# Fileset

[Mst2511月号501-19.pdf](https://mdr.nims.go.jp/filesets/1d0773c7-1b19-4ef0-a925-e69f337435cb/download)

## Creator

[石井 智](https://orcid.org/0000-0003-0731-8428)

## Rights

[In Copyright](http://rightsstatements.org/vocab/InC/1.0/)

## Other metadata

[放射冷却膜による「暑さ対策」と「環境発電」の両立，その可能性について](https://mdr.nims.go.jp/datasets/e47e3ad2-a4de-4510-8008-4a0e9a740363)

## Fulltext

MATERIAL STAGE   Vol.25,  No.8  2025     1◆ マテリアルニュース＆トピックス ◆－ この材料の開発を始めた「きっかけ」や，解決したい社会課題何ですか？ なぜ「放射冷却」に注目されたのでしょうか？　研究を始めた個人的なきっかけは，それまで太陽熱蒸留など光熱変換を伴う研究をしてきて，次に冷やすことをやりたいと思ったからです。日中でも動的に冷える放射冷却（以下，日中放射冷却）は約 10年前から研究が盛んになっていて，現象として興味深く自分でも取り組んでみたいと思い，研究を始めました。後述するように，暑さ対策や放熱対策として日中放射冷却は万能ではなく限界はありますが，暑さ対策や放熱対策として上手に利用すれば省エネや新たな応用に繋がる可能性があると考えています。－ 今回開発した「放射冷却膜」における放射冷却の仕組みや原理，材料やデバイスの特徴，他の冷却技術や発電技術と比べた際の優位性について簡単に説明してください。　放射冷却は，地表の熱が地表より低温の上空に熱放射によって移動することにより冷える現象です。通常放射冷却を体感するのは夜間や早朝ですが，地表から上空への熱移動は日中も起きています。しかし，日中は地表が太陽光を吸収して加熱される効果が放射冷却を相殺してしまうので，日中放射冷却を体感することはありません。日中でも放射冷却によって冷やすためには，太陽光を反射しつつ上空に向けて熱放射する必要があります。別の表現をすると，反射率に関しては，太陽光の波長範囲である紫外・可視・近赤外において高く中赤外では低い必要があります。熱放射のしやすさを示す放射率に関しては，紫外・可視・近赤外においては低く，中赤外では高い必要があります。図 1に概念的に示したように，ある表面の反射率と放射率がこれら 2つの条件を両立すると，日中放射冷却が起こります。紫外・可視・近赤外の反射率と中赤外の放射率が高い必要があると記載しましたが，どちらも理想的には1であることが望ましいです。特に，反射率は 0.9 でも日中放射冷却のためには十分高いとは言えません。数％の太陽光吸収が放射冷却を相殺してしまうからです。　他の冷却技術との比較に関して，電気を使わずに冷やす法として打ち水やドライミストなど水の気化熱を使った方法があります。しかし，この方法は貴重な資源である水を用います。他方，日中放射冷却は電気も水も使わずに冷やせるのが特徴です。　但し，日中放射冷却で冷やせる能力は，天候や地域に大きく依存するものの，高くても 100W/m2 程度です。この上限を決めている要因が熱放射を記述するプランクの法則，及び地上に大気があることによる大気の再放射で，放射冷却能力は熱放射の計算をすることで容易に見積もることができます。この熱放射能力は例えばビルの冷房を単独で賄うほど大きくはありませんが，平屋や小型の建屋あるいは日傘等の個人使用物の放熱や冷却には一定の効果が期待できます。放射冷却膜による「暑さ対策」と「環境発電」の両立，その可能性について語り手：石井  智　　国立研究開発法人　物質・材料研究機構聞き手：（株）技術情報協会　編集部2　 MATERIAL STAGE   Vol.25,  No.8  2025－ 具体的な応用例や，どのような場所での利用が想定されていますか？災害時や発展途上国などの特殊な状況での活用の可能性は？　先述の通り，放射冷却による冷却能力は高くないので，多層階の建造物が多い都会では，日中放射冷却による省エネの効果は微々たるものになるでしょう。 加えて，日中放射冷却効果の高い膜やシートは夏だけでなく冬も放射冷却で冷えることも認識すべき重要な点です。例えば，個人宅の屋根に日中放射冷却機能を持った塗料やシートを設置した場合，夏に冷えることは冷房使用の削減につながり望ましいですが，冬は不必要に冷やしてしまい，暖房使用を増加させる可能性があります。日中放射冷却機能を持つ膜やシートを夏だけ設置し，それ以外の季節は取り外したり覆ったりすることも選択肢の一つですが，それでは日中放射冷却塗料やシートを広く普及させることは難しいでしょう。他方，屋外に設置された分電盤や基地局は通年で内部の熱を放熱する必要があります。これらのように一年中放熱や冷却を必要とする設備が日中放射冷却機能を持った塗料やシートを普及させやすいケースとなると考えています。　災害時や発展途上国など状況では，日中放射冷却機能を持ったシート等で夏場の暑さ対策ができると考えられます。そのような状況でも，放射冷却の限界を認識して過度に期待しないで日中放射冷却による暑さ対策をすることが重要と考えます。　なお，日中放射冷却機能を持つ膜やシートは日中だけでなく夜間も放射冷却で冷えるため，一日中周囲の気温との温度差を生じさせます。本項では割愛しますが，この温度差を熱電素子に与えることで 24時間発電し続ける環境発電素子が実証されていて，実用化するために必要な出力向上に取り組んでいます。放射冷却で発電する素子の概念図と作製した素子の写真を図 2に示します 1）。図 1　 日中放射冷却で冷えることの概念図と日中放射冷却を実現するために必要な反射率と放射率の分光特性空熱放射太陽光可視 近赤外 中赤外熱放射@300K反射率放射率熱放射層Cold1010図 2　放射冷却で発電する素子の (a) 概念図と (b) 写真(a)(b)MATERIAL STAGE   Vol.25,  No.8  2025     3放射冷却膜による「暑さ対策」と「環境発電」の両立，その可能性について－ 実用化のための技術的な課題は？現在の技術開発段階（研究，試作，実証実験，製品化など）はどの辺りですか？　コスト以外の実用化のための課題は，対候性だと考えます。ここでの対候性は，素材が屋外で劣化しないだけでなく，汚れが付きにくいことも大事な要素です。放射冷却機能を持った素材が汚れると，太陽光反射率が低下し，太陽熱の影響を受けて冷却能力が低下するためです。しかし塗料にしてもシートにしても対候性の高いものは既に実用化されています。また，汚れを付きにくくするための撥水性処理や撥水コーティングも様々なものが開発され実用化されています。そのため，日中放射冷却のことを良く理解している方と，塗料であれば塗料メーター，シートであれば化学メーカー，の方が協力して製品開発することでより良い日中放射冷却機能を持った製品が開発されることが期待されます。　既に日中放射冷却機構の付与した製品が複数の会社から販売されていて，今後日中放射冷却機能をもつ製品を製造する企業は増えてくると予想しています。そのため，現在の技術開発段階は，企業によって製品化まで進んでいるところもあれば試作や実証実験を行っているところもあると予想しています。― 本誌読者の皆様へのメッセージや，今後の研究の発展のために欲している技術や提案 （製造設備，分析機器，新素材，ユーザー視点からの提案など）が御座いましたら，お願いします。　既に回答したことと一部重複しますが，日中放射冷却機能を塗料やシート等に付与する場合，既存の材料やプロセスを一部変更することで対応できる場合があり得ると想定しています。そのため，そのような技術を持った企業と日中放射冷却の原理を良く理解している研究者がタッグを組んで，製品開発をしていけば，1，2年のうちに開発が進むと考えています。一つでも多くこのような協力が進み，日中放射冷却の実用化が進むことを期待しています。－ 本日は貴重なお話をいただき，ありがとうございました。　ありがとうございました。参考文献1）S. Ishii, C. Bourgès, N. K. Tanjaya, and T. Mori, " Transparent thermoelectric device for simultaneously harvesting radiative cooling and solar heating,"  Materials Today Vol. 75, pp. 20-26 (2024)