# Fileset

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## Creator

[日比 裕理](https://orcid.org/0000-0003-4006-1070)

## Rights

@日本熱測定学会<br>
本論文は日本熱測定学会の許諾により、掲載後1年経過後にリポジトリ利用として公開するものです。[In Copyright](http://rightsstatements.org/vocab/InC/1.0/)

## Other metadata

[データ駆動標品フリー定量法による高分子の熱分解質量スペクトル解析](https://mdr.nims.go.jp/datasets/39b8dbee-28f6-4d3a-a3d8-70b6e297e618)

## Fulltext

Netsu Sokutei 52 (3), 93-98 (2025) Netsu Sokutei 52 (3) 2025                              © 2025 The Japan Society of Calorimetry and Thermal Analysis 93         データ駆動標品フリー定量法による 高分子の熱分解質量スペクトル解析  日比 裕理  国立研究開発法人物質・材料研究機構 高分子・バイオ材料研究センター データ駆動高分子設計グループ  （受取日：2025 年 4 月 25 日，受理日：2025 年 5 月 29 日）  Data-Driven Reference-Free Quantitative Analysis  for Pyrolysis Mass Spectrometry of Polymers  Yusuke Hibi  National Institute for Materials Science, Research Center for Macromolecules and Biomaterials Data-driven Polymer Design Group  (Received Apr. 25, 2025; Accepted May 29, 2025)  Pyrolysis mass spectrometry (pyrolysis-MS) offers chemically and physically rich insights into polymer materials. However, its broader application has been limited by the inherently non-quantitative nature of MS, primarily due to ionization-efficiency variability among fragment species. To overcome this limitation, we present a reference-free, data-driven analytical framework that enables robust quantitative analysis without requiring any pure-component reference spectra. By eliminating the need to prepare actual standard materials, this approach allows system components to be flexibly defined—including virtual or hypothetical entities—based on the analytical objective. As a result, phenomena previously considered incompatible with conventional compositional analysis, such as monomer sequence distributions and degrees of polymer degradation, can now be quantified within a unified framework.  This advancement transforms pyrolysis-MS from a qualitative diagnostic into a versatile quantitative tool, offering new capabilities for thermal analysis, material design, and lifecycle evaluation in polymer science. Keywords: pyrolysis mass spectrometry, reference-free quantitative mass spectrometry, monomer sequence analysis, degradation degree of plastics, non-negative matrix factorization    1. はじめに  組成分析は現象理解のための最も基礎的かつ強力な分析方法である。化学の文脈における組成分析とは，通常何らかのスペクトルに基づいて系を構成する元素または分子の組成分率を決定することを指す。しかし化学組成に限らず，分子の配列や配座，ネットワークなどの立体・集合構造，あるいはポリマーの耐候劣化度のような状態量も，その差異がスペクトル上に反映されているならば，構成要素の設定を工夫することで組成分析の枠組みで定量化できる。本稿では，化学的にも物理的にも高分子のリッチな構造情報を内包する熱分解質量スペクトル（mass spectrometry; MS）に基づく組成分析を通じて，従来の高分子分析手法では取り扱いが困難であった共重合体のモノマー配列分布や高分子材料の耐候劣化度を定量評価する手法について述べる。鍵となるのは標品（構成要素の純サンプル）を必要としないデータ駆動型の MS 定量解析法である。これにより，標品の準備可能性に制約されない柔軟な構成要素の設定が可能となる。次節以降ではまず熱分解 MS の特徴と課題を概観した上で，標品フリー定量 MS（reference-free quantitative MS; RQMS）の原理と応用展開を紹介する。  2. 熱分解質量スペクトル  高分子材料は架橋構造やフィラーとの化学的複合化により，溶媒に不溶であることが多い。このため，溶液核磁気共鳴スペクトル（NMR）や排除体積クロマトグラフィー（SEC），マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析（MALDI-TOF-MS）など，溶液試料を前提とする分析手法の適用が難しく，主鎖に沿った一次構造の解析が制約されている。 こうした背景から，高分子材料を熱分解し生じるガス状フラグメント分子を気相で分析する熱分解 MS（pyrolysis-MS）が古くから発展してきた｡1–3) 熱分解における昇温方式解  説 解  説  Netsu Sokutei 52 (3) 2025 94 には瞬間昇温と等速昇温があり，特に後者は Evolved Gas Analysis-MS（EGA-MS）とも呼ばれる。本稿では等速昇温法を用いているが，熱分解による情報抽出という本質に着目し，ここでは熱分解 MS という包括的な呼称を用いる。 熱分解 MS は主に熱分解部，発生ガス輸送部，分析部から構成される。熱分解部に導入された高分子サンプルは，昇温に伴い主鎖や側鎖が確率的に切断される。分解が進み，オリゴマー分子量領域（<1500 Da）まで断片化されると気化し，キャリアガスに乗って輸送部を経由して分析部に運ばれる。分析部では連続的（1~10 scan/sec）に MS が取得され，熱分解温度ごとに発生したポリマー断片の質量パ    ターンが得られる。この断片の質量情報からポリマーの一次構造を推定できるのはもちろん，2,4)  架橋密度やフィ  ラーの影響といった周辺物理環境もポリマーの熱安定性を介してスペクトルに反映される。5) 固体高分子材料から直接，化学的にも物理的にもリッチな情報を引き出せる点で，極めて有効な分析手法である。 一方で高分子の熱分解過程は複雑である。解重合，ラジカル分解反応，側鎖分解などが複合的に進行するため，一種類のホモポリマーからも多様なフラグメントが発生する。さらに，実用材料では異種ポリマーや添加剤が混在しており，一層複雑化したピークパターンを一つずつ帰属することは現実的に困難である。また，MS 分析に共通の課題として，各フラグメントは分子構造に起因する固有のイオン化効率を有しており，ピーク強度比から対応する分子種の存在比を定量できない。このように，熱分解 MS は，豊富な情報量を潜在的に内包する一方で，「複雑性」と「非定量性」という二つの本質的課題を抱えている。 これら課題を克服すべく，これまでハードウェア面からの改良が積み重ねられてきた。たとえば，熱分解部に熱重量・示差熱分析装置（TG-DTA）用い，MS 信号強度を重量減少量のリンクにより定量性を向上させる試み（TG-MS）は古くから行われている｡3,6–11) また，輸送部にガスクロマトグラフィー（GC）キャピラリーを用い，成分を時間分離することでMSスペクトルを単純化させる手法（TG-GC/MS）や, 8,12) 分析部におけるフラグメント化を抑制する各種ソフトイオン化法も開発されてきた｡13,14) しかし，これらの進展をもってしても，MS 自体が本質的に非定量的であることに起因する制約——すなわち，標品との比較を前提とした定量法——は依然として残る。特に，サンプル中の構成要素が不明である場合や，標品を単離できない場合，従来型の定量解析を適用することはできない。 次節では，このような制約下でも定量解析を可能とする，標品フリー定量法の原理についてデータ解析の立場から述べる。  3. データ駆動標品フリー定量法  標品スペクトルが実測できない状況においても，観測された多数の混合スペクトルから，各組成比率と標品スペクトルを同時に推定するデータ駆動型の標品フリー定量法の概略を紹介する。まずは一般のスペクトルにおける標品フリー法について述べ，次節でこれをどのように熱分解 MSに適用するか述べる。実際，この手法はリモートセンシングや電子エネルギー損失分光（EELS）などのイメージングスペクトラ（1 ピクセルごとにスペクトルを有する画像  データ）分野で発展してきた経緯がある｡15–20) 対象とする系の構成成分数をKとし，これは既知とする。また，これら成分間に相互作用がなく，混合スペクトルは単純な線形加成性に従うとする。観測されたある混合スペクトルは D チャネルの信号強度を並べた行ベクトル𝒙で表現すると，次式で記述される｡16) 𝒙 = 𝑐 𝒑 + 𝑛𝑜𝑖𝑠𝑒 1   ここで𝒑𝑘は k 番目の標品スペクトルで，その分率𝑐𝑘は∑ 𝑐𝑘𝐾𝑘=1 = 1を満たす非負の実数である。𝒑𝑘 (𝑘 = 1, 2, … ,𝐾)を縦に積み重ねて𝐾 × 𝐷行列𝑷を作ると，組成ベクトル𝒄 =(𝑐  𝑐 … 𝑐 )を用いて次のように簡潔に表すことができる。  𝒙 = 𝒄𝑷 + 𝑛𝑜𝑖𝑠𝑒 (2)  系の構成成分が既知で，そのすべての標品スペクトル𝑷が実測できれば，最小二乗法によりノイズを最小化する組成𝒄を簡単に計算できる。これは従来のラベルフリー定量 MSに相当する。21) しかし実際には，系の構成要素がわからない，または単離できないため，標品スペクトル𝑷は未知の場合がほとんどである。このような状況下で，単一の観測ベクトル𝒙から𝒄と𝑷を同時に推定することは，解が定まらない不良設定問題となる。 では，成分数 K よりもはるかに多くの混合スペクトルが観測された場合はどうだろうか。たとえ純粋な標品スペクトルが一つも観測できなかったとしても，限られた K 個の標品スペクトルの線形結合ですべての観測スペクトルを近似的に表現するためには，標品スペクトル𝑷の自由度が自然に制限される。データ数が増えるほど自由度が減り，観測スペクトルの共通項的特長を抽出したもっともらしい𝑷が推定される可能性が高まる。これがデータ駆動型標品フリー解析の根本的発想である。 観測されたN個のD次元スペクトルを縦に積むと，𝑁 × 𝐷行列 X が得られる。n 個目の観測スペクトルは𝑿の n 行目に位置し，これを𝑿 :と書くと，次式で表せる。  𝑿 : ≈ 𝐶 𝑷 : (𝑛 = 1,2, …𝑁) (3)  𝑪は𝑁 × 𝐾組成行列で，その(n, k)要素は n サンプルに占めるk 成分の分率を表す。すなわち𝑿 ≈ 𝑪𝑷と行列分解の形式で表すことができる。組成分率と MS スペクトルの信号強度は共に非負実数という制約を受けるため，標品フリー定量は非負行列因子分解（non-negative matrix factorization; NMF）として定式化される。通常 NMF では，X とその近似𝑪𝑷との間の二乗誤差を最小化するように𝑪と𝑷を交互に更新して最適化する｡22)  では，このように大量のデータがあれば，NMF によって標品スペクトルと組成が唯一解に定まるのだろうか？残念ながら，非負かつ組成分率が足して 1 になるという制約だけでは不十分で，一般に𝑪と𝑷は一意に定まらない｡23) これはスペクトル空間上の幾何問題として考えると直観的である（Fig.1 に K=3 の場合を示した）。20) 混合ベクトルが標品ベクトルの線形和で，その非負係数が足して 1 を満たすことから，混合ベクトルは標品ベクトルが張る K 次元単体（K=3 なら三角形）の内側に位置する。従って観測された混合ベクトルをすべて内包する単体の頂点として標品スペクトルを推定すればよい。しかし，そのような頂点は，拡大や回転により，いくらでも自由に取ることができてしまう。このような考察から，リモートセンシング分野で盛んに研究されてきたのが最小体積制約に基づく NMF であ  る｡15,18) これは観測スペクトルをすべて内包する「最小体積」の単体頂点を標品スペクトルとしてみなすというアイディアである。最近になって，データセットがある条件を満たせば，この最小体積頂点が標品スペクトルと一致することが数学的に証明された｡20)その十分条件とは「観測データに対応する真の組成ベクトルの凸包が，三角組成図上の内接円を包含すること」である（わかりやすさのため三成分に限定した記述とした）。もっとも，組成分率は未知なのデータ駆動標品フリー定量法による高分子の熱分解質量スペクトル解析  Netsu Sokutei 52 (3) 2025 95 で，この条件を満たしているかを事前に確認する術はない。また，この十分条件は実質的に，ある成分が含まれていないデータ点（Fig.1 の辺上の点群）の観測を要請するが，実用的な分析の状況でこれを満たすことは困難なことも多いだろう。しかし，スペクトルの性質に基づく更なる制約条件や，可能な限り観測可能な標品スペクトルを実測することで，未知標品成分についての上記十分条件は緩和されると思われる。実践的には，取得したデータセットについて最小体積 NMF を適用し，推定された標品スペクトルや組成分率に科学的整合性があるか丁寧に検証し，必要に応じてデータセットを拡充していくことが求められる。    Fig.1 Geometric representation of volume-minimization constraint that shrinks the simplex spanned by inferred reference spectra to coincide with the ground-truth reference spectra.20)  4. 標品フリー定量法の熱分解 MS への適用  本節では熱分解 MS に対する標品フリー定量法の適用について，著者の取り組みを述べる｡24)まず，通常のスペクトルと異なり，熱分解 MS は m/z 軸と分解温度軸を有する二次元スペクトルである。1 サンプルの測定ごとに T 温度帯域のスペクトルを得るとすれば，N サンプルの観測データ行列𝑿はこれらをすべて並べた，𝑁𝑇 × 𝐷サイズの行列になる（𝐷は m/z チャネル数）。もう一つ特異な点は，熱分解 MSはポリマーそのものではなく，熱分解によって生成した断片分子を観測する点にある。単一ポリマーからも，その部分構造の熱安定性の差異から，温度帯域ごとに様々に異なる熱分解断片が生成される。従って，データ行列𝑿内の独立成分数（同時に一定比率で増減するピーク群の数）M は，ポリマー成分数 K よりもはるかに大きい。このため，データ行列に対していきなり𝑿 ≈ 𝑪𝑷と NMF を適用しても，正しい標品スペクトルにたどり着くことは難しい。なぜなら，𝑷は K 成分のスペクトルしか保持できず，M 個の熱分解断片による𝑿の多様なスペクトル変動を表現するには不十分だからである。特に，異種ポリマー間で共通の部分構造を有する場合，その由来を一意に帰属・分配することが困難になり，この問題はさらに深刻になる。そこで著者は，まずデータ行列を𝑿 ≈ 𝑨𝑺と分解した。ここで𝑨（𝑁𝑇 × 𝑀次元）は各スペクトルにおける断片存在量，𝑺（𝑀 × 𝐷次元）は M個の熱分解断片スペクトルである。 次に断片量𝑨を温度軸に沿って積算し，サンプルごとの断片量𝑨′（𝑁 × 𝑀次元）に変換したのち，最小体積 NMF を適用し，𝑨′ ≈ 𝑪𝑩と分割する。ここで𝑪（𝑁 × 𝐾次元）は各サンプルにおけるポリマー組成比，𝑩（𝐾 × 𝑀次元）はポリマー固有の断片生成パターンを表す。これらをまとめると温度軸に沿って一次元化されたデータ行列𝑿（𝑁 × 𝐷次元）は以下のように分解され，組成𝑪と標品スペクトル𝑷を取り出せる。 𝑿 ≈ 𝑨 𝑺 ≈ (𝑪𝑩)𝑺 = 𝑪𝑷 (4)  このアプローチにより，熱分解 MS データに潜在的に存在する「ポリマー→熱分解断片パターン→観測スペクトル」という階層構造を反映した定量解析が可能になる（Fig.2）。   Fig.2 Hierarchical structure of a mixed spectrum in pyrolysis-MS. Reproduced from DOI: 10.1039/d2sc06974a, under the terms of the CC BY NC 3.0 license.  なお，式(4)ではスペクトルごとの断片量𝑨を，サンプルごとの断片量𝑨′に変換したため，温度情報は消失している。「それならば最初から二次元スペクトル𝑿を温度軸に沿って積算し一次元化した𝑿 に対して NMF を行えばよいのではないか」と思うかもしれない。しかし，断片スペクトル𝑺は，由来となる各ポリマー部分構造の熱安定性の差異に応じて温度軸に沿って分離されるため，温度毎のスペクトルを用いることで抽出が容易になる。一方で，ポリマー組成比率は断片種の量により決定されるため，その温度分布は冗長な情報となる。このため，温度情報を一次 NMF で活用した後，二次NMFの前に積算消去する方針を取った。  さて，この二回の NMF には本質的な違いが存在する。一回目の NMF は，スペクトル「解釈」であり，そこに正しい唯一解は存在しない。この NMF の目的は同時に増減するピークをグループ化し，ある単一のポリマー部分構造に帰属することであったが，どのように部分構造を捉えるかは人によって異なり，正解がない。一方，二回目のNMFは，真のポリマー組成𝑪を推定することが目的であり，これには唯一の正解が存在する。この唯一解を導くために最小体積制約が導入された。しかしここで注意すべきは，出発点となる断片存在量𝑨′自体が，一次 NMF の解釈の自由度を内包しており，様々に変化し得るという点である。このように出発行列自体が変動しても，真の組成比率に収束できるように，著者は観測スペクトル𝑿という固定された実験データに拘束されながら一次 NMF の自由度を吸収補正するアプローチをとった。具体的には一次 NMF で得られた基底行列𝑺の非直交性を考慮したリーマン距離に基づいて二次 NMF を実施することで，25,26) 𝑨′の変動を吸収・補正し，真のポリマー組成𝑪を推定可能とした。 次に一次分解𝑿 ≈ 𝑨𝑺の設計について述べる。まず，断片数𝑀が未知なため，分解すべき行列サイズも未知，という問題がある。そこで，断片存在量𝑨の疎性（行列要素の多くがゼロであること）に注目する｡27) これは，ある断片はその固有の熱安定性に応じた特定の温度帯域でのみ生成されることに起因する。この特質を活かし，Automatic Relevance Determination (ARD) に基づくスパース推定を行い,28) 不要な成分を自動的に消去しながら，必要な断片成分数Ｍを同定するアプローチを採った。さらに，異なる断片スペクトルは異なる質量値を有するため，同じ m/z チャネルを共有する可能性が低い。このため，成分同士のスペクトルの重複を適度に抑制するため，ソフトな直交性制約（ soft orthogonality constraint）を𝑺行列に課している。これらの設計・実装方針は，電子エネルギー損失分光（EELS）スペクトル解析において，志賀らが提案・開発したソフト直交制約付きの ARD-NMF に基づいている｡19) 解  説  Netsu Sokutei 52 (3) 2025 96 このように二段階 NMF を中核としたデータ駆動型標品フリー定量解析（reference-free quantitative mass spectrometry; RQMS）アルゴリズムの精度を検証するため，23 個の二成分，または三成分混合ポリマーの組成推定を行った。与えたスペクトルは最大純度 80 %までの混合サンプルで，純品スペクトルは用いていないが，Fig.3 に示すように推定組成と真の組成はよく一致した。次節以降では，この RQMS の応用解析例を紹介する。   Fig.3 Benchmark test of compositional analysis in a ternary system. Dots represent polymer fractions inferred by RQMS; stars indicate the ground-truth fractions. Reproduced from DOI: 10.1039/d2sc06974a, under the terms of the CC BY NC 3.0 license.  5. 共重合体のモノマー配列分布解析   熱分解 MS ではポリマーの断片が観測される。特にビニルポリマーを空気中で熱分解すると，ラジカルに脆弱な主鎖が優先的に切断され，数モノマー単位の並びを保持したオリゴマーが概ね 300～450 ℃で生成される。ここでは，観測される断片の質量パターンから，元のポリマーの配列分布，すなわち部分配列の出現頻度を定量化することを考える。大気下でオリゴマー分子量域の断片を観測するため，熱分解部にバイオクロマト社製のイオンロケットを，MSにはソフトイオン化の一種である DART イオン源を備えた四重極 MS（LCMS-2020;島津製作所）を利用した。 例えば，モノマーX と Y からなる共重合体の熱分解 MSにおいて，XXX や YYY の分子量値に対応するピークが強く観測されればブロック様配列，XYX や YXY に対応するピーク強度が強ければ交互様配列と推察できる。しかし，イオン化効率の差異のため，ピーク強度をそのまま部分配列の出現頻度と対応付けることはできない。また，XYX とXXY のように，異なる配列異性体が同一ピークに重なるため，これらを合理的に分配する必要がある。 そこで，任意の配列分布を有する共重合体は，規則配列ポリマー（単一部分配列の繰り返し）の混合物であると捉え，その混合比による配列分布の定量化を試みた（Fig.4）。すなわち，実検体の熱分解により生じた様々な断片パ    ターンを，仮想的に規則配列ポリマーの混合物から生じたものと解釈し，その断片パターンをもっとも再現する混合比により部分配列の出現頻度を定量化する。ここで定量可能な部分配列の長さは，仮想規則配列ポリマーの成分数 Kに依存する。例えば K = 5 で三連子（Fig.4），K=9 で五連子配列までの出現頻度が定量可能となる。    Fig.4 Reducing sequence-distribution analysis to compositional analysis by interpretating sequence-defined copolymers as virtual references. ところが，実際には規則配列ポリマーを合成・測定することができず，標品スペクトルを用いてスペクトル分解を行う従来定量 MS 法は使えない。そこで，モノマー組成比が異なるランダム共重合体（規則配列ポリマーの混合物）を多数合成し，そのスペクトルセットに対し RQMS を適用することで，規則配列ポリマーのスペクトルをデータ駆動的に推定する。 Fig.5 にスチレン（S）と n-ブチルアクリレート（B）の二元共重合体について，K=9 と設定して RQMS で五連子配列を解析した結果を示す。成分数 K はデータ科学的に決定する手法もあるが，筆者はむしろ，解析者の意図（何連子までの部分配列情報を得たいのか）を盛り込み，矛盾のない解析結果が得られるまでデータを足していく，という対話プロセスが重要であると考えている。今回はモノマー仕込み比（S:B = 100:0～0:100）や重合温度（40~150 ℃）を変化させ，80 個の様々な未知配列分布を有する共重合体を合成しデータセットとした。ホモポリマー（SSSSS と BBBBB）は合成できるため，残りの 7 個の五連子配列規則ポリマーのスペクトルを RQMS で推定した（Fig.5(a)）。例えば(BBBSS)l と(BBSBS)l の配列規則ポリマー（下付きの l は繰り返し数を表す）は，同じ質量の五連子断片ピークを有するが，三連子断片 BBB のピーク強度が大きく違うなど，合理的な規則配列ポリマーのスペクトルが推定できた。一度規則配列ポリマーのスペクトルが推定できれば，これを用いて様々な重合条件下で得られる共重合体の配列分布を解析できる。実際，簡便なフリーラジカル重合で得たデータセットをもとに，可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)法により合成された検体を解析し，鎖成長に伴う配列分布の変化を追跡することに成功した Fig.5(b)。重合初期では反応性の高いスチレンリッチな五連子（SSSSB や SSBSB）が優勢だが，重合進行とともにスチレンが枯渇し，ブチルアクリレートリッチな五連子（BBBBS）などが優勢となる，合理的な配列変化が観察された。得られた結果は 1H NMR やAlfrey-Mayo 式に理論予測とよい一致を見せた(Fig.5c)。なお，1H NMR で配列分布を定量解析することは通常困難であるが，本系のモノマー組合せでは B 中心の三連子組成が半定量的に計算できることが知られている。そのため，RQMS の五連子配列組成から，B 中心の三連子組成を計算して比較を行っている。このように，従来解析では難しかった五連子配列やモノマー三元系の配列解析なども可能であったことを報告している。 最後に，配列分布解析における RQMS の有効性について，二つの観点から述べる。第一に，配列異性体の識別問題への対応である。例えば，ピーク X2Y1 の分子量値に対応するピークは XYX と XXY，YXX の三つの部分配列に由来し，これを異性体の存在比に応じて正確に分配することは難しい。しかし，X2 の信号が弱く，X1Y1 の信号が強ければ，XYX部分配列が優勢と推定できる。すなわち，スペクトル全体を俯瞰し，各ピーク間で矛盾が生じないようにピーク強度を配列異性体に分配する必要がある。これを単一スペクトルに基づき解決することはできないが，部分構造ごとに熱安定性が異なるため，温度軸に沿ってスペクトルに含まれる部分構造の比率が変化することに注目すると，同時に一定比率で増減するピーク群を同一部分構造由来とみなして抽出できる。このような部分構造に由来するピーク群のグループ化と，オーバーラップピークの分配が，RQMS の第一 NMF に相当する。第二の利点は定量性の確保である。たとえ部分構造ごとにピークをグループ化できたとしても，単純な信号強度比からその存在比を直接計算できない。しかし，規則配列ポリマーの断片パターンが推定できれば，検体の断片パターンを再現する規則配列ポリマーの混合比，すなわち部分配列の出現頻度が定量化できる。この役目をデータ駆動標品フリー定量法による高分子の熱分解質量スペクトル解析  Netsu Sokutei 52 (3) 2025 97 担うのが RQMS における第二 NMF である。このように，熱分解 MS が抱える複雑性と非定量性を RQMS における二段階 NMF を通じて克服することができる。    Fig.5 Sequence analysis of 1:1 random copolymers of styrene (S) and n-butyl acrylate (B). (a) Inferred spectra of sequence-defined copolymers. (b) Modulation of sequence distribution during 1:1 RAFT copolymerization of S and B. (c) Pentad compositions inferred by RQMS were converted into B-centered triad compositions and compared with results from NMR analysis and theoretical predictions. Reproduced from DOI: 10.1039/d2sc06974a, under the terms of the CC BY NC 3.0 license.  6. プラスチックの劣化度定量   本節では RQMS の別の応用例として，プラスチックの耐候劣化度定量に焦点を当てる。29)プラスチック材料は紫外線や酸素，水分の影響をうけ，様々な劣化反応を起こす（Fig.6）。同じポリマーでも，実働環境や含有耐候剤によって劣化様式は変化するため，これらを包括する単一の劣化指標を定めることは難しい。しかし，ある実働環境下での劣化の進行度を単一指標で定量できれば，インフラの突発的破損の予測や，リサイクル材料の品質評価基準として有用である。  そこで，プラスチック材料が実働環境下で最終的に行きつく完全劣化状態を仮想し，これと未劣化ポリマーの重量比で劣化度を定義することを提案する。このような定義により，複雑な劣化機構を逐一解析することなく，劣化度を化学的に定量化できる。さらに，耐候剤を含む場合は，未劣化・完全劣化・耐候剤の三成分組成ダイヤグラムを構築することで，ポリマーの劣化と耐候剤の流出を同時に可視化できる（Fig.6）。  しかし，仮想的な完全劣化状態を実際に合成・測定することはできない。そこで RQMS を用いて，実測可能な未劣化ポリマーや耐候剤を既知標品とし，劣化途上のサンプル群から，完全劣化状態のスペクトルを推定する。 実験には，熱分解部に TG-DTA8122（リガク社製）を用い，分析部には EI イオン源を備えた MS（JMS-T2000GC; 日本電子製）を用いた。両者は 300 ℃に加熱したキャピラリーで接続されており，ヘリウムキャリアガスにより熱分解ガスが輸送される。分解に伴うフィルムサンプルの重量減少量に基づき，MS 信号強度を重量ベースの存在量に変換することで，RQMS の定量性をさらに向上させることが可能である｡9)    Fig.6 Various degradation pathways and the definition of degradation degree, based on the weight ratio of pristine and completely degraded polymers. Reproduced from DOI: 10.1016/j.polymdegradstab.2024.111128, under the terms of the CC BY 4.0 license.  ポリウレタンに光安定化剤を 3wt%含有させたフィルムの加速劣化実験における組成変化を Fig.7 に示す。各データ点に付した数字は耐候日数を示す。全体的に耐候時間の増加に従って，サンプルは完全劣化頂点に向かって連続的に組成変化しており，劣化頂点スペクトルの推定精度の高さが裏付けられている。また，安定剤含有サンプル（青点）は非含有サンプル（赤点）に比して劣化速度が抑制されており，例えば「安定剤含有 60 日」と「非含有 3 日」が同程度の劣化度にあることが確認された。このように耐候剤の効果を定量評価することも可能であり，材料の開発指針を与えるものと期待される。原著論文では複数耐候剤を含有する場合についても報告している｡29)   Fig.7 Degradation behavior of polyurethane films with (red) or without (black) 3 wt% of a stabilizer (hindered amine light stabilizer; HALS) under accelerated weathering conditions. Numerical labels indicate the duration of exposure to accelerated degradation conditions. Reproduced from DOI: 10.1016/j.polymdegradstab.2024.111128, under the terms of the CC BY 4.0 license  最後に，熱分解 MS を使った組成分析に基づく化学的劣化度の有用性について述べる。Fig.8 は，劣化が進行したフィルムに対して微小押し込み試験を行い，その力学的応答と劣化度の関係を調べたものである。その結果，化学的劣化度が 50 %を超えるまでは，フィルムの硬さ（押し込み深さ）はほとんど変化しないが，50 %を超えたあたりから急激に硬化・脆化が進行することが明らかとなった。すなわち，物性試験のみを指標に材料をモニターしても劣化の初期段階を検知することは難しく，急激な物性低下に気づいたときには既に材料寿命が尽きている可能性が高い。一方，化解  説  Netsu Sokutei 52 (3) 2025 98 学的劣化度をモニターすれば，材料の寿命を事前に予見することができる。複雑な劣化現象をマクロに捉え，単一の指標として可視化できる点に RQMS の真価が発揮されると考えている。    Fig.8 Micro-indentation testing on polyurethane films with (blue) and without (red) HALS additives. Indentation depth (solid symbols) and indentation modulus (hollow symbols) are plotted as functions of degradation degree. Numerical labels indicate the duration of exposure to accelerated degradation conditions. Reproduced from DOI: 10.1016/j.polymdegradstab.2024.111128, under the terms of the CC BY 4.0 license.  7. 結 言   熱分解 MS は，高分子材料の化学・幾何構造や劣化度などに関する豊富な情報を潜在的に有しながらも，スペクトルの複雑性と非定量性という本質的な課題によって，長らく定量解析が困難とされてきた。本稿で紹介した，標品フリー定量解析法（RQMS）は，これら課題に対し有効な解決手段を提供する。特に，二段階の NMF を用いた階層的アプローチは，高分子材料の構造や状態をマクロな視点で見通しよく可視化できる。 本稿では線形モデルに基づく RQMS の原理と応用について述べてきたが，熱分解過程においてポリマーが高温で溶融・可塑化状態を経るため，成分間の相互作用や化学反応が生じ，混合における線形加成性が大きく損なわれることがある。このような場合には相互作用を考慮可能な非線形モデルに基づく解析手法が必要となる。実際，劣化度評価においては，耐候剤（ラジカル捕捉剤）がポリマーの熱分解様式に影響を及ぼすため，非線形 RQMS を適用することで，相互作用項を除して正確な組成推定を実現してい  る｡10,29) 今後はデータセットの迅速な構築方法の開発や，更なる多成分・相互作用系への拡張を通じて，より汎用的に使いやすく，より複雑な現象にも適用可能な解析技術として発展することが期待される。  謝  辞  本稿は，物質・材料研究機構 データ駆動高分子設計グ  ループにおいて，2021 年頃より着手した熱分解質量分析に関する研究成果をまとめたものです。本研究にあたり，大日本印刷株式会社の松本司氏，ならびに物質・材料研究機構の内藤公喜博士をはじめとする多くの共同研究者の皆様に，深く感謝申し上げます。とくに，JST CREST プログラム（JPMJCR19J3）を通じて多大なるご支援を賜りました内藤昌信博士に，厚く御礼申し上げます。また，本研究は JSPS科研費（JP24K08520）の助成を受けて実施されました。     文  献  1) G. G. Wanless, J. Polym. Sci. 62, 263–279 (1962). 2) G. Nencini, G. 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