時 代 、 飛 行 機 は 庶 民 の 足 に あ ら ず 。 上 野 か ら 列 車 、 船 を 乗 継 ぎ 、 札 幌 駅 に 降 り 立 っ た 時 の 青 く 澄 み き っ た 大 空 を 、 大 地 を 目 の 当 り に し て 大 感 激 し た も の で し た 。 私 た ち の 歓 迎 会 を 開 い て い た だ き 、 ど こ か の 実 験 室 で 、 北 海 道 名 物 と 称 す る ジ ン ギ ス カ ン パ ー テ ィ ー と な っ た の で す 。 も う も う た る 煙 の 中 、 酔 っ ぱ ら い が 人 の 名 を 混 同 し て か 、 T A G A Y A さ ん ! K A G A さ ん ! ・ と 大 声 で 何 ど も さ け ん で い た の が 今 で も 脳 裏 に 焼 付 い て い ま す 。 当 時 の 皆 さ ん は ど う し て い る だ ろ う か 。 こ の 合 宿 で は ア ク シ デ ン ト も あ っ た り し て 、 試 験 所 長 の 奥 様 に は 大 変 御 面 倒 を か け て し ま い ま し た 。 丁 重 に お 礼 を 述 べ て 帰 途 に つ い た の で し た 。 も う 一 つ は ハ プ ニ ン グ 。 七 九 年 に 行 っ た 白 樺 湖 の こ と 。 練 習 が 終 っ て 夕 方 、 フ ロ に 入 る こ と に な り 、 当 時 若 手 の 一 人 だ っ たA さ ん に 「 フ ロ 、 開 い て る か ど う か 見 て き て よ 」 「 ど う だ っ た ? 」 「 女 の 人 が 入 っ て る み た い だ よ 」 一 瞬 、 一 同 色 め き 立 ち 「 あ れ 大 浴 場 だ ろ ? 」 誰 と も な し に 「 よ し っ ! み ん な で い け ば 大 丈 夫 さ 」 ( 何 が 大 丈 夫 な の か) 。 大 浴 場 は 男 女 の 区 別 は し て な く 、 私 た ち は 堂 々 と 全 員 ( 子 ど も 二 人 含 む ) で 乗 り 込 ん だ 。 蛇 口 を 求 め て 右 往 左 往 。 そ の 時 早 く 、 か の 時 遅 く 、 湯 舟 に つ か っ て い た 女 性 方 は そ そ く さ と 、 い や 、 あ わ て て 上 っ て し ま っ た の で す 。 し ば し 残 っ た の は 少 し 年 配 の 方 々 と 子 ど も た ち で し た 。 そ の 皆 さ ん も ま も な く 上 っ て し ま っ た の で し た 。 数 は 力 な り を 実 感 し た し だ い 。 立 場 が 反 対 だ っ た ら ど う な っ て い ま し た か … 。 誰 が 悪 か っ た と い う 訳 で は あ り ま せ ん が ね 。 お わ り に 練 習 中 、 試 合 中 に か か わ ら ず 、 こ の 二 十 五 年 間 に は 数 え き れ な い ほ ど 多 種 多 様 な ハ プ ニ ン グ 、 ア ク シ デ ン ト が あ り ま し た 。 試 合 中 に 手 の 指 を 折 る 者 、 バ ッ テ ィ ン グ で 顔 面 に 大 出 血 し て 急 救 車 を 呼 ん だ り 、 し ば し 入 院 し た り 、 目 を 痛 め た り 、 ね ん 挫 ・ 打 撲 は 日 常 茶 飯 事 的 に 起 り ま し た 。 命 に か か わ る 重 大 事 に な ら な か っ た の は 幸 い で し た 。 ケ ガ さ え 治 れ ば 、 こ り も せ ず 又 サ ッ カ ー 。 好 き な ん で す ね 、 こ れ が 。 ( 機 能 特 性 研 究 部 ) 「 ジ ョ ギ ン グ 部 」 と そ の 後 小 方 実 ジ ョ ギ ン グ(jogging) と は 、 自 分 の 体 力 に 合 っ た 速 さ で ゆ っ く り 走 る 運 動 で 、 元 来 は ス ポ ー ツ の 準 備 運 動 と し て 行 わ れ て い た と の こ と で あ る が 、 要 は 走 る こ と で あ る 。 一 緒 に 走 り ま し ょ う と 声 を か け ら れ た の が 、 当 時 企 画 課 に お ら れ た 藤 沢 勝 一 郎 氏 で あ っ た 。 軽 装 で 野 山 を 駆 け 、 花 鳥 を 賞 で 、 身 心 の リ フ レ ッ シ ュ に 努 め 、 あ く ま で も 自 己 中 心 に 、 少 し の 好 奇 心 ・ 冒 険 心 を 満 た し つ つ 機 能 の 低 下 を 予 防 す る こ と を 目 的 と し て 、 数 名 の 方 々 を 勧 誘 し 、 「 ジ ョ ギ ン グ 部 」 と し て 一 九 七 一 年 に 発 足 し た の で あ る 。 部 の 活 動 と 言 う ほ ど お お げ さ な こ と で は な い が 、 原 則 と し て 、 毎 日 十 二 時 十 分 に 守 衛 所 前 に 集 合 し 、 そ の 日 の 参 加 者 が ほ ぼ 揃 っ た と こ ろ で ス タ ー ト し た 。 コ ー ス は 、 田 楽 橋 を 渡 り 朝 日 屋 の 所 を 左 折 、 中 里 橋 を 渡 っ て 材 料 試 験 部 横 の 長 い 心 臓 破 り の 坂 道 を 登 り 、 防 衛 庁 技 術 研 究 所 の 壁 添 に 左 折 、 正 門 前 を 通 過 し 東 京 服 飾 ア カ デ ミ ー の 所 で 左 折 、 第 二 番 目 の 心 臓 破 り の 坂 道 を 登 り 、 N T T 研 究 所 の 入 口 を 過 ぎ て 、 膝 が 笑 う 別 所 坂 の 急 な 下 り を 直 進 し て 目 黒 川 に 至 り 、 田 楽 橋 の 手 前 で 左 折 し て 守 衛 所 前 に 帰 る 。こ の コ ー ス は 横 断 路 が 無 く 、 約 三 粁 の 短 い 距 離 で あ る が 、 上 り 下 り の 変 化 に 富 ん だ 好 条 件 を 備 え て い る た め 、 平 坦 コ ー ス の 倍 以 上 の 効 果 が あ っ た と 思 わ れ る 。 所 要 十 二 分 程 度 で 充 分 汗 を 流 す こ と が 出 来 た の で あ る 。 転 勤 等 で 自 然 消 滅 と な っ た が 、 個 人 で 、 或 は 、 同 好 の 士 と 共 に 「 ジ ョ ギ ン グ 部 」 の 波 及 効 果 と し て 色 々 な 体 験 を し た 。 簡 単 に 御 紹 介 し ま す と … 。 そ の 一 、 青 梅 マ ラ ソ ン に 参 加 し 、 ゴ ー ル ま で た ど り つ い た が 、 完 走 か 完 歩 か 疑 わ し い 状 態 で あ っ た 。 汗 か き べ そ か き の 途 中 、 泳 げ タ イ 焼 君 の レ コ ー ド が 聞 え て い た の が 想 い 出 さ れ る 。 そ の 二 、 飲 ま ず 食 わ ず 徒 歩 あ る き 、 四 十 二 ・ 一 九 五 粁 歩 け 歩 け 大 会 に 参 加 し 、 新 宿 公 園 か ら 青 梅 支 役 所 ま で 、 朝 八 時 に 出 発 し て 、 飲 ま ず 食 わ ず た だ ひ た す ら に 歩 い て 八 時 間 余 で よ う や く ゴ ー ル イ ン 。 ト ン 汁 に 空 腹 と 寒 さ を 癒 し 、 完 歩 証 の 交 付 を 受 け 、 千 四 百 二 十 番 の 着 順 は 、 吾 な が ら 不 満 足 で あ っ た 。 そ の 三 、 或 る 土 曜 日 の 午 後 ( ま だ 週 休 二 日 制 で な か っ た ) 、 住 所 で あ る 横 浜 市 西 区 老 松 町 ( 野 毛 山 ) ま で 、 中 目 黒 の 金 材 技 研 か ら 、 藤 沢 勝 一 郎 氏 と 二 人 で ジ ョ ギ ン グ で 帰 っ た こ と が あ る 。 衣 類 そ の 他 は ナ ッ プ サ ッ ク に 入 れ 、 弥 次 ・ 喜 太 よ ろ し く 、 え っ ち ら お っ ち ら 東 急 東 横 線 に 付 か ず 離 れ ず 、 約 二 十 六 粁 を 三 時 間 余 で 迷 走 し た の で あ る 。 首 都 圏 に 直 下 型 地 震 が あ っ て 交 通 機 関 が も し 全 滅 し た 場 合 で も 大 丈 夫 だ 、 と 、 変 な 自 信 を 持 っ た の で あ る 。 そ の 四 、 筑 波 支 所 へ 転 勤 し 、 宿 舎 が 吾 妻 四 丁 目 で あ っ た 関 係 で 早 朝 に 走 る こ と を 心 掛 け 、 街 中 と 一 味 異 っ た コ ー ス で 、 筑 波 山 を 眺 め な が ら 、 田 圃 道 を 四 季 折 々 の 草 木 に 接 し 澄 み き っ た 朝 の 空 気 を 胸 一 杯 に 吸 っ て 思 う 存 分 出 勤 前 に リ フ レ ッ シ ュ が 出 来 た 貴 重 な 体 験 で あ っ た 。 そ の 五 、 一 九 八 三 年 二 月 か ら 約 二 年 間 放 射 線 医 学 研 究 所 へ 転 勤 し 、 昼 休 み に 研 究 所 近 く の 貝 塚 の あ る 森 、 栗 畑 、 落 花 生 畑 の 道 等 々 、 筑 波 と は 違 っ た 自 然 に 恵 ま れ た コ ー ス を 楽 し み 、 体 重 の 減 量 に も お お い に 役 立 っ た の で あ る 。 そ の 六 、 一 九 八 五 年 再 度 金 材 技 研 の 本 所 に 帰 り 、 走 る こ と を 心 掛 け た が 、 昔 の ジ ョ ギ ン グ 部 の メ ン バ ー も 残 っ て い な か っ た 。 唯 一 人 黙 々 と 防 衛 庁 技 術 研 究 所 の 池 の 周 囲 ( 約 四 百 米 ) を 五 周 し 、 昔 を 偲 ん だ の で あ る 。 そ の 七 、 一 九 八 八 年 六 月 公 務 員 を 退 職 し 、 新 技 術 事 業 団 へ 勤 め る こ と と な っ た 。 ジ ョ ギ ン グ コ ー ス も 勤 務 地 と と も に 変 り 、 皇 居 周 回 コ ー ス 、 荒 川 堤 ・ 臨 海 公 園 コ ー ス を 経 て 、 現 在 は 鎌 倉 周 辺 が ホ ー ム コ ー ス で あ る 。 山 あ り 、 海 あ り 、 公 園 あ り の 景 勝 を 楽 し み な が ら 、 ジ ョ ギ ン グ の 冥 利 を 満 喫 し て い る 。 走 る こ と は 一 種 の 中 毒 か も 知 れ な い が 、 道 あ る 処 に コ ー ス あ り で 、 尽 き る こ と な く 続 く で あ ろ う が 、 あ く ま で ジ ョ ギ ン グ の 初 志 を 忘 れ る こ と な く 続 け よ う と 思 っ て い る 。 ( 技 術 課 S 3 5 ・5 ・1 6 ~5 8 ・2 ・1 S 5 9 ・ 11 ・1 ~6 3 ・ 6 ・15 ) ヨ ッ ト 作 り こ ぼ れ 話 し雀 部 謙 か れ こ れ 十 五 年 以 上 前 の こ と で す 。 3 0 号 庁 舎 の 玄 関 脇 の 屋 根 の 下 で 、 知 る 人 ぞ 知 る 、 ヨ ッ ト 作 り が 始 ま り ま し た 。そ の 名 も 「 国 際 フ ァ イ ヤ ー ボ ー ル 級 」 と い う 、 い か に も す ご そ う な 名 前 の 小 型 艇 で す 。 イ ギ リ ス の ピ ー タ ー ・ ミ ル ン と い う 有 名 な ヨ ッ ト デ ザ イ ナ ー の 設 計 に よ る イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル ク ラ ス ( 国 際 公 式 レ ー ス 仕 様 ) 艇 で 、 滑 走 タ イ プ の モ ダ ン な 二 人 乗 り の 小 型 デ ィ ン ギ ー で す 。 デ ィ ン ギ ー と い う の は 船 室 の な い 小 型 ヨ ッ ト の 総 称 で 、 体 重 を 移 動 さ せ て バ ラ ン ス を と り な が ら 帆 走 す る 、 と て も ス ポ ー テ ィ ー に し て メ ン タ ル な 乗 り 物 で す 。 仕 掛 け 人 は 小 林 某 君 、 船 大 工 の 棟 粱 は 私 、 そ れ に 中 村 、 山 口 、 小 口 の 三 氏 が 加 わ っ た 五 人 の 仕 業 で す 。 こ の グ ル ー プ 、 決 し て ヨ ッ ト マ ニ ア が 集 ま っ た わ け で は あ り ま せ ん 。 棟 粱 と い え ど も 、 そ の 昔 小 型 ヨ ッ ト の 製 作 を 手 懸 け た こ と が あ る と は い え そ れ も 十 数 年 以 上 前 の こ と で あ り 、 し か も 数 年 来 ヨ ッ ト と は ま っ た く 縁 が 切 れ て い た と い う 頼 り な さ で す 。 そ の ほ か 、 い く ら か 経 験 の あ る 者 一 名 、 一 、 二 度 乗 っ た こ と が あ る も の 一 名 、 他 の 二 名 は 好 奇 心 の 他 は な に も 持 ち 合 わ せ て い な い と い う 、 世 に も 不 思 議 な 集 団 で す 。 大 志 を 抱 く の は 少 年 ば か り で は な く 、 は じ め は 太 平 洋 を 横 断 で き る 本 格 的 な ク ル ー ザ ー を 作 ろ う と い う 話 か ら 始 ま り ま し た 。 普 通 、 乗 り 物 は 時 間 の 経 過 と と も に 遠 く へ 行 く の で す が 、 こ の ク ル ー ザ ー は 日 が 経 つ に 連 れ て 航 海 距 離 が 短 く な り 、 ハ ワ イ か ら 小 笠 原 、 八 丈 島 、 大 島 を 経 て 、 つ い に は 沿 岸 専 用 の デ ィ ン ギ ー に 落 ち 着 い て し ま い ま し た 。 八 月 の あ る 日 、 先 ず は 三 万 円 也 で 設 計 図 を 購 入 し た の が 、 一 年 に 及 ぶ 難 行 苦 行 の 始 ま り で し た 。 た か が 趣 味 と は い え 、 当 時 の 市 価 で 百 万 円 ほ ど の 艇 を 作 る と な る と 、 あ ま り 楽 で は あ り ま せ ん 。 日 本 語 で も よ く わ か ら な い 用 語 が 多 い の に 、 専 門 用 語 満 載 の 英 語 の 図 面 の 読 み 取 り と ク ラ ス ル ー ル ( 製 作 上 の 規 定 ― 国 際 レ ー ス 仕 様 な の で 細 か い 規 定 が あ る ) の 検 討 で 、 船 出 し な い う ち か ら 大 し け で す 。 い く ら 図 面 と に ら め っ こ し て も 頭 の 中 だ け で は 製 作 工 程 が わ か ら ず 、 二 十 分 の 一 の 模 型 を 作 っ て や っ と 全 体 の イ メ ー ジ が つ か め る と い う 難 航 ぶ り で す 。 そ れ と い う の も 、 こ の 艇 、 当 時 と し て は 斬 新 な 翼 断 面 型 を し た 高 速 艇 で 、 主 要 部 分 は 厚 さ 六 ミ リ の べ ニ ヤ 板 を 切 り 抜 い て 張 り 合 わ せ て 立 体 構 造 物 に す る モ ノ コ ッ ク 構 造 の も の な の で す 。 と こ ろ が 、 船 の 中 心 に は 船 首 か ら 船 尾 を 貫 く 「 竜 骨 」 と い う 背 骨 が あ る 設 計 図 し か 見 た こ と が な い 古 典 的 棟 粱 の 頭 に は 、 切 り 抜 く べ き ベ ニ ヤ 板 の 寸 法 し か 書 い て な い 図 面 を 見 た だ け で は モ ノ コ ッ ク の 立 体 構 造 が う ま く 浮 か ん で こ な い の で す 。 最 初 の 大 波 を 乗 り 越 え て 必 要 な 木 材 を 購 入 し た と き は 、 す で に 十 月 も 末 に 近 づ い て い ま し た 。 全 長 約 五 メ ー ト ル 、 マ ス ト の 高 さ 約 七 メ ー ト ル と い う 本 格 的 イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル ク ラ ス の ヨ ッ ト も 、 初 め は ど こ に で も 売 っ て 快走するファイヤーボール い る 数 枚 の た だ の ベ ニ ヤ 板 で す 。 近 所 の 材 木 店 で 購 入 し た 厚 さ 六 ミ リ と 四 ミ リ の ベ ニ ヤ 板 が 風 に あ お ら れ て ヒ ラ ヒ ラ 舞 っ て い る の を 見 て 、 集 ま っ て き た 野 次 馬 第 一 号 諸 氏 い わ く 、 「 こ ん な 板 で 、 大 丈 夫 な の か い ? 」 「 こ ん な の で 作 る の 、 お れ は 絶 対 に 乗 せ て も ら わ ん ぞ ! 」 そ の 後 も 野 次 馬 語 録 に は な か な か 面 白 い も の が あ る の で 折 に 触 れ て 紹 介 す る こ と に し て 、 い よ い よ 製 作 開 始 で す 。木 材 を 図 面 に 合 わ せ て 切 り 出 し 、 あ と は ほ と ん ど 積 層 樹 脂 接 合 だ け で 組 み 立 て ま す 。 定 尺 も の で は 長 さ 不 足 の ベ ニ ヤ 板 を ス カ ー フ 接 合 し て 必 要 寸 法 に し た り 、 舷 側 や 船 底 の 接 合 な ど 、 ガ ラ ス 繊 維 テ ー プ を ポ リ エ ス テ ル 樹 脂 で 積 層 す る い わ ゆ る F R P 加 工 で 接 合 し ま す 。 と こ ろ が 、 ポ リ エ ス テ ル 樹 脂 は 、 温 度 が 十 五 度 以 下 で は 反 応 速 度 が 著 し く 遅 く な っ て ほ と ん ど 硬 化 し ま せ ん 。 接 着 作 業 が 始 ま っ た 十 一 月 中 旬 頃 に な る と 、 気 温 は し ば し ば 十 五 度 以 下 に な り 、 吹 き さ ら し の 屋 外 で は 何 日 待 っ て も 積 層 樹 脂 が 固 ま ら な い と い う こ と に な り ま す 。 そ こ で 登 場 し た の が 、 電 気 毛 布 で す 。 接 合 部 全 体 を 履 う に は 、 最 低 五 枚 の 毛 布 が 必 要 で す 。 な る べ く お 金 を か け ず に い か に し て 必 要 な も の を 手 に 入 れ る か を 考 え る の も 素 人 の 自 作 の 面 白 さ の 一 つ で す が 、 地 域 の ミ ニ コ ミ 新 聞 に 「 求 む 、 中 古 毛 布 」 の 三 行 広 告 を 出 し た と こ ろ 、 一 週 間 ほ ど 電 話 が な り 続 け ま し た 。 遠 く か ら 無 料 で す ぐ 郵 送 し て く れ る 老 人 が い る か と 思 え ば 、 修 理 し て も 使 え そ う も な い 代 物 を 三 千 円 で 売 り つ け よ う と す る イ ン テ リ 風 の ご 婦 人 な ど 、 社 会 の 小 さ な 断 面 を 見 る 思 い で し た 。 何 事 も 新 し い こ と を 始 め る と き に は 日 頃 ま っ た く 無 縁 の 神 様 が い わ く あ り げ に 引 き ず り 出 さ れ る の が 日 本 古 来 の 伝 統 の よ う で 、 科 学 的 精 神 の 権 化 で あ る わ が 研 究 者 集 団 も ご 多 分 に 漏 れ ず 、 骨 組 み が で き 上 が っ た と こ ろ で 神 主 さ ん が 登 場 し 、 お 神 酒 を 供 え て の お は ら い で す 。 当 時 金 材 技 研 に た だ 一 人 神 主 さ ん が い た か ど う か は だ れ も 知 ら な い と 思 い ま す が 、 た ま た ま 通 り か か っ た 宇 田 宮 司 を つ か ま え て 白 衣 を 後 ろ 前 反 対 に 着 せ 、 ボ ー ル 紙 を き り ぬ い て 作 っ た 即 席 烏 帽 子 を か ぶ せ 、 厳 粛 に お は ら い を し て も ら い ま し た 。 何 か そ れ ら し い 形 の も の が で き 始 め る と 、 通 り す が り に 一 言 冷 や か さ な い と 気 が す ま な い 観 衆 の 好 奇 の 目 が 一 段 と 色 を 帯 び て き ま す 。 し か し 、 ど の 目 も 一 様 に 大 変 心 配 気 で す 。 手 を 触 れ る と ゆ ら ゆ ら と 心 細 気 に 揺 れ る 骨 組 み を 見 て は 心 配 し 、 厚 さ 六 ミ リ の ベ ニ ヤ 板 一 枚 の 船 底 を た た い て は 心 配 し 、 一 箇 所 仮 り 留 め す る 度 に ベ コ ベ コ と 波 打 つ 舷 側 を な で て は 心 配 し 、 接 合 部 が ほ と ん ど 樹 脂 接 着 で あ る の を 見 て は 心 配 し 、 果 て は 目 の 前 で 進 ん で い る 作 業 を 眺 め な が ら 、 「 人 間 が 乗 れ る も の が ホ ン ト に で き る の か い ? 」 と い う 、 核 心 を つ い た 質 問 を す る 勇 気 あ る 人 も 現 わ れ ま す 。 製 作 に か か わ っ て い る 者 で さ え 心 の 片 隅 に 引 っ か か っ て い る 禁 句 を 、 野 次 馬 先 生 は い と も あ っ さ り と 言 っ て の け ま す 。 観 衆 が あ ま り 熱 心 に 心 配 し て く れ る の で 、 作 業 を 進 め る 仲 間 に も 少 々 動 揺 の 色 が 現 わ れ 、 そ れ が 「腕 な ら 任 せ て お け 」 と 大 見 え を 切 る ほ ど に は 自 信 が な い 棟 粱 の 心 理 に も 微 妙 な 影 響 を 与 え 、 ま っ た く 不 必 要 な こ と が わ か り 切 っ て い る 補 強 を い く つ か 入 れ る こ と も あ り ま し た 。 年 の 瀬 が 迫 り 、 木 枯 ら し が ひ と き わ 身 に し み る こ ろ に は 大 物 の 作 業 は デ ッ キ 張 り を 残 す だ け に な り 、 こ ま ご ま と し た 手 の か か る 細 工 が 始 ま り ま し た 。 そ の 頃 に な る と 誰 が 見 て も 立 派 な 船 の 形 を し て い て 、 そ の ま ま で も 水 の 上 に 浮 く 状 態 な の で 、 野 次 馬 諸 氏 の 目 も 冷 や か し か ら 次 第 に 感 嘆 の 色 に 変 わ っ て き ま す 。 「 な ん の か ん の と 言 っ て も 、 タ イ シ タ も ん だ ね え 」 「 ほ ん と に で き そ う に な っ て き た ね え 」 と い う 単 純 感 嘆 型 の 質 問 と 同 時 に 、 「何 人 乗 れ る の 」 「何 ノ ッ ト く ら い 出 る の 」 「制 作 費 は ど れ く ら い か か る の 」 「 こ の 部 品 は 何 に 使 う も の な の 」 「 こ こ は ど う や っ て 作 っ た の 」 と い う よ う な 、 好 奇 心 に 満 ち た 具 体 的 な 質 問 が 多 く な っ て き ま す 。 艇 の 性 能 な ど 、 た い て い の 人 が 聞 き た が る 質 問 に 人 が 変 わ る 度 に 説 明 し て い て ち っ と も 作 業 が 進 ま な い こ と も 多 く な り 、 失 礼 な が ら 艇 の 主 要 諸 元 を 掲 示 し て 勝 手 に 見 て も ら う 羽 目 に な り ま し た 。 し か し 、 世 の 中 、 考 え 方 は い ろ い ろ あ る も の で 、 「 ヨ ッ ト 作 り と は 、 何 と も 優 雅 で 高 尚 な 趣 味 で す ね 」 な ど と 持 ち 上 げ て く れ る 人 が 多 い 中 で 、 貧 乏 人 の く せ に 小 生 意 気 な と で も 思 っ た の か 、 何 を ど う 勘 違 い し た の か 、 「 き み 、 こ れ 、 ア ル バ イ ト で 作 っ て る の ? 」 な ど と 、 思 い も よ ら ぬ 衝 撃 的 質 問 を 発 し て 昼 休 み 大 工 の 度 肝 を 抜 き 、 工 期 に 大 幅 な 遅 れ を も た ら そ う と 企 む 御 仁 も 現 わ れ ま し た 。 年 が 明 け 、 寒 さ が 一 層 厳 し さ を 増 し 、 凍 え る 手 で 手 の か か る 小 物 作 業 を こ な す 日 々 が 過 ぎ 、 最 後 の 大 物 で あ る デ ッ キ を 張 っ て 塗 装 し た と き は 、 ヨ ッ ト シ ー ズ ン の 開 幕 時 期 も 過 ぎ 、 五 月 の 連 休 も 過 ぎ て そ ろ そ ろ 梅 雨 が 始 ま ろ う と し て い る 頃 に な っ て い ま し た 。 こ こ ま で 来 れ ば 工 程 上 は 八 割 以 上 終 了 で 、 だ れ が 見 て も ま と も な ヨ ッ ト の 格 好 を し て い て 、 そ の ま ま 水 に 浮 か べ て も ヨ ッ ト と し て の 機 能 は 十 分 に 持 つ 形 に な っ て い ま す 。 と こ ろ が 、 こ れ か ら が 最 後 の 胸 突 き 八 丁 な の で す 。 船 体 一 面 に パ テ を 塗 り 付 け て 細 か い 凹 凸 や 木 目 を つ ぶ し 、 全 体 を 平 滑 に 削 っ て か ら ペ イ ン ト 塗 り が 始 ま り ま す 。 ア ク リ ル 系 の 硬 質 ペ イ ン ト を 塗 っ て 乾 燥 さ せ た あ と 、 次 に は 気 が 遠 く な る よ う な 研 磨 作 業 が 待 っ て い ま す 。 艇 全 体 に き れ い に ペ イ ン ト を 塗 っ た と こ ろ を シ リ コ ン カ ー バ イ ド の 水 ペ ー パ ー で 研 磨 し 、 ペ イ ン ト が 半 分 く ら い 削 り と れ て 津 軽 塗 り の よ う な ま だ ら 模 様 に な る ま で 磨 き ま す 。乾 燥 さ せ て は ま た 塗 装 し 、 乾 い た ら ま た 水 研 ぎ し … 、 研 磨 紙 の 粒 度 を 次 第 に 細 か く し な が ら こ ん な 単 純 作 業 を 十 回 く ら い 繰 り 返 し ま す 。 乾 燥 さ せ る だ け で 一 日 か か り 、 見 て い る だ け で く た び れ そ う な こ の 作 業 、 長 さ 五 メ ー ト ル 、 巾 一 ・ 五 メ ー ト ル の 鉄 板 を 全 面 に わ た っ て マ ク ロ 組 織 が 見 え る 位 ま で 研 磨 す る の と 同 じ 程 度 の 作 業 と 思 え ば 想 像 が つ く の で は な い か と 思 い ま す 。 素 人 目 に は ほ と ん ど 変 化 が わ か ら な い よ う な 単 純 作 業 の 繰 り 返 し が 一 ヵ 月 ほ ど 続 く と 、 近 く を 通 り す ぎ る 人 も 次 第 に 足 を 止 め な く な り ま す 。 野 次 馬 先 生 が 素 通 り す る こ の 時 期 が 、 た ぶ ん 、 作 業 が 一 番 は か ど っ た 時 期 だ ろ う と 思 い ま す 。 コ ン パ ウ ン ド で 仕 上 げ の 研 磨 を し 、 ワ ッ ク ス で 磨 き 上 げ る と 、 船 体 は ガ ラ ス の よ う な 光 沢 で 周 囲 の 景 色 を 写 出 し ま し た 。 こ う な る と 、 野 次 馬 先 生 た ち の 好 奇 の 目 も 再 び 光 を 放 ち 、 か つ て 「 こ ん な ペ ラ ペ ラ な 板 で 作 る 船 に は 絶 対 乗 せ て も ら わ な い ぞ ! 」 と 蔑 み の ま な ざ し で か ら か っ て い た 男 が 、 自 慢 の こ ぶ し で 船 底 を ゴ ン ゴ ン た た き な が ら 、 「 え ら く 丈 夫 そ う だ な あ 」 と 感 心 し 、 何 ヵ 月 に も わ た る 作 業 の 経 過 を 逐 一 見 て い る の に 、「 こ れ が ベ ニ ヤ 板 で す か ? 」 と 驚 き い る 人 な ど も 現 わ れ ま す 。 作 業 の 進 行 と と も に 見 物 人 の 目 が 変 わ る の は た い へ ん 面 白 く 、 目 先 の 出 来 事 に と ら わ れ ず に 先 を 見 通 す こ と の 大 切 さ を 大 い に 学 ば せ て も ら い ま し た 。 そ の う ち に 梅 雨 も す っ か り 明 け て し ま い 、 記 録 破 り の 猛 暑 の 中 で 、 水 辺 と は 程 遠 い 東 京 の ど ま ん 中 で こ ま ご ま と し た 擬 装 品 の 取 り 付 け に 大 汗 を 流 し て い る 姿 は 、 あ ま り か っ こ の 良 い も の で は あ り ま せ ん 。 そ れ で も 、 夏 に 追 い 越 さ れ て は 一 大 事 と ば か り に ふ ん ば っ た 甲 斐 あ っ て 、 鰯 雲 が 出 る 前 に 三 十 号 庁 舎 前 の 青 空 に 純 白 の セ ー ル を は た め か せ る こ と が で き ま し た 。 夏 の 日 が ま だ ま ば ゆ い 富 浦 海 岸 で シ ャ ン パ ン を 浴 び せ 、 滑 る よ う に 帆 走 し 始 め た と き 、 「 ホ ン ト に 帆 走 し て い る の を 見 て 、 思 わ ず わ が 目 を 疑 っ た 」 と い う の が 製 作 者 の 一 人 の 感 想 で し た 。 文 字 ど お り の 順 風 満 帆 で 何 事 も な か っ た か の よ う に 優 雅 に 滑 り 出 し た と き の 感 触 を 、 い ま で も 生 々 し く 思 い 出 す こ と が で き ま す 。 ヨ ッ ト の そ の 後 の 消 息 を 聞 き た い の で す か ? 積 層 樹 脂 は 水 と 紫 外 線 に さ ら さ れ る と 経 年 劣 化 し て 、 十 年 ほ ど で 駄 目 に な る の が 普 通 で す 。 し か し 、 わ が ヨ ッ ト 同 好 会 製 作 に よ る 艇 は 、 い ま だ に 頑 丈 そ の も の で す 。 ど う し て そ ん な に 丈 夫 な の か は と も か く 、 霞 ヶ 浦 も 近 く な っ た の で 健 在 ぶ り を 御 目 に か け る こ と も で き る と 思 い ま す よ 。 ( 「ざ い け ん 」N o.38 に 掲 載 さ れ た も の に 加 筆 修 正) ( 組 織 制 御 研 究 部 ) ウ ォ ー キ ン グ 同 好 会 田 村 良 雄 金 材 技 研 目 黒 で 最 も 新 し い 同 好 会 は 、 こ の ウ ォ ー キ ン グ 同 好 会 で は な い か と 思 っ て い ま す 。 別 の 言 い 方 を す る と 、 い ち ば ん 最 後 の 同 好 会 だ っ た の か も し れ ま せ ん 。 で き た の が 九 一 年 の 春 頃 で す か ら 、 移 転 が 始 ま る 僅 か 三 年 前 の こ と で す 。 当 時 二 ~ 三 人 で 始 め た ウ ォ ー キ ン グ の 趣 旨 に 次 第 に 賛 同 者 が 集 ま っ て く る よ う に な り 、 九 四 年 の 移 転 時 に は 十 数 人 の 同 好 の 人 達 で 会 が 盛 り 上 り ま し た 。 こ の 会 の 趣 旨 は 、① 健 康 維 持 に 必 要 な 運 動 不 足 解 消 の た め の 「安 全 な ス ポ ー ツ 」 と し て 、 ② 永 年 目 黒 に 生 活 し て い て も 、 す ぐ 近 く に あ る 「 歴 史 的 な 文 化 財 を 知 る 」 機 会 が な か っ た の で 、 こ の 際 こ れ を 探 訪 し よ う 、 と い う 二 点 で す 。 特 に 中 目 黒 界 隈 は 坂 が 多 く 、 地 理 的 に 変 化 に 富 ん だ 町 並 み を 探 訪 し な が ら ウ ォ ー キ ン グ す る こ と は ス ポ ー ツ と し て の 効 果 も 充 分 上 が る の で は な い か 、 と 考 え た か ら で す 。 目 黒 地 区 で の こ の 会 の 活 動 は 、 主 に 昼 休 み の 短 い 時 間 に 、 雨 の 日 を 除 い て 毎 日 行 っ て い ま し た 。 年 間 を 通 し 、 時 間 の 許 す 範 囲 で 、 参 加 で き る 人 は 所 定 の 場 所 に 所 定 の 時 間 迄 に 集 合 す る こ と で 、 で き る だ け 集 団 ウ ォ ー キ ン グ を 実 行 し て い ま し た 。 一 人 の 場 合 も 勿 論 あ り ま し た が 、 三 人 か ら 五 人 位 で の ウ ォ ー キ ン グ が 年 間 を 通 し て 一 番 多 か っ た よ う に 思 い ま す 。 数 の 記 録 と し て は 七 人 と い う の が 二 回 程 有 り ま し た ( 昼 休 み 以 外 で は 十 二 人 の 集 団 で 実 行 し た こ と も あ っ た ) 。 一 人 で は 僅 か 十 分 も 歩 く と 疲 れ が 出 た り 飽 き て し ま う ウ ォ ー キ ン グ も 、 二 人 、 三 人 、 更 に も っ と 大 勢 で い っ し ょ に 行 動 す る と 、 と て も 楽 し い ウ ォ ー キ ン グ が で き る こ と を 知 り ま し た 。 そ し て 次 第 に 速 歩 が 出 来 る よ う に な る と 、 今 ま で 一 人 で は な か な か 出 来 な か っ た ス ポ ー ツ と し て の ウ ォ ー キ ン グ が で き る よ う に な り ま し た 。 今 、 そ の 頃 の目黒不動に向う 西 郷 山 公 園 活 動 を 振 り 返 っ て み る と 、 同 好 会 に 思 い を 馳 せ て 集 ま っ た 人 達 同 士 が ウ ォ ー キ ン グ を よ り 楽 し い も の に し よ う と お 互 い に 協 力 し て い た か ら こ そ 、 ス ポ ー ツ と し て の ウ ォ ー キ ン グ が 実 現 出 来 た と 思 っ て い ま す 。 ウ ォ ー キ ン グ に ス ポ ー ツ と し て そ の 効 果 を 期 待 す る の に は 、 最 低 で も 一 万 歩 / 一 日 、 普 通 に 歩 い て 一 時 間 位 歩 き 続 け る こ と 、 と 言 わ れ て い ま す 。 日 常 生 活 で 我 々 が 無 意 識 の う ち 約 五 千 歩 は 歩 い て い る よ う だ か ら 、 後 の 五 千 歩 を 補 え ば 運 動 解 消 の 効 果 が あ る こ と に な る わ け で す 。 従 っ て 、 昼 休 み の ウ ォ ー キ ン グ も 五 千 歩 が 当 初 の 目 的 で し た 。 時 間 に し て も 、 昼 休 み 時 間 を 最 大 限 利 用 し て 五 十 分 位 、 通 常 は 四 十 五 分 位 は あ り ま す か ら 、 三 キ ロ メ ー ト ル を 約 五 千 歩 で ウ ォ ー キ ン グ す る こ と は そ う 難 し い 話 で は な い と 考 え て い ま し た 。 し か し 、 実 際 歩 き 始 め て み ま す と 、 距 離 に し て 約 二 キ ロ メ ー ト ル 、 時 間 に し て 三 十 分 位 、 歩 数 に し て 三 千 歩 が い い と こ ろ で し た 。 と て も 四 十 五 分 は 続 か な か っ た よ う に 思 っ て い ま す 。 こ の 頃 は ま だ 、 近 く に あ っ た 史 跡 や 神 社 仏 閣 や 公 園 等 の 目 標 を 探 訪 し て ウ ォ ー キ ン グ の 中 に 取 り 入 れ る 余 裕 は あ り ま せ ん で し た 。 地 図 上 で は 簡 単 に 実 現 し そ う に 見 え て も 、 限 ら れ た 時 間 に 戻 ら な け れ ば な り ま せ ん か ら 、 一 度 道 に 迷 う と 五 分 、 十 分 す ぐ 経 過 し て し ま い 、 帰 路 に 必 要 な 時 間 ま で な く な っ て し ま い ま し た 。 当 初 は メ ン バ ー の 足 の 速 さ に も 差 が あ り 、 集 団 ウ ォ ー キ ン グ に 慣 れ な い う ち は 全 体 の ペ ー ス は な か な か 上 が り ま せ ん 。 さ ら に 、 中 目 黒 界 隈 は 想 像 し て い た 以 上 に 「別 所 坂 ク ラ ス 」 の 急 な 坂 道 が 多 く 、 コ ー ス の 所 要 時 間 は 実 際 現 地 を 歩 い て 確 か め て み な い と 、 地 図 上 の 距 離 か ら は 算 定 で き な い こ と が し ば し ば あ り ま し た 。 し た が っ て 、 始 め の う ち は 金 材 技 研 周 辺 の ご く 限 ら れ た 範 囲 に と ど ま っ て い ま し た 。 当 初 は 金 材 技 研 と 防 衛 庁 を 大 き く 囲 む 周 回 道 路 を 一 周 ウ ォ ー キ ン グ す る の が 精 一 杯 で し た 。 茶 屋 坂 を 登 り 、 防 衛 庁 の 正 門 前 を 通 り 、 服 飾 ア カ デ ミ ー 横 の 坂 を 登 り 、 K D D 前 か ら 別 所 坂 を 下 る こ ろ に は も う 足 が が く が く し て 、 膝 に 力 が 入 り ま せ ん 。 立 っ て 居 る の が や っ と 。 翌 日 は 足 が 痛 く て 、 と て も 歩 こ う と い う 気 に は な れ ま せ ん 。 メ ン バ ー の 中 か ら も 同 様 な 声 を 何 度 か 耳 に し ま し た 。 し か し 、 そ の 後 ウ ォ ー キ ン グ に つ い て 本 を み た り 、 い ろ い ろ 体 験 し て く る と 、 ウ ォ ー キ ン グ の 姿 勢 が 悪 い こ と に 気 が 付 き 、 無 理 な 足 の 使 い 方 を し て い た こ と が 判 り ま し た 。 つ ま り 上 半 身 の 姿 勢 や 手 の 振 り 、 足 の 運 び 方 、 着 地 の 仕 方 、 靴 の 選 択 、 ウ ォ ー キ ン グ 前 後 の ス ト レ ッ チ 等 々 の 知 識 や 情 報 を 無 視 し て い た わ け で す 。 ウ ォ ー キ ン グ に も 基 本 が あ り 、 た だ 歩 け ば よ い と 思 っ て い た の が 大 き な 間 違 い で し た 。 比 較 的 運 動 量 の 少 な い ウ ォ ー キ ン グ で も 毎 日 続 け る こ と は か な り 努 力 と 体 力 が 要 る こ と を 知 り ま し た 。 そ の 後 、 次 第 に ウ ォ ー キ ン グ が で き る よ う に な っ て く る と 、 今 度 は メ ン バ ー の 中 か ら 、 一 日 で も 歩 か な い 日 は 何 と な く 体 が 重 く 感 じ ら れ 物 が お い し く 食 べ ら れ な い と か 、 よ く 寝 ら れ な い と か 、 ウ ォ ー キ ン グ が 生 活 の 中 の 一 部 に 溶 け 込 ん で し ま っ た よ う な 声 も 聞 か れ る よ う に な り ま し た 。 こ の 頃 に な る と 、 コ ー ス も 距 離 が 四 キ ロ メ ー ト ル か ら 五 キ ロ メ ー ト ル と 延 び て 、 時 間 に し て 四 十 分 か ら 五 十 分 の 連 続 速 歩 が 可 能 に な り ま し た 。 歩 数 に し て 六 千 歩 か ら 七 千 歩 位 に な っ た と 記 憶 し て い ま す 。 金 材 研 を 中 心 に 半 径 二 キ ロ メ ー ト ル 周 辺 は 隈 な く 歩 き ま し た の で 、 道 路 地 図 は 赤 鉛 筆 で 真 っ 赤 に な っ て し ま い ま し た 。 い ろ い ろ な コ ー ス が 毎 日 毎 日 書 き 換 え ら れ て ゆ き ま し た 。 い ろ い ろ な 目 標 物 を 見 つ け て は ウ ォ ー キ ン グ コ ー ス を 次 々 設 定 し て 探 訪 し て ゆ き ま し た が 、 最 終 的 に 目 黒 地 区 の ウ ォ ー キ ン グ コ ー ス は 、 ① 西 郷 山 コ ー ス 、② 寿 福 寺 コ ー ス 、 ③ 蛇 崩 川 緑 道 コ ー ス 、 ④ 祐 天 寺 コ ー ス 、 ⑤ 目 黒 不 動 コ ー ス 、 ⑥ 林 試 の 森 コ ー ス 、⑦ 大 円 寺 ・ 行 人 坂 コ ー ス 、 ⑧ 恵 比 寿 ビ ー ル ( ガ ー デ ン プ レ イ ス ) コ ー ス 、 ⑨ 永 川 神 社 ・ 目 黒 川 み ど り の 散 歩 道 、 ⑩ 代 官 山 ・ 古 代 遺 跡 コ ー ス 等 々 が 定 着 し ま し た 。 な お 、 こ れ ら の コ ー ス に つ い て は 「 ざ い け んN o.120 ( 一 九 九 二) 」 に 詳 細 が 載 せ て あ り ま す 。 こ れ ら の 中 で も 、 メ ン バ ー が よ く 歩 い た 思 い 出 の 場 所 は 、 第 一 が 西 郷 山 で は な い か と 思 っ て い ま す 。 コ ー ス の 目 的 地 で あ る 西 郷 山 公 園 は 眺 望 が よ く 、 花 木 が 多 く ( 春 先 の 雪 柳 は 印 象 的 ) 、 四 季 を 通 し て 心 の 憩 え る 場 所 で あ り 、 距 離 的 に 楽 な こ と か ら 入 門 コ ー ス で も あ り ま し た 。 第 二 は 寿 福 寺 で 、 目 的 地 は こ の 寺 の 鬱 金 ( う こ ん ) 桜 と 古 い 石 仏 群 の あ る 古 刹 で す 。 コ ー ス は 蛇 崩 れ 緑 道 、 烏 森 神 社 を 経 て 旧 鎌 倉 街 道 、 銀 杏 並 木 の オ リ ン ピ ッ ク 道 路 か ら 寿 福 寺 と 、 変 化 に 富 ん で い ま す 。 更 に 目 黒 川 み ど り の 散 歩 道 か ら の コ ー ス は 、 春 の 花 見 コ ー ス に も な っ て い ま し た 。 第 三 は 林 試 の 森 で 、 目 的 地 の 林 試 の 森 公 園 は か っ て の 林 業 試 験 所 跡 地 の た め 、 十 二 ヘ ク タ ー ル の 広 さ に 明 治 十 一 年 に 開 設 し た 当 時 か ら の 試 験 樹 林 が そ の ま ま 残 っ て い て 、 と て も 市 街 地 に あ る と は 思 え な い 自 然 あ ふ れ る 公 園 で す 。 距 離 的 に は 一 番 遠 く 、 昼 休 み 時 間 に は 少 々 き つ い 健 脚 向 き コ ー ス で 、 足 に 自 信 の な い メ ン バ ー か ら は 敬 遠 さ れ て い ま し た が 、 ウ ォ ー キ ン グ を 実 感 出 来 る コ ー ス と し て 最 適 で あ っ た よ う に 思 い ま す 。 コ ー ス 途 中 に 目 黒 不 動 、 大 鳥 神 社 、 五 百 羅 漢 寺 、 海 福 寺 、 青 木 昆 陽 の 墓 等 が あ り 、 史 跡 に 富 ん だ コ ー ス で す 。 勿 論 こ れ ら の 史 跡 も 探 訪 済 み で す 。 同 好 会 は 、 メ ン バ ー 相 互 の 親 睦 を 図 る た め に 、 放 課 後 2 4 号 庁 舎 四 階 談 話 室 で ミ ー テ ィ ン グ を 何 度 か 開 催 し ま し た 。 こ の ミ ー テ ィ ン グ は ス ポ ー ツ ウ ォ ー キ ン グ に つ い て の 情 報 交 換 や 、 今 ま で の 活 動 状 況 に つ い て の 反 省 と か 、 こ れ か ら の 要 望 、 更 に は 新 た な 探 訪 目 標 、( 史 跡 や 神 社 仏 閣 公 園 、 そ の 境 内 に あ る 木 々 草 花 の 見 頃 、 コ ー ス 周 辺 の 四 季 の 自 然 等 々 ) の 話 題 が 主 な 内 容 だ が 、 や は り 何 と い っ て も 、 心 の リ ラ ッ ク ス も 健 康 維 持 に は 欠 く こ と が で き な い も の で す 。 ミ ー テ ィ ン グ 前 半 の 勉 強 会 は 僅 か 五 分 で 終 了 す る が 、 後 半 の 飲 食 会 は 毎 回 か な り 盛 り 上 が り 、 し ば し 時 間 の 経 過 を 忘 れ さ せ 、 心 の 緩 和 に 充 分 役 だ っ た よ う で す 。 ウ ォ ー キ ン グ を 始 め た 当 初 は 僅 か 二 キ ロ メ ー ト ル の 距 離 も 満 足 に 歩 け な か っ た 人 達 も 、 毎 日 の 練 習 で 歩 く こ と に 自 信 が 出 て 歩 く こ と が 楽 し く な り ま し た が 、 つ く ば 移 転 を 機 に 金 材 研 目 黒 の ウ ォ ー キ ン グ 同 好 会 は 当 初 の 目 的 を 果 た し て 幕 を 閉 じ ま し た 。 こ こ に 、 同 好 会 に 厚 い ご 支 援 を 頂 い た 所 員 の 方 々 、 並 び に 歩 く こ と に 心 身 の 健 康 を 教 え ら れ た 同 好 会 メ ン バ ー 諸 氏 に 感 謝 申 し 上 げ ま す 。 長 い 間 の ご 協 力 あ り が と う ご ざ い ま し た 。 尚 、 ウ ォ ー キ ン グ 同 好 会 つ く ば が 新 た に 活 動 を 開 始 し ま し た 。 ご 賛 同 の 向 き は 是 非 ご 参 加 下 さ い 。 ( 計 測 解 析 研 究 部 S 3 4 ・7 ・9 ~ H 6 ・3 ・31 ) ダ ン ス 同 好 会 の 想 い 出� � 方 政 行 筑 波 に 単 身 赴 任 中 、 寂 し さ を 紛 ら わ せ る つ も り で 始 め た 社 交 ダ ン ス に 子 ど も の 頃 に 習 っ た 阿 波 踊 り の 感 性 を 生 か し て み が き を か け 、 さ ら に 、 筑 波 な ま り の ダ ン ス を 浜 で 矯 正 ・ 鍛 え 直 し た 小 方 さ ん が 目 黒 に 帰 っ て 来 て 、 ダ ン ス の 好 き な 方 が た に 声 を か け て 昭 和 六 十 年 三 月 に 同 好 会 を 発 足 さ せ ま し た 。 1 4 号 庁 舎 の 大 会 議 室 で 火 躍 日 を 練 習 日 と し て 、 十 七 時 四 十 五 分 か ら 二 十 時 頃 ま で 、 前 半 を 基 礎 ス テ ッ プ 、 後 半 が 自 由 練 習 で し た 。 同 好 会 の 名 称 は な く 、 会 費 一 切 不 要 、 出 席 も 自 由 な 集 ま り で 、 毎 回 十 名 程 の 出 席 で し た 。 ラ ス ト ダ ン ス は 照 明 を 暗 く し て 雰 囲 気 を 盛 り 上 げ た り 、 そ の と き は 、 日 頃 謹 厳 実 直 な F 先 生 は 抱 月 を 気 取 っ て か 抱 き し め を 楽 し む ふ と ど き も あ り ま し た 。 一 時 は 雨 の 昼 休 み も 練 習 す る 人 が い る ほ ど で し た 。 先 生 の 熱 心 な 指 導 に よ り 技 術 も 向 上 し 、 皆 が 一 通 り 踊 れ る よ う に な り 、 ク リ ス マ ス パ ー テ ィ ー を 開 く こ と が で き ま し た 。 そ の と き は 筑 波 か ら も お 客 さ ん を お 呼 び す る と と も に 、 所 長 他 の 飛 び 入 り も あ っ て 、 五 十 名 を 越 え る 盛 会 で あ り ま し た 。 缶 ビ ー ル の 酔 い も 手 伝 っ て 、 歳 を 忘 れ 、 リ ズ ム を 追 い 、 楽 し い 時 を 過 ご し 、 全 員 の 心 に 想 い 出 が 刻 ま れ ま し た 。 そ の 後 、 同 好 者 に よ り N さ ん の お 別 れ パ ー テ ィ ー を に ぎ や か に 開 き ま し た が 、 昭 和 六 十 一 年 に 先 生 が 転 勤 に な り 、 先 生 に よ る 求 心 力 が な く な る と 集 ま る 人 数 が 少 な く な り 、 自 然 解 散 に な り ま し た 。 つ く ば に 転 勤 し た 今 、 目 黒 時 代 の 楽 し い 輝 き と し て 想 い だ さ れ ま す 。 ( 機 能 特 性 研 究 部 S 3 5 ・4 ・1 ~ H 7 ・3 ・3 1 ) 囲 碁 ク ラ ブ 目 黒 の 思 い 出 栗 原 豊 囲 碁 ク ラ ブ の 起 源 金 材 技 研 に お け る 最 大 の 文 化 活 動 の 一 つ が 、 囲 碁 で あ っ た と 思 う 。 目 黒 時 代 の 囲 碁 愛 好 家 は 多 く 、 ざ っ と 百 名 近 く い た よ う に 思 え る 。 そ の 中 で 記 憶 に あ る 人 々 を 紹 介 さ せ て 頂 く と 、 表 の よ う に な る 。 古 く 昭 和 三 十 年 代 は 天 野 、 大 庭 の 両 者 が 初 段 の 腕 前 で 、 金 材 技 研 ナ ン バ ー ワ ン を 競 っ て い た よ う で あ る 。 そ の 後 、 溶 接 部 の 鈴 木 ( 春 ) 氏 が な か な か の 腕 前 で 、 金 材 技 研 ナ ン バ ー ワ ン に 納 っ て い た よ う に 思 う 。 多 く の 人 々 が 昼 休 み な ど 、 ち ょ っ と し た 時 間 、 ち ょ っ と し た 所 で 思 い の ま ま に 対 局 し た こ と が 思 い 出 に 残 っ て い る こ と と 思 う 。 囲 碁 名 所 目 黒 時 代 の 思 い 出 で 忘 れ て な ら な い の は 、 囲 碁 に か か わ る 名 所 が 幾 つ か あ っ た こ と で あ る 。 そ の 一 つ が 2 4 号 庁 舎 会 議 室 で あ り 、 昼 休 み に は か な り 多 く の 人 が 楽 し ん で い た 。 そ こ で は 速 い 人 は 昼 休 み 中 に 三 局 も 対 戦 し て い た 。 こ こ で の 対 局 は 筑 波 移 転 直 前 ま で つ づ き 、 荷 物 を ま と め る 最 後 の 最 後 ま で 打 た れ て い た 。 も う 一 方 の 名 所 は 森 本 室 長 の 部 屋 で 、 森 本 氏 ご 自 身 が 若 手 育 成 に 専 念 さ れ て い た 。 そ の お 弟 子 さ ん の 数 は 多 い 。 ま た 、 3 0 号 庁 舎 へ 移 ら れ て か ら も 、 3 4 号 庁 舎 で 入 門 者 を 含 め た メ ン バ ー 十 数 名 を 集 め て 指 導 を さ れ て い た 。 こ の グ ル ー プ の 活 動 は 今 も 続 け ら れ て い る 。 こ の よ う に 、 金 材 技 研 ( 目 黒 ) で は 、 発 生 場 所 を 異 に す る 二 つ の 囲 碁 グ ル ー プ が 存 在 し 、 そ れ ぞ れ が 特 徴 を 持 ち 、 所 員 の 棋 力 向 上 と 和 を 深 め て き た と 思 う 。 所 内 大 会 昭 和 四 十 年 に な る と 所 の レ ク リ エ ー シ ョ ン 活 動 と し て の 囲 碁 大 会 も 盛 ん に な り 、 初 代 橋 本 所 長 が 表 彰 状 を 渡 さ れ た こ と も あ っ た 。 囲 碁 ク ラ ブ と し て の 活 動 も 盛 ん に お こ な わ れ 、 ト ー ナ メ ン ト 方 式 や リ ー グ 戦 な ど い ろ い ろ な 競 技 方 法 が 取 り 入 れ ら れ て い た 。 親 善 試 合 外 部 と の 親 善 試 合 も 頻 繁 に 行 わ れ 、 近 い と こ ろ で は 共 済 病 院 、 防 衛 庁 と 対 戦 し た 。 ま た 、 新 日 鉄 の 研 究 所 と は 度 々 親 善 試 合 を 行 っ た 。 箱 根 に 一 泊 で 出 か け て 対 局 を 行 っ た こ と も 何 度 か あ る 。 写 真 は そ の 思 い 出 の 一 駒 で あ る 。囲 碁 ク ラ ブ の 定 期 戦 戦 力 ア ッ プ の た め に 、 囲 碁 ク ラ ブ の 対 局 を 「点 数 制 」 で 行 っ た こ と も あ る 。 勝 て ば 一 点 プ ラ ス 、 負 け れ ば 一 点 庁舎 囲碁を打った人々 敬称略 24 竹内(伸)、武内(朋)、吉川(明)、藤田(廣)、大河内、浅田、大越、 土肥、岡本(昌)、高橋(聰)、森本(一)、前田、佐藤(充)、吉田(勇)、 上原(満)、荒木(喬)、池野、内山、鈴木(敏)、藤田(充)、沼田(英)、 佐藤(有)、安中、新井(隆)、中沢(静)、栗原(豊)、生井、中島(宏)、 渡辺(敏)、小野寺、菊池(政)、大沢、角田、楠、板垣、有富、浜野、 中田、佐藤(彰)、村松(晃)、岩井、��方、西田、松尾、大森、辻本、 笹野、上原(重)、渡辺(治)、橋本(健) 30 鈴木(春)、鰐川、柳原、吉岡、太田口、天野、藤井(哲)、武井、尾 澤(正)、片田、亀谷、伊藤(真)、鈴木(俊)、小林(剛)、入江、衣川、 福島(孟)、尾崎 34 信田、魚津、中村(実)、小林(清)、宮代、伊野口 材強 上田(輝)、伊藤(秀)、桑江、松本(庄)、辻、星本 材試 金子(隆)、升田、安蔵 管理部 中野(昭)、太田(信)、横山、一色、上田(誠)、樋口 外国人 崔 箱 根 へ 囲 碁 旅 行 マ イ ナ ス と し 、 対 局 者 の 持 ち 点 の 差 が ハ ン デ ィ と な る 方 式 で あ る 。 し か し 、 こ の 方 式 は 評 判 が 悪 く 、 囲 碁 ク ラ ブ の 活 動 を 停 滞 さ せ る こ と に な っ た 。 比 較 的 評 価 が 良 く 長 く 続 い た の が ク ラ ス 別 リ ー グ 戦 で あ る 。 六 人 一 組 の リ ー グ を つ く り 総 当 た り で 成 績 を 競 い 、 成 績 の 上 下 二 人 を 入 れ 換 え る 方 式 で あ り 、 こ の 方 式 に よ り 金 材 技 研 の 囲 碁 レ ベ ル は か な り 向 上 し た と 思 う 。 こ の よ う に 、 囲 碁 ク ラ ブ の 活 動 は 何 度 か 消 え て は 再 ス タ ー ト さ せ 、 現 在 に 至 っ て い る 。 ジ ャ ン ボ 囲 碁 大 会 昭 和 四 十 年 末 ご ろ と 思 う が 、 日 本 棋 院 が 主 催 す る ジ ャ ン ボ 囲 碁 大 会 に も 参 加 し た 。 一 チ ー ム 十 五 人 で 、 各 チ ー ム の 棋 力 に よ る ラ ン ク 別 ト ー ナ メ ン ト 戦 で あ る 。 こ の 大 会 に 参 加 す る た め に 十 五 人 の 選 手 を 集 め る の が 一 苦 労 で あ っ た 。 成 績 は 三 回 戦 か ら 四 回 戦 ぐ ら い ま で 勝 ち 進 ん だ 事 が あ る と 記 憶 し て い る 。 メ ン バ ー は 、 科 学 技 術 庁 囲 碁 大 会 参 加 メ ン バ ー と ほ ぼ 同 じ で あ る 。 科 学 技 術 庁 囲 碁 連 盟 発 足 昭 和 五 十 年 代 に な る と 、 科 学 技 術 庁 囲 碁 大 会 が 傘 下 の 機 関 に よ っ て 開 催 さ れ る よ う に な っ た 。 競 技 は 、 団 体 戦 と 個 人 戦 が あ っ た 。 団 体 戦 は ク ラ ス 別 で 、 一 ク ラ ス 四 チ ー ム で 総 当 た り の リ ー グ 戦 で 行 わ れ 、 一 位 と 四 位 は 入 れ 替 え 制 で あ っ た 。 一 チ ー ム 七 人 で 、 多 い と き に は 三 チ ー ム も 出 場 し た こ と も あ る 。 成 績 は そ れ ぞ れ の ク ラ ス で 優 勝 し た こ と も あ っ た 。 海 外 交 流 韓 国 か ら 研 究 員 と し て 来 ら れ た 崔 氏 が 大 変 な 囲 碁 好 き で 、 日 本 棋 院 の 段 級 戦 に 参 加 し 、 三 段 の 免 状 を 取 っ て 帰 国 さ れ た 。 ま た 、 崔 氏 を 囲 ん で の 懇 親 会 、 箱 根 へ の 囲 碁 旅 行 な ど も 思 い 出 と し て 残 っ て い る 。 こ こ で も 国 際 親 善 に 一 役 か っ て い た の で あ る 。 お わ り に 取 り 留 め も な い こ と を 書 い て き た が 、 昔 話 の き っ か け に で も し て 頂 け た ら 幸 い で あ る 。 囲 碁 を 愛 す る 所 員 及 び O B の 皆 様 の 棋 力 向 上 と ご 健 康 を お 祈 り し て 筆 を お く 。 最 後 に 、 執 筆 に 当 り ご 協 力 下 さ っ た 皆 様 に 御 礼 申 し 上 げ ま す 。 ( 計 算 材 料 研 究 部 ) 茶 道 同 好 会 武 井 厚 私 が 最 初 に 茶 道 同 好 会 に 在 籍 し た の は は る か 三 十 年 も 以 前 で 、 ま だ 若 々 し い 青 年 の 頃 で あ る 。 一 般 に は 、 華 道 や 茶 道 は 女 性 の 花 嫁 修 業 の 一 つ と 考 え ら れ て お り 、 十 人 位 の 会 員 の う ち 男 性 は 私 が 一 人 で あ っ た 。 な ぜ 、 男 の く せ に お 茶 な ど を 習 お う と し た の だ ろ う か 。 動 機 は 幾 つ か あ っ た 。 当 時 私 は 化 学 部 に 所 属 し 、 同 じ 研 文 化 祭 で の お 茶 席 古 今 和 歌 集 「戸 山 切 」 究 室 に 高 石 ( 旧 姓 鈴 木 ) 博 子 さ ん と 現 所 長 夫 人 の 新 居 ( 旧 姓 神 田 ) 悦 子 さ ん の 二 人 の 女 性 研 究 員 が 在 籍 し て お り 、 こ の お 二 人 に さ そ わ れ 、 あ ま り 抵 抗 な く 、 女 性 を 中 心 に し た 同 好 会 に 黒 一 点 で は い る こ と が で き た 。 も と も と 、 若 い 頃 か ら 歌 舞 伎 が 好 き で 、 毎 月 の よ う に 、 歌 舞 伎 座 の 三 階 席 に 通 っ た 。 当 時 か ら 三 階 席 の 値 段 は 格 安 で 、 映 画 の ロ ー ド シ ョ ー の 料 金 と ほ ぼ 同 額 で あ っ た 。 そ の 歌 舞 伎 の 世 界 や 時 代 劇 で 見 る 茶 道 を も う 少 し 知 っ て み た い と い う の が 、 最 初 の 動 機 で あ っ た 。 お 稽 古 は 土 曜 日 の 午 後 に 食 堂 裏 の 教 養 室 で 行 わ れ 、 最 初 は 外 か ら 年 配 の 先 生 が 来 て 教 え て く れ た 。 当 番 は 、 そ の 日 の お 菓 子 の 用 意 と 、 炭 を お こ し て 茶 釜 で お 湯 を 沸 か し 、 準 備 し て お く こ と が 仕 事 で あ っ た 。 予 算 は 決 め ら れ て い る の で そ れ ほ ど 高 級 な お 菓 子 は 購 入 で き な か っ た が 、 そ れ で も 人 そ れ ぞ れ が 工 夫 を こ ら し 、 美 味 し そ う な 和 菓 子 を 用 意 し た 。 そ れ を 食 べ る の も 、 お 茶 会 で の 楽 し み で あ っ た 。 今 で も 高 級 和 菓 子 を 見 る と 、 無 性 に 抹 茶 が 飲 み た く な る 。 先 生 に 誘 わ れ て 、 お 茶 会 に も 何 回 か 参 加 し た 。 一 日 に 五 席 位 回 わ り 、 そ の 度 に お 菓 子 を 食 べ る の で 胸 が 焼 け た こ と 、 足 が 痺 れ て 立 と う と し た 瞬 間 に ひ っ く り 返 っ た こ と 、 男 が 少 な い の で お 正 客 ( ト ッ プ に 座 る 客 ) に さ せ ら れ て 困 っ た こ と 、 な ど が 懐 か し く 思 い 出 さ れ る 。 茶 道 は 華 道 と 同 じ で 、 お 免 状 が 何 段 階 に も 分 け て 出 さ れ る 。 私 の 興 味 は た だ 茶 道 の 入 口 を 知 り た か っ た だ け な の で 、 先 生 か ら 免 状 取 り を 誘 わ れ た 段 階 で 同 好 会 を 止 め て し ま っ た 。 そ ん な わ け で 、 千 利 久 の 言 う 「 わ び ・ さ び 」 の 世 界 か ら は 程 遠 い と こ ろ で 脱 落 し て し ま っ た 。 他 の 会 員 も 少 し づ つ 止 め 、 し ば ら く し て 、 同 好 会 は 解 散 し て し ま っ た 。 文 化 祭 で 活 躍 何 年 か 後 に 、 ま た 茶 道 ク ラ ブ の お 誘 い を 受 け た 。 今 度 の 先 生 は 、 職 員 の 吉 武 ミ ツ エ さ ん ( 現 在 目 黒 勤 務 ) で あ っ た 。 茶 道 に 関 し て は 相 当 の ベ テ ラ ン で 、 非 常 に 上 手 に 親 切 に 教 え て 下 さ っ た 。 多 分 、 ご 自 分 で は 茶 道 に 相 当 の お 金 を 注 ぎ 込 ん で お ら れ た の で し ょ う が 、 我 々 に は 無 料 で 教 え て 下 さ っ た 。 茶 道 ク ラ ブ は 、 組 合 主 催 の 文 化 祭 で も 教 養 室 と 食 堂 の 角 に お 茶 席 を 作 り 、 活 躍 し た 。 珍 し さ と お 菓 子 に 釣 ら れ 、 大 勢 の 職 員 が 参 加 し て く れ た 。 上 の 写 真 は 、 私 が お 手 前 を し て 、 新 居 夫 人 が お 運 び を し て い る と こ ろ で あ る 。 右 の 写 真 は 、 そ の 時 茶 掛 け と し て 使 っ た 掛 軸 で 、 私 が た ま た ま 所 有 し て い る 古 今 和 歌 集 の 古 書 の 切 り で 、 「戸 山 切 」 と 言 わ れ て い る も の で あ る 。 東 京 の も と 戸 山 ヶ 原 と い わ れ た 現 在 の 西 大 久 保 の 某 家 に お い て 分 割 さ れ た た め 、 こ の 名 が あ る 。 書 は 二 條 為 教 で あ る が 、 系 図 で 示 す よ う に 、 定 家 の 孫 、 為 家 の 息 子 で あ る 。 古 筆 で は 二 條 家 と な っ て い る が 、 歌 の 道 で は 京 極 の 祖 で あ る の で 、 本 に は 京 極 為 教 と な っ て い る 。 俊 成 定 家 為 家 為 氏 為 教 為 相 為 相 の 母 は 十 六 夜 日 記 の 阿 佛 で あ る こ の 歌 の 切 り は 、 古 今 和 歌 集 巻 第 九 の 冒 頭 、 羇 旅 歌 の 第 二 と 第 三 の 歌 と そ の 説 明 で あ る 。 解 読 は 非 常 に 難 し い が 、 岩 波 文 庫 の 「古 今 和 歌 集 」 を 参 考 に す る と 、 次 の よ う に 書 か れ て い る 。 お も し ろ く さ し い で た り け る を 見 て よ め る 」 と な む か た り つ た ふ る 。 隠 岐 の く に な が さ れ け る 時 に 、 舟 に の り て い で た つ と て 、 京 な る 人 の も と に つ か わ し け る に よ め る 小 野 た か む ら の 朝 臣 わ た の 原 八 十 島 か け て こ ぎ い で ぬ と 人 に は つ げ よ あ ま の 釣 舟 題 し ら ず よ み 人 し ら ず 宮 こ い で て け ふ み か の は ら い づ み 川 川 か ぜ さ む し 衣 か せ 山 こ の 掛 軸 は 、 我 が 家 の 唯 一 の 家 宝 と も い え る も の で 、 時 々 お 正 月 に な ど 出 し て 眺 め て い る 。 一 期 一 会 お 茶 と 心 得 に 「 一 期 一 会 」 と 言 う 素 晴 ら し い 有 名 な 言 葉 が あ る 。 私 が 止 め た 後 の 第 三 期 の 同 好 会 員 の 魚 津 良 雄 さ ん ( 研 究 支 援 課 ) が 「 ざ い け ん 」 に 書 か れ て い た が 、 そ の 意 味 は 皆 さ ん よ く ご 存 知 の よ う に 、 「 現 在 直 面 し て い る こ の 機 会 は 、 過 去 に も 無 か っ た し 、 こ れ か ら も 二 度 と 来 な い 、 だ か ら 現 在 を 大 切 に し て 一 生 懸 命 努 め よ 」 で あ る 。こ の 言 葉 は 私 の 生 活 信 条 で も あ る が 、 む し ろ 人 と の 出 会 い の 中 に み る 。 実 習 生 な ど に 、 折 角 何 か の 縁 で 会 え た の だ か ら 、 こ の 一 年 間 の 出 会 い を 大 切 に し よ う よ と 言 う 。 貴 重 な 紙 面 を 、 自 分 本 位 の 記 録 に な っ て し ま っ た こ と を お 詫 び す る 。 茶 道 同 好 会 は 、 他 の ス ポ ー ツ ク ラ ブ な ど と 違 っ て 、 皆 が 力 を 合 せ て 勝 利 の 美 酒 を 味 わ う な ど と い う こ と が 無 い 。 そ れ ぞ れ の 会 員 は 個 人 と し て 参 加 し 、 稽 古 を し 、 そ れ ぞ れ 個 人 の 思 い 出 を お 持 ち と 思 う 。 そ れ ら に つ い て は 知 る よ し も 無 い の で 、 こ ん な 記 事 に な っ て し ま っ た 。 ( 第 3 研 究 チ ー ム S 3 3 ・5 ・1 ~ H 7 ・3 ・3 1 ) フ ラ ワ ー ソ サ エ テ ィ の 半 生 記 そ の 誕 生 か ら 目 黒 を 去 る ま で 板 垣 孟 彦 こ う い う 形 で 追 想 記 事 を 書 く の に は い さ さ か の 抵 抗 が あ り ま す 。 な に し ろ フ ラ ワ ー ソ サ エ テ ィ は 現 役 ど こ ろ か 、 筑 波 に 広 い 敷 地 を 与 え ら れ て ま す ま す そ の 活 動 を 拡 大 し よ う と し て い る と こ ろ な の で す か ら 。 し か し 目 黒 の 追 悼 ? 誌 を 発 行 し よ う と す る 大 き な 流 れ に は 逆 ら え ま せ ん 。 大 き な も の に は 巻 か れ る の が 得 策 で す 。 追 想 文 の 常 道 は そ の 創 立 か ら 説 き 起 こ し 、 栄 光 の エ ピ ソ ー ド を 紹 介 す る と い う こ と で し ょ う か 。 唯 一 の 難 点 は 、 フ ラ ワ ー ソ サ エ テ ィ が ど う 始 ま っ た の か を よ く 知 ら な い こ と で す 。 今 と な っ て は 誰 に 聞 い た 話 か も さ だ か で な い 断 片 的 な 記 憶 が 残 っ て い る の み で す が 、 悩 ん で い て も 話 は 先 に 進 み ま せ ん 。 二 十% の 記 憶 に 八 十 % の 創 作 を 付 け 加 え て 、 も っ と も ら し い ス ト ー リ ー を 組 み 立 て る こ と に し ま す 。 フ ラ ワ ー ソ サ エ テ ィ の 創 立 は 、 金 材 技 研 の 創 立 十 周 年 記 念 日 に さ か の ぼ り ま す 。 旧 海 軍 の 敷 地 の 一 隅 で 声 を 上 げ た 金 材 技 研 が 、 管 理 庁 舎 の 建 設 を 終 え て 峠 を ひ と つ 越 え た 時 代 の 話 で す 。 木 村 啓 造 さ ん ( お 辞 め に な っ た と き は 部 長 で し た が 当 時 の 肩 書 き が 何 で あ っ た か 、 面 倒 な の で 以 下 す べ て 肩 書 き 省 略 と さ せ て 頂 き ま す ) が 何 人 か の 方 々 に 、 「十 周 年 記 念 日 に は 外 部 か ら の お 客 さ ん が 多 い 。 こ の 日 は 所 内 を 花 で 飾 ろ う で は な い か 」 と 声 を か け ら れ た の が 事 の 始 ま り で す 。 こ れ が 純 粋 に 木 村 さ ん の 発 案 で あ っ た の か 、 記 念 行 事 委 員 会 の 様 な も の が あ っ た の か 、 当 時 の 橋 本 所 長 が 裏 で 糸 を 引 い て お ら れ た の か 、 今 と な っ て は 全 て が 霧 の 彼 方 で す 。 と も あ れ 管 理 庁 舎 横 の 庭 園 の 一 部 の 芝 を は が て し花 壇 を 造 り ( 何 を 植 え た か は 忘 れ ま し た ) 、 正 門 か ら 管 理 庁 舎 の 入 口 に 至 る 一 角 に は ベ ゴ ニ ア で 盛 り 上 が る よ う な プ ラ ン タ ー を 並 べ 、 創 立 記 念 日 を 花 で 飾 る こ と に は 成 功 し ま 春の橋本庭園 し た 。 そ の あ と 、 残 さ れ た 資 材 を 活 用 し て 花 造 り を 続 け よ う 、 と の 話 が 持 ち 上 り ま し た 。 園 芸 ク ラ ブ で は 能 が 無 い 、 フ ラ ワ ー ソ サ エ テ ィ に し よ う と の 提 案 は 木 村 さ ん で し た 。 橋 本 所 長 が 勇 退 さ れ た と き 、 管 理 庁 舎 横 の 庭 園 を 「橋 本 先 生 記 念 庭 園 」 と 呼 ぼ う と 言 い だ し た の も 木 村 さ ん だ っ た よ う に 思 い ま す 。 そ の 後 、 橋 本 先 生 記 念 庭 園 と 食 堂 の 前 に 花 を 植 え る の が フ ラ ワ ー ソ サ エ テ ィ の 仕 事 に な り ま し た 。 花 壇 に 植 え る 球 根 や 苗 、 そ し て ス コ ッ プ 、 肥 料 等 の 園 芸 資 材 は 所 が 買 っ て く れ た の で 、 そ の 一 部 を 流 用 し て 会 員 の 個 人 的 な 園 芸 趣 味 も 満 足 さ せ て 頂 き ま し た ( こ れ は ナ イ シ ョ ) 。 環 境 整 備 費 の 一 部 を 流 用 し て 、 2 4 告 庁 舎 の 一 角 に 秘 密 の 花 園 ? も 作 っ て も ら い ま し た 。 フ ラ ワ ー ソ サ エ テ ィ が 発 足 し た 当 初 は 、 皆 で フ ラ ワ ー パ ー ク や 花 卉 農 家 の 温 室 を 見 に 行 っ た り も し ま し た 。 し か し 時 移 り 、 人 変 り 、 会 員 の 平 均 年 齢 も 高 く な っ て 、 移 転 の こ ろ に は フ ラ ワ ー ソ サ エ テ ィ と し て ま と ま っ て 行 動 す る こ と も ほ と ん ど な く な っ て し ま い ま し た 。 花 作 り に は 相 い れ な い 二 つ の 流 派 が あ る の を ご 存 知 で し ょ う か 。 一 つ は 花 壇 を き れ い に 飾 り た い 派 、 も う 一 つ は と に か く 植 え 育 て て み た い 派 。 花 壇 を き れ い に 飾 る た め に は 大 き さ や 色 の そ ろ っ た 苗 が 必 要 で す し 、 育 ち の 悪 い 個 体 は 抜 き 取 ら な け れ ば な り ま せ ん 。 花 が 終 わ っ て み す ぼ ら し く な っ た 葉 を 残 し て お け ば 、 次 の シ ー ズ ン が 飾 れ ま せ ん 。 一 方 、 育 て る の に 興 味 が 向 く と 数 多 く い ろ い ろ な も の を 植 え た く な り ま す 。 � � 間 を 見 つ け て は 違 う も の を 植 込 む 結 果 、 あ る も の は 花 、 あ る も の は 葉 、 そ し て あ る も の は 根 だ け と 、 花 壇 全 体 が 雑 然 と し て き ま す 。 花 壇 を 飾 る た め に は 思 い 切 り が 必 要 で 、 育 て る た め に は 花 壇 の バ ラ ン ス を 無 視 し な け れ ば な り ま せ ん 。 ど う 言 う わ け か 、 集 ま っ て 相 談 す る と 衆 議 は 飾 り 派 に 流 れ 、 実 際 に 土 を い じ り 始 め る と ほ と ん ど が 育 て 派 に 変 身 し ま す 。 森 本 一 郎 さ ん 、 依 田 連 平 さ ん 、 そ し て 現 在 の 山 縣 敏 博 さ ん 、 代 々 の 会 長 も 四 代 を か ぞ え ま す が 、 歴 代 会 長 の 重 大 な 使 命 は こ の ジ キ ル さ ん / ハ イ ド さ ん と の 戦 い で し た 。 一 年 に 何 回 か 、 会 員 を 召 集 し て 義 務 の 花 壇 の 植 え 替 え や 草 む し り を し な け れ ば な り ま せ ん 。 裏 の 花 壇 で は い つ も 誰 か が 土 い じ り を し て い る と い う の に 、 表 の 花 壇 に は 本 当 に 人 が 集 ま ら な い の で す 。 会 長 は 、 就 任 し た ら 退 職 す る ま で 、 永 久 在 位 が フ ラ ワ ー ソ サ エ テ ィ の 伝 統 で す 。 山 縣 さ ん の 戦 い は ま だ ま だ 続 き ま す 。 目 黒 で 誰 も が 自 慢 に 思 っ て い た も の の 一 つ に 、 管 理 庁 舎 裏 の 桜 の 巨 木 が あ り ま す 。 何 と い う 種 類 か 知 り ま せ ん が 、 桜 前 線 が 関 東 地 方 を 通 過 す る よ り も は る か 前 に 爛 漫 と 咲 き 誇 り ま す 。 山 縣 さ ん と 西 田 勲 さ ん が 相 談 し て 、 取 り 木 と 接 ぎ 木 の 苗 を 八 本 も 作 り ま し た 。 十 年 後 に は 千 現 の 早 咲 き 桜 が 筑 波 の 名 物 に な る で し ょ う 。 フ ラ ワ ー ソ サ エ テ ィ の 会 員 は だ れ も 手 を 貸 し て い ま せ ん が 、 会 長 の 手 柄 は 会 員 の 手 柄 で す 。 胸 を 張 っ て 自 慢 し た い と 思 い ま す 。 「 フ ラ ワ ー ソ サ エ テ ィ の 目 黒 の 思 い 出 が や が て 千 現 の 末 来 を 飾 り ま す 」 〈 追 記 〉 早 咲 き 桜 に つ い て 「 正 式 な 品 種 名 か ど う か 分 り ま せ ん が 私 た ち は 彼 岸 桜 と 呼 ん で い ま し た 」 と の コ メ ン ト を 松 浦 琳 子 さ ん か ら い た だ き ま し た 。 も し か し た ら 染 井 吉 野 の 遺 伝 子 の 半 分 を 担 う と 言 わ れ て い る 江 戸 彼 岸 か な ? ( 計 算 材 料 研 究 部 ) 盆 栽 研 究 会 の 思 い 出 福 田 豊 盆 栽 研 究 会 は 一 九 七 三 年 一 月 に 、 盆 栽 技 術 の 研 究 と 所 内 の 景 観 保 護 に 協 力 し 、 ひ い て は 職 員 相 互 の 親 睦 を は か る こ と を 目 的 と し て ス タ ー ト し ま し た ( 会 則 よ り ) 。 本 研 究 会 設 立 は 小 島 氏 ( 当 時 工 業 化 研 究 部 ) の 尽 力 に よ る も の で 、 私 も 発 足 二 年 目 に 入 会 し た こ と を 記 憶 し て い ま す 。 活 動 内 容 と し て は 月 一 回 の 講 義 と 技 術 指 導 ( 小 島 氏 担 当 ) か ら ス タ ー ト し ま し た 。 針 金 掛 け 一 つ と っ て も 手 先 の 器 用 な 者 は 進 歩 が 早 く 、 ま し て や 枝 の 剪 定 に い た っ て は 、 私 の よ う な ア ー ト 感 覚 の な い 者 に と っ て は 苦 労 の 連 続 で し た 。 そ の 後 研 究 会 の 活 動 範 囲 も 広 が り 、 各 地 の 盆 栽 園 を 見 学 す る よ う に な り ま し た 。 大 宮 盆 栽 の 見 学 で は 、 樹 齢 何 百 年 か ら 数 十 年 の 銘 品 ば か り が あ た か も 自 然 に 形 成 さ れ た よ う な 樹 形 を し て い る の に は 驚 か さ れ ま し た 。 ま た 、 日 本 各 地 か ら 銘 品 が 集 ま る 国 風 展 、 そ し て 小 品 盆 栽 展 等 を 見 て ま わ る う ち に 、 一 朝 一 夕 で 完 成 さ れ た 盆 栽 を 作 り 出 す こ と は 無 理 で あ る こ と が 分 っ て い て も 不 思 議 と 盆 栽 に 取 組 む 姿 勢 が 前 向 き に な り 、 週 末 の 休 み が 楽 し く な っ て き ま し た 。 一 九 七 四 年 七 月 、 会 員 か ら の 要 望 も あ り 盆 栽 交 換 会 を 所 内 で 開 き ま し た 。 約 百 三 十 鉢 も の 盆 栽 が 集 ま り 、 隣 り の 病 院 に 入 院 し て い る 患 者 さ ん ま で も 飛 入 り 参 加 し 、 開 始 約 二 十 分 で 終 了 し 、 第 一 回 交 換 会 と し て は 大 成 功 で あ っ た こ と も 楽 し い 思 い 出 で し た 。 こ の 頃 よ り 所 内 庁 舎 の 数 個 所 に 研 究 会 管 理 の 盆 栽 棚 が 設 置 さ れ る よ う に な り 、 春 に は 植 替 え 、 剪 定 、 芽 摘 み 、 そ し て 夏 に は 特 に 灌 水 、 秋 に は 針 金 掛 け 等 、 講 習 会 で 修 得 し た 一 連 の 技 術 を 実 行 に 移 す こ と の で き る よ い 機 会 で 盆 栽 交 換 会 盆栽村見学 も あ り ま し た 。 盆 栽 棚 と い え ば 、 決 ま っ た 場 所 に 丹 誠 こ め た 盆 栽 を 置 く の に 飽 き 足 ら ず 、 愛 好 者 が 所 内 喫 茶 店 や 外 部 で は 中 目 黒 の お 寿 司 屋 に 飾 る よ う に な り 、 お 客 さ ん の 評 判 も 良 く 、 店 の 売 り 上 げ に も 貢 献 し た ? と 聞 い て い ま す 。 一 九 七 六 年 七 月 に は 研 究 会 も 発 足 五 年 目 を 迎 え 、 第 一 回 の サ ッ キ 展 を 開 催 し た と こ ろ 、 会 員 の 盆 歴 も 高 ま り 出 品 作 品 の 質 も 向 上 し 、 見 応 え の あ る 展 示 内 容 で し た 。 ま た 、 会 員 外 の 方 の 立 派 な 作 品 も あ り 、 金 材 技 研 の 巾 の 広 さ を 感 じ ま し た 。 一 九 七 七 年 以 後 、 第 二 回 サ ツ キ 展 を 始 め 松 柏 、 雑 木 を 主 体 と し た 盆 栽 展 を 開 催 し 、 所 内 で の 評 価 も 高 ま る よ う に な り ま し た 。 お 気 付 き の 方 も い る と 思 い ま す が 、 所 内 行 事 の さ い 講 堂 段 上 に 飾 る 盆 栽 は 以 前 は 貸 盆 栽 屋 さ ん か ら の も の で し た 。 あ る 日 、 国 吉 氏 ( 当 時 庶 務 係 長 ) か ら 経 費 節 約 の 意 味 も こ め て 盆 研 に 協 力 し て ほ し い と の 要 望 が あ り 、 喜 ん で 協 力 し た こ と を 覚 え て い ま す 。 そ の 後 は 愛 好 者 の 盆 栽 が 講 堂 段 上 と 所 長 室 に も 飾 ら れ る よ う に な り 、 盆 栽 を 愛 好 す る 一 人 と し て 大 変 光 栄 な こ と だ と 思 い ま し た 。 最 後 に な り ま し た が 、 つ く ば 移 転 後 お 邪 魔 し て 感 ず る こ と は 、 立 派 な 玄 関 ロ ビ ー に 緑 が 少 な い こ と で す 。 現 在 で も 声 を か け れ ば 愛 好 者 は 集 ま る と 思 い ま す の で 、 是 非 同 好 会 の 設 立 を 実 現 し て ほ し い と 思 い ま す 。 ( 環 境 性 能 研 究 部 S 3 3 ・1 0 ・1 ~ H 4 ・3 ・3 1 ) 華 道 同 好 会 の 思 い 出 西 岡 英 子 目 黒 の 歴 史 の 三 分 の 二 を 過 し 、 約 四 分 の 一 世 紀 を 研 究 所 と 共 に 歩 ん で 参 り ま し た が 、 そ の な か で 良 き 友 人 に め ぐ ま れ 、 入 所 以 前 よ り 続 け て お り ま し た い け ば な 同 好 の 方 々 の お 手 伝 い が 出 来 ま し た こ と を 心 か ら 感 謝 い た し て お り ま す 。 私 は 昭 和 三 十 九 年 春 に 金 材 技 研 に 入 所 し 、 そ の 年 の 秋 に は 東 京 オ リ ン ピ ッ ク が 開 催 さ れ ま し た 。 日 本 経 済 も 上 昇 し 始 め 、 華 道 会 家 元 の 活 動 も 海 外 に 向 け て 活 発 に 日 本 の い け ば な を 紹 介 す る よ う に な り ま し た 。 研 究 会 な ど も 各 国 か ら の 参 加 者 が 出 席 し て 国 際 色 豊 か な 勉 強 会 が く り 広 げ ら れ 、 そ れ に は 何 回 か 出 席 し た こ と も あ り ま す 。 こ の 時 期 か ら 本 格 的 に お は な の 勉 強 を 始 め 、 休 日 を 利 用 し て 本 部 の 研 究 会 や 社 中 の 研 究 会 に 毎 回 出 席 し て 新 ら し い い け ば な に 取 り 組 み 、 も っ と も 熱 中 し た 時 期 で し た 。 ち ょ う ど そ の 頃 、 庶 務 課 に お ら れ た 松 浦 さ ん が 毎 週 管 理 部 長 室 と 応 接 室 に 花 を い け て お ら れ 、 よ く 相 談 を 受 け て ご 一 緒 に い け た り す る こ と も あ り ま し た 。 ま た 庶 務 課 の 豊 原 さ ん と 企 画 課 に お ら れ た 吉 武 さ ん の 二 人 で 、 大 会 議 室 の す み っ こ や 1 4 号 庁 舎 屋 上 の 階 段 の お ど り ば な ど で 、 月 三 回 、 昼 休 み に は な を い け て 出 来 上 が っ た 作 品 を 評 し 合 う こ と を 始 め ま し た 。 私 の メ モ を 見 ま す と 、 こ れ が 二 年 以 上 続 い て お り 、 改 め て 驚 い た 次 第 で す 。 職員組合主催文化祭(S55年) 昭 和 五 十 二 年 の 秋 頃 、 豊 原 さ ん と 吉 武 さ ん が 女 子 職 員 の 方 々 に よ び か け て 同 好 会 を つ く る こ と に な り 、 十 人 近 い 方 が 集 ま り ま し た 。 厚 生 係 の 鈴 木 忠 篤 さ ん も こ の 計 画 に 賛 同 し て 頂 い て 、 快 よ く 教 養 室 の 使 用 を 許 可 し て 下 さ い ま し た 。 そ し て 、 厚 生 係 か ら 予 算 も 頂 い て 、 水 盤 、 剣 山 な ど 揃 え る こ と が 出 来 ま し た 。 こ う し て 、 そ の 年 の 十 一 月 八 日 か ら い け ば な 同 好 会 が 発 足 す る こ と と な り ま し た 。 こ の よ う に な り ま し た の は お 二 人 の ご 支 援 の お か げ と 、 心 か ら 感 謝 し て お り ま す 。 こ の 同 好 会 に 参 加 さ れ た 方 々 も 辞 め ら れ た り 転 職 さ れ た り し て お ら れ ま す の で 、 こ こ で ご 紹 介 し ま す と 、 豊 原 、 吉 武 、 丸 山 、 飯 田 ( 鰐 川 ) 、 小 泉 、 松 崎 ( 大 和 田 ) 、 中 村 、 岩 並 、 真 喜 志 、 深 沢 ( 小 河 ) 、 亀 井 ( 村 田 ) の 皆 さ ん と 、 他 に 数 人 の 方 々 で す 。 勉 強 会 は 金 曜 日 の 昼 休 み と き ま り 、 昼 食 も 早 々 に 教 養 室 に 集 ま っ て 、 そ れ ぞ れ の お 花 に 向 う と 一 斉 に 鋏 の 音 が 響 き 、 緊 張 し た 空 気 の 中 で 次 々 に 作 品 が 完 成 し て い き ま す 。 花 材 は 豊 原 さ ん と 吉 武 さ ん は 自 由 花 型 で す の で 違 い ま す が 、 他 の 方 々 は 同 じ 花 材 に な り ま す 。 同 じ 材 料 で も 各 自 そ れ ぞ れ の 個 性 が あ ら わ れ て 変 化 が あ り 、 楽 し い も の で し た 。 初 め て の 方 に は 多 少 の ア ド バ イ ス と 手 直 し を し て い る う ち に 全 員 の 作 品 が 出 来 上 り 、 皆 で 観 賞 し 合 い 、 賑 や か に 職 場 に 戻 っ て 行 か れ る 姿 を 見 送 り 乍 ら 、 何 ん と も 幸 せ な 気 分 に 浸 っ た も の で し た 。 勉 強 会 の 内 容 は 、 花 型 を 基 本 花 型 、 応 用 花 型 、 自 由 花 型 の 三 つ に 分 け 、 そ の う ち 基 本 と 応 用 の 花 型 の い け 方 を お 手 伝 い い た し ま し た 。 こ の 二 つ の 花 型 を し っ か り 身 に つ け ま す と 、 後 の 自 由 花 型 は 楽 に 進 む と 考 え た か ら で す 。 勉 強 会 は 約 二 年 間 続 き 、 二 つ の 花 型 が 終 る 頃 皆 さ ん が お 花 に 親 し み と 自 信 を も つ よ う に な り ま し た の で 、 同 好 会 を 終 了 さ せ て 頂 き ま し た 。 五 十 五 年 十 一 月 に は 職 員 会 の 文 化 祭 が あ り 、 こ の 同 好 会 の 成 果 を 発 表 す る 大 変 よ い 機 会 に め ぐ ま れ ま し た 。 全 員 が 出 品 し て 、 静 け さ の 中 に も 華 や か な 雰 囲 気 が 会 場 に か も し 出 さ れ た こ と を 今 で も 忘 れ る こ と が 出 来 ま せ ん 。 そ し て 、 そ れ ぞ れ の 立 派 な 作 品 を 通 し て お は な の 持 つ は か り 知 れ な い 美 し さ を 理 解 し て 頂 い た も の と 、 ひ そ か に 喜 ん だ も の で し た 。 筑 波 は 四 季 お り お り の 草 花 に め ぐ ま れ て い て 、 大 変 う ら や ま し く 思 い ま す 。 東 京 の 街 か ど の 花 屋 さ ん で は 世 界 の 花 を 見 る こ と が 出 来 ま す が 、 日 本 の 四 季 を 知 る こ と の 出 来 な い の を 大 変 残 念 に 思 っ て い ま す 。 同 好 会 で お は な を 通 し て 得 ら れ た 友 情 と お は な に 対 す る 愛 情 を 、 こ れ か ら も そ だ て て い く こ と が 私 の さ さ や か な 望 み で す 。 ( 庶 務 課 S 3 9 ・ 5 ・1 ~ H 元 ・ 3 ・3 0 ) 尺 八 同 好 会 宮 代 寛 昭 和 五 十 五 年 四 月 、 尺 八 同 好 会 「 講 尺 」 は 、 故 信 田 茂 雄 ( 初 代 会 長 ) 、 魚 津 良 雄 、 宮 代 寛 を 発 起 人 と し て 、 尺 八 の 音 色 に 魅 せ ら れ 、 古 典 楽 器 で あ る 尺 八 に 興 味 を 持 つ 十 四 人 の 会 員 に よ っ て 琴 古 流 の 末 流 と し て 発 足 し た 。 発 会 当 初 は 、 尺 八 を 見 る の も 吹 く の も 初 め て の 会 員 ば か り で 、 音 の 出 し 方 や 楽 譜 の 見 方 な ど 、 練 習 ( 稽 古 ) の 方 法 一 つ を と っ て も 苦 労 の 連 続 で し た 。 ま た 、 本 物 の 尺 八 は 大 変 高 価 な た め な か な か 手 に 入 れ る こ と が で き ず 、 最 初 の う ち は 魚 津 の 考 案 し た 塩 化 ビ ニ ー ル 管 製 の 尺 八 で 練 習 し て い ま し た 。 こ の 塩 化 ビ ニ ー ル 管 製 の 尺 八 は 材 料 費 も か か ら ず 新 た に 尺 八 を 始 め る 人 に 好 評 で 、 こ の 尺 八 が 欲 し い だ け の 人 も い ま し た 。 そ の 後 、 こ の 塩 化 ビ ニ ー ル 管 製 の 尺 八 で は 物 足 り な く な っ た 会 員 数 人 で 、 比 較 的 安 価 な 楓 製 の 尺 八 を 購 入 す る こ と に な り 、 新 宿 の 邦 楽 器 店 に 出 か け 、 帰 り に 杯 を 上 げ 志 を 新 た に し た も の で し た 。 尺 八 も 揃 い や っ と 練 習 が 始 ま り ま し た が 、 練 習 す る た め の 良 い 場 所 ( 室 ) が 無 く 、 尺 八 を 抱 え て 所 内 を 右 往 左 往 の 毎 日 で 、 練 習 で き そ う な 室 を 探 し 廻 り ま し た 。 練 習 は 、 会 員 が 他 の 運 動 部 な ど に 所 属 し て い た た め 忙 し く 、 討 論 の 末 、 全 員 で 行 う 合 同 練 習 は 毎 週 木 躍 日 の 昼 休 み に 行 う 事 に し 、 そ の 他 の 練 習 は 各 自 で 行 う 事 に し ま し た 。 そ こ で 今 度 は 練 習 場 所 の 選 定 で あ り ま す が 、 あ ま り 騒 音 を 外 部 に 漏 ら し た く な い と の 配 慮 の 結 果 、 高 橋 旦 征 さ ん に お 願 い し て 昼 休 み だ け 実 験 室 (3 4 号 庁 舎 一 階 、 発 光 分 析 室 ) を 借 り る こ と に し ま し た 。 練 習 時 間 の 前 半 は 唄 ( 民 謡 ) 、 後 半 は 尺 八 の 練 習 を し ま し た 。 こ の 時 、 い く ら か 外 に 漏 れ た 音 で 苦 情 が で た り 、 励 ま さ れ た り し ま し た 。 最 初 の 頃 の 練 習 で は 、 音 を 出 そ う と す る あ ま り 酸 欠 ( 酸 素 過 多 ?) を 引 き 起 こ し 、 失 神 寸 前 の 状 態 に な る こ と も 度 々 で し た 。 何 回 か の 練 習 を 積 み 重 ね た 結 果 、 音 も 出 る よ う に な り 、 や っ と 音 楽 ら し く な っ て き た と こ ろ で 、 丁 小 諸 馬 子 唄 新年会 度 組 合 主 催 の 文 化 祭 が あ り 、 大 会 議 室 で 大 勢 の 所 員 の 前 で 演 奏 す る 機 会 が あ り ま し た 。 こ の 時 、 「 草 津 節 」 と 「真 室 川 音 頭 」 を 合 奏 し ま し た が 、 全 員 あ が っ て し ま い 音 が ま と も に 出 ず 、 人 前 で の 演 奏 の 難 し さ を 痛 感 し た 時 期 で も あ り ま し た 。 昭 和 五 十 七 年 七 月 に は 、 現 代 尺 八 の プ ロ の 演 奏 家 で あ る 岡 本 樹 憧 氏 の 好 意 に よ っ て 大 会 議 室 で 演 奏 会 を 開 催 す る こ と が で き ま し た 。 み ん な が そ の 時 の 演 奏 に 感 銘 し 、 改 め て 尺 八 の 音 色 を 見 直 し 、 そ れ か ら の 練 習 に 意 気 込 ん だ も の で す 。 「 講 尺 」 の 最 大 の 行 事 は 、 新 年 会 を 兼 ね た 発 表 会 で し た 。 人 に 聞 い て も ら う の が 上 達 の 早 道 と い う こ と で 、 発 表 会 を 開 催 す る こ と に し ま し た 。 平 日 の 夕 方 、 教 養 室 ( 日 本 間 ) や 3 4 号 庁 舎 二 階 の 設 計 試 作 室 を 借 り て 行 っ た も の で す 。 こ こ で は 尺 八 の 合 奏 ( 連 管 ) か ら 始 ま り 、 一 年 間 練 習 し た 曲 を 一 人 づ つ 演 奏 し 発 表 し ま し た 。 そ の 後 、 ア ル コ ー ル が 適 当 に 入 っ た 頃 、 三 味 線 、 尺 八 の 伴 奏 で 唄 ( 民 謡 ) の 発 表 が あ り 、 特 に 菅 広 雄 現 会 長 が 唄 う 秋 田 な ま り の 民 謡 は 好 評 で 非 常 に 盛 り 上 が り ま し た 。 発 表 会 に は 尺 八 や 民 謡 に 興 味 あ る 人 を ( な い 人 は 強 引 に) 飲 み 放 題 、 食 べ 放 題 を 唱 い 文 句 に し て 招 待 し て 、 会 員 の 演 奏 を 聞 い て も ら い ま し た 。 一 通 り 発 表 が 終 わ る と 後 は 唄 の 飛 び 入 り が あ り 、 会 員 ば か り で な く 招 待 者 も 含 め 深 夜 ま で 唄 い 飲 み 続 け る な ど 、 帰 宅 で き な く な る こ と も 度 々 で し た 。 ま た 、 あ る 年 の 忘 年 会 を ス ナ ッ ク で 開 い た と き は 、宴 が 盛 り 上 が っ た 頃 、 そ の ス ナ ッ ク で パ ー テ ィ ー を 開 い て い た 大 勢 の 女 子 大 生 の 前 で 持 ち 込 ん だ 尺 八 を 演 奏 し 、 拍 手 喝 釆 を 浴 び た 事 な ど 数 多 く の エ ピ ソ ー ド が 残 っ て い ま す 。 平 成 四 年 の 新 年 会 で は 中 国 か ら 第 五 研 究 グ ル ー プ へ 留 学 中 の 馬 敏 雅 さ ん に 出 席 し て い た だ き 、 中 国 語 、 日 本 語 で 「 四 季 の 詩 」 や 「北 国 の 春 」 を 、 尺 八 の 伴 奏 に 会 わ せ 、 唄 っ て も ら っ た こ と が 思 い 出 さ れ ま す 。 馬 さ ん は 声 楽 を 本 格 的 に 勉 強 さ れ た と か で 、 尺 八 の 演 奏 を 引 き 立 て る の に 十 分 な も の で し た 。 こ の 「 講 尺 」 も 、 発 足 か ら 十 四 年 た ち ま し た 。 練 習 し た 曲 は 入 門 曲 の 「木 曽 節 」 に 始 ま り 、 い ま で は 難 し い 「秋 田 馬 子 唄 」 ま で の 四 十 四 曲 に 達 し ま し た 。 こ の 十 四 年 間 の 成 果 と し て は 、 素 人 集 団 か ら 発 足 し た 「 講 尺 」 に と っ て は ま ず ま ず の 活 動 結 果 だ と 思 い ま す 。 今 後 の 活 動 と し て は 、 筑 波 の セ ン タ ー ビ ル 内 の ノ バ ホ ー ル で 満 員 の 聴 衆 を 集 め て 演 奏 会 が 開 け る よ う に 練 習 に 励 み 、 収 支 が 黒 字 に な る よ う に し た い も の で す 。 と 言 う の は ち ょ っ と オ ー バ ー で す が 、 地 に 足 を 付 け 、 末 永 く 「講 尺 」 を 存 続 さ せ て い き た い も の で す 。 し か し 、 現 在 は 筑 波 移 転 に 伴 い 目 黒 地 区 の 会 員 と の 分 散 や 練 習 場 所 の 確 保 な ど 、 問 題 が 多 く 残 さ れ て い ま す が 、 こ れ を 機 会 に 、 筑 波 に お け る 会 員 の 増 強 、 発 表 会 等 の 拡 充 を は か り 、 古 典 楽 器 を 代 表 す る 尺 八 を 見 直 し 、 「講 尺 」 の 輪 を 広 げ て い き た い も の で す 。 発 足 以 来 「 講 尺 」 に 入 会 し て い る 人 、 一 時 的 に も 「 講 尺 」 の 門 を た た い た 人 、 足 を と ど め た 人 達 の 名 前 を 順 不 同 で 記 し て み ま し た 。 ま た 、 最 近 の 新 年 会 の プ ロ グ ラ ム を 最 後 に 記 し ま す 。 信 田 茂 雄 本 山 一 義 菅 広 雄 門 井 稔 山 内 功 川 崎 要 造 高 橋 旦 征 大 橋 重 雄 � � 方 政 行 後 藤 建 次 郎 栗 原 敏 夫 中 村 博 昭 宮 代 寛 魚 津 良 雄 小 黒 信 高 福 島 孟 植 竹 一 蔵 古 山 貞 夫 田 中 正 博 柴 田 美 智 男 鈴 木 俊 一 奥 山 秀 男 吉 岡 孝 之 園 田 秀 人 渡 辺 健 二 プ ロ グ ラ ム ( 新 年 会 ) 平 成 四 年 一 月 三 十 一 日 第 一 部 尺 八 演 奏 一 花 笠 音 頭 同 好 会 一 同 尺 八 連 管 ( 合 奏 ) 二 北 海 盆 唄 古 山 貞 夫 三 コ ン ド ル は 翔 ん で い る 魚 津 良 雄 四 南 部 酒 屋 も と 摺 り 唄 奥 山 秀 男 五 江 差 追 分 大 橋 重 雄 六 お 立 ち 酒 高 橋 旦 征 七 秋 田 追 分 宮 代 寛 八 通 り ゃ ん せ 魚 津 良 雄 九 ド ン パ ン 節 古 山 貞 夫 十 稗 搗 節 同 好 会 一 同 第 二 部 唄 十 二 南 部 牛 追 い 唄 宮 代 寛 十 三 佐 渡 お け さ 大 橋 重 雄 十 四 北 国 の 春 馬 敏 雅 十 五 四 季 の 歌 馬 敏 雅 十 六 酒 屋 唄 奥 山 秀 男 十 七 刈 り 干 し 切 り 唄 高 橋 旦 征 十 八 生 保 内 節 菅 広 雄 第 三 部 飛 び 入 り コ ー ナ ー 門 井 稔 田 中 正 博 � � 方 政 行 小 黒 信 高 後 藤 建 次 郎 ( 研 究 支 援 室 ) バ ロ ン 会 魚 津 良 雄 わ ず か 三 百 円 で 飲 み 放 題 ・ 食 べ 放 題 、 あ げ く に 予 想 ま で バ ッ チ リ 聞 け る と い う 、 お よ そ 天 国 に で も 行 か な け れ ば 味 わ え な い よ う な 同 好 会 が あ り ま し た 。 し か も 、 こ の 同 好 会 に 集 ま る 顔 ぶ れ が こ れ ま た 異 様 ( ?) な 感 が あ り 、 第 三 者 か ら み た ら 『馬 を 論 じ る 』 よ う な 者 の 集 ま り に は と て も 見 え な か っ た よ う で す 。 毎 週 金 曜 日 の 夕 方 六 時 頃 に な る と 朽 ち 果 て そ う な 3 4 号 庁 舎 の 二 階 に 集 ま り 、 土 曜 日 の メ イ ン レ ー ス と 日 曜 日 に 大 き な レ ー ス ( ダ ー ビ ー 、 天 皇 賞 な ど ) が あ れ ば 、 大 き な 黒 板 の 表 と 裏 を 目 い っ ぱ い 使 っ て 、 各 人 が そ れ ぞ れ 独 断 と 偏 見 の か た ま り の よ う な 予 想 を 行 う わ け で す 。 な に し ろ 競 馬 に は ド シ ロ ウ ト の 人 が 多 く 、 予 想 は 常 識 を は る か に こ え 、 ま ず あ り え な い よ う な こ と を も っ た い ぶ っ て 論 じ た り 、 こ の 人 が よ く も ま あ 、 ま じ め く さ っ て よ う 言 う わ い と い う よ う な も の ば か り で す 。 「変 チ ク リ ン な 名 だ か ら 」 と か 、 「気 に な る 名 だ 」 と か 、 「 か っ こ い い 名 だ か ら 決 め た 」 な ど と い う 他 愛 の な い 理 由 で 馬 の 名 で 選 ん だ り 、 「 明 日 は 四 月 八 日 だ か ら 4 ― 8 に し よ う 」 と か 、 「今 日 は オ レ 好 み の 美 人 が 電 車 に 乗 っ て い た か ら メ ス 馬 が 勝 つ 」 と か 、 「今 、 ト イ レ へ 行 っ て パ ッ と ヒ ラ メ イ タ ゾ 、 3 ― 3 の ゾ ロ 目 だ … 」 ま 、 予 想 と い う に は ほ ど 遠 い の が 多 か っ た 。 が 、 二 ~ 三 人 評 論 家 と し て 立 派 に や っ て い け そ う な 人 が い て 、 格 ・ 血 統 ・ 最 近 の 成 績 ・ 調 教 な ど か ら 理 路 整 然 と 予 想 を す る の で 、 聞 い て い る と 「 ナ ル ボ ド ! 」 と 感 心 さ せ ら れ 、 本 当 に 来 そ う な 気 が し て く る か ら 不 思 議 で す 。 こ の 人 達 に 共 通 し て い る の は 、 こ の 馬 だ け は 絶 対 に 来 な い と 自 信 を も っ て 消 し た 馬 に 限 っ て よ く 来 た よ う で す 。 ア ル コ ー ル が ほ ど よ く 入 る と 、 ど の 顔 を み て も み ん な 幸 せ そ う に な り ( こ う い う 馬 鹿 が 出 来 れ ば 病 気 に な ら な い) 、 金 曜 日 の 夜 は 楽 し く 更 け て ゆ き ま し た 。 こ の バ ロ ン 会 に は 月 間 賞 と 年 間 賞 が あ っ て 、 月 間 賞 に は 立 派 な 賞 状 ( 文 章 の 内 容 は 人 を こ き お ろ す ? よ う な 皮 肉 た っ ぷ り な も の が 多 か っ た ) が も ら え 楽 し か っ た 。 年 間 賞 は 、 技 術 課 の 棟 梁 M 氏 に お 願 い し て 楯 を 作 っ て も ら い 、 日 本 中 央 競 馬 会 の 本 部 ま で 行 っ て 中 央 の レ ー ス に 出 走 し た サ ラ ブ レ ッ ド の 蹄 鉄 を も ら っ て き て ハ メ こ み ま し た 。 そ の 当 時 は 競 馬 が そ れ ほ ど の ブ ー ム で は な か っ た の で 、 頼 む と 蹄 鉄 を く れ た も の で す 。 新 馬 、 特 別 と 二 連 勝 し た 馬 の 蹄 鉄 も あ っ た が 、 残 念 な が ら 名 馬 の 蹄 鉄 は ど う し て も も ら え ま せ ん で し た 。 こ の 楯 が 予 想 外 に 格 好 よ く 様 に な っ て い た の で 、 部 外 者 か ら 注 文 が 多 く て 閉 口 し ま し た 。 実 地 見 学 と 称 し て 府 中 競 馬 場 へ み ん な で 出 か け て 行 っ た り 、 目 黒 競 馬 場 発 祥 の 地 を 探 し に 行 っ た り と 、 思 い 出 は 尽 き ま せ ん 。 目 黒 で 発 足 、 ス タ ー ト し た バ ロ ン 会 は 、 目 黒 で 終 っ て し ま い ま し た 。 ま さ に 目 黒 の 思 い 出 に な っ て し ま い 残 念 な 気 が し ま す が 、 バ ロ ン 会 に 入 っ て い た 人 達 の 心 に は い つ ま で も 目 黒 の 思 い 出 が 尽 き る こ と が な い で し ょ う 。 ( 研 究 支 援 室 ) あ れ も 思 い 出 、 こ れ も 思 い 出 フ ラ ン ス 鉄 鋼 研 究 所(I R S I D ) 留 学 記 海 外 留 学 第 一 号 の 思 い 出 舟 久 保 𤋮 康 パ リ 到 着 昭 和 三 十 三 年 五 月 末 、 ダ ー ビ ー に 湧 く 羽 田 を あ と に し て 、 生 れ て 始 め て の 外 国 旅 行 に 旅 立 ち ま し た 。 途 中 ア ン カ レ ッ ジ 空 港 で ジ ュ ー ス 一 杯 の 無 料 サ ー ビ ス の あ と 、 翌 朝 早 く オ ル リ ー 空 港 に 着 き ま し た 。 空 港 に は 当 時 、 パ リ 日 本 館 の 館 長 を し て お ら れ た 東 大 第 二 工 学 部 の 菊 池 眞 一 先 生 が わ ざ わ ざ お 迎 え 頂 き 、 無 事 に パ リ に 入 る こ と が で き ま し た が 、 当 時 フ ラ ン ス は ア ル ジ ェ リ ア か ら 手 を 引 く と い う 歴 史 の 大 転 換 の 真 最 中 で 、 到 着 し た 日 の 朝 も 、 こ の 決 定 に 不 満 な ア ル ジ ェ リ ア 駐 在 の 空 挺 部 隊 が オ ル リ ー に パ ラ シ ュ ー ト 降 下 す る と い う 噂 が あ り 、 そ の 緊 張 の 真 只 中 に 到 着 し た と は 思 い も よ ら ず 、 び っ く り し た の を 覚 え て い ま す 。 こ の 抗 争 は そ の 後 の 三 年 間 に わ た る 在 留 中 も だ ん だ ん に 尖 鋭 化 し 、 一 般 市 民 も ま き こ ま れ た ピ ス ト ル 射 撃 事 件 等 が 発 生 し ま し た が 、 あ る 時 、 コ ン コ ル ド 広 場 の 車 の 渦 の 中 で 動 き が と れ な い で い た 時 、 ヒ ョ イ と 隣 り の 車 を み る と 銃 身 の 長 い 銃 を 握 っ た 三 人 の 背 広 姿 の 若 い 男 が 身 を の り 出 し て 前 を 凝 視 し て い る の を 発 見 し 、 度 肝 を 抜 か れ た こ と が あ り ま し た 。 I R S I D フ ラ ン ス の 鉄 鋼 研 究 は 長 い 歴 史 的 な 伝 統 を 培 っ て き 、 そ の 輝 か し い 業 績 は 世 界 的 に も 知 ら れ て い る 通 り で す 。 そ の フ ラ ン ス の 鉄 鋼 研 究 を 世 界 の リ ー ダ ー と し よ う と い う 熱 意 の た か ま り の 中 で 、 I R S I D を 創 設 す る 計 画 は 、 第 二 次 大 戦 直 前 す で に 出 来 上 っ て い た の で す が 、 実 際 に 陽 の 目 を 見 た の は 昭 和 三 十 年 を ま た ね ば な り ま せ ん で し た 。 フ ラ ン ス に は 珍 ら し い 、 鉄 鋼 業 界 を 打 っ て 一 丸 と し た 共 同 出 資 の 研 究 所 は そ れ 迄 に た ま っ て い た エ ネ ル ギ ー を 一 挙 に 吐 き 出 し た 形 で 、 パ リ 西 郊 の 景 勝 地St G er- m ain― en― Laye の 地 に 素 晴 ら し い 建 物 、 施 設 と 、 同 国 一 流 の 研 究 者 を 擁 し て 開 設 さ れ ま し た 。 パ リ はSt Lazard の 駅 か ら ゴ ッ ト ン 電 車 に 乗 っ て セ ー ヌ を 渡 り 二 十 分 、 お 城 の 横 の 終 点 の 駅 か ら 一 時 間 二 本 の バ ス で 十 分 、 後 ろ に ア メ リ カ ン ス ク ー ル と 米 軍 宿 舎 を 抱 え た 松 林 の 中 に 新 し い 歴 史 を 画 し た 鉄 鋼 研 究 の メ ッ カ が 誕 生 し た の で し た 。 私 の 面 倒 を み て い た だ い た 研 究 部 長 のC russard 博 士 は 新 ら し く 発 展 し 始 め た 転 位 論 の 第 一 人 者 で 、 そ の 下 に Philibert, Pom ey, Saada 等 々 優 秀 な 若 手 研 究 者 が 集 っ て い ま し た 。 私 が 直 接 指 導 を う け たC ollette さ ん は 内 部 摩 擦 の 新 し い 装 置 を 作 っ た ば か り で 、 私 は そ の 下 で 純 Al と 純 C u 単 結 晶 の 内 部 摩 擦 の 研 究 を や る こ と に な り ま し た 。微 妙 な 減 衰 振 動 を 測 定 す る た め 昼 間 は 実 験 で き ず 、 毎 晩 午 前 二 時 か ら 始 め ま し た が 、 パ リ 近 郊 の 冬 は マ イ ナ ス 十 五 ℃ と 厳 し く 、 仕 事 で 研 究 所 に 通 う 私 は と も か く 、 防 寒 外 套 に 身 を 包 ん だ 守 衛 さ ん が 毎 晩 の よ う に 守 衛 所 か ら わ ざ わ ざ 降 り て き て 門 を 開 け て く れ た の に は 本 当 に 恐 縮 し ま し た 。 試 験 片 の 準 備 等 はLorida n, Q uenneva と 二 人 の 若 い 助 手 が 手 伝 っ て く れ ま し た が 、 二 人 共 茶 目 っ 気 十 分 で 、 お 互 い に 毎 日 か つ い だ り か つ が れ た り の 愉 し い 生 活 で し た 。研 究 所 生 活 二 人 の 助 手 は 勿 論 、C russard さ ん 、Philibert さ ん そ の 他 数 え 切 れ な い 程 多 く の 人 が 自 宅 に よ ん で く だ さ り 、 今 も 楽 し い 思 い 出 と な っ て い ま す が 、 フ ラ ン ス の く ら し の 中 に 溶 け こ ん で い く の に 、 こ の 御 招 待 は 本 当 に 有 効 だ っ た と 感 謝 し て い ま す 。 こ ち ら も 、 そ れ と 同 じ 位 御 招 待 し た の で す が 、 何 し ろ 留 学 生 の 身 で す か ら 大 し た 御 馳 走 が 準 備 で き ず 、 Crus - sard さ ん を お よ び し た 時 は 、 お 刺 身 か ら お 吸 い 物 迄 全 部 鯛 一 匹 で す ま せ 、 さ す が に 奥 さ ん が 、 ア レ ま た 鯛 と 云 わ れ た 時 は 当 方 も 返 答 に 窮 し 、 鯛 は 魚 の 王 様 だ か ら と 苦 し い 云 い 訳 を し た も の で し た 。 研 究 所 に 到 着 し た 日 に 面 接 さ れ たC russard さ ん は 私 が 新 婚 一 ヶ 月 の 単 身 赴 任 だ と 知 っ て 大 い に 驚 き 、 私 の 知 ら な い 間 に 研 究 所 が 飛 行 機 の 切 符 の 手 配 を し て 家 内 を 呼 び 寄 せ て く れ ま し た 。 飛 行 機 代 は そ れ か ら 三 年 が か り で 月 賦 で 返 済 す れ ば よ い と い う 事 で し た 。 そ の 後 今 日 迄 自 分 の 立 ち 場 で で き る 限 り 、 外 国 の 若 い 人 を 日 本 に 、 日 本 の 若 い 人 を 外 国 に 送 る 仕 事 を し て お り ま す が 、 そ の 動 機 の 大 き な 部 分 は 、 こ の 思 い が け な い 御 親 切 へ の 感 謝 に あ り ま す 。 時 に は 、 同 じ 町 の 全 然 知 ら た な い 人 か ら 夕 食 の 御 招 待 を う け 、 行 っ て み る と 日 本 大 使 館 か ら 借 り 出 し た 日 本 文 化 紹 介 の フ ィ ル ム を 見 せ て く れ る と い う こ と で 、 御 近 所 の 人 達 多 勢 と 一 諸 に お 招 き を う け ま し た 。 御 本 人 は 日 本 と 何 の 関 係 も な い の で す が 、 こ う い う 善 意 が 知 ら な い と こ ろ で 行 わ れ て い る こ と に 強 い 感 銘 を う け た も の で し た 。 当 時 フ ラ ン ス は 、 戦 後 立 ち 戻 っ た 平 和 と 復 興 と 、 そ れ に 欧 州 の リ ー ダ ー と し て の 認 識 が す み ず み に 迄 浸 透 し 活 気 に 溢 れ て い ま し た 。 ア ル ジ ェ リ ア 撤 退 の 苦 悩 を か か え な が ら も 、 当 時 流 行 っ た ク ワ イ 河 マ ー チ の 軽 快 な メ ロ デ ィ に 乗 っ て 軽 や か に 、 羽 の よ う に と い う 印 象 で し た 。 フ ラ ン ス 鋳 物 研 究 所 のBlanc 所 長 も こ の 町 に 住 ん で お ら れ 、 そ の 御 縁 で お 宅 に も 研 究 所 に も 何 度 も 御 招 待 を う け ま し た 。Blanc さ ん は 日 本 語 の 勉 強 に 熱 心 で 、 日 本 か ら の 留 学 生 受 け 入 れ を 熱 望 し 、 そ の お か げ で 西 島 君 が 御 厄 介 に な り ま し た 。 青 い 鳥 を 探 し て 当 時 日 本 は 創 造 性 論 議 が 盛 ん で 、 オ リ ジ ナ リ テ ィ と は ど ん な も の か を 調 査 に 行 こ う と い う 調 査 団 が 海 外 に 沢 山 出 ま し た 。 海 外 渡 航 は 厳 し く 制 限 さ れ て い た 時 代 で す か ら 、 こ の 種 の 調 査 団 は 余 計 に 人 気 が あ っ た の か も 知 れ ま せ ん 。 鉄 鋼 は も と よ り 自 動 車 、 建 築 、 そ の 他 沢 山 の 産 業 の 共 同 視 察 団 が 陽 気 の よ い 秋 口 等 、 一 日 お き に 五 週 間 に わ た っ て こ ら れ 、 流 石 に 音 を あ げ た こ と も あ り ま す 。 何 し ろ 花 の パ リ 郊 外 の 新 設 の 研 究 所 で す か ら 、 ど の 調 査 団 も こ こ を 見 逃 す 訳 に は い か な か っ た の だ と 思 い ま す 。 そ れ に し て も 、 オ リ ジ ナ リ テ ィ の 見 本 の 研 究 を 見 せ て と い う 註 文 に は 閉 口 し ま し た 。 フ ラ ン ス の オ リ ジ ナ リ テ ィ と い う イ メ ー ジ は 当 時 広 く 関 心 を も た れ て い た の で す が 、 そ の サ ン プ ル を 鳥 籠 に い れ て 持 っ て 帰 る 積 り だ っ た の で し ょ う 。 青 い 鳥 は 今 も 元 気 か ど う か が 気 に な り ま す 。 四 十 年 あ れ か ら 四 十 年 近 い 月 日 が 流 れ ま し た 。 留 学 で 一 番 気 に な っ た こ と は 、 第 一 回 の 留 学 生 に 続 い て 、 継 続 し て 採 用 し て く れ る だ ろ う か と い う 心 配 で し た 。 三 年 の 泣 き 笑 い を 無 駄 に し た く な い と い う 思 い と 共 に 、 私 の 存 在 に 対 す る 評 価 を 問 わ れ た こ と で も あ り 、 そ の 後 続 い て 新 日 鉄 か ら 戸 来 君 が 行 く こ と に 決 っ た 時 は ホ っ と し ま し た 。 そ の 後 多 く の 留 学 生 が 世 話 に な り ま し た が 、 先 方 か ら は C ollette 君 が 一 年 間 当 所 に こ ら れ 数 々 の エ ピ ソ ー ド を 残 し ま し た 。 I R S I D と 日 本 の 製 鉄 三 社 と の 年 次 ミ ー テ ィ ン グ 創 設 に 蔭 な が ら お 役 に 立 つ こ と も で き 望 外 の 幸 せ で し た 。 三 年 前 、Pom ey さ ん の お 宅 に 呼 ば れ ま し た 折 、 あ ん た が こ のm eeting 実 現 に 働 ら い て く れ た こ と は も う I R S I D で も 誰 も 知 ら な く な っ た と 云 わ れ ま し た 。 実 際 、 当 時 お 世 話 に な っ た 研 究 者 も 事 務 の 人 達 も 、 皆 リ タ イ ア し て し ま い ま し た 。 か く し て 日 は め ぐ り 時 は 流 れ て 、 歴 史 の 一 コ マ が 過 ぎ て 行 こ う と し て い ま す 。 往 時 を 振 り 返 り 、 思 い も か け ず 留 学 の 夢 を 実 現 さ せ て い た だ い た 、 菊 池 先 生 、 橋 本 宇 一 初 代 所 長 、 戸 部 管 理 部 長 始 め 沢 山 の 方 々 の 御 好 意 、 御 支 援 に 改 め て 感 謝 の 念 を 捧 げ る 次 第 で す 。 今 回 菊 池 先 生 の 後 を 継 い で 日 仏 工 業 技 術 会 の 継 続 、 発 展 の お 世 話 を す る こ と に な り ま し た 。 せ め て こ の 仕 事 を 通 し 、 フ ラ ン ス と の 交 流 の 発 展 に 微 力 を 注 ぎ た い と 思 っ て お り ま す 。 パ リ 西 郊 二 十 キ ロ 、 パ リ の ベ ッ ド タ ウ ン と な り 、 セ ー ヌ を 越 え て サ ッ ク レ ケ エ ル の 白 い ド ー ム が 望 見 で き る サ ン ジ ェ ル マ ン ・ ア ン ・ レ イ の 緑 の 濃 い 静 か な 杜 も 、 高 層 ア パ ー ト で 城 壁 の よ う に 囲 ま れ た モ ダ ン な 町 に 変 貌 し ま し た 。 パ リ か ら は 地 下 鉄 が ヂ カ に 乗 り 入 れ 、 昔 乍 ら の ケ ー キ 屋 さ ん も 姿 を 消 し ま し た 。 し か し 、 こ の 町 の さ ら に 西 の 外 れ に 、 I R S I D は 四 十 年 前 の 実 現 へ の 熱 い 想 い を 胸 に 、 伝 統 あ る フ ラ ン ス 金 属 研 究 の メ ッ カ と し て 、 明 日 に 継 ぐ 努 力 を 続 け て い ま す 。 ( 材 料 強 度 研 究 部 S 3 2 ・1 0 ・1 ~4 7 ・3 ・3 1 ) 防 衛 庁 丸 池 で の 水 泳 河 村 和 孝 金 材 研 に 就 職 し た 頃 、 大 池 の 右 側 に あ る 目 黒 川 沿 い の 丸 池 は 進 駐 軍 ( オ ー ス ト ラ リ ア 軍 ) が プ ー ル と し て 使 っ て い た ら し く 水 は 綺 麗 で 、 塩 素 ガ ス で 消 毒 し た 形 跡 も 見 ら れ 、 中 心 部 に は 飛 び 込 み 板 も あ っ た 。 こ の よ う な 光 景 を 目 の 当 り に し て 、 こ こ で 泳 ぎ た い と 思 っ て い た の は ど う も 小 生 だ け で は な か っ た よ う で あ る 。 「今 日 は ど う す る ? 」 夕 方 五 時 近 く な る と 室 長 か ら 声 が か か る 。 「行 き ま し よ う 」 と 答 え て 、 作 業 衣 の 下 に 水 着 、 腰 に タ オ ル の 出 で 立 ち で 金 網 の フ ェ ン ス を 乗 り 越 え 、 準 備 体 操 を し な が ら 、 水 に 入 る 前 の 一 寸 し た 緊 張 と そ の 後 の 水 泳 を 楽 し ん で い た 。 初 め の う ち は 水 は 満 々 と 満 ち て お り 、 底 を 確 か め る た め 潜 っ た と こ ろ 相 当 に 深 か っ た こ と を 覚 え て い る 。 た だ 防 衛 庁 丸 池 一 ヶ 所 ボ イ ラ ー か ら の 蒸 気 配 管 口 ( 或 は 水 の 注 排 水 口 で あ っ た か も し れ な い ) 近 く は 溝 に な っ て 背 も 立 ち 浅 く 、 一 泳 ぎ し た あ と 、 よ く そ こ で 一 休 み し た 。 聞 く と こ ろ に よ る と 、 海 軍 は 艦 船 の 研 究 を す る た め 冬 に は ボ イ ラ ー ( 戦 艦 金 剛 の 改 装 前 の も の ) を 炊 い て 二 十 ℃ 近 く に 丸 池 を 暖 め た と の こ と で あ る 。 や が て き び し く 注 意 し 続 け て き た 防 衛 庁 の 守 衛 さ ん も 諦 め た ら し く 、 お か げ で ほ と ん ど 連 日 自 由 に 水 泳 を 楽 し む こ と が で き た 。 し か し 丸 池 の 環 境 は 段 々 と 悪 く な っ て き た 。 水 が 蒸 発 し て 水 位 が 低 く な り 、 底 に は 藻 や ら ゴ ミ が た ま っ て く る よ う に な っ て し ま っ た 。 そ れ で も 水 深 が か な り あ っ た た め 上 澄 み は 綺 麗 で あ っ た し 、 特 に 雨 が 降 っ た 後 は 、 泳 ぎ 始 め た 頃 と 同 様 快 適 で あ っ た 。 更 に 日 が 経 つ に つ れ て 水 深 は 更 に 下 が り 、 又 ゴ ミ も 多 く な り 、 丸 池 の 環 境 は 益 々 悪 化 し て い っ た 。 く だ ん の 室 長 い わ く 、 「 も っ と 静 か に 泳 げ 、 ゴ ミ が 舞 い 上 が る で は な い か 」 そ れ 以 後 水 面 に 平 行 に 体 を 寝 か せ て 泳 ぐ と と も に 、 顔 を 水 に つ け な い よ う に 心 掛 け た 。 そ れ か ら 二 十 年 、 小 生 学 生 を 連 れ て の 見 学 旅 行 最 終 日 、 関 西 電 力 美 浜 ( 原 子 力 ) 発 電 所 で 、 ば っ た り 部 長 ( 前 室 長 ) に お 目 に か か っ た 。 「 い っ ち ょ う 泳 ぐ か 」 と 誘 わ れ た の で 、 引 率 の 学 生 に 向 か っ て 「 見 学 旅 行 は こ こ で 終 了 す る 」 と 宣 言 し 、 早 速 部 長 の 逗 留 先 の 宿 で 水 着 に 着 替 え 美 浜 の 海 に 入 っ た 。 美 浜 の 海 は 太 平 洋 岸 で は 見 ら れ な い 程 青 く 、 そ の た め 非 常 に 綺 麗 に 見 え た 。 発 電 所 は 岬 の 先 端 に あ っ た の で 、 わ れ わ れ か ら 見 る と 入 り 江 に な っ て い て 、 入 り 江 口 で は 発 電 所 が 冷 却 用 と し て 海 水 を 多 量 に 引 き 込 ん で い る た め か 、 ゴ ミ よ け の 網 が 張 ら れ て い る ば か り で な く 、 発 電 所 に 向 か っ て 流 速 が か な り 速 く な っ て い た 。 と も か く 入 り 口 を 横 切 っ て 対 岸 ま で 泳 ご う 、 帰 り は 発 電 所 に か か っ て い る 橋 を 渡 っ て 帰 れ ば よ か ろ う と 云 う 軽 い 気 持 ち で 泳 ぎ 始 め た 。 と こ ろ が 対 岸 に つ い て 驚 い た 。 そ こ は 放 射 線 の 管 理 区 域 に な っ て お り 、 ま さ か 裸 で 歩 き ま わ る わ け に も 行 か ず 、 体 に 鞭 を 打 ち つ つ 同 じ コ ー ス を 泳 ぎ 戻 る 羽 目 に な っ て し ま っ た 。( 金 属 化 学 研 究 部 S 3 3 ・4 ・1 ~4 7 ・7 ・3 1 ) 金 材 技 研 の 思 い 出 国 吉 昭 一 郎 私 の 三 十 六 年 有 余 の 務 め の 大 半 で あ る 二 十 五 年 余 り を 中 目 黒 の 金 材 技 研 で 務 め 終 え た こ と は 、 な ん と 言 っ て も 最 大 の 「 思 い 出 」 で あ る と 思 い ま す 。 そ の 長 い あ い だ に は 、 い ろ い ろ の こ と が あ り ま し た 。 一 年 を 通 じ 花 見 や 記 念 パ ー テ ィ ー な ど に は 、 材 料 の 仕 入 れ 、 調 理 、 盛 り つ け な ど 楽 し い な が ら も 苦 心 し ま し た 。 皇 太 子 殿 下 ( 現 天 皇 陛 下 ) の 金 材 技 研 ご 視 察 の お り は 、 な に ぶ ん に も 初 め て の 経 験 で あ り 、 庁 舎 内 外 の 清 掃 、 備 品 什 器 類 な ら び に お 飲 み も の の 準 備 、 ご 接 待 の 要 領 な ど 無 我 夢 中 で 、 無 事 に 終 っ た と き は 、 本 当 に 安 堵 し ま し た 。 あ る と き は 、 酔 っ 払 い 、 泥 棒 の 侵 入 に よ り 、 侵 入 の 経 路 、 被 害 の 状 況 等 専 門 家 な み の 調 査 な ど 、 い か に し た ら 不 法 侵 入 を 防 げ る か 苦 心 い た し ま し た ( の ち に 機 械 警 備 に 移 行 ) 。 創 立 十 周 年 記 念 行 事 の と き 、 「椅 子 」 を 「 石 」 と 聞 き ち が え て 持 っ て 行 っ た こ と や 、 鞴 祭 り に よ ば れ 、 若 さ と ア ル コ ー ル の 勢 い で ボ イ ラ ー の 高 さ 四 十 五 メ ー ト ル の 煙 突 に 登 っ た こ と な ど の 思 い 出 も あ り ま す 。 今 思 う と 無 茶 な こ と を し た と 後 悔 す る と 共 に 、 再 度 登 る こ と も な く 、 ま た 見 る こ と も 出 来 な く な る と 思 う と 残 念 に 思 い ま す 。 金 材 技 研 の 筑 波 移 転 に 伴 い 、 中 目 黒 の 残 さ れ た 建 物 、 設 備 等 が ど の よ う に な る か 計 り 知 れ ま せ ん が 、 せ め て 建 物 、 設 備 の 一 部 な り で も 残 さ れ れ ば 今 後 の 思 い 出 に な る の で は な い か 思 わ れ ま す が 、 そ の 願 い も か な え ら れ る か ど う か 。 最 後 に 皆 様 方 の ご 健 康 と 金 材 技 研 の 発 展 を お 祈 り 申 し 上 げ ま す 。 ( 庶 務 課 S 3 4 ・5 ・1 ~5 9 ・1 2 ・3 1 ) 靖 心 寮 の 思 い 出 小 川 弘 靖 心 寮 と い っ て も 、 場 所 を 換 え 建 て 替 え ら れ た 現 在 の 靖 心 寮 と 、 す で に 取 り 壊 わ さ れ た 旧 靖 心 寮 が あ り ま す 。 私 が お 世 話 に な っ た 寮 は 旧 靖 心 寮 で す 。 こ の 寮 は 昭 和 三 十 八 年 三 月 、 化 学 ・ 腐 食 実 験 庁 舎 の 南 側 、 目 黒 川 沿 い に 工 員 寮 と し て 一 棟 八 室 ( 二 人 部 屋 ) が 建 設 さ れ 、 当 初 十 六 名 が 入 居 、 同 年 十 一 月 特 殊 勤 務 職 員 宿 泊 施 設 の 名 目 で 獲 得 し た 子 算 を も っ て 二 倍 に 増 築 、 総 員 三 十 三 名 が 入 居 で き る よ う に な り ま し た 。 総 工 費 四 百 五 十 万 円 、 延 面 積 は 八 十 坪 の 建 物 で す 。 私 は 最 初 に 入 居 で き た 一 人 で す が 、 こ の 時 ば か り は 、 〝特 待 生 試 験 に 合 格 〟 し た よ う な 気 分 で し た 。 と 言 う の も 、 当 時 の 私 達 の 給 与 は 高 卒 初 任 給 が 約 一 万 二 千 円 、 大 卒 で 一 万 六 千 円 位 、 そ し て 民 間 ア パ ー ト の 賃 貸 料 は 一 畳 千 円 が 相 場 で し た 。 因 み に 私 が 当 時 借 り て い た 部 屋 は 民 家 の 離 れ の 粗 末 な 一 室 、 風 呂 な ど 言 う に 及 ば ず 炊 事 場 ナ シ 、 ト イ レ ・ 洗 面 所 は サ ン ダ ル を 履 い て ト コ ト コ 歩 く 。 そ れ が 何 と 五 千 円 で し た 。 寮 が 建 設 さ れ 部 屋 代 は た だ 同 然 。 私 た ち が ど ん な に 喜 こ ん だ か お 分 か り い た だ け る と 思 い ま す 。 さ て 、 旧 靖 心 寮 と は 一 体 ど ん な 建 物 だ っ た の か 、 そ し て こ の 中 で 寮 生 は ど ん な 日 々 を 送 っ て い た の か 、 三 十 年 前 を 思 い 起 こ し て み る の も 一 興 で す 。 靖 心 寮 は 、 木 造 モ ル タ ル 、 二 階 建 、 ア イ ボ リ ー の い か に も 寄 宿 舎 そ の も の の 建 物 で し た 。 そ し て こ の 靖 心 寮 と す る 名 は 、 寮 生 が 清 く 安 ら か な 心 を 持 て る よ う に と の 願 い か ら 、 橋 本 初 代 所 長 が 名 づ け て く れ た も の で す 。 長 い 間 玄 関 前 に 掲 げ ら れ て い た あ の 靖 心 寮 の 看 板 は 、 橋 本 所 長 直 筆 の も の で す 。 靖 心 寮 の 居 室 目黒川対岸から見た靖心寮.リバーサイドマンションなどと皮肉られていた。 そ れ で は 先 ず 、 今 は 影 も 形 も 無 い 靖 心 寮 の 在 り し 日 の 姿 の ご 案 内 か ら 始 め ま し ょ う 。 硝 子 扉 を 開 け る と 一 坪 ほ ど の 玄 関 、 こ こ に は 各 自 の 下 足 箱 。 玄 関 を 狭 ん で 左 右 に 廊 下 、 廊 下 の 目 黒 川 側 に 二 人 部 屋 の 居 室 が 八 室 、 二 階 に も 八 室 が あ る 。 部 屋 の 広 さ は 三 坪 ( 当 時 は 「 坪 」 単 位 な の で す ) 、 部 屋 の 中 央 部 分 が 一 ・ 五 坪 の 板 の 間 、 両 側 に は 床 か ら 三 十 セ ン チ 位 の 高 さ の と こ ろ に タ タ ミ 一 畳 が 敷 か れ て い る 。 こ れ が ベ ッ ト に な る の で す 。 ご く 普 通 の 人 は 毎 日 布 団 の 上 げ 下 ろ し を す る が 、 合 理 的 ( ?) な 人 は 一 年 中 ベ ッ ト の ま ま で す 。 ベ ッ ト の 下 は 空 洞 に な っ て い る の で い ろ い ろ な 物 を 突 っ 込 ん で お け ま す 。 居 室 の ほ か は 、 一 、 二 階 に 水 道 蛇 口 と ガ ス コ ン ロ 二 台 の い か に も シ ン プ ル な 炊 事 場 。 玄 関 右 側 に 洗 面 所 と ト イ レ 。 ト イ レ の 前 に は 、 寮 唯 一 の 文 明 の 利 器 、 洗 濯 機 が あ り ま す 。 右 手 の 廊 下 を 奥 へ 行 く と 十 畳 間 の 和 室 、 こ こ は 寮 生 の 談 話 室 で す 。 言 わ ず も が な で す が 、 こ の 部 屋 は 間 も な く 一 部 の 人 の 「 雀 荘 」 に な り ま し た 。 思 え ば こ の 談 話 室 で 最 初 に 入 居 し た 寮 生 十 六 名 に よ る 初 め て の 集 会 を 開 き 、 寮 長 を 選 び 、 さ ら に 寮 の 運 営 な ど に つ い て 話 し 合 い 、 「 共 同 生 活 で あ る の で 、 他 の 人 に 迷 惑 を か け な い よ う に す る 」 こ と を 約 束 し た 。 こ れ が 寮 内 規 の 基 本 理 念 な の で す が 、 い つ し か 風 化 し て い っ た こ と も 事 実 で す 。 そ れ で も 二 ~ 三 年 は 平 穏 無 事 な 日 々 が 続 い て い ま し た 。 寮 生 の 顔 寮 生 の 三 分 の 一 は 夜 間 大 学 へ 通 っ て い ま し た 。 平 均 年 令 は 二 十 一 歳 と 記 憶 し て い ま す 。 当 時 私 は 寮 長 と い う こ と も あ り 、 日 常 生 活 の 中 で そ れ と な く 寮 生 を な が め て い た の で す が 、 人 そ れ ぞ れ 個 性 が あ っ て 実 に 楽 し い も の で し た 。 ・ 寮 に 帰 る と 、 い の 一 番 に 、 そ う で す 、 電 灯 を 点 け る 前 に ラ ジ オ を 点 け る 人 ・ い つ も 暗 い 部 屋 で 考 え 事 を し て い る 人 ・ 出 勤 前 の 〝 お ぐ し の 手 入 れ 〟 に 三 十 分 以 上 も か け る 人 ・ ミ シ ン を 見 事 に 使 い こ な し 、 下 着 の 綻 び ま で 繕 う 人 ・ ヒ マ さ え あ れ ば 何 か 料 理 し 食 べ て い る 人 ・ 狭 い 部 屋 い っ ぱ い に 家 具 を 並 べ て い る 人 、 反 対 に 何 も 無 い 人 ・ 部 屋 の 壁 一 面 に タ バ コ の 空 箱 を 並 べ て 悦 に 入 っ て い る 人 ・ 夜 遅 く 帰 っ て き て 灯 り の つ い て い る 部 屋 を 捜 し 、 〝今 日 の 出 来 事 〟 を 報 告 し て 歩 く 人 な ど な ど 私 に は 走 馬 灯 の よ う に 、 あ の 靖 心 寮 生 の 人 間 模 様 が 思 い 起 こ さ れ る の で す 。 ワ リ カ ン 寮 生 が 一 諸 に 飲 み 食 い し た と き は 割 り 勘 で す 。 十 二 月 の ボ ー ナ ス を も ら い 寮 に 帰 っ た と き 、 仲 間 の 一 人 が 寿 司 を 食 べ に い こ う と の お 誘 い 。 五 ~ 六 人 が 揃 い 、 意 気 揚 揚 と 寮 を 出 た 。 着 い た と こ ろ は 中 目 黒 の 寿 司 屋 だ っ た 。 暖 簾 を く ぐ っ た ら 、 「 へ ェ ー い ら っ し ゃ い 」 と 店 主 の 威 勢 の い い 声 が 我 々 を 迎 え て く れ た 。 い つ も な ら テ ー ブ ル に 席 を と り 、 そ れ ぞ れ が 〝 一 人 前 〟 を 頼 む の だ が 、 こ の 日 は 皆 当 然 の よ う に カ ウ ン タ ー に 陣 取 っ た 。 「 ヨ ー シ 、 今 日 は 一 つ 上 等 な ヤ ツ を 食 べ る こ と に し よ う 」 と 誰 か が 言 っ た 。 こ れ が い け な い 。 割 り 勘 な の だ 。 割 り 勘 で は 己 れ は 決 し て 損 を し な い の で す 。 「 ト ロ を お 願 い し ま す 」 「 こ っ ち も ト ロ 」 「 オ ド リ 」 「 お い ! オ ド リ っ て 何 だ 」 「生 き て い る エ ビ だ よ 」 「 じ ゃ 、 ボ ク も 」 「 ア ワ ビ 」 「 ア ワ ビ … 」 「 ウ ニ 」 「 こ っ ち も 」 と 注 文 が 飛 び 交 う 。 正 に 寿 司 食 い 競 争 で す 。 い よ い よ 勘 定 で す 。 と こ ろ が こ の 「 勘 定 書 き 」 を 見 て 一 同 は オ ロ オ ロ ( 勿 論 我 輩 も ) 。 ナ ン ト い つ も の 二 十 ~ 三 十 倍 の 料 金 な の で す 。 皆 、 黙 り 込 み 、 ポ ケ ッ ト か ら 財 布 を 取 り 出 し 割 り 勘 。 店 を 出 て 発 起 人 ( ? ) のY 君 、 「 マ イ ッ タ ネ ー 」 他 の 者 は シ ョ ッ ク で 声 も で な い 。 寮 へ 帰 り 着 く ま で の 十 分 間 、 重 い 足 取 り で 誰 も 無 口 。 寮 の 玄 関 で お 別 れ 。 力 な く 、「 じ ゃ あ ね 」 「 お や す み 」 そ の 夜 仲 間 達 が ど ん な 夢 を み た の か 、 私 は 知 ら な い 。 東 京 オ リ ン ピ ッ ク 昭 和 三 十 九 年 の 秋 、 日 本 中 が 東 京 オ リ ン ピ ッ ク で 沸 き 返 っ て い た 。 私 達 寮 生 も ご 多 分 に 漏 れ ず 、 オ リ ン ピ ッ ク の 開 会 前 か ら メ イ ン 会 場 で あ る 代 々 木 競 技 場 に 何 回 と な く 足 を 運 び 、 浮 か れ て い ま し た 。 で も 残 念 な が ら 、 競 技 を 見 る の は 専 ら テ レ ビ で す 。 当 時 は モ ノ ク ロ だ が 、 我 が 靖 心 寮 で 、 テ レ ビ を 持 っ て い る 人 は 僅 か 三 ~ 四 人 。 テ レ ビ の あ る 部 屋 は い つ も 超 満 員 で し た 。 部 屋 の 主 が 居 よ う が 居 ま い が 、 ま た 、 時 間 は 何 時 で あ ろ う と 一 切 お か ま い な し 。 テ レ ビ 画 面 に オ リ ン ピ ッ ク 競 技 が 映 し 出 さ れ て い る 時 は 、 す べ て の 財 産 が 共 有 に な る の で す 。 そ し て 寮 生 の 気 持 ち は 一 つ に な っ て 燃 え 上 が っ て い る の で す 。 東 洋 の 魔 女 と 言 わ れ た 女 子 バ レ ー ボ ー ル チ ー ム な ど 、 多 く の 種 目 で の 日 本 選 手 の 活 躍 。 そ の 一 方 で 、 全 階 級 制 覇 を 狙 っ た 柔 道 の 神 永 選 手 が 無 差 別 級 で オ ラ ン ダ の ヘ ー シ ン ク に 敗 れ る 波 瀾 も あ っ た が 、 ど の 試 合 に も ド ラ マ が あ っ た 。 そ し て 熱 い 思 い が 残 っ た 。 寮 生 活 が あ れ ば こ そ 、 大 勢 の 仲 間 達 の あ の す ば ら し い 感 動 を 分 か ち 合 う こ と が で き た の で す 。 A 君 倒 れ る あ る 朝 、 寮 内 を 衝 撃 が 走 っ た 。 A 君 が 体 の 調 子 が 悪 く 起 き 上 が れ な い と い う 。 虚 脱 状 態 の よ う だ 。 二 日 酔 い だ ろ う と 言 う 人 も い た が 、 A 君 は 寮 生 の 中 で も 一 番 の 真 面 目 人 間 で 酒 を 飲 む 姿 な ど 誰 も 見 た こ と が な い の で す 。 仲 間 が 東 京 共 済 病 院 へ 連 れ て 行 っ た 。 昼 頃 、 報 告 が 入 っ た 。 そ れ に よ る と A 君 は 、 栄 養 が 片 寄 っ て い る の で 二 ~ 三 日 入 院 し た 方 が 良 い と 言 わ れ た と の こ と 。 連 れ 添 っ た 連 中 は 、 「A 君 は 何 を 食 べ た の だ ろ う 」 と 心 配 し て い る 。 ど う や ら 「 栄 養 が 片 寄 っ て い る 」 の 意 味 が 分 か ら な か っ た よ う だ 。 何 ん の こ と は な い 栄 養 失 調 だ っ た の で す 。 し か し 私 達 寮 生 は 全 員 金 材 研 食 堂 を 利 用 し て い る の に 何 故 A 君 だ け が 栄 養 失 調 に な っ て し ま っ た の だ ろ う か 。 そ の 後 聞 い て 分 か っ た の で す が 、 A 君 は 大 学 の 学 資 の た め 、 食 事 は い つ も 寮 に 帰 り イ ン ス タ ン ト ラ ー メ ン を 食 べ て い た の で す 。 こ の こ と は 以 後 、 寮 生 に と っ て 大 変 良 い 教 訓 に な っ た こ と も 事 実 で す 。 南 京 虫 騒 動 朝 起 き る と 寮 内 が い つ も と 違 っ て や け に 騒 々 し い 。 ど う や ら 寮 に 変 な 虫 が い て 、 何 人 か が 体 の あ ち こ ち を さ さ れ た と い う 。 当 事 者 た ち の 情 報 に よ り は っ き り し た こ と は 、 さ さ れ た あ と が 二 つ つ い て い る と い う こ と 。 寮 生 の 物 知 り 博 士 い わ く 。 「 そ れ は 南 京 虫 だ よ 。 ト コ ジ ラ ミ と も 言 う が 、 ヒ ト や 家 蓄 の 血 を 吸 っ て 生 き て い る ん だ 」 と の こ と 。 し か し 一 体 、 何 故 、 い ま ト コ ジ ラ ミ な の か 。 再 び 物 知 り 博 士 、 「建 物 に 使 わ れ た 材 木 の 割 れ 目 に 潜 ん で い た の が 温 度 の 関 係 で 出 て き た か 、 あ る い は 誰 か が 外 か ら 持 ち 込 ん だ 古 本 に 紛 れ て い た 可 能 性 が あ る 」 何 れ に し て も 清 潔 な 我 が 靖 心 寮 に 出 て く る に は 二 ~ 三 年 ( ?) 早 い 。 迷 惑 な 奴 だ 。 一 網 打 尽 に し て く れ る わ い と ば か り に 我 々 は 一 斉 に バ ル サ ン を 焚 き 退 治 し 、 一 件 落 着 。 寮 が 火 事 二 月 、 底 冷 え の す る 日 が 続 い て い た 。 私 は 当 時 昼 夜 を 問 わ ず 推 理 小 説 を 貧 り 読 ん で い た 。 午 前 二 時 頃 、 部 屋 の 炬 達 の 中 か ら 煙 ら し き も の が 出 て き た 。 夕 方 洗 濯 を し 、 乾 か し て い る く つ 下 か な と 思 い 炬 達 布 団 を 持 ち あ げ て み た が 異 常 な し 。 で も ど う も キ ナ 臭 い 。 変 だ と 思 っ て 良 く 見 る と 床 か ら 煙 が 出 て く る で は な い か 。 突 然 の 絶 叫 、 「 火 事 だ ! 助 け て く れ ! 」 び っ く り 仰 天 、 私 は 相 棒 を 起 こ し 大 声 を あ げ な が ら 一 階 へ 駆 け 下 り る と 、 炊 事 場 の 隣 り の 部 屋 か ら 煙 。 中 へ 入 る と ベ ッ ト の カ ー テ ン と 押 入 れ 周 辺 、 さ ら に そ の 天 井 部 が 燃 え て い る 。 何 人 か が 集 ま っ て き た 。 電 話 は 無 い 。 一 人 は 守 衛 所 へ 走 り 、 数 人 の 者 が 外 の 消 火 栓 へ と 走 っ た 。 他 の 者 は 水 を 運 ぶ た め 、 炊 事 場 と 洗 面 所 へ 急 い だ 。 私 は 隣 り の 炊 事 場 の 消 火 器 を 抱 え 再 び 部 屋 へ 戻 り 消 火 器 を 放 射 。 そ し て 二 階 の 私 と 隣 り の 部 屋 の べ ッ ト の 下 に 水 を 撒 く よ う に だ れ か れ と な く 怒 鳴 っ た 。 「 火 勢 は 衰 え て き た 」 と 思 っ た そ の 時 、 突 然 の 爆 音 。 今 度 は 窓 側 か ら 猛 烈 な 火 の 手 が 上 っ た 。 何 か の ス プ レ ー が 爆 発 し た よ う だ 。 度 胆 を 抜 か れ た 。 「 こ れ ま で か 」 と 締 め か け た と き 、 誰 か が 長 グ ツ を は き 、 大 き な バ ケ ツ を 持 っ て 勢 い よ く 飛 び こ ん で き た 。 「 コ ノ ヤ ロ ー ! 」 気 合 も ろ と も ス プ レ ー 缶 を 目 が け バ ケ ツ の 水 を 放 り 投 げ た 。 燃 え 上 が る ス プ レ ー は 見 事 目 黒 川 へ 落 ち て い っ た 。 火 勢 は 一 気 に 衰 え た 。 正 に 間 一 髪 だ っ た 。 こ う し て 、 寮 生 の 一 致 団 結 し た 働 き に よ り 火 事 は 大 事 に 至 ら ず に 済 ん だ 。 そ こ へ 間 も な く 消 防 自 動 車 が 到 着 し た 。 消 防 自 動 車 か ら 、 何 故 か 火 の 消 え た 寮 の 廊 下 へ 放 水 さ れ た 。 火 事 の 原 因 は 、 暖 房 用 に 使 っ て い た 電 気 コ ン ロ か ら ベ ッ ト 脇 の カ ー テ ン に 引 火 し た も の ら し い 。 火 事 の 後 日 談 翌 朝 、 寮 長 の 私 は 庶 務 課 長 と 会 計 課 長 に 厳 し い お 叱 り を 受 け た の で す が 、 こ の 時 の 状 況 説 明 に お い て 、 寮 の 消 火 器 二 個 の う ち 一 個 が 機 能 し な か っ た こ と と 、 屋 外 消 火 栓 か ら は 水 が 出 な か っ た た め 我 々 は 消 火 に 苦 戦 し た こ と を 報 告 す る と 、 そ の 後 の お 話 は 急 に お 穏 か に な り 、 私 の 髪 の 毛 が 焼 け 縮 れ た こ と を 頻 り に 心 配 し て く れ た こ と を 良 く 覚 え て い ま す 。 こ の 火 事 騒 ぎ に つ い て 、 も う 一 つ 報 告 し て お か な け れ ば な ら な い こ と が あ り ま す 。 あ の 〝 火 事 場 の バ カ 力 〟 が こ こ で も あ っ た の で す 。 二 階 の 非 常 口 側 の 部 屋 の M 君 が 、 何 ん と 洋 服 ダ ン ス ( 勿 論 本 人 の 物 で す ) を 一 人 で 一 階 ま で 運 び 出 し た と い う 事 実 で す 。 「 み ん な が 火 消 し に 必 死 に な っ て い る 時 に … … … 」 な ど と 、 ヤ ボ な こ と を 言 う の は 止 め て お き ま し ょ う 。寮 が 傾 い た 靖 心 寮 が 建 設 さ れ て か ら 七 ~ 八 年 経 っ た 年 の 冬 、 寮 の 硝 子 窓 の 開 閉 が 思 う に 任 せ な い 状 態 に な っ た 。 建 物 が 傾 き 、 各 部 屋 と も 窓 枠 が 歪 ん で し ま っ た の で す 。 透 き 間 が ひ ど く 、 冷 た い 風 が 容 赦 な く 吹 き 込 む た め 、 寮 生 は 仕 方 な く ガ ム テ ー プ を 張 る な ど し て 風 を 防 い だ も の で す 。 そ も そ も こ の 寮 は 、 目 黒 川 沿 い の 崖 崩 れ を 防 ぐ た め に 設 置 さ れ た 擁 壁 の 内 側 を 埋 め 立 て て 建 設 さ れ た も の で あ り 、 地 盤 が 軟 弱 な こ と は 当 然 で 、 こ う し た 事 態 は 予 測 で き た と 思 う の だ が 〝後 の 祭 り 〟 。 金 材 研 は 建 設 省 と 相 談 し 、 目 黒 川 側 か ら 寮 に 何 本 か の 突 っ か え 棒 を 立 て た の で す 。 し か し 寮 が こ れ で 立 ち 直 る は ず は な い 。 寮 生 の 中 に は 飲 み 干 し た 酒 瓶 、 ビ ー ル 瓶 が 独 り で に コ ロ コ ロ 転 が る の を 見 て 子 供 の よ う に 楽 し ん で い る 人 も い ま し た 。 数 年 後 、 我 が 靖 心 寮 は 取 り 壊 し と な っ た の で す 。 靖 心 寮 に 入 居 し た 人 の 中 に は 、 私 の よ う に 十 年 近 く 長 居 し た 者 も い れ ば 、 短 期 間 の 人 も い ま す 。 そ し て そ の 思 い 出 は 人 そ れ ぞ れ ち が う こ と で し ょ う 。 靖 心 寮 を 飛 び 立 っ て い っ た 人 達 は 今 、 研 究 所 の 第 一 線 で 活 躍 し て い る 人 、 民 間 会 社 へ 転 職 し た 人 、 地 元 の 中 学 や 高 校 で 教 鞭 を と っ て い る 人 な ど 様 々 で す 。 皆 さ ん の 益 々 の ご 発 展 を お 祈 り し ま す 。 ( 企 画 課 S 3 5 ・5 ・1 6 ~2 5 ・2 ・1 S 5 9 ・1 1 ・1 ~6 3 ・ 6 ・15 ) 昔 、 目 黒 に は 池 が あ っ た 宮 崎 秀 子 一 九 九 四 年 の 金 材 技 研 の 要 覧 を 見 る と 、 表 紙 の 裏 の 目 黒 地 区 に は 青 々 と 水 を た た え た 大 き な 池 の あ る 写 真 が 載 っ て い る 。 し か し 、 一 九 九 四 年 に は こ の 池 は 存 在 し て い な い 。 多 種 多 様 な 植 物 、 動 物 、 そ し て 人 間 が 慣 れ 親 し ん だ こ の 池 の 思 い 出 を こ こ に 文 章 と し て 残 す こ と で 、 実 際 に 池 を 見 る こ と が で き な か っ た 人 た ち に も 、 金 材 技 研 の 目 黒 地 区 の 歴 史 の 中 の 一 ペ ー ジ と し て こ の 池 の こ と を 記 憶 に と ど め て 欲 し い 。 こ の 池 の 歴 史 は 、 防 衛 庁 第 一 研 究 所 の 実 験 池 か ら 海 軍 の 実 験 池 へ と た ど る こ と が で き る 。 こ こ で は 池 の 生 い 立 ち を 調 べ る こ と は し な い が 、 人 工 的 に 作 ら れ た 池 で あ っ た こ と は 明 ら か で あ る 。 し か し 、 池 の 縁 に コ ン ク リ ー ト 製 の 満 水 時 の 排 水 溝 が あ っ た だ け の 、 ほ と ん ど 自 然 の ま ま の 池 で あ っ た 。 私 が 入 所 し た 時 ( 一 九 七 四 年) か ら し ば ら く の 間 は 、 こ の 池 に は 上 水 が 引 か れ て い た の で 池 は 常 に 水 を 満 々 と た た え て い た 。 と こ ろ が そ の 後 、 上 水 は 水 路 の 決 壊 事 故 の た め に 止 め ら れ て 、 池 の 水 の 供 給 源 は 雨 水 の み に な っ て し ま っ た 。 い つ の 頃 か ら か 池 に は 多 量 の 水 草 が 生 え る よ う に な り 、 そ の 対 策 と し て 草 魚 が 放 た れ た 。 池 に は 五 ~ 六 匹 の 鯉 が い た が 、 草 魚 の 繁 殖 力 は 想 像 以 上 で 、 あ っ と い う 間 に 二 つ 三 つ の 草 魚 の コ ロ ニ ー が で き あ が っ て い た 。 こ の こ ろ に は 水 草 は 草 魚 に 食 べ 尽 く さ れ 、 バ ラ ン ス の と れ た 生 態 系 が で き つ つ あ っ た の だ と 思 わ れ る 。 そ し て 池 の 周 り に は 枝 垂 れ 桜 の 幼 木 が 植 え て あ り 、 そ れ が 濃 い ピ ン ク の 花 を 付 け だ し て い た 。 池 を 取 り 囲 む よ う に 葦 が 茂 り 、 シ ロ ツ メ グ サ が 自 然 の ま ま に 咲 き 、 名 も 知 ら ぬ 雑 草 が 青 々 と し た 絨 毯 を 作 っ て い た 。 池 の 周 り は 散 歩 を す る 人 、 ジ ョ キ ン グ を す る 人 に と っ て は 最 高 の コ ン デ シ ョ ン を そ な え た 遊 歩 道 と な っ て い た の で あ る 。 以 下 に 描 写 す る 各 季 節 の 一 コ マ は 、 こ の よ う な 金 材 技 研 の 職 員 と 池 と の 蜜 月 の 期 間 に お け る も の で あ る 。 春 に な る と ま ず 目 を 奪 わ れ る の は 、 池 の 縁 に 沿 っ て 植 え ら れ た 枝 垂 れ 桜 の 紅 色 の 花 で あ る 。 木 自 体 は ま だ 人 の 背 丈 を 少 し 超 え る 程 の 大 き さ で あ る が 、 濃 い ピ ン ク の 花 は し っ か り と 妖 艶 で 成 熟 し た 美 し さ を 感 じ さ せ る 。 そ し て そ れ に 少 し 遅 れ て 真 っ 白 な 山 桜 の 花 が 咲 き 乱 れ 、 季 節 は 初 夏 へ と 移 っ て い く 。 夏 に な る と 、 職 員 の 楽 し み は 葦 を 刈 り 取 っ て 草 魚 に 与 え る こ と で あ る 。 そ の 名 が 示 す よ う に 、 草 を 食 べ る 草 魚 は あ っ と 言 う 間 に 葦 に 群 が り 固 い 茎 で も バ リ バ リ と 食 べ て し ま う 。 ま る で 爪 楊 枝 の よ う に 葦 の 茎 を 口 に く わ え て 泳 ぐ 草 魚 は 職 員 の 笑 い を 誘 っ た 。 草 魚 は 葦 の 他 に も そ の 辺 に 生 え て い る 草 は 何 で も 食 べ た 。 試 し に ド ク ダ ミ を 投 げ 入 れ て み る と 、 草 魚 は 何 事 も な く 食 べ 尽 く し て し ま っ た 。 「 草 魚 の 胃 の 調 子 が 良 く な っ た か も 」 と 誰 か が 冗 談 を い っ た の が 記 憶 に 残 っ て い る 。 そ の こ ろ は 、 昼 休 み に パ ン 屋 か ら パ ン の 耳 を も ら っ て き て 魚 た ち に 与 え て い た 。 鯉 に 食 べ さ せ て や り た い と 思 っ て も 、 草 魚 た ち の 動 き は 素 早 く 鯉 は な か な か 食 べ る こ と が で き な か っ た 。 そ こ で ま ず 、 草 を 投 げ 入 れ て 草 魚 を 一 ヶ 所 に 集 め て か ら 、 鯉 に パ ン を 投 げ て や る と い う 作 戦 が と ら れ た 。 し か し 、 鯉 も 草 魚 に つ ら れ て 行 っ て し ま う の で 、 こ の 作 戦 は う ま く 行 か な か っ た 。 秋 に な る と 目 を 引 く の は 、 二 十 四 号 庁 舎 の 壁 に か ら み つ い た 蔦 の 色 づ い た 葉 と 池 と の 情 景 で あ る 。 五 十 号 庁 舎 、 五 十 一 号 庁 舎 の 窓 か ら 見 る 池 の 青 と 蔦 の 煉 瓦 色 の コ ン ト ラ ス ト は 、 ま る で 風 景 画 の よ う で あ っ た 。 そ し て 冬 に な る と 池 に は 来 訪 者 が 続 々 と や っ て く る 。 な か で も カ モ と ユ リ カ モ メ は 二 大 勢 力 で あ っ た 。 野 鳥 も 冬 は 餌 が 少 な く な る の か 、 池 の 周 り に や っ て き て は パ ン く ず を つ い ば ん で い た 。 厳 し い 寒 波 で 池 の 表 面 が 凍 っ た 時 に は 、 カ モ や ユ リ カ モ メ が ヨ チ ヨ チ と 氷 の 上 を 歩 い て い た の が 印 象 に 残 っ て い る 。 池 が な く な っ て も 記 憶 に 導 か れ て 彼 ら は や っ て き た 。 け れ ど も 羽 を 休 め る 場 所 も な く 、 目 黒 川 の よ ど ん だ 水 面 に 浮 か ん で い た の を 悲 し い 思 い で 見 な け れ ば な ら な か っ た 。 人 間 が 作 っ た 池 を 人 間 の 都 合 で 埋 め 立 て た の だ か ら 、 文 句 を 言 う 筋 合 い は な い か も し れ な い 。 し か し 池 は 確 実 に 野 生 の 動 物 や 植 物 の 生 息 地 に な っ て お り 、 そ れ を 人 間 の 一 方 的 な 都 合 で な く し て し ま っ た の は あ ま り に も 人 間 至 上 主 義 的 な 考 え 方 で は な い か と 思 う 。 と も か く 池 は な く な っ て し ま っ た 。 け れ ど も 私 た ち 職 員 に と っ て 青 々 と 水 を た た え た 池 と そ の 周 り の 庁 舎 は 、 中 目 黒 の 金 材 技 研 の 原 風 景 と し て 永 遠 に 胸 の 中 に 残 さ れ る で あ ろ う 。 ( 環 境 性 能 研 究 部 ) 50 号 庁 舎 屋 上 わ が 青 春 の お で ん パ ー テ ィ 村 田 正 治 話 は 昭 和 四 十 年 代 に さ か の ぼ る 。 私 が 入 所 当 時 の 材 料 試 験 部 は ま だ 五 〇 号 庁 舎 し か な く 、 業 務 課 、 ク リ ー プ 第 一 試 験 室 と ク リ ー プ 第 二 試 験 室 、 そ し て 疲 れ 準 備 室 と 呼 ば れ る 疲 労 試 験 関 係 者 の 控 え 室 ( 現 五 十 一 号 庁 舎 ) が 同 居 し て い た 。 私 が 配 属 さ れ た ク リ ー プ 第 一 試 験 室 は 総 員 三 十 人 の 大 所 帯 で 、 Y 室 長 の も と M 氏 、 S 氏 、 そ し て 泣 く 子 も 黙 る 鬼 軍 曹 の I 氏 が 居 ら れ 、 本 職 の 受 託 試 験 業 務 全 般 の 他 に 、 我 々 若 い 者 ( 二 十 人 程 ) の 指 導 役 と し て 新 米 に は 恐 れ ら れ て い た 。 そ の 頃 の 材 試 部 の 一 杯 会 は ほ と ん ど I 氏 の 手 作 り で 、 手 伝 い こ そ い る も の の 材 料 の 仕 込 み か ら 盛 り 付 け ま で 一 手 に 引 受 け 、 味 は も ち ろ ん の こ と 、 そ の 手 際 の 良 さ は 周 囲 の 者 を 唸 ら せ た も の で あ る 。 ま た 料 理 の レ パ ー ト リ ー も 広 く 、 山 菜 の て ん ぷ ら ( 山 菜 採 り の 名 人 で も あ っ た ) や 、 鯉 こ く ( 長 野 県 出 身 で あ っ た) 、 す き 焼 き に し ゃ ぶ し ゃ ぶ ( こ れ は 最 近 で あ っ た ) 等 数 え 上 げ れ ば き り が な い が 、 そ の 中 で も ク リ ー プ 部 在 籍 者 誰 も が 忘 れ ら れ な い の が 特 製 お で ん で あ ろ う 。 ク リ ー プ 試 験 室 備 品 ? の 大 鍋 い っ ぱ い に 作 ら れ た お で ん は 、 当 時 食 べ 盛 り の 我 々 に と っ て 最 高 の ご ち そ う で あ っ た 。 ま た 、 運 良 く 手 伝 い 方 に 選 ば れ る と 、 味 見 と 称 し て 皿 一 杯 の で き た て お で ん を 食 べ ら れ る 特 権 が 与 え ら れ 、 皆 に う ら や ま し が ら れ た も の で あ る 。 お で ん の 調 理 は 四 〇 三 室 と 呼 ば れ る ド ラ フ ト 付 き の 部 屋 で 行 わ れ た 。 何 故 ド ラ フ ト が 必 要 か 、 勘 の 良 い 読 者 な ら 察 し が 付 く は ず で あ る ( サ リ ン の 合 成 で は な い ) 。 本 来 な ら ば 五 十 号 庁 舎 全 体 に 漂 う は ず の お で ん の 匂 い を 吸 い 取 り 、 執 務 中 の 職 員 の 業 務 効 率 を 損 な わ な い た め で あ る 。 し か し な が ら 世 の 中 に は 鼻 の 効 く 人 間 は い る も の で 、 お で ん の 出 来 上 が り を 見 て い た か の よ う に 現 れ 、 鍋 の 横 に し ゃ が み 込 ん で つ ま み 食 い を し て い く し た た か 者 は 常 に 数 人 は い た 。 し か し 、 こ う い っ た 手 合 い に も I 氏 は 決 し て 怒 る こ と は な く 、 来 た 者 す べ て に お で ん を 勧 め る 優 し い 料 理 長 で あ っ た 。 こ の 頃 の 手 伝 い 方 と し て I 氏 の 手 ほ ど き を 受 け 、 後 に 研 究 所 全 体 の パ ー テ ィ を し き る ほ ど に な っ た の が 、 背 の 高 い N 氏 と だ じ ゃ れ 好 き の O 氏 で あ る 。 彼 ら は 、 何 も で き ず 食 う こ と し か 能 の な い 私 な ど と 違 い 、 持 っ て 生 ま れ た 料 理 の 才 能 ( 料 理 だ け で は な い が ) と I 氏 の 指 導 も 加 わ っ て 、 五 十 号 庁 舎 の パ ー テ ィ 開 催 に は I 氏 と 共 に な く て は な ら な い 存 在 で あ っ た 。 こ の 頃 か ら 五 十 号 の 飲 み 会 も 多 岐 に わ た っ て 行 わ れ る よ う に な り 、 春 の 歓 送 迎 会 、 夏 の 屋 上 ビ ヤ パ ー テ ィ 、 秋 の お で ん パ ー テ ィ 、 そ し て 冬 の 忘 年 会 の 四 大 パ ー テ ィ は 当 部 の 公 式 行 事 と さ れ 、 原 則 的 に 全 員 参 加 の イ ベ ン ト と さ れ て い た 。 こ の 中 で 最 も 大 規 模 な も の が 屋 上 ビ ヤ パ ー テ ィ で あ っ た 。 そ れ ま で 毎 年 行 わ れ て い た 組 合 ( 当 時 は 職 員 会 ) 主 催 の ビ ヤ パ ー テ ィ が 無 く な り 、 そ れ で は 我 が 部 だ け で も と 細 々 と 始 め た パ ー テ ィ で あ っ た が 、 回 を 重 ね た 昭 和 六 十 年 頃 に は 所 内 的 に も 知 ら れ る よ う に な っ て 、 参 加 人 数 が ふ く れ あ が り 、 七 十 人 以 上 も の 規 模 と な っ た 。 主 催 者 側 の 我 々 は 開 催 当 日 朝 か ら 晩 ま で そ の 準 備 、 片 付 け に て ん や わ ん や で あ っ た 。 し か し 、 所 内 的 に は 筑 波 支 所 の 大 規 模 な ビ ヤ パ ー テ ィ な ど が 行 わ れ る よ う に な っ て 、 五 十 号 屋 上 の ビ ヤ パ ー テ ィ は 徐 々 に 元 の 内 輪 だ け の ア ッ ト ホ ー ム な 形 に 戻 り 、 ほ ぼ 毎 年 行 わ れ て き た 。 お で ん に 関 し て は 、 そ の 調 理 法 は N 氏 や O 氏 が ほ ぼ 完 全 に 会 得 し 、I 氏 退 官 後 も 何 度 か 食 べ る こ と が で き た が 、 最 近 で は 飲 み 会 が あ っ て も あ ま り 手 間 の か か ら な い 物 で 済 ま せ て し ま う 傾 向 で 、 あ の 懐 か し い お で ん を 食 べ ら れ な く な っ た の は 残 念 で あ る 。 し か し 、 幸 い な こ と に 筑 波 移 転 後 も 五 十 号 庁 舎 だ け は 残 留 す る こ と に な り 、 我 々 も 業 務 の 一 部 を こ の 庁 舎 で 行 う 計 画 に な っ て い る の で 、 目 黒 に 職 員 が 集 ま る よ う な 機 会 が あ れ ば 、 再 び 五 十 号 庁 舎 で の お で ん パ ー テ ィ や 屋 上 ビ ヤ パ ー テ ィ を 小 規 模 な が ら で も 再 現 し た い と 、 心 密 か に 願 っ て い る 。 ( 環 境 性 能 研 究 部 ) 屋 上 ソ フ ト ボ ー ル 、 テ ニ ス の 思 い 出 田 中 秀 雄 あ の 懐 か し い 防 衛 庁 の 広 大 な 池 を 望 む 材 試 地 区 五 十 号 庁 舎 の 屋 上 、 俗 に い う 「池 向 こ う 」 の ク リ ー プ 庁 舎 の 、 高 さ 二 メ ー ト ル ほ ど の 金 網 を 張 り 巡 ら し た 屋 上 が 材 試 地 区 唯 一 の 運 動 場 で あ っ た 。 広 さ は 十 数 メ ー ト ル 四 方 程 度 で 、 で こ ぼ こ の コ ン ク リ ー ト 地 で あ る の で 本 格 的 な ス ポ ー ツ は 望 む べ く も な い 。 で あ る か ら 、 ス ポ ー ツ に 真 剣 に 取 り 組 も う と す る 諸 氏 は 本 所 へ 出 か け て い き 、 野 球 や テ ニ ス や バ レ ー ボ ー ル や 卓 球 等 々 の 練 習 に 日 々 い そ し ん だ の で あ る 。 し か し な が ら 、 ス ポ ー ツ は 嫌 い で は な い が 、 団 体 活 動 が 苦 手 、 練 習 が 嫌 い 、 果 て は 本 所 ま で 出 か け て い く の が 面 倒 く さ い と い う 横 着 も の が 昼 休 み 時 間 を 持 て 余 し 、 一 人 、 二 人 と 屋 上 に 集 ま り だ し 、 ゲ ー ム 感 覚 で 運 動 を 始 め た の で あ る 。 こ の 屋 上 の 運 動 場 と し て の 歴 史 は 古 く 、 二 十 数 年 前 に 二 、 三 人 で キ ャ ッ チ ボ ー ル を 始 め た の が 始 ま り で あ り 、 そ の 後 、 集 ま る 人 数 や 季 節 や 流 行 な ど に よ り 出 し 物 が 変 わ り 、 こ れ ま で に 野 球 、 バ ト ミ ン ト ン 、 テ ニ ポ ン 、 ゴ ル フ 、 バ レ ー ボ ー ル 、 ソ フ ト ボ ー ル 、 そ し て 硬 式 テ ニ ス と 、 記 憶 し て い る だ け で こ れ だ け の 球 技 を 楽 し ん だ 。 他 人 が み る と 、 と て も そ の 球 技 を し て い る と は 思 え な い も の も あ り 、 い ず れ も う し ろ に 「 の よ う な も の 」 と 付 け る 必 要 が あ る が 。 狭 く て 、 荒 れ た コ ン ク リ ー ト 地 の 屋 上 で あ る た め 、 膝 痛 や 打 ち 身 な ど の け が が 絶 え な か っ た が 、 屋 上 な ら で は の ル ー ル を 設 け 、 新 し い ゲ ー ム 感 覚 で 結 構 楽 し ん だ 。 こ れ ま で に 親 し ま れ た 沢 山 の 球 技 の 中 で 、 最 も 盛 ん に 、 ま た 長 い 間 行 わ れ た の は 、 や は り ソ フ ト ボ ー ル で あ ろ う 。 四 人 集 ま る と 、 無 謀 に も 二 対 二 に 分 か れ て 試 合 を す る の で あ る 。 逆 に 人 数 が 多 い と き に は 狭 い 屋 上 に 人 が あ ふ れ 、 全 員 が 参 加 で き ず 交 代 制 と な る 。 三 角 ベ ー ス で 試 合 を す る の で あ る が 、 金 網 の 外 へ 打 ち 出 す と チ ェ ン ジ だ と か 、 金 網 の 一 角 に ホ ー ム ラ ン ゾ ー ン を 設 け る な ど 試 合 を 進 め る う ち に い ろ ん な 特 別 ル ー ル が で き て い っ た 。 こ こ で は 、 バ ッ ト の 芯 で と ら え た ラ イ ナ ー ( 金 網 で の ク ッ シ ョ ン の 処 理 に よ り 一 塁 で ア ウ ト に な る 場 合 が し ば し ば あ る ) よ り 、 当 た り そ こ ね の 滞 空 時 間 の 長 い 打 球 が 金 網 に ぶ つ か る ( 長 打 に な る ) 方 が ナ イ ス バ ッ テ ィ ン グ と な り 、 優 秀 な 野 球 部 員 が 活 躍 で き る と は 限 ら な い の で あ る 。 こ こ で の ポ テ ン ヒ ッ ト 打 ち の 特 訓 の か い あ っ て か 、 所 内 の ソ フ ト ボ ー フ 大 会 で は 、 旧 ク リ ー プ 部 は 常 勝 チ ー ム と し て 恐 れ ら れ た も の で あ る 。 ソ フ ト ボ ー ル 大 会 の 優 勝 に 飽 き た 我 々 は 、 次 に テ ニ ス の 制 覇 に 乗 り 出 し た 。 相 変 わ ら ず 、 〝練 習 は 邪 道 〟 と 考 え て い る た め 、 二 、 三 人 集 ま る と す ぐ に 試 合 を 始 め る 。 フ ォ ー ム よ り も セ オ リ ー よ り も マ ナ ー よ り も 、 試 合 に 勝 つ こ と だ け に 専 念 す る 。 試 合 中 に 罵 声 が 飛 び 交 う こ と も し ば し ば で あ る 。 当 初 は ネ ッ ト の 代 わ り に 紐 を 真 ん 中 に 張 っ て 試 合 を 進 め た た め 、 ボ ー ル が 紐 の 上 を 通 過 し た か 、 下 を 通 過 し た か わ か ら ず 、 よ く も め た も の で あ る 。 屋 上 の 広 さ が コ ー ト 一 面 分 も な い た め 、 テ ニ ス の 場 合 に お い て も 種 々 の 特 別 ル ー ル を 考 え 出 し た 。 試 合 を し て い る 様 は 、 硬 式 テ ニ ス ラ ケ ッ ト と 硬 式 テ ニ ス ボ ー ル を 使 っ た 卓 球 か バ ト ミ ン ト ン を 想 像 し て い た だ け れ ば よ い ( 想 像 で き ま せ ん か ?) 。 屋 上 で の テ ニ ス ( の よ う な も の ) に な れ た と こ ろ で 、 い よ い よ 所 内 テ ニ ス 大 会 に 望 ん だ 。 ソ フ ト ボ ー ル 大 会 同 様 、 と は い か ず 、 テ ニ ス で は 何 年 た っ て も 勝 て な か っ た 。 至 近 距 離 か ら の 打 ち 合 い に は な れ て い る が 、 コ ー ト の 広 さ に つ い て い け ず 、 ま た 悲 し い か な 基 本 が 全 く で き て い な い た め 、 テ ニ ス 部 員 に 翻 弄 さ れ て し ま う の で あ る 。 そ れ で も 、 「 屋 上 で や れ ば 我 々 の 方 が 強 い ん だ 」 と 負 け 惜 し み だ け は 忘 れ て い な い 。 実 は 現 在 ( こ の 原 稿 は 材 試 地 区 の つ く ば 移 転 前 に 書 い て い る ) 、 屋 上 テ ニ ス メ ン バ ー は 本 所 の つ く ば 移 転 に よ り 空 い た テ ニ ス コ ー ト で 本 当 の ( ? ) 硬 式 テ ニ ス に 取 り 組 ん で い る 。 と い っ て も 、 我 流 の 卓 球 打 ち や ゴ ル フ 打 ち で は あ る が 。 そ の お も し ろ さ に 熱 中 し 、 も う 少 し 早 く 、 二 十 歳 代 か 、 せ め て 三 十 歳 代 に 始 め て い れ ば 少 し は 上 達 で き 、 も っ と ラ リ ー の 続 く テ ニ ス が 楽 し め た の に と 、 ほ ん の ち ょ っ ぴ り 後 悔 し て い る 。 毎 日 の よ う に 通 っ た 屋 上 、 こ れ ま で に 床 や 金 網 を 何 回 も 補 修 し な が ら も 運 動 の 場 を 与 え て く れ た 屋 上 、 ま た あ る と き に は ビ ヤ パ ー テ ィ 会 場 と も な り 楽 し ま せ て く れ た 屋 上 、 青 春 時 代 を 過 ご し た 屋 上 、 人 間 同 様 ロ ー ト ル 化 し て き た 屋 上 、 つ く ば へ の 移 転 と と も に 〝 さ よ な ら 〟 で あ る 。 ( 環 境 性 能 研 究 部 ) 守 衛 所 昼 行 燈 福 薗 栄 蔵 春 う ら ゝ か な 日 で あ っ た 。 私 は 、 表 の 水 道 口 で モ ッ プ を 洗 っ て い た 。 満 開 の 桜 は 我 が 世 の 春 も こ れ っ き り よ 、 と で も 告 げ て い る よ う に 、 風 も な い の に は ら は ら と 散 っ て い る 。 け れ ど も そ の 様 は す ざ ま し い 自 然 の 摂 理 を 訴 え て い る よ う に も 私 に は 見 ら れ た 。 日 曜 日 で 研 究 所 の 大 門 は 閉 め て あ っ た 。 す る と い つ の 間 に 其 処 に 見 え た の か 、 ふ と 小 門 の 処 に 佇 っ て い る 一 人 の 老 人 に 気 が つ い た 。 ど ん な ゲ テ モ ノ を 口 に し て も 身 に 付 い て 三 度 の 食 事 も 二 度 に し て い る こ の 躯 に 比 し て 、 ど ん な ご 馳 走 も す べ て 素 通 り し て い く の で は な い か と 思 わ れ る ほ ど そ の 身 は 細 く 長 身 で あ っ た 。 元 来 、 ど ん な 衣 服 を 着 け て も 張 り 子 の 案 山 子 と 自 認 し て 服 飾 な ど 無 関 心 な 私 の 眼 に も 、 そ の 装 い や 物 腰 か ら 矢 張 り そ れ な り の 人 と 私 の 眼 に は 映 っ た 。 そ し て 、 何 か 用 あ り 気 な の を 知 る と 、 「何 か ご 用 で し ょ う か ? 」 と 訊 か ず に は い ら れ な か っ た 。 初 め 私 は 、 こ の 界 隈 に 住 む ご 老 人 が 暇 に あ か せ て 、 で き る も の な ら 手 近 に あ る 桜 見 で も ― ― と 酒 落 込 ん で 来 た の で は と 思 っ て い た 。 す る と ご 老 人 は い と も 落 着 い た 顔 で 、 「 う む 、 昔 こ こ の 処 に 大 き な 土 手 が あ り ま し た ね … … 」 そ れ ら し き 方 向 を 指 さ し な が ら お っ し ゃ る 。 こ れ は ま た 異 な 事 を 耳 に す る も の だ と 思 い な が ら 、 「 は い 、 あ り ま し た 」 私 も つ い お だ や か な ご 老 人 の 口 調 に 合 わ せ て 言 っ た 。 す る と ご 老 人 も 私 の 合 槌 に 納 得 し た 様 子 で 、 「 そ の 土 手 に 、 大 き な 桜 の 木 が 植 わ っ て い た で し ょ う … … 」 と お っ し ゃ る ご 老 人 の 唇 は 満 足 そ う に ほ こ ろ ん で い た 。 そ の 土 手 が 在 っ て 桜 の 大 木 が 美 事 な 花 を つ け て い た の を 知 る 人 も 、 今 は 昔 で 少 な い こ と だ ろ う 。 「 は い は い 。 毎 年 き れ い な 花 を 咲 か せ て 、 ほ ん と に 眼 の 保 養 に な り ま し た 」 か つ て の 花 盛 り を 知 っ て い る だ け に 、 つ い 私 も 心 を 開 い て い た 。 花 の 命 は 短 く て ― ― と い う け れ ど 、 あ っ け な く 散 る 桜 の 花 に 人 の 世 の 浮 き 沈 み を 重 ね 、 そ の 見 事 な 花 ゆ え に 不 思 議 と 心 の 奥 底 を え ぐ ら れ る 人 だ っ て あ る こ と だ ろ う 。 朝 夕 、 そ の 光 景 に な れ 親 し ん で い る 凡 人 に は こ と さ ら 感 懐 も わ か な い け れ ど も 、 ご 老 人 の 語 る 故 事 来 歴 に 忘 れ て い た 昔 の 絵 の よ う な 画 影 が 頭 の 中 に よ み が え っ て い た 。 す る と そ の ご 老 人 も 私 の 表 情 か ら や っ と 納 得 が い っ た と み え て 、 刻 み の 深 い 顔 を 子 供 の よ う に な ご ま せ る と 、 「 あ の 桜 の 木 は ね 、 ボ ク の 親 父 が 昭 和 の 初 め に 植 え た ん で す よ 」 と 解 説 し て く れ た の だ っ た 。 な る ほ ど 、 そ う だ っ た の か ! と 私 は 胸 の 中 で 眼 が 覚 め た よ う に 小 膝 を ポ ン と 叩 い て い た 。 話 は き い て み な い と わ か ら な い も の 。 名 残 り 惜 し そ う に そ う お っ し ゃ っ た も の の 世 の 流 れ に 洗 わ れ て 、 土 手 も な け れ ば 桜 の 木 も 無 い 。 そ の 後 に は し ょ う し ゃ な 建 物 が 威 風 を 張 っ て い る の だ 。 「折 角 の と こ ろ を お 生 憎 さ ま で …… 」 と 言 い た い と こ ろ を 私 は 胸 に た た ん だ 。 当 時 軍 医 中 将 で 、 共 済 病 院 長 で あ っ た と の こ と 、 今 見 る 御 老 体 の 御 尊 父 さ ま と あ れ ば 、 そ の 植 樹 の 主 も 早 や 現 世 の 人 で は な い だ ろ う 。 世 が 世 で あ れ ば 守 衛 風 情 に 声 な ど か け る よ う な ご 仁 で も あ る ま い 。 そ れ に し て も 今 対 面 し て い る 貧 相 な 男 が 、 遠 い 外 地 で 奉 公 し 九 死 に 一 生 を 得 て 還 っ た 兵 隊 の は し く れ で あ ろ う な ど と は 、 よ も や ご 存 じ あ る ま い と つ か ぬ こ と を 思 い な が ら 、 「 ち ょ っ と そ の 辺 り ま で … … 」 中 の 方 を 見 せ て く れ ― ― と い う 仕 種 に 、 「 ど う ぞ 、 ど う ぞ 」 と 言 い な が ら 、 杖 を 引 い て や っ と 歩 い て 行 く そ の 後 姿 を 、 私 は し ば し 追 っ て い た 。 「 ち ょ っ と お 訊 ね し ま す が … … 」 と そ の 人 は 私 に た ず ね た 。 此 処 で 働 い て い る の だ か ら 此 の 辺 の 事 情 に は 詳 し い だ ろ う と の 憶 測 か ら で あ ろ う 。 家 と 仕 事 場 を 往 復 す る だ け の 伝 書 鳩 み た い な 存 在 の 私 で は あ る が 、 「 は い な ん で し ょ う ? 」 と 、 私 も 軽 く 応 じ て い た 。 「 こ こ ら 辺 に 病 院 が あ る は ず で す が ね … … 」 そ の 装 い か ら 見 て 今 病 院 を 抜 け 出 し て 来 た ば か り 、 と い っ た 恰 好 で あ る 。 病 院 で の 寝 間 着 に し て い る の で あ ろ う か 格 子 縞 の 浴 衣 に ス リ ッ パ を つ つ か け て い た 。 彼 の す ぐ 後 ろ に 屛 風 の よ う に 突 っ 立 っ て い る 建 物 が 自 分 が 現 在 入 院 し て い る 病 院 で あ る こ と に 気 付 か な い と こ ろ を み る と 、 何 か 突 発 事 情 で ど こ か 遠 い 処 か ら 来 な け れ ば な ら な か っ た 患 者 で あ ろ う 。 自 分 が 入 院 し た 病 院 名 も 知 ら な い の だ 。 年 の 頃 は 四 十 歳 前 後 と 見 た け れ ど 、 も っ と 若 い 人 か も し れ な い 。 ま し て 、 ま だ ボ ケ る 歳 で も な い の だ 。 い ず れ に し て も こ の 界 隈 の 人 で な い こ と だ け は た し か だ ろ う 。 だ か ら と い っ て 笑 っ て す ま さ れ る 事 柄 で も な い 。 若 し も 私 が 相 手 の 立 場 で あ っ た と し た ら 、 矢 張 り す が る 思 い で 同 じ よ う な 訊 ね 方 を す る の で は あ る ま い か 。 す る と そ の 人 は 、 こ ち ら が ま だ 彼 の 真 意 が 通 じ て い な い と で も 思 っ た の か 、 「 あ の … … 女 性 歌 手 の × × さ ん が 入 院 し て い る 病 院 で す け ど ね … 」 彼 は ふ と そ の 女 性 歌 手 の 名 を 想 い 出 し た 様 子 で 、 こ れ だ け 言 っ て も ま だ 分 ら な い か 、 と い っ た 口 吻 で あ る 。 け れ ど も そ の 歌 手 は 、 平 生 私 に は 興 味 の な い 人 で は あ っ た 。 す る と そ の 人 は 、 有 名 な 女 性 歌 手 に あ や か っ て 入 院 し た の だ ろ う か ? ま さ か こ の せ わ し い 世 の 中 に そ ん な 物 好 き も あ る ま い 、 と 思 い な が ら 私 は 、 「 そ の 病 院 は こ の 建 物 で す よ 。 こ こ を ち よ っ と 行 っ て 左 に 曲 る と す ぐ 玄 関 が 見 え ま す … … 」 そ う 教 え る と 、 納 得 し た の か 急 に 踵 を 返 し て い た 。 そ し て 、 そ れ な ら そ う だ と さ い 初 か ら 、 言 え は ス ッ ト ン ト ン で … … つ い 私 の 口 か ら 戯 れ 唄 が こ ぼ れ て い た 。 振 り 返 れ ば そ の 頃 、 ま だ 戦 後 の い え な い 傷 痕 は あ ち こ ち に 暗 影 を 落 し て い た 。 そ の 冷 た い 巷 に 流 浪 の 身 を な ぜ か 暖 か い 手 で 拾 い 上 げ て く れ た 奇 特 な 先 輩 、 そ し て 波 瀾 に ま み れ た 過 去 を 互 い に 吐 露 し 、 苦 楽 を 共 に し て き た 親 し い 人 も 、 呼 べ ど 応 え ぬ 遠 い 人 と な っ て し ま っ た 。 金 研 に お 世 話 に な っ て 三 十 有 余 年 、 今 や 人 生 の 残 り 火 も 消 え な ん と す る の を 皆 様 の 情 に す が り つ い て 、 体 の あ ち こ ち の 故 障 に 水 油 を さ し な が ら む ち 打 っ て い る と こ ろ で す 。 大 勢 で に ぎ わ っ て い た 頃 は ま だ よ か っ た け れ ど も 、 廃 虚 と な っ た 跡 の 寂 寥 感 は ま た 一 入 の も の が あ り ま す 。 荒 れ 庭 や 老 い る わ が 身 の 姿 か な 守 衛 所 は 金 研 の 貌 だ か ら し っ か り と … … 上 司 の 懇 切 な 言 葉 に「 は い 、 わ か り ま し た 」 と 調 子 の よ い 返 事 は す る も の の 所 詮 カ ラ 返 事 。 鍬 や 鎌 を と れ ば 人 後 に 落 ち な い が 、 お 書 物 な ど 全 く 無 縁 の や か ら で は 鈍 い こ と で も ま た 天 下 一 品 の 口 で あ ろ う 。 ま し て や 仕 事 柄 多 勢 の 顔 と 名 前 を 覚 え な け れ ば な ら な い 。 そ の 顔 と 名 前 と が 容 易 に 一 致 し な い の が く や し い 。 す る と 、 厳 し い 軍 隊 の 規 律 を そ の ま ま 持 ち 込 ん だ よ う な 大 先 輩 た ち の 雷 が 落 ち て く る 。 そ れ で も 一 家 を 支 え る 飯 の 種 と あ れ ば 、 ど ん な 屈 辱 に も た え な け れ ば な ら な い の だ 。 今 更 や っ と 糊 口 を し の い で い た 親 た ち を せ め て も せ ん な い こ と 、 せ め て 戦 場 か ら の 生 還 を 一 陽 来 復 と し な け れ ば な る ま い 。 若 干 満 十 五 歳 に し て 郷 の 青 年 式 を 終 え 、 社 会 人 と し て の 日 常 の 仕 来 り 、 ま た 長 幼 の 序 を 厳 し く 叩 き 込 ま れ 、 そ の 道 に 外 れ れ ば 墓 石 も の で あ っ た 。 「 も し も し 、 ど ち ら へ お い で で す か 」 傍 若 無 人 に 門 の 前 を 通 り 抜 け て 行 こ う と す る 若 い 外 来 者 に 私 が 問 う と 、 「○ ○ 新 聞 ! 」 と 、 突 っ け ん ど ん で あ る 。 ぶ ん 屋 と は そ ん な に 肩 ひ じ 張 ら な い と 威 厳 が 保 て な い と で も 思 っ て い る の だ ろ う か 。 そ う か と 思 う と あ る 昼 下 り 、 ピ カ ピ カ の 外 車 が す ー っ と 門 を 入 っ て 止 ま っ た 。 大 会 社 の お 客 さ ん で あ る こ と は 電 話 連 絡 で 知 っ て い た 。 「連 絡 つ い て ま す か ら ど う ぞ ! 」 守 衛 が 大 声 で 言 う の も き か ず 、 一 人 の 紳 士 が 小 雨 の 中 を 小 走 り に 来 る と 、 「 い や 、 此 処 に 記 帳 す る こ と に な っ て お り ま す か ら … … 」 と そ の 言 葉 ま で が 丁 重 で あ っ た 。 さ ぁ す が ぁ 大 会 社 の え ら い さ ん だ と 思 い な が ら 、 下 る ほ ど 人 の 見 上 げ る 藤 の 花 ち と 古 い か な 。 誰 の 作 句 か は 知 ら な い け れ ど 、 ふ と 私 の 頭 に う か ん で い た 。 昼 行 燈 ― ― と は 誰 あ ろ う 私 自 身 の こ と で あ る 。 こ れ ほ ど 物 覚 え が 悪 く 忘 れ っ ぽ く て は 、 近 頃 い っ そ う ひ ど く な っ た よ う な 気 が す る 。 そ れ で も 「 ノ ー タ リ ン 」 よ り は ま だ 「 昼 行 燈 」 の 方 が 諧 謔 的 で 私 に は 好 ま し く 感 じ ら れ る の だ が 、 無 粋 こ の 上 な し と 一 笑 さ れ る の が お ち か も し れ な い 。 ( 材 料 試 験 事 務 所 ) 目 黒 の 雑 草 松 島 志 延 一 九 八 六 年 六 月 二 日 か ら ほ ぼ 一 年 に わ た っ て 、 金 材 技 研 目 黒 地 区 に 自 生 す る 雑 草 を 調 べ た 。 と い っ て も 大 げ さ な こ と で は な く 、 昼 休 み に カ メ ラ を ぶ ら 下 げ て 所 内 の あ ち こ ち を 歩 き 回 り 、 花 が 咲 い て い る 雑 草 を 見 か け る と 写 真 に 撮 っ た だ け で あ る 。 樹 木 や 栽 培 植 物 は 対 象 と し な か っ た の で 、 「 職 場 の 花 」 に は 違 い な い が 地 味 な も の が 多 い 。殆 ど の 花 が 所 内 の 至 る 所 に 咲 い て お り 、 ご く 普 通 に 見 か け る も の ば か り な の に 、 名 前 が 分 っ た も の だ け で 、 表 に ま と め た 百 三 十 九 種 が あ っ た 。 他 に 、 写 真 は 撮 っ た が 名 前 が 分 ら な い も の 、 別 種 か ど う か 判 定 出 来 な い も の な ど が あ る の で 、 少 な く と も 百 六 十 種 程 の 雑 草 が 成 育 し て い る と 思 わ れ る 。 約 一 万 二 千 坪 と い う 面 積 で 、 か な り の 部 分 が 建 物 や 通 路 で あ る に し て は 植 物 相 の 豊 か な 土 地 と い え る 。 以 下 に 、 雑 草 に 焦 点 を 当 て た 目 黒 の 四 季 を 追 っ て み た い 。雑 草 の 春 は 、 日 だ ま り に オ オ イ ヌ ノ フ グ リ ( 写 真 1 ) が 青 い 花 を 咲 か せ る と 始 る 。 こ れ が 一 月 下 旬 で 、 二 月 初 め に は た ん ぽ ぽ も 咲 き 始 め る 。 金 材 技 研 の 敷 地 に は 、 都 会 で は め ず ら し く な っ た カ ン ト ウ タ ン ポ ポ も 残 っ て い る し 、 百 キ ロ プ ラ ン ト の 前 に は シ ロ バ ナ タ ン ポ ポ も 咲 く 。 た ん ぽ ぽ は 秋 ま で 花 を 見 か け る が 、 春 以 外 に 咲 く の は セ イ ヨ ウ タ ン ポ ポ で 、 萼 が 下 に 反 り 返 っ て い る の で す ぐ 分 る 。三 月 も 半 ば を 過 ぎ る と 、 目 黒 川 の 土 手 は オ オ ア ラ セ イ ト ウ ( 花 大 根 写 真 2 ) で 覆 わ れ る 。 目 立 た な い が 、 そ ち こ ち に ハ コ ベ の 仲 間 が 五 種 類 も あ っ た 。 ス ミ レ の 仲 間 も 五 種 類 を 確 認 し た が 、 こ れ は 旧 工 業 化 の 建 物 の 周 囲 に 多 か っ た 。 春 に 咲 く す み れ の 花 は 実 を 結 ば ず 、 夏 の 終 わ り に も う 一 度 目 立 た な い 花 を 咲 か せ て 実 を 付 け る の が ス ミ レ の 仲 間 の 特 徴 で あ る 。 桜 も 葉 桜 に な り 、 ゴ ー ル デ ン ウ イ ー ク か ら 六 月 に か け て 雑 草 達 の 花 盛 り と な る 。 特 に 1 4 号 庁 舎 の 裏 の 土 手 は 、 ま る で 花 園 で あ る 。 ノ ア ザ ミ ( 写 真 3 ) 、 キ キ ョ ウ ソ ウ ( 写 真 4 ) 、 ニ ワ ゼ キ シ ョ ウ 、 オ ニ タ ビ ラ コ 等 が 咲 き 乱 れ 、 蜜 を 集 め る 虫 た ち の 天 国 と な る 。 守 衛 所 か ら 2 4 号 へ の 中 央 通 路 の 右 側 の 土 手 は よ く 手 入 れ さ れ て は い る が 、 そ れ で も 、 シ ロ ツ メ ク サ 、 ア カ ツ メ ク サ 、 コ メ ツ ブ ツ メ ク サ ( 写 真 5 ) と 三 色 の ク ロ ー バ ー が 咲 き そ ろ う 。 ま た 、 こ の 土 手 の 2 4 号 に 近 い 方 に 一 ヵ 所 だ け ホ タ ル ブ ル ロ が 咲 く 。 所 内 の あ ち こ ち に ド ク ダ ミ が 白 い 花 を 咲 か せ る 頃 、 芝 生 に は ネ ジ バ ナ が 咲 く 。 ネ ジ バ ナ の 花 の 一 つ ひ と つ を 拡 大 鏡 で 見 る と カ ト レ ア さ な が ら で 、 間 違 い な く 蘭 科 の 花 で あ る こ と が 分 か る 。 ヒ メ コ バ ン ソ ウ 、 ス ズ メ ノ テ ッ ポ ウ 、 ス ズ メ ノ ヤ リ 、 カ ラ ス ム ギ 、 イ ヌ ム ギ 、 ネ ズ ミ ム ギ 等 も し っ か り 花 を 咲 か せ て い る 。 梅 雨 に な る と 、 ツ ユ ク サ が 咲 き 始 め る 。 六 月 ご ろ は 朝 だ け 咲 い て 十 一 時 頃 に は し ぼ ん で い る が 、 夏 に な る と 午 後 ま で 咲 い て い る よ う に な る 。 白 い 花 を さ か せ る ト キ ワ ツ ユ ク サ も あ っ た が 、 こ れ は 誰 か が 植 え た の が 野 草 化 し た の か も し れ な い 。 金 属 材 料 技 術 研 究 所 目 黒 地 区 の 雑 草 2月~4月 オ オ イ ヌ ノ フ グ リ 、 ホ ト ケ ノ ザ 、 カ ン ト ウ タ ン ポ ポ 、 ナ ズ ナ 、 セ イ ヨ ウ タ ン ポ ポ 、 タ チ ツ ボ ス ミ レ 、 ハ コ ベ 、 カ ラ ス ノ エ ン ド ウ 、 オ オ ア ラ セ イ ト ウ 、 ヒ メ オ ド リ コ ソ ウ 、 ス ギ ナ 、 フ キ 、 キ ラ ン ソ ウ 、 ハ ル ノ ゲ シ 、 ス ズ メ ノ ヤ リ 、 ス ミ レ 、 ノ ミ ノ ツ ヅ リ 、 シ ロ バ ナ タ ン ポ ポ 、 キ ュ ウ リ グ サ 、 タ チ イ ヌ ノ フ グ リ 、 マ ル バ ス ミ レ 、 ヒ メ ス ミ レ 、 オ ラ ン ダ ミ ミ ナ グ サ 、 ミ ミ ナ グ サ 、 ハ ル ジ オ ン 、 ウ シ ハ コ ベ 、 ノ ジ ス ミ レ 、 コ ウ ゾ リ ナ 、 ヤ エ ム グ ラ 、 カ ス マ グ サ 、 ハ ハ コ グ サ 、 チ チ コ グ サ モ ド キ 、 イ ヌ ガ ラ シ 、 カ タ バ ミ 、 チ ガ ヤ 、 ト キ ワ ハ ゼ 、 ジ シ バ リ 、 ト ウ バ ナ 、 サ ギ ゴ ケ 、 コ メ ツ ブ ツ メ ク サ 、 ヤ ブ ジ ラ ミ 5月~6月 ニ ワ ゼ キ シ ョ ウ 、 ニ ガ ナ 、 ア カ ツ メ ク サ 、 イ ヌ ム ギ 、 ネ ズ ミ ム ギ 、 タ チ チ チ コ グ サ 、 ヒ メ コ バ ン ソ ウ 、 ノ ア ザ ミ 、 カ ラ ス ム ギ 、 コ ナ ス ビ 、 ト キ ワ ツ ユ ク サ 、 ア メ リ カ セ ン ダ ン グ サ 、 ム ラ サ キ カ タ バ ミ 、 ド ク ダ ミ 、 ハ キ ダ メ ギ ク 、 コ ヒ ル ガ オ 、 シ ロ ツ メ ク サ 、 ノ ビ ル 、 ホ タ ル ブ ク ロ 、 マ メ グ ン バ イ ナ ズ ナ 、 イ ヌ ホ オ ズ キ 、 ス ズ メ ノ カ タ ビ ラ 、 ヒ メ ヨ ツ バ ム グ ラ 、 キ キ ョ ウ ソ ウ 、 メ キ シ コ マ ン ネ ン グ サ 、 ギ シ ギ シ 、 カ モ ジ グ サ 、 ノ ブ ド ウ 、 マ マ コ ノ シ リ ヌ グ イ 、 カ モ ガ ヤ 、 ツ メ ク サ 、 オ オ バ コ 、 オ オ マ ツ ヨ イ グ サ 、 ネ ジ バ ナ 、 ス ズ メ ノ テ ッ ポ ウ 、 ツ ユ ク サ 、 マ ル バ マ ン ネ ン グ サ 7月~8月 ヤ ブ カ ラ シ 、 ヨ ウ シ ュ ノ ヤ マ ゴ ボ ウ 、 エ ノ コ ロ グ サ 、 ヘ ク ソ カ ズ ラ 、 タ ケ ニ グ サ 、 オ ヒ シ バ 、 ヤ ブ マ オ 、 メ ヒ シ バ 、 カ ヤ ツ リ グ サ 、 ミ ズ ヒ キ 、 ヒ メ ヤ ブ ラ ン 、 カ ラ ス ビ シ ャ ク 、 イ ヌ タ デ 、 ク ズ 、 オ オ ニ シ キ ソ ウ 、 キ ツ ネ ノ マ ゴ 、 イ ヌ ビ エ 、 ヒ ル ガ オ 、 ク サ タ バ コ 、 ヤ マ ノ イ モ 、 ツ ル ボ 、 イ ノ コ ヅ チ 、 ブ タ ク サ 、 コ ウ ゾ リ ナ 、 ヒ メ ジ オ ン 、 ス ベ リ ヒ ユ 、 チ チ コ グ サ 、 ヒ メ ム カ シ ヨ モ ギ 、 ヨ モ ギ 9月~10月 シ マ ス ズ メ ノ ヒ エ 、 タ チ チ チ コ グ サ 、 エ ノ キ グ サ 、 ヒ ヨ ド リ ジ ョ ウ ゴ 、 ス ス キ 、 チ カ ラ シ バ 、 ア メ リ カ イ ヌ ホ オ ズ キ 、 イ タ ド リ 、 カ ナ ム グ ラ 、 シ ャ ク チ リ ソ バ 、 オ オ イ ヌ タ デ 、 ク ワ ク サ 、 カ ラ ス ウ リ 、 ジ ュ ズ ダ マ 、 タ カ ア ザ ミ 、 セ ン ニ ン ソ ウ 、 チ ヂ ミ ザ サ 、 ア ブ ラ ス ス キ 、 タ カ サ ブ ロ ウ 、 コ ブ ナ グ サ 、 ア カ ザ 、 セ イ タ カ ア ワ ダ チ ソ ウ 、 エ ゴ マ 、 コ ミ カ ン ソ ウ 、 コ メ ヒ シ バ 、 キ ン エ ノ コ ロ 、 ヌ カ キ ビ 、 ア キ ノ ゲ シ 、 ダ ン ド ボ ロ ギ ク 、 ヌ ス ビ ト ハ ギ 、 コ セ ン ダ ン グ サ 梅 雨 明 け か ら 八 月 に か け て は 意 外 に 野 草 の 花 が 少 な い 季 節 で あ る 。 ヘ ク ソ ガ ズ ラ ( 写 真 6 ) 、 ヤ ブ カ ラ シ 、 ク ズ 、 ヒ ル ガ オ な ど の 蔓 草 が 花 を 咲 か せ る 。 手 入 れ の い い 橋 本 庭 園 に も 、 ツ ル ボ や ヒ メ ヤ ブ ラ ン ( 写 真 7 ) が ひ っ そ り と 咲 く 。 ま た 、 橋 本 庭 園 で 赤 い き の こ が 直 径 二 メ ー ト ル く ら い の 円 状 に 生 え 、 こ れ が フ ェ ア リ ー リ ン グ か と 感 激 し た 。 九 月 に は い る と 、 残 暑 が 激 し く て も ス ス キ な ど の 秋 の 写真1オオイヌノフグリ 写真2ハナダイコン 写真3 ノアザミ 写真4キキョウソウ 写真5 コメツブツメクサ 写真6ヘクソカズラ 写真7ヒメヤプラン 写真8シャクチリソバ 写真9タカサブロウ 写真10ヒヨドリジョウゴ 草 が 花 を 付 け 始 め る 。 カ ナ ム グ ラ と シ ャ ク チ リ ソ バ ( 写 真 8 ) が 目 黒 川 の 土 手 を 埋 め つ く す 。 シ ャ ク チ リ ソ バ は 、 比 較 的 新 し い 帰 化 植 物 で あ る が 、 他 に も 帰 化 植 物 が 多 く 、 表 の 植 物 の う ち 約 二 十 六 % が 帰 化 植 物 で あ る 。 金 材 技 研 の 敷 地 内 に は 湿 っ た 場 所 が 少 な い が 、 図 書 室 の 裏 の 土 手 に 畳 一 枚 ほ ど の じ く じ く し た と こ ろ が あ る 。 こ こ に は 秋 に は タ カ サ ブ ロ ウ ( 写 真 9 ) と か 、 春 に は サ ギ ゴ ケ と か 田 ん ぼ の 畔 に 生 え る 草 が 見 ら れ る 。 十 一 月 に 入 っ て ヒ ヨ ド リ ジ ョ ウ ゴ ( 写 真 1 0 ) や カ ラ ス ウ リ が 実 を 付 け る 頃 に は 枯 草 が 目 立 ち 始 め 、 ア メ リ カ セ ン ダ ン グ サ や ア キ ノ ゲ シ が 未 練 が ま し く 花 を 付 け た ま ま 、 冬 を 迎 え る 。 雑 草 ば か り で な く 、 木 々 も 四 季 の 移 り 変 わ り に 従 っ て 変 化 す る 。 左 の 写 真 は 3 0 号 庁 舎 の 前 に あ っ た ケ ヤ キ の 四 季 で あ る 。 こ の 木 は 四 月 中 旬 ( 一 九 八 七 年) に 枝 を バ ッ サ リ 切 ら れ て し ま っ た の で 、 芽 吹 き 頃 の 写 真 が 取 れ な か っ た 。 し か し 、 移 転 の 頃 に は も う 見 事 に 繁 っ て い て 安 心 し た 。 ( 第 四 研 究 グ ル ー プ ) 3月 6月 10月 11月 目 黒 で 観 察 し た 鳥 千 葉 実 野 鳥 に 興 味 を も っ た き っ か け は 、 構 内 で 部 分 白 化 の ス ズ メ を 見 た こ と だ 。 そ れ か ら い ろ ん な 鳥 を 見 る よ う に な っ て き た 。 日 本 で は 五 百 数 十 種 、 約 六 百 種 近 く の 鳥 が 今 ま で 観 察 さ れ て い る 。 無 論 、 そ の 中 に は 日 本 が 本 来 の 分 布 域 に 含 ま れ て い な い た め に 僅 か 数 回 し か 観 察 さ れ て い な い も の や 、 コ ウ ノ ト リ 、 小 笠 原 に 住 ん で い た オ ガ サ ワ ラ ガ ビ チ ョ ウ 、 オ ガ サ ワ ラ マ シ コ な ど の よ う に 既 に 絶 滅 し た も の や 、 ト キ の よ う に 絶 滅 に 瀕 し て い る も の も 多 く 含 ま れ て い る 。ま た 、 狩 猟 の た め に 導 入 さ れ た コ ジ ュ ケ イ や 、 本 来 は 飼 い 鳥 と し て 持 ち 込 ま れ た が 逃 げ だ し て 自 然 で 繁 殖 す る よ う に な っ た ワ カ ケ ホ ン セ イ イ ン コ の よ う な 鳥 も あ る 。 目 黒 の 旧 本 所 は 都 心 に 位 置 し て い る の で こ の よ う な 籠 抜 け の 飼 い 鳥 を 目 に す る 機 会 も 多 く 、 セ キ セ イ イ ン コ 等 を 見 た こ と も あ る 。 我 々 が 比 較 的 簡 単 に 、 と は い っ て も 或 る 程 度 は 自 然 の な か に 足 を 運 ば な け れ ば な ら な い が 、 百 数 十 種 類 ぐ ら い は 観 察 で き る 。 朝 夕 の 通 勤 時 、 昼 の 休 憩 時 間 位 し か 観 察 で き な か っ た が 、 目 黒 の 旧 本 所 構 内 で 約 三 十 種 類 の 鳥 を 観 察 で き た の は ま ず ま ず と 思 わ れ る 。 都 心 に あ っ た と は い え 、 周 り に は 白 金 の 自 然 教 育 園 、 筑 波 に 移 っ て し ま っ た 林 業 試 験 所 、 目 黒 不 動 尊 な ど が あ り 、 現 在 は 都 内 の 名 所 、 ガ ー デ ン プ レ イ ス に 変 身 し た 恵 比 寿 の ビ ー ル 工 場 で 使 わ れ て い た 三 田 用 水 が 近 く を 流 れ て お り 、 自 然 が ま だ 比 較 的 多 く 残 っ て い た 。 又 、 悪 名 高 い 目 黒 川 も 傍 を 流 れ て い る 。 ま だ 下 水 道 が 完 備 し て い な か っ た 時 代 に は 、 流 れ る 厨 芥 を 目 当 て に ユ リ カ モ メ の 大 群 が 水 面 を 乱 舞 し て い た 。 ユ リ カ モ メ の 頭 が 黒 く な る の を 見 て 、 季 節 が 移 り 、 繁 殖 の た め に そ ろ そ ろ 北 国 に 帰 る 季 節 が 来 た こ と を 知 っ た 。 ト ビ も 、 厨 芥 を 目 当 て に し て 目 黒 川 の 上 を 舞 っ て い る の が よ く 見 ら れ た 。 す る と 、 カ ラ ス が 集 ま っ て ト ビ に モ ビ ン グ を 仕 掛 け る の が 常 だ っ た 。 あ る 日 、 カ ラ ス が 大 騒 ぎ を し て い た の で 、 あ あ 、 又 や っ て い る な 、 と 見 上 げ る と 、 ト ビ よ り も ず っ と 大 型 の 猛 禽 が カ ラ ス の 群 れ に モ ビ ン グ さ れ て い た 。 そ れ は シ ロ ハ ラ ウ ミ ワ シ だ っ た 。 蛇 で も 捕 ま え て 下 げ て い る の か と 見 え た の は 足 に 着 け ら れ た 赤 い 紐 で 、 飼 鳥 の 籠 抜 け で あ る の は 確 か だ っ た 。 数 日 間 見 る こ と が 出 来 た が ど こ か へ 飛 び 去 っ て し ま っ た 。 は た し て 本 来 の 棲 息 地 の 東 南 ア ジ ア ま で 帰 り 着 け た だ ろ う か 。イ ソ ヒ ヨ ド リ は 海 浜 の 鳥 だ が 、 目 黒 川 沿 い の 土 地 で 何 度 か 見 た 。 多 分 、 目 黒 川 を 伝 わ っ て 登 っ て き た の だ ろ う 。 防 衛 庁 の 構 内 に は 実 験 池 が 二 つ あ り 、 初 代 の 守 衛 長 だ っ た 橋 本 さ ん は オ シ ド リ も 来 て い た と 言 っ て い た が 、 私 は コ ガ モ し か 見 て い な い 。 自 然 教 育 園 に は 冬 季 に は オ シ ド リ が 沢 山 い た の で 、 そ れ ら が 飛 来 し て い た こ と は 十 分 に 考 え ら れ る 。 し か し 、 残 念 な が ら 自 然 教 育 園 で も 傍 を 高 速 道 路 が 通 る よ う に な っ て か ら は 数 が め っ き り 少 な く な っ て し ま っ た 。 大 池 で は 、 夏 に な る と カ イ ツ ブ リ の 浮 き 巣 が 見 ら れ 、 「 キ リ キ リ 」 と い う 囀 り が 聞 か れ た 。 冬 に は カ ワ ウ の 頭 が 浮 き 沈 み し て お り 、 カ ル ガ モ の 群 れ が そ の 縁 で 翅 を 休 め て い た が 、 残 念 な が ら 防 衛 庁 の 庁 舎 の 建 設 の た め に 二 つ と も 埋 め ら れ て し ま っ た 。 日 本 最 大 の サ ギ の ア オ サ ギ が 上 空 を 飛 ぶ の を 見 た こ と も 再 々 だ っ た 。 夏 に な る と 帰 宅 す る 時 間 に 薄 明 り の 空 を 、 夜 鴉 の 異 名 の よ う に 「 ク ア ッ 、 ク ァ ッ 」 と 鳴 き な が ら ゴ イ サ ギ の 群 れ が は ば た く の も 見 た 。 秋 か ら 冬 に か け て は 、 モ ズ が 木 の 頂 上 で 高 鳴 き を し 、 ジ ョ ウ ビ タ キ が 棚 の 上 に 止 ま っ て 頭 を 上 下 さ せ て 挨 拶 を し 、 ハ ク セ キ レ イ が 路 上 で 忙 し げ に 何 か を 拾 っ て 歩 き 、 草 叢 で は ツ グ ミ が 胸 を 張 っ て 立 っ て お り 、 カ ワ ラ ヒ ワ の 群 れ が 立 ち 枯 れ の 草 の 実 に 飛 び 付 い て い た 。 以 前 に は 、 春 に な る と コ ジ ュ ケ イ が 人 を 呼 び 、 ウ グ イ ス が 春 を 告 げ て い た が 、 近 来 は め っ き り 少 な く な っ て し ま っ た 。 管 理 庁 舎 の 裏 の 傾 斜 地 は 風 が 当 た ら ず 、 暖 か い の で 、 サ ク ラ が 他 よ り も ず っ と 早 く 咲 く の が 常 だ っ た 。 そ の 花 を 狙 っ て 、 本 来 は ス リ ラ ン カ な ど に 住 ん で い る は ず の 鳥 で 、 近 年 東 京 西 部 で 籠 抜 け で 殖 え て き た ワ カ ケ ホ ン セ イ イ ン コ が 来 る よ う に な っ て き た 。 メ ジ ロ が ツ バ キ の 花 の 蜜 を 狙 っ て 集 ま り 、 シ ジ ュ ウ カ ラ が 巣 立 ち 雛 を 引 き つ れ て い る の も 春 だ 。 夏 に は 、 ツ バ メ が 雛 に 飛 行 訓 練 を し て い る の が よ く 見 ら れ た 。 秋 の 渡 り の 季 節 に は 鳥 の 移 動 の 経 路 に な っ て い た よ う で 、 事 故 に あ っ た ト ラ ツ グ ミ 、 オ オ ル リ を 拾 っ た こ と も あ っ た 。 都 市 の 常 と し て 、 キ ジ バ ト 、 ヒ ヨ ド リ 、 ム ク ド リ 、 ド バ ト 、 オ ナ ガ 、 ハ シ ボ ソ ガ ラ ス 、 ハ シ ブ ト ガ ラ ス 等 の い わ ゆ る 都 市 鳥 が 多 か っ た 。 カ ラ ス が 高 圧 線 に 触 れ て 停 電 事 故 を 起 こ し た こ と や 、 工 場 に ド バ ト が 入 っ て 糞 害 を 起 こ し た こ と な ど も あ っ た 。 近 年 、 都 内 で 見 ら れ る よ う に な っ た 日 本 で 最 小 の キ ツ ツ キ の コ ゲ ラ を 、 二 、 三 度 見 た こ と が あ る 。 久 し ぶ り に 、 全 面 移 転 で 誰 も い な く な っ た 旧 本 所 を 訪 れ て み た 。 行 く 途 中 で 目 黒 川 を 覗 い た 。 相 変 わ ら ず 水 量 は 少 な か っ た が 、 珍 し く 水 が 澄 ん で い た 。 旧 本 所 の 反 対 側 の 遊 歩 道 は ほ ぼ 完 成 し て い た 。 そ こ か ら 川 を 覗 く と コ ガ モ が 沢 山 い た 。 相 変 わ ら ず カ ル ガ モ も い た が 、 コ ガ モ に 比 べ る と ず っ と 少 な か っ た 。 ム ク ド リ 、 キ ジ バ ト 、 ツ グ ミ な ど も い た 。 旧 本 所 の 構 内 は 建 物 は そ の ま ま だ っ た が 、 窓 に は 明 か り が 見 ら れ な か っ た 。 無 論 、 人 影 も な く 、 撤 去 作 業 の 人 た ち だ け が 動 い て い た 。 旧 管 理 庁 舎 の 裏 で は 早 咲 き サ ク ラ が ひ っ そ り と 咲 い て い た 。 ス イ セ ン 、 ボ ケ 、 シ ロ ジ ン チ ョ ウ ゲ な ど も 、 見 る 人 も い な い の に 咲 い て い た 。 静 け さ の 中 で ツ グ ミ 、 ム ク ド リ 、 キ ジ バ ト 、 ヒ ヨ ド リ 、 オ ナ ガ 、 シ ジ ュ ウ カ ラ な ど お 馴 染 み の 連 中 が 飛 び 回 っ て い た 。 春 に な っ た こ と を 知 ら せ る よ う に 、 顔 を 黒 く 染 め た ア オ ジ も 遊 ん で い た 。 藪 で は ウ グ イ ス が 地 鳴 き を し て い た 。 ま だ 囀 る に は 季 節 が 早 い の だ ろ う か 。 夕 方 だ っ た せ い か 、 ス ズ メ は 枝 に 止 ま っ て ひ っ そ り と し て い た 。 あ れ ほ ど 沢 山 い た カ ラ ス 、 ド バ ト は 見 ら れ な か っ た 。 彼 ら に は 人 が 居 る ほ う が 却 っ て 過 ご し や す い の か も し れ な い 。跡 地 は ど の よ う に 利 用 さ れ る の だ ろ う か 。 出 来 れ ば 都 心 の オ ア シ ス と し て 野 鳥 が 暮 ら せ る 様 な 形 に な れ ば と 思 っ て 帰 っ て き た 。 ( 反 応 制 御 研 究 部 S 3 2 ・4 ・1 ~ H 5 ・ 3 ・3 1 ) 界 隈 今 昔 内 田 信 之 金 材 技 研 に 通 い 始 め て 、 こ の 道 は 以 前 は ど ん な だ っ た の だ ろ う 、 こ こ に は 何 が 在 っ た の だ ろ う と そ ん な こ と を 思 い な が ら 、 毎 日 歩 い て 来 ま し た 。 そ の 土 地 の 昔 の こ と を 知 る に は そ の 土 地 の 名 前 が 、 と て も 大 切 で す 。 金 材 技 研 の 在 る 、 こ こ 中 目 黒 と い う 地 名 は 、 幸 い に 住 所 表 示 で 変 え ら れ る こ と も 無 く 、 江 戸 初 期 に 出 来 た 中 目 黒 村 以 来 そ の 名 を 残 し て く れ て い ま す 。 「 目 黒 区 中 目 黒 」 、 こ の 目 黒 と い う 地 名 に は 、① 目 黒 不 動 説 、 ② 地 形 説 ( メ は 凹 ん で 欠 け た 穴 、 ク ロ は ク ラ の 転 訛 で 谷 間 の 意 ) 、 ③ 愛 驪 説 ( メ は 可 愛 い と か 優 れ た 、 ク ロ は 驪 で 黒 い 色 の 馬 、 牧 場 で 有 っ て 良 馬 が い た 意 ) 、 ④ 馬 畔 説 ( メ は 馬 、 ク ロ は 畔 で 馬 牧 の 周 囲 の 畔 道 の 意 ) 、 ⑤ 盲 神 説 ( こ の 土 地 の 神 様 は メ ク ラ 神 と い う 眼 病 の 神 様 な の で メ ク ラ の 転 訛 ) の 五 説 が あ っ て 定 説 は 無 い よ う で す が 、 馬 に 関 係 あ る こ と は 確 か ら し い で す 。 そ の 外 中 目 黒 の 小 字 で あ っ た 田 道 や 中 里 の 名 も 田 道 小 学 校 や 目 黒 川 の 田 道 橋 、 中 里 橋 に 残 っ て い ま す 。 目 黒 川 は 、 こ の 辺 り で は 北 と 南 か ら こ れ を 挟 む 台 地 の 間 を 流 れ て い る の で こ の 台 地 に は 多 く の 坂 が 見 受 け ら れ ま す 。 金 材 技 研 の 周 辺 を 見 廻 し て も 南 の 台 地 、 祐 天 寺 方 面 か ら 降 り る 坂 に 、 け こ ろ 坂 、 な べ こ ろ 坂 、 馬 喰 坂 が あ り ま す し 、 北 の 台 地 、 恵 比 寿 、 三 田 方 面 か ら 降 り る 坂 に は 、 新 道 坂 、 別 所 坂 、 茶 屋 坂 が あ り ま す 。 坂 は 、 道 の 一 部 で あ り 、 道 は 生 活 の た め 、 商 売 の た め 、 あ る い は 時 に 戦 の た め に 人 が 古 く か ら 通 っ た 訳 で す か ら 、 色 々 な 話 が 残 さ れ て い ま す し 、 ま た 人 と の 係 わ り 合 い を 伝 え て い る と い う 意 味 で 、 坂 は 様 々 に 思 い 廻 ら し な が ら 歩 く の に 楽 し い 処 で す 。 恵 比 寿 駅 か ら 金 材 技 研 へ 歩 い て 来 ま す と 、 恵 比 寿 三 の 十 一 の 合 同 宿 舎 の 所 か ら だ ら だ ら 坂 を 上 り ま す 。 そ の 角 に 「道 し る べ 石 」 が 小 屋 の 中 に 立 っ て い て 、 正 面 に 南 無 阿 弥 陀 佛 の 文 字 と そ の 左 に 良 く 見 え ま せ ん が 「左 不 動 尊浮世絵の目黒新富士 ミ ち 」 右 脇 に 「右 ゆ う て ん 寺 道 」 と 刻 ま れ 、 右 側 面 に は 「安 永 八 亥 秊 」 ( 一 七 七 九) と 造 立 の 時 が 明 ら か で す 。 当 時 は 殆 ん ど 人 家 も 疎 ら で あ っ た で あ ろ う こ の 辺 り で 、 旅 の 安 全 へ の 祈 り を 籠 め て 二 つ の 江 戸 名 所 へ の 道 を 教 え て い た 事 に な り ま す 。 恵 比 寿 三 の 九 と 十 の 間 を 上 る こ の 坂 は 、 坂 名 を 中 山 坂 と い い 、 其 の 謂 は 、 こ の 坂 に 沿 っ て 中 山 勘 右 衛 門 と 言 う 人 の 屋 敷 が 在 っ た か ら と さ れ て い ま す が 、 坂 の 途 中 右 側 に は 馬 頭 観 音 が 祀 ら れ て い ま す 。 こ の 馬 頭 観 音 堂 の 前 に 立 て ら れ て い る 渋 谷 区 教 育 委 員 会 の 標 示 板 を 見 ま す と 、 享 保 四 年 ( 一 七 一 九) に 与 右 衛 門 と い う 人 が 当 時 流 行 し た 悪 病 の 退 散 を 馬 頭 観 音 に 祈 り 、 そ の 御 礼 と し て 石 で 観 音 を 作 っ て 祀 っ た と 書 か れ て い ま す 。 馬 頭 観 音 は 、 そ の 頭 上 の 馬 か ら の 連 想 で 、 馬 の 供 養 や 無 病 息 災 を 祈 る 信 仰 の 対 象 と な り 農 村 地 方 で 良 く 見 受 け ら れ ま す が 、 本 来 は 慈 悲 で 教 化 し 難 い 衆 生 を 救 お う と す る 四 面 八 臂 、 忿 怒 の 形 相 の 佛 様 で す 。 堂 内 の 像 は 幕 で 隠 れ て い て 、 像 容 を 拝 む 事 は 出 来 ま せ ん が 、 光 背 型 の 坐 像 で 延 享 三 年 ( 一 七 四 六 ) の 銘 が 在 る と の こ と 、 こ の 観 音 堂 の 裏 で 今 も そ の お 守 り を し て い る お 家 に は こ の 観 音 の 縁 起 が 伝 え ら れ て い る そ う で す か ら 、 標 示 板 の 話 も そ れ に よ る も の と 思 わ れ ま す 。 標 示 板 に は 、 こ の 外 に こ の 辺 を 原 と い っ た と 書 か れ て い ま す が 、 今 の 町 名 は 恵 比 寿 南 で 、 そ の 外 恵 比 寿 西 と い う 町 名 も 出 来 て い ま す 。 「恵 比 寿 」 と い う の は 、 明 治 二 十 年 に 設 立 さ れ た 日 本 麦 酒 醸 造 会 社 が 、 目 黒 の 三 田 に 工 場 を 置 き 、 翌 二 十 一 年 製 造 開 始 と 共 に そ の 製 品 を 「 エ ビ ス ビ ー ル 」 と 命 名 、 明 治 三 十 四 年 に は エ ビ ス ビ ー ル の 専 用 貨 物 積 降 場 が 恵 比 寿 停 車 場 ( 当 時 は 今 よ り も っ と 目 黒 寄 り ) と し て そ の 名 が 駅 名 と な り 、 更 に 町 名 に も な っ た も の で 珍 ら し い ケ ー ス の よ う で す 。 余 談 で す が 、 明 治 二 十 年 八 月 東 京 府 知 事 に 提 出 さ れ た 日 本 麦 酒 醸 造 会 社 創 立 願 書 と い う の を 見 ま す と 、 当 時 の 我 が 国 の ビ ー ル の 消 費 量 の 急 激 な 増 加 と 、 そ の 輸 入 に よ る 貨 弊 の 流 出 を 憂 え 、 且 つ 、 美 味 な る 国 産 ビ ー ル の 無 い こ と を 嘆 く と い う 中 々 調 子 の 高 い も の で す が 、 こ れ に 対 す る 府 知 事 の 回 答 と い う の は 、 「会 社 設 立 ノ 儀 ハ 会 社 条 例 制 定 迄 人 民 ノ 相 対 ニ 任 セ 候 条 其 旨 可 相 心 得 事 」 と い う 誠 に 百 年 前 の 時 代 を 偲 ば せ る も の で す 。 新 し く 実 施 さ れ た 住 居 表 示 と い う の は 、 味 も 素 っ 気 も 無 い 便 利 一 本 槍 の 地 名 を あ ち こ ち に 作 っ て し ま っ て い る の で 残 念 で な り ま せ ん が 、 恵 比 寿 南 三 丁 目 辺 も 以 前 は 原 町 と い い 、 更 に 古 く は 鎗 ヶ 崎 と 言 っ た そ う で 、 こ れ は 此 の 辺 の 突 出 し た 台 地 の 形 か ら 呼 ば れ た も の と も い い ま す 。中 山 坂 を 直 進 す る と 突 当 り に 別 所 坂 の 降 り 口 が 見 え ま す 。 坂 上 の 中 目 黒 一 丁 目 側 の 一 画 に 樹 木 に 囲 ま れ た 小 堂 が 有 り 、 中 に は 庚 申 塔 が 六 基 安 置 さ れ て い ま す 。 庚 申 の 夜 に は 人 間 の 体 の 中 に 住 む 三 尸 虫 と い う 虫 が 、 人 が 眠 る と 体 か ら 脱 け 出 し て 天 に 昇 り 、 天 帝 に そ の 人 の 罪 を 告 げ て 命 を 取 ら せ る と い う 道 教 の 守 庚 申 と 習 合 し た と さ れ る 庚 申 信 仰 は 、 こ の 目 黒 に も 広 く 行 わ れ た よ う で 、 そ の 夜 は 米 や 野 菜 を 持 ち 寄 り 、 当 番 の 家 で 徹 夜 で 語 り 明 か し た そ う で す 。 こ れ は 三 尸 虫 が 脱 け 出 さ な い よ う に 眠 ら な い と い う こ と と 、 皆 が 集 ま っ て 楽 し む と い う こ と が う ま く 結 び つ い た も の で 庚 申 講 流 行 の 一 因 と も 言 わ れ ま す 。 こ の 庚 申 堂 は 、 文 政 十 一 年 ( 一 八 二 八) に 幕 府 が 編 纂 し た 地 誌 に も 記 録 さ れ て い る も の ( 現 在 の お 堂 は 明 治 二 十 四 年 及 び 昭 和 五 年 の 修 築 ) で 、 堂 内 は 暗 く て は っ き り し ま せ ん が 、 前 列 の 三 基 は 左 か ら 元 禄 元 年 ( 一 六 八 八) 延 宝 八 年 ( 一 六 八 〇) 、 享 保 元 年 ( 一 七 一 六) の 年 号 が 見 ら れ 、 ま た 両 端 の も の に は 庚 申 信 仰 の 本 尊 と さ れ る 青 面 金 剛 像 と 其 の 下 に 申 か ら 猿 に つ な が っ た 「 不 レ 見 レ 不 聞 レ 不 レ 言 」 の 三 猿 が 浮 彫 り に さ れ て い ま す 。 左 端 の 青 面 金 剛 像 が 胸 に 掛 け て い る 瓔 珞 ( 首 、 腕 か ざ り ) は 、 摩 滅 し て い ま す が 髑 髏 を 三 個 繫 い だ も の で 経 典 に 言 う と お り の 珍 ら し い も の で す 。 ち な み に 目 黒 区 内 に 今 で も 残 る 庚 申 塔 は 七 十 五 基 を 数 え る と い い ま す 。 庚 申 堂 の 処 に は 昭 和 の 初 年 迄 古 い 松 が 在 っ た そ う で す が 、 今 在 る 樹 の う ち で も 太 い 欅 は 目 通 り 二 米 以 上 も あ り 、 晴 れ た 日 に も ほ の 暗 い 樹 陰 を 作 り 、 そ こ か ら 続 い て 坂 の 上 に 枝 を 張 り 出 し て い る 樹 々 と 共 に 、 こ の 坂 道 を 極 め て 味 わ い 深 い も の に し て い ま す 。 こ の 坂 道 は 、 坂 沿 い の お 家 の 草 木 が 季 節 の 折 折 に 目 を 楽 し ま せ て く れ ま す が 、 冬 枯 れ の 時 に は 、 す っ か り 葉 を 落 し た 梢 に 烏 瓜 の 赤 い 実 が 鮮 や か な 彩 を 見 せ て い ま す 。 別 所 坂 の 「 別 所 」 と い う 名 は 、 こ の ほ か 目 黒 川 を 跨 ぐ 東 横 線 路 よ り 一 つ 上 手 に 架 す る 別 所 橋 に あ り 、 ま た 上 目 黒 一 の 八 あ た り に 明 治 十 一 年 迄 在 っ た と い う ミ ニ 富 士 山 が 別 所 富 士 と 呼 ば れ た そ う で す か ら 、 中 目 黒 一 丁 目 か ら 上 目 黒 一 丁 目 に か け て 一 帯 の 相 当 広 い 地 域 の 称 と 思 わ れ ま す 。 そ の 謂 は 、 新 し く 開 か れ た 開 懇 地 の 意 と 言 い ま す が 、 そ の ほ か 古 く 浮 囚 の 徒 を 隔 離 し た 地 と も 、 あ る い は 宗 教 関 係 の 意 味 が あ る と も い わ れ ま す 。 こ の 坂 は 降 り る 時 は 良 く て も 、 昇 る に は 中 々 辛 い 急 坂 で す が 、 こ の よ う な 急 坂 に 付 け ら れ た 名 と し て は 、 そ の 特 徴 か ら 胸 突 坂 ( 千 代 田 区 駿 河 台 、 文 京 区 関 口 二 丁 目 等 ) と か 、 神 社 の 表 階 段 等 の 男 坂 ( 芝 愛 宕 神 社 、 湯 島 天 神 等 ) と 呼 ば れ て い る の が あ り ま す 。 別 所 坂 を 降 り る と 道 は 目 黒 川 の 田 楽 橋 へ と 続 き ま す が 、 こ こ で も う 一 つ 伝 え ら れ る 話 に 、 坂 上 の 国 際 電 電 ( 株) 研 究 所 の 場 所 に 在 っ た と 言 う ミ ニ 富 士 山 と そ こ を 舞 台 に 起 っ た 殺 人 事 件 が あ り ま す 。 此 の 電 々 研 入 口 の 栅 の 内 側 に 目 黒 区 教 育 委 員 会 の 立 て た 「 目 黒 新 富 士 跡 」 の 標 示 板 が 在 る の で お 読 み に な っ た 方 も 多 い と 思 い ま す 。 こ の 目 黒 新 富 士 と い う の は 、 こ の 土 地 に 邸 を 持 っ て い た 旗 本 近 藤 重 蔵 の 邸 内 に 文 政 二 年 ( 一 八 一 九) 、 当 時 盛 行 し た 富 士 講 の 人 々 に よ っ て 築 か れ た も の で 、 高 さ は 十 五 米 あ っ た と い い ま す 。 昭 和 三 十 四 年 迄 は 僅 か な が ら 形 が 認 め ら れ た そ う で す が 、 今 で は 広 重 の 浮 世 絵 「 名 所 江 戸 百 景 」 の 内 の 目 黒 新 富 士 ( 写 真 ) で 偲 ぶ ほ か あ り ま せ ん 。 眺 望 の す ぐ れ た こ の 新 富 士 は 、 富 士 講 中 の 参 拝 だ け で は な く 目 黒 不 動 や 祐 天 寺 と 合 せ て 江 戸 市 民 の 目 黒 行 楽 コ ー ス と し て 、 大 い に 喜 ば れ た よ う で す 。 こ の 新 富 士 は 、 前 記 上 目 黒 の 富 士 を 元 富 士 、 西 富 士 と 呼 ん だ の に 対 し て 、 新 富 士 、 東 富 士 、 近 藤 富 士 、 鎗 ヶ 崎 富 士 と も 呼 ば れ 、 山 腹 に 置 か れ て い た 三 つ の 石 ( 写 真 右 か ら( 一) 烏 帽 子 岩 、 ( 二) 近 藤 重 蔵 が 蝦 夷 か ら 持 ち 帰 っ た 楠 の 化 石 と 伝 え る も の で 小 御 嶽 と 刻 す 、 ( 三) 文 政 二 年 新 富 士 築 造 を 示 す 南 無 妙 法 蓮 華 経 の 題 目 碑 ) が 、 今 は こ の 電 々 研 構 内 東 隅 に 置 か れ て 唯 一 の 名 残 り と な っ て い ま す 。 こ の 新 富 士 の 眺 め が 良 か っ た 事 は 、 今 で も こ の 電 々 研 構 内 の 外 れ か ら 南 を 望 む と 充 分 察 せ ら れ ま す し 、 一 段 下 の 別 所 坂 児 童 遊 園 か ら 見 て も そ れ は 偲 ば れ ま す 。 近 藤 重 蔵 守 重 と い う 人 は 、 数 回 に わ た り 千 島 方 面 を 探 険 し 、 択 捉 島 に 「大 日 本 恵 土 呂 府 」 の 木 標 を 立 て る 等 、 北 辺 の 防 備 開 拓 に 尽 く し ま し た が 、 素 行 修 ま ら ず と も 在 勤 中 不 正 の 振 舞 あ り と も 言 わ れ 、 書 物 奉 行 か ら 大 阪 御 弓 奉 行 に 左 遷 さ れ 、 の ち 更 に 小 普 譜 入 り ( 免 職 無 役 ) と な り ま し た 。 重 蔵 は こ の 新 富 士 に 自 分 の 甲 胄 姿 の 石 像 を 置 い た と い い ま す 。 そ の も の か ど う か 判 り ま せ ん が 、 谷 文 晁 に 描 い て 貰 っ た 姿 絵 を 元 に 刻 ま せ 、 あ る い は 自 ら 刻 ん だ と も 伝 え ら れ る 矢 張 り 甲 胄 姿 の 石 像 が 、 北 区 滝 野 川 二 丁 目 の 正 受 院 に 今 も 見 る 事 が 出 来 ま す 。 こ の 新 富 士 で 起 き た 事 件 と い い ま す の は 、 近 藤 重 蔵 と そ の 隣 家 で 元 は 重 蔵 邸 地 の 持 主 で あ っ た 塚 越 半 之 助 と の 間 の 紛 争 に よ る も の で 、 原 因 を 簡 単 に 言 い ま す と 、 新 富 士 が 出 来 て 多 く の 人 が 訪 れ る よ う に な っ た た め 、 こ れ ら の 人 達 を 相 手 に 商 売 が 出 来 る よ う に な り 、 そ れ に 関 係 し て の 土 地 の 利 用 問 題 で し た が 、 そ の 争 い が 拗 れ 遂 に 文 政 九 年 ( 一 八 二 六) 五 月 十 八 日 の 夜 、 近 藤 重 蔵 の 息 子 富 蔵 と 家 来 が 、 塚 越 半 之 助 夫 婦 と そ の 長 男 夫 婦 の 四 名 を 斬 殺 し 、 更 に 二 名 を 傷 つ け る と い う 事 件 に な り ま し た 。 こ の 事 件 に 対 す る 幕 府 評 定 所 の 判 決 は 、 近 藤 富 蔵 は 八 丈 島 に 遠 島 、 家 来 は 江 戸 追 放 、 重 蔵 は 息 子 の 監 督 不 行 届 、 家 事 不 取 締 と い う こ と で 近 江 国 ( 滋 賀 県 ) 大 溝 藩 に お 預 け と い う も の で 、 こ れ で 一 件 落 着 と な り ま し た 。 後 日 譚 を 付 け 加 え ま す と 、 重 蔵 は 江 戸 に 戻 る 事 無 く 文 政 十 二 年 ( 一 八 二 九) に お 預 け 中 の ま ま 五 十 九 才 で 病 没 し て い ま す が 、 息 子 の 富 蔵 は 八 丈 島 で 宇 喜 田 秀 家 ( 豊 臣 五 大 老 の 一 人 、 関 ヶ 原 の 戦 で 敗 れ 八 丈 島 に 配 流 と な り 、 そ こ で 没 ) の 末 裔 に 連 が る 娘 と 結 婚 し 、 明 治 十 三 年 赦 さ れ て 東 京 に 帰 り ま し た が 、 再 び 自 ら 希 望 し て 八 丈 島 に 渡 り 、 明 治 二 十 年 八 十 二 才 で 現 地 で 亡 く な っ て い ま す 。 富 蔵 は 、 犯 し た 殺 傷 を 悔 い 、 在 島 中 仏 教 に 帰 依 し て 勉 強 に 励 み 、 島 の 人 達 の 信 頼 も 厚 か っ た そ う で す が 、 そ の 筆 に な る 「 八 丈 実 記 」 は 八 丈 島 の 風 土 、 文 化 に 関 す る 総 合 記 録 と し て 今 で は 欠 く 事 の 出 来 な い 貴 重 な 文 献 と さ れ て い ま す 。 ( 庶 務 課 ) ( ざ い け んN o.53 か ら 転 載 ) 新 富 士 の 山 腹 に 置 か れ て い た 三 つ の 石 ( 電 々 研 構 内 東 隅) 恵 比 寿 駅 前 二 人 の 恵 比 寿 打 越 哲 郎 、 中 山 幸 枝 「 わ か っ た わ 。 じ ゃ 、 日 曜 日 の 十 一 時 に い つ も の フ ァ ー ス ト フ ー ド ① の 二 階 ね 」 少 し 不 機 嫌 そ う に 、 み さ 子 は 電 話 を 切 っ た 。 「 誕 生 日 な の に … … 」 み さ 子 は 、 証 券 会 社 に 勤 め る O L だ っ た 。 恋 人 の 伸 昭 は 、 中 目 黒 に あ る 大 き な 病 院 の 裏 の 地 味 な 研 究 所 ② に 勤 め て い た 。 そ の 理 由 も あ っ て 、 出 会 っ て 半 年 後 く ら い に 、 「今 度 、 恵 比 寿 を 案 内 す る よ 。 け っ こ う い い 店 が あ る ん だ 」 と 、 伸 昭 が 言 っ た の が 、 恵 比 寿 に 行 く き っ か け だ っ た 。 は じ め は 、 そ の 言 葉 が 少 し う れ し か っ た 。 ど ん な と こ ろ に 連 れ て っ て く れ る の か し ら 。 代 官 山 も 近 い し お し ゃ れ な 店 が け っ こ う あ る こ と く ら いH anako で 知 っ て い た し 、 美 味 し い ケ ー キ 屋 さ ん や フ ラ ン ス 料 理 の お 店 だ っ て チ ェ ッ ク し て い た 。 そ れ 以 来 、 二 人 が 会 う の は 決 ま っ て 恵 比 寿 だ っ た 。 伸 昭 は 、 恵 比 寿 交 差 点 角 に あ る ケ ー キ 屋 さ ん ③ や 、 駒 沢 通 り を 代 官 山 方 面 に 少 し 歩 い た 地 中 海 料 理 の 店 ④ や 、 ヒ ル サ イ ド テ ラ ス に あ る イ タ リ ア 料 理 店 ⑤ に 連 れ て っ て く れ た 。そ れ が 、 つ き あ っ て 一 年 く ら い た っ た 頃 か ら 、 伸 昭 と の デ ー ト は い つ も 決 ま っ て ラ ー メ ン 店 か 居 酒 屋 に な っ た 。 ガ ー デ ン ・ プ レ イ ス ⑥ だ っ て ま だ 一 度 も 行 っ て い な い 。 み さ 子 に は 、 そ れ が 不 満 だ っ た 。 は じ め は 、 激 辛 ラ ー メ ン⑦ も 美 味 し か っ た り 、 焼 き 鳥 ⑧ だ っ て 嫌 い じ ゃ な い け れ ど 。 「 フ ラ ン ス 料 理 ⑨ だ っ て 、 カ ン ボ ジ ア 料 理 ⑩ だ っ て 、 腹 に 入 っ ち ゃ え ば 何 だ っ て 同 じ さ 。 体 内 に 吸 収 さ れ る と き に は 、 ブ ド ウ 糖 に 分 解 さ れ る ん だ 」 い つ も 伸 昭 は 、 そ ん な 理 屈 め い た こ と を 言 う 。 「給 料 安 い か ら さ ぁ 」 が 、 最 近 の 伸 昭 の 口 癖 だ っ た 。 み さ 子 は 一 度 、 伸 昭 の ア パ ー ト に 行 っ た こ と が あ る 。 会 員 制 の ク ラ ブ ⑪ だ と か い う 建 物 の 横 の 急 な 坂 を 下 り 、 病 院 の 横 の 路 地 を 入 っ た と こ ろ の 、 二 階 建 て の ア パ ー ト の 三 畳 一 間 の 部 屋 。 そ れ は 、 確 か に 今 に も 目 黒 川 に の ま れ そ う な 、 家 賃 の 安 そ う な ア パ ー ト だ っ た 。 「 こ の 前 、 そ の 角 に あ っ た 中 華 料 理 店 が 雨 で 流 さ れ ち ゃ っ た ん だ ぜ 」 伸 昭 は 、 笑 っ て 言 っ て い た 。 そ れ で も 、 以 前 は 給 料 日 に は い ろ い ろ な と こ ろ に 連 れ て っ て く れ た の に 。 み さ 子 は 、 友 だ ち の 麻 里 に 相 談 し た こ と が あ っ た 。 「 そ れ っ て 、 見 込 み な い っ て こ と じ ゃ な い ? ほ ら 、 男 っ て 、 興 味 の な い 女 の 子 に は お 金 か け な い っ て 言 う し 」 電 話 の 声 の 妙 な そ っ け な さ が 悲 し か っ た 。 そ れ 以 来 、 そ の 言 葉 が 心 の ど こ か で 気 に な っ て い た 。 「今 度 の 誕 生 日 、 ど こ か に 行 き た い の …… 」 日 曜 日 の デ ー ト を 誘 っ た の は 、 み さ 子 の 方 だ っ た 。 女 の 子 に と っ て 誕 生 日 が 特 別 な 日 だ っ て こ と く ら い 、 ど ん な に 鈍 感 な 男 だ っ て 知 っ て い る 。 ど こ に 連 れ て 行 っ て く 代 官 山 駅 れ る か で 、 み さ 子 は 試 す つ も り だ っ た 。 待 ち 合 わ せ の 場 所 だ っ て ち ょ っ と は 期 待 し て い た 。 そ れ が 、 恵 比 寿 駅 の 見 お ろ せ る フ ァ ー ス ト フ ー ド だ な ん て 。 い や な 予 感 が し て 、 み さ 子 は 注 意 深 く 服 を 選 ん だ 。 「 や ぁ 、 お 待 た せ 」 待 ち 合 わ せ の 時 間 に 、 伸 昭 は 少 し 遅 れ て や っ て き た 。 「 お れ 、 腹 減 っ ち ゃ っ た 。 ち ょ っ と 早 い け ど 、 こ こ で 昼 メ シ す ま せ ち ゃ お う ぜ 」 「 や っ ぱ り … … 」 悪 い 予 感 が 当 た っ て い る こ と を 、 み さ 子 は 確 信 し た 。 店 を 出 る と 、 伸 昭 は 代 官 山 方 面 に 向 か っ て 歩 き 出 し た 。 い つ も 行 列 の で き て い る ラ ー メ ン 店 ⑫ 、 向 か い の 寿 司 店 ⑬ 、 見 慣 れ た 景 色 は 変 わ ら な い け れ ど 、 二 人 の 気 持 ち は 変 わ っ て し ま っ た の か も し れ な い 。 ま た 、 悲 し い 気 持 ち が こ み あ げ て き た 。 伸 昭 と 行 っ た い ろ い ろ な 場 所 が 、 目 の 前 を 通 り 過 ぎ て 行 く 。 田 舎 屋 風 の 造 り の 信 州 そ ば 店 ⑭ 、 白 と 黒 の バ イ ク が 可 愛 い 小 路 の ア イ ス ク リ ー ム 店 ⑮ 。 「 そ う だ 、 テ ニ ス の ラ ケ ッ ト 取 り に 行 く の つ き あ っ て く れ る ? ガ ッ ト 頼 ん で あ る ん だ 」 や っ ぱ り 、 ガ ッ ト は ま だ で き て な か っ た 。 「 明 日 に す れ ば 」 「 い や 、 す ぐ だ か ら 待 っ て る 」 「 わ た し 、 こ の 先 の ア ン テ ィ ッ ク シ ョ ッ プ ⑯ に い る 」 二 十 分 ほ ど で 伸 昭 は や っ て き た 。 「 行 こ う か 。 ど こ に 行 く ? 」 「 ど こ で も い い 」 本 当 に も う ど こ で も よ か っ た 。 代 官 山 に あ る 古 び た ア パ ー ト ⑰ へ の 道 が 、 い つ も の デ ー ト コ ー ス だ っ た 。 伸 昭 と 初 め て キ ス し た 陽 の あ た る 小 さ な 公 園 、 み さ 子 に と っ て 思 い 出 深 い 場 所 だ っ た 。 「 こ の ア パ ー ト も 、 も う じ き 取 り 壊 さ れ る ん だ っ て 」 伸 昭 が 、 ポ ツ リ と 言 っ た 。 ブ ラ ン ド も の の 服 を 着 た 小 さ な 子 供 の 手 を 引 い た 親 子 連 れ が 、 階 段 を 下 り て 行 く 。 そ ん な 光 景 が 、 み さ 子 に と っ て あ こ が れ だ っ た の に 。 ク リ ス マ ス グ ッ ズ の 店 ⑱ を の ぞ き な が ら 、 み さ 子 は 、 楽 し か っ た 昨 年 の ク リ ス マ ス の こ と を 思 い 出 し て い た 。 ヒ ル サ イ ド テ ラ ス に あ る ケ ー キ 屋 ⑲ で 買 っ た フ ル ー ツ い っ ぱ い の ケ ー キ 、 渋 谷 方 向 に 少 し 歩 い た と こ ろ に あ る 教 会 の デ コ レ ー シ ョ ン 、 そ し て 、 そ の 隣 の 一 軒 家 の レ ス ト ラ ン ⑳ で キ ャ ン ド ル の 灯 の 中 で 飲 ん だ ワ イ ン 、 そ の す ベ て が 、 な ぜ か 遠 い 思 い 出 の よ う に 感 じ ら れ る 。 中 目 黒 駅 へ 向 か う 坂 の 途 中 の 中 華 料 理 店 ㉑ を 通 り 過 ぎ 、 二 人 は 、 ガ ー ド 下 の 屋 台 料 理 の 店 ㉒ で 夕 食 を と っ た 。 微 か な 電 車 の 震 動 は 、 み さ 子 の 気 持 ち を こ れ 以 上 な く 揺 ら し て い る か の よ う で あ っ た 。 二 人 は 、 代 官 山 か ら 渋 谷 方 向 に 少 し 歩 い て 、 旧 山 手 通 り に 面 し た 高 台 の 公 園 に い た 。 公 園 の 芝 生 の 向 こ う に 、 都 会 の 明 か り が 静 か に 輝 い て い た 。 「実 は … … 」 伸 昭 が 、 重 そ う に 口 を 開 い た 。 み さ 子 は 、 最 悪 の 言 葉 を 予 想 し た 。 「何 も 誕 生 日 に そ ん な こ と を 告 げ な く た っ て 」 そ う 思 う と 、 涙 が こ み 上 げ て き そ う に な っ た 。 「実 は 、 俺 、 今 度 、 つ く ば へ 転 勤 す る こ と に な っ た ん だ 。 だ か ら … … 」 「… … 」 「 だ か ら 、 是 非 、 君 に も 一 緒 に 来 て 欲 し い 」 「 え っ 」 み さ 子 の 戸 惑 っ た 顔 を の ぞ き 込 む よ う に し な が ら 、 伸 昭 は ポ ケ ッ ト の 中 か ら 小 さ な 包 み を 取 り 出 し た 。 「 お 誕 生 日 お め で と う 」 包 み の 中 に は 、 小 さ な ダ イ ヤ の 指 輪 が 入 っ て い た 。 店 主 が テ ニ ス 仲 間 の 、 郵 便 局 の 隣 の 宝 石 店 で 、 何 と か 値 切 っ て 買 っ た も の だ っ た 。 「 安 月 給 の く せ に 」 「 い い の さ 。 一 緒 に 来 て く れ る ね 」 み さ 子 は 、 小 さ く 頷 い た 。 ふ と 、 大 粒 の 涙 が こ み 上 げ て き た 。 今 度 は 、 涙 を 止 め る こ と は で き な か っ た 。 ( 反 応 制 御 研 究 部 ) ①ウェンディーズ ②金材技研 ③ Chez Lui ④常盤木 ⑤アントニオ ⑥ガーデン・プレイス ⑦地獄ラーメン・ひょっとこ ⑧たつや ⑨ル・プレジール ⑩プノンペン ⑪Q. E. D.クラブ ⑫香月 ⑬魚がし寿司 ⑭なゝ樹 ⑮ドナテロウズ ⑯温故知新 ⑰同潤会アパート ⑱クリスマスカンパニー ⑲ラ・ポムヴェール ⑳レストランテベリータ ㉑花壇 ㉒圓山 思 い 出 の 写 真 — 193 — 建物配置図 敷地面積45,231m2 建物面積19,528m2 建物延面積37,063m2 10.正門,守衛所 14.管理棟 16.特高変電棟 20.第2工作棟 21.設備倉庫 22.溶解,加工,熱処理実験棟 22-B製錬,工業化実験棟 23.小型溶解,加工実験棟 24.物理,機能,エネルギー, 金属加工,工業化実験研究棟 25.実験棟 26 ・低温実験棟 27.食 堂 28.実験棟 30・化学,腐食,溶接,粉末治金 実験研究棟 31.材料強さ,金属加工実験研究棟 34.第1工作棟 35.製錬研究棟 36. RI実験棟 50.クリープ試験研究棟 51.疲れ試験研究棟 81.廃液処理室 (注)建物に付した数字は 庁舎番号を示す。 61.3 .31現在 構内から正門を望む(S34年) 14号庁舎建設予定地(S35年) 24号庁舎屋上から正門を望む(S58年) 変電所前の「盆景」(S35年) 22号庁舎前の桜(S58年) 風で飛んだ通路の屋根(31号~34号間) 14号庁舎前(H 3年) 14号庁舎2階から24号庁舎を望む(H 3年) 靖心寮(H 3年) 24号庁舎屋上から見た50、51号庁舎 材試地区から見た24号庁舎 31 号 庁 舎 二 階 ( 右 の 扉 は 旧 所 長 室) 古き良き時代の室名標示板 海 軍 研 究 所 当 時 の 消 火 栓 マンホールの蓋に歴史の面影 科学万博に使用した壁画 (古代エジプトの墳墓の内部に描かれている壁画の中から金属に関係のある部分を集めて模写し作製した もの、たて1.6m×よこ2.8m、模写:画家の川村克彦、田中幸広氏、企画:写真家の仁田三夫氏および、 当所職員羽多野毅、雀部謙) 第1回バドミントン大会表彰式(S36年) 所内一般公開に人の波(S49年) 防災訓練(S62年) 文化祭 テニス大会 テニスコートにナイトゲーム設備(S62年) 恵比寿ボール 夢の島運動場 バレーコート 教養室 大会議室 会議室 目黒中央体育館 レクリエーションの一駒 金材技研雪景色(S 63年4月の大雪) 目黒川の洪水、30号庁舎裏 (S56年) 目黒の富士塚 目黒元富士 文化9年(1812)丸旦講築造 目黒新富士 文政2年(1819)山正広講築造 上)目黒新富士 山と眺望(広重画) 左)名所江戸百景目黒元不二(広重画) 目黒郷土資料室資料から転載 「地図使用承認©昭文社第95E034号」 目黒清掃工場の煙突から見た風景(上方が中目黒方面・手前中央が金材技研、右上隅は新宿高層ビル群) (学芸大学方面・中央下の道路は山手通り) (自由ヶ丘方面・左下は山手通り) (目黒方面・右の川は目黒川) ガーデンプレイスからの眺望(中央の煙突付近が金材技研) 国際電々屋上から見た金材技研(S53年) 地下鉄恵比寿駅南出口 地下鉄恵比寿駅J R前出口 材試屋上からの夕景(S50年) 中目黒駅 蛇崩川緑道 目黒川の桜 田楽橋横の目黒川船着場跡 権之助坂 別所坂 目黒不動 サレジオ教会 大月寺 目 黒 区 民 セ ン タ ー 目 黒 川 遊 歩 道 目 黒 通 り 権 之 助 坂 祐 天 寺 蛸 薬 師 烏森神社 行人坂標示板 アフターファイブ恵比寿編(1) アフターファイブ 恵比寿編(2) アフターファイブ 中目黒編(1) アフターファイブ 中目黒編(2) 年 表 ey ay) —221 — 年 表 ○ 印 は 研 究 所 界 隈 の 出 来 事 35 34 33 32 昭 和 31 年 号 ・ 科 学 技 術 週 間 始 ま る ( 所 内 一 般 公 開 ) ・3 0 号 庁 舎 竣 工 ・ 理 容 室 開 設 ・ 創 立 記 念 野 球 大 会 開 催 ( 国 分 寺 ・ 八 幡 グ ラ ン ド ) ・ 大 蔵 省 か ら 土 地 ・ 建 物 所 管 換 ・2 4 号 庁 舎 竣 工 ・ 7 月 4 日 100kg プ ラ ン ト 修 祓 式 ・ 初 の 所 内 研 究 報 告 会 開 催 ・ レ ク リ エ ー シ ョ ン 大 会 始 ま る ( ハ ゼ 釣 り 、 テ ニ ス ) ・ 医 務 室 開 設 ・ 職 員 バ ッ チ は い 用 開 始 ( 鈴 木 敏 之 氏 の デ ザ イ ン ) ・ 和 文 研 究 報 告 書 創 刊 ・1 1 月 2 日 、 運 動 会 開 催 ( 目 黒 区 東 山 小 学 校 ) ・ 食 堂 開 設 (3 1 号 庁 舎 ) ・ 7 月 2 0 日 開 所 披 露 式 ・ 金 材 技 研 ニ ュ ー ス 創 刊 ・ 金 材 技 研 要 覧 創 刊 ・7 月 1 日 科 学 技 術 庁 の 付 属 機 関 と し て 設 立 ( 科 学 技 術 庁 内 に 仮 事 務 所 を 置 く ) ・ 橋 本 宇 一 初 代 所 長 就 任 ・ 1 1 月 、 中 目 黒 に 移 転 、 管 理 部 お よ び 四 研 究 部 で 発 足 建 物 ・ 主 な 行 事 ・ 出 来 事 ・ 我 国 初 の X 線 マ イ ク ロ ア ナ ラ イ ザ ー の 設 置 お よ び 電 子 ビ ー ム 溶 接 機 3 k W の 試 作 。 金 属 へ の 応 用 面 で 先 頭 を き る ・ 鉄 及 び 珪 素 鉄 巨 大 単 結 晶 製 造 法 を 確 立 主 な 研 究 成 果 等 ・ 日 米 安 保 条 約 調 印 ・ カ ラ ー テ レ ビ 本 放 送 開 始 ・ チ リ 地 震 、 三 陸 地 方 に 大 津 波 ・ 皇 太 子 殿 下 ご 成 婚 ・ ソ 連 月 ロ ケ ッ ト 発 射 ・ 伊 勢 湾 台 風 死 者 ・ 行 方 不 明 5 千 名 を こ す ・ 南 極 基 地 の 樺 太 犬 越 冬 生 存 ・ 東 京 タ ワ ー 竣 工 ・ 売 春 防 止 法 施 行 ・ 狩 野 川 台 風 ・ 阿 蘇 、 三 原 、 浅 間 山 爆 発 ・ 一 万 円 札 発 行 ・ 人 工 衛 星 ス プ ー ト ニ ク 1 号 打 上 げ 成 功 ・ 東 海 村 に 初 の 原 子 の 火 ・ 五 千 円 札 ・ 百 円 硬 貨 発 行 ・ 日 本 国 連 加 盟 ・ マ ナ ス ル 登 山 隊 初 登 頂 ・ 銀 座 の 工 事 現 場 で 小 判 203 枚 発 見 社 会 の 出 来 事 40 39 38 37 36 年 号 ・ 材 料 試 験 部 発 足 ・ 外 国 人 研 修 生 受 入 ・ 3 月 靖 心 寮 建 設 さ れ る ・3 5 号 庁 舎 、 3 6 号 庁 舎 竣 工 ・ 日 本 第 一 号 E P M A 納 入 ・ バ レ ー 部 総 理 府 大 会 優 勝 。 全 盛 期 は じ ま る ・ 第 一 回 ス キ ー バ ス 運 行 ・ ク リ ス マ ス パ ー テ ィ 開 催 ・2 2 号 B 、 3 0 号 A 、 2 6 号 の 各 庁 舎 竣 工 ・ 創 立 五 周 年 記 念 式 典 ・ 富 士 五 湖 バ ス ハ イ ク ・ 第 一 回 バ ド ミ ン ト ン 、 バ レ ー ボ ー ル 大 会 開 催 建 物 ・ 主 な 行 事 ・ 出 来 事 ・ 我 国 初 の 500kV 透 過 型 電 子 顕 微 鏡 を 開 発 。 金 属 ・ 合 金 の 塑 性 的 物 性 研 究 に 大 き く 寄 与 ・ 熱 発 電 素 子 を 開 発 。 廃 熱 利 用 に 期 待 さ れ る ・ 液 体 噴 霧 法 に よ る 金 属 粉 末 製 造 装 置 を 開 発 ・ 超 電 導 材 料 開 発 研 究 開 始 ・ 原 子 炉 用 材 料 の 動 水 腐 食 試 験 開 始 ・ ニ ト ン M B C キ ュ ポ ラ 設 置 主 な 研 究 成 果 等 ・ 米 ・ ソ 宇 宙 遊 泳 実 験 ・ 米 ・ ベ ト ナ ム で 北 爆 開 始 ・ 朝 永 振 一 郎 、 ノ ー ベ ル 物 理 学 賞 受 賞 ・ 国 鉄 「 み ど り の 窓 口 」 開 設 ・ 東 海 道 新 幹 線 開 通 ・ 東 京 オ リ ン ピ ッ ク 開 催 ・ 新 潟 大 地 震 、 石 油 タ ン ク 火 災 ・ 東 京 の 水 不 足 深 刻 化 ○ 地 下 鉄 日 比 谷 線 中 目 黒 に 乗 り 入 れ ・ 原 研 原 子 力 発 電 開 始 ・ ケ ネ デ ィ 大 統 領 暗 殺 ・ 黒 部 第 四 ダ ム 完 成 ( 高 さ 186m ) ・ 新 千 円 札 発 行 ○ 中 目 黒 小 学 校 大 火 ・ 北 陸 ト ン ネ ル 開 通 ・ 高 度 成 長 政 策 の 実 施 ・ 東 京 都 の 人 口 一 千 万 人 突 破 ・ ソ 連 有 人 衛 星 ボ ス ト ー ク 1 号 地 球 一 周 後 に 回 収 ・ 日 本 初 の 三 段 式 ロ ケ ッ ト 発 射 社 会 の 出 来 事 46 45 44 43 42 41 ・ 創 立 十 五 周 年 記 念 式 典 ・ 創 立 十 五 周 年 記 念 講 演 会 ・ 職 員 会 か ら 職 員 組 合 へ ・ 6 月 1 5 日 皇 太 子 殿 下 ご 視 察 ・5 1 号 庁 舎 竣 工 ・ 野 球 部 東 京 都 大 会 一 部 で 三 位 ・ 6 月 1 日 河 田 和 美 所 長 就 任 ・ 創 立 十 周 年 記 念 式 典 ・ 創 立 十 周 年 記 念 講 演 会 ・ 職 員 有 志 に よ る 文 化 祭 開 催 ・1 4 号 庁 舎 竣 工 、 5 0 号 庁 舎 竣 工 ・V 3 G a 超 電 導 多 芯 線 を 開 発 ( ブ ロ ン ズ 法 発 明 ) ・ 超 電 導 マ グ ネ ッ ト へ の 道 を 開 く ・ 核 融 合 用 材 料 研 究 開 始 ・ 流 動 還 元 実 験 開 始 ・ 高 速 増 殖 炉 用 バ ナ ジ ウ ム 合 金 の 研 究 開 発 開 始 ・ プ ラ ネ タ リ ー ミ ル 設 置 、 圧 延 特 性 解 明 研 究 開 始 ・ 三 段 樋 型 連 続 製 鋼 技 術 の 開 発 ・ 各 種 ク リ ー プ 試 験 設 備 一 、 一 〇 〇 台 整 備 完 了 ・ 沖 縄 祖 国 復 帰 ・ 成 田 新 空 港 反 対 闘 争 ・ 全 日 空 機 と 自 衛 隊 機 衝 突 ・ 大 阪 万 国 博 覧 会 開 催 ・ 「 よ ど 号 」 ハ イ ジ ャ ッ ク 事 件 ・ 三 島 由 紀 夫 割 腹 自 殺 ・ 都 心 で 歩 行 者 天 国 始 ま る ・ 人 類 月 面 に 第 一 歩 ・ 原 子 力 船 「 む つ 」 進 水 ・ 東 名 高 速 道 路 全 線 開 通 ・ 小 笠 原 日 本 に 復 帰 ・ 郵 便 番 号 制 ス タ ー ト ・ 川 端 康 成 、 ノ ー ベ ル 文 学 賞 受 賞 ・ 三 億 円 強 奪 事 件 ○ 山 手 通 り 立 体 交 差 ・ 羽 田 空 港 ビ ル で 時 限 爆 弾 ・ 四 日 市 ぜ ん そ く 患 者 訴 訟 ・ 百 円 、 五 十 円 白 銅 貨 発 行 ・ ミ ニ ス カ ー ト 大 流 行 ○ 別 所 坂 崖 崩 れ ・ ソ 連 の ロ ケ ッ ト 初 め て 金 星 到 着 ・ 航 空 機 事 故 続 発 ( 全 日 空 機 羽 田 沖 で 墜 落 ・ カ ナ ダ 航 空 機 羽 田 で 炎 上 ・B O A C 機 富 士 山 墜 落 ・ 全 日 空 Y S 1 1 機 松 山 沖 で 墜 落 ) 51 50 49 48 47 年 号 ・ 創 立 二 十 周 年 記 念 式 典 ・ 創 立 二 十 周 年 記 念 講 演 会 ・ 筑 波 分 室 を 新 設 ・ 特 殊 雰 囲 気 棟 竣 工 ・ 中 学 生 の た め の 金 属 教 室 ス タ ー ト ・ 4 月 1 日 荒 木 透 所 長 就 任 ・ 超 電 導 棟 竣 工 ・ 靖 心 寮 建 て 替 え ・ 本 庁 と の 人 事 交 流 始 ま る ( 永 田 徳 雄 氏 ) ・ 他 省 庁 予 算 に よ る 研 究 に 参 加 ・ オ イ ル シ ョ ッ ク に は じ ま る 電 力 使 用 規 制 、 電 力 等 節 減 対 策 委 員 会 設 置 ・ 第 一 回 ソ フ ト ボ ー ル 大 会 ・ レ ク リ エ ー シ ョ ン 大 会 実 行 委 員 会 、 バ ス ハ イ ク ( 小 田 急 花 鳥 公 園 ) と ボ ー リ ン グ 大 会 を 実 施 ・ 7 月 1 日 「ざ い け ん 」 創 刊 建 物 ・ 主 な 行 事 ・ 出 来 事 ・17.5 テ ス ラ の 超 電 導 マ グ ネ ッ ト 開 発 ・ 懸 濁 電 極 に よ る 金 属 電 解 製 錬 法 開 発 ・ ス カ イ ラ ブ に よ る 宇 宙 材 料 実 験 行 わ れ る ・ 原 子 炉 製 鉄 用 超 耐 熱 材 料 の 大 気 ・H e ガ ス 雰 囲 気 中 に お け る 一 千 度 C ク リ ー プ 試 験 開 始 ・ 各 種 疲 労 試 験 設 備 七 十 六 台 整 備 完 了 ・ 大 型 プ ロ ジ ェ ク ト 「原 子 力 製 鉄 技 術 」 に 参 加 ・ 国 産 高 温 用 金 属 材 料 ク リ ー プ デ ー タ シ ー ト 刊 行 開 始 主 な 研 究 成 果 等 ・ ロ ッ キ ー ド 事 件 ・ 米 、 バ イ キ ン グ 2 号 火 星 へ 軟 着 陸 ・ 鹿 児 島 で 五 つ 子 誕 生 ・ 酒 田 市 の 大 火 ・ 沖 縄 海 洋 博 開 催 ・ 山 陽 新 幹 線 博 多 ま で ・ 六 価 ク ロ ム 公 害 問 題 化 ・ 米 ・ ソ 連 宇 宙 船 ド ッ キ ン グ 成 功 ・ 小 野 田 少 尉 、 ル バ ン グ 島 か ら 帰 還 ・ 三 菱 重 工 ビ ル で 時 限 爆 弾 爆 発 ・ 台 風 1 6 号 で 多 摩 川 6 4 年 ぶ り に 決 壊 ・ 佐 藤 前 首 相 、 ノ ー ベ ル 平 和 賞 受 賞 ○ 三 田 用 水 廃 止 ・ 石 油 シ ョ ッ ク ・ ベ ト ナ ム 戦 争 終 結 ・ 交 通 ゼ ネ ス ト ・ 江 崎 玲 於 奈 、 ノ ー ベ ル 物 理 学 賞 受 賞 ・ 狂 気 の 連 合 赤 軍 、 浅 間 山 荘 事 件 ・ 高 松 塚 古 墳 で 極 彩 色 壁 画 発 見 ・ 日 ・ 中 国 交 樹 立 ・ 札 幌 冬 季 オ リ ン ピ ッ ク ・ 上 野 動 物 園 に パ ン ダ 登 場 社 会 の 出 来 事 58 57 56 55 54 53 52 ・ 研 究 談 話 室 開 設 ・ 皇 太 子 殿 下 ご 一 家 と テ ニ ス を 楽 し む ( つ く ば) ・1 0 月 1 2 日 、 中 川 龍 一 所 長 就 任 ・ 構 造 材 料 棟 竣 工 ・ 第 二 次 長 期 計 画 策 定 ・ 創 立 三 十 五 周 年 記 念 式 典 ・ 創 立 三 十 五 周 年 記 念 講 演 会 ・ グ ル ー プ 制 導 入 さ れ る ・ 特 殊 材 料 棟 竣 工 ・ 筑 波 支 所 開 設 ( 三 研 究 部 移 転 ) ・ 第 一 次 長 期 計 画 策 定 ・ 研 究 本 館 竣 工 ・ ざ い け ん 会 設 立 ・ サ ッ カ ー 部 、 東 京 都 官 庁 選 抜 サ ッ カ ー リ ー グ で 優 勝 ・ 筑 波 支 所 一 般 公 開 始 ま る ・ 高 性 能 金 属 微 粒 子 磁 性 流 体 を 開 発 ・ 水 中 プ ラ ズ マ お よ び フ ラ ッ シ ュ 溶 接 法 開 発 ・ 極 低 温 疲 労 試 験 装 置 完 成 。 液 体 ヘ リ ウ ム 温 度 で の 評 価 試 験 開 始 ・ Ti 添 加 N b 3 S n 極 細 多 芯 線 開 発 ・ モ リ ブ デ ン 巨 大 結 晶 製 造 法 開 発 ・ 活 性 プ ラ ズ マ を 用 い た 金 属 超 微 粒 子 製 造 技 術 を 開 発 ・ 350kgf/m m 2 級 マ ル エ ー ジ 鋼 を 開 発 ・ 材 料 強 度 デ ー タ シ ー ト 資 料 刊 行 開 始 ・ 高 性 能 水 素 貯 蔵 材 料Fe-Ti-O 系 合 金 開 発 ・ 国 産 実 用 材 料 の 基 準 的 疲 れ 強 さ デ ー タ シ ー ト 刊 行 開 始 ・ ム ー ン ラ イ ト 計 画 に 参 加 。 複 合 発 電 用 N i 基 超 耐 熱 合 金 の 開 発 を 分 担 ・ 日 本 海 中 部 地 震 ( 秋 田 沖 ) ・ 三 宅 島 噴 火 ・ 大 韓 航 空 機 サ ハ リ ン 沖 で 撃 墜 ・ 日 本 初 の 実 用 静 止 通 信 衛 星 を 打 上 げ ・ 東 北 新 幹 線 、 上 越 新 幹 線 開 業 ・ 日 航 機 羽 田 沖 で 墜 落 ・ ホ テ ル ニ ュ ー ジ ャ パ ン 火 災 ・ 五 百 円 硬 化 発 行 ・ 神 戸 ポ ー ト ピ ア 開 幕 ・ 福 井 謙 一 、 ノ ー ベ ル 化 学 賞 受 賞 ・ 北 炭 夕 張 炭 鉱 ガ ス 惨 事 ○ 豪 雨 に よ る 目 黒 川 溢 水 ・ イ ラ ン ・ イ ラ ク 戦 争 勃 発 ・ モ ス ク ワ オ リ ン ピ ッ ク 、 ボ イ コ ッ ト ・ 東 京 サ ミ ッ ト 開 催 ・ 日 本 坂 ト ン ネ ル 事 故 ・ 新 東 京 国 際 空 港 ( 成 田 ) 開 港 ・ 宮 城 県 沖 地 震 ・ 英 国 で 試 験 管 ベ ビ ー 誕 生 ・ 日 航 機 ハ イ ジ ャ ク 事 件 ・ 漁 業 海 域 200 海 里 宣 言 ・ 青 酸 コ ー ラ 事 件 平 成 元 63 62 61 60 59 年 号 ・ 6 月 2 7 日 、 新 居 和 嘉 所 長 就 任 ・ 2 月 1 0 日 、 土 地 対 策 閣 僚 会 議 で 移 転 先 地 を 筑 波 研 究 学 園 都 市 と す る こ と で 了 承 ・ フ ェ ロ ー シ ッ プ 制 度 に よ る 研 究 員 初 来 日 ・ 筑 波 支 所 開 設 十 周 年 記 念 式 典 ・ 第 三 次 長 期 計 画 に 基 づ く 組 織 改 正 ・ 筑 波 移 転 推 進 室 発 足 ・7 月 1 9 日 移 転 対 象 機 関 と し て 閣 議 決 定 ・ 日 ・ ア セ ア ン 技 術 協 力 研 修 生 来 所 始 ま る ・ 「 図 解 金 属 材 料 用 語 辞 典 」 発 行 ・ 外 国 人 研 究 員 を は じ め て 採 用 ・ 第 三 次 長 期 計 画 策 定 ・ 創 立 三 十 周 年 記 念 式 典 ・ 創 立 三 十 周 年 記 念 講 演 会 ・ 記 念 出 版 「金 属 系 新 素 材 」 ・ 工 業 用 循 環 水 廃 止 ・ 国 家 公 務 員 定 年 制 導 入 ・ 職 員 組 合 主 催 の 文 化 祭 開 催 建 物 ・ 主 な 行 事 ・ 出 来 事 ・ 超 精 密 磁 界 マ グ ネ ッ ト お よ び 8 0 テ ス ラ 級 パ ル ス マ グ ネ ッ ト シ ス テ ム 完 成 。 極 低 温 物 性 研 究 に 威 力 を 発 揮 ・ 高 温 動 作 型PbS 系 中 赤 外 線 半 導 体 レ ー ザ ー 開 発 ・ 静 止 型 磁 気 冷 凍 機 開 発 1.8K 達 成 ・ 金 属 間 化 合 物Ti3Al一 方 向 疑 固 材 で 顕 著 な 引 張 性 を 発 見 ・ 世 界 で 初 め て 遷 移 温 度 が 100K を 越 え る ビ ス マ ス 系 高 温 超 電 導 物 質 発 見 ・ 超 電 導 材 料 研 究 マ ル チ コ ア プ ロ ジ ェ ク ト の 開 始 ・ 十 万 時 間 の ク リ ー プ 強 度 実 証 デ ー タ 集 の 刊 行 開 始 ・ 室 温 延 性 を 示 す 軽 量 耐 熱 金 属 間 化 合 物Ti-Al を 開 発 ・ 自 己 修 復 性 極 高 真 空 機 器 用 材 料 を 開 発 。 極 高 真 空 利 用 の 道 を 開 く ・18.5 ス テ ラ の 超 電 導 マ グ ネ ッ ト を 開 発 ・ 軽 イ オ ン 照 射 ク リ ー プ 試 験 装 置 完 成 。 本 格 的 な 照 射 ク リ ー プ 試 験 研 究 開 始 ・ 合 金 設 計 法 を 用 い て 世 界 最 強 のN i 基 単 結 晶 合 金 お よ び 塑 性 加 工 に 適 し た 高 強 度 耐 熱 チ タ ン 合 金 を 開 発 ・ 磁 気 冷 凍 用 希 土 類 ガ ー ネ ッ ト 単 結 晶 育 成 に 成 功 主 な 研 究 成 果 等 ・ 昭 和 天 皇 崩 御 、 平 成 と な る ・ 消 費 税 実 施 ・ ベ ル リ ン の 壁 崩 れ る ・ 参 院 選 で 与 野 党 逆 転 ・ リ ク ル ー ト 疑 惑 発 覚 ・ 青 函 ト ン ネ ル 開 通 ・ 瀬 戸 大 橋 開 通 ・ 国 鉄 分 割 民 営 化 ・ 朝 日 新 聞 社 襲 撃 事 件 ・ 年 金 法 改 正 一 元 化 ス タ ー ト ・ チ ェ ル ノ ブ イ リ 原 発 事 故 ・ ス ペ ー ス シ ャ ト ル 爆 発 事 故 ・ 国 技 館 3 9 年 ぶ り に 蔵 前 か ら 両 国 に 移 転 ・ つ く ば 万 博 開 催 ・ 公 社 民 営 化 ( 電 々 ・ た ば こ ) ・ 日 航 ジ ャ ン ボ 機 群 馬 県 山 中 に 墜 落 ・ メ キ シ コ 地 震 ・ コ ア ラ 多 摩 動 物 園 で 一 般 公 開 ・ 三 井 三 池 炭 鉱 有 明 鉱 惨 事 ・ 世 田 谷 区 で ケ ー ブ ル 火 災 ・ 長 野 県 西 部 地 震 ・ 江 崎 グ リ コ 社 長 誘 拐 事 件 社 会 の 出 来 事 5 4 3 2 ・ 筑 波 千 現 地 区 及 び 柴 崎 地 区 に 新 施 設 完 成 ・ 強 磁 場 ス テ ー シ ョ ン を 新 設 ・ フ レ ッ ク ス タ イ ム 制 度 実 施 ・ 第 四 次 長 期 計 画 策 定 ・ 週 休 二 日 制 実 施 ・ 特 高 変 電 所 カ ラ ス に よ る 短 絡 事 故 で 全 停 電 ・ 筑 波 起 工 式 ・ 筑 波 移 転 推 進 本 部 発 足 ・ 夏 季 休 暇 制 度 実 施 ・ 創 立 三 十 五 周 年 記 念 式 典 ・ 創 立 三 十 五 周 年 記 念 研 究 発 表 会 ・ 特 別 研 究 官 を 新 設 ・ 大 口 径 超 電 導 マ グ ネ ッ ト 500 mm 径 の 空 間 に 21.5 テ ス ラ の 磁 界 発 生 ・ 極 低 温 疲 労 試 験 、 積 算 一 万 時 間 突 破 ・ 膜 厚3 0 0 Å の ビ ス マ ス 系 超 電 導 薄 膜 の 合 成 に 成 功 ・ ス ペ ー ス シ ャ ト ル ・ エ ン デ バ ー 号 で 宇 宙 材 料 実 験 。 良 好 な 大 型InSb 単 結 晶 作 成 に 成 功 ・ 金 属 の 完 全 非 接 触 溶 解 装 置 を 開 発 (2.3kg の チ タ ン の 浮 遊 溶 解 に 成 功 ) ・ 液 滴 エ ピ タ キ シ ャ ル 法 を 用 い て バ リ ウ ム 砒 素 O 次 元 材 料 作 成 に 成 功 。 ス ー パ ー ア ト ム や 量 子 井 戸 箱 の 実 現 に 近 づ く 。 ・ レ ー ザ ー 超 音 波 技 術 に よ る 材 料 の 非 接 触 評 価 技 術 の 確 立 。 高 温 に お け る 欠 陥 の 検 出 、 微 小 領 域 の 材 料 評 価 に 道 を 開 く ・ 超 清 浄 空 間 中 搬 送 シ ス テ ム を 開 発 ・ 対 話 型 材 料 強 度 評 価 シ ス テ ム(PIM S) を 開 発 。 材 料 強 度 に 関 す る 膨 大 な 量 の デ ー タ と 知 識 を 利 用 ・ 材 料 照 射 損 傷 そ の 場 分 析 、 評 価 装 置 ( サ ブ ナ ト ロ ン ) の 製 作 開 始 ・ ビ ス マ ス 系 酸 化 物 超 電 導 体 の テ ー プ 化 に 成 功 ・ 光 励 起 精 錬 法 に よ る 希 土 類 金 属 の 高 純 度 化 に 成 功 ・ 有 望 なSox セ ン サ ー 素 子 ( 超 イ オ ン 伝 導 性 固 体 電 解 質 ) の 合 成 に 成 功 ・N R IM —JIC ST 金 属 材 料 強 度 デ ー タ ベ ー ス 完 成 。 オ ン ラ イ ン サ ー ビ ス を 開 始 ・ 高 強 度 、 高 導 電C u —Ag 合 金 材 料 を 開 発 。 強 磁 場 マ グ ネ ッ ト 材 料 と し て 有 望 ・ 皇 太 子 殿 下 ご 成 婚 ・ 北 海 道 南 西 沖 地 震 ・ ゼ ネ コ ン 汚 職 ・P K O 協 力 法 施 行 ・ 佐 川 献 金 疑 惑 ・ エ ン デ バ ー 号 打 ち 上 げ ( 毛 利 さ ん 宇 宙 飛 行 士 と し て 日 本 人 初 の 宇 宙 飛 行 ) ・ バ ブ ル 経 済 崩 壊 ・ ソ ビ エ ト 連 邦 解 体 ・ 礼 宮 様 と 紀 子 様 ご 成 婚 ・ 東 西 ド イ ツ 統 一 ・ ゴ ッ ホ 、 ル ノ ア ー ル 名 画 日 本 人 落 札 ・ 生 体 肝 臓 移 植 手 術 7 6 年 号 ・6 月 3 0 日 筑 波 研 究 学 園 都 市 に 移 転 完 了 ・7 月 1 日 、 筑 波 研 究 学 園 都 市 に て 新 た な る 研 究 活 動 開 始 ・ 極 限 場 研 究 セ ン タ ー を 新 設 ・ 材 料 試 験 事 務 所 を 新 設 ・ 五 研 究 グ ル ー プ 、 九 研 究 部 、 二 ス テ ー シ ョ ン に 組 織 替 え ・1 月 2 0 日 筑 波 施 設 披 露 ・ 目 黒 か ら 筑 波 へ 移 転 開 始 ・ 企 画 室 を 新 設 ・ 目 黒 の 早 咲 き 桜 の 苗 木 を 筑 波 千 現 地 区 に 移 植 建 物 ・ 主 な 行 事 ・ 出 来 事 ・4 0 テ ラ ス 級 ハ イ ブ リ ッ ド マ グ ネ ッ ト 設 置 、 試 運 転 開 始 主 な 研 究 成 果 等 ・ 阪 神 大 震 災 ・ 地 下 鉄 サ リ ン 事 件 ・ 関 西 空 港 開 港 ・ 大 江 健 三 郎 、 ノ ー ベ ル 文 学 賞 受 賞 ・ 西 日 本 記 録 的 渇 水 ・ 向 井 さ ん 日 本 女 性 と し て 初 め て 宇 宙 飛 行 ・ 松 本 サ リ ン 事 件 社 会 の 出 来 事 「 目 黒 の 思 い 出 を の こ そ う 会 」 の 思 い 出 田 中 千 秋 準 備 に 六 年 、 実 施 に 三 年 、 足 か け 九 年 を 費 や し 、 平 成 七 年 六 月 末 日 を も っ て 目 黒 本 所 は 筑 波 研 究 学 園 都 市 へ の 移 転 が 完 了 し ま し た 。 目 黒 地 区 に お い て 心 に 残 る 写 真 等 を 保 存 す べ き で は な い か と い う 声 が 上 っ た の は 、 こ の 移 転 話 が 進 行 し て い た 昭 和 の 終 り の 頃 で す 。 自 然 発 生 的 な こ の 声 に よ り 、 年 号 が 代 っ た 平 成 元 年 十 二 月 五 日 に 、 「写 真 等 保 存 会 ( 仮 称 ) 」 の 発 足 準 備 会 が も た れ ま し た 。 こ れ が 「 目 黒 の 思 い 出 を の こ そ う 会 」 の 始 り で 、 平 成 二 年 一 月 十 二 日 に 第 二 回 準 備 会 が 開 催 さ れ 、 会 の 正 式 名 称 が で き 、 メ ン バ ー 、 活 動 方 針 、 タ イ ム ス ケ ジ ュ ー ル 等 が 決 ま り ま し た 。 そ し て 同 年 一 月 三 十 日 の 所 議 に お い て 、 会 の 活 動 が 公 認 さ れ ま し た 。 金 材 技 研 の 今 日 ま で に つ い て は 、 事 務 関 係 の 記 録 や 年 報 、 研 究 報 告 集 、 ざ い け ん 等 の オ フ ィ シ ャ ル な 記 録 に よ り 知 る こ と が で き 、 ま た 、 職 員 組 合 の 機 関 誌 「 ふ い ご 」 に よ っ て も 一 面 を 知 る こ と が で き ま す 。 さ ら に 、 筑 波 移 転 関 係 に つ い て は 筑 波 移 転 管 理 室 に よ っ て 、 後 日 、 移 転 事 業 に 関 す る 全 記 録 が 収 集 ・刊 行 さ れ る こ と と な っ て い ま す 。 し か し な が ら 、 こ れ ら に 収 録 さ れ て い な い 、 さ れ な い 、 心 あ る い は 形 と し 残 っ て い る 思 い 出 も 貴 重 な 財 産 で す 。 そ の よ う な 財 産 を で き る だ け 残 し ま し ょ う と い う の が こ の 会 の 主 旨 で す 。 思 い 出 は 記 念 出 版 物 に 収 め 、 写 真 、 ビ デ オ 、 録 音 テ ー プ 等 の 資 料 や 記 念 物 品 を 収 集 ・ 保 管 す る こ と に し ま し た 。 会 の 構 成 メ ン バ ー は 別 表 の と お り で す 。 こ れ に は 四 つ の ワ ー キ ン グ グ ル ー プ が 設 け ら れ て い ま す 。 記 念 出 版 班 ( リ ー ダ ー 、 雀 部 謙 氏 ) 、 写 真 班 ( リ ー ダ ー 、 鈴 木 俊 一 氏 ) 、 ビ デ オ ・音 班 ( リ ー ダ ー 、 魚 津 良 雄 氏 ) 及 び 記 念 物 班 ( リ ー ダ ー 、 植 竹 一 蔵 氏 ) で す 。 記 念 出 版 班 の 努 力 と 写 真 班 の 協 力 に よ っ て 今 皆 様 が 御 覧 に な っ て い る 本 書 が 上 梓 さ れ ま し た 。 ま た 、 写 真 班 、 ビ デ オ ・ 音 班 及 び 記 念 物 班 の 活 動 に よ っ て 、 例 え ば 、 材 料 試 験 施 設 地 区 の 建 設 写 真 集 、 連 続 製 鋼 の 実 験 8 mm フ ィ ル ム 、 手 動 式 タ イ ガ ー 計 算 機 を は じ め と す る 各 種 遺 物 的 実 験 機 具 類 、 目 黒 本 所 正 門 の 門 札 等 々 の 思 い 出 深 い 品 々 が 集 め ら れ て い ま す 。 現 在 も ぼ つ 〱 と 記 念 物 が 集 ま っ て い ま す の で 、 整 理 し て 保 管 す る こ と に し て い ま す 。 各 メ ン バ ー に は 、 貴 重 な 時 間 を 割 い て 出 来 得 る 最 大 の 努 力 を し て 戴 き 、 私 と し て は 感 謝 あ る の み で す 。 思 い 出 原 稿 の 依 頼 、 記 念 物 品 等 の 提 出 は 、 平 成 二 年 三 月 ( 第 一 回 ) 及 び 平 成 五 年 一 月 ( 第 二 回 ) に 行 っ た ア ン ケ ー ト 調 査 ( 目 黒 本 所 、 筑 波 支 所 の 全 職 員 及 び 職 員 O B ) の 結 果 に 基 づ い て お り ま す 。 そ れ で は 自 薦 、 他 薦 式 を 主 体 と し て お り ま す の で 、 こ れ は と い う 方 の 思 い 出 話 が な か っ た り 、 ま た 、 こ れ ぞ 記 念 物 と い う も の が 抜 け て い る か も し れ ま せ ん 。 こ の 点 は 御 了 解 戴 き た い と 存 じ ま す 。 会 の 運 営 を 進 め て 行 っ た 中 で 、 特 に 心 に 残 っ て い る こ と を 述 べ さ せ て 下 さ い 。 本 書 の 中 で 、 大 島 一 男 さ ん が 、 巡 洋 戦 艦 「金 剛 」 ( 三 万 二 千 ト ン ) に 塔 載 さ れ た 英 国 ビ ッ カ ー ス 社 製 の 大 型 ボ イ ラ ( 一 九 一 一 年 製 造 、 目 黒 本 所 22 —— A 棟 設 置 ) の こ と を 記 し て い ま す 。 こ れ は 由 緒 あ る も の で 、 廃 棄 す る の は あ ま り に も 忍 び な い と い う こ と で 、 秋 山 武 久 庶 務 課 長 ( 当 時 ) が 防 衛 庁 へ の 移 管 に よ る 保 存 を 試 み て 下 さ い ま し た 。 平 成 四 年 六 月 に 、 防 衛 庁 海 上 幕 僚 監 部 総 務 課 長 、 海 上 自 衛 隊 第 2 術 科 学 校 資 料 課 長 ほ か の 御 一 行 が 来 所 さ れ 、 ボ イ ラ を 視 察 さ れ ま し た 。 そ の 結 果 、 当 所 の ボ イ ラ は 、 海 上 自 衛 隊 に 記 念 物 と し て 保 管 し て い る ボ イ ラ と 全 く 同 一 の も の と 判 明 致 し ま し た 。 そ の 後 、 防 衛 庁 か ら 移 管 で き な い 旨 に つ い て の 鄭 重 か つ 長 文 な る お 手 紙 を 頂 戴 し ま し た 。 そ の 他 の 機 関 に も 移 管 を 打 診 し て は み ま し た が 、 引 取 っ て 下 さ る と こ ろ は な く 、 残 念 な が ら 、 金 剛 ボ イ ラ と は お 別 か れ と な り ま し た ( 写 真 及 び 銘 板 は 保 管 ) 。 ざ い け ん 誌 で 新 入 所 者 が 述 べ る 当 所 に つ い て の 第 一 印 象 は 、 異 口 同 音 に 「 都 心 に し て は 静 か で 緑 の 多 い と こ ろ で す ね 」 で す 。 こ の 緑 を 筑 波 に 持 っ て 行 こ う と い う 「樹 木 の 移 植 に つ い て 考 え る 会 ( 会 長 吉 松 史 朗 氏 ) 」 が 平 成 元 年 二 月 に 発 足 し て い ま す 。 こ の 会 に よ っ て 多 く の 思 い 出 深 い 樹 木 が 移 植 候 補 と し て 挙 げ ら れ ま し た 。 し か し な が ら 、 い ろ 〱 な 制 約 に よ っ て 、 実 際 に 移 植 さ れ た の は 、 橋 本 初 代 所 長 の 記 念 樹 「 月 桂 樹 」 と 河 田 第 二 代 所 長 の 記 念 樹 「木 斛 」 の み と な っ て し ま い ま し た 。 こ の 考 え る 会 と は 別 に 、 思 い 出 を の こ そ う 会 と し て は 、 1 4 号 管 理 庁 舎 東 側 土 手 の 早 咲 き 桜 は 職 員 皆 様 の 目 に 焼 き 付 い て い る 銘 木 で あ ろ う と の 認 識 か ら 、 こ れ を 何 と か し よ う と い う こ と に な り ま し た 。 幸 い 所 内 に は 花 木 に 造 詣 の 深 い 山 縣 敏 博 さ ん と 西 田 勲 夫 さ ん が 居 ら れ ま し た の で 、 相 談 を 持 掛 け ま し た 。 お 二 人 の 四 年 間 に 及 ぶ 御 努 力 に よ り 、 早 咲 き 桜 の 取 り 木 一 本 と 継 ぎ 木 七 本 を 筑 波 千 現 地 区 に 移 植 す る こ と が で き ま し た 。 そ も そ も 早 咲 き の 原 因 は 、 管 理 庁 舎 の 絶 え ざ る 燈 火 と 地 中 の 温 水 管 だ か ら 筑 波 に 移 植 し て も 早 咲 き に は な ら な い よ 。 と 威 さ れ て い ま し た 。 し か し 、 移 植 し た 桜 ち ゃ ん は 、 早 春 、 目 黒 の 親 桜 と 同 時 に ち ゃ ん と 早 咲 き し て く れ ま し た 。 十 年 二 十 年 後 に は 、 金 材 技 研 の 早 咲 き 桜 と し て 名 物 に な っ て 欲 し い も の で す 。 前 に 述 べ ま し た よ う に 記 念 物 品 も 相 当 集 ま っ て お り ま す 。 こ れ ら の 展 示 の 一 手 段 と し て 、 筑 波 千 現 の プ ラ ザ に あ る 小 川 の 底 に モ ニ ュ メ ン ト を 埋 込 む こ と も 検 討 し ま し た 。 こ れ は 移 転 推 進 室 の 発 案 で す が 、 ア ー ト に 対 す る 埋 込 物 の 調 和 の 不 具 合 等 も あ っ て 実 現 に は 至 り ま せ ん で し た 。 記 念 物 と い う の は 四 十 年 前 の も の も あ り 、 ま た 、 今 日 か ら 記 念 と な る 物 も あ る 筈 で 、 展 示 と い う 観 点 か ら の 対 応 は 、 現 時 点 で は ペ ン デ ィ ン グ と し た い と 思 い ま す 。 職 員 諸 氏 に お か れ て は 、 新 発 見 、 新 開 発 等 に 係 わ っ て 形 と し て 残 り そ う な も の は 極 力 残 す よ う 心 掛 け て 欲 し い と 思 い ま す 。 将 来 、 あ る 時 期 に そ れ ら を 整 理 し て 展 示 す る こ と を 所 と し て 考 慮 し て も ら う こ と を 願 っ て い ま す 。 目 黒 の 思 い 出 を の こ そ う 会 は 、 本 書 の 発 刊 を も っ て 一 応 の 区 切 り を 付 け 、 解 散 と な り ま す 。 こ こ に 本 書 の 原 稿 を 執 筆 さ れ た 方 々 を は じ め と し 、 多 年 に 亘 り 本 会 の 活 動 に 御 尽 力 下 さ っ た O B 及 び 職 員 の 関 係 者 の 皆 様 に 厚 く 御 礼 申 し 上 げ ま す 。 ( 「 目 黒 の 思 い 出 を の こ そ う 会 」 会 長 ) 14 号 庁 舎 裏 の 早 咲 桜 「 目 黒 の 思 い 出 を の こ そ う 会 」 構 成 メ ン バ ー 網 代 映 由 植 竹 一 蔵 丹 野 忠 本 多 均 一 平 戸 和 子 魚 津 良 雄 佐 藤 守 夫 宮 崎 昭 光 鈴 木 俊 一 坂 本 正 雄 二 瓶 正 俊 原 田 幸 明 岡 本 昌 明 鈴 木 フ ミ 雀 部 謙 八 木 澤 孝 平 福 田 豊 新 井 隆 田 中 千 秋 氏 名 記 念 物 班 記 念 物 班 リ ー ダ ー ビ デ オ ・ 音 班 ビ デ オ ・ 音 班 ビ デ オ ・ 音 班 ビ デ オ ・ 音 班 リ ー ダ ー 写 真 班 写 真 班 写 真 班 リ ー ダ ー 記 念 出 版 班 記 念 出 版 班 記 念 出 版 班 記 念 出 版 班 記 念 出 版 班 記 念 出 版 班 リ ー ダ ー 副 会 長 副 会 長 → 顧 問 副 会 長 → 顧 問 会 長 備 考 横 山 治 良 安 藤 忠 志 太 田 吉 克 石 井 治 夫 秋 山 武 久 永 田 義 孝 大 根 田 正 喜 北 原 宣 泰 中 川 巧 和 田 尚 之 園 田 秀 人 蓑 口 正 雄 谷 治 治 男 福 島 崇 文 木 原 實 渡 辺 健 二 佐 藤 司 山 本 重 男 土 方 政 行 氏 名 顧 問 顧 問 総 括 総 括 → 顧 問 総 括 → 顧 問 総 括 → 顧 問 事 務 局 → 顧 問 事 務 局 → 顧 問 事 務 局 事 務 局 事 務 局 事 務 局 事 務 局 事 務 局 → 顧 問 事 務 局 → 顧 問 筑 波 支 所 連 絡 委 員 記 念 物 班 記 念 物 班 記 念 物 班 備 考 編 集 後 記 さ ま ざ ま な 思 い を 綯 い 交 ぜ て 筑 波 移 転 が 完 了 し 、 一 足 遅 れ て 「 目 黒 の 思 い 出 」 が 刊 行 の 運 び と な り ま し た 。原 稿 を お 寄 せ い た だ い た 方 々 に 、 ま ず お 礼 を 申 し 上 げ ま す 。 編 集 の 都 合 上 、 文 意 を 損 な わ な い よ う 配 慮 し つ つ 、 編 集 委 員 会 に お い て 修 正 さ せ て い た だ い た 部 分 が あ り ま す こ と を ご 了 承 く だ さ い 。 テ ー マ は ア ン ケ ー ト を も と に 編 集 委 員 会 で 選 択 ・整 理 し ま し た が 、 執 筆 者 に は 取 り 立 て て 注 文 を 付 け る こ と な く 自 由 に 書 い て い た だ き ま し た 。 し た が っ て 、 思 い 出 の 捕 え 方 や 筆 の 走 り 方 も さ ま ざ ま で 、 一 見 、 脈 絡 の な い 個 々 の 思 い 出 の 羅 列 の よ う に も み え ま す 。 し か し 、 全 体 を 通 し て 読 む と 、 そ こ に は 金 属 材 料 技 術 研 究 所 の 歴 史 が 見 え る だ け で な く 、 良 き に つ け 悪 し き に つ け 、 日 本 の 歴 史 の あ る 時 代 を 生 々 し く 生 き て き た 「 現 場 」 の 人 々 の 様 子 が 如 実 に 描 か れ て い る の を 読 み 取 る こ と が で き る の で は な い か と 思 い ま す 。 公 式 の 記 録 に 残 ら な い 歴 史 と い う 意 味 で は た し か に 裏 面 史 で は あ り ま す が 、 少 し 粋 が っ た 言 い 方 を す れ ば 、 歴 史 を 作 る 人 々 の 記 録 、 生 身 の 生 活 の 記 録 で あ り 、 あ る 意 味 で は こ ち ら の 方 が 正 史 と 言 え る の か も し れ ま せ ん 。 文 字 ど お り 頭 の 痛 く な る よ う な 編 集 作 業 を し な が ら の 感 想 で す 。 ご 協 力 い た だ い た 多 く の 方 々 に 、 あ ら た め て 感 謝 い た し ま す 。 〈 出 版 班 リ ー ダ ー 雀 部 謙 〉 目 黒 の 思 い 出 発 行 科 学 技 術 庁 金 属 材 料 技 術 研 究 所 茨 城 県 つ く ば 市 千 現 一 —— 二 —— 一 電 話 〇 二 九 八 —— 五 三 —— 一 〇 〇 〇 発 行 日 平 成 七 年 十 月 一 日 印 刷 所 前 田 印 刷 株 式 会 社 Ea noe aati seeps SoS & repens