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パーシステントホモロジーを用いた微細組織の解釈可能な構造評価

MDR Open Deposited

近年、パーシステントホモロジー(PH)という数学的な枠組みによって、原子スケールからナノスケールといった幅広いスケールで材料構造情報の定量化が可能になった。PHでは、データ内の「穴」構造の生成・消滅のスケールとそれらの頻度を2次元ヒストグラムに示した、パーシステント図(PD)によって構造が表現される。本研究では、PHを走査型透過電子顕微鏡(STEM)画像へ適用した。一般的に、PD解析においては次元削減により構造情報が抽出されるが、本研究では解釈性を高めるため、PDから直接的に解釈可能な特徴量を抽出し、それらによる構造評価を行った。
対象画像データはPtとCeO2の2相複合材料のSTEM像である。この材料は合成条件 (温度・CO/O2ガス雰囲気)によって迷路状構造や縞状の異なる形態を示す。STEM画像は2値化処理した後、CeO2相に注目してPD解析した。
0次のPDからはCeO2のドメインの数・縞の幅や長さ、1次のPDからはCeO2のリング・湾状構造の個数情報を特徴量として抽出できた。それら特徴量を用いたランダムフォレストによる画像分類の結果、CeO2の縞の幅と湾状構造の個数が重要な特徴量であることが分かった。更に、これら2つの特徴量で散布図を作成することで、Fig.1のようにPt/CeO2の微細構造が合成条件ごとに分類可能であることが分かった。つまり、本研究で抽出した解釈可能な特徴量は構造評価に有効に働き、さらには物理的な議論にも有効であることが示唆された。

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  • 28/11/2024
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