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[光学NN.pdf](https://mdr.nims.go.jp/filesets/2b506c19-a9ed-4d8f-9067-94b5fed51ba3/download)

## Creator

[永村 直佳](https://orcid.org/0000-0002-7697-8983)

## Rights

[In Copyright](http://rightsstatements.org/vocab/InC/1.0/)

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[多次元X線計測と情報科学](https://mdr.nims.go.jp/datasets/073db6eb-bb4b-4534-ae26-e2315b1741a4)

## Fulltext

「光学」の原稿作成手引き1  多次元 X 線計測と情報科学   永村直佳   物質・材料研究機構  〒305-0003 茨城県つくば市桜 3-13  Multi-dimensional X-ray spectroscopy assisted by informatics  Naoka Nagamura National Institute for Materials Science, 3-13 Sakura, Tsukuba, Ibaraki 305-0003 E-mail: NAGAMURA.Naoka@nims.go.jp 2  Synopsis  With the global transition to 4th-generation synchrotron radiation facilities, high-brilliance light has made it possible to perform multi-dimensional X-ray spectroscopy measurements that sweep multiple parameters. Consequently, the amount of measurement data has significantly increased, making it urgent to improve the speed and efficiency of data analysis and measurement process design. This paper introduces data processing technologies that leverage AI, based on the principles of data-driven science, as solutions to these issues. Specifically, we will explain our original techniques; the high-throughput automatic analysis of spectra using unsupervised machine learning and high-resolution image estimation using sparse modeling.  Key words: multi-dimensional, X-ray spectroscopy, data-driven science, machine learning, sparce modeling   3  和文要旨   放射光施設の世界的な第 4 世代化に伴い、超高輝度プローブ光を利用して、多くのパラメータを掃引する多次元 X 線分光計測が可能になった。必然的に計測データ量は増大し、解析処理と計測プロセス設計の高速化・高効率化が喫緊の課題となっている。本稿では、その解決策として、データ駆動科学の考え方に基づき、AI を活用したデータ処理技術を紹介する。具体的には、著者らが開発した、教師なし機械学習を用いたスペクトルのハイスループット自動解析、スパースモデリングを用いた高解像度画像推定について解説する。   4  はじめに 世界的に放射光は第 4 世代（マルチベンド型ラティスの採用）へ移行しつつある。光源性能の圧倒的向上と検出器技術の進歩に伴い、放射光 X 線をプローブとする X 線計測は先鋭化が進み、その帰結として計測データ出力がビッグデータ化していくのは必然である。ただし、いくら豊富なデータが得られようと、サイエンスに昇華させるには解釈のための解析処理が必須である。また、放射光 X 線の高輝度化により計測時間が短縮した結果、データの貯め時間中にゆっくり解析しつつ次の方針を考えるという牧歌的な時代は終焉を迎え、迅速に計測プロセスを構築しなくてはならなくなっている。このような解析処理と計測プロセス設計の高速化・高効率化を、データ駆動科学の技法、いわば昨今流行りの人工知能(AI)で解決しようという取り組みが、計測インフォマティクスである。  とはいえ、代表的なものとして最小二乗法といった統計学的なデータ解析には誰しも馴染みがあるだろう。データ駆動科学で利用されるアルゴリズムは統計分析の延長線上にあり、使える技法が多様化しただけと考えると、AI 活用のハードルは低く感じられるはずである。  筆者は、後述の放射光軟 X 線オペランド走査型光電子顕微鏡を活用していて従来の実験プロトコルに限界を感じたことから、計測インフォマティクスの世界に足を踏み入れ、具体的な AI の導入手法を模索してきた。本稿で紹介する事例が、読者の皆様各々のデータ解析において AI を活用するヒントとなれば幸いである。  1. 多次元 X 線計測  1.1 放射光 X 線計測の進化 国内放射光施設の NanoTerasu や SPring-8-II などに導入される第 4 世代光源の特徴は、高輝度と高コヒーレンスである。後者による新たな計測手法の開拓はもちろん、前者により微弱なシグナルが拾えるようになるため、高分解能の追及や極5  限環境の採用、多パラメータ掃引といった各方向性での先鋭化が急速に進んでいる。著者は、空間 3 次元マッピング観測に加えて外場として電場を印加することで、デバイス試料の動作環境下で電子状態を多パラメーター(時空間＋外場)計測する放射光軟 X 線オペランド走査型光電子顕微鏡を活用してきた。   1.2 放射光軟 X 線オペランド走査型光電子顕微鏡 走査型透過顕微鏡(STXM)は本特集で武市氏の記事に詳しい解説がある。走査型光電子顕微鏡(SPEM)は、集光 X 線ビームを試料に照射し、試料を走査してマッピングのシグナルを得る所は STXM と同じであるが、取得するシグナルの種類がSTXM では吸収分光である一方、SPEM では光電子分光(XPS)である。著者が利用していたのは、SPring-8 BL07LSU(2010 年-2023 年)・NanoTerasu BL7U(2024 年-)に設置された”3D nano-ESCA”と呼ばれる装置 1,2)であり、ピエゾステージによる試料走査で面内方向の高空間分解能マッピング計測を行っている(図 1(a))。角度分解光電子アナライザーを導入しており、内殻スペクトルの角度依存性を検出することで深さ方向分解の組成分析もできる。さらに、VLEED 型スピン検出器を追加搭載した、3D nano-ESCA のアップグレード装置 SCORPIUS(2025 年～)が、同じくNanoTerasu BL7U に設置されている。スピン分解角度分解光電子分光（spin-resolved ARPES）により価電子帯スペクトルも感度良く検出できるようになり、バンド分散やフェルミ面が観測可能である。  “operando”(オペランド)は、ラテン語で”in operation”を意味し、デバイス様試料を動作環境下で計測することを指す言葉として用いられる 3)。3D nano-ESCA やSCORPIUS には独立に電場を印加できる複数の端子がついており、例えばトランジスタ構造試料にゲート電圧とドレイン電圧をかけた on/off 状態や、電池構造試料の充放電過程で XPS 計測ができる。  XPS の内殻スペクトルは、始状態効果や終状態効果、実験装置に起因する様々6  な情報を含んでいる。例えばピークシフトの要因の一つに化学ポテンシャルの変化がある。半導体において、ホールドープされるとフェルミ準位は下がって価電子帯上端に近づき、電子ドープされるとフェルミ準位は上がって伝導帯下端に近づく。検出される内殻光電子の運動エネルギーはフェルミ準位と内殻準位の差を反映するため、ホールドープではピークが低結合エネルギー側に、電子ドープでは高結合エネルギー側にシフトする(図 1(b))。これを使えば、半導体素子のチャネル内におけるピークシフトのマッピングから、局所キャリヤードープの空間分布を調べることができる。   図 1. (a)放射光 SPEM 装置の概略図。(b)チャージドープに起因する XPS 内殻スペクトルピークシフトの概念図。   1.3 計測と解析の高速化・高効率化への要請  オペランド SPEM の面内空間分解能すなわち集光スポットサイズは 50-100 nm程度であり、数 μm オーダーサイズのデバイスの特性を調べるために 10 μm×10 μmを 100 nm ステップで走査すると、面内 2 次元だけで 100 点×100 点＝1 万本のスペクトルが得られる。さらに角度分解の結果を 10 分割して、深さ方向を 10 点とる7  場合、10 万本になる。ゲート電圧とドレイン電圧を変えて 10 点ずつ計測すると、1000 万本。経時変化を追うならば時系列で 10 点計測して、1 億本。このように多次元(多パラメータ)計測になると計測結果はビッグデータと化す。   ピークフィッティング解析できる程度の S/N 比のスペクトルを得るには、高輝度放射光を使うとはいえ、ある程度の信号貯め時間と装置側の信号処理時間が必要になる。著者の場合、1 度のビームタイムで実際に処理するスペクトルは数万本程度ではあるが、それでも装置付属のソフトウェアや既存のグラフ作成ソフトで、数万本のスペクトルを 1 本ずつピークフィッティング処理していくのは、十分に気が遠くなる作業である。   また、計測の際には、各パラメータにおいてどの範囲に注目するべきか、どの程度のステップで計測するべきか、について、本番の計測を行う前にその場でテスト計測してみないと判断がつかない。限られたビームタイムの中で、有益な情報が得られる本番データの計測を、十分な時間を確保して確実に取得するためには、このテスト計測による条件出しを迅速かつ高精度に行う必要がある。   計測と解析の高速化・高効率化は、1 を 10 にする作業で、それ自体が必ずしも革新的手法開発ではないと思われてしまう向きもある。しかし、高速化・高効率化を実現することで初めて可視化できる事象があるならば、それは 0 から 1 を産み出す新たなサイエンスの開拓に他ならない。   2. 教師なし機械学習による高速自動ピークフィッティング解析  2.1 パラメトリック解析の難しさ 今後主流となる多次元分光計測において、大量のスペクトルをピークフィッティング解析する必要があることは前述の通りである。ピークフィッティング解析では、スペクトルをガウス関数、ローレンツ関数、フォークト関数といった単峰性基底関数の線形和とみなし、成分数、強度、ピーク位置、半値幅といったパラ8  メータを最適化するパラメトリック解析を行っており、非線形最小二乗法による重回帰分析が手法として一般的である。ただし、ノイズをピークとして拾う局所解に落ちたり、ピーク位置が近いために折れ線に見えるピーク成分を拾ってくれなかったり、といった事態にしばしば陥る。我々が解釈しやすい「妥当な」解析結果を得るためには、各パラメータに「適切な」初期値を与える必要がある。この「適切な」「妥当な」といった判定は、解析者の経験と勘によるところが大きく、ピークフィッティング解析は極めて属人性が高いと言わざるを得ない。また、最小二乗法は高速なアルゴリズムではあるが、解析結果の妥当性判定と初期値を変えた再解析を考慮するとトータルでは解析に長時間を要する。  そこで著者らは、解析作業の属人性低減と高速化を目指して、機械学習を活用した新たな解析プロトコルを検討することにした。   2.2 ピークフィッティング解析のための新たなアルゴリズムの提唱 スペクトルを構成するピーク成分のパラメータ推定には、必ずしも最小二乗法を用いる必要性はなく、別のアルゴリズムを用いても問題はない。例えばピーク成分を簡単のために Gauss 関数であると仮定すると、スペクトルを確率分布関数の線形和とみなすことができ、機械学習のクラスタリング問題で頻出の「混合ガウスモデル(GMM)」を適用できる。GMM におけるパラメータ(平均値、分散、強度)の最尤推定には、観測データの対数尤度を反復計算により最大化するパラメータを求める「Expectation-Maximization(EM)アルゴリズム」がよく用いられる。比較的良好な大域的収束性を示し、計算コストが低い。ただし、通常の EM アルゴリズムは 1 次元データにしか対応していないため、著者らは、スペクトルの強度データを、対応する測定エネルギーステップの重みとして取り入れる「Spectrum adapted EM アルゴリズム」を新たに提案した 4,5)。具体的には以下の手順で計算を実行する。  9  (1) パラメータ(K 個の Gauss 関数成分それぞれの平均µk、標準偏差σk、線形結合における混合の割合を表す係数である混合率πk)の初期値を設定する。スペクトルを以下のように表現する。N は Gauss 関数。  𝑝𝑝(𝑥𝑥) = �𝜋𝜋𝑘𝑘𝑁𝑁(𝑥𝑥|𝜇𝜇𝑘𝑘, 𝜎𝜎𝑘𝑘)𝐾𝐾𝑘𝑘=1(1)  (2) E-step(尤度の期待値を算出)として，潜在変数(xn が K 個のガウス関数のうちどこから生成されたかを示す K 次元のベクトル znk)の事後確率である負担率γ (znk)を計算する。  𝛾𝛾(𝑧𝑧𝑛𝑛𝑛𝑛) =𝜋𝜋𝑘𝑘𝑁𝑁(𝑥𝑥𝑛𝑛|𝜇𝜇𝑘𝑘, 𝜎𝜎𝑘𝑘)∑ 𝜋𝜋𝑗𝑗𝑁𝑁�𝑥𝑥𝑛𝑛�𝜇𝜇𝑗𝑗, 𝜎𝜎𝑗𝑗�𝐾𝐾𝑗𝑗=1(2)  (3) M-step(尤度の期待値を最大化するパラメータを算出)として，E-step で計算したγ (znk)を用いて各パラメータ(µk、σk、πk)を更新する。更新式は以下のように定義される。  𝜋𝜋𝑘𝑘𝑁𝑁(𝑥𝑥𝑛𝑛|𝜇𝜇𝑘𝑘, 𝜎𝜎𝑘𝑘)∑ 𝜋𝜋𝑗𝑗𝑁𝑁(𝑥𝑥𝑛𝑛|𝜇𝜇𝑘𝑘, 𝜎𝜎𝑘𝑘)𝐾𝐾𝑗𝑗=1(3) 𝜇𝜇𝑘𝑘new =1𝑁𝑁𝑘𝑘�𝑤𝑤𝑛𝑛𝛾𝛾(𝑧𝑧𝑛𝑛𝑛𝑛)𝑥𝑥𝑛𝑛𝑁𝑁𝑛𝑛=1(4) 𝜎𝜎𝑘𝑘new =1𝑁𝑁𝑘𝑘�𝑤𝑤𝑛𝑛𝛾𝛾(𝑧𝑧𝑛𝑛𝑛𝑛)(𝑥𝑥𝑛𝑛 − 𝜇𝜇𝑘𝑘new)(𝑥𝑥𝑛𝑛 − 𝜇𝜇𝑘𝑘new)𝑇𝑇𝑁𝑁𝑛𝑛=1(5) 𝑁𝑁𝑘𝑘 = �𝑤𝑤𝑛𝑛𝛾𝛾(𝑧𝑧𝑛𝑛𝑛𝑛)𝑁𝑁𝑛𝑛=1(6)  (4) 収束判定を行う。対数尤度  10  ln 𝑝𝑝(𝑥𝑥𝑛𝑛|𝜋𝜋𝑘𝑘new, 𝜇𝜇𝑘𝑘new, 𝜎𝜎𝑘𝑘new) = �𝑤𝑤𝑛𝑛 ln ��𝜋𝜋𝑘𝑘new𝑁𝑁(𝑥𝑥𝑛𝑛|𝜇𝜇𝑘𝑘new, 𝜎𝜎𝑘𝑘new)𝐾𝐾𝑘𝑘=1�𝑁𝑁𝑛𝑛=1(7) を計算し、パラメータの更新前後における対数尤度差が 1×10-8 以下になれば収束したとみなす。収束条件を満たさない場合は(2)に戻って計算を繰り返す。  プロトコルは理解できても、使えるように実装するのはハードルが高い。そこでこの手法を試しやすいように、”EMPeaks”という Python パッケージを作成し、公開しているので参照されたい 6-9)。   2.3 実データへの適用 EMPeaks を、実際に SPEM で得られた XPS の内殻スペクトルのピークフィッティング解析に適用した事例を紹介する 4)。  原子層物質は次世代ロジックデバイス材料の有力候補であるが、金属電極やゲート絶縁膜などとの界面特性の制御に課題が残る。単層グラフェンをチャネルとする電界効果トランジスタでは、グラフェン自体にバンドギャップは無いものの、フェルミ準位近傍の状態密度が小さいため、金属 /半導体接合における空乏層に似た「電荷移動領域」が金属 /グラフェン界面に形成され、接触抵抗の要因となると考えられている 10)。著者らは、金属電極とグラフェンチャネルの接合部近傍領域で、C 1s 内殻スペクトルピークシフトのラインスキャンを計測し、この電荷移動領域の影響が面内にも大きく広がっていることを立証した 11,12)。この時は従来のように最小二乗法による重回帰分析で、何度も条件(初期値やパラメータの範囲など)を試行錯誤し、結局ラインスキャン 1 回分 44 本のスペクトル解析に丸一日以上かかってしまっていた(図 2(a))。このデータセットを EMPeaks で解析処理したところ、ピークシフトの傾向に関して、電荷移動領域の存在を示す過去の従来手法による解析結果を再現した(図 2(b))。なにより全てのピークフィッティング解析が 1 分で終了し、著しい解析時間短縮が実現した。  11   図 2 C 1s 内殻スペクトルのピークシフト空間分布(ラインスキャン)の測定結果に対して、従来の非線形最小二乗法重回帰分析によるピークフィッティング結果(a)と、EMPeaks を用いたピークフィッティング結果(b)の比較。どちらも、sp2 由来とコンタミ由来の 2 成分を仮定し、sp2 由来のピークのシフトに注目する。   2.4 適用範囲の拡大 XPS 内殻スペクトル解析においては一般的に、ピーク成分を表すのにガウス関数とローレンツ関数の畳み込みであるフォークト関数や、さらに非対称性を加味したドニアック-シューニッチ関数を使用することが多く、EMPeaks で採用している Gauss 関数では物足りないと感じる研究者は多いであろう。ガウス関数以外では EM アルゴリズムの M-step が解析的に解けず、最適化問題の計算が困難である。そこで、M-step の代わりに制限付き最適化を行う Constrained Maximization (CM)-step を導入した「Spectrum adapted ECM アルゴリズム」も EMPeaks で実装した 13)。EM アルゴリズムよりも若干計算コストは上昇するが、Voigt 関数をはじめ様々な種類の関数を利用可能であり、バックグラウンド処理も EMPeaks の中で実施できるようになった 14)。従来手法でよく行っている、一部のパラメータを固定した解析も実装中である。  また、EMPeaks ではピーク成分数 K を決め打ちで与えているが、ピーク成分数の自動推定への要望の声は多い。そこで、Spectrum adapted EM/ECM アルゴリズム12  における最尤推定の代わりに、ベイズ統計における最大事後確率推定(MAP 推定)を採用し、さらに局所最適解への落ち込みを回避するために確定論的アニーリングを取り込む手法を考案した 15)。これにより、EMPeaks の枠組みでスパースモデリング的に不要なピーク成分を削除してモデルを最適化することで、データだけから前提知識なしにピーク成分数を推定することも可能になっている。  なお、我々の手法はスペクトル解析に機械学習を活用する試みのあくまで一例であり、現在、ベイズ推定をはじめ様々なアプローチが報告されている。データの特性や解析目的に応じて適材適所で手法を選択・開発されることが望ましい。   3. スパースモデリングによる低解像イメージからの高解像イメージ推定  3.1 イメージング計測の高精度化・高効率化に向けて スペクトルイメージングでは、解析にかかる時間だけでなく、測定自体にかかる時間も課題である。1.3 でも触れたように、本番測定では S/N 比のよいデータを得るために 1 枚のマッピングに数時間かけることもあるが、その前に、どの場所やパラメータに注目するべきか、テスト測定しながら条件出しする必要がある。SPEM に限らず走査型プローブ顕微鏡の類や電子顕微鏡も含め、イメージング計測の経験者なら納得していただけるだろう。特に放射光ユーザーとしては、有限のビームタイムの中でテスト測定の時間は極力短縮したい。また、本番測定においても、1 点ずつデータを取得してマッピングする走査型のイメージングでは特に、高解像度画像を細かく長時間かけて計測すると、局所的な光照射ダメージや、チャージング、ドリフトなどによるアーティファクトが発生してしまう可能性がある。  短時間で取得可能な低解像度画像から高解像度画像を精度よく推定できれば、これらの課題解決につながる。そこで著者らは、テレビなどにおけるディジタル超解像技術から着想を得て、SPEM 計測において、少量の低解像度画像セットか13  ら、高解像度画像を再構築するスパースモデリング超解像手法を考案した。   3.2 マルチフレーム超解像 超解像技術自体は良く知られた技術であり、様々な手法が提案されている。古典的なものは、単一画像内におけるピクセル値の連続性を利用して、バイリニア法、バイキュービック法、ランチョス補間といったアルゴリズムを用いた幾何学的補間を行う、画像のアップスケーリング手法である。現在では変分オートエンコーダー(VAE)や敵対的生成ネットワーク(GAN)、拡散モデル等が主流であるが、これらの生成 AI はブラックボックス的で解釈可能性が制限され、先端計測実験のように十分な学習データを用意できないような場合には、過学習により本来存在しないアーティファクトを生成してしまう危険性が高い。  そこで画像を、その画像の特徴を捉える基底のスパースな線形結合で表現する、スパースコーディング 16-18)の手法を用いる。画像はそのままでは複雑なので、小領域のパッチに分割して処理する。基底はこのパッチの形式であり、画像構成に用いる基底の候補の集合体を辞書と呼ぶ。超解像処理は、  (1) 高解像度画像パッチで訓練された辞書 Dh と低解像度画像パッチで訓練された辞書 Dl を準備する。   (2)低解像度のマッピング計測データをパッチに分割   (3)各パッチをスパースコーディングで Dl 内の低解像度基底の線形結合で表現   (4)低解像度基底を Dh 内の高解像度基底に置換し、各パッチを高解像度化   (5)パッチを統合し、高解像度のマッピングデータを推定再構成  の手順で進める(図 3)。  超解像技術には、複数の入力画像から高解像度の画像を推定するマルチフレーム超解像と、1 枚の入力画像から高解像度の画像を推定する単一画像超解像がある。スパースコーディングはどちらでも使えるが、SPEM の入力画像データとして14  は、少しずつ測定開始点をずらした複数画像を利用したマルチフレーム超解像を採用することにした。これには SPEM 特有の事情があり、図 4 のように、1 点あたりの信号貯め時間を長くしてノイズの影響を減らすより、1 点あたりの信号貯め時間を短くして測定開始位置を少しずつずらした複数枚の画像から画像再構成する方が試料から多くの情報を取得できるからである。  ここでは、測定開始点を意図的にずらした低解像度の SPEM 画像データセットを用いて、測定開始点の位置シフトを既知の制御パラメータとして明示的に組み込んだスパースコーディングを実施し、高解像度の SPEM 画像を推定再構成する。    図 3 スパースコーディング超解像処理の概念図。  15   図 4 例えば 900 nm 四方の領域を、スポットサイズ 100 nm の集光ビームを入射して 300 nm ステップで測定すると、実際に見ている領域は(a)のようにまばらになる。同じ測定時間で、(b)のように、1 枚あたりの測定時間を 1/9 にして、測定開始位置を 100 nm ずつずらした 9 枚の画像を合成した方が、空間的に密な情報が得られる。   3.3 装置固有の画像辞書活用による推定の高精度化 スパースコーディング超解像では、前述のように高解像度基底の辞書 Dh と低解像度基底の辞書 Dl を準備する必要がある。自然画像で訓練された辞書を使用する分には、学習用のデータを準備する必要はない。しかし、計測装置の過去のデータを学習させた方が画像推定の精度向上が見込めるため、過去 12 年で計測してきた 3D nano-ESCA の高解像度画像データ 118 枚を学習データとして用いた。これらは光電子強度マッピングの画像データであり、対象の形状や測定エネルギー範囲は多岐にわたる。辞書学習のための低解像度画像データは、計測で得られた高解像画像データにダウンサンプリング、画像のボケ、画像のシフトを観測モデルとして導入して生成した 19.20)。  Si 基板上に作製した Au 電極の微細パターンを、Au 4f 内殻スペクトル強度マッピング計測した画像データについて、測定開始点を少しずつずらした低解像度画像データセットからスパースコーディング超解像処理により高解像度画像を推定16  した結果を図 5 に示す 21)。比較のため高解像度画像も計測データとして取得した。超解像処理画像(図 5(d))は高解像度画像(図 5(b))をよく再現している。低解像度画像データセットを取得する所要時間は、高解像度画像データの半分程度であり、数時間分の計測時間短縮が実現できる。さらに、エッジで評価した空間分解能は、高解像度画像を畳み込みニューラルネットワークでデノイズ処理した画像(図 5(c)(e))よりも、低解像度画像データセットを超解像処理した画像(図 5(d)(f))の方が良好だった。  短時間で取得した低解像度データセットから高解像度画像を推定する技術は、SPEM に限らず、走査型プローブ顕微鏡や電子顕微鏡、顕微ラマン分光法など、様々な走査型イメージング手法に展開可能である。辞書学習プロセスを改良することで、特にノイズの多い環境下における超解像性能が向上し、より汎用性を高められると期待される。   図 7 金電極パターンの光電子強度マッピング画像。(a)は低解像度画像、(b)は高解像度画像、(c)は高解像度画像をデノイズしたもの、(d)は低解像度画像群からスパースコーディング超解像処理したもの。(e)(f)は各左図上部のいくつかの位置にお17  ける断面をとり、エッジをシグモイド関数でフィッティングしたもの。エッジの拡がりから空間分解能を導出している。   4. まとめ  本稿では、出力データが肥大化していく放射光多次元分光計測に焦点を当て、計測と解析の高速化・高効率化を目指して開発してきたデータ駆動型解析手法を紹介してきた。スペクトルの機械学習高速自動解析、画像データのスパースコーディング超解像処理、ともに応用範囲の広い技術である。 本稿を通して、ツールとしての計測インフォマティクスの有用性を実感いただき、自分もデータ解析に使ってみよう、と思っていただければ幸いである。  本稿で紹介した研究は、JST さきがけ（JPMJPR17NB，JPMJPR17N2, JPMJPR20T7）、JST CREST（JPMJCR1761，JPMJCR21O1, JPMJCR21O4, JPMJCR2235）、JST みらい（JPMJMI21G2）、JSPS 科研費（19H02561, 21H01638, 21H04696, 25K01628）、NEDO（P16010）、防衛装備庁安全保障技術研究推進制度（JPJ004596）の支援を受けて実施されました。   文 献 1) K. Horiba, Y. Nakamura, N. Nagamura, S. Toyoda, M. Oshima, K. Amemiya, Y. Senba, and H. Ohashi: Rev. Sci. Instrum., 82 (2011) 113701. 2) 永村直佳，堀場弘司，尾嶋正治：表面科学，37 (2016) 25-30. 3) M. A. Bañares: Catal. Today, 100 (2005) 71-77. 4) T. Matsumura, N. Nagamura, S. Akaho, K. Nagata, and Y. Ando: Sci. Tech. Adv. Mat., 20 (2019) 733-745. 5) 永村直佳，松村太郎次郎，永田賢二，赤穂昭太郎，安藤康伸：表面と真空，64 (2021) 382-389. 18  6) EMPeaks (PyPI) https://pypi.org/project/EMPeaks/ 7) 説明サイトは整備中。チュートリアルの Jupyter notebook 形式ファイルはここからダウンロード可能。 https://researchmap.jp/naganao/%E8%B3%87%E6%96%99%E5%85%AC%E9%96%8B 8) 永村直佳，安藤康伸：表面と真空，67 (2024) 500-505. 9) 永村直佳：機械学習による高速自動ピークフィッティング～ありそうでなかったスペクトル解析～，miLab オンライン解説記事(2025) https://mi-6.co.jp/milab/article/e0003/ 10) K. Nagashio and A. Toriumi: Jpn. J. Appl. Phys., 50 (2011) 070108. 11) N. Nagamura, K. Horiba, S. Toyoda, S. Kurosumi, T. Shinohara, M. Oshima, H. Fukidome, M. Suemitsu, K. Nagashio, and A. Toriumi: Appl. Phys. Lett., 102 (2013) 241604. 12) N. Nagamura, H. Fukidome, K. Nagashio, K. Horiba, T. Ide, K. Funakubo, K. Tashima, A. Toriumi, M. Suemitsu, K. Horn, and M. Oshima: Carbon, 152 (2019) 680-687. 13) T. Matsumura, N. Nagamura, S. Akaho, K. Nagata, and Y. Ando: Sci. Tech. Adv. Mat. Methods, 1 (2021) 45-55. 14) T. Matsumura, N. Nagamura, S. Akaho, K. Nagata, and Y. Ando: Sci. Tech. Adv. Mat. Methods, 3 (2023) 2159753. 15) T. Matsumura, N. Nagamura, S. Akaho, K. Nagata, and Y. Ando: Sci. Tech. Adv. Mat. Methods, 4 (2024) 2373046. 16) B. A. Olshausen and D. L. Field: Nature, 381 (1996) 607-609. 17) M. Elad and M. Aharon: IEEE Trans. Im. Process., 15 (2006) 3736-3745. 18) J. Yang, J. Wright, T. Huang, and Y. Ma: IEEE Conf. Comp. Vis. Patt. Recog., (2008) 1-8. 19) T. Kato, H. Hino, and N. Murata: Neural Networks, 66 (2015) 64–78. https://pypi.org/project/EMPeaks/https://researchmap.jp/naganao/%E8%B3%87%E6%96%99%E5%85%AC%E9%96%8Bhttps://mi-6.co.jp/milab/article/e0003/19  20) T. Kato, H. Hino, and N. Murata: Neurocomputing, 240 (2017) 115–126. 21) Y. 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