# Fileset

[elg_fuse.pdf](https://mdr.nims.go.jp/filesets/1f639ac9-1c17-4c2e-ae66-ab9a2122c415/download)

## Creator

[轟 眞市](https://orcid.org/0000-0003-3986-1900)

## Rights



## Other metadata

[先んずれば人を制す、写真撮らばファイバフューズ](https://mdr.nims.go.jp/datasets/0fd12493-6c88-4718-86ba-f46d39fbe185)

## Fulltext

先んずれば人を制す、写真撮らばファイバフューズ物質・材料研究機構物質研究所主幹研究員轟眞市できの悪い駄洒落の様なタイトルで恐縮だが、まさにこの様な幸運な経験をしたのである。これは、昨年の電気硝子工業会技術セミナーでお話させて頂いた内容1の裏話に相当するものである。1 ストックホルムでの昼下がり2004年 9月、欧州光通信会議を聴講しに来た私は、初日の昼飯を、地元の人に人気のあるサーモンの寿司を出す店で済ませ、会場に戻った。念のためにと確認しに行った連絡ボードを見て、我が目を疑った。だめもとで応募しておいた私の論文が、ポストデッドラインペーパー2として採択されているのである。確かにあの撮影は世界で初めてのものだ。でも「撮ってみました」だけの論文が選ばれるなんて、、、。そんな疑問が湧きつつも、最終日の夕方には口頭発表をすることになった訳で、準備に取り掛からねばならない。ストックホルム観光はあきらめだ。2 出会いは廊下のポスターの前話は 4ヶ月前にさかのぼる。普段からおつき合図 1: 光ヒューズ動作の様子。光ファイバの外径は 125 µm。いのある業者の森さんが、超高速カメラメーカーの営業マンを連れてきた。挨拶もそこそこ、花香さんは廊下に掲示してあった私の研究成果を紹介したポスターを指差し、「この連続写真、是非我が社の超高速カメラで撮り直してみて下さい！絶対に面白いことがわかるはずです！！」と声を張り上げた。その連続写真とは、私が半年前に考案した「光ヒューズ」というデバイスが焼き切れる瞬間を、家庭用ビデオで撮影したものであった。光ヒューズとは、強い光が入射すると自律的に光回線を切断する部品であり、全ての電気製品に取り付けられているヒューズの光バージョンに相当する。毎秒 30コマで撮影したビデオ映像の中に、閃光が写ったものが 1コマあり、その次のコマでは既に回線が焼き切れていた。花香さんのカメラなら、毎秒 12万コマまで高速化できるとのこと。カメラを持ち込んでのデモンストレーション実験をさせてくれるらしい。おもしろそうだ。準備ができたらデモ実験を申し込むことにした。すぐに実験を申し込まなかったのは、理由があった。私の光ヒューズは、世の中に発表してからまだ 3ヶ月しか経っていない。世界的に見れば認知度はイマイチだ。どうせなら、業界の誰もが知っている現象を撮影した方が、反響が強いに決まっている。「ファイバフューズ」という、光で光ファイバが壊れてしまう奇妙な現象があるそうだ。1987年に発見されたその現象は、数Wの光を伝搬させている光ファイバ回線の一点を局所的に加熱されることがきっかけで1「ファイバフューズと光ヒューズ—壊れるファイバあれば護るファイバあり」2005年 10月 28日。2通常の講演申込とは別に、会期直前に論文を受け付け、その中の特に優れたものに口頭発表の機会を与える制度。電気ガラス 35号 pp.14–18 (2006年 4月発行) 4 撮らぬ狸の皮算用始まる。高温となった場所から突然輝点が現れ、光ファイバに沿って毎秒 1m位の速度で光源に向かって移動していく。輝点が通った跡には、周期的に配列した空孔が残されており、光ファイバはもはや光を通すことができない。放置しておくと光ファイバ回線が全滅してしまうという恐ろしい現象である。私の「光ヒューズ」は、この現象を未然に防止するのにも役立つ。光ヒューズの撮影は後回しにして、ファイバフューズでデモ撮影を申込ことに決めた。でもそのためには、まだ見たこともないファイバフューズを自在に発生できる様にならなければならない。一体、どうすればカメラの目の前で発生させることができるのだろう？3 試行錯誤の日々ファイバフューズに関する論文はいろいろ出ているが、移動する輝点を連続撮影した例は見つからなかった。その発生方法も様々であり、要するに光ファイバの出射端に光を吸収するものを接触させ、熱を発生させれば良いようだ。ただし、今回の目的のためには、出射端と光吸収体の両方をカメラの視野に収めなければならない。光吸収体が出射端を覆ってしまう配置では不都合だ。実験室に転がっている部品を使っての試行錯誤が始まった。細いパイレックスガラス管の片方から光ファイバを入れ、もう片方からシャープペンシルの芯を入れて接触させるのはどうだろう？手持ちのビデオカメラで観察する系を組み立てた。10Wの光を入れるとガラス管にヒビが入ったが、それ以上は何も起きない。照射を止めて芯を抜こうとすると、動かない。ということは、800℃位に到達しているということか。芯の代わりにタングステン棒を入れると、火花が散ったが、それだけで終った。ガラス管を使うのは止めて、光ファイバ用のガラスフェルールを使うのはどうだろう？被覆を剥いた光ファイバ芯線がちょうど入る貫通孔を持っている。出射端をフェルールに差し込み、その先には光を吸収する粉を詰め、反対側の孔から別の光ファイバで押さえれば良いのではないか？酸化コバルトの粉を使って光を入れると、赤黒い閃光が見える様になり、フェルールがすぐ割れる様になった。しかし、粉の厚さが変わると挙動も違ってくる。この実験には、いつもと違う緊張感が漂っていた。なぜなら私はファイバフューズの実物を見たことがなく、また、ファイバフューズが発生したならば直ちにレーザー光を止めないと、輝点はレーザー本体に達し、450万円がフイになるのだ。その日最後の実験は、酸化コバルト粉の層厚を最も薄い条件にしてみた。光を入れると程なくフェルールが割れ、赤黒い閃光が見えなくなった。残念。今日も尻尾を掴めなかったか、と部屋を後にした。翌日、気をとり直して実験に取り掛かった。昨日の実験で使ったファイバを取り外して先端を新しく切断し直し、レーザー光を通してみた。あれ、光が来ない。光ファイバを辿っていくと、途中で被覆が融けている部分を発見した。その部分を除去して光を通すと、問題なく光が来る。しまった。光ファイバを知らずに曲げてしまったか、と思い、除去したファイバを再利用するつもりで、光ファイバ融着機に掛けてびっくり。加熱されたファイバが大きく膨らんだのだ。これは、ファイバフューズが発生してできた空孔が膨らんだにちがいない。ようやく自前でファイバフューズを発生させることができたのだ。実験に着手してから、1ヶ月が過ぎていた。4 撮らぬ狸の皮算用早速デモ実験を申し込んだ。日程は 1ヶ月先の 8月 4日に設定された。ファイバフューズ発生の瞬間は手持ちのカメラで撮影し、走りはじめた輝点が光ファイバに沿って伝搬する様子を超高速カメラで撮影することにした。準備を進めるうちに、一つの計画が思い浮かんだ。9月上旬に欧州光通信会議を聴講することになっている。その会議のポストデッドライン論文の締電気ガラス 35号 pp.14–18 (2006年 4月発行) 5 お盆休み返上の疾走切は、8月 16日。もし、面白い結果を撮ることができたら、だめもとで応募してみよう。手ぶらで出かけていくよりも、楽しみが増えてずっと良い。実験の日は技術の坂巻さんにも入って頂いたが、図 2: 最初のデモで撮影した映像。露光時間 1/15000秒にも関わらず飽和している。夕方までに 3回撮影するのがやっとだった。ファイバフューズを発生させるためのフェルールの配置に 30分。10W の光を入れても、条件が整わずに不発で終る場合もある。1回目の撮影は様子見で、遅い撮影速度で行ない、露光時間も絞ることをしなかった。まぶしい火の玉がコマ送りで画面を横切って行き、その背後に生成した空孔列からの散乱光が連なっている映像 (図 2参照)を見た時は、血が熱くなった。すごい絵だ。もっと撮影間隔を短く！露光時間も短く！しかし、撮影間隔を狭めるということは、撮影枚数が増えるということ。十数万枚の中から火の玉が写っている 50枚を探すのだ。みんなで再生画面に目を凝らした。その日最後の撮影は、そのカメラの最高限界の条件だった。それでも捕らえた映像は飽和していた。光が強過ぎる。ファイバフューズはカメラの限界をあざ笑っているように思えた。これで論文応募の夢は途絶えたか。ここで私は花香さんに論文応募の話を打ち明けた。「先生！ここまできたら、是非やりましょう。来週ならお盆休みで機材が空いています！」5 お盆休み返上の疾走光が強くてカメラの限界を超えるのなら、光を弱める工夫をしなければならない。できることは 2つ。カメラのレンズにNDフィルタを取り付けることと、発生したファイバフューズに供給する光を弱めていくことである。明日は追実験という日の午後、準備をしていると、花香さんがカメラを持って突然現れた。訪問先の用件が早く終ったので、駆けつけてくれたのだ。早速NDフィルタを取り付けて 1回撮影した。ところが撮った映像はピンぼけしている。そうか！NDフィルタを取り付けてから、ピントを合わせなければならないのか。しかし、ファイバフューズ抜きの画像は暗すぎてピント合わせなどできない。急遽、背後からの強い照明を取り付け、翌日の撮影に備えた。翌日は、ファイバフューズ発生後に供給するレーザー光を 2Wまで弱める条件での撮影も試み、昼前には画像が飽和しなくなる条件を絞りこむことができた。しかし午後イチの撮影は、疲れが溜っていたのか、うっかりレーザー光を弱めることを忘れてしまった。気をとり直してもう一度試み、無事飽和しない画像を手にすることができた。応募締切まであと 5日。データ解析をして図面を準備し、論文のストーリーを組み立て英文2ページにまとめねばならない。最後に撮影した映像だけで審査員の気を引く議論ができるだろうか。念のため、残りの映像もデータ解析してみた。すると、光を弱め忘れた撮影での映像は、ほんの一部が飽和しているものの、ファイバフューズ全体の形状を明確に捕らえていることが分かった。これで、2つの条件間での比較ができる。ファイバフューズが残した空孔の顕微鏡写真を比べると、やはり明確な違いが認められた。実験初日に撮影した映像も、輝点通過直後に空孔が生成されている証拠として使うことができる。偶然にしてはでき過ぎている展開だが、何とか締切直前に提出することができた。電気ガラス 35号 pp.14–18 (2006年 4月発行) 7 その後6 幸運の種明かし欧州光通信会議の最終日、ポストデッドライン論文のセッションが始まり、3番目に登壇した。動画を交えた 10分間の発表を終え、質議応答の時間になった。真っ先に手を上げたのが、ロシアのファイバレーザーの大御所、Dianov教授であった。彼とは一度だけ言葉を交わしたことがある。8年前の同じ欧州光通信会議の席で、私のポスターセッション発表に対し、厳しいコメントを浴びせて来た人だ。彼のグループも継続的にファイバフューズを研究している。今回もやはり厳しいコメントか？全身を耳にして応じた。「この仕事の新しさはどこにある？」やはりだ。撮ってみました、だけの内容に対する真っ当な質問だ。「ファイバフューズ事故を防止するためにも、現象の正確な理解は必要だ。今回の結果により、輝点の形状が損傷の形状に大きく依存することを明らかにした。」とかわすのが精いっぱいだった。セッションを終え、閉会式会場に移動しようと部屋を出ると、そこにDianov教授が待ち構えていた。「君の論文、他の審査員の評点は低かったんだが、私が強行に推したんだ。」そうだったのか！それなら理屈は通る。「実は、我々も高速撮影を試みているところなんだ。」後から調べてみると、彼のグループはその結果をその 20日後に、ロシア国内での研究会で発表していた。撮影手法に洗練されたものがあったが、カメラの性能は明らかに劣っていた。彼が審査委員会で私の論文を強行に推さなければ、私は発表の機会を得られず、彼らが一番乗りを主張できたはずだ。彼の公正さに敬意の念が湧いた。7 その後偶然が重なって得たものであっても、一番乗りのご利益は大きい。翌年、ロシアで開かれたレーザー物理の国際会議で招待講演する機会を得た。カメラの性能頼みの内容を発表するのも癪だったので、その結果に基づいたファイバフューズのメカニズムに対する新解釈を提案し、反響を得た。(ご興味がおありの方は、New Glass誌 81号に掲載予定の記事をご覧ください。)しかしながら、ここまでたどり着けたのも、このエッセイにご登場頂いた方々のお蔭であることに変わりはない。ここに改めて謝意を表し、筆を置くことにする。