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[轟 眞市](https://orcid.org/0000-0003-3986-1900), 井上 悟, 小西 智也

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[ブログを基にした実験ノート: 個人の研究活動を効率化する情報環境](https://mdr.nims.go.jp/datasets/7e70c406-58cb-4c82-9ca9-ee762b00b1c9)

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ブログを基にした実験ノート: 個人の研究活動を効率化する情報環境轟眞市 ∗・小西智也・井上悟物質・材料研究機構物質研究所〒 305-0044茨城県つくば市並木 1-1Received 2004年 12月 8日; accepted 2005年 3月 24日Abstract昨今の情報技術全盛の時代にあって、多くの研究者は日々の活動を記録するのに、今だ紙ベースのノートを使っている。このスタイルの記録方法は、実験データとそれに付随した情報が、ハードディスクと紙とに別々に記録されるという状況を生み出す。この様なデータの分離状態は、実験活動の高効率化を阻害する深刻な要因となる。これは、個々の研究者が過去に行なった結果からフィードバックを得る場合に著しく現れる。そこで我々は、著者のひとりが 4年間ブログ (Weblog)による実験ノートをとり続けてきた経験に基き、ブログを電子実験ノートとして活用することを提案し、これを運用していく上での技術上の要件を議論する。その要件とは次の 2点である。研究活動が行なわれる時と場所を問わずノートを記入・閲覧するために、ネットワークのインフラストラクチャを整えること、および、一般からのアクセスを絶つための個人認証機能をブログサーバに持たせることである。そのためには、ユーザ自らがサーバを立ち上げる必要があるだろう。既に幾つかの知識共有システムが、ユーザインタフェースとして似たような電子ノートを備えている例があるが、本論文のブログシステムがそれとは異なっている点は、他人との共有を意図しない個人的な情報をも蓄積の対象としていることである。既存の知識共有システムが、その蓄積データにハイパーリンクを張ることを許す運用をしていれば、ブログベース実験ノート内に必要なデータ資源へのリンクを埋め込むという形で、個人の必要に応じた情報環境を構築することができる。本論文は、Appl. Surface Science誌 (252[7] pp. 2640–2645, 2006)に掲載された論文の和訳である。原題: Blog-based research notebook: personal informatics workbench for high-throughputexperimentationhttp://dx.doi.org/10.1016/j.apsusc.2005.03.235http://www.geocities.jp/tokyo1406/node2.html#Todoroki05ASSKey words: blog, informatics, electronic notebook, high-throughput experimentationPACS:07.05.Kf, 07.05.WriPreprint submitted to Elsevier Science 29 September 2008http://dx.doi.org/10.1016/j.apsusc.2005.03.235�http://www.geocities.jp/tokyo_1406/node2.html#Todoroki05ASS�LOG BOOKLOG BOOKNetwork(a) (b)Fig. 1.研究者の活動を記録するスタイルを比較した図。昔 (a)と今 (b)。1 はじめに昨今の情報技術全盛の時代にあって、多くの研究者は日々の活動を記録するのに、今だ紙ベースのノートを使っている。このスタイルの記録方法は、パソコン利用の一般化に伴って、一つの問題点を孕むことになったのだが、それは長い間見過ごされてきた。その問題とはすなわち、我々が得た実験データが主にハードディスクに記録される一方、残りの情報 (実験戦略、データの評価、補足的なメモなど)が紙ベースのノートに記録されているという点である (Fig. 1参照)。この様なデータの分離状態は、実験活動の高効率化を阻害する深刻な要因となる。なぜなら、過去に行なった実験の流れを辿ることが困難になるためである。すなわち、パソコンと実験ノートの両方に当たらなければならず、またそこから拾い出した情報を、日付やファイル名、さらには記憶に残った断片的な情報に基づいて再構成しなければならないからである。このような作業は、過去の実験結果から素早くフィードバックを得るのに障害となる。特に、取り扱うデータ量が大きい場合に著しい。この問題の根源は、紙ベースのメディアに蓄積された情報に特有な次の性質にある。すなわち、電子メディアに蓄積された情報と異なり、データの読みとりや関連情報への参照をするのに人手を介さなければならない点である。この問題に対する解決策は至ってシンプルである。すべての情報を一ヶ所に電子的に蓄え、紙ベースのノートを排すれば良い。しかしこれは、言うは易し、行なうは難しである。そこで我々は、ブログを電子実験ノートとして活用することを提案する。ブログは、Webブラウザと同様の使い易い操作性を有し、簡単に使える執筆ツールと全文検索機能を備えている。ブログを使った実験ノートは従来のブログに比べ次の一点において異なっている。その読者が著者 (および必要とあればその同僚)に限定されている点である。我々は、著者のひとりが 4年間ブログによる実験ノートをとり続けてきた経験に基き、これを運用していく上での技術上の要件を議論する。本論文では、ブログ技術に関する簡単なまとめ (第∗ Corresponding author.Email address:TODOROKI.Shin-ichi at nims.go.jp Tel:+81-29-860-4348 Fax: +81-29-854-9060 (轟眞市).URL: http://www.geocities.jp/tokyo 1406/ (轟眞市).2http://www.geocities.jp/tokyo_1406/�2節)の後、ブログを我々の実験ノートとして使うための要件 (第 3節)、および、我々の実験データとブログによる実験ノートとの間の追跡照会性を高めるコツ (第 4節)について議論する。最後に、この実験ノートを、従来から知られている [1,2]電子ノートと比較する (第 5節)。この様な議論は、研究者に有用なばかりでなく、インフォマティクスツールに関してビジネス展開を考えているシステムベンダーにも有用である。2 ブログの一般化ブログ (blog)という単語は、“web log”に由来するもので、公開された個人の日記システムをさす. 個人でつける日記と似ているが、Webを通じて他人と共有する点が異なっている。ブログは 90年代後半に登場したが、人気が出始めた理由は、無料でブログ機能を提供するサイトが現れたからである (http://www.blogger.com/や http://blog.goo.ne.jp/等。ブログの基本的機能は次の 4点である。(1)記事を書かれた時間順に表示する。(2)ユーザーの指定した条件 (日付、話題、キーワード)に合致する記事を表示する。(3)新規な記事を登録する。その記事には、グラフィックスやマルチメディアを含ませたり、他のコンテンツ (例えば、過去の記事、Webサイト、手元のデータファイル、外部のデータベースなど)へのリンクを埋め込むことが出来る。(4)すべての機能はWebブラウザを通して呼出しが可能で、あらかじめ使い方を学習する必要がない。3 実験ノートとして使うための要件ブログは基本的にはコミュニケーションのためのツールであるので、その内容は一般に公開される。しかしこれでは、我々の実験ノートとして用いるには不都合である。よって、個人認証機能が付加されなければならない。また、ブログの内容は、我々の研究活動の間じゅういつでもどこでも閲覧でき更新できなければならない。さらには、実験ノートに含まれるすべての内容は、我々がどこに居ようともネットワークを介して閲覧できなければならない。この節では、既存のブログシステムで、上述の特徴を実現するための技術的要件を議論する。3.1 個人認証機能この機能は、既存の無料ブログサービスでは一般的に利用できない。そこで、少なくとも 1台のコンピュータを、ブログサービスを提供するWebサーバとして立ち上げる必要がある。これに必要なソフトウエアパッケージは、3http://www.blogger.com/�http://blog.goo.ne.jp/�OfficeInternetLANHomeFirewallLab(2) Terminal A (4) Mirror server A(1) Blog server(3) Terminal B (5) Mirror server BFig. 2.端末がブログサーバへのアクセスする経路。HTTP(Hypertext Transfer Protocol)サーバとブログ用のCGI(Common GatewayInterface)ツールである。個人認証機能は HTTPサーバによって提供される。ユーザーが設定できるブログソフトウエアパッケージにはさまざまなものが有り (例えば [3]参照)、個人の都合 (コスト、オペレーティングシステム、スキル等)に応じて選べる様になっている。著者らは Linuxをベースにしたシステムを立ち上げ、Apache HTTPサーバ [4]と tDiary[5]を利用している。3.2 ブログサーバへの接続性「いつでも、どこでもブログ」を実現するには、ネットワーク端末がオフィスや実験室、自宅に備えられて居なければならない。もし、サーバが HTTPプロトコルを遮断してしまうファイヤウォールの中に設置されているのであれば、ファイヤウォールの外にミラーサーバを配置しなければならない (Fig. 2(5)参照)。次善の策はこの様なミラーサーバをノートパソコンに設定し、ファイヤウォールの外に出掛ける時はそれを携帯することである (Fig. 2(4)参照)。PDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話を介した無線アクセスでも実現できるが、四六時中携帯し小さい画面での作業に耐えられる場合に限られる。3.3 コンテンツへの接続性実験ノートの内容はHTTPプロトコルで送られるため、全てのデータ (テキスト、写真、図面、他の資源へのリンク)はブログサーバやHTTPプロトコルを送受信できる他のデータベースサーバに蓄えられている必要がある。後者は、利用者が限定されているデータベースである場合もありうる。例えば、[1,2]の様な、研究プロジェクト内でデータを共有する目的で立てられたサーバである。上述の全ての資源は、実験ノートの本文にHTML(Hypertext Markup Language)で埋め込まれる。Figure 3は、ブログ画面の一例である。4Fig. 3.著者のひとりが管理する、ブログによる実験ノートの一画面。4 ブログとデータファイル間の追跡照会性の向上このブログベースの実験ノートを立ち上げ、一定期間運用すれば、過去の実験データをこの実験ノートから追跡できるようになるが、そのためにはそれらのデータを実験ノートにあらかじめ埋め込んでおく必要がある (Fig. 4の (1)から (2)を参照)。しかし、実際はこれと逆方向の参照をする方が多い。すなわち、最初に実験データを開き、そのデータが収録された日に記された実験ノートの記述を参照する場合である (Fig. 4の (2)から (3)を参照)。この様な時に、毎回ブログに日付を手入力するのは非効率的であり、この様なリンクを自動生成する手段が必要となる。この機能を備えるべきものは、データの可視化ソフトや上述したデータベースサーバの側である。そこで我々は、Fig. 5に示すような簡単なプログラムを書き、データの可視化と対応するブログのページの表示ができる様にした。ユーザーはまず、画面の下半分でデータファイルを選ぶ。すると、画面の上半分にそのデータが収録された日付が表示される。選んだデータは、画面の中程にある “Visualize5• 2004/12/8 • 2004/12/9 • 2004/12/10Automatichyperlinkingto Blog pages• 2004/12/10Datafile1Datafile2Datafile3Manualhyperlinkingto datafiles...T...T ...T(1) A blog page(2) Visualizing software(3) blog pagesFig. 4.ブログのページとデータファイルの間のハイパーリンク。角丸の四角形は、ブログベースの実験ノートや可視化ソフトウエアの画面を表す。破線矢印はこれらのページを結ぶハイパーリンクを示す。Fig. 5.データの可視化と関連するブログベース実験ノートのページを開くユーティリティーの画面。オブジェクト指向スクリプト言語 Ruby[7]と Ruby-GNOME2ライブラリ [8] で書かれている。by” ボタンをクリックすることで可視化される。対応するブログ実験ノートのページは、画面上部の “Display the Diary”ボタンのクリックにより表示される(Fig. 3)。この様なツールの助けによって、我々はパソコンを通じて必要なデータにアクセス出来るようになり、 1節やFig. 1の右側に示したデータの分離保存状態を管理するストレスから解放される。65 既存の電子ノートとの比較今までに、知識共有システムの端末としての「電子ノート」がいくつか提案されている [1,2]。蓄積されたデータを表示する機能に関して見れば、これらのノートと本論文のブログベース実験ノートの間には大きな差は無い。しかし、実際の運用の際には、両者は異なるものとなる。前者の取り扱うデータは、知識共有システムのユーザー間での共有を前提としている。ユーザーは、他のユーザーが興味を持つもののみをサーバにアップロードする。これに対して、ブログベース実験ノートは、ブログを書く人が将来参照する可能性のあるすべての情報を蓄積する。すなわち、我々がかつて紙の実験ノートに書き付けていたことすべてである。ブログ実験ノートの実践的な利点とは、たとえ、既存の電子ノートサービスが利用できない場合でも、各個人が自分の好きな様にブログを始めることが出来る点である。知識共有システムが提供する電子ノートを既に利用している人でも、自分のブログ実験ノートを立ち上げるメリットはある。その際、新たなデータの分離保存状態を心配する必要は無い。なぜなら、これらのデータサーバ間でコンテンツ間のリンクを許すように運用されている限り、ユーザは異なるシステム間の境界線を意識せずに利用できるからである。これらの電子ノートは目的に応じて使い分けられる。データの共有か、個人に閉じた利用か、である。加えて、「トラックバック」と呼ばれる自動相互リンク生成機能が、ブログのコミュニティーで多く利用されている [6]ことに注目すべきである。相手先のブログサーバがCGIを通じてトラックバックを受け付ける様になっていれば、そのサーバ上のページに、自分のページへのリンクを埋め込むことができる。既存の知識共有システムが、利用者の開設したブログシステムと連携しようとするならば、この機能は必須のものとなる。6 結論ブログに基づいた実験ノートは、我々がかつて紙のノートに記録していた様なすべての情報を電子的に管理することを可能にする。これを利用するためには、ユーザ自身がサーバを立ち上げ個人認証機能を付加し、いつでもどこでもブログを閲覧・記入できるインフラを整える必要がある。一旦これらが整えば、ブログは個人用情報管理デスクの役割を果たし、必要なすべての情報を追跡・収集する玄関口となる。既に、いくつかの情報共有システムが、同様の電子ノートをその端末として運用しているが、これらの電子化されたノートは、その目的によって適切に使い分けが可能である。すなわち、管理すべき情報が、個人的なものなのか、共有を促進すべきものなのか、による。7References[1] S. J. Ludtke, L. Nason, H. Tu, L. Peng, W. Chiu, Object oriented database and electronicnotebook for transmission electron microscopy, Microscopy and Microanalysis 9(2003) 556–565.[2] S. Meguro, T. Ohnishi, M. Lippmaa, H. Koinuma, Elements of informatics forcombinatorial solid-state materials science, Meas. Sci. Technol. 16 (1) (2005) 309–316.[3] O. Winkler, Blog software breakdown,(http://www.asymptomatic.net/blogbreakdown.htm) (Apr. 2004).[4] The apache software foundation, (http://www.apache.org/).[5] tDiary, (http://sourceforge.net/projects/tdiary/).[6] Mena and Ben Trott, A beginner’s guideto trackback, (http://www.movabletype.org/trackback/beginners/, Japanese translation:http://kotonoha.main.jp/weblog/000138trackbackguide.html) (Mar. 2003).[7] Ruby Home Page, (http://www.ruby-lang.org).[8] Ruby-GNOME 2, (http://sourceforge.net/projects/ruby-gnome2/).8http://www.asymptomatic.net/blogbreakdown.htm�http://www.apache.org/�http://sourceforge.net/projects/tdiary/�http://www.movabletype.org/trackback/beginners/�http://www.ruby-lang.org�http://sourceforge.net/projects/ruby-gnome2/�