# Fileset

[2023_012.pdf](https://mdr.nims.go.jp/filesets/00231019-88ca-42fb-8378-c58d2094f480/download)

## Creator

[西野 正理](https://orcid.org/0000-0002-2060-2303), 早坂 太志, 宮下精二

## Rights

[In Copyright](http://rightsstatements.org/vocab/InC/1.0/)

## Other metadata

[原子論に基づく次世代マイクロマグネティクスによる 保磁力制御法の開発](https://mdr.nims.go.jp/datasets/81dc0a81-a5a3-41c7-9e5b-71866d8c4296)

## Fulltext

2023_012The Murata Science Foundation─ 1 ─High-efficiency energy conversion devices have become central to the efforts to meet increasing energy demands and realize a low-carbon society, for which high-coercivity permanent magnets are key. The strongest permanent magnets, and consequently the most suited for such devices, are neodymium (Nd) magnets, Nd2Fe14B, which are widely used in appliances such as electric motors, generators, compressors, and other electronic devices. Although numerous studies on higher coercivity at higher temperatures have been undertaken, the origin of coercivity is not well understood. To enhance the coercivity of Nd magnets at high temperatures, the Nd component is substituted with dysprosium (Dy) in the commercial products of the magnet. Surface Dy-rich shells are considered important for enhancing coercivity. However, the underlying microscopic mechanism has not been studied based on atomistic theories. In this study, first, the features and mechanisms of the enhancement were studied using an atomistic model of the Nd magnet. Subsequently, the threshold field (coercive force) for magnetization reversal and the dynamical features at absolute zero and finite temperatures were investigated. The results show that a change from surface to bulk nucleation occurs when the number of substituted layers increases and the anisotropy energy of Dy is resistant to temperature increase, which significantly enhances coercivity, especially at high temperatures.研究目的　永久磁石の特性の向上は省エネルギーに大きく貢献するため、材料科学の最重要課題の一つである。ネオジム（Nd）磁石は、高保磁力を持ち、モーターや様々な電化製品で使用されている。この磁石は、軽希土類のNdを使った合金で、ジスプロシウム（Dy）などの重希土類の添加で保磁力強化して使用される。日本は、この希土類（レアアース）資源を海外に依原子論に基づく次世代マイクロマグネティクスによる保磁力制御法の開発Development of Coercivity Control Method UsingNext Generation Micromagnetics Based on Atomistic TheoryM21助自86代表研究者  西　野　正　理  物質・材料研究機構　先端材料解析研究拠点　主幹研究員  Masamichi Nishino  Principal Researcher,    Research Center for Advanced Measurement and Characterization,    National Institute for Materials Science共同研究者  早　坂　太　志  産業技術総合研究所　新原理コンピューティング研究センター    産総研特別研究員  Hiroshi Hayasaka  post-doctoral researcher, Research center for emerging computing technologies    National Institute of Advanced Industrial Science and Technology共同研究者  宮　下　精　二  東京大学　大学院理学系研究科　名誉教授  Seiji Miyashita  Emeritus Professor, Graduate school of science the University of TokyoAnnual Report No.37 2023─ 2 ─存しているが、その価格の不安定化などが問題となっており、希土類の使用量を減らして高性能な永久磁石を創出することが求められている。保磁力は、ナノメートル領域の組織制御によって特性が発現するため、そのメカニズム解明には微視的解析による研究が重要である。従来の保磁力の理論・計算の解析には、マイクロマグネティクスの方法論が用いられてきた。しかし、この方法は、その粗視化のために微視的解析が難しいことやさらに温度効果の取り扱いに課題がある。申請者は、その課題を克服すべく、原子論に基づくモデル化と統計力学による保磁力機構の微視的なスケールからの解明を進めてきた。この方法論の開発により、保磁力に関する微視的な知見が得られるようになってきた。本研究の目的は、この方法論を更に発展させて、保磁力の微視的機構を明らかにして、レアアースを極力減らした高性能磁石実現への指針につなげることである。そのためのステップとして、何故Dy添加で保磁力増強されるか、その微視的機構を明らかにする。概　　要　永久磁石の保磁力の制御は、高いエネルギー変換効率の実現へ向けて重要な課題である。ネオジム磁石（Nd-Fe-B磁石）は、強力な永久磁石として知られ、モーター、発電機、電化製品などに使用されている。ネオジム磁石は、高温での保磁力に課題があり、しばしばジスプロシウム（Dy）などの重希土類を添加することで保磁力強化して使用される。日本は、この希土類資源を海外に依存しているが、価格不安定化の問題もあり、希少元素の使用を減らした高性能永久磁石開発が求められている。高温で高保磁力化をめざす研究は数多く行われているが、保磁力の起源は依然としてよく分かっていない。　永久磁石の磁気特性や保磁力の理論的研究は、マイクロマグネティクスの分野で発展してきた。マイクロマグネティクス計算では、磁化を空間的に連続化した連続体モデルを考え、交換スティフネス定数および磁気異方性エネルギーを主とした小数のマクロな磁気パラメーターで磁性体を記述する。この方法は、磁性体を構成するグレイン（粒）の集合体のシステムサイズ（μメートルオーダー）を扱える利点があり、数多くの磁化反転等の磁気特性のシミュレーションが行われてきた。しかし、原子レベルの磁気相互作用による発現する磁気特性のミクロな機構は、粗視化のために取り扱えない。また、熱揺らぎや温度効果の取り扱いに課題がある。　有限温度での保磁力は、熱活性による準安定磁気状態の崩壊を伴う現象である。磁化反転はエネルギーバリアを超える必要があり、熱揺らぎで発生するため、確率過程である。このような効果を定量的に研究するには、熱揺らぎの効果やエントロピー効果を正しく扱う必要があり、カノニカルアンサンブルによる統計物理的手法を使用する必要がある。申請者らは、最近の研究で、ネオジム磁石などに対して、原子論に立脚して、系の全原子のスピンとその相互作用を考慮したスピンモデルを構築し、協力的相互作用が働くスピンの多体系において、統計物理的手法に従ってエントロピー効果や局所的な熱揺らぎを含む温度効果を取り扱うダイナミクスの方法論を開発してきた。そして、その方法を用いて、絶対零度および有限温度において、磁化過程、磁壁の性質、スピン再配列転移、強磁性共鳴、磁気双極子の効果、表面効果、核生成磁場やピンニング磁場などに関する定量的解析を行い、磁気物性の微視的機構について新たな知見を得てきた。本研究は、この方法論を用いて、ジスプロシウム（Dy）置換効果でネオジム磁石が保磁力増強される微視The Murata Science Foundation─ 3 ─的機構を明らかにすることを目指した。　本研究では、Nd磁石の原子論的モデルを用いて2つのシステムについて考察した。原子論的モデルの微視的パラメーターは、主として第一原理計算から取得している。システムAは、ハード磁性相表面が真空と接する系であり、システムBはハード磁性相表面がソフト磁性相（粒界相）と接する系である。Stochastic Landau-Lifshitz-Gilbert法を用いてDy置換による保磁力と核生成ダイナミクスを定量的に評価した。そして、Dy置換による保磁力向上の微視的特徴とその起源について考察した。その結果、有限温度でのDy置換の効果は絶対零度の場合よりも強いことを発見した。これは、磁化反転の基本的なメカニズムが、絶対零度ではストナー・ウォールファース機構であるのに対し、有限温度では核生成機構であることが原因であると考えられる。また、Dy置換効果は、特に室温より高い温度で顕著であることが分かった。　Dy置換による反転閾値磁場の増加の割合は、システムA、Bともに有限温度で表面からの置換層数にほぼ比例することが分かった。また、粒界相（ソフト磁性相）が保磁力を大きく低下させるが、粒界相に接しているシステムBの方が、Dy置換がより効果的であることも分かった。すなわち、Dy置換がハード相へのドメインウォールの伝搬を効果的に抑制していることが示された。さらに、置換層の数が増えると核生成メカニズムが変化し、保磁力向上が起こることを明らかにした。すわなち、置換層の数（n）を増やすと表面核生成が抑制され、臨界的なあるncで表面核生成とバルク内核生成のクロスオーバーが起こる。そして、n > ncのとき、バルク内核生成が起こる。　Dy置換による保磁力向上は、主に2つの原因から生じると考えられる。一つは、Dy原子とFe原子のモーメント間の反強磁性的結合で、外部からの逆磁場に対する表面状態の安定性を高めることである。もうひとつは、Dy原子の結晶電場エネルギーの特徴である。Dy原子のポテンシャル障壁は、特に高温ではNd原子のそれよりも高い。このことが、特に高温におけるDy置換の有効性をもたらす。本研究は、Dy置換によるネオジム磁石の保磁力向上の特徴やメカニズムを原子論的な視点に基づいて初めて示したものであり、永久磁石の保磁力向上に向けた試みに有用な知見を与える。本　　文1．イントロダクション　増大するエネルギー需要に対応しつつ、低炭素社会を実現するために、高効率なエネルギー変換デバイスが重要な役割を担っている。その中で高保磁力永久磁石は重要な鍵を握っている。永久磁石の中でその用途に適しているのがネオジム磁石（Nd2Fe14B）で、モーター、発電機、コンプレッサーなどの電子機器に広く使われている。より高い温度での高保磁力化に関する研究は数多く行われているが、保磁力は、ハード磁石相の特性だけでなく、粒界、粒形などにも依存するため、保磁力の機構は依然としてよく分かっていない難しい問題である。　ネオジム（Nd）磁石の保磁力は、室温以上の高い温度で大きく低下する。高温での保磁力を高めるために、商用の磁石ではNdを部分的にジスプロシウム（Dy）に置き換えて使用している。実際、実験で、（Nd1-xDyx）2Fe14B系の異方性磁場はxの増加とともに増加し、保磁力が増強されることが示されている。粒界拡散過程の手法を用いると、レマネンスを失わずに保磁力が増強される。各粒子の粒界とコアNd磁石の間にDyリッチシェルが形成されるが、表面のDyリッチシェルが、保磁力を高めるために重要であると考えられている。しかし、その微視的なメカAnnual Report No.37 2023─ 4 ─ニズムについて、原子論的な理論に基づく研究は行われておらず、よく理解されていない。　本研究では、まず、Nd磁石の原子論的モデルを用いて、保磁力向上の特徴やメカニズムを研究した。そして、磁化反転のための閾値磁場（保磁力）と絶対零度および有限温度における動的な特徴を調べた。その結果、置換層数が増加すると表面核生成からバルク核生成への変化が起こることを見いだした。また、Dyの結晶場エネルギーのバリアが高温でも保たれるために、Dy置換したネオジム磁石において、特に高温での保磁力が著しく向上することが明らかになった。2．原子論的モデルとダイナミクス手法　ネオジム磁石の微視的モデルとして以下の原子論的ハミルトニアンを採用する。 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .（1）Jijはi番目とj番目の原子間の交換相互作用、Diはi番目のFe原子の異方性エネルギーである。第 3項は、NdまたはDyの結晶電場（CEF）エネルギーである。第4項はZeeman項で、hは外部磁場を表す。FeおよびB原子の場合、siはi番目のサイトの磁気モーメントを示すが、Ndの場合、siは原子価電子（5dおよび6s）のモーメントであり、図1に示すようにHund結合により4-f 電子のモーメントJi=gT Ji μBと強く結合する。ここでgTはランデのg-factorであり、Jiは軌道角運動量とスピン角運動からなる全角運動量である。Nd原子はJ=9/2、gT=8/11であり、Dy原子はJ=L+S=15/2、gT=4/3である。NdおよびDy原子の合計モーメントはSi＝si+Jiで与えられる。FeとB原子に対しては、si＝Siと定義する。図1に示すように、Nd原子のSiとFe原子のSi（＝si）は反強磁性的に結合しているが、Nd原子のSiとFe原子のSiは強磁性結合していることに注意されたい。これに対してDy原子のsiとFe原子のSi（＝si）は反強磁性的に結合しており、Dy原子のSi（＝si+Ji）とFe原子のSiも反強磁性結合している。磁気モーメントと交換相互作用は、Korringa–Kohn–Rostoker（KKR）第一原理計算により見積もった値を用いる。その他のパラメーターについては、出版論文を参照されたい。　熱ゆらぎを考慮した磁化のダイナミクスを扱うため、以下のstochastic Landau-Lifshitz-Gilbert（sLLG）方程式を用いる。 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .（2）ここで、αiはi番目のサイトでの減衰定数、γは磁気回転定数、そして . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .（3）は、交換相互作用、異方性項、Zeeman項による有効磁場である。絶対零度では、熱揺らぎがないためエネルギーバリアを超えるプロセスは存在せず、この有効磁場を用いて磁化のダイナミクスが計算できる。それに対して、有限温度の場合、熱揺らぎによってエネルギーバリアを超えて準安定状態から安定状態へ緩和する過程が起こり得る。この熱ゆらぎの効果は、ホワイトガウシアンノイズ磁場ξiを導入することで与えられる。ノイズ磁場は . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .（4）図１　 （a）NdとFe原子の間の磁気カップリング。（b）DyとFe原子の間の磁気カップリング。Ex、SOIはそれぞれ交換相互作用、スピン-軌道相互作用を表す。The Murata Science Foundation─ 5 ─の関係を満たす。ノイズの強さD～kは、揺動散逸関係によって次のように温度に関係している。 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .（5）この関係式を満たせば、温度Tの定常状態でカノニカル分布に一致することが示される。この方程式は確率微分方程式であり、ノイズが磁化にかけ算の形でかかるため、multiplicativeな過程となる。この方程式を解くために、Heun法と等価なmiddle-point法を使用した。　図2に示すようにNd2Fe14Bの母相の（001）表面のNd層をn=1として、内部に向かってn=2、n=3…とNd層を番号づけする。ここでは、2つの系を考える。図2（a）に示す表面が真空と接触している系（システムA）と図2（b）に示す表面がソフト磁性相と接触している系（システムB）である。ハード磁性相は12×12×9ユニットセル、ソフト磁性相は12×12×3ユニットセルで、a、b軸方向は周期境界条件、c軸方向はシステム Aでは自由境界、システムBでは周期境界条件とする。ここで第1層から第n層までの全Nd原子をDy原子に置換して、磁化反転の磁場閾値を調べた。ソフト相はマイクロマグネティック計算で行われているように小さな磁気パラメーター（交換相互作用は0.5倍、磁気異方性エネルギーは0.2倍）を採用する。sLLG法の実時間シミュレーションにより、逆磁場をかけた場合の磁化反転の磁場閾値を見積もった。2．ジスプロシウム置換による保磁力増強　図3にシステムA（点線）とシステムB（実線）に対する磁場閾値のn依存性と温度変化を示す。n=0はDy置換無し（もとの系）を意味する。図中の比率（%）はn=0の値に対する値である。すべての温度でnとともに閾値磁場が増加し、Dy置換によって閾値磁場が増大することが確認された。ゼロ温度での閾値磁場と比較して、有限温度での閾値磁場は著しく減少し、熱効果は本質的に保磁力に影響していることが分かる。グレインバウンダリー相では磁化反転が起きやすいため、母相との相境界に磁壁が発生しやすく、母相の表面核生成が起こりやすい。そのため、真空表面の場合と比べ大きく保磁力が減少している。しかし、システムAよりもシステムBにおいてnが増えたときのn=0からの比率が大きく、Dy置換により保磁力が大きな割合で増加する。すなわち、システムBにおいて保磁力の増強効果が顕著である。これは、Dy置換の特徴であり、Dy置換が母相への磁壁移動を妨げ、強いピンニング効果を持っている図2　 （a）システムA。表面が真空と接触。（b）システムB。表面がソフト磁性相と接触。Nd原子（赤色）をDy原子（橙色）で置換する。Fe原子は青色、B原子は黄色で表示。図3　 システムA（点線）とシステムB（実線）における磁場閾値のn依存性。（a）0K、（b）0.34Tc、（c）0.46Tc、（d）0.69Tc。Annual Report No.37 2023─ 6 ─ことを示唆している。Dy置換層の数（n）に対する保磁力の増加率（Δhc/Δn）は有限温度では一定であり、両システムでほぼ等しい。　システムAに関して、Dy置換の代わりにNd原子の磁気異方性を2倍に強化した場合のn依存性を調べ、Dy置換した場合と比較した。0.34Tc、0.46Tc、0.69Tcのn=0に対するn=5の増加率を比べると、Dy置換した場合、それぞれ144%、140%、132%であるが、Nd原子の磁気異方性を2倍に強化した場合は、123%、121%、111%である。このことから、Dy置換した場合は、高温でも保磁力増強効果が維持されることが分かる。3．核生成ダイナミクス　次に、置換Dy層を増やした時の核生成ダイナミクスの変化を見る。図4にシステムBのn=1とn=5の核生成の様子を示す。磁場は閾値付近の値を用いている。図4（a）は一層のみDy置換したn=1の場合で、母相（ハード磁性相）の磁化反転前にソフト相がかなりの部分反転しており、母相表面から核生成（デピンニング）が起こっている。それに対して、図4（b）はDy置換層が5層ある場合であり、母相内部から核生成が起こっている。Dy置換により表面核生成が抑制され、内部核生成に変わる。この核生成機構の変化は、システムAでも見られるが、表面核生成から内部核生成に変化するnの境目は、システムAではn～2、システムBでn～3である。　Dy置換による保磁力増強効果と高温でも効果が維持される微視的起源は2つあると考えられる。一つ目は、磁気相互作用の相違である。Nd原子とFe原子の相互作用は強磁性であるのに対して、DyとFeの間は反強磁性である。この反強磁性結合により、逆磁場下でDyのモーメントは安定化され、反転核生成が起こりにくくなる。二つ目は、Dyの結晶電場（CEF）エネルギーの温度依存性の特徴である。図5（a）と5（b）にNd磁石中のNd原子とDy原子のCEFエネルギーの温度依存性を示す。Nd原子のCEFエネルギーと比較すると、Dy原子のCEFエネルギーは、温度に依らずθ=0にミニマムがあり、全温度で相対的にポテンシャルバリアが高い。さらに、0.46Tc（室温付近）と0.69Tcのポテンシャルバリアの変化に注目すると、0.46TcではDyのポテンシャルバリアはNdのポテンシャルバリアより27%より高いが、0.69Tcでは79%も高くなる。すなわち、Dyのほうが高温でポテンシャルバリアが相対的に高い。このことが、Dy置換が保磁力の向上に特に高温で有効な理由であると考えられる。4．まとめ　強力な永久磁石として知られるネオジム図4　 閾値磁場付近での核生成におけるスピン配位のスナップショット。（a）n=1、（b）n=5。黄色のボックスはソフト磁性相。赤色と青色は、それぞれアップスピン、ダウンスピンを示す。図5　 結晶電場エネルギーの温度依存性。（a）Nd原子、（b）Dy原子。θはc軸からの角度。The Murata Science Foundation─ 7 ─（Nd）磁石（Nd2Fe14B）は、エネルギー変換デバイスの高効率化を実現する上で欠かせない。高温での保磁力を高めるために、磁石の市販品ではNd成分が部分的にジスプロシウム（Dy）に置き換えられ使用されている。保磁力を高めるためには、表面のDyリッチシェルが重要であると考えられてきた。しかし、その微視的メカニズムについては、本研究以前に原子論に基づく研究は行われておらず、よく理解されていなかった。本研究では、まず、Nd磁石の原子論に基づいた微視的モデルを構築し、2つの系に対してDy置換での磁化反転および保磁力解析を行なった。システムAは、ハード磁性相表面が真空と接する系であり、システムBはハード磁性相表面がソフト磁性相（粒界相）と接する系である。原子論的モデルの微視的パラメーターは、主として第一原理計算から取得した。磁化反転解析は、熱揺らぎおよび温度の効果を正しく取り入れたダイナミクスの方法を用いて、反転磁場閾値や核生成ダイナミクスを定量的に評価した。そして、Dy置換による保磁力向上の微視的特徴とその起源について考察した。　その結果、有限温度でのDy置換の効果は絶対零度の場合よりも強いこと、Dy置換による反転閾値磁場の増加の割合は、システムA、Bともに有限温度で表面からの置換層数にほぼ比例すること、Dy置換が粒界相からハード磁性相へのドメインウォールの伝搬を効果的に抑制していることを明らかにした。さらに、置換層数が増加すると核生成メカニズムが変化し、表面核生成が抑制され、表面核生成とバルク内核生成のクロスオーバーが起こり、バルク内核生成に変化することなどを示した。Ndと比べDyの結晶電場エネルギーバリアは高温で相対的に高く、この性質とDy原子とFe原子のモーメント間の反強磁性結合の効果が高温での保磁力向上の起源となっていることが明らかになった。本研究は、Dy置換によるネオジム磁石の保磁力向上の特徴やメカニズムを原子論的な視点に基づいて初めて示したものであり、永久磁石の保磁力向上に向けた試みにも有用な知見を与えると期待される。今後の研究の見通し　本研究および前段階の研究により、これまでよく分かっていなかった永久磁石の磁気特性における熱揺らぎや温度効果とそのミクロな機構の理解が進んだ。個々のグレインの磁化反転が実験的にも観察されるようになってきて、プロセスに対する熱ゆらぎの影響が現実的な問題になっている。従って、この原子論的モデルによる熱揺らぎや温度効果の厳密な取り扱いは、今後益々重要になってくると考えられる。実際、ヨーロッパや中国のグループもネオジムの原子論的モデルの研究を始めており、この方法論による永久磁石の研究は今後発展していくと予想される。しかし、原子論的モデルを使用する場合、現在の計算機の能力では、数十nmスケールの計算にとどまる。保磁力はグレインの集合体としての性質として現れるため、より大きなスケールを扱う（粗視化）有効な方法論の開発が重要であり、その研究を進めていく。本助成金による主な発表論文、著書名1）  “Microscopic origin of coercivity enhancement by dysprosium substitution into neodymium permanent magnets”,   M. Nishino, H. Hayasaka, and S. Miyashita, Phys. Rev. B 106, 054422-（1-10）（2022）.2）  “Microscopic study on the angular dependence of coercivity at zero and finite temperatures”,   H. Hayasaka, M. Nishino, and S. Miyashita, Phys. Rev. B 105, 224414-（1-11）（2022）.3）  “Quantitative estimation of coercive field in a ferromagnetic grain using field sweep simulation”,   M. Nishino and S. Miyashita, Phys. Rev. B 107, 184422-（1-10）（2023).