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[2025_粉体および粉末冶金.pdf](https://mdr.nims.go.jp/filesets/2b7d1eb2-654d-44d8-9815-89dcf7c58634/download)

## Creator

[Naohito TSUJII](https://orcid.org/0000-0002-6181-5911)

## Rights

[Creative Commons BY-NC-ND Attribution-NonCommercial-NoDerivs 4.0 International](https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/)

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[Development of Thermoelectric Materials using Magnetic Interaction](https://mdr.nims.go.jp/datasets/d3934efb-85bd-4141-acc5-d4b6626637ae)

## Fulltext

jjspm72-9-25-000322025年 9月J. Jpn. Soc. Powder Powder Metallurgy, 72 (2025) 193-200https://doi.org/10.2497/jjspm.25-00032©2025 Japan Society of Powder and Powder Metallurgy193受賞記念講演：第 47回研究進歩賞（2022年度）磁性の相互作用を利用した高出力熱電材料の開発辻井　直人*物質・材料研究機構，〒 305-0047つくば市千現 1-2-1．Development of Thermoelectric Materials using Magnetic InteractionNaohito TSUJII*National Institute for Materials Science, Sengen 1-2-1, Tsukuba 305-0047, Japan.Received July 18, 2025; Revised August 6, 2025; Accepted August 7, 2025; J-STAGE Advance Published date: September 2, 2025ABSTRACTThermoelectric conversion is expected to be useful for improving energy efficiency.  Developments of high-performance thermoelectric materials, however, are challenging because of the trade-off between electrical and thermal properties.  Here, we show our studies of enhancing thermoelectric power factor by using the interaction of carriers and magnetism.  The first example is the antiferromagnetic semiconductor CuFeS2.  A high power-factor of 1 mW/K2m is achieved for the CuFeS2-based alloys, where the antiferromagnetic ordering of Fe magnetic moment is coupled with the carrier electrons, leading to large Seebeck coefficients.  This finding motivated us to the second example, dilute magnetic semiconductors CuGa1-xMnxTe2.  Enhanced power factor and ZT are obtained for slight Mn-doping with x = 0.01 to 0.03.  Strong coupling of carriers and magnetic moments was clarified by the magnetic and transport measurements.  Finally, the case of itinerant-electron ferromagnet is described.  Magnetization studies demonstrate that the Heusler alloys Fe2V1-xMxAl1-ySiy (M = Cr, Fe) are classified as itinerant-electron weak ferromagnetic metals.  Distinct increase in the Seebeck coefficient around the Curie temperature is observed, indicating the contribution of spin fluctuation.  Increase in thermopower due to magnetic interaction occurs in a wide temperature range, thereby is helpful for the application of thermoelectric devices near room temperature.KEY WORDSthermoelectric materials, magnetic semiconductors, spin fluctuation１　諸　　　言省エネルギーやカーボンニュートラルのために廃熱を電力に変換する熱電技術が注目を集めている．熱電変換は固体のゼーベック効果を利用した発電技術であり，固体素子のみによって構成されるため，長期安定性，メンテナンス不要といった利点がある．さらに発電効率が素子の規模に依存しない，すなわちスケール依存性がないという特徴を有する．このため廃熱利用の手段として，タービンが設置できないような高所や，分散した小さな熱源，さらには体温までを利用して熱電変換から電力を得ることができる．IoTデバイス・センサーの自立電源としての用途も期待されている．しかしながら，熱電変換効率の向上やコストの低減が課題であり，さらなる技術革新が強く望まれている1-3)．熱電変換効率を大きく支配するのは熱電材料の物理的特性であり，無次元性能指数 ZT = S2T/ρκが指標としてよく用いられる．Tは絶対温度，Sはゼーベック係数，ρは電気抵抗率，κは熱伝導率である．ZTが大きいほど変換効率が高くなる．例えば 300°Cの温度差で平均の ZTが 1である材料を用いると熱から電力への変換効率は約 10%となる．しかし S，ρ，κの各物性は相互に関係しあってトレードオフの関係にあるため，ZTを大きくすることは容易ではない．加えて，熱電材料には環境親和性，低コスト，安定性といった特性も求められる．近年，元素置換やナノ構造の導入による熱伝導率の低減に著しい進展が見られている2)．その結果，ZTが 2を超える材料も見出されている．一方，ZTに含まれる出力因子（= S2/ρ，パワーファクター）も大きくすることが重要であるが，電子状態を制御する必要があるため，出力因子を大きくすることは困難である．そのため出力因子増大の汎用的で有効な指針* Corresponding author, E-mail: tsujii.naohito@nims.go.jp本論文はCC BY-NC-NDライセンスによって許諾されています． ライセンスの内容を知りたい方は， https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.jaでご確認ください．「粉体および粉末冶金」第 72巻第 9号194 辻井　直人が求められている．これまで電子状態計算を活用した材料探索により，例えばフラットバンド，多バレー，共鳴準位などの特徴的な電子構造を有する物質が有望であると提唱されている4-6)．しかしその知見を現実の材料に反映させることは容易ではない．さらに電子状態計算にはキャリアと相互作用する他のメカニズムがまだ取り込まれていない．例えばフォノンドラッグなどよく知られた現象であっても，微視的理論による解明が進んだのは最近のことである7,8)．従って，幅広い物質に適用できる熱電特性向上のための新規なメカニズムが得られれば，さらなる性能向上のために非常に有用であると考えられる．本解説では我々がこれまで行ってきた磁性との相互作用を利用した熱電特性向上のための実験的研究について述べる．まず天然の磁性半導体である黄銅鉱（CuFeS2）をベースにした材料における反強磁性磁気秩序とキャリアの相関によってもたらされた高い出力因子の発見について述べる．続いて，磁性の効果とキャリアドープの影響を分離して議論するために行った希薄磁性半導体 CuGa1-xMnxTe2について述べる．さらに，これらの例では磁気モーメントと伝導キャリアが空間的に分離していたが，両者が不可分となる遍歴電子強磁性体Fe2V1-xMxAl（M = Cr, Fe etc.）においても，スピン揺らぎによってゼーベック係数が顕著に増大された例を説明する．２　磁性半導体CuFeS2系における 反強磁性磁気秩序と高い出力因子以前より我々は磁性イオンがドープされた希薄磁性半導体における不純物スピン状態やそれと相関する物性に興味を持ち，カルコパイライト型半導体 CuInS2にMn，Feなど 3d元素をドープした系の磁性および電気伝導特性や，Ybをドープした結晶試料の磁場中フォトルミネッセンスの評価を行ってきた9,10)．その過程でこれらの磁性半導体においてはキャリアと局在磁気モーメントが強く結合し，物性に顕著な影響を与えていることを報告してきた．我々は磁性半導体においてはキャリアが磁気モーメントとの相互作用によって有効質量の増大した準粒子となることで，ゼーベック係数の増大など熱電材料として有用な効果がもたらされるのではないかと考えた．このような着眼点に基づき，カルコパイライト系CuFeS2に着目した．CuFeS2は天然の鉱物であり，非常に多くの研究が行われてきた物質である11-13)．古くはゼーベック効果を発見したトマス・ゼーベックもカルコパイライトにおける熱磁気効果を評価している14)．結晶構造がアメリカで決定された最初の物質となった15)．Feイオンが磁気モーメントを担っており，550°Cという高い温度で反強磁性秩序を示す13,16)．ゼーベック係数に関する報告はあるが，キャリアドープなどによる系統的な研究は行われていなかった13,17)．我々は CuFeS2が強い反強磁性相互作用を持つ磁性半導体であることから，キャリアとの相関による顕著な熱電物性が期待できると考えた（Fig. 1 (a)）．加えて，Cu，Fe，Sは地殻中に豊富な元素であり毒性が低いため環境親和性が高い．さらに天然の鉱物として存在することから，大気や水分に対して安定であるというメリットがある．そこで CuFeS2にキャリアドープを行った試料を作製し，熱電特性を評価することにした．試料は固相反応および放電プラズマ焼結（SPS）によって作製した多結晶焼結体を用いた．Fig. 1 (b)に示すように光沢を有する緻密な試料が得られた18)．Fig. 2にCuFeS2，Cu0.97Fe1.03S2，Cu0.97Zn0.03FeS2焼結体の電気抵抗 (a)，ゼーベック係数 (b)，出力因子 (c)の温度変化を示す．CuFeS2は半導体的な温度変化を示している．一方，Cu0.97Fe1.03S2とCu0.97Zn0.03FeS2では電気抵抗が二桁近く低減され，金属的な温度変化を示した．このように，一部の Cuを Fe あるいは Znで置換することによってキャリアドープが有効に行われたことがわかった．Fig. 2 (b)にゼーベック係数の温度変化を示す．すべての試料で負の大きなゼーベック係数が観測され，n型のキャリアが優勢であることがわかる．注目すべきことに，電気抵抗が 2桁も低減して金属的な電気伝導 を示した Cu0.97Fe1.03S2とCu0.97Zn0.03FeS2において，-300 μV/Kもの大きなゼーベック係数が観測されている．その結果，Fig. 2 (c)に示すように室温付近で 1 mW/K2mを超える大きな出力因子が観測された19)．Fig. 1 � (a) Schematic view of the antiferromagnetic ordered structure of CuFeS2 and its interaction with carrier electrons. (b) CuFeS2 sample prepared by the spark plasma sintering method.2025年 9月195磁性の相互作用を利用した高出力熱電材料の開発この起源を調べるために，キャリア密度をホール係数測定によって見積もり放物線バンドモデルでキャリアの有効質量を算出した．その結果，キャリアドープしたカルコパイライト試料では電子の有効質量が自由電子の 4倍から 6倍にも増大されていることが示された19)．このような大きな有効質量は，電子間のクーロン反発力に由来する強い電子相関を有する物質でよく見られる．金属的電気伝導を示すNaxCoO2においても，電子相関によってキャリアの有効質量が増大され，大きなゼーベック係数が出現している20)．CuFeS2における有効質量増大のメカニズムにおいて注目すべきは，縮んだ反強磁性磁気モーメントである．CuFeS2の反強磁性相互作用は非常に強く，550°Cの高温で反強磁性秩序を起こす13)．一方，中性子回折によって見積もられた Feの反強磁性磁気モーメントは，室温において 3.3 μB程度である16)．これは Fe3+（S = 5/2）で期待される 5 μBより著しく縮んでいる．原因として，Feの 3d軌道が伝導電子や周囲の価電子と強く混成し，3d電子が非局在化しているためであると議論されている16,21)．このような強い 3d軌道との混成によって，Fe3+のスピン磁気モーメントが抑制され，同時にキャリアの有効質量が増大し，大きなゼーベック係数と出力因子につながったと考えられるのである．３　希薄磁性半導体CuGa1-xMnxTe2における 出力因子と ZTの増大磁性半導体 CuFeS2系ではドープされたキャリアが反強磁性秩序を伴った 3d電子と強く混成することによって出力因子が増大していることが示された．ただし，CuFeS2は磁性イオンが高濃度に存在しており，Feの 3d電子がバンド構造そのものを形成しているため，熱電特性における磁性の寄与のみを分離して議論することが不可能である．そこで非磁性の半導体材料に磁性イオンを添加した希薄磁性半導体において，磁性イオンが熱電特性にどのような効果をもたらすかを調べることにより，磁性と熱電特性の相関を実験的に明らかにしたいと考えた．出発物質としてカルコパイライト型半導体CuGaTe2を用い，磁性イオンをドープしたCuGa1-xMnxTe2の多結晶試料を固相反応と SPSによって合成し，熱電特性を評価した22)．この結果を Fig. 3に示す．Mnの置換により，Fig. 2  Temperature dependence of the electrical resistivity (a), Seebeck coefficient (b), and power factor (c), of CuFeS2-based samples.Fig. 3 � Temperature dependence of the electrical resistivity (a), Seebeck coefficient (b), power factor (c), and ZT (d) of CuGa1-xMnxTe2.「粉体および粉末冶金」第 72巻第 9号196 辻井　直人電気抵抗が顕著に減少している．これはGa3+イオンがMn2+で置き換えられたことにより，ホールがドープされたためである．Fig. 3 (b)にゼーベック係数の温度変化を示す．全ての試料で正の大きなゼーベック係数が観測され，p型のキャリアが優勢であることがわかる．これは上記のキャリアドープの解釈と一致している．ここで，ゼーベック係数はMnドープとともにある程度減少しているが，その減衰は x = 0.05においても 50%程度に留まっている．その結果，出力因子はFig. 3 (c)に示すように，Mn置換によって大きく向上した．キャリアドープのみの効果とそれ以外の効果を分離するために，実験データを放物線バンド近似に基づいて解析した．その結果を Fig. 4 (a)に示す．破線はノンドープのCuGaTe2の測定結果から算出されたキャリアの有効質量と移動度をもとに，キャリアドープされた CuGaTe2系材料の出力因子を電気伝導度（σ）の関数として示したものである．Mnドープ試料の出力因子はこの計算結果を大きく上回っていることがわかる．破線よりもさらに増大した成分は，キャリア密度依存性以外の新規な機構によって熱電特性が向上したことを示している．ここで，Mnの置換量は数%に過ぎないが，Mn2+によってホールが生成されているため，キャリアとMnの磁気モーメントは Fig. 4 (b)のように強く結合していることが予想される．そこで磁性および磁気輸送特性の測定を行った．Fig. 5 (a)にCuGa1-xMnxTe2の逆磁化率の温度変化を示す．逆磁化率は温度に対して直線的であり，Curie-Weiss的な温度変化（χ-1 = (T – θ)/C，θはワイス温度，CはCurie定数）を示していることがわかる．ここから見積もったCurie定数はMn2+（S = 5/2，g = 2）の有効磁気モーメント peff = 5.48 μBおよびドープされた濃度によって計算された値と良い一致を示した．興味深いことに，ワイス温度 θは -60 Kから -128 Kと非常に大きな負の値を示している．これは非常に強い反強磁性相互作用が働いていることを示唆している．分子場近似を用いると，磁性イオン間の相互作用 Jとワイス温度 θは， Fig. 5 � (a) Temperature dependence of the inverse magnetic susceptibility of CuGa1-xMnxTe2. The measured susceptibility of x = 0 is subtracted in advance. (b) Electrical resistivity of CuGa0.97Mn0.03Te2 measured under H = 0 T and 7 T. The magnetic field is applied perpendicularly to the electrical current direction.Fig. 4 � (a) Power factor of CuGa1-xMnxTe2 at T = 475 K plotted as a function of electrical conductivity σ. Broken line shows the calculation based on a single parabolic band model with using the carrier effective mass and mobility of x = 0. (b) Schematic view of interaction between Mn2+ magnetic moment and hole.2025年 9月197磁性の相互作用を利用した高出力熱電材料の開発θ = -2S (S + 1)NNJ/ 3kBで関係づけられる23)．ここでNNは隣接する磁性イオン数である．Jの値は不明であるが，Zn1-xMnxTeで見積もられている J/kB～-10 K [24]を用いると，θ = -60 Kを説明するにはNN～1となることがわかった．すなわち，分子場でワイス温度の大きな負の値を説明しようとすると，CuGaTe2において，わずか 1%ドープされたMnが互いに隣接しあって存在することが必要となってしまうが，このような状況は現実的ではない．そのためこの反強磁性相互作用をMnイオン間の交換相互作用により説明することは困難であり，Mnの磁気モーメントとホールとのシングルサイトにおける相互作用が原因ではないかと考えられる．Fig. 5 (b)にはCuGa0.97Mn0.03Te2の低温の電気抵抗を示す．-logT的な増大が見られており，さらに 7 Tの磁場印加によりこの増大が抑制されていることがわかった25)．このように，CuGa1-xMnxTe2ではMn2+の局在スピンとキャリア（ホール）がKondo的なシングルサイトの反強磁性相互作用で強く結合しており，それによってキャリアの有効質量が増大した結果，大きなゼーベック係数と出力因子が得られていると考えられる．またこの物質では非常に大きな負の異常ホール効果も観測され22)，上記の描像とコンシステントである．同じ結晶構造の CuIn1-xMnxTe2においても，同様の現象が観測された26)．ただし，CuIn1-xMnxTe2ではMnが 3価イオンとして置換されていることが磁化率から示唆された．この場合，In3+とMn3+が同じ価数のため，キャリアとMnイオンの結合はそれほど強くないと考えられる．実際，高温では熱電特性の増大が見られなくなるという興味深い現象が観測された26)．一方，Mnではなく Feを添加したCuGa1-xFexTe2では，微細構造と元素分析の結果，FeはほとんどGaを置換しておらず，結晶粒界に偏在することが明らかとなった．この場合，Feドープ量が数%と小さい試料では FeTe2の微粒子が析出することによって熱伝導率が低下し，ZTの向上が見られた27)．Feドープ量がさらに増加すると FeTe2の結晶粒が成長するために熱伝導率が増加に転じ，その結果 ZTが減少することがわかった．このメカニズムは磁性の相互作用と全く別のものであるため，両者を併用することで熱電特性のさらなる向上が可能であると考えられる．４　弱い遍歴電子磁性体のスピン揺らぎによる 熱電特性の増大これまで述べてきた磁性半導体においては，局在的な磁性イオンとキャリアの相互作用が中心的な役割を果たしていた．一方，遍歴電子磁性体ではキャリアが伝導と磁性を同時に担うため，熱電特性への影響もより顕著になる可能性がある．我々はホイスラー合金 Fe2VAlの置換系に注目して磁性と熱電特性の影響を調べた．Fe2VAlはフェルミ面近傍に擬ギャップを有するため半金属として振る舞うために興味を持たれており，非常に多くの研究が行われてきた28-30)．元素置換によって n型あるいは p型に調整可能であり，資源豊富で機械強度に優れた熱電材料として注目されている．擬ギャップのために基底状態は非磁性であるが，強磁性に近い金属であることも知られている31-33)．我々は磁性イオンがドープされた Fe2V1-xMxAl1-ySiy（M = Cr, Fe）において，弱い強磁性に付随したスピン揺らぎによってゼーベック係数が顕著に増大されるという興味深い現象を見出した34)．Fig. 6 (a)に合成した Fe2V0.9Cr0.1Al0.9Si0.1とFe2.2V0.8Al0.6Si0.4多結晶試料の逆磁化率の温度変化を示す．逆磁化率が温度 Tに比例するCurie-Weiss的な温度変化が観測され，ワイス温度 θが正であることから強磁性的であることがわかる．Curie定数から見積もった有効磁気モーメントは，磁性原子あたり 4.4～4.5 µBと換算された．これは Fe2+の高スピン状態（S = 2）の有効磁気モーメント 4.8 µBに近い値である．つまり常磁性状態では全ての FeおよびCr原子がある程度の磁気モーメントを担っているように見える．Fig. 6 (b)に低温での磁化Mの磁場依存性を示す．強磁性的振る舞いが観測されているが，飽和磁化は 0.4～0.6 µB程度であり，常磁性状態の有効磁気モーメントより 1桁も小さいことがわかる．このような振る舞いは遍歴電子系の弱い強磁性体特有の振る舞いであり，例えば Sc3In，Y(Co1-xAlx)2，Sr1-xCaxRuO3Fig. 6 � (a) Temperature dependence of the inverse magnetic susceptibility of Fe2V0.9Cr0.1Al0.9Si0.1 and Fe2.2V0.8Al0.6Si0.4 sintered samples. Solid lines indicate the Curie-Weiss fit. (b) Field dependence of the magnetization of Fe2V0.9Cr0.1Al0.9Si0.1 and Fe2.2V0.8Al0.6Si0.4 at low temperature.「粉体および粉末冶金」第 72巻第 9号198 辻井　直人などが典型例として挙げられる35-37)．弱い強磁性体においては，通常の金属強磁性体よりも，低エネルギー励起であるスピン揺らぎが著しく増大されている35-37)．そのため物理量がスピン揺らぎの影響を強く受けることが特徴である．Fig. 7に試料の磁化の温度変化とともにゼーベック係数の温度変化を示す．特徴的な振る舞いとして，強磁性転移温度付近でゼーベック係数が大きく増大されていることがわかる．強い磁場を印加すると強磁性スピン揺らぎは抑制されることが知られている．Fig. 7には 7 Tもしくは 9 Tの磁場中で測定したゼーベック係数の温度変化も示した．TC近傍でのゼーベック係数の増大が，磁場によって著しく抑制されていることがわかる．このことから，ゼーベック係数が強磁性スピン揺らぎによって増大されていることが明らかとなった．スピン揺らぎの寄与を見積もるために，低温側から温度 Tに直線的な成分を通常の電荷拡散によるゼーベック係数，Sdiffと仮定して差し引くと，増大分は TC付近で 20%にも及ぶことがわかり，さらに TCよりはるか高温側まで増大が起こっていることがわかった34)．Fe2.2V0.8Al0.6Si0.4においては，Fig. 7 (b)を見ると，室温付近で 50%近いスピン揺らぎによるゼーベック係数増大が起こっていると推察される．これは出力因子で考えると 100%以上の増大にも相当する．Fig. 8 (a)に Fe2V0.9Cr0.1Al0.9Si0.1の S/Tを磁場および温度に対してプロットしたものを示す．この図から，S/Tは強磁性転移温度付近で極めて強い強度を示すことがわかる．磁場の印加により S/Tは減衰するが，7 Tの磁場中でも完全には消失していない．さらに，S/Tの増大は室温近傍まで広がって存在していることもわかる．Fig. 8 (b)にはスピン揺らぎによるゼーベック係数の増大の概念図を示した．熱エネルギーがスピン揺らぎを介して効率よく電子系のエネルギーに変換される様子を示している．磁気秩序に付随する熱励起では，スピン揺らぎのほかに，マグノン（スピン波）の寄与も考えられる．マグノンによるゼーベック係数については，前述した CuFeS2において大きな寄与があると考えられる38)．Fe，Co，Niなどの強磁性体金属にもマグノンによるゼーベック係数増大が観測されている39,40)．ここで，強磁性マグノンにおけるゼーベック係数の寄与は Tの 3/2乗に比例して増加することが理論および実験で示されている40-42)．一方，今回観測されたゼーベック係数の増大分を Tのべき乗で解析すると，Tの 3/2乗よりも速く増加することがわかった34)．これはスピン揺らぎ理論による計算とコンシステントである43)．そのため，今回のホイスラー系においては，マグノンの寄与は小さく，スピン揺らぎの寄与が大きいと結論される．この原因として，遍歴電子強磁性体，特に弱い強磁性体ではマグノンの寄与は非常に低温でのみ重要であり，温度上昇に伴ってストーナー励起が発達するためであると考えられる35)．Fig. 7 � Static magnetization M (a) and Seebeck coefficient S (b), of Fe2V0.9Cr0.1Al0.9Si0.1 (circles) and of Fe2.2V0.8Al0.6Si0.4 (diamonds), as functions of temperature. Dotted lines in panel (b) are the linear extrapolation from the low temperature data, corresponding to the diffusion part in the Seebeck coefficient, Sdiff.Fig. 8 � (a) S/T plot of Fe2V0.9Cr0.1Al0.9Si0.1 on the magnetic field-temperature plane. (b) Schematic image of the conversion of thermal energy to electronic energy mediated by the spin fluctuation.2025年 9月199磁性の相互作用を利用した高出力熱電材料の開発Fe2+xVAl1-xや高温から急冷することによって欠陥が多量に導入された Fe2VAlにおいても熱電特性の増大が見られた44)．ここではV，Alサイトを置換した Fe原子が磁気モーメントを有するため磁性を発現し，熱電特性に顕著な影響を与えたことが議論されている．また Fe2V0.8Mn0.2Al薄膜試料において，p型で 4 mW/K2mの高い出力因子が観測され，この試料で強磁性的振る舞いが見られていることから，磁性との相関が寄与していることが予想される45)．これまで熱電特性におけるスピン揺らぎの影響は，YCo2， ScCo2やCaFe4Sb12など「強磁性に近い金属」において見出されてきた43,46,47)．しかしながらその寄与は低温に限られ，また，大きな増大をもたらすものと見なされていなかった．そのためスピン揺らぎによるゼーベック係数の増大は，応用という観点ではなく，むしろ電子相関を観測するプローブとして興味を持たれてきた．しかし今回のホイスラー化合物におけるスピン揺らぎの効果は，室温付近で非常に大きな増大をもたらすことがわかり，熱電材料における磁性の寄与の導入が大きな可能性を持っていることを示すものである．５　熱電材料における磁性の効果の波及磁性の相互作用を積極的に導入することにより熱電材料の特性向上につなげることができることがわかった．我々がカルコパイライトで磁性の効果を報告して以降19)，世界中で様々な他の物質においても磁性と熱電特性の相関が報告されてきている．Liをドープした反強磁性体MnTeにおいて，ネール温度（307 K）よりはるか高温（～900 K）までゼーベック係数の増大が起こることがアメリカのグループにより見出され，これは常磁性状態でも存在する反強磁性相関（パラマグノン）の効果であると報告された48)．さらにMnSbとCrSbの比較により，強磁性マグノンよりも反強磁性マグノンのほうが大きな群速度を有するためにゼーベック係数増大の寄与が大きいと報告された49)．また，遷移金属イオンが有するスピンと軌道の自由度がゼーベック係数と相関することが以前からCo酸化物などで議論されてきた50)．Cr硫化スピネルや Ti硫化物，Ru酸化物など多くの遷移金属化合物においても，スピン自由度に基づくエントロピーとキャリアの相互作用が熱電特性向上のメカニズムとして有効であることが示された25)．f電子系においても，価数揺動を示すYbAgCu4，Yb3Si5，YbSi2-δが大きなパワーファクターを示すことが見出された51-54)．ここではYb2+-Yb3+の価数揺動に伴ってフェルミ面近傍にKondo resonanceと呼ばれる大きな状態密度が生じることが要因であると考えられている．実際，このKondo peakがYb3Si5の高分解能光電子分光によって直接観測された55)．今後このような精密な測定手法を用いた研究が益々活発に行われ，熱電特性増大の微視的な機構解明と有効な指針がもたらされることが期待される．６　結　　　言反強磁性半導体 CuFeS2における大きなパワーファクターを起点として，希薄磁性半導体 CuGa1-xMnxTe2や遍歴電子強磁性体 Fe2V1-xMxAl1-ySiy（Mは遷移金属元素）において，磁性とキャリアの顕著な結合によって，ゼーベック係数およびパワーファクターの増大が観測された．遍歴強磁性体ではスピン揺らぎによってゼーベック係数の増大が生じているが，強磁性転移温度 TCよりもかなり高温まで増大の効果が持続することが特徴的である．そのため室温以上で動作する熱電素子の発展に有用であると考えられる．これらの磁性の効果は通常の電子状態計算および熱輸送シミュレーションにはまだ取り入れられていないため，これらの計算予測を凌駕する高性能熱電材料を生み出す新たなブレークスルーにつながる可能性があり，より一層の研究が期待される．謝　　　辞物質・材料研究機構ナノアーキテクトニクス材料研究センター森領域長，日立製作所の西出聡悟博士，早川純博士をはじめ，共同研究者の皆様に感謝いたします．本研究は科学技術振興機構（JST）未来社会創造事業 JPMJMI19A1，日本学術振興会（JSPS）科研費 22H01761，24550168，熱・電気エネルギー技術財団研究助成の支援を受けました．この場をお借りして感謝申し上げます．文　　　献1)  T. Mori, S. Priya: MRS Bull., 43 (2018) 176-180.2)  K. Koumoto, T. Mori: Thermoelectric Nanomaterials: Materials Design and Applications, Springer, (2013).3)  M. Haras, T. Skotnicki: Nano Energy, 54 (2018) 461-476.4)  K. Kuroki, R. Arita: J. Phys. Soc. Japan, 76 (2007) 083707/1-4.5)  Y. Pei, X. Shi, A. LaLonde, H. Wang, L. Chen, J. Snyder: Nature, 473 (2011) 66-69.6)  J. P. Heremans, V. Jovovic, E. S. Toberer, A. Saramat, K. Kurosaki, A. Charoenphakdee, S. Yamanaka, G. J. Snyder: Science, 321 (2008) 554-557.7)  M. Ogata, H. Fukuyama: J. Phys. Soc. Japan, 88 (2019) 074703/1-10.8)  H. Matsuura, H. Maebashi, M. Ogata, H. Fukuyama: J. Phys. Soc. Japan, 88 (2019) 074601/1-10.9)  N. Tsujii, Y. Imanaka, T. Takamasu, H. Kitazawa, G. Kido: J. Appl. Phys., 89 (2001) 2706-2710.10)  N. Tsujii, H. Kitazawa, G. Kido: Phys. Stat. Solidi (a), 189 (2002) 951-954.11)  K. Sato, Y. Harada, M. Taguchi, S. Shin, A. Fujimori: Phys. Status Solidi A, 206 (2009) 1096-1100.12)  K. Sato, T. Teranishi: J. Phys. Soc. 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