内橋 隆
(ナノアーキテクトニクス材料研究センター/量子材料分野/表面量子相物質グループ, 物質・材料研究機構
)
Description:
(abstract)貴金属表面上における磁性原子は1998年の走査トンネル顕微鏡(STM)を用いた報告以来、近藤効果が発現する系として良く知られている。中でもCu(111)表面上に吸着したCo原子はその典型例であり、ゼロバイアス異常を近藤共鳴として解釈することが、いわば常識として確立していた。しかしごく最近になって、キール大学のBerndtらのグループはこの系を再検討し、STMで観測されるスペクトルは近藤共鳴ではなく、磁気異方性とスピン励起が関与した状態であることを指摘した。さらにヴュルツブルク大学のBodeらのグループは同じ系に対して、非磁性・磁性探針を併用したSTM測定を強磁場中で行い、近藤効果および純粋なスピン励起のどちらでも説明できない振舞いを見出した。彼らの理論によると、Co原子のスピン励起と伝導電子が結合することでスピナロンと呼ばれる磁気ポーラロンの一種が生じ、STMで観測されるスペクトルはこの新しい多体磁気励起状態を反映している。
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Date published: 2024-02-10
Publisher: 公益社団法人日本表面真空学会
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Manuscript type: Publisher's version (Version of record)
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First published URL: https://doi.org/10.1380/vss.67.89
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Updated at: 2024-08-21 08:30:24 +0900
Published on MDR: 2024-08-21 08:30:25 +0900
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