# Fileset

[車テク202308-09　膜型表面応力センサを用いたニオイセンサの開発とその社会実装に向けた取り組み、展望.pdf](https://mdr.nims.go.jp/filesets/054b8ffb-2a2a-4f34-8a37-6ad21642e2d4/download)

## Creator

[今村 岳](https://orcid.org/0000-0002-3130-7190)

## Rights

[In Copyright](http://rightsstatements.org/vocab/InC/1.0/)

## Other metadata

[膜型表面応力センサを用いたニオイセンサの開発とその社会実装に向けた取り組み・展望](https://mdr.nims.go.jp/datasets/9a9643d4-32e4-4895-8f0b-340a1351c88b)

## Fulltext

38　 車載テクノロジー   Vol.10，  No11  2023モニター匂いセンシングの開発動向と応用展開膜型表面応力センサを用いたニオイセンサの開発とその社会実装に向けた取り組み・展望今村 岳　　(国研 ) 物質・材料研究機構高分子・バイオ材料研究センター大阪大学大学院情報科学研究科( 株 )Qception1.　はじめに　嗅覚は人間の五感の一つであり，嗅覚により我々はニオイから様々な情報を得ている。したがって，人間の鼻に代わってニオイを検知できるセンサがあれば，様々な産業分野において，作業の自動化や機械化が実現したり，これまでにない新しい製品やサービスの提供が可能になったりすることが期待される。ところが，2023年現在，産業応用が実現しているニオイセンサはほとんどない。これは，ニオイを検知・識別するための様々な技術的な課題がまだ克服されていないことが原因であるといえる。しかし，近年のナノテクノロジーの発展や人工知能技術の向上などにより，一部ではニオイセンサの応用可能性が見えてきている。　本稿では，筆者らが取り組んでいる膜型表面応力センサ（MSS）を用いたニオイセンサについて技術的な解説を行うとともに，これまでの社会実装に向けた取り組みなどについて紹介を行う。2.　ニオイセンサとは　「ニオイセンサ」と聞いてイメージするものは人それぞれであるが，一般にニオイセンサというと，人間の嗅覚のメカニズムに即した原理で動作するものを指す。ここでは，ニオイを「ガスセンサを用いて」，「検知・識別する」システムであると定義する。ニオイセンサというと，センサ素子単体をイメージすることが多いが，ニオイセンサという技術は，センサ素子と情報処理を組み合わせた一つのシステムであることに注意されたい。　ニオイは，様々なガス成分が複雑に混ざることによって一つのニオイを形成していることから，何らかの手法でこれらのガス成分を検出する必要がある。人間の鼻においては，嗅細胞がニオイの検知を行っており，約 400種類の嗅覚受容体と呼ばれるタンパク質により，多様なガス成分の検出に対応している 1）。ニオイセンサでは，この嗅細胞に対応するのがガスセンサであり，特性の異なるガスセンサを複数個配列することにより，嗅覚受容体の違いに対応した化学的多様性を実現している。　嗅細胞にてニオイが検出されると，電気信号が発生して脳に送られ，大脳辺縁系でニオイの情報が処理される。ここで，そのニオイが何であるかを認識したり，快・不快の感情などが誘起されたりする。ニオイセンサにおいては，このプロセスを行うのがセンサシグナルの情報処理部分である。ニオイ識別を行うための情報処理の簡略化したイメージを図 1に示す。この図では，9個の特性の異なるガスセンサを用いてニオイの測定を行っており，異なるニオイに対して得られるセンサ応答のパターンが予め学習できているとする。あるニオイをこの系を用いて測定すると，各ガスセンサの応答を元に一つのパターンが得られるが，これと，既に学習済みのニオイ車載テクノロジー   Vol.10，  No.11   2023     39匂いセンシングの開発動向と応用展開特　集　2のパターンとを比較することで，それがどのニオイであるかを判定することができる。図 1は，ニオイ識別のプロセスをかなり簡略化したものであるが，このようなパターン認識の手法は様々存在し，人工知能と組み合わせた解析により，より複雑なニオイに対応した高精度なニオイ識別が実現できる。　ちなみに，ニオイの分析では，ガスクロマトグラフィー （GC） やガスクロマトグラフィー‐質量分析法（GC-MS） のように，ニオイを成分ごとに分離・定量する手法も広く行われているが，これはニオイセンサとは別の技術としてとらえるのが妥当である。3.　膜型表面応力センサ （MSS） とは　ニオイを検出するガスセンサには様々なタイプのものがあるが，ニオイセンサに応用するためには，様々なニオイ成分に対応するための化学的な多様性が求められる。このようなセンサ素子として注目されているのが，膜型表面応力センサ （Membrane-type Surface stress Sensor， MSS） である。MSSは，2011年に物質・材料研究機構 （NIMS）の吉川らが中心になって開発されたセンサ素子である 2）。MSSの写真を図 2 （a） に示す。MSSは，MEMS技術により作製されたシリコン製のセンサであり，非常に小型であるのが一つの特徴である。このセンサチップの先端は図 2 （a） の概念図のように，円形の膜が 4つの梁で吊られた構造をしている。この膜の上に，感応膜と呼ばれる材料が塗布されており，この感応膜がニオイを吸収する。感応膜がガスを吸収すると膨張し，それに伴い感応膜が塗布されているシリコン製の膜も変形する。このとき応力が発生するが，MSSのこの構造では，4つの梁に応力が集中する。4つの梁にはピエゾ抵抗素子が埋め込まれており，これらの抵抗値が応力によって変化することから，抵抗値の変化を電気的に読み取ることでセンサのシグナルを得ることができる。（図 2 （b）） MSSのように，応力や変異など，機械的な性質の変化を検出することで動作するタイプのセンサをナノメカニカルセンサと呼ぶが，MSSのように抵抗値の変化を読み取るタイプのナノメカニカルセンサではこれまで感度が低いことが課題であった。MSSは，図 2 （a） の構造により応力を梁に集中させることなどによって感度を飛躍的に向上させ，従来の感度の課題を克服した。図 1　ニオイセンサを用いたニオイの識別Ch.1センサ応答Ch.2 Ch.3Ch.4 Ch.5 Ch.6Ch.7 Ch.8 Ch.9Ch.1Ch.2Ch.3Ch.4Ch.5Ch.6Ch.7Ch.8Ch.9Ch.1Ch.2Ch.3Ch.4Ch.5Ch.6Ch.7Ch.8Ch.9Ch.1Ch.2Ch.3Ch.4Ch.5Ch.6Ch.7Ch.8Ch.9Ch.1Ch.2Ch.3Ch.4Ch.5Ch.6Ch.7Ch.8Ch.9図 2　（a）MSS の写真と概念図（b）MSS の動作原理ニオイ吸収ピエゾ抵抗素子（a）（b）40　 車載テクノロジー   Vol.10，  No11  2023　他のセンサと比較した際のMSSの特徴としては，①小型，②低消費電力，③化学的多様性を上げることができる。「①小型」については，図 2から明らかなようにMEMS技術で作られたセンサであることから非常に小さいセンサ素子が実現できており，複数のチャンネルを配列したセンサチップを作製することも可能である。「②低消費電力」については，現在最も主流のガスセンサである酸化物半導体（MOX）型のガスセンサと比較した際の優位性といえる。MOX型ガスセンサは，酸化物半導体を加熱し，ガスと反応させることでセンサのシグナルを得ることから，原理的に消費電力が高くなってしまう。一方MSSは，ピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化を検知することから，消費電力を極めて小さく抑えることが可能である。そして，MSS最大の特長と言えるのが「③化学的多様性」である。MSSは，感応膜がガスを吸収して膨張する際に生じる応力を検知することから，この感応膜を様々に変えることで多様性を実現することができる。これまでに，NIMSを中心として，多様な材料を活用した感応膜が開発されており，様々なガス種（ニオイ）に応じたセンシングをこれまでに報告している 3）。4.　MSS を使ったニオイ測定の実例　ニオイセンサは，センサ素子単体で成り立つ技術ではなく，センサ素子と情報処理を組み合わせた一つのシステムであると既に述べたが，より詳しく言えば，センサ素子と情報処理に加えて，測定法も重要となる技術である。ここでは，香辛料のニオイ識別の例を参考に，具体的なニオイ識別のプロセスについて見ていく。　具体例として，MSSを用いた香辛料のニオイ識別の事例を挙げる 4）。この研究では，図 3 （a） に示す測定系を用いてニオイ測定を行い，香辛料のニオイ識別を行った。この研究では，バイアル瓶にニオイの試料となる香辛料を入れ，そのヘッドスペースガス（バイアル瓶上部のニオイを含む空気）と乾燥窒素を交互にMSSに送ることで測定を行った。ニオイと，ニオイ測定の基準となるガス（キャリアガス）を交互に導入する測定法は，ニオイセンサでは広く行われている手法であり，これにより，ニオイに固有のセンサシグナルを得ることができる。図 3 （b） が，測定で得られた各香辛料のチャンネル 1におけるシグナルである。香辛料によって応答のシグナルの形状が異なることから，このシグナルの形状の違いを反映した「特徴量」を抽出し，これを元にニオイを識別するための解析を行う。この研究では，解析法として，多変量解析の手法である主成分分析を行った。その結果が図 3 （c） である。図 3 （c） は，主成分 1と主成分 2を軸とした 2次元プロットであり，1点が各測定に対応している。図 3 （c） では，香辛料ごとにクラスターを形成し，それらが互いに他の香辛料と分離していることから，この測定により香辛料をニオイで区別できたと言える。この研究では，香辛料のニオイが互いに「区別」できることを示すにとどまっているが，特徴量空間上で香辛料ごとに境界線を引き領域を定めることによって，未知の試料を測定したときにそれがどの領域に入るかによってニオイの推定を行うことができるようになる。このような領域の境界線を引く作業がまさに分類の機械学習であり，測定データを増やし学習させることで，適切な境界線を定義することが可能となる。　上記の香辛料のニオイ測定では，マスフローコントローラにより精密に流量を制御することでニオイに固有のセンサ応答を得てニオイの区別を行った。これは，香辛料ごとに得られるセンサ応答が異なることから，このセンサ応答の形状を特徴量として解析を行ったことからニオイを区別することができたが，この手法でニオイを識別するためには常にニオイの流量制御を同じに保つ必要がある。逆に言えば，流量制御が異なる測定で得られた測定結果同士では，ニオイを比較することができない。このように，ニオイ測定においては，流量の制御を揃えての測定を行う必要があるという課題があったが，流量制御を揃えなくてもニオイの比較が行える技術の開発も進められている。筆者らは，測定系を一つの入出力装置ととらえ，制御工学の概念である伝達関数を導入することで，センサシグナルの解析技術の開発を行った。その結果，複数チャンネルのニオイ測定で得られるセンサ応答をもとに「伝達関数比」という特徴量を用いることで，流量制御なしにニオイ識別が可能であることを理論的に示し，MSSを用いた測定系にて実証した。この伝達関数比を用いた解析法をもちいることで，ポンプ等による車載テクノロジー   Vol.10，  No.11   2023     41匂いセンシングの開発動向と応用展開特　集　2流量制御を行わずに，センサ素子をそのままニオイにかざすことでニオイ識別を行う「フリーハンド測定」が実現できる 5）。5.　社会実装に向けた取り組み　MSSを用いたニオイセンサ（以下，MSSニオイセンサとする）は，様々な分野での応用が期待されている。一方で，ニオイセンサの実用化に向けては様々な要素技術の開発が必須であったことから，2015年に NIMSが中心となり，産学官連携の共同研究体制「MSSアライアンス」が発足した。MSSアライアンスにてニオイ測定の基礎が構築されていったことから，次の段階としてこれらの産業応用可能性について広く検証を行うべく，2017年には「MSSフォーラム」を立ち上げ，ニオイセンサの実証研究の推進を行った。その後，MSSフォーラムは 2020年に体制を変え，MSSニオイセンサの情報共有の場となり，2022年には名称をMSSパートナーシップと改めた。　上記の産学官連携や，個別の企業との共同研究を行うことで，実際の産業としてのニオイセンサの活用の道筋が見えてきたが，一方で，MSSニオイセンサの特性や限界，ポテンシャルなどについては，MSSニオイセンサの研究を行ってきた NIMSの研究者たちが最もよく把握していることから，研究者自身がより積極的にMSSニオイセンサの社会実装を行っていきたいという想いが強くなっていった。こういった背景から，NIMSの研究者である今村が中心となり，2022年に株式会社Qceptionが設立された。Qceptionの事業の内容としては，大別すると「MSSニオイセンサに興味のある組織への技術提供」と「Qception独自事業」となる。前者については，MSSセンサチップの販売や，MSSニオイセンサでのニオイ測定コンサルティングといった，ある意味ではこれまで NIMSとして行ってきた業務の延長線上にある事業である。しかし，物品の販売のように，国立の研究機関としてはできなかったことを Qceptionとしては実施できるため，MSSニオイセンサに興味のある企業が，従来と比較してより簡単に技術にアクセスすることが可能となった。この事業を通じて，MSSニオイセンサの普及やニーズの探索を行っている。一方で，Qceptionとして注目していている領域があり，そこでの独自事業の展開についても計画している。この領域というのが生体ガス計測である。人間や動物の呼気や体臭，図 3　香辛料のニオイ測定（a）測定系の概念図（b）測定で得られるセンサ応答（c）主成分分析の結果MSSチップN2MFC 2MFC 1試料N22520151050660 780 900 1020 1140センサ出力 （mV）時間 （秒）シナモンオレガノパセリガーリックナツメグローズマリー柚子胡椒2.01.51.00.50.0－ 0.5－ 1.0－ 1.5－ 2.0－ 2 － 1 210 43 5PC2PC1シナモンパセリナツメグ柚子胡椒オレガノガーリックローズマリー（a）（b）（c）42　 車載テクノロジー   Vol.10，  No11  2023あるいは植物や微生物の活動により発生するニオイは，生物の「状態」に関する重要な情報源である。このような生体から発生するニオイ（生体ガス）の計測をMSSニオイセンサで行うことで，農畜産業や医療ヘルスケア分野での事業展開を目指している 6）。6.　今後の課題と展望　これまで述べてきたように，基礎研究から生まれたMSSという技術を活用したMSSニオイセンサは，いよいよ実産業としての展開にフェーズが移ってきた。人間の鼻を代替できるような万能なニオイセンサを実現するためには，まだまだ数多くの課題があるが，現段階のMSSニオイセンサ技術であっても産業的な価値を生むことのできるアプリケーションが見えてきたのは近年の進展と言える。現段階のニオイセンサ技術と，実際の産業の現場でのニーズがうまくマッチするものを探し出し，一つずつ産業応用の実績を積み上げていくことが，MSSニオイセンサの社会実装に繋がっていくものと思われる。　ニオイセンサ業界全体では，近年の IoT化や AI技術の発展によるセンサ需要の増加にともない，ニオイを検知できるセンサの需要も増加している。しかし，一般に「ニオイセンサ」という言葉から気体される技術レベルに現状のニオイセンサは達しておらず，それゆえにニーズとのミスマッチが生まれ社会実装が進んでいないと考えられる。これは，MSSニオイセンサもその例外ではない。このような現状を打開するためには，ニオイセンサの本質的な課題であるガスセンサの感度の飛躍的向上や，温度・湿度等外乱の影響を受けない高い安定性の実現等が鍵となる。今後のニオイセンサの持続的な発展には，現状の技術レベルでも可能なニオイセンサのアプリケーションを産業レベルで実現していくことに加えて，上記ニオイセンサの本質的な課題を解決するための基礎的な研究を行うことが欠かせない。文献1）Niimura, Y.; Nei, M. Evolution of olfactory receptor genes in the human genome. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2003, 100, 12235-12240, doi:doi:10.1073/pnas.16351571002）Yoshikawa, G.; Akiyama, T.; Gautsch, S.; Vettiger, P.; Rohrer, H. Nanomechanical Membrane-type Surface Stress Sensor. Nano Lett. 2011, 11, 1044-1048, doi:https://doi.org/10.1021/nl103901a.3）Minami, K.; Imamura, G.; Tamura, R.; Shiba, K.; Yoshikawa, G. Recent Advances in Nanomechanical Membrane-Type Surface Stress Sensors towards Artificial Olfaction. Biosensors 2022, 12, 7624）Imamura, G.; Shiba, K.; Yoshikawa, G. Smell identification of spices using nanomechanical membrane-type surface stress sensors. Jpn. J. Appl. Phys. 2016, 55, 1102B1103, doi:https://doi.org/10.7567/JJAP.55.1102B35）Imamura, G.; Shiba, K.; Yoshikawa, G.; Washio, T. Free-hand gas identification based on transfer function ratios without gas flow control. Sci. Rep. 2019, 9, 9768, doi:https://doi.org/10.1038/s41598-019-46164-16）Qceptionホームページ . Available online:https://qception.co.jp/ (accessed on